しかしながら、上述した磁気式液面計800では、フロート801に最も近い角度センサを備えたセンサ部を特定するために、各センサ部804A〜804Eのそれぞれに磁気強度センサを設ける必要があるので、各センサ部804A〜804Eのそれぞれに複数種類のセンサを設けることになり、そのため、装置構成が複雑になってしまうという問題があった。
そこで、本発明者らは、マグネットの位置と一列に配列された磁気強度センサの出力値との関係について鋭意検討した結果、互いに隣接する磁気強度センサの出力値の差分値を用いることにより、複数の磁気強度センサのみを用いて液面レベルを検出できることを見出した。
以下に、磁気強度センサのみを用いた液面レベルの検出について、図24〜図26を参照して説明する。
図24は、マグネット位置と磁気強度センサS[k](kは、1からN−1までのうちの1の自然数)の出力値、磁気強度センサS[k+1]の出力値、及び、これら出力値の差分値D[k]との関係を示すグラフの一例である。磁気強度センサS[k]の出力値からそれに隣接された磁気強度センサS[k+1]の出力値を差し引いた差分値D[k]を考えたとき、図24に示すように、磁気強度センサS[k]と磁気強度センサS[k+1]の間に各センサの出力が均衡するマグネット位置が存在し、そのマグネット位置において差分値D[k]は0となる。このマグネット位置を、ゼロクロス位置P[k]とする。そして、マグネットがゼロクロス位置P[k]より磁気強度センサS[k]側(図中左側)に位置すると、磁気強度センサS[k]の出力値が磁気強度センサS[k+1]の出力値より大きくなって差分値D[k]の符号は正(即ち、D[k]>0)となる。逆に、マグネットがゼロクロス位置P[k]より磁気強度センサS[k+1]側(図中右側)に位置すると、磁気強度センサS[k+1]の出力値がS[k]の出力値より大きくなって差分値D[k]の符号は負(即ち、D[k]<0)となる。また、マグネットが磁気強度センサS[k]に最接近したとき差分値D[k]は最大値となり、マグネットが磁気強度センサS[k+1]に最接近したとき差分値D[k]は最小値となる。符号判定において、D[k]=0の場合は、正(D[k]>0)又は負(D[k]<0)のどちらか一方に含めればよい。
図25は、マグネット位置と複数の差分値D[i](iは、1からN−1までの複数の自然数)との関係を示すグラフの一例である。図25では、一例として、磁気強度センサS[1]〜S[4](N=4)を備えた構成における差分値D[1]〜D[3]について示している。
ゼロクロス位置P[1]より図中左側の区間T[1]では、差分値D[1]〜D[3]の全ての符号が正となっている。また、区間T[1]は、差分値D[1]が最大値となるマグネット位置を含んでおり、差分値D[2]及びD[3]については、最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいない。
ゼロクロス位置P[1]とゼロクロス位置P[2]との間の区間T[2]では、差分値D[1]の符号が負となり、差分値D[2]及びD[3]の符号が正となっている。また、区間T[2]は、差分値D[1]が最小値となるマグネット位置及び差分値D[2]が最大値となるマグネット位置を含んでおり、差分値D[3]については、最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいない。
ゼロクロス位置P[2]とゼロクロス位置P[3]との間の区間T[3]では、差分値D[1]及びD[2]の符号が負となり、差分値D[3]の符号が正となっている。また、区間T[3]は、差分値D[2]が最小値となるマグネット位置及び差分値D[3]が最大値となるマグネット位置を含んでおり、差分値D[1]については、最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいない。
ゼロクロス位置P[3]より図中右側の区間T[4]では、差分値D[1]〜D[3]の全ての符号が負となっている。また、区間T[4]は、差分値D[3]が最小値となるマグネット位置を含んでおり、差分値D[1]及びD[2]については、最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいない。
このことから、差分値D[1]の符号が正であれば、マグネット位置が区間T[1]にあると特定でき、そして、区間T[1]には、差分値D[2]及びD[3]について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[1]において差分値D[2]及びD[3]は単調に変化(単調増加)し、つまり、差分値D[2]及びD[3]の値に対して一意にマグネット位置(即ち、液面レベル)が定まる。そのため、これら差分値D[2]及びD[3]のいずれか一方又は両方に基づいて液面レベルを検出することができる。
また、差分値D[1]の符号が負で、差分値D[2]の符号が正であれば、マグネット位置が区間T[2]にあると特定でき、そして、区間T[2]には、差分値D[3]について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[2]において差分値D[3]は単調に変化し、つまり、差分値D[3]の値に対して一意にマグネット位置が定まる。そのため、この差分値D[3]に基づいて液面レベルを検出することができる。
また、D[2]の符号が負で、差分値D[3]の符号が正であれば、マグネット位置が区間T[3]にあると特定でき、そして、区間T[3]には、差分値D[1]について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[3]において差分値D[1]は単調に変化し、つまり、差分値D[1]の値に対して一意にマグネット位置が定まる。そのため、この差分値D[1]に基づいて液面レベルを検出することができる。
また、差分値D[3]の符号が負であれば、マグネット位置が区間T[4]にあると特定でき、そして、区間T[4]には、差分値D[1]及びD[2]について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[4]において差分値D[1]及びD[2]は単調に変化し、つまり、差分値D[1]及びD[2]の値に対して一意にマグネット位置が定まる。そのため、これら差分値D[1]及びD[3]のいずれか一方又は両方に基づいて液面レベルを検出することができる。
そして、図25では、磁気強度センサSの個数Nが4であったが、個数Nが5以上の場合でも、磁気強度センサS[1]〜S[N]が上下方向に互いに間隔をあけて順次並べて配置されていれば、図25と同様に、各差分値D[i]は、それぞれの最大値及び最小値が図中左右方向に順番に並ぶように出現し、各差分値D[i]が0となるゼロクロス位置P[1]〜P[N−1]も図中左右方向に順番に並ぶため、上記と同様に考えることができる。図26に、マグネット位置と複数の差分値D[i](iは、1からN−1までの複数の自然数)との関係を示すグラフの一例として、磁気強度センサS[1]〜S[8](N=8)を備えた構成における差分値D[1]〜D[7]について示す。
即ち、差分値D[i]のうちの差分値D[j](jは、1からN−2までのうちの1の自然数)の符号が負で、かつ、差分値D[i]のうちの差分値D[j+1]の符号が正のとき、マグネット位置が区間T[j+1]にあると特定でき、そして、区間T[j+1]には、差分値D[j]及び差分値D[j+1]以外の差分値D[a](aは、1からN−1までのうちj及びj+1以外の1又は複数の自然数)について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[j+1]において、差分値D[a]は単調に変化する。そのため、差分値D[a]及び差分値D[a]に対応する液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて液面レベルを検出することができる。
また、差分値D[1]の符号が正のとき、区間T[1]にマグネット位置があることが特定され、区間T[1]には、差分値D[1]以外の差分値D[b](bは、2からN−1までのうちの1又は複数の自然数)について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[1]において、差分値D[b]は単調に変化する。そのため、差分値D[b]及び差分値D[b]に対応する液面レベル検出基準情報H[b]に基づいて液面レベルを検出することができる。
また、差分値D[N−1]の符号が負のとき、区間T[N]にマグネット位置があることが特定され、区間T[N]には、差分値D[N−1]以外の差分値D[c](cは、1からN−2までのうちの1又は複数の自然数)について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[N]において、差分値D[c]は単調に変化する。そのため、差分値D[c]及び差分値D[c]に対応する液面レベル検出基準情報H[c]に基づいて液面レベルを検出することができる。
したがって、複数の磁気強度センサのみ用いて液面レベルを検出することができるので、1種類のセンサのみ用いた簡易な構成とすることができる。
しかしながら、上述したような構成を用いた液面レベルの検出では、区間Tにおいてマグネットの位置に対し単調に変化する差分値Dを用いて液面レベルを検出するので、このような差分値Dは、マグネットの位置、即ち、液面レベルの変化に対する差分値Dの変化の割合(即ち、変化の傾きの絶対値)が小さく、そのため、液面レベルの微少な変化を精度良く検出することが難しく、液面レベルの検出精度の点で改善の余地があった。
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、1種類のセンサのみ用いた簡易な構成で検出精度のよい液面レベル検出装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、図1の基本構成図に示すように、タンクに貯蔵された液体の液面レベルに応じて上下方向に移動されるマグネットと、上下方向に互いに間隔をあけて順次並べて配置され、前記マグネットとの距離に応じた値を出力する複数の磁気強度センサS[1]〜S[N](Nは、4以上の自然数)と、前記磁気強度センサS[i](iは、1からN−1までの複数の自然数)の出力値から前記磁気強度センサS[i+1]の出力値を差し引いた差分値D[i]を算出する差分値算出手段P1と、前記差分値D[i]が最大となる前記マグネットの位置と前記差分値D[i]が最小となる前記マグネットの位置との間の範囲の一部又は全部における前記差分値D[i]と前記液面レベルとの関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[i]、前記差分値D[i]が最大となる前記マグネットの位置と前記差分値D[i]が最小となる前記マグネットの位置との間の範囲以外の範囲の一部又は全部における前記差分値D[i]と前記液面レベルとの関係を示す標準精度液面レベル検出基準情報H[i]、及び、所定の高精度検出条件が記憶された情報記憶手段Q1と、液面レベル検出手段P2と、を有し、前記液面レベル検出手段P2が、(A)前記差分値D[i]のうちの差分値D[j](jは、1からN−2までのうちの1の自然数)の符号が負で、かつ、前記差分値D[i]のうちの差分値D[j+1]の符号が正の場合に、(Aα)前記差分値D[j]及び前記差分値D[j+1]以外の差分値D[a](aは、1からN−1までのうちj及びj+1以外の1又は複数の自然数)が前記高精度検出条件を満たすとき、前記差分値D[j]及び前記差分値D[j]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j]、又は、前記差分値D[j+1]及び前記差分値D[j+1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j+1]に基づいて前記液面レベルを検出し、(Aβ)前記差分値D[a]が前記高精度検出条件を満たさないとき、前記差分値D[a]及び前記差分値D[a]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて前記液面レベルを検出し、(B)前記差分値D[i]のうちの差分値D[1]の符号が正の場合に、(Bα)前記差分値D[1]以外の差分値D[b](bは、2からN−1までのうちの1又は複数の自然数)が前記高精度検出条件を満たすとき、前記差分値D[1]及び前記差分値D[1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて前記液面レベルを検出し、(Bβ)前記差分値D[b]が前記高精度検出条件を満たさないとき、前記差分値D[b]及び前記差分値D[b]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[b]に基づいて前記液面レベルを検出し、(C)前記差分値D[i]のうちの差分値D[N−1]の符号が負の場合に、(Cα)前記差分値D[N−1]以外の差分値D[c](cは、1からN−2までのうちの1又は複数の自然数)が前記高精度検出条件を満たすとき、前記差分値D[N−1]及び前記差分値D[N−1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[N−1]に基づいて前記液面レベルを検出し、(Cβ)前記差分値D[c]が前記高精度検出条件を満たさないとき、前記差分値D[c]及び前記差分値D[c]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[c]に基づいて前記液面レベルを検出するように構成されていることを特徴とする液面レベル検出装置である。
請求項2に記載された発明は、上記目的を達成するために、図1の基本構成図に示すように、タンクに貯蔵された液体の液面レベルに応じて上下方向に移動されるマグネットと、上下方向に互いに間隔をあけて順次並べて配置され、前記マグネットとの距離に応じた値を出力する複数の磁気強度センサS[1]〜S[N](Nは、4以上の自然数)と、前記磁気強度センサS[i](iは、1からN−1までの複数の自然数)の出力値から前記磁気強度センサS[i+1]の出力値を差し引いた差分値D[i]を算出する差分値算出手段P1と、前記差分値D[i]が最大となる前記マグネットの位置と前記差分値D[i]が最小となる前記マグネットの位置との間の範囲の一部又は全部における前記差分値D[i]と前記液面レベルとの関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[i]、前記差分値D[i]が最大となる前記マグネットの位置と前記差分値D[i]が最小となる前記マグネットの位置との間の範囲以外の範囲の一部又は全部における前記差分値D[i]と前記液面レベルとの関係を示す標準精度液面レベル検出基準情報H[i]、及び、所定の高精度検出条件が記憶された情報記憶手段Q1と、液面レベル検出手段P2と、を有し、前記磁気強度センサS[1]が、前記マグネットの位置がその移動可能範囲における一方の端であるときに出力値が最大となるように配置され、前記磁気強度センサS[N]が、前記マグネットの位置がその移動可能範囲における他方の端であるときに出力値が最大となるように配置され、前記液面レベル検出手段P2が、(A)前記差分値D[i]のうちの差分値D[j](jは、1からN−2までのうちの1の自然数)の符号が負で、かつ、前記差分値D[i]のうちの差分値D[j+1]の符号が正の場合に、(Aα)前記差分値D[j]及び前記差分値D[j+1]以外の差分値D[a](aは、1からN−1までのうちj及びj+1以外の1又は複数の自然数)が前記高精度検出条件を満たすとき、前記差分値D[j]及び前記差分値D[j]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j]、又は、前記差分値D[j+1]及び前記差分値D[j+1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j+1]に基づいて前記液面レベルを検出し、(Aβ)前記差分値D[a]が前記高精度検出条件を満たさないとき、前記差分値D[a]及び前記差分値D[a]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて前記液面レベルを検出し、(B’)前記差分値D[i]のうちの差分値D[1]の符号が正のとき、前記差分値D[1]及び前記差分値D[1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて前記液面レベルを検出し、(C’)前記差分値D[i]のうちの差分値D[N−1]の符号が負のとき、前記差分値D[N−1]及び前記差分値D[N−1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[N−1]に基づいて前記液面レベルを検出するように構成されていることを特徴とする液面レベル検出装置である。
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記液面レベル検出手段P2が、(A1)前記差分値D[i]から選択された1の差分値D[M](Mは、1からN−1までの1の自然数)から符号の判定を始めて、(A2)前記差分値D[M]の符号が正と判定された場合に、前記差分値D[1]に向けて順次符号の判定を進め、差分値D[j+1](jは、M−1から1までのうちの1の自然数)において最後に符号が正と判定されかつ差分値D[j]において最初に符号が負と判定されたときに、(A2α)前記差分値D[a]が前記高精度検出条件を満たすとき、前記差分値D[j]及び前記高精度液面レベル検出基準情報G[j]、又は、前記差分値D[j+1]及び前記高精度液面レベル検出基準情報G[j+1]に基づいて前記液面レベルを検出し、(A2β)前記差分値D[a]が前記高精度検出条件を満たさないとき、前記差分値D[a]及び前記標準精度液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて前記液面レベルを検出し、(A3)前記差分値D[M]の符号が負と判定された場合に、前記差分値D[N−1]に向けて順次符号の判定を進め、差分値D[j](jは、MからN−2までのうちの1の自然数)において最後に符号が負と判定されかつ差分値D[j+1]において最初に符号が正と判定されたときに、(A3α)前記差分値D[a]が前記高精度検出条件を満たすとき、前記差分値D[j]及び前記高精度液面レベル検出基準情報G[j]、又は、前記差分値D[j+1]及び前記高精度液面レベル検出基準情報G[j+1]に基づいて前記液面レベルを検出し、(A3β)前記差分値D[a]が前記高精度検出条件を満たさないとき、前記差分値D[a]及び前記標準精度液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて前記液面レベルを検出するように構成されていることを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載された発明において、前記磁気強度センサS[1]〜S[N]の個数Nが偶数の場合、前記差分値D[i]のうち符号の判定を開始する前記差分値D[M]の符号判定開始番号MとしてN/2が予め選択され、又は、個数Nが奇数の場合、前記符号判定開始番号Mとして(N−1)/2若しくは(N+1)/2が予め選択されていることを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明は、請求項3に記載された発明において、前記液面レベル検出手段が、前記差分値D[i]のうち最後に符号を判定した差分値D[k](kは、1からN−1までのうちの1の自然数)から次回検出における符号の判定を開始するように、前記差分値D[i]のうち符号の判定を開始する前記差分値D[M]の符号判定開始番号Mとしてとしてkを選択するように構成されていることを特徴とするものである。
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載された発明において、前記差分値D[a]が、前記差分値[i]のうちの差分値D[j−1]及び差分値D[j+2]のうちの少なくとも一方とされていることを特徴とするものである。
請求項1に記載された発明によれば、(A)複数の差分値D[i]のうちの差分値D[j](jは、1からN−2までのうちの1の自然数)の符号が負で、かつ、複数の差分値D[i]のうちの差分値D[j+1]の符号が正の場合に、(Aα)差分値D[j]及び差分値D[j+1]以外の差分値D[a](aは、1からN−1までのうちj及びj+1以外の1又は複数の自然数)が所定の高精度検出条件を満たすとき、差分値D[j]及び差分値D[j]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j]、又は、差分値D[j+1]及び差分値D[j+1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j+1]に基づいて液面レベルを検出し、(Aβ)差分値D[a]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[a]及び差分値D[a]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて液面レベルを検出し、(B)差分値D[1]の符号が正の場合に、(Bα)差分値D[1]以外の差分値D[b](bは、2からN−1までのうちの1又は複数の自然数)が高精度検出条件を満たすとき、差分値D[1]及び差分値D[1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて液面レベルを検出し、(Bβ)差分値D[b]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[b]及び差分値D[b]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[b]に基づいて液面レベルを検出し、(C)差分値D[N−1]の符号が負の場合に、(Cα)差分値D[N−1]以外の差分値D[c](cは、1からN−2までのうちの1又は複数の自然数)が高精度検出条件を満たすとき、差分値D[N−1]及び差分値D[N−1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[N−1]に基づいて液面レベルを検出し、(Cβ)差分値D[c]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[c]及び差分値D[c]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[c]に基づいて液面レベルを検出する。
請求項1に記載された発明の作用について図2、図3を参照して説明する。
図2は、マグネット位置と複数の差分値D[i](iは、1からN−1までの複数の自然数)との関係を示すグラフの一例である。図2では、一例として、磁気強度センサS[1]〜S[4](N=4)を備えた構成における差分値D[1]〜D[3]について示している。
図2において、ゼロクロス位置P[1]〜P[3]で区画された各区間T[1]〜T[4]での各差分値D[1]〜D[3]は互いに所定の関係性を有する。
即ち、区間T[1]において、当該区間T[1]で単調に変化する差分値D[2]と当該区間T[1]に最大値となるマグネット位置がある差分値D[1]とは、差分値D[2]が所定値w1となるマグネット位置のときに差分値D[1]が最大値となる関係にある。そのため、区間T[1]における差分値D[2]が所定値w1以上になるマグネット位置の範囲(A)では、差分値D[1]が最大値から0までの範囲で単調に変化する。そして、この範囲(A)において、差分値D[1]の変化量は差分値D[2]の変化量より大きく、つまり、差分値D[2]に比べて差分値D[1]の方が、マグネット位置の変化(即ち、液面レベルの変化)に対する値の変化が大きい(差分値の変化の傾きの絶対値が大きい)。そのため、区間T[1]にマグネット位置があることが特定された場合に差分値D[2]が所定値w1以上であるとき(即ち、所定の高精度検出条件を満たすとき)、マグネット位置が範囲(A)にあり、このとき、差分値D[2]に代えて差分値D[1]を用いて液面レベルを検出することで検出精度を向上できる。また、区間T[1]で単調に変化する差分値D[3]と差分値D[1]とについても同様の関係にある。
区間T[2]において、当該区間T[2]で単調に変化する差分値D[3]と当該区間T[2]に最小値となるマグネット位置がある差分値D[1]とは、差分値D[3]が所定値w2となるマグネット位置のときに差分値D[1]が最小値となる関係にある。そのため、区間T[2]における差分値D[3]が所定値w2以下になるマグネット位置の範囲(B)では、差分値D[1]が0から最小値までの範囲で単調に変化する。そして、この範囲(B)において、差分値D[1]の変化量は差分値D[3]の変化量より大きく、つまり、差分値D[3]に比べて差分値D[1]の方が、マグネット位置の変化に対する値の変化が大きい。そのため、区間T[2]にマグネット位置があることが特定された場合に差分値D[3]が所定値w2以下であるとき(即ち、所定の高精度検出条件を満たすとき)、マグネット位置が範囲(B)にあり、このとき、差分値D[3]に代えて差分値D[1]を用いて液面レベルを検出することで検出精度を向上できる。
また、区間T[2]において、当該区間T[2]で単調に変化する差分値D[3]と当該区間T[2]に最大値となるマグネット位置がある差分値D[2]とは、上記区間T[1]における差分値D[2]と差分値D[1]との関係と同様の関係にある。そのため、区間T[2]にマグネット位置があることが特定された場合に差分値D[3]が所定値w3以上であるとき、マグネット位置が、差分値D[2]が最大値から0までの範囲で単調に変化する範囲(C)にあり、このとき、差分値D[3]に代えて差分値D[2]を用いて液面レベルを検出することで検出精度を向上できる。
区間T[3]において、当該区間T[3]で単調に変化する差分値D[1]と当該区間T[3]に最小値となるマグネット位置がある差分値D[2]とは、上記区間T[2]における差分値D[3]と差分値D[1]との関係と同様の関係にある。そのため、区間T[3]にマグネット位置があることが特定された場合に差分値D[1]が所定値w4以下であるとき、マグネット位置が、差分値D[2]が0から最小値までの範囲で単調に変化する範囲(D)にあり、このとき、差分値D[1]に代えて差分値D[2]を用いて液面レベルを検出することで検出精度を向上できる。
また、区間T[3]において、当該区間T[3]で単調に変化する差分値D[1]と当該区間T[3]に最大値となるマグネット位置がある差分値D[3]とは、上記区間T[1]における差分値D[2]と差分値D[1]との関係と同様の関係にある。そのため、区間T[3]にマグネット位置があることが特定された場合に差分値D[1]が所定値w5以上であるとき、マグネット位置が、差分値D[3]が最大値から0までの範囲で単調に変化する範囲(E)にあり、このとき、差分値D[1]に代えて差分値D[3]を用いて液面レベルを検出することで検出精度を向上できる。
区間T[4]において、当該区間T[4]で単調に変化する差分値D[2]と当該区間T[4]に最小値となるマグネット位置がある差分値D[3]とは、上記区間T[2]における差分値D[3]と差分値D[1]との関係と同様の関係にある。そのため、区間T[4]にマグネット位置があることが特定された場合に差分値D[2]が所定値w6以下であるとき、マグネット位置が、差分値D[3]が0から最小値までの範囲で単調に変化する範囲(F)にあり、このとき、差分値D[2]に代えて差分値D[3]を用いて液面レベルを検出することで検出精度を向上できる。
図2では、磁気強度センサSの個数Nが4であったが、個数Nが5以上の場合でも、磁気強度センサS[1]〜S[N]が上下方向に互いに間隔をあけて順次並べて配置されていれば、図2と同様に、各差分値D[i]は、それぞれの最大値及び最小値が図中左右方向に順番に並ぶように出現し、各差分値D[i]が0となるゼロクロス位置P[1]〜P[N−1]も図中左右方向に順番に並ぶため、上記と同様に考えることができる。図3に、マグネット位置と複数の差分値D[i](iは、1からN−1までの複数の自然数)との関係を示すグラフの一例として、磁気強度センサS[1]〜S[8](N=8)を備えた構成における差分値D[1]〜D[7]について示す。
即ち、(A)複数の差分値D[i]のうちの差分値D[j](jは、1からN−2までのうちの1の自然数)の符号が負で、かつ、複数の差分値D[i]のうちの差分値D[j+1]の符号が正の場合に、マグネット位置が、ゼロクロス位置P[i]で区画された区間T[j+1]にあることが特定され、そして、(Aα)この区間T[j+1]において単調に変化する差分値D[a](aは、1からN−1までのうちj及びj+1以外の1又は複数の自然数)が所定の高精度検出条件を満たすとき、この区間T[j+1]に最小値となるマグネット位置がある差分値D[j]及び差分値D[j]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j]、又は、この区間T[j+1]に最大値となるマグネット位置がある差分値D[j+1]及び差分値D[j+1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j+1]に基づいて液面レベルを検出することで、差分値D[a]を用いた検出に比べて検出精度を向上できる。また、(Aβ)差分値D[a]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[a]及び差分値D[a]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて液面レベルを検出することで、高精度検出条件を満たさないときに、差分値D[a]を用いた標準精度の液面レベルの検出を可能としている。
また、(B)差分値D[1]の符号が正の場合に、マグネット位置が区間T[1]にあることが特定され、そして、(Bα)この区間T[1]において単調に変化する差分値D[b](bは、2からN−1までのうちの1又は複数の自然数)が高精度検出条件を満たすとき、この区間T[1]に最大値となるマグネット位置がある差分値D[1]及び差分値D[1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて液面レベルを検出することで、差分値D[b]を用いた検出に比べて検出精度を向上できる。また、(Bβ)差分値D[b]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[b]及び差分値D[b]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[b]に基づいて液面レベルを検出することで、高精度検出条件を満たさないときに、差分値D[b]を用いた標準精度の液面レベルの検出を可能としている。
また、(C)差分値D[N−1]の符号が負の場合に、マグネット位置が区間T[N]にあることが特定され、そして、(Cα)この区間T[N]において単調に変化する差分値D[c](cは、1からN−2までのうちの1又は複数の自然数)が高精度検出条件を満たすとき、この区間T[N]に最小値となるマグネット位置がある差分値D[N−1]及び差分値D[N−1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[N−1]に基づいて液面レベルを検出することで、差分値D[c]を用いた検出に比べて検出精度を向上できる。また、(Cβ)差分値D[c]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[c]及び差分値D[c]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[c]に基づいて液面レベルを検出することで、高精度検出条件を満たさないときに、差分値D[c]を用いた標準精度の液面レベルの検出を可能としている。
したがって、所定の高精度検出条件を満たすとき、マグネット位置の変化に対する変化の割合のより大きい差分値を用いて液面レベルの検出を行うことができるので、1種類のセンサのみ用いた簡易な構成で精度良く液面レベルを検出できる。
請求項2に記載された発明によれば、磁気強度センサS[1]が、マグネットの位置がその移動可能範囲における一方の端であるときに出力値が最大となるように配置され、磁気強度センサS[N]が、マグネットの位置がその移動可能範囲における他方の端であるときに出力値が最大となるように配置され、そして、(A)差分値D[i]のうちの差分値D[j](jは、1からN−2までのうちの1の自然数)の符号が負で、かつ、差分値D[i]のうちの差分値D[j+1]の符号が正の場合に、(Aα)差分値D[j]及び差分値D[j+1]以外の差分値D[a](aは、1からN−1までのうちj及びj+1以外の1又は複数の自然数)が所定の高精度検出条件を満たすとき、差分値D[j]及び差分値D[j]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j]、又は、差分値D[j+1]及び差分値D[j+1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j+1]に基づいて液面レベルを検出し、(Aβ)差分値D[a]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[a]及び差分値D[a]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて液面レベルを検出し、(B’)差分値D[i]のうちの差分値D[1]の符号が正のとき、差分値D[1]及び差分値D[1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて液面レベルを検出し、(C’)差分値D[i]のうちの差分値D[N−1]の符号が負のとき、差分値D[N−1]及び差分値D[N−1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[N−1]に基づいて液面レベルを検出する。
請求項2に記載された発明では、上述した請求項1に記載された発明と同様の作用により、所定の高精度検出条件を満たすとき、マグネット位置の変化に対する変化の割合のより大きい差分値を用いて液面レベルの検出を行うことができるので、1種類のセンサのみ用いた簡易な構成で精度良く液面レベルを検出できる。また、ゼロクロス位置P[1]より磁気強度センサS[1]側の区間T[1]において、差分値D[1]は当該ゼロクロス位置P[1]から離れるにしたがって最大値に向かって単調に変化し、また、ゼロクロス位置P[N−1]より磁気強度センサS[N]側の区間T[N]において、差分値D[N−1]は当該ゼロクロス位置P[N−1]から離れるにしたがって最小値に向かって単調に変化するので、これら区間において、差分値D[1]又は差分値D[N−1]に対して一意にマグネット位置(即ち、液面レベル)が定まり、差分値D[1]又は差分値D[N−1]に基づいて液面レベルを検出することができる。さらに、これら区間T[1]又はT[N]においては、差分値D[1]又は差分値D[N−1]は、0から最大値又は0から最小値に向かって単調に変化するので、変化の傾きの絶対値が大きく、そのため、精度よく液面レベルを検出できる。
請求項3に記載された発明によれば、(A1)差分値D[i]から選択された1の差分値D[M](Mは、1からN−1までの1の自然数)から符号の判定を始めて、(A2)差分値D[M]の符号が正と判定された場合に、差分値D[1]に向けて順次符号の判定を進め、差分値D[j+1](jは、M−1から1までのうちの1の自然数)において最後に符号が正と判定されかつ差分値D[j]において最初に符号が負と判定されたときに、(A2α)差分値D[a]が高精度検出条件を満たすとき、差分値D[j]及び高精度液面レベル検出基準情報G[j]、又は、差分値D[j+1]及び高精度液面レベル検出基準情報G[j+1]に基づいて液面レベルを検出し、(A2β)差分値D[a]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[a]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて液面レベルを検出し、(A3)差分値D[M]の符号が負と判定された場合に、差分値D[N−1]に向けて順次符号の判定を進め、差分値D[j](jは、MからN−2までのうちの1の自然数)において最後に符号が負と判定されかつ差分値D[j+1]において最初に符号が正と判定されたときに、(A3α)差分値D[a]が高精度検出条件を満たすとき、差分値D[j]及び高精度液面レベル検出基準情報G[j]、又は、差分値D[j+1]及び高精度液面レベル検出基準情報G[j+1]に基づいて液面レベルを検出し、(A3β)差分値D[a]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[a]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて液面レベルを検出する。
つまり、複数の差分値D[i]から選択された1の差分値D[M]の符号を判定して、その符号が正の場合は、差分値D[M]から差分値D[N−1]までの符号が正であるため、差分値D[N−1]と反対の差分値D[1]に向けて符号の判定を行い、または、その符号が負の場合は、差分値D[M]から差分値D[1]までの符号が負であるため、差分値D[1]と反対の差分値D[N−1]に向けて符号の判定を行うようにすることで、複数の差分値D[i]の全てについて符号を判定することなく、一部の差分値Dについてのみ符号を判定することによりマグネット位置がある区間を特定することができ、そのため、液面レベルの検出をより速く行うことができる。
請求項4に記載された発明によれば、磁気強度センサS[1]〜S[N]の個数Nが偶数の場合、複数の差分値D[i]のうち符号の判定を開始する差分値D[M]の符号判定開始番号MとしてN/2が予め選択され、又は、個数Nが奇数の場合、符号判定開始番号Mとして(N−1)/2若しくは(N+1)/2が予め選択されている。これにより、複数の差分値D[i]のうち中央又はほぼ中央の差分値D[M]から符号の判定を開始するので、例えば、複数の差分値D[i]のうち両端に位置する差分値D[1]又は差分値D[N−1]から符号の判定を開始した場合に比べて、符号判定の最大回数を少なくすることができ、そのため、液面レベルの検出をより速く行うことができる。
請求項5に記載された発明によれば、複数の差分値D[i]のうち最後に符号を判定した差分値D[k](kは、1からN−1までのうちの1の自然数)から次回検出における符号の判定を開始するように、差分値D[i]のうち符号の判定を開始する差分値D[M]の符号判定開始番号Mとしてとしてkを選択する。これにより、今回の液面レベルの検出において最後に符号の判定がされた差分値D[k]について次回の液面レベルの検出において符号の判定を開始するので、この差分値D[k]により規定されるゼロクロス位置P[k]付近にマグネット位置がある可能性が高く、そのため、この差分値D[k]から符号の判定を開始することにより、液面レベルの検出をより速く行うことができる。
請求項6に記載された発明によれば、差分値D[a]が、差分値D[j−1]及び差分値D[j+2]のうちの少なくとも一方とされている。マグネット位置が、ある区間T[h](hは、1からNのうちの1の自然数)にあると特定されたとき、この区間T[h]には差分値D[j]の最小値があり、この区間T[h]のひとつ隣の区間T[h−1](但し、h≧2)には差分値D[j−1]の最小値があり、また、この区間T[h]には、差分値D[j+1]の最大値があり、この区間T[h]のひとつ隣の区間T[h+1](但し、h≦N−1)には差分値D[j+2]の最大値がある。そのため、差分値D[j−1]及び差分値D[j+2]のうち少なくとも一方を用いて液面レベルを検出することで、マグネット位置があると特定された区間T[h]において最も変化の傾きの絶対値が大きい差分値Dを用いて液面レベルを検出することができ、より精度良く液面レベルを検出できる。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態の液面レベル検出装置を、図4〜図7を参照して説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態の液面レベル検出装置の概略構成図である。図5は、図4の液面レベル検出装置の構成部材の接続関係を模式的に示した図である。図6は、図4の液面レベル検出装置におけるマグネットの位置と、複数の差分値D[1]〜D[3]、高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[3]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[3]と、の関係を示すグラフの一例である。図7は、図5の制御部が備えるマイクロコンピュータのCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理1)の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態の液面レベル検出装置(図中、符号1で示す)は、マグネット3と、ロッド4と、複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]と、制御部10(図5)と、を有している。液面レベル検出装置1は、タンク2内に配設されている。
マグネット3は、例えば、内縁3aに後述のロッド4が挿通可能な円環状に形成されている。マグネット3は、タンク2内に貯蔵された液体の液面に浮かぶように、例えば、浮力の大きいフロート部材に磁石を取り付けたものや、磁力を生じる材料を含む合成樹脂を発泡体状にしたものなどから構成されている。
ロッド4は、例えば、長尺の円柱状に形成されている。ロッド4は、軸方向が上下方向(鉛直方向)と平行になるようにタンク2内に配置されている。
ロッド4の下端部には、フランジ状のストッパ4aが設けられている。ストッパ4aは、円板状で、マグネット3の内縁3aの径よりも直径の大きい円板状に形成されている。ストッパ4aによって、マグネット3が、ロッド4から抜け落ちることを防止している。
ロッド4の上端部には、取付フランジ4bが設けられている。取付フランジ4bは、例えば、液面レベル検出装置1をタンク2内に挿入するためにタンク2天井に設けられた開口2aの径より直径の大きい円板状に形成されている。取付フランジ4bが、タンク2の開口2aを塞ぐようにタンク2に固定して取り付けられることにより、液面レベル検出装置1がタンク2に装着される。
ロッド4は、マグネット3の内縁3aに挿通される。これにより、マグネット3は、タンク2に貯蔵された液体の液面に浮かべられた状態において、ロッド4によって移動がガイドされて、液面レベルに応じて移動可能範囲としてのストッパ4aと取付フランジ4bとの間を上下方向に移動される。
複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]は、例えば、ホール素子や磁気抵抗効果素子などで構成されており、検知した磁気の強さ(強度)に応じた電圧信号を出力する。複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]は、同一の磁気強度に対して同一の電圧信号を出力する。複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]は、それぞれがロッド4に埋め込まれており、上方から下方に向けて互いに間隔をあけて順次並ぶように配置されている。複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]は、等間隔で配列されていることが好ましい。
磁気強度センサS[1]は、取付フランジ4bと間隔をあけて配置されている。また、磁気強度センサS[4]は、ストッパ4aと間隔をあけて配置されている。
制御部10は、図5に示すように、差分値算出部11と、マイクロコンピュータ20(以下、「μCOM20」という)と、を備えている。
差分値算出部11は、切替スイッチ12と、減算器13と、を備えており、互いに隣接して配置された磁気強度センサS[1]〜[4]の出力値の差分値D[i](iは、1から3までの自然数)を演算する。
切替スイッチ12は、2回路3接点のスイッチ(開閉器)であって、2つの回路に対して、それぞれの回路に対応して設けられた3つの接点を同時に切り換えて接続する。切替スイッチ12の入力端子I11、I12、I13には、磁気強度センサS[1]、S[2]、S[3]が接続されている。入力端子I11、I12、I13は、スイッチ切替により第1回路としての出力端子O1に接続される。切替スイッチ12の入力端子I21、I22、I23には、磁気強度センサS[2]、S[3]、S[4]が接続されている。入力端子I21、I22、I23は、スイッチ切替により第2回路としての出力端子O2に接続される。これにより、切替スイッチ12は、(1)出力端子O1から磁気強度センサS[1]の電圧信号が出力されているとき、出力端子O2から磁気強度センサS[2]の電圧信号が出力され、(2)出力端子O1から磁気強度センサS[2]の電圧信号が出力されているとき、出力端子O2から磁気強度センサS[3]の電圧信号が出力され、(3)出力端子O1から磁気強度センサS[3]の電圧信号が出力されているとき、出力端子O2から磁気強度センサS[4]の電圧信号が出力される。切替スイッチ12の制御端子Icには、μCOM20が接続されており、μCOM20からの制御信号に応じてスイッチが切り換えられる。
減算器13は、例えば、オペアンプ等で構成されており、一方の入力端子に入力された電圧信号から他方の入力端子に入力された電圧信号を差し引いた差分電圧信号を出力する。減算器13の一方の入力端子には、切替スイッチ12の出力端子O1が接続され、他方の入力端子には、切替スイッチ12の出力端子O2が接続されており、出力端子O1の電圧信号から出力端子O2の電圧信号を差し引いた差分電圧信号(即ち、差分値)を出力端子から出力する。
差分値算出部11では、切替スイッチ12の切替スイッチが切り替えられる毎に、(1)磁気強度センサS[1]の電圧信号から磁気強度センサS[2]の電圧信号を差し引いた差分電圧信号(即ち、差分値D[1])、(2)磁気強度センサS[2]の電圧信号から磁気強度センサS[3]の電圧信号を差し引いた差分電圧信号(即ち、差分値D[1])、(3)磁気強度センサS[3]の電圧信号から磁気強度センサS[4]の電圧信号を差し引いた差分電圧信号(即ち、差分値D[3])、を出力する。
μCOM20は、CPU、ROM、RAMなどを内蔵して構成されており、液面レベル検出装置1全体の制御を司る。ROMには、CPUを液面レベル検出手段などの各種手段として機能させるための制御プログラムが予め記憶されており、CPUは、この制御プログラムを実行することにより各種手段として機能する。また、μCOM20のROMには、各種パラメータが記憶されている。
μCOM20は、出力ポートPO、アナログ−デジタル変換入力ポートADI、及び、外部機器との通信のための通信ポート(図示なし)を備えた外部インタフェース部をさらに内蔵している。出力ポートPOには、切替スイッチ12の制御端子Icが接続されており、切替スイッチ12は、出力ポートPOから出力された制御信号に基づいてスイッチ切替を行う。また、アナログ−デジタル変換入力ポートADIには、差分値算出部11(具体的には、減算器13の出力)が接続されており、差分値算出部11が出力した差分電圧信号が入力されると量子化されて当該信号に応じた数値、即ち、隣接して配置された磁気強度センサの出力値の差分値D[1]〜D[3]を示す数値がCPUに渡される。図示しない通信ポートには、図示しないワイヤハーネスを介して、他の電子制御装置等が接続されており、液面レベル検出結果が送信される。
μCOM20のROMには、隣接して配置された磁気強度センサの電圧信号(出力値)の差分値D[1]〜D[3]とマグネット3の位置(即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベル)との関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[3]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[3]が予め記憶されている。
本実施形態では、図6に太実線で示される、(1)差分値D[1]が[最大値〜0〜最小値]となるマグネット3の位置の範囲におけるマグネット3の位置と差分値D[1]との関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[1]、(2)差分値D[2]が[最大値〜0〜最小値]となるマグネット3の位置の範囲におけるマグネット3の位置と差分値D[2]との関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[2]、(3)差分値D[3]が[最大値〜0〜最小値]となるマグネット3の位置の範囲におけるマグネット3の位置と差分値D[3]との関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[3]、をμCOM20のROMに記憶している。
また、図6に示すように、マグネット3の位置は、各差分値D[1]〜D[3]が0となるゼロクロス位置P[1]〜P[3]で4つの区間T[1]〜T[4]に区切ることができる。そして、本実施形態では、図6に太実線で示される、(1)区間T[3]における差分値D[1]とマグネット3の位置との関係を示す標準精度液面レベル検出基準情報H[1]、(2)区間T[1]及びT[4]における差分値D[2]とマグネット3の位置との関係を示す標準精度液面レベル検出基準情報H[2]、(3)区間T[2]における差分値D[3]とマグネット3の位置との関係を示す標準精度液面レベル検出基準情報H[3]、をμCOM20のROMに記憶している。
高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[3]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[3]は、例えば、変換テーブルや、計算式の形で記憶されている。μCOM20のROMは、情報記憶手段に相当する。
また、本実施形態において、高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[3]は、各差分値D[1]〜D[3]が[最大値〜0〜最小値]となるマグネット3の位置の範囲の全部について記憶されているものであったが、これに限定されるものではない。高精度液面レベル検出基準情報G[i](iは、1からN−1までの複数の自然数)は、差分値D[i]が[最大値〜0〜最小値]となるマグネット3の位置の範囲のうち、後述する液面レベル検出処理1において必要とされる範囲について記憶されていればよい。また、標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[3]は、必要な区間Tについてのみ記憶されているものであったが、これに限定されるものではない。標準精度液面レベル検出基準情報H[i]は、差分値D[i]が[最大値〜0〜最小値]となるマグネット3の位置の範囲以外の範囲のうち、後述する液面レベル検出処理1において必要とされる範囲について記憶されていればよい。高精度液面レベル検出基準情報G[i]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[i]は、差分値D[i]について一意にマグネット3の位置が定まるマグネット位置の範囲について記憶されている。また、高精度液面レベル検出基準情報G[i]の全て(G[1]〜G[N−1])及び標準精度液面レベル検出基準情報H[i]の全て(H[1]〜H[N−1])について記憶している必要はなく、液面レベルの検出処理において用いることのない当該情報は記憶していなくてもよい。
また、μCOM20のROMには、液面レベルの検出において高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[3]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[3]のいずれを用いるかを判定するための高精度検出条件が予め記憶されている。
本実施形態において、高精度検出条件は次のように設定されている。
即ち、区間T[1]での高精度検出条件は、差分値D[1]が最大値〜0〜最小値の範囲内で単調に変化しかつ差分値D[1]の変化の傾きの絶対値が差分値D[2]の変化の傾きの絶対値より大きくなるマグネット3の位置の範囲を規定している。具体的には、区間T[1]において、高精度検出条件は、マグネット3が、差分値D[1]が最大値となる位置にあるときの差分値D[2]の値をw1としたとき、高精度検出条件は、差分値D[2]が値w1より大きい所定値W1以上に設定されている(差分値D[2]≧W1>w1)。
また、区間T[2]での高精度検出条件は、差分値D[1]が最大値〜0〜最小値の範囲内で単調に変化しかつ差分値D[1]の変化の傾きの絶対値が差分値D[3]の変化の傾きの絶対値より大きくなるマグネット3の位置の範囲を規定している。具体的には、区間T[2]において、高精度検出条件は、マグネット3が、差分値D[1]が最小値となる位置にあるときの差分値D[3]の値をw2としたとき、高精度検出条件は、差分値D[3]が値w2より小さい所定値W2以下に設定されている(差分値D[3]≦W2<w2)。
また、区間T[3]での高精度検出条件は、差分値D[3]が最大値〜0〜最小値の範囲内で単調に変化しかつ差分値D[3]の変化の傾きの絶対値が差分値D[1]の変化の傾きの絶対値より大きくなるマグネット3の位置の範囲を規定している。具体的には、区間T[3]において、高精度検出条件は、マグネット3が、差分値D[3]が最大値となる位置にあるときの差分値D[1]の値をw5としたとき、高精度検出条件は、差分値D[1]が値w5より大きい所定値W5以上に設定されている(差分値D[1]≧W5>w5)。
また、区間T[4]での高精度検出条件は、差分値D[3]が最大値〜0〜最小値の範囲内で単調に変化しかつ差分値D[3]の変化の傾きの絶対値が差分値D[2]の変化の傾きの絶対値より大きくなるマグネット3の位置の範囲を規定している。具体的には、区間T[4]において、高精度検出条件は、マグネット3が、差分値D[3]が最小値となる位置にあるときの差分値D[2]の値をw6としたとき、高精度検出条件は、差分値D[2]が値w6より小さい所定値W6以下に設定されている(差分値D[3]≦W6<w6)。
つまり、高精度検出条件は、区間T[j+1](jは、1〜N−2までのうちの1の自然数)において、当該区間T[j+1]に最小値となるマグネット3の位置がある差分値D[j]が最大値〜0〜最小値の範囲内で単調に変化しかつ差分値D[j]の変化の傾きが差分値D[a](aは、1〜N−1までのうちのj及びj+1以外の1又は複数の自然数)の変化の傾きの絶対値より大きくなるマグネット3の位置の範囲を規定している。または、高精度検出条件は、区間T[j+1]において、当該区間T[j+1]に最大値となるマグネット3の位置がある差分値D[j+1]が最大値〜0〜最小値の範囲内で単調に変化しかつ差分値D[j+1]の変化の傾きが差分値D[a]の変化の傾きの絶対値より大きくなるマグネット3の位置の範囲を規定している。
また、高精度検出条件は、区間T[1]において、当該区間T[1]に最大値となるマグネット3の位置がある差分値D[1]が最大値〜0〜最小値の範囲内で単調に変化しかつ差分値D[1]の変化の傾きの絶対値が差分値D[b](bは、2〜N−1までのうちの1又は複数の自然数)の変化の傾きの絶対値より大きくなるマグネット3の位置の範囲を規定している。
また、高精度検出条件は、区間T[N]において、当該区間T[N]に最小値となるマグネット3の位置がある差分値D[N−1]が最大値〜0〜最小値の範囲内で単調に変化しかつ差分値D[N−1]の変化の傾きの絶対値が差分値D[c](cは、1〜N−2までのうちの1又は複数の自然数)の変化の傾きの絶対値より大きくなるマグネット3の位置の範囲を規定している。
本実施形態において、高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[3]、標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[3]、及び、高精度検出条件は、共に1つのμCOM20のROMに記憶されているものであるが、これに限定されるものではなく、それぞれを別個の記憶手段に記憶してもよい。この場合、各記憶手段を組み合わせたものが、情報記憶手段に相当する。
次に、上述したμCOM20のCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理1)の一例を、図7に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
μCOM20のCPUは、液面レベル検出処理1を実行するために、周期的(例えば、1分毎)に処理をステップS110に進める。
ステップS110では、差分値D[1]〜D[3]を取得する。具体的には、CPUは、出力ポートPOから制御信号を出力して切替スイッチ12を順次切り換えることにより、切替スイッチ12の出力端子O1及び出力端子O2から、(1)磁気強度センサS[1]の電圧信号及び磁気強度センサS[2]の電圧信号、(2)磁気強度センサS[2]の電圧信号及び磁気強度センサS[3]の電圧信号、(3)磁気強度センサS[3]の電圧信号及び磁気強度センサS[4]の電圧信号、を順次出力させる。これにより、減算器13において演算されたこれら電圧信号の差分電圧信号がアナログ−デジタル変換入力ポートADIに入力されて、各差分電圧信号に応じた差分値D[1]〜D[3]を取得する。そして、ステップS120に進む。
ステップS120において、CPUは、差分値D[2]の符号が正か否かを判定し、符号が正であれば、ステップS130に進み(S120でY)、符号が負であれば、ステップS140に進む(S120でN)。本実施形態において、差分値D[2]≧0のとき、符号が正と判定し、差分値D[2]<0のとき、符号が負と判定する。以下の各ステップにおける符号判定も同様である。または、差分値D[2]>0のとき、符号が正と判定し、差分値D[2]≦0のとき、符号が負と判定するようにしてもよい。
ステップS130において、CPUは、差分値D[1]の符号が正か否かを判定し、符号が正であれば、マグネット3の位置が区間T[1]にあるものとして、ステップS150に進み(S130でY)、符号が負であれば、マグネット3の位置が区間T[2]にあるものとして、ステップS180に進む(S130でN)。
ステップS140において、CPUは、差分値D[3]の符号が正か否かを判定し、符号が正であれば、マグネット3の位置が区間T[3]にあるものとして、ステップS210に進み(S140でY)、符号が負であれば、マグネット3の位置が区間T[4]にあるものとして、ステップS240に進む(S140でN)。
ステップS150では、高精度検出条件を満たすか否かを判定する。具体的には、CPUは、差分値D[2]が、所定値W1以上のとき、高精度検出条件を満たすものとして、ステップS160に進み(S150でY)、所定値W1未満のとき、高精度検出条件を満たさないものとして、ステップS170に進む(S150でN)。ここで、所定値W1は、マグネット3が、差分値D[1]が最大値となる位置にあるときに差分値D[2]の値がw1となるとした場合に、この値w1より大きい値に設定されている(つまり、W1>w1)。このようにすることで、高精度検出条件にマージンを持たせるとともに、差分値D[1]における最大値近辺の変化の傾きの絶対値の比較的小さい部分を除外して、変化の傾きの絶対値の大きい部分のみを用いることができる。
ステップS160において、CPUは、差分値D[1]を、高精度液面レベル検出基準情報G[1]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
ステップS170において、CPUは、差分値D[2]を、標準精度液面レベル検出基準情報H[2]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
ステップS180では、高精度検出条件を満たすか否かを判定する。具体的には、CPUは、差分値D[3]が、所定値W2以下のとき、高精度検出条件を満たすものとして、ステップS190に進み(S180でY)、所定値W2より大きいとき、高精度検出条件を満たさないものとして、ステップS200に進む(S180でN)。ここで、所定値W2は、マグネット3が、差分値D[1]が最小値となる位置にあるときに差分値D[3]の値がw2となるとした場合に、この値w2より小さい値に設定されている(つまり、W2<w2)。このようにすることで、高精度検出条件にマージンを持たせるとともに、差分値D[1]における最小値近辺の変化の傾きの絶対値の比較的小さい部分を除外して、変化の傾きの絶対値の大きい部分のみを用いることができる。
ステップS190において、CPUは、差分値D[1]を、高精度液面レベル検出基準情報G[1]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
ステップS200において、CPUは、差分値D[3]を、標準精度液面レベル検出基準情報H[3]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
ステップS210では、高精度検出条件を満たすか否かを判定する。具体的には、CPUは、差分値D[1]が、所定値W5以上のとき、高精度検出条件を満たすものとして、ステップS220に進み(S210でY)、所定値W5未満のとき、高精度検出条件を満たさないものとして、ステップS230に進む(S210でN)。ここで、所定値W5は、マグネット3が、差分値D[3]が最大値となる位置にあるときに差分値D[1]の値がw5となるとした場合に、この値w5より大きい値に設定されている(つまり、W5>w5)。このようにすることで、高精度検出条件にマージンを持たせるとともに、差分値D[3]における最大値近辺の変化の傾きの絶対値の比較的小さい部分を除外して、変化の傾きの絶対値の大きい部分のみを用いることができる。
ステップS220において、CPUは、差分値D[3]を、高精度液面レベル検出基準情報G[3]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
ステップS230において、CPUは、差分値D[1]を、標準精度液面レベル検出基準情報H[1]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
ステップS240では、高精度検出条件を満たすか否かを判定する。具体的には、CPUは、差分値D[2]が、所定値W6以下のとき、高精度検出条件を満たすものとして、ステップS250に進み(S240でY)、所定値W6より大きいとき、高精度検出条件を満たさないものとして、ステップS260に進む(S240でN)。ここで、所定値W6は、マグネット3が、差分値D[3]が最小値となる位置にあるときに差分値D[2]の値がw6となるとした場合に、この値w6より小さい値に設定されている(つまり、W6<w6)。このようにすることで、高精度検出条件にマージンを持たせるとともに、差分値D[3]における最小値近辺の変化の傾きの絶対値の比較的小さい部分を除外して、変化の傾きの絶対値の大きい部分のみを用いることができる。
ステップS250において、CPUは、差分値D[3]を、高精度液面レベル検出基準情報G[3]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
ステップS260において、CPUは、差分値D[2]を、標準精度液面レベル検出基準情報H[2]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
そして、本フローチャートの処理を終了したのち、CPUは、通信ポートを通じて他の電子制御装置等に液面レベルの検出結果を送信する。そして、他の電子制御装置等において液面レベルの表示や記録等が行われる。
本実施形態において、高精度液面レベル検出基準情報G[2]は、情報としてROMに記憶されているものの、上述した液面レベル検出処理1において使用されていない。勿論、高精度液面レベル検出基準情報G[2]を使用する処理としてもよい。
次に、上述した液面レベル検出装置1の制御部10における動作の一例について説明する。
液面レベル検出装置1の制御部10は、周期的に互いに隣接して配置された磁気強度センサの差分値D[1]〜D[3]を取得する(S110)。
そして、差分値D[2]の符号が正であり(S120でY)、かつ、差分値D[1]の符号が正であると判定されたとき(S130でY)、差分値D[1]の符号が正であるので、マグネット3の位置が、区間T[1]にあることが特定される。この状態において高精度検出条件を満たすと(差分値D[2]≧W1、S150でY)、この区間T[1]に最大値となるマグネット位置がある差分値D[1]及び高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出し(S160)、高精度検出条件を満たさないと(差分値D[2]<W1、S150でN)、この区間T[1]において単調に変化する差分値D[2]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[2]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(S170)。
または、差分値D[2]の符号が正であり(S120でY)、かつ、差分値D[1]の符号が負であると判定されたとき(S130でN)、差分値D[1]の符号が負で、差分値D[2]の符号が正であるので、マグネット3の位置が、区間T[2]にあることが特定される。この状態において高精度検出条件を満たすと(差分値D[3]≦W2、S180でY)、この区間T[2]に最小値となるマグネット位置がある差分値D[1]及び高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出し(S190)、高精度検出条件を満たさないと(差分値D[3]>W2、S180でN)、この区間T[2]において単調に変化する差分値D[3]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[3]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(S200)。
または、差分値D[2]の符号が負であり(S120でN)、かつ、差分値D[3]の符号が正であると判定されたとき(S140でY)、D[2]の符号が負で、差分値D[3]の符号が正であるので、マグネット3の位置が、区間T[3]にあることが特定される。この状態において高精度検出条件を満たすと(差分値D[1]≧W5、S210でY)、この区間T[3]に最大値となるマグネット位置がある差分値D[3]及び高精度液面レベル検出基準情報G[3]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出し(S220)、高精度検出条件を満たさないと(差分値D[1]<W5、S210でN)、この区間T[3]において単調に変化する差分値D[1]及びこの差分値D[1]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[1]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(S230)。
または、差分値D[2]の符号が負であり(S120でN)、かつ、差分値D[3]の符号が負であると判定されたとき(S140でN)、差分値D[3]の符号が負であるので、マグネット3の位置が、区間T[4]にあることが特定される。この状態において高精度検出条件を満たすと(差分値D[2]≦W6、S240でY)、この区間T[4]に最小値となるマグネット位置がある差分値D[3]及び高精度液面レベル検出基準情報G[3]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出し(S250)、高精度検出条件を満たさないと(差分値D[2]>W6、S240でN)、この区間T[4]において単調に変化する差分値D[2]及びこの差分値D[2]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[2]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(S260)。
本実施形態の液面レベル検出装置1は、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルに応じて上下方向に移動されるマグネット3と、上下方向に互いに間隔をあけて順次並べて配置され、マグネット3との距離に応じた値を出力する複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]と、磁気強度センサS[i](iは、1から3までの複数の自然数)の出力値から磁気強度センサS[i+1]の出力値を差し引いた差分値D[i]を算出する差分値算出部11と、差分値D[i]が最大となるマグネット3の位置と差分値D[i]が最小となるマグネットの位置3との間の範囲における差分値D[i]と液面レベルとの関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[i]、及び、差分値D[i]が最大となるマグネットの位置3と差分値D[i]が最小となるマグネット3の位置との間の範囲以外の範囲の一部における差分値D[i]と液面レベルとの関係を示す標準精度液面レベル検出基準情報H[i]が記憶されたμCOM20のROMからなる情報記憶手段と、μCOM20のCPUからなる液面レベル検出手段と、を有し、液面レベル検出手段が、(A)差分値D[1]〜D[3]のうちの差分値D[j](jは、1又は2)の符号が負で、かつ、差分値D[i]のうちの差分値D[j+1]の符号が正の場合に、(Aα)差分値D[j]及び差分値D[j+1]以外の差分値D[a](aは、1から3までのうちj及びj+1以外の1の自然数)が所定の高精度検出条件を満たすとき、差分値D[j]及び差分値D[j]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j]、又は、差分値D[j+1]及び差分値D[j+1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j+1]に基づいて液面レベルを検出し、(Aβ)差分値D[a]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[a]及び差分値D[a]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて液面レベルを検出し、(B)差分値D[1]の符号が正の場合に、(Bα)差分値D[2]が高精度検出条件を満たすとき、差分値D[1]及び差分値D[1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて液面レベルを検出し、(Bβ)差分値D[2]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[2]及び差分値D[2]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[2]に基づいて液面レベルを検出し、(C)差分値D[3]の符号が負の場合に、(Cα)差分値D[2]が高精度検出条件を満たすとき、差分値D[3]及び差分値D[3]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[3]に基づいて液面レベルを検出し、(Cβ)差分値D[2]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[2]及び差分値D[2]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[2]に基づいて液面レベルを検出するように構成されている。
また、液面レベル検出手段が、(A1)差分値D[1]〜D[3]から選択された1の差分値D[2]から符号の判定を始めて、(A2)差分値D[2]の符号が正と判定された場合に、差分値D[1]に向けて順次符号の判定を進め、差分値D[2]において最後に符号が正と判定されかつ差分値D[1]において最初に符号が負と判定されたときに、(A2α)差分値D[3]が高精度検出条件を満たすとき、差分値D[1]及び高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて液面レベルを検出し、(A2β)差分値D[3]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[3]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[3]に基づいて液面レベルを検出し、(A3)差分値D[2]の符号が負と判定された場合に、差分値D[3]に向けて順次符号の判定を進め、差分値D[2]において最後に符号が負と判定されかつ差分値D[3]において最初に符号が正と判定されたときに、(A3α)差分値D[1]が高精度検出条件を満たすとき、差分値D[3]及び高精度液面レベル検出基準情報G[3]に基づいて液面レベルを検出し、(A3β)差分値D[1]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[1]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]に基づいて液面レベルを検出するように構成されている。
また、磁気強度センサS[1]〜S[4]の個数Nが4個で偶数であり、差分値D[1]〜D[3]のうち符号の判定を開始する差分値D[M]の符号判定開始番号MとしてN/2=2(つまり、差分値D[2])が予め選択されている。
また、マグネット3の位置が、区間T[1]又は区間T[4]にあると特定されたときに、差分値D[2]を用いて高精度検出条件の判定を行うとともに、差分値D[2]及びこの差分値D[2]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[2]に基づいて液面レベルを検出する。
以上より、本実施形態によれば、所定の高精度検出条件を満たすとき、マグネット3の位置の変化に対する変化の割合のより大きい差分値を用いて液面レベルの検出を行うことができるので、1種類のセンサのみ用いた簡易な構成で液面レベルを精度良く検出できる。
また、複数の差分値D[1]〜D[3]から選択された1の差分値D[2](M=2)の符号を判定して、その符号が正の場合は、差分値D[2]から差分値D[3]までの符号が正であるため、差分値D[3]と反対の差分値D[1]に向けて符号の判定を行い、または、その符号が負の場合は、差分値D[2]から差分値D[1]までの符号が負であるため、差分値D[1]と反対の差分値D[3]に向けて符号の判定を行うようにすることで、複数の差分値D[1]〜D[3]の全てについて符号を判定することなく、一部の差分値Dについて符号を判定することによりマグネット位置がある区間を特定することができ、そのため、液面レベルの検出をより速く行うことができる。
また、磁気強度センサS[1]〜S[4]の個数Nが4個で偶数であり、複数の差分値D[1]〜D[3]のうち符号の判定を開始する差分値D[M]の符号判定開始番号Mとして4/2=2が予め選択されているので、例えば、複数の差分値Dの端(差分値D[1]又は差分値D[3])から符号の判定を開始した場合に比べて、符号判定の最大回数を少なくすることができ、そのため、液面レベルの検出をより速く行うことができる。
また、マグネット3の位置が、区間T[1]又は区間T[4]にあると特定されたときに、差分値D[2]を用いて高精度検出条件の判定を行うとともに、差分値D[2]及びこの差分値D[2]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[2]に基づいて液面レベルを検出するので、区間T[1]のひとつ隣の区間T[2]には、差分値D[2]の最大値があり、また、区間T[4]のひとつ隣の区間T[3]には、差分値D[2]の最小値があり、そのため、区間T[1]において差分値D[2]が最も変化の傾きの絶対値が大きく、また、区間T[4]において差分値D[2]が最も変化の傾きの絶対値が大きく、これにより、マグネット3の位置があると特定された区間T[1]及びT[4]において最も変化の傾きの絶対値が大きい差分値D[2]を用いて高精度検出条件の判定及び液面レベルの検出ができ、検出精度を高めることができる。
上述した本実施形態では、区間T[2]において、差分値D[3]が所定値W2以下のときに高精度検出条件を満たし、差分値D[1]及び高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて液面レベルを検出するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、区間T[2]において、マグネット3が、差分値D[2]が最大値となる位置にあるときの差分値D[3]の値をw3としたとき、区間T[1]と同様に、差分値D[3]がこの値w3より大きい所定値W3以上であれば、差分値D[2]及び高精度液面レベル検出基準情報G[2]に基づいて液面レベルを検出するようにしてもよい。この場合、差分値D[3]が所定値W3以上であることが、高精度検出条件となる。
また、区間T[3]においても同様に、マグネット3が、差分値D[2]が最小値となる位置にあるときの差分値D[1]の値をw4としたとき、区間T[4]と同様に、差分値D[1]がこの値w4より小さい所定値W4以下であれば、差分値D[2]及び高精度液面レベル検出基準情報G[2]に基づいて液面レベルを検出するようにしてもよい。この場合、差分値D[1]が所定値W4以下であることが、高精度検出条件となる。
また、本実施形態では、各区間T[1]〜T[4]において、1の差分値Dを用いて高精度検出条件を判定するとともに、1の差分値D及びこの差分値Dに対応する標準精度液面レベル検出基準情報Hに基づいて液面レベルを検出するものであったが、これに限定されるものではない。
例えば、本実施形態では、区間T[1]において、差分値D[2]及びD[3]が単調に変化しているので、区間T[1]において差分値D[2]及びD[3]に対応する高精度検出予備条件を用意して、各差分値D[2]及びD[3]のうち一方が高精度検出予備条件を満たすとき、または、両方が高精度検出予備条件を満たすとき、高精度検出条件を満たすものとして処理を行うようにしてもよい。
また、区間T[1]において差分値D[2]及びD[3]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[2]及びH[3]を用意して、マグネット3の位置が区間T[1]にあると特定された場合に高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[2]及びこの差分値D[2]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[2]に基づいて、第1の予備液面レベルを検出し、差分値D[3]及びこの差分値D[3]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[3]に基づいて、第2の予備液面レベルを検出し、これら第1及び第2の予備液面レベルの平均値を液面レベルとして検出する、などしてもよい。区間T[4]についても同様である。つまり、複数の差分値Dに基づいて高精度検出条件を判定してもよく、また、複数の差分値D及び複数の標準精度液面レベル検出基準情報Hに基づいて、液面レベルを検出してもよい。または、区間T[1]及び区間T[4]において、差分値D[2]に代えて、当該区間で単調変化する差分値D[3](区間T[1])及び差分値D[1](区間T[4])を用いて、高精度検出条件を判定してもよく、液面レベルを検出してもよい。
また、本実施形態では、4個の磁気強度センサS[1]〜S[4]を備えた構成であったがこれに限定されるものではなく、例えば、磁気強度センサを5個、6個など備えた構成でもよく、4個以上の複数個の磁気強度センサS[1]〜S[N](Nは、4以上の偶数)を備える構成であればよい。このような構成でも上述した液面レベル検出装置1と同様にして液面レベルを検出できる。
例えば、5個の磁気強度センサS[1]〜S[5]がロッド4に埋め込まれて上方から下方に向けて互いに間隔をあけて順次並ぶように配置され、差分値算出部11の切替スイッチ12が2回路4接点とされた構成についても、上記液面レベル検出装置1と同様である。図8に、5つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置におけるマグネットの位置と複数の差分値D[1]〜D[4]、高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[4]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[4]との関係を示すグラフの一例を示す。図10及び図11に、5つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置の制御部が備えるマイクロコンピュータのCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理1a)の一例を示すフローチャート、及び、その続きのフローチャートを示す。
または、例えば、6個の磁気強度センサS[1]〜S[6]がロッド4に埋め込まれて上方から下方に向けて互いに間隔をあけて順次並ぶように配置され、差分値算出部11の切替スイッチ12が2回路5接点とされた構成についても、上記液面レベル検出装置1と同様である。図11に、6つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置におけるマグネットの位置と複数の差分値D[1]〜D[5]、高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[5]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[5]との関係を示すグラフの一例を示し、図12及び図13に、6つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置の制御部が備えるマイクロコンピュータのCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理1b)の一例を示すフローチャート、及び、その続きのフローチャートを示す。
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態の液面レベル検出装置を、図14〜図16を参照して説明する。
図14は、本発明の第2の実施形態の液面レベル検出装置の概略構成図である。図15は、本発明の第2の実施形態の液面レベル検出装置におけるマグネットの位置と複数の差分値D[1]〜D[3]、高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[3]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]、H[3]との関係を示すグラフの一例である。図16は、第2の実施形態の液面レベル検出装置の制御部が備えるマイクロコンピュータのCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理2)の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の液面レベル検出装置1Aは、上述した第1の実施形態の液面レベル検出装置1において、磁気強度センサS[1]〜S[4]の配置が異なるともに、制御部10で液面レベル検出処理1に代えて図15に示す液面レベル検出処理2を実行すること以外は同一の構成である。そのため、第1の実施形態と同一の構成部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
図14に示すように、液面レベル検出装置1Aにおいて、磁気強度センサS[1]は、取付フランジ4b直下に配置されている。これにより、磁気強度センサS[1]は、マグネット3の位置がその移動可能範囲における上端であるときに出力値が最大となる。また、磁気強度センサS[4]は、ストッパ4a直上に配置されている。これにより、磁気強度センサS[4]は、マグネット3の位置がその移動可能範囲における下端であるときに出力値が最大となる。
μCOM20のROMには、隣接して配置された磁気強度センサの電圧信号(出力値)の差分値D[1]〜D[3]とマグネット3の位置(即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベル)との関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[3]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]、H[3]が予め記憶されている。
本実施形態では、図15に太実線で示される、(1)差分値D[1]が[最大値〜0〜最小値]となるマグネット3の位置の範囲におけるマグネット3の位置と差分値D[1]との関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[1]、(2)差分値D[2]が[最大値〜0〜最小値]となるマグネット3の位置の範囲におけるマグネット3の位置と差分値D[2]との関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[2]、(3)差分値D[3]が[最大値〜0〜最小値]となるマグネット3の位置の範囲におけるマグネット3の位置と差分値D[3]との関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[3]、をμCOM20のROMに記憶している。
また、図15に示すように、マグネット3の位置は、各差分値D[1]〜D[3]が0となるゼロクロス位置P[1]〜P[3]で4つの区間T[1]〜T[4]に区切ることができる。そして、本実施形態では、図15に太実線で示される、(1)区間T[3]における差分値D[1]とマグネット3の位置との関係を示す標準精度液面レベル検出基準情報H[1]、(2)区間T[2]における差分値D[3]とマグネット3の位置との関係を示す標準精度液面レベル検出基準情報H[3]、をμCOM20のROMに記憶している。
また、μCOM20のROMには、第1の実施形態と同様に、液面レベルの検出において高精度液面レベル検出基準情報G[1]、G[3]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]、H[3]のいずれを用いるかを判定するための高精度検出条件が予め記憶されている。
本実施形態において、磁気強度センサS[1]は、取付フランジ4b直下に配置されているので、磁気強度センサS[1]は、マグネット3の位置がその移動可能範囲における上端であるときに出力値が最大となる。これにより、区間T[1]では、マグネット3の位置が、移動可能範囲における上端からゼロクロス位置P[1]に移動するにしたがって、差分値D[1]が単調に変化(単調減少)する。
また、磁気強度センサS[4]は、ストッパ4a直上に配置されているので、磁気強度センサS[4]は、マグネット3の位置がその移動可能範囲における下端であるときに出力値が最大となる。これにより、区間T[4]では、マグネット3の位置が、ゼロクロス位置P[3]から移動可能範囲における下端に移動するにしたがって、差分値D[3]が単調に変化(単調減少)する。
このことから、本実施形態では、区間T[1]及び区間T[4]において、それぞれの区間で単調に変化する差分値D[1]及び高精度液面レベル検出基準情報G[1]、並びに、差分値D[3]及び高精度液面レベル検出基準情報G[3]を用いて液面レベルを検出するようにしている。
次に、制御部10が備えるμCOM20のCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理2)の一例を、図16に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
μCOM20のCPUは、液面レベル検出処理を実行するために、周期的(例えば、1分毎)に処理をステップT110に進める。
ステップT110、T120、T160、T180〜T230、T250は、それぞれ上述した第1の実施形態のステップS110、S120、S160、S180〜S230、S250と同様の処理を実行するので、以下ではステップT130及びS140について説明する。
ステップT130において、CPUは、差分値D[1]の符号が正か否かを判定し、符号が正であれば、マグネット3の位置が区間T[1]にあるものとして、ステップT160に進み(T130でY)、符号が負であれば、マグネット3の位置が区間T[2]にあるものとして、ステップT180に進む(T130でN)。即ち、マグネット3の位置が区間T[1]にあると特定されたとき、高精度検出条件の判定を行わずに液面レベルを検出する処理に進む。
ステップT140において、CPUは、差分値D[3]の符号が正か否かを判定し、符号が正であれば、マグネット3の位置が区間T[3]にあるものとして、ステップT210に進み(T140でY)、符号が負であれば、マグネット3の位置が区間T[4]にあるものとして、ステップT250に進む(T140でN)。即ち、マグネット3の位置が区間T[4]にあると特定されたとき、高精度検出条件の判定を行わずに液面レベルを検出する処理に進む。
そして、本フローチャートの処理を終了したのち、CPUは、通信ポートを通じて他の電子制御装置等に液面レベルの検出結果を送信する。そして、他の電子制御装置等において液面レベルの表示や記録等が行われる。
次に、上述した液面レベル検出装置1Aの制御部10における動作の一例について説明する。
液面レベル検出装置1Aの制御部10は、周期的に互いに隣接して配置された磁気強度センサの差分値D[1]〜D[3]を取得する(T110)。
そして、差分値D[2]の符号が正であり(T120でY)、かつ、差分値D[1]の符号が正であると判定されたとき(T130でY)、差分値D[1]の符号が正であるので、マグネット3の位置が、区間T[1]にあることが特定される。このとき、この区間T[1]に最大値となるマグネット位置がある差分値D[1]及び高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(T160)。
または、差分値D[2]の符号が正であり(T120でY)、かつ、差分値D[1]の符号が負であると判定されたとき(T130でN)、差分値D[1]の符号が負で、差分値D[2]の符号が正であるので、マグネット3の位置が、区間T[2]にあることが特定される。この状態において高精度検出条件を満たすと(差分値D[3]≦W2、T180でY)、この区間T[2]に最小値となるマグネット位置がある差分値D[1]及び高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出し(T190)、高精度検出条件を満たさないと(差分値D[3]>W2、T180でN)、この区間T[2]において単調に変化する差分値D[3]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[3]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(T200)。
または、差分値D[2]の符号が負であり(T120でN)、かつ、差分値D[3]の符号が正であると判定されたとき(T140でY)、D[2]の符号が負で、差分値D[3]の符号が正であるので、マグネット3の位置が、区間T[3]にあることが特定される。この状態において高精度検出条件を満たすと(差分値D[1]≧W5、T210でY)、この区間T[3]に最大値となるマグネット位置がある差分値D[3]及び高精度液面レベル検出基準情報G[3]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出し(T220)、高精度検出条件を満たさないと(差分値D[1]<W5、T210でN)、この区間T[3]において単調に変化する差分値D[1]及びこの差分値D[1]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[1]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(T230)。
または、差分値D[2]の符号が負であり(T120でN)、かつ、差分値D[3]の符号が負であると判定されたとき(T140でN)、差分値D[3]の符号が負であるので、マグネット3の位置が、区間T[4]にあることが特定される。このとき、この区間T[4]に最小値となるマグネット位置がある差分値D[3]及び高精度液面レベル検出基準情報G[3]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(T250)。
本実施形態の液面レベル検出装置1Aは、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルに応じて上下方向に移動されるマグネット3と、上下方向に互いに間隔をあけて順次並べて配置され、マグネット3との距離に応じた値を出力する複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]と、前記磁気強度センサS[i](iは、1から3までの複数の自然数)の出力値から前記磁気強度センサS[i+1]の出力値を差し引いた差分値D[i]を算出する差分値算出部11と、差分値D[i]が最大となるマグネット3の位置と差分値D[i]が最小となるマグネット3の位置との間の範囲における差分値D[i]と液面レベルとの関係を示す高精度液面レベル検出基準情報G[i]、及び、差分値D[i]が最大となるマグネット3の位置と差分値D[i]が最小となるマグネット3の位置との間の範囲以外の範囲における差分値D[i]と液面レベルとの関係を示す標準精度液面レベル検出基準情報H[i]が記憶されたμCOM20のROMからなる情報記憶手段と、μCOM20のCPUからなる液面レベル検出手段と、を有し、磁気強度センサS[1]が、マグネット3の位置がその移動可能範囲における上端であるときに出力値が最大となるように配置され、磁気強度センサS[4]が、マグネット3の位置がその移動可能範囲における下端であるときに出力値が最大となるように配置され、液面レベル検出手段が、(A)差分値D[1]〜D[3]のうちの差分値D[j](jは、1又は2)の符号が負で、かつ、差分値D[1]〜D[3]のうちの差分値D[j+1]の符号が正の場合に、(Aα)差分値D[j]及び前記差分値D[j+1]以外の差分値D[a](aは、1から3までのうちj及びj+1以外の1又は複数の自然数)が所定の高精度検出条件を満たすとき、差分値D[j]及び差分値D[j]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j]、又は、差分値D[j+1]及び差分値D[j+1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[j+1]に基づいて液面レベルを検出し、(Aβ)前記差分値D[a]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[a]及び差分値D[a]に対応する標準精度液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて液面レベルを検出し、(B’)差分値D[1]の符号が正のとき、差分値D[1]及び差分値D[1]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて前記液面レベルを検出し、(C’)差分値D[3]の符号が負のとき、差分値D[3]及び差分値D[3]に対応する高精度液面レベル検出基準情報G[3]に基づいて液面レベルを検出するように構成されている。
また、液面レベル検出手段が、(A1)差分値D[1]〜D[3]から選択された1の差分値D[2]から符号の判定を始めて、(A2)差分値D[2]の符号が正と判定された場合に、差分値D[1]に向けて順次符号の判定を進め、差分値D[2]において最後に符号が正と判定されかつ差分値D[1]において最初に符号が負と判定されたときに、(A2α)差分値D[3]が高精度検出条件を満たすとき、差分値D[1]及び高精度液面レベル検出基準情報G[1]に基づいて液面レベルを検出し、(A2β)差分値D[3]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[3]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[3]に基づいて液面レベルを検出し、(A3)差分値D[2]の符号が負と判定された場合に、差分値D[3]に向けて順次符号の判定を進め、差分値D[2]において最後に符号が負と判定されかつ差分値D[3]において最初に符号が正と判定されたときに、(A3α)差分値D[1]が高精度検出条件を満たすとき、差分値D[3]及び高精度液面レベル検出基準情報G[3]に基づいて液面レベルを検出し、(A3β)差分値D[1]が高精度検出条件を満たさないとき、差分値D[1]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]に基づいて液面レベルを検出するように構成されている。
また、磁気強度センサS[1]〜S[4]の個数Nが4個で偶数であり、差分値D[1]〜D[3]のうち符号の判定を開始する差分値D[M]の符号判定開始番号MとしてN/2=2(つまり、差分値D[2])が予め選択されている。
以上より、本実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様に、所定の高精度検出条件を満たすとき、マグネット位置の変化に対する変化の割合のより大きい差分値を用いて液面レベルの検出を行うことができるので、1種類のセンサのみ用いた簡易な構成で精度良く液面レベルを検出できる。また、ゼロクロス位置P[1]より磁気強度センサS[1]側の区間T[1]において、差分値D[1]は当該ゼロクロス位置P[1]から離れるにしたがって最大値に向かって単調に変化し、また、ゼロクロス位置P[3]より磁気強度センサS[4]側の区間T[4]において、差分値D[3]は当該ゼロクロス位置P[3]から離れるにしたがって最小値に向かって単調に変化するので、これら区間において、差分値D[1]又は差分値D[3]に対して一意にマグネット位置(即ち、液面レベル)が定まり、差分値D[1]又は差分値D[3]に基づいて液面レベルを検出することができる。さらに、これら区間T[1]又はT[4]においては、差分値D[1]又は差分値D[3]は、0から最大値又は0から最小値に向かって単調に変化するので、変化の傾きの絶対値が大きく、そのため、精度よく液面レベルを検出できる。
また、複数の差分値D[1]〜D[3]から選択された1の差分値D[2](M=2)の符号を判定して、その符号が正の場合は、差分値D[2]から差分値D[3]までの符号が正であるため、差分値D[3]と反対の差分値D[1]に向けて符号の判定を行い、または、その符号が負の場合は、差分値D[2]から差分値D[1]までの符号が負であるため、差分値D[1]と反対の差分値D[3]に向けて符号の判定を行うようにすることで、複数の差分値D[1]〜D[3]の全てについて符号を判定することなく、一部の差分値Dについて符号を判定することによりマグネット位置がある区間を特定することができ、そのため、液面レベルの検出をより速く行うことができる。
また、磁気強度センサS[1]〜S[4]の個数Nが4個で偶数であり、複数の差分値D[1]〜D[3]のうち符号の判定を開始する差分値D[M]の符号判定開始番号Mとして4/2=2が予め選択されているので、例えば、複数の差分値Dの端(差分値D[1]又は差分値D[3])から符号の判定を開始した場合に比べて、符号判定の最大回数を少なくすることができ、そのため、液面レベルの検出をより速く行うことができる。
また、本実施形態では、4個の磁気強度センサS[1]〜S[4]を備えた構成であったがこれに限定されるものではなく、例えば、磁気強度センサを5個、6個など備えた構成でもよく、4個以上の複数個の磁気強度センサS[1]〜S[N](Nは、4以上の偶数)を備える構成であればよい。このような構成でも上述した液面レベル検出装置1Aと同様にして液面レベルを検出できる。
例えば、5個の磁気強度センサS[1]〜S[5]がロッド4に埋め込まれて上方から下方に向けて互いに間隔をあけて順次並ぶように配置され、差分値算出部11の切替スイッチ12が2回路4接点とされた構成についても、上記液面レベル検出装置1Aと同様である。図17に、5つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置におけるマグネットの位置と複数の差分値D[1]〜D[4]、高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[4]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[4]との関係を示すグラフの一例を示す。図18及び図19に、5つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置の制御部が備えるマイクロコンピュータのCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理2a)の一例を示すフローチャート、及び、その続きのフローチャートを示す。
または、例えば、6個の磁気強度センサS[1]〜S[6]がロッド4に埋め込まれて上方から下方に向けて互いに間隔をあけて順次並ぶように配置され、差分値算出部11の切替スイッチ12が2回路5接点とされた構成についても、上記液面レベル検出装置1Aと同様である。図20に、6つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置におけるマグネットの位置と複数の差分値D[1]〜D[5]、高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[5]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[5]との関係を示すグラフの一例を示し、図21及び図22に、6つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置の制御部が備えるマイクロコンピュータのCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理2b)の一例を示すフローチャート、及び、その続きのフローチャートを示す。
また、本実施形態では、4個の磁気強度センサS[1]〜S[4]を備えた構成であったがこれに限定されるものではなく、例えば、磁気強度センサを5個、6個など備えた構成でもよく、4個以上の複数個の磁気強度センサS[1]〜S[N](Nは、4以上の偶数)を備える構成であればよい。このような構成でも上述した液面レベル検出装置1Aと同様にして液面レベルを検出できる。
例えば、5個の磁気強度センサS[1]〜S[5]を備え、それぞれがロッド4に埋め込まれており、上方から下方に向けて互いに間隔をあけて順次並ぶように配置されている構成では、差分値算出部11の切替スイッチ12の構成を、2回路4接点に変更する。図15に、5つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置におけるマグネットの位置と複数の差分値D[1]〜D[4]、高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[4]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[4]との関係を示すグラフの一例を示す。図16に、5つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置の制御部が備えるマイクロコンピュータのCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理2a)の一例を示すフローチャートを示す。
また、例えば、6個の磁気強度センサS[1]〜S[6]を備え、それぞれがロッド4に埋め込まれており、上方から下方に向けて互いに間隔をあけて順次並ぶように配置されている構成では、差分値算出部11の切替スイッチ12の構成を、2回路5接点に変更する。図17に、6つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置におけるマグネットの位置と複数の差分値D[1]〜D[5]、高精度液面レベル検出基準情報G[1]〜G[5]及び標準精度液面レベル検出基準情報H[1]〜H[5]との関係を示すグラフの一例を示し、図18に、6つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置の制御部が備えるマイクロコンピュータのCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理2b)の一例を示すフローチャートを示す。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、液面レベル検出処理1及び液面レベル検出処理2において、符号の判定を開始する差分値D[2]が予め選択されている構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、複数の差分値D[1]〜D[3]のうち、最後に符号を判定した差分値D[k](kは、1から3までのうちの1の自然数)から次回の液面レベルの検出における符号の判定を開始するように、複数の差分値D[1]〜D[3]のうち符号の判定を開始する差分値D[M]の符号判定開始番号Mとしてkを選択するようにしてもよい。差分値D[k]について最後に符号を判定したということは、この差分値D[k]のゼロクロス位置P[k]によって規定される区間T(即ち、P[k]の右側又は左側の区間T)にマグネット3の位置があることを意味している。
例えば、今回の液面レベル検出において差分値D[1]について最後に符号を判定した場合、次回の検出では、差分値D[1]から符号の判定を開始して、(1)差分値D[1]の符号が正であると判定されたとき、差分値D[1]〜D[3]の全ての符号が正となり、マグネット3の位置が、区間T[1]にあることが特定され、(2)差分値D[1]の符号が負であり、かつ差分値D[2]の符号が正であると判定されたとき、差分値D[1]の符号が負で、差分値D[2]及びD[3]の符号が正となり、マグネット3の位置が、区間T[2]にあることが特定され、(3)差分値D[1]及びD[2]の符号が負であり、かつ、差分値D[3]の符号が正であると判定されたとき、マグネット3の位置が、区間T[3]にあることが特定され、(4)差分値D[1]〜D[3]の全ての符号が負であると判定されたとき、マグネット3の位置が、区間T[4]にあることが特定される。
したがって、マグネット3の位置が、差分値D[1]のゼロクロス位置P[1]によって規定される区間T[1]又はT[2]にあれば、1回又は2回の判定で、マグネット3の位置がある区間を特定することができる。また、今回の液面レベル検出において差分値D[3]について最後に符号を判定した場合に次回の検出において差分値D[3]から符号の判定を開始するときも、上記と符号の判定を逆方向に進める点を除き同様である。
このことから、複数の差分値D[1]〜D[3]のうち最後に符号を判定した差分値D[k](kは、1から3までのうちの1の自然数)から次回検出における符号の判定を開始するように、差分値D[1]〜D[3]のうち符号の判定を開始する差分値D[M]の符号判定開始番号Mとしてとしてkを選択すれば、今回の液面レベルの検出において最後に符号の判定がされた差分値D[k]について、次回の液面レベルの検出において符号の判定を開始するので、例えば、自動車の燃料タンク等においては急激に燃料(液体)が減少することはないことから、この差分値D[k]により規定されるゼロクロス位置P[k]付近にマグネット位置がある可能性が高く、そのため、この差分値D[k]から符号の判定を開始することにより、液面レベルの検出をより速く行うことができる。
また、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、差分値D[2](2=N/2)が0のとき差分値D[2]の符号が正として処理を進める構成であり、差分値D[2]が0のときはマグネット3の位置が移動可能範囲の中間点(又はその近傍)にあると考えられる。しかしながら、磁気強度センサS[1]〜S[N]の性能や配置等によっては、マグネット3の位置が移動可能範囲の両端近辺にあるときにも、差分値D[N/2]が0になってしまうことがある。そのため、このような構成では、差分値D[N/2]が0のときに、その両隣の差分値D[(N/2)−1]と差分値D[(N/2)+1]とを加算した値の符号を判定して、この判定した符号を差分値D[N/2]の符号として処理を進めるようにすることで、液面レベルの検出精度をより高めることができる。
また、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、差分値算出手段としての差分値算出部11が、切替スイッチ12及び減算器13で構成されているものであったが、これに限定されるものではない。例えば、μCOM20に、複数のアナログ−デジタル変換入力ポートADIを備えるとともに、各磁気強度センサS[1]〜S[4]をこれら複数の入力ポートADIに接続して、磁気強度センサS[1]〜S[4]の出力をCPUに取り込み、CPUにおいて差分値を算出する構成としてもよい。この構成の場合、μCOM20のCPUが、差分値算出手段として機能する。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。