以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[画像形成装置1の構成]
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図3は、第1の実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す。図2、3に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図3に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40(本発明の「トナー供給部」に対応)、用紙搬送部50、定着部60、及び制御部100を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図2では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばドラム径が80[mm]のアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
制御部100が感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413は一定の周速度で回転する。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。感光体ドラム413(感光体)を含むドラムユニットには、潤滑剤塗布ブラシで削り取り粉体となった潤滑剤を感光体ドラム413に塗布する潤滑剤塗布装置が設けられる。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部における中間転写ベルト421の走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に体積抵抗率が8〜11[logΩ・cm]である高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部100からの制御信号によって回転駆動される。なお、中間転写ベルト421については、導電性および弾性を有するものであれば、材質、厚さおよび硬度を限定しない。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるローラー423B(以下「バックアップローラー423B」と称する)に対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421(本発明の「像担持体」に対応)の表面に残留する転写残トナーを除去する。ベルトクリーニング装置426の具体的な構成については後述する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
定着部60は、用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材又は裏面側支持部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニットが配置されていても良い。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
[ベルトクリーニング装置426の要部構成]
次に、図4を参照し、ベルトクリーニング装置426の要部構成について説明する。ベルトクリーニング装置426は、クリーニングブレード80、スクレーパー82、スクレーパー支持板金84、トナー飛散防止部材86、廃トナースクリュー88およびケーシング90を備えている。クリーニングブレード80、スクレーパー82、スクレーパー支持板金84、トナー飛散防止部材86および廃トナースクリュー88は、ケーシング90内に設けられている。
中間転写ベルト421は、制御部100の制御を受けた駆動部75(例えば、モーター)によって、正回転および逆回転可能に構成されている。中間転写ベルト421は、画像形成装置100の画像形成処理時(印刷ジョブの実行時)において、所定の回転速度(例えば、460[mm/s])で図中矢印方向(正回転方向)に回転する。
クリーニングブレード80は、クリーニングブレード80を支持する支持板金(図示せず)に取り付けられている。クリーニングブレード80は、中間転写ベルト421の表面に当接して、中間転写ベルト421の表面に残留するトナーを含む異物(用紙Sの紙粉、トナーに含まれる外添剤や潤滑剤等の凝集物)を掻き取って除去する。クリーニングブレード80により除去された異物は、ケーシング90の下方に落下して廃トナースクリュー88により回収される。廃トナースクリュー88により回収された異物は、ベルトクリーニング装置426の一箇所に収集されて廃棄される。
クリーニングブレード80は、中間転写ベルト421の正回転方向(画像形成処理時の回転方向)に対してカウンター方向に、クリーニングブレード80の先端部(ブレードエッジ部)を中間転写ベルト421の表面に当接させている。クリーニングブレード80の材質は、例えばウレタンゴム(硬度:74[度]、反発弾性率:23[%])であるが、その他、任意の弾性材料を用いても良い。
スクレーパー82は、中間転写ベルト421の正回転方向におけるクリーニングブレード80の上流側に設けられる。スクレーパー82は、厚さが0.2[mm]、自由長が6[mm]である。スクレーパー82の材料としては、例えばPETが用いられる。
スクレーパー82は、スクレーパー82を支持するスクレーパー支持板金84に取り付けられている。スクレーパー支持板金84は、制御部100の制御を受けた駆動部77(例えば、モーター)によって、図中時計回り方向および図中反時計回り方向に、回転可能に構成されている。スクレーパー支持板金84が図中時計回り方向に回転することによって、スクレーパー82の先端部は、中間転写ベルト421の正回転方向に対してトレイル方向に、中間転写ベルト421の表面に当接する。図4は、スクレーパー82の先端部が中間転写ベルト421の表面に当接した状態を示している。スクレーパー82の中間転写ベルト421への当接角は、例えば30[°]である。スクレーパー82の中間転写ベルト421に対する食い込み量は、例えば0.3[mm]である。一方、スクレーパー支持板金84が図中反時計回り方向に回転することによって、スクレーパー82の先端部は、中間転写ベルト421の表面から離間する。なお、駆動部77およびスクレーパー支持板金84は、本発明の当接離間部に対応する。
トナー飛散防止部材86(飛散防止シート)は、中間転写ベルト421の正回転方向におけるスクレーパー82の上流側に、中間転写ベルト421の表面に当接するように設けられる。トナー飛散防止部材86は、クリーニングブレード80で除去されたトナーの飛散を防止することにより、当該トナーがベルトクリーニング装置426の外部へ漏れることを防止する。
中間転写ベルト421の回転方向において、中間転写ベルト421とクリーニングブレード80との当接位置P1から中間転写ベルト421とスクレーパー82との当接位置P2までの距離L1は、例えば3[mm]である。また、中間転写ベルト421の回転方向において、中間転写ベルト421とスクレーパー82との当接位置P2から中間転写ベルト421とトナー飛散防止部材86との当接位置P3までの距離L2は、例えば7[mm]である。
次に、図5のフローチャートを参照し、第1の実施の形態において、画像形成装置1の異物除去制御動作について説明する。異物除去制御動作は、画像形成処理が継続されることによって、クリーニングブレード80のブレードエッジ部(先端部)と中間転写ベルト421の表面との間に挟まった異物110(図4を参照)を除去するため、中間転写ベルト421を逆転させる制御動作である。ステップS100の処理は、例えば印刷ジョブの実行が終了することにより開始する。
まず、制御部100は、駆動部75を制御し、中間転写ベルト421の正回転方向への回転駆動を停止する(ステップS100)。次に、制御部100は、駆動部77を制御し、スクレーパー82の先端部を中間転写ベルト421の表面に当接させる(ステップS120)。
次に、制御部100は、駆動部75を制御し、中間転写ベルト421とクリーニングブレード80との当接位置P1から中間転写ベルト421とスクレーパー82との当接位置P2までの距離L1以上、中間転写ベルト421を逆回転させる(ステップS140)。これにより、クリーニングブレード80と中間転写ベルト421との間に挟まった異物110は、中間転写ベルト421の逆回転によりスクレーパー82まで移動し(ブレードエッジ部のリフレッシュ)、中間転写ベルト421の逆回転方向に対してカウンター方向で中間転写ベルト421に当接するスクレーパー82により掻き取られて除去される。スクレーパー82により除去された異物110は、ケーシング90の下方に落下して廃トナースクリュー88により回収される。
最後に、制御部100は、駆動部77を制御し、スクレーパー82の先端部を中間転写ベルト421の表面から離間させる(ステップS160)。その後、画像形成装置1は、図5における処理を終了する。画像形成装置1の異物除去制御動作が終了した後、新たな印刷ジョブの実行が開始することにより、制御部100は、駆動部75を制御し、中間転写ベルト421の正回転方向への回転駆動を再開する。
以上詳しく説明したように、第1の実施の形態では、画像形成装置1は、正回転および逆回転可能な中間転写ベルト421と、中間転写ベルト421に当接し、当該中間転写ベルト421上に残留するトナーを除去するクリーニングブレード80と、中間転写ベルト421を正回転方向または逆回転方向に回転駆動する駆動部75と、中間転写ベルト421の正回転方向におけるクリーニングブレード80の上流側に、中間転写ベルト421に当接するように設けられ、クリーニングブレード80で除去されたトナーの飛散を防止するトナー飛散防止部材86と、中間転写ベルト421の正回転方向におけるクリーニングブレード80の上流側かつトナー飛散防止部材86の下流側に設けられ、中間転写ベルト421の正回転方向に対してトレイル方向で中間転写ベルト421に当接するスクレーパー82と、中間転写ベルト421の正回転方向への回転駆動を停止した後に、中間転写ベルト421とクリーニングブレード80との当接位置P1から中間転写ベルト421とスクレーパー82との当接位置P2までの距離L1以上、中間転写ベルト421を逆回転させるように駆動部75を制御する制御部100とを備える。
このように構成した第1の実施の形態によれば、クリーニングブレード80と中間転写ベルト421との間に挟まった異物110は、中間転写ベルト421の逆回転によりスクレーパー82まで移動し、当該スクレーパー82により掻き取られて除去される。そのため、中間転写ベルト421が再び正回転した際に、クリーニングブレード80のブレードエッジ部に異物110が再び突入することはなく、クリーニングブレード80と中間転写ベルト421との間に異物110が再び挟み込まれることを防止することができる。したがって、クリーニングブレード80と中間転写ベルト421との間をトナーがすり抜けるクリーニング不良の発生を確実に防止することができる。
また、第1の実施の形態では、制御部100は、中間転写ベルト421を逆回転させる場合にスクレーパー82を中間転写ベルト421に当接させる一方、中間転写ベルト421を逆回転させない場合にスクレーパー82を中間転写ベルト421から離間させる。これにより、例えば、画像形成装置1の画像形成処理時等の中間転写ベルト421を逆回転させない場合に、中間転写ベルト421上に残留したトナーについてクリーニングブレード80のブレードエッジ部に供給される量が少なくなり、当該トナーが好適に除去されないことを防止することができる。
また、第1の実施の形態では、中間転写ベルト421の回転方向において、中間転写ベルト421とスクレーパー82との当接位置P2から中間転写ベルト421とトナー飛散防止部材86との当接位置P3までの距離L2は、中間転写ベルト421とクリーニングブレード80との当接位置P1から中間転写ベルト421とスクレーパー82との当接位置P2までの距離L1より長い。これにより、クリーニングブレード80と中間転写ベルト421との間に挟まった異物110がスクレーパー82に当たるまで、中間転写ベルト421が逆回転した場合に、スクレーパー82が中間転写ベルト421に当接する部分に溜まっているトナーが、中間転写ベルト421とトナー飛散防止部材86との当接位置P3をすり抜けて、ベルトクリーニング装置426の外部へ漏れることを防止することができる。
以下、第2の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図6は、第2の実施の形態に係るベルトクリーニング装置の要部構成を示す図である。図6に示すように、ベルトクリーニング装置426は、図4のベルトクリーニング装置426と比べて、トナー貯留ローラー92、貯留ペット94および貯留ペット支持板金96をさらに備えている。なお、第1の実施の形態における各部構成と同様のものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
中間転写ベルト421の正回転方向におけるクリーニングブレード80の上流側には、クリーニングブレード80により掻き取られたトナー120(廃トナーともいう)を一時的に貯留するトナー貯留部98が形成される。トナー貯留部98は、トナー貯留ローラー92、貯留ペット94および中間転写ベルト421により形成される空間である。中間転写ベルト421が正回転方向に回転することに伴い、トナー貯留部98に貯留されたトナー120がクリーニングブレード80側に運ばれて、トナー120に含まれる外添剤がクリーニングブレード80に供給される。これにより、クリーニングブレード80と中間転写ベルト421との摺接を滑らかにし、過大な摩擦力によるクリーニングブレード80の損傷を防止することができる。
工場からの出荷直後や、メンテナンス作業でベルトクリーニング装置426を交換した後には、中間転写ベルト421に最大印字幅で所定長のベタ画像を形成し、未転写のままクリーニングブレード80まで到達させ、除去させることにより、トナー貯留部98に適量のトナー120が貯留された状態とされる。その後、画像形成において適度の転写残トナーが発生し、トナー貯留部98に常時一定量のトナー120が貯留されることとなる。
貯留ペット94は、貯留ペット94を支持する貯留ペット支持板金96に両面テープ等により固定される。貯留ペット94は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)からなる可撓性部材である。貯留ペット94の一端側は、下方に垂れ、トナー貯留ローラー92の表面に接触している。中間転写ベルト421と貯留ペット94とによってトナー貯留ローラー92は狭持された状態となる。
トナー貯留ローラー92は、中間転写ベルト421の正回転方向における中間転写ベルト421とクリーニングブレード80との当接位置P1よりも上流側において、中間転写ベルト421に当接された状態で、回転可能に配置される。トナー貯留ローラー92には、例えばスポンジローラー、ゴムローラーまたは樹脂ローラーを適用できる。なお、トナー貯留ローラー92は、駆動モーターに接続され中間転写ベルト421とは独立して回転できるように構成されても良いし、中間転写ベルト421の走行に伴い連れ回りするように構成されても良い。
トナー貯留部98に貯留されたトナー120は、トナー貯留ローラー92の回転に伴い少量ずつ貯留ペット94との隙間を抜けて、ケーシング90の下方に落下する。ケーシング90の下方に落下したトナー120は、廃トナースクリュー88により回収される。廃トナースクリュー88により回収されたトナー120は、ベルトクリーニング装置426の一箇所に収集されて廃棄される。
また、トナー貯留部98は、貯留されたトナー120の量が増加すると、強制的に排出する構成を有する。例えば、トナー貯留部98には、トナー120の嵩が高くなると貯留ペット94の他端側(貯留ペット支持板金96側)の近傍に形成された開口(図示略)からトナー120が漏れ出す構成を適用できる。また例えば、トナー貯留部98には、貯留されたトナー120が一定量を超えると、圧力により貯留ペット94とトナー貯留ローラー92との当接状態が解放され、トナー120が毀れ落ちる圧力調整弁のような構成を適用できる。
トナー飛散防止部材86は、中間転写ベルト421の正回転方向におけるトナー貯留ローラー92の上流側に配設され、トナー貯留ローラー92から廃トナースクリュー88に送られるトナー120がベルトクリーニング装置426の外部へ漏れることを防止している。
中間転写ベルト421の回転方向において、中間転写ベルト421とクリーニングブレード80との当接位置P1から中間転写ベルト421とスクレーパー82との当接位置P2までの距離L1は、例えば5[mm]である。また、中間転写ベルト421の回転方向において、中間転写ベルト421とトナー貯留ローラー92との当接位置P3から中間転写ベルト421とトナー飛散防止部材86との当接位置P4までの距離L3は、例えば10[mm]である。
次に、図7のフローチャートを参照し、第2の実施の形態において、画像形成装置1の異物除去制御動作について説明する。ステップS200の処理は、例えば印刷ジョブの実行が終了することにより開始する。
まず、制御部100は、駆動部75を制御し、中間転写ベルト421の正回転方向への回転駆動を停止する(ステップS200)。次に、制御部100は、駆動部77を制御し、スクレーパー82の先端部を中間転写ベルト421の表面に当接させる(ステップS220)。
次に、制御部100は、駆動部75を制御し、中間転写ベルト421とクリーニングブレード80との当接位置P1から中間転写ベルト421とスクレーパー82との当接位置P2までの距離L1以上、中間転写ベルト421を逆回転させる(ステップS240)。これにより、クリーニングブレード80と中間転写ベルト421との間に挟まった異物110は、中間転写ベルト421の逆回転によりスクレーパー82まで移動し、中間転写ベルト421の逆回転方向に対してカウンター方向で中間転写ベルト421に当接するスクレーパー82により掻き取られて除去される。スクレーパー82により除去された異物110は、トナー貯留部98に貯留されるトナー120に取り込まれる。そのため、その後、中間転写ベルト421が正回転した際に異物110が再びクリーニングブレード80と中間転写ベルト421との間に挟み込まれることを防止することができる。
次に、制御部100は、中間転写ベルト421の使用履歴(例えば、走行距離)に応じて、トナー貯留部98に貯留されているトナー120を排出する排出タイミングであるか否かについて判定する(ステップS260)。ここで、排出タイミングとは、画像形成処理時においてクリーニングブレード80のブレードエッジ部に突入する異物110の量が多くなり、その結果として、トナー貯留部98に貯留されるトナー120に取り込まれる異物110(すなわち、スクレーパー82により除去された異物110)の量が多くなると予測されるタイミングである。
本実施の形態では、制御部100は、前回の排出タイミングから、中間転写ベルト421の走行距離が300[m]を超えている場合に排出タイミングであると判定する一方、300[m]を超えていない場合に排出タイミングでないと判定する。
なお、制御部100は、画像形成条件に応じて、排出タイミングを変更することが好ましい。例えば、通紙する用紙Sの紙種に応じて、排出タイミングを変更しても良い。具体的には、用紙Sの紙種がコート紙である場合に、中間転写ベルト421の走行距離が300[m]を超えている場合を基本条件(以下、同じ)として、基本条件の5倍(中間転写ベルト421の走行距離が1500[m]を超えている場合)の間隔(中間転写ベルト421の使用履歴の間隔)に排出タイミングを変更する。コート紙の場合、紙粉の発生量が少なく、クリーニングブレード80が中間転写ベルト421に当接する部分に異物が溜まりにくいからである。
また、プリントモードに応じて、排出タイミングを変更しても良い。具体的には、プリントモードがモノクロモードである場合に、基本条件の4倍(中間転写ベルト421の走行距離が1200[m]を超えている場合)の間隔に排出タイミングを変更する。モノクロモードの場合、感光体ドラム413から中間転写ベルト421に転移する潤滑剤の量がカラーモードの場合の1/4と少なく、クリーニングブレード80が中間転写ベルト421に当接する部分に異物が溜まりにくいからである。
また、図8に示すように、画像形成装置1内の温度に応じて、排出タイミングを変更しても良い。具体的には、温度が15[℃]未満である場合には、排出タイミングを基本条件のまま(基本条件の1倍)とする。一方、温度が15[℃]以上35[℃]未満である場合には、基本条件の2倍(中間転写ベルト421の走行距離が600[m]を超えている場合)の間隔に排出タイミングを変更する。また、温度が35[℃]以上である場合には、基本条件の3倍(中間転写ベルト421の走行距離が900[m]を超えている場合)の間隔に排出タイミングを変更する。低温環境では、潤滑剤を掻き取る潤滑剤塗布ブラシが硬くなるため、感光体ドラム413への滑剤塗布量が多くなり、感光体ドラム413から中間転写ベルト421への転移量が多くなる一方、高温環境では、潤滑剤塗布ブラシが柔らかくなるため、感光体ドラム413への滑剤塗布量が少なくなり、感光体ドラム413から中間転写ベルト421への転移量が少なくなるからである。
また、図9に示すように、画像形成装置1内の湿度に応じて、排出タイミングを変更しても良い。具体的には、湿度が10[%]未満である場合には、排出タイミングを基本条件のまま(基本条件の1倍)とする。一方、湿度が10[%]以上50[%]未満である場合には、基本条件の1.5倍(中間転写ベルト421の走行距離が450[m]を超えている場合)の間隔に排出タイミングを変更する。また、湿度が50[%]以上80[%]未満である場合には、基本条件の2倍(中間転写ベルト421の走行距離が600[m]を超えている場合)の間隔に排出タイミングを変更する。また、湿度が80[%]以上である場合には、基本条件の3倍(中間転写ベルト421の走行距離が900[m]を超えている場合)の間隔に排出タイミングを変更する。低湿環境では、潤滑剤塗布ブラシが硬くなるため、感光体ドラム413への滑剤塗布量が多くなり、感光体ドラム413から中間転写ベルト421への転移量が多くなる一方、高湿環境では、潤滑剤塗布ブラシが柔らかくなるため、感光体ドラム413への滑剤塗布量が少なくなり、感光体ドラム413から中間転写ベルト421への転移量が少なくなるからである。なお、図8,9を参照し、LL環境(温度:15[℃]未満、湿度:10[%]未満)では、排出タイミングを基本条件の1倍(=1×1)とする一方、HH環境(温度:35[℃]以上、湿度:80[%]以上)では、排出タイミングを基本条件の9倍(=3×3)の間隔に変更しても良い。
ステップS260における判定の結果、排出タイミングでない場合(ステップS260、NO)、処理はステップS320に遷移する。一方、排出タイミングである場合(ステップS260、YES)、制御部100は、画像形成処理が中断した際に、トナー貯留部98に貯留されているトナー120を排出させる制御動作を行う(ステップS280)。
例えば、図10に示すように、貯留ペット支持板金96を回転させることによりトナー貯留部98に貯留されているトナー120を排出させても良い。この場合、貯留ペット支持板金96は、制御部100の制御命令を受けた駆動モーターによって回転可能に構成されている。図10Aは、貯留ペット支持板金96を回転させる前の状態を示している。図10Bは、貯留ペット支持板金96を図中矢印方向に回転させた後の状態を示している。図10Bに示すように、トナー貯留部98に貯留されているトナー120および異物110は、トナー貯留ローラー92の回転に伴い少量ずつ貯留ペット94との隙間を抜けて、ケーシング90の下方に落下する。
また、図11に示すように、トナー貯留ローラー92を中間転写ベルト421の表面から離間させることにより、トナー貯留部98に貯留されているトナー120を落下させて排出させても良い。図11Aは、トナー貯留ローラー92の回転駆動を停止させた後、カム等の公知手段を用いてトナー貯留ローラー92を中間転写ベルト421の表面から図中矢印方向に離間させた直後の状態を示している。図11Bは、トナー貯留部98に貯留されているトナー120および異物110がケーシング90の下方に落下している状態を示している。
また、図12に示すように、トナー貯留ローラー92を中間転写ベルト421の表面から離間させ、トナー貯留ローラー92を逆回転させることにより、トナー貯留部98に貯留されているトナー120を効率良く落下させて排出させても良い。図12Aは、トナー貯留ローラー92の回転駆動を停止させた後、カム等の公知手段を用いてトナー貯留ローラー92を中間転写ベルト421の表面から図中矢印方向に離間させた直後の状態を示している。図12Bは、トナー貯留ローラー92を図中矢印方向に逆回転させることにより、トナー貯留部98に貯留されているトナー120および異物110がケーシング90の下方に落下している状態を示している。
また、図13に示すように、トナー貯留ローラー92の回転速度を通常時より増大させることによりトナー貯留部98に貯留されているトナー120を排出させても良い。図13Aは、トナー貯留ローラー92の回転速度を通常時より増大させた直後の状態を示している。図13Bは、トナー貯留ローラー92の回転速度を増大させ続けている状態を示している。図13A,13Bに示すように、トナー貯留部98に貯留されているトナー120および異物110は、トナー貯留ローラー92の回転に伴い少量ずつ貯留ペット94との隙間を抜けて、ケーシング90の下方に落下する。
次に、制御部100は、画像形成部40を制御して中間転写ベルト421に新たなトナー120を供給させることによって、トナー貯留部98に一定量のトナー120を貯留させる(ステップS300)。トナー120の排出後も、トナー貯留部98に貯留された新たなトナー120がクリーニングブレード80側に運ばれて、トナー120に含まれる外添剤がクリーニングブレード80に供給されるようにするためである。その後、処理はステップS320に遷移する。
ステップS320では、制御部100は、駆動部77を制御し、スクレーパー82の先端部を中間転写ベルト421の表面から離間させる。その後、画像形成装置1は、図7における処理を終了する。画像形成装置1の異物除去制御動作が終了した後、新たな印刷ジョブの実行が開始することにより、制御部100は、駆動部75を制御し、中間転写ベルト421の正回転方向への回転駆動を再開する。
以上詳しく説明したように、第2の実施の形態では、画像形成装置1は、クリーニングブレード80により掻き取られたトナー120を貯留するトナー貯留部98をさらに備える。制御部100は、中間転写ベルト421を逆回転させた後、トナー貯留部98に貯留されているトナー120を排出させる。
このように構成した第2の実施の形態によれば、クリーニングブレード80と中間転写ベルト421との間に挟まった異物110は、中間転写ベルト421の逆回転によりスクレーパー82まで移動し、当該スクレーパー82により掻き取られて除去される。スクレーパー82により除去された異物110は、トナー貯留部98に貯留されるトナー120に取り込まれ、トナー120とともに排出される。そのため、中間転写ベルト421が再び正回転した際に、クリーニングブレード80のブレードエッジ部に異物110が再び突入することはなく、クリーニングブレード80と中間転写ベルト421との間に異物110が再び挟み込まれることを防止することができる。したがって、クリーニングブレード80と中間転写ベルト421との間をトナーがすり抜けるクリーニング不良の発生を確実に防止することができる。
また、第2の実施の形態では、中間転写ベルト421の回転方向において、中間転写ベルト421とトナー貯留ローラー92との当接位置P3から中間転写ベルト421とトナー飛散防止部材86との当接位置P4までの距離L3は、中間転写ベルト421とクリーニングブレード80との当接位置P1から中間転写ベルト421とスクレーパー82との当接位置P2までの距離L1より長い。これにより、クリーニングブレード80と中間転写ベルト421との間に挟まった異物がスクレーパー82に当たるまで、中間転写ベルト421が逆回転した場合に、トナー貯留ローラー92が中間転写ベルト421に当接する部分に溜まっているトナー120が、中間転写ベルト421とトナー飛散防止部材86との当接位置P4をすり抜けて、ベルトクリーニング装置426の外部へ漏れることを防止することができる。
なお、上記第1および第2の実施の形態では、中間転写ベルト421が本発明の「像担持体」に対応する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、感光体ドラム413が本発明の「像担持体」に対応しても良い。また、画像形成装置1が中間転写ベルト421上のトナーを用紙Sに転写するための2次転写ローラーまたは2次転写ベルトを備えている場合には、当該2次転写ローラーまたは2次転写ベルトが本発明の「像担持体」に対応しても良い。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。