(本発明の基礎となった知見)
既に標準化されている、H.264と呼ばれる動画像符号化方式では、情報量の圧縮のために、Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャという3種類のピクチャタイプが用いられている。
Iピクチャは、インター予測符号化処理で符号化されない。すなわち、Iピクチャは、ピクチャ内予測(以降、「イントラ予測」と呼ぶ)符号化処理で符号化される。Pピクチャは、表示時間順で、符号化対象ピクチャの前方または後方にある既に符号化済みの1つのピクチャを参照してインター予測符号化される。Bピクチャは、表示時間順で、符号化対象ピクチャの前方または後方にある既に符号化済みの2つのピクチャを参照してインター予測符号化される。
インター予測符号化においては、参照ピクチャを特定するための参照ピクチャリストが生成される。参照ピクチャリストは、インター予測で参照する符号化済みの参照ピクチャに参照ピクチャインデックスを割り当てたリストである。例えば、Bピクチャでは、2つのピクチャを参照して符号化を行えるため、2つの参照ピクチャリスト(L0、L1)が生成される。
図1Aは、Bピクチャにおける参照ピクチャリストの一例を説明するための図である。図1Bは、双方向予測における予測方向0の参照ピクチャリスト0(L0)の一例を示す。ここでは、参照ピクチャリスト0において、参照ピクチャインデックス0の値0は、表示順2の参照ピクチャ0に割り当てられている。また、参照ピクチャインデックス0の値1は、表示順1の参照ピクチャ1に割り当てられている。また、参照ピクチャインデックス0の値2は、表示順0の参照ピクチャ2が割り当てられている。つまり、符号化対象ピクチャに対して表示順で時間的に近い参照ピクチャほど、小さい値を有する参照ピクチャインデックスが割り当てられている。
一方、図1Cは、双方向予測における予測方向1の参照ピクチャリスト1(L1)の一例を示す。ここでは、参照ピクチャリスト1において、参照ピクチャインデックス1の値0は、表示順1の参照ピクチャ1に割り当てられている。また、参照ピクチャインデックス1の値1は、表示順2の参照ピクチャ0に割り当てられている。また、参照ピクチャインデックス2の値2は、表示順0の参照ピクチャ2に割り当てられている。
このように、各参照ピクチャに対して、予測方向毎に異なる参照ピクチャインデックスの値を割り当てること(図1Aの参照ピクチャ0、1)、あるいは同じ参照ピクチャインデックスの値を割り当てることが可能である(図1Aの参照ピクチャ2)。
また、H.264と呼ばれる動画像符号化方式(非特許文献1)では、Bピクチャにおける各符号化対象ブロックのインター予測の符号化モードとして、動きベクトル検出モードが用いられる。動きベクトル検出モードでは、予測画像データおよび符号化対象ブロックの画像データの差分値と、予測画像データ生成に用いた動きベクトルとが符号化される。また、動きベクトル検出モードでは、予測方向として、双方向予測と片方向予測とを選択することができる。双方向予測では、符号化対象ピクチャの前方または後方にある既に符号化済みの2つのピクチャを参照して予測画像が生成される。片方向予測では、前方または後方にある既に符号化済みの1つのピクチャを参照して予測画像が生成される。
また、H.264と呼ばれる動画像符号化方式では、Bピクチャの符号化において、動きベクトルを導出する際に、時間予測動きベクトルモードと呼ばれる符号化モードを選択することができる。時間予測動きベクトルモードにおけるインター予測符号化方法を、図2を用いて説明する。図2は、時間予測動きベクトルモードにおける動きベクトルを説明するための図である。具体的には、図2は、ピクチャB2のブロックaを時間予測動きベクトルモードで符号化する場合を示している。
ここでは、ピクチャB2の後方にある参照ピクチャであるピクチャP3内の、ブロックaと同じ位置にあるブロックb(以下、「co−locatedブロック」と呼ぶ)の符号化に用いられた動きベクトルvbが利用されている。動きベクトルvbは、ブロックbがピクチャP1を参照して符号化された際に用いられた動きベクトルである。
動きベクトルvbに平行な動きベクトルを用いて、前方向参照ピクチャであるピクチャP1と、後方参照ピクチャであるピクチャP3とから、ブロックaのための2つの参照ブロックが取得される。そして、取得された2つの参照ブロックに基づいて2方向予測を行うことにより、ブロックaが符号化される。すなわち、ブロックaを符号化する際に用いられる動きベクトルは、ピクチャP1に対しては動きベクトルva1であり、ピクチャP3に対しては動きベクトルva2である。
また、BピクチャあるいはPピクチャにおける各符号化対象ブロックのインター予測モードとして、マージモードが検討されている(非特許文献2)。マージモードでは、符号化対象ブロックの隣接ブロックの符号化に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスをコピーして、符号化対象ブロックの符号化が行われる。この際に、コピーに用いられた隣接ブロックのインデックス等がビットストリームに付随される。これにより、符号化に用いられた動き方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを復号側で選択できるようになる。具体例を、図3を参照して説明する。
図3は、マージモードにおいて用いられる隣接ブロックの動きベクトルの一例を示す図である。図3において、隣接ブロックAは、符号化対象ブロックの左隣接の符号化済みブロックである。隣接ブロックBは、符号化対象ブロックの上隣接の符号化済みブロックである。隣接ブロックCは、符号化対象ブロックの右上隣接の符号化済みブロックである。隣接ブロックDは、符号化対象ブロックの左下隣接の符号化済みブロックである。
また、隣接ブロックAは、予測方向0の片方向予測で符号化されたブロックである。隣接ブロックAは、予測方向0の参照ピクチャインデックスRefL0_Aが示す参照ピクチャに対する動きベクトルとして、予測方向0の動きベクトルMvL0_Aを持つ。ここで、MvL0とは、参照ピクチャリスト0(L0)により特定される参照ピクチャを参照する動きベクトルを示す。また、MvL1とは、参照ピクチャリスト1(L1)により特定される参照ピクチャを参照する動きベクトルを示す。
また、隣接ブロックBは、予測方向1の片方向予測で符号化されたブロックである。隣接ブロックBは、予測方向1の参照ピクチャインデックスRefL1_Bが示す参照ピクチャに対する動きベクトルとして、予測方向1の動きベクトルMvL1_Bを持つ。
また、隣接ブロックCは、イントラ予測で符号化されたブロックである。
また、隣接ブロックDは、予測方向0の片方向予測で符号化されたブロックである。隣接ブロックDは、予測方向0の参照ピクチャインデックスRefL0_Dが示す参照ピクチャに対する動きベクトルとして、予測方向0の動きベクトルMvL0_Dを持つ。
このような場合では、例えば、隣接ブロックA〜Dの予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックス、および、co−locatedブロックを用いて求めた時間予測動きベクトルモードによる予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの中から、符号化対象ブロックの予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとして、最も符号化効率の良いものが選択される。そして、選択された予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスのブロックを表すマージブロックインデックスがビットストリームに付随される。
例えば、隣接ブロックAが選択された場合、符号化対象ブロックは、予測方向0の動きベクトルMvL0_Aおよび参照ピクチャインデックスRefL0_Aを用いて符号化される。そして、図4に示すような隣接ブロックAを用いたことを表すマージブロックインデックスの値0のみがビットストリームに付随される。これにより、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの情報量を削減できる。
また、図4に示すように、マージモードでは、符号化に用いることが不可能な候補(以下、「マージ不可能候補」と呼ぶ)、あるいは、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せが互いに一致する候補(以下、「重複候補」と呼ぶ)が、マージブロック候補から削除される。
このように、マージブロック候補数を削減することで、マージブロックインデックスに割り当てる符号量が削減される。ここで、マージが不可能であるということは、マージブロック候補が、(1)イントラ予測で符号化されたブロックであること、(2)符号化対象ブロックを含むスライスあるいはピクチャ境界外のブロックであること、または、(3)まだ符号化されていないブロックであること等を表している。
図4の例では、隣接ブロックCがイントラ予測で符号化されている。そのため、マージブロックインデックス3のマージブロック候補は、マージ不可能候補であり、マージブロック候補リストから削除される。また、隣接ブロックDは、隣接ブロックAと、予測方向、動きベクトル、および、参照ピクチャインデックスが一致している。そのため、マージブロックインデックス4のマージブロック候補は、マージブロック候補リストから削除される。その結果、最終的に、マージブロック候補数は3となり、マージブロック候補リストのリストサイズは3に設定される。
マージブロックインデックスは、マージブロック候補リストサイズの大きさに応じて、図5に示すように、ビット列が割り当てられ、可変長符号化される。このように、マージモードでは、マージモードインデックスに割り当てるビット列を、マージブロック候補リストサイズの大きさによって変化させることにより、符号量を削減している。
図6は、マージモードを用いる場合の符号化処理の一例を示すフローチャートである。ステップS1001では、隣接ブロックおよびco−locatedブロックから、マージブロック候補の動きベクトル、参照ピクチャインデックスおよび予測方向が取得される。ステップS1002では、マージブロック候補から重複候補およびマージ不可能候補が削除される。ステップS1003では、削除処理後のマージブロック候補数が、マージブロック候補リストサイズに設定される。ステップS1004では、符号化対象ブロックの符号化に用いるマージブロックインデックスが決定される。ステップS1005において、決定されたマージブロックインデックスが、マージブロック候補リストサイズによって決められたビット列を用いて可変長符号化される。
図7は、マージモードを用いる場合の復号処理の一例を示すフローチャートである。ステップS2001では、隣接ブロックおよびco−locatedブロックから、マージブロック候補の動きベクトル、参照ピクチャインデックスおよび予測方向が取得される。ステップS2002では、マージブロック候補から重複候補およびマージ不可能候補が削除される。ステップS2003では、削除処理後のマージブロック候補数が、マージブロック候補リストサイズに設定される。ステップS2004では、ビットストリームから、復号対象ブロックの復号に用いるマージブロックインデックスが、マージブロック候補リストサイズを用いて復号される。ステップS2005において、復号されたマージブロックインデックが示すマージブロック候補を用いて、予測画像が生成され、復号処理が行われる。
図8は、マージブロックインデックスをビットストリームに付加する際のシンタックスを表す。図8において、merge_idxは、マージブロックインデックスを表す。merge_flagは、マージフラグを表す。NumMergeCandは、マージブロック候補リストサイズを表す。このNumMergeCandには、マージブロック候補から、マージ不可能候補および重複候補を削除した後のマージブロック候補数が設定されている。
以上のように、マージモードを用いて画像が符号化あるいは復号される。
しかしながら、上記のマージモードでは、符号化対象ブロックを符号化する際に利用される予測方向は、マージブロック候補の予測方向に依存する。したがって、例えば、すべてのマージブロック候補が1方向予測で符号化されたブロックである場合には、マージモードでは、符号化対象ブロックは、1方向予測でしか符号化できない。つまり、1方向予測よりも2方向予測で符号化された方が効率的に符号化対象ブロックを符号化できる場合も、符号化対象ブロックを1方向予測でしか符号化することができず、符号化効率が低下する場合がある。
そこで、本発明の一態様に係る画像符号化方法は、画像をブロック毎に符号化することでビットストリームを生成する画像符号化方法であって、符号化対象ブロックの符号化に用いられる予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの候補であるマージ候補の最大数を決定する決定ステップと、前記符号化対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックの符号化に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスに基づいて、複数の第1マージ候補を導出する第1導出ステップと、導出された前記複数の第1マージ候補の数が前記最大数より小さいか否かを判定する判定ステップと、導出された前記複数の第1マージ候補の数が前記最大数より小さいと判定された場合に、導出された前記複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する第2導出ステップと、導出された前記複数の第1マージ候補および前記第2マージ候補の中から、前記符号化対象ブロックの符号化に用いられるマージ候補を選択する選択ステップと、選択された前記マージ候補を特定するためのインデックスを、決定された前記最大数を用いて符号化し、符号化された前記インデックスを前記ビットストリームに付加する符号化ステップとを含む。
これによれば、符号化対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックに基づいて導出された複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出することができる。特に、複数の第1マージ候補の中に2方向予測のマージ候補が含まれていない場合であっても、2方向予測の第2マージ候補を新たに導出することができる。その結果、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増加させることができ、符号化効率を向上させることが可能となる。
また、第1マージ候補が最大数より小さいと判定された場合に、第2マージ候補を導出することができる。したがって、最大数を超えない範囲でマージ候補の数を増加させることができ、符号化効率を向上させることが可能となる。
さらに、マージ候補を特定するためのインデックスを、決定された最大数を用いて符号化することができる。つまり、実際に導出されるマージ候補の数に依存せずに、インデックスを符号化することができる。したがって、マージ候補の導出に必要な情報(例えば、co−locatedブロック等の情報)がロスされた場合でも、復号側ではインデックスを復号することができ、エラー耐性を向上させることが可能となる。また、復号側では、実際に導出されるマージ候補の数に依存せずにインデックスを復号できる。つまり、復号側では、マージ候補の導出処理を待たずにインデックスの復号処理を行うことができる。すなわち、マージ候補の導出処理とインデックスの復号処理とを並列に行うことが可能なビットストリームを生成することができる。
例えば、前記第2導出ステップでは、前記複数の第1マージ候補のうちの1つの第1マージ候補に含まれる第1予測方向の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、他の1つの第1マージ候補に含まれる第2予測方向の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを組み合わせて、前記第2マージ候補を導出してもよい。
これによれば、2つの第1のマージ候補に含まれる、互いに異なる2つの予測方向の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出することができる。
例えば、前記第1導出ステップでは、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せが互いに重複しないように、前記複数の第1マージ候補を導出してもよい。
これによれば、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せ互いに重複しないように、複数の第1マージ候補を導出することができる。その結果、第2マージ候補の数を増加させることができ、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増やすことができる。したがって、さらに符号化効率を向上させることが可能となる。
例えば、前記第1導出ステップでは、前記符号化対象ブロックに空間的に隣接するブロックのうち、イントラ予測で符号化されたブロックと、前記符号化対象ブロックを含むスライスもしくはピクチャ境界外に位置するブロックと、まだ符号化されていないブロックとを除くブロックの符号化に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを、前記第1マージ候補として導出してもよい。
これによれば、マージ候補を得るために適切なブロックから第1マージ候補を導出することができる。
例えば、前記符号化ステップでは、さらに、決定された前記最大数を示す情報を前記ビットストリームに付加してもよい。
これによれば、決定された最大数を示す情報をビットストリームに付加することができる。したがって、適切な単位で最大数を切り替えることができ、符号化効率を向上させることが可能となる。
例えば、前記画像符号化方法は、さらに、第1規格に準拠する第1符号化処理、または第2規格に準拠する第2符号化処理に、符号化処理を切り替える切り替えステップと、切り替えられた前記符号化処理が準拠する前記第1規格または前記第2規格を示す識別情報を前記ビットストリームに付加する付加ステップとを含み、前記符号化処理が前記第1符号化処理に切り替えられた場合に、前記第1符号化処理として、前記決定ステップ、前記第1導出ステップと、前記判定ステップと、前記第2導出ステップと、前記選択ステップと、前記符号化ステップとが行われてもよい。
これによれば、第1規格に準拠する第1符号化処理と第2規格に準拠する第2符号化処理とを切り替えることが可能となる。
また、本発明の一態様に係る画像復号方法は、ビットストリームに含まれる符号化画像をブロック毎に復号する画像復号方法であって、復号対象ブロックの復号に用いられる予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの候補であるマージ候補の最大数を決定する決定ステップと、前記復号対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックの復号に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスに基づいて、複数の第1マージ候補を導出する第1導出ステップと、導出された前記複数の第1マージ候補の数が前記最大数より小さいか否かを判定する判定ステップと、導出された前記複数の第1マージ候補の数が前記最大数より小さいと判定された場合に、導出された前記第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する第2導出ステップと、前記ビットストリームに付加された符号化されたインデックスであってマージ候補を特定するためのインデックスを、決定された前記最大数を用いて復号する復号ステップと、復号された前記インデックスに基づいて、導出された前記複数の第1のマージ候補および前記第2マージ候補の中から、前記復号対象ブロックの復号に用いられるマージ候補を選択する選択ステップとを含む。
これによれば、復号対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックに基づいて導出された複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出することができる。特に、複数の第1マージ候補の中に2方向予測のマージ候補が含まれていない場合であっても、2方向予測の第2マージ候補を新たに導出することができる。その結果、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増加させることができ、符号化効率が向上されたビットストリームを適切に復号することが可能となる。
また、第1マージ候補が最大数より小さいと判定された場合に、第2マージ候補を導出することができる。したがって、最大数を超えない範囲でマージ候補の数を増加させることができ、さらに符号化効率が向上されたビットストリームを適切に復号することが可能となる。
さらに、マージ候補を特定するためのインデックスを、決定された最大数を用いて復号することができる。つまり、実際に導出されるマージ候補の数に依存せずに、インデックスを復号することができる。したがって、マージ候補の導出に必要な情報(例えば、co−locatedブロック等の情報)がロスされた場合でも、インデックスを復号することができ、エラー耐性を向上させることが可能となる。また、実際に導出されるマージ候補の数に依存せずにインデックスを復号できる。つまり、マージ候補の導出処理を待たずにインデックスの復号処理を行うことができる。すなわち、マージ候補の導出処理とインデックスの復号処理とを並列に行うことが可能となる。
例えば、前記第2導出ステップでは、前記複数の第1マージ候補のうちの1つの第1マージ候補に含まれる第1予測方向の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、他の1つの第1マージ候補に含まれる第2予測方向の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを組み合わせて、前記第2マージ候補を導出してもよい。
これによれば、2つの第1のマージ候補に含まれる、互いに異なる2つの予測方向の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出することができる。
例えば、前記第1導出ステップでは、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せが互いに重複しないように、前記複数の第1マージ候補を導出してもよい。
これによれば、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せが重複しないように、複数の第1マージ候補を導出することができる。その結果、第2マージ候補の数を増加させることができ、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増やすことができる。したがって、さらに符号化効率が向上されたビットストリームを適切に復号することが可能となる。
例えば、前記第1導出ステップでは、前記復号対象ブロックに空間的に隣接するブロックのうち、イントラ予測で復号されたブロックと、前記復号対象ブロックを含むスライスもしくはピクチャ境界外に位置するブロックと、まだ復号されていないブロックとを除くブロックの復号に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを、前記第1マージ候補として導出してもよい。
これによれば、マージ候補を得るために適切なブロックから第1マージ候補を導出することができる。
例えば、前記決定ステップでは、前記ビットストリームに付加された最大数を示す情報に基づいて、前記最大数を決定してもよい。
これによれば、ビットストリームに付加された情報に基づいて最大数を決定することができる。したがって、適切な単位で最大数を切り替えて符号化された画像を復号することが可能となる。
例えば、前記画像復号方法は、さらに、前記ビットストリームに付加された第1規格または第2規格を示す識別情報に応じて、前記第1規格に準拠する第1復号処理、または前記第2規格に準拠する第2復号処理に、復号処理を切り替える切り替えステップを含み、前記復号処理が第1復号処理に切り替えられた場合に、前記第1復号処理として、前記決定ステップと、前記第1導出ステップと、前記判定ステップと、前記第2導出ステップと、前記復号ステップと、前記選択ステップとが行われてもよい。
これによれば、第1規格に準拠する第1復号処理と第2規格に準拠する第2復号処理とを切り替えることが可能となる。
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、本発明の一態様に係る画像符号化装置および画像復号装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、ここでは、1方向予測とは、第1参照ピクチャリスト(参照ピクチャリスト0)および第2参照ピクチャリスト(参照ピクチャリスト1)の一方のみを参照する予測を意味する。2方向予測(双方向予測)とは、第1参照ピクチャリストおよび第2参照ピクチャリストの両方を参照する予測を意味する。
なお、2方向予測は、必ずしも、前方向および後方向の参照ピクチャを参照する予測である必要はない。つまり、2方向予測は、2つの同一の方向(前方向または後方向)の参照ピクチャを参照する予測であってもよい。
(実施の形態1)
図9は、実施の形態1に係る画像符号化装置の構成を示すブロック図である。画像符号化装置100は、画像をブロック毎に符号化することでビットストリームを生成する。
画像符号化装置100は、図9に示すように、減算部101と、直交変換部102と、量子化部103と、逆量子化部104と、逆直交変換部105と、加算部106と、ブロックメモリ107と、フレームメモリ108と、イントラ予測部109と、インター予測部110と、インター予測制御部111と、ピクチャタイプ決定部112と、スイッチ113と、マージブロック候補算出部114と、colPicメモリ115と、可変長符号化部116とを備える。
減算部101は、ブロック毎に、入力画像列に含まれる入力画像データから予測画像データを減算することにより予測誤差データを生成する。
直交変換部102は、生成された予測誤差データに対し、画像領域から周波数領域への変換を行う。
量子化部103は、周波数領域に変換された予測誤差データに対し、量子化処理を行う。
逆量子化部104は、量子化部103によって量子化処理された予測誤差データに対し、逆量子化処理を行う。
逆直交変換部105は、逆量子化処理された予測誤差データに対し、周波数領域から画像領域への変換を行う。
加算部106は、ブロック毎に、予測画像データと、逆直交変換部105によって逆量子化処理された予測誤差データとを加算することにより、再構成画像データを生成する。
ブロックメモリ107には、再構成画像データがブロック単位で保存される。
フレームメモリ108には、再構成画像データがフレーム単位で保存される。
ピクチャタイプ決定部112は、Iピクチャ、Bピクチャ、およびPピクチャのいずれのピクチャタイプで入力画像データを符号化するかを決定する。そして、ピクチャタイプ決定部112は、決定されたピクチャタイプを示すピクチャタイプ情報を生成する。
イントラ予測部109は、ブロックメモリ107に保存されているブロック単位の再構成画像データを用いてイントラ予測を行うことにより、符号化対象ブロックのイントラ予測画像データを生成する。
インター予測部110は、フレームメモリ108に保存されているフレーム単位の再構成画像データと、動き検出等により導出した動きベクトルとを用いてインター予測を行うことにより、符号化対象ブロックのインター予測画像データを生成する。
スイッチ113は、符号化対象ブロックがイントラ予測符号化される場合に、イントラ予測部109によって生成されたイントラ予測画像データを、符号化対象ブロックの予測画像データとして減算部101および加算部106に出力する。一方、スイッチ113は、符号化対象ブロックがインター予測符号化される場合に、インター予測部110によって生成されたインター予測画像データを、符号化対象ブロックの予測画像データとして減算部101および加算部106に出力する。
マージブロック候補算出部114は、符号化対象ブロックの隣接ブロックの動きベクトル等、および、colPicメモリ115に格納されているco−locatedブロックの動きベクトル等(colPic情報)を用いて、複数のマージブロック候補を導出する。さらに、マージブロック候補算出部114は、導出された複数のマージブロック候補をマージブロック候補リストに追加する。
また、マージブロック候補算出部114は、後述する方法で、導出された互いに異なるマージブロック候補が持つ、予測方向0の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、予測方向1の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを組み合わせることによって、2方向予測のマージブロック候補(以下、「combinedマージブロック候補」と呼ぶ)を新規候補として導出する。そして、マージブロック候補算出部114は、導出されたcombinedマージブロック候補を新たなマージブロック候補としてマージブロック候補リストに追加する。さらに、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補数を算出する。
また、マージブロック候補算出部114は、導出された各マージブロック候補に対して、マージブロックインデックスの値を割り当てる。そして、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補とマージブロックインデックスとを、インター予測制御部111に送信する。また、マージブロック候補算出部114は、算出したマージブロック候補数を可変長符号化部116に送信する。
インター予測制御部111は、動き検出により導出された動きベクトルを用いる予測モード(動き検出モード)と、マージブロック候補から導出された動きベクトルを用いる予測モード(マージモード)とのうち、最も小さい予測誤差が得られる予測モードを選択する。また、インター予測制御部111は、予測モードがマージモードかどうかを表すマージフラグを可変長符号化部116に送信する。また、インター予測制御部111は、予測モードとしてマージモードが選択された場合に、決定されたマージブロック候補に対応するマージブロックインデックスを、可変長符号化部116に送信する。さらに、インター予測制御部111は、符号化対象ブロックの動きベクトル等を含むcolPic情報をcolPicメモリ115に転送する。
可変長符号化部116は、量子化処理された予測誤差データと、マージフラグおよびピクチャタイプ情報とに対し、可変長符号化処理を行うことで、ビットストリームを生成する。また、可変長符号化部116は、マージブロック候補数をマージブロック候補リストサイズに設定する。そして、可変長符号化部116は、符号化に用いるマージブロックインデックスに、マージブロック候補リストサイズに応じたビット列を割り当てて、割り当てられたビット列に対して可変長符号化を行う。
図10は、実施の形態1に係る画像符号化装置100の処理動作を示すフローチャートである。
ステップS101では、マージブロック候補算出部114は、符号化対象ブロックの隣接ブロックおよびco−locatedブロックからマージブロック候補を導出する。また、マージブロック候補算出部114は、後述する方法で、マージブロック候補リストサイズを算出する。
例えば、図3のような場合では、マージブロック候補算出部114は、隣接ブロックA〜Dをマージブロック候補として選択する。さらに、マージブロック候補算出部114は、co−locatedブロックの動きベクトルから時間予測モードによって算出した動きベクトル、参照ピクチャインデックスおよび予測方向を有するco−locatedマージブロックをマージブロック候補として算出する。
マージブロック候補算出部114は、図11の(a)のように、各マージブロック候補に対してマージブロックインデックスを割り当てる。そして、マージブロック候補算出部114は、後述する方法で、マージ不可能候補および重複候補の削除、および新規combinedマージブロック候補追加を行うことにより、図11の(b)のようなマージブロック候補リスト、および、マージブロック候補リストサイズを算出する。
マージブロックインデックスは、値が小さいほど短い符号が割り振られる。すなわち、マージブロックインデックスの値が小さい場合にマージブロックインデックスに必要な情報量が少なくなる。
一方、マージブロックインデックスの値が大きくなると、マージブロックインデックスに必要な情報量が大きくなる。したがって、より精度が高い動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを有する可能性が高いマージブロック候補に対して、値の小さいマージブロックインデックスが割り当てられると、符号化効率が高くなる。
そこで、マージブロック候補算出部114は、例えば、マージブロックとして選ばれた回数をマージブロック候補毎に計測し、その回数が多いブロックに対し、値の小さいマージブロックインデックスを割り当ててもよい。具体的には、隣接ブロックにおいて選択されたマージブロックを特定しておき、対象ブロックの符号化の際に、特定したマージブロックに対するマージブロックインデックスの値を小さくすることが考えられる。
なお、マージブロック候補が、動きベクトル等の情報を有しない場合(イントラ予測で符号化されたブロックである場合、ピクチャやスライスの境界外などに位置するブロックである場合、あるいは、まだ符号化されていないブロックである場合など)には、符号化に利用できない。
本実施の形態では、符号化に利用できないマージブロック候補をマージ不可能候補と呼ぶ。また、符号化に利用できるマージブロック候補をマージ可能候補と呼ぶ。また、複数のマージブロック候補において、他のいずれかのマージブロック候補と、動きベクトル、参照ピクチャインデックス、および、予測方向のすべてが一致している候補を重複候補と呼ぶ。
図3の場合では、隣接ブロックCは、イントラ予測で符号化されたブロックであるので、マージ不可能候補とする。また、隣接ブロックDは、隣接ブロックAと動きベクトル、参照ピクチャインデックス、および、予測方向のすべてが一致しているので、重複候補とする。
ステップS102では、インター予測制御部111は、動き検出により導出された動きベクトルを用いて生成した予測画像の予測誤差と、マージブロック候補から得られた動きベクトルを用いて生成した予測画像の予測誤差とを、後述する方法で比較し、予測モードを選択する。ここで、選択された予測モードがマージモードであれば、インター予測制御部111は、マージフラグを1にセットし、そうでなければ、マージフラグを0にセットする。
ステップS103では、マージフラグが1であるか否か(すなわち、予測モードがマージモードかどうか)が判定される。
ここで、ステップS103の判定結果が真ならば(S103のYes)、ステップS104において、可変長符号化部116は、マージフラグをビットストリームに付加する。さらに、ステップS105において、可変長符号化部116は、符号化に用いるマージブロック候補のマージブロックインデックスに図5に示すようなマージブロック候補リストサイズに応じたビット列を割り当てる。そして、可変長符号化部116は、割り当てられたビット列に対して可変長符号化を行う。
一方、ステップS103の判定結果が偽ならば(S103のNo)、ステップS106において、可変長符号化部116は、マージフラグおよび動き検出ベクトルモードの情報をビットストリームに付加する。
本実施の形態では、図11の(a)のように、隣接ブロックAに対応するマージブロックインデックスの値として「0」が割り当てられる。また、隣接ブロックBに対応するマージブロックインデックスの値として「1」が割り当てられる。また、co−locatedマージブロックに対応するマージブロックインデックスの値として「2」が割り当てられる。また、隣接ブロックCに対応するマージブロックインデックスの値として「3」が割り当てられる。また、隣接ブロックDに対応するマージブロックインデックスの値として「4」が割り当てられる。
なお、必ずしも、マージブロックインデックスの値の割り当て方は、この例に限らない。例えば、可変長符号化部116は、後述する方法を用いて新規combinedマージブロック候補が追加された場合などには、元々のマージブロック候補には小さい値を割り当て、新規combinedマージブロック候補には大きい値を割り当ててもよい。つまり、可変長符号化部116は、元々のマージブロック候補に優先して小さな値のマージブロックインデックスを割り当てても構わない。
また、必ずしも、マージブロック候補は、隣接ブロックA〜Dの位置に限定されない。例えば、左下隣接ブロックDの上に位置する隣接ブロック等がマージブロック候補として用いられても構わない。また、必ずしもすべての隣接ブロックがマージブロック候補として使用される必要はない。例えば、隣接ブロックA、Bのみがマージブロック候補として用いられてもよい。
また、本実施の形態では、図10のステップS105において、可変長符号化部116は、マージブロックインデックスをビットストリームに付加したが、必ずしもマージブロックインデックスをビットストリームに付加する必要はない。例えば、可変長符号化部116は、マージブロック候補リストサイズが「1」の場合は、マージブロックインデックスをビットストリームに付加しなくてもよい。これにより、マージブロックインデックスの情報量を削減できる。
図12は、図10のステップS101の詳細な処理を示すフローチャートである。具体的には、図12は、マージブロック候補、および、マージブロック候補リストサイズを算出する方法を表す。以下、図12について説明する。
ステップS111では、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補[N]がマージ可能候補であるかどうかを後述する方法で判定する。
ここで、Nは各マージブロック候補を表すためのインデックス値である。本実施の形態では、Nは0から4までの値をとる。具体的には、マージブロック候補[0]には、図3の隣接ブロックAが割り振られる。また、マージブロック候補[1]には、図3の隣接ブロックBが割り振られる。また、マージブロック候補[2]には、co−locatedマージブロックが割り振られる。また、マージブロック候補[3]には、図3の隣接ブロックCが割り振られる。また、マージブロック候補[4]には、図3の隣接ブロックDが割り振られる。
ステップS112では、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補[N]の動きベクトル、参照ピクチャインデックス、および予測方向を取得して、マージブロック候補リストに追加する。
ステップS113では、マージブロック候補算出部114は、図11に示すように、マージブロック候補リストからマージ不可能候補および重複候補を探索し、削除する。
ステップS114では、マージブロック候補算出部114は、後述する方法で、マージブロック候補リストに新規combinedマージブロック候補を追加する。ここで、新規combinedマージブロック候補を追加する際には、元々あるマージブロック候補に優先して小さい値のマージブロックインデックスが割り当たるように、マージブロックインデックスの値の再割り当てを行ってもよい。つまり、マージブロック候補算出部114は、新規combinedマージブロック候補には値が大きいマージブロックインデックスが割り当たるように、マージブロックインデックスの値の再割り当てを行ってもよい。これにより、マージブロックインデックスの符号量を削減できる。
ステップS115では、マージブロック候補算出部114は、combinedマージブロック追加後のマージブロック候補数をマージブロック候補リストサイズに設定する。図11の例では、後述する方法により、マージブロック候補数は「5」と算出され、マージブロック候補リストサイズには「5」が設定される。
なお、ステップS114における新規combinedマージブロック候補とは、後述する方法で、マージブロック候補数が最大マージブロック候補数に達していない場合に、マージブロック候補に新たに追加される候補である。このように、マージブロック候補数が、最大マージブロック候補数に達していない場合には、画像符号化装置100は、2方向予測のための新規combinedマージブロック候補を追加することによって、符号化効率を向上できる。
図13は、図12のステップS111の詳細な処理を示すフローチャートである。具体的には、図13は、マージブロック候補[N]がマージ可能候補かどうかを判定し、マージ可能候補数を更新する方法を表す。以下、図13について説明する。
ステップS121では、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補[N]が、(1)イントラ予測で符号化されたブロック、または、(2)符号化対象ブロックを含むスライスまたはピクチャ境界外に位置するブロック、または、(3)まだ符号化されていないブロックであるかどうかを判定する。
ここで、ステップS121の判定結果が真ならば(S121のYes)、ステップS122において、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補[N]をマージ不可能候補に設定する。一方、ステップS121の判定結果が偽ならば(S121のNo)、ステップS123において、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補[N]をマージ可能候補に設定する。
図14は、図12のステップS114の詳細な処理を示すフローチャートである。具体的には、図14は、combinedマージブロック候補を追加する方法を表す。以下、図14について説明する。
ステップS131では、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補数が最大マージブロック候補数より小さいか否かを判定する。つまり、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補数が最大マージブロック候補数に達していないかどうかを判定する。
ここで、ステップS131の判定結果が真ならば(S131のYes)、ステップS132において、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補としてマージブロック候補リストに追加可能な新規combinedマージブロック候補が存在するかどうかを後述する方法で判定する。ここで、ステップS132の判定結果が真ならば(S132のYes)、ステップS133において、マージブロック候補算出部114は、新規combinedマージブロック候補にマージブロックインデックスの値を割り当て、マージブロック候補リストに新規combinedマージブロック候補を追加する。さらに、ステップS134において、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補数に1を加算する。ステップS132の判定結果が偽ならば(S132のNo)、次のcombinedマージブロック候補を算出するために、ステップS131の処理に戻る。
一方、ステップS131の判定結果が偽ならば(S131またはS132のNo)、新規combinedマージブロック候補追加処理を終了する。つまり、マージブロック候補数が最大マージブロック候補数に達している場合は、新規combinedマージブロック候補追加処理を終了する。
図15は、図14のステップS132の詳細な処理を示すフローチャートである。具体的には、図15は、combinedマージブロック候補が存在するかどうかを判定する方法を表す。以下、図15について説明する。
ステップS141では、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補インデックスidx1、idx2を更新する。マージブロック候補インデックスidx1、idx2は、マージブロックインデックスidx1、idx2が割当てられたマージブロック候補[idx1]およびマージブロック候補[idx2]の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを組み合わせて、combinedマージブロック候補を生成できるかどうかを判定するために用いられるインデックスである。
例えば、まず、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補インデックスidx1、idx2を「0」、「1」に更新する。そして、マージブロック候補算出部114は、ステップS142からステップS149までの処理を行うことによって、マージブロック候補リストに含まれるマージブロック候補[0]の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、マージブロック候補[1]の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを用いてcombinedマージブロック候補を生成できるか否かを判定することにより、combinedマージブロック候補の有無を判定する。
そして、次に、combinedマージブロック候補の有無を判定する際には、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補インデックスidx1、idx2を、例えば「0」、「2」に更新する。そして、マージブロック候補算出部114は、ステップS142からステップS149までの処理を行うことによって、マージブロック候補リストに含まれるマージブロック候補[0]の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、マージブロック候補[2]の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを用いてcombinedマージブロック候補を生成できるか否かを判定することにより、combinedマージブロック候補の有無を判定する。
さらに、次のcombinedマージブロック候補の有無を判定する際には、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補インデックスidx1、idx2を、例えば「0」、「3」に更新する。
このように、combinedマージブロック候補の有無を判定する毎に、マージブロック候補算出部114は、ステップS141において、マージブロックインデックスidx1、idx2を順に更新しながら、ステップS142からステップS149までの処理を行うことによって、combinedマージブロック候補の有無を判定する。
なお、マージブロックインデックスidx1、idx2の更新手順は、上記手順に限定される必要はない。つまり、既に導出されているマージブロック候補の全ての組合せを用いてcombinedマージブロック候補の有無の判定ができる手順であれば、どのような手順でも構わない。
次に、ステップS142では、マージブロック候補算出部114は、(1)マージブロックインデックスidx1およびidx2が同一の値でなく、かつ、(2)マージブロック候補[idx1]が、combinedマージブロック候補ではなく、かつ、(3)マージブロック候補[idx2]が、combinedマージブロック候補でないかどうかを判定する。
ここで、ステップS142の判定結果が真ならば(S142のYes)、ステップS143において、マージブロック候補算出部114は、(1)マージブロック候補[idx1]およびマージブロック候補[idx2]の予測方向が異なる、または、(2)マージブロック候補[idx1]およびマージブロック候補[idx2]がともに2方向予測であるかどうかを判定する。ここで、ステップS143の判定結果が真ならば(S143のYes)、ステップS144において、マージブロック候補算出部114は、(1)マージブロック候補[idx1]が予測方向0、または2方向予測であり、かつ、(2)マージブロック候補[idx2]が予測方向1、または2方向予測であるかどうかを判定する。つまり、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補[idx1]が少なくとも予測方向0の動きベクトルを持ち、かつ、マージブロック候補[idx2]が少なくとも予測方向1の動きベクトルを持つかどうかを判定する。
ここで、ステップS144の判定結果が真であれば(S144のYes)、ステップS145aにおいて、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補[idx1]の予測方向0の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスをcombinedマージブロックの予測方向0に割り当てる。さらに、ステップS146aにおいて、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補[idx2]の予測方向1の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスをcombinedマージブロックの予測方向1に割り当てる。これにより、マージブロック候補算出部114は、2方向予測のcombinedマージブロックを算出する。
一方、ステップS144の判定結果が偽ならば(S144のNo)、ステップS145bにおいて、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補[idx2]の予測方向0の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスをcombinedマージブロックの予測方向0に割り当てる。さらに、ステップS146bにおいて、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補[idx1]の予測方向1の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスをcombinedマージブロックの予測方向1に割り当てる。これにより、マージブロック候補算出部114は、2方向予測のcombinedマージブロックを算出する。
ステップS147では、マージブロック候補算出部114は、算出されたcombinedマージブロックと同一の動きベクトル、参照ピクチャインデックスおよび予測方向を持つマージブロック候補が、既にマージブロック候補リスト内に存在するかどうかを判定する。つまり、マージブロック候補算出部114は、combinedマージブロックが重複候補でないかどうかを判定する。
ここで、ステップS147の判定結果が真であれば(S147のYes)、ステップS148において、マージブロック候補算出部114は、combinedマージブロック候補ありと判定する。
ステップS142、ステップS143、およびステップS147の判定結果のいずれかが偽であれば(S142、S143またはS147のNo)、ステップS149において、マージブロック候補算出部114は、combinedマージブロック候補なしと判定する。
図16は、図10のステップS102の詳細な処理を示すフローチャートである。具体的には、図16は、マージブロック候補の選択に関する処理を示す。以下、図16について説明する。
ステップS151では、インター予測制御部111は、マージブロック候補インデックスに0をセットし、最小予測誤差に、動きベクトル検出モードの予測誤差(コスト)をセットし、マージフラグに0をセットする。ここで、コストは、例えば、R−D最適化モデルの以下の式で算出される。
(式1)
Cost=D+λR
式1において、Dは、符号化歪を表す。例えば、ある動きベクトルで生成した予測画像を用いて符号化対象ブロックを符号化および復号して得られた画素値と、符号化対象ブロックの元の画素値との差分絶対値和などがDとして用いられる。また、Rは、発生符号量を表す。予測画像生成に用いた動きベクトルを符号化するために必要な符号量などがRとして用いられる。また、λは、ラグランジュの未定乗数である。
ステップS152では、インター予測制御部111は、マージブロック候補インデックスの値が、符号化対象ブロックのマージブロック候補数よりも小さいかどうかを判定する。つまり、インター予測制御部111は、まだ以下のステップS153〜ステップS155の処理が行われていないマージブロック候補が存在するかどうかを判定する。
ここで、ステップS152の判定結果が真ならば(S152のYes)、ステップS153において、インター予測制御部111は、マージブロック候補インデックスが割り振られたマージブロック候補のコストを算出する。そして、ステップS154では、インター予測制御部111は、算出したマージブロック候補のコストが、最小予測誤差よりも小さいかどうかを判定する。
ここで、ステップS154の判定結果が真ならば(S154のYes)、ステップS155において、インター予測制御部111は、最小予測誤差、マージブロックインデックス、およびマージフラグの値を更新する。一方、ステップS154の判定結果が偽ならば(S154のNo)、インター予測制御部111は、最小予測誤差、マージブロックインデックス、およびマージフラグの値を更新しない。
ステップS156では、インター予測制御部111は、マージブロック候補インデックスの値に1を加算し、ステップS152からステップS156を繰り返し行う。
一方、ステップS152の判定結果が偽ならば(S152のNo)、すなわち、未処理のマージブロック候補がなくなれば、ステップS157において、インター予測制御部111は、最終的に設定されているマージフラグおよびマージブロックインデックスの値を確定する。
このように、本実施の形態に係る画像符号化装置100によれば、既に導出されたマージブロック候補に基づいて、2方向予測のマージブロック候補を新たに算出することによって、符号化効率を向上することが可能になる。より具体的には、画像符号化装置100は、隣接ブロックおよびco−locatedブロックから算出された複数のマージブロック候補に基づいて、一のマージブロック候補の予測方向0の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、他の一のマージブロック候補の予測方向1の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを組み合わせることにより、2方向予測のマージブロック候補(combinedマージブロック候補)を算出することができる。そして、画像符号化装置100は、このように算出されたcombinedマージブロック候補をマージブロック候補リストに追加することにより、符号化効率を向上できる。また、画像符号化装置100は、マージ不可能候補あるいは重複候補をマージブロック候補リストから削除した後にcombinedマージブロック候補をマージブロック候補リストに追加することによって、最大マージブロック候補数を増やさずに、符号化効率を向上することができる。
なお、本実施の形態では、マージモードにおいて常にマージフラグがビットストリームに付加される例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、符号化対象ブロックのインター予測に用いるブロック形状等に応じて、強制的にマージモードが選択されるようにしてもよい。その場合には、マージフラグをビットストリームに付加しないことで情報量を削減しても構わない。
なお、本実施の形態では、符号化対象ブロックの隣接ブロックから予測方向、動きベクトル、および参照ピクチャインデックスをコピーして、符号化対象ブロックの符号化を行うマージモードを用いた例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、スキップマージモードが用いられてもよい。スキップマージモードでは、図11の(b)のように作成されたマージブロック候補リストを用いて、マージモードと同様に符号化対象ブロックの隣接ブロックから予測方向、動きベクトル、および参照ピクチャインデックスをコピーして、符号化対象ブロックの符号化を行う。その結果、符号化対象ブロックのすべての予測誤差データが0であれば、スキップフラグを1にセットし、スキップフラグおよびマージブロックインデックスをビットストリームに付加する。また、予測誤差データが0でなければ、スキップフラグを0にセットして、スキップフラグ、マージフラグ、マージブロックインデックス、および予測誤差データをビットストリームに付加する。
なお、本実施の形態では、符号化対象ブロックの隣接ブロックから予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスをコピーして、符号化対象ブロックの符号化を行うマージモードを用いた例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、図11の(b)のように作成したマージブロック候補リストを用いて、動きベクトル検出モードの動きベクトルを符号化しても構わない。つまり、動きベクトル検出モードの動きベクトルから、マージブロックインデックスで指定したマージブロック候補の動きベクトルを減ずることにより差分を求める。そして、求められた差分およびマージブロックインデックスをビットストリームに付随するようにしても構わない。
また、動き検出モードの参照ピクチャインデックスRefIdx_MEと、マージブロック候補の参照ピクチャインデックスRefIdx_Mergeとを用いて、マージブロック候補の動きベクトルMV_Mergeをスケーリングし、動き検出モードの動きベクトルからスケーリング後のマージブロック候補の動きベクトルscaledMV_Mergeを減ずることにより差分を求めてもよい。そして、求められた差分およびマージブロックインデックスをビットストリームに付加しても構わない。スケーリングの式の例を以下に示す。
(式2)
scaledMV_Merge=MV_Merge×(POC(RefIdx_ME)-curPOC)/(POC(RefIdx_Merge)-curPOC)
ここで、POC(RefIdx_ME)は、参照ピクチャインデックスRefIdx_MEが示す参照ピクチャの表示順を示す。POC(RefIdx_Merge)は、参照ピクチャインデックスRefIdx_Mergeが示す参照ピクチャの表示順を示す。curPOCは、符号化対象ピクチャの表示順を示す。
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、マージブロック候補算出部114は、図15のステップS147において、算出されたcombinedマージブロックが重複候補であるかどうかを判定したが、必ずしもこのように判定する必要はない。例えば、ステップS147の判定は省略されてもよい。これにより、画像符号化装置100は、マージブロック候補の導出の処理量を削減することができる。
また、上記実施の形態1では、マージブロック候補数が最大マージブロック候補数に達するまで、combinedマージブロック候補をマージブロック候補リストに追加するようにしたが、必ずしもこれに限らない。例えば、図14のステップS131において、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補数が、最大マージブロック候補数より小さい閾値であって、あらかじめ設定された閾値に達しているかどうかを判定するようにしても構わない。これにより、画像符号化装置100は、マージブロック候補リスト導出の処理量を削減できる。
また、上記実施の形態1では、マージブロック候補数が最大マージブロック候補数に達すれば、combinedマージブロック候補の追加を終了したが、必ずしもこれに限らない。例えば、図14のステップS131において、マージブロック候補算出部114は、マージブロック候補数が最大マージブロック候補数に達しているかどうかを判定せずに、新たなcombinedマージブロック候補がなくなるまで、マージブロック候補リストにcombinedマージブロック候補を追加しても構わない。これにより、画像符号化装置100は、マージブロック候補の選択の幅を広げることができ、符号化効率を向上できる。
以上のような、実施の形態1に係る画像符号化装置の変形例を、実施の形態2に係る画像符号化装置として以下に具体的に説明する。
図17は、実施の形態2に係る画像符号化装置200の構成を示すブロック図である。この画像符号化装置200は、画像をブロック毎に符号化することでビットストリームを生成する。画像符号化装置200は、マージ候補導出部210と、予測制御部220と、符号化部230とを備える。
マージ候補導出部210は、上記実施の形態1におけるマージブロック候補算出部114に対応する。マージ候補導出部210は、マージ候補を導出する。そして、マージ候補導出部210は、例えば、導出された各マージ候補に、当該マージ候補を特定するためのインデックス(以下、「マージインデックス」と呼ぶ)を対応付けたマージ候補リストを生成する。
マージ候補とは、符号化対象ブロックの符号化に用いられる予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの候補である。つまり、マージ候補は、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスのセットを少なくとも1つ含む。
なお、マージ候補は、実施の形態1のマージブロック候補に対応する。マージ候補リストは、マージブロック候補リストと同じである。
図17に示すように、マージ候補導出部210は、第1導出部211と、第2導出部212とを備える。
第1導出部211は、符号化対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックの符号化に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスに基づいて、複数の第1マージ候補を導出する。そして、第1導出部211は、例えば、このように導出された各第1マージ候補をマージインデックスに対応付けてマージ候補リストに登録する。
空間的に隣接するブロックとは、符号化対象ブロックを含むピクチャ内のブロックであって、符号化対象ブロックに隣接するブロックである。具体的には、空間的に隣接するブロックは、例えば、図3に示す隣接ブロックA〜Dである。
時間的に隣接するブロックとは、符号化対象ブロックを含むピクチャと異なるピクチャに含まれるブロックであって、符号化対象ブロックと対応するブロックである。具体的には、時間的に隣接するブロックは、例えば、co−locatedブロックである。
なお、時間的に隣接するブロックは、必ずしも符号化対象ブロックと同じ位置のブロック(co−locatedブロック)である必要はない。例えば、時間的に隣接するブロックは、co−locatedブロックに隣接するブロックであってもよい。
なお、第1導出部211は、例えば、符号化対象ブロックに空間的に隣接するブロックのうちマージ不可能ブロックを除くブロックの符号化に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを、第1マージ候補として導出してもよい。マージ不可能ブロックとは、イントラ予測で符号化されたブロック、符号化対象ブロックを含むスライスもしくはピクチャ境界外に位置するブロック、または、まだ符号化されていないブロックである。これにより、第1導出部211は、マージ候補を得るために適切なブロックから第1マージ候補を導出することができる。
第2導出部212は、導出された複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する。具体的には、第2導出部212は、例えば、複数の第1マージ候補のうちの1つの第1マージ候補に含まれる第1予測方向(予測方向0)の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、他の1つの第1マージ候補に含まれる第2予測方向(予測方向1)の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する。より具体的には、第2導出部212は、例えば、実施の形態1におけるcombinedマージブロック候補の導出(図15等)と同様に、第2マージ候補を導出する。
さらに、第2導出部212は、例えば、このように導出された第2マージ候補をマージインデックスに対応付けてマージ候補リストに登録する。このとき、第2導出部212は、実施の形態1と同様に、第1マージ候補に第2マージ候補よりも小さい値のマージインデックスが割り当たるように、第2マージ候補をマージ候補リストに登録してもよい。これにより、画像符号化装置200は、第2マージ候補よりも第1マージ候補が符号化に用いられるマージ候補として選択される可能性が高い場合に、符号量を削減でき、符号化効率を向上させることができる。
予測制御部220は、導出された第1マージ候補および第2マージ候補の中から符号化対象ブロックの符号化に用いられるマージ候補を選択する。つまり、予測制御部220は、マージ候補リストから、符号化対象ブロックの符号化に用いられるマージ候補を選択する。
符号化部230は、選択されたマージ候補を特定するためのインデックス(マージインデックス)をビットストリームに付加する。例えば、符号化部230は、導出された第1マージ候補の数と第2マージ候補の数との和(マージ候補数)を用いてマージインデックスを符号化し、符号化されたマージインデックスをビットストリームに付加する。
次に、以上のように構成された画像符号化装置200の各種動作について説明する。
図18は、実施の形態2に係る画像符号化装置200の処理動作を示すフローチャートである。
まず、第1導出部211は、複数の第1マージ候補を導出する(S201)。続いて、第2導出部212は、第2マージ候補を導出する(S202)。
そして、予測制御部220は、第1マージ候補および第2マージ候補の中から符号化対象ブロックの符号化に用いられるマージ候補を選択する(S203)。例えば、予測制御部220は、実施の形態1と同様に、マージ候補リストから、式1に示すコストが最小となるマージ候補を選択する。
最後に、符号化部230は、選択されたマージ候補を特定するためのインデックスをビットストリームに付加する(S204)。
以上のように、本実施の形態に係る画像符号化装置200によれば、符号化対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックに基づいて導出された複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出することができる。特に、複数の第1マージ候補の中に2方向予測のマージ候補が含まれていない場合であっても、画像符号化装置200は、2方向予測の第2マージ候補を新たに導出することができる。その結果、画像符号化装置200は、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増加させることができ、符号化効率を向上させることが可能となる。
(実施の形態3)
図19は、実施の形態3に係る画像復号装置300の構成を示すブロック図である。この画像復号装置300は、実施の形態1に係る画像符号化装置100に対応する装置である。画像復号装置300は、例えば、実施の形態1に係る画像符号化装置100によって生成されたビットストリームに含まれる符号化画像をブロック毎に復号する。
画像復号装置300は、図19に示すように、可変長復号部301と、逆量子化部302と、逆直交変換部303と、加算部304と、ブロックメモリ305と、フレームメモリ306と、イントラ予測部307と、インター予測部308と、インター予測制御部309と、スイッチ310と、マージブロック候補算出部311と、colPicメモリ312とを備える。
可変長復号部301は、入力されたビットストリームに対し、可変長復号処理を行い、ピクチャタイプ情報、マージフラグ、および量子化係数を生成する。また、可変長復号部301は、マージブロック候補算出部311が算出したマージブロック候補数を用いて、マージブロックインデックスの可変長復号処理を行う。
逆量子化部302は、可変長復号処理によって得られた量子化係数に対し、逆量子化処理を行う。
逆直交変換部303は、逆量子化処理によって得られた直交変換係数を、周波数領域から画像領域へ変換することにより、予測誤差データを生成する。
ブロックメモリ305には、予測誤差データと予測画像データとが加算されて生成された復号画像データが、ブロック単位で保存される。
フレームメモリ306には、復号画像データがフレーム単位で保存される。
イントラ予測部307は、ブロックメモリ305に保存されているブロック単位の復号画像データを用いてイントラ予測することにより、復号対象ブロックの予測画像データを生成する。
インター予測部308は、フレームメモリ306に保存されているフレーム単位の復号画像データを用いてインター予測することにより、復号対象ブロックの予測画像データを生成する。
スイッチ310は、復号対象ブロックがイントラ予測復号される場合に、イントラ予測部307によって生成されたイントラ予測画像データを、復号対象ブロックの予測画像データとして加算部304に出力する。一方、スイッチ310は、復号対象ブロックがインター予測復号される場合に、インター予測部308によって生成されたインター予測画像データを、復号対象ブロックの予測画像データとして加算部304に出力する。
マージブロック候補算出部311は、復号対象ブロックの隣接ブロックの動きベクトル等、および、colPicメモリ312に格納されているco−locatedブロックの動きベクトル等(colPic情報)を用いて、複数のマージブロック候補を導出する。さらに、マージブロック候補算出部311は、導出された複数のマージブロック候補をマージブロック候補リストに追加する。
また、マージブロック候補算出部311は、後述する方法で、互いに異なるマージブロック候補が持つ、予測方向0の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、予測方向1の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを組み合わせることによって、combinedマージブロック候補を新規候補として導出する。そして、マージブロック候補算出部311は、導出されたcombinedマージブロック候補を新たにマージブロック候補リストに追加する。さらに、マージブロック候補算出部311は、マージブロック候補数を算出する。
また、マージブロック候補算出部311は、各マージブロック候補に対し、マージブロックインデックスの値を割り当てる。そして、マージブロック候補算出部311は、マージブロックインデックスの値が割り当てられたマージブロック候補を、インター予測制御部309に送信する。また、マージブロック候補算出部311は、算出されたマージブロック候補数を可変長復号部301に送信する。
インター予測制御部309は、復号されたマージフラグが「0」ならば、動きベクトル検出モードの情報を用いて、インター予測部308にインター予測画像を生成させる。一方、マージフラグが「1」ならば、インター予測制御部309は、複数のマージブロック候補から、復号されたマージブロックインデックスに基づいて、インター予測に用いる動きベクトル、参照ピクチャインデックスおよび予測方向を決定する。そして、インター予測制御部309は、決定された動きベクトル、参照ピクチャインデックスおよび予測方向を用いて、インター予測部308にインター予測画像を生成させる。また、インター予測制御部309は、復号対象ブロックの動きベクトル等を含むcolPic情報をcolPicメモリ312に転送する。
最後に、加算部304は、予測画像データと予測誤差データとを加算することにより、復号画像データを生成する。
図20は、実施の形態3に係る画像復号装置300の処理動作を示すフローチャートである。
ステップS301では、可変長復号部301は、マージフラグを復号する。
ステップS302において、マージフラグが「1」ならば(S302のYes)、ステップS303において、マージブロック候補算出部311は、図10のステップS101と同様の方法で、マージブロック候補を生成する。また、マージブロック候補算出部311は、マージブロック候補をマージブロック候補リストサイズとして算出する。
ステップS304では、可変長復号部301は、マージブロック候補リストサイズを用いて、ビットストリーム中のマージブロックインデックスを可変長復号する。
ステップS305では、インター予測制御部309は、復号されたマージブロックインデックスが示すマージブロック候補の動きベクトル、参照ピクチャインデックス、および、予測方向を用いてインター予測画像をインター予測部308に生成させる。
ステップS302において、マージフラグが「0」ならば(S302のNo)、ステップS306において、インター予測部308は、可変長復号部301によって復号された動きベクトル検出モードの情報を用いて、インター予測画像を生成する。
なお、ステップS303で算出されたマージブロック候補リストサイズが「1」の場合は、マージブロックインデックスは、復号されずに、「0」と推定されても構わない。
このように、実施の形態3に係る画像復号装置300によれば、既に導出されたマージブロック候補に基づいて、2方向予測のマージブロック候補を新たに算出することによって、符号化効率を向上したビットストリームを適切に復号することが可能になる。より具体的には、画像復号装置300は、隣接ブロックおよびco−locatedブロックから算出された複数のマージブロック候補に基づいて、一のマージブロック候補の予測方向0の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、他の一のマージブロック候補の予測方向1の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを組み合わせることにより、2方向予測のマージブロック候補(combinedマージブロック候補)を算出することができる。そして、画像符号化装置100は、このように算出されたcombinedマージブロック候補をマージブロック候補リストに追加することにより、符号化効率を向上したビットストリームを適切に復号することが可能になる。
また、画像符号化装置100は、マージ不可能候補あるいは重複候補をマージブロック候補リストから削除した後にcombinedマージブロック候補をマージブロック候補リストに追加することによって、最大マージブロック候補数を増やさずに、符号化効率を向上したビットストリームを適切に復号することが可能になる。
(実施の形態4)
上記実施の形態3に係る画像復号装置は、図19に示すような構成要素を備えていたが、必ずしもすべての構成要素を備える必要はない。以下に、実施の形態3に係る画像復号装置の変形例として、実施の形態4に係る画像復号装置を具体的に説明する。
図21は、実施の形態4に係る画像復号装置400の構成を示すブロック図である。この画像復号装置400は、実施の形態2に係る画像符号化装置200に対応する装置である。画像復号装置400は、例えば、実施の形態2に係る画像符号化装置200によって生成されたビットストリームに含まれる符号化画像をブロック毎に復号する。
図21に示すように、画像復号装置400は、マージ候補導出部410と、復号部420と、予測制御部430とを備える。
マージ候補導出部410は、上記実施の形態3におけるマージブロック候補算出部311に対応する。マージ候補導出部410は、マージ候補を導出する。そして、マージ候補導出部410は、例えば、導出された各マージ候補に、当該マージ候補を特定するためのインデックス(マージインデックス)を対応付けたマージ候補リストを生成する。
図21に示すように、マージ候補導出部410は、第1導出部411と、第2導出部412とを備える。
第1導出部411は、第1導出部411は、実施の形態2の第1導出部211と同様に複数の第1マージ候補を導出する。具体的には、第1導出部411は、復号対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックの符号化に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスに基づいて各第1マージ候補を導出する。そして、第1導出部411は、例えば、このように導出された各第1マージ候補をマージインデックスに対応付けてマージ候補リストに登録する。
第2導出部412は、導出された複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する。具体的には、第2導出部412は、実施の形態2の第2導出部212と同様に第2マージ候補を導出する。そして、第2導出部412は、例えば、このように導出された第2マージ候補をマージインデックスに対応付けてマージ候補リストに登録する。
より具体的には、第2導出部412は、例えば、複数の第1マージ候補のうちの1つの第1マージ候補に含まれる第1予測方向(予測方向0)の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、他の1つの第1マージ候補に含まれる第2予測方向(予測方向1)の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する。
復号部420は、ビットストリームから、マージ候補を特定するためのインデックスを取得する。例えば、復号部420は、導出された第1マージ候補の数と第2マージ候補の数との和(マージ候補数)を用いて、ビットストリームに付加された符号化されたマージインデックスを復号することにより、マージインデックスを取得する。
予測制御部430は、取得されたインデックスに基づいて、導出された第1マージ候補および第2マージ候補の中から復号対象ブロックの復号に用いられるマージ候補を選択する。つまり、予測制御部430は、マージ候補リストから、復号対象ブロックの復号に用いられるマージ候補を選択する。
次に、以上のように構成された画像復号装置400の各種動作について説明する。
図22は、実施の形態4に係る画像復号装置400の処理動作を示すフローチャートである。
まず、第1導出部411は、第1マージ候補を導出する(S401)。続いて、第2導出部412は、第2マージ候補を導出する(S402)。そして、復号部420は、ビットストリームからマージインデックスを取得する(S403)。
最後に、予測制御部220は、取得されたインデックスに基づいて、第1マージ候補および第2マージ候補の中から復号対象ブロックの復号に用いられるマージ候補を選択する(S404)。
以上のように、本実施の形態に係る画像復号装置400によれば、復号対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックに基づいて導出された複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出することができる。特に、複数の第1マージ候補の中に2方向予測のマージ候補が含まれていない場合であっても、画像復号装置400は、2方向予測の第2マージ候補を新たに導出することができる。その結果、画像復号装置400は、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増加させることができ、符号化効率が向上されたビットストリームを適切に復号することが可能となる。
(実施の形態5)
実施の形態5では、マージブロック候補リストサイズの導出方法が実施の形態1と異なる。本実施の形態におけるマージブロック候補リストサイズの導出方法について詳細に説明する。
実施の形態1のマージモードでは、マージブロックインデックスを符号化または復号する際に用いられるマージブロック候補リストサイズに、マージブロック候補数が設定される。このマージブロック候補数は、co−locatedブロック等を含む参照ピクチャ情報を用いてマージ不可能候補あるいは重複候補を削除した後に得られる。
そのため、画像符号化装置と画像復号装置とでマージブロック候補数に不一致が発生した場合等に、マージブロックインデックスに割り当てるビット列に画像符号化装置と画像復号装置とで不一致が生じる。その結果、画像復号装置は、ビットストリームを正しく復号できなくなる場合がある。
例えば、伝送路等で発生したパケットロス等により、co−locatedブロックとして参照していた参照ピクチャの情報がロスされた場合、co−locatedブロックの動きベクトルあるいは参照ピクチャインデックスが不明となる。そのため、co−locatedブロックから生成されるマージブロック候補の情報が不明となる。このような場合、復号時にマージブロック候補からマージ不可能候補あるいは重複候補を正しく削除することができなくなる。その結果、画像復号装置は、マージブロック候補リストサイズを正しく求めることができず、マージブロックインデックスを正常に復号できなくなる。
そこで、本実施の形態に係る画像符号化装置は、マージブロックインデックスを符号化または復号する際に用いるマージブロック候補リストサイズを、co−locatedブロック等を含む参照ピクチャ情報に依存しない方法で算出する。そのため、画像符号化装置は、エラー耐性を向上することが可能である。
図23は、実施の形態5に係る画像符号化装置500の構成を示すブロック図である。なお、図23において、図9と同様の構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。
画像符号化装置500は、図23に示すように、減算部101と、直交変換部102と、量子化部103と、逆量子化部104と、逆直交変換部105と、ブロックメモリ107と、フレームメモリ108と、イントラ予測部109と、インター予測部110と、インター予測制御部111と、ピクチャタイプ決定部112と、スイッチ113と、マージブロック候補算出部514と、colPicメモリ115と、可変長符号化部516とを備える。
マージブロック候補算出部514は、符号化対象ブロックの隣接ブロックの動きベクトル等、および、colPicメモリ115に格納されているco−locatedブロックの動きベクトル等(colPic情報)を用いて、マージモードのマージブロック候補を導出する。そして、マージブロック候補算出部514は、後述する方法で、マージ可能候補数を算出する。
また、マージブロック候補算出部514は、導出したマージブロック候補に対して、マージブロックインデックスの値を割り当てる。そして、マージブロック候補算出部514は、マージブロック候補とマージブロックインデックスとを、インター予測制御部111に送信する。また、マージブロック候補算出部514は、算出したマージ可能候補数を可変長符号化部116に送信する。
可変長符号化部516は、量子化処理された予測誤差データ、マージフラグ、およびピクチャタイプ情報に対し、可変長符号化処理を行うことで、ビットストリームを生成する。また、可変長符号化部516は、マージ可能候補数をマージブロック候補リストサイズに設定する。そして、可変長符号化部516は、符号化に用いるマージブロックインデックスに、マージブロック候補リストサイズに応じたビット列を割り当てて可変長符号化を行う。
図24は、実施の形態5に係る画像符号化装置500の処理動作を示すフローチャートである。なお、図24において、図10と同様のステップについては、同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
ステップS501では、マージブロック候補算出部514は、符号化対象ブロックの隣接ブロックおよびco−locatedブロックからマージブロック候補を導出する。また、マージブロック候補算出部514は、後述する方法で、マージブロック候補リストサイズを算出する。
例えば、図3のような場合では、マージブロック候補算出部514は、隣接ブロックA〜Dをマージブロック候補として選択する。さらに、マージブロック候補算出部514は、co−locatedブロックの動きベクトルから時間予測モードによって算出した動きベクトル等を含むco−locatedマージブロックをマージブロック候補として算出する。
マージブロック候補算出部514は、図25の(a)のように、各マージブロック候補に対してマージブロックインデックスを割り当てる。そして、マージブロック候補算出部514は、後述する方法で、マージ不可能候補および重複候補の削除、および新規候補追加を行うことにより、図25の(b)のようなマージブロック候補リスト、および、マージブロック候補リストサイズを算出する。
マージブロックインデックスは、値が小さいほど短い符号が割り振られる。すなわち、マージブロックインデックスの値が小さい場合に、マージブロックインデックスに必要な情報量が少なくなる。
一方、マージブロックインデックスの値が大きくなると、マージブロックインデックスに必要な情報量が大きくなる。したがって、より精度が高い動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを有する可能性が高いマージブロック候補に対して、値が小さいマージブロックインデックスが割り当てられると、符号化効率が高くなる。
そこで、マージブロック候補算出部514は、例えば、マージブロックとして選ばれた回数をマージブロック候補毎に計測し、その回数が多いブロックに対し、値の小さいマージブロックインデックスを割り当ててもよい。具体的には、隣接ブロックにおいて選択されたマージブロックを特定しておき、対象ブロックの符号化の際に、特定したマージブロックに対するマージブロックインデックスの値を小さくすることが考えられる。
なお、マージブロック候補が、動きベクトル等の情報を有しない場合(イントラ予測で符号化されたブロックである場合、ピクチャやスライスの境界外などに位置するブロックである場合、あるいは、まだ符号化されていないブロックである場合など)には、そのマージブロック候補は、符号化に利用できない。
本実施の形態では、符号化に利用できないマージブロック候補をマージ不可能候補と呼ぶ。また、符号化に利用できるマージブロック候補をマージ可能候補と呼ぶ。また、複数のマージブロック候補において、他のいずれかのマージブロック候補と、動きベクトル、参照ピクチャインデックス、および、予測方向のすべてが一致している候補を重複候補と呼ぶ。
図3の場合では、隣接ブロックCは、イントラ予測で符号化されたブロックであるので、マージ不可能候補とする。また、隣接ブロックDは、隣接ブロックAと動きベクトル、参照ピクチャインデックス、および、予測方向のすべてが一致しているので、重複候補とする。
ステップS102では、インター予測制御部111は、動き検出により導出された動きベクトルを用いて生成した予測画像の予測誤差と、マージブロック候補から得られた動きベクトルを用いて生成した予測画像の予測誤差とを比較し、予測モードを選択する。ここで、選択された予測モードがマージモードであれば、インター予測制御部111は、マージフラグを1にセットし、そうでなければ、マージフラグを0にセットする。
ステップS103では、マージフラグが1であるか否か(すなわち、予測モードがマージモードかどうか)が判定される。
ここで、ステップS103の判定結果が真ならば(S103のYes)、ステップS104において、可変長符号化部516は、マージフラグをビットストリームに付加する。さらに、ステップS505において、可変長符号化部516は、符号化に用いるマージブロック候補のマージブロックインデックスに図5に示すようなマージブロック候補リストサイズに応じたビット列を割り当てる。そして、可変長符号化部516は、割り当てられたビット列に対して可変長符号化を行う。
一方、ステップS103の判定結果が偽ならば(S103のNo)、ステップS106において、可変長符号化部516は、マージフラグおよび動き検出ベクトルモードの情報をビットストリームに付加する。
本実施の形態では、図25の(a)のように、マージブロックインデックスの値は、隣接ブロックAに対応するマージブロックインデックスの値として「0」が割り当てられる。また、隣接ブロックBに対応するマージブロックインデックスの値として「1」が割り当てられる。また、co−locatedマージブロックに対応するマージブロックインデックスの値として「2」が割り当てられる。また、隣接ブロックCに対応するマージブロックインデックスの値として「3」が割り当てられる。また、隣接ブロックDに対応するマージブロックインデックスの値として「4」が割り当てられる。
なお、必ずしも、マージブロックインデックスの値の割り当て方は、この例に限らない。例えば、可変長符号化部516は、実施の形態1に記載の方法を用いて新規候補を追加した場合、または、後述する方法を用いて新規候補を追加した場合などには、元々のマージブロック候補には小さい値を割り当て、新規候補には大きい値を割り当ててもよい。つまり、可変長符号化部516は、元々のマージブロック候補に優先して小さな値のマージブロックブロックインデックスを割り当てても構わない。
また、必ずしも、マージブロック候補は、隣接ブロックA〜Dの位置に限定されない。例えば、左下隣接ブロックDの上に位置する隣接ブロック等がマージブロック候補として用いられても構わない。また、必ずしもすべての隣接ブロックがマージブロック候補として使用される必要はない。例えば、隣接ブロックA、Bのみがマージブロック候補として用いられてもよい。
また、本実施の形態では、図24のステップS505において、可変長符号化部516は、マージブロックインデックスをビットストリームに付加したが、必ずしもマージブロックインデックスをビットストリームに付加する必要はない。例えば、可変長符号化部116は、マージブロック候補リストサイズが1の場合は、マージブロックインデックスをビットストリームに付加しなくてもよい。これにより、マージブロックインデックスの情報量を削減できる。
図26は、図24のステップS501の詳細な処理を示すフローチャートである。具体的には、図26は、マージブロック候補、および、マージブロック候補リストサイズを算出する方法を表す。以下、図26について説明する。
ステップS511では、マージブロック候補算出部514は、マージブロック候補[N]がマージ可能候補であるかどうかを後述する方法で判定する。そして、マージブロック候補算出部514は、判定結果に従って、マージ可能候補数を更新する。
ここで、Nは各マージブロック候補を表すためのインデックス値である。本実施の形態では、Nは0から4までの値をとる。具体的には、マージブロック候補[0]には図3の隣接ブロックAが割り振られる。また、マージブロック候補[1]には図3の隣接ブロックBが割り振られる。また、マージブロック候補[2]にはco−locatedマージブロックが割り振られる。また、マージブロック候補[3]には図3の隣接ブロックCが割り振られる。また、マージブロック候補[4]には図5の隣接ブロックDが割り振られる。
ステップS512では、マージブロック候補算出部514は、マージブロック候補[N]の動きベクトル、参照ピクチャインデックス、および予測方向を取得して、マージブロック候補リストに追加する。
ステップS513では、マージブロック候補算出部514は、図25に示すように、マージブロック候補リストからマージ不可能候補および重複候補を探索し、削除する。
ステップS514では、マージブロック候補算出部514は、実施の形態1に記載の方法、または、後述する方法で、マージブロック候補リストに新規候補を追加する。ここで、新規候補を追加する際には、マージブロック候補算出部514は、元々あるマージブロック候補に優先して小さい値のマージブロックインデックスが割り当たるように、マージブロックインデックスの値の再割り当てを行ってもよい。つまり、マージブロック候補算出部514は、新規候補には値が大きいマージブロックインデックスを割り当たるように、マージブロックインデックスの値の再割り当てを行ってもよい。これにより、マージブロックインデックスの符号量を削減できる。
ステップS515では、マージブロック候補算出部514は、ステップS511で算出されたマージ可能候補数をマージブロック候補リストサイズに設定する。図25の例では、後述する方法により、マージ可能候補数は「4」と算出され、マージブロック候補リストサイズには「4」が設定される。
なお、ステップS514における新規候補とは、実施の形態1に記載の方法、または、後述する方法で、マージブロック候補数がマージ可能候補数に達していない場合に、マージブロック候補に新たに追加される候補である。例えば、新規候補は、combinedマージブロック候補である。また例えば、新規候補は、図3における左下隣接ブロックDの上に位置する隣接ブロックであってもよい。また、新規候補は、例えば、co−locatedブロックの隣接ブロックA〜Dに対応するブロックであってもよい。また、新規候補は、例えば、参照ピクチャの画面全体または一定の領域における動きベクトル、参照ピクチャインデックスおよび予測方向の統計値などを持つブロックであってもよい。このように、マージブロック候補数がマージ可能候補数に達していない場合には、マージブロック候補算出部514は、新たな動きベクトル、参照ピクチャインデックスおよび予測方向を持つ新規候補を追加することによって、符号化効率を向上できる。
図27は、図26のステップS511の詳細な処理を示すフローチャートである。具体的には、図27は、マージブロック候補[N]がマージ可能候補かどうかを判定し、マージ可能候補数を更新する方法を表す。以下、図27について説明する。
ステップS521では、マージブロック候補算出部514は、マージブロック候補[N]が、(1)イントラ予測で符号化されたブロック、または、(2)符号化対象ブロックを含むスライスまたはピクチャ境界外に位置するブロック、または、(3)まだ符号化されていないブロックかどうかを判定する。
ここで、ステップS521の判定結果が真ならば(S521のYes)、ステップS522において、マージブロック候補算出部514は、マージブロック候補[N]をマージ不可能候補に設定する。一方、ステップS521の判定結果が偽ならば(S521のNo)、ステップS523において、マージブロック候補算出部514は、マージブロック候補[N]をマージ可能候補に設定する。
ステップS524では、マージブロック候補算出部514は、マージブロック候補[N]がマージ可能候補、または、co−locatedマージブロック候補であるかどうかを判定する。ここで、ステップS524の判定結果が真ならば(S524のYes)、ステップS525において、マージブロック候補算出部514は、マージブロック候補数に1を加算して、マージブロック候補数を更新する。一方、ステップS524の判定結果が偽ならば(S524のNo)、マージブロック候補算出部514は、マージ可能候補数を更新しない。
このように、マージブロック候補がco−locatedマージブロックの場合は、マージブロック候補算出部514は、co−locatedブロックがマージ可能候補かマージ不可能候補かに関らず、マージ可能候補数に1を加算する。これにより、パケットロス等でco−locatedマージブロックの情報がロスされた場合でも、画像符号化装置と画像復号装置とでマージ可能候補数に不一致が発生しない。
このマージ可能候補数は、図26のステップS515において、マージブロック候補リストサイズに設定される。さらに、図24のステップS505において、マージブロック候補リストサイズは、マージブロックインデックスの可変長符号化に用いられる。これによって、co−locatedブロック等を含む参照ピクチャ情報をロスした場合でも、画像符号化装置500は、マージブロックインデックスを正常に復号できるビットストリームを生成することが可能になる。
図28は、図26のステップS514の詳細な処理を示すフローチャートである。具体的には、図28は、新規候補を追加する方法を表す。以下、図28について説明する。
ステップS531では、マージブロック候補算出部514は、マージブロック候補数がマージ可能候補数より小さいか否かを判定する。つまり、マージブロック候補算出部514は、マージブロック候補数がマージ可能候補数に達していないかどうかを判定する。
ここで、ステップS531の判定結果が真ならば(S531のYes)、ステップS532において、マージブロック候補算出部514は、マージブロック候補としてマージブロック候補リストに追加可能な新規候補が存在するかどうかを判定する。ここで、ステップS532が真ならば(S532のYes)、ステップS533においてマージブロック候補算出部514は、新規候補にマージブロックインデックスの値を割り当て、マージブロック候補リストに新規候補を追加する。さらに、ステップS534において、マージブロック候補数に1を加算する。
一方、ステップS101またはステップS532の判定結果が偽ならば(S531またはS532のNo)、新規候補追加処理を終了する。つまり、マージブロック候補数がマージ可能候補数に達している場合、または、新規候補が存在しない場合は、新規候補追加処理を終了する。
このように、本実施の形態に係る画像符号化装置500によれば、マージブロックインデックスを符号化または復号する際に用いるマージブロック候補リストサイズを、co−locatedブロック等を含む参照ピクチャ情報に依存しない方法で算出することができる。これによって、画像符号化装置500は、エラー耐性を向上することが可能になる。
より具体的には、本実施の形態に係る画像符号化装置500は、co−locatedマージブロックがマージ可能候補かどうかに関らず、マージブロック候補がco−locatedマージブロックであれば常にマージ可能候補数に1を加算する。そして、画像符号化装置500は、このようにして算出したマージ可能候補数を用いて、マージブロックインデックスに割り当てるビット列を決定する。これにより、画像符号化装置500は、co−locatedブロックを含む参照ピクチャ情報をロスした場合でも、マージブロックインデックスを正常に復号できるビットストリームを生成することが可能になる。
また、本実施の形態に係る画像符号化装置500は、マージブロック候補数が、マージ可能候補数に達していない場合には、新たな動きベクトル、参照ピクチャインデックスおよび予測方向を持つ新規候補をマージブロック候補として追加することによって、符号化効率を向上できる。
なお、本実施の形態では、マージモードにおいて常にマージフラグがビットストリームに付加される例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、符号化対象ブロックのインター予測に用いるブロック形状等に応じて、強制的にマージモードが選択されるようにしてもよい。その場合には、マージフラグをビットストリームに付加しないことで情報量を削減しても構わない。
なお、本実施の形態では、符号化対象ブロックの隣接ブロックから予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスをコピーして、符号化対象ブロックの符号化を行うマージモードを用いた例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、スキップマージモードが用いられてもよい。スキップマージモードでは、図25の(b)のように作成されたマージブロック候補リストを用いて、マージモードと同様に符号化対象ブロックの隣接ブロックから予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスをコピーして、符号化対象ブロックの符号化を行う。その結果、符号化対象ブロックのすべての予測誤差データが0であれば、スキップフラグを1にセットし、スキップフラグおよびマージブロックインデックスをビットストリームに付加する。また、予測誤差データが0でなければ、スキップフラグを0にセットして、スキップフラグ、マージフラグ、マージブロックインデックス、および予測誤差データをビットストリームに付加する。
なお、本実施の形態は、符号化対象ブロックの隣接ブロックから予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスをコピーして、符号化対象ブロックの符号化を行うマージモードを用いた例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、図25の(b)のように作成したマージブロック候補リストを用いて、動きベクトル検出モードの動きベクトルを符号化しても構わない。つまり、動きベクトル検出モードの動きベクトルから、マージブロックインデックスで指定したマージブロック候補の動きベクトルを減ずることにより差分を求める。そして、求められた差分およびマージブロックインデックスをビットストリームに付加しても構わない。
また、動き検出モードの参照ピクチャインデックスRefIdx_MEと、マージブロック候補の参照ピクチャインデックスRefIdx_Mergeとを用いて、マージブロック候補の動きベクトルMV_Mergeを式2のようにスケーリングし、動き検出モードの動きベクトルからスケーリング後のマージブロック候補の動きベクトルscaledMV_Mergeを減ずることにより差分を求めてもよい。そして、求められた差分およびマージブロックインデックスをビットストリームに付加しても構わない。
(実施の形態6)
上記実施の形態5では、画像符号化装置は、co−locatedマージブロックがマージ可能候補かどうかに関らず、マージブロック候補がco−locatedマージブロックであれば常に1を加算するようにして算出したマージ可能候補数を用いて、マージブロックインデックスに割り当てるビット列を決定した。しかしながら、画像符号化装置は、例えば、図27のステップS524において、co−locatedマージブロック以外のマージブロック候補に対しても、必ず常に1を加算するようにして算出したマージ可能候補数を用いて、マージブロックインデックスに割り当てるビット列を決定してもよい。すなわち、画像符号化装置は、マージブロック候補数の最大値Nに固定されたマージブロック候補リストサイズを用いて、マージブロックインデックスにビット列を割り当てても構わない。つまり、画像符号化装置は、全てのマージブロック候補をマージ可能候補とみなし、マージブロック候補リストサイズを、マージブロック候補数の最大値Nに固定して、マージブロックインデックスを符号化しても構わない。
例えば、上記実施の形態5では、マージブロック候補数の最大値Nは5であるため(隣接ブロックA、隣接ブロックB、co−locatedマージブロック、隣接ブロックC、隣接ブロックD)、画像符号化装置は、常にマージブロック候補リストサイズに5を設定して、マージブロックインデックスを符号化しても構わない。また、例えば、マージブロック候補数の最大値Nが4(隣接ブロックA、隣接ブロックB、隣接ブロックC、隣接ブロックD)の場合には、画像符号化装置は、常にマージブロック候補リストサイズに4を設定して、マージブロックインデックスを符号化しても構わない。
このように、画像符号化装置は、マージブロック候補数の最大値に応じて、マージブロック候補リストサイズを決定しても構わない。これにより、画像復号装置の可変長復号部が、ビットストリーム中のマージブロックインデックスを、隣接ブロックあるいはco−locatedブロックの情報を参照せずに復号することができるビットストリームを生成することが可能となり、可変長復号部の処理量を削減することができる。
以上のような、実施の形態5に係る画像符号化装置の変形例を、実施の形態6に係る画像符号化装置として以下に具体的に説明する。
図29は、実施の形態6に係る画像符号化装置600の構成を示すブロック図である。この画像符号化装置600は、画像をブロック毎に符号化することでビットストリームを生成する。画像符号化装置600は、マージ候補導出部610と、予測制御部620と、符号化部630とを備える。
マージ候補導出部610は、上記実施の形態5におけるマージブロック候補算出部514に対応する。マージ候補導出部610は、マージ候補を導出する。そして、マージ候補導出部610は、例えば、導出された各マージ候補に、当該マージ候補を特定するためのインデックスを対応付けたマージ候補リストを生成する。
図29に示すように、マージ候補導出部610は、決定部611と、第1導出部612と、特定部613と、判定部614と、第2導出部615とを備える。
決定部611は、マージ候補の最大数を決定する。つまり、決定部611は、マージブロック候補数の最大値Nを決定する。
例えば、決定部611は、入力画像列(シーケンス、ピクチャ、スライス、またはブロックなど)の特徴に基づいて、マージ候補の最大数を決定する。また例えば、決定部611は、予め定められた数をマージ候補の最大数と決定してもよい。
第1導出部612は、符号化対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックの符号化に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスに基づいて、複数の第1マージ候補を導出する。ここで、第1導出部612は、第1マージ候補の数が最大数を超えないように複数の第1マージ候補を導出する。そして、第1導出部612は、例えば、このように導出された各第1マージ候補をマージインデックスに対応付けてマージ候補リストに登録する。
なお、第1導出部612は、例えば、符号化対象ブロックに空間的に隣接するブロックのうちマージ不可能ブロックを除くブロックの符号化に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを、第1マージ候補として導出してもよい。マージ不可能ブロックとは、イントラ予測で符号化されたブロック、符号化対象ブロックを含むスライスもしくはピクチャ境界外に位置するブロック、または、まだ符号化されていないブロックである。これにより、第1導出部612は、マージ候補を得るために適切なブロックから第1マージ候補を導出することができる。
特定部613は、導出された複数の第1マージ候補の中から、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスが他の第1マージ候補と重複する第1マージ候補(重複候補)を特定する。そして、特定部613は、特定された重複候補をマージ候補リストから削除する。
判定部614は、第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいか否かを判定する。ここでは、判定部614は、特定された重複する第1マージ候補を除く第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいか否かを判定する。
第2導出部615は、第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいと判定された場合に、複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する。具体的には、第2導出部615は、第1マージ候補の数と第2マージ候補の数との和が最大数を超えないように第2マージ候補を導出する。ここでは、第2導出部615は、重複候補を除く第1マージ候補の数と第2マージ候補の数との和が最大数を超えないように第2マージ候補を導出する。具体的には、第2導出部212は、例えば、実施の形態1におけるcombinedマージブロック候補の導出(図15等)と同様に、第2マージ候補を導出する。
より具体的には、第2導出部615は、例えば、複数の第1マージ候補のうちの1つの第1マージ候補に含まれる第1予測方向(予測方向0)の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、他の1つの第1マージ候補に含まれる第2予測方向(予測方向1)の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する。
そして、第2導出部615は、例えば、このように導出された第2マージ候補をマージインデックスに対応付けてマージ候補リストに登録する。このとき、第2導出部615は、第1マージ候補に第2マージ候補よりも小さい値のマージインデックスが割り当たるように、第2マージ候補をマージ候補リストに登録してもよい。これにより、画像符号化装置600は、第2マージ候補よりも第1マージ候補が符号化に用いられるマージ候補として選択される可能性が高い場合に、符号量を削減でき、符号化効率を向上させることができる。
なお、第2導出部615は、必ずしも、第1マージ候補の数と第2マージ候補の数との和が決定された最大数と一致するように、第2マージ候補を導出する必要はない。第1マージ候補の数と第2マージ候補の数との和が決定された最大数より小さい場合には、例えば、マージ候補が対応付けられていないマージインデックスの値が存在してもよい。
予測制御部620は、第1マージ候補および第2マージ候補の中から符号化対象ブロックの符号化に用いられるマージ候補を選択する。つまり、予測制御部620は、マージ候補リストから、符号化対象ブロックの符号化に用いられるマージ候補を選択する。
符号化部630は、選択されたマージ候補を特定するためのインデックス(マージインデックス)を、決定された最大数を用いて符号化する。具体的には、符号化部630は、図5に示すように、選択されたマージ候補のインデックス値に割り当てられたビット列を可変長符号化する。さらに、符号化部630は、符号化されたインデックスをビットストリームに付加する。
ここで、符号化部630は、さらに、決定部611によって決定された最大数を示す情報をビットストリームに付加してもよい。具体的には、符号化部630は、最大数を示す情報を、例えばスライスヘッダなどに書き込んでもよい。これにより、適切な単位で最大数を切り替えることができ、符号化効率を向上させることが可能となる。
なお、符号化部630は、必ずしも最大数を示す情報をビットストリームに付加する必要はない。例えば、最大数が規格により予め定められている場合、または、最大数が既定値と同じ場合などには、符号化部630は、最大数を示す情報をビットストリームに付加しなくてもよい。
次に、以上のように構成された画像符号化装置600の各種動作について説明する。
図30は、実施の形態6に係る画像符号化装置600の処理動作を示すフローチャートである。
まず、決定部611は、マージ候補の最大数を決定する(S601)。第1導出部612は、複数の第1マージ候補を導出する(S602)。特定部613は、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスが他の第1マージ候補と重複する第1マージ候補(重複候補)を特定する(S603)。
判定部614は、重複候補を除く第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいか否かを判定する(S604)。ここで、重複候補を除く第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいと判定された場合(S604のYes)、第2導出部615は、複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する(S605)。一方、重複候補を除く第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいと判定されなかった場合(S604のNo)、第2導出部615は、第2マージ候補を導出しない。これらのステップS604およびステップS605は、実施の形態5におけるステップS514に相当する。
予測制御部620は、第1マージ候補および第2マージ候補の中から符号化対象ブロックの符号化に用いられるマージ候補を選択する(S606)。例えば、予測制御部620は、実施の形態1と同様に、マージ候補リストから、式1に示すコストが最小となるマージ候補を選択する。
符号化部630は、選択されたマージ候補を特定するためのインデックスを、決定された最大数を用いて符号化する(S607)。さらに、符号化部630は、符号化されたインデックスをビットストリームに付加する。
以上のように、本実施の形態に係る画像符号化装置600によれば、符号化対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックに基づいて導出された複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出することができる。特に、複数の第1マージ候補の中に2方向予測のマージ候補が含まれていない場合であっても、画像符号化装置600は、2方向予測の第2マージ候補を新たに導出することができる。その結果、画像符号化装置600は、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増加させることができ、符号化効率を向上させることが可能となる。
さらに、本実施の形態に係る画像符号化装置600によれば、マージ候補を特定するためのインデックスを、決定された最大数を用いて符号化することができる。つまり、実際に導出されるマージ候補の数に依存せずに、インデックスを符号化することができる。したがって、マージ候補の導出に必要な情報(例えば、co−locatedブロック等の情報)がロスされた場合でも、復号側ではインデックスを復号することができ、エラー耐性を向上させることが可能となる。また、復号側では、実際に導出されるマージ候補の数に依存せずにインデックスを復号できる。つまり、復号側では、マージ候補の導出処理を待たずにインデックスの復号処理を行うことができる。すなわち、マージ候補の導出処理とインデックスの復号処理とを並列に行うことが可能なビットストリームを生成することができる。
さらに、本実施の形態に係る画像符号化装置600によれば、第1マージ候補の数が最大数より小さいと判定された場合に、第2マージ候補を導出することができる。したがって、最大数を超えない範囲でマージ候補の数を増加させることができ、符号化効率を向上させることが可能となる。
また、本実施の形態に係る画像符号化装置600によれば、重複する第1マージ候補を除く第1マージ候補の数に応じて第2マージ候補を導出することができる。その結果、第2マージ候補の数を増加させることができ、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増やすことができる。したがって、さらに符号化効率を向上させることが可能となる。
なお、本実施の形態では、画像符号化装置600は、特定部613を備えていたが、必ずしも特定部613を備える必要はない。つまり、図30に示すフローチャートに、必ずしもステップS603が含まれる必要はない。このような場合であっても、画像符号化装置600は、マージ候補を特定するためのインデックスを、決定された最大数を用いて符号化することができるので、エラー耐性を向上させることが可能となる。
また、本実施の形態では、図30に示すように、第1導出部612が第1マージ候補を導出した後に、特定部613が重複候補を特定していたが、必ずしもこのように順に処理される必要はない。例えば、第1導出部612は、第1マージ候補を導出する過程において、重複候補を特定し、特定された重複候補が第1マージ候補に含まれないように、第1マージ候補を導出してもよい。つまり、第1導出部612は、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せが既に導出された第1マージ候補と重複しないマージ候補を第1マージ候補として導出してもよい。より具体的には、例えば、左隣接ブロックに基づくマージ候補が第1マージ候補として既に導出されている場合に、上隣接ブロックに基づくマージ候補が左隣接ブロックに基づくマージ候補と重複していなければ、第1導出部612は、上隣接ブロックに基づくマージ候補を第1マージ候補として導出してもよい。
つまり、第1導出部612は、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せが互いに重複しないように、複数の第1マージ候補を導出してもよい。これにより、第1導出部612は、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せが、既に導出された第1マージ候補と重複するマージ候補を、第1マージ候補から排除することができる。その結果、画像符号化装置600は、第2マージ候補の数を増加させることができ、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増やすことができる。したがって、第1導出部612は、さらに符号化効率を向上させることが可能となる。
(実施の形態7)
実施の形態7では、マージブロック候補リストサイズの導出方法が実施の形態3と異なる。本実施の形態におけるマージブロック候補リストサイズの導出方法について詳細に説明する。
図31は、実施の形態7に係る画像復号装置700の構成を示すブロック図である。なお、図31において、図19と同様の構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。
この画像復号装置700は、実施の形態5に係る画像符号化装置500に対応する装置である。画像復号装置700は、例えば、実施の形態5に係る画像符号化装置500によって生成されたビットストリームに含まれる符号化画像をブロック毎に復号する。
画像復号装置700は、図31に示すように、可変長復号部701と、逆量子化部302と、逆直交変換部303と、加算部304と、ブロックメモリ305と、フレームメモリ306と、イントラ予測部307と、インター予測部308と、インター予測制御部309と、スイッチ310と、マージブロック候補算出部711と、colPicメモリ312とを備える。
可変長復号部701は、入力されたビットストリームに対し、可変長復号処理を行い、ピクチャタイプ情報、マージフラグ、および量子化係数を生成する。また、可変長復号部701は、後述するマージ可能候補数を用いて、マージブロックインデックスの可変長復号処理を行う。
マージブロック候補算出部711は、復号対象ブロックの隣接ブロックの動きベクトル等、および、colPicメモリ312に格納されているco−locatedブロックの動きベクトル等(colPic情報)を用いて、マージモードのマージブロック候補を後述する方法で導出する。また、マージブロック候補算出部711は、導出した各マージブロック候補に対し、マージブロックインデックスの値を割り当てる。そして、マージブロック候補算出部711は、マージブロック候補と、マージブロックインデックスとを、インター予測制御部309に送信する。
図32は、実施の形態7に係る画像復号装置の処理動作を示すフローチャートである。
ステップS701では、可変長復号部701は、マージフラグを復号する。
ステップS702において、マージフラグが「1」ならば(S702のYes)、ステップS703において、マージブロック候補算出部711は、後述する方法で、マージ可能候補数を算出する。そして、マージブロック候補算出部711は、算出されたマージ可能候補数をマージブロック候補リストサイズに設定する。
続いて、ステップS704では、可変長復号部701は、マージブロック候補リストサイズを用いて、ビットストリーム中のマージブロックインデックスを可変長復号する。ステップS705では、マージブロック候補算出部711は、実施の形態1もしくは3に記載した方法、または、後述する方法で、復号対象ブロックの隣接ブロックおよびco−locatedブロックからマージブロック候補を生成する。
ステップS706では、インター予測制御部309は、復号されたマージブロックインデックスが示すマージブロック候補の動きベクトル、参照ピクチャインデックス、および、予測方向を用いてインター予測画像をインター予測部308に生成させる。
ステップS702において、マージフラグが「0」ならば(ステップS702のNo)、ステップS707において、インター予測部308は、可変長復号部701によって復号された動きベクトル検出モードの情報を用いて、インター予測画像を生成する。
なお、ステップS703で算出されたマージブロック候補リストサイズが「1」の場合は、マージブロックインデックスは、復号されずに、「0」と推定されても構わない。
図33は、図32のステップS703の詳細な処理を示すフローチャートである。具体的には、図33は、マージブロック候補[N]がマージ可能候補かどうかを判定し、マージ可能候補数を算出する方法を表す。以下、図33について説明する。
ステップS711では、マージブロック候補算出部711は、マージブロック候補[N]が、(1)イントラ予測で復号されたブロック、または、(2)復号対象ブロックを含むスライスまたはピクチャ境界外に位置するブロック、または、(3)まだ復号されていないブロックであるかどうかを判定する。
ここで、ステップS711の判定結果が真ならば(S711のYes)、ステップS712において、マージブロック候補算出部711は、マージブロック候補[N]をマージ不可能候補に設定する。一方、ステップS711の判定結果が偽ならば(S711のNo)、ステップS713において、マージブロック候補算出部711は、マージブロック候補[N]をマージ可能候補に設定する。
ステップS714では、マージブロック候補算出部711は、マージブロック候補[N]がマージ可能候補、または、co−locatedマージブロック候補であるかどうかを判定する。ここで、ステップS714の判定結果が真ならば(S714のYes)、ステップS715において、マージブロック候補算出部711は、マージブロック候補数に1を加算してマージブロック候補数を更新する。一方、ステップS714の判定結果が偽ならば(S714のNo)、マージブロック候補算出部711は、マージ可能候補数を更新しない。
このように、マージブロック候補がco−locatedマージブロックの場合は、マージブロック候補算出部711は、co−locatedブロックがマージ可能候補かマージ不可能候補かに関らず、マージ可能候補数に1を加算する。これにより、パケットロス等でco−locatedマージブロックの情報がロスされた場合でも、画像符号化装置と画像復号装置とでマージ可能候補数に不一致が発生しない。
このマージ可能候補数は、図32のステップS703において、マージブロック候補リストサイズに設定される。さらに、図32のステップS704において、マージブロックリストサイズは、マージブロックインデックスの可変長復号に用いられる。これによって、co−locatedブロック等を含む参照ピクチャ情報をロスした場合でも、画像復号装置700は、マージブロックインデックスを正常に復号することが可能になる。
図34は、図32のステップS705の詳細な処理を示すフローチャートである。具体的には、図34は、マージブロック候補を算出する方法を表す。以下、図34について説明する。
ステップS721では、マージブロック候補算出部711は、マージブロック候補[N]の動きベクトル、参照ピクチャインデックス、および予測方向を取得して、マージブロック候補リストに追加する。
ステップS722では、マージブロック候補算出部711は、図25に示すように、マージブロック候補リストからマージ不可能候補および重複候補を探索し、削除する。
ステップS723では、マージブロック候補算出部711は、実施の形態1もしくは3に記載の方法、または、図28と同様の方法で、マージブロック候補リストに新規候補を追加する。
図35は、マージブロックインデックスをビットストリームに付加する際のシンタックスの一例を表す。図35において、merge_idxはマージブロックインデックス、merge_flagはマージフラグを表す。NumMergeCandはマージブロック候補リストサイズを表し、本実施の形態では図33の処理フローで算出されたマージ可能候補数が設定される。
このように、本実施の形態に係る画像復号装置700によれば、マージブロックインデックスを符号化または復号する際に用いるマージブロック候補リストサイズを、co−locatedブロック等を含む参照ピクチャ情報に依存しない方法で算出することができる。これによって、画像復号装置700は、エラー耐性を向上したビットストリームを適切に復号することが可能になる。
より具体的には、本実施の形態に係る画像復号装置700は、co−locatedマージブロックがマージ可能候補かどうかに関らず、マージブロック候補がco−locatedマージブロックであれば常にマージ可能候補数に1を加算する。そして、画像復号装置700は、このようにして算出したマージ可能候補数を用いて、マージブロックインデックスに割り当てるビット列を決定する。これにより、画像復号装置700は、co−locatedブロックを含む参照ピクチャ情報をロスした場合でも、マージブロックインデックスを正常に復号することが可能になる。
また、本実施の形態に係る画像復号装置700は、マージブロック候補数が、マージ可能候補数に達していない場合には、新たな動きベクトル、参照ピクチャインデックスおよび予測方向を持つ新規候補をマージブロック候補として追加することによって、符号化効率を向上したビットストリームを適切に復号することが可能になる。
(実施の形態8)
上記実施の形態7では、画像復号装置は、co−locatedマージブロックがマージ可能候補かどうかに関らず、マージブロック候補がco−locatedマージブロックであれば常に1を加算するようにして算出したマージ可能候補数を用いて、マージブロックインデックスに割り当てるビット列を決定した。しかしながら、画像復号装置は、例えば、図33のステップS714において、co−locatedマージブロック以外のマージブロック候補に対しても、必ず常に1を加算するようにして算出したマージ可能候補数を用いて、マージブロックインデックスに割り当てるビット列を決定してもよい。すなわち、画像復号装置は、マージブロック候補数の最大値Nに固定されたマージブロック候補リストサイズを用いて、マージブロックインデックスにビット列を割り当てても構わない。つまり、画像復号装置は、全てのマージブロック候補をマージ可能候補とみなし、マージブロック候補リストサイズを、マージブロック候補数の最大値Nに固定して、マージブロックインデックスを復号しても構わない。
例えば、上記実施の形態7では、マージブロック候補数の最大値Nは5であるため(隣接ブロックA、隣接ブロックB、co−locatedマージブロック、隣接ブロックC、隣接ブロックD)、画像復号装置は、常にマージブロック候補リストサイズに5を設定して、マージブロックインデックスを復号しても構わない。これにより、画像復号装置の可変長復号部は、ビットストリーム中のマージブロックインデックスを、隣接ブロックあるいはco−locatedブロックの情報を参照せずに復号することが可能になる。その結果、例えば、図33のステップS714、およびステップS715の処理などを省略することができ、可変長復号部の処理量を削減できる。
図36は、マージブロック候補リストサイズをマージブロック候補数の最大値に固定した場合のシンタックスの一例を示す。図36のように、マージブロック候補リストサイズをマージブロック候補数の最大値に固定する場合は、NumMergeCandをシンタックスから削除できる。
以上のような、実施の形態7に係る画像復号装置の変形例を、実施の形態8に係る画像復号装置として以下に具体的に説明する。
図37は、実施の形態8に係る画像復号装置800の構成を示すブロック図である。この画像復号装置800は、ビットストリームに含まれる符号化画像をブロック毎に復号する。具体的には、画像復号装置800は、例えば、実施の形態6に係る画像符号化装置600によって生成されたビットストリームに含まれる符号化画像をブロック毎に復号する。画像復号装置800は、マージ候補導出部810と、復号部820と、予測制御部830とを備える。
マージ候補導出部810は、上記実施の形態7におけるマージブロック候補算出部711に対応する。マージ候補導出部810は、マージ候補を導出する。そして、マージ候補導出部810は、例えば、導出された各マージ候補に、当該マージ候補を特定するためのインデックス(マージインデックス)を対応付けたマージ候補リストを生成する。
図37に示すように、マージ候補導出部810は、決定部811と、第1導出部812と、特定部813と、判定部814と、第2導出部815とを備える。
決定部811は、マージ候補の最大数を決定する。つまり、決定部811は、マージブロック候補数の最大値Nを決定する。
例えば、決定部811は、実施の形態6の決定部611と同様の方法で、マージ候補の最大数を決定してもよい。また例えば、決定部811は、ビットストリームに付加された最大数を示す情報に基づいて最大数を決定してもよい。これにより、画像復号装置800は、適切な単位で最大数を切り替えて符号化された画像を復号することが可能となる。
なお、ここでは、決定部811は、マージ候補導出部810に備えられているが、復号部820に備えられてもよい。
第1導出部812は、実施の形態6の第1導出部612と同様に、複数の第1マージ候補を導出する。具体的には、第1導出部812は、復号対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックの復号に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスに基づいて、複数の第1マージ候補を導出する。そして、第1導出部812は、例えば、このように導出された各第1マージ候補をマージインデックスに対応付けてマージ候補リストに登録する。
なお、第1導出部812は、例えば、復号対象ブロックに空間的に隣接するブロックのうちマージ不可能ブロックを除くブロックの復号に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを、第1マージ候補として導出してもよい。これにより、第1導出部812は、マージ候補を得るために適切なブロックから第1マージ候補を導出することができる。
特定部813は、導出された複数の第1マージ候補の中から、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスが他の第1マージ候補と重複する第1マージ候補(重複候補)を特定する。そして、特定部813は、特定された重複候補をマージ候補リストから削除する。
判定部814は、第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいか否かを判定する。ここでは、判定部814は、特定された重複する第1マージ候補を除く第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいか否かを判定する。
第2導出部815は、第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいと判定された場合に、複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する。具体的には、第2導出部815は、実施の形態6の第2導出部615と同様に、第2マージ候補を導出する。例えば、第2導出部815は、第1マージ候補の数と第2マージ候補の数との和が最大数を超えないように第2マージ候補を導出する。ここでは、第2導出部815は、重複候補を除く第1マージ候補の数と第2マージ候補の数との和が最大数を超えないように第2マージ候補を導出する。
より具体的には、第2導出部815は、例えば、複数の第1マージ候補のうちの1つの第1マージ候補に含まれる第1予測方向(予測方向0)の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスと、他の1つの第1マージ候補に含まれる第2予測方向(予測方向1)の動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスとを組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する。
そして、第2導出部815は、例えば、このように導出された第2マージ候補をマージインデックスに対応付けてマージ候補リストに登録する。このとき、第2導出部815は、第1マージ候補に第2マージ候補よりも小さい値のマージインデックスが割り当たるように、第2マージ候補をマージ候補リストに登録してもよい。これにより、画像復号装置800は、符号化効率が向上されたビットストリームを適切に復号することができる。
なお、第2導出部815は、必ずしも、第1マージ候補の数と第2マージ候補の数との和が決定された最大数と一致するように、第2マージ候補を導出する必要はない。第1マージ候補の数と第2マージ候補の数との和が決定された最大数より小さい場合には、例えば、マージ候補が対応付けられていないマージインデックスの値が存在してもよい。
復号部820は、ビットストリームに付加された符号化されたインデックスであってマージ候補を特定するためのインデックスを、決定された最大数を用いて復号する。
予測制御部830は、復号されたインデックスに基づいて、第1マージ候補および第2マージ候補の中から復号対象ブロックの復号に用いられるマージ候補を選択する。つまり、予測制御部830は、マージ候補リストから、復号対象ブロックの復号に用いられるマージ候補を選択する。
次に、以上のように構成された画像復号装置800の各種動作について説明する。
図38は、実施の形態8に係る画像復号装置800の処理動作を示すフローチャートである。
まず、決定部811は、マージ候補の最大数を決定する(S801)。第1導出部812は、第1マージ候補を導出する(S802)。特定部813は、複数の第1マージ候補が導出された場合に、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスが他の第1マージ候補と重複する第1マージ候補(重複候補)を特定する(S803)。
判定部814は、重複候補を除く第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいか否かを判定する(S804)。ここで、重複候補を除く第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいと判定された場合(S804のYes)、第2導出部815は、第2マージ候補を導出する(S805)。一方、重複候補を除く第1マージ候補の数が、決定された最大数より小さいと判定されなかった場合(S804のNo)、第2導出部815は、第2マージ候補を導出しない。
復号部820は、ビットストリームに付加された符号化されたインデックスであってマージ候補を特定するためのインデックスを、決定された最大数を用いて復号する(S806)。
予測制御部830は、復号されたインデックスに基づいて、第1マージ候補および第2マージ候補の中から復号対象ブロックの復号に用いられるマージ候補を選択する(S807)。例えば、予測制御部830は、実施の形態1と同様に、マージ候補リストから、式1に示すコストが最小となるマージ候補を選択する。
なお、ここでは、インデックスの復号処理(S806)は、マージ候補が導出された後に行われていたが、必ずしもこのような順番で行われる必要はない。例えば、インデックスの復号処理(S806)の後に、マージ候補の導出処理(S802〜S805)が行われてもよい。また、インデックスの復号処理(S806)と、マージ候補の導出処理(S802〜S805)とは、並列に行われてもよい。これにより、復号の処理速度を向上させることができる。
以上のように、本実施の形態に係る画像復号装置800によれば、復号対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックに基づいて導出された複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出することができる。特に、複数の第1マージ候補の中に2方向予測のマージ候補が含まれていない場合であっても、画像復号装置800は、2方向予測の第2マージ候補を新たに導出することができる。その結果、画像復号装置800は、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増加させることができ、符号化効率が向上されたビットストリームを適切に復号することが可能となる。
さらに、本実施の形態に係る画像復号装置800によれば、マージ候補を特定するためのインデックスを、決定された最大数を用いて復号することができる。つまり、実際に導出されるマージ候補の数に依存せずに、インデックスを復号することができる。したがって、マージ候補の導出に必要な情報(例えば、co−locatedブロック等の情報)がロスされた場合でも、画像復号装置800は、インデックスを復号することができ、エラー耐性を向上させることが可能となる。さらに、画像復号装置800は、マージ候補の導出処理を待たずにインデックスの復号処理を行うことができ、マージ候補の導出処理とインデックスの復号処理とを並列に行うことも可能となる。
さらに、本実施の形態に係る画像復号装置800によれば、第1マージ候補の数が最大数より小さいと判定された場合に、第2マージ候補を導出することができる。したがって、画像復号装置800は、最大数を超えない範囲でマージ候補の数を増加させることができ、符号化効率が向上されたビットストリームを適切に復号することが可能となる。
また、本実施の形態に係る画像復号装置800によれば、重複する第1マージ候補を除く第1マージ候補の数に応じて第2マージ候補を導出することができる。その結果、画像復号装置800は、第2マージ候補の数を増加させることができ、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増やすことができる。したがって、画像復号装置800は、さらに符号化効率が向上されたビットストリームを適切に復号することが可能となる。
なお、本実施の形態では、画像復号装置800は、特定部813を備えていたが、実施の形態6と同様に、必ずしも特定部813を備える必要はない。つまり、図38に示すフローチャートに、必ずしもステップS803が含まれる必要はない。このような場合であっても、画像復号装置800は、マージ候補を特定するためのインデックスを、決定された最大数を用いて復号することができるので、エラー耐性を向上させることが可能となる。
また、本実施の形態では、図38に示すように、第1導出部812が第1マージ候補を導出した後に、特定部813が重複候補を特定していたが、必ずしもこのように順に処理される必要はない。例えば、第1導出部812は、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せが既に導出された第1マージ候補と重複しないマージ候補を第1マージ候補として導出してもよい。つまり、第1導出部812は、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せが互いに重複しないように、複数の第1マージ候補を導出してもよい。これにより、第1導出部812は、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せが、既に導出された第1マージ候補と重複するマージ候補を、第1マージ候補から排除することができる。その結果、画像復号装置800は、第2マージ候補の数を増加させることができ、マージ候補として選択可能な、予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの組合せの種類を増やすことができる。したがって、画像復号装置800は、さらに符号化効率が向上されたビットストリームを適切に復号することが可能となる。
以上、本発明の1つまたは複数の態様に係る画像符号化装置および画像復号装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の画像符号化装置または画像復号装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、画像をブロック毎に符号化することでビットストリームを生成する画像符号化方法であって、符号化対象ブロックの符号化に用いられる予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの候補であるマージ候補の最大数を決定する決定ステップと、前記符号化対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックの符号化に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスに基づいて、複数の第1マージ候補を導出する第1導出ステップと、導出された前記複数の第1マージ候補の数が前記最大数より小さいか否かを判定する判定ステップと、導出された前記複数の第1マージ候補の数が前記最大数より小さいと判定された場合に、導出された前記複数の第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する第2導出ステップと、導出された前記複数の第1マージ候補および前記第2マージ候補の中から、前記符号化対象ブロックの符号化に用いられるマージ候補を選択する選択ステップと、選択された前記マージ候補を特定するためのインデックスを、決定された前記最大数を用いて符号化し、符号化された前記インデックスを前記ビットストリームに付加する符号化ステップとを含む画像符号化方法を実行させる。
あるいは、このプログラムは、コンピュータに、ビットストリームに含まれる符号化画像をブロック毎に復号する画像復号方法であって、復号対象ブロックの復号に用いられる予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスの候補であるマージ候補の最大数を決定する決定ステップと、前記復号対象ブロックに空間的または時間的に隣接する各ブロックの復号に用いられた予測方向、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスに基づいて、複数の第1マージ候補を導出する第1導出ステップと、導出された前記複数の第1マージ候補の数が前記最大数より小さいか否かを判定する判定ステップと、導出された前記複数の第1マージ候補の数が前記最大数より小さいと判定された場合に、導出された前記第1マージ候補を組み合わせて、2方向予測の第2マージ候補を導出する第2導出ステップと、前記ビットストリームに付加された符号化されたインデックスであってマージ候補を特定するためのインデックスを、決定された前記最大数を用いて復号する復号ステップと、復号された前記インデックスに基づいて、導出された前記複数の第1のマージ候補および前記第2マージ候補の中から、前記復号対象ブロックの復号に用いられるマージ候補を選択する選択ステップとを含む画像復号方法を実行させる。
(実施の形態9)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)または動画像復号化方法(画像復号方法)の構成を実現するためのプログラムを記憶メディアに記録することにより、上記各実施の形態で示した処理を独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。記憶メディアは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、半導体メモリ等、プログラムを記録できるものであればよい。
さらにここで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)や動画像復号化方法(画像復号方法)の応用例とそれを用いたシステムを説明する。当該システムは、画像符号化方法を用いた画像符号化装置、及び画像復号方法を用いた画像復号装置からなる画像符号化復号装置を有することを特徴とする。システムにおける他の構成について、場合に応じて適切に変更することができる。
図39は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示す図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex106、ex107、ex108、ex109、ex110が設置されている。
このコンテンツ供給システムex100は、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex106からex110を介して、コンピュータex111、PDA(Personal Digital Assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115などの各機器が接続される。
しかし、コンテンツ供給システムex100は図39のような構成に限定されず、いずれかの要素を組合せて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex106からex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。また、各機器が近距離無線等を介して直接相互に接続されていてもよい。
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器であり、カメラex116はデジタルカメラ等の静止画撮影、動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話ex114は、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式、若しくはLTE(Long Term Evolution)方式、HSPA(High Speed Packet Access)の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
コンテンツ供給システムex100では、カメラex113等が基地局ex109、電話網ex104を通じてストリーミングサーバex103に接続されることで、ライブ配信等が可能になる。ライブ配信では、ユーザがカメラex113を用いて撮影するコンテンツ(例えば、音楽ライブの映像等)に対して上記各実施の形態で説明したように符号化処理を行い(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、ストリーミングサーバex103に送信する。一方、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して送信されたコンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115等がある。配信されたデータを受信した各機器では、受信したデータを復号化処理して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
なお、撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。同様に配信されたデータの復号化処理はクライアントで行っても、ストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。また、カメラex113に限らず、カメラex116で撮影した静止画像および/または動画像データを、コンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信してもよい。この場合の符号化処理はカメラex116、コンピュータex111、ストリーミングサーバex103のいずれで行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。
また、これら符号化・復号化処理は、一般的にコンピュータex111や各機器が有するLSIex500において処理する。LSIex500は、ワンチップであっても複数チップからなる構成であってもよい。なお、動画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な何らかの記録メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込み、そのソフトウェアを用いて符号化・復号化処理を行ってもよい。さらに、携帯電話ex114がカメラ付きである場合には、そのカメラで取得した動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex114が有するLSIex500で符号化処理されたデータである。
また、ストリーミングサーバex103は複数のサーバや複数のコンピュータであって、データを分散して処理したり記録したり配信するものであってもよい。
以上のようにして、コンテンツ供給システムex100では、符号化されたデータをクライアントが受信して再生することができる。このようにコンテンツ供給システムex100では、ユーザが送信した情報をリアルタイムでクライアントが受信して復号化し、再生することができ、特別な権利や設備を有さないユーザでも個人放送を実現できる。
なお、コンテンツ供給システムex100の例に限らず、図40に示すように、デジタル放送用システムex200にも、上記各実施の形態の少なくとも動画像符号化装置(画像符号化装置)または動画像復号化装置(画像復号装置)のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex201では映像データに音楽データなどが多重化された多重化データが電波を介して通信または衛星ex202に伝送される。この映像データは上記各実施の形態で説明した動画像符号化方法により符号化されたデータである(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置によって符号化されたデータである)。これを受けた放送衛星ex202は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送の受信が可能な家庭のアンテナex204が受信する。受信した多重化データを、テレビ(受信機)ex300またはセットトップボックス(STB)ex217等の装置が復号化して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
また、DVD、BD等の記録メディアex215に記録した多重化データを読み取り復号化する、または記録メディアex215に映像信号を符号化し、さらに場合によっては音楽信号と多重化して書き込むリーダ/レコーダex218にも上記各実施の形態で示した動画像復号化装置または動画像符号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex219に表示され、多重化データが記録された記録メディアex215により他の装置やシステムにおいて映像信号を再生することができる。また、ケーブルテレビ用のケーブルex203または衛星/地上波放送のアンテナex204に接続されたセットトップボックスex217内に動画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex219で表示してもよい。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に動画像復号化装置を組み込んでもよい。
図41は、上記各実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いたテレビ(受信機)ex300を示す図である。テレビex300は、上記放送を受信するアンテナex204またはケーブルex203等を介して映像データに音声データが多重化された多重化データを取得、または出力するチューナex301と、受信した多重化データを復調する、または外部に送信する多重化データに変調する変調/復調部ex302と、復調した多重化データを映像データと、音声データとに分離する、または信号処理部ex306で符号化された映像データ、音声データを多重化する多重/分離部ex303を備える。
また、テレビex300は、音声データ、映像データそれぞれを復号化する、またはそれぞれの情報を符号化する音声信号処理部ex304、映像信号処理部ex305(本発明の一態様に係る画像符号化装置または画像復号装置として機能する)を有する信号処理部ex306と、復号化した音声信号を出力するスピーカex307、復号化した映像信号を表示するディスプレイ等の表示部ex308を有する出力部ex309とを有する。さらに、テレビex300は、ユーザ操作の入力を受け付ける操作入力部ex312等を有するインタフェース部ex317を有する。さらに、テレビex300は、各部を統括的に制御する制御部ex310、各部に電力を供給する電源回路部ex311を有する。インタフェース部ex317は、操作入力部ex312以外に、リーダ/レコーダex218等の外部機器と接続されるブリッジex313、SDカード等の記録メディアex216を装着可能とするためのスロット部ex314、ハードディスク等の外部記録メディアと接続するためのドライバex315、電話網と接続するモデムex316等を有していてもよい。なお記録メディアex216は、格納する不揮発性/揮発性の半導体メモリ素子により電気的に情報の記録を可能としたものである。テレビex300の各部は同期バスを介して互いに接続されている。
まず、テレビex300がアンテナex204等により外部から取得した多重化データを復号化し、再生する構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、CPU等を有する制御部ex310の制御に基づいて、変調/復調部ex302で復調した多重化データを多重/分離部ex303で分離する。さらにテレビex300は、分離した音声データを音声信号処理部ex304で復号化し、分離した映像データを映像信号処理部ex305で上記各実施の形態で説明した復号化方法を用いて復号化する。復号化した音声信号、映像信号は、それぞれ出力部ex309から外部に向けて出力される。出力する際には、音声信号と映像信号が同期して再生するよう、バッファex318、ex319等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。また、テレビex300は、放送等からではなく、磁気/光ディスク、SDカード等の記録メディアex215、ex216から多重化データを読み出してもよい。次に、テレビex300が音声信号や映像信号を符号化し、外部に送信または記録メディア等に書き込む構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、制御部ex310の制御に基づいて、音声信号処理部ex304で音声信号を符号化し、映像信号処理部ex305で映像信号を上記各実施の形態で説明した符号化方法を用いて符号化する。符号化した音声信号、映像信号は多重/分離部ex303で多重化され外部に出力される。多重化する際には、音声信号と映像信号が同期するように、バッファex320、ex321等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。なお、バッファex318、ex319、ex320、ex321は図示しているように複数備えていてもよいし、1つ以上のバッファを共有する構成であってもよい。さらに、図示している以外に、例えば変調/復調部ex302や多重/分離部ex303の間等でもシステムのオーバフロー、アンダーフローを避ける緩衝材としてバッファにデータを蓄積することとしてもよい。
また、テレビex300は、放送等や記録メディア等から音声データ、映像データを取得する以外に、マイクやカメラのAV入力を受け付ける構成を備え、それらから取得したデータに対して符号化処理を行ってもよい。なお、ここではテレビex300は上記の符号化処理、多重化、および外部出力ができる構成として説明したが、これらの処理を行うことはできず、上記受信、復号化処理、外部出力のみが可能な構成であってもよい。
また、リーダ/レコーダex218で記録メディアから多重化データを読み出す、または書き込む場合には、上記復号化処理または符号化処理はテレビex300、リーダ/レコーダex218のいずれで行ってもよいし、テレビex300とリーダ/レコーダex218が互いに分担して行ってもよい。
一例として、光ディスクからデータの読み込みまたは書き込みをする場合の情報再生/記録部ex400の構成を図42に示す。情報再生/記録部ex400は、以下に説明する要素ex401、ex402、ex403、ex404、ex405、ex406、ex407を備える。光ヘッドex401は、光ディスクである記録メディアex215の記録面にレーザスポットを照射して情報を書き込み、記録メディアex215の記録面からの反射光を検出して情報を読み込む。変調記録部ex402は、光ヘッドex401に内蔵された半導体レーザを電気的に駆動し記録データに応じてレーザ光の変調を行う。再生復調部ex403は、光ヘッドex401に内蔵されたフォトディテクタにより記録面からの反射光を電気的に検出した再生信号を増幅し、記録メディアex215に記録された信号成分を分離して復調し、必要な情報を再生する。バッファex404は、記録メディアex215に記録するための情報および記録メディアex215から再生した情報を一時的に保持する。ディスクモータex405は記録メディアex215を回転させる。サーボ制御部ex406は、ディスクモータex405の回転駆動を制御しながら光ヘッドex401を所定の情報トラックに移動させ、レーザスポットの追従処理を行う。システム制御部ex407は、情報再生/記録部ex400全体の制御を行う。上記の読み出しや書き込みの処理はシステム制御部ex407が、バッファex404に保持された各種情報を利用し、また必要に応じて新たな情報の生成・追加を行うと共に、変調記録部ex402、再生復調部ex403、サーボ制御部ex406を協調動作させながら、光ヘッドex401を通して、情報の記録再生を行うことにより実現される。システム制御部ex407は例えばマイクロプロセッサで構成され、読み出し書き込みのプログラムを実行することでそれらの処理を実行する。
以上では、光ヘッドex401はレーザスポットを照射するとして説明したが、近接場光を用いてより高密度な記録を行う構成であってもよい。
図43に光ディスクである記録メディアex215の模式図を示す。記録メディアex215の記録面には案内溝(グルーブ)がスパイラル状に形成され、情報トラックex230には、予めグルーブの形状の変化によってディスク上の絶対位置を示す番地情報が記録されている。この番地情報はデータを記録する単位である記録ブロックex231の位置を特定するための情報を含み、記録や再生を行う装置において情報トラックex230を再生し番地情報を読み取ることで記録ブロックを特定することができる。また、記録メディアex215は、データ記録領域ex233、内周領域ex232、外周領域ex234を含んでいる。ユーザデータを記録するために用いる領域がデータ記録領域ex233であり、データ記録領域ex233より内周または外周に配置されている内周領域ex232と外周領域ex234は、ユーザデータの記録以外の特定用途に用いられる。情報再生/記録部ex400は、このような記録メディアex215のデータ記録領域ex233に対して、符号化された音声データ、映像データまたはそれらのデータを多重化した多重化データの読み書きを行う。
以上では、1層のDVD、BD等の光ディスクを例に挙げ説明したが、これらに限ったものではなく、多層構造であって表面以外にも記録可能な光ディスクであってもよい。また、ディスクの同じ場所にさまざまな異なる波長の色の光を用いて情報を記録したり、さまざまな角度から異なる情報の層を記録したりなど、多次元的な記録/再生を行う構造の光ディスクであってもよい。
また、デジタル放送用システムex200において、アンテナex205を有する車ex210で衛星ex202等からデータを受信し、車ex210が有するカーナビゲーションex211等の表示装置に動画を再生することも可能である。なお、カーナビゲーションex211の構成は例えば図41に示す構成のうち、GPS受信部を加えた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111や携帯電話ex114等でも考えられる。
図44Aは、上記実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いた携帯電話ex114を示す図である。携帯電話ex114は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex350、映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex365、カメラ部ex365で撮像した映像、アンテナex350で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex358を備える。携帯電話ex114は、さらに、操作キー部ex366を有する本体部、音声を出力するためのスピーカ等である音声出力部ex357、音声を入力するためのマイク等である音声入力部ex356、撮影した映像、静止画、録音した音声、または受信した映像、静止画、メール等の符号化されたデータもしくは復号化されたデータを保存するメモリ部ex367、又は同様にデータを保存する記録メディアとのインタフェース部であるスロット部ex364を備える。
さらに、携帯電話ex114の構成例について、図44Bを用いて説明する。携帯電話ex114は、表示部ex358及び操作キー部ex366を備えた本体部の各部を統括的に制御する主制御部ex360に対して、電源回路部ex361、操作入力制御部ex362、映像信号処理部ex355、カメラインタフェース部ex363、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex359、変調/復調部ex352、多重/分離部ex353、音声信号処理部ex354、スロット部ex364、メモリ部ex367がバスex370を介して互いに接続されている。
電源回路部ex361は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することにより携帯電話ex114を動作可能な状態に起動する。
携帯電話ex114は、CPU、ROM、RAM等を有する主制御部ex360の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex356で収音した音声信号を音声信号処理部ex354でデジタル音声信号に変換し、これを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理し、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。また携帯電話ex114は、音声通話モード時にアンテナex350を介して受信した受信データを増幅して周波数変換処理およびアナログデジタル変換処理を施し、変調/復調部ex352でスペクトラム逆拡散処理し、音声信号処理部ex354でアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex357から出力する。
さらにデータ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キー部ex366等の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex362を介して主制御部ex360に送出される。主制御部ex360は、テキストデータを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して基地局ex110へ送信する。電子メールを受信する場合は、受信したデータに対してこのほぼ逆の処理が行われ、表示部ex358に出力される。
データ通信モード時に映像、静止画、または映像と音声を送信する場合、映像信号処理部ex355は、カメラ部ex365から供給された映像信号を上記各実施の形態で示した動画像符号化方法によって圧縮符号化し(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、符号化された映像データを多重/分離部ex353に送出する。また、音声信号処理部ex354は、映像、静止画等をカメラ部ex365で撮像中に音声入力部ex356で収音した音声信号を符号化し、符号化された音声データを多重/分離部ex353に送出する。
多重/分離部ex353は、映像信号処理部ex355から供給された符号化された映像データと音声信号処理部ex354から供給された符号化された音声データを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変調/復調部(変調/復調回路部)ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、または映像およびもしくは音声が添付された電子メールを受信する場合、アンテナex350を介して受信された多重化データを復号化するために、多重/分離部ex353は、多重化データを分離することにより映像データのビットストリームと音声データのビットストリームとに分け、同期バスex370を介して符号化された映像データを映像信号処理部ex355に供給するとともに、符号化された音声データを音声信号処理部ex354に供給する。映像信号処理部ex355は、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法に対応した動画像復号化方法によって復号化することにより映像信号を復号し(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)、LCD制御部ex359を介して表示部ex358から、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる映像、静止画が表示される。また音声信号処理部ex354は、音声信号を復号し、音声出力部ex357から音声が出力される。
また、上記携帯電話ex114等の端末は、テレビex300と同様に、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末という3通りの実装形式が考えられる。さらに、デジタル放送用システムex200において、映像データに音楽データなどが多重化された多重化データを受信、送信するとして説明したが、音声データ以外に映像に関連する文字データなどが多重化されたデータであってもよいし、多重化データではなく映像データ自体であってもよい。
このように、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法あるいは動画像復号化方法を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記各実施の形態で説明した効果を得ることができる。
また、本発明はかかる上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能である。
(実施の形態10)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置と、MPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1など異なる規格に準拠した動画像符号化方法または装置とを、必要に応じて適宜切替えることにより、映像データを生成することも可能である。
ここで、それぞれ異なる規格に準拠する複数の映像データを生成した場合、復号する際に、それぞれの規格に対応した復号方法を選択する必要がある。しかしながら、復号する映像データが、どの規格に準拠するものであるか識別できないため、適切な復号方法を選択することができないという課題を生じる。
この課題を解決するために、映像データに音声データなどを多重化した多重化データは、映像データがどの規格に準拠するものであるかを示す識別情報を含む構成とする。上記各実施の形態で示す動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを含む多重化データの具体的な構成を以下説明する。多重化データは、MPEG−2トランスポートストリーム形式のデジタルストリームである。
図45は、多重化データの構成を示す図である。図45に示すように多重化データは、ビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム(PG)、インタラクティブグラフィックスストリームのうち、1つ以上を多重化することで得られる。ビデオストリームは映画の主映像および副映像を、オーディオストリーム(IG)は映画の主音声部分とその主音声とミキシングする副音声を、プレゼンテーショングラフィックスストリームは、映画の字幕をそれぞれ示している。ここで主映像とは画面に表示される通常の映像を示し、副映像とは主映像の中に小さな画面で表示する映像のことである。また、インタラクティブグラフィックスストリームは、画面上にGUI部品を配置することにより作成される対話画面を示している。ビデオストリームは、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠した動画像符号化方法または装置によって符号化されている。オーディオストリームは、ドルビーAC−3、Dolby Digital Plus、MLP、DTS、DTS−HD、または、リニアPCMのなどの方式で符号化されている。
多重化データに含まれる各ストリームはPIDによって識別される。例えば、映画の映像に利用するビデオストリームには0x1011が、オーディオストリームには0x1100から0x111Fまでが、プレゼンテーショングラフィックスには0x1200から0x121Fまでが、インタラクティブグラフィックスストリームには0x1400から0x141Fまでが、映画の副映像に利用するビデオストリームには0x1B00から0x1B1Fまで、主音声とミキシングする副音声に利用するオーディオストリームには0x1A00から0x1A1Fが、それぞれ割り当てられている。
図46は、多重化データがどのように多重化されるかを模式的に示す図である。まず、複数のビデオフレームからなるビデオストリームex235、複数のオーディオフレームからなるオーディオストリームex238を、それぞれPESパケット列ex236およびex239に変換し、TSパケットex237およびex240に変換する。同じくプレゼンテーショングラフィックスストリームex241およびインタラクティブグラフィックスex244のデータをそれぞれPESパケット列ex242およびex245に変換し、さらにTSパケットex243およびex246に変換する。多重化データex247はこれらのTSパケットを1本のストリームに多重化することで構成される。
図47は、PESパケット列に、ビデオストリームがどのように格納されるかをさらに詳しく示している。図47における第1段目はビデオストリームのビデオフレーム列を示す。第2段目は、PESパケット列を示す。図47の矢印yy1,yy2,yy3,yy4に示すように、ビデオストリームにおける複数のVideo Presentation UnitであるIピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャは、ピクチャ毎に分割され、PESパケットのペイロードに格納される。各PESパケットはPESヘッダを持ち、PESヘッダには、ピクチャの表示時刻であるPTS(Presentation Time−Stamp)やピクチャの復号時刻であるDTS(Decoding Time−Stamp)が格納される。
図48は、多重化データに最終的に書き込まれるTSパケットの形式を示している。TSパケットは、ストリームを識別するPIDなどの情報を持つ4ByteのTSヘッダとデータを格納する184ByteのTSペイロードから構成される188Byte固定長のパケットであり、上記PESパケットは分割されTSペイロードに格納される。BD−ROMの場合、TSパケットには、4ByteのTP_Extra_Headerが付与され、192Byteのソースパケットを構成し、多重化データに書き込まれる。TP_Extra_HeaderにはATS(Arrival_Time_Stamp)などの情報が記載される。ATSは当該TSパケットのデコーダのPIDフィルタへの転送開始時刻を示す。多重化データには図48下段に示すようにソースパケットが並ぶこととなり、多重化データの先頭からインクリメントする番号はSPN(ソースパケットナンバー)と呼ばれる。
また、多重化データに含まれるTSパケットには、映像・音声・字幕などの各ストリーム以外にもPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、PCR(Program Clock Reference)などがある。PATは多重化データ中に利用されるPMTのPIDが何であるかを示し、PAT自身のPIDは0で登録される。PMTは、多重化データ中に含まれる映像・音声・字幕などの各ストリームのPIDと各PIDに対応するストリームの属性情報を持ち、また多重化データに関する各種ディスクリプタを持つ。ディスクリプタには多重化データのコピーを許可・不許可を指示するコピーコントロール情報などがある。PCRは、ATSの時間軸であるATC(Arrival Time Clock)とPTS・DTSの時間軸であるSTC(System Time Clock)の同期を取るために、そのPCRパケットがデコーダに転送されるATSに対応するSTC時間の情報を持つ。
図49はPMTのデータ構造を詳しく説明する図である。PMTの先頭には、そのPMTに含まれるデータの長さなどを記したPMTヘッダが配置される。その後ろには、多重化データに関するディスクリプタが複数配置される。上記コピーコントロール情報などが、ディスクリプタとして記載される。ディスクリプタの後には、多重化データに含まれる各ストリームに関するストリーム情報が複数配置される。ストリーム情報は、ストリームの圧縮コーデックなどを識別するためストリームタイプ、ストリームのPID、ストリームの属性情報(フレームレート、アスペクト比など)が記載されたストリームディスクリプタから構成される。ストリームディスクリプタは多重化データに存在するストリームの数だけ存在する。
記録媒体などに記録する場合には、上記多重化データは、多重化データ情報ファイルと共に記録される。
多重化データ情報ファイルは、図50に示すように多重化データの管理情報であり、多重化データと1対1に対応し、多重化データ情報、ストリーム属性情報とエントリマップから構成される。
多重化データ情報は図50に示すようにシステムレート、再生開始時刻、再生終了時刻から構成されている。システムレートは多重化データの、後述するシステムターゲットデコーダのPIDフィルタへの最大転送レートを示す。多重化データ中に含まれるATSの間隔はシステムレート以下になるように設定されている。再生開始時刻は多重化データの先頭のビデオフレームのPTSであり、再生終了時刻は多重化データの終端のビデオフレームのPTSに1フレーム分の再生間隔を足したものが設定される。
ストリーム属性情報は図51に示すように、多重化データに含まれる各ストリームについての属性情報が、PID毎に登録される。属性情報はビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム、インタラクティブグラフィックスストリーム毎に異なる情報を持つ。ビデオストリーム属性情報は、そのビデオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータの解像度がどれだけであるか、アスペクト比はどれだけであるか、フレームレートはどれだけであるかなどの情報を持つ。オーディオストリーム属性情報は、そのオーディオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、そのオーディオストリームに含まれるチャンネル数は何であるか、何の言語に対応するか、サンプリング周波数がどれだけであるかなどの情報を持つ。これらの情報は、プレーヤが再生する前のデコーダの初期化などに利用される。
本実施の形態においては、上記多重化データのうち、PMTに含まれるストリームタイプを利用する。また、記録媒体に多重化データが記録されている場合には、多重化データ情報に含まれる、ビデオストリーム属性情報を利用する。具体的には、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置において、PMTに含まれるストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に対し、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示す固有の情報を設定するステップまたは手段を設ける。この構成により、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成した映像データと、他の規格に準拠する映像データとを識別することが可能になる。
また、本実施の形態における動画像復号化方法のステップを図52に示す。ステップexS100において、多重化データからPMTに含まれるストリームタイプ、または、多重化データ情報に含まれるビデオストリーム属性情報を取得する。次に、ステップexS101において、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された多重化データであることを示しているか否かを判断する。そして、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものであると判断された場合には、ステップexS102において、上記各実施の形態で示した動画像復号方法により復号を行う。また、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠するものであることを示している場合には、ステップexS103において、従来の規格に準拠した動画像復号方法により復号を行う。
このように、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に新たな固有値を設定することにより、復号する際に、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法または装置で復号可能であるかを判断することができる。従って、異なる規格に準拠する多重化データが入力された場合であっても、適切な復号化方法または装置を選択することができるため、エラーを生じることなく復号することが可能となる。また、本実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、または、動画像復号方法または装置を、上述したいずれの機器・システムに用いることも可能である。
(実施の形態11)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法および装置、動画像復号化方法および装置は、典型的には集積回路であるLSIで実現される。一例として、図53に1チップ化されたLSIex500の構成を示す。LSIex500は、以下に説明する要素ex501、ex502、ex503、ex504、ex505、ex506、ex507、ex508、ex509を備え、各要素はバスex510を介して接続している。電源回路部ex505は電源がオン状態の場合に各部に対して電力を供給することで動作可能な状態に起動する。
例えば符号化処理を行う場合には、LSIex500は、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有する制御部ex501の制御に基づいて、AV I/Oex509によりマイクex117やカメラex113等からAV信号を入力する。入力されたAV信号は、一旦SDRAM等の外部のメモリex511に蓄積される。制御部ex501の制御に基づいて、蓄積したデータは処理量や処理速度に応じて適宜複数回に分けるなどされ信号処理部ex507に送られ、信号処理部ex507において音声信号の符号化および/または映像信号の符号化が行われる。ここで映像信号の符号化処理は上記各実施の形態で説明した符号化処理である。信号処理部ex507ではさらに、場合により符号化された音声データと符号化された映像データを多重化するなどの処理を行い、ストリームI/Oex506から外部に出力する。この出力された多重化データは、基地局ex107に向けて送信されたり、または記録メディアex215に書き込まれたりする。なお、多重化する際には同期するよう、一旦バッファex508にデータを蓄積するとよい。
なお、上記では、メモリex511がLSIex500の外部の構成として説明したが、LSIex500の内部に含まれる構成であってもよい。バッファex508も1つに限ったものではなく、複数のバッファを備えていてもよい。また、LSIex500は1チップ化されてもよいし、複数チップ化されてもよい。
また、上記では、制御部ex501が、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有するとしているが、制御部ex501の構成は、この構成に限らない。例えば、信号処理部ex507がさらにCPUを備える構成であってもよい。信号処理部ex507の内部にもCPUを設けることにより、処理速度をより向上させることが可能になる。また、他の例として、CPUex502が信号処理部ex507、または信号処理部ex507の一部である例えば音声信号処理部を備える構成であってもよい。このような場合には、制御部ex501は、信号処理部ex507、またはその一部を有するCPUex502を備える構成となる。
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
(実施の形態12)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを復号する場合、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データを復号する場合に比べ、処理量が増加することが考えられる。そのため、LSIex500において、従来の規格に準拠する映像データを復号する際のCPUex502の駆動周波数よりも高い駆動周波数に設定する必要がある。しかし、駆動周波数を高くすると、消費電力が高くなるという課題が生じる。
この課題を解決するために、テレビex300、LSIex500などの動画像復号化装置は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別し、規格に応じて駆動周波数を切替える構成とする。図54は、本実施の形態における構成ex800を示している。駆動周波数切替え部ex803は、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、駆動周波数を高く設定する。そして、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801に対し、映像データを復号するよう指示する。一方、映像データが、従来の規格に準拠する映像データである場合には、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、駆動周波数を低く設定する。そして、従来の規格に準拠する復号処理部ex802に対し、映像データを復号するよう指示する。
より具体的には、駆動周波数切替え部ex803は、図53のCPUex502と駆動周波数制御部ex512から構成される。また、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801、および、従来の規格に準拠する復号処理部ex802は、図53の信号処理部ex507に該当する。CPUex502は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別する。そして、CPUex502からの信号に基づいて、駆動周波数制御部ex512は、駆動周波数を設定する。また、CPUex502からの信号に基づいて、信号処理部ex507は、映像データの復号を行う。ここで、映像データの識別には、例えば、実施の形態10で記載した識別情報を利用することが考えられる。識別情報に関しては、実施の形態10で記載したものに限られず、映像データがどの規格に準拠するか識別できる情報であればよい。例えば、映像データがテレビに利用されるものであるか、ディスクに利用されるものであるかなどを識別する外部信号に基づいて、映像データがどの規格に準拠するものであるか識別可能である場合には、このような外部信号に基づいて識別してもよい。また、CPUex502における駆動周波数の選択は、例えば、図56のような映像データの規格と、駆動周波数とを対応付けたルックアップテーブルに基づいて行うことが考えられる。ルックアップテーブルを、バッファex508や、LSIの内部メモリに格納しておき、CPUex502がこのルックアップテーブルを参照することにより、駆動周波数を選択することが可能である。
図55は、本実施の形態の方法を実施するステップを示している。まず、ステップexS200では、信号処理部ex507において、多重化データから識別情報を取得する。次に、ステップexS201では、CPUex502において、識別情報に基づいて映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものであるか否かを識別する。映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、ステップexS202において、駆動周波数を高く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、高い駆動周波数に設定される。一方、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、ステップexS203において、駆動周波数を低く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、低い駆動周波数に設定される。
さらに、駆動周波数の切替えに連動して、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を変更することにより、省電力効果をより高めることが可能である。例えば、駆動周波数を低く設定する場合には、これに伴い、駆動周波数を高く設定している場合に比べ、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することが考えられる。
また、駆動周波数の設定方法は、復号する際の処理量が大きい場合に、駆動周波数を高く設定し、復号する際の処理量が小さい場合に、駆動周波数を低く設定すればよく、上述した設定方法に限らない。例えば、MPEG4−AVC規格に準拠する映像データを復号する処理量の方が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置により生成された映像データを復号する処理量よりも大きい場合には、駆動周波数の設定を上述した場合の逆にすることが考えられる。
さらに、駆動周波数の設定方法は、駆動周波数を低くする構成に限らない。例えば、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を高く設定し、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することも考えられる。また、他の例としては、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、CPUex502の駆動を停止させることなく、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、処理に余裕があるため、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合であっても、処理に余裕があれば、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。この場合は、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合に比べて、停止時間を短く設定することが考えられる。
このように、映像データが準拠する規格に応じて、駆動周波数を切替えることにより、省電力化を図ることが可能になる。また、電池を用いてLSIex500またはLSIex500を含む装置を駆動している場合には、省電力化に伴い、電池の寿命を長くすることが可能である。
(実施の形態13)
テレビや、携帯電話など、上述した機器・システムには、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力される場合がある。このように、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力された場合にも復号できるようにするために、LSIex500の信号処理部ex507が複数の規格に対応している必要がある。しかし、それぞれの規格に対応する信号処理部ex507を個別に用いると、LSIex500の回路規模が大きくなり、また、コストが増加するという課題が生じる。
この課題を解決するために、上記各実施の形態で示した動画像復号方法を実行するための復号処理部と、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する復号処理部とを一部共有化する構成とする。この構成例を図57Aのex900に示す。例えば、上記各実施の形態で示した動画像復号方法と、MPEG4−AVC規格に準拠する動画像復号方法とは、エントロピー符号化、逆量子化、デブロッキング・フィルタ、動き補償などの処理において処理内容が一部共通する。共通する処理内容については、MPEG4−AVC規格に対応する復号処理部ex902を共有し、MPEG4−AVC規格に対応しない、本発明の一態様に特有の他の処理内容については、専用の復号処理部ex901を用いるという構成が考えられる。特に、本発明の一態様は、動き補償に特徴を有していることから、例えば、動き補償については専用の復号処理部ex901を用い、それ以外のエントロピー復号、デブロッキング・フィルタ、逆量子化のいずれか、または、全ての処理については、復号処理部を共有することが考えられる。復号処理部の共有化に関しては、共通する処理内容については、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行するための復号処理部を共有し、MPEG4−AVC規格に特有の処理内容については、専用の復号処理部を用いる構成であってもよい。
また、処理を一部共有化する他の例を図57Bのex1000に示す。この例では、本発明の一態様に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1001と、他の従来規格に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1002と、本発明の一態様に係る動画像復号方法と他の従来規格の動画像復号方法とに共通する処理内容に対応した共用の復号処理部ex1003とを用いる構成としている。ここで、専用の復号処理部ex1001、ex1002は、必ずしも本発明の一態様、または、他の従来規格に特有の処理内容に特化したものではなく、他の汎用処理を実行できるものであってもよい。また、本実施の形態の構成を、LSIex500で実装することも可能である。
このように、本発明の一態様に係る動画像復号方法と、従来の規格の動画像復号方法とで共通する処理内容について、復号処理部を共有することにより、LSIの回路規模を小さくし、かつ、コストを低減することが可能である。