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JP6181407B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨ておむつに関する。
従来、前胴回り域と後胴回り域と股下域とを有し、一対の脚回り開口部が形成されると共に、股下域を跨ぎ前胴回り域及び後胴回り域に延びる吸収体を備えた使い捨ておむつが知られている。
一般的に、乳児(特に、新生児)のへそ部分は、肌表面が乾燥しておらず傷のような状態となっているため、かかる乳児のへそ部分に、使い捨ておむつの製品長手方向の端部が当たると、かかる乳児のへそ部分を傷つけたり、乳児に痛みを与えたりするという懸念があった。
したがって、かかる使い捨ておむつにおいて、このようなデリケートな乳児のおへそを守るために、使い捨ておむつの前胴回り域において、使い捨ておむつの製品幅方向の中心に向かって凸になるU字型やV字型の形状を有する切り欠き部を形成する構造が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開平1-162806号公報 特開昭62-199802号公報
一般的に、乳幼児は、腹まわりが張り出しており、使い捨ておむつの前側端部が腹の膨らみ上に位置する場合には、腹の膨らみが使い捨ておむつによって適切に覆われないことがある。着用者のおへそを保護しつつお腹の膨らみを適切に覆うために、ファスニングテープを有する使い捨ておむつにおいては、ファスニングテープの止着位置を股下側、かつ幅方向内側に止め、前胴回り域を引き上げつつ幅方向外側に引っ張った状態で装着することが考えられる。
前胴回り域を引き上げつつ幅方向外側に引っ張った状態で装着すると、使い捨ておむつの前胴回り域は、切り欠き部が幅方向外側に広がることで、着用者のおへそを保護しつつ、着用者の腹の膨らみに沿って配置される。しかし、使い捨ておむつの後胴回り域は、前胴回り域側に引っ張られるため、身体に対して突っ張った状態となり、装着感が悪化することがある。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、着用者のおへそを保護しつつ、着用者の腹の膨らみを適切に覆うことができる使い捨ておむつを提供することを目的とする。
本開示に係る使い捨ておむつ(使い捨ておむつ10)は、前胴回り域(前胴回り域20)と、後胴回り域(後胴回り域30)と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域(股下域25)と、前記前胴回り域から前記後胴回り域に向かう製品長手方向(製品長手方向L)と、前記製品長手方向と直交する製品幅方向(製品幅方向W)と、前記股下域を跨ぎ、前記前胴回り域及び前記後胴回り域の少なくとも一方に延びる吸収体と、前記前胴回り域及び前記後胴回り域において、製品幅方向に沿って延び、使い捨ておむつを着用者の身体に保持する胴回り保持部と、前記後胴回り域から製品幅方向外側に延出し、前記前胴回り域に止着する一対のファスニングテープ(ファスニングテープ90)と、を備える使い捨ておむつであって、前記前胴回り域内で、前記製品幅方向の中心で且つ前記製品長手方向の端部を含む領域に、前切欠き部(前切欠き部31)が形成されており、前記後胴回り域内で、前記製品幅方向の中心で且つ前記製品長手方向の端部を含む領域に、後切欠き部(後切欠き部32)が形成されており、前記後切欠き部は、前記胴回り保持部よりも前記製品長手方向外側において、前記胴回り保持部と離間して設けられていることを要旨とする。
着用者のおへそを保護しつつ、着用者の腹の膨らみを適切に覆うことができる使い捨ておむつを提供することができる。
本実施形態に係る使い捨ておむつの展開平面図である。 図1に示したF1-F1線に沿った使い捨ておむつの断面図である。 図1に示したF2-F2線に沿った使い捨ておむつの断面図である。 図1に示す展開平面図における使い捨ておむつの製品長手方向外側端部の拡大図である。(a)は、使い捨ておむつの後側端部を示しており、(b)は、使い捨ておむつの前側端部を示している。 使い捨ておむつの装着状態を模式的に示した図である。 後切欠き部の変形状態を模式的に示した図である。(a)は、変形前の状態を示しており、(b)は、変形後の状態を示している。
次に、本発明に係る使い捨ておむつの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の展開平面図である。図2は、図1に示したF1-F1線に沿った使い捨ておむつ10の断面図である。図3は、図1に示したF2-F2線に沿った使い捨ておむつ10の断面図である。図1に示す展開平面図は、使い捨ておむつを構成するトップシート50、サイドフラップ70等の皺が形成されない状態まで、レッグ伸縮部75及びレッグサイドギャザー80の弾性部材71を伸長させた状態の図である。
使い捨ておむつ10は、前胴回り域20と、股下域25と、後胴回り域30とを有する。前胴回り域20は、着用者の前胴回り部(腹部分)と接する部分である。また、後胴回り域30は、着用者の後胴回り部(背部分)と接する部分である。股下域25は、前胴回り域20と後胴回り域30との間に位置する。
また、使い捨ておむつ10には、一対の脚回り開口部35が形成される。脚回り開口部35は、使い捨ておむつの製品幅方向の側端部に設けられており、使い捨ておむつが着用者に着用された状態で、着用者の脚回りに沿って配置される部分である。
なお、本実施形態では、前胴回り域20から後胴回り域30に向かう方向を製品長手方向Lと呼び、製品長手方向Lと直交する方向を製品幅方向Wと呼ぶ。
使い捨ておむつ10は、股下域25を跨ぎ、かつ股下域25から前胴回り域20及び後胴回り域30のうち少なくともいずれか一方に向かって延びる吸収体40を備える。吸収体40は、吸収性コア40aとコアラップ40bとによって構成される。
吸収性コア40aは、従来の使い捨ておむつと同様であり、粉砕パルプや高吸収ポリマーなど、公知の部材や材料を用いて適宜構成することができる。吸収性コア40aは、シート状のコアラップ40bによって包まれている。
コアラップ40bは、吸収性コア40aを被覆するシートである。コアラップ40bの少なくとも肌面側の一部は、透液性を有する各種の繊維不織布もしくはティッシュシートによって構成される。例えば、質量約10〜30g/m2のエアースルー繊維不織布、スパンボンド不織布、SMS(スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド)不織布、または質量約10〜30g/m2のティッシュシートを用いることができる。
吸収体40の表面側(肌当接面側)には、液透過性のトップシート50が備えられる。また、吸収体40の裏面側(非肌当接面側)には、液不透過性のバックシート60aが備えられる。
吸収体40の製品幅方向Wにおける側縁部には、サイドフラップ70がそれぞれ備えられる。サイドフラップ70は、1枚または2枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。また、一対のサイドフラップ70には、ファスニングテープ90がそれぞれ備えられる。
ファスニングテープ90は、後胴回り域30において、製品幅方向Wに沿って延び、前胴回り域20の非肌当接面に止着されることにより、使い捨ておむつ10を着用者の身体に保持する。
ターゲット部95は、前胴回り域内の非肌当接面に配置され、一対のファスニングテープ90がそれぞれ止着するように構成されている。
本実施形態において、前胴回り域20、後胴回り域30、及びファスニングテープ90によって胴回り保持部が構成される。後胴回り域30の胴回り保持部は、ファスニングテープ90の係合部材が設けられた領域から幅方向に延びる範囲である。前胴回り域20の胴回り保持部は、ターゲット部95が設けられた領域から幅方向に延びる範囲である。図1において、胴回り保持部に斜線を付して示す。
また、使い捨ておむつ10は、股下域25の吸収体に重なる領域に配置された形成され、製品長手方向Lに伸縮可能なクロッチ伸縮部200を備えている。具体的には、クロッチ伸縮部200は、股下域25に配置されている。なお、クロッチ伸縮部200の構成については、後述にて詳細に説明する。
吸収体40の表面側(トップシート50側)は、脚回り開口部35の周囲に形成され、製品長手方向Lに伸縮可能な一対のレッグ伸縮部75が備えられる。
レッグ伸縮部75は、製品長手方向Lにおいて、クロッチ伸縮部200よりも長いと共に、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200よりも外側に備えられている。
レッグ伸縮部75は、脚回り開口部35を製品長手方向に伸縮できるように構成されていればよく、脚回り開口部35に沿って配置されていてもよいし、一部が脚回り開口部35に対して傾斜した状態で配置されていてもよい。
また、レッグ伸縮部75は、伸縮性シート等によって実質的に製品長手方向に収縮する部分であり、収縮力が発揮されない状態で伸縮性シートが配置された部分を除く概念である。なお、レッグ伸縮部75の構成については、後述にて詳細に説明する。
使い捨ておむつには、前切欠き部31及び後切欠き部32が形成されている。前切欠き部31は、使い捨ておむつの前側端部10Fから後胴回りに向かって突出している。前切欠き部31は、前胴回り域内で、製品幅方向の中心で且つ使い捨ておむつの製品長手方向の端部を含む領域に、形成されている。前切欠き部31が、使い捨ておむつの製品幅方向の中心に跨がって形成されているため、装着補助者は、前切欠き部31を目印として、前胴回り域の幅方向中心を把握することができる。よって、使い捨ておむつの着用時に、着用者の腹部に正しく前胴回り域を当てることができる。
後切欠き部32は、後胴回り域内で、使い捨ておむつの製品幅方向の中心で且つ使い捨ての製品長手方向の端部を含む領域に、形成されている。後切欠き部32は、使い捨ておむつの後側端部10Rから前胴回りに向かって突出している。後切欠き部32が、使い捨ておむつの製品幅方向の中心に跨がって形成されているため、装着補助者は、後切欠き部32を目印として、後胴回り域の幅方向中心を把握することができる。よって、使い捨ておむつを展開して、その上に着用者を乗せる際に、容易に正しい位置に着用者の臀部を配置できる。切欠き部については、後述にて説明する。
また、一対のレッグ伸縮部75の内側(製品幅方向Wにおける中央寄り)には、製品長手方向Lに沿って延びる一対のレッグサイドギャザー80が備えられる。レッグサイドギャザー80は、サイドフラップ70の製品幅方向の内側端部に設けられており、レッグ伸縮部75よりも製品幅方向内側に配置される起立性の伸縮ギャザーである。レッグサイドギャザー80は、レッグ伸縮部75よりも製品幅方向内側に配置されている。レッグサイドギャザー80は、従来において周知の構成を採用することができ、具体的には、サイドフラップ70と別のシート材によって構成されていてもよい。
サイドフラップ70は、製品幅方向における内側端部において表面シート側に折り返されており、2層積層されている。この2層のサイドフラップ70間に、長手方向に伸長された状態で弾性部材71(図2参照)が設けられている。このサイドフラップ70と弾性部材71とでレッグサイドギャザー80が形成される。
レッグサイドギャザー80は、トップシート50又はバックシート60aに接合される接合部分81と、弾性部材が配置された自由端部分82とを有する。自由端部分82のうち、股下域25を含む長手方向中央部分は、弾性部材71によって製品長手方向に収縮し、収縮部84を構成する。レッグサイドギャザー80は、着用時には接合部分81を基端部として立ち上がり、自由端部分82の収縮部84が頂点部として着用者の肌と接触する。すなわち、接合部分は、レッグサイド伸縮部の立ち上がりの基端部となる。
なお、収縮部84は、弾性部材71によって実質的に製品長手方向に収縮した部分であり、収縮力が発揮されない状態で弾性部材71が配置された部分を除く概念である。また、図2に、レッグサイドギャザーにおいて、サイドフラップ70とトップシート50(又はバックシート60a等)とが接合された接合部分81に斜線を付して示す。
接合部分81は、複数設けられており、第1接合部分81Aは、収縮部84よりも製品長手方向外側に配置され、第2接合部分81Bは、収縮部84よりも製品幅方向外側に配置されている。よって、レッグサイドギャザー80は、股下域25を含む製品長手方向の中央部分が着用者側に立ち上がるように構成される。
レッグサイドギャザー80の接合部分81のうち、収縮部84よりも製品長手方向外側に配置されている第1接合部分81Aは、トップシート50に接合される。
レッグサイドギャザー80の接合部分81のうち、収縮部84よりも製品幅方向外側に配置されている第2接合部分81Bは、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200とレッグ伸縮部75との間に配置される。第2接合部分81Bは、製品長手方向の全長にてバックシート60a(及び一部において外装シート60)に接合される。なお、バックシート60aは、吸収体40と外装シート60との間に配置されており、防漏シートとして機能する。
レッグサイドギャザー80の接合部分81のうち、収縮部84よりも製品長手方向外側に配置されている第1接合部分81Aは、トップシート50に接合される。
なお、レッグサイドギャザー80の接合部分81は、種々の構成を採用できる。接合部分は、例えば、製品長手方向に股下部から前胴回り域及び後胴回り域に延び、トップシートに接合される部分であってもよいし、吸収性コア40aよりも幅方向外側において液不透過性のバックシートや外装シートに接合される部分であってもよく、起立の基端部となるように構成される。
また、レッグサイドギャザーは、レッグ伸縮部よりも製品幅方向内側に配置される起立性のギャザーであればよく、上記構成に限定されず、従来において周知のレッグサイドギャザーの構成を採用できることは勿論である。
また、製品幅方向における一対のファスニングテープ間には、製品幅方向に伸縮可能な腰回り伸縮部85が設けられている。腰回り伸縮部85は、ファスニングテープ間を幅方向に収縮する。
本実施形態において、腰回り伸縮部85は、伸縮性シートによって構成されている。腰回り伸縮部85を構成する部材については、特に限定されないが、出来る限り薄くて曲げ剛性が低く、幅入り率が小さいものを用いることが好ましい。曲げ剛性を低い材料によって腰回り伸縮部85を構成することにより、腰回り伸縮部85が身体に沿って曲がりやすくなり、着用者の身体に負荷をかけずに腰回り伸縮部85を身体に沿わせてフィットさせることができる。また、幅入りが小さい材料によって腰回り伸縮部85を構成することにより、使い捨ておむつが製品幅方向に伸長した場合における使い捨ておむつの製品長手方向の収縮を抑制し、着用者の腰回りにおいて使い捨ておむつが股下側に引き下がることを抑制できる。
本実施形態では、腰回り伸縮部85として、目付けが20〜45g/mの伸縮性フィルムを用いた。
腰回り伸縮部85は、非伸長状態(自然状態)における長さの1.5〜2.5倍に引き延ばされた後、ホットメルト接着剤又は加熱処理等によって外装シート60に接着される。
本実施の形態では、腰回り伸縮部85は、外装シート60とバックシート60aとの間に配置されている。しかし、コアラップ40bが吸収性コア40aよりも製品長手方向外側に延出する構成にあっては、腰回り伸縮部85は、コアラップ40bと、バックシート60a又は外装シート60と、の間に配置されていてもよい。腰回り伸縮部の位置は、特に限定されない。が、好ましくは、吸収体40よりも非肌当接面側に配置される。また、吸収体が配置されない領域にあっては、サイドフラップ70と、バックシート60a又は外装シート60と、の間に配置されていてもよい。
腰回り伸縮部85は、後胴回り域において、後切欠き部32よりも股下域側に配置されている。腰回り伸縮部85の後側端部は、後切欠き部32よりも前側に位置し、腰回り伸縮部85の前側端部は、吸収体の後側端部よりも股下域側に配置されている。したがって、腰回り伸縮部85は、吸収体と一部が重なっている。
なお、本実施の形態に係る腰回り伸縮部は、製品幅方向に伸縮するように構成されているが、腰回り伸縮部が製品幅方向と製品長手方向に伸縮するように構成されていてもよい。
後胴回り域の吸収体40には、吸収体の他の部位よりも目付けが低い、または吸収性コア40aが存在しない低剛性領域としての低剛性部110が設けられている。低剛性部110は、吸収体40の後胴回り域側の端部の製品幅方向中央から前胴回り域側に向かって徐々に製品幅方向の長さが短くなる形状である。より具体的には、使い捨ておむつの平面視においてくさび形状である。また、吸収性コア40aの低剛性部110との境界は、製品幅方向Wの中心に向けて凸となるような円弧で形成される。低剛性部110よりも製品幅方向外側の吸収体40は、後胴回り域側の端部に向けて凸となる台形形状である。
低剛性部110の一部は、使い捨ておむつの平面視において、腰回り伸縮部85と重なって配置されている。なお、本実施形態では、腰回り伸縮部85は、低剛性部110の一部と重なって配置されているが、腰回り伸縮部85の全てと低剛性部110が重なって配置されていてもよい。
このような低剛性部110が形成されていることにより、腰回り伸縮部85の伸縮を阻害せず、腰回り伸縮部85が収縮しても、低剛性部110が狭まり、低剛性部110よりも製品幅方向両側の吸収体間の間隔が狭くなるため、吸収体40が意図しない形状で隆起し難くなる。なお、低剛性部110は、排泄物の漏れ防止を考慮すると、腰回り伸縮部85の幅より狭いことが好ましい。
また、腰回り伸縮部85によって吸収体40が製品幅方向Wにおいて収縮させられて、低剛性部110よりも製品幅方向両側の吸収体間の間隔が狭くなると、低剛性部110の後胴回り域30側の端部寄りの部位が股下域25寄りの部位よりも大きく製品幅方向W中央に寄せられるため、後胴回り域30側の部位と股下域25寄りの部位とでは製品幅方向Wにおける収縮量の差が発生し、後胴回り域30が起立するようになる。
すなわち、製品幅方向Wに伸縮可能な腰回り伸縮部85とくさび状の低剛性部110とを有するため、使い捨ておむつ10の装着時に、非肌面側に使い捨ておむつ10が膨らむカップ形状が形成され易い。
また、本実施形態では、低剛性部110には、吸収性コア40aが存在せず、低剛性部110と重なるように腰回り伸縮部85が存在するため、製品長手方向Lにおける後胴回り域30側の端部寄りの部位が吸収性コア40aの端部位置よりも大きく製品幅方向W中央に寄せられ、後胴回り域30の立ち上がりがより顕著になるため、カップ形状をより安定して形成し得る。
本実施形態では、腰回り伸縮部85は、吸収性コア40aの製品幅方向Wにおける側縁を超えて存在するため、使い捨ておむつ10をカップ形状に形成しつつ、製品長手方向Lにおける後胴回り域30側の端部側より位置の吸収性コア40aについては着用者の体に積極的に沿わせることができる。さらには、腰回り伸縮部85及び低剛性部110の少なくとも一部は、一対のファスニングテープ90から幅方向に延びる領域に存在する。よって、使い捨ておむつ10を下に敷いて着用者を寝かせた状態で使い捨ておむつ10を装着する際でも、吸収性コア40aの製品幅方向Wにおける側縁を超えて存在する腰回り伸縮部85が着用者の身体の下に敷かれない。したがって、ファスニングテープ90を引っ張ることによって腰回り伸縮部85の側縁が伸長し、カップ形状のウエスト側より位置をより確実に体に沿わせることが容易となる。
本実施形態では、低剛性部110よりも製品幅方向外側の吸収性コア40aが、後胴回り域側に向かって凸形状である。このため、上述したように非肌面側に使い捨ておむつ10が膨らむカップ形状が形成され易くすることに加え、吸収性コア40aの表面面積が維持されるため、吸収性コア40a端部からの排泄物の漏れを防止し得る。
本実施形態では、低剛性部110はくさび状であり、吸収性コア40aの低剛性部110との境界は、股下域25に向けて凸となるような円弧である。なお、円弧の半径は50mm〜200mmである。このため、低剛性部110の製品幅方向Wにおける幅は、製品長手方向Lにおける後胴回り域30側の端部に行くに連れて非線形に大きくなり、後胴回り域30の立ち上がりがより顕著になるため、カップ形状をより安定して形成し易い。さらに、吸収性コア40aの低剛性部110との境界が股下域25に向けて凸となるような円弧であるため、低剛性部110の収縮によって後胴回り域30が丸みのあるカップ形状となり、着用者の丸みのある臀部に沿い易い形状となる。
また、低剛性部110が形成されていることで、吸収体40の後胴回り域側の端部には、左右それぞれに後回り域側に向かう凸形状が形成されている。この吸収体形状は、おしりを載せることを想起させるため、より使用者がおむつを着用者にとって正しい位置に合わせやすくなるという効果がある。
更に、低剛性部110が設けられていることにより、吸収体の厚みが吸収体の後側端部に向かって薄くなる。よって、吸収体の後側端部における製品幅方向中央が身体により沿いやすくなる。
また、前胴回り域の吸収体40には、吸収体の他の部位よりも目付けが低い、または吸収性コア40aが存在しない低剛性領域としての低剛性部111が設けられている。低剛性部111は、吸収体40の前胴回り域側の端部の製品幅方向中央から後胴回り域側に向かって徐々に製品幅方向の長さが短くなる形状である。
低剛性部111が設けられていることにより、吸収体の厚みが吸収体の前側端部に向かって薄くなる。よって、ファスニングテープ90をターゲット部95に止着した状態において、吸収体の前側端部における製品幅方向中央が身体により沿いやすくなる。
本実施の形態における曲げ剛性は、テーバー法(JISP8125)に準拠した剛性値に基づいており、以下の方法によって測定される。まず、使い捨ておむつを展開状態にて、曲げ剛性の測定対象部分のサンプル(例えば、吸収体)を採取する。サンプルは、測定対象部分について、製品幅方向の長さ70mm×製品長手方向38mmの寸法とする。サンプル中に伸縮弾性部材が含まれる場合には、弾性部材を取り除いておく。なお、剛性値の測定の試験器は、(株)安田精機製作所製のテーバースティフネステスターを使用する。また、サンプル数は、10であり、各サンプルについて測定し、その平均値を剛性値とする。
測定の手順は、以下の(a)〜(e)の通りである。
(a)採取したサンプルの厚み(A)を測定する。
(b)次いで、試験機のチャック(下側)の中心に触れる程度にサンプルを挟み込む。
(c)支持ローラとサンプルとの左右隙間の合計を(A)×0.80(mm)に調節する。
(d)指示荷重目盛が最大目盛りの15〜85%の範囲に入るように、補助おもりを適切に選択する。
(e)サンプルを左右両方向に回転させ、15度支持刻線と振り子の中心刻とが一致した点で停止させ、試験機の目盛りを読み取る。目盛りの左側の数値を(B)とし、目盛りの右側の数値を(C)とする。
剛性値は、以下の式によって求められる。
式: 剛性値(mN・m)=(((B)+(C))/2)×(補助おもり係数)×9.81×10-2
なお、試験片の幅が38mmを採取できない場合には、38mm幅の曲げモーメントへ換算を行う。
このように測定した剛性値が高いほど、曲げ剛性が高く、剛性値が低い程、曲げ剛性が低くなる。
ファスニングテープ90は、後胴回り域30に対応するサイドフラップ70の領域に取り付けられている。ファスニングテープ90は、サイドフラップ70に連結された基材シート91と、複数の係合部材としての係合フック(図示せず)が設けられ、基材シート91に固定されたフックシート92と、を備える。フックシート92は、係合部材が設けられた領域であり、上述の胴回り保持部は、フックシート92から幅方向に延びる領域である。
フックシート92は、基材シート91に固定、具体的には接合されている。フックシート92と基材シート91との接合は、ファスニングテープ90の剛性が必要以上に高くなることがないようされていることが好ましい。具体的には、フックシート92と基材シート91とは、点状、線状或いはスパイラル状のような間欠的に塗布されたホットメルト接着剤によって接合されていることが好ましい。なお、フックシート92と基材シート91とは、熱シールなどで接合されてもよい。
基材シート91は、1枚または2枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。基材シート91としては、スパンボンド(SB)またはスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)などの製法によって製造された不織布を用いることができる。基材シート91を構成する不織布の目付け(複数枚の場合は合計目付け)は、30〜120g/m2であり、好ましくは40〜90g/m2である。
ターゲット部95は、前胴回り域の外装シート60の非肌当接側の面に設けられている。ターゲット部95は、ファスニングテープの係合フックが引っ掛かるように構成されており、フックとループの係止システムのループとして機能する。ターゲット部としては、例えば、エアースルー不織布を用いることができる。
ターゲット部95は、例えばポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂繊維から作られた繊維不織布またはポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂フィルムを用いることができる。また、ターゲット部に取り付けられたループは、ポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂によって形成できる。
更に、ターゲット部95として、嵩高の不織布であって、その一部をエンボスすることで不織布表面の毛羽立ちを防止した不織布を用いてもよい。
また、使い捨ておむつの外装シート60を不織布によって形成し、ファスニングテープ90の取り付け位置を示す図柄をバックシート60a又は外装シート60の非肌当接側の面に印刷する、若しくは図柄のシートをバックシート60a又は外装シート60の非肌当接側に配置することによってもターゲット部とすることができる。
レッグ伸縮部75は、吸収体40よりも製品幅方向外側に設けられた脚回り開口部35に沿って配置され、製品長手方向Lに伸縮可能に構成されている。脚回り開口部35及びレッグ伸縮部75は、幅方向における位置が股下域において最も内側に位置する幅方向内端領域75Iを有している。脚回り開口部35及びレッグ伸縮部75は、特に後胴回り域において、股下域25から製品長手方向外側に向かうにつれて製品幅方向外側に向かって延びている。なお、レッグ伸縮部75の幅方向内端領域75Iは、製品長手方向に連続して配置されていてもよいし、製品長手方向に連続していなくてもよい。本実施の形態では、脚回り開口部35の幅方向における位置が股下域において最も内側に位置する領域は、レッグ伸縮部75の幅方向内端領域75Iと一致しているが、必ずしも一致していなくてもよい。
本実施の形態のレッグ伸縮部75は、伸縮性シートによって構成されている。例えば、かかる伸縮性シートとしては、ウレタンやスチレンのような熱可塑性エラストマ樹脂を溶融しフィルム状とした伸縮性フィルムや、伸縮繊維からなる伸縮性不織布や、伸縮性フィルムや伸縮性不織布に部分的に切断され又は脆弱化された非伸張性シートを張り合わせた複合シート等を用いることができる。
また、かかる伸縮性シートの代わりに、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる糸状・帯状の弾性部材を、1本又は複数本配置することによってレッグ伸縮部75を構成してもよい。
レッグ伸縮部75は、サイドフラップ70と外装シート60との間に配置されている。或いは、吸収体40と外装シート60との間に配置されるバックシート60aが備えられる領域では、レッグ伸縮部75は、バックシート60aとサイドフラップ70との間に配置されている。
レッグ伸縮部75を構成する伸縮性シートは、少なくとも股下域25において、幅5mm(使い捨ておむつ10の自然状態における製品幅方向Wにおける幅)以上45mm以下、より好ましくは、12.5mm以上35mm以下であることが好ましい。5mm未満では、実質的に面で着用者の脚回りに沿うことで、部分的に締め付ける力が集中せずに、弾性要素による肌への負荷を下げるという効果が発現せず、45mmを超えると、使い捨ておむつ全体の製品幅方向の長さと比較して脚回りに沿う領域が広くなり過ぎてしまい、伸縮性シートが着用者の身体側に巻き込んだり、めくれたりし易くなってしまう。
レッグ伸縮部75の伸長率は、1.6〜2.3倍であることが好ましい。本実施形態では、レッグ伸縮部75の伸長率は、1.8〜2.0倍に設定される。なお、伸長率とは、レッグ伸縮部の伸長の程度を意味し、以下のように規定される。
伸長率=(伸長状態のレッグ伸縮部の長さ)÷(自然状態のレッグ伸縮部の長さ)
なお、本明細書において、かかる伸長率は、例えば、次のように測定されるものとする。
第1に、使い捨ておむつ10がパッケージ等に封入されている場合には、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出す。次いで、レッグ伸縮部の配置領域を切り出す。このとき、レッグ伸縮部に接合される外装シートも含めて切り出す。切り出した後のレッグ伸縮部のサンプルの伸長率を測定して、レッグ伸縮部の伸長率を計測する。
各サンプルについて、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において60分間放置し、伸縮方向に沿ってレッグ伸縮部の長さを測定する。この長さを、「自然状態のレッグ伸縮部の長さ」とする。
第2に、かかる状態(すなわち、自然状態)における所望領域の伸縮方向における長さ、及び、自然状態から弾性部材による皺が非伸縮性シート上に目視にて確認できない状態まで延伸した時の所望領域の伸縮方向における長さを測定する。この長さを、「伸長状態におけるレッグ伸縮部の長さ」とする。
これら測定結果を用い、上述の式にて算出することで伸長率が測定される。
また、左右一対のレッグ伸縮部75の製品幅方向Wにおける内側端の間隔は、股下域25から前胴回り域20に向かうに連れて広くなるとともに、股下域25から後胴回り域30に向かうに連れて広くなる。着用者の体におむつを装着する場合、股下部にて狭く、前後の胴回りに向かって広がる形状にレッグ伸縮部を配置することで、よりレッグ伸縮部が身体のラインに沿うことが可能となり、着用者の脚回りに好適にレッグ伸縮部が伸長配置されることとなる。
さらに、左右一対のレッグ伸縮部75の前胴回り域20の端部における当該間隔(図中のD1)は、左右一対のレッグ伸縮部75の後胴回り域30の端部における間隔(図中のD2)よりも狭い。なお、当該間隔は、使い捨ておむつ10を自然状態からしわがない状態に製品長手方向L及び製品幅方向Wに拡幅して保持した後、左右一対のレッグ伸縮部75の製品幅方向Wにおける内側端間の距離を測定したものである。
着用者の身体の皮膚表面の伸びは、臀部において特に大きく、その幅方向外側寄りの位置にて顕著である。また、レッグ伸縮部75は、着用者の身体に密着している。そこで、D2>D1とすることで、着用者の動きが使い捨ておむつ10に加わった場合でも、臀部側でのレッグ伸縮部75が密着したまま伸びることができ、伸びの変化量が大きくてもレッグ伸縮部75が突っ張ることがない。従って、レッグ伸縮部75による使い捨ておむつ10のズレを抑制し得る。
また、着用者の両脚の間隔は、股下域が最も狭く、股下域から腹側や背側に向かって広がる形状である。脚回り開口部及びレッグ伸縮部75は、股下域から長手方向外側に向かって幅方向外側に向かって延びる形状であるため、着用者の脚繰りに沿って脚回り開口部及びレッグ伸縮部75を配置でき、局所的な応力集中を抑制できるため、比較的低い伸長率にて着用者に密着でき、肌への負担を減らすことが可能となる。
レッグ伸縮部75は、着用者の脚回りに沿って使い捨ておむつを湾曲させて収縮するように構成されている。レッグ伸縮部75の製品長手方向端部は、幅方向に広がるように配置されており、胴回り保持部の近傍に配置される。よって、レッグ伸縮部75の製品長手方向端部は、胴回り保持部と共に幅方向に収縮するように作用する。
次に、クロッチ伸縮部200の形状について説明する。クロッチ伸縮部200は、吸収体40の他の部分よりも、使い捨ておむつの着用時において股下域の一部に平坦な形状を維持できるように構成されている。クロッチ伸縮部200は、少なくとも製品長手方向Lまたは製品幅方向Wに伸縮可能に構成されている。
クロッチ伸縮部200は、レッグ伸縮部75とは個別独立して設けられており、吸収性コア40aと重なる位置(本実施形態では、吸収性コア40aを包むコアラップ40bとバックシート60aとの間の位置)において、当該重なる位置における吸収性コア40aの幅方向の長さの60%以上を収縮させるように構成されている。このように、クロッチ伸縮部200によって吸収性コア40aが配置された部分を収縮させることにより、吸収性コア40aが縮み、吸収性コア40aが縮まない部分と比較して平坦な形状を維持し易くなる。
一方、クロッチ伸縮部200よりも製品長手方向外側に位置する前胴回り域や後胴回り域に位置する吸収性コア40aは、クロッチ伸縮部200によって収縮していない。したがって、ファスニングテープにより、着用者の腰・ウエスト周りに保持された状態において、使い捨ておむつの股下部に平坦な形状で維持されるクロッチ伸縮部200が過度に身体に密着することなく、結果、クロッチ伸縮部200が適度に身体に沿って配置される。
また、クロッチ伸縮部200が、製品長手方向Lに沿って伸縮可能である場合、前胴回り域20及び後胴回り域30が、クロッチ伸縮部200の収縮によって立ち上がり易くなり、着用時には、着用者の股部にて身体に沿って平坦な股下域を形成することができる。
その結果、クロッチ伸縮部200から前胴回り域20及び後胴回り域30が立ち上がるので、使い捨ておむつ10の着用者へのフィット性が向上する。
すなわち、クロッチ伸縮部200の収縮によって、使い捨ておむつ10の股下域25が、着用者の股下部に配置されるように、安定して使い捨ておむつ10を装着することができる。
クロッチ伸縮部200は、伸縮性シートによって構成されることが好ましい。
伸縮性シートによってクロッチ伸縮部200を構成することにより、伸縮性シートを配置した領域の吸収性コア40aが一様に縮められ、平坦な形状維持がより容易になる。なお、伸縮性シートは、例えば、レッグ伸縮部75と同様の伸縮性シートによって構成することができる。
また、かかる伸縮性シートの代わりに、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる糸状・帯状の弾性部材を、複数本配置することによってクロッチ伸縮部200を構成してもよい。この場合、クロッチ伸縮部200によって吸収性コア40aを一様に縮めるためには、弾性部材同士の間隔を7mm以下、より好ましくは5mm以下であるとよい。また、吸収性コア40aを一様に縮めるために、隣り合う弾性部材の間隔の差は、2mm以下であることが望ましい。
また、クロッチ伸縮部200の伸長率は、具体的には、1.2倍以上、1.8倍以下であることが好ましい。本実施形態では、クロッチ伸縮部200の伸長率は、1.4倍に設定される。伸長率は、クロッチ伸縮部200の伸縮方向(製品長手方向L)における伸長の程度を意味し、以下のように規定される
伸長率は、伸縮方向(本実施形態では、製品長手方向L)におけるクロッチ伸縮部200の伸長の程度を意味し、以下のように規定される。
伸長率=(最大伸張状態におけるクロッチ伸縮部200の伸縮方向における長さ)/(自然状態におけるクロッチ伸縮部200の伸縮方向における長さ)
なお、本明細書において、かかる伸長率は、例えば、次のように測定されるものとする。
第1に、使い捨ておむつ10がパッケージ等に封入されている場合には、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において60分間放置し、伸縮方向に沿ってクロッチ伸縮部の長さを測定する。この長さを、「自然状態におけるクロッチ伸縮部200の伸縮方向における長さ」とする。
第2に、かかる状態(すなわち、自然状態)における所望領域の伸縮方向における長さ、及び、自然状態から弾性部材による皺が目視にて確認できない状態まで延伸した時の所望領域の伸縮方向における長さを測定する。この長さを、「最大伸張状態におけるクロッチ伸縮部200の伸縮方向における長さ」とする。
これら測定結果を用い、上述の式にて算出することで伸長率が測定される。
このように、クロッチ伸縮部200の伸長率を、1.2倍以上1.8倍以下とすることによって、着用者の皮膚の伸縮に好適に追従することができる。
例えば、着用者が、身体前側が縮むような前屈みの姿勢をとると、着用者の臀部側の皮膚において、身体を伸ばした状態に対して30%程度伸びる部位が存在する。
つまり、クロッチ伸縮部200の伸長率を1.2倍以下とすると、自然状態におけるクロッチ伸縮部200の収縮が十分でなく、クロッチ伸縮部200が設けられていない場合と比較して、使い捨ておむつ10の股部における吸収体領域の収縮が小さく、着用者の股部において、身体に沿うように平坦な形状をとる事が不十分になってしまう。
一方、クロッチ伸縮部200の伸長率を1.8倍よりも大きくすると、クロッチ伸縮部200の収縮方向における収縮寸法が大きくなり過ぎるため、クロッチ伸縮部200が存在する領域が、身体に沿うよりも密着する状態となり易く、使い捨ておむつ10が、着用者の下方にズレ易くなってしまう。
また、クロッチ伸縮部200の製品長手方向Lにおける収縮量は、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さの2〜8%となるように構成されていてもよい。
なお、収縮量は、皺が十分に小さくなり、サンプルの表面が平滑に近くなるように伸長した状態での長さ「b(mm)」と、サンプルの伸縮方向に沿う向きにおける自然状態での長さ「a(mm)」との差であり、(b-a)によって算出されることができる。
本発明者は、クロッチ伸縮部200の製品長手方向Lにおける収縮量を、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さの2〜8%とすると、使い捨ておむつ10を着用者に対して装着する過程において、クロッチ伸縮部200が、好ましく着用者の身体に沿い易くなることを確認することができた。
ここで、クロッチ伸縮部200の製品長手方向Lにおける収縮量を、8%より大きくすると、クロッチ伸縮部200が、縮み過ぎてしまい、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さが足りず、使い捨ておむつ10を着用者の身体に付け難くなったり、使い捨ておむつ10及び着用者の身体が、股下域25において、過度に密着してズレ易くなったりしてしまう。
一方、クロッチ伸縮部200の製品長手方向Lにおける収縮量を、2%以下とすると、使い捨ておむつ10を着用者の身体に近付けるというクロッチ伸縮部200の効果そのものが発現し難くなってしまう。
また、製品長手方向Lにおけるクロッチ伸縮部200の中心は、製品長手方向Lにおける使い捨ておむつ10の中心よりも、前胴回り域20側に配置されている。また、クロッチ伸縮部200は、製品長手方向Lにおける使い捨ておむつ10の中心を跨ぐように配置されている。
かかる場合、吸収性コア40aの剛性及び使い捨ておむつ10を構成する他の部材の剛性を考慮して、用いる弾性部材の太さや配置するピッチを適宜選択できるが、使い捨ておむつ10本体を自然状態(非伸張状態)とした際に、吸収性コア40aの製品幅方向Wにおける側縁部全域が収縮した状態となるようにすることが好ましい。
また、吸収体40の股下域25には、吸収体切欠き115(吸収体切欠き125)が形成される。吸収体切欠き115及び吸収体切欠き125は、吸収体40を構成する吸収性コア40aが存在しない領域である。本実施形態において、吸収体切欠き115及び吸収体切欠き125は、吸収性コア40aの目付けが吸収性コア40aの他の部分よりも低い低剛性部に該当する。なお、吸収体切欠き115及び吸収体切欠き125を形成することに代えて、吸収体切欠き115及び吸収体切欠き125の領域を、吸収性コア40aの目付けが吸収性コア40aの他の部分よりも低くするようにしてもよい。
吸収体切欠き115及び吸収体切欠き125は、クロッチ伸縮部200の製品長手方向Lにおける縁部に沿って存在する。なお、吸収体切欠き115及び吸収体切欠き125が形成されていても、前胴回り域20及び後胴回り域30に位置する吸収性コア40aと、股下域25に位置する吸収性コア40aとは、完全に切り離されることなく特に幅方向において連続していることが好ましい。
吸収体切欠き115及び吸収体切欠き125は、製品幅方向W外側に行くに連れて製品長手方向Lにおける長さが広くなっている。このような形状により、吸収性コア40aの製品幅方向W外側がより縮み易くなるため、平坦な「底部」がより容易に形成される。更には、吸収体切欠き115よりも前胴回り域20寄りに位置する吸収性コア40a、及び吸収体切欠き125よりも後胴回り域30寄りに位置する吸収性コア40aが、「底部」から立ち上がり、着用者の体(腹部および臀部)の丸みに沿うように湾曲し易くなるため、使い捨ておむつそのものの形状が着用者の体の形により近づくことができる。
また、吸収体切欠き115(吸収体切欠き125)の前胴回り域20(後胴回り域30)寄りの縁部は、円弧状である。吸収体切欠き115(吸収体切欠き125)の縁部は、円弧の中心が当該縁部よりも後胴回り域30(前胴回り域20)に位置するような形状である。このような形状により、着用者の体の丸みに沿った変形がより容易かつ顕著に起き易い。
次いで、このように構成された使い捨ておむつの装着状態について説明する。図4は、使い捨ておむつの装着状態を模式的に示した図である。装着する際は、ファスニングテープの係合部材をターゲット部に止着して、着用者の腰回りに使い捨ておむつを保持する。このとき、使い捨ておむつの前側端部に形成された前切欠き部31は、着用者のおへそ部分に配置される。よって、着用者のおへそ部分に使い捨ておむつが当たることを抑制し、おへそに対する刺激を抑制できる。
一般的に、乳幼児は、腹まわりが張り出しており、使い捨ておむつの前側端部が腹の膨らみ上に位置する場合には、腹の膨らみが使い捨ておむつによって適切に覆われないことがある。図4に示すように、ファスニングテープの止着位置を股下側、かつ幅方向内側に止め、前胴回り域を引き上げつつ幅方向外側に引っ張った状態で装着することで、着用者のおへそを保護しつつお腹の膨らみを適切に覆うことができる。
具体的には、前胴回り域を引き上げつつ幅方向外側に引っ張った状態で装着すると、使い捨ておむつの前胴回り域は、切り欠き部が幅方向外側に広がることで、着用者のおへそを保護しつつ、着用者の腹の膨らみに沿って配置できる。
一方、使い捨ておむつの後胴回り域は、前胴回り域側に引っ張られるため、身体に対して突っ張った状態となり、装着感が悪化することがあるおそれがある、しかし、胴回り保持部と離間した後切欠き部32が形成されているため、後胴回り域のファスニングテープを前胴回り域に引き寄せる際に、着用者の腰回りに胴回り保持部によって保持した状態で、その胴回り保持部よりも製品長手方向外側に位置する後切欠き部32が広がり、後胴回り域を前胴回り域側に引き寄せることができる。図6(a)は、使い捨ておむつの装着前の後切欠き部32を示しており、図6(b)は、使い捨ておむつの装着後の後切欠き部32を示している。
胴回り保持部は、使い捨ておむつを着用者の身体に保持する部分であるため、例えば、胴回り保持部と後切欠き部32とが重なっていると、装着時にファスニングテープを製品幅方向外側に引っ張った際に、後切欠き部32が胴回り保持部において製品幅方向に広がり、背側の胴回り保持部が着用者に保持し難くなるおそれがある。しかし、胴回り保持部と後切欠き部32とが離間しているため、胴回りの位置を維持した状態で、それよりも長手方向外側に位置する領域のみを前胴回り域側に引き寄せ、ファスニングテープの止着位置を股下側、かつ幅方向内側に止めて、前胴回り域を引き上げつつ幅方向外側に引っ張った状態で装着できる。その結果、腹まわりが張り出した乳幼児であっても、腹の膨らみを適切に覆うことができる。
後切欠き部32と胴回り保持部との間には、腰回り伸縮部85が設けられている。腰回り伸縮部85が設けられていることにより、ファスニングテープ90をターゲット部95に係合する際に、胴回り保持部を着用者の胴回り位置に維持した状態で、それよりも長手方向外側に位置する領域のフィット性を腰回り伸縮部85の収縮によって高め、着用者の胴回り位置に維持し易くなる。更に、ファスニングテープ90をターゲット部95に係合した後には、腰回り伸縮部85の収縮によって、前胴回り域側を後胴回り位置に引き寄せやすくなる。
また、ファスニングテープの止着位置を股下側、かつ幅方向内側に止めて、前胴回り域を引き上げつつ幅方向外側に引っ張った状態で装着した際に、腰回り伸縮部85を着用者の背部にフィットさせることができ、かつ腰回り伸縮部85によって当該前胴回り域を後胴回り域側に引き寄せ、結果として、前胴回り域を着用者の腹回りにおいて引き上げることができる。
また、腰回り伸縮部85の伸縮率は、適宜設定できる。腰回り伸縮部85の伸縮率を適宜設定することによって、後切欠き部32の股下域側の収縮状態が変化する。よって、おむつの自然状態においての後切欠き部32の形状が変化した状態となる。これにより、おむつの自然状態(パッケージから取り出し、広げた時)における背側の後切欠き部32の形状と腹側の前切欠き部31の形状の差を明確とすることができ、使い捨ておむつの前後をより容易に認識することが可能となる。
腰回り伸縮部の製品幅方向の長さは、吸収体の製品幅方向の長さよりも長い。吸収体が配置された領域は、比較的剛性が高く、伸縮しにくい。伸縮部の幅方向の長さが吸収体の幅方向の長さよりも長く、吸収体よりも幅方向外側に延出した領域が伸縮するため、当該吸収体よりも幅方向外側に延出した領域を前胴回り域側に引き寄せることができる。
また、テープタイプの使い捨ておむつを装着する際は、使い捨ておむつを展開した状態で当該使い捨ておむつの上に着用者を載せるため、吸収体が着用者の身体の下に敷きこまれる状態となり易い。腰回り伸縮部が吸収体よりも製品幅方向外側に延出することにより、ファスニングテープを引っ張った際に、腰回り伸縮部の吸収体から延出した領域を製品幅方向に伸ばすことができ、後胴回り域を着用者の背側胴回りから脇部に密着させつつ、前胴回り域を着用者の背側に引き寄せることができるため、着用者の腹側に対してより密着させることができる。
使い捨ておむつの伸長状態において、使い捨ておむつの前側端部と、前切欠き部31において前側端部から製品長手方向に延びる側部と、がなす角度αは、図5(b)に示すように、鈍角である。また、使い捨ておむつの伸長状態において、使い捨ておむつの後側端部と、後切欠き部32において後側端部から製品長手方向に延びる側部と、がなす角度βは、図5(a)に示すように、鋭角である。具体的には、角度αは、105度であり、角度βは、75度である。また、前切欠き部31及び後切欠き部32は、平面視にて曲線状である。なお、使い捨ておむつの伸長状態とは、使い捨ておむつのレッグ伸縮部等による皺が形成されない状態まで使い捨ておむつを伸長させた状態である。
前切欠き部31は、装着する際に、着用者の腹上に配置される部分であり、着用補助者の目につきやすい部分である。よって、例えば、前切欠き部31が鋭角な部分を有すると、装着補助者が前切欠き部31を刺激物であると認識し、使い捨ておむつに対する安心感を得ることができないことがあった。
また、前切欠き部31が鋭角であると、使い捨ておむつの前側端部の目安を把握しにくく、装着位置が安定せずに、装着し直しや、位置ズレの要因となっていた。
後切欠き部32の股下側の領域は、腰回り伸縮部85によって収縮し、後切欠き部32の前側端部は、製品幅方向外側に広がる。更に、図6(b)に示すように、ファスニングテープを介して後胴回り域が前胴回り域に引き寄せられることにより、後切欠き部32の前側端部は、製品幅方向外側に広がる。よって、後切欠き部32において後側端部から製品長手方向に延びる側部と、がなす角度βは、装着前に使い捨ておむつの伸長状態において鋭角であっても、着用時に使い捨ておむつのファスニングテープを止着する段階では角度βが大きくなり、肌への刺激を抑制できる。
使い捨ておむつの伸長状態において、前切欠き部31の製品長手方向の長さは、10mm以上30mm以下である。後切欠き部32の製品長手方向の長さは、3mm以上15mm以下である。
使い捨ておむつは、前切欠き部と後切欠き部とによって前胴回り域がおへそ側に近づくように持ち上がる。このとき、前切欠き部の製品長手方向の長さが10mm以上であることにより、使い捨ておむつを適切な位置となるように装着した場合であっても、おへそへの干渉を抑止できる。一方、前切欠き部の製品長手方向の長さが30mmよりも長いと、ファスニングテープを前胴回り域に止着した後においても、前切欠き部によって前胴回り域の前側端部が外向きに折り返り易くなってしまい、着用者の腹部を覆うことができないおそれがある。
前切欠き部31の製品長手方向の長さL31は、後切欠き部32の製品長手方向の長さL32よりも長い。使い捨ておむつが装着された状態では、後切欠き部の広がりによって、前胴回り域を持ち上げる。よって、例えば、使い捨ておむつの後切欠き部32の製品長手方向の長さが、前切欠き部の製品長手方向の長さよりも長いと、装着時に後切欠き部の広がり易くなり、図4に示すファスニングテープを止着した状態において、ファスニングテープの角度がより付き易くなる。ファスニングテープの角度がより付くと、前胴回り域の前側端部が外向きに折れ返り易くなることがある。しかし、前切欠き部31の製品長手方向の長さL31を、後切欠き部32の製品長手方向の長さL32よりも長くすることにより、前胴回り域の前側端部が外向きに折れ返ることを抑止できる。
後切欠き部32の製品幅方向の長さW32は、20mm以上90mm以下である。
前切欠き部31の製品幅方向の長さW31は、20mm以上90mm以下である。
また後切欠き部32の製品幅方向の長さは、後胴回り域の幅方向の長さ(ファスニングテープを含まない長さ)の1/3以下であることが好ましい。当該構成によれば、後切欠き部32の幅方向外側に、後切欠き部32の幅方向の領域以上に、平坦な形状を維持し易い領域が存在することとなる。よって、後切欠き部32よりも幅方向外側の領域を、身体に沿わせて配置できる。
吸収体には、吸収体を構成する吸収コアが存在しない、または吸収コアの目付けが他の部分よりも低い低剛性部が、吸収体の後側端部を含んで形成されている。後切欠き部32は、低剛性部よりも製品長手方向外側に配置されている。
吸収体の後側端部に低剛性部が設けられていることにより、吸収体の後側端部の柔軟性が高まり、後胴回り域側が前胴回り域側に引き寄せられた際に、吸収体の後側端部も幅方向に広がり易くなる。
前切欠き部31及び後切欠き部32は、少なくとも2枚以上の不織布シートが配置されている領域に形成されている。
例えば、前切欠き部31及び後切欠き部32は、少なくとも2枚以上の不織布シートとして、トップシート50及び外装シート60が配置されている領域に形成されている。
ここで、通気性及び柔軟性の観点から、前切欠き部31及び後切欠き部32は、2枚の不織布シート、すなわち、トップシート50及び外装シート60のみが配置されている領域に形成されていることが好ましい。
かかる構成によれば、前切欠き部31及び後切欠き部32が形成されている領域には、フィルムシートが配置されていないため、かかる領域における硬さを低減することができる。
なお、バックシート60aが、不織布シートである場合には、前切欠き部31及び後切欠き部32は、トップシート50及び外装シート60が配置されている領域から、トップシート50、バックシート60a及び外装シート60が配置されている領域に渡って形成されていてもよい。
ただし、バックシート60aが、不織布シートではなく、フィルムシート等である場合には、前切欠き部31及び後切欠き部32は、バックシート60aが配置されている領域に形成されていてはいけない。
また、前切欠き部31及び後切欠き部32は、使い捨ておむつ10の製品幅方向Wの中心に向かう凸形状を有しており、使い捨ておむつ10を平面視した場合に、前切欠き部31及び後切欠き部32の切り欠きラインは、蛇行する形状となっていてもよい。
換言すると、使い捨ておむつ10を平面視した場合に、前切欠き部31及び後切欠き部32の切り欠きラインは、2段に重ねた凸形状からなる曲線となっており、2段目の凸形状の頂点は、製品幅方向Wの中央に配置されていてもよい。
ここで、前切欠き部31及び後切欠き部32の切り欠きラインが、1段の凸形状からなる曲線となっていると、使い捨ておむつ10の前胴回り域20や後胴回り域が深く切り抜かれている印象を与えてしまう。
例えば、製品幅方向Wの中央における製品長手方向Lの長さが20mmの前切欠き部31及び後切欠き部32を形成する場合、1段の凸形状からなる曲線によって、かかる前切欠き部31及び後切欠き部32を形成すると、漏れに対する不安が生じる印象を与えてしまうが、2段に重ねた凸形状からなる曲線によって、かかる前切欠き部31及び後切欠き部32を形成すると、漏れに対する不安が生じる印象を与えることなく、使い捨ておむつ10と乳児のへそ部分とがすれるという事態を回避することができる。
また、2段に重ねた凸形状からなる曲線によって、前切欠き部31及び後切欠き部32を形成すると、使い捨ておむつ10が、着用者の腹部から離れた際には、製品幅方向Wにおいて、製品長手方向Lの長さの変化点が複数設けられた切り欠きラインを形成することによって、着用者の腹部や背部と使い捨ておむつ10と間の隙間を小さくすることができ、隙間を目立たせなくすることができる。
また、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、前胴回り域20の前側端部10Fから、使い捨ておむつ10における製品長手方向Lの中心に向かうにつれて、配置されているシートの枚数が、順次、多くなるように構成されていてもよいし、後胴回り域30の後側端部10Rから、使い捨ておむつ10における製品長手方向Lの中心に向かうにつれて、配置されているシートの枚数が、順次、多くなるように構成されていてもよい
例えば、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、第1に、前胴回り域20内の前側端部10Fの周辺領域において、トップシート50及び外装シート60が配置されている。
第2に、前胴回り域20の前側端部10Fの周辺領域に隣接する領域では、トップシート50、バックシート60a及び外装シート60が配置されている。
第3に、前胴回り域20内の製品長手方向Lの中心を含む領域では、トップシート50、コアラップ40b、バックシート60a及び外装シート60が配置されている。
上述のように、前切欠き部31を設けると、前切欠き部31が変曲起点となり、使い捨ておむつ10と着用者の身体(腹部や腰部周り)との間に隙間が生じると、前切欠き部31から製品長手方向Lに伸びる皺が発生しやすくなる。
また、新生児や低月齢の乳児特有の体型的特徴として、腹部周りが外側に張り出しており、へそ部分から股下部に向かう傾斜の変化がより大きい。
そこで、このような体型的特徴にある身体に、より使い捨ておむつ10の前胴回り域20側の端部が沿うように、ターゲット部95から、随時、前胴回り域20の前側端部10F側に向けて、使い捨ておむつ10本体の厚みが薄くなっていくようにすることで、へそ部分用の前切欠き部31の周辺が、着用者(新生児等)の身体に沿い易く、使い捨ておむつ10と着用者の身体との間に隙間が生じ難くなる。
また、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、前胴回り域20の前側端部10Fにおいて、トップシート50及び外装シート60内の繊維が圧縮され、嵩が低減するように構成されており、トップシート50及び外装シート60内の繊維が溶解せずに交絡する状態によって接合されていてもよい。
ここで、前胴回り域20の前側端部10Fは、フィルムシートが配置されておらず不織布シート(繊維層)のみで構成されているため、かかる前側端部10Fを構成する繊維の融点よりも低い温度のカッターにて切断することにより、トップシート50及び外装シート60内の繊維が溶解せずに交絡する状態によって接合することができる。
次に、本実施形態に係る吸収性物品の製造方法の一例について説明する。なお、本実施の形態において説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。また、以下に説明する製造方法は、一例であり、他の製造方法によって製造することもできる。吸収性物品の製造方法は、構成部品形成工程と、構成部品載置工程と、脚回り形成工程と、切断工程とを少なくとも含む。
構成部品形成工程では、吸収性物品を構成する構成部品を形成する。具体的には、例えば、吸収材料を積層して吸収体40を成型する。
構成部品載置工程では、バックシートを構成するウェブ上に、レッグ伸縮部75を構成する伸縮性シートや、トップシートを構成するウェブ等の他のウェブ、防漏シート、吸収体等の使い捨ておむつ10を構成する構成部品を載置する。
より具体的には、レッグ伸縮部75を構成する伸縮性シートを伸長させ、更に幅方向に変位させつつ間欠ドラム上に転写し、間欠ドラム上で個々の製品長さに伸縮性シートを切断する。間欠ドラムの回転に伴って伸縮性シート同士の間隔を設け、伸縮性シートを連続するウェブ上に転写する。このようにしてレッグ伸縮部を曲線状に配置できる。
脚回り形成工程は、レッグ伸縮部75の幅方向外側端部に沿って、トップシート50、外装シート60、及びバックシート60aを切断する。これにより、着用者の脚回りに配置される脚回り開口部35が形成される。
切断工程では、トップシート50、バックシート60a、吸収体40等が配置された連続体に後切欠き部32と前切欠き部31を形成し、その後に、連続体を製品幅方向Wに沿って一製品の大きさに切断する。これにより、使い捨ておむつ10が製造される。後切欠き部32と前切欠き部31を形成する際は、一の使い捨ておむつの後切欠き部32と、当該一の使い捨ておむつに隣接する他の使い捨ておむつの前切欠き部31と、が一体化した開口を形成する。次いで、連続体を製品幅方向Wに沿って一製品の大きさに切断することによって当該開口が分割され、一の使い捨ておむつに後切欠き部32が形成され、当該一の使い捨ておむつに隣接する他の使い捨ておむつに前切欠き部31が形成される。
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
10 :使い捨ておむつ
10F :前側端部
10R :後側端部
20 :前胴回り域
25 :股下域
30 :後胴回り域
35 :脚回り開口部
40 :吸収体
40a :吸収性コア
40b :コアラップ
50 :トップシート
60 :外装シート
60a :バックシート
70 :サイドフラップ
71 :弾性部材
75 :レッグ伸縮部
75I :幅方向内端領域
80 :レッグサイドギャザー
81 :接合部分
81A :第1接合部分
81B :第2接合部分
82 :自由端部分
84 :収縮部
85 :腰回り伸縮部
90 :ファスニングテープ
91 :基材シート
92 :フックシート
95 :ターゲット部
110 :低剛性部
115 :吸収体切欠き
125 :吸収体切欠き
200 :クロッチ伸縮部
L :製品長手方向
W :製品幅方向
α :角度
β :角度

Claims (8)

  1. 前胴回り域と、後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域と、
    前記前胴回り域から前記後胴回り域に向かう製品長手方向と、
    前記製品長手方向と直交する製品幅方向と、
    前記股下域を跨ぎ、前記前胴回り域及び前記後胴回り域の少なくとも一方に延びる吸収体と、
    前記前胴回り域及び前記後胴回り域において、製品幅方向に沿って延び、使い捨ておむつを着用者の身体に保持する胴回り保持部と、
    前記後胴回り域から製品幅方向外側に延出し、前記前胴回り域に止着する一対のファスニングテープと、を備える使い捨ておむつであって、
    前記前胴回り域内で、前記製品幅方向の中心で且つ前記製品長手方向の端部を含む領域に、前切欠き部が形成されており、
    前記後胴回り域内で、前記製品幅方向の中心で且つ前記製品長手方向の端部を含む領域に、後切欠き部が形成されており、
    前記後切欠き部は、前記胴回り保持部よりも前記製品長手方向外側において、前記胴回り保持部と離間して設けられており、
    前記後切欠き部と前記胴回り保持部との間には、少なくとも前記製品幅方向に伸縮する伸縮部が設けられており、
    前記伸縮部と前記後切欠き部は、前記製品長手方向において離間している、使い捨ておむつ。
  2. 前記吸収体の肌対向面側に配置され、不織布からなるトップシートと、
    前記吸収体の非肌対向面側に配置され、防漏シートとして機能するバックシートと、
    前記バックシートの非肌対向面側に配置され、不織布からなる外装シートと、を有し、
    前記後切欠き部及び前記前切欠き部は、前記バックシートが配置されてなく、かつ前記トップシート及び前記外装シートが配置された領域に形成されている、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記伸縮部の前記製品幅方向の長さは、前記吸収体の前記製品幅方向の長さよりも長い、請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
  4. 前記使い捨ておむつの伸長状態において、前記使い捨ておむつの前側端部と、前記前切欠き部において前記前側端部から前記製品長手方向に延びる側部と、がなす角度は、鈍角であり、
    前記使い捨ておむつの後側端部と、前記後切欠き部において前記後側端部から前記製品長手方向に延びる側部と、がなす角度は、鋭角である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
  5. 前記使い捨ておむつの伸長状態において、前記前切欠き部の前記製品長手方向の長さは、10mm以上30mm以下であり、
    前記後切欠き部の前記製品長手方向の長さは、3mm以上15mm以下である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
  6. 前記前切欠き部の前記製品長手方向の長さは、前記後切欠き部の前記製品長手方向の長さよりも長い、請求項5に記載の使い捨ておむつ。
  7. 前記吸収体には、前記吸収体を構成する吸収コアが存在しない、または前記吸収コアの目付けが他の部分よりも低い低剛性部が、前記吸収体の後側端部を含んで形成され、
    前記後切欠き部は、前記低剛性部よりも前記製品長手方向外側に配置されている、請求項1から請求項6のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
  8. 前記前切欠き部の切欠きラインは、平面視にて、2段に重ねた凸形状からなる曲線である、請求項1から請求項7のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
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