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JP6177803B2 - デンプンからの固体マルチトール製造方法 - Google Patents

デンプンからの固体マルチトール製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固化又は結晶質マルチトールを調製するための方法に関する。
結晶質マルチトールの製造を可能とする方法はすでによく知られている。
米国特許第5,873,943号は、結晶質マルチトールを製造するための経済的に利点のある方法を提供する。この方法は、開始物質として81〜90%のマルトース純度を有する製品を使用する。このシロップ剤を水素化し、次いでクロマトグラフィー分離にかけ、94〜99.9%のマルチトール純度を有するマルチトールの水溶液を得る。この水溶液を更に、シード結晶の存在下で結晶化する。
欧州特許第1 656 388号は、マルチトールが豊富な製品を調製するための方法に関し、この方法は、マルトースシロップ剤のクロマトグラフィーで画分化し、次いで、これを液体マルチトールの豊富な製品へ水素化し、任意にマルチトールを固化、又は結晶化することである。異なる純度の液体、固体及び結晶質マルチトールが、単一の工程によって得ることができる。
国際特許パンフレット第2008/029033号は、高マルチトール含量のシロップ剤を得るための方法に関し、本発明は、農業食品工業領域でよりとりわけ適用可能である。
マルチトールが豊富で、水素化DP1が低く、水素化DP3が低いシロップ剤を提供する方法を有する更なる要求が未だ存在する。
本発明は、以下の連続工程を含む固化又は結晶質マルチトールを調製するための方法に関する。
a)スターチミルクの液化を実施すること、
b)液化したスターチミルクを、アルファ−アミラーゼと、ベータアミラーゼと、プルラナーゼ、イソ−アミラーゼ及びこれらの混合物から選択される脱分岐酵素との存在下、糖化を実施すること、
c)乾燥物に基づいて、少なくとも85%のマルトースと、乾燥物に基づいて1.5%未満のグルコースとを含むマルトース含有シロップ剤を得るために、更に、マルトジェニックアルファ−アミラーゼ及び/又はイソ−アミラーゼを加え、任意に続いてマルトース含有シロップ剤を脱塩すること、
d)マルトース含有シロップ剤を分子ふるいにかけ、画分(A)の乾燥基質に基づいて少なくとも95%マルトースを含む画分(A)を得ること、
e)液体マルチトールの豊富な製品(B)を得るために、画分(A)を接触水素化すること、
f)液体マルチトールの豊富な製品(B)の乾燥基質を増加させること、
g)固化又は結晶化マルチトールを調製するために、液体マルチトールの豊富な製品を固化、又は結晶化すること。
ここで、工程b)において、糖化は、工程a)の液化にて適用した残余量のアルファ−アミラーゼの存在下、好ましくは、液化にて適用されたアルファ−アミラーゼの総量の1%〜4%の残余活性の存在下、実施される。
本発明は、以下の連続工程を含む固化又は結晶質マルチトールを調製するための方法に関する。
a)スターチミルクの液化を実施すること、
b)液化したスターチミルクを、アルファ−アミラーゼと、ベータアミラーゼと、プルラナーゼ、イソ−アミラーゼ及びこれらの混合物から選択される脱分岐酵素との存在下、糖化を実施すること、
c)乾燥物に基づいて、少なくとも85%のマルトースと、乾燥物に基づいて1.5%未満のグルコースとを含むマルトース含有シロップ剤を得るために、更に、マルトジェニックアルファ−アミラーゼ及び/又はイソ−アミラーゼを加え、任意に続いてマルトース含有シロップ剤を脱塩すること、
d)マルトース含有シロップ剤を分子ふるいにかけ、画分(A)の乾燥基質に基づいて少なくとも95%マルトースを含む画分(A)を得ること、
e)液体マルチトールの豊富な製品(B)を得るために、画分(A)を接触水素化すること、
f)液体マルチトールの豊富な製品(B)の乾燥基質を増加させること、
g)固化又は結晶化マルチトールを調製するために、液体マルチトールの豊富な製品を固化、又は結晶化すること。
ここで、工程b)において、糖化は、工程a)の液化にて適用した残余量のアルファ−アミラーゼの存在下、好ましくは、液化にて適用されたアルファ−アミラーゼの総量の1%〜4%の残余活性の存在下、実施される。
液化は、アルファ−アミラーゼの存在下で実施される。
デンプンの液化及び糖化は、様々な方法にて実施可能であるが、本発明は、液化を特定の糖化工程と組み合わせることにより、乾燥物に基づいて、少なくとも85%のマルトース(=DP2)と、乾燥物に基づいて、1.5%未満のグルコース(=DP1)、好ましくは乾燥物に基づいて1%未満のグルコースとを含み、好ましくは10%未満のDP3を含み、より好ましくは10%未満の、重合度3以上のオリゴ糖(=DP3+)を含む、マルトースシロップ剤を得ることが可能であることを示している。
液化は、任意の植物由来のデンプン上で実施される。例えば、小麦、トウモロコシ又はジャガイモから由来して良い。
液化は、好ましくは、アルファ−アミラーゼのような酵素の存在下、低転化率にて、液化したスターチミルクを得るために、スターチミルクの制御された加水分解として考慮されるべきである。したがって、温度、pH、酵素(型並びに濃度)の条件が、6以下、好ましくは4〜5のDE(デキストロース当量)を得ることを可能にするような方法で、選択される。
好ましくは、液化は、3段階で実施され、第一段階は、105〜108℃の範囲内の温度にて、温度安定アルファ−アミラーゼの存在下、数分間、典型的には8〜15分間、ただし20分以下で、スターチミルクを加熱することにある。第二の段階は、140〜160℃の範囲内、好ましくは145〜155℃の範囲内の温度にて、数分間、5〜8分間、ただし20分以下で、スターチミルクを加熱することにある。約95〜100℃まで冷却した後、第二の少用量アルファ−アミラーゼを加え、液化を更に30〜50分間続け、したがって、4〜6、好ましくは4〜5のD.E.のデンプンスラリーを達成するように調整する。
本発明にしたがった液化によって、4〜6、好ましくは4〜5のD.E.が調製可能であり、ここで、オリゴ糖(DPn)の組成が、続く糖化に対して微調整される。
一旦液化工程が終了したならば、アルファ−アミラーゼの部分的阻害のみが実行され、残余アルファ−アミラーゼが続く糖化工程の間維持されるように、制御された阻害を実施する。好ましくは、部分阻害は、100℃以下の温度にて、pH 3.5〜4にて実施される。好ましくは部分阻害は、1〜10分間の時間で実施される。残余(残っている活性)アルファ−アミラーゼが更に、続く糖化工程にて使用される。好ましくは、残余アルファ−アミラーゼは、液化の第二投与に加えた総量の5〜15%に相当する。最終的に、残余アルファ−アミラーゼは、液化の第二投与に加えた総量の7%〜12%に相当する。
液化の間に加えたアルファ−アミラーゼの実際の総量(=用量1+第二用量)と比較して、これは、1〜4%、好ましくは1.4%〜3%のアルファ−アミラーゼ総量の残余活性に相当する。
好ましくは、液化したスターチミルクの糖化は、アルファ−アミラーゼと、ベータ−アミラーゼと、脱分岐酵素として、プルラナーゼとの存在下で実施され、ここで、糖化は、工程a)の液化にて適用した残余量のアルファ−アミラーゼの存在下、液化で適用したアルファ−アミラーゼ総量の残余活性の1%〜4%の存在下、又は1.4%〜3%の存在下で実施される。
糖化を次いで、ベータ−アミラーゼと、プルラナーゼ、イソ−アミラーゼ及びこれらの混合物の群より選択された脱分岐酵素とを加えることによって続ける。好ましくは、プルラナーゼを加える。脱分岐酵素の添加により、1,6−結合を加水分解し、ついで、高く分岐したオリゴ糖の量を減少させることが可能である。好ましくは、ベータ−アミラーゼの脱分岐酵素に対する比は、1:1〜1:4である。好ましくは、ベータ−アミラーゼのプルラナーゼに対する比は、1:1〜1:4である。1:1〜1:5、更に1:10までの比が、本発明の一部である。好ましくは、脱分岐酵素としてのプルラナーゼの適用において、ベータ−アミラーゼのプルラナーゼに対する比は、1:2〜1:4であり、好ましくは1:3〜1:4のより高い上限が適用される。
マルトジェニックアルファ−アミラーゼ及び/又はイソ−アミラーゼを、総糖化時間の内約20〜50%消化時間にて、好ましくは約25〜35%、好ましくは総糖化時間の約25%〜30%消化時間にて、ここまで処理されたスターチミルクに加える。マルトジェニックアルファ−アミラーゼは、1,4−アルファ−グルコシド結合のエキソ加水分解に関与する、エキソ活性アルファ−アミラーゼである。イソ−アミラーゼは、1,6−結合を加水分解し、反転製品の量を減少させる、脱分岐酵素である。
典型的な工程において、総糖化時間が、約16〜30時間、好ましくは、20〜24時間であり、マルトジェニックアルファ−アミラーゼ及び/又はイソ−アミラーゼは、総糖化時間の7〜8時間が経過した後に加えられる。
したがって、糖化は、乾燥物に基づいて、少なくとも85%マルトース(少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも90%)と、乾燥物に基づいて、1.5%未満のグルコースと、好ましくは乾燥物に基づいて1%未満のグルコースとを含む、マルトースが豊富なシロップ剤が得られるまで続ける。
より好ましくは、糖化を、マルトースが豊富なシロップ剤が、乾燥物に基づいて少なくとも85%マルトースと、乾燥物に基づいて1.5%未満のグルコースを含む、好ましくは乾燥物に基づいて1%未満のグルコースと、乾燥物に基づいて、10%未満のDP3又は10%未満の重合度3以上のポリマー(=DP3+)、好ましくは5%未満のDP3+を含むように得られるように実施する。より好ましくは、3より高い重合度を有するポリマーがごく少量であり、重合度3のポリマーの量が、シロップ剤の乾燥物に基づいて、5%より低い、より好ましくは3%より低い、最も好ましくは1%より低い。
最終的に、糖化工程の最後に向かうにつれ、追加のアルファ−アミラーゼを加える。この特別に低い量は更に、続く下流工程を改善しうる。アルファ−アミラーゼを、総糖化時間の約70〜85%消化時間、好ましくは総糖化時間の約80〜83%消化時間にて加える。
本発明の方法により、グルコースの含量が、1.5%より少なく、低DP3含量であり、長鎖オリゴ糖の存在が減少する一方で、非常に高い含量(=少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも90%)のマルトースを有する製品が得られる。DPnの組成は、通常液化及び糖化の後に得られる組成とは異なる。とりわけ、続く糖化工程における残余アルファ−アミラーゼの利用と、糖化の終了に向けてのアルファ−アミラーゼの更なる添加が、DPn(オリゴ糖)画分の組成の変化に寄与する。
したがって、得られた糖化シロップ剤は、イオン交換樹脂を適用することによってのような、公知の脱塩工程にしたがって精製可能である。あるいは、糖化シロップ剤を、プレコートフィルタ上で、又は膜上での精密濾過によって濾過し、次いで脱塩してもよい。
ここまでで、低量のグルコースを含む、高マルトース(〜80%)シロップ剤が得られ、並びに有意な残存グルコース(5〜7%)を含む非常に高いマルトース(〜90%)が得られる。本発明により、本工程にしたがった液化を適用し、これと、本発明で請求するような糖化工程を組み合わせることによって、驚くべきことに、非常に高含量のマルトース(少なくとも85%)と、低量のグルコース(1.5%未満)を有するマルトースシロップ剤を得ることが可能であることが示された。また最終的に、DP3の含量は低く、10%未満、好ましくは5%未満である。更に、DP4から開始するDPn画分が、長鎖オリゴ糖の量が減少するように、有意に異なる組成を有する。この変化した組成により、本発明の最終製品が、より安定になり、これは、水素化を通したマルチトール製造のより良好な前駆体である。脱塩工程の時間は有意に減少可能であるか、同一の水素化条件下、少ない触媒が必要とされるか、いずれかである。
糖化後に得られたマルトース含有シロップは、分子ふるい工程にかけられる。本分子ふるいは、膜上での分離ステージ又はクロマトグラフィー分画でありうる。本発明にしたがった工程において、膜上での分離ステージにおいて、膜上でのナノ濾過のステージが使用可能である。異なる直径の孔を有する膜が市販されており、多数の特許明細書で記述されている。
クロマトグラフィー分画は、イオン性樹脂、又はゼオライトのような吸着剤上で、不連続的、又は連続的(シミュレート移動台)のいずれかで実施され、好ましくはカチオン性樹脂が適用される。好ましくは、カチオン性樹脂が、アルカリ又はアルカリ土類イオンで、より好ましくはナトリウムイオンの補助にて帯電する。
クロマトグラフィー画分にて、同一又は同様の条件を適用することによって、欧州特許第1 656 388号での製品のクロマトグラフィー分画のために使用されたような、カラムデザイン、樹脂の型、フィード材料の温度、流速、フィード材料の乾燥物等に関して、マルトースが豊富な画分の収率が、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%増加する。収率は、マルトースが豊富な画分の量掛ける画分の乾燥物として計算され、フィードの量掛けるフィードの乾燥物によって割られ、パーセンテージで表現するために、全てを100倍する。
これは、非常に高含量のマルトース(少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも90%)と、低量のグルコース(1.5%未満)とを有する、そして最終的に10%未満、好ましくは5%未満のDP3含量を有するマルトース含有シロップ剤を得ることによって、続くクロマトグラフィー画分の収率が、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%増加する、ことを意味する。
本発明は更に、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、クロマトグラフィー画分の収率を増加させるために、乾燥物に基づいて少なくとも85%のマルトースと、乾燥物に基づいて1.5%未満のグルコースと、乾燥物に基づいて10%未満のDP3と、好ましくは乾燥物に基づいて1%未満のグルコースとを含む、マルトース含有シロップ剤の利用に関する。
本発明は乾燥物に基づいて少なくとも85%のマルトースと、乾燥物に基づいて1.5%未満のグルコースと、乾燥物に基づいて10%未満のDP3と、好ましくは乾燥物に基づいて1%未満のグルコースとを含む、マルトース含有シロップ剤を適用することによって、マルトース含有シロップ剤のクロマトグラフィー画分の収率を増加させる方法に関する。
画分(A)の乾燥機質に基づいて、少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%のマルトースを含むこのようにして得た画分(A)を、水素化触媒の存在下で水素化する。好ましくは、ラネーニッケルベース触媒が、水素化触媒として使用される。
任意の水素化条件が、マルトースの分解が実施されない限り、好適であり得る。通常、水素化工程は、水素化が水素ガスの吸収が停止するまで続けられるように、少なくとも1MPa(10バール)、好ましくは3〜20MPa(30〜200バール)の水素ガス圧、及び90〜150℃の温度にて実施される。
供給シロップ剤=画分(A)は、少なくとも50%の乾燥基質にて使用可能であり、活性化ニッケル触媒が加えられ、水素化が、135℃までの温度、及び少なくとも4MPa(40バール)の水素圧にて実施される。少なくとも95%のマルトースを含み、本発明の方法によって得ることが可能な画分(A)を適用することによって、水素化工程における活性化ニッケル触媒の量が、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、減少可能である。通常(欧州特許第1 656 388号を参照のこと)、活性化ニッケル触媒は、供給シロップ剤の乾燥物において、4%の量で加えられる。本発明において、活性化ニッケル触媒は、供給シロップ剤(A)の乾燥物において、3.6%の量で加えられる。好ましくは、DPn(オリゴ糖)画分の組成の変化が、水素化において有益な効果を有する。
本発明は、水素化工程における触媒、好ましくは活性化ニッケルの量を、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%減少させるための、乾燥物に基づいて少なくとも85%のマルトースと、乾燥物に基づいて1.5%未満のグルコースと、乾燥物に基づいて10%未満のDP3、好ましくは乾燥物に基づいて1%未満のグルコースとを含む、マルトース含有シロップ剤に関する。
本発明は、少なくとも乾燥物に基づいて少なくとも85%のマルトースと、乾燥物に基づいて1.5%未満のグルコースと、乾燥物に基づいて10%未満のDP3、好ましくは乾燥物に基づいて1%未満のグルコースとを含む、マルトース含有シロップ剤を適用することによって、マルトース含有シロップ剤の水素化における触媒、好ましくは活性化ニッケル触媒の量を減少させるための方法に関する。
水素ガスの吸収の完了後、例えば水素化の約3時間後、水素化触媒(=活性化ニッケル触媒)を、得られた液体マルチトール製品(B)から除去する。このシロップ剤は更に、活性化炭素又はイオン交換樹脂、及び/又はつや出し樹脂によって、脱色及び/又は脱イオン化可能である。
液体マルチトール製品(B)を得た後、乾燥物を従来の手段によって増加させ、この製品を更に固化又は結晶化する。
結晶化の典型的な例において、以下の工程が実施される。
g)結晶質マルチトール中間体(C)と、液体マルチトール共製品(D)を得るために、1つ又は多数の結晶化工程によって、製品(B)を結晶化することであって、ここで中間体(C)は、少なくとも93%の乾燥基質を有し、乾燥基質に基づいて、少なくとも97%のマルチトール及び乾燥基質に基づいて1%未満のソルビトールを含んでいる。
h)少なくとも98.5%の結晶質マルチトール製品(E)を得るために、結晶質マルチトール中間体(C)を乾燥させること、及び乾燥基質に基づいて少なくとも97%のマルチトールを含むこと。
液体マルチトール共製品(D)は、乾燥基質に基づいて、少なくとも70%、好ましくは72%のマルチトールを含む。製品(D)は、純度を増加させるために、再結晶可能である。
50%より多く、好ましくは60%より多く、より好ましくは80%より多く、液体マルチトール製品(B)の乾燥基質を増加させた後、シロップ剤を、結晶質中間体(C)と液体共製品(D)とを得るために結晶化する。
シロップ剤を、85%を越える乾燥固体の濃度まで濃縮する。特別な冷却速度を適用し、結晶化を撹拌によって誘導する。得られた結晶を、好ましくは再結晶して、結晶の純度を、99%より高く、好ましくは99.5%に増加させる。結晶質中間体(C)は更に、更なる乾燥によって、最終結晶質マルチトール製品(E)に変換し、最終的に続いてふるいにかけ、パッケージングする。
マルチトールが豊富な製品の回収は、母液(共製品(D))の結晶化によって、又は母液(共製品(D))のクロマトグラフィー分画によってのいずれかで増加させることができる。好ましくは、液体共製品(D)は更に、それによって、工程条件が、液体共製品(D)の、マルチトールの豊富な画分(F)への変換のために選択される、クロマトグラフィー工程によって更に改善される。
画分(F)の乾燥基質を、そのようなものとして使用可能なマルチトールの豊富なシロップ剤を得るために、増加させることが出来る。更に、前記画分(F)を固化及び/又は結晶化可能である。
本発明は更に以下の工程を含む、マルチトールの固化に関する。
a)マルチトールの粉末を、流体ベッドバスケット内に充填すること、
b)空気入口温度を80℃超とすること、
c)70%の固体含量を有するマルチトールシロップ剤を、流体として、流体ベッドの供給バスケット内に加えること、
d)顆粒化製品を得るために、マルチトールの粉末上に、前記マルチトール流体を通して噴霧すること、
e)1%より小さい、好ましくは0.5%より小さい含水量を有する乾燥顆粒化製品を得るために、前記顆粒化製品を乾燥すること、
f)固体製品を得るために、前記乾燥顆粒化製品を粉砕すること、
g)任意に、工程f)にて、95%〜98%、好ましくは95%〜97%、より好ましくは95.5%〜96.5%のマルチトール含量を有する固体製品を得るまで、工程a)に前記固体製品をリサイクルすること。
好ましくは、流体を、多重ヘッドノズルを通して噴霧する。
製品の乾燥には、約15〜40分が必要であり、流体の量に依存する。
粉砕は、任意の型のミルにて実施可能である。
本発明は、0.5%より低い含水量、及び95%〜98%のマルチトール含量、及び残部0.5〜2% w/wソルビトール、0.5〜3% w/w DP3及び0.2〜0.5% w/w DP4を有する、固化マルチトールを提供可能である。
本発明は、以下の実施例に従う形態で例示される。
(実施例1)
液化
乾燥物含量27〜35% ds(=乾燥物)でのデンプンスラリーを、pHを5.8(±1)にて調節した後、及び108℃にてジェットクッカーによって0.08〜0.1%のアルファ−アミラーゼ(Spezyme(Genencor))の投与の後、液化した。8〜15分後、糊化温度を、大気フラッシュによって、100℃まで減少させ、次いでスラリーを152℃にて第二ジェットに送った。糊化の5〜8分後、スラリーを100℃まで冷却し、同一のアルファ−アミラーゼの第二用量(0.025%)を加え、この量を4〜6DE(標的4.5)に達するために、調整する。
100℃での撹拌カラム上での30〜50分の反応後、アルファ−アミラーゼの一部を阻害するために、液化物のpHを、100℃にて最大10分間、3〜4(標的3.5〜4)に調節した。本処理の後、第二用量として加えた7〜10%のアルファ−アミラーゼを維持した。
(実施例2)
糖化−レシピ1
実施例1の製品を使用した。糖化は、残余アルファ−アミラーゼと、0.1%のベータ−アミラーゼ(Optimalt BBA(Genencor))、及び0.4%のプルラナーゼ(Promozyme D2(Novozyme))の存在下、pH 4.8〜5.0にて開始した。7〜8時間反応後、0.02%のマルトジェニックアルファ−アミラーゼ(Maltogenase(Novozyme))を加えた。
サッカリフィケーターをアンローディングする少なくとも4時間前に、0.1〜0.2%のアルファ−アミラーゼ(Liquozyme X(Novozyme))を加えた。24〜30時間の総糖化時間の後、以下の組成に到達した。グルコース<1%、マルトース(=DP2)85〜87%、DP3(=重合度3のオリゴ糖)7〜10%、DP4+(重合度4以上のオリゴ糖)<5%。
精製を、通常のグルコースシロップ剤に対する精製と同様に実施する。
(実施例3)
糖化−レシピ2
実施例1の製品を使用した。糖化を、残余アルファ−アミラーゼと、0.1%のベータ−アミラーゼ(Optimalt BBA(Genencor))と、0.4%のプルラナーゼ(Promozyme D2(Novozyme))と、0.1%のイソ−アミラーゼとの存在下、pH 4.8〜5.0にて開始した。7〜8時間反応後、0.1%のマルトジェニックアルファ−アミラーゼ(Maltogenase(Novozyme))を加えた。
サッカリフィケーターをアンローディングする少なくとも4時間前に、0.1〜0.2%のアルファ−アミラーゼ(Liquozyme X(Novozyme))を加えた。24〜30時間の総糖化時間の後、以下の組成に到達した。グルコース<1%、マルトース(=DP2)87〜90%。DP3は4〜6%である。
(実施例4)
クロマトグラフィー分画
組成(DP1:<1.0%(=0.9%);DP2:87%(=86.9%);DP3;7.5%及びDP4+<5=(4.7%))を有する(レシピ1からの)製品を60%乾燥物まで濃縮した。
濃縮した製品を、マルトースが豊富な画分を得るために、ナトリウム形態でのイオン交換樹脂Dianion UBK 550を備えるクロマトグラフィー機器(ISMB)上に、75℃にて適用した。前記製品は以下の組成を有した(DP1:<1.0%;DP2:96〜98%;DP3:<2%;DP4<1)。
HPLC−解析(Bio−Rad Aminex HPX−87、カチオン交換カラムは、カルシウム形態である。カラム温度:80℃。溶出流速:0.6ml/分。カラム圧制限:8.27MPa(1200psi)。注入容量:20μL。圧力制御制限、カラムの正常操作圧上約1.38MPa(200psi)。溶離剤:脱気Milli−Q Purified水。検出器:示差屈折計。)
Figure 0006177803
マルトースが豊富な製品の収率は、(総重量 % d.s.製品100/総重量フィードの% d.s)=81.2%である。
比較実施例4−クロマトグラフィー分画−欧州特許第1 656 388号を参照のこと
組成(DP1:1.5%;DP2:80.0%;DP3:12.5%及びDP4+:6%)を有する製品を、欧州特許第1 656 388号にて得られる60%乾燥物まで濃縮した。
濃縮した製品を、マルトースが豊富な画分を得るために、ナトリウム形態でのイオン交換樹脂Dianion UBK 550を備えるクロマトグラフィー機器(ISMB)上に、75℃にて適用した。前記製品は以下の組成を有した(DP1:1.1%;DP2:96%;DP3:1.7%;DP4+:1.2%)。
更なる詳細を表2にて表示する。
Figure 0006177803
マルトースが豊富な製品の収率は、(総重量 % d.s.製品100/総重量フィードの% d.s)=70.8%である。
(実施例5)
水素化
組成(DP1:<1.0%;DP2:96〜98%;DP3:<2%;DP4<1)を有するマルトースが豊富な画分の21.6Kg(52%乾燥基質)を、ステンレス鋼水素化反応器内に充填した。活性化ニッケル触媒を、マルトースが豊富な画分の乾燥物上、3.6%の量で加え、懸濁液を激しく撹拌し、4.3MPa(43バール)の水素圧下、135℃まで加熱した。180分間の水素化の後、懸濁液を90℃まで冷却し、触媒を沈降及び濾過によって除去した。40℃の温度にて水溶液をイオン交換し、カチオン性及びアニオン性樹脂と、顆粒炭素上で磨いた。
得られた製品は以下の組成を有した(HPLC解析:Bio−Rad Aminex HPX−87、カチオン交換カラムは、カルシウム形態である。カラム温度:80℃。溶出流速:0.6ml/分。カラム圧制限:8.27MPa(1200psi)。注入容量:20μL。圧力制御制限、カラムの正常操作圧上約1.38MPa(200psi)。溶離剤:脱気Milli−Q Purified水。検出器:示差屈折計)。
Figure 0006177803
比較実施例5−水素化−欧州特許第1 656 388号を参照のこと
組成(DP1:1.1%;DP:96%;DP3:1.7%;DP4+:1.2%)を有するマルトースが豊富な画分の21.6Kg(52%乾燥基質)を、ステンレス鋼水素化反応器内に充填した。活性化ニッケル触媒を、マルトースが豊富な画分の乾燥物上、4%の量で加え、懸濁液を激しく撹拌し、4.3MPa(43バール)の水素圧下、135℃まで加熱した。180分間の水素化の後、懸濁液を90℃まで冷却し、触媒を沈降及び濾過によって除去した。40℃に温度にて水溶液をイオン交換し、カチオン性及びアニオン性樹脂と、顆粒炭素上で磨いた。得られた製品は以下の組成を有した(HPLC解析:Bio−Rad Aminex HPX−87、カチオン交換カラムは、カルシウム形態である。カラム温度:80℃。溶出流速:0.6ml/分。カラム圧制限:8.27MPa(1200psi)。注入容量:20μL。圧力制御制限、カラムの正常操作圧上約1.38MPa(200psi)。溶離剤:脱気Milli−Q Purified水。検出器:示差屈折計)。
Figure 0006177803
実施例6−結晶化
16Kgのマルチトール製品(組成:DP1:1.1%、DP2:95.8%、DP3:1.5%、DP4+:1.2%、その他:0.4%)を80℃にて、85%超の乾燥固体の濃度まで蒸発させた。晶析装置を80℃にて充填し、0.83℃/時間の速度にて、35℃まで冷却した。晶析装置は最大撹拌であった。
温度設定点(35℃)に達した後、5重量%の冷水(およそ20℃)をマグマに加えて、ポンピング及び遠心洗浄のために粘度を減少させた。
遠心した結晶を、15重量%の水で洗浄した。
およそ98重量%の純度を有する洗浄した結晶を、85%超の乾燥固体の濃度にて、熱水(80℃)に溶解した。
この濃縮したマルチトール液体を、第二晶析装置に送り込んだ。この晶析装置を80℃にて充填し、1℃/時間の速度にて40℃まで冷却した。
結晶凝集体を、25重量%水で、20℃にて洗浄した。
洗浄した結晶(5.33Kg)は、99.5%超の乾燥基準の純度と、約3%の水分を有した。(回収率:65%)
結晶を乾燥させ、ふるいにかけ、パッケージングした。
第一結晶化からの9.76Kgの母液が、91%のマルチトール純度を有した。母液を85%乾燥固体に濃縮した。晶析装置を80℃にて充填し、0.6℃/時間にて35℃まで冷却した。晶析装置は最大撹拌であった。温度設定点(35℃)に達した後、5重量%の冷水(およそ20℃)をマグマに加えて、ポンピング及び遠心洗浄のために粘度を減少させた。結晶凝集体を、15重量%水で、20℃にて洗浄した。
およそ97重量%マルチトール純度を有する洗浄した結晶を、85%超乾燥固体の濃度にて、熱水(80℃)中に溶解し、第二晶析装置フィードに加えた。
実施例7−固化
3kgの結晶質マルチトール(Cargil製品)を、流体ベッド抽出可能バスケット(5kgキャパシティ)中にロードした。
入口空気温度を88℃に設定した。
0.9kg d.s.液体マルチトール(組成:70% d.sにてDP1:1.1%、DP2:95.8%、DP3:1.5%、DP4+:1.2%、その他:0.4%)を供給バスケット中に導入した。液体シロップ剤を、液体と気体を利用した多重ヘッドノズルを通して、粉末上に噴霧した。
顆粒化製品を、含水量<0.5%に達するまで、30分間乾燥させた。
製品を、Retsch SK 100ミルにて粉砕した。
3kgの前記製品を次いで、更に液体マルチトールと顆粒化されるように、粉末として、流体ベッド中でリサイクルする。
顆粒化/乾燥/粉砕を、顆粒化粉末中のマルチトール含量が、96.3%のマンニトール含量を有するまで繰り返した。

Claims (8)

  1. 固化又は結晶質マルチトールを調製するための方法であって、以下の連続する工程、
    a)スターチミルクをアルファ−アミラーゼの存在下に液化し、DE4〜6のデンプンスラリーを生じる工程、
    b)液化したスターチミルクを、アルファ−アミラーゼと、ベータアミラーゼと、プルラナーゼ、イソ−アミラーゼ及びこれらの混合物から選択される脱分岐酵素との存在下、糖化を実施する工程、
    c)更に、マルトジェニックアルファ−アミラーゼ及び/又はイソ−アミラーゼを加え、乾燥物に基づいて、少なくとも85%のマルトース、乾燥物に基づいて1.5%未満のグルコース、乾燥物に基づいて10%未満のDP3(重合度3のオリゴ糖)及び乾燥物に基づいて5%未満のDP4+(重合度4以上のオリゴ糖)を含む、マルトース含有シロップ剤を生じる工程、
    d)マルトース含有シロップ剤をクロマトグラフィー分画し、画分(A)の乾燥基質に基づいて少なくとも95%マルトースを含む画分(A)を生じる工程、
    e)画分(A)を接触水素化して、液体マルチトールの豊富な製品(B)を得る工程、
    f)液体マルチトールの豊富な製品(B)の乾燥基質を増加させる工程、
    g)液体マルチトールの豊富な製品を固化又は結晶化して、0.5%より低い含水量、及び95%〜98%のマルチトール含量、及び残部0.5〜2% w/wソルビトール、0.5〜3% w/w DP3及び0.2〜0.5% w/w DP4(重合度4のオリゴ糖)を有する固化マルチトールまたは99%より高い純度の結晶質マルチトールを調製する工程を含み
    ここで、工程a)において、液化の終了後、アルファ−アミラーゼの部分的阻害のみがpH3.5−4で100℃以下の温度で最大10分間実施され、最終的に、第二投与として加えた7%〜12%のアルファ−アミラーゼが維持され、そして
    工程b)において、前記糖化は、工程a)の液化にて適用した残余量のアルファ−アミラーゼの存在下実施される、上記方法
  2. 前記方法の工程f)に、以下の連続工程、
    i.結晶質マルチトール中間体(C)と、液体マルチトール共製品(D)とを得るために、1つ又は多数の結晶化工程によって、製品(B)を結晶化することであって、中間体(C)は、少なくとも93%の乾燥基質を有し、乾燥物に基づいて、少なくとも97%のマルチトールと、乾燥物に基づいて1%未満のソルビトールを含む、及び
    ii.少なくとも98.5%乾燥基質の結晶質マルチトール製品(E)を得るために、結晶質マルチトール中間体(C)を乾燥することと、乾燥基質に基づいて少なくとも97%のマルチトールを含むこととが続く、請求項1に記載の方法。
  3. 工程c)において、引き続きマルトース含有シロップ剤を脱塩する、請求項1記載の方法。
  4. 工程b)において、ベータ−アミラーゼの脱分岐酵素に対する比が、1:1〜1:4である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程b)において、前記脱分岐酵素が、プルラナーゼである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 工程c)において、マルトジェニックアルファ−アミラーゼ及び/又はイソ−アミラーゼの添加が、総糖化時間の約20〜50%消化時間にて実施される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程c)において、更なるアルファ−アミラーゼが添加される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記アルファ−アミラーゼが、総糖化時間の約70〜85%消化時間にて加えられる、請求項7に記載の方法。
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