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JP6171302B2 - ウレタン接着剤組成物 - Google Patents

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JP6171302B2 JP2012226386A JP2012226386A JP6171302B2 JP 6171302 B2 JP6171302 B2 JP 6171302B2 JP 2012226386 A JP2012226386 A JP 2012226386A JP 2012226386 A JP2012226386 A JP 2012226386A JP 6171302 B2 JP6171302 B2 JP 6171302B2
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Description

本発明は、ウレタン接着剤組成物に関する。
湿気硬化を利用したウレタン樹脂組成物が自動車分野、建築分野等の多方面で広く用いられている。一般に、自動車のボディと窓ガラスとの接着にはウインドウシーラントが使用されているが、ウインドウシーラントのみを使用した接着では十分な接着性が得られない場合が多い。そのため、シーラントや接着剤単独で十分な接着性が得られない場合には、接着面にあらかじめプライマー組成物を塗布した後、その上に接着剤等を塗布して十分な接着性を確保することが行われている(例えば、特許文献1〜6を参照)。
特開2007−51287号公報 特開2006−335921号公報 特開2001−123092号公報 特開2000−63768号公報 特開2000−327956号公報 特開2009−280682号公報
しかしながら、プライマー組成物は、均一に塗布することが可能なように多量の溶剤を使用するため、環境面で問題があり、プライマー組成物を塗布するラインだけ換気などの設備を要する別工程が必要である。このため、自動車のボディと窓ガラスとの接着の手間を少しでも簡略化してより簡単に接着できるようにするため、プライマー組成物を用いずに自動車のボディと窓ガラスとを直接接着させても安定して十分な接着性を確保することができる接着剤組成物が求められている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、プライマー組成物を塗布することなく被着体に対して安定して優れた接着性を有するウレタン接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明は、次に示す(1)〜(4)である。
(1) ウレタンプレポリマーと式(1)で表されるイソシアネートシラン化合物とを含有する主剤と、


Figure 0006171302
ポリブタジエンジオールを含有する硬化剤と、
を有することを特徴とするウレタン接着剤組成物。
(2) 前記イソシアネートシラン化合物の含有量が、前記主剤中に1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする上記(1)に記載のウレタン接着剤組成物。
(3) 前記ポリブタジエンジオールの含有量が、前記硬化剤中に5質量%以上100質量%以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のウレタン接着剤組成物。
(4) ガラスで形成される被着体に塗布されることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のウレタン接着剤組成物。
本発明によれば、プライマー組成物を塗布することなく被着体に対して安定して優れた接着性を有することができる。
図1は、実施例および比較例で用いた一対の試験体を示す図である。
以下、この発明について詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
本実施形態に係るウレタン接着剤組成物(以下、「本実施形態の組成物」という。)は、ウレタンプレポリマーとイソシアネートシラン化合物とを含有する主剤と、ポリブタジエンジオールを含有する硬化剤と、を有するウレタン接着剤組成物である。
<主剤>
本実施形態の組成物に含まれる主剤は、ウレタンプレポリマーとイソシアネートシランとを含有する。
(ウレタンプレポリマー)
本実施形態の組成物の主剤に含有されるウレタンプレポリマーは、分子内に複数のイソシアネート基を分子末端に含有するプレポリマーである。ウレタンプレポリマーは、取り扱いの観点から室温で液状であるものが好ましい。ウレタンプレポリマーの作製方法は、特に制限されるものではなく、従来より公知の方法が挙げられる。ウレタンプレポリマーは、例えば、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを、イソシアネート基(NCO基)がヒドロキシ基(OH基)に対して過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物である。ウレタンプレポリマーは、一般に、0.5質量%以上10質量%以下のNCO基を分子末端に含有するものである。このイソシアネート基は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素のいずれに結合していてもよい。
ウレタンプレポリマーを作製する際に使用されるポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物;これらのイソシアネート化合物のカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物と後述するポリオール化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマー;などが挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ウレタンプレポリマーを作製する際に使用されるポリオール化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオールのいずれであってもよい。また、これらのポリオールはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。ポリオール化合物として、具体的には、ポリプロピレンエーテルジオール、ポリエチレンエーテルジオール、ポリプロピレンエーテルトリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシブチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリマーポリオール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等が挙げられる。また、ヒマシ油などの天然系のポリオール化合物を使用してもよい。
上記ウレタンプレポリマーを作製する際のポリオールとポリイソシアネートの当量比は、例えば、ポリオール中のヒドロキシ基に対するポリイソシアネート中のイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)が、1.2〜2.2であるのが好ましく、1.5〜1.8であるのがより好ましい。
上記ウレタンプレポリマーの数平均分子量は2000以上であり、2000以上15000以下であることが好ましく、2000以上10000以下であることがより好ましい。
本実施形態の組成物の主剤に含まれるイソシアネート化合物を含有する1成分系湿気硬化型ウレタン接着剤としては、上記ウレタンプレポリマーに補強剤としてカーボンブラック、充填剤として炭酸カルシウムおよび触媒などを加え、自動車の内外装部品同士の接着をさせる目的で自動車の内外装部品の接着面に対して使用される、1成分系湿気硬化型のウレタン接着剤などが用いられる。しかしながら、1成分湿気硬化型ウレタン接着剤であるため、内部の硬化に時間が必要であり、短時間養生で強度を求められる部品などの接着には適応しない。
(イソシアネートシラン化合物)
本実施形態の組成物の主剤に含有されるイソシアネートシラン化合物は、イソシアネート化合物をシラン化合物で変性した化合物である。本実施形態においては、イソシアネートシラン化合物は接着付与剤として機能するものである。本実施形態においては、イソシアネートシラン化合物は接着付与剤ともいう。イソシアネートシラン化合物はイソシアネート化合物をシラン化合物で変性した化合物であれば特に限定されない。イソシアネートシラン化合物としては、例えば、下記式(1)で表されるイソシアネートシラン化合物などが好適に挙げられる。下記式(1)で表されるイソシアネートシラン化合物は、下記式(2)で表される構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体(HDIのビュレット体)と、下記式(3)で表される構造を有する3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシランとを反応させることにより得られる。下記式(1)で表されるイソシアネートシラン化合物は、下記式(2)のHDIのビュレット体の分子内の3個のNCOのうち1個を下記式(3)の3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン1個で変性してイソシアネートシラン変性としたものである。
Figure 0006171302
Figure 0006171302
Figure 0006171302
上記式(1)で表されるイソシアネートシラン化合物は、上記式(2)で表される構造を有するHDIのビュレット体と、上記式(3)で表される構造を有する3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシランとを、イソシアネート基/アミノ基(NCO基/NH基)が1.5/1.0以上9.0/1.0以下の範囲内で付加させて得られる。NCO基/NH基とは、上記式(3)で表される構造を有する3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン中のアミノ基1個あたりの上記式(2)で表される構造を有するHDI中のイソシアネート基の比をいう。
NCO基/NH基は、上記式(2)で表される構造を有するHDIのビュレット体と上記式(3)で表される構造を有する3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシランとを1.5/1.0以上9.0/1.0以下の範囲内となるように反応させているが、好ましくは1.5/1.0〜6.0/1.0であり、より好ましくは3.0/1.0〜6.0/1.0である。NCO基/NH基が上記範囲内であれば、接着付与剤の接着性は十分に発揮される。また、このとき、上記式(2)で表される構造を有するHDIのビュレット体が未反応で残っていてもよい。
イソシアネートシラン化合物の含有量は、主剤100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であり、好ましくは1.5質量部以上8質量部以下であり、より好ましくは1.5質量部以上5質量部以下である。イソシアネートシラン化合物の含有量が1質量部以上の場合には接着性能を向上させる効果が得られる。また、イソシアネートシラン化合物の含有量が10質量部以下の場合には本実施形態の組成物の硬化物は硬くなると共に発泡が生じることが抑制されると共に、コストが高くなることを抑制することができる。そのため、イソシアネートシラン化合物の含有量が上記範囲内である場合には、本実施形態の組成物は、ガラスやポリプロピレン樹脂などのオレフィン系樹脂などの材料からなる被着体に対してプライマー組成物を用いることなく安定して優れた接着性を有する。
イソシアネートシラン化合物の製造は、通常のポリウレタンの製造と同様の方法で行うことができ、例えば、上述の当量比の上記式(2)で表される構造を有するHDIのビュレット体と上記式(3)で表される構造を有する3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシランとを、反応温度50℃〜60℃で攪拌することによって行うことができる。また、必要に応じて、有機錫化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒などを用いることもできる。
本実施形態の組成物は、主剤にイソシアネートシラン化合物を含有することにより、被着体に対してプライマー組成物を用いることなく安定して優れた接着性を有することができる。特に、本実施形態の組成物は、ガラス、ポリプロピレン樹脂などのオレフィン系樹脂などの材料からなる被着体に対して優れた接着性を有する。本実施形態の組成物は、硬化剤の硬化成分であるポリブタジエンジオールの非極性骨格と主剤に含まれる接着付与剤との相溶性を利用したものである。接着において、上記接着付与剤が接着剤の表面、即ちガラスやオレフィン樹脂と接着剤の間へ移行する必要がある。1成分系接着剤は内部硬化が遅いため接着付与剤が徐々に移行すればよい。しかし、2成分系接着剤は硬化が速いため、混合後直ぐに表面へ接着付与剤を移行させる必要がある。接着付与剤と硬化剤中のポリブタジエンジオールとは相溶性が悪いため接着付与剤の接着剤表面への移行が速く、イソシアネートシラン化合物が界面へ移行しやすくなる。そして、イソシアネートシラン化合物のトリメトキシシランの水酸基(OH基)がガラスのOH基と反応した際に生じるメタノール(CH3OH)が外れた後、トリメトキシシランに形成される水酸基(OH基)とガラスのOH基とが反応して水(H2O)が外れる。これにより、トリメトキシシランのOH基とガラスのOH基との間でO−Si基が形成される。このO−Si基が高い接着性を付与すると考えられる。この結果、イソシアネートシラン化合物とガラスとはより強く結合され、接着性が高まると考えられる。一方、樹脂との接着は、接着付与剤中のNCO基と樹脂中の極性部などによる結合形態により接着性が高まると考えられる。
<硬化剤>
本実施形態の組成物に含まれる硬化剤は、ポリブタジエンジオールを含む。
(ポリブタジエンジオール)
本実施形態の組成物の硬化剤に含有されるポリブタジエンジオールは、ポリオール化合物の一種である。本実施形態においては、ポリブタジエンジオールは、架橋剤および主剤に含有される接着付与剤の接着剤表面(接着剤とガラスや樹脂との界面)の移行を促進させるものである。また、ポリブタジエンジオールは、他のポリオール化合物と組み合わせて用いてもよい。他のポリオール化合物として、例えば、ポリプロピレンエーテルジオール、ポリエチレンエーテルジオール、ポリプロピレンエーテルトリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシブチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリマーポリオール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等が挙げられる。また、天然系のヒマシ油を原料として得られるジオール化合物や松脂を原料とするロジン骨格のジオール(タッキファイヤー)等などを挙げることができる。これらのジオール化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本実施形態においては、これらのジオール化合物の中でも耐水性、接着性、物性等の観点から、ポリブタジエンジオールを含む必要がある。なお、ポリブタジエンジオールとはポリブタジエン骨格の末端に水酸基(OH基)が結合したものである。
ポリブタジエンジオールは、本実施形態の組成物の被着体に対して安定して優れた接着性を向上させる観点から、数平均分子量は200以上10000以下であることが好ましく、より好ましくは1000以上3000以下であることが好ましい。
ポリブタジエンジオールの含有量は、硬化剤100質量部に対して5質量部以上100質量部以下であり、好ましくは30質量部以上60質量部以下であり、より好ましくは40質量部以上50質量部以下である。ポリブタジエンジオールの含有量が5質量部未満または100質量部を超える場合、接着剤の硬化性と接着付与剤の表面への移行性とのバランスが取れない。本実施形態の組成物は、ガラスやポリプロピレン樹脂などのオレフィン系樹脂などの材料からなる被着体に対してプライマー組成物を用いることなく安定して優れた接着性を有する。
(充填剤)
本実施形態の組成物は、主剤および硬化剤に充填剤を含有するようにしてもよい。主剤および硬化剤に含有される充填剤は、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、カーボンブラック、ホワイトカーボン、シリカ、ガラス、カオリン、タルク(ケイ酸マグネシウム)、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、クレー、焼成クレー、ベントナイト、ガラス繊維、石綿、ガラスフィラメント、粉砕石英、ケイソウ土、ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、あるいはこれらの表面処理品等の無機質充填剤;カーボネート類、有機ベントナイト、ハイスチレン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、変性メラミン樹脂、環化ゴム、リグニン、エボナイト粉末、セラック、コルク粉末、骨粉、木粉、セルローズパウダー、ココナッツ椰子がら、木材パルプ等の有機質充填剤;ランプブラック、チタンホワイト、ベンガラ、チタンイエロー、亜鉛華、鉛丹、コバルトブルー、鉄黒、アルミ粉等の無機顔料およびネオザボンブラックRE、ネオブラックRE、オラゾールブラックCN、オラゾールブラックBa(いずれもチバ・ガイギー社製)、スピロンブルー2BH(保土ヶ谷化学社製)等の有機顔料等が挙げられる。中でも、所望の特性を付与するために、カーボンブラックと炭酸カルシウムを用いることが好ましい。これらのカーボンブラックおよび炭酸カルシウムとしては、特に限定されず、通常市販されているものを用いることができる。例えば、カーボンブラックは、米国材料試験協会規格における、N110、N220、N330、N550、N770等あるいはこれらの混合物が挙げられ、炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの充填剤は、1種単独でも2種以上を併用しても使用することができる。
(触媒)
本実施形態の組成物は、主剤と硬化剤との何れか一方または両方に触媒を含有するようにしてもよい。触媒は主剤および硬化剤に含まれる重合体と反応可能なものであれば特に制限されない。触媒としては、特に限定されず、例えば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンオキサイド、ジブチルチンジメトキシド、ジブチルチンジマレエート、ジブチルチンビスアセチルアセトナート、ジブチルチンシリレート、オクチル酸ビスマスなどの金属触媒;オクタン酸錫、オクチル酸錫、ブタン酸錫、ナフテン酸錫、カプリル酸錫、オレイン酸錫、ラウリン酸錫等の2価の有機錫化合物;ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジブチル錫ジオレエート、ジブチル錫ベンゾエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジフェニル錫ジアセテート、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価の有機錫化合物;ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)などのような錫系キレート化合物;ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン等の第一級アミン;ジブチルアミン等の第二級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、キシリレンジアミン等のポリアミン;トリエチレンジアミンおよびその誘導体、2−メチルトリエチレンジアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の環状アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール化合物;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミノフェノール化合物等のアミン化合物およびそのカルボン酸塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセタート等の第四級アンモニウム塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量アミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物等が挙げられる。これらの中でも、微量で大きな触媒能を有するという観点から、錫系触媒、アミン系触媒が好ましい。これらの触媒は、1種単独でも2種以上を併用しても使用することができる。
本実施形態の組成物は主剤、硬化剤および上記任意の各成分を混合することにより得ることができる。本実施形態の組成物は、主剤、硬化剤および上記任意の各成分の他に、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤を含むことができる。添加剤としては、上記充填剤、硬化促進剤(触媒)の他に、例えば、硬化剤、可塑剤、反応性希釈剤、チクソトロピー性付与剤、シランカップリング剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、乾性油、接着性付与剤、分散剤、脱水剤、紫外線吸収剤、溶剤等が挙げられる。これらの中の2種類以上を含有してもよい。添加剤等は一般的な方法で混練して組成物とし、架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本実施形態の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
本実施形態の組成物の使用方法は、特に限定されるものではない。例えば、上記の主剤と硬化剤とをロータリー式ミキサー、スタティックミキサー等を用いて十分に混合した後、被着体に塗布後、非被着体と貼り合わせ、両被着体を圧着し、接着構造物を形成する。
このように、本実施形態の組成物は、ウレタンプレポリマーとイソシアネートシラン化合物とを含有する主剤と、ポリブタジエンジオールを含有する硬化剤とを含有し、イソシアネートシラン化合物を接着付与剤とし、ポリブタジエンジオールを架橋剤として含有するウレタン接着剤組成物である。主剤がイソシアネートシラン化合物を所定量含有し、硬化剤がポリブタジエンジオールを所定量含有することで、被着体の表面にプライマー組成物を塗布していなくても安定して優れた接着性を有することができる。特に、本実施形態の組成物は、本実施形態の組成物をガラス基板に塗布して接着することにより良好に接着させることができるため、被着体の表面にプライマー組成物を塗布していない場合であっても同様に安定して優れた接着性を有することができる。
本実施形態の組成物は、主に自動車のボディ、フロントドア、リヤドア、バックドア、フロントバンパー、リアバンパー、ロッカーモールなど自動車の内外装部品などの接着対象物に塗布される接着剤組成物として用いることができる。特に、本実施形態の組成物は、自動車の窓ガラスなどのガラス部材とボディなどの塗装部材との接着性を向上させることができるためウインドウシーラントとして好適に用いることができる。また、本実施形態の組成物は、自動車の樹脂などのような材料を用いて形成される構造物同士の接着性、金属を用いて形成される構造物と樹脂を用いて形成される構造物との接着性を向上させることができるため自動車の構造用接着剤として好適に用いることができる。更に、本実施形態の組成物は、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、イトロ処理などの表面処理を施したプラスチックやポリプロピレン樹脂などのオレフィン系樹脂などのような材料を用いて形成された構造物に対しても接着性を向上させることができるため、このような構造物の接着剤としても好適に用いることができる。
以上のように、本実施形態の組成物は上記のような特性を有することから、自動車や車両(新幹線、電車)、船舶、航空機、建築・土木、エレクトロニクス、宇宙産業分野その他の工業製品の接着剤として用いることができ、特に自動車や車両のボディとガラス板等のように自動車や車両などの内外装部品の構造用の接着剤として好適に用いることができる。
本実施形態の組成物について詳細に説明したが、本発明は上記に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種の変更および改良を行ってもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<ウレタンプレポリマーの作製>
数平均分子量5000のポリプロピレンエーテルトリオール600g(G−5000、商品名「EXCENOL5030」、旭硝子株式会社製)と、数平均分子量2000のポリプロピレンエーテルジオール300g(D−2000、商品名「EXCENOL2020」、旭硝子株式会社製)とをフラスコに投入して、100℃〜130℃に加熱し、脱気しながら攪拌して水分率が0.01%以下になるまで脱水した。その後、90℃まで冷却し、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、商品名「スミジュール44S」、住友バイエルジャパン株式会社製)をNCO基/OH基の当量比(NCOmol/OHmol)が1.70となる量を添加した後、約24時間、窒素雰囲気下で反応を進め、表1〜表3に示すウレタンプレポリマーを作製した。
<主剤の作製>
表1〜表3に示す主剤1(S−1)〜主剤3(S−3)の各成分を、同表に示す配合量(質量部)で配合し、混合機(5Lレベル)で脱気しながら約1時間均一に混合して、表1〜表3に示される主剤1(S−1)〜主剤3(S−3)を作製した。各主剤における各成分の配合量(質量部)を表1〜表3に示す。
<硬化剤の作製>
表1〜表3に示す硬化剤(B−1〜B−7)の各成分を、同表に示す配合量(質量部)で配合し、混合機(5Lレベル)で脱気しながら約1時間均一に混合して、表1〜表3に示される各硬化剤(B−1〜B−7)を作製した。各硬化剤における各成分の配合量(質量部)を表1〜表3に示す。
<接着剤の作製>
上記で得られた主剤1〜3(S−1〜S−3)と硬化剤(B−1〜B−7)とを配合比(質量混合比)10:1で均一に混合して、表1〜表3に示される実施例および比較例の各接着剤を作製した。表1〜表3に示す各実施例および比較例における主剤および硬化剤の組み合わせを表1〜表3に示す。
<評価>
上記で得られた各実施例および比較例のそれぞれの接着剤について、以下に示す方法で、硬化後のガラスとの接着性、破壊形態の評価を行った。
[試験体の作製]
まず、上記で得られた実施例および比較例のそれぞれの接着剤を用いて得られる試験体を作製した。図1は、各実施例および比較例で用いた一対の試験体を示す図である。図1に示すように、被着材として電着塗装板11(25mm×150mm×3mm)とガラス基板12(25mm×150mm×3mm)とを準備した。次いで、電着塗装板11とガラス基板12との間の対向面側の接合部13(25mm×10mm)に、表1〜表3に示す各実施例および比較例の接着剤組成物14を接着剤組成物14の厚さが3mm程度になるようにそれぞれ塗布し、電着塗装板11とガラス基板12とを圧着し、60℃で30分間硬化させた後、20℃、60%RHで72時間養生して接着剤組成物14を硬化させ、試験体15を作製した。
[接着性]
接着性の評価は、試験体15を用いて剪断強度を測定した。また、剪断試験における破壊形態を目視で観察した。評価結果を表1〜表3に示す。
(剪断強度)
剪断強度は、JIS K6850−1999に準じて、20℃、60%RHの条件下で引張速度50mm/分で各接着剤組成物14の剪断強度を測定した。評価結果を表1〜表3に示す。
(破壊形態)
破壊形態の評価は、剪断強度の試験において、上述した予め表面処理した電着塗装板11とガラス基板12とを剪断した後の各接着剤組成物14の硬化物(接着剤)の破壊形態を目視で観察して評価した。破壊形態の評価は、接着面積に対する接着剤組成物14の接着剤の破壊形態とその面積の割合(%)を数字で表して行った。凝集破壊(CF)の割合が高いほど接着剤組成物14の接着剤の接着性は優れ、接着剤組成物14の接着剤とガラス基板12との界面剥離(AF)したものの割合が高いほど接着剤組成物14の接着剤の接着性が劣ると評価した。また上記2つの破壊状態が混在する場合はその面積の割合で、例えば「CF50AF50」と表記した。破壊形態の評価結果を表1〜表3に示す。
(接着性の評価基準)
剪断強度が3.0MPa以上であり、かつ破壊状態がCF100(完全な接着剤の破壊モード)である場合を接着が良好であると評価した。
Figure 0006171302
Figure 0006171302
Figure 0006171302
上記表1〜表3に示される各成分は、以下のとおりである。
(主剤:S−1〜S−3)
・ウレタンプレポリマー:上記で得られたウレタンプレポリマー、横浜ゴム株式会社製
・イソシアネートシラン化合物:HDIのビュレット体(「D−165N」、三菱化学株式会社製)と、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン(「Y9669」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)との反応物
・可塑剤:アジピン酸ジイソノニル(「DINA」、ジェイ・プラス社製)
・カーボンブラック:「MA600」、三菱化学社製
・炭酸カルシウム:「スーパーS」、丸尾カルシウム株式会社製
・アミン触媒:2−メチルトリエチレンジアミン(「ME−DABCO」、エアープロダクツジャパン株式会社製)
・錫触媒:ジブチルチンジアセテート(「U−200」、日東化成株式会社製)
(硬化剤:B−1〜B−7)
・ポリオール化合物1:ポリプロピレングリコール(「EXCENOL 2020」、数平均分子量:2000、旭硝子社製)
・ポリオール化合物2:ポリプロピレングリコール(「EXCENOL 1020」、数平均分子量:1000、旭硝子社製)
・ジオール化合物1:水酸基末端液状ポリブタジエン(「poly bd R−15HT」、出光興産社製)
・ジオール化合物2:水酸基末端液状ポリブタジエン(「poly bd R−45HT」、出光興産社製)
・炭酸カルシウム:「カルファイン500」、丸尾カルシウム株式会社製
・アミン触媒:2−メチルトリエチレンジアミン(「ME−DABCO」、エアープロダクツジャパン株式会社製)
・錫触媒:ジブチル錫ジアセテート(「U−200」、日東化成株式会社製)
表1〜表3に示す結果から、実施例1−1〜1−5、2−1〜2−5、3−1〜3−5では、主剤S−1〜S−3のいずれかと、硬化剤B−1〜B−3、B−6またはB−7の何れかとを組み合わせた接着剤組成物14を用いて得られた試験体15の接着剤は、何れも20℃、60%RHで72時間養生した後の剪断強度が4.1MPa以上であった。また、接着剤の破壊形態は何れも凝集破壊CF100であった。よって、主剤S−1〜S−3のいずれかと、硬化剤B−1〜B−3、B−6またはB−7の何れかとを組み合わせた接着剤組成物を用いて得られる接着剤は、何れもプライマー組成物を塗布しなくても安定して優れた接着性を有することが確認された。
これに対して、比較例1−1、1−2、2−1、2−2、3−1、3−2では、主剤S−1〜S−3のいずれかと、硬化剤B−4、B−5のいずれかとを組み合わせた接着剤組成物を用いて得られた試験体15の接着剤は、何れも20℃、60%RHで72時間養生した後の剪断強度が2.8MPa以下であり、接着剤の破壊形態は、CF50AF50、またはAF100であった。また、接着剤の破壊形態は、ほとんどが電着塗装板11とガラス基板12との間で界面剥離した。よって、主剤S−1〜S−3のいずれかと硬化剤B−4、B−5のいずれかとの組み合わせは、ガラスとの接着性が良好ではなく、強度も十分でなかった。よって、比較例1−1、1−2、2−1、2−2、3−1、3−2の各接着剤組成物を用いて得られた接着剤は何れも接着性に劣ることが確認された。
よって、主剤S−1〜S−3のいずれかと硬化剤B−1〜B−3、B−6またはB−7の何れかとを組み合わせて得られる接着剤の方が、主剤S−1〜S−3のいずれかと硬化剤B−4、B−5のいずれかとを組み合わせて得られる接着剤よりも接着剤の強度は高く、プライマー組成物を用いなくても電着塗装板11とガラス基板12とを安定して接着することができる。
したがって、本実施形態の組成物は、ウレタンプレポリマーと所定量のイソシアネートシラン化合物とを含有する主剤と、所定量のポリブタジエンジオールを含有する硬化剤とを含有することにより、硬化物の強度も高く、プライマー組成物を用いなくてもガラス基板等の接着体に対して安定して優れた接着性を有し、信頼性の高い接着剤を得ることができることが判明した。
11 電着塗装板
12 ガラス基板
13 接合部
14 接着剤組成物
15 試験体

Claims (4)

  1. ウレタンプレポリマーと式(1)で表されるイソシアネートシラン化合物とを含有する主剤と、

    Figure 0006171302
    ポリブタジエンジオールを含有する硬化剤と、
    を有することを特徴とするウレタン接着剤組成物。
  2. 前記イソシアネートシラン化合物の含有量が、前記主剤中に1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のウレタン接着剤組成物。
  3. 前記ポリブタジエンジオールの含有量が、前記硬化剤中に5質量%以上100質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のウレタン接着剤組成物。
  4. ガラスで形成される被着体に塗布されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のウレタン接着剤組成物。
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