以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板保持方法、基板保持装置および接合装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
<1.接合システムの構成>
まず、第1の実施形態に係る接合システムの構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る接合システムの構成を示す模式平面図である。また、図2は、被処理基板およびガラス基板の模式側面図である。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図1に示す第1の実施形態に係る接合システム1は、被処理基板Wおよびガラス基板S(図2参照)を、接着剤Gを介して接合することによって重合基板Tを形成する。
以下では、図2に示すように、被処理基板Wの板面のうち、接着剤Gを介してガラス基板Sと接合される側の板面を「接合面Wj」といい、接合面Wjとは反対側の板面を「非接合面Wn」という。また、ガラス基板Sの板面のうち、接着剤Gを介して被処理基板Wと接合される側の板面を「接合面Sj」といい、接合面Sjとは反対側の板面を「非接合面Sn」という。
被処理基板Wは、たとえば、シリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの半導体基板に複数の電子回路が形成された基板であり、電子回路が形成される側の板面を接合面Wjとしている。かかる被処理基板Wは、ガラス基板Sとの接合後、非接合面Wnが研磨処理されることによって薄型化される。
一方、支持基板としてのガラス基板Sは、被処理基板Wと略同径の基板であり、被処理基板Wを支持する。また、接着剤Gとしては、たとえば熱可塑性樹脂が用いられる。
図1に示すように、接合システム1は、搬入出ステーション2と、第1搬送領域3と、接合ステーション4とを備える。搬入出ステーション2、第1搬送領域3および接合ステーション4は、X軸正方向にこの順番で一体的に接続される。
搬入出ステーション2は、複数枚(たとえば、25枚)の基板を水平状態で収容するカセットCw,Cs,Ctが載置される場所である。かかる搬入出ステーション2には、たとえば4つのカセット載置台21が一列に並べて載置される。各カセット載置台21には、被処理基板Wを収容するカセットCw、ガラス基板Sを収容するカセットCsおよび重合基板Tを収容するカセットCtがそれぞれ載置される。
なお、カセット載置台21の個数は、任意に決定することが可能である。また、ここでは、4つのカセット載置台21のうち2つにカセットCtが載置される場合の例を示したが、このうちの1つに、たとえば不具合が生じた基板を回収するためのカセットを載置してもよい。
第1搬送領域3には、Y軸方向に延在する搬送路31と、この搬送路31に沿って移動可能な第1搬送装置32とが配置される。第1搬送装置32は、X軸方向にも移動可能かつZ軸周りに旋回可能であり、カセット載置台21に載置されたカセットCw,Cs,Ctと、後述する接合ステーション4の第1受渡部41との間で被処理基板W、ガラス基板Sおよび重合基板Tの搬送を行う。
接合ステーション4は、第1受渡部41と、第2搬送領域42とを備える。また、接合ステーション4は、塗布・熱処理ブロックG1と、接合処理ブロックG2とを備える。
第1受渡部41は、第1搬送領域3と第2搬送領域42との間に配置される。かかる第1受渡部41では、第1搬送領域3の第1搬送装置32と、後述する第2搬送領域42の第2搬送装置420との間で被処理基板W、ガラス基板Sおよび重合基板Tの受け渡しが行われる。
第2搬送領域42には、第2搬送装置420が配置される。第2搬送装置420は、X軸方向およびY軸方向に移動可能かつZ軸周りに旋回可能であり、第1受渡部41、塗布・熱処理ブロックG1および接合処理ブロックG2間での被処理基板W、ガラス基板Sおよび重合基板Tの搬送を行う。
塗布・熱処理ブロックG1と接合処理ブロックG2とは、第2搬送領域42を挟んで対向配置される。
塗布・熱処理ブロックG1には、2つの塗布装置43と1つの熱処理装置44とが、第2搬送領域42に隣接して並べて配置される。塗布装置43は、被処理基板Wの接合面Wjに接着剤Gを塗布する装置であり、熱処理装置44は、接着剤Gが塗布された被処理基板Wを所定の温度に加熱する装置である。
接合処理ブロックG2には、4つの接合装置45が第2搬送領域42に隣接して並べて配置される。接合装置45は、被処理基板Wとガラス基板Sとの接合を行う。かかる接合装置45の具体的な構成については後述する。
また、接合システム1は、制御装置5を備える。制御装置5は、接合システム1の動作を制御する。かかる制御装置5は、たとえばコンピュータであり、図示しない制御部と記憶部とを備える。記憶部には、接合処理等の各種処理を制御するプログラムが格納される。制御部は記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって接合システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置5の記憶部にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
上記のように構成された接合システム1では、まず、第1搬送領域3の第1搬送装置32が、カセット載置台21に載置されたカセットCwから被処理基板Wを取り出し、取り出した被処理基板Wを第1受渡部41へ搬送する。このとき、被処理基板Wは、非接合面Wnが下方を向いた状態で搬送される。
第1受渡部41へ搬送された被処理基板Wは、第2搬送装置420によって第1受渡部41から取り出され、塗布・熱処理ブロックG1の塗布装置43へ搬入される。塗布装置43は、たとえばスピンチャックを備え、かかるスピンチャックで被処理基板Wの非接合面Wnを吸着保持する。そして、塗布装置43は、吸着保持した被処理基板Wを回転させながら被処理基板Wの接合面Wjに液体状の接着剤Gを供給する。これにより、被処理基板Wの接合面Wjに接着剤Gが塗り広げられる。
塗布装置43によって接着剤Gが塗布された後、被処理基板Wは、第2搬送装置420によって塗布装置43から搬出されて、熱処理装置44へ搬入される。熱処理装置44は、たとえば不活性雰囲気に保たれた内部で被処理基板Wを加熱することにより、接着剤Gに含まれる有機溶剤等の溶媒を揮発させて接着剤Gを塗布時よりも硬くする。その後、被処理基板Wは、熱処理装置44によって所定の温度、たとえば常温に温度調節される。
熱処理装置44によって熱処理が施された後、被処理基板Wは、第2搬送装置420によって熱処理装置44から搬出されて、接合装置45へ搬入される。
一方、ガラス基板Sは、第1搬送装置32によってカセットCsから取り出されて第1受渡部41へ搬送され、さらに、第2搬送装置420によって第1受渡部41から取り出されて接合装置45へ搬入される。
被処理基板Wおよびガラス基板Sが接合装置45へ搬入されると、接合装置45によって被処理基板Wおよびガラス基板Sの接合処理が行われる。これにより、重合基板Tが形成される。その後、重合基板Tは、第2搬送装置420によって第1受渡部41へ搬送され、第1搬送装置32によってカセットCtへ搬送される。こうして、一連の処理が終了する。
<2.接合装置の構成>
次に、接合装置45の構成について図3を参照して説明する。図3は、接合装置45の構成を示す模式平断面図である。
図3に示すように、接合装置45は、内部を密閉可能な処理室50を備える。処理室50の第2搬送領域42側の側面には、被処理基板W、ガラス基板Sおよび重合基板Tの搬入出口51が形成される。搬入出口51には、開閉シャッタ(図示せず)が設けられる。
処理室50の内部には、処理室50内の領域を前処理領域D1と接合領域D2とに区画する内壁52が設けられてもよい。内壁52には、被処理基板W、ガラス基板Sおよび重合基板Tの搬入出口53が形成される。搬入出口53には、内壁52が設けられた場合、図示しない開閉シャッタが設けられる。なお、前述の搬入出口51は、前処理領域D1における処理室50の側面に形成される。
前処理領域D1には、接合装置45の外部との間で被処理基板W、ガラス基板Sおよび重合基板Tの受け渡しを行う受渡部60が設けられる。受渡部60は、搬入出口51に隣接して配置される。
受渡部60は、受渡アーム61と支持ピン62とを備える。受渡アーム61は、第2搬送装置420(図1参照)と支持ピン62との間で被処理基板W、ガラス基板Sおよび重合基板Tの受け渡しを行う。支持ピン62は、複数、例えば3箇所に設けられ、被処理基板W、ガラス基板Sおよび重合基板Tを支持する。
なお、受渡部60は、鉛直方向に複数、たとえば2段に配置され、被処理基板W、ガラス基板Sおよび重合基板Tのいずれか2つを同時に受け渡すことができる。たとえば、一の受渡部60で接合前の被処理基板Wまたはガラス基板Sを受け渡し、他の受渡部60で接合後の重合基板Tを受け渡してもよい。あるいは、一の受渡部60で接合前の被処理基板Wを受け渡し、他の受渡部60で接合前のガラス基板Sを受け渡してもよい。
前処理領域D1のY軸負方向側、すなわち搬入出口53側には、たとえば被処理基板Wの表裏面を反転させる反転部70が設けられる。
反転部70は、被処理基板Wまたはガラス基板Sを挟み込んで保持する保持アーム71を備える。保持アーム71は、水平方向(図3においてはX軸方向)に延在しており、水平軸周りに回動自在であり、かつ、水平方向(X軸方向およびY軸方向)および鉛直方向(Z軸方向)に移動可能である。
また、反転部70は、被処理基板Wまたはガラス基板Sの水平方向の位置向きを調節する調節機能も備える。具体的には、反転部70は、ガラス基板Sまたは被処理基板Wのノッチ部の位置を検出する検出部72を備える。そして、反転部70では、保持アーム71に保持されたガラス基板Sまたは被処理基板Wを水平方向に移動させながら、検出部72でノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節して被処理基板Wまたはガラス基板Sの水平方向の向きを調節する。
接合領域D2のY軸正方向側には、受渡部60、反転部70および後述する接合部90に対して、被処理基板W、ガラス基板Sおよび重合基板Tを搬送する搬送部80が設けられる。搬送部80は、搬入出口53に隣接して配置される。
搬送部80は、2本の搬送アーム81,82を備える。これら搬送アーム81,82は、鉛直方向に下からこの順で2段に配置され、図示しない駆動部によって水平方向および鉛直方向に移動可能である。
搬送アーム81,82のうち、搬送アーム81は、たとえばガラス基板S等の裏面、すなわち非接合面Snを保持して搬送する。また、搬送アーム82は、反転部70で表裏面が反転された被処理基板Wの表面、すなわち接合面Wjの外周部を保持して搬送する。
そして、接合領域D2のY軸負方向側には、被処理基板Wとガラス基板Sとを接合する接合部90が設けられる。
上記のように構成された接合装置45では、第2搬送装置420によって被処理基板Wが受渡部60の受渡アーム61に受け渡されると、受渡アーム61が被処理基板Wを支持ピン62へ受け渡す。その後、被処理基板Wは、搬送部80の搬送アーム81によって支持ピン62から反転部70に搬送される。
反転部70に搬送された被処理基板Wは、反転部70の検出部72によってノッチ部の位置が検出されて水平方向の向きが調節される。その後、被処理基板Wは、反転部70によって表裏が反転される。すなわち、接合面Wjが下方に向けられる。
その後、被処理基板Wは、搬送部80の搬送アーム82によって反転部70から接合部90へ搬送される。このとき、搬送アーム82は、被処理基板Wの外周部を保持するため、たとえば搬送アーム82に付着したパーティクル等によって接合面Wjが汚損することを防止することができる。
一方、第2搬送装置420によってガラス基板Sが受渡部60の受渡アーム61に受け渡されると、受渡アーム61がガラス基板Sを支持ピン62へ受け渡す。その後、ガラス基板Sは、搬送部80の搬送アーム81によって支持ピン62から反転部70に搬送される。
反転部70に搬送されたガラス基板Sは、反転部70の検出部72によってノッチ部の位置が検出されて水平方向の向きが調節される。その後、ガラス基板Sは、搬送部80の搬送アーム81によって反転部70から接合部90へ搬送される。
被処理基板Wおよびガラス基板Sの接合部90への搬入が完了すると、接合部90によって被処理基板Wとガラス基板Sとが接合され、重合基板Tが形成される。形成された重合基板Tは、搬送部80の搬送アーム81によって接合部90から受渡部60に搬送された後、支持ピン62を介して受渡アーム61へ受け渡され、さらに受渡アーム61から第2搬送装置420へ受け渡される。
<3.接合部の構成>
次に、接合部90の構成について図4を参照して説明する。図4は、接合部90の構成を示す模式側断面図である。なお、図4では、接合部90の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
図4に示すように、接合部90は、第1保持部101と、第2保持部201とを備える。第1保持部101は、被処理基板Wを鉛直方向において被処理基板Wの上面側(具体的には非接合面Wn側)から保持する。
また、第2保持部201は、第1保持部101の下方において第1保持部101に対向配置され、ガラス基板Sを鉛直方向においてガラス基板Sの下面側(具体的には非接合面Sn側)から保持する。第1保持部101および第2保持部201は、被処理基板Wおよびガラス基板Sよりも大径の略円板形状を有する。
第1保持部101および第2保持部201は、静電チャックであり、それぞれ被処理基板Wおよびガラス基板Sを静電吸着により保持する。また、第2保持部201は、静電吸着が解除される場合、ガラス基板Sを載置された状態で保持する。すなわち、第2保持部201は、ガラス基板Sの保持を、載置による保持と静電吸着による保持との間で切り替え可能に構成される。なお、第2保持部201において、ガラス基板Sの保持を載置による保持と静電吸着による保持とで切り替えるタイミングについては、後に詳説する。
ここで、第1保持部101および第2保持部201の構成について図5Aおよび図5Bを参照して説明する。図5Aは、第1保持部101の構成を示す模式側断面図であり、図5Bは、第2保持部201の構成を示す模式側断面図である。
図5Aおよび図5Bに示すように、第1保持部101は第1静電吸着部111を備え、第2保持部201は第2静電吸着部211を備える。
第1静電吸着部111は、内部に一対の電極111a,111bを備え、第2静電吸着部211は、内部に一対の電極211a,211bを備える。ここで「一対の電極」とは、後述するように、一方の電極と他方の電極とで互いに異なる極性となるような電圧が印加される電極同士を意味する。
なお、以下では、一対の電極111a,111b,211a,211bのうち、一方の電極111a,211aを「第1電極111a,211a」、他方の電極111b,211bを「第2電極111b,211b」という場合がある。また、図5Aおよび図5Bにおいては、図示の簡略化のため、第1電極111a,211aと、第2電極111b,211bとがそれぞれ1個ずつである例を示したが、これに限定されるものではなく、それぞれ複数個であってもよい。
第1静電吸着部111は、一対の電極111a,111bによって保持面113に発生する静電吸気力を利用して、被処理基板Wの非接合面Wnを吸着させる。詳しくは、第1保持部101の第1静電吸着部111は、たとえば一対の電極111a,111bに対して第1電極111aを陽極、第2電極111bを陰極とする電圧が印加されると静電吸着力が発生し、発生した静電吸着力により被処理基板Wを保持する。
また、第2静電吸着部211は、一対の電極211a,211bによって保持面213に発生する静電吸気力を利用して、ガラス基板Sの非接合面Snを吸着させる。詳しくは、第2保持部201の第2静電吸着部211は、たとえば一対の電極211a,211bに対して第1電極211aを陽極、第2電極211bを陰極とする電圧が印加されると静電吸着力が発生し、発生した静電吸着力によりガラス基板Sを保持する。
なお、ガラス基板Sを保持する第2保持部201の第2静電吸着部211は、一対の電極211a,211bに対する電圧の印加方向が反転されて一対の電極211a,211bの極性が切り替えられるが、これについては後述する。
このように、第1の実施形態に係る接合部90は、第1保持部101および第2保持部201として静電チャックを用いることとしたため、被処理基板Wおよびガラス基板Sを、傷つけることなく確実に保持しておくことができる。
すなわち、機械的な保持を行うメカチャック等を保持部として用いた場合には、被処理基板Wおよびガラス基板Sが傷つくおそれがあるが、静電チャックによれば、メカチャック等と比べて被処理基板Wおよびガラス基板Sを傷つけにくい。
なお、第2保持部201についてはバキュームチャックとし、その保持面にゴムパッドを設けることで、減圧雰囲気下でのガラス基板Sの位置ずれを防止することも考えられる。しかしながら、第1の実施形態に係る接合部90のように、ゴムパッドの耐熱温度を超える高温環境下で接合処理を行う場合にはゴムパッドを用いることはできない。
したがって、第1の実施形態に係る接合部90では、第1保持部101および第2保持部201ともに静電チャックを用いることが好ましい。なお、耐熱性が高いことで知られるフッ素ゴムの耐熱温度は300℃であるが、第1の実施形態に係る接合システム1では、300℃以上の高温環境下で被処理基板Wとガラス基板Sとの接合処理が行われる。
図5Aおよび図5Bに示すように、第1保持部101および第2保持部201は、第1、第2静電吸着部111,211に加え、第1、第2真空吸着部112,212を備える。
第1、第2真空吸着部112,212はそれぞれ、吸気空間112a,212aと、保持面113,213から吸気空間112a,212aへ連通する複数の貫通孔112b,212bとを備える。吸気空間112a,212aには、吸気管114,214を介して真空ポンプ等の吸気装置115,215が接続される。
かかる第1、第2真空吸着部112,212は、吸気装置115,215の吸気によって発生する負圧を利用し、被処理基板Wの非接合面Wnおよびガラス基板Sの非接合面Snをそれぞれ吸着させることによって、被処理基板Wおよびガラス基板Sを保持する。
なお、第1保持部101および第2保持部201は、たとえば窒化アルミニウムなどのセラミックスにより形成される。
図4に戻り、第1保持部101および第2保持部201の説明を続ける。第1保持部101および第2保持部201は、それぞれ第1加熱機構117および第2加熱機構217をそれぞれ内蔵する。第1加熱機構117は、第1保持部101によって保持された被処理基板Wを加熱し、第2加熱機構217は、第2保持部201によって保持されたガラス基板Sを加熱する。
被処理基板Wとガラス基板Sとの接合処理は、減圧雰囲気下で行われる。このため、第1加熱機構117および第2加熱機構217としては、たとえば減圧雰囲気下でも使用可能なセラミックヒータが用いられる。
また、接合部90は、第1冷却機構102と、ベース部材103と、加圧機構104とを備える。
第1冷却機構102は、第1保持部101の保持面113(図5A参照)と反対側の面に接して設けられる。第1冷却機構102としては、たとえば金属製の冷却ジャケットを用いることができ、冷水等の冷却流体を媒体として第1保持部101を冷却することによって、第1保持部101に保持された被処理基板Wを冷却する。
ベース部材103は、第1冷却機構102の上方において後述する第1チャンバ部311の上面に取り付けられる。
加圧機構104は、第1保持部101と第2保持部201とを相対的に移動させることによって被処理基板Wとガラス基板Sとを接触させて加圧する。具体的には、加圧機構104は、第1保持部101を鉛直下方に移動させることにより、被処理基板Wをガラス基板Sに接触させて加圧する。かかる加圧機構104は、圧力容器141と、気体供給管142と、気体供給源143と、支持部材144とを備える。
圧力容器141は、たとえば鉛直方向に伸縮自在なステンレス製のベローズにより構成される。圧力容器141は、下端部が支持部材144の上面に固定される一方、上端部がベース部材103の下面に固定される。
また、支持部材144の下面には、上述した第1冷却機構102が固定されて支持される。なお、支持部材144と第1冷却機構102との間にたとえば断熱板を介挿し、第1加熱機構117により被処理基板Wを加熱する際の熱が支持部材144に伝達されるのを防止するようにしてもよい。
気体供給管142は、その一端がベース部材103および後述する第1チャンバ部311を介して圧力容器141に接続され、他端が気体供給源143に接続される。
かかる圧力容器141では、気体供給源143から気体供給管142を介して圧力容器141の内部に気体が供給されることにより、圧力容器141が伸長して第1保持部101を降下させる。これにより、被処理基板Wは、ガラス基板Sと接触して加圧される。被処理基板Wおよびガラス基板Sの加圧力は、圧力容器141に供給する気体の圧力を調節することで調節される。
なお、圧力容器141は、伸縮性を有するため、第1保持部101の平行度と第2保持部201の平行度に差異が生じても、その差異を吸収することができる。また、圧力容器141の内部は気体により均等に加圧されるため、被処理基板Wおよびガラス基板Sを均等に加圧することができる。
また、接合部90は、第2冷却機構202と、断熱板203とを備える。第2冷却機構202は、たとえば第2保持部201と略同径の円板形状を有する。かかる第2冷却機構202は、第2保持部201の保持面213(図5B参照)と反対側の面に接して設けられる。第1冷却機構102と同様、第2冷却機構202には、たとえば金属製の冷却ジャケットを用いることができ、冷水等の冷却流体を媒体として第2保持部201を冷却することによって、第2保持部201に保持されたガラス基板Sを冷却する。
なお、接合部90が、上述した第1、第2冷却機構102,202を備えるようにしたが、第1、第2冷却機構102,202のうちのいずれか一方を除去してもよく、さらには第1、第2冷却機構102,202の両方を除去するように構成してもよい。
断熱板203は、第2冷却機構202の下面と後述する第2チャンバ部312との間に介挿される。これにより、断熱板203は、第2加熱機構217によりガラス基板Sを加熱する際の熱が第2チャンバ部312側に伝達されるのを防止することができる。なお、断熱板203は、たとえば窒化ケイ素などによって製作される。
また、接合部90は、チャンバ301と、移動機構302と、減圧機構303と、ガス供給機構304と、第1撮像部305と、第2撮像部306とを備える。
チャンバ301は、内部を密閉可能な処理容器であり、第1チャンバ部311と、第2チャンバ部312とを備える。第1チャンバ部311は、下部が開放された有底筒状の容器であり、内部には、第1保持部101、被処理基板W、第1冷却機構102、圧力容器141等が収容される。また、第2チャンバ部312は、上部が開放された有底筒状の容器であり、内部には、第2保持部201、ガラス基板S、第2冷却機構202等が収容される。
第1チャンバ部311は、エアシリンダ等の図示しない昇降機構によって鉛直方向に昇降可能に構成される。かかる昇降機構によって第1チャンバ部311を降下させて第2チャンバ部312に当接させることで、チャンバ301の内部に密閉空間が形成される。なお、第1チャンバ部311の第2チャンバ部312との当接面には、チャンバ301の機密性を確保するためのシール部材313が設けられる。シール部材313としては、たとえばOリングが用いられる。
移動機構302は、第1チャンバ部311の外周部に設けられ、第1チャンバ部311を介して第1保持部101を水平方向に移動させる。かかる移動機構302は、第1チャンバ部311の外周部に対して複数(たとえば、5つ)設けられ、5つの移動機構302のうちの4つが第1保持部101の水平方向の移動に用いられ、残りの1つが第1保持部101の鉛直軸まわりの回転に用いられる。
移動機構302は、第1チャンバ部311の外周部に当接して第1保持部101を移動させるカム321と、シャフト322を介してカム321を回転させる回転駆動部323とを備える。カム321はシャフト322の中心軸に対して偏心して設けられている。そして、回転駆動部323によりカム321を回転させることで、第1保持部101に対するカム321の中心位置が移動し、第1保持部101を水平方向に移動させることができる。
減圧機構303は、たとえば第2チャンバ部312の下部に設けられ、チャンバ301内を減圧する。かかる減圧機構303は、チャンバ301内の雰囲気を吸気するための吸気管331と、吸気管331に接続された真空ポンプなどの第1吸気装置332および第2吸気装置333とを備える。
第1吸気装置332は、チャンバ301内の雰囲気を吸気してチャンバ301内を第1圧力Pc1(たとえば1Pa)まで減圧させることができる機能を有している。一方、第2吸気装置333は、チャンバ301内の雰囲気を吸気してチャンバ301内を第1圧力Pc1よりも低い第2圧力Pc2(たとえば1Pa未満の値)まで減圧させることができる機能を有している。すなわち、第2吸気装置333は、第1吸気装置332よりも吸気力が強くなるように設定される。
ガス供給機構304は、たとえば第2チャンバ部312の下部に設けられ、チャンバ301内へたとえば窒素ガスなどの不活性ガスを供給する。かかるガス供給機構304は、チャンバ301内へ不活性ガスを供給するためのガス供給管341と、ガス供給管341に接続されるガス供給源342とを備える。
第1撮像部305は、第1保持部101の下方に配置されて、第1保持部101に保持された被処理基板Wの表面を撮像する。また、第2撮像部306は、第2保持部201の上方に配置されて、第2保持部201に保持されたガラス基板Sの表面を撮像する。
第1撮像部305および第2撮像部306は、図示しない移動機構によって水平方向に移動可能に構成されており、第1チャンバ部311を降下させる前にチャンバ301内に侵入して、被処理基板Wおよびガラス基板Sを撮像する。第1撮像部305および第2撮像部306の撮像データは、制御装置5へ送信される。なお、第1撮像部305および第2撮像部306としては、たとえば広角型のCCDカメラがそれぞれ用いられる。
<4.接合部の動作>
次に、上記のように構成された接合部90が実行する接合処理の処理手順について図6Aおよび図6Bを参照して説明する。図6Aおよび図6Bは、接合処理の動作例を示す説明図である。
接合部90では、まず、第1保持部101によって被処理基板Wが保持され、第2保持部201によってガラス基板Sが保持される。このとき、第1保持部101および第2保持部201は、第1保持部101の第1加熱機構117および第2保持部201の第2加熱機構217によって予め第1の温度Ea1,Eb1に加熱された状態となっている。第1加熱機構117の第1の温度Ea1および第2加熱機構217の第1の温度Eb1はともに、接着剤Gが軟化しない比較的低い温度、たとえば200℃以下の温度である。
つづいて、接合部90では、アライメント工程が実施される。かかるアライメント工程では、図4に示す第1撮像部305および第2撮像部306が水平方向に移動してチャンバ301内に侵入し、被処理基板Wおよびガラス基板Sの表面をそれぞれ撮像する。
その後、第1撮像部305によって撮像された画像に表示される被処理基板Wの基準点の位置と、第2撮像部306によって撮像された画像に表示されるガラス基板Sの基準点の位置とが一致するように、移動機構302によって被処理基板Wの水平方向の位置が調節される。こうして被処理基板Wのガラス基板Sに対する水平方向の位置が調節される。
つづいて、第1撮像部305および第2撮像部306がチャンバ301内から退出した後、図示しない移動機構によって第1チャンバ部311が降下する。そして、第1チャンバ部311が第2チャンバ部312に当接することにより、チャンバ301内に密閉空間が形成される(図6A参照)。
つづいて、接合部90では、昇温工程が実施される。昇温工程では、第1保持部101の第1加熱機構117および第2保持部201の第2加熱機構217によって被処理基板Wおよびガラス基板Sが加熱される。かかる昇温工程では、第1加熱機構117および第2加熱機構217を、第1の温度Ea1,Eb1から第2の温度Ea2,Eb2へ昇温させ、それに伴って被処理基板Wおよびガラス基板Sも第2の温度Ea2,Eb2まで昇温させる。第2の温度Ea2,Eb2はともに、接着剤Gが軟化する比較的高い温度、たとえば300℃以上の温度である。
また、昇温工程では、不活性ガスがガス供給機構304からチャンバ301内へ供給され、チャンバ301は内部が不活性雰囲気とされる。すなわち、上述した被処理基板Wおよびガラス基板Sの加熱は、不活性雰囲気に保たれたチャンバ301の内部で行われる。これにより、たとえば被処理基板Wの接合面Wjに塗布された接着剤Gの酸化を抑制することができる。
その後、接合部90では、減圧工程が実施される。かかる減圧工程では、減圧機構303によってチャンバ301内の雰囲気が吸気されることによってチャンバ301内が減圧される。具体的に減圧工程では、まず第1吸気装置332を用いてチャンバ301内を第1圧力Pc1まで減圧させ、その後第2吸気装置333を用いてチャンバ301内を第2圧力Pc2まで減圧させる。
つづいて、接合部90では、接合工程が実施される。かかる接合工程では、圧力容器141に気体を供給することにより、圧力容器141内を所望の圧力にする。これにより、第1保持部101が降下して被処理基板Wとガラス基板Sとが所望の圧力(後述する加圧力Pb2)で加圧される(図6B参照)。
被処理基板Wの接合面Wjに塗布された接着剤Gは、第2の温度Ea2への昇温によって軟化しており、被処理基板Wがガラス基板Sに所望の圧力で押圧されることによって、被処理基板Wとガラス基板Sとは接着される。なお、チャンバ301内を減圧雰囲気下とすることで、被処理基板Wとガラス基板Sとの間にボイドが生じることを防止することができる。
つづいて、接合部90では、第1冷却機構102と第2冷却機構202を用いた降温工程が実施される。かかる降温工程では、加圧機構104によって被処理基板Wおよびガラス基板Sが加圧された状態を維持したまま、第1、第2冷却機構102,202で第1、第2加熱機構117,217を第1の温度Ea1,Eb1まで降温させる。これにより、被処理基板Wおよびガラス基板Sも第1の温度Ea1,Eb1まで降温し、よって軟化した接着剤Gが硬化して被処理基板Wおよびガラス基板Sが接合される。なお、降温工程でも、不活性ガスがガス供給機構304からチャンバ301内へ供給され、これによりたとえば接着剤Gの酸化を抑制することができる。
このようにして形成された重合基板Tは、図示しない移動機構によって第1チャンバ部311が上昇した後、搬送部80によって接合部90から搬出され、上述した手順でカセットCtまで搬送される。
<5.第2保持部の電圧制御>
上述したように、第1の実施形態に係る接合システム1では、支持基板としてガラス基板Sを使用し、このガラス基板Sを保持する第2保持部201として静電チャックを用いることとしている。
ところで、たとえば仮に、第2保持部201において、一対の電極211a,211bのうち第1電極211aを陽極とし、第2電極211bを陰極とする直流電圧が印加された場合、印加後ある時間が経過すると、ガラス基板Sの第2電極211bに対応する部位にナトリウムが析出する。ナトリウムが析出すると、空気中の水分と結合して水酸化ナトリウムとなり、第2保持部201の表面劣化やガラス基板Sの変質等の不具合を招くおそれがあった。
このナトリウムが析出するまでの時間について図7を参照しつつ説明する。図7は、ガラス基板Sにナトリウムが析出するまでの時間を説明する図である。
第2保持部201の一対の電極211a,211bに上記のような直流電圧が印加された場合、ガラス基板Sにおいては、ガラス基板Sの中のナトリウムイオンが第2保持部201の陰極側の電極(たとえば第2電極211b)へ引き寄せられる。そして、図7に示すように、直流電圧の印加が開始されてから時間Tが経過すると、ガラス基板Sの第2電極211bに対応する部位にナトリウムが析出する。
発明者らが、ガラス基板Sにナトリウムが析出するまでの時間T(以下、析出時間Tともいう)について鋭意検討した結果、析出時間Tは、第2保持部201の一対の電極211a,211bに対する印加電圧やガラス基板Sの温度などの要因に基づいて規定されることが分かった。
図8は、第2保持部201の一対の電極211a,211bに印加される電圧と析出時間Tとの関係を示すグラフである。なお、図8においては、ガラス基板Sの温度が、たとえば昇温工程後の第2の温度Eb2である場合を示す。
図8に示すように、第2保持部201の印加電圧と析出時間Tとは反比例関係にあり、印加電圧が低くなるにつれて析出時間Tは長くなる。そのため、たとえば第2保持部201の印加電圧を下げて析出時間Tを長くすることで、ナトリウムの析出を抑制することが考えられる。
しかしながら、第2保持部201の印加電圧には、ガラス基板Sを安定して静電吸着できる下限値(図8において「Va」で示す)があることから、印加電圧を下限値Va未満にすることはできない。なお、図8に示すように、第2保持部201の印加電圧が下限値Vaであるときに規定される、ナトリウムが析出するまでの時間Taを「規定析出時間Ta」という。
そこで、本実施形態にあっては、第2保持部201の一対の電極211a,211bに対する電圧の印加方向を反転させる制御を行い、一対の電極211a,211bの極性を切り替えることで、析出時間Tを規定析出時間Taよりも長くし、ナトリウムの析出を抑制するようにした。
以下、第2保持部201の一対の電極211a,211bに対する電圧の印加方向を反転させる制御について、図9Aおよび図9Bを参照して説明する。
図9Aは、第2保持部201の一対の電極211a,211bのうち第1電極211aに印加される電圧の波形を示す図であり、図9Bは、第2電極211bに印加される電圧の波形を示す図である。なお、一対の電極211a,211bの電圧の制御は、制御装置5によって行われる。
図9A,9Bに示すように、制御装置5は、まず第1電極211aを陽極とし、第2電極211bを陰極とする電圧を印加する、具体的には、第1電極211aに正電圧を印加する一方、第2電極211bに負電圧を印加する。
そして、制御装置5は、時間T1が経過すると、一対の電極211a,211bに対する電圧の印加方向を反転させる。すなわち、制御装置5は、第1電極211aに印加されていた正電圧を負電圧に、第2電極211bに印加されていた負電圧を正電圧に切り替える。これにより、第1電極211aの極性は陽極から陰極へ、第2電極211bの極性は陰極から陽極へ切り替えられる。なお、以下では、上述した極性を切り替えるタイミングを「切り替えタイミングSW」という場合がある。
さらに、制御装置5は、時間T2が経過すると、一対の電極211a,211bに対する電圧の印加方向を再び反転させる。すなわち、制御装置5は、第1電極211aに印加されていた負電圧を正電圧に、第2電極211bに印加されていた正電圧を負電圧に切り替える。これにより、第1電極211aの極性は陰極から陽極へ、第2電極211bの極性は陽極から陰極へ切り替えられる。
このように、一対の電極211a,211bの極性を切り替えることで、析出時間Tを規定析出時間Taよりも長くし、ガラス基板Sにおけるナトリウムの析出を抑制することができる。
詳しく説明すると、第1電極211aを陽極とし、第2電極211bを陰極とする電圧が印加される時間T1においては、ガラス基板Sの中のナトリウムイオンは陰極である第2電極211b側に引き寄せられる。
他方、第1電極211aを陰極とし、第2電極211bを陽極とする電圧が印加される時間T2においては、陰極である第1電極211a側にナトリウムイオンが引き寄せられる。
ガラス基板Sの陰極側の電極に対応する部位にナトリウムが析出するのは、上述したように、ナトリウムイオンが規定析出時間Taの間、陰極側の電極に引き寄せられ続けたときである。
具体的には、ガラス基板Sの第1電極211aに対応する部位にナトリウムが析出するのは、第1電極211aの極性が陰極である時間T2の累積時間が規定析出時間Taに到達したときである。同様に、ガラス基板Sの第2電極211bに対応する部位にナトリウムが析出するのは、第2電極211bの極性が陰極である時間T1の累積時間が規定析出時間Taに到達したときである。
逆にいえば、ナトリウムイオンが陰極側の電極に引き寄せられる時間(T1またはT2)の累積時間が、規定析出時間Taに到達しなければ、ナトリウムは析出されない。
したがって、上述のように、一対の電極211a,211bの極性を切り替えることで、ナトリウムイオンが陰極側の電極に引き寄せられる時間(T1またはT2)の累積時間が、規定析出時間Taに到達するのを遅らせるようにした。これにより、析出時間Tは、図9A,9Bに示すように、規定析出時間Taよりも長くなり、よってガラス基板Sにおけるナトリウムの析出を抑制することができる。
また、制御装置5は、最初に第1電極211aを陽極とし、第2電極211bを陰極とする電圧が印加されてから第2電極211bに対応するガラス基板Sの部位にナトリウムが析出するまでの時間(規定析出時間Ta)が経過する前に、一対の電極211a,211bの極性を切り替える。すなわち、時間T1は規定析出時間Ta未満に設定される(時間T1<規定析出時間Ta)。
これにより、析出時間Tを規定析出時間Taよりも確実に長くでき、よってガラス基板Sにおけるナトリウムの析出を抑制することができる。
また、一対の電極211a,211bの極性は周期的に切り替えられるのが好ましい。具体的には、上記した時間T1と時間T2とが、同じ値または略同じ値となるように設定され、一対の電極211a,211bの極性を切り替える間隔(切り替えタイミングSW間)が一定とされるのが好ましい。
これにより、時間T1の累積時間および時間T2の累積時間が、規定析出時間Taに到達するのを可能な限り遅らせることができ、析出時間Tをより一層長くすることができる。具体的に析出時間Tは、図9A,9Bに示すように、規定析出時間Taに対して約2倍程度長くなり、よってガラス基板Sにおけるナトリウムの析出をより一層抑制することができる。
なお、上記では、一対の電極211a,211bの極性を周期的に切り替えるように構成したが、これに限定されるものではなく、たとえば時間T1と時間T2とを異ならせるようにしてもよい。
また、制御装置5は、電圧の波形が矩形波となるように一対の電極211a,211bに対する電圧の印加方向を反転させることによって一対の電極211a,211bの極性を切り替える。これにより、第2保持部201の第2静電吸着部211における静電吸着力の低下を抑制することができる。
詳しくは、第2静電吸着部211における静電吸着力は、一対の電極211a,211bの極性を切り替えると、一時的に低下する。しかしながら、上述のように、電圧の波形が矩形波となるように一対の電極211a,211bに対する電圧の印加方向を反転させれば、一対の電極211a,211bの極性の切り替えを瞬時に行うことができる。これにより、たとえば電圧の波形が、極性の切り替えに時間を要する正弦波であった場合に比べて、第2静電吸着部211における静電吸着力の低下を抑制することができる。
また、第2静電吸着部211における静電吸着力は、上述したように、一対の電極211a,211bの極性を切り替えることで一時的に低下するが、その後復帰する。そのため、たとえば仮に、第2静電吸着部211の静電吸着力が復帰する前に、次回の一対の電極211a,211bの極性の切り替えが行われると、第2静電吸着部211において静電吸着力が低下した状態が継続してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態にあっては、一対の電極211a,211bの極性を複数回切り替える場合、極性の切り替え後において第2静電吸着部211の静電吸着力が復帰するまでの復帰時間Tx(図9A参照)よりも長い間隔で、切り替えるようにした(時間T1>復帰時間Tx。時間T2>復帰時間Tx)。
これにより、一対の電極211a,211bの極性を複数回切り替える場合であっても、第2静電吸着部211の静電吸着力が低下した状態が継続することはなく、結果として第2保持部201でガラス基板Sを確実に保持することができる。
<6.第2保持部の動作>
つづいて、上記のように構成された第2保持部201において、静電吸着力によってガラス基板Sを保持するタイミングについて図10を参照して具体的に説明する。図10は、第1の実施形態に係る接合処理の処理手順を示すタイミングチャートである。
図10に示すように、接合部90では、まず上述したアライメント工程が実施される。かかるアライメント工程において、第2保持部201の第2静電吸着部211はオフされている。すなわち、第2保持部201においてガラス基板Sは、載置により保持されている、正確には、保持面213に載置されて第2真空吸着部212の負圧によって保持されている。なお、第1保持部101にあっては、第1静電吸着部111がオンされ、被処理基板Wが静電吸着により保持されている。
接合部90では、アライメント工程終了後、第1チャンバ部311を降下させ、チャンバ301内へ不活性ガスを供給するとともに、第1、第2加熱機構117,217を用いて被処理基板Wおよびガラス基板Sの温度を第2の温度Ea2,Eb2まで昇温させる。
接合部90では、つづいて減圧工程へ移行し、第1吸気装置332を用いたチャンバ301内の減圧が開始される。第1吸気装置332による減圧が開始されると、チャンバ301内の圧力は変化する、換言すれば、チャンバ301内の気流の流れが大きくなる。なお、この明細書においては、上述したチャンバ301内の圧力が変化するタイミングを「圧力変化タイミング」と称し、図10において圧力変化タイミングを符号「A1」で示す。
圧力変化タイミングA1においては、チャンバ301内の圧力が急峻に変化することから、保持面213に載置されたガラス基板Sは、第2保持部201に対して位置ずれを生じるおそれがある。そこで、図10に示すように、圧力変化タイミングA1を含む所定期間B1において、第2保持部201におけるガラス基板Sの保持を載置による保持から静電吸着による保持に切り替える、すなわち一対の電極211a,211bに対して電圧が印加されて第2静電吸着部211をオンするようにした。
これにより、ガラス基板Sを第2保持部201で静電吸着によって確実に保持することができ、ガラス基板Sの位置ずれを防止することができる。
また、所定期間B1において、第2保持部201の一対の電極211a,211bに印加される電圧は、上述したように制御される、具体的には電圧の印加方向を反転させることによって一対の電極211a,211bの極性を切り替えるように制御されるが、切り替えタイミングSWは、圧力変化タイミングA1を除いたタイミングとされる。言い換えると、切り替えタイミングSWと圧力変化タイミングA1とが、一致しないように設定される。
これにより、第2静電吸着部211における静電吸着力が一時的に低下する切り替えタイミングSWと、ガラス基板Sの位置ずれが生じ易い圧力変化タイミングA1とをずらすことができ、よってガラス基板Sを第2保持部201で確実に保持することができる。
また、上述した所定期間B1は、圧力変化タイミングA1の前後に亘って設定される。具体的にたとえば、所定期間B1は圧力変化タイミングA1前の20〜40秒、圧力変化タイミングA1後の20〜40秒の合計40〜80秒程度に設定される。なお、上記では、所定期間B1について具体的な数値を挙げたが、これは例示であって限定されるものではなく、たとえば40秒以下、または80秒以上であってもよい。
上述した所定期間B1が経過すると、第2保持部201におけるガラス基板Sの保持を静電吸着による保持から載置による保持に切り替える、具体的には第2静電吸着部211をオフする。
減圧工程では、次いで第2吸気装置333を用いたチャンバ301内の減圧が開始される。第2吸気装置333による減圧が開始されると、第1吸気装置332による減圧と同様、チャンバ301内の圧力は変化する。なお、図10においては、第2吸気装置333の減圧による圧力変化タイミングを符号「A2」で示す。
圧力変化タイミングA1と同様、圧力変化タイミングA2においても、チャンバ301内の圧力が急峻に変化することから、保持面213に載置されたガラス基板Sは位置ずれを生じるおそれがある。そこで、圧力変化タイミングA2を含む所定期間B2において、第2保持部201におけるガラス基板Sの保持を載置による保持から静電吸着による保持に切り替える、具体的には一対の電極211a,211bに対して電圧が印加されて第2静電吸着部211を再度オンする。
これにより、ガラス基板Sを第2保持部201で静電吸着によって確実に保持することができ、ガラス基板Sの位置ずれを防止することができる。
また、所定期間B2においても、一対の電極211a,211bの極性を切り替える切り替えタイミングSWは、圧力変化タイミングA2を除いたタイミングとされる。これにより、第2静電吸着部211における静電吸着力が一時的に低下する切り替えタイミングSWと、ガラス基板Sの位置ずれが生じ易い圧力変化タイミングA2とをずらすことができ、よってガラス基板Sを第2保持部201で確実に保持することができる。
所定期間B2は、圧力変化タイミングA2の前後に亘って設定される。なお、所定期間B2は、たとえば圧力変化タイミングA2前の20〜40秒、圧力変化タイミングA2後の20〜40秒の合計40〜80秒程度に設定されるが、これは例示であって限定されるものではない。
上述した所定期間B2が経過すると、第2静電吸着部211をオフし、第2保持部201におけるガラス基板Sの保持を静電吸着による保持から載置による保持に切り替える。
接合部90では、減圧工程においてチャンバ301内がたとえば第2圧力Pc2まで減圧されると、接合工程が実施される。なお、接合工程が開始されても、第1、第2吸気装置332,333によるチャンバ301内の減圧は継続される。
接合工程では、加圧機構104を用いて第1保持部101を降下させることによって、被処理基板Wをガラス基板Sに接触させる。なお、この明細書においては、上述した被処理基板Wとガラス基板Sとが接触するタイミングを「接触タイミング」と称し、図10において接触タイミングを符号「A3」で示す。
また、接触タイミングA3の際に被処理基板Wおよびガラス基板Sに作用する加圧力は、後述する被処理基板Wとガラス基板Sとの接着時の加圧力Pb2よりも低い加圧力Pb1に設定される。具体的に加圧力Pb1は、たとえば大気圧と同じ圧力である。
接合工程では、次いで被処理基板Wとガラス基板Sとを加圧力Pb2で加圧して接着させる。ここでは、上述した被処理基板Wとガラス基板Sとを加圧するタイミングを「加圧タイミング」といい、図10において加圧タイミングを符号「A4」で示す。
加圧タイミングA4においては、被処理基板Wおよびガラス基板Sに対する加圧によって、保持面213に載置されたガラス基板Sは位置ずれを生じるおそれがある。そこで、図10に示すように、加圧タイミングA4を含む所定期間B4において、第2保持部201におけるガラス基板Sの保持を載置による保持から静電吸着による保持に切り替える、具体的には一対の電極211a,211bに対して電圧が印加されて第2静電吸着部211をオンするようにした。
これにより、ガラス基板Sを第2保持部201で静電吸着によって確実に保持することができ、ガラス基板Sの位置ずれを防止することができる。
また、所定期間B4においても、一対の電極211a,211bの極性を切り替える切り替えタイミングSWは、加圧タイミングA4を除いたタイミングとされる。これにより、第2静電吸着部211における静電吸着力が一時的に低下する切り替えタイミングSWと、ガラス基板Sの位置ずれが生じ易い加圧タイミングA4とをずらすことができ、よってガラス基板Sを第2保持部201で確実に保持することができる。
上述した所定期間B4は、加圧タイミングA4の前後に亘って設定される。なお、所定期間B4は、たとえば加圧タイミングA4前の20〜40秒、加圧タイミングA4後の20〜40秒の合計40〜80秒程度に設定されるが、これは例示であって限定されるものではない。
また、上述した所定期間B1,B2,B4の始期は、圧力変化タイミングA1,A2または加圧タイミングA4よりも前の時点に設定される。そのため、第2保持部201においてガラス基板Sの静電吸着による保持は、圧力変化タイミングA1,A2または加圧タイミングA4よりも前に開始されることとなる。
これにより、たとえば第2静電吸着部211をオンしてから実際に静電吸着が行われるまでに遅れ(タイムラグ)が生じた場合であっても、圧力変化タイミングA1,A2または加圧タイミングA4でガラス基板Sを静電吸着により保持でき、ガラス基板Sの位置ずれを確実に防止することができる。
また、接合部90では、加圧タイミングA4において、第1、第2吸気装置332,333によるチャンバ301内の減圧を停止させる。このようにチャンバ301内の減圧を停止した場合、チャンバ301内の圧力が変化してガラス基板Sの位置ずれが生じ易い状態となるが、上述したように、加圧タイミングA4におけるガラス基板Sは静電吸着により保持されているため、位置ずれが生じることはない。
すなわち、ガラス基板Sの位置ずれが生じ易い、ガラス基板S等への加圧とチャンバ301内の減圧の停止とを、略同じタイミング(具体的には加圧タイミングA4)で行うようにした。これにより、加圧タイミングA4を含む所定期間B4においてガラス基板Sを静電吸着により保持するだけで、加圧による位置ずれおよび圧力変化による位置ずれの両方を防止することができる。
また、仮に、ガラス基板S等への加圧とチャンバ301内の減圧の停止とが異なるタイミングで実行されると、静電吸着による保持をそれぞれのタイミングで2回行う必要がある。しかしながら、上記のように構成することで、静電吸着を行う回数を1回にでき、静電吸着を行う時間も短縮できることから、ナトリウムの析出をより一層抑制することができる。
上述した所定期間B4が経過すると、第2保持部201におけるガラス基板Sの保持を静電吸着による保持から載置による保持に切り替える、具体的には第2静電吸着部211をオフする。また、第1保持部101の第1静電吸着部111もオフする。
その後、接合部90では、上述した降温工程が実施され、次いで被処理基板Wとガラス基板Sとが接合された重合基板Tが接合部90から搬出されて、一連の接合処理が終了する。
このように、第2保持部201で静電吸着する時間を所定期間B1,B2,B4としたことから、たとえばアライメント工程から接合工程に至るまで静電吸着し続ける場合に比して、静電吸着する時間を短縮でき、結果としてナトリウムの析出を抑制することができる。
なお、ここでは、圧力変化タイミングA1,A2または加圧タイミングA4を含む所定期間B1,B2,B4において静電吸着を行うこととしたが、図10に想像線で示すように、接触タイミングA3を含む所定期間B3において静電吸着を行ってもよい。これにより、たとえば被処理基板Wとガラス基板Sとが接触する接触タイミングA3でのガラス基板Sの位置ずれを防止することができる。
また、その場合の所定期間B3においても、一対の電極211a,211bの極性を切り替える切り替えタイミングSWは、接触タイミングA3を除いたタイミングとされる。これにより、第2静電吸着部211における静電吸着力が一時的に低下する切り替えタイミングSWと、ガラス基板Sの位置ずれが生じ易い接触タイミングA3とをずらすことができ、よってガラス基板Sを第2保持部201で確実に保持することができる。
上述した所定期間B3は、接触タイミングA3の前後に亘って設定される。所定期間B3は、たとえば接触タイミングA3の前後にそれぞれ20〜40秒ずつ、合計40〜80秒程度に設定されるが、これは例示であって限定されるものではない。
また、ここでは、減圧機構303は、第1吸気装置332および第2吸気装置333を備えるようにしたが、第2吸気装置333を除去して、第1吸気装置332のみを備えるようにしてもよい。第2吸気装置333を除去した場合、圧力変化タイミングA2を含む所定期間B2において静電吸着を行う必要がないことから、所定期間B2の分だけ静電吸着の時間を短縮でき、ナトリウムの析出をより抑制することができる。
また、ここでは、所定期間B1,B2,B4において静電吸着を行うこととしたが、所定期間B1,B2,B4のうちの少なくともいずれかの所定期間において静電吸着を行うようにしてもよい。これにより、静電吸着を行わない所定期間の分だけ静電吸着の時間を短縮でき、ナトリウムの析出をより一層抑制することができる。
上述してきたように、第1の実施形態に係る基板保持方法は、保持工程と、切り替え工程とを含む。保持工程は、一対の電極211a,211bに対して第1電極211aを陽極とし、第2電極211bを陰極とする電圧が印加されることによって発生する静電吸着力によりガラス基板Sを保持する。切り替え工程は、ガラス基板Sが保持された状態で一対の電極211a,211bに対する電圧の印加方向を反転させることによって一対の電極211a,211bの極性を切り替える。
したがって、第1の実施形態に係る基板保持方法によれば、ガラス基板Sからのナトリウムの析出を抑制することができる。
(第2の実施形態)
次いで、第2の実施形態に係る基板保持方法について説明する。第1の実施形態との相違点に焦点をおいて説明すると、第2の実施形態に係る第2保持部201にあっては、一対の電極211a,211bに加え、一対の電極をもうひと組備えるようにした。すなわち、第2保持部201が複数組の一対の電極を備えるようにした。
図11は、第2の実施形態に係る第2保持部201の構成を示す模式側断面図である。なお、以下においては、第1の実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、第2保持部201の第2静電吸着部211は、一対の電極211a,211bに加えて、もうひと組の一対の電極211c,211dを備える。以下、一対の電極21a,211bを「第1の一対の電極211a,211b」、一対の電極211c,211dを「第2の一対の電極211c,211d」という場合がある。また、第2の一対の電極211c,211dのうち電極211cを「第3電極211c」、電極211dを「第4電極211d」と称する。
上記のように構成された第2保持部201においては、第1の一対の電極211a,211bと第2の一対の電極211c,211dとに対して印加する電圧の位相を、一組ごとに異ならせるようにした。これにより、各電極の極性を切り替える場合であっても、第2静電吸着部211における静電吸着力を維持することができる。
これについて図12を参照しつつ詳説する。図12は、第2保持部201の第1電極211aおよび第3電極211cに印加される電圧の波形を示す図である。なお、図12においては、第1電極211aに印加される電圧の波形を実線で示す一方、第3電極211cに印加される電圧の波形を破線で示す。
図12に示すように、第1電極211aに印加される電圧の位相と、第3電極211cに印加される電圧の位相とは、所定の周期(たとえば4分の1周期)分ずれるように設定される。なお、図示は省略するが、第2電極211bに印加される電圧の位相についても、第4電極211dに印加される電圧の位相に対し、同じ所定の周期分ずれるように設定される。
また、上述したように、切り替えタイミングSWにおいては、第2静電吸着部211の第1の一対の電極211a,211b側における静電吸着力が一時的に低下する。同様に、第2の一対の電極211c,211dの極性を切り替える切り替えタイミングSWaにおいては、第2静電吸着部211の第2の一対の電極211c,211d側における静電吸着力が一時的に低下する。
しかしながら、第1電極211aおよび第3電極211cに印加される電圧の位相を互いに異ならせるようにしたことから、切り替えタイミングSW,Swaは、図12に示すようにずれる。したがって、第2静電吸着部211において、たとえば第1、第2の一対の電極211a,211b,211c,211dのうち一方側で静電吸着力が一時的に低下した場合であっても、他方側の静電吸着力は低下していないこととなり、結果として第2静電吸着部211における静電吸着力を維持することができる。
なお、上記では、所定の周期を4分の1周期としたが、これは例示であって限定されるものではない。すなわち、所定の周期は、切り替えタイミングSW,Swa同士が重ならなければよく、たとえば4分の3周期、8分の1周期などその他の周期であってもよい。
また、上記では、第2保持部201が2組の一対の電極211a,211b,211c,211dを備えるようにしたが、これに限定されるものではなく、3組以上の一対の電極を備え、組ごとに電圧の位相を異ならせるようにしてもよい。また、第1保持部101が、複数組の一対の電極を備えるようにしてもよい。
なお、上述してきた実施形態では、第2保持部201の一対の電極211a,211bの極性を切り替えるようにしたが、これに限られるものではなく、第1保持部101の一対の電極111a,111bの極性を切り替えるように構成してもよい。
すなわち、たとえば、第1保持部101がガラス基板Sを保持するような接合システムの場合、第1保持部101の一対の電極111a,111bの極性を上述のように切り替えることで、ナトリウムの析出を抑制することができる。
また、第1保持部101がガラス基板Sを保持せず、被処理基板Wを保持する場合であっても、一対の電極111a,111bの極性を、一対の電極211a,211bと同じように切り替えてもよい。これにより、第1保持部101の一対の電極111a,111bおよび第2保持部201の一対の電極211a,211bに印加する電圧の制御を同じにできることから、制御装置5の処理負荷を軽減することができる。
また、図10の接合処理の処理手順を示すタイミングチャートにおいて、第1保持部101の第1静電吸着部111は、アライメント工程から所定期間B4が経過するまで静電吸着によって被処理基板Wを保持するようにしたが、これに限られるものでない。すなわち、たとえば、第1保持部101が静電吸着する時間を、第2保持部201が静電吸着する時間と同じにしてもよい。
これにより、第1保持部101の静電吸着の制御と、第2保持部201の静電吸着の制御とを同じにできることから、制御装置5の処理負荷を軽減することができる。なお、第1保持部101において、所定期間B1等の間のみ静電吸着する場合であっても、第1真空吸着部112を動作させて被処理基板Wを吸着しているため、被処理基板Wが第1保持部101から落下することはない。
また、上述してきた実施形態では、接合部90において、昇温工程で被処理基板Wおよびガラス基板Sを第2の温度Ea2,Eb2まで加熱するようにした。しかし、予め第2の温度Ea2,Eb2まで昇温させた被処理基板Wおよびガラス基板Sを接合部90へ搬送し、昇温工程を省略するようにしてもよい。
また、上述してきた実施形態では、塗布・熱処理ブロックG1において被処理基板Wに対する接着剤Gの塗布および熱処理を行った後で、接合処理ブロックG2において被処理基板Wとガラス基板Sとの接合を行うこととした。しかし、予め接着剤Gが塗布された被処理基板Wを取り扱う場合には、塗布・熱処理ブロックG1での処理を省略してもよい。また、かかる場合、接合システム1は、塗布・熱処理ブロックG1を必ずしも備えることを要しない。
また、上述してきた実施形態では、制御装置5が、接合装置45が備える第1保持部101、第2保持部201、加圧機構104等を制御することとしたが、接合装置45が、第1保持部101、第2保持部201、加圧機構104等を制御する制御部を備えていてもよい。
また、第2保持部201は、保持部の一例である。また、上述してきた実施形態では、接合装置45の接合部90が第2保持部201を備えるようにしたが、たとえば、保持部たる第2保持部201および制御部を備えた装置を基板保持装置として、接合装置45から独立させるように構成してもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。