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JP6250933B2 - X線透視撮影装置 - Google Patents

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JP6250933B2 JP2013010228A JP2013010228A JP6250933B2 JP 6250933 B2 JP6250933 B2 JP 6250933B2 JP 2013010228 A JP2013010228 A JP 2013010228A JP 2013010228 A JP2013010228 A JP 2013010228A JP 6250933 B2 JP6250933 B2 JP 6250933B2
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Description

この発明は、被検体の透視あるいは撮影を行うX線透視撮影装置に係り、特に、保持手段によりX線源およびX線検出器が歳差運動する技術に関する。
従来、この種の装置では、X線を発生するX線管(X線源)と、X線管に対向して配設され、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、X線管およびX線検出器を保持する保持部(保持手段)とを備えたX線透視撮影装置において、X線管およびX線検出器がそれぞれ円または楕円軌道上を動作するように保持部が歳差運動を行いながら透視あるいは撮影を行う(例えば、特許文献1、2参照)。
歳差運動の概略例を図13に示す。保持部は、2つの円または楕円軌道101,102の回転中心を結ぶ線(以下、「歳差中心軸」と呼ぶ)103が鉛直軸に平行となるような歳差運動をX線管およびX線検出器が行うように保持している。なお、歳差中心軸103からの歳差運動の角度は「振れ角」とも呼ばれ、図13では符号104で付している。図13では、わかりやすく図示するために振れ角104を大きく図示しているが、実際の振れ角104は15°以下であり固定されている。
近年では、被検体を載置する天板が傾斜するのに連動して、歳差中心軸も傾斜する装置が開発されている。天板が傾斜することにより、鉛直軸以外の様々な方向に歳差中心軸を傾斜させることができる。
特開平8−322827号公報(第5頁、図3〜図6) 国際公開第WO2009−128129号
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置では、15°以下と浅い振れ角で歳差運動を行うので、撮影対象が血管の場合において、撮影対象の血管の走行状態によっては3次元の血管の狭窄状態を観察するのが難しく十分な診断能を得ることができないという問題がある。一方で、歳差中心軸は鉛直軸に平行に固定されており、15°以下と浅い振れ角での歳差運動では、ほぼ上から、あるいはほぼ下から3次元の血管の狭窄状態を観察することになるので、振れ角と同様の理由により十分な診断能を得ることができない。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、診断能を向上させることができるX線透視撮影装置を提供することを目的とする。
発明者は、上記の問題を解決するために研究した結果、次のような知見を得た。
すなわち、上述したように、従来の場合には歳差中心軸が鉛直軸に平行に固定されているので、ほぼ上から、あるいはほぼ下から透視あるいは撮影を行うことになってしまう。そこで、上述したように天板の傾斜に連動して歳差中心軸も傾斜すれば、斜め方向から透視あるいは撮影を行うことができる。しかし、撮影対象の被検体を観察する限り、被検体を載置する載置面に対して歳差中心軸は常に直交するので、被検体に対して相対的にほぼ上から、あるいは相対的にほぼ下から透視あるいは撮影を行うことになる。
そこで、天板の傾斜に連動して歳差中心軸を鉛直軸から単に傾斜させるという発想を変えて、被検体を載置する載置面を基準にして歳差中心軸を傾斜設定することに着目した。さすれば、天板の傾斜状態に関係なく、術者が載置面に対して歳差中心軸を傾斜設定することになり、被検体に対して相対的に斜め方向から透視あるいは撮影を行うことができ、診断能を向上させることができるという知見を得た。
一方で、上述したように振れ角は15°以下で固定されている。振れ角を仮に大きく設定すると、歳差運動の駆動力を大きくする必要があり、歳差運動の周期も長くなる。これらを防止するために、振れ角は所定の角度で15°以下の浅い角度と予め設定されており、術者が自由に設定変更することができないような設計となっていた。
そこで、歳差運動の駆動力が多少大きくなっても、あるいは歳差運動の周期が多少長くなっても問題がなければ、術者が振れ角を任意の角度に自由に設定することができるように設計する。さすれば、広い振れ角で透視あるいは撮影を行うことができ、診断能を向上させることができるという知見を得た。
このような知見に基づくこの発明は、次のような構成をとる。
すなわち、この発明に係るX線透視撮影装置、被検体の透視あるいは撮影を行うX線透視撮影装置であって、X線源およびX線検出器を保持する保持手段と、前記保持手段により前記X線源および前記X線検出器が歳差運動する際に当該歳差運動の中心軸である歳差中心軸を、被検体を載置する載置面に対して傾斜設定する中心軸傾斜設定手段とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]この発明に係るX線透視撮影装置よれば、中心軸傾斜設定手段を備える。保持手段によりX線源およびX線検出器が歳差運動する際に当該歳差運動の中心軸である歳差中心軸を、被検体を載置する載置面に対して中心軸傾斜設定手段が傾斜設定することで、被検体に対して相対的に斜め方向から透視あるいは撮影を行うことができ、診断能を向上させることができる。
この発明に係るX線透視撮影装置において、保持手段によりX線源およびX線検出器が歳差運動する際に当該歳差運動の中心軸である歳差中心軸からの歳差運動の振れ角を任意の角度に設定する振れ角設定手段備えてもよい。
振れ角設定手段を備える場合においては、保持手段によりX線源およびX線検出器が歳差運動する際に当該歳差運動の中心軸である歳差中心軸からの歳差運動の振れ角を任意の角度に振れ角設定手段が設定することで、観察し易い振れ角で透視あるいは撮影を行うことができ、診断能を向上させることができる。
中心軸傾斜設定手段および振れ角設定手段を両方備えた場合には、歳差中心軸を載置面に対して中心軸傾斜設定手段が傾斜設定することで、被検体に対して相対的に斜め方向から透視あるいは撮影を行うことができるとともに、振れ角を任意の角度に振れ角設定手段が設定することで、観察し易い振れ角で透視あるいは撮影を行うことができ、診断能をより一層向上させることができる。
これら発明において、歳差運動中に歳差中心軸を、被検体を載置する載置面に対して傾斜変更する中心軸傾斜変更手段を備えるのが好ましい。歳差運動中において現在の歳差中心軸では観察するのが難しいと判明した場合には、観察し易い歳差中心軸に中心軸傾斜変更手段が歳差運動中に傾斜変更することで、歳差運動中でも診断能を向上させることができる。
同様に、これら発明において、歳差運動中に歳差中心軸からの歳差運動の振れ角を変更する振れ角変更手段を備えるのが好ましい。歳差運動中において現在の振れ角では観察するのが難しいと判明した場合には、観察し易い振れ角に振れ角変更手段が歳差運動中に変更することで、歳差運動中でも診断能を向上させることができる。
上述した中心軸傾斜変更手段および振れ角変更手段を両方備えてもよい。
すなわち、歳差運動中に歳差中心軸を、被検体を載置する載置面に対して傾斜変更する中心軸傾斜変更手段と、歳差運動中に歳差中心軸からの歳差運動の振れ角を変更する振れ角変更手段とを備える。歳差運動中において現在の歳差中心軸および現在の振れ角では観察するのが難しいと判明した場合には、観察し易い歳差中心軸に中心軸傾斜変更手段が歳差運動中に傾斜変更するとともに、観察し易い振れ角に振れ角変更手段が歳差運動中に変更することで、歳差運動中でも診断能をより一層向上させることができる。
上述したこれらの発明のうち振れ角に関する発明において、振れ角を所定の角度以下に制限する振れ角制限手段を備えるのが好ましい。振れ角は180°未満であれば、歳差運動を行うことができるが、歳差運動の軌道は制限なく大きくなり、上述したように歳差運動の駆動力を大きくする必要があり、歳差運動の周期も長くなる。そこで、撮影態様に応じて、歳差運動の軌道や駆動力や周期を予め設定して、それらに応じて振れ角に関して限界となる所定の角度を予め決定する。振れ角を所定の角度以下に振れ角制限手段が制限することで、歳差運動の軌道が制限なく大きくなることなどを防止することができる。
この発明に係るX線透視撮影装置よれば、保持手段によりX線源およびX線検出器が歳差運動する際に当該歳差運動の中心軸である歳差中心軸を、被検体を載置する載置面に対して中心軸傾斜設定手段が傾斜設定することで、被検体に対して相対的に斜め方向から透視あるいは撮影を行うことができ、診断能を向上させることができる。
また、振れ角設定手段を備える場合においては、保持手段によりX線源およびX線検出器が歳差運動する際に当該歳差運動の中心軸である歳差中心軸からの歳差運動の振れ角を任意の角度に振れ角設定手段が設定することで、観察し易い振れ角で透視あるいは撮影を行うことができ、診断能を向上させることができる。
実施例1〜6に係るX線透視撮影装置システムの概略構成を示した側面図である。 実施例1に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。 (a)、(b)は、載置面に対する歳差中心軸の傾斜設定の概略例である。 歳差中心軸が傾斜設定された歳差運動の概略例である。 Cアームの動作状況に関するタイミングチャートである。 中心軸傾斜設定部の一実施態様の例である。 実施例2に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。 実施例3に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。 実施例4に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。 実施例5に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。 実施例6に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。 変形例に係る振れ角制限部を備えたX線透視撮影装置システムのブロック図である。 従来の歳差運動の概略例である。
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1〜6に係るX線透視撮影装置システムの概略構成を示した側面図であり、図2は、実施例1に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。後述する実施例2〜6も含めて、本実施例1では、X線透視撮影装置は、X線透視撮影装置システムに組み込まれる場合を例に採って説明する。
後述する実施例2〜6も含めて、本実施例1に係るX線透視撮影装置システムは、図1に示すように、被検体Mを載置する可動式天板11、および可動式天板11を支持する土台部12を有した検診台1と、被検体Mの透視あるいは撮影を行うX線撮像部2と備えるとともに、図2に示すように、位置制御部4を備えている。各実施例では、可動式天板11は造影剤を投与するためのカテーテル用天板として用いられ、検診台1はカテーテル台として用いられる。
先ず、検診台1の機構について図1を参照して説明する。可動式天板11を土台部12に沿って水平方向(例えば図中のx方向またはy方向)に平行にスライド移動させるように構成されている。土台部12は鉛直方向(図中のz方向)に伸縮自在に構成されており、これによって可動式天板11を鉛直方向に昇降移動させる。図1では図示していないが、可動式天板11を傾斜させてもよく、水平姿勢・起立姿勢・傾斜姿勢のいずれかに可動式天板11を起倒させてもよい。例えば、モータ(図示省略)と、図示を省略する回転軸を介してモータに取り付けられたギア(図示省略)と、このギアに噛合され可動式天板11を支持したラック(図示省略)とを備えることで、これらの移動を実現する。
次に、X線撮像部2について図1を参照して説明する。X線撮像部2は、天井面(図中のxy平面)に設置された基台部21と、基台部21に支持されたCアーム支持部22と、Cアーム支持部22に支持されたCアーム23と、Cアーム23の一端に支持されたX線管24と、他端に支持されたフラットパネル型X線検出器(FPD: Flat Panel Detector)25とを備えている。基台部21,Cアーム支持部22およびCアーム23によって、X線管24およびFPD25が互いに対向配置されて保持されている。Cアーム23は、この発明における保持手段に相当し、X線管24は、この発明におけるX線源に相当し、フラットパネル型X線検出器(FPD)25は、この発明におけるX線検出器に相当する。
天井面にはx方向に延在した固定レール31が設置されており、この固定レール31に移動レール支持部32が取り付けられ、y方向(紙面の奥行き方向)に延在した移動レール33が移動レール支持部32により懸垂支持されている。移動レール支持部32を介して移動レール33は固定レール31に沿ってx方向に平行にスライド移動する。移動レール33にはキャリッジ34が嵌合し、キャリッジ34は移動レール33に沿ってy方向に平行にスライド移動する。モータ(図示省略)などにより移動レール33やキャリッジ34などを平行移動させる。
また、キャリッジ34に対して基台部21を鉛直軸(図中のz軸)心周りに回転移動させる第1撮像駆動部35を備えている。第1撮像駆動部35は、モータやベルトやギアボックスやギア(ギアを除いて図示省略)などを備えている。第1撮像駆動部35によって基台部21が鉛直軸心周りに回転移動することで、基台部21に支持されたCアーム支持部22も鉛直軸心周りに回転移動し、Cアーム支持部22に支持されたCアーム23も鉛直軸心周りに回転移動し、Cアーム23に支持されたX線管24およびFPD25も鉛直軸心周りに回転移動する。以上のように、第1撮像駆動部35は、X線撮像部2を鉛直軸心周りに回転移動させる。
また、基台部21に対してCアーム支持部22を被検体Mの体軸(図中のx軸)の軸心周りに回転駆動させる第2撮像駆動部36を備えている。第2撮像駆動部36は、モータやベルトやギアボックスやギア(ギアを除いて図示省略)などを備えている。第2撮像駆動部36によって基台部21に対してCアーム支持部22が体軸の軸心周りに回転移動する。また、Cアーム支持部22に支持されたCアーム23も体軸の軸心周りに回転移動し、Cアーム23に支持されたX線管24およびFPD25も体軸の軸心周りに回転移動する。以上のように、第2撮像駆動部36は、X線撮像部2を体軸の軸心周りに回転移動させる。
また、Cアーム23を被検体Mの体軸(図中のx軸)に対して水平面で直交する軸(図中のy軸)心周りに回転駆動させるために、ベアリング37,ベルト38およびモータ39を備えている。Cアーム23はレール形状で形成されており、2つのベアリング37がCアーム23の溝部に嵌合し、ベルト38がCアーム23の外周面に沿って付設され、モータ39がベルト38の一部を巻き取るように配置されている。モータ39が回転駆動することで、ベルト38が周回し、それに伴ってベアリング37に対してCアーム23が摺動する。この摺動によりCアーム23が、体軸に対して水平面で直交する軸の軸心周りに回転移動する。また、Cアーム23に支持されたX線管24およびFPD25も体軸に対して水平面で直交する軸の軸心周りに回転移動する。以上のように、ベアリング37,ベルト38およびモータ39は、X線管24およびFPD25を体軸に対して水平面で直交する軸の軸心周りに回転駆動させる。
なお、移動レール33が固定レール31に沿ってx方向に平行にスライド移動することで、移動レール33に嵌合したキャリッジ34もx方向に平行移動し、キャリッジ34に支持された基台部21もx方向に平行移動する。また、基台部21に支持されたCアーム支持部22もx方向に平行移動し、Cアーム支持部22に支持されたCアーム23もx方向に平行移動し、Cアーム23に支持されたX線管24およびFPD25もx方向に平行移動する。以上のように、移動レール33は、X線撮像部2をx方向に平行移動させる。
また、キャリッジ34が移動レール33に沿ってy方向に平行にスライド移動することで、キャリッジ34に支持された基台部21もy方向に平行移動する。また、基台部21に支持されたCアーム支持部22もy方向に平行移動し、Cアーム支持部22に支持されたCアーム23もy方向に平行移動し、Cアーム23に支持されたX線管24およびFPD25もy方向に平行移動する。以上のように、キャリッジ34は、X線撮像部2をy方向に平行移動させる。
この他に、Cアーム23がFPD25を支持する支持軸心周りに回転移動させるFPD移動部(図示省略)などを備えている。また、Cアーム支持部22またはCアーム23を鉛直軸に沿って昇降移動させることで、X線撮像部2を鉛直軸に沿って平行駆動させる撮像部昇降部(図示省略)を備えてもよい。
なお、Cアーム23がFPD25を支持する支持軸方向に沿って、FPD25を平行移動させるFPD移動部(図示省略)を備えてもよい。この場合には、Cアーム23がFPD25を支持する支持軸が、X線管24からFPD25に下ろした垂線(すなわち照射中心軸)方向に平行であるので、FPD移動部が支持軸方向に沿ってFPD25を平行移動させることで、FPD25を垂線方向に沿って平行移動させることになる。すなわち、X線管24からFPD25に垂線を下ろした距離(すなわちSID: Source Image Distance)をFPD移動部が可変にして、FPD25を垂線方向に沿って平行移動させる。
検診台1やX線撮像部2を上述のように移動させて、X線管24から照射されたX線をFPD25が検出して得られたX線検出信号を、後述する画像処理部7(図2を参照)で処理することで被検体MのX線画像を得る。このようにして、当該被検体Mの透視あるいは撮影を行う。被検体Mの透視については、撮影時よりも微弱な線量のX線を照射して得られたX線画像を逐次にリアルタイムで表示することにより行う。被検体Mの撮影については、通常の線量のX線を照射して得られたX線画像を, RAM(Random-Access Memory)などに代表される記憶媒体(図2ではメモリ部9)に一旦に書き込んで記憶してから、読み出して表示あるいは印刷することにより行う。
また、可動式天板11の傍らには操作部41が可動式天板11に着脱自在に設置される。この操作部41は、X線撮像部2の各構成(基台部21やCアーム支持部22やCアーム23など)や移動レール33やキャリッジ34などを遠隔操作にて移動制御可能に構成され、これらに対して無線により送信あるいは電気ケーブルにより接続されている。X線透視撮影装置システムでは、カテーテルを介して造影剤を投与しつつ被検体Mに対して透視あるいは撮影を行うために、造影剤を投与しやすくすべく可動式天板11の傍らに操作部41を設置しているが、操作部41を自在に持ち運んで、室内の任意の場所において遠隔操作にて移動制御することができる。
次に、位置制御部4周辺の機構について図2を参照して説明する。後述する実施例2〜6も含めて、本実施例1では、図2に示すように、X線透視撮影装置は符号Aの範囲であり、検診台1や検診台制御部5もX線透視撮影装置Aの構成に含まれる。後述する実施例2〜6も含めて、本実施例1では、X線透視撮影装置Aの構成は全て室内に配置される。X線透視撮影装置Aは、図1に示す検診台1(図2も参照)やX線撮像部2(図2も参照)の他にX線撮像部2の位置を制御する位置制御部4を備え、さらに、検診台1の位置を制御する検診台制御部5と、X線管24に管電圧や管電流を付与してX線管24を制御するX線管制御部6と、FPD25で検出されたX線検出信号をX線画像として処理する画像処理部7と、検診台1や検診台制御部5を除くこれらを統括制御するコントローラ8と、画像処理部7で処理されたX線画像などを記憶するメモリ部9とを備えている。この他に、入力設定を行う入力部(図示省略)や、画像処理部7で処理された画像などを出力する出力部(図示省略)などを備えているが、操作部41や後述する中心軸傾斜設定部42を除けば、これらの構成については特徴部分と関連しないので、それらの説明について省略する。
位置制御部4は、上述したようにX線撮像部2の各構成や移動レール33(図1を参照)やキャリッジ34(図1を参照)などを遠隔操作にて移動制御する操作部41(図1も参照)と、Cアーム23によりX線管24およびFPD25が歳差運動する際に当該歳差運動の中心軸である歳差中心軸AX(図3および図4を参照)を、被検体Mを載置する載置面P(図3を参照)に対して傾斜設定する中心軸傾斜設定部42とを備えている。位置制御部4や、検診台制御部5やX線管制御部6や画像処理部7やコントローラ8は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。中心軸傾斜設定部42は、この発明における中心軸傾斜設定手段に相当する。
術者が操作部41に操作入力を行い、操作部41の操作入力に応じて、第1/第2撮像駆動部35,36(図1を参照)の各モータ(図示省略)や、モータ39(図1を参照)や、移動レール33やキャリッジ34の各モータ(図示省略)を回転制御することで、X線撮像部2の各構成や移動レール33やキャリッジ34を図1中の矢印の方向にそれぞれ駆動させる。中心軸傾斜設定部42の具体的な構成や機能については、図3〜図6で詳しく後述する。
検診台制御部5は、モータ(図示省略)を回転制御することで、可動式天板11や土台部12を図1中の矢印の方向にそれぞれ駆動させる。検診台制御部5は、コントローラ8に接続されておらず、コントローラ8に接続された位置制御部4やX線管制御部6とは独立して検診台1の位置を制御する。したがって、室内にそれぞれ配置された検診台1とX線撮像部2とが互いに独立して駆動する。その結果、X線撮像部2は、検診台1とは独立して室内に配置される。
上述したように、検診台制御部5は、コントローラ8に接続されておらず、コントローラ8に接続された位置制御部4やX線管制御部6とは独立して検診台1の位置を制御するので、検診台1とX線撮像部2とは機械的には独立している。もちろん、検診台1・X線撮像部2は一体型で構成されていてもよい。例えば、可動式天板11を起倒させる起倒フレーム(図示省略)がCアーム23などに代表される保持部に連結され、可動式天板11がX線撮像部とともに連動してもよい。また、コントローラ8を介して位置制御部4と検診台制御部5とを接続して、位置制御部4によりX線撮像部2が駆動するのに同期して、検診台1の可動式天板11や土台部12が駆動してもよい。
X線管制御部6は、X線管24に管電圧や管電流を付与してX線管24を制御する。また、図示を省略するコリメータをX線管制御部6が制御することで、X線管24からそれぞれ照射されたX線の照視野を制御する。画像処理部7は、X線管24から照射されて被検体Mを透過してFPD25で検出されたX線(X線検出信号)に対して各種の画像処理(例えばラグ補正やゲイン補正など)を行うことで被検体MのX線画像を得る。このX線画像を必要に応じて、コントローラ8を介してメモリ部9や出力部(図示省略)に送り込む。
次に、本実施例1に係る歳差運動や中心軸傾斜設定部42の具体的な構成や機能について、図3〜図6を参照して説明する。図3は、載置面に対する歳差中心軸の傾斜設定の概略例であり、図4は、歳差中心軸が傾斜設定された歳差運動の概略例であり、図5は、Cアームの動作状況に関するタイミングチャートであり、図6は、中心軸傾斜設定部の一実施態様の例である。
図3に示すように、可動式天板11の面が、被検体M(図3では図示省略)を載置する載置面Pとなる。図3に示すように、中心軸傾斜設定部42(図2および図6を参照)は、歳差中心軸AXを載置面Pに対して傾斜設定する。例えば可動式天板11が傾斜せずに載置面Pが水平面(図中のxy平面)のときには、載置面Pに直交する軸は、従来のように図中の二点鎖線に示す鉛直軸(図中のz軸)である。したがって、可動式天板11が傾斜しない場合において、歳差中心軸AXを載置面Pに対して傾斜設定するには、z軸以外の軸であれば歳差中心軸AXとして傾斜設定することができる。
例えば、図3(a)に示すように、短手方向(図中のy軸)から可動式天板11を見たときには、被検体Mの頭部側に傾斜させた軸も、歳差中心軸AXになり得るし、被検体Mの脚部側に傾斜させた軸も、歳差中心軸AXになり得る。また、長手方向(図中のx軸)には傾斜させず短手方向のみを傾斜させる場合は、z軸も歳差中心軸AXになり得る。
また、図3(b)に示すように、長手方向(図中のx軸)から可動式天板11を見たときには、被検体Mの右側に傾斜させた軸も、歳差中心軸AXになり得るし、被検体Mの左側に傾斜させた軸も、歳差中心軸AXになり得る。同じく、短手方向(図中のy軸)には傾斜させず長手方向のみを傾斜させる場合は、z軸も歳差中心軸AXになり得る。
なお、載置面Pに平行に歳差中心軸AXを設定する場合も、載置面Pに対して傾斜設定する場合に含まれるものとする。また、図3(a)の歳差中心軸AXおよび図3(b)の歳差中心軸AXを組み合わせて合成した方向も、載置面Pに対して傾斜設定する場合に含まれる。
このように、歳差中心軸AXが傾斜設定されたときには、歳差運動は図4に示すような円または楕円軌道C1,C2を描きながら、X線管24(図1および図2を参照)およびFPD25(図1および図2を参照)は当該円または楕円軌道C1,C2上を移動する。可動式天板11を傾斜させたときも同様に、歳差中心軸AXを載置面Pに対して傾斜設定すればよい。図4中のθは歳差中心軸AXからの歳差運動の振れ角であるが、本実施例1では振れ角は固定であるものとする。
例えば、図3(a)に示す被検体Mの頭部側や脚部側に歳差中心軸AXを傾斜させて歳差運動を実現するには、Cアーム23(図1および図2を参照)をスライド方向に(図1,図3中のy軸心周りに回転)移動させて、所定の角度に歳差中心軸AXを傾斜させる。そして、図5に示すように、X線管24からのX線照射に同期して、図3(a)に示す歳差中心軸AXに直交する一軸(x軸およびz軸を組み合わせて合成したx´軸)の軸心周りの回転速度を、a・sintで制御するとともに、図3(a)に示す歳差中心軸AXに直交する別の一軸(y軸およびz軸を組み合わせて合成したy´軸)の軸心周りの回転速度を、sintに対して90°位相がずれたb・costで制御する。
また、図3(b)に示す被検体Mの左右側に歳差中心軸AXを傾斜させて歳差運動を実現するには、Cアーム23を被検体Mの体軸(図1,図3のx軸)の軸心周りに回転させて、所定の角度に歳差中心軸AXを傾斜させる。そして、図5に示すように、X線管24からのX線照射に同期して、図3(b)に示す歳差中心軸AXに直交する一軸(x軸およびz軸を組み合わせて合成したx´軸)の軸心周りの回転速度を、a・sintで制御するとともに、図3(a)に示す歳差中心軸AXに直交する別の一軸(y軸およびz軸を組み合わせて合成したy´軸)の軸心周りの回転速度を、sintに対して90°位相がずれたb・costで制御する。
図5中のa,bは振幅であり、図5ではa>bとしているが、逆にa<bでもよいし、a=bでもよい。a≠bの場合には振幅が小さい方が短径で振幅が大きい方が長径の楕円軌道となり、a=bの場合には半径がaの真円軌道となる。
なお、実際には、X線照射の開始前後については、回転速度は図中の二点鎖線に示すa・sintやb・costで制御されない。図中のTを制御開始時点とすると、図中の実線に示すように回転速度が徐々に変化するように制御して、それぞれの回転速度がa・sintおよびb・costで制御された時点でX線照射を開始するようにする。X線照射の終了時についても同様で、実際には図中の実線に示すように回転速度が徐々に変化して最終的に停止するように制御する。
また、図5中の「x´軸心周り」とは、x軸およびz軸を組み合わせて合成した方向の軸であって、かつ傾斜された歳差中心軸AXに直交する一軸を新たにx´軸としたx´軸心周りの回転速度の成分を示す。同様に、図5中の「y´軸心周り」とは、y軸およびz軸を組み合わせて合成した方向の軸であって、かつ傾斜された歳差中心軸AXに直交する別の軸を新たにy´軸としたy´軸心周りの回転速度の成分を示す。
図3に示すように歳差中心軸AXを載置面Pに対して中心軸傾斜設定部42により傾斜設定するには、図6に示すように、鉛直軸から傾斜させる角度を正方向に1°刻みで加算して歳差中心軸AXを設定するプラスボタン42aと、鉛直軸から傾斜させる角度を負方向に1°刻みで減算して歳差中心軸AXを設定するマイナスボタン42bと、図3(a)に示すような長手方向への歳差中心軸AXの傾斜設定を選択する長手方向傾斜選択ボタン42cと、図3(b)に示すような短手方向への歳差中心軸AXの傾斜設定を選択する短手方向傾斜選択ボタン42dとを有する。術者は、中心軸表示器42eに表示された現在の歳差中心軸AXの立体角度を見ながら、長手方向傾斜選択ボタン42cあるいは短手方向傾斜選択ボタン42dを選択した状態でプラスボタン42aあるいはマイナスボタン42bを押して、所望の角度に歳差中心軸AXを傾斜設定する。
中心軸傾斜設定部42は、図6に示す実施態様に限定されない。例えば、傾斜設定する歳差中心軸AXの角度を中心軸表示器42eに直接的に入力するように中心軸傾斜設定部42を構成してもよい。また、長手方向への歳差中心軸AXの傾斜設定、短手方向への歳差中心軸AXの傾斜設定を切り替え選択するモード選択ボタン(図示省略)を設けてもよい。また、操作部41(図1および図2を参照)に中心軸傾斜設定の機能を有し、可動式天板11(図1を参照)に操作部41が着脱自在に設置されるように構成してもよい。その他、Cアーム23(図1および図2を参照)の面や固定の壁面などに中心軸傾斜設定の機能を有した入力部を設置してもよい。
本実施例1に係るX線透視撮影装置Aによれば、中心軸傾斜設定部42を備える。保持部(各実施例ではCアーム23)によりX線管24およびFPD25が歳差運動する際に当該歳差運動の中心軸である歳差中心軸AXを、被検体Mを載置する載置面Pに対して中心軸傾斜設定部42が傾斜設定することで、被検体Mに対して相対的に斜め方向から透視あるいは撮影を行うことができ、診断能を向上させることができる。
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
図7は、実施例2に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。上述した実施例1と共通する箇所については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
本実施例2では、図7に示すように、位置制御部4は、操作部41を備えるとともに、上述した実施例1の中心軸傾斜設定部42(図2および図6を参照)の替わりに、Cアーム23によりX線管24およびFPD25が歳差運動する際に当該歳差運動の中心軸である歳差中心軸AX(図3および図4を参照)からの歳差運動の振れ角θ(図4を参照)を任意の角度に設定する振れ角設定部43を備えている。振れ角設定部43は、この発明における振れ角設定手段に相当する。
X線管24の振れ角θは、X線管24・FPD25を結ぶ線と鉛直軸とのなす角度と、歳差中心軸AXと鉛直軸とのなす角度との差分で求められる。FPD25の振れ角θについても、X線管24・FPD25を結ぶ線と鉛直軸とのなす角度と、歳差中心軸AXと鉛直軸とのなす角度との差分で求められる。なお、本実施例2では、歳差中心軸AXは載置面P(図3を参照)に対して常に直交し、実施例1のような中心軸傾斜設定の機能を有さないものとする。
具体的な振れ角θの値については、特に限定されない。従来の場合には、15°以下と浅い振れ角θで固定されていたが、歳差運動の駆動力が多少大きくなっても、あるいは歳差運動の周期が多少長くなっても問題がなければ、15°を超えた角度(例えば30°や45°)に術者は振れ角θを自由に設定することができる。もちろん、15°以下の範囲であっても、術者は振れ角θを自由に設定することができる。
振れ角設定部43の具体的な構成については、実施例1の中心軸傾斜設定部42(図4を参照)とほぼ同様の構成であるので、図示を省略する。例えば、振れ角θを正方向に1°刻みで加算するプラスボタンと、振れ角θを負方向に1°刻みで減算するマイナスボタンとを有し、術者は、振れ角表示器に表示された現在の振れ角θを見ながら、プラスボタンあるいはマイナスボタンを押して、所望の角度に振れ角θを設定する。なお、振れ角θを設定する場合には、図6のような長手方向傾斜選択ボタン42cや短手方向傾斜選択ボタン42dは不要である。
実施例1の中心軸傾斜設定部42と同様に、振れ角設定部43についてもプラスボタンやマイナスボタンを有する実施態様に限定されない。例えば、任意に設定する振れ角θを振れ角表示器に直接的に入力するように振れ角設定部43を構成してもよい。また、操作部41(図1,図2および図7を参照)に振れ角設定の機能を有し、可動式天板11(図1を参照)に操作部41が着脱自在に設置されるように構成してもよい。その他、Cアーム23(図1および図2を参照)の面や固定の壁面などに振れ角設定の機能を有した入力部を設置してもよい。
本実施例2に係るX線透視撮影装置Aによれば、振れ角設定部43を備える。保持部(各実施例ではCアーム23)によりX線管24およびFPD25が歳差運動する際に当該歳差運動の中心軸である歳差中心軸AXからの歳差運動の振れ角θを任意の角度に振れ角設定部43が設定することで、観察し易い振れ角θで透視あるいは撮影を行うことができ、診断能を向上させることができる。
次に、図面を参照してこの発明の実施例3を説明する。
図8は、実施例3に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。上述した実施例1、2と共通する箇所については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
本実施例3では、上述した実施例1の中心軸傾斜設定部42と上述した実施例2の振れ角設定部43とを組み合わせている。すなわち、本実施例3では、図8に示すように、位置制御部4は、操作部41を備えるとともに、中心軸傾斜設定部42と振れ角設定部43とを備えている。中心軸傾斜設定部42は、この発明における中心軸傾斜設定手段に相当し、振れ角設定部43は、この発明における振れ角設定手段に相当する。
中心軸傾斜設定部42は、上述した実施例1の中心軸傾斜設定部42と同じ構成であるので、その説明を省略する。振れ角設定部43も、上述した実施例2の振れ角設定部43と同じ構成であるので、その説明を省略する。このように、本実施例3では、歳差中心軸AX(図3および図4を参照)を載置面P(図3を参照)に対して傾斜設定し、かつ振れ角θ(図4を参照)を任意の角度に設定することができる。
本実施例3に係るX線透視撮影装置Aによれば、中心軸傾斜設定部42および振れ角設定部43を両方備えた場合には、歳差中心軸AXを載置面Pに対して中心軸傾斜設定部42が傾斜設定することで、被検体M(図1を参照)に対して相対的に斜め方向から透視あるいは撮影を行うことができるとともに、振れ角θを任意の角度に振れ角設定部43が設定することで、観察し易い振れ角θで透視あるいは撮影を行うことができ、診断能をより一層向上させることができる。
次に、図面を参照してこの発明の実施例4を説明する。
図9は、実施例4に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。上述した実施例1〜3と共通する箇所については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
本実施例4では、図9に示すように、位置制御部4は、操作部41,中心軸傾斜設定部42および振れ角設定部43を備えるとともに、歳差運動中に歳差中心軸AX(図3および図4を参照)を、被検体M(図1を参照)を載置する載置面P(図3を参照)に対して傾斜変更する中心軸傾斜変更部44を備えている。中心軸傾斜変更部44は、この発明における中心軸傾斜変更手段に相当する。
上述した実施例1、3では、歳差運動前に歳差中心軸AXを載置面Pに対して傾斜変更していたが、本実施例4では、中心軸傾斜変更部44は、歳差運動中でも歳差中心軸AXを載置面Pに対して傾斜変更することが可能である。中心軸傾斜変更部44の具体的な構成については、実施例1の中心軸傾斜設定部42(図4を参照)とほぼ同様の構成であるので、図示を省略する。
本実施例4に係るX線透視撮影装置Aによれば、歳差運動中に歳差中心軸AXを、被検体Mを載置する載置面Pに対して傾斜変更する中心軸傾斜変更部44を備えている。歳差運動中において現在の歳差中心軸AXでは観察するのが難しいと判明した場合には、観察し易い歳差中心軸AXに中心軸傾斜変更部44が歳差運動中に傾斜変更することで、歳差運動中でも診断能を向上させることができる。
次に、図面を参照してこの発明の実施例5を説明する。
図10は、実施例5に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。上述した実施例1〜4と共通する箇所については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
本実施例5では、図10に示すように、位置制御部4は、操作部41,中心軸傾斜設定部42および振れ角設定部43を備えるとともに、歳差運動中に歳差中心軸AX(図3および図4を参照)からの歳差運動の振れ角θ(図4を参照)を変更する振れ角変更部45を備えている。振れ角変更部45は、この発明における振れ角変更手段に相当する。
上述した実施例2、3では、歳差運動前に振れ角θを変更していたが、本実施例5では、振れ角変更部45は、歳差運動中でも振れ角θを変更することが可能である。振れ角変更部45の具体的な構成については、実施例1の中心軸傾斜設定部42(図4を参照)とほぼ同様の構成であるので、図示を省略する。
本実施例5に係るX線透視撮影装置Aによれば、歳差運動中に歳差中心軸AXからの歳差運動の振れ角θを変更する振れ角変更部45を備えている。歳差運動中において現在の振れ角θでは観察するのが難しいと判明した場合には、観察し易い振れ角θに振れ角変更部45が歳差運動中に変更することで、歳差運動中でも診断能を向上させることができる。
次に、図面を参照してこの発明の実施例6を説明する。
図11は、実施例6に係るX線透視撮影装置システムのブロック図である。上述した実施例1〜5と共通する箇所については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
本実施例6では、上述した実施例4の中心軸傾斜変更部44と上述した実施例5の振れ角変更部45とを組み合わせている。すなわち、本実施例6では、図11に示すように、位置制御部4は、操作部41,中心軸傾斜設定部42および振れ角設定部43を備えるとともに、中心軸傾斜変更部44と振れ角変更部45とを備えている。中心軸傾斜変更部44は、この発明における中心軸傾斜変更手段に相当し、振れ角変更部45は、この発明における振れ角変更手段に相当する。
中心軸傾斜変更部44は、上述した実施例4の中心軸傾斜変更部44と同じ構成であるので、その説明を省略する。振れ角変更部45も、上述した実施例5の振れ角変更部45と同じ構成であるので、その説明を省略する。このように、本実施例6では、歳差運動中でも歳差中心軸AX(図3および図4を参照)を載置面P(図3を参照)に対して傾斜変更し、かつ歳差運動中でも振れ角θ(図4を参照)を変更することができる。
本実施例6に係るX線透視撮影装置Aによれば、歳差運動中に歳差中心軸AXを、被検体M(図1を参照)を載置する載置面Pに対して傾斜変更する中心軸傾斜変更部44と、歳差運動中に歳差中心軸AXからの歳差運動の振れ角θを変更する振れ角変更部45とを備えている。歳差運動中において現在の歳差中心軸AXおよび現在の振れ角θでは観察するのが難しいと判明した場合には、観察し易い歳差中心軸AXに中心軸傾斜変更部44が歳差運動中に傾斜変更するとともに、観察し易い振れ角θに振れ角変更部45が歳差運動中に変更することで、歳差運動中でも診断能をより一層向上させることができる。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した各実施例では、図1に示すようにCアームを備えたX線透視撮影装置を例に採って説明したが、保持手段(保持部)がX線源(X線管)とX線検出器とを保持する構成であれば、Cアーム以外の保持手段(保持部)であってもよい。
(2)上述した各実施例では、天井から吊り掛けられたX線透視撮影装置を例に採って説明したが、X線透視撮影装置であれば、例えば床面に据え付けられたX線透視撮影装置であってもよい。
(3)上述した各実施例では、X線検出器として、フラットパネル型X線検出器(FPD)を例に採って説明したが、イメージインテンシファイア(I.I)などに例示されるように、通常において用いられるX線を検出するX線検出器であれば、特に限定されない。
(4)上述した各実施例では、横臥した状態で被検体を載置して歳差運動を行いながら透視あるいは撮影を行うものであったが、可動式天板を傾斜させて、起立姿勢・傾斜姿勢のいずれかで載置して歳差運動を行いながら透視あるいは撮影を行う場合にも適用することができる。また、可動式天板1を透視あるいは撮影中に傾斜させつつ歳差運動を行いながら透視あるいは撮影を行う場合にも適用することができる。
(5)上述した実施例4〜6では、上述した実施例3のように中心軸傾斜設定部42および振れ角設定部43を両方備えていたが、上述した実施例1のように中心軸傾斜設定部42のみを備えた場合、あるいは上述した実施例2のように振れ角設定部43のみを備えた場合にも適用することができる。
(6)上述した実施例2、3、5および6では、振れ角θ(図4を参照)については制限を設けなかったが、図12に示すような振れ角制限部46を設けてもよい。位置制御部4は、操作部41などの他に、振れ角θを所定の角度(例えば45°)以下に制限する振れ角制限部46を備えている。振れ角は180°未満であれば、歳差運動を行うことができるが、歳差運動の軌道は制限なく大きくなり、上述したように歳差運動の駆動力を大きくする必要があり、歳差運動の周期も長くなる。そこで、撮影態様に応じて、歳差運動の軌道や駆動力や周期を予め設定して、それらに応じて振れ角θに関して限界となる所定の角度を予め決定する。振れ角制限部46は中央演算処理装置(CPU)や比較器などで構成されており、振れ角θに関して予め決定された所定の角度と術者が設定した角度とを比較器が比較して、術者が設定した角度が所定の角度を超えた場合には所定の角度以下にCPUが制限する。振れ角θを所定の角度以下に振れ角制限部46が制限することで、歳差運動の軌道が制限なく大きくなることなどを防止することができる。振れ角制限部46は、この発明における振れ角制限手段に相当する。
(7)上述した実施例2、3、5および6では、歳差運動前に設定された振れ角θ(図4を参照)あるいは歳差運動中に変更された振れ角θに関係なく回転速度は一定であったが、振れ角θに応じて回転速度を可変にしてもよい。例えば、振れ角θが大きく設定・変更されたら、振れ角θが大きく設定・変更されることに伴って歳差運動の駆動力が大きくなるので、それを防止すべく歳差運動の駆動力を一定にするために回転速度を遅くしてもよい。逆に、振れ角θが大きく設定・変更されたら、振れ角θが大きく設定・変更されることに伴って歳差運動の周期が長くなるので、それを防止すべく歳差運動の周期を一定にするために回転速度を速くしてもよい。
A … X線透視撮影装置
23 … Cアーム
24 … X線管
25 … フラットパネル型X線検出器(FPD)
42 … 中心軸傾斜設定部
43 … 振れ角設定部
44 … 中心軸傾斜変更部
45 … 振れ角変更部
46 … 振れ角制限部
AX … 歳差中心軸
P … 載置面
θ … 振れ角
M … 被検体

Claims (4)

  1. 被検体の透視あるいは撮影を行うX線透視撮影装置であって、
    X線源およびX線検出器を保持する保持手段と、
    前記保持手段により前記X線源および前記X線検出器が歳差運動する際に当該歳差運動の中心軸である歳差中心軸を、被検体を載置する載置面に対して傾斜設定する中心軸傾斜設定手段と、
    前記歳差運動中に前記歳差中心軸を、被検体を載置する載置面に対して傾斜変更する中心軸傾斜変更手段と
    を備えることを特徴とするX線透視撮影装置。
  2. 請求項1に記載のX線透視撮影装置において、
    前記保持手段により前記X線源および前記X線検出器が歳差運動する際に当該歳差運動
    の中心軸である歳差中心軸からの歳差運動の振れ角を任意の角度に設定する振れ角設定手
    段を備えることを特徴とするX線透視撮影装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のX線透視撮影装置において、
    前記歳差運動中に前記歳差中心軸からの歳差運動の振れ角を変更する振れ角変更手段を
    備える
    ことを特徴とするX線透視撮影装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載のX線透視撮影装置において、
    前記振れ角を所定の角度以下に制限する振れ角制限手段を備える
    ことを特徴とするX線透視撮影装置。
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