JP6172500B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
この発明は、シンクロナスリラクタンスモータから電力を取り出すことが可能となるモータ制御装置を提供することを目的とする。
請求項3記載の発明は、制御モードとして、前記駆動モードと、前記回生モードと、前記モータが外力によって回転されたとしても誘起電圧を発生させない無負荷回転モードとがあり、前記無負荷回転モード時には、前記モータへの電力の供給が停止される、請求項1または2に記載のモータ制御装置である。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用されたエネルギー蓄積装置の概略構成を示す模式図である。
エネルギー蓄積装置1は、電気エネルギーをフライホイールに機械エネルギーとして変換・蓄積し、停電時等の電気エネルギー必要時に、フライホイールに蓄積された機械エネルギーを電気エネルギーに変換して電源に供給する装置である。エネルギー蓄積装置1は、フライホイール2と、フライホイール2を回転させるためのシンクロナスリラクタンスモータ(以下、「電動モータ3」という)と、電動モータ3を制御するためのモータ制御装置4とを含む。フライホイール2の回転軸は、電動モータ3の出力軸に図示しないカップリングを介して連結されている。
電動モータ3は、前述したようにシンクロナスリラクタンスモータであり、図2に図解的に示すように、周方向に間隔をおいて配置された複数の突極部を有するロータ100と、電機子巻線を有するステータ105とを備えている。電機子巻線は、U相のステータ巻線101、V相のステータ巻線102およびW相のステータ巻線103が星型結線されることにより構成されている。
図1に戻り、モータ制御装置4は、マイクロコンピュータ31と、このマイクロコンピュータ31によって制御され、電動モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)32と、電源としての蓄電池7と駆動回路32とを接続する接続線に流れる電流を検出する駆動電流検出部33と、電動モータ3の各相のステータ巻線101,102,103に流れる電流を検出する相電流検出部34とを備えている。駆動回路32と電動モータ3とを接続する接続線には、電流センサ6(図3に示す3つの電流センサ6U,6V,6Wを包括的に表したもの)が設けられている。
電動モータ3のU相のステータ巻線101は、U相に対応した一対のFET11UH,11ULの間の接続点に接続されている。電動モータ3のV相のステータ巻線102は、V相に対応した一対のFET11VH,11VLの間の接続点に接続されている。電動モータ3のW相のステータ巻線103は、W相に対応した一対のFET11WH,11WLの間の接続点に接続されている。各相のステータ巻線101,102,103と駆動回路32とを接続するための各接続線には、各相の相電流iU,iV,iWを検出するための電流センサ6U,6V,6Wが設けられている。電動モータ3側には、ロータの回転角(電気角)を検出するためのレゾルバ等の回転角センサ5が設けられている。電流センサ6U,6V,6Wの出力信号および回転角センサ5の出力信号は、モータ制御装置4に入力する。
マイクロコンピュータ31は、CPUおよびメモリ(ROM,RΑMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、電流指令値設定部41と、電流位相角演算部42と、d軸電流指令値演算部43と、q軸電流指令値演算部44と、d軸電流偏差演算部45と、q軸電流偏差演算部46と、d軸PI(比例積分)制御部47と、q軸PI(比例積分)制御部48と、d軸指示電圧生成部49と、q軸指示電圧生成部50と、二相/三相座標変換部51と、PWM制御部52と、回転角演算部53と、三相/二相座標変換部54とが含まれている。
具体的には、駆動モードを表すモード指令信号は、駆動モードを表すコードと、予め設定された駆動モード時の電流指令値Ia *(>0)とからなる。駆動モードを表すコードは、たとえば、プラスの符号である。この場合には、駆動モードを表すモード指令信号は、“+A”のように、プラスの符号と電流指令値Ia *を表す数字A(>0)とから構成される。
回生モードを表すモード指令信号は、回生モード表すコードと、予め設定された回生モード時の電流指令値Ia *(>0)とを含む。回生モードを表すコードは、たとえば、マイナスの符号である。この場合には、回生モードを表すモード指令信号は、“−B”のように、マイナスの符号と電流指令値Ia *を表す数字B(>0)とから構成される。
モード指令信号によって示される制御モードが無負荷回転モードである場合には、電流指令値設定部41は、電流指令値Ia *を零に設定する。また、モード指令信号によって示される制御モードが無負荷回転モードである場合には、電流指令値設定部41は、駆動回路32内の全てのFET11をオフにさせるための指令(以下「全FETオフ指令」という)を、PWM制御部52に与える。後述するように、PWM制御部52は、電流指令値設定部41から全FETオフ指令が与えられている場合には、駆動回路32内の全てのFET11をオフにさせる。
電流位相角演算部42は、電流指令値設定部41から与えられた電流指令値Ia *と予め設定された電流位相角演算式とに基づいて、当該電流指令値Ia *に対してモータトルクが最大値に近い値となる電流位相角β(電気角)[deg]を演算する。電流位相角演算式の作成方法について説明する。
極対数がPnであるシンクロナスリラクタンスモータにおけるモータトルクTは、次式(1)で表される。
T=Pn・(Ld−Lq)・id・iq …(1)
Ldはd軸インダクタンス[H]であり、Lqはq軸インダクタンス[H]である。また、idはd軸電流[Α]であり、iqはq軸電流[Α]である。
T=(1/2)・Pn・(Ld−Lq)・Ia 2sin2β …(2)
したがって、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqが電流位相角βによって変動しなければ、電流位相角βが45[deg]のときにモータトルクTは最大となる。しかしながら、SynRMでは、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqがロータコアの磁気飽和の影響を受けて変動するため、モータトルクTは電流位相角βが45[deg]のときに必ずしも最大にならない。
図4は、複数の電機子電流Ia毎に取得した電流位相角βに対するモータトルクTの特性データの一例を示すグラフである。図4の特性データは、前記非特許文献1に掲載のデータを転用したものである。図4では、横軸に電流位相角βをとり、縦軸にモータトルクTをとり、各電機子電流Iaの電流位相角βに対するモータトルクTの特性を、それぞれ曲線で表している。
Iamaxは、電機子電流Iaの最大値であり、この例では、Iamax=50[Α]である。βmaxは、電機子電流Iaが最大値Iamaxである場合に、モータトルクTが最大値となる電流位相角βであり、この例では、βmax=66[deg]であるとする。βminは、電機子電流Iaが最小値(零)である場合に、モータトルクTが最大値となる電流位相角βであり、この例では、βmin=45[deg]であるとする。
β=(21/50)・Ia+45 …(4)
図5の折れ線aは、各電機子電流Iaに対してモータトルクTが最大となる電流位相角βの実測データを示すグラフである。図5の直線bは、前記式(4)で表される近似直線を示している。
β=(21/50)・Ia *+45 …(5)
電流位相角演算部42には、前述のようにして求められた電流位相角演算式(例えば前記式(5))が予め設定されている。電流位相角演算部42は、予め設定されている電流位相角演算式と、電流指令値設定部41から与えられた電流指令値Ia *とに基づいて、電流指令値Ia *に対してモータトルクが最大値に近い値となる電流位相角βを演算する。電流位相角演算部42によって演算された電流位相角βは、d軸電流指令値演算部43およびq軸電流指令値演算部44に与えられる。
id *=Ia *・cosβ …(6)
q軸電流指令値生成部44は、電流指令値設定部41から与えられた電機子電流指令値Ia *と電流位相角演算部42から与えられた電流位相角βとを用い、次式(7)に基づいてq軸電流の指令値iq *を演算する。
d軸電流指令値id *およびq軸電流指令値iq *を総称して、「二相指示電流id *,iq *」という場合がある。
回転角演算部53は、回転角センサ25の出力信号に基づいて、電動モータ3のロータの回転角(ロータ回転角)θを演算する。
q軸電流偏差演算部46は、q軸電流指令値iq *に対するq軸電流iqの偏差を演算する。q軸電流偏差演算部46によって演算された電流偏差は、q軸PI制御部48に与えられて、PI演算処理を受ける。q軸指示電圧生成部50は、q軸PI制御部48の演算結果に応じて、q軸指示電圧vq *を生成する。以下、d軸指示電圧vd *およびq軸指示電圧vq *を総称するときには「二相指示電圧vd *,vq *」という。
図6は、回生モード時の電流指令値設定部の動作を説明するためのフローチャートである。
モード指令信号によって示される制御モードが、駆動モードまたは無負荷回転モードから回生モードに変化したときには、電流指令値設定部41は、まず、電流指令値Ia *を零に設定する(ステップS1)。これにより、PWM制御部52からは、モータ電流が零となるような、PWM信号が生成されるようになる。つまり、PWM制御部52からは、振幅が零の正弦波電圧が生成されるようになる。より具体的には、PWM制御部52からは、各FETに対して、デューティ比が50%のPWM信号(50%デューティのPWM信号)が生成されるようになる。
この後、電流指令値設定部41は、駆動電流検出部33によって検出される駆動電流ITが、零より小さいか否かを判別する(ステップS3)。つまり、電流指令値設定部41は、駆動電流ITが電動モータ3側から蓄電池7側に向かって流れているか否かを判別する。駆動電流ITが零より小さい場合には(ステップS3:YES)、電流指令値設定部41は、回生電流が流れていると判断し、ステップS5に移行する。
Claims (3)
- シンクロナスリラクタンスモータを制御するモータ制御装置であって、
制御モードとして、前記モータを回転駆動させるための駆動モードと、前記モータを外力によって回転させ、前記モータで発生した電力を回生する回生モードとがあり、
前記回生モード時には、前記モータのロータを励磁するための電圧が前記モータに印加され、前記電圧は前記モータによって発生される誘起電圧よりも小さく設定される、モータ制御装置。 - 前記モータに流れるモータ電流の指令値である電流指令値を設定する電流指令値設定手段を含み、
前記電流指令値設定手段は、
前記制御モードが回生モードに変更されたときには、電流指令値を零に設定した後、電流指令値を予め設定された値に設定する手段と、
回生モード時において、前記駆動回路の電源と前記駆動回路との間に流れる電流の方向を監視し、前記電流の方向が前記電源側から前記駆動回路側に流れる方向となったときには、電流指令値を所定値だけ低下させる手段とを含む、請求項1に記載のモータ制御装置。 - 制御モードとして、前記駆動モードと、前記回生モードと、前記モータが外力によって回転されたとしても誘起電圧を発生させない無負荷回転モードとがあり、前記無負荷回転モード時には、前記モータへの電力の供給が停止される、請求項1または2に記載のモータ制御装置。
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