JP6113112B2 - 変速機構 - Google Patents
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Description
また、特許文献1,2に記載された変速機構では、複合スプロケットの拡縮径による変速に伴って、噛み合い開始箇所におけるチェーンとスプロケットとの位相のずれが発生するが、このずれを修正する必要性についても言及されていない。
より具体的には、前記位相ずれを修正する機構にチェーンのガイド機能を兼用させることにより、噛み合い開始箇所における位相のずれを修正しつつチェーンの暴れや離脱を抑制できる変速機構を提供することを目的としている。
まず、本実施形態にかかる変速機構の構成について説明する。
〔1−1.変速機構の全体構成〕
本変速機構は、図1〜図3に示すように、二組の複合スプロケット5,5と、これらの複合スプロケット5,5に巻き掛けられたチェーン6とを備えている。なお、複合スプロケット5とは、詳細を後述する複数のピニオンスプロケット20及び複数のガイドロッド29が多角形(ここでは二十一角形)の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットを意味する。
なお、図1には、入力側の接円半径が最小径で、出力側の接円半径が最大径のものを実線で示し、入力側の接円半径が最大径で、出力側の接円半径が最小径のものを二点鎖線で示している。
以下、変速機構の構成要素を、複合スプロケット5及びこれに巻き掛けられるチェーン6、並びに、複合スプロケット5及びチェーン6の双方に関連する機構類を、この順に説明する。
以下の複合スプロケット5にかかる構成の説明では、まず、ピニオンスプロケット20,ガイドロッド29,固定ディスク10及び可動ディスク19,第一回転部15及び第二回転部15といった主要な構成要素をこの順に説明し、続いて、これらの構成要素を作動させるスプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50,連動機構60といった機構類をこの順に説明する。
三個のピニオンスプロケット20は、それぞれチェーン6と噛み合って動力伝達する歯車として構成され、回転軸1の軸心C1周りに公転する。ここでいう「公転」とは、各ピニオンスプロケット20が、回転軸1の軸心C1を中心に回転することを意味する。回転軸1が回転すると、この回転に連動して各ピニオンスプロケット20が公転する。つまり回転軸1の回転数とピニオンスプロケット20の回転数とは等しい。なお、図1,図3には、白抜きの矢印で時計回りの公転方向を示している。
当然ながら、各ピニオンスプロケット21,22,23に形成される歯の形状寸法及びピッチは同一規格のものとなっている。
また、図2は、理解容易のため一部を展開した模式的な断面図であり、二つの複合スプロケット5,5間が大きく離隔しているが、これらの複合スプロケット5,5は実際には図1,図3に示すように接近して配置されている。
図1に示すように、複数のガイドロッド29は、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくするように、つまり、回転軸1周りのチェーン6の軌道を可能な限り円軌道に近づけるように装備される。すなわち、ピニオンスプロケット21,22,23の相互間に複数のガイドロッド29を装備することにより、ピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29はより角数の大きな多角形(略正多角形)の形状をなす。ピニオンスプロケット21,22,23と噛み合うチェーン6は、これらのガイドロッド29の外側の周面に当接することで、ガイドロッド29に案内されながら上記多角形の形状に沿って転動する。
固定ディスク10は、回転軸1と一体に形成されるか、或いは、何れも回転軸1と一体回転するように結合されている。なお、図2では、複数のピニオンスプロケット20側から軸方向外側に向けて可動ディスク19,固定ディスク10の順に配置されたもの例示する。
これらの固定放射状溝11a,11b,11c,12の形状については、詳細を後述する。
図2に示すように、可動ディスク19は、ピニオンスプロケット20を挟んで一側及び他側のそれぞれに設けられる。図1に示すように、各ピニオンスプロケット21,22,23の相互間にこれらと干渉しないようにそれぞれ連結シャフト1bが設けられている。両可動ディスク19は、これらの連結シャフト1bで互いに連結されている。これにより、一側の可動ディスク19と他側の可動ディスク19とが一体に回転する。
図2に示すように、第一回転部15は、固定ディスク10と一体回転する部分、即ち、回転軸1と一体回転する部分である。ここでは、第一回転部15が回転軸1の一部に設けられている。この第一回転部15は、固定ディスク10及び可動ディスク19よりも軸方向外側に配設されている。
図2,図7に示すように、第二回転部16は、可動ディスク19と接続部17を介して接続されている。なお、図7には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。まず、接続部17について説明し、その後、第二回転部16について説明する。
軸方向接続部17aは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに軸方向に延びる円筒形状をなしている。この軸方向接続部17aは、図2に示すように、軸方向内側が可動ディスク19の外周端部(外周部)19tに結合され、軸方向外側が次に説明する径方向接続部17bに接続されている。
図2及び図7に示すように、第二回転部16は、第一回転部15の外周(径方向外側)を覆うように設けられ、回転軸1の軸心C1と同心の円筒形状に形成されている。ここでは、図2に示すように、第二回転部16が、可動ディスク19の外周端部19tから内周側にシフトされて軸方向に沿って設けられている。
なお、図7には、第二カム溝16a(一箇所にのみ符号を付す)が周方向に間隔をおいて四箇所に設けられたものを例示するが、第二カム溝16aの形成箇所や形成個数は、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数に応じて設定される。
相対回転駆動機構30は、上述した第一回転部15に設けられた第一カム溝15aと第二回転部16に設けられた第二カム溝16aとに加えて、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されたカムローラ90と、このカムローラ90を軸方向に移動させるメガネフォーク(スプロケット移動用軸方向移動部材)35と、このメガネフォーク35を軸方向に移動させるスプロケット移動用軸方向駆動機構31とを備えている。
図2及び図7に示すように、カムローラ90は、円柱状に形成されている。このカムローラ90は、回転軸1の軸心C1に直交する方向に沿った軸心を有し、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2(何れも一箇所にのみ符号を付す)に挿通されている。このため、カムローラ90は、回転軸1の回転に連動して回転軸1の軸心C1を中心に回転する。なお、カムローラ90の外周には、第一カム溝15a及び第二カム溝16aのそれぞれに対応する箇所にベアリングが外嵌されている。ここでは、互いに180度の位相差を有する二組のカムローラ90,90のうちの一組は、連続した一本のものが用いられているが、これは別々に構成しても良い。
なお、図示省略するが、カムローラ90は、カム溝15a,16aから脱落しないように、適宜の抜け止め加工が施されている。かかる抜け止め加工としては、例えばカムローラ90の他端部に頭部を設けることや抜け止めピンを追加し、カムローラ90が軸方向に移動可能であって径方向に移動しないようにすることが挙げられる。
溝部35cは、カムローラ90の突出長さに対応する深さを有し、カムローラ90の一端部90aを収容している。すなわち、溝部35cは、径方向長さがカムローラ90の突出長さの円環状空間を有するものといえる。
フォーク支持部34は、モータ32の出力軸32aと同心の筒軸を有する円筒状に形成されている。このフォーク支持部34には、モータ32の出力軸32aが内挿されている。
また、フォーク支持部34は、内周にモータ32の出力軸32aに形成された雄ネジ部32bに螺合する雌ネジ部34aが螺設され、外周にメガネフォーク35のブリッジ部35bと係合するフォーク溝34bが凹設されている。
上記のメガネフォーク35,スプロケット移動用軸方向駆動機構31を含む相対回転駆動機構30は、ピニオンスプロケット21,22,23から軸方向にシフトして設けられており、互いに干渉しない。
軸方向駆動機構31によってフォーク支持部34が軸方向に直線運動されると、フォーク支持部34に結合されたメガネフォーク35が一体に軸方向に移動し、この移動にともなって、メガネフォーク35を介して二つの複合スプロケット5,5の各カムローラ90も軸方向に移動する。
もちろん、両複合スプロケット5,5の連動は、例えば、入力側の複合スプロケット5が拡径するときには出力側の複合スプロケット5が縮径し、逆に、入力側の複合スプロケット5が縮径するときには出力側の複合スプロケット5が拡径するように構成される。
次に、図2及び図6を参照して、スプロケット移動機構40A及びロッド移動機構40Bを説明する。
スプロケット移動機構40Aは、複数のピニオンスプロケット20を移動対象とし、また、ロッド移動機構40Bは、複数のガイドロッド29を移動対象としている。
これらの移動機構40A,40Bは、各移動対象(複数のピニオンスプロケット20,複数のガイドロッド29)を回転軸1の軸心C1から等距離を維持させながら径方向に同期して移動させるものである。
このように、それぞれの移動機構40A,40Bの構成は、各移動対象の支持軸が異なるだけで、その他の構成は同様である。
図6(a)は、放射状溝11a,11b,11c,19aにおけるピニオンスプロケット21,22,23(図1及び図2等参照)の支持軸21a,22a,23aと放射状溝12,19bにおけるロッド支持軸29aとが回転軸1の軸心C1から最も近い位置に位置するものを示す。
スプロケット移動機構40Aによりピニオンスプロケット20が移動されると、ピニオンスプロケット20の相互間の距離が変わることにより、チェーン6に対してピニオンスプロケット20の位相ズレが発生してしまう。そこで、かかる位相ズレを解消するために、機械式自転駆動機構50が装備されている。
次に、図2,図3及び図7を参照して、機械式自転駆動機構50を説明する。ここでは、機械式自転駆動機構50がピニオンスプロケット20を挟んで対称に構成されるため、一側(図2の上方側)の構成に着目して説明する。
ただし、機械式自転駆動機構50は、径方向移動時の固定ピニオンスプロケット21を自転させない構成も有している。
図3,図7に示すように、固定ピニオンスプロケット21の支持軸21aは、固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11aに挿通されている。この支持軸21aには、案内部材59が一体的に結合されている。なお、図3に示す案内部材59は、図2の下方側の固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11aに挿通されるものである。
また、スプロケット用固定放射状溝11aの内壁に接する案内部材59の側壁、特に案内部材59の四隅に、ベアリングを装着すれば、案内部材59のよりスムーズな摺動を確保することができる。
機械式自転駆動機構50は、自転ピニオンスプロケット22,23の支持軸22a,23aのそれぞれと一体回転するように固設されたピニオン51,52と、ピニオン51,52のそれぞれに対応して噛合するように設けられたラック53,54と、を有する。
なお、ピニオン51,52に対するラック53,54の位置関係が異なる点を除いては、第一ピニオン51と第二ピニオン52とは同様に構成され、また、第一ラック53と第二ラック54とは同様に構成されている。
次に、チェーン6について説明する。
図13(a)に示すように、ガイドロッド29にガイドされるチェーン6は、各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数(ここでは三列)に対応する本数が設けられている。ここでは、第一チェーン6A,第二チェーン6B及び第三チェーン6Cの三本が設けられている。
なお、チェーン6A,6B,6Cは、配設ピッチ以外は同様に構成される。
次に、本無段変速機構において特徴的な軌道ガイド付き事前歯合わせ機構を説明する。
ピニオンスプロケット20は、回転軸1に対して公転するので、チェーン6と噛み合う状態とチェーン6から離隔する状態とを繰り返し、しかも、変速比を変更する際には、ピニオンスプロケット20の歯20cとチェーン6のリンク溝61cとの位相がずれるため、ピニオンスプロケット20がチェーン6との噛み合いを開始する際に、ピニオンスプロケット20の歯20cがチェーン6のリンク溝61cに対し位相ずれして歯飛びするおそれがある。
また、第2同期回転部材172は、ピニオンスプロケット20と一体回転する出力側同期用スプロケット176と、出力側同期用スプロケット176と噛み合う同期用チェーン(同期用回転体)175とを備えている。
出力側同期用スプロケット176は、ピニオンスプロケット20と同径のものが適用される。
〔1−5.チェーン追従移動機構〕
また、追従駆動機構200は、支持部材180のアーム部182の基端部に装備されたカムローラ182bと、回転軸1の軸方向に対して傾斜した方向に延びカムローラ182bが係合する追従用カム溝188を有し軸方向に移動するチェーン追従移動用軸方向移動部材187と、このチェーン追従移動用軸方向移動部材187を軸方向に駆動するチェーン追従移動用軸方向駆動機構と、を備えている。
ところで、事前歯合わせ機構170によって、ピニオンスプロケット20の歯20cの位相合わせをするのは、ピニオンスプロケット20の歯20cが位相合わせ方向即ち回転方向に可動でなくては実現させることができない。しかし、ピニオンスプロケット20の歯20cを回転方向に単に可動にしたのでは、ピニオンスプロケット20とチェーン6との間での動力伝達に支障を来す。
本発明の一実施形態にかかる無段変速機構は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
ピニオンスプロケット20が回転軸1に対して公転してチェーン6との噛み合いを開始する際に、事前歯合わせ機構170が噛合点の直前でピニオンスプロケット20の歯20cの位相合わせをする。
また、変速比の変更時にピニオンスプロケット20が径方向に移動して複合スプロケット5の径が変更されると、チェーン6の走行軌道が変化して上記の噛合点の位置も変化するが、チェーン追従移動機構80によって、事前歯合わせ機構170の入力側同期用スプロケット173及び同期用チェーン175も、チェーン6の走行軌道の変化に追従するように移動するので、変速比の変更時や変更後にも事前歯合わせを支障なく実施することができる。
また、事前歯合わせ機構170によってピニオンスプロケット20の歯20cの位相合わせをするには、ピニオンスプロケット20の歯20cが回転方向に可動でなくてはならないが、単に可動にしたのでは、ピニオンスプロケット20とチェーン6との間での動力伝達に支障を来す。しかし、ピニオンスプロケット20の軸20aに対する微小回転を許容すると共に、ピニオンスプロケット20を軸20aに対して回転方向の中立位置に付勢し微小回転を弾性的に規制する位相ずれ許容動力伝達機構190が装備されているので、ピニオンスプロケット20とチェーン6との間での動力伝達を実現しながら、ピニオンスプロケット20を回転方向に可動とし、歯合わせを実現することができる。また、付勢機構190Bの付勢部材193がキー部材191のキー溝192に対する相対回転を弾性的に規制するので、ピニオンスプロケット20の歯20cがチェーン6に噛み合う際の衝撃も吸収され、噛み合いショックを生じることなく円滑に噛み合う。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した一実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
2 収容空間
5 複合スプロケット
6,6A〜6C,106,106A〜106C チェーン
10 固定ディスク群
11 第一固定ディスク(径方向移動用固定ディスク)
11a スプロケット用固定放射状溝
11b ロッド用固定放射状溝
12 第二固定ディスク(自転用固定ディスク)
12a 第一案内溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)
12b 第二案内溝
12c 第三案内溝
19 可動ディスク(径方向移動用可動ディスク)
19a スプロケット用可動放射状溝
19b ロッド用可動放射状溝
19A 外周歯
20 ピニオンスプロケット(歯車)
20a ピニオンスプロケット軸(歯車軸)
20c ピニオンスプロケットの歯
20w ピニオンスプロケット(歯車)の内周壁
20aw ピニオンスプロケット軸(歯車軸)の外周壁
21 固定ピニオンスプロケット
21a 支持軸
22 第一自転ピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)
22a 支持軸
23 第二自転ピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)
23a 支持軸
29 ガイドロッド
29a ロッド支持軸
29b ガイド部材
30 相対回転駆動機構
31 スプロケット移動用軸方向駆動機構
35 メガネフォーク(スプロケット移動用軸方向移動部材)
40A スプロケット移動機構
40B ロッド移動機構
50 機械式自転駆動機構
51 第一ピニオン(進角側ピニオン)
52 第二ピニオン(遅角側ピニオン)
53 第一ラック(進角側ラック)
54 第二ラック(遅角側ラック)
59 案内部材
61 リンクプレート(駆動リンク)
61S リンクプレート列
61a リンクプレート61の歯部
61b ピン穴
61c リンク溝
62 連結ピン
63 補助リンク
63S 補助リンク列
63a ガイド面
63b ピン穴
64A,64B 重合部
65a 肉薄部
65b 切欠部
80 チェーン追従移動機構
90 カムローラ
170 事前歯合わせ機構
171 第1同期回転部材(軌道ガイド機構)
171a 第1同期回転部材171の軸
172 第2同期回転部材
172a 第2同期回転部材172の軸
173 入力側同期用スプロケット
173a 前記入力側同期用スプロケット173の歯
173b 入力側同期用スプロケット173の軸
175 同期用チェーン
175a 疑似リンク
175b 連結ピン
175c 疑似リンク溝
176 出力側同期用スプロケット
176a 出力側同期用スプロケット76,176の歯
180 支持部材
181 軸受部
182 アーム部
182b カムローラ
187 チェーン追従移動用軸方向移動部材
188 追従用カム溝
183 スライド部材
186 コイルスプリング(ばね部材)
190 位相ずれ許容動力伝達機構
190A 回転許容機構
190B 付勢機構
191 キー部材
192 キー溝
193 付勢部材(C型リング)
193a,193b 付勢部材の合口
194 ピン(係止部材)
195 隙間
200 追従駆動機構
C1,C2,C3,C4 軸心
FO 追従軌道
Claims (8)
- 動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に且つ一体に公転するように支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させるスプロケット移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する変速機構であって、
前記ピニオンスプロケットが前記公転によって前記チェーンとの噛み合いを開始する噛合点に達する直前で、前記ピニオンスプロケットの歯を前記チェーンの内周のリンク溝と位相合わせする事前歯合わせ機構を備え、
前記事前歯合わせ機構は、前記噛合点の近傍で前記チェーンに外周側から当接し前記チェーンの軌道をガイドする軌道ガイド機構を兼備し、
前記接円半径の変更による前記チェーンの軌道変更に伴う前記噛合点の移動に追従して前記事前歯合わせ機構を追従軌道に沿って移動させるチェーン追従移動機構を備え、
前記事前歯合わせ機構は、前記チェーンに外周側から係合して同チェーンと位相同期して回転する第1同期回転部材と、前記第1同期回転部材と位相同期して回転すると共に前記噛合点に達する直前で前記ピニオンスプロケットと係合して同ピニオンスプロケットの位相を調整する第2同期回転部材と、を備え、
前記第1同期回転部材が前記軌道ガイド機構として機能する
ことを特徴とする、変速機構。 - 前記事前歯合わせ機構は前記チェーンに弾性的に圧接されている
ことを特徴とする、請求項1記載の変速機構。 - 前記第1同期回転部材は、前記チェーンの外周に前記リンク溝に歯が常時噛み合う入力側同期用スプロケットを備え、
前記第2同期回転部材は、前記ピニオンスプロケットと一体回転する出力側同期用スプロケットと、前記入力側同期用スプロケットの軸に一体回転するように装備され、前記チェーンの前記リンク溝を模した疑似リンク溝を外周に有し、前記ピニオンスプロケットが前記噛合点の直前に到達したときに、前記疑似リンク溝が前記出力側同期用スプロケットの歯と噛み合う同期用回転体とを備えている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の変速機構。 - 前記第1同期回転部材及び前記第2同期回転部材を回転自在に支持する支持部材を備え、
前記チェーン追従移動機構は、前記支持部材を前記追従軌道に沿って移動させる
ことを特徴とする、請求項3記載の変速機構。 - 前記チェーン追従移動機構は、
前記追従軌道に沿って延びたガイドレールと、
前記支持部材を移動可能に支持すると共に前記ガイドレールに沿ってスライドするスライド部材と、
前記スライド部材を前記ガイドレールに沿って移動させる追従駆動機構と、を備えている
ことを特徴とする、請求項4記載の変速機構。 - 前記支持部材は、前記入力側同期用スプロケット及び前記同期用回転体を回転自在に支持する軸受部と、前記入力側同期用スプロケットを前記チェーンに圧接する圧接方向に延びた軸状のアーム部と、を備え、
前記アーム部は、前記スライド部材に軸方向に可動に支持され、前記アーム部と前記スライド部材との間に、前記軸受部を前記圧接方向に付勢し、前記入力側同期用スプロケットを前記チェーンに弾性的に圧接させるばね部材が装備されている
ことを特徴とする、請求項5記載の変速機構。 - 前記追従駆動機構は、
前記回転軸の軸方向に対して傾斜した方向に延び前記支持部材に装備されたカムローラが係合する追従用カム溝を有し前記軸方向に移動するチェーン追従移動用軸方向移動部材と、
前記チェーン追従移動用軸方向移動部材を前記軸方向に駆動するチェーン追従移動用軸方向駆動機構と、を備え、
前記スライド部材は、前記追従用カム溝に摺接して前記チェーン追従移動用軸方向移動部材の前記移動に伴って前記追従軌道に沿って移動する
ことを特徴とする、請求項5又は6記載の変速機構。 - 前記スプロケット移動機構は、
前記複数のピニオンスプロケットの各支持軸が内挿される固定放射状溝が複数形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、
前記固定放射状溝と交差するように配置されると共に同交差箇所に前記支持軸がそれぞれ内挿される可動放射状溝が複数形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、
前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して、前記交差箇所を前記径方向に移動させる相対回転駆動機構と、を備え、
前記相対回転駆動機構は、
前記回転軸の軸方向に沿って設けられ、前記固定ディスクと一体回転する第一回転部に設けられた第一カム溝と、
前記第一カム溝と交差するとともに前記軸方向に沿って設けられ、前記可動ディスクと一体回転する第二回転部に設けられた第二カム溝と、
前記第一カム溝と前記第二カム溝とが交差する第二交差箇所に配設され、一端部が前記径方向に突出されたカムローラと、
前記カムローラの前記一端部を収容する溝部が設けられ、前記カムローラと共に前記軸方向に移動するスプロケット移動用軸方向移動部材と、
前記スプロケット移動用軸方向移動部材を前記軸方向に移動させるスプロケット移動用軸方向駆動機構と、を備え、
前記チェーン追従移動用軸方向移動部材は前記スプロケット移動用軸方向移動部材と一体に設けられ、前記スプロケット移動用軸方向駆動機構を前記チェーン追従移動用軸方向駆動機構と兼用している
ことを特徴とする、請求項7記載の変速機構。
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