以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るプリンター100(画像形成装置)の斜視図である。図3は、図1および図2に示されるプリンター100の内部構造を概略的に示す断面図である。図1乃至図3に示される画像形成装置としてのプリンター100は、いわゆるモノクロプリンター機であるが、他の実施形態において、画像形成装置は、カラープリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。尚、以下の説明で用いられる「上」や「下」、「前」や「後」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置の原理を何ら限定するものではない。
プリンター100は、シートSに画像を形成するための様々な装置を収容する筐体101を備える。筐体101は、筐体101の上面を規定する上壁102と、筐体101の底面を規定する底壁103(図3)と、上壁102と底壁103との間の本体後壁105(図3)と、本体後壁105の前方に位置する本体前壁104と、を含む。筐体101は、各種の装置が配置される本体内部空間107を備える。筐体101の本体内部空間107には、シートSが所定の搬送方向に搬送されるシート搬送路PPが延設されている。また、プリンター100は、筐体101に対して開閉自在に装着される開閉カバー100Cを備える。
開閉カバー100Cは、本体前壁104の上方部分である前壁上方部104Bと、上壁102の前方部分である上壁前方部102Bとから構成される。また、開閉カバー100Cは、左右方向の両端部に配置された一対のアーム部108に配置される不図示のヒンジ軸を支点として、上下方向に開閉可能とされる(図2)。開閉カバー100Cの開状態において、本体内部空間107の上方が外部に開放される。一方、開閉カバー100Cの閉状態において、本体内部空間107の上方が、閉塞される。
上壁102の中央部には、排紙部102Aが配置される。排紙部102Aは、上壁102の前方部分から後方部分にかけて、下方に傾斜した傾斜面からなる。排紙部102Aには、後記の画像形成部120において、画像が形成されたシートSが排出される。また、本体前壁104の上下方向の中央部には、手差しトレイ104Aが配置される。手差トレイ104Aは、下端を支点として、上下に回動可能である(図3の矢印DT)。
図3を参照して、プリンター100は、カセット110と、ピックアップローラー112と、第1給紙ローラー113と、第2給紙ローラー114と、搬送ローラー115と、レジストローラー対116と、画像形成部120と、定着装置130とを備える。
カセット110は、内部にシートSを収容する。カセット110は、リフト板111を備える。リフト板111は、シートSの先頭縁を押し上げるように傾斜する。カセット110は、筐体101に対して、前方に引き出し可能とされる。
ピックアップローラー112は、リフト板111によって押し上げられたシートSの先頭縁上に配置される。ピックアップローラー112が回転すると、シートSはカセット110から引き出される。
第1給紙ローラー113は、ピックアップローラー112の下流に配設され、シートSを更に下流に送り出す。第2給紙ローラー114は、手差しトレイ104Aの支点の内側(後側)に配設され、手差トレイ104A上のシートSを筐体101内に引き込む。
搬送ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114のシート搬送方向(以下、単に搬送方向ともいう)の下流(以下、単に下流ともいう)に配設される。搬送ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114によって送り出されたシートSを更に下流へ搬送する。
レジストローラー対116は、シートSの斜め搬送を矯正する機能を有する。これにより、シートS上に形成される画像の位置が調整される。レジストローラー対116は、画像形成部120による画像形成のタイミングに合わせて、シートSを画像形成部120に供給する。
画像形成部120は、感光体ドラム121(像担持体)と、帯電器122と、露光装置123と、現像装置20と、トナーコンテナ30(現像剤収容容器)と、転写ローラー126(転写部)と、クリーニング装置127とを備える。
感光体ドラム121は、円筒形状を有する。感光体ドラム121は、静電潜像が形成される表面を有するとともに、前記表面に該静電潜像に応じたトナー画像(現像剤像)を担持する。帯電器122は、所定の電圧が印加され、感光体ドラム121の周面を略一様に帯電させる。
露光装置123は、帯電器122によって帯電された感光体ドラム121の周面に、レーザー光を照射する。該レーザー光は、プリンター100に通信可能に接続されたパーソナルコンピューターなどの外部装置(図示せず)から出力された画像データに従って、照射される。この結果、感光体ドラム121の周面には、画像データに対応する静電潜像が形成される。
現像装置20は、静電潜像が形成された感光体ドラム121の周面にトナーを供給する。トナーコンテナ30は、現像装置20へトナーを補給する。トナーコンテナ30は、現像装置20に対して着脱自在に配設されている。現像装置20がトナーを感光体ドラム121に供給すると、感光体ドラム121の周面に形成された静電潜像が現像(可視化)される。この結果、感光体ドラム121の周面に、トナー画像(現像剤像)が形成される。
転写ローラー126は、感光体ドラム121の下方においてシート搬送路PPを挟んで感光体ドラム121に対向して配置される。転写ローラー126は、感光体ドラム121との間で転写ニップ部Nを形成し、トナー画像をシートSに転写させる。
クリーニング装置127は、シートSへトナー画像が転写された後に、感光体ドラム121の周面に残るトナーを除去する。
定着装置130は、画像形成部120よりも搬送方向下流側に配置され、シートS上のトナー画像を定着させる。定着装置130は、シートS上のトナーを溶融させる加熱ローラー131と、シートSを加熱ローラー131に密着させる圧力ローラー132と、を備える。
プリンター100は、定着装置130の下流に配設された搬送ローラー対133と、搬送ローラー対133の下流に配設された排出ローラー対134と、送受信部100Vと、表示部90(図12)と、を更に備える(図3)。シートSは、搬送ローラー対133によって上方に搬送され、最終的に、排出ローラー対134によって、筐体101から排出される。筐体101から排出されたシートSは、排紙部102A上に積み重ねられる。
送受信部100Vは、後記の記憶部31Vに移動壁34の位置情報およびトナーの残量情報を書き込むとともに、記憶部31Vから位置情報および残量情報を読み取る。送受信部100Vには、RFID(Radio Frequency Identification)技術が適用され、記憶部31Vへの読み取りおよび書き込みが可能とされている。表示部90は、プリンター100の各種操作情報に加え、後記の残量判定部53によって判定されたトナーコンテナ30内のトナー残量情報を表示する液晶画面である。
<現像装置について>
図4は、現像装置20の内部構造を示す平面図である。現像装置20は、一方向(現像ローラー21の軸方向、左右方向)に長尺の箱形形状を有する現像ハウジング210を備える。該現像ハウジング210は、貯留空間220を有する。貯留空間220には、現像ローラー21と、第1攪拌スクリュー23および第2攪拌スクリュー24と、トナー補給口25とが配設されている。本実施形態では、一成分現像方式が適用され、この貯留空間220には、トナーが現像剤として充填されている。一方、二成分現像方式の場合、トナーと磁性体からなるキャリアとが混合されたものが、現像剤として充填される。トナーは、貯留空間220内において攪拌搬送され、静電潜像を現像するために、逐次現像ローラー21から感光体ドラム121に供給される。
現像ローラー21は、現像ハウジング210の長尺方向に延設される円筒形状を有し、外周に回転駆動されるスリーブ部分を有する。
現像ハウジング210の貯留空間220は、不図示の天板によって覆われるとともに、左右方向に延びる仕切り板22によって、左右方向に長尺の第1搬送路221と第2搬送路222とに区画されている。仕切り板22は、現像ハウジング210の左右方向の幅よりも短く、仕切り板22の左端及び右端には、第1搬送路221と第2搬送路222とをそれぞれ連通させる第1連通路223及び第2連通路224が備えられている。これにより、貯留空間220には、第1搬送路221、第2連通路224、第2搬送路222及び第1連通路223に至る循環経路が形成される。トナーは、該循環経路内を図4において反時計回りに搬送される。
トナー補給口25(現像剤受入口)は、前記天板に穿孔された開口部であり、第1搬送路221の左端付近の上方に配置されている。トナー補給口25は、上記の循環経路に対向して配置され、トナーコンテナ30から補給される補給トナー(補給現像剤)を貯留空間220に受け入れる機能を備える。
第1攪拌スクリュー23は、第1搬送路221に配設されている。第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23aと、この第1回転軸23aの周上にスパイラル状に突設された第1螺旋羽根23b(スクリュー羽根)とを含む。第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23a回り(矢印R2)に回転駆動されることで、図4の矢印D1方向にトナーを搬送する。第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置を通過するように現像剤を搬送する。これにより、第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25から流入する新しいトナーと、第2搬送路222側から第1搬送路221に搬入されたトナーとを混合しながら搬送する機能を有する。第1攪拌スクリュー23のトナー搬送方向(D1方向)下流側には、第1パドル23cが配設されている。第1パドル23cは、第1回転軸23a上に配設された板状部材である。第1パドル23cは、第1回転軸23aと共に回転され、図4の矢印D4方向に向かって、第1搬送路221から第2搬送路222に、トナーを受け渡す。
第2攪拌スクリュー24は、第2搬送路222に配設されている。第2攪拌スクリュー24は、第2回転軸24aと、この第2回転軸24aの周上にスパイラル状に突設された第2螺旋羽根24bとを含む。第2攪拌スクリュー24は、第2回転軸24a回り(矢印R1)に回転駆動されることで、図4の矢印D2方向にトナーを搬送しながら、現像ローラー21にトナーを供給する。第2攪拌スクリュー24のトナー搬送方向(D2方向)下流側には、第2パドル24cが配設されている。第2パドル24cは、第2回転軸24aと共に回転され、図4の矢印D3方向に向かって、第2搬送路222から第1搬送路221に、トナーを受け渡す。
トナーコンテナ30(図3)は、現像ハウジング210のトナー補給口25の上方に配置されている。トナーコンテナ30は、トナー排出口319(図4)を備える。トナー排出口319は、現像装置20のトナー補給口25に対応して、トナーコンテナ30の底部311(図6)に配設されている。トナー排出口319から落下したトナーは、トナー補給口25から現像装置20に補給される。
<トナー補給について>
次に、トナー補給口25から新たに補給されるトナーの流れについて説明する。図5は、現像装置20に配設されたトナー補給口25およびトナーコンテナ30に配設されたトナー排出口319付近の断面図である。
トナーコンテナ30のトナー排出口319から供給された補給トナーT2は、第1搬送路221に落下して既存のトナーT1と混合され、第1攪拌スクリュー23により矢印D1方向に搬送される。この際、トナーT1、T2は攪拌され、帯電される。
第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25よりトナー搬送方向下流側に、部分的に現像剤の搬送性能が抑制される抑制パドル28(搬送能力抑制部)を備える。本実施形態では、抑制パドル28は、第1攪拌スクリュー23の隣接する第1螺旋羽根23b間に配置された板状部材である。抑制パドル28が第1回転軸23a回りに回転することで、抑制パドル28よりも上流側から搬送されるトナーは滞留し始める。そして、これらのトナーの滞留は、抑制パドル28の直ぐ上流側であって、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置まで累積していく。この結果、トナー補給口25の入口付近には、現像剤の滞留部29(現像剤滞留部)が形成される。
トナー補給口25から補給トナーT2が補給され、貯留空間220内のトナー量が増えると、この滞留部29で滞留するトナーがトナー補給口25を塞ぎ(封止し)、それ以上のトナーの補給を抑制する。その後、貯留空間220内のトナーが現像ローラー21から消費され滞留部29で滞留するトナーが減少すると、トナー補給口25を塞いでいたトナーが減り滞留部29とトナー補給口25との間に隙間が生じる。この結果、再び補給トナーT2がトナー補給口25から貯留空間220に流入する。このように、本実施形態では、滞留部29に滞留するトナーの減少に伴って、補給トナー量の受入量が調整される体積補給型のトナー補給形式が採用される。
<トナーコンテナの構造について>
次に、図6乃至図11を参照して、本発明の一実施形態に係るトナーコンテナ30(現像剤収容容器)について説明する。図6および図7は、本実施形態に係るトナーコンテナ30の斜視図である。図8は、トナーコンテナ30の(A)平面図、(B)正面図および(C)側面図である。図9は、トナーコンテナ30の分解斜視図である。また、図10は、トナーコンテナ30の移動壁34の斜視図(A)、(B)である。図11は、トナーコンテナ30の断面図である。
トナーコンテナ30は、略円筒体形状からなる。トナーコンテナ30は、内部に補給トナー(現像剤)を収容する。図9および図11を参照して、トナーコンテナ30は、コンテナ本体31(容器本体)と、攪拌ディスク32(撹拌部材)と、シャフト33(シャフト部)と、移動壁34と、ワッシャー35(図9)と、スポンジシール36と、蓋部37と、回転ギア38と、カバー39と、スクリュー40(図9)とを備える。
コンテナ本体31は、略円筒体形状からなるトナーコンテナ30の本体部分である。コンテナ本体31は、内周部31Kと、内部空間31H(図9、図11)と、を備える。内周部31Kは、コンテナ本体31の内周面であって、トナーコンテナ30の長手方向(第1方向、図6、図7および図11の矢印DA方向)に沿って筒状に延びている。
また、コンテナ本体31は、底部311と、天板312と、前壁313と、後壁314と、左壁315(壁部)と、フランジ部316と、を備える。底部311は、コンテナ本体31の底部分であって、下方に向かって突出した半円筒形状からなる。換言すれば、前記第1方向と交差する断面視において、底部311は円弧形状からなる。前壁313および後壁314は、底部311の側端から上方に向かって立設された一対の側壁である。天板312は、底部311の上方に配置され内部空間31Hの上方を覆う。左壁315は、底部311、前壁313、後壁314および天板312の第1方向の一端側(左端側)に連設され、内部空間31Hの端面を画定する壁部である。なお、内部空間31Hは、底部311、天板312、前壁313、後壁314および左壁315に加え、後記の蓋部37よって形成されている。また、内部空間31Hのうち、左壁315と、後記の移動壁34と、内周部31Kとによって画定される領域が、収容空間31Sとされる。収容空間31Sは、トナーコンテナ30の内部において、トナーが収容される空間である。
なお、図9に示すように、コンテナ本体31のうち左壁315の第1方向の反対側は開口されている。フランジ部316は、該開口部を形成するとともに、コンテナ本体31の第1方向の他端部の外径が拡大された領域である。フランジ部316には、後記の蓋部37が装着される。
また、コンテナ本体31は、シャッター317と、第1ガイド部318と、トナー排出口319(現像剤排出口)と、を備える。シャッター317は、コンテナ本体31の第1方向の一端部に配置される。シャッター317は、第1方向に沿ってスライド移動可能とされる。シャッター317は、トナー排出口319をコンテナ本体31の外側から塞ぐ(封止する)とともに、トナー排出口319を外部に露出させる。
第1ガイド部318は、左壁315の外側において、上下方向に延設される突出部である。第1ガイド部318は、後記の第2ガイド部392とともに、トナーコンテナ30の筐体101への装着をガイドする。
トナー排出口319は、内周部31Kに連通してコンテナ本体31の下面部に開口されている開口である。図8(B)および図9に示すように、トナー排出口319は、コンテナ本体31の第1方向の一端部に開口されている。また、トナー排出口319は、第1方向に所定の幅をもって、かつ、底部311の円弧形状に沿って開口されている。収容空間31Sに収容されたトナーはトナー排出口319から現像装置20に向かって排出される。なお、本実施形態では、上記のように、底部311、前壁313、後壁314および天板312によってコンテナ本体31の内部空間31Hが形成されている。このため、トナーの自重によって、収容空間31S内のトナーが円弧形状からなる底部311の中央部に集まるため、後記の移動壁34によって搬送されるトナーを効率的にトナー排出口319から排出させることができる。
攪拌ディスク32(図9、図11)は、円板形状からなる板部材である。攪拌ディスク32は、後記のシャフト33の第2シャフト端部332に固定され、シャフト33と一体回転する。攪拌ディスク32は、コンテナ本体31の収容空間31Sにおいて、左壁315に沿って配置される。攪拌ディスク32は、収容空間31Sのうちトナー排出口319の上方に配置されるトナーを攪拌する機能を備える。なお、収容空間31Sに収容されるトナーの流動性に応じて、攪拌ディスク32には収容空間31Sに向かって突出する突起部が配置されてもよい。
シャフト33は、内部空間31Hにおいて第1方向に延びるようにコンテナ本体31および後記の蓋部37に回転可能に支持されている。シャフト33は、軸回りに後記のモーターMによって回転される。シャフト33は、第1シャフト端部331と、第2シャフト端部332と、雄螺旋部333と、移動壁停止部334と、を備える。
第1シャフト端部331(図11)は、シャフト33の第1方向の一方の端部である。第1シャフト端部331は、後記の蓋部37の蓋軸穴部37Jに軸支される。第2シャフト端部332は、シャフト33の第1方向の他方の端部である。第2シャフト端部332は、コンテナ本体31の左壁315に形成された本体軸受部31J(図11)に軸支される。雄螺旋部333は、内部空間31Hにおいてシャフト33の外周面に所定のピッチで形成された螺旋状のねじ部である。本実施形態では、雄螺旋部333は、図11に示すようにシャフト33のうちフランジ部316が対向する領域からトナー排出口319の直前の領域まで配置されている。移動壁停止部334は、雄螺旋部333よりも第1方向先端側に配置されている。移動壁停止部334は、シャフト33のうち雄螺旋部333が配置されていない軸部分のみの領域である。移動壁停止部334は、トナー排出口319の上方に配置されている。
移動壁34は、コンテナ本体31の内部において第1方向に面して配置される壁部である。移動壁34は、収容空間31Sの一方の端面(右端面)を画定する。なお、収容空間31Sの他方の端面(左端面)は、左壁315および攪拌ディスク32によって画定されている。移動壁34は、トナーコンテナ30の使用開始時から使用終了時までの間、予め設定された初期位置から内部空間31H内をトナー排出口319に対向する最終位置まで移動する。この際、移動壁34は、収容空間31Sのトナーをトナー排出口319に向かって搬送する。なお、移動壁34は後記のモーターMによって移動される。
図10を参照して、移動壁34は、搬送壁部340と、外周壁部341と、内壁シール342と、シャフトシール343と、補給孔キャップ344と、移動壁軸穴部34Jと、外周部34Kと、を備える。
搬送壁部340は、コンテナ本体31の内周部31Kとともに収容空間31Sを画定する壁部である。特に、搬送壁部340は、シャフト33に垂直な搬送面340Sを備える。搬送面340Sは、移動壁34の移動に伴って、収容空間31S内のトナーを押圧しながら搬送する。搬送壁部340は、更に、軸受部340Aと、トナー補給孔340Bと、円筒部340Cとを備える。軸受部340Aは、搬送壁部340の略中央部に形成された軸受部である。前述のシャフト33は、この軸受部340Aに挿通される。そして、軸受部340Aは移動壁34を保持しながらシャフト33に沿って移動する。トナー補給孔340Bは、軸受部340Aの上方において、第1方向に沿って搬送壁部340を貫通するように形成されている。移動壁34がコンテナ本体31に装着されると、トナー補給孔340Bは収容空間31Sに連通する。トナーコンテナ30が製造される際に、トナー補給孔340Bから収容空間31Sに補給トナーが充填される。
円筒部340Cは、搬送壁部340のうち搬送面340Sとは反対側の面から第1方向に沿って突設される円筒部分である。円筒部340Cは、軸受部340Aの一部を形成する。円筒部340Cは、雌螺旋部340Dを備える。雌螺旋部340Dは、円筒部340Cの内周面に形成された螺旋状のねじ部である。雌螺旋部340Dは、シャフト33の雄螺旋部333と係合する(噛み合う)ことで、移動壁34をシャフト33に沿って移動させる機能を備える。この際、円筒部340Cの内壁とシャフト33の外周部との接触によって、移動壁34の姿勢が維持される。このため、シャフト33に対して移動壁34の搬送壁部340が傾斜することが防止される。
外周壁部341は、搬送壁部340の外周縁から収容空間31Sとは反対側、すなわち、移動壁34の移動方向上流側に向かって突設されている。外周壁部341は、コンテナ本体31の内周部31Kに対向して配置される。外周壁部341は、リブ341Aと、排出口封止部341Bとを備える。リブ341Aは、外周壁部341において第1方向に沿って延設されたリブ部材である。リブ341Aは、外周壁部341の周方向に間隔をおいて複数配置されている。リブ341Aは、内周部31Kに僅かに接触し、コンテナ本体31の内部において移動壁34が第1方向に対して傾斜することを防止する機能を備える。排出口封止部341Bは、外周壁部341の下端部に相当し、トナー排出口319を塞ぐサイズを有する。
内壁シール342は、外周壁部341の搬送壁部340側において、搬送壁部340の周囲を覆うように配置されるシール部材である。図10(A)に示すように、内壁シール342の第1シール端部342Aが、搬送壁部340の上部に固定された後、内壁シール342が搬送壁部340の回りに巻きつけられながら固定される。そして、内壁シール342の第2シール端部342Bが第1シール端部342Aに重なるように固定される。内壁シール342は、コンテナ本体31の内周部31Kと移動壁34との間で圧縮変形する。また、内壁シール342は、移動壁34の外周部34Kを形成する。外周部34Kは、コンテナ本体31の内周部31Kに密接して配置される。内壁シール342によって、収容空間31Sのトナーが、コンテナ本体31の内周部31Kと移動壁34との間から、移動壁34よりも移動方向上流側に流出することが防止される。
シャフトシール343は、軸受部340Aにおいて雌螺旋部340Dよりも移動壁34の移動方向先端側に配置されている(図11)。シャフトシール343は、移動壁34の移動に伴って、シャフト33の雄螺旋部333と接触する。この際、シャフトシール343は、雌螺旋部340Dよりも先に雄螺旋部333に接触し、雄螺旋部333に付着したトナーを清掃する。したがって、トナーが雄螺旋部333からほぼ除去された状態で、雄螺旋部333が雌螺旋部340Dに係合する。このため、雄螺旋部333と雌螺旋部340Dとの間でトナーが凝集することが抑止され、移動壁34の移動が安定して実現される。また、シャフトシール343はリング形状を有するため、シャフト33の周方向全体に亘ってシャフト33に密着する。このため、収容空間31Sのトナーが軸受部340Aを通って移動壁34よりも移動方向上流側に流出することが防止される。リング状のシャフトシール343および円筒部340Cの径方向内側に、シャフト33が挿入される移動壁軸穴部34Jが形成される。
補給孔キャップ344は、図10(B)に示すように、外周壁部341の内側を介してトナー補給孔340Bに装着され、トナー補給孔340Bを封止する。トナー補給孔340Bから補給トナーが収容空間31Sに充填された後、補給孔キャップ344がトナー補給孔340Bに装着される。この結果、トナー補給孔340Bからトナーが漏れ出すことが防止される。
ワッシャー35(図9)は、移動壁34の円筒部340Cとスポンジシール36との間において、シャフト33に外嵌される。
スポンジシール36は、ワッシャー35と蓋部37との間に配置される。スポンジシール36は、後記の蓋部37がコンテナ本体31に固定された状態で、蓋部37の蓋軸穴部37Jからトナーが漏れ出すことを防止する。
蓋部37(図9、図11)は、コンテナ本体31のフランジ部316に固定され、コンテナ本体31の開口部を封止する(塞ぐ)。蓋部37は、蓋軸穴部37Jを備える。蓋軸穴部37Jは、シャフト33の第1シャフト端部331側を回転可能に軸支する。
回転ギア38は、シャフト33の第1シャフト端部331に固定される回転ギアである。第1シャフト端部331の先端部は軸方向と交差する断面視でD面形状を備え、回転ギア38の中心部には、該D面形状に係合する不図示のD穴が開口されている。回転ギア38は、シャフト33とともに一体回転可能とされる。回転ギア38は、外周ギア部381を備える。外周ギア部381は、回転ギア38の外周面に形成されたギア部である。なお、各図では、外周ギア部381のギア歯の図示を省略している。回転ギア38は、プリンター100の筐体101に配置されたモーターM(図8(B))に連結される。モーターMから回転駆動力が入力されると、回転ギア38は、シャフト33に前記回転駆動力を伝達し、移動壁34を移動させる。
カバー39は、トナーコンテナ30の端部に配置されるカバー部材である。図8(C)を参照して、カバー39は、回転ギア38の半円部分を覆う形状からなる。換言すれば、カバー39が蓋部37を介してコンテナ本体31に固定されると、回転ギア38の半円部分がトナーコンテナ30の外部に露出する。カバー39は、軸カバー部391と、第2ガイド部392とを備える。軸カバー部391は、カバー39の中央部に形成された円筒部である。軸カバー部391は、回転ギア38から突出した第1シャフト端部331の端部を覆うカバー部分である。第2ガイド部392は、軸カバー部391の後方において、上下方向に延設された突起部である。軸カバー部391は、トナーコンテナ30がプリンター100に装着されることをガイドする機能を備える。
スクリュー40は、蓋部37およびカバー39に開口された不図示のねじ穴に挿通された後、コンテナ本体31のフランジ部316に締結される。この結果、コンテナ本体31の内部空間31Hに攪拌ディスク32、シャフト33および移動壁34が配置された上で、コンテナ本体31、蓋部37、回転ギア38およびカバー39が一体とされる。
更に、トナーコンテナ30は、トナーセンサー31Tと、記憶部31Vと、を備える(図8(A)、(B))。トナーセンサー31Tは、トナー排出口319の上方においてコンテナ本体31の天板312に配置されるセンサーである。トナーセンサー31Tは、透磁率センサーもしくは圧電素子からなるセンサーである。トナーセンサー31Tが圧電素子からなる場合、トナーセンサー31Tのセンサー部分は収容空間31Sに露出している。トナーセンサー31Tは、トナー排出口319の周辺のトナーの有無に応じて出力信号を発信する。詳しくは、トナーセンサー31Tは、収容空間31Sのトナーに押圧されることで、HIGH信号(+5V)を出力する。また、トナーセンサー31Tの直下にトナーが存在しない場合には、トナーセンサー31TはLOW信号(0V)を出力する。トナーセンサー31Tの出力信号は、後記の制御部50によって参照される。なお、トナーセンサー31Tが透磁率センサーの場合、センサーが直接トナーに接触する必要がない。このため、他の実施形態において、トナーセンサー31Tは、コンテナ本体31の外壁に対向するようにプリンター100の筐体101側に配置されてもよい。更に、トナーセンサー31Tの配置は、天板312に限定されるものではない。他の実施形態において、トナーセンサーは、コンテナ本体31の底部311、前壁313および後壁314のいずれかに配置されてもよい。なお、トナーセンサーが底部311の最下面に配置される場合には、トナー排出口319の開口位置が、前記最下面よりも周方向にずれた位置に配置されてもよい。
記憶部31Vは、フランジ部316の上面部に装着されている。記憶部31Vは、RFID技術に適用されるRFタグである。記憶部31Vは、後記の位置判定部52によって判定された移動壁34の位置情報および残量判定部53によって判定されたトナーの残量情報を記憶する。
プリンター100は、筐体101の内部に配置された各部の動作を制御する制御部50を備える。図12は、制御部50の電気的なブロック図である。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部50は、前記CPUが前記ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、駆動制御部51、位置判定部52および残量判定部53を備えるように機能する。また、制御部500には、前述の表示部90、送受信部100V、記憶部31Vに加え、モーターMが電気的に接続されている。モーターMは、シャフト33を回転させる回転駆動力を発生するステッピングモーターである。
駆動制御部51は、モーターMを制御してシャフト33を回転させ、移動壁34の位置を調整する。この際、駆動制御部51は、シャフト33の回転数を制御し、移動壁34の位置を調整する。シャフト33が回転されると、シャフト33の雄螺旋部333および軸受部340Aの雌螺旋部340Dの噛み合いによって、移動壁34が第1方向(左方向)に移動する。
位置判定部52は、シャフト33の累積回転数に応じて、移動壁34の第1方向における位置を判定する。本実施形態では、位置判定部52は、モーターMのパルス信号によって、シャフト33の回転数を検出し、前記回転数を累積する。また、位置判定部52は、送受信部100V(図3)を介して、記憶部31Vに移動壁34の位置情報を記憶させる。
残量判定部53は、位置判定部52によって判定された移動壁34の位置に応じて、収容空間31Sに残留するトナーの残量を判定する。本実施形態では、トナーコンテナ30と、モーターMと、制御部50とによって、現像剤補給装置3A(図8(B))が構成される。現像剤補給装置3Aは、現像装置20に補給トナーを供給する。また、残量判定部53は、送受信部100V(図3)を介して、トナーの残量情報を記憶させる。
<トナーコンテナの機能について>
前述のとおり、トナーコンテナ30は、現像装置20に対して着脱可能とされる。図2を参照して、筐体101の開閉カバー100Cが上方に開放されると、本体内部空間107の一部であるコンテナ収容部109が筐体101の外部に露出する。本実施形態では、トナーコンテナ30はコンテナ収容部109に対して上方から装着される(図6および図7の矢印DC参照)。この際、トナーコンテナ30のカバー39がコンテナ収容部109の右側部分に配置され、トナーコンテナ30の左壁315が、コンテナ収容部109の左側部分に配置される。プリンター100は、ガイド溝109Aを備える(図2)。ガイド溝109Aは、コンテナ収容部109において上下方向に延設される溝部分である。なお、図2では、右側のガイド溝109Aのみが現れているが、コンテナ収容部109の左側部分にも、同様に、ガイド溝109Aが配置されている。
第1ガイド部318および第2ガイド部392が一対のガイド溝109Aに挿通されながら、トナーコンテナ30がユーザーによってコンテナ収容部109に装着される。トナーコンテナ30がコンテナ収容部109に装着されると、ユーザーによって、または、不図示の開閉機構によって、シャッター317がスライド移動され、トナー排出口319が開放される。この結果、トナー排出口319がトナー補給口25の上方に対向して配置される(図4、図5)。
図13は、トナーコンテナ30において移動壁34が移動する様子を示す断面図(A)、(B)および(C)である。図13(A)は、移動壁34が初期位置に配置された様子を示し、図13(B)は、移動壁34が初期位置から第1方向に沿って移動された様子を示している。また、図13(C)は、移動壁34がトナー排出口319に対向した最終位置に配置された様子を示している。
図13(A)に示すように、ユーザーによって新たなトナーコンテナ30がプリンター100に装着された場合、移動壁34は、蓋部37に沿った初期位置に配置されている。トナーコンテナ30の製造時に収容空間31Sにトナーが満充填された際でも、収容空間31Sには僅かな空間が残されている。トナーコンテナ30の使用が開始されるにあたり、収容空間31Sに収容されたトナーに所定の流動性を付与するためには、上記の空間が必要とされる。しかしながら、この場合、収容空間31Sに収容されるトナーの喫水面(上面)は天板312から所定の間隔をもって下方に存在するため、トナーセンサー31Tは収容空間31Sに収容されたトナーを精度良く検出することができない。
このため、新しいトナーコンテナ30がプリンター100に装着されると、駆動制御部51は、モーターMを駆動させ、回転ギア38およびシャフト33を回転駆動する。この結果、雄螺旋部333と雌螺旋部340Dとの係合によって、移動壁34が第1方向に沿ってトナー排出口319に向かって移動する。やがて、図13(A)に示された初期位置から僅かに左方に移動壁34が移動すると、収容空間31Sがトナーで充満され、トナーセンサー31Tが収容空間31Sのトナーを検出する。駆動制御部51は、トナーセンサー31Tから出力されたHIGH信号を受けて、移動壁34の移動を停止させる。
なお、本実施形態では、第1方向と交差する断面視において、コンテナ本体31の内周部31Kおよび移動壁34の外周部34K(外周壁部341)は、非真円形状からなる。このため、雄螺旋部333と雌螺旋部340Dとの係合によって、移動壁34に対してシャフト33回りの回転力が付与された場合であっても、移動壁34がコンテナ本体31に対して回転することが防止される。この結果、モーターMの回転駆動力によって、移動壁34を安定してシャフト33に沿って移動させることができる。また、上記のように、雄螺旋部333と雌螺旋部340Dとの係合によって、移動壁34の外周部34Kがコンテナ本体31の内周部31Kに密接して配置された状態で、移動壁34を安定して移動させることができる。
前述のように、本実施形態では、図5に示すように体積補給型のトナー補給形式が採用されている。このため、現像装置20側の滞留部29(図5)がトナー補給口25を下方から封止している場合、トナーコンテナ30から補給トナーは落下しない。一方、現像装置20の現像ローラー21から感光体ドラム121にトナーが供給され、滞留部29のトナーが減少すると、トナー排出口319からトナー補給口25を介して現像装置20にトナーが流入する。この結果、トナーコンテナ30の収容空間31Sでは、トナーセンサー31Tの下方部分のトナーが消失するため、トナーセンサー31TがLOW信号を出力する。このように、トナーセンサー31Tのトナーありからトナーなしの出力信号の変化に応じて、駆動制御部51はトナーセンサー31TがHIGH信号を出力するまでモーターMを駆動させ、移動壁34をトナー排出口319に第1方向に移動させる(図13(B))。この際、収容空間31Sの先端側に配置された攪拌ディスク32がシャフト33とともに回転するため、トナー排出口319の上方のトナーが攪拌される。このため、前記トナーの流動性が増し、トナーが安定してトナー排出口319から落下する。
位置判定部52は、駆動制御部51によって移動壁34が移動される度に、移動壁34の第1方向における位置を判定する。前述のように、移動壁34の位置は、シャフト33の累積回転数Lによって導かれる。図14は、トナーコンテナ30において、移動壁34の位置とシャフト33の累積回転数Lおよびトナー残量Tとの関係を示すグラフである。図14では、横軸に沿って移動壁34が初期位置(図13(A))から最終位置(図13(C))まで移動する。この際、位置判定部52によって累積カウントされるシャフト33の累積回転数Lが徐々に増大する。同時に、移動壁34の移動に伴って、収容空間31S内のトナー残量Tが徐々に低下する。
位置判定部52は、シャフト33の累積回転数Lが予め設定された閾値L1(第2閾値)に至った場合に、移動壁34が所定の検出位置X1に到達したと判定する。そして、残量判定部53は、移動壁34が検出位置X1に到達したと判定された場合に、収容空間31Sのトナーの残量が検出位置X1に応じて予め設定された残量75%(規定残量)に至ったと判定する。同様に、位置判定部52は、シャフト33の累積回転数Lが予め設定された閾値L2(第2閾値)に至った場合に、移動壁34が検出位置X2に到達したと判定する。そして、残量判定部53は、移動壁34が検出位置X2に到達したと判定された場合に、収容空間31Sのトナーの残量が検出位置X2に応じて予め設定された残量50%(規定残量)に至ったと判定する。
更に、位置判定部52は、シャフト33の累積回転数Lが予め設定された閾値LN(第2閾値)に至った場合に、移動壁34が検出位置XNに到達したと判定する。そして、残量判定部53は、移動壁34が検出位置XNに到達したと判定された場合に、収容空間31Sのトナーの残量が検出位置XNに応じて予め設定された残量20%(規定残量)に至ったと判定する。この際、残量判定部53は、収容空間31S内のトナーがニアエンプティ状態(まもなく空)に至ったと判定する。残量判定部53は、ニアエンプティ状態をプリンター100の表示部90に報知し、早期に新たなトナーコンテナ30の準備を促すことができる。このように、本実施形態では、駆動制御部51によって判定された移動壁34の位置に応じて、収容空間31Sに残留するトナーの残量が判定される。したがって、収容空間31Sの縮小に応じて、容易にトナーの残量を判定することができる。また、収容空間31Sのトナー残量を判定するための閾値(L1、L2、LN)および規定残量(75%、50%、20%)が、予め複数設定されている。したがって、トナーがエンプティ状態(空状態)となる前に、トナーコンテナ30のトナー残量を複数の段階で把握することができる。
更に、位置判定部52は、移動壁34の移動動作が実行される毎に、記憶部31Vに移動壁34の位置情報を記憶させる。同様に、残量判定部53は、記憶部31Vにトナーの残量情報を記憶させる。なお、移動壁34の位置情報は、各移動動作においてシャフト33が1回転される度に1カウント累積されることで導出される。移動壁34が移動される度に、記憶部31Vの位置情報が更新されるため、移動壁34の現在の位置を精度よく把握することができる。このため、使用途中でトナーコンテナ30がプリンター100(現像剤補給装置3A)から取り外された場合であっても、再び装着された際に記憶部31Vの位置情報が参照されることで、移動壁34の移動動作を精度よく再開することができる。同様に、残量判定部53が、記憶部31Vに記憶されたトナーの残量情報を、プリンター100の表示部90に表示させることで、ユーザーが収容空間31Sのトナー残量を把握することができる。なお、表示部90は、ネットワークを介してプリンター100に接続されたパーソナルコンピューターなどであってもよい。
トナーコンテナ30の収容空間31Sのトナーが使用され続けると、やがて移動壁34は図13(C)に示す最終位置に至る。この際、図14を参照して、位置判定部52は、シャフト33の累積回転数Lが予め設定された閾値LE(第1閾値)に至った場合に、移動壁34が最終位置に到達したと判定する。更に、残量判定部53は、移動壁34が最終位置に到達したと判定された場合に、収容空間31Sのトナーがエンプティ状態(空)に至ったと判定する。残量判定部53はエンプティ情報をプリンター100の表示部90に表示させ、ユーザーにトナーコンテナ30の交換を促すことができる。
そして、上記のように移動壁34が第1方向に徐々に移動していくことで、収容空間31Sのトナーが移動壁34に押圧されながら、トナー排出口319まで搬送される。この際、移動壁34がトナー排出口319に至るまでの間、収容空間31Sが徐々に縮小されていく。したがって、トナーコンテナ30の内部において、トナーが残留する空間自体が徐々に消失される。そして、図13(C)に示す最終位置では、移動壁34が攪拌ディスク32に当接し、収容空間31Sがほぼ消失される。この結果、収容空間の容積が変化しない従来のトナーコンテナと比較して、使用終了時に、コンテナ本体31の収容空間31Sに残留するトナー量が減少される。
移動壁34が、トナー排出口319に対向する最終位置に至ると、移動壁34の排出口封止部341B(図10(B))がトナー排出口319をコンテナ本体31の内側から塞ぐ(図13(C))。すなわち、コンテナ本体31内のトナーが空になった際に、移動壁34がトナー排出口319を塞ぐシャッター機能を備える。このため、たとえ、シャッター317が閉じられることなく、トナーコンテナ30がプリンター100から取り外された場合であっても、攪拌ディスク32と移動壁34との隙間に残った僅かなトナーがトナー排出口319から漏れ出すことが防止される。特に、本実施形態では、移動壁34の移動過程において、コンテナ本体31の内周部31Kに密着する内壁シール342は、移動壁34のうち第1方向先端側に配置されている。このため、内壁シール342よりも移動壁34の第1方向後端側であって、トナー排出口319を塞いだ排出口封止部341Bにはトナーがほとんど付着していない。また、外周壁部341の第1方向の幅は、トナー排出口319の第1方向の幅よりも長く設定され、排出口封止部341Bがトナー排出口319を塞ぐサイズを有している。このため、排出口封止部341Bによってトナー排出口319を確実に塞ぐことができる。
また、上記のように、最終位置において移動壁34がトナー排出口319を封止すると、該封止された状態をもって、ユーザーはトナーが空であることを確認することができる。トナーコンテナ30内のトナー残量が少なくなった場合には、トナーコンテナ30の重量ではトナー残量が把握されにくい。一方、上記のように、シャッター317がスライド移動された場合、既に、トナー排出口319が移動壁34によって封止されていることが視認されると、ユーザーは、トナーコンテナ30内のトナーが空になったことを確実に認識できる。
また、上記の移動壁34によるトナー排出口319の封止作用は、途中まで使用されたトナーコンテナ30が何らかの理由によってプリンター100から取り外され、他の空のトナーコンテナ30とともに保管された場合においても有効利用される。すなわち、ユーザーは、保管された複数のトナーコンテナ30のうち、移動壁34がトナー排出口319を封止していないものを選択すればよい。
加えて、上記のように、体積補給型のトナー補給形式が採用された場合には、トナーコンテナ30内のトナーが空になると、トナーコンテナ30側から現像装置20側に向かって補給トナーが滞留部29を押圧する押圧力が失われる。この場合、現像装置20内の諸条件によって、トナー補給口25からトナー排出口319側に、現像装置20内のトナーが逆流する場合がある。しかしながら、本実施形態では、移動壁34がトナー排出口319を封止しているため、現像装置20(被補給対象)からトナーがコンテナ本体31側に逆流することが防止される。
また、前述のように、本実施形態では、トナーコンテナ30の製造段階で収容空間31Sにトナーを充填するためのトナー補給孔340Bが移動壁34に配置されている。このため、トナー排出口319に加えて、コンテナ本体31側に充填口を形成する必要がない。したがって、コンテナ本体31の形状が簡易に成形される。なお、移動壁34の初期配置を第1方向において異ならせることで、さまざまな充填量のトナーコンテナ30が提供されてもよい。トナー充填時の移動壁34の初期位置が変化されることで、収容空間31Sの容積を変化させることが可能となる。この場合でも、トナー補給孔340Bは移動壁34側に配置されているため、充填量に応じてコンテナ本体31の異なる位置に充填口を配置する必要がなく、コンテナ本体31の共通化が実現される。なお、トナーコンテナ30内のトナー充填量が異なる場合であっても、全てのトナーコンテナ30の移動壁34の初期位置が、常に図13(A)に示される位置に配置されてもよい。この場合、トナーコンテナ30がプリンター100に装着された際に、トナーセンサー31Tの出力信号に応じて、初期的にモーターMが駆動される駆動時間が調整される。この結果、収容空間31S内がトナーで充満される。
更に、図11および図13に示すように、本実施形態に係るトナーコンテナ30は、移動壁停止部334を備えている。移動壁停止部334は、前述のように、シャフト33のうち雄螺旋部333が配置されていない領域であって、トナー排出口319に対向して配置されている。このため、移動壁34が図13(C)に示す最終位置に到達する直前で、移動壁34の雌螺旋部340D(図10(B))は、雄螺旋部333から脱離され、移動壁停止部334に対向して配置される。換言すれば、移動壁34がひとたび図13(C)の最終位置に配置されると、雌螺旋部340Dと雄螺旋部333とが再び係合することが防止される。この結果、誤って回転ギア38が逆回転された場合であっても、移動壁34が蓋部37側に向かって逆行することがない。したがって、上記のように、トナーコンテナ30内のトナーが空の場合には、確実に、移動壁34を最終位置に配置させることが可能となる。また、第1方向が鉛直方向に沿うように、使用済みのトナーコンテナ30が縦置きに保管された場合であっても、移動壁34が自重によって蓋部37の方向に向かって逆行することが抑止される。
また、図13(C)に示す最終位置では、移動壁34の内壁シール342がトナーコンテナ30の内周部31Kを内側から弾性力をもって径方向に付勢している。このため、移動壁34が最終位置に安定してロックされ、移動壁34の逆行が一層防止される。
以上、本発明の実施形態に係るトナーコンテナ30を含む現像剤補給装置3A、プリンター100について説明した。このようなプリンター100によれば、現像剤補給装置3Aからトナーが安定して現像装置20に補給される。また、使用終了時にコンテナ本体31の収容空間31Sに残留するトナーの量が減少される。したがって、トナーコンテナ30のトナーが効率的に使用されながら、シートに画像が形成される。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
(1)上記の実施形態では、プリンター100としてモノクロプリンターをもって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。特に、プリンター100がタンデム式のカラープリンターの場合には、プリンター100の開閉カバー100C(図2)が開放された後、複数色のトナーに対応してそれぞれのトナーコンテナ30が上方から隣接するように筐体101に装着されてもよい。
(2)また、上記の実施形態では、トナーコンテナ30が現像装置20の長手方向に沿うようにプリンター100に装着される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。トナーコンテナ30は、現像装置20の長手方向と交差する方向に沿って装着される態様でもよい。
(3)また、上記の実施形態では、トナーコンテナ30がシャッター317を備える態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記のように、移動壁34は最終位置に至るとトナー排出口319を封止する。このため、トナーコンテナ30の使用開始までの間、トナー排出口319を封止する不図示のフィルムシールがトナー排出口319に配置されてもよい。フィルムシールは、新品のトナーコンテナ30がプリンター100に装着されると、ユーザーによって引き剥がされる。この結果、トナー排出口319が開放され、現像装置20のトナー補給口25に連通される。そして、前述のように、トナーコンテナ30内のトナーが空になると、移動壁34の排出口封止部341Bがトナー排出口319を塞ぐ。
(4)また、上記の実施形態では、体積補給型のトナー補給形式をもって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。現像装置20に不図示のトナーセンサーが配置される態様でもよい。トナーセンサーによって現像装置20内のトナーが減少したことが検知されると、駆動制御部51によってモーターMが駆動され、移動壁34が第1方向に沿って移動される。この結果、トナー排出口319からトナーが落下し現像装置20に流入する。
(5)更に、上記の実施形態では、軸受部340Aが移動壁34の中央部に配置される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。軸受部340Aは、移動壁34の他の領域に配置されてもよい。軸受部340Aが移動壁34の上端側に配置され、対応するシャフト33もコンテナ本体31内の上方において延設される態様でもよい。この場合、シャフトシール343(図10(A))に付与されるトナーの圧力が低くなるため、シャフトシール343のシール性能が一層高く維持される。
(6)また、上記の実施形態では、モーターMがステッピングモーターからなり、位置判定部52がモーターMのパルス信号によって、シャフト33の回転数を検出し前記回転数を累積する態様にて説明した。この場合、シャフト33の回転数を容易に検出することができる。なお、本発明はこれに限定されるものではない。他の変形実施形態において、現像剤補給装置3A(プリンター100)がシャフト33の回転を検出するロータリーエンコーダーを備える態様でもよい。この場合、位置判定部52は、ロータリーエンコーダーの出力によってシャフト33の回転数を検出し、前記回転数を累積する。シャフト33の累積回転数によって、移動壁34の位置が判定され、収容空間31S内のトナー残量を判定することができる。また、ロータリーエンコーダーによって、シャフト33の回転数を精度よく検出することができる。
更に、シャフト33の回転数を検出するために他の回転数測定部が配置されてもよい。図15は、本発明の変形実施形態に係る現像剤補給装置3Bの模式的な側面図である。現像剤補給装置3Bは、先の実施形態に係るトナーコンテナ30と同様の構成を備える不図示のトナーコンテナと、回転数測定部70と、を備える。トナーコンテナは、移動壁を移動させるためのシャフト63と、シャフト63の軸方向の端部に固定された回転ギア68と、を備える。回転ギア68は、第1回転部681と、第2回転部682と、突起683とを備える。第1回転部681および第2回転部682は、シャフト33の軸方向に隣接する2つの円板部である。第1回転部681は、第2回転部682よりも小径とされる。第1回転部681の外周部には不図示のギアが備えられている。シャフト63を回転させる回転駆動力を発生させるモーターのモーターシャフトMGが第1回転部681のギアに係合されることで、第1回転部681および第2回転部682が一体的に回転する。突起683は、第2回転部682の外周部から径方向に突出した突起である。
回転数測定部70は、回転ギア68に対して径方向に隣接して配置される。回転数測定部70は、回転片71と、PIセンサー72とを備える。回転片71は、不図示の筐体に回転可能に支持されている。回転片71は、支点711と、当接部712と、検出片713とを備える。支点711は、回転片71の回転における支点である。当接部712は、支点711から回転ギア68に向かって延設されている。検出片713は、支点711から当接部712とは反対側に向かって延設されている。なお、支点711には、検出片713がPIセンサー72から離間するように回転片71を支点711回りに付勢する不図示のコイルばねが備えられている。PIセンサー72は、検出片713を検出可能なセンサーである。モーターシャフトMGから回転駆動力が伝達され、回転ギア68およびシャフト63が一体的に回転すると、1回転毎に突起683が当接部712を下方に押圧する。このとき、回転片71の支点711回りの回転に応じて、PIセンサー72が検出片713を1回検出する(図15の破線部参照)。不図示の位置判定部が、PIセンサー72から受信する信号に応じて、シャフト63の累積回転数をカウントアップする。このような構成によっても、シャフト63の累積回転数が計上され、不図示の移動壁の位置を判定することができる。
(7)また、上記の実施形態では、移動壁34がトナー排出口319に向かって第1方向に沿って移動する態様にて説明した。他の変形実施形態において、移動壁34は、第1方向および第1方向とは反対の第2方向への移動を繰り返しながら、トナー排出口319に向かって移動してもよい。この場合、シャフト33の回転に伴って、攪拌ディスク32がトナー排出口319周辺のトナーを攪拌する頻度が増すため、収容空間31S内のトナーの流動性を確保することができる。ただし、移動壁34が第2方向に移動した際のシャフト33の回転数が位置判定部52によって累積または減算されると、収容空間31S内のトナー量は変化していないにも関わらず、シャフト33の累積回転数Lが変化してしまう。このため、移動壁34が第2方向に移動する態様の場合は、第2方向に移動する直前の移動壁34の位置Yにおける累積回転数Lの値が維持され、移動壁34が再び当該位置Yに戻った際に、再び累積回転数Lの累積が開始されればよい。
(8)また、上記の実施形態では、移動壁34が最終位置に至ると、移動壁34の外周部34Kがトナー排出口319の一部をコンテナ本体31の内側から塞ぐ(図13(C))態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。移動壁34の最終位置として、移動壁34がトナー排出口319の直前で停止する態様でもよい。すなわち、本発明における「移動壁34がトナー排出口319に至る移動壁34の最終位置」とは、移動壁34が第1方向においてトナー排出口319の周辺に配置されればよい。上記の場合、最終位置に至った移動壁34はトナー排出口319を内側から塞がないが、収容空間の容積が変化しない従来のトナーコンテナと比較して、使用終了時にコンテナ本体31の収容空間31Sに残留するトナー量が減少される。
(9)更に、上記の実施形態では、移動壁34が蓋部37側から左壁315側に向かって移動する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。移動壁34の初期位置が左壁315に沿って配置され、移動壁34が蓋部37側に開口されたトナー排出口319に向かって移動する態様でもよい。