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JP6151904B2 - 車両用灯具 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載される灯具に関する。
この種の灯具として、白色発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子を光源に用いたものが知られている(例えば特許文献1参照)。光源から出射された光は、光源の前方に配置された投影レンズを通過し、投影レンズの前方に所定の配光パターンを形成する。
特開2007−213877号公報
光源から出射される白色光は、その成分ごとに投影レンズにおける屈折率が異なる。そのため投影レンズを通過する際に色収差が発生する。例えば青色成分の光は、投影レンズの中心方向へより大きく屈折するため、投影レンズの前方焦点を通過して形成する配光パターンにおいては、周縁部に青色が現れることになる。この現象は、当該青色を視認した者に強い違和感を与える。
車両の左右方向に配列された複数の白色LEDを光源として用いる場合、素子同士の境界が配光パターン上に筋として結像されるのを防止するため、敢えて光源を投影レンズの後方焦点からずれた位置に配置している。特にこのような構成においては、色収差の発生がより顕著となる。
よって本発明は、車両に搭載される灯具において色収差の発生を抑制し、良好な配光パターンを形成可能とする技術を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第1の態様は、車両に搭載される灯具であって、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から出射される光が通過する投影レンズと、
前記投影レンズの光軸の第1の側に配置され、前記半導体発光素子から出射された光の一部を遮ることを可能とされたシェードとを備え、
前記投影レンズの出射面における周縁部は、当該出射面における中央部の曲率よりも小さな曲率を有する部分を含み、
前記投影レンズは、前記光軸を挟んで前記第1の側の逆側である第2の側において、前記周縁部の一部が切り欠かれた形状を有している。
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第2の態様は、車両に搭載される灯具であって、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から出射される光が通過する投影レンズと、
前記投影レンズの光軸の第1の側に配置され、前記半導体発光素子から出射された光の一部を遮ることを可能とされたシェードとを備え、
前記投影レンズの出射面における周縁部は、当該出射面における中央部の曲率よりも小さな曲率を有する部分を含み、
前記光軸を挟んで前記第1の側の逆側である第2の側において、前記周縁部の一部は、前記半導体発光素子から出射される光を当該第1の側と当該第2の側へ拡散させる形状を有している。
このような構成によれば、投影レンズの周縁部の曲率を中央部の曲率よりも小さくしているため、周縁部に入射した光が中央部側へ屈折することを抑制しうる。したがって屈折率の高い青色成分の光が照明領域の端縁に到達しにくくなり、色収差を伴わない良好な配光パターンを形成することができる。
第1の態様に係る構成によれば、色収差対策として第1の側への屈折を抑制された光が、シェードにより形成される非照明領域に到達することを防止しうる。これにより、所望の非照明領域に光が漏れ出すことのない、良好な配光パターンを形成することができる。
第2の態様に係る構成によれば、第2の側において出射光が上下方向に混ざり合う効果が得られるため、色収差対策として第1の側への屈折を抑制された光が、シェードにより形成される非照明領域に到達することを抑制しうる。これにより、所望の非照明領域に光が漏れ出すことのない、良好な配光パターンを形成することができる。
さらに第2の態様に係る構成によれば、投影レンズの一部を切り欠いた形状とする必要がないため、投影レンズを通過する光量を増加させることができる。したがって、照明領域の照度が高い、良好な配光パターンを形成することができる。
上記の各態様において、前記第1の側と前記第2の側は、それぞれ車両の下側と上側であり、前記出射面の少なくとも前記中央部は、前記半導体発光素子から出射される光を車両の左右方向に拡散させる形状を有している構成としてもよい。
このような構成によれば、出射光が左右方向に混じり合う効果が得られるため、青色成分の光が単独で照明領域の左右端縁に到達しにくくなる。したがって特に照明領域の左右端縁における色収差の発生を抑制することができる。
前記周縁部の一部は、前記投影レンズの入射面の一部である構成としてもよい。特に出射面側を拡散効果が得られる形状とする場合において、その機能を阻害することなく上述の効果を得ることができる。
本発明の第1の実施形態に係る照明装置の外観を示す正面図である。 図1の線II−IIに沿う照明装置の内部構成を示す縦断面図である。 図1の照明装置により形成される配光パターンを示す図である。 LEDアレイと付加配光領域の配光パターンの関係を示す図である。 図1のハイビーム灯具ユニットの動作を示す図である。 図5のハイビーム灯具ユニットにおける投影レンズの形状を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るハイビーム灯具ユニットの動作を示す図である。 図7のハイビーム灯具ユニットにおける投影レンズの形状を示す図である。
添付の図面を参照しつつ本発明について以下詳細に説明する。なお以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る照明装置1の外観を模式的に示す正面図である。図2は、図1における線II−IIに沿う縦断面図であり、照明装置1の一部に係る内部構成を模式的に示すものである。
照明装置1は、車両の前部右寄りに装着されて車両の前方を照明する装置である。照明装置1は、ランプハウジング3の前部に透光カバー2を装着することにより区画形成された灯室4を備えている。灯室4の内部には、ロービーム灯具ユニット5、ハイビーム灯具ユニット6、制御部7、およびエクステンション8が収容されている。車両の前部左寄りには、図1に記載のものと左右対称の構成を有する照明装置1が装着される。
ロービーム灯具ユニット5は、近距離前方を所定の照度で照明する灯具であり、光源51、シェード52、および投影レンズ53を備えている。シェード52は、光源51の前方に配置されている。投影レンズ53は、シェード52の前方に配置されている。
光源51としては、HID(High Intensity Discharge)ランプやキセノンランプ等の放電灯や、発光ダイオード(LED)やレーザダイオード等の半導体発光素子が用いられうる。光源51より出射された光の一部は、シェード52によって遮られつつ、投影レンズ53を通過し、車両の前方に図3に示すロービーム配光パターンPLを形成する。具体的には、シェード52の上端縁の形状に対応して水平方向に延びるカットオフラインの下方を照明する。
ハイビーム灯具ユニット6は、前方の広範囲および遠方を比較的高い照度で照明するものであり、主に対向車両や先行車両が少ない道路を高速走行する場合等に用いられる。図2に示すように、ハイビーム灯具ユニット6は、光源61、シェード機構62、投影レンズ63、およびホルダ64を備えている。光源61から出射された光は、投影レンズ63を通過し、車両の前方に図3に示す付加配光領域PAを照明する。
図4の(a)は、光源61を車両の前方から見た構成を模式的に示す図である。光源61は、基板61a上において半導体発光素子である複数の白色LEDが車両の左右方向に配列されたLEDアレイ61bを備えている。本実施形態のLEDアレイ61bは、13個のLEDを備えている。
図4の(b)は、運転者側から見た付加配光領域PAとLEDアレイ61bを構成する各LEDとの関係を示す図である。付加配光領域PAは、13個の部分領域P1〜P13に分割されている。LEDアレイ61bにおいて「1」が付されたLEDが発光することにより、部分領域P1が照明される。他の部分領域においても同様に、LEDアレイ61bにおける対応するLEDが発光することにより照明がなされる。全てのLEDが発光することにより、付加配光領域PA全体が照明される。
付加配光領域PAを形成する複数の部分領域P1〜P13の少なくとも1つが照明された状態を、付加配光パターンと称する。ロービーム配光パターンPLと付加配光パターンが同時に形成された状態を、ハイビーム配光パターンと称する。
各LEDは、制御線61cを介して制御部7との間に電流回路を形成している。図4の(a)においては、LEDアレイ61bを形成する複数のLEDのうち、両端のもの以外のLEDについては制御線61cの図示を省略している。
ホルダ64は、熱伝導性の高い金属等の材料から成り、前面64aに光源61を支持している。前面64aからはレンズホルダ64bが前方に延びており、その前端部に投影レンズ63が支持されている。ホルダ64の後部には放熱フィン64cが設けられており、光源61から発生する熱を効率よく逃がすための適宜の形状および配置とされている。
図5に示すように、光源61は、投影レンズ63の光軸Ax上、かつ投影レンズ63の後方焦点Fよりもやや後方に配置される。これは各LEDの発光像の投影像としての部分領域P1〜P13をいくらかぼかすことにより、部分領域同士の境界線が付加配光領域内に結像されることを防止するためである。
図2に示すように、シェード機構62は、シェード62a、支持部材62b、および駆動機構62cを備えている。シェード62aは、支持部材62bを介して駆動機構62cが備える回動軸に支持されている。駆動機構62cは、制御線62dを介して制御部7と通信可能に接続されている。
制御部7は、車両が備える統合制御部と通信可能に接続されている。統合制御部は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM等を備え、車両における様々な制御を実行するものである。
制御部7の少なくとも一部は、コンピュータのプロセッサやメモリをはじめとする素子や機械装置、電気回路といったハードウェアで構成され、またはコンピュータプログラム等のソフトウェアで構成される。制御部7がハードウェアとソフトウェアの組合せにより構成されうることは勿論である。
シェード62aは、光源61の前方において、投影レンズ63の光軸Axの下方に配置されている。制御部7が制御線62dを通じて駆動機構62cの動作を制御することにより、図5に実線で示す上端位置UPと二点鎖線で示す下端位置LPとの間で移動可能とされている。
シェード62aが上端位置UPに位置する場合、光源61から出射された光の一部が遮られる。このとき図4の(c)に示すように、付加配光領域PA内に非照明領域Sが形成される。
図4の(c)は、例えば前方正面の先行車に与えるグレアを避けるために、部分領域P5〜P8に対応するLEDを消灯して当該領域を非照明状態とする一方、路肩等の歩行者等を照明するために、部分領域P1〜P4およびP9〜P13に対応するLEDを点灯して当該領域を照明状態とした場合を示している。ここでシェード62aを上端位置UPに配置することで非照明領域Sを形成すると、照明状態とされた各部分領域の上部すなわち歩行者等の頭部付近が非照明状態となるため、当該部分領域内に位置する歩行者等に与えるグレアを防止することができる。
図6は、投影レンズ63の具体的な形状を説明するための図であり、(a)は正面図、(b)は(a)における線VIB−VIBに沿う水平断面図、(c)は(a)における線VIC−VICに沿う垂直断面図である。
投影レンズ63は、中央部63a、周縁部63b、およびフランジ部63cを備えている。中央部63aは、投影レンズ63の光軸Axを含む領域として定義される。フランジ部63cは、レンズホルダ64bにより支持される部分であり、光源61から出射された光の通過すなわち配光パターンの形成には実質的に関与しない。周縁部63bは、投影レンズ63の径方向について、中央部63aの外側かつフランジ部63cの内側に位置する領域として定義される。図6の(a)においては、中央部63aと周縁部63bの境界を破線で示している。
本実施形態においては、周縁部63のうち、中央部63aの左右両側に位置する部分と、中央部63aの下側に位置する部分とで出射面の曲率を異ならせている。そこで前者を左右周縁部63b1、後者を下側周縁部63b2として区別する。
図6の(b)に示す破線は、投影レンズ63の出射面の基調線を示している。これより明らかなように、左右周縁部63b1の曲率は、中央部63aの曲率よりも小さい。これは投影レンズ63において発生する色収差を抑制し、付加配光領域PA内に形成される照明領域の左右端縁に青色が視認されることを防止するための構成である。
光源61から出射されて中央部63aに入射した光は、光軸Axに略平行な向きに投影レンズ63から出射される。一方、光源61から出射されて左右周縁部63b1に入射した光は、中央部63aよりも小さく設定された曲率によって、光軸Axに平行な向きよりも投影レンズ63の径方向外側へ向かって出射される。これに伴い、径方向内側へより大きく屈折する青色成分の光の出射方向も径方向外側へと向けられ、照明領域の左右端縁に到達しにくくなる。したがって照明領域の左右端縁に青色が視認される現象を抑制することができる。
さらに本実施形態においては、図6の(a)および(b)に示すように、投影レンズ63の中央部63aおよび周縁部63bにおける出射面に、上下方向に延びる多数の突条63dが形成されている。各突条63dは、投影レンズ63に入射した光が左右方向に拡散されつつ出射されるシリンドリカルレンズを構成するように形成されている。
このような構成によれば、出射光が左右方向に混ざり合う効果が得られるため、青色成分の光が単独で照明領域の左右端部に到達しにくくなる。したがって照明領域の左右端部に青色が視認される現象がさらに抑制され、良好な配光パターンを形成できる。
図6の(c)に示す下側周縁部63b2における出射面の曲率は、左右周縁部63b1の曲率よりも大きく設定されている。図5に示すように、光源61から出射されて中央部63aに入射した光は、光軸Axと略平行な向きに投影レンズ63から出射される。一方、光源61から出射されて下側周縁部63b2に入射した光は、より大きく上方へ屈折されつつ投影レンズ63から出射される。したがってロービーム配光パターンPLの上方に位置する付加照明領域PAにより多くの光が供給され、良好な配光パターンの形成に寄与する。屈折を強めているために色収差の発生が伴うものの、付加配光領域PAの上端縁に青色が現れても現実的な問題はない。
一方、中央部63aの上方に入射する青色成分の光は下方へ屈折されることになるため、色収差により付加照明領域PAの下端縁に青色が視認されうる。当該位置に現れる青色は、視認した者に強い違和感を与えるため、色収差を抑制するための方策が必要となる。
左右周縁部63b1と同様に、中央部63aの出射面と比較して曲率の小さな出射面を中央部63aの上方に形成することが方策の一つとして考えられる。しかしながら仮に中央部63aの上方にこのような出射面を形成した場合、当該出射面から出射される光には、中央部63a側への屈折を弱められた、光軸Axに対して上方に傾いた光が含まれる。
図5において、光軸Axの下方に示す光線を二点鎖線で示している。シェード62aが二点鎖線で示す下端位置LPにあるときにおいてのみ投影レンズ63の通過を許容される光線であることを示すためである。すなわちシェード62aが上端位置UPにあるときは、これらの光線はシェード62aに遮られて配光パターンの形成に関与しない。そのため図4の(c)に示す非照明領域Sが形成される。
しかしながら光軸Axに対して上方に傾きつつ上述の仮想出射面から出射される光は、二点鎖線で示した光線と同様にやや上方に向けて出射されるため、本来はシェード52aにより非照明領域Sとされる領域に光が到達してしまう。
本実施形態においては、この問題に対処するため、投影レンズ63を、中央部63aの上側に位置する周縁部63bの一部が切り欠かれた形状としている。このようにして形成された上端面63eは平坦面とされている。図2および図5に示すように、エクステンション8の下端部が上端面63eに当接されている。
このような構成によれば、光源61から出射されて投影レンズ63の中央部63aの上方に入射する光の一部を、配光パターンの形成に関与させないようにすることができる。当該部分に入射する光は、付加配光領域PAの下端縁に青色が視認される現象の原因となるものである。この原因そのものが排除されるため、付加配光領域PAの下端縁に色収差を伴わない、良好な配光パターンを形成することができる。
エクステンション8は、外方から照明装置1の内部を隠蔽する加飾部材であるとともに、図5に示すように、光源61から出射されて投影レンズ63の上端面63eの上方に向かう光を遮る部材として用いられる。これにより配光パターンの形成に関与させないことにした光が照明装置1の外部に漏れ出すことを防止できる。
次に図7および図8を参照しつつ、本発明の第2の実施形態に係るハイビーム灯具ユニット6Aについて説明する。第1の実施形態に係るハイビーム灯具ユニット6と実質的に同一の構成要素には、同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は割愛する。
図7に示すように、本実施形態のハイビーム灯具ユニット6Aは、第1の実施形態に係るハイビーム灯具ユニット6の投影レンズ63とは異なる形状の投影レンズ63Aを備えている。図8は、投影レンズ63Aの具体的な形状を説明するための図であり、(a)は正面図、(b)は(a)における線VIIIB−VIIIBに沿う水平断面図、(c)は(a)における線VIIIC−VIIICに沿う垂直断面図、(d)は背面図である。
図8の(c)に示すように、本実施形態の投影レンズ63Aにおいては、中央部63aの出射面の曲率よりも小さな曲率を有する出射面を有する上側周縁部63b3が、中央部63aの上方に形成されている。
図7に示すように、光源61から出射されて中央部63aに入射した光は、光軸Axに略平行な向きに投影レンズ63Aから出射される。一方、光源61から出射されて上側周縁部63b3に入射した光は、中央部63aよりも小さく設定された曲率によって、光軸Axに平行な向きよりも投影レンズ63の径方向外側へ向かって出射される。これに伴い、径方向内側へより大きく屈折する青色成分の光の出射方向も径方向外側へと向けられ、照明領域の下端縁に到達しにくくなる。したがって照明領域の下端縁に青色が視認される現象を抑制することができる。
さらに本実施形態においては、投影レンズ63Aの入射面の一部である、上側周縁部63b3に対向する位置に、車両の左右方向に延びる複数の突条63fが形成されている。各突条63fは、投影レンズ63Aに入射した光が上下方向に拡散されつつ出射されるシリンドリカルレンズを構成するように形成されている。
このような構成によれば、出射光が上下方向に混ざり合う効果が得られるため、青色成分の光が単独で照明領域の下端縁に到達しにくくなる。したがって照明領域の下端縁に青色が視認される現象がさらに抑制され、良好な配光パターンを形成することができる。
さらに上側周縁部63b3から出射された光が、拡散効果によってシェード52aにより形成される非照明領域Sに到達しにくくなる。したがって、非照明領域Sに光が漏れ出すことのない、良好な配光パターンを形成することができる。
また第1の実施形態に係る投影レンズ63のように上端部を切り欠いた形状とはされていないため、投影レンズ63Aを通過する光量を増やすことができる。したがって投影レンズ63と比較して照度の高い、良好な配光パターンを形成することができる。
上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは明らかである。
左右周縁部63b1の曲率設定のみで、照明領域の左右端における色収差の問題を解消できるのであれば、入射光を車両の左右方向に拡散させる突条63dは必須でない。突条63dの形成が必要な場合においても、必ずしも中央部63aと周縁部63bの全体に形成されていることを要しない。少なくとも中央部63aに形成されていればよい。
第2の実施形態に係る投影レンズ63Aについては、上側周縁部63b3の出射面に突条63dが形成されない場合、入射光を車両の上下方向に拡散させる突条63fが上側周縁部63b3の出射面に形成される構成としてもよい。
各突条63dおよび63fの形状は、必ずしもシリンドリカルレンズを構成する形状とすることを要しない。入射光を車両の左右方向あるいは上下方向に拡散させることができる限りにおいて、適宜の形状を選択することができる。例えば、断面が三角形状の突条や細溝、シボ等を形成することにより、所望の拡散特性を得ることができる。
各突条63dおよび63fの形状は、必ずしも全て同じであることを要しない。異なる形状や種類を適宜組み合わせた構成としてもよい。
投影レンズ63の一部を切り欠かれた形状とすることによって形成される上端面63eは、必ずしも平坦面であることを要しない。付加配光領域PAの下端縁に色収差が生ずる原因となる光の一部を、配光パターンの形成に関与させないようにしうる限りにおいて、適宜の切り欠かれた形状を選択することができる。
光源61として用いられる半導体発光素子は、上記のLEDに限られるものではなく、レーザダイオードや有機EL素子等を用いる構成としてもよい。また必ずしも複数の半導体発光素子を並べてアレイを形成することを要しない。すなわち半導体発光素子は少なくとも1つ設けられていればよい。
本発明の灯具としての灯具ユニット6は、必ずしも前照灯のハイビーム配光パターンを形成するために用いられることを要しない。光源から出射された光の一部を遮るシェードを利用する配光パターンの形成を要する、適宜の照明装置に装備されうる。
シェード52aと切欠き形状部分あるいは突条63fとの位置関係は、光軸Axの上下方向に限られるものではない。シェード52aが光軸Axの第1の側に配置される場合、投影レンズ63における切欠形状部分あるいは投影レンズ63Aにおける突条63fの位置は、光軸Axを挟んで上記第1の側と逆側である第2の側とされる。第1の側と第2の側は、灯具ユニット6、6Aが装備される照明装置の用途や仕様に応じて、適宜に定められる。
6、6A:ハイビーム灯具ユニット、52a:シェード、61:LEDアレイ、63、63A:投影レンズ、63a:投影レンズの中央部、63b1:投影レンズの左右周縁部、63b3:投影レンズの上側周縁部、63d:突条、63e:投影レンズの上端面、63f:突条、Ax:投影レンズの光軸

Claims (5)

  1. 車両に搭載される灯具であって、
    半導体発光素子と、
    前記半導体発光素子から出射される光が通過する投影レンズと、
    前記投影レンズの光軸の側に配置され、前記半導体発光素子から出射されて当該投影レンズの当該側に位置する部分へ向かう光の一部を遮る第1位置と、当該光の一部の通過を許容する第2位置との間で移動可能であるシェードとを備え、
    前記投影レンズの出射面における周縁部は、当該出射面における中央部の曲率よりも小さな曲率を有する部分を含み、
    前記投影レンズは、前記光軸の上側において、前記周縁部の一部が切り欠かれた形状を有している、灯具。
  2. 記出射面の少なくとも前記中央部は、前記半導体発光素子から出射される光を車両の左右方向に拡散させる形状を有している、請求項1に記載の灯具。
  3. 車両に搭載される灯具であって、
    半導体発光素子と、
    前記半導体発光素子から出射される光が通過する投影レンズと、
    前記投影レンズの光軸の側に配置され、前記半導体発光素子から出射されて当該投影レンズの当該側に位置する部分へ向かう光の一部を遮る第1位置と、当該光の一部の通過を許容する第2位置との間で移動可能であるシェードとを備え、
    前記投影レンズの出射面における周縁部は、当該出射面における中央部の曲率よりも小さな曲率を有する部分を含み、
    前記光軸の上側において、前記周縁部の一部は、前記半導体発光素子から出射される光を車両の上下方向へ拡散させる形状を有している、灯具。
  4. 記出射面の少なくとも前記中央部は、前記半導体発光素子から出射される光を車両の左右方向に拡散させる形状を有している、請求項3に記載の灯具。
  5. 前記周縁部の一部は、前記投影レンズの入射面の一部である、請求項3または4に記載の灯具。
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