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JP6136531B2 - 布状ヒーター - Google Patents

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Description

本発明は、布状ヒーターに関する。より詳細には、例えば、通気性が求められる布製品等に直接適用することができ、かつ、速暖性に優れる布状ヒーターに関する。
特許文献1には、通電した際に熱を発生する導電体を布帛裏面に組み込んだ布状ヒーターが開示されている。この製品は、ウレタンパッドを一体成形させる上で好適な構造となっている。この構造において、発熱体は、表皮材の裏面に接着布により溶着されて配置されている。
特開2012−35671号公報
特許文献1に記載の布状ヒーターにおいては、発熱機能を持たない外側の表皮材及び接着布が、加熱手段からの熱を遮る断熱層となってしまう。そのため、表皮材の表面側で所望の温度を得るためには、断熱成分を考慮した上で加温する必要がある。すなわち、ヒーターとしてのエネルギー効率が損なわれ、十分な速暖性を確保し難い。
本発明は、上記のような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、表皮材としての機能を有すると共に、エネルギー効率及び速暖性に優れる布状ヒーターを提供することにある。
本発明の態様に係る布状ヒーターは、導電性の芯部と当該芯部を覆う非導電性の鞘部とを含む芯鞘型導電繊維を有する布帛と、芯部に電圧を印加する電圧印加手段と、を備える。さらに、布帛の、露出部分に対して直交する縦糸又は横糸に付加される張力が、当該露出部分の軸方向に連続する鞘部に対して直交する縦糸又は横糸に付加される張力よりも高い。
本発明の布状ヒーターによれば、芯鞘型導電繊維を有する布帛に電圧を印加し、布帛そのものを発熱させる構成とした。そのため、上記布帛そのものをヒーターとして直接使用することができ、熱伝導の抵抗を最小限に抑えることができる。その結果、ヒーターとして優れたエネルギー効率及び速暖性を発揮することができる。
本発明の一実施形態に係る布状ヒーターの概略図である。 図2(a)は、図1に示す布帛に用いられる芯鞘型導電繊維の断面を示す斜視図である。図2(b)は、図1に示す布帛に用いられる芯鞘型導電繊維における露出部分と非露出部分を拡大して示す斜視図である。 図2に示す芯鞘型導電繊維の製造工程を示す模式図である。 図1に示す布状ヒーターを適用した車両用シートの例を示す斜視図である。 比較例のシートヒーターを示す模式図である。
以下、本発明の一実施形態に係る布状ヒーターについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明の都合上、以下の実施形態で引用する図面の寸法比率は誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1に示すとおり、本形態の布状ヒーター1は、布帛2と、電圧印加手段3と、接続手段4と、を備えて構成される。そして、接続手段4及び露出部分5を介し、布帛2と電圧印加手段3とを電気的に接続することができる。このように通電されることにより、布帛2そのものが発熱する。本形態の布状ヒーター1は、このような構成から、繊維材料としての特性を発揮すると共に、ヒーターとしての機能を発揮することができる。
本形態の布状ヒーター1を構成する布帛2は、芯鞘型導電繊維10(以下、単に「導電繊維10」ともいう。)を有する。導電繊維10は柔軟性等の繊維としての特性を発揮するため、上述のとおり布状ヒーター1の繊維材料としての特性が確保される。具体的には、導電繊維10を用いることにより、しなやかさや柔らかさを損なうことなく、導通機能ないし発熱機能が付与された布帛2を形成することができる。なお、通常数mm程度の太さを持つ金属導体では用いることができないような狭く細い空間での回路形成やごく薄いスペースでの回路形成も兼ねる機能を付与することができる。
図2(a)に示すとおり、導電繊維10は、柱状形状であり、導電性を有する芯部11と、芯部11の長手方向側面を覆い、非導電性を有する鞘部12とを含むものである。本形態において、導電繊維10は導線として機能するために、導電繊維内部の一端から他端まで、少なくとも芯部11が連続的に存在している必要がある。そして、外部との絶縁性を確保するため、芯部11は非導電性を有する鞘部12に被覆される。ただし、布状ヒーターとして表皮材等に適用する際に適切な絶縁性が確保される限り、導電繊維10の一部において芯部11が露出していてもよい。
図2(b)に示すように、導電繊維10の一部において鞘部12を剥離等させることで、芯部11を露出させ、露出部分5を形成することができる。露出部分5の形成手法としては、物理的な剥離に限られない。例えば、化学薬品で鞘部12を溶出させて形成することもできる。なお、芯鞘型の構造は、芯部11から鞘部12を剥離等させやすく、容易に露出部分5を形成することができるという観点からも好ましいといえる。また、図1の例に示すように、露出部分5を少なくとも一対形成し、これらが接続手段4と電気的に接触し、さらに電圧印加手段3により通電される構成とすることが好ましい。この場合、露出部分5と接続手段4とを電気的に接続する際の抵抗を低減することができる。一方、露出部分5の軸方向に連続する鞘部(非露出部分6)においては、芯部11が露出されていないため、絶縁性が確保される。そのため、本形態の布状ヒーター1を表皮材等の布製品として直接適用することができる。
図1の例では、導電繊維10の両端を剥離して一対の露出部分5を形成し、それらを接続手段で繋ぎ、電圧印加手段と接続しているが、この構成に限定されない。すなわち、必要に応じて、繊維の両端に限らず、途中に剥離部を設け接続手段を設置することもできる。任意の位置に露出部分を形成することで、布帛2の温度分布を制御することができる。また、布帛2中の任意の位置にヒーター以外の回路を形成することもできる。
本形態において、電圧印加手段3は、露出部分5に電圧を印加することができるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、通常用いられる直流安定化電源や市販の乾電池など、種々公知の電圧印加手段を採用することができる。なお、温度分布を持たせるべく任意の部位を発熱させる際は、一般に用いられるスイッチング素子やリレー等を単独又は組み合せて使用し、制御することができる。これらは布状ヒーター1と電気的に接続される。
なお、図1では、導電繊維10が布帛2の横糸として用いられ、縦糸にはポリエステル等の導電性を持たない高分子繊維が用いられる構成を示しているが、この例に限定されない。すなわち、導電繊維が縦糸及び横糸の少なくとも一方において、1本以上使用されていればよい。
布帛2の構成については、導電繊維10を1本ずつ使用する態様に限定されない。つまり、導電繊維10を数十本から数千本の束(バンドル状)にして、布帛の形成に用いることができる。このようにすることで、繊維としての取り扱いが容易になる。また、バンドル状にする際、撚りをかけることもできる。すなわち、これらの繊維及び/又はバンドル状の繊維を用いて布帛2を形成することができる。
布帛2を形成する際の織編物の具体的態様としては、例えば、平織、朱子織、綾織、蜂の巣織などの織物、シングルトリコット、ダブルトリコットなどの経編、丸編などを用いることができる。これらの中でも、特に繊維が横方向又は縦方向に織られているメッシュ織物が好ましい。特に好ましくは平織である。これらのような態様とすることで、布状ヒーターとして発熱体と電圧印加手段とを接続する際に好適な組織とすることができる。
なお、本明細書における「繊維」は、溶融紡糸や湿式紡糸、エレクトロスピニング等の方法で紡糸された繊維の他、フィルム切り出し等、スリットしたものをいう。これらの繊維の径や幅は、特に限定する趣旨ではないが、1本あたり概ね数μmから数百μm程度のものが、織物、編物を形成する上で好ましい。すなわち、本形態における導電繊維10の直径は0.5μm〜600μm程度のものが好ましく、10μm〜300μm程度のものがより好ましく、20μm〜100μm程度のものが特に好ましい。このようなサイズの導電繊維10は、織り・編み易さ、織った後の織り布・編んだ後の編物の柔らかさ又は生地としての扱い易さ等の観点から好ましい。
導電繊維10の形状としては、図2に示す構成に限定されず、上述したように絶縁性が確保されていればよいため、種々の態様を採用しうる。例えば、導電繊維10の断面形状として、海島(多芯)型を採用することができ、これも本明細書における「芯鞘型」に包含される。また、芯部11全体としての導電性及び導電繊維10全体としての絶縁性が確保できる限り、断面が円形ではない変形断面形状、中空構造などを取ることもできる。これらは繊維の機能化の手段として、繊維自体が自然によじれた形状にして風合いを変える場合や、繊維表面積を大きくして軽量化・断熱性を狙う場合などに用いることができる。このように、本明細書における「柱状形状」とは、円柱形状に限られず、断面が星型、三角形、四角形、Y型などの場合も柱状形状に包含されるものである。
本形態において、芯部11の長手方向に直交する断面の合計面積は、0.8〜250000μmとなるように設定されている。つまり、図2に示す単純な芯鞘型構造の場合には、1本の芯部11の断面積が上記範囲内にあり、図示しない海島型の場合には、複数の芯部11における断面積の合計値が上記範囲内にある。芯部11の合計断面積を0.8μm以上とすることにより、容易に鞘部を剥離して導通させることができる。逆に芯部の合計断面積が0.8μm未満では芯部が細くなりすぎてしまい、十分な強度及び発熱効率を確保できない。また、芯部11の合計断面積を250000μm以下とすることにより、芯部11の表面積を十分確保することができる。その結果、露出した芯部と電極との接触面積が増大するため、露出部分5ないし接続手段4における擬似的な抵抗値が増加することを防止できる。なお、上記合計面積は、電子顕微鏡による観察等によって得られた情報をもとに算出することができる。
なお、芯部の合計断面積は、50〜150000μmとすることがより好ましい。この範囲内であれば、導電繊維の強度をより高めつつ、発熱効率をより向上させることができる。
本実施形態において、導電繊維10の強度と発熱性能のバランスを考慮すると、導電繊維10の長手方向に直交する断面における芯部11と鞘部12との面積比は1:1〜5:1であることが好ましい。ここでいう芯部と鞘部の断面積比とは、芯部の本数にかかわらず、芯部の全ての断面積と鞘部の断面積との比という。
導電繊維10における芯部11と鞘部12との断面積比が1:1である場合には、鞘部の断面積が過剰に大きくなることを抑制できるため、安定的に鞘部を剥離できると共に、十分な強度を確保できる。さらに、鞘部の断熱層としての作用を抑制することができる。また、芯部11と鞘部12との断面積比が5:1である場合には、鞘部が薄くなっても十分な絶縁抵抗を確保できる。さらに、後述する導電繊維の紡糸工程で、芯部に対する鞘部前駆体溶液の塗布を容易にすることができる。
芯部11の形成においては、種々の導電成分を使用することができる。その際に選択される材料としては、単一の素材から構成されることもでき、複数の素材から構成されることもできる。導電性の材料の具体例としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラファイト等の炭素系材料や、金、銀、銅、錫、ニッケル、アルミニウムなどの導電性を有する金属粒子が挙げられる。また、酸化錫、酸化亜鉛、ITO、ATO等の半導体の微粉末や、酸化チタンなどのセラミック微粉末に金属やITO、ATO等の半導体をコーティングしたものが挙げられる。さらに、アセチレン系、複素5員環系、フェニレン系、アニリン系等の導電性高分子等も挙げることができる。
上記した導電成分を合成繊維の中に混練し、紡糸したものを芯部たる導電性繊維として使用することもできる。この場合、導電繊維10にしなやかさや柔らかさを付与する観点から好ましい。同様の観点から、上記した導電性高分子のみで繊維を構成し、芯体とすることもまた好ましい。
なお、炭素系材料の例としては、一般に市販されているトレカ(東レ株式会社製)、ドナカーボ(大阪ガスケミカル株式会社製)等のカーボンからなる繊維体を用いることができる。その他、炭素繊維や炭素粉末等を混入し、紡糸した繊維等を用いることもできる。
また、他の導電成分として、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラックなどの炭素系粉末や、炭素系繊維や、鉄、アルミニウムなどの金属微粒子が挙げられる。また、酸化錫(SnO)や酸化亜鉛(ZnO)などの酸化物半導体微粒子が挙げられる。これらの材料を単独で用いて構成されるものや、蒸着ないし塗布等により他材料の表面に被覆したものや、芯材として使用し外表面を他材料で被覆したもの等を用いることができる。上記した中でも、市場での入手の容易性や比重等の点から炭素繊維又は炭素粉末を用いることが望ましい。
導電性高分子としては、特に導電性高分子のポリピロール、チオフェン系導電性高分子のポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)にポリ4−スチレンサルフォネート(PSS)をドープしたもの(PEDTOT/PSS)、ポリアニリン及びポリパラフェニレンビニレン(PPV)の少なくともいずれか1つを含む導電性高分子とすることが好ましい。さらにこれらの中でも、繊維として得やすい材料としては、PEDOT/PSS(H.C.スタルク株式会社製:Clevios(登録商標) P)や、PPV、ポリピロール等を挙げることができる。
上記した導電成分は、湿式紡糸やエレクトロスピニング等の方法で、容易に繊維化することが可能である。例えば、導電性高分子の中でも、チオフェン系、ピロール系、アニリン系については、湿式紡糸によって効率よく製造することができる。例えば、PEDOT/PSSの水分散液をアセトン中にシリンダーから押し出すことで、容易に導電性高分子繊維を得ることができる。
上記した中でも、特に導電性高分子繊維を有する芯部11とすることが好ましい。ここでいう導電性高分子繊維は、上記した導電性の素材の内、特に金属繊維を除いたものをいう。金属は特に抵抗率が低い導体であるため、発熱体を効率的に発熱させるためには、極めて細い繊維であることが望ましい。ただし、細い金属繊維を用いると、ごく細い線での発熱となり、その金属繊維の周りの鞘部12や空気による断熱の影響が無視できなくなる傾向がある。そのため、ヒーターとしての性能を確保し、強度を確保する観点から、上記のように金属繊維を除く導電性高分子繊維を用いることが好ましい。なお、金属繊維の径を大きくしても、金属繊維の柔らかさがネックになり、導電繊維10として金属繊維のみを適用した場合では布の圧縮方向の力を支え難い。この場合、他の非導電性の繊維を混ぜることが推奨され、結局、無視できない断熱層が形成されるため、発熱効率が落ちることになる。
なお、上記した導電成分を、一般的な高分子繊維に分散させたもの若しくは塗布したもの又はそれら自体を繊維化したもの等であって、金属繊維を除くものを導電性高分子繊維と称する。
本形態において、芯部11は、半導体、導電性高分子及びカーボンからなる群より選択される少なくとも一つを含む高分子繊維を有することがより好ましい。このような導電性高分子繊維は特に導電性が高いため、導電繊維10の導線部分としての機能をより向上させることができる。上記において、カーボンの中でもカーボンファイバーを用いることが特に好ましい。
上記した高分子繊維中における上記の導電成分の配合量は特に限定されないが、0.5〜30体積%であることが望ましい。導電成分の配合量が0.5体積%以上の場合にはマトリックス樹脂に対して十分な導電性を付与することができる。導電成分の配合量が30体積%以下の場合には、マトリックス樹脂に導電成分を混入した際に、マトリックス樹脂が溶融した場合の粘度の増加を抑制することができる。その結果、紡糸性の低下を抑制することができ、繊維化が容易となる。
なお、上記したマトリックス樹脂には、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、共重合成分を含むポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリルなどの汎用樹脂を単独又は混合して用いることができる。それらの材料を使用することは、コストや実用性の点から好ましい。
本形態において、より優れた発熱機能を確保する観点から、芯部11の電気抵抗率が、10−3〜10Ω・cmであることが好ましい。織物や編物とした際に、導電繊維10は抵抗体として働くことになる。そのため、芯部11の電気抵抗率を10−3Ω・cm以上とすることで、導電繊維10の過剰な発熱ないし導電繊維10以外の導線の発熱を効果的に防止でき、任意の部位への加温を行う上で好ましい。また、芯部11の電気抵抗率を10Ω・cm以下とすることで、発熱のための通電が効果的に行われるため、十分な発熱性能を確保することができる。さらに、10−2〜10Ω・cm程度とすることで、より効率的に発熱機能を発現することができる。なお、上記電気抵抗率は、JIS K7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に準拠して求めることができる。
このような電気抵抗率を示す導電性高分子繊維としては、ポリピロール、PEDOT/PSS、ポリアニリン及びポリパラフェニレンビニレン(PPV)の少なくともいずれか一つを含む繊維を挙げることができる。それらの中でも、チオフェン系導電性高分子のPEDOT/PSSや、フェニレン系のポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ピロール系のポリピロールの繊維などを使用することが好ましい。これらの材料は、導電性高分子の中でも湿式紡糸やエレクトロスピニングといった方法で容易に繊維化することができる。より具体的には、例えば、チオフェン系、ピロール系、アニリン系の導電性高分子では、湿式紡糸により製造できる。より詳細には、例えば、PEDOT/PSSの水分散液をアセトン中にシリンダーから押し出すことで、容易に導電性高分子繊維を得ることができる。
本形態において、芯部11を被覆する鞘部12は、芯部11を製造した後、連続工程として、芯部11に鞘部成分を塗布することにより製造される。鞘部成分としては、鞘部12に絶縁性を付与するため、種々の絶縁性材料を使用することができる。例えば、導電性高分子ではない樹脂成分を主成分とする材料を用いることができる。
導電性高分子ではない樹脂成分としては、一般的な樹脂素材を用いる。これらの一般的な樹脂素材には、ナイロン6,ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、共重合成分を含むポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリルや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニルなどのポリビニル系樹脂等を単独又は混合して用いることが、コストや実用性の点から好ましい。
本形態において、鞘部12が、非晶性樹脂を含むことが好ましい。非晶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル及びケン化度を適宜調整したポリビニルアルコール並びにこれらの共重合体等が製造性やコストの観点からも好ましい。これらの非晶性の樹脂を鞘部成分に用いることで、芯部11に鞘部成分を塗布する際の不意の剥離を防止することができる。
本形態において、導電繊維10の製造方法としては特に限定されない。例えば、湿式紡糸や電界重合などの方法で得られた芯部11となる繊維の周囲に、鞘部12を構成する材料を設けることにより製造することができる。ここで、芯部11が1本の場合に限らず、多芯(海島)構造の場合でも同様に製造できる。具体的な製造例を以下に示す。
まず、芯部形成用の混合溶液を調製する。芯部11として導電性高分子繊維を用いる場合には、導電性高分子を水又は有機溶剤に溶解した混合溶液を用いる。この混合溶液には、必要に応じてドーパントを添加する。また、芯部11としてマトリックス樹脂に導電体を分散させた高分子繊維を用いる場合には、マトリックス樹脂の材料及び導電体を水又は有機溶剤に分散した混合溶液を用いる。
図3(a)に、芯部11を形成するための湿式紡糸装置の一例を示す。湿式紡糸装置30aにおいて、上記混合溶液を湿式紡糸用口金31から押し出し、押し出された芯部の前駆体32を、アセトンなどの溶媒が入った固化浴33に通過させる。前駆体32は、固化浴33を通過した後、繊維送り器34aを経て、乾燥装置36で乾燥させた後、繊維巻取り器35aで巻き取られる。このようにして、芯部11を作成することができる。
次に、上述のようにして得られた芯部11の周囲に鞘部12を形成する工程を説明する。まず、鞘部12を構成する樹脂素材を水又は有機溶剤に溶解して、鞘部用の混合溶液を調製する。鞘部用混合溶液中の濃度は組成、重合度、溶媒によって異なるが、10〜50wt%の範囲であることが好ましい。混合溶液の塗布時の液温は、混合溶液が分解しない範囲であり、また芯部11に塗布可能な温度であることが好ましく、具体的には0〜80℃程度とすることが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、混合溶液には上記原材料以外にも、目的に応じて、難燃剤、酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色剤、油剤、特殊機能剤などの添加剤などが含まれていてもよい。さらに、これらは一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
次に、芯部11の周囲に鞘部用混合溶液を塗布する。混合溶液の塗布方法は、芯部の周囲に略均一に塗布できるのであれば、特に限定されない。例えば、図3(b)のような塗布装置30bを用いて、鞘部用混合溶液を塗布することが可能である。
まず、コーティング槽37で、上記鞘部用混合溶液を塗布可能な温度に温めておく。そして、コーティング槽37の中央部に芯部11を通す。繊維送り器34bから送り出された芯部11は、コーティング槽37を通過することで鞘部12に被覆され、繊維巻取り器35bで巻き取られる。このような簡易な方法により、芯鞘型導電繊維を得ることができる。なお、コーティング槽37と繊維巻取り器35bとの間に、乾燥工程を設けることもできる。
以上に示した工程において、例えば、乾燥工程の時間・温度を調整することで表面に残る樹脂量を調節することが可能である。そのため、さまざまな乾燥条件により、異なる断面形状のものを得ることもできる。また、別の手法として、芯鞘型用の吐出口金を用いる場合は、一回の紡糸工程で芯鞘型繊維を作成することもできる。
このように、本実施形態の芯鞘型導電繊維は、特別な工程を必要とせず、通常の繊維製造工程で得られるため、安価に製造することができる。
本形態の布状ヒーター1において、接続手段4が、芯部11よりも高い導電率を有する導通体であることが好ましい。すなわち、布状ヒーター1の発熱量を高めるべく大電流を供給する場合でも、電気抵抗率の低い導通体を接続手段4に用いて露出部分5同士を繋ぐことで、発熱部以外の発熱を減少又は防止することができる。さらに、導電率の高い導通体で接続することで、剥離部の導通と強度確保を両立させることができる。なお、導電率は、後述の抵抗率の測定方法により得られた値の逆数として算出、測定することができる。その他、交流二電極法によって測定することもできる。
上記導通体の形状としては、1箇所以上の露出部分5と電気的に接続されて固定されるものであれば特に制限されない。例えば、芯部11に圧着され、かつ、芯部11よりも高い導電率を有する導通体である接続手段4を採用することができる。この場合、他の成分を介することなく物理的に露出部分5と接続手段4とが接着するため、これらの間の電気抵抗を低減できる観点から好ましい。
また、芯部11に縫いとめられ、かつ、芯部11よりも高い導電率を有する繊維である接続手段4を採用することもできる。繊維形状の導通体を本形態における接続手段4とすれば、布帛2において十分な通気性を確保できるため好ましい。もっとも、通気性を確保する目的のみから繊維形状に限定する趣旨ではない。例えば、図1に示すように導電繊維10の両端に露出部分5及び接続手段4を設ける構成であれば、布帛2が占める面積の大部分において十分な通気性を確保することができる。なお、導通体として繊維状のものを用いる場合は、これを露出部分5に縫いとめることもできる。このようにすれば、布状ヒーターとして、部分的な硬さの違いによる違和感を解消することができる。同様の観点から、繊維状の導通体としては、布状ヒーターを形成する繊維とほぼ同じ断面積を有する金属線や導電性の繊維を採用することができる。より具体的には、例えば、ニッケル等の金属を撚った撚線等を用いることができる。
また、芯部11を挟み込み、かつ、芯部11よりも高い導電率を有する一対の導通体である接続手段4を採用することができる。例えば、銅板やアルミ板等の金属板を用いて露出部分5を挟み込むことで、露出部分5と導通体との接続を確実にし、余計な発熱を防ぐ効果が得られる。挟み込む際の態様としては特に限定されない。例えば、市販のステープラーを用い、任意の位置で一対の導通体を固定することができる。
また、芯部11に対して接着材を介して接着され、かつ、芯部11よりも高い導電率を有する導通体である接続手段4を採用することができる。この場合、接着材により露出部分5と導通体との接着がより強固なものとなる。具体的には、接着面において導通性のある銅テープ、アルミテープ、ステンレステープ等を用いることができる。
さらに、この接着材が芯部11よりも高い導電率を有するものであることが好ましい。このような接着材を用いることで、露出部分5と上記導通体との間の電気抵抗を低減することができる。例えば、導電塗料で接続することができる。導電塗料としては特に限定されないが、例えば藤倉化成株式会社製のドータイト等を挙げることができる。
また、布帛2において、露出部分5に対して直交する縦糸又は横糸に付加される張力が、露出部分5の軸方向に連続する鞘部に対して直交する縦糸又は横糸に付加される張力よりも高いことが好ましい。露出部分5と交差する縦糸又は横糸の張力が、非露出部分6と交差する縦糸又は横糸の張力よりも高く設定される場合、布帛2全体としてみたときの張力は一定でなくなり、強弱がつけられる。露出部分5は鞘部12で被覆されておらず、繊維として細くなっているため、この部分が布帛2に皺を与える原因となりうる。一方、平織物等の製造を想定したとき、あらかじめ露出部分5と交差する糸の張力を高く設定しておくことで、布帛2に皺が発生することを防止できる。したがって、布帛2の布としての強度を十分に確保することができる。
本形態においては、導電繊維10を布帛2の横糸又は縦糸のみに用いることもできる。導電繊維10が一方向に通っていれば布帛2への通電が確保できるため、特に横糸、縦糸の区別ができる織物では、横糸又は縦糸のみに導電繊維10を使用する場合でも発熱体としての機能は確保される。導電繊維10を使用しない糸としては、通電・発熱機能以外の種々の性能を有する繊維を代替的に使用することができため、布状ヒーター1の機能性の自由度を高める点から好ましい。なお、図1に例示するように、縦糸に導電繊維10を適用した場合は、接続手段4も上下に一対形成する構成とすることができる。このような構成とすることで、導電繊維10の使用量を減らすことができ、布帛作成速度の向上やコストの低減に寄与することができる。
本形態の布状ヒーター1は、車両に用いられる布状ヒーターと置換することで、乗員を暖めるためのエネルギー効率を向上させることができる。そして、暖まるまでの時間を大幅に短縮することができる。一例として、車両用シート40のシートクッション41の座面に本形態の布状ヒーター1を設置した例を図4に示す。布状ヒーター1の露出部分5ないし接続手段4に対応する部分については図示しないが、シートクッション41の裏側へ設置することができる。また、シートクッション41に形成される溝状部に引き込むことにより固定することもできる。もちろん、布状ヒーター1の組付箇所は特に限定されない。例えば、車両用シートのシートクッション41の他にも、シートバック42の表側、裏側等に適用することができる。
上記した車両への適用の他、本形態の布状ヒーター1は、電気毛布として用いることができる。また、病院や介護施設等で、ベッドの発熱機能を有するシーツ等として用いることもできる。これらの適用例においては、繊維自体が発熱するという布状ヒーター1の特性から、通気性を保持できるのみならず、金属配線による布地の違和感を与えることがないため好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、本実施例に係る布状ヒーターの布帛の形成に用いられる導電性高分子繊維を、次に示す湿式紡糸法で作成した。湿式紡糸法において、溶媒相にアセトン(和光化学株式会社製)を用いた。そして、一度濾過した導電性高分子PEDOT/PSSの水分散液(H.C.スタルク株式会社製:Clevios(登録商標) P)とポリビニルアルコール(PVA)(関東化学株式会社製)の7wt%水溶液とを混合し、紡糸原液とした。この紡糸原液を2μL/min.の速度でマイクロシリンジから溶媒相に押し出すことで、直径約10μmの導電性高分子繊維を得た。なお、マイクロシリンジとしては、針部の内径が260μmの、伊藤製作所製MS−GLL100を使用した。
得られた導電性高分子繊維の導電率をJIS K7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に準拠して測定した。得られた抵抗率(Ω・cm)は、約10−1Ω・cmであった。この導電性高分子繊維を20本束ねてバンドル化した。この導電性高分子繊維を本実施例における芯鞘型導電繊維の芯部とした。
次に本実施例における芯鞘型導電繊維の鞘部成分として、ポリ酢酸ビニル(PVAc)(純正化学株式会社製)をシクロヘキサノン(純正化学株式会社製)に溶解した17wt%溶液を準備した。この溶液を上記芯部に塗布し、断面積比が1:1の芯鞘型導電繊維を得た。なお、芯部の合計面積は100000μm2であった。
この芯鞘型導電繊維を横糸に用い、縦糸にはポリエステル繊維(中央繊維資材株式会社製:グンゼポリーナ)を用いて、平織物を得た。この平織物を40cm角に切り出し、本実施例に係る布状ヒーターの布帛とした。次いで、この布帛を構成する芯鞘型導電繊維の両端部において、それぞれ端から1cmずつの各部分の鞘部を溶出させ、露出部分とした。鞘部の溶出には上記のシクロヘキサノンを使用した。
上記露出部分を左端、右端ごとに接続手段によって電気的に接続した。接続手段としては、銅線(日立電線株式会社製)による縫い止めを採用した。この接続手段を電圧印加手段に電気的に接続し、本実施例の布状ヒーターを得た。なお、電圧印可手段としては、直流安定化電源(株式会社A&D製)を使用した。この布状ヒーターに対して、電圧12Vを印加することにより、発熱体が40℃で発熱することが確認できた。
本実施例の布状ヒーターを、車両用のシートヒーターとして、マイクラC+C(日産自動車株式会社製)のシート表面に設置した。環境実験室内で気温を0℃とし、2時間のソークを行った。乗員着座30秒後、電圧12Vを印加し、表面温度をモニターした。その結果、目標温度とする35℃に3.0分で到達した。
[実施例2]
カーボンブラック(三菱化学株式会社製)を20wt%で分散させたPVA溶液を、ポリエステル繊維(中央繊維資材株式会社製:グンゼポリーナ)に対して、断面積比で50:50になる様にコーティングして、芯鞘型導電繊維を得た。この芯鞘型導電繊維を30本束ねて芯部とした。このようにして得られた芯部は、電気抵抗率が100Ω・cmであり、合計面積が236000μm2であった。ここで得られた芯部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例3]
芯部に用いる導電性の素材として、銀コーティング繊維(紹興運佳紡織品有限公司製:シルバーコートナイロン繊維)を用いた。芯部の抵抗率は0.01Ω・cmであり、合計面積は40000μmであった。この芯部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例4]
酸化亜鉛(ZnO)(純正化学株式会社製)を20wt%でPVAに分散させた塗布溶液をポリエステル繊維(中央繊維資材株式会社製:グンゼポリーナ)に断面積比で50:50になる様にコーティングして、芯鞘型導電繊維を得た。この芯鞘型導電繊維を30本束ねて芯部とした。この芯部の抵抗率は10Ω・cmであり、合計面積は60000μmであった。ここで得られた芯部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例5]
PEDOT/PSSの水分散液をポリエステル繊維(中央繊維資材株式会社製:グンゼポリーナ)に断面積比で50:50になる様にコーティングし、芯部とした。この芯部の抵抗率は1Ω・cmであり、合計面積は60000μmであった。ここで得られた芯部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例6]
芯部に用いる導電性高分子として、ポリピロール5%水溶液(アルドリッチ株式会社製)を採用した。そして、実施例1と同様の湿式紡糸法にて直径約10μmの導電性高分子繊維を得た。この導電性高分子繊維の抵抗率は1Ω・cmであり、合計面積は1600μmであった。この導電性高分子繊維を芯部としたこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例7]
露出部分をアルミ箔で挟み、ステープラー止めすることを接続手段として採用した。このこと以外は実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例8]
露出部分を導電性銅箔粘着テープ(株式会社寺岡製作所製)で接着することを接続手段とした。このこと以外は実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例9]
露出部分を導電性ペースト(藤倉化成株式会社製)で接着することを接続手段とした。このこと以外は実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例10]
40cm角の平織物として布帛を作成する際、実施例1で得た芯鞘型導電繊維を横糸とし、縦糸にはポリエステル繊維(中央繊維資材株式会社製:グンゼポリーナ)を用いた。このとき、各横糸の左右末端部から1cmの各部(露出部分)に直交する縦糸の張力が、各横糸の非露出部分に直交する他の縦糸の張力に対して10%増加するように織り機を設定した。このようにして平織物を得たこと以外は実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例11]
40cm角の平織物として布帛を作成する際、実施例1で得た芯鞘型導電繊維を縦糸とし、横糸にはポリエステル繊維(中央繊維資材株式会社製:グンゼポリーナ)を用いた。このとき、各縦糸の上下末端部から1cmの各部(露出部分)に直交する横糸の張力が、各縦糸の非露出部分に直交する横糸の張力に対して10%増加するように織り機を設定した。このようにして平織物を得たこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例12]
ポリ塩化ビニル(PVC)(純正化学株式会社製)をシクロヘキサノンに溶解した20wt%溶液を芯部に塗布し、断面積比1:1の芯鞘型導電繊維を得た。このこと以外は実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例13]
ポリ塩化ビニル(PVC)(純正化学株式会社製)とポリ酢酸ビニル(PVAc)(純正化学株式会社製)とをシクロヘキサノン(純正化学株式会社製)に溶解した29wt%混合溶液を芯部に塗布し、断面積比1:1の芯鞘型導電繊維を得た。このこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の布状ヒーターを得た。なお、ポリ塩化ビニルとポリ酢酸ビニルの質量比は、43:7とした。
[実施例14]
ポリスチレン(PS)(シグマ―アルドリッチ株式会社製)をシクロヘキサノン(純正化学株式会社製)に溶解した25wt%溶液を芯部に塗布し、断面積比1:1の芯鞘型導電繊維を得た。このこと以外は実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[実施例15]
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(シグマ―アルドリッチ株式会社製)を用い、シクロヘキサノン(純正化学株式会社製)に溶解した25wt%溶液を芯部に塗布し、断面積比1:1の芯鞘型導電繊維を得た。このこと以外は実施例1と同様にして、本実施例の布状ヒーターを得た。
[比較例1]
図5に示すように、厚さ1mmの不織布51に対し、発熱体52として銅線(古河電気工業株式会社製:ポリエステル線)を縫い付けて固定した。そして、発熱体52に電圧印加手段53を接続し、本比較例のシートヒーター50を用意した。このシートヒーター50をマイクラC+Cのシート表皮とクッション材との間に設置し、評価に用いた。実施例1と同様の環境で、発熱体52に電圧12Vを印加したところ、シート表面での発熱が確認できたが、同時に導通部の発熱も同様の温度で確認された。目標温度到達時間は9.0分であった。
[評価試験]
(発熱部温度)
以上により得られた各実施例の布状ヒーター及び比較例のシートヒーターを対象として、非着座時における最高到達温度を評価した。温度等の環境条件はいずれの例についても実施例1と同様であり、通電から10分間後の温度を記録した。この結果と着座時の目標温度到達時間の評価結果とを表1に併せて示す。
(繊維の抵抗率測定)
各実施例及び比較例で芯部として得られた導電性繊維等を温度110℃で1時間かけて乾燥した。その後、温度20℃、相対湿度30%の条件下で24時間以上放置して調湿した。この繊維から、線間長さ2cmの単繊維試験片を採取した。そして、この試験片の両端に電圧を印加し、電流値を測定した。その際、0〜10Vの電圧を0.5V刻みで印加し、それにより得られたI−V曲線から、抵抗値(Ω)を算出した。そして、抵抗率(ρ)(Ω・cm)=(R)×(S/L)の関係から、各試験片の抵抗率を求めた。なお、Rは試験片の抵抗値(Ω)、Sは断面積(cm)、Lは長さ(2cm)、をそれぞれ示している。より詳細には、サンプル数を10とし、その平均値を試料の抵抗率として採用した。なお、試験片の断面積は、繊維を電子顕微鏡下で観察することにより算出した。各例について得られた抵抗率の値を表1に併せて示す。なお、上記した電圧の印加は、株式会社エー・アンド・デイ製AD−8735 DC POWER SUPPLYを用いて行った。また、電流値測定機としては、株式会社TFFケースレーインスツルメンツ製2700MULTIMETERを用いた。
各実施例及び比較例における芯部の導電材料、本数、抵抗率及び合計面積並びに鞘部の材料並びに芯部と鞘部との断面積比を表1に示す。なお、芯部及び鞘部の断面積は、繊維を電子顕微鏡下で観察することにより算出した。さらに、各実施例及び比較例における布帛を構成する縦糸又は横糸に付加される張力が一定であるものは「一定」と評価し、一部の糸の張力が強く設定されているものは「強」と評価して表1に併せて示す。その他、各実施例及び比較例における接続手段の固定方法及び導電繊維の設置方向を表1に併せて示す。
Figure 0006136531
表1からわかるように、比較例のシートヒーターと比較して、実施例の布状ヒーターは、いずれも目標温度への到達時間が短く、速暖性に優れていると評価できる。さらに、同じ電圧・環境条件で比較し、実施例の布状ヒーターの最高到達温度が比較例のものより高く、エネルギー効率にも優れていると評価できる。
以上、本発明を実施例及び比較例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。すなわち、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1 布状ヒーター
2 布帛
3 電圧印加手段
4 接続手段
5 露出部分
10 芯鞘型導電繊維
11 芯部
12 鞘部

Claims (10)

  1. 柱状形状であり、導電性を有する芯部と、当該芯部の長手方向側面を覆い、非導電性を有する鞘部とを含む芯鞘型導電繊維を有する布帛と、
    前記芯部の少なくとも1本に電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記芯鞘型導電繊維の少なくとも1本において形成され、前記芯部が露出した露出部分と、前記電圧印加手段とを電気的に接続する接続手段と、
    を備え、
    前記布帛の、前記露出部分に対して直交する縦糸又は横糸に付加される張力が、当該露出部分の軸方向に連続する鞘部に対して直交する縦糸又は横糸に付加される張力よりも高いことを特徴とする布状ヒーター。
  2. 前記接続手段が、前記芯部に圧着され、かつ、当該芯部よりも高い導電率を有する導通体であることを特徴とする請求項1に記載の布状ヒーター。
  3. 前記接続手段が、前記芯部に縫いとめられ、かつ、当該芯部よりも高い導電率を有する繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載の布状ヒーター。
  4. 前記接続手段が、前記芯部を挟み込み、かつ、当該芯部よりも高い導電率を有する一対の導通体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の布状ヒーター。
  5. 前記接続手段が、前記芯部に対して接着材を介して接着され、かつ、当該芯部よりも高い導電率を有する導通体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の布状ヒーター。
  6. 前記接着材が、前記芯部よりも高い導電率を有することを特徴とする請求項5に記載の布状ヒーター。
  7. 前記鞘部が、非晶性樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の布状ヒーター。
  8. 前記芯部が、半導体、導電性高分子及びカーボンからなる群より選択される少なくとも一つを含む導電性高分子繊維を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の布状ヒーター。
  9. 前記芯部の電気抵抗率が、10 −3 〜10 Ω・cmであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の布状ヒーター。
  10. 前記芯鞘型導電繊維が、前記布帛の横糸又は縦糸のみに用いられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の布状ヒーター。
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