以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図10は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。図1〜図10では、本発明による面発光装置を展示装置の棚板に組み込んで例を示している。しかしながら、本発明の面発光装置は、棚板に組み込まれることに限られず、または、展示装置に用いられることに限られることなく、種々の用途に適用され得る。
なお、本明細書において、「シート」、「板」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「シート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、「光学シート」は、「光学板」や「光学フィルム」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面と一致する面のことを指す。以下に説明する本実施の形態においては、面発光装置の発光面、後述する導光板の板面、及び、後述する各光学シートのシート面は平行となっている。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
さらに、本明細書で用いる「プリズム」、「レンズ」および「光学要素」とは、屈折や反射等の光学的作用を光に及ぼして、当該光の進行方向を変化させる機能を有した要素のことを指し、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「プリズム面」とは「レンズ面」と名称の違いのみを持って区別され得ない。また、「単位レンズ」とは、プリズムまたはプリズム面を構成する単位要素のことであり、「単位レンズ」や「単位光学要素」等と名称の違いのみを持って区別されるものではない。
図1に示すように、展示装置10は、フレーム材としての主枠17と、主枠17に支持された二つの棚板15,16と、を有している。主枠17は、図示された例において板状の部材として構成されており、棚板15及び棚板16を上下方向に離間して支持している。下側に配置された棚板16は、主として、展示物を載置することに利用される。上側に配置された棚板15は、面状に光を発光する面発光装置20を含んでいる。図4及び図5に示すように、面発光装置20は、棚板15の棚板16に対面する側の面を発光面20aとして有している。したがって、棚板15に組み込まれた面発光装置20は、棚板16上に載置された展示物を照明することができる。
以下に説明する一実施の形態において、面発光装置20は、導光板40と、導光板40の入光面43に対面して配置された光源30と、導光板40の出光面41に対面して配置された複数の光学シート50,60を有している。複数の光学シート50,60は、導光板40の板面に沿って互いにずれた位置に配置されている。したがって、導光板40からの出射光は、導光板40の出光面41のどの領域から出射するかに依存して、異なる光学シート50,60に入射することになる。一般的に、導光板40の出光面41上における輝度角度分布は、導光板40による導光方向に沿った各領域の間で概ね同様の分布となる傾向を有し、且つ、導光板40による導光方向に直交する方向に沿った各領域の間でも概ね同様の分布となる傾向を有する。このため、異なる光学シート50,60によって異なる偏向機能を発揮されることにより、面発光装置20の発光面20a上での発光特性は、導光板40の板面と平行となる発光面20a上の領域に応じて異なるようになる。
図2〜5に示された例では、面発光装置20が、並置された第1光学シート50及び第2光学シート60を、導光板40の出光面41に対面する位置に有しており、第1光学シート50と第2光学シート60は、互いに異なる形状のプリズム面50a,60aを有している。この結果、第1光学シート50を透過した光は、第2光学シート60を透過した光とは異なる発光特性を持ち、例えば、第2光学シート60から出射する光の輝度ピークとは異なる方向に輝度ピークを有する。より具体的な指標として、図1に示すように、第1光学シート50に対向する発光面20a上の輝度を種々の方向から測定することにより得られる輝度角度分布(輝度方向分布)において最高となる輝度を呈する方向(すなわち、光軸)pd1は、第2光学シート60に対向する発光面20a上の輝度を種々の方向から測定することにより得られる輝度角度分布(輝度方向分布)において最高となる輝度を呈する方向(すなわち、光軸)pd2と非平行となる。
このような面発光装置20によれば、優れたアイキャッチ効果、すなわち観察者の目を引き付ける効果を奏することが可能となる。結果として、面発光装置20によって照明される被照明物の価値を高めること、例えば被照明物に対する購買意欲を刺激することや、被照明物に対する美的評価の向上を引き起こすことが可能となる。
次に、以上の発光特性を実現し得る面発光装置20の一例を、図示された一具体例を参照しながら、詳述する。図示された面発光装置20は、一対の主面41,42および一対の主面41,42間をつなぐ側面を有した導光板40と、導光板40の側面の一部分に対面して配置された光源30と、導光板40の出光面41をなす一方の主面に対面して配置された第1光学シート50および第2光学シート60と、を有している。
図1から理解され得るように、面発光装置20は、平面視において、四角形となる輪郭を有している。そして、図3に示すように、導光板40も、一対の主面が四角形、とりわけ長方形となる板状の部材として形成されている。そして、導光板40は、第1方向d1に対向し第1方向d1と交差する第2方向d2に延びる一対の側面と、第1方向d1に延び且つ第2方向d2に対向する一対の側面と、からなる四つの側面を含んでいる。導光板40の側面のうち、第1方向d1に対向する一対の側面のうちの一方の側に位置する側面が、導光板40の入光面43をなしている。光源30は、導光板40の入光面43に対面する位置に配置されている。入光面43から導光板40に入射した光は、導光方向となる第1方向d1に沿って入光面43に対向する反対面44に向け、概ね第1方向d1に沿って導光板40内を導光される。
導光板40としては、既知の種々の導光板を用いることができる。図示された導光板40は、板状に形成された基部46と、基部46の光学シート50,60とは反対の側の面上に形成された複数の単位光学要素47と、を有している。基部46は、一対の平行な主面を有する平板状の部位となっている。複数の単位光学要素47は、第1方向d1に配列されている。各単位光学要素47は、基部46上を、第1方向d1と交差する方向に線状に延びている。とりわけ図示された例において、複数の単位光学要素47は、基部46上に、第1方向d1に隙間無く並べて配列されている。したがって、導光板40の裏面42は、単位光学要素47の表面をなす反射面42a及び接続面42bとから、形成された凹凸面となっている。また、各単位光学要素47は、第1方向d1と直交する方向に沿って、つまり第2方向d2に沿って直線状に延びている。さらに、各単位光学要素47は、柱状に形成され、その長手方向に沿って同一の断面形状を有するようになっている。また、図示された例において、複数の単位光学要素47は、互いに同一に構成されている。
単位光学要素47の配列方向および基部46の法線方向ndの両方向に平行な断面において、各単位光学要素47は、基部46上に一辺が位置する三角形形状として形成されている。単位光学要素47は、長辺として形成された反射面42aと、短辺として形成された接続面42bと、を有している。なお、反射面42aは、導光板40内を進む光の進行方向が導光板40への法線方向ndに対してなす角度を小さくするように当該光の進行方向を曲げる機能を有し、当該光が出光面41を介して導光板40から出射することを促進する。一方、接続面42bは、隣り合う二つの反射面42aを接続する段差面であり、導光板40内を進む光に対する光学的機能を特に期待されていない。導光方向に対する反射面42aの傾斜角度θb(図7〜図9参照)は、比較的小さい値、例えば0.2°以上2°以下に設定され得る。一方、導光方向に対する接続面42bの傾斜角度は、比較的大きな値、典型的には90°に設定される。
以上のような構成を有した導光板40の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。単位光学要素47の具体例として、導光板40の板面に沿った幅Wb(図7〜図9参照)を10μm以上500μm以下とすることができ、導光板40の板面への法線方向ndに沿った単位光学要素47の基部46からの高さHb(図7〜図9参照)を1μm以上50μm以下とすることができる。また、基部46の厚みは、0.1mm〜6mmとすることができる。このような構成からなる導光板40は、樹脂の賦型シートを用いた押し出し成型により、あるいは、電離放射線樹脂からなる第1単位要素61及び単位光学要素47を基材上に賦型することにより、作製することができる。
ここで例示した導光板40の寸法および形状によれば、導光板40の法線方向ndを0°として、導光板40の法線方向ndから導光方向、すなわち第1方向d1における入光面43の側に向けて傾斜した場合の角度が負の値となり、導光板40の法線方向ndから導光方向における反対面44の側に向けて傾斜した場合の角度が正の値となるように定義して、導光方向及び導光板40の法線方向ndの両方向に平行な面内の各方向から導光板40の出光面41上の輝度を測定することによって得られた輝度の角度分布において、65°から80°の間に輝度が最大となるピーク角度を持ち、さらに例示した寸法の範囲を狭めることによって65°から75°の間に輝度が最大となるピーク角度を持つようにすることができる。
光源30は、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状のLED(発光ダイオード)や白熱電球等の種々の態様で構成され得る。図示された例では、図3及び図7に示すように、光源30は、入光面43の長手方向に沿って、すなわち第2方向d2に沿って並べて配置された多数の点状の発光体31、具体的には、多数の発光ダイオード(LED)によって、構成されている。
次に、光学シート50,60について説明する。第1光学シート50及び第2光学シート60は、そのシート面が導光板40の板面と平行になるようにして配置されている。第2光学シート60は、導光板40の板面に沿って第1光学シート50に隣り合うようにして配置されている。本実施の形態では、図3に示すように、第1光学シート50及び第2光学シート60は、それぞれ、光源30に対面する領域を第2方向d2に二等分してなる領域のいずれかに対向して配置されている。各光学シート50,60は、平面視において四角形、とりわけ長方形となる板状の部材として形成されている。なお、図3においては、理解のしやすさ便宜を図るため、第1光学シート50及び第2光学シート60を導光板40からずらして図示している。
第1光学シート50及び第2光学シート60は、それぞれ、プリズム面50a,50bを有しており、導光板40の一方の主面41からの出射する多くの光の進行方向を特定に方向を中心とした或る程度絞られた角度範囲内の方向に偏向する偏向機能を発揮することができる。図7〜図9に示すように、各光学シート50,60は、シート状の本体部52,62と、そのシート面上の一方向(配列方向)、具体的には、上述した導光板40の入光面43と反対面44とを結ぶ第1方向d1に沿って配列された複数の単位プリズム55,65を有している。単位プリズム55,65は、本体部52,62上に配列されており、プリズム面50a,60aを形成している。
図示された本実施の形態において、単位プリズム55,65は、光学シート50,60のシート面上において、その配列方向d1に直交する第2方向d2に直線状に延びている。そして、単位プリズム55,65は、第1方向d1における一方の側、より具体的には、光源30に近接側に位置する第1面55a,65aと、第1方向d1おける他方の側に位置する第2面55b,65bと、を有している。単位プリズム55,65は本体部52,62上に隙間無く配置列され、光学シート50,60のプリズム面50a,60aは、それぞれ、単位プリズム55,65の第1面55a,55bおよび第2面65a,65bによって形成されている。また図示された単位プリズム55,65は、その長手方向に直交する断面において、三角形形状の断面形状を有している。
なお、光学シート50,60の寸法および形状は、導光板40の寸法および形状を考慮しながら、適宜設定され得る。一例として、上述した寸法及び形状の導光板40との組み合わせにおいて、光学シート50,60の寸法および形状を以下のように設定することができる。まず、単位プリズム55,65の幅Wa(図7〜図9参照)を10μm以上200μm以下とすることができる。また、光学シート50,60のシート面への法線方向ndに沿った本体部52,62からの単位プリズム55,65の突出高さHa(図7〜図9参照)を7μm以上150μm以下とすることができる。一方、本体部74の厚みは、0.01mm〜1mmとすることができる。次に、単位プリズム55,65の第2面55b,65bは、後述するように、導光板からの光を反射または屈折させることにより当該光の進行方向を変化させることを意図されている。そして、第1方向d1および導光板40の法線方向ndの両方向に平行な面内において、第1方向d1に対する第2面55b,65bの傾斜角度θa(図7〜図9参照)は、35°以上75°以下に設定され得る。
上述のように、第1光学シート50及び第2光学シート60は、プリズム面50a,60aを有する点において同一となっており、とりわけ本実施の形態では、シート状の本体部52,62と、本体部52,62上に設けられた単位プリズム55,65と、を有する点において同一となっている。しかしながら、第1光学シート50及び第2光学シート60は、プリズム面50a,60aの形状、及び、プリズム面50a,60aが向いている向きの少なくとも一方の点において、互いに異なっている。この相違により、第1光学シート50及び第2光学シート60のプリズム面50a,60aで発揮される偏向機能が異なるものとなり、図1に示すように第1光学シート50を透過した光が最高輝度を呈する方向pd1と第2光学シート60を透過した光が最高輝度を呈する方向pd2とが非平行となる。
ここで、プリズム面50a,60aの形状の相違は、第1光学シート50と第2光学シート60との間でプリズム面50a,60aを形成する単位プリズム55,65の形状が異なれば、生じる。後述するように、プリズム面50a,60aでの偏向機能は、単位プリズム55,65の第2面55b,65bでの反射または屈折に大きく依存して発揮され得る。このため、第2面55b,65bの傾き又は向き、より厳密に表現すると、単位プリズム55,65の配列方向である第1方向d1と光学シート50,60の法線方向ndとの両方向に沿った面内における第1方向d1に対する第2面55b,65bの傾斜角度θaが、第1光学シート50と第2光学シート60との間で異なるようにすれば、導光板40から同一の方向に出射する光に対して異なる偏向機能を及ぼすことができる。結果として、図1に示すように第1光学シート50を透過した光が最高輝度を呈する方向pd1と第2光学シート60を透過した光が最高輝度を呈する方向pd2とが非平行となる。
図示された本実施の形態では、第1光学シート50のプリズム面50aをなす単位プリズム55の第2面55bが第1方向d1に対してなす角度θaは、第2光学シート60のプリズム面60aをなす単位プリズム65の第2面65bが第1方向d1に対してなす角度θaと異なっている。図8及び図9に示すように、第1光学シート50の単位プリズム55の第2面55bが第1方向d1に対してなす角度θaは、第2光学シート60の単位プリズム65の第2面65bが第1方向d1に対してなす角度θaよりも大きくなっている。すなわち、図示された本実施の形態において、第1光学シート50及び第2光学シート60の間で、プリズム面50a,60aの形状が異なっている。
一方、プリズム面50a,60aが向いている向きが相違するとは、一方の光学シートのプリズム面が導光板40に対面するとともに他方の光学シートのプリズム面が導光板40から離間する側を向いていることである。すなわち、本体部の一対の主面のうちプリズム面が設けられている面が二つの光学シートで異なっている場合、プリズム面50a,60aが向いている向きが相違することになる。図7〜図9に示すように、本実施の形態では、第1光学シート50及び第2光学シート60のいずれにおいても、本体部52,62の導光板40に対面する側の面上に、単位プリズム55,65が形成されている。この結果、第1光学シート50及び第2光学シート60の間で、プリズム面50a,60aが向いている向きは、ともに導光板40の側となり、この点における相違は生じていない。
加えて、図2に示すように、本実施の形態における面発光装置20は、導光板40の裏面42に対面して配置された反射板33と、光学シート50,60の導光板40に対面しない側に配置された拡散板34と、をさらに有している。反射板33は、導光板40の裏面42から漏れ出した光を反射して、再び導光板40内に入射させるための部材である。反射板33は、白色の散乱反射シート、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜)を表面層として含んだシート等から、構成され得る。また、拡散板34は、光学シート50,60を透過した光を拡散させるための部材である。拡散板34は、表面に凹凸が形成されたシートや、主部と主部中に分散された拡散成分とを有するシート等から、構成され得る。
加えて、面発光装置20は、反射板33の導光板40に対面しない側に配置された補強板35及び表面フィルム36と、拡散板34の光学シート50,60に対面しない側に配置された補強板37及び表面フィルム38と、をさらに有していてもよい。補強板35,37は、例えばガラス等からなり、棚板15として機能する面発光装置20を補強する。また、表面フィルム36,38は、面発光装置20の両表面を形成する部位である。したがって、表面フィルム36,38は、耐擦傷性を付与されたハードコート層や、面発光装置20及び展示装置10の意匠性を向上させるための印刷等を施された加飾層等として、構成される。なお、下側に配置された棚板16に対面する表面フィルム38が、面発光装置20の発光面20aを形成している。
ところで、以上に説明した導光板40、第1光学シート50,第2光学シート60,反射板33,拡散板34,補強板35,表面フィルム36,補強板37及び表面フィルム38は、支持手段25によって、所定の位置関係に支持され、面発光装置20または棚板15を形成している。図2に示すように、支持手段25は、第2方向d2に離間して配置された一対の側方支持枠26と、一対の側方支持枠26の間に位置する中央支持枠27と、を有している。一対の側方支持枠26と中央支持枠27とは、第1方向d1における少なくとも片側の端部で互いに連結され、相対位置関係を維持できるようになっている。
図2に示すように、導光板40、反射板33,拡散板34,補強板35,表面フィルム36,補強板37及び表面フィルム38は、それぞれ、一対の側方支持枠26によって、第2方向d2における両縁部を支持されている。また、第1光学シート50は、中央支持枠27と対応する側に位置する側方支持枠26とによって、第2方向d2における両縁部を支持されている。同様に、第2光学シート60は、中央支持枠27と対応する側に位置する側方支持枠26とによって、第2方向d2における両縁部を支持されている。
なお、支持手段25は、取り外し可能に各部材を支持するようにしてもよい。例えば、展示装置10に展示される物品に応じて、表面フィルム36及び表面フィルム38の少なくとも一方を変更するようにしてもよい。また、第1光学シート50及び第2光学シート60が、支持手段25によって、取り外し可能に支持されるようになっていれば好ましい。さらに、第1光学シート50及び第2光学シート60を、プリズム面50a,60aが向いている向きを変えることができるように、すなわち逆向きに支持可能となっていることが好ましい。このような例によれば、複数の光学シートから適宜光学シートを選択して使用することにより、或いは、光学シートのプリズム面の向きを変更することにより、面発光装置20の発光特性を調節することができ、より好ましい照明を実現することが可能となる。
次に、以上のような構成からなる面発光装置20及び展示装置10の作用について説明する。
まず、図8及び図9に示すように、光源30をなす一群の発光体31で発光された光は、入光面43を介し、導光板40に入射する。図4に示すように、導光板40へ入射した光の多くは、導光板40の出光面41および裏面42において、反射、とりわけ導光板40をなす材料と空気との屈折率差に起因して全反射を繰り返し、導光板40の入光面43と反対面44とを結ぶ導光方向、とりわけ図示された例では第1方向d1へ進んでいく。
ただし、図示された導光板40の裏面42は、単位光学要素47によって構成され、入光面43から反対面44に向かうにつれて、出光面41に対して接近するように傾斜した反射面42aを有している。反射面42aは接続面42bを介して連結されているが、この接続面42bは、一例として、導光板40の法線方向ndに延びている。したがって、導光板40内を入光面43の側から反対面44の側へと進む光のほとんどは、裏面42のうち、接続面42bに入射することなく、反射面42aにて反射するようになる。このため、図8及び図9に示すように、出光面41及び裏面42にて反射を繰り返しながら導光板40内を光が進む場合、当該光の出光面41及び裏面42への入射角度は、次第に小さくなっていき、全反射臨界角未満となる。この結果、導光板40内を進む光は、少しずつ、出光面41から出射するようになる。このような方法によれば、接続面42bの分布を調節することにより、導光板40の出光面41から出射する光の導光方向に沿った光量分布、本例では第1方向d1に沿った光量分布を制御すること、例えば第1方向d1に沿った光量分布を均一化することが可能となる。
以上のようにして導光板40から出射する光の出射角度は、それまで、導光板40内を主として第1方向d1に進んでいたことに起因して、第1方向d1と平行な面において、導光板40の法線方向ndから比較的大きく傾斜した比較的に大きな出射角度となる。具体的には、導光板40から出射する光の第1方向成分の出射角度、すなわち出射光の第1方向成分と導光板40の法線方向ndとがなす角度は、比較的大きな角度となる狭い角度範囲内に偏る、傾向がある。例えば、既に説明したように、上述の例示の形状および寸法からなる導光板では、導光板40の板面への法線方向ndに対して65°以上80°以下(さらには65°以上75°以下)の角度だけ傾斜した範囲内にピーク輝度が発生するように設定することができる。
以上のようにして最終的に導光板40から出射した光は、図8及び図9に示すように、導光板40の出光面41に対面する位置に配置された光学シート50,60に入射する。本実施の形態では、導光板40の出光面41に対面する領域のうち、当該領域を二等分して第2方向d2にける一方の側となる第1領域A1に第1光学シート50が配置されている。また、導光板40の出光面41に対面する領域のうち、当該領域を二等分して第2方向d2にける他方の側となる第2領域A2に第2光学シート60が配置されている。したがって、導光板40から出射した光の略半分が、第1光学シート50に入射し、残りの略半分が第2光学シート60に入射する。
ただし、上述したように、第1光学シート50及び第2光学シート60は、共に、プリズム面50a,60aが導光板40の側を向くようにして配置されている。そして、プリズム面50a,60aは、導光板40側へ向けて頂角が突出する断面三角形状の単位プリズム55,65の表面55a,55b,60a,60bによって形成されている。この結果、第1光学シート50及び第2光学シート60に入射した光は、次に説明するように、光学シート50,60のプリズム面50a,60aから同一のメカニズムによる偏向機能を発揮される。
図7によく示されているように、単位プリズム55,65の長手方向は、導光板40による導光方向である第1方向d1と交差する方向、とりわけ本実施の形態では第1方向d1と直交する第2方向d2と平行になっている。また、導光板40をなす材料と空気との屈折率差に起因し、導光板40の出光面41から出射する光の第1方向成分の出射角度、すなわち出射光の第1方向成分と導光板40の板面への法線方向ndとがなす角度は、特定の角度範囲(例えば、65°〜85°)内に偏る、傾向がある。これらのことから、図8及び図9に示すように、導光板40の出光面41から出射した光の多くが、光学シート50,60の単位プリズム55,65の第1面55a,65aを透過して当該単位プリズム50,65へ入射し、その後、当該単位プリズム55,65の第2面55b,65bで全反射するように、光学シート55,65を設計することができる。単位プリズム55,65の第2面55b,65bでの全反射により、面発光装置20の発光面20aから出射する光による発光特性、より具体的には、面発光装置20の発光面20aでの輝度の角度分布を所望のプロファイルに調整することが可能となる。
図示された実施の形態では、図8及び図9に示すように、第1光学シート50の単位プリズム55の第2面55bが第1方向d1に対してなす角度θaは、第2光学シート60の単位プリズム65の第2面65bが第1方向d1に対してなす角度θaよりも大きくなっている。そして、図8に示すように、第2面55bの傾斜角度θaが大きくなっている第1光学シート50では、導光板40からの光の進行方向を大きく曲げる。この結果、第1方向d1及び導光板40の法線方向ndの両方に平行な面内において、第1光学シート50から出射する光の進行方向は、主として、法線方向ndに対して第1方向d1における一方の側、すなわち、光源40に接近する側へ傾く。一方、図9に示すように、第2面55bの傾斜角度θaが比較的に小さくなっている第2光学シート60では、導光板40からの光の進行方向を大きく曲げることはない。この結果、第1方向d1及び導光板40の法線方向ndの両方に平行な面内において、第2光学シート60から出射する光の進行方向は、主として、導光板40からの出射光と同様に、法線方向ndに対して第1方向d1における他方の側、すなわち、光源30から離間する側へ傾く。
光学シート50,60で偏向機能を及ぼされた光は、その後、拡散板34,補強板37,表面フィルム38を経て、表面フィルム38によって形成される面発光装置20の発光面20aを介して、面発光装置20から照明光として出射する。この際、拡散板34は、光学シート50,60で調節された輝度角度分布のプロファイルを変形させることを期待されておらず、このプロファイル上の微小な凹凸をなだらかにする程度の拡散機能を期待されている。したがって、第1光学シート50に対向する第1領域A1内での発光特性は、専ら、第1光学シート50での偏向機能に依存して決定され、第2光学シート60に対向する第2領域A2内での発光特性は、専ら、第2光学シート60での偏向機能に依存して決定されることなる。この結果、上述したように、第1領域A1内となる発光面20a上で測定された輝度角度分布(輝度方向分布)において最高となる輝度を呈する方向(光軸)pd1と、第2領域A2内となる発光面20a上で測定された輝度角度分布(輝度方向分布)において最高となる輝度を呈する方向(光軸)pd2と、を非平行とすることが可能となる。
また、図8及び図9に示された面発光装置20を適用した図1、図4及び図5に示された展示装置10では、結果として、第1方向d1及び導光板40の法線方向ndの両方に平行な面内において、第1領域A1内に位置する発光面20aからの照明光が最高輝度を示す方向pd1と、第2領域A2内に位置する発光面20aからの照明光が最高輝度を示す方向pd2とは、導光板40の法線方向ndを挟んで互いに逆側に傾斜する。より具体的には、図5に示すように、第2領域A2内に位置する発光面20aからの照明光は、第1方向d1において、棚板15の奥側、すなわち主枠17の側から、手前側、すなわち観察している者の側へと進む。一方、図4に示すように、第1領域A1内に位置する発光面20aからの照明光は、第1方向d1において、棚板15の手前側から奥側へと進む。
図5に示された例においては、展示装置10の第2領域A2に正対する棚板16上に、悪役のフィギュアfaが展示されている。悪役フィギュアfaは、その背面側から照明されるようになり、悪役フィギュアfaの造作よりもそのシルエットが強く表示されるようになる。この結果、悪役フィギュアfaは、その造作から醸し出される雰囲気以上に不気味に観察されるようになる。一方、図4に示された例においては、展示装置10の第1領域A1に正対する棚板16上に、ヒーロー役のフィギュアfbが展示されている。ヒーロー役フィギュアfbは、その正面側から照明されて顔の造作も明瞭に視認され、面発光装置20からの照明光によって、ヒーロー役フィギュアfbの輝かしい雰囲気を演出することができる。とりわけ、このような二つの被照明物fa,fbが、同一の棚板16上に隣り合うように配置された状態にて、スポットライトではなく面発光装置20からの面状光によって、このような意匠性に優れた照明を実現することができるため、意外性もあり、従来に無いアイキャッチ効果を創出することができる。
以上のように本実施の形態によれば、導光板40に対面する位置に、プリズム面50a,60aの形状が異なる第1及び第2の光学シート50,60が配置され、且つ、第1光学シート50を透過した光が最高輝度を呈する方向pd1は、第2光学シート60を透過した光が最高輝度を呈する方向pd2とは異なるようになる。このような面発光装置20によれば、優れたアイキャッチ効果、すなわち観察者の目を引き付ける効果を奏することが可能となる。結果として、面発光装置20によって照明される被照明物の価値を高めること、例えば被照明物に対する購買意欲を刺激することや、被照明物に対する美的評価の向上をもたらすことが可能となる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態において、面発光装置20が、プリズム面50a,60aの形状が異なる複数の光学シート50,60を有する例を示したが、これに限られない。既に述べたように、面発光装置20が、プリズム面が向いている向きが異なる複数の光学シートを有するようにしても良い。このような変形例においても、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、このような例においても、一つの光学シートを透過した光が最高輝度を呈する方向が、他の一つの光学シートを透過した光が最高輝度を呈する方向と異なるようにすることができ、優れたアイキャッチ効果、すなわち観察者の目を引き付ける効果を奏することが可能となる。
ここで、図10には、第3光学シート70を含んだ面発光装置20が示されている。第3光学シート70は、単位プリズム75によって形成されたプリズム面70aを含んでおり、導光板40の出光面41から出射する光に対して偏向機能を発揮する。この第3光学シート70は、第1光学シート50及び第2光学シート60と同様に、シート状の本体部72と、本体部72上に設けられ第1方向d1に配列された多数の単位プリズム75と、を有している。単位プリズム75は、第1方向d1における一方の側、すなわち30に近接する側に位置する第1面75aと、第1方向d1における他方の側に位置する第2面75bと、を有している。そして、第3光学シート70のプリズム面70aは、単位プリズム75の第1面75aおよび第2面75bによって形成されている。ただし、第3光学シート70は、プリズム面70aが導光板40とは逆側を向くようにして、導光板40に対面する位置に配置されている。すなわち、第3光学シート70は、プリズム面が向いている向きについて第1光学シート50及び第2光学イーと60とは異なっている。上述したように、導光板40からの出射光は、それまでの導光方向の影響を受け、法線方向ndから第1方向d1における他方の側に大きく傾斜している。したがって、図10に示すように、導光板40からの光の多くは、第1面75aではなく、当該光の進行方向と法線方向ndを中心として逆側に傾斜した第2面75bに入射する傾向が生じる。そして、第3光学シート70での偏向機能は、主として、第2面75bでの屈折によって発揮されるようになる。
このように、第3光学シート70は、第1光学シート50及び第2光学シート60とプリズム面70aが向いている向きが異なることに起因して、第1光学シート50及び第2光学シート60とは異なるメカニズムにて偏向機能を及ぼす。この結果、第3光学シート70を透過した光が最高輝度を呈する方向pd3は、第1光学シート50または第2光学シート60を透過した光が最高輝度を呈する方向pd1,pd2とは異なるようにすることができる。実際に、第3光学シート70は、第1光学シート50と同様の形状を有し、支持手段25によって支持された向きが変えられているだけである。すなわち、第3光学シート70は、第1光学シート50の裏表をひっくり返して支持したものである。そして、図示されたこの第3光学シート70を透過した光は、概ね、導光板40の法線方向ndを中心とする方向に偏向される。このことからも、面発光装置20が、プリズム面が向いている向きが異なる複数の光学シートを有する場合においても、上述した実施の形態と同様の作用効果を確保し得ることが理解される。
また、支持手段25が、光学シートを取り外し可能に支持するようになっていてもよい。このような例によれば、例えば、上述した実施の形態における第1光学シート50及び第2光学シート60の支持位置を変更することができる。また、上述の第1〜第3の光学シート50,60,70から、面発光装置20に要望される発光特性に応じて適切な二つの光学シートを選択して使用することができる。さらに、支持手段25が、光学シートの裏表を逆にして支持することができれば、さらに、面発光装置20の発光特性を高い自由度で調整することができる。
また、上述した実施の形態において、面発光装置20が、第1光学シート50及び第2光学シート60の二つの光学シートを支持する例を示したが、これに限られず、面発光装置20が三つ以上の光学シートを含むようにしてもよい。例えば、図6に示された例においては、面発光装置20は、第1方向d1に二つの光学シートを並べて支持し且つ第2方向d2に三つの光学シートを並べて支持することにより、合計六つの光学シート80a,80b,80c,80d,80e,80fを含んでいる。図6に示された例において、面発光装置20に含まれる少なくとも二つの光学シートの間で、プリズム面の形状及びプリズム面が向いている向きの少なくとも一方が異なり、これにより、一方の光学シートを透過した光が最高輝度を呈する方向と他方の光学シートを透過した光が最高輝度を呈する方向とが異なるようになっていれば、上述の実施の形態と同様の作用効果を確保することができる。なお、図6では、図3と異なって導光板40の図示も省略している。
さらに、上述した実施の形態において、面発光装置20に含まれる複数の光学シートが、完全に別体として形成されている例を示したが、これに限られない。例えば、単一のシート状の本体部上の所定の領域に第1のプリズム面が形成され、当該本体部の他の領域に、第1のプリズム面と形状または向いている向きが異なる第2のプリズム面が形成されている場合においても、上述した実施の形態と同様の作用効果を確保することができる。このような例においては、単一なシート状の部材のうちの第1のプリズム面が形成された平面領域を第1光学シートとして扱い、単一なシート状の部材のうちの第2のプリズム面が形成された平面領域を第2光学シートとして扱う。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。