JP6105379B2 - 液体フィルター用基材 - Google Patents
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Description
高度に調製された薬液はウェハー上へ塗布する直前に、パターン形成、歩留りに大きな影響を与えるパーティクルを除去されるべく、緻密なフィルターで濾過される。最先端の20nmを下回るパターン形成においては、10nm前後のパーティクルを捕集できることが要求され、フィルターメーカー各社は、精力的に開発を進めているところである。
一方で、所定の大きさのフィルターカートリッジにおいてより多くの濾過面積を得て、ポリオレフィン微多孔膜の加工時のフィルターの流量設計や構造設計の自由度を高めることも求められている。そのために、ポリオレフィン微多孔膜を薄く形成することが考えられるが、ポリオレフィン微多孔膜の膜厚は捕集性能や液体透過性にも影響を与えるため、これら各種特性とのバランスを考慮する必要がある。
そこで、本発明では、上述した課題を解決すべく、優れた捕集性能と液体透過性を兼ね備え、かつ、フィルター設計の自由度が高い液体フィルター用基材として好適なポリオレフィン微多孔膜を提供することを目的とする。
1.ポリオレフィン微多孔膜からなる液体フィルター用基材であって、前記ポリオレフィン微多孔膜の厚さが4〜16μmであり、前記ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントが0.40MPa以上0.80MPa以下である、液体フィルター用基材。
2.前記ポリオレフィン微多孔膜は、130℃で1時間熱処理を行った後の幅方向の熱収縮率が20%以上である、上記1に記載の液体フィルター用基材。
3.前記ポリオレフィン微多孔膜は、孔閉塞温度が140℃よりも高いものである、上記1または2に記載の液体フィルター用基材。
4.前記ポリオレフィン微多孔膜の圧縮率が15%未満である、上記1〜3のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
5.前記ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が46〜60%である、上記1〜4のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
6.前記ポリオレフィン微多孔膜の透水性能が0.10〜2.90ml/min・cm2である、上記1〜5のいずれかに記載の液体フィルター用基材
本発明の液体フィルター用基材は、ポリオレフィン微多孔膜からなる液体フィルター用基材であって、前記ポリオレフィン微多孔膜の厚さが4〜16μmであり、前記ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントが0.40MPa以上0.80MPa以下である。
このような本発明によれば、優れた捕集性能と液体透過性を兼ね備え、かつ、フィルター設計の自由度が高い液体フィルター用基材を提供することができる。以下、各構成の詳細について説明する。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、微小な粒子を高度に捕集することを特徴とする。当該ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントは0.40MPa以上であり、かつ0.80MPa以下であるが、0.40〜0.75MPaであることがさらに好ましく、0.42〜0.75MPaであることがさらに好ましい。本発明において、ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントが0.40MPaより低いと、上述したような微小な粒子を十分に捕集できず、十分な捕集性能を発現しない。一方、ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントが0.80MPaより高いと、非常に優れた捕集性能を発現するものの、透液性能が著しく不足してしまい、例えば、該ポリオレフィン微多孔膜を基材とするフィルターを介した送液が不安定になる等の問題が生じ得る。この通液性能を改善する方法として、例えば、送液圧力を高めることができるが、これだとフィルター寿命の低減や、濾過物の漏れ出し等の問題を生じ得る。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、捕集性能と液体透過性を損ねることなく、フィルター設計の自由度を高めていることが特徴である。ポリオレフィン微多孔膜の厚みは、4〜16μmであり、より好ましくは5〜15μmである。ポリオレフィン微多孔膜の膜厚が4μm未満である場合、上述したような微小な粒子を十分に捕集できず、力学強度が低く、ポリオレフィン微多孔膜の加工時等におけるハンドリングに問題が生じたり、フィルターカートリッジの長期使用における耐久性が不足する問題を生じ得る。一方、厚みが16μmを超えると、高い力学強度を得られるが、透液性能(透液量)が低下し、透液性能が不足する問題を生じ得る。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、130℃の温度下で1時間放置した後の幅方向(TD)の収縮率が20%以上であることが好ましく、さらに好ましくは20〜35%であり、22〜32%であることが特に好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の熱収縮率が20%以上である場合、ポリオレフィン微多孔膜の加工での熱処理を受ける状況下の搬送において、弛みが発生することなく良好な搬送性を得られやすくなるため好ましい。一方、ポリオレフィン微多孔膜の熱収縮率が35%以下である場合、ポリオレフィン微多孔膜の加工時に熱処理を受ける状況下の搬送において、蛇行やシワが発生することなく良好な搬送性を得られやすくなるため好ましい。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、孔閉塞温度が140℃よりも高いことが好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の孔閉塞温度が140℃よりも高い場合、ポリオレフィン微多孔膜の加工時の熱接着工程の高温処理部付近もしくは高温体接触部の付近において、ポリオレフィン微多孔膜の多孔性が失われることなく、透水性能が維持され、加工後においても予定したろ過面積を得られやすくなるため好ましい。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜を70℃の温度下において、2MPaで30秒間プレスした際の圧縮率は15%未満であることが好ましく、より好ましくは12%以下である。該ポリオレフィン微多孔膜の圧縮率が15%未満である場合、フィルターに加工する際の加熱プレス(接着)等の工程において、ポリオレフィン微多孔膜が必要以上に潰れずに、本来の多孔質構造を維持できる点で好ましい。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜の空孔率は46〜60%であることが好ましく、より好ましくは47%〜58%である。該ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が46%以上である場合、透液性能が良好なものとなる点で好ましい。一方、空孔率が60%以下である場合、ポリオレフィン微多孔膜の力学強度が良好なものとなりハンドリング性も向上する点で好ましい。ここで、ポリオレフィン微多孔膜の空孔率(ε)は、下記式により算出する。
ε(%)={1−Ws/(ds・t)}×100
Ws:ポリオレフィン微多孔膜の目付け(g/m2)
ds:ポリオレフィンの真密度(g/cm3)
t:ポリオレフィン微多孔膜の膜厚(μm)
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、90kPaの差圧下における透水性能が0.10〜2.90ml/min・cm2であることが好ましく、0.10〜2.40ml/min・cm2であることがさらに好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の透水性能が0.10ml/min・cm2以上である場合、液体フィルターとしての十分な透水性能を得られるだけでなく、例えば、約5nmまたはそれ以上の大きさのパーティクルを高度に捕集しやくなるため好ましい。一方、ポリオレフィン微多孔膜の透水性能が2.90ml/min・cm2以下である場合、例えば、約100nmまたはそれ以下のパーティクルを高度に捕集しやすくなるため、さらには、液体フィルターとしての透水性能を十分に得られやすくなるばかりでなく、フィルターを介した送液の安定性(例えば、一定の送液量を維持するための動力負荷の安定性や一定の送液圧力(一定の動力負荷)下での送液量の安定性)が長期に渡って得られやすくなるため好ましい。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、ポリオレフィンを含んで構成された微多孔膜である。ここで、微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜を意味する。ポリオレフィン微多孔膜において、ポリオレフィンは90重量部以上含まれていることが好ましく、残部として本発明の効果に影響を与えない範囲で有機または無機のフィラーや界面活性剤等の添加剤を含ませてもよい。
上述した本発明の液体フィルター用基材は、薬液との親和性付与加工が適宜行われた上で、カートリッジ形体に加工され、液体フィルターとして用いることができる。液体フィルターは、有機物および/または無機物からなる粒子を含む、もしくは、含んでいる可能性がある被処理液から、当該粒子を除去するための器具である。粒子は被処理液中において固体状あるいはゲル状で存在する。本発明は、粒径が数nm程度の非常に微細な粒子から約100nm前後の微粒子を除去する場合に好適である。また、液体フィルターは半導体の製造工程のみならず、例えばディスプレイ製造や研磨等の他の製造工程においても用いることができる。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、下記に示す方法で好ましく製造することができる。即ち、
(I)ポリエチレン組成物と溶剤とを含む溶液において、少なくとも大気圧における沸点が210℃未満の揮発性の溶剤を含む溶液を調整する工程、
(II)これを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却固化してゲル状成形物を得る工程、
(III)ゲル状成形物を少なくとも一方向に延伸する前に、ゲル状成形物から予め一部の溶剤を絞り出す工程、
(IV)ゲル状成形物を少なくとも一方向に延伸する工程、
(V)延伸した中間成形物の内部から溶剤を抽出洗浄する工程、を順次実施することにより、好ましく製造することができる。
また、本溶液の調整においては、上記の大気圧における沸点が210℃未満の揮発性の溶剤以外に、流動パラフィン、パラフィン油、鉱油、ひまし油などの沸点が210℃以上の不揮発性の溶剤を含ませることもできる。
この製法により、優れた液体透過性能と優れた濾過対象物の除去性能を併せ持ち、かつ、低溶出のポリオレフィン微多孔膜を提供することが可能になる。
(厚さ)
接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にてポリオレフィン微多孔膜の膜厚を20点測定し、これらを平均することで求めた。ここで接触端子は底面が直径0.5cmの円柱状のものを用いた。測定圧は0.1Nとした。
ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントは、ASTM E−128−61に準拠し、測定溶媒にエタノールを用いて測定した。
ポリオレフィン微多孔膜を各辺が長手方向(MD)と幅方向(TD)に平行になるように100mm四方の大きさに切出し、温度を130℃に調節したオーブン内に1時間放置した後の幅方向(TD)の収縮率(寸法変化率)を下記式により算出した。
熱収縮率(%)=(|熱処理前寸法−熱処理後寸法|/熱処理前寸法)×100
非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)を3重量%溶解したメタノール溶液に切り出したポリオレフィン微多孔膜基材を浸漬し、風乾した。風乾したサンプルを所定の大きさのSUS板に挟み、電解液である1MのLiBF4 プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1重量比)を含浸させた。これを2032型コインセルに封入した。コインセルからリード線をとり、熱電対を付けてオーブンの中に入れ、昇温速度1.6℃/分で昇温させながら、交流インピーダンス法で振幅10mV、周波数100kHzにて、該セルの抵抗を測定した。抵抗値が1000Ω・cm2に達した時点の温度を孔閉塞温度とした。
サンプルのポリオレフィン微多孔膜を47mm×100mmに切り出し、70℃の温度条件下、2MPaで30秒間プレスを行った。プレス前のサンプルの膜厚(t前)を測定し、プレス後25℃にて30分間放置したサンプルの膜厚(t後)を測定し、それらの膜厚から下記の式より圧縮率を算出した。なお、サンプルの膜厚は、接触式膜厚計(ミツトヨ社製 端子径;0.5cm、端子形状;円柱、測定圧;0.1N)を用いて、雰囲気温度24±2℃で測定した。
圧縮率 = {(t前−t後)/t前}×100(%)
ポリオレフィン微多孔膜の空孔率(ε)は、下記式により算出した。
ε(%)={1−Ws/(ds・t)}×100
Ws:ポリオレフィン微多孔膜の目付け(g/m2)
ds:ポリオレフィンの真密度(g/cm3)
t:ポリオレフィン微多孔膜の膜厚(μm)
なお、ポリオレフィン微多孔膜の目付けは、サンプルを10cm×10cmに切り出し、その質量を測定し、質量を面積で割ることで目付を求めた。
予めポリオレフィン微多孔膜をエタノールに浸漬し、室温下で乾燥した。このポリオレフィン微多孔膜を、直径37mmのステンレス製の透液セル(透液面積Scm2)にセットした。透液セル上の該ポリオレフィン微多孔膜を少量(0.5ml)のエタノールで湿潤させた後、90kPaの差圧で予め計量した純水V(100ml)を透過させて、純水全量が透過するのに要した時間Tl(min)を計測した。その純水の液量と純水の透過に要した時間から、90kPa差圧下における単位時間(min)・単位面積(cm2)当たりの透水量Vsを以下の式より計算し、これを透水性能(ml /min・cm2) とした。測定は室温24℃ の温度雰囲気下で行った。
Vs=V/(Tl×S)
下記粒子(1)〜(3)のいずれかを含有する水溶液100mlを、差圧10kPaでポリオレフィン微多孔膜を介してろ過を行った。ろ過前の粒子を含む水溶液100mlの質量(M1)とポリオレフィン微多孔膜を通過したろ液の質量(M2)との差から、下記(式1)または(式2)により粒子の捕集率を求めた。(式1)は、粒子(1)を用いた場合の捕集率の計算式である。(式2)は、粒子(2)または粒子(3)を用いた場合の捕集率の計算式である。なお、捕集率が90%以上である場合を最良(◎)、80%以上90%未満の場合を良好(○)、80%未満の場合を不良(×)と判定した。
粒子(1)金コロイド 平均粒子径 3nm 粒子濃度0.0045質量%
粒子(2)ポリスチレン粒子 平均粒子径30nm 粒子濃度0.1質量%
粒子(3)ポリスチレン粒子 平均粒子径70nm 粒子濃度0.1質量%
捕集率(%)=((M1−M2)/(M1×45×10−6))×100 …(式1)
捕集率(%)=((M1−M2)/(M1×0.1×10−2))×100…(式2)
予めポリオレフィン微多孔膜をエタノールに浸漬し、室温下で乾燥した。このポリオレフィン微多孔膜を、直径37mmのステンレス製の透液セル(透液面積Scm2)に0.5mm間隔に5枚を重ねてセットし、透液セル上の該ポリオレフィン微多孔膜を少量(0.5ml)のエタノールで湿潤させた後、40kPaの差圧下で純水200mlを透過させ、全量が透過するのに要した時間(T1)を計測し、その後直ちに差圧状態を開放した。引き続き同一サンプルを使って、40kPaの差圧下で純水200mlを透過させ、直ちに差圧を開放する操作を100回繰り返した。100回目の純水200mlの透過に要した時間(T100)を計測して、以下の式より計算し、透水量変化率(%)とした。なお、透水量変化率が10%以下である場合を最良(◎)、10%超15%以下の場合を良好(○)、15%超の場合を不良(×)と判定した。
透水量変化率(%)= (T100−T1)/Tl × 100
ポリオレフィン微多孔膜を塩化メチレンに所定の時間浸漬した後に、ポリオレフィン微多孔膜を取り除き、浸漬後の塩化メチレン溶液の重量を計測した。これとは別に前述した計測した重量と継続同重量の新品の塩化メチレンを準備し、各々から塩化メチレンを蒸発させて完全に溶媒を除去した(乾固)後に、各々の重量を測定した。新品の塩化メチレンを完全に除去した後の重量増分を基準として、ポリオレフィン微多孔膜を浸漬した後の塩化メチレン溶液を乾固させた後の重量増分の比を算出し、1.05倍以下を耐溶出性が良好(ろ液汚染なし、○)と判断し、1.05倍を超える場合を耐溶出性が不良(×)と判断した。
重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)5重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)23重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が28重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン69重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)3重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製した。
このポリエチレン溶液を温度160℃でダイよりシート状に押出し、ついで前記押出物を水浴中で25℃で冷却するとともに、水浴の表層に水流を設け、水浴中でゲル化したシートの中から放出されて水面に浮遊する混合溶剤がシートに再び付着しないようにしながら、ゲル状シート(ベーステープ)を作製した。該ベーステープを55℃で10分、さらに、95℃で10分乾燥してデカリンをベーステープ内から除去した後、引き続き、85℃に加熱したローラー上を20kgf/mの押圧を掛けながら搬送させて、ベーステープ内から流動パラフィンの一部を除去した。その後、該ベーステープを長手方向に温度100℃にて倍率5.8倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度100℃にて倍率14倍で延伸し、その後直ちに118℃で熱処理(熱固定)を行った。
次にこれを2槽に分かれた塩化メチレン浴にそれぞれ30秒間ずつ連続してベーステープを浸漬させながら、流動パラフィンを抽出した。なお、浸漬を開始する側を第1槽とし、浸漬を終了する側を第2槽とした場合の洗浄溶媒の純度は(低)第1層<第2槽(高)である。その後、45℃で塩化メチレンを乾燥除去し、110℃に加熱したローラー上を搬送させながらアニール処理をすることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径3nmの金コロイド粒子の捕集率が90%以上の優れた捕集性能を有し、液体透過性と送液安定性にも優れていた。
上記の製造条件を表1に示し、得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を表2に示す。なお、以下の実施例および比較例についても同様に、表1,2にまとめて示す。
実施例1において、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)8重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)24重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いて、ポリエチレン樹脂総量の濃度が32重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン53重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)15重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製し、押出により得られたゲル状シートを長手方向に4倍、横方向に15倍で延伸した以外は同様にポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径3nmの金コロイド粒子の捕集率が90%以上の優れた捕集性能を有し、液体透過性と送液安定性にも優れていた。
重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)14重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)6重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が20重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン55重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)25重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製した。
このポリエチレン溶液を温度160℃でダイよりシート状に押出し、ついで前記押出物を水浴中で25℃で冷却するとともに、水浴の表層に水流を設け、水浴中でゲル化したシートの中から放出されて水面に浮遊する混合溶剤がシートに再び付着しないようにしながら、ゲル状シート(ベーステープ)を作製した。該ベーステープを55℃で10分、さらに、95℃で10分乾燥してデカリンをベーステープ内から除去した後、引き続き、85℃に加熱したローラー上を20kgf/mの押圧を掛けながら搬送させて、ベーステープ内から流動パラフィンの一部を除去した。その後、該ベーステープを長手方向に温度100℃にて倍率5倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度100℃にて倍率14倍で延伸し、その後直ちに128℃で熱処理(熱固定)を行った。
次にこれを2槽に分かれた塩化メチレン浴にそれぞれ30秒間ずつ連続してベーステープを浸漬させながら、流動パラフィンを抽出した。なお、浸漬を開始する側を第1槽とし、浸漬を終了する側を第2槽とした場合の洗浄溶媒の純度は(低)第1層<第2槽(高)である。その後、45℃で塩化メチレンを乾燥除去し、110℃に加熱したローラー上を搬送させながらアニール処理をすることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径30nmのポリスチレン粒子の捕集率が90%以上の優れた捕集性能を有し、かつ、優れた透水性能と送液安定性(透水量変化率10%以下)を有していた。
実施例3において、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)20重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)5重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いて、ポリエチレン樹脂総量の濃度が25重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン50重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)25重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製した。このポリエチレン溶液を実施例3と同様に押出し、得られたゲル状シート(ベーステープ)を加熱乾燥した後に、引き続き95℃に加熱したローラー上を10kgf/mの押圧を掛けながら搬送させて、ゲル状シート内から流動パラフィンの一部を除去した以外は同様にしてポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径30nmのポリスチレン粒子の捕集率が90%以上の優れた捕集性能を有し、かつ優れた透水性能と送液安定性(透水量変化率10%以下)を有していた。
重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)3重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)12重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が15重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン60重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)25重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製した。
このポリエチレン溶液を温度160℃でダイよりシート状に押出し、ついで前記押出物を水浴中で25℃で冷却するとともに、水浴の表層に水流を設け、水浴中でゲル化したシートの中から放出されて水面に浮遊する混合溶剤がシートに再び付着しないようにしながら、ゲル状シート(ベーステープ)を作製した。該ベーステープを55℃で10分、さらに、95℃で10分乾燥してデカリンをシート内から除去した後、引き続き、85℃に加熱したローラー上を20kgf/mの押圧を掛けながら搬送させて、ゲル状シート内から流動パラフィンの一部を除去した。その後、該ベーステープを長手方向に温度100℃にて倍率6倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度100℃にて倍率12倍で延伸し、その後直ちに136℃で熱処理(熱固定)を行った。
次にこれを2槽に分かれた塩化メチレン浴にそれぞれ30秒間ずつ連続して浸漬させながら、流動パラフィンを抽出した。なお、浸漬を開始する側を第1槽とし、浸漬を終了する側を第2槽とした場合の洗浄溶媒の純度は(低)第1層<第2槽(高)である。その後、45℃で塩化メチレンを乾燥除去し、110℃に加熱したローラー上を搬送させながらアニール処理をすることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径70nmのポリスチレン粒子の捕集率が90%以上の優れた捕集性能を有し、かつ、優れた透水性能と送液安定性(透水量変化率10%以下)を有していた。
実施例5において、二軸延伸した後の熱処理(熱固定)温度を142℃とした以外は同様にしてポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径70nmのポリスチレン粒子の捕集率が80%以上の優れた捕集性能を有し、かつ、優れた透水性能と送液安定性(透水量変化率10%以下)を有していた。
実施例1において、押出工程での吐出量をおおよそ2分の1に調整し、二軸延伸した後の熱処理(熱固定)温度を124℃とした以外は同様にして厚み5μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径3nmの金コロイド粒子の捕集率が80%以上の優れた捕集性能を有し、かつ優れた送液安定性を有するポリオレフィン微多孔膜であった。
実施例5において、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)0.5重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)4.5重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いて、ポリエチレン樹脂総量の濃度が5重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン70重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)25重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製した。このポリエチレン溶液を用い、熱処理(熱固定)温度を144℃にした以外は実施例5と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、バブルポイントが低く、透水性能が過度に高く、粒径70nmのポリスチレン粒子の捕集率が80%未満で捕集性能が不十分であった。
実施例1において、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)32重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)8重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いて、ポリエチレン樹脂総量の濃度が40重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン60重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製し、延伸後の熱処理(熱固定)温度を105℃とした以外は、同様にポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、バブルポイントが過度に高く、かつ、送液安定性が不十分であり、液体フィルター用基材として適さなかった。
実施例1において、押出工程での吐出量を、おおよそ2分の1に調整して押出したゲル状シートを長手方向に温度100℃にて倍率7倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度100℃にて倍率20倍で延伸した以外は、実施例1と同様にして、厚み3μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径70nmのポリスチレン粒子の捕集率が80%未満で捕集性能が不十分であった。また、ハンドリング性に乏しく、さらには破膜し易く、送液安定性が不十分であり、液体フィルター用基材として適さなかった。
実施例1において、押出シートを長手方向に温度100℃にて倍率4倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度100℃にて倍率8倍で延伸した以外は、実施例1と同様にして、厚み20μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径70nmのポリスチレン粒子の捕集率が90%以上の優れた捕集性能を有するが、その一方で、バブルポイントが過度に高く、送液安定性が不十分であり、液体フィルター用基材として適さなかった。
Claims (5)
- ポリオレフィン微多孔膜からなる液体フィルター用基材であって、
前記ポリオレフィン微多孔膜の厚さが4〜16μmであり、
前記ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントが0.40MPa以上0.80MPa以下であり、
前記ポリオレフィン微多孔膜は、130℃で1時間熱処理を行った後の幅方向の熱収縮率が20%以上である、
液体フィルター用基材。 - ポリオレフィン微多孔膜からなる液体フィルター用基材であって、
前記ポリオレフィン微多孔膜の厚さが4〜16μmであり、
前記ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントが0.40MPa以上0.80MPa以下であり、
前記ポリオレフィン微多孔膜の圧縮率が15%未満である、
液体フィルター用基材。 - 前記ポリオレフィン微多孔膜は、孔閉塞温度が140℃よりも高いものである、請求項1または2に記載の液体フィルター用基材。
- 前記ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が46〜60%である、請求項1〜3のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
- 前記ポリオレフィン微多孔膜の透水性能が0.10〜2.90ml/min・cm 2 である、請求項1〜4のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
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