JP6119800B2 - 非水電解液二次電池用負極材及びこれを用いた負極並びに非水電解液二次電池 - Google Patents
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Description
この電池の負極材としては種々のものが提案されているが、高容量であること及び放電電位の平坦性に優れていることなどから、天然黒鉛、コークス等の黒鉛化で得られる人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズピッチ、黒鉛化炭素繊維等の黒鉛質の炭素材料が用いられている。
例えば、特許文献1及び2には、球形化された黒鉛と鱗片状の黒鉛粒子が混合された負極材が開示されている。
例えば、特許文献1に記載の負極材では、非晶質炭素で表面が被覆され且つ鱗片状でない黒鉛材料と鱗片状の黒鉛粒子との混合物が開示されているだけで、その混合物を適用しようとすると、レート特性の低下や、負極活物質としての比表面積が上昇してしまい、結果として不可逆容量が大きくなってしまう問題が明らかとなった。つまり、特許文献1の技術では、本発明者らが目標としている低い不可逆容量、かつ高い充放電効率特性を有するまでは至っておらず、更に改良する必要があった。
黒鉛質粒子(A)は、特にX線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、円形度が0.9以上、BET法による比表面積が0.5m 2 /g以上8m 2 /g以下であり、球形化黒鉛質粒子とその表面を被覆する非晶質炭素を含む黒鉛質粒子を選
択し、炭素材(B)は、特にX線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.18以上0.7以下であり、アスペクト比が4以上であって、平均粒径(d50)が2μm以上12μm以下であり、BET法による比表面積が5m2/g以上30m2/g以下である炭素材を選択し、黒鉛質粒子(A)及び炭素材(B)の総量に対する炭素材(B)の質量割合が、0.5質量%以上15質量%以下とする。
黒鉛質粒子(A)及び炭素材(B)を含む非水電解液二次電池用負極材であって、
X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、平均円形度が0.9以上、BET法による比表面積が0.5m 2 /g以上8m 2 /g以下であり、球形化黒鉛質粒子とその表面を被覆する非晶質炭素を含む黒鉛質粒子(A)と、
X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.18以上0.7以下であり、アスペクト比が4以上であって、平均粒径(d50)が2μm以上12μm以下であり、BET法による比表面積が5m2/g以上30m2/g以下である炭素材(B)を少なくとも含有し、
黒鉛質粒子(A)及び炭素材(B)の総量に対する炭素材(B)の質量割合が、0.5質量%以上15質量%以下である非水電解液二次電池用負極材。
本発明で規定する黒鉛質粒子(A)及び炭素材(B)を含有している負極材の本効果が得られるメカニズムは、詳細には明らかとなっていないが、以下のように考えられている。
黒鉛質粒子(A)は、少なくともX線広角回折法による002面の面間隔(d002)
が3.37Å以下、平均円形度が0.9以上の条件を満たすものである。以下に本発明の黒鉛質粒子(A)の代表的な特性を記載する。
(a)002面の面間隔(d002)
黒鉛質粒子(A)のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)は3.37Å以下、好ましくは3.36Å以下であり、またLcは通常900Å以上、好ましくは950Å以上である。X線広角回折法による002面の面間隔(d002)は実施例で後述する方法により測定する。002面の面間隔(d002)が大きすぎると、炭素材料の粒子の表面を除くほとんどの部分の結晶性が低くなり、非晶質炭素材料に見られるような不可逆容量が大きいことによる容量が低下する傾向がある。またLcが小さすぎると、結晶性が低くなる傾向がある。
黒鉛質粒子(A)の平均円形度は、分散媒としてイオン交換水を使用し、界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)モノラウレートを使用した液中に分散させた数千個の粒子を、CCDカメラを用いて1個ずつ撮影し、その平均的な形状パラメータを算出することが可能なフロー式粒子解析計において、10〜40μmの範囲の粒子を対象として、後述する実施例の方法により測定する。平均円形度は、粒子面積相当円の周囲長を分子とし、撮影された粒子投影像の周囲長を分母とした比率で、粒子像が真円に近いほど1に近づき、粒子像が細長い或いはでこぼこしているほど小さい値になる。
は、0.95以上である。また通常、0.99以下である。また、黒鉛質粒子は、球形化黒鉛質粒子であることが好ましい。黒鉛質粒子の平均円形度を0.9以上とすることによ
り、高容量で、急速放電特性を併せ持った炭素材料を得ることができる。特に本発明では、黒鉛質粒子(A)の平均円形度が上記範囲であることにより、上述した単体での効果の他、黒鉛質粒子(A)の周辺に炭素材(B)がより均一に分散し伝導パスが取れるようになり、本発明の効果を発揮できるようになる。
黒鉛質粒子(A)のタップ密度は、通常0.8g/cm3以上であり、0.85cm3以上であることが好ましい。タップ密度は実施例で後述する方法により測定する。
また、タップ密度が小さすぎると、黒鉛質粒子(A)の原料である球形黒鉛質粒子が充分な球形粒子とならない傾向があり、電極内での連続した空隙が充分確保されず、空隙に保持された電解液内のLiイオンの移動性が落ちることで、急速充放電特性が低下してしまう傾向がある。
黒鉛質粒子(A)のアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値は通常0.25以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.35以上、通常0.6以下、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.4以下である。ラマンR値は実施例で後述する方法により測定する。
黒鉛質粒子(A)のBET法による比表面積は通常0.5m2/g以上、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは1.5m2/g以上、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下、より好ましくは5m2/g以下である。BET法による比表面積は後述する実施例の方法により測定する。
(f)平均粒径
黒鉛質粒子(A)の平均粒径(d50)は通常2μm以上、好ましくは4μm以上、より好ましくは6μm以上であり、通常30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。平均粒径は、後述する実施例の方法により測定する。平均粒径が小さすぎると、比表面積が大きくなることによる不可逆容量の増加を防ぐことが困難になる傾向がある。また、大きすぎるとすることにより、電解液と黒鉛質粒子(A)の粒子との接触面積が減ることによる急速充放電性の低下を防ぐことが困難になる傾向がある。
黒鉛質粒子(A)は、上記特性を具備していれば、どのような製法で作製しても問題ないが、例えば、特許第3534391号公報に記載の炭素材を用いることができる。具体的には、黒鉛質粒子は、例えば、鱗片、鱗状、板状および塊状の天然で産出される黒鉛、並びに石油コークス、石炭ピッチコークス、石炭ニードルコークスおよびメソフェーズピッチなどを2500℃以上に加熱して製造した人造黒鉛に、力学的エネルギー処理を与えることで製造することができる。
被覆率が小さすぎると、非晶質炭素の持つLiイオンの高受けいれ性を充分利用することができなくなり、良好な急速充電性が得られにくくなる傾向がある。また被覆率が大き
すぎると、非晶質炭素量の持つ不可逆容量の大きさの影響が大きくなることによる容量の低下を防ぐことが困難になる傾向がある。
炭素材(B)は、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.18以上0.7以下であり、アスペクト比が4以上であって、平均粒径(d50)が2μm以上12μm以下の条件を満たすものである。以下に本発明の炭素材(B)の代表的な特性を記載する。
炭素材(B)のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)は、3.37Å以下、好ましくは3.36Å以下である。またLcは、通常900Å以上、好ましくは950Å以上である。X線広角回折法による002面の面間隔(d002)は実施例で後述する方法により測定する。002面の面間隔(d002)が大きすぎると、炭素材料の粒子の表面を除くほとんどの部分の結晶性が低くなり、非晶質炭素材料に見られるような不可逆容量が大きいことによる容量が低下する傾向がある。またLcが小さすぎると、結晶性が低くなる傾向がある。
炭素材(B)のアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値は、0.18以上、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.25以上であり、通常0.7以下、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下である。
(c)アスペクト比
炭素材(B)のアスペクト比は、4以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。アスペクト比が小さすぎると、不可逆容量が上昇する傾向がある。またアスペクト比が大きすぎると、電極にした際に、バインダー樹脂の吸着能力が低くなる傾向がある。
炭素材(B)の平均粒径(d50)は、2μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、また、12μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下である。平均粒径が小さすぎると、比表面積が小さくなり不可逆容量の増加を防ぎにくくなる傾向がある。また、平均粒径が大きすぎると、電解液と炭素材(B)の粒子との接触面積が減ることによる急速充放電性の低下を防ぎにくくなる。
炭素材(B)のタップ密度は、通常0.6g/cm3以下、好ましくは0.5g/cm3以下、より好ましくは0.4g/cm3以下である。炭素材(B)のタップ密度が大きすぎると、鱗片状黒鉛質粒子が十分な嵩高さを有しにくく、電極にした際にバインダー樹脂(CMC、SBR等)の吸着能力が低く、バインダー樹脂(CMC、SBR等)の無駄食いを防止しにくい傾向がある。
炭素材(B)のBET法による比表面積は、通常30m2/g以下であることが好ましく、27m2/g以下であることがより好ましい。また、5m2/g以上であることが好ましく、7m2/g以上であることがより好ましい。
炭素材(B)の比表面積が大きすぎると、不可逆容量の増大による容量の低下を防ぎにくくなる傾向がある。また、比表面積が小さすぎると、電極にした際にバインダー樹脂(CMC、SBR等)の吸着能力が低くなり、バインダー樹脂(CMC、SBR等)の無駄食いを防ぎにくくなる傾向がある。
炭素材(B)の種類としては、種々の炭素材の中でも鱗片状黒鉛質炭素が好ましい。このような炭素材(B)を混合することで、電極にした際にバインダー樹脂(CMC、SBR等)を炭素材(B)に吸着させ、バインダー樹脂(CMC、SBR等)の無駄食いを防ぎ、より均一に炭素材表面をバインダー樹脂(CMC、SBR等)で覆うことができ、不可逆容量を減少させることができる。
(a)黒鉛質粒子(A)及び炭素材(B)の混合割合
本発明の負極材は、上記の黒鉛質粒子(A)及び炭素材(B)を含む混合炭素材である。本発明の負極材において、黒鉛質粒子(A)及び炭素材(B)の総量に対する炭素材(B)の質量割合は、通常0質量%より大きく、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上であり、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
本発明の負極材は、タップ密度は通常0.8g/cm3以上、好ましくは0.85g/cm3以上である。
混合炭素材のタップ密度が小さすぎると、混合炭素材が充分な球形粒子とならず、電極内で連通した空隙孔が確保されず、空隙内に保持された電解液内もLiイオンのスムース
な移動がなされず、急速充放電性が劣る傾向がある。
本発明の負極材を用いて負極を作製するには、負極材に結着樹脂を配合したものを水性または有機系媒体でスラリーとし、必要によりこれに増粘材を加えて集電体に塗布し、乾燥すればよい。
結着樹脂としては、非水電解液に対して安定で、かつ非水溶性のものを用いるのが好ましい。例えば、スチレン、ブタジエンゴム、イソプレンゴムおよびエチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートおよび芳香族ポリアミド等の合成樹脂;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体やその水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン、スチレン共重合体、スチレン・イソプレンおよびスチレンブロック共重合体並びにその水素化物等の熱可塑性エラストマー;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、およびエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニデンフルオライド、ポリペンタフルオロプロピレンおよびポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素化高分子などを用いることができる。有機系媒体としては、例えば、N−メチルピロリドンおよびジメチルホルムアミドを挙げることができる。
また、負極の容量の減少を防ぎ、かつリチウムイオンの負極材への出入が妨げられるなどの問題を防ぐことができるため、結着樹脂は負極材100重量部に対して10重量部以下とするのが好ましく、7重量部以下とするのがより好ましい。
集電体に負極材と結着樹脂のスラリーを塗布・乾燥した後は、加圧して集電体上に形成された電極の密度を大きくし、もって負極層単位体積当たりの電池容量を大きくするのが好ましい。電極の密度は通常1.2g/cm3以上、好ましくは1.3g/cm3以上であり、通常1.8g/cm3以下、好ましくは1.6g/cm3以下ある。
本発明の非水電解液二次電池、特にリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、本発明の負極材を適用した負極以外の部材として、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び電解質等を備える。
<正極>
正極は、正極活物質及びバインダを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
以下に正極に使用される正極活物質(リチウム遷移金属系化合物)について述べる。
・リチウム遷移金属系化合物
リチウム遷移金属系化合物とは、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有する化合物であり、例えば、硫化物やリン酸塩化合物、リチウム遷移金属複合酸化物などが挙げられる。硫化物としては、TiS2やMoS2などの二次元層状構造をもつ化合物や、一般式MexMo6S8(MeはPb,Ag,Cuをはじめとする各種遷移金属)で表される強固な三次元骨格構造を有するシュブレル化合物などが挙げられる。リン酸塩化合物としては、オリビン構造に属するものが挙げられ、一般的にはLiMePO4(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)で表され、具体的にはLiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4などが挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、三次元的拡散が可能なスピネル構造や、リチウムイオンの二次元的拡散を可能にする層状構造に属するものが挙げられる。スピネル構造を有するものは、一般的にLiMe2O4(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表され、具体的にはLiMn2O4、LiCoMnO4、LiNi0.5Mn1.5O4、LiCoVO4などが挙げられる。層状構造を有するものは、一般的にLiMeO2(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表される。具体的にはLiCoO2、LiNiO2、LiNi1−xCoxO2、LiNi1−x−yCoxMnyO2、LiNi0.5Mn0.5O2、Li1.2Cr0.4Mn0.4O2、Li1.2Cr0.4Ti0.4O2、LiMnO2などが挙げられる。
また、リチウム含有遷移金属化合物は、例えば、下記組成式(A)または(B)で示されるリチウム遷移金属系化合物であることが挙げられる。
1)下記組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物である場合
Li1+xMO2 …(A)
ただし、xは通常0以上、0.5以下である。Mは、Ni及びMn、或いは、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり、Mn/Niモル比は通常0.1以上、5以下である。Ni/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。Co/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。なお、xで表されるLiのリッチ分は、遷移金属サイトMに置換している場合もある。
ばれるLi2MO3との固溶体であってもよい。
αLi2MO3・(1−α)LiM’O2・・・(A’)
一般式中、αは、0<α<1を満たす数である。
M’は、平均酸化数が3+である少なくとも一種の金属元素であり、好ましくは、V、Mn、Fe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、より好ましくは、Mn、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素である。
Li[LiaMbMn2−b−a]O4+δ・・・(B)
ただし、Mは、Ni、Cr、Fe、Co、Cu、Zr、AlおよびMgから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種から構成される元素である。
bの値は通常0.4以上、0.6以下である。
bの値がこの範囲であれば、リチウム遷移金属系化合物における単位重量当たりのエネルギー密度が高い。
δの値がこの範囲であれば、結晶構造としての安定性が高く、このリチウム遷移金属系化合物を用いて作製した電極を有する電池のサイクル特性や高温保存が良好である。
ここでリチウム遷移金属系化合物の組成であるリチウムニッケルマンガン系複合酸化物におけるリチウム組成の化学的な意味について、以下により詳細に説明する。
構造的視点では、aに係るリチウムは、同じ遷移金属サイトに置換されて入っていると考えられる。ここで、aに係るリチウムによって、電荷中性の原理によりMとマンガンの平均価数が3.5価より大きくなる。
・ブレンド
上記の組成のリチウム遷移金属系化合物の具体例としては、例えば、Li1+xNi0.5Mn0.5O2、Li1+xNi0.85Co0.10Al0.05O2、Li1+xNi0.33Mn0.33Co0.33O2、Li1+xNi0.45Mn0.45Co0.1O2、Li1+xMn1.8Al0.2O4、Li1+xMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。これらのリチウム遷移金属系化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上をブレンドして用いても良い。
また、リチウム遷移金属系化合物は、異元素が導入されてもよい。異元素としては、B,Na,Mg,Al,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sb,Te,Ba,Ta,Mo,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Bi,N,F,S,Cl,Br,I,As,Ge,P,Pb,Sb,SiおよびSnの何れか1種以上の中から選択される。これらの異元素は、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれていてもよく、あるいは、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
リチウム二次電池用正極は、上述のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作成される。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して安定な材料であれば良いが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
イクル特性等の電池性能を悪化させてしまう可能性がある一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながる可能性がある。
正極活物質層には、通常、導電性を高めるために導電材を含有させる。その種類に特に制限はないが、具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料や、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料などを挙げることができる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。正極活物質層中の導電材の割合は、通常0.01質量%以上、50質量%以下である。導電材の割合が低すぎると導電性が不十分になることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下することがある。
また、正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。 かくして、リチウム二次
電池用正極が調製できる。
非水電解質としては、例えば公知の非水系電解液、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等を用いることができるが、中でも非水系電解液が好ましい。非水系電解液は、非水系溶媒に溶質(電解質)を溶解させて構成される。
<電解質>
非水系電解液に用いられる電解質には制限はなく、電解質として用いられる公知のものを任意に採用して含有させることができる。本発明の非水系電解液を非水系電解液二次電池に用いる場合には、電解質はリチウム塩が好ましい。電解質の具体例としては、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート、フルオロスルホン酸リチウム等が挙げられる。これらの電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
非水系電解液が含有する非水系溶媒は、電池として使用した際に、電池特性に対して悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に制限されないが、通常使用される非水系溶媒の例としては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステル、γ−ブチロラクトン等の環状カルボン酸エステル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等の鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル等のニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル、エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、メタンスルホン酸メチル、スルホラン、ジメチルスルホン等の含硫黄化合物等が挙げられ、これら化合物は、水素原子が一部ハロゲン原子で置換されていてもよい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用することが好ましい。例えば、環状カーボネートや環状カルボン酸エステル等の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネートや鎖状カルボン酸エステル等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。
非水系電解液には、上述の電解質、非水系溶媒以外に、目的に応じて適宜助剤を配合しても良い。負極表面に皮膜を形成するため、電池の寿命を向上させる効果を有する助剤としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート等の不飽和環状カーボネート、フルオロエチレンカーボネート等のフッ素原子を有する環状カーボネート、4−フルオロビニレンカーボネート等のフッ素化不飽和環状カーボネート等が挙げられる。電池が過充電等の状態になった際に電池の破裂・発火を効果的に抑制する過充電防止剤として、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、ジフェニルエーテル、t−ブチルベンゼン、t−ペンチルベンゼン、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート等の芳香族化合物等が挙げられる。サイクル特性や低温放電特性を向上させる助剤として、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート等のリチウム塩等が挙げられる。高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる助剤として、エチレンサルファイト、プロパンスルトン、プロペンスルトン等の含硫黄化合物、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のカルボン酸無水物、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル等のニトリル化合物が挙げられる。これら助剤の配合量は、特
に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミや窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。
が悪いことを意味する。連通性とは、フィルム厚さ方向の孔のつながり度合いである。本発明のセパレータのガーレ値が低ければ、様々な用途に使用することが出来る。例えば非水系リチウム二次電池のセパレータとして使用した場合、ガーレ値が低いということは、リチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。セパレータのガーレ値は、任意ではあるが、好ましくは10〜1000秒/100mlであり、より好ましくは15〜800秒/100mlであり、更に好ましくは20〜500秒/100mlである。ガーレ値が1000秒/100ml以下であれば、実質的には電気抵抗が低く、セパレータとしては好ましい。
・電極群
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体は、特に制限されず、本発明の効果を
著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。具体的に、外装体の材質は任意であるが、通常は、例えばニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミウム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
本発明に係る非水電解液二次電池の可逆容量は、通常340mAh/g〜372mAh/g、好ましくは345mAh/g〜370mAh/g、より好ましくは355mAh/g〜
369mAh/gである。可逆容量が大きすぎても小さすぎても、高容量電池材料として適用できない場合がある。
なお、本明細書におけるBET法比表面積、タップ密度、X線回折、ラマンR、円形度、アスペクト比、粒径(d50)などの測定は次記により行った。
粒径(d50);ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの2(容量)%水溶液約1mlに、炭素粉末約20mgを加え、これをイオン交換水約200mlに分散させたものを、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製 LA−920)を用いて体積基準粒度分布を測定し、平均粒径(d50)、10%積算部のd10粒径、90%積算部のd90粒径を求めた。測定条件は超音波分散1分間、超音波強度2、循環速度2、相対屈折率1.50である。
タップ密度;粉体密度測定器タップデンサーKYT−3000((株)セイシン企業社製)を用いて測定した。目開き300μmの篩から20ccのタップセルに炭素粉末を落下させ、セルに満杯に充填したのち、ストローク長10mmのタップを1000回行って、そのときの密度をタップ密度とした。
ラマン測定;日本分光社製NR−1800を用い、波長514.5nmのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において、1580cm −1 の付近のピークPAの強度IA、1360cm −1 の範囲のピークPBの強度IBを測定し、その強度の比R=IB/IAを求めた。試料の調製にあたっては、粉末状態のものを自然落下によりセルに充填し、セル内のサンプル表面にレーザー光を照射しながら、セルをレーザー光と垂直な面内で回転させて測定を行った。
。円相当径とは、撮影した粒子像と同じ投影面積を持つ円(相当円)の直径であり、円形度とは、相当円の周囲長を分子とし、撮影された粒子投影像の周囲長を分母とした比率である。測定した10〜40μmの範囲の粒子の円形度を平均し、平均円形度とした。
行方向)と最短径(平板に対して垂直方向)を画像解析により測定し、最長径/最短径の平
均をアスペクト比とした。樹脂包埋又は極板化した粒子は、通常は平板に対して粒子の厚み方向が垂直に並ぶ傾向があることから、上記の方法より、粒子に特徴的な最長径と最短径を得ることが出来る。
(黒鉛質粒子A)
黒鉛質粒子Aは、力学的エネルギー処理を与え球形化した黒鉛粒子を原料とし、その表面を非晶質炭素で被覆した複層構造炭素材を用いた。その炭素材料は、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.36ÅでLcが1000Å以上、タップ密度が1.16g/cm3、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.34、平均粒径(d50)が16.0μm、BET法比表面積は3.7m2/g、平均円形度が0.93であった。
炭素材Bとして燐片状黒鉛を用いた。その黒鉛は、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.36ÅでLcが1000Å以上、タップ密度が0.34g/cm3、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.52、平均粒径(d50)8.5μm、BET法比表面積21.1m2/g、平均円形度が0.79、アスペクト比は8.84であった。
(混合炭素材の作製)
上記の黒鉛質粒子Aに上記炭素材Bを、黒鉛質粒子A及び炭素材Bの総量に対する炭素材Bの割合が1質量%となるように加えて混合し、混合炭素材を得た。
(極板(負極シート)の作成方法)
上記混合炭素材100重量部に、カルボキシメチルセルロースの1質量%水溶液100重量部、及びをスチレンブタジエンゴムの50質量%水分散液2重量部を加えて混練し、スラリーとした。銅箔上にこのスラリーをドクターブレード法で目付け13.1mg/cm 2 に塗布した。110℃で乾燥した後、ロールプレスにより密度が1.70g/cm3となるように圧密化した。このときの圧密化に要したプレス荷重は762kgであった。
作成した負極シートを直径12.5mmの円盤状に打ち抜き負極とし、リチウム金属箔を直径12.5mmの円盤状に打ち抜き正極とした。正極と負極の間には、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート=2:3:3(重量比)混合液にLiPF 6 を1.25mol/Lになるように溶解させた電解液が含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、2016コイン型電池を作製した。
作製した2016コイン型電池を24時間放置した後、以下の手順で充放電を行った。(1サイクル目)充電は、0.04C(25時間で充電)で10mVまで充電し、更に1
0mVで350mAh/g相当まで充電した後(0.04C−CCCV)、0.08C(
12.5時間で放電)で1500mVまでの放電を行った。
上記充放電試験を行い、1、2、3サイクル目でそれぞれ発生する不可逆容量の積算を不可逆容量とした。また3サイクル目の放電容量を放電容量とした。結果を表2に示す。
黒鉛質粒子Aへ炭素材Bを混合しない以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
Claims (3)
- 黒鉛質粒子(A)及び炭素材(B)を含む非水電解液二次電池用負極材であって、
X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、平均円形度が0.9以上、BET法による比表面積が0.5m 2 /g以上8m 2 /g以下であり、球形化黒鉛質粒子とその表面を被覆する非晶質炭素を含む黒鉛質粒子(A)と、
X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.18以上0.7以下であり、アスペクト比が4以上であって、平均粒径(d50)が2μm以上12μm以下であり、BET法による比表面積が5m2/g以上30m2/g以下である炭素材(B)を少なくとも含有し、
黒鉛質粒子(A)及び炭素材(B)の総量に対する炭素材(B)の質量割合が、0.5質量%以上15質量%以下である非水電解液二次電池用負極材。 - 請求項1に記載の非水電解液二次電池用負極材及び結着樹脂を含有する負極層を集電体上に有する非水電解液二次電池用負極。
- 請求項2に記載の負極、リチウムイオンを吸蔵放出できる正極及び非水電解液を備える非水電解液二次電池。
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