JP6130180B2 - ロジンエステル含有はんだ付け用フラックス組成物及びソルダーペースト組成物 - Google Patents
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Description
このようなフラックス組成物には、電気絶縁性、耐湿性、濡れ性、及びはんだ付け性等を付与することを目的として、ロジンやロジン誘導体といったロジン系樹脂を配合することが多い。
(b−1)下記一般式(1)で表されるダイマー酸を還元して得られるダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物、
(b−2)ダイマー酸と、前記一般式(1)の化合物とを脱水エステル化して得られるダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物、又は
(b−3)ダイマー酸と、下記一般式(2)で表されるアルコール化合物とを脱水エステル化して得られるダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物
また前記ロジン誘導体化合物はロジン系カルボキシル基含有樹脂とダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物とを架橋させてなることから、これを用いたフラックス組成物のフラックス残渣のべたつきを抑制することができ、作業性の向上、及びフラックス残渣への異物を付着させにくいという効果を奏する。
本発明のロジン誘導体化合物に用いられるロジン系カルボキシル基含有樹脂としては、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン;水添ロジン、重合ロジン、不均一化ロジン、アクリル酸変性ロジン、マレイン酸変性ロジン等のロジン誘導体等が挙げられ、これら以外にもカルボキシル基を有するロジンであれば使用することができる。またこれらは単独で又は複数を組合せて使用することができる。
本発明のロジン誘導体化合物に用いられるダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物としては、以下の3つが挙げられる。
尚、このようなダイマージオールとしては、例えばPRIPOL2033(クローダジャパン(株)製)を用いることができる。
このようなダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物(b−2)としては、例えばポリエステルポリオールが挙げられる。
尚、前記ロジン系カルボキシル基含有樹脂(A)と前記ダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物(B)とを脱水縮合する際の好ましい重量比率は、それぞれ25:75〜75:25である。
本発明のはんだ付け用フラックス組成物は、活性剤(C)として例えば有機アミンのハロゲン化水素塩等のアミン塩(無機酸塩や有機酸塩)、有機酸、有機酸塩、有機アミン塩を配合することができる。このような活性剤(C)として、具体的にはジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩、酸塩、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。これらは単独で又は複数を組合せて使用することができる。
このような活性剤(C)の配合量は、はんだ付け用フラックス組成物全量に対して5〜15重量%であることが好ましい。
本発明のはんだ付け用フラックス組成物には、有機溶剤(D)として例えばイソプロピルアルコール、エタノール、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、グリコールエーテル等を使用することができる。これらは単独で又は複数を組合せて使用することができる。
このような有機溶剤(D)の配合量は、はんだ付け用フラックス組成物全量に対して20〜40重量%であることが好ましい。
本発明のはんだ付け用フラックス組成物には、ロジン系樹脂(E)として例えばガムロジン、重合ロジン、水添ロジン等を使用することができる。これらは単独で又は複数を組合せて使用することができる。
このようなロジン系樹脂(E)の配合量は、はんだ付け用フラックス組成物全量に対して20重量%以下であることが好ましい。
本発明のはんだ付け用フラックス組成物には、アクリル系樹脂(F)として例えばアクリル系モノマーを重合成分に有するポリマーからなる樹脂を用いることができる。このようなアクリル系モノマーとしては、酸性基を有するアクリル酸、メタアクリル酸、エステル基を有するアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等が挙げられる。またこれ以外に、これらのアクリル系モノマーのみを用いたポリマーからなる樹脂も用いることができる。
このようなアクリル系樹脂(F)の配合量は、はんだ付け用フラックス組成物全量に対して50重量%以下であることが好ましい。
このような酸化防止剤の配合量は特に限定されないが、一般的にははんだ付け用フラックス組成物全量に対して0.5〜5重量%程度である。
このようなチキソ剤の配合量は、はんだ付け用フラックス組成物全量に対して3〜15重量%であることが好ましい。
本発明のソルダーペースト組成物に用いられるはんだ合金粉末としては、例えばSn、Ag、Cu、Bi、Zn、In、Ga、Sb、Au、Pd、Ge、Ni、Cr、Al、P、In等を複数組合せたものが挙げられる。代表的なはんだ合金粉末としては、Sn−Ag−CuやSn−Ag−Cu−Inといった鉛フリーはんだ合金粉末が用いられる。
(合成例1)
撹拌翼、ディーン・スターク装置及び窒素導入管を備えた500mlの4つ口フラスコに水添酸変性ロジン(パインクリスタルKE−604 荒川化学工業(株)製)138.6g(COOH基:0.6mol)、ダイマージオール(PRIPOL2033 クローダジャパン(株)製)85.5g(OH基:0.3mol)を仕込み、これらを窒素雰囲気下150℃で1時間撹拌し、水添酸変性ロジンを溶解させた。
次いで、これらにp−トルエンスルホン酸一水和物5.7g(0.03mol)を加え、これを180℃まで昇温させて脱水反応を行った。脱水が止まるまでこれらを3時間反応させた後に室温まで放冷して、更に酢酸エチル200gを加えて均一の溶液とした。
これを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和させて分液後に濃縮することで、ロジン変性物A 190.5g(酸価:77mgKOH/g、重量平均分子量:2,400)を得た。
合成例1と同様に、水添酸変性ロジン(パインクリスタルKE−604 荒川化学工業(株)製)92.4g(COOH基:0.4mol)、ダイマー酸のアルコール変性物(PRIPLAST1838 クローダジャパン(株)製)200.0g(OH基:0.2mol)を仕込み、ロジン変性物B 248.2g(酸価:39mgKOH/g、重量平均分子量:7,800)を得た。
合成例1と同様に、水添酸変性ロジン(パインクリスタルKE−604 荒川化学工業(株)製)46.2g(COOH基:0.2mol)、ダイマー酸とダイマージオールの縮合物(PRIPLAST3197 クローダジャパン(株)製)200.0g(OH基:0.2mol)を仕込み、ロジン変性物C 228.2g(酸価:<3mgKOH/g、重量平均分子量:17,000)を得た。
撹拌翼、ディーン・スターク装置及び窒素導入管を備えた300mlの4つ口フラスコに、完全水添ロジン(フォーラルAX イーストマンケミカルカンパニー社製)101.4g(COOH基:0.3mol)、ダイマージオール(PRIPOL2033 クローダジャパン(株)製)85.5g(OH基:0.3mol)を仕込み、これらを窒素雰囲気下150℃で1時間撹拌し、水添酸変性ロジンを溶解させた。次いで、これらにジルコニウムアルコキシド(オルガチックスZA−45 マツモトファインケミカル(株)製)3.7g(2重量%)を加え、これを180℃まで昇温させて脱水反応を行った。脱水が止まるまでこれらを15時間反応させた後、室温まで放冷して、ロジン変性物D 181.1g(酸価:<3mgKOH/g、重量平均分子量:1,100)を得た。
合成例4と同様に、水添酸変性ロジン(パインクリスタルKE−604 荒川化学工業(株)製)69.3g(COOH基:0.3mol)、ダイマージオール(PRIPOL2033 クローダジャパン(株)製)85.5g(OH基:0.3mol)を仕込み、ロジン変性物E 149.6g(酸価:<3mgKOH/g、重量平均分子量:5,600)を得た。
合成例4と同様に、水添酸変性ロジン(パインクリスタルKE−604 荒川化学工業(株)製)69.3g(COOH基:0.3 mol)、2−ヘキサデカノール(ファインオキソコール1600 日産化学工業(株)製)72.9g(OH基:0.3mol)を仕込み、ロジン変性物F 149.6g(酸価:<3mgKOH/g、重量平均分子量:600)を得た。
メタクリル酸11重量%と、n−ブチルメタクリレート25重量%と、2−エチルヘキシルアクリレート65重量%とを溶媒中で重合反応させて、重量平均分子量が8,000のアクリル樹脂Aを得た。
表1に記載の組成となるように、本発明に係る各はんだ付け用フラックス組成物を調整した。
更にこの各はんだ付け用フラックス組成物11.0重量%と、Sn−3Ag−0.5Cuはんだ合金粉末とを混合し、本発明に係る各ソルダーペースト組成物を作製した。尚、表1に記載の数値の単位は、特に断り書きがない限り重量%である。
表2に記載の組成となるように、比較例に係る各はんだ付け用フラックス組成物を調整した。
更にこの各はんだ付け用フラックス組成物11.0重量%と、Sn−3Ag−0.5Cuはんだ合金粉末とを混合し、比較例に係る各ソルダーペースト組成物を作製した。尚、表2に記載の数値の単位は、特に断り書きがない限り重量%である。
*2 フォーラルAX イーストマンケミカルカンパニー社製
*3 ロンヂスR 荒川化学工業(株)
*4 エステルガム H 荒川化学工業(株)
*5 PRIPOL1009 クローダジャパン(株)製
*6 PRIPOL2033 クローダジャパン(株)製
*7 スリパックス−ZHH 日本化成(株)製
*8 イルガノックス245 BASFジャパン(株)製
0.65mmピッチのQFP(Quad Flat Package)パターンが存在する基板に、同じパターンを有する厚み150μmのメタルマスクを用いて各ソルダーペースト組成物を印刷した。リフロー炉(製品名:TNP40−577PH、タムラ製作所(株)製)を使用し、印刷後10分以内に、各基板について酸素濃度4,000ppm下において図1に示す温度プロファイルに沿って最高温度240℃でリフローを行った。これを150℃下で200時間放置した後、各基板に−40℃×30分→125℃×30分を1サイクルとして100サイクルの条件で冷熱サイクル負荷をかけた後、各基板のQFPパターンのはんだ付け部における亀裂発生状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
○ QFP接続部の端子間(全96カ所)を連結するクラックの数が10未満
×QFP接続部の端子間(全96カ所)を連結するクラックの数が10以上
耐残渣亀裂性に表す条件と同様の条件において、各基板を240℃リフロー後のフラックス残渣を目視観察し、以下の基準で評価した。
〇 240℃リフロー後の残渣が透明で析出物が無い
△ 240℃リフロー後の残渣に濁りがあるが析出物が無い
× 240℃リフロー後の残渣に油状分の分離があり析出物が観察される
耐残渣亀裂性に表す条件と同様の条件において、各基板を240℃リフロー後に室温まで放冷後、残渣を指触して、その結果に基づき以下の基準で評価した。
〇 貼り付き跡が無い
△ 貼り付き跡が生じる
× 指に樹脂成分が付着する
JIS規格Z3197に定めるソルダーペーストのはんだ付け後のフラックス残渣絶縁抵抗試験に準拠し、その一部を以下の条件に変更して測定した。
メタルマスクの厚さ:150μm
はんだ溶融の温度条件:リフロー炉(製品名:TNP40−577PH、タムラ製作所(株)製)を使用し、図1に示す温度プロファイルで加熱溶融させた。
はんだ溶融の雰囲気:酸素濃度4,000ppm
高温高湿試験環境:85℃95%
× 測定開始後100時間〜500時間の間における抵抗値の少なくともいずれかが1.0×109未満
Claims (5)
- (A)ロジン系カルボキシル基含有樹脂と、
(B)ダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物とを脱水縮合してなるロジン誘導体化合物であって、
前記ダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物(B)が
(b−1)下記一般式(1)で表されるダイマー酸を還元して得られるダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物、
(式中、Dはダイマー酸由来の脂肪族鎖であり、nは1〜3である。)
(b−2)ダイマー酸と、前記一般式(1)の化合物とを脱水エステル化して得られるダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物、又は
(b−3)ダイマー酸と、下記一般式(2)で表されるアルコール化合物とを脱水エステル化して得られるダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物
(式中、Rは炭素数が2〜10のアルキル連結基であり、直鎖又は分岐構造を含む。またn2は1〜10である。)
のいずれかであるロジン誘導体化合物を含むことを特徴とするはんだ付け用フラックス組成物。 - 前記ロジン誘導体化合物の重量平均分子量が1,000〜20,000であることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け用フラックス組成物。
- (C)活性剤及び(D)有機溶剤を更に含み、
前記ロジン誘導体化合物の配合量は、はんだ付け用フラックス組成物全量に対して10〜60重量%であり、
前記活性剤(C)の配合量は、はんだ付け用フラックス組成物全量に対して5〜15重量%であり、
前記有機溶剤(D)の配合量は、はんだ付け用フラックス組成物全量に対して20〜40重量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のはんだ付け用フラックス組成物。 - (E)ロジン系樹脂及び(F)アクリル系樹脂の少なくとも一方を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のはんだ付け用フラックス組成物。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のはんだ付け用フラックス組成物と、はんだ合金粉末とを含有することを特徴とするはんだ付け用ソルダーペースト組成物。
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