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JP6152676B2 - 医療用機器および医療用機器の製造方法 - Google Patents

医療用機器および医療用機器の製造方法 Download PDF

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JP6152676B2 JP2013067135A JP2013067135A JP6152676B2 JP 6152676 B2 JP6152676 B2 JP 6152676B2 JP 2013067135 A JP2013067135 A JP 2013067135A JP 2013067135 A JP2013067135 A JP 2013067135A JP 6152676 B2 JP6152676 B2 JP 6152676B2
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Description

本発明は、医療用機器および医療用機器の製造方法に関する。
カテーテルや内視鏡など、体腔内に媒体や機器を導入する種々の長尺の医療用機器が知られている。近年、内視鏡のみならずカテーテルに関しても、遠位端部を屈曲させることにより体腔への進入方向が操作可能なものが提供されている。
たとえば、特許文献1には、中央内腔(主管腔:メインルーメン)の周囲に、これよりも細径の2つのワイヤ内腔(副管腔:サブルーメン)を180度対向して設けたカテーテルが記載されている。このサブルーメンの内部には変向ワイヤ(以下、操作線という)が挿通されており、基端側の作動ハンドルを操作して操作線を牽引することによりカテーテルの先端が曲がるようになっている。
特許文献1のカテーテルにおいては、ワイヤ内腔(以下、副管腔という)をもつ2本のポリマーチューブ(以下、サブチューブという)を、フッ素系樹脂材料などからなる薄い内層の外面に沿って敷設し、このサブチューブの内部に操作線が挿通されている。特許文献1において管状本体(シース)を成形するにあたっては、ワイヤ内腔の内部に加圧流体を注入しておき、管状本体の熱成形の際にワイヤ内腔に負荷される圧縮力に抗して内径を維持することとしている。
特開2006−192269号公報
しかしながら、管状本体の熱成形時に負荷される圧縮力は大きいため、これを十分に相殺するほど加圧流体の圧力を高めることは困難である。また、管状本体が圧縮される前に僅かでも早く加圧流体によりサブチューブの内圧を高めてしまうとサブチューブが破裂してしまうなど、特許文献1の方法を実施することは困難を伴う。そして、管状本体の熱成形時に負荷する圧縮力を小さくした場合には、サブチューブと管状本体との接着不良が生じ、管状本体を屈曲させたときにサブチューブが剥離する虞がある。操作線を牽引して管状本体を屈曲させたときサブチューブは軸心から偏心して屈曲の外側または内側に位置するため、近位端から遠位端までの経路長が軸心とは相違することとなり、管状本体とサブチューブとの界面に剪断力が生じるからである。
なお、ここではカテーテルを例示して説明したが、同様の課題はカテーテルに限らず操作線で操作を行なう医療用機器の全般において生じる課題である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、操作線を挿通するためのサブチューブを容易に管状本体に対して剥離なく固定し得る医療用機器、およびその製造方法を提供するものである。
本発明によれば、主管腔の周囲に補強ワイヤを巻回してなるワイヤ補強層と、前記ワイヤ補強層の外側に配置され前記主管腔よりも小径の副管腔を画定する樹脂製のサブチューブと、前記ワイヤ補強層および前記サブチューブを内包する樹脂製の外層と、を含む長尺の管状本体と、前記副管腔の内部に移動可能に挿通され先端が前記管状本体の遠位部に接続された操作線と、前記操作線を牽引操作して前記管状本体の前記遠位部を屈曲させる操作部と、前記外層に内包され前記サブチューブと前記ワイヤ補強層とを共巻きする保持ワイヤと、を備え、前記補強ワイヤが前記サブチューブの内径側表面に嵌入していて、前記補強ワイヤが金属製であることを特徴とする医療用機器が提供される。
上記の医療用機器によれば、操作線を挿通するサブチューブに補強ワイヤが嵌入した状態が保持ワイヤに共巻きされて保持され、さらにこれらが外層に内包されている。このため、補強ワイヤがサブチューブおよび外層の双方に対してアンカーとなるため、サブチューブと外層との剥離が防止される。
さらに、本発明によれば、主芯線と、前記主芯線の周囲に金属製の補強ワイヤを巻回したワイヤ補強層と、を含む内側構造体を準備する工程と、樹脂製のサブチューブで被覆された副芯線を前記主芯線に沿って前記ワイヤ補強層の外周表面に配置し、前記補強ワイヤが前記サブチューブの内径側表面に食い込むように保持ワイヤを前記サブチューブの表面に押圧しながら前記サブチューブと前記ワイヤ補強層とを前記保持ワイヤで共巻きする工程と、共巻きされた前記サブチューブおよび前記ワイヤ補強層ならびに前記保持ワイヤを内包するように管状本体を形成する工程と、前記副芯線を伸張および縮径させて前記サブチューブから剥離させて副管腔を形成する工程と、前記主芯線を前記管状本体から抜去して主管腔を形成する工程と、を含む医療用機器の製造方法が提供される。
本発明によれば、医療用機器において操作線を挿通するためのサブチューブを、保持ワイヤおよび補強ワイヤにより容易に、管状本体に対して剥離なく固定することが可能である。
本発明の実施形態のカテーテルの先端部の横断面図である。 図2(a)は1本の補強ワイヤがサブチューブに嵌入した状態を示す断面図である。図2(b)は横並びの2本の補強ワイヤがサブチューブに嵌入した状態を示す断面図である。図2(c)は上下並びの2本の補強ワイヤがサブチューブに嵌入した状態を示す断面図である。 図1のIII−III線断面図である。 サブチューブの第一長さ領域および第二長さ領域を示す縦断面図である。 図5(a)は第一のサブチューブに関する図4のV−V線部分断面図である。図5(b)は第二のサブチューブに関する図4のV−V線部分断面図である。 図6(a)は図4のVI−VI線で示す部分断面図であり、第一のサブチューブの第二長さ領域に関する横断面図である。図6(b)は図4のVI−VI線で示す部分断面図であり、第二のサブチューブの第二長さ領域に関する横断面図である。 図7(a)は本発明の実施形態のカテーテルの全体側面図である。図7(b)はホイール操作部を一方向に操作した状態を示すカテーテルの全体側面図である。図7(c)はホイール操作部を他方向に操作した状態を示すカテーテルの全体側面図である。 主芯線の周囲に内層およびワイヤ補強層を形成した内側構造体の縦断面図である。 副芯線の周囲にサブチューブを形成した有芯チューブの側面図である。 保持ワイヤの巻回工程を模式的に示す斜視図である。 サブチューブの周囲に第二補強ワイヤを巻回した状態を示す側面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は重複しないように適宜省略する。
図1から図7を参照して、本実施形態の医療用機器の概要について説明する。図1は、カテーテル100の先端部を長手方向に対して垂直に切った断面図(横断面図)である。図2(a)〜(c)は、補強ワイヤ32がサブチューブ40に嵌入した状態を示す断面図(横断面図)である。図2(a)では、1本の補強ワイヤ32がサブチューブ40に嵌入している。図2(b)では、横並びの2本の補強ワイヤ32がサブチューブ40に嵌入している。図2(c)では、上下並びの2本の補強ワイヤ32がサブチューブ40に嵌入している。図3は、カテーテル100の先端部を長手方向に沿って切った断面図(縦断面図)であり、図1のIII−III線断面図である。図4はサブチューブ40の第一長さ領域L1および第二長さ領域L2を模式的に示す縦断面図であり、保持ワイヤ70、第二補強層80および第二マーカー16は図示省略している。
図5(a)は、図4のV−V線で示す部分断面図であり、第一のサブチューブ40aの第一長さ領域L1aに関する横断面図である。サブチューブ40に対する補強ワイヤ32の嵌入深さは小さい。図5(b)は図4のV−V線で示す部分断面図であり、第二のサブチューブ40bの第二長さ領域L2bに関する横断面図である。サブチューブ40に対する補強ワイヤ32の嵌入深さは図5(a)よりも大きい。
図6(a)は、図4のVI−VI線で示す部分断面図であり、第一のサブチューブ40aの第二長さ領域L2aに関する横断面図である。サブチューブ40に対する補強ワイヤ32の嵌入深さは大きい。図6(b)は図4のVI−VI線で示す部分断面図であり、第二のサブチューブ40bの第一長さ領域L1bに関する横断面図である。サブチューブ40に対する補強ワイヤ32の嵌入深さは図6(a)よりも小さい。
本実施形態では、医療用機器としてカテーテル100を例示する。本発明はカテーテル100のほか、操作線60を牽引して遠位部DEを屈曲させることができる内視鏡その他の医療用機器に適用することができる。
本実施形態のカテーテル100は、長尺の管状本体10、操作線60、操作部90および保持ワイヤ70を備えている。管状本体10は、主管腔20の周囲に補強ワイヤ32を巻回してなるワイヤ補強層30と、このワイヤ補強層30の外側に配置され主管腔20よりも小径の副管腔42を画定する樹脂製のサブチューブ40と、ワイヤ補強層30およびサブチューブ40を内包する樹脂製の外層50と、を含む。操作線60は、副管腔42の内部に移動可能に挿通され先端が管状本体10の遠位部DEに接続されている。操作部90は、操作線60を牽引操作して管状本体10の遠位部DEを屈曲させる。保持ワイヤ70は、外層50に内包され、サブチューブ40とワイヤ補強層30とを共巻きしている。
本実施形態のカテーテル100は、補強ワイヤ32が、サブチューブ40の内径側表面に嵌入していることを特徴とする。
以下、本実施形態を詳細に説明する。本実施形態のカテーテル100は、管状本体10を血管内に挿通させて用いられる血管内カテーテルである。
管状本体10はシースとも呼ばれ、内部に主管腔(メインルーメン)20が通孔形成された中空管状かつ長尺の部材である。より具体的には、管状本体10は、肝臓の8つの亜区域の何れにも進入させることが可能な外径および長さに形成されている。
管状本体10は積層構造を有している。主管腔20を中心に、内径側から順に内層24、第一外層52および第二外層54が積層されて管状本体10は構成されている。第二外層54の外表面には親水層(図示せず)が形成されている。内層24、第一外層52および第二外層54は、可撓性の樹脂材料からなり、それぞれ円環状で略均一の厚みを有している。第一外層52および第二外層54を併せて外層50と呼称する場合がある。
内層24は管状本体10の最内層であり、その内壁面により主管腔20が画定されている。主管腔20の横断面形状は特に限定されないが、本実施形態では円形である。横断面円形の主管腔20の場合、その直径は、管状本体10の長手方向に亘って均一でもよく、または長手方向の位置により相違してもよい。たとえば、管状本体10の一部または全部の長さ領域において、先端から基端に向かって主管腔20の直径が連続的に拡大するテーパー状とすることができる。
内層24の材料は、例えば、フッ素系の熱可塑性ポリマー材料を挙げることができる。このフッ素系の熱可塑性ポリマー材料としては、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)およびペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)を挙げることができる。内層24をこのようなフッ素系ポリマー材料で構成することにより、主管腔20を通じて薬液等を供給する際のデリバリー性が良好となる。また、主管腔20にガイドワイヤーを挿通する場合に、ガイドワイヤーの摺動抵抗が低減される。
外層50は、管状本体10の主要な肉厚を構成する。本実施形態の外層50は、保持ワイヤ70を内包する断面円環状の第一外層52と、この第一外層52の周囲に設けられて第二補強層80を内包する断面円環状の第二外層54と、を含んでいる(図1を参照)。
外層50の内側層にあたる第一外層52の内部には、内径側から順にワイヤ補強層30、サブチューブ40および保持ワイヤ70が設けられている。外層50の外側層にあたる第二外層54の内部には、第二補強層80が設けられている。第二補強層80は、第一外層52の外表面に接している。ワイヤ補強層30と第二補強層80は、管状本体10と同軸に配置されている。第二補強層80はワイヤ補強層30およびサブチューブ40の周囲を取り囲むように、これらと離間して配置されている。
外層50の材料としては熱可塑性ポリマー材料を用いることができる。この熱可塑性ポリマー材料としては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリアミドエラストマー(PAE)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)などのナイロンエラストマー、ポリウレタン(PU)、エチレン−酢酸ビニル樹脂(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリプロピレン(PP)を挙げることができる。
外層50には無機フィラーを混合してもよい。無機フィラーとしては、硫酸バリウムや次炭酸ビスマスなどの造影剤を例示することができる。外層50に造影剤を混合することで、体腔内における管状本体10のX線造影性を向上することができる。
第一外層52と第二外層54とは、同種または異種の樹脂材料からなる。図1では第一外層52と第二外層54との境界面を明示してあるが、本発明はこれに限られない。第一外層52と第二外層54とを同種の樹脂材料で構成した場合、両層の境界面は渾然一体に融合していてもよい。すなわち、本実施形態の外層50は、第一外層52と第二外層54とが互いに区別可能な多層で構成されていてもよく、または第一外層52と第二外層54とが一体となった単一層として構成されていてもよい。
ワイヤ補強層30は、管状本体10のうち操作線60よりも内径側に設けられて内層24を保護する保護層である。操作線60の内径側にワイヤ補強層30が存在することで、操作線60が第一外層52および内層24を破断させて主管腔20に露出することを防止する。
ワイヤ補強層30は補強ワイヤ32を巻回してなる。補強ワイヤ32の材料には、タングステン(W)、ステンレス鋼(SUS)、ニッケルチタン系合金、鋼、チタン、銅、チタン合金または銅合金などの金属材料のほか、内層24および第一外層52よりも剪断強度が高いポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)またはポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂材料を用いることができる。本実施形態では、補強ワイヤ32としてステンレス鋼の細線を挙げる。
ワイヤ補強層30は、補強ワイヤ32をコイル巻回またはメッシュ状に編組してなる。補強ワイヤ32の条数や、コイルピッチ、メッシュ数は特に限定されない。ここで、ワイヤ補強層30のメッシュ数とは、補強ワイヤ32の延在方向にみた単位長さ(1インチ)あたりの交差本数(目の数)をいう。また、下記の数式(1)で表されるパラメータを、補強ワイヤ32の延在方向にみたワイヤ補強層30の目開き寸法と呼称する。
ワイヤ延在方向の目開き寸法=単位長さ(1インチ)/メッシュ数−ワイヤの線径 ・・・(1)
後述する第二補強層80に関しても、上記の数式(1)により、第二補強ワイヤ82の延在方向にみた第二補強層80の目開き寸法を定義する。
補強ワイヤ32は、内層24の周囲に斜めに巻回されている。内層24の径方向に対する補強ワイヤ32の延在方向の為す角を、補強ワイヤ32のピッチ角という。補強ワイヤ32が密ピッチで巻回されている場合、ピッチ角は小さな角度になる。逆に補強ワイヤ32が管状本体10の軸心に沿って浅い角度で巻回されている場合、ピッチ角は90度に近い大きな角度になる。本実施形態の補強ワイヤ32のピッチ角は特に限定されないが、30度以上、好ましくは45度以上、かつ75度以下とすることができる。
ここで、下記の数式(2)で表されるパラメータを、ワイヤ補強層30の周方向の目開き寸法W(図1を参照)と呼称する。
周方向の目開き寸法W=(単位長さ(1インチ)/メッシュ数−補強ワイヤ32の線径)×√2 ・・・(2)
ワイヤ補強層30の周方向の目開き寸法Wは、補強ワイヤ32の延在方向にみたワイヤ補強層30の目開き形状を正方形とみなした場合の対角線の長さである。
本実施形態のワイヤ補強層30は、多条の補強ワイヤ32を編組してなるブレード層である。上記の数式(2)で表されるワイヤ補強層30(ブレード層)の周方向の目開き寸法Wは、図1に示すように、サブチューブ40の外径よりも大きい。第一外層52はワイヤ補強層30とサブチューブ40との間に含浸している。すなわち、メッシュ状に交差する補強ワイヤ32の交差位置(目の位置)とサブチューブ40との位置関係によらず、ワイヤ補強層30のいずれの目開きも、サブチューブ40により完全に遮蔽されることはない。これにより、後述する製造工程において、第一外層52はサブチューブ40の周囲から目開きの内部に含浸して、内層24、ワイヤ補強層30およびサブチューブ40を一体に固着させる。
本実施形態においては、補強ワイヤ32が、サブチューブ40の内径側表面に嵌入している。
ここで、補強ワイヤ32がサブチューブ40の周面に嵌入しているとは、管状本体10の少なくとも一箇所の横断面において、補強ワイヤ32の断面の一部または全部が、サブチューブ40の外周の仮想表面(仮想外形)よりも内側に位置していることをいう。サブチューブ40の外周の仮想表面(仮想外形)とは、補強ワイヤ32が嵌入していなかったとした場合のサブチューブ40の仮想的な外周表面である。サブチューブ40の仮想外形は、サブチューブ40における補強ワイヤ32の嵌入部に対して軸心方向に近接する他の部位の外周表面から求めることができる。
補強ワイヤ32がサブチューブ40の周面に嵌入しているとは、少なくとも以下の2つの状態を含む。
第1の状態は、図2(a)〜(c)に示すように、補強ワイヤ32の嵌入部位においてサブチューブ40が局所的に薄肉になっている、本実施形態の状態である。本実施形態のサブチューブ40は、円形の横断面形状を維持したまま、その肉厚が局所的に薄くなっている。
第2の状態は、本実施形態に代えて、サブチューブ40の横断面形状が、全周に亘って肉厚が均一なまま全体的に凹形状となっている状態である。言い換えると、第2の状態は、サブチューブ40の横断面形状が凹欠円形や凹欠楕円形(腎臓形または曲玉形)などの凹形状をなしている。この凹欠部に補強ワイヤ32が嵌合している状態も、補強ワイヤ32がサブチューブ40の周面に嵌入しているという。
補強ワイヤ32の嵌入部位の横断面における、サブチューブ40の外周の仮想表面(仮想外形)から、嵌入している補強ワイヤ32の最深部までの距離を、サブチューブ40の周面に対する保持ワイヤ70の嵌入深さとする。本実施形態における補強ワイヤ32の嵌入深さは、サブチューブ40の肉厚より小さい。
管状本体10が屈曲した際に、屈曲の外側は伸張し、内側は圧縮される。サブチューブ40と外層50とが、曲げ剛性率や引張弾性率が互いに異なる材料からなる場合、管状本体10が屈曲するとサブチューブ40と外層50との界面に剪断力が生じる。このとき、ワイヤ補強層30は、サブチューブ40に嵌入した状態で外層50に内包されている。これにより、ワイヤ補強層30は外層50とサブチューブ40の双方に対して係合するアンカーとして働き、サブチューブ40と外層50との界面の剥離(以下、界面剥離という)が防止される。
図2(c)に示すように、メッシュの交点では2本の補強ワイヤ32が上下並びとなり、下側の補強ワイヤ32は内層24に圧接している。すなわち、メッシュの交点およびその近傍では、ワイヤ補強層30が嵩高になる。所定の巻張力で巻回される保持ワイヤ70(図1を参照)がサブチューブ40をワイヤ補強層30に対して内径方向に押しつけると、図2(c)に示すようにメッシュの交点では、補強ワイヤ32がサブチューブ40を下支えする。これにより、サブチューブ40に対する上側の補強ワイヤ32の嵌入深さは比較的大きくなる。
一方、図2(b)に示すように、メッシュの交点から僅かに離れた位置では、補強ワイヤ32は内層24と接するか、または僅かに浮き上がっている。保持ワイヤ70の巻張力を受けたサブチューブ40が補強ワイヤ32に押し当てられる力は、メッシュの交点近傍よりも小さくなり、補強ワイヤ32の嵌入深さは比較的小さくなる。
そして、図2(a)に示すように、メッシュの交点同士の中間位置では、補強ワイヤ32(1本を図示)は内層24の上方に離間している。このため、保持ワイヤ70の巻張力によってサブチューブ40に嵌入する補強ワイヤ32の嵌入深さはもっとも小さくなる。なお、図2(a)〜(c)においては、外層50(第一外層52)は図示省略している。
ここで、図1に示す本実施形態のワイヤ補強層30では、16条の補強ワイヤ32が8条ずつ互いに逆向きに螺旋巻回されて編組されており、補強ワイヤ32同士の交点は内層24の周回方向に8個形成されている。すなわち、8条の補強ワイヤ32が管状本体10の先端から基端に向かって右螺旋に巻回され、他の8条の補強ワイヤ32が左螺旋に巻回されている。右螺旋とは、管状本体10の先端から基端に向かう方向を螺進方向として右ネジ方向に巻回することをいう。左螺旋とは、この螺進方向に対して左ネジ方向に巻回することをいう。ここで、右螺旋と左螺旋の補強ワイヤ32の本数が同じで、かつ巻回ピッチが等しい場合、補強ワイヤ32同士のメッシュの交点は管状本体10の軸心方向に一直線上に並ぶ。
したがって、サブチューブ40とワイヤ補強層30との微妙な位置関係によっては、サブチューブ40が、メッシュの交点を結ぶように直上に配置されたり、逆にメッシュの交点に全く重ならずに配置されたりする。
すなわち、ワイヤ補強層30のメッシュの交点が管状本体10の軸心方向に一直線上に並んでいる場合、交点とサブチューブ40との微妙な位置関係に起因して、サブチューブ40に対する補強ワイヤ32の嵌入深さが大きく変化してしまう。言い換えると、主管腔20の周方向に関するサブチューブ40の配置位置に起因して、ワイヤ補強層30のアンカー性が大きくばらつくこととなる。
これに対し、本実施形態では、ワイヤ補強層30のメッシュの交点が管状本体10の軸心方向に一直線上に並んでおらず、軸心方向に隣接する交点は、周方向に僅かにずれた位置に形成されている。つまり、本実施形態のワイヤ補強層30(ブレード層)においては、補強ワイヤ32の一の交点と、この補強ワイヤ32に隣接する他の補強ワイヤ32に関する他の交点とが、管状本体10の周方向に僅かにずれた位置にある。そして、管状本体10の軸心方向に延在するサブチューブ40の内径側表面に対して、上記の一の交点はその直下にあって嵌入し、上記の他の交点はサブチューブ40の直下から周方向にずれた位置にあって嵌入していない。
図2(a)および図2(b)では、メッシュの交点のみならず、交点以外の位置や交点同士の中間位置に関しても、補強ワイヤ32がサブチューブ40に嵌入していることを例示したが、本発明はこれに限られない。補強ワイヤ32は、メッシュの交点およびその近傍についてのみ、サブチューブ40に嵌入していてもよい。
本実施形態において、補強ワイヤ32の交点が管状本体10の軸心方向に連続しないようにワイヤ補強層30(ブレード層)を形成する製造方法は後述する。
第二補強層80は、管状本体10のうち操作線60よりも外径側に設けられて第二外層54を保護する保護層である。操作線60の外径側に第二補強層80が存在することで、操作線60が第二外層54および親水層(図示せず)を破断させて管状本体10の外部に露出することを防止する。
第二補強層80は第二補強ワイヤ82をコイル巻回またはメッシュ状に編組してなる。第二補強ワイヤ82には、ワイヤ補強層30の補強ワイヤ32として例示した上記の材料を用いることができる。第二補強ワイヤ82と補強ワイヤ32とは同種の材料でもよく、または異種の材料でもよい。本実施形態では、第二補強ワイヤ82として、補強ワイヤ32と同種の材料(ステンレス鋼)からなる細線をメッシュ状に編組したブレード層を例示する。
第二補強ワイヤ82と補強ワイヤ32との線径は同一でもよく、または異なってもよい。本実施形態では、第二補強ワイヤ82と補強ワイヤ32とは同一の線径である。
また、ワイヤ補強層30を構成する補強ワイヤ32の条数と、第二補強層80を構成する第二補強ワイヤ82の条数との大小も特に限定されないが、本実施形態では同数とする。図1では、ワイヤ補強層30、第二補強層80ともにそれぞれ16条のワイヤ(補強ワイヤ32、第二補強ワイヤ82)からなるブレード層を図示してある。
サブチューブ40は副管腔42を画定する中空管状の部材である。サブチューブ40は外層50(第一外層52)の内部に埋設されている。サブチューブ40は、たとえば熱可塑性ポリマー材料により構成することができる。その熱可塑性ポリマー材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などの低摩擦樹脂材料が挙げられる。
サブチューブ40は、外層50よりも曲げ剛性率および引張弾性率が高い材料で構成されている。
サブチューブ40の外表面には金属ナトリウム処理またはプラズマ処理などのエッチング処理が施されている。これによりサブチューブ40と外層50との密着性を向上している。
本実施形態は複数本のサブチューブ40が主管腔20の周囲に対向して配置されている。より具体的には、図1に示すように、ワイヤ補強層30の周囲に90度間隔で互いに対向して4本のサブチューブ40が配置され、そのうち180度対向する2本のサブチューブ40に操作線60がそれぞれ挿通されている。4本のサブチューブ40は、管状本体10の軸心方向に対して平行である。
すなわち、本実施形態は3本以上のサブチューブ40が主管腔20の周囲に均等に配置されて互いに対向している。図1に示すように、4本のサブチューブ40は主管腔20を取り囲むように、同一の円周上に配置されている。本実施形態に代えて、3本以下または5本以上のサブチューブ40を主管腔20の周囲に等間隔で配置してもよい。3本以上のサブチューブ40を主管腔20の周囲に等間隔で配置することで、管状本体10の屈曲方向によらず管状本体10の曲げ剛性が等しくなる。このため、屈曲状態で管状本体10をトルク回転させた場合に遠位部DEを所望の方向に滑らかに指向させることが可能である。
操作線60は、サブチューブ40に対して摺動可能に遊挿されている。操作線60の先端部は管状本体10の遠位部DEに固定されている。操作線60を基端側に牽引することで、管状本体10の軸心に対して偏心した位置に引張力が付与されるため管状本体10は屈曲する。本実施形態の操作線60は極めて細く可撓性が高いため、操作線60を遠位側に押し込んでも、管状本体10の遠位部DEには実質的に押込力は付与されない。
操作線60は、単一の線材により構成されていてもよいが、複数本の細線を互いに撚りあわせることにより構成された撚り線であってもよい。操作線60の一本の撚り線を構成する細線の本数は特に限定されないが、3本以上であることが好ましい。細線の本数の好適な例は、7本または3本である。
操作線60が単線の素線からなる場合は、その単線の直径を操作線60の線径という。操作線60が複数本の素線を互いに撚り合わせた撚り線である場合は、複数本の素線を包含する外接円の直径を操作線60の線径という。
操作線60としては、低炭素鋼(ピアノ線)、ステンレス鋼(SUS)、耐腐食性被覆した鋼鉄線、チタンもしくはチタン合金、またはタングステンなどの金属線を用いることができる。このほか、操作線60としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはボロン繊維などの高分子ファイバーを用いることができる。
保持ワイヤ70は、サブチューブ40とワイヤ補強層30とを共巻きしている、本実施形態に特徴的な部材である。保持ワイヤ70は、サブチューブ40の周囲にコイル巻回またはメッシュ状に編組してなる。このうち、本実施形態の保持ワイヤ70はコイルであり、より具体的には複数本の素線が多条に巻回されたコイル(多条コイル)である。
図1に破線で示すように、本実施形態の保持ワイヤ70の巻回形状は、保持ワイヤ70は、主管腔20の周囲に均等に配置された複数本のサブチューブ40の外側を取り囲んで螺旋状に巻回されている。
管状本体10の長手方向にみて、保持ワイヤ70は、サブチューブ40の略全長に亘って巻回されている。これにより、一対のサブチューブ40がワイヤ補強層30の表面に沿って管状本体10の軸線方向に平行を保った状態で、保持ワイヤ70によりワイヤ補強層30とサブチューブ40との相対位置が固定されている。
保持ワイヤ70の材料としては、補強ワイヤ32として使用可能な上記の金属材料または樹脂材料のいずれかを用いることができる。本実施形態では、保持ワイヤ70は補強ワイヤ32と異種の材料からなる。保持ワイヤ70の延性は、補強ワイヤ32の延性よりも高いことが好ましい。具体的には、鈍し材であるオーステナイト系の軟質ステンレス鋼(W1またはW2)や、銅または銅合金を保持ワイヤ70に用いる一方、補強ワイヤ32にはタングステンやステンレスバネ鋼を用いることができる。
保持ワイヤ70に延性の高い材料を用いることで、サブチューブ40の周囲に保持ワイヤ70をコイル巻回またはメッシュ状に編組(本実施形態ではコイル巻回)した際に、保持ワイヤ70が巻き緩むことなく塑性的に伸長変形してサブチューブ40を固定する。一方、ワイヤ補強層30は後述するように管状本体10のキンクの発生を防止する部材であるため、弾性復元力が高いバネ性の材料を用いることが好ましい。
図4から図6を参照して、本実施形態の保持ワイヤ70がサブチューブ40に嵌入している態様を具体的に説明する。
本実施形態のカテーテル100では、第一長さ領域L1と第二長さ領域L2とが管状本体10の軸心方向に並んで存在している。第一長さ領域L1は、サブチューブ40の少なくとも一本に関して、その周面に対する補強ワイヤ32の嵌入深さが所定の深さである領域である。第二長さ領域L2は、この嵌入深さが、第一長さ領域L1よりも深い領域である(図4を参照)。すなわち、第一のサブチューブ40aに関し、第一長さ領域L1(L1a)は、補強ワイヤ32が比較的浅く嵌入している領域であり(図5(a)を参照)、第二長さ領域L2(L2a)は、補強ワイヤ32が比較的深く嵌入している領域である(図6(a)を参照)。
ここで、第二長さ領域L2は補強ワイヤ32がサブチューブ40に食い込んで嵌入していることを要するのに対し、第一長さ領域L1は補強ワイヤ32がサブチューブ40の表面に非嵌入であることを許容する。すなわち、第二長さ領域L2に関しては嵌入深さ>0であり、第一長さ領域L1に関しては嵌入深さ≧0である。
このように、操作線60が挿通されて牽引力が付与される第一のサブチューブ40aに対して、補強ワイヤ32の嵌入深さが大きい領域と小さい領域とが繰り返して存在している。このため、第一のサブチューブ40aの操作線60を牽引して第一のサブチューブ40aが圧縮力を受けた場合に、第二長さ領域L2aで保持ワイヤ70が第一のサブチューブ40aに強くアンカーする。補強ワイヤ32が全長に亘って均一に第一のサブチューブ40aに嵌入している場合には、外層50と第一のサブチューブ40aとの間に界面剥離が生じたとき、この界面剥離が軸心方向に伸展するおそれがある。これに対し、嵌入深さが大きい第二長さ領域L2aが部分的に存在することで、界面剥離の伸展が第二長さ領域L2aによってストップする。このため、第一のサブチューブ40aと外層50との界面剥離が良好に防止される。
第一のサブチューブ40aに関して、第一長さ領域L1aと第二長さ領域L2aとは管状本体10の軸心方向に複数回繰り返して存在している。このため、上記の剥離が軸心方向のいずれの位置で生じたとしても、近傍の第二長さ領域L2aによってただちに剥離の伸展がストップする。
本実施形態では、互いに対向する第一のサブチューブ40aおよび第二のサブチューブ40bに操作線60が挿通されている。これらの第一のサブチューブ40aおよび第二のサブチューブ40bは、それぞれ第一長さ領域L1a、L1bと第二長さ領域L2a、L2bとを有している。具体的には、第二のサブチューブ40bに関し、第一長さ領域L1bは、補強ワイヤ32が比較的浅く嵌入している領域であり(図6(b)を参照)、第二長さ領域L2bは、補強ワイヤ32が比較的深く嵌入している領域である(図5(b)を参照)。
このように、操作線60が挿通されている複数本のサブチューブ40に関して第一長さ領域L1と第二長さ領域L2が存在することで、いずれのサブチューブ40で界面剥離が生じたとしても外層50の内部でサブチューブ40が脱離することがない。
第一のサブチューブ40aおよび第二のサブチューブ40bの両方に関して、第一長さ領域L1a、L1bと第二長さ領域L2a、L2bとは軸心方向に複数回繰り返して存在している。このため、任意の操作線60を牽引操作して第一のサブチューブ40aおよび第二のサブチューブ40bのいずれの位置に界面剥離が生じたとしても、その伸展が第二長さ領域L2a、L2bでただちにストップする。
第一のサブチューブ40aが有する第一長さ領域L1aと、第二のサブチューブ40bが有する第一長さ領域L1bと、は軸心方向における異なる位置に存在している。すなわち、第一長さ領域L1aとL1bがそれぞれ軸心方向に複数回繰り返して存在している場合、少なくとも一つの第一長さ領域L1aと、これに軸心方向に近接する第一長さ領域L1bとが異なる位置に存在している。
また、第一のサブチューブ40aが有する第二長さ領域L2aと、第二のサブチューブ40bが有する第二長さ領域L2bと、は軸心方向における異なる位置に存在している。すなわち、第二長さ領域L2aとL2bがそれぞれ軸心方向に複数回繰り返して存在している場合、少なくとも一つの第二長さ領域L2aと、これに軸心方向に近接する第二長さ領域L2bとが異なる位置に存在している。
ここで、二つの長さ領域が軸心方向の異なる位置に存在するとは、管状本体10の軸心方向に見た場合に、一方の長さ領域が他方の長さ領域と完全に重複しているか、または包含されていることを排除する趣旨である。すなわち、第一長さ領域L1aとL1bとは、軸心方向に重複なく完全に異なる位置にあってもよく、または一部の長さ領域が重複していてもよい。第二長さ領域L2aとL2bに関しても同様である。
このように、対向する第一のサブチューブ40aと第二のサブチューブ40bに関して、補強ワイヤ32の嵌入深さが小さい第一長さ領域L1aとL1bとが異なる位置にあるか、または嵌入深さが大きい第二長さ領域L2aとL2bとが異なる位置にある。これにより、ワイヤ補強層30とサブチューブ40との界面剥離が、軸心方向の同じ位置で第一のサブチューブ40aと第二のサブチューブ40bとの両方に発生することが抑制される。つまり、仮に界面剥離が生じても、サブチューブ40の全長さ領域に亘って、第一のサブチューブ40aまたは第二のサブチューブ40bの少なくとも一方が外層50と密着した状態に保たれる。このため、押込剛性の脆弱な長さ領域が管状本体10に発生する虞が低減される。
第一のサブチューブ40aが有する第一長さ領域L1aと、第二のサブチューブ40bが有する第二長さ領域L2bと、は軸心方向における同じ位置に存在している。また、第一のサブチューブ40aが有する第二長さ領域L2aと、第二のサブチューブ40bが有する第一長さ領域L1bと、は軸心方向における同じ位置に存在している。
ここで、二つの長さ領域が軸心方向の同じ位置に存在するとは、管状本体10の軸心方向に見た場合に、一方の長さ領域が他方の長さ領域と実質的に重複しているか、または包含されていることをいう。ただし、当該一方または他方の長さ領域の一部が軸心方向に互いに僅かにずれあっていることを排除するものではない。
本実施形態のカテーテル100は、サブチューブ40に対する保持ワイヤ70の巻張力を周期的に変化させながら保持ワイヤ70を螺旋巻回することにより、本実施形態のように第一長さ領域L1および第二長さ領域L2を形成することができる。具体的な製造方法は後述する。
第一長さ領域L1および第二長さ領域L2の軸心方向の長さは、コイル素線の巻回ピッチと等しいか、または巻回ピッチの整数倍である。保持ワイヤ70が多条コイルである場合、コイル素線の巻回ピッチとは、各条の一本に着目した場合のループ間隔をいう。本実施形態の保持ワイヤ70は二条のコイル素線からなる多条コイルである。図4では、第一長さ領域L1および第二長さ領域L2が4ループごとに繰り返されている状態を例示している。この場合、第一長さ領域L1および第二長さ領域L2の軸心方向の長さは、保持ワイヤ70を構成するコイル素線の巻回ピッチの2倍にあたる。
管状本体10は、保持ワイヤ70の外側に、第二補強ワイヤ82を断面円形に巻回してなる第二補強層80を備えている。本実施形態の第二補強層80は金属の細線をメッシュ状に編組したブレード層である。すなわち、本実施形態の管状本体10は、ワイヤ補強層30、保持ワイヤ70および第二補強層80という三層の金属層を備えている。
第二補強層80は、ワイヤ補強層30とともに管状本体10に曲げ弾性を付与する部材である。操作線60の牽引操作により管状本体10の遠位部DEを屈曲させたのち、操作線60の引張荷重を除去したときに、管状本体10が弾性的に復元することが好ましい。このため、本実施形態の管状本体10は、ワイヤ補強層30(補強ワイヤ32)および第二補強層80(第二補強ワイヤ82)にバネ性の金属材料を用いることが好ましい。したがって、保持ワイヤ70の延性は、補強ワイヤ32および第二補強ワイヤ82のいずれの延性よりも高い。
上述のように、本実施形態のカテーテル100は、ワイヤ補強層30の補強ワイヤ32がサブチューブ40の内径側表面に嵌入している。これに加えて、保持ワイヤ70が、サブチューブ40の外径側表面に食い込んで嵌入していてもよい。これによりサブチューブ40は、ワイヤ補強層30のみならず保持ワイヤ70ともアンカーされて、サブチューブ40と外層50との剥離が更に良好に抑制される。
保持ワイヤ70がサブチューブ40の外径側表面に嵌入している場合、上記の第一長さ領域L1において、補強ワイヤ32のみならず保持ワイヤ70もサブチューブ40の周面に対して浅く嵌入している。そして、第二長さ領域L2において、補強ワイヤ32のみならず保持ワイヤ70もサブチューブ40の周面に対して深く嵌入している。
したがって、一本のサブチューブ40に対して、保持ワイヤ70の嵌入深さが小さい第一長さ領域L1と、より大きい第二長さ領域L2と、が管状本体10の軸心方向に並んで存在していてもよい。
また、第一のサブチューブ40aに対する保持ワイヤ70の嵌入深さが小さい第一長さ領域L1aと、第二のサブチューブ40bに対する保持ワイヤ70の嵌入深さがより大きい第二長さ領域L2bと、が軸心方向における同じ位置に存在していてもよい。そして、第一のサブチューブ40aに対する保持ワイヤ70の嵌入深さが大きい第二長さ領域L2aと、第二のサブチューブ40bに対する保持ワイヤ70の嵌入深さがより小さい第一長さ領域L1bと、が軸心方向における同じ位置に存在していてもよい。
本実施形態では、図3に示すように、保持ワイヤ70の巻回ピッチ、すなわち隣接する保持ワイヤ70のループ間隔は、ワイヤ補強層30(補強ワイヤ32)および第二補強層80(第二補強ワイヤ82)のピッチ間隔のいずれよりも大きくしている。ここでいうピッチ間隔とは、メッシュのうち同方向に巻回された隣接する補強ワイヤ32同士または第二補強ワイヤ82同士の、管状本体10の軸心方向の間隔をいう。ただし、本実施形態に代えて、隣接する保持ワイヤ70のループ間隔が、ワイヤ補強層30(補強ワイヤ32)および第二補強層80(第二補強ワイヤ82)のピッチ間隔の一方または両方よりも小さくてもよい。これにより、保持ワイヤ70によってサブチューブ40とワイヤ補強層30とを好適に保持することができる。また、隣接する保持ワイヤ70のループ間隔を、ワイヤ補強層30(補強ワイヤ32)のピッチ間隔よりも大きく、かつ、第二補強層80(第二補強ワイヤ82)のピッチ間隔よりも小さくしてもよい。
サブチューブ40の肉厚は保持ワイヤ70および操作線60の線径のいずれよりも小さい。また、保持ワイヤ70の線径は、操作線60の線径よりも小さい。
管状本体10の遠位部DEには、第一マーカー14と、この第一マーカー14よりも近位側に位置する第二マーカー16と、が設けられている。第一マーカー14および第二マーカー16は、白金など、X線等の放射線が不透過の材料からなるリング状の部材である。第一マーカー14および第二マーカー16の2つのマーカーの位置を指標とすることにより、放射線(X線)観察下において体腔(血管)内における管状本体10の先端の位置を視認することができる。これにより、カテーテル100の屈曲操作を行うのに最適なタイミングを容易に判断することができる。
操作線60の先端部は、管状本体10のうち第二マーカー16よりも遠位側の部分に固定されている。操作線60を牽引することで、遠位部DEのうち第二マーカー16よりも遠位側の部分が屈曲する。本実施形態のカテーテル100では、操作線60の先端部は第一マーカー14に固定されている。操作線60を第一マーカー14に固定する態様は特に限定されず、ハンダ接合、熱融着、接着剤による接着、操作線60と第一マーカー14との機械的掛止などを挙げることができる。
第二マーカー16の内径は、第一マーカー14の内径よりも大きい。第一マーカー14はワイヤ補強層30の外表面に接触しているか、またはほぼ接触するように配置されている。第一マーカー14の内径はワイヤ補強層30の外径よりも大きく、第二補強層80の内径よりも小さい。
第一マーカー14の内壁面および外周表面と、サブチューブ40との径方向の位置関係は特に限定されない。操作線60を第一マーカー14の外周表面に固定する場合は、図3のように、第一マーカー14の外周表面がサブチューブ40の先端の配設位置の内部に位置するよう、第一マーカー14の外径を設定することができる。このほか、操作線60を第一マーカー14の基端側の端面に固定する場合は、当該端面がサブチューブ40の先端と径方向に重複するとよい。この場合、第一マーカー14の外周表面がサブチューブ40の先端の配設位置よりも外径側に位置してもよい。
第二マーカー16は、第二補強層80の外表面に接触しているか、またはほぼ接触するように配置されている。第二マーカー16の内径は第二補強層80の外径よりも大きい。
図3に示すように、ワイヤ補強層30の遠位端は、第一マーカー14の配設領域に達している。第一マーカー14の配設領域とは、管状本体10の軸心方向にみて第一マーカー14が形成されている長さ領域である。第二マーカー16に関しても同様である。ワイヤ補強層30の遠位端は、第一マーカー14の近位端よりも、管状本体10の遠位側に位置している。また、ワイヤ補強層30の遠位端は、第一マーカー14の遠位端の近傍に位置している。このように、ワイヤ補強層30が第一マーカー14の配設領域まで到達していることで、第一マーカー14の近位端における管状本体10の曲げ剛性の不連続性を緩和してキンクの発生を防止している。
第二補強層80の遠位端は、第一マーカー14の近位端よりも近位側、かつ第二マーカー16の配設領域の近位端よりも遠位側である。第二補強層80の遠位端は、第二マーカー16の遠位端の近傍に位置している。これにより、第二マーカー16の遠位端において管状本体10の曲げ剛性に不連続性を発生させている。このため、操作線60を牽引操作した場合に、第二マーカー16の僅かに遠位側において管状本体10をシャープに屈曲させることができる。なお、このように管状本体10をシャープに屈曲させても、上記のようにワイヤ補強層30が第一マーカー14の配設領域まで連続的に形成されているため、管状本体10にキンクが生じることがない。言い換えると、ワイヤ補強層30または第二補強層80の一方を管状本体10の遠位端近傍まで連続的に形成してキンクを防止し、他方を遠位部DEの途中で終端させることで管状本体10に曲げ剛性の不連続性を生じさせて屈曲位置を明確に規定している。
ワイヤ補強層30および第二補強層80の近位端は、管状本体10の近位端、すなわち操作部90の内部に位置している。
内層24の遠位端は、管状本体10の遠位端まで到達していてもよく、または遠位端よりも基端側で終端していてもよい。内層24が終端する位置としては、第一マーカー14の配設領域の内部でもよい。
第二外層54の外表面に形成される親水層(図示せず)は、カテーテル100の最外層を構成する。親水層は、管状本体10の全長に形成されていてもよく、または遠位部DEを含む先端側の一部長さ領域のみに形成されていてもよい。親水層は、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)などの無水マレイン酸系ポリマーやその共重合体、ポリビニルピロリドンなどの親水性の樹脂材料からなる。
本実施形態のカテーテル100の構成要素の代表的な寸法について説明する。
主管腔20の直径は400μm〜600μm(上限値および下限値を含む。以下同じ。)、内層24の厚さは5μm〜30μm、外層50の厚さは10μm〜200μmとすることができる。サブチューブ40の肉厚は、内層24よりも薄く、かつ1μm〜10μmとすることができる。ワイヤ補強層30の内径は410μm〜660μm、ワイヤ補強層30の外径は450μm〜740μm、第二補強層80の内径は560μm〜920μm、第二補強層80の外径は600μm〜940μmとすることができる。
第一マーカー14の内径は450μm〜740μm、第一マーカー14の外径は490μm〜820μm、第二マーカー16の内径は600μm〜940μm、第二マーカー16の外径は640μm〜960μmとすることができる。第一マーカー14の幅寸法(管状本体10の長手方向の寸法)は0.3mm〜2.0mm、第二マーカー16の幅寸法は0.3mm〜2.0mmとすることができる。
カテーテル100の軸心からサブチューブ40の中心までの半径(距離)は300μm〜450μm、サブチューブ40の内径(直径)は40μm〜100μm、操作線60の太さは25μm〜60μmとすることができる。
管状本体10の直径は700μm〜980μm、すなわち外径が直径1mm未満であり、腹腔動脈などの血管に挿通可能である。
図7(a)は、本実施形態のカテーテル100の全体側面図である。図7(b)は、ホイール操作部92を一方向(同図における時計回り)に操作した状態を示すカテーテル100の全体側面図である。図7(c)は、ホイール操作部92を他方向(同図における反時計回り)に操作した状態を示すカテーテル100の全体側面図である。
カテーテル100は、管状本体10の基端部に設けられて複数本の操作線60(図1から図3を参照)を個別に牽引する操作部90を有している。操作部90は、使用者が手で把持する本体ケース94と、この本体ケース94に対して回転可能に設けられたホイール操作部92と、を有している。管状本体10の基端部は、本体ケース94の内部に導入されている。操作線60が挿通された二本のサブチューブ40(図1から図3を参照)は、本体ケース94の前端部の内部において管状本体10から分岐している。これらのサブチューブ40からそれぞれ引き出された操作線60の基端部はホイール操作部92に連結されている。ホイール操作部92を何れかの方向に回転操作することにより、一方の操作線60を基端側に牽引して張力を与え、他方を緩めることができる。これにより、牽引された操作線60がカテーテル100の遠位部DEを屈曲させる(図7(b)、図7(c)を参照)。ここで、管状本体10が屈曲するとは、管状本体10が「くの字」状に折れ曲がる態様と、弓なりに湾曲する態様とを含む。
このように、操作部90のホイール操作部92に対する操作によって、2本の操作線60を選択的に牽引することにより、カテーテル100の遠位部DEを、互いに同一平面に含まれる第一または第二の方向に選択的に屈曲させることができる。
ホイール操作部92の周面には凹凸係合部が形成されている。本実施形態では、波形の縦目ローレットを例示する。本体ケース94には、ホイール操作部92に接する位置に凹部95が形成されている。凹部95には、ホイール操作部92に向かって進退自在に摺動するスライダ98が設けられている。スライダ98のうちホイール操作部92に向く先端部には突起99が形成されている。突起99は、ホイール操作部92の周面の凹凸係合部(縦目ローレット)の開口幅よりも小さい。スライダ98をホイール操作部92に向けて摺動させると、突起99がホイール操作部92の周面に掛止されてホイール操作部92の回転を規制する。これにより、カテーテル100の遠位部DEが屈曲した状態でホイール操作部92の回転を規制することで、カテーテル100の屈曲状態を維持することができる。図7(a)はスライダ98の突起99とホイール操作部92とが非係合でホイール操作部92が回転可能な状態を示す。図7(b)および図7(c)は、スライダ98の突起99とホイール操作部92とが係合してホイール操作部92が回転規制され、遠位部DEの屈曲状態が保持されている状態を示す。
操作部90を管状本体10の軸回りに回転させることで、管状本体10の遠位部DEを所定の角度でトルク回転させることができる。ホイール操作部92の操作と操作部90の全体の軸回転とを組み合わせて行うことにより、カテーテル100の遠位部DEの向きを自在に制御することが可能となる。
カテーテル100は、管状本体10の主管腔20と連通して設けられたハブ96を備えている。ハブ96にはシリンジ(図示せず)が装着される。ハブ96は本体ケース94の後端部に設けられており、ハブ96の後方(図7(a)の右方)からシリンジが装着される。シリンジによってハブ96内に薬液等を注入することにより、主管腔20を介して薬液等を患者の体腔内へ供給することができる。薬液等としては、造影剤、液体抗ガン剤、生理食塩水、瞬間接着剤として用いられるNBCA(n−butyl−2−cianoacrylate)を例示することができる。このほか、液体に限らず、塞栓コイルやビーズ(塞栓球状物質)等の医療用デバイスを薬液等として挙げることができる。
〔製造方法〕
次に、図8〜図11を参照して、本実施形態のカテーテル100の製造方法について説明する。図8は、主芯線22の周囲に内層24およびワイヤ補強層30を形成した内側構造体26の縦断面図である。図9は、副芯線44の周囲にサブチューブ40を形成した有芯チューブ46の側面図である。図10は、保持ワイヤ70の巻回工程を模式的に示す斜視図である。図11は、サブチューブ40の周囲に第二補強ワイヤ82を巻回した状態を示す側面図である。
はじめに、本実施形態の医療用機器であるカテーテル100の製造方法(以下、本製造方法という場合がある)の概要について説明する。
本製造方法は、内側構造体準備工程、サブチューブ保持工程、本体形成工程、副芯線抜去工程および主芯線抜去工程を含む。
内側構造体準備工程は、主芯線22と、この主芯線22の周囲に補強ワイヤ32を巻回したワイヤ補強層30と、を含む内側構造体26を準備する工程である。
サブチューブ保持工程は、樹脂製のサブチューブ40で被覆された副芯線44を主芯線22に沿ってワイヤ補強層30の外周表面に配置し、補強ワイヤ32がサブチューブ40の内径側表面に食い込むように保持ワイヤ70をサブチューブ40の表面に押圧しながらサブチューブ40とワイヤ補強層30とを保持ワイヤ70で共巻きする工程である。
本体形成工程は、共巻きされたサブチューブ40およびワイヤ補強層30ならびに保持ワイヤ70を内包するように管状本体10を形成する工程である。
副芯線抜去工程は、副芯線44を伸張および縮径させてサブチューブ40から剥離させて副管腔42を形成する工程である。
主芯線抜去工程は、主芯線22を管状本体10から抜去して主管腔20を形成する工程である。
以下、本製造方法を詳細に説明する。
内側構造体準備工程では、はじめに、主芯線22の周囲に内層24を形成する。主芯線22はマンドレル(芯材)であり、主管腔20を画定する断面円形の線材である。主芯線22の材料は特に限定されないが、銀メッキが施された銅または銅合金の線材を用いることができる。このほか、主芯線22の材料としてステンレス鋼を用いることもできる。分散させたコーティング液に主芯線22をディッピングしたうえで乾燥させて形成することができる。
つぎに、多条の補強ワイヤ32を内層24の外表面でメッシュ状に編組してワイヤ補強層30を形成する。
図8に示すように、補強ワイヤ32の先端部の周囲に第一マーカー14をカシメ固定したうえで、第一マーカー14の遠位側で補強ワイヤ32を切除する。
以上により内側構造体26が作成される。
ここで、上述したように本実施形態のワイヤ補強層30は、メッシュの交点が管状本体10の軸心方向に一直線上に並んでおらず、軸心方向に隣接する交点は、周方向に僅かにずれた位置に形成されている。本製造方法では、内層24の周囲に右螺旋または左螺旋に巻回される補強ワイヤ32(本実施形態では片側8条)の少なくとも片側に関して、隣接する各条の巻回ピッチがワイヤ補強層30の全長に亘って均一にならないようにコイル巻回する。たとえば、右螺旋に巻回される8条の補強ワイヤ32に関して、内層24に対して補強ワイヤ32を巻き付ける巻き点の位置を、軸心方向に不均等にずらすとよい。
図8は、片側8条の補強ワイヤ32のうちの1条に関するメッシュの交点を軸心方向に結んだ稜線で切った内側構造体26の縦断面図である。8条のうちの他の7条の補強ワイヤ32に関しては、交点がこの縦断面図上に位置していない。
ワイヤ補強層30の長手方向の少なくとも一部の長さ領域において、補強ワイヤ32を不均一なピッチ間隔で巻回することにより、サブチューブ40の配置位置に起因するワイヤ補強層30のアンカー性のばらつきを抑制することができる。
なお、図3および図4は本実施形態のカテーテル100を模式的に示すものであり、補強ワイヤ32のピッチ間隔の不均一さについては図示していない。すなわち、図3および図4の縦断面図においては、便宜上、多条の補強ワイヤ32のすべてが交点を形成している状態をワイヤ補強層30として図示している。
内側構造体準備工程と同時に、または内側構造体準備工程と前後して、図9に示す有芯チューブ46を作成する。内側構造体準備工程では、副芯線44の周面にサブチューブ40を形成する。副芯線44は副管腔42を画定する断面円形の線材である。副芯線44の材料は特に限定されないが、主芯線22よりも高強度の金属材料、たとえばステンレス鋼を用いることができる。副芯線44は主芯線22よりも細径である。副芯線44として主芯線22よりも高強度の金属材料を用いることで、副芯線抜去工程において副芯線44を破断させることなく伸張および縮径させてサブチューブ40から好適に剥離させることができる。サブチューブ40の肉厚は内層24よりも薄いことが好ましい。サブチューブ40をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系ポリマーで作成する場合は、当該ポリマーを溶剤に分散させたコーティング液に副芯線44をディッピングしたうえで乾燥させて形成することができる。
このほか、副芯線44の外径よりもサブチューブ40の内径が大径となるようにチューブ状に引き落とし成形したうえで、これ副芯線44の周囲に被覆して有芯チューブ46を作成してもよい。
サブチューブ保持工程では、副芯線44を主芯線22に沿ってワイヤ補強層30の外周表面に配置して保持ワイヤ70で共巻きする。本製造方法では、副芯線44を主芯線22に沿って配置するタイミングと、保持ワイヤ70で副芯線44と主芯線22とを共巻きするタイミングとは同時である。図10に示すように、挿通治具110の通孔112を通じて複数本(本製造方法では4本)の有芯チューブ46を内側構造体26に沿って送り出しながら、その周囲でワインダ装置120の複数個のボビンヘッド122を同方向に回転させる。ボビンヘッド122には保持ワイヤ70が巻き付けられている。挿通治具110には、内側構造体26を挿通する主通孔114が形成されている。主通孔114の周囲には等間隔で4個の通孔112が形成されている。
内側構造体26の先端に露出した主芯線22と、複数本(本製造方法では4本)の有芯チューブ46の先端にそれぞれ露出した副芯線44とは、治具(図示せず)により一体に固定されている。この状態で、第一マーカー14を先端側(図10の上方)に向けて、所定の送り速度で内側構造体26および有芯チューブ46を押し出しながらボビンヘッド122を回転させる。これにより、ワイヤ補強層30およびサブチューブ40の周囲に保持ワイヤ70がコイル状に巻回される。内側構造体26の送り速度とボビンヘッド122の回転速度を調整することで、保持ワイヤ70の巻回ピッチを増減させることができる。
本製造方法では、サブチューブ40に対する保持ワイヤ70の巻張力を周期的に変化させることによって、サブチューブ40に対する補強ワイヤ32の嵌入の深さを軸心方向に変化させる。保持ワイヤ70の巻張力を周期的に変化させる方法は一つに限られない。ここでは、保持ワイヤ70を共巻きするサブチューブ保持工程において、内側構造体26を副芯線44に対して径方向に相対的に偏心させながら保持ワイヤ70で共巻きすることを例示する。
図10に示すように、本製造方法では、4本の副芯線44をワイヤ補強層30の周囲に90度間隔で互いに対向して配置する。なお、3本の副芯線44を配置する場合は、120度対向させるとよい。本製造方法では多条(二条)の保持ワイヤ70の巻点72がワイヤ補強層30の周囲で回転対称位置となるように、複数個(二個)のボビンヘッド122の位置を調整する。これにより、多条の保持ワイヤ70の個別の巻張力が相殺される。
この状態で内側構造体26を軸心直交方向に強制的に偏心させることで、多条の保持ワイヤ70の巻張力を変化させる。
図10に示すように、内側構造体26の周囲には把持具126が装着されている。把持具126は、主通孔114を通じて所定の送り速度で押し出される内側構造体26を摺動可能に挟持する。把持具126と挿通治具110との一方または両方は、駆動部(図示せず)により、内側構造体26の半径方向に相対移動するように駆動される。なお、図10では把持具126が挿通治具110に対して内側構造体26の送り方向に離間して設けられている状態を例示しているが、把持具126は挿通治具110と一体に設けられてもよい。
より具体的には、本製造方法において駆動部(図示せず)は、180度対向する一対のサブチューブ40を結ぶ方向に把持具126を往復揺動させる。揺動周期は、ボビンヘッド122の回転周期と等しいか、または回転周期の整数倍に設定されている。駆動部による把持具126の揺動周期は可変であってもよい。
把持具126が内側構造体26を強制的に偏心させることで、保持ワイヤ70がサブチューブ40に付与する巻張力は、この揺動周期で周期的に変化する。これにより、サブチューブ40に第一長さ領域L1および第二長さ領域L2が形成される(図4を参照)。具体的には、把持具126が内側構造体26を、一方のサブチューブ40(第一のサブチューブ40a)に向かって押しつける方向に偏心させることで、この第一のサブチューブ40aにおける保持ワイヤ70の巻点72にボビンヘッド122が付与する巻張力は増大する。これにより、第一のサブチューブ40aに保持ワイヤ70が強く押圧され、その抗力によりサブチューブ40の内径側表面には補強ワイヤ32が深く嵌入して、第二長さ領域L2aが形成される。このとき、軸心方向の同じ位置において、第二のサブチューブ40bにおける保持ワイヤ70の巻点72に他方のボビンヘッド122が付与する巻張力は小さくなる。これにより、第二のサブチューブ40bには、補強ワイヤ32の嵌入深さが小さい第一長さ領域L1bが形成される。
つぎに、把持具126が周期的に揺動して内側構造体26が第二のサブチューブ40bに向かって偏心すると、逆に第二のサブチューブ40bには補強ワイヤ32の嵌入深さが大きい第二長さ領域L2bが形成される。そして、軸心方向の同じ位置において、第一のサブチューブ40aには補強ワイヤ32の嵌入深さが小さい第一長さ領域L1aが形成される。
このとき、保持ワイヤ70がサブチューブ40に付与する巻張力(押圧力)が軸心方向に変化し、第一長さ領域L1においては保持ワイヤ70の嵌入深さが小さく、第二長さ領域L2においては保持ワイヤ70の嵌入深さがより大きくなる。
なお、上記の方法では内側構造体26を往復揺動させることを例示したが、本発明はこれに限られない。主通孔114の周囲に沿って内側構造体26を回転揺動させてもよい。すなわち、内側構造体26(主芯線22)の軸心が主通孔114よりも小さな円を描くように、偏心させた内側構造体26を回転させてもよい。これにより、すべて(本製造方法では4本)のサブチューブ40に対して等しく第一長さ領域L1と第二長さ領域L2を形成することができる。
なお、上記の方法においては、内側構造体26の揺動周期を時間変化させてもよい。これにより、繰り返される第一長さ領域L1および第二長さ領域L2の長さを、管状本体10の先端からの距離に応じて変化させることができる。一例として、遠位部DEでは第一長さ領域L1および第二長さ領域L2の長さを短くし、中間部や近位部では第一長さ領域L1および第二長さ領域L2の長さを長くするとよい。これにより、操作線60を牽引した場合に顕著に屈曲する遠位部DEにおけるサブチューブ40と外層50との密着性を良好に高めることができる。
なお、本製造方法では副芯線44を送り出しながら主芯線22に対して共巻きすることを説明したが、本発明は上記に限られない。副芯線44の略全長を主芯線22に対して予め治具等で仮固定したあとで、保持ワイヤ70によって副芯線44と主芯線22とを共巻きしてもよい。
本体形成工程では、内側構造体26、有芯チューブ46および保持ワイヤ70(以下、構造体)を内包するように管状本体10を形成する。はじめに、構造体の周囲に第一外層52を形成する。第一外層52は、溶融した樹脂材料を構造体の表面に塗工形成するコーティング押出により形成してもよい。または、予め環状や管状に形成された樹脂リングや樹脂管を構造体の周囲に装着したうえで熱収縮チューブ等を用いて熱賦形してもよい。第一外層52は、サブチューブ40およびこれに嵌入した保持ワイヤ70を包埋する。これにより保持ワイヤ70は第一外層52とサブチューブ40との双方にアンカーする。
つぎに、第一外層52に埋設されたサブチューブ40の周囲に第二補強ワイヤ82を編組して第二補強層80を形成する(図11を参照)。第二補強層80の先端部の周囲に第二マーカー16をカシメ固定したうえで、第二マーカー16の遠位側で第二補強ワイヤ82を切除する。
さらに、第二補強層80および第二マーカー16を覆うように第二外層54(図1を参照)を形成する。第二外層54は、溶融した樹脂材料を第二補強層80の表面に塗工形成するコーティング押出により形成してもよく、または予め環状や管状に形成された樹脂リングや樹脂管を構造体の周囲に装着したうえで熱賦形してもよい。
副芯線抜去工程では、副芯線44を伸張させることにより縮径させてサブチューブ40から剥離させる。縮径した副芯線44をサブチューブ40から抜去したうえ、複数本のうち一部または全部のサブチューブ40に操作線60を挿入する。本実施形態では、180度対向する一対の第一のサブチューブ40a、第二のサブチューブ40bにのみ操作線60を挿入し、他の二本のサブチューブ40には操作線60を挿入しない。なお、縮径した副芯線44をサブチューブ40から抜去することなく操作線60として使用してもよいが、サブチューブ40の内径に比して十分に小径の操作線60を用いる場合は、副芯線44を抜去したうえ、これと異なる操作線60をサブチューブ40に挿入するとよい。
主芯線抜去工程は、主芯線22を管状本体10から抜去して主管腔20を形成する。副芯線抜去工程と主芯線抜去工程とを同時に行ってもよく、または副芯線抜去工程を先に行った後に主芯線抜去工程を行ってもよい。後者の場合、主芯線22が主管腔20に挿入されていることで管状本体10の伸張変形が抑制されるため、副芯線抜去工程において副芯線44を伸張させたときに、副芯線44に追随してサブチューブ40が伸びてしまうことがない。このため、主芯線22に比して細径で破断しやすい副芯線44を良好にサブチューブ40から抜去することができる。
本製造方法においては、さらに第二外層54の表面に親水層(図示せず)を形成したうえ、管状本体10の基端部に操作部90を取り付ける。以上により、カテーテル100を得ることができる。
なお、本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
また、本製造方法は、複数の工程を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の工程を実行する順番やタイミングを限定するものではない。このため、本製造方法を実施するときには、その複数の工程の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができ、また複数の工程の実行タイミングの一部または全部が互いに重複していてもよい。
本実施形態および本製造方法は以下の技術思想を包含する。
(1)主管腔の周囲に補強ワイヤを巻回してなるワイヤ補強層と、前記ワイヤ補強層の外側に配置され前記主管腔よりも小径の副管腔を画定する樹脂製のサブチューブと、前記ワイヤ補強層および前記サブチューブを内包する樹脂製の外層と、を含む長尺の管状本体と、前記副管腔の内部に移動可能に挿通され先端が前記管状本体の遠位部に接続された操作線と、前記操作線を牽引操作して前記管状本体の前記遠位部を屈曲させる操作部と、前記外層に内包され前記サブチューブと前記ワイヤ補強層とを共巻きする保持ワイヤと、を備え、前記補強ワイヤが前記サブチューブの内径側表面に嵌入していることを特徴とする医療用機器。
(2)前記ワイヤ補強層は多条の前記補強ワイヤを編組してなるブレード層であり、前記ブレード層における前記補強ワイヤの一の交点と、前記補強ワイヤに隣接する他の前記補強ワイヤに関する他の交点とが前記管状本体の周方向に僅かにずれた位置にあり、前記管状本体の軸心方向に延在する前記サブチューブの内径側表面に対して、前記一の交点が嵌入し、前記他の交点が嵌入していないことを特徴とする上記(1)に記載の医療用機器。
(3)前記サブチューブの周面に対する前記補強ワイヤの嵌入深さが所定の深さである第一長さ領域と、前記嵌入深さが前記第一長さ領域よりも深い第二長さ領域と、が前記管状本体の軸心方向に並んで存在している上記(1)または(2)に記載の医療用機器。
(4)複数本の前記サブチューブが前記主管腔の周囲に対向して配置されている上記(3)に記載の医療用機器。
(5)互いに対向する第一の前記サブチューブおよび第二の前記サブチューブに前記操作線が挿通されており、第一の前記サブチューブおよび第二の前記サブチューブが、それぞれ前記第一長さ領域と前記第二長さ領域とを有している上記(4)に記載の医療用機器。
(6)第一の前記サブチューブが有する前記第一長さ領域と、第二の前記サブチューブが有する前記第一長さ領域と、が前記軸心方向における異なる位置に存在している上記(5)に記載の医療用機器。
(7)第一の前記サブチューブが有する前記第二長さ領域と、第二の前記サブチューブが有する前記第二長さ領域と、が前記軸心方向における異なる位置に存在している上記(5)または(6)に記載の医療用機器。
(8)第一の前記サブチューブが有する前記第一長さ領域と、第二の前記サブチューブが有する前記第二長さ領域と、が前記軸心方向における同じ位置に存在し、第一の前記サブチューブが有する前記第二長さ領域と、第二の前記サブチューブが有する前記第一長さ領域と、が前記軸心方向における同じ位置に存在している上記(6)または(7)に記載の医療用機器。
(9)前記第一長さ領域と前記第二長さ領域とが前記軸心方向に複数回繰り返して存在している上記(3)から(8)のいずれか一項に記載の医療用機器。
(10)前記保持ワイヤの延性が前記補強ワイヤの延性よりも高い上記(1)から(9)のいずれか一項に記載の医療用機器。
(11)前記主管腔と連通して設けられてシリンジが装着されるハブを更に備えるカテーテルである上記(1)から(10)のいずれか一項に記載の医療用機器。
(12)主芯線と、前記主芯線の周囲に補強ワイヤを巻回したワイヤ補強層と、を含む内側構造体を準備する工程と、樹脂製のサブチューブで被覆された副芯線を前記主芯線に沿って前記ワイヤ補強層の外周表面に配置し、前記補強ワイヤが前記サブチューブの内径側表面に食い込むように保持ワイヤを前記サブチューブの表面に押圧しながら前記サブチューブと前記ワイヤ補強層とを前記保持ワイヤで共巻きする工程と、共巻きされた前記サブチューブおよび前記ワイヤ補強層ならびに前記保持ワイヤを内包するように管状本体を形成する工程と、前記副芯線を伸張および縮径させて前記サブチューブから剥離させて副管腔を形成する工程と、前記主芯線を前記管状本体から抜去して主管腔を形成する工程と、
を含む医療用機器の製造方法。
(13)共巻きする前記工程において、前記内側構造体を前記副芯線に対して径方向に相対的に偏心させながら前記保持ワイヤで共巻きすることを特徴とする上記(12)に記載の医療用機器の製造方法。
10 管状本体
14 第一マーカー
16 第二マーカー
20 主管腔
22 主芯線
24 内層
26 内側構造体
30 ワイヤ補強層
32 補強ワイヤ
40,40a,40b サブチューブ
42 副管腔
44 副芯線
46 有芯チューブ
50 外層
52 第一外層
54 第二外層
60 操作線
70 保持ワイヤ
72 巻点
80 第二補強層
82 第二補強ワイヤ
90 操作部
92 ホイール操作部
94 本体ケース
95 凹部
96 ハブ
98 スライダ
99 突起
100 カテーテル
110 挿通治具
112 通孔
114 主通孔
120 ワインダ装置
122 ボビンヘッド
126 把持具
L1,L1a,L1b 第一長さ領域
L2,L2a,L2b 第二長さ領域
DE 遠位部
W 周方向の目開き寸法

Claims (13)

  1. 主管腔の周囲に補強ワイヤを巻回してなるワイヤ補強層と、前記ワイヤ補強層の外側に配置され前記主管腔よりも小径の副管腔を画定する樹脂製のサブチューブと、前記ワイヤ補強層および前記サブチューブを内包する樹脂製の外層と、を含む長尺の管状本体と、
    前記副管腔の内部に移動可能に挿通され先端が前記管状本体の遠位部に接続された操作線と、
    前記操作線を牽引操作して前記管状本体の前記遠位部を屈曲させる操作部と、
    前記外層に内包され前記サブチューブと前記ワイヤ補強層とを共巻きする保持ワイヤと、を備え、
    前記補強ワイヤが前記サブチューブの内径側表面に嵌入していて、
    前記補強ワイヤが金属製である
    ことを特徴とする医療用機器。
  2. 前記ワイヤ補強層は多条の前記補強ワイヤを編組してなるブレード層であり、
    前記ブレード層における前記補強ワイヤの一の交点と、前記補強ワイヤに隣接する他の前記補強ワイヤに関する他の交点とが前記管状本体の周方向に僅かにずれた位置にあり、
    前記管状本体の軸心方向に延在する前記サブチューブの内径側表面に対して、前記一の交点が嵌入し、前記他の交点が嵌入していないことを特徴とする請求項1に記載の医療用機器。
  3. 前記サブチューブの周面に対する前記補強ワイヤの嵌入深さが所定の深さである第一長さ領域と、前記嵌入深さが前記第一長さ領域よりも深い第二長さ領域と、が前記管状本体の軸心方向に並んで存在している請求項1または2に記載の医療用機器。
  4. 複数本の前記サブチューブが前記主管腔の周囲に対向して配置されている請求項3に記載の医療用機器。
  5. 互いに対向する第一の前記サブチューブおよび第二の前記サブチューブに前記操作線が挿通されており、第一の前記サブチューブおよび第二の前記サブチューブが、それぞれ前記第一長さ領域と前記第二長さ領域とを有している請求項4に記載の医療用機器。
  6. 第一の前記サブチューブが有する前記第一長さ領域と、第二の前記サブチューブが有する前記第一長さ領域と、が前記軸心方向における異なる位置に存在している請求項5に記載の医療用機器。
  7. 第一の前記サブチューブが有する前記第二長さ領域と、第二の前記サブチューブが有する前記第二長さ領域と、が前記軸心方向における異なる位置に存在している請求項5または6に記載の医療用機器。
  8. 第一の前記サブチューブが有する前記第一長さ領域と、第二の前記サブチューブが有する前記第二長さ領域と、が前記軸心方向における同じ位置に存在し、
    第一の前記サブチューブが有する前記第二長さ領域と、第二の前記サブチューブが有する前記第一長さ領域と、が前記軸心方向における同じ位置に存在している請求項6または7に記載の医療用機器。
  9. 前記第一長さ領域と前記第二長さ領域とが前記軸心方向に複数回繰り返して存在している請求項3から8のいずれか一項に記載の医療用機器。
  10. 前記保持ワイヤの延性が前記補強ワイヤの延性よりも高い請求項1から9のいずれか一項に記載の医療用機器。
  11. 前記主管腔と連通して設けられてシリンジが装着されるハブを更に備えるカテーテルである請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用機器。
  12. 主芯線と、前記主芯線の周囲に金属製の補強ワイヤを巻回したワイヤ補強層と、を含む内側構造体を準備する工程と、
    樹脂製のサブチューブで被覆された副芯線を前記主芯線に沿って前記ワイヤ補強層の外周表面に配置し、前記補強ワイヤが前記サブチューブの内径側表面に食い込むように保持ワイヤを前記サブチューブの表面に押圧しながら前記サブチューブと前記ワイヤ補強層とを前記保持ワイヤで共巻きする工程と、
    共巻きされた前記サブチューブおよび前記ワイヤ補強層ならびに前記保持ワイヤを内包するように管状本体を形成する工程と、
    前記副芯線を伸張および縮径させて前記サブチューブから剥離させて副管腔を形成する工程と、
    前記主芯線を前記管状本体から抜去して主管腔を形成する工程と、
    を含む医療用機器の製造方法。
  13. 共巻きする前記工程において、前記内側構造体を前記副芯線に対して径方向に相対的に偏心させながら前記保持ワイヤで共巻きすることを特徴とする請求項12に記載の医療用機器の製造方法。
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