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JP6030104B2 - タイヤ用ゴム組成物の製造方法およびタイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物の製造方法およびタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物の製造方法、および該製造方法で製造されたタイヤ用ゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有するタイヤに関する。
現在、タイヤの低燃費化の要求から、トレッドだけでなく様々なタイヤ部材でシリカ配合ゴム組成物が使用されている。しかし、シリカは表面に親水性シラノール基を有するため、カーボンブラックに比べ、ゴム成分(特に、タイヤ部材によく使われる天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなど)との親和性が低く、耐摩耗性や力学強度(引張強度や破断伸び)が劣るという問題がある。
このような問題を改善する方法として、カップリング剤を用いてゴム成分とシリカの相互作用を強める方法が知られている。しかし、通常のカップリング剤は、シリカと反応する前に自身の官能基同士が反応して凝集してしまうという問題があり、シリカの分散効果には限界があった。また、ゴム成分にシリカと反応する変性基を導入し、ゴム成分とシリカの反応性を高める方法が知られている。しかし、これらの方法には、加工性と低燃費性の両立にまだ改善の余地がある。
さらに近年は、資源保護の観点から、低燃費性だけでなく耐摩耗性の要求も強くなっている。耐摩耗性を向上させる方法としては、補強性の高い微粒子シリカを用いる方法などが知られている。しかし、微粒子シリカは一般にゴム組成物中で分散させることが非常に困難で、十分に分散できずに凝集塊が残り、耐摩耗性や力学強度を十分に改善できない、また場合によってはこれらの特性をさらに悪化させてしまうという問題がある。
特許文献1には、所定のシランカップリング剤1およびシランカップリング剤2を併用することで、ゴム組成物の低燃費性、ウェットグリップ性、および加工性をバランスよく改善する技術が開示されている。しかし、加工性と低燃費性の両立にはまだ改善の余地がある。また、耐摩耗性の改善については考慮されていない。
特開2012−82325号公報
本発明は、加工性、低燃費性、および耐摩耗性がバランス良く改善されたタイヤ用ゴム組成物の製造方法、ならびに該製造方法で製造されたタイヤ用ゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有するタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、加硫系薬剤以外の成分を一度に混練するベース練り工程X、および工程Xで得られた混練物に加硫系薬剤を添加して混練する仕上げ練り工程Fを行う従来の混練方法ではなく、ベース練り工程を充填剤および所定のカップリング剤を分割して添加および混練りする工程(工程X1および工程X2)および工程Fを行う混練方法とすることにより、カップリング剤の凝集が防止され、シリカとの相互作用が促進されることで、前記課題を解決できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成することに成功した。
すなわち、本発明は、天然ゴムおよびジエン系合成ゴムからなる群から選ばれる少なくとも2種を含むゴム成分(A)、シリカ(B)、カーボンブラック(C)、下記化学式(1)で示されるカップリング剤(D)、ならびに加硫剤および加硫促進剤を含む加硫系薬剤(E)を含有するタイヤ用ゴム組成物の製造方法であって、
(工程X1)Aの全量、Bの一部およびDの一部を混練りする工程X1、
(工程X2)工程X1の混練物、ならびにBおよびDの残量を混練りする工程X2、ならびに
(工程F)工程X2の混練物、およびEを混練りする工程F
を含むタイヤ用ゴム組成物の製造方法に関する。
化学式(1) (Cp2p+1O)3−Si−(CH2q−S−CO−Ck2k+1
(化学式(1)中、pは1〜3の整数、qは1〜5の整数、kは5〜12の整数を表す。)
ゴム成分が、シリカと反応する官能基を有するスチレンブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムを含むことが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積が160m2/g以上であり、シリカの全添加量が、ゴム成分100質量部に対して40質量部以上であることが好ましい。
工程X1および工程X2の各工程におけるカップリング剤の添加量が、各工程で添加するシリカ100質量部に対して4〜10質量部であることが好ましい。
工程X1におけるシリカの添加量が、シリカの全添加量の50〜95質量%であることが好ましい。
さらに、可塑剤を含有するゴム組成物の製造方法であり、工程X1において可塑剤の全添加量の50質量%以上を混練することが好ましい。
さらに、老化防止剤を含有するゴム組成物の製造方法であり、工程X2において老化防止剤を混練りすることが好ましい。
また本発明は、上記の製造方法で製造されたタイヤ用ゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有するタイヤに関する。
本発明の、所定のゴム成分(A)、シリカ(B)、カーボンブラック(C)、所定のカップリング剤(D)、ならびに加硫剤および加硫促進剤を含む加硫系薬剤(E)を含有するタイヤ用ゴム組成物の製造方法であり、所定の工程X1、工程X2および工程Fを含む製造方法によれば、加工性、低燃費性、および耐摩耗性がバランス良く改善されたタイヤ用ゴム組成物の製造方法、ならびに該製造方法で製造されたタイヤ用ゴム組成物により構成されたタイヤ部材を有するタイヤを提供することができる。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、所定のゴム成分(A)、シリカ(B)、カーボンブラック(C)、所定のカップリング剤(D)、ならびに加硫剤および加硫促進剤を含む加硫系薬剤(E)を含有することを特徴とする。
ゴム成分(A)
前記ゴム成分(A)は、天然ゴムおよびジエン系合成ゴムからなる群から選ばれる少なくとも2種を含むことを特徴とする。複数のジエン系ゴムをブレンドすることにより、特定のゴムの欠点を補い、物性をバランスよく向上することができる。これらのゴム成分は、ゴムの主鎖および末端が変性剤により変性されたものであることが好ましい。また一部が多官能型、例えば四塩化スズ、四塩化珪素のような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているものでも良い。なお、ゴム成分種や配合量については、適用部材などに応じて適宜選択すれば良い。
前記天然ゴムとしては、天然ゴム(NR)や、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)などの改質天然ゴムなども含まれる。
前記NRとしては特に限定されず、SIR20、RSS#3、TSR20など、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。
NRを含有する場合のゴム成分(A)中の含有量は、ゴム組成物の耐破壊性が向上するという理由から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、NRの含有量は、低燃費性と耐摩耗性に優れるという理由から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
前記ジエン系合成ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)などが挙げられる。
ジエン系合成ゴムのなかでも、加工性およびグリップ性に優れるという理由からSBRを含むことが好ましい。前記SBRとしては特に限定されないが、未変性の溶液重合SBR(S−SBR)、未変性の乳化重合SBR(E−SBR)、およびこれらの変性SBR(変性S−SBR、変性E−SBR)などが挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性された変性SBR、スズ、ケイ素化合物などでカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するものなど)などが挙げられる。これらのSBRのなかでも、グリップ性能と耐摩耗性能をバランスよく向上できるという理由から、S−SBR、変性S−SBRが好ましく、シリカとの相互作用の点で、シリル基、アミノ基、アミド基、水酸基、およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する変性S−SBRが特に好ましい。これらのSBRは、単独で用いても構わないが、用途に応じてスチレン含有量などの物性が異なるSBRを併用することが、物性のバランスの点からより好ましい。なお、適用部材などに応じて適宜選択すれば良い。
SBRのスチレン含有量は、グリップ性能やゴム強度の観点から5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、SBRのスチレン含有量は、低燃費性の観点から60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。なお、本明細書におけるSBRのスチレン含有量は、H1−NMR測定により算出される値である。
SBRのビニル結合量は、グリップ性能やゴム強度の観点から10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。また、SBRのビニル結合量は、低燃費性の観点から65モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、30モル%以下がさらに好ましい。なお、本明細書におけるSBRのビニル結合量とは、ブタジエン部のビニル結合量のことを示し、H1−NMR測定により算出される値である。
SBRを含有する場合のゴム成分(A)中の含有量は、グリップ性能の観点から10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、SBRの含有量は、耐摩耗性の観点から90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
また、耐摩耗性に優れるという理由からBRを含むことが好ましい。BRにシリカ(B)のような白色充填剤を配合したゴム組成物は、一般的に充填剤の分散性が低く、所望の性能を得ることが難しいという問題がある。しかし本発明では、所定のカップリング剤(D)を分割して混練りすることにより、充填剤とゴム成分との相互作用が高められる。従って、充填剤の分散性が向上し、低燃費性、耐摩耗性を改善できるとともに、良好な加工性も得られ、これらの性能バランスを相乗的に改善できる。
前記BRとしては、シス含有量が90%以上のハイシスBR、末端および/または主鎖が変性された変性BR、スズ、ケイ素化合物などでカップリングされた変性BR(縮合物、分岐構造を有するものなど)などが挙げられる。これらのBRのなかでも、優れた耐摩耗性を得られるという点からはハイシスBRが好ましく、シリカとの相互作用の点では、末端および/または主鎖が変性された変性BR、特に、シリル基、アミノ基、アミド基、水酸基、およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する変性BRが好ましい。なお、適用部材などに応じて適宜選択すれば良い。
BRを含有する場合のゴム成分(A)中の含有量は、耐摩耗性の観点から5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、BRの含有量は、加工性の観点から80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。
特に前記変性SBRや変性BRは通常、官能基の強い相互作用のため、ゴム成分自体が凝集して充填剤の分散がかえって困難になる場合が多いが、本発明では、所定のカップリング剤(D)を分割して混練りすることにより、ゴム成分の凝集が防止され、シリカとの相互作用が促進される。
シリカ(B)
前記シリカ(B)は特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカ(B)の窒素吸着比表面積(N2SA)は、破壊強度の観点から40m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましく、130m2/g以上がさらに好ましく、160m2/g以上が特に好ましい。また、シリカ(B)のN2SAは、低燃費性や加工性の観点から500m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下がさらに好ましい。なお、本明細書におけるシリカ(B)のN2SAは、ATSM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカ(B)の含有量(全添加量)は、ゴム成分(A)100質量部に対して、低燃費性の観点から10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましく、40質量部以上が特に好ましい。また、シリカ(B)の含有量は、充填剤のゴム成分への分散性や加工性の観点から200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。
カーボンブラック(C)
前記カーボンブラック(C)としては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等、タイヤ工業において一般的なものを使用でき、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラック(C)の窒素吸着比表面積(N2SA)は、耐候性や帯電防止性能の観点から80m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましい。また、カーボンブラック(C)のN2SAは、加工性の観点から200m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましい。なお、本明細書におけるカーボンブラック(C)のN2SAは、JIS K6217のA法に準じて測定される値である。
カーボンブラック(C)の含有量(全添加量)は、ゴム成分(A)100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。カーボンブラック(C)の含有量が1質量部未満の場合は、カーボンブラックを含有することによる効果が十分に得られない恐れがある。また、カーボンブラック(C)の含有量は、低燃費性や加工性の観点から30質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
カップリング剤(D)
前記所定のカップリング剤(D)とは、下記化学式(1)で示される化合物である。
化学式(1) (Cp2p+1O)3−Si−(CH2q−S−CO−Ck2k+1
(化学式(1)中、pは1〜3の整数、qは1〜5の整数、kは5〜12の整数を表す。)
化学式(1)で示される化合物のpは、シリカとの反応性の観点から、1〜3の整数であり、2が好ましい。
化学式(1)で示される化合物のqは、ゴム分子とシリカとを適度な長さで結合し、低発熱性が向上することから、1〜5の整数であり、2〜5の整数が好ましく、3がより好ましい。
化学式(1)で示される化合物のkは、ゴム分子との反応性および加工性が両立するという理由から、5〜12の整数であり、6〜10の整数が好ましく、7の整数がより好ましい。
化学式(1)で示されるカップリング剤(D)としては、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシランなどを挙げることができ、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なかでも、入手の容易さとコストの点で、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(モメンティブ社製のNXTシラン)が特に好ましい。
化学式(1)で示されるカップリング剤(D)の含有量は、シリカ(C)の含有量100質量部に対して、充填剤との反応や加工性向上効果という観点から4質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、6質量部以上がさらに好ましい。また、カップリング剤(D)の含有量は、コストの増加に見合ったシリカの分散効果という観点から20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、9質量部以下がさらに好ましい。
加硫系薬剤(E)
加硫系薬剤(E)は、加硫剤(E1)および加硫促進剤(E2)を含む。さらに、加硫促進補助剤などのゴム工業で一般的に使用される加硫系薬剤を用いることもできる。
加硫剤(E1)
前記加硫剤(E1)としては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。本発明の効果が良好に得られるという点からは、硫黄が好ましく、粉末硫黄がより好ましい。また、硫黄は他の加硫剤と併用してもよい。他の加硫剤としては、例えば、田岡化学工業(株)製のタッキロールV200、フレキシス社製のDURALINK HTS(1,6−ヘキサメチレン−ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物)、ランクセス社製のKA9188(1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)などの硫黄原子を含む加硫剤や、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物などが挙げられる。
加硫剤(E1)の含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましい。また、加硫剤(E1)の含有量は、15質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。加硫剤(E1)の含有量が前記範囲内であると、良好な引張強度、耐摩耗性および耐熱性が得られる。
加硫促進剤(E2)
前記加硫促進剤(E2)としては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどのチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤などが挙げられる。なかでも、ゴム弾性率と加工性との両立という観点から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましく、グアニジン系加硫促進剤が特に好ましい。
加硫促進剤(E2)の含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。また、加硫促進剤(E2)の含有量は、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。加硫促進剤(E2)の含有量が前記範囲内であると、ゴム弾性率の低下や破壊特性の低下を抑制することができる。
その他の配合剤
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、可塑剤(F)、シリカおよびカーボンブラック以外の補強用充填剤、老化防止剤(G)、酸化防止剤、ステアリン酸、ワックスなどを適宜配合することができる。
可塑剤(F)
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物には、加工性を改善するとともに、ゴムの強度を高めることができるという理由から、前記可塑剤(F)を含有することが好ましい。可塑剤(F)としては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用でき、例えば、オイル、液状ポリマー、液状樹脂などが挙げられる。なかでも、コストと加工性をバランスよく改善できるという理由から、オイルが好ましい。
オイルとしては、プロセスオイル、植物油脂、動物油脂などが挙げられる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどが挙げられる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油、桐油などが挙げられる。また、動物油脂としては、オレイルアルコール、魚油、牛脂などが挙げられる。なかでも、加工性に有利であるという理由からプロセスオイルが好ましく、環境への負荷低減という理由からは、多環式芳香族化合物(polycyclic aromatic compound:PCA)の含量の低いプロセスオイル(低PCA含量プロセスオイル)が好ましい。
低PCA含量プロセスオイルとしては、オイル芳香族系プロセスオイルを再抽出したTreated Distillate Aromatic Extract(TDAE)、アスファルトとナフテン油の混合油であるアロマ代替オイル、軽度抽出溶媒和物(mild extraction solvates:MES)、重ナフテン系オイルなどが挙げられる。
可塑剤(F)としてオイルを含有する場合のゴム成分(A)100質量部に対する含有量は、加工性改善効果の観点から2質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。また、オイルの含有量は、工程面での負荷の観点から60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。なお、本明細書におけるオイルの含有量は、ゴム成分が油展物である場合の該油展オイル量は含まない。
老化防止剤(G)
前記老化防止剤(G)としては、耐熱性老化防止剤、耐候性老化防止剤などでゴム組成物に通常使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、ナフチルアミン系(フェニル−α−ナフチルアミンなど)、ジフェニルアミン系(オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなど)、p−フェニレンジアミン系(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなど)などのアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物などのキノリン系老化防止剤;モノフェノール系(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノールなど)、ビス、トリス、ポリフェノール系(テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなど)などのフェノール系老化防止剤が挙げられる。なかでも、耐オゾン性に優れるという理由から、アミン系老化防止剤が好ましく、p−フェニレンジアミン系老化防止剤が特に好ましい。
老化防止剤(G)を含有する場合の(A)ゴム成分100質量部に対する含有量は、耐オゾン性および耐亀裂性の観点から0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、老化防止剤の含有量は、変色防止の観点から10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
タイヤ用ゴム組成物の製造方法
本発明のタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、混練り工程を工程X1、工程X2および工程Fとすることを特徴とする。各工程は公知の混練機を用いることができ、例えば、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどが挙げられる。
具体的には、ゴム成分(A)の全量、シリカ(B)の一部、シランカップリング剤(D)の一部を混練りする(工程X1)、さらにBおよびDの残量を混練りする(工程X2)、さらに、加硫剤および加硫促進剤を含む加硫系薬剤(E)の全量を混練りする(工程F)を含む混練を行い、未加硫ゴム組成物を得る工程を含むタイヤ用ゴム組成物の製造方法である。得られた未加硫ゴム組成物は、さらに加硫(加硫工程)などを行い、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物を製造することができる。なお、カーボンブラック(C)、可塑剤(F)、老化防止剤(G)、酸化亜鉛、ステアリン酸などその他の配合剤を添加し、混練りするタイミングは特に限定されず、工程X1、工程X2または工程Fのいずれの工程で添加してもよく、分割して添加してもよい。
本発明の製造方法では特に、化学式(1)で示されるカップリング剤(D)を分割して混練りすることを特徴とする。該カップリング剤(D)は、アルコキシシリル基が分子中に複数存在しないため、カップリング剤同士の凝集が少なく、ポリマー部と好適に反応するメルカプト基が脂肪酸チオエステルとなることにより、急激な反応に伴う不均一化も防止され、本発明のような分割投入での混練においても、活性を失わずに均一な充填剤とポリマーの化学結合を形成することが可能である。
工程X1
工程X1では、ゴム成分(A)の全量、シリカ(B)の一部、カップリング剤(D)の一部を含む配合剤をバンバリーミキサーなどで混練りする。この操作により、充填剤がゴム成分、特に充填剤と親和性の高いゴム成分と強固な結合を形成しながら分散する。また、カップリング剤(D)が化学式(1)の構造をとることにより、混練に伴いチオエステル基が分解されて徐々に活性の高いメルカプト基を生成するため、加工性を保ちながら充填剤を分散させ、ポリマーとの結合を促進することが可能である。従来のポリスルフィドシランであると、この段階でも硫黄を放出するため、加工性が低下し、充填剤の分散が阻害され、カップリング剤自体の活性も低下したが、化学式(1)で示されるカップリング剤(D)は、硫黄を放出しないため、加工性を維持したまま混練を継続することが可能である。
工程X1におけるシリカ(B)の添加量は、シリカ混練効果の向上、シリカの十分な分散、および耐摩耗性の観点からシリカ(B)の全添加量の50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。また、工程X1におけるシリカ(B)の添加量は、後述する工程X2におけるシリカの分割投入の効果、低燃費性および耐摩耗性の観点からシリカ(B)の全添加量の95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
工程X1における化学式(1)で示されるカップリング剤(D)の添加量は、充填剤との反応を十分なものとし、カップリング剤(D)の優れた加工性向上効果を引き出すことができるという理由から、工程X1におけるシリカ(B)の添加量100質量部に対して4質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、6質量部以上がさらに好ましい。また、工程X1における化学式(1)で示されるカップリング剤(D)の添加量は、コストの増加に見合ったシリカの分散効果という観点から20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、9質量部以下がさらに好ましい。
前記カーボンブラック(C)は工程X1および/または工程X2で添加することが好ましい。工程X1におけるカーボンブラック(C)の添加量は、カーボンブラックの分散性の向上と工程の効率化という観点から、カーボンブラック(C)の全添加量の10質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。なお、工程X1におけるカーボンブラック(C)添加量が100質量%未満の場合は、残量は工程X2で添加することが好ましい。
前記可塑剤(F)を添加する工程は特に限定されないが、充填剤の分散が良好になるという理由から、工程X1において、可塑剤(F)全添加量の50質量%以上を添加することが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。なお、工程X1における可塑剤(F)添加量が100質量%未満の場合は、残量は、工程X2で添加するシリカの分散性がより向上するという理由から工程X2で添加することが好ましい。
工程X2
工程X2では、シリカ(B)およびカップリング剤(D)の残量ならびに他の配合剤を、工程X1の混練物に加えて混練りする。もし、工程X1でシリカ(B)全量投入した場合は、シリカ(B)が、変性ポリマーのようなシリカと親和性の高いポリマー部分および/またはポリマーの界面部分に偏在する傾向があるが、本発明の製造方法では、シリカ(B)を工程X1および工程X2において分割投入するため、ゴム成分全体に分散しやすくなる。また、後入れした(工程X2で投入した)シリカ(B)自体が、ゴム成分にシェアをかけることにより混練効果を促進する効果がある。さらに、本発明の製造方法では、化学式(1)で示されるカップリング剤(D)を分割投入するため、カップリング剤の活性の早期低下を防止し、混練操作全体における加工性を保つことができる。
工程X2における化学式(1)で示されるカップリング剤(D)の添加量は、充填剤との反応を十分なものとし、カップリング剤(D)の優れた加工性向上効果を引き出すことができるという理由から、工程X2におけるシリカ(B)の添加量100質量部に対して4質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、6質量部以上がさらに好ましい。また、工程X2における化学式(1)で示されるカップリング剤(D)の添加量は、コストの増加に見合ったシリカの分散効果という観点から20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、9質量部以下がさらに好ましい。
前記老化防止剤(G)を添加する工程は特に限定されないが、作業効率と混練中の老化防止剤の活性低下防止の観点から、工程X2において全量添加することが好ましい。
工程X1および工程X2における混練の排出温度は特に限定されないが、142℃以上が好ましく、146℃以上がより好ましく、148℃以上がさらに好ましい。また、該排出温度は、170℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましく、155℃以下がさらに好ましい。工程X1および工程X2における混練の排出温度が前記範囲内であると、シリカ(B)が良好に分散した混練物を効率良く得られる傾向がある。
工程X1および工程X2における混練時間は特に限定されないが、各工程3.0分以上が好ましく、4.0分以上がより好ましく、4.5分以上がさらに好ましい。また、混練時間は、各工程7.0分以下が好ましく、6.0分以下がより好ましく、5.5分以下がさらに好ましい。工程X1および工程X2における各混練時間が前記範囲内であると、シリカ(B)が良好に分散した混練物を効率良く得られる傾向がある。
工程F
工程Fは、工程X2で得られた混練物を冷却した後、加硫剤および加硫促進剤を含む加硫系薬剤(E)を添加してオープンロールなどで混練りし、未加硫ゴム組成物を得る工程である。
工程X2で得られた混練物は、通常100℃以下、好ましくは20〜80℃となるまで冷却することが好ましい。
工程Fにおける混練の排出温度は、110℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。該排出温度が110℃を超える場合は、ゴム焼け(スコーチ)が生じやすくなる傾向がある。また、工程Fにおける混練の排出温度の下限は特に限定されないが、好ましくは80℃以上である。
工程Fにおける混練時間は特に限定されないが、通常30秒以上であり、好ましくは1〜30分間である。
加硫工程
工程Fで得られた未加硫ゴム組成物を、公知の方法で加硫することで加硫ゴム組成物を得ることができる。未加硫ゴム組成物の加硫温度は120℃以上が好ましく、140℃以上がさらに好ましい。また、加硫温度は、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。加硫温度が前記範囲内であると、本発明の効果が良好に得られる。
タイヤ用ゴム組成物
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、加工性、低燃費性、および耐摩耗性がバランス良く改善されたタイヤ用ゴム組成物であることからトレッドに好適に用いることができる。
タイヤ
また、本発明のタイヤは、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、本発明の製造方法にて製造したタイヤ用ゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのトレッドなどのタイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成形することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明のタイヤを製造することができる。なお、本発明のタイヤは、乗用車用タイヤ、バス用タイヤ、トラック用タイヤなどとして好適に用いることができる。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例にのみ限定されるものではない。
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
NR:TSR20
SBR1:ランクセス社製のBuna SL4525−0(スチレン含有量:25質量%、非油展、非変性S−SBR)
SBR2:下記変性SBR製造例で作製したSBR(スチレン含有量:37.5質量%、ビニル結合量:55.8モル%、非油展、アミノ基およびアルコキシシリル基を有する末端変性S−SBR)
BR1:宇部興産(株)製のBR150B(ハイシスBR、シス含有量:97質量%)
BR2:下記変性BR製造例で作製したBR(アミノ基およびアルコキシシリル基を有する末端変性BR)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラックN220(N2SA:114m2/g)
シリカ1:エボニック社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
シリカ2:ローディア社製のZeosil 115MP(N2SA:100m2/g)
カップリング剤1:モメンティブ社製のNXT(3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、化学式(1)中のp:2、q:3、k:7)
カップリング剤2:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルAH−24
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:ハクスイテック(株)製の酸化亜鉛3種
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製ノクセラーNS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
変性SBRおよび変性BRの製造例、ならびに分析方法を示す。
末端変性剤の作製
窒素雰囲気下、100mlメスフラスコに、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(アヅマックス(株)製)を23.6g入れ、さらに、無水ヘキサン(関東化学(株)製)を加え、全量を100mlにして末端変性剤を作製した。
変性SBR製造例
十分に窒素置換した30L耐圧容器に、n−ヘキサン(関東化学(株)製)18L、スチレン(関東化学(株)製)740g、ブタジエン(高千穂商事(株)製)1260g、およびテトラメチルエチレンジアミン(関東化学(株)製)17mmolを加え、40℃に昇温した。次に、ブチルリチウム(関東化学(株)製)10.5mLを加えた後、50℃に昇温させ3時間撹拌した。次に0.4mol/Lの四塩化ケイ素/ヘキサン溶液3.5mlを加え、30分撹拌を行った。次に、前記末端変性剤30mLを追加し30分間撹拌を行った。反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール(大内新興化学工業(株)製)0.2gを溶かしたメタノール(関東化学(株)製)2mLを添加後、反応溶液をメタノール18Lが入ったステンレス容器に入れて凝集体を回収した。得られた凝集体を24時間減圧乾燥させ、末端変性S−SBR(SBR2)を得た。分析の結果、Mwは925000、スチレン含有量は37.5質量%、ビニル結合量は55.8モル%であった。
変性BR製造例
十分に窒素置換した30L耐圧容器にn−ヘキサン(関東化学(株)製)18L、ブタジエン(高千穂商事(株)製)2000g、およびテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、関東化学(株)製)2mmolを加え、60℃に昇温した。次に、ブチルリチウム(関東化学(株)製)10.3mLを加えた後、50℃に昇温させ3時間撹拌した。次に、上記で作成した末端変性剤11.5mLを追加し30分間撹拌を行った。反応溶液にメタノール(関東化学(株)製)15mLおよび2,6−tert−ブチル−p−クレゾール(大内新興化学工業(株)製)0.1gを添加後、反応溶液を18Lのメタノールが入ったステンレス容器に入れて凝集体を回収した。得られた凝集体を24時間減圧乾燥させ、末端変性BR(BR2)を得た。分析の結果、Mwは670000、Mw/Mnは1.34、シス含有量は29質量%、ビニル結合量は26モル%であった。
重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnの測定
重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めた。
スチレン含有量およびビニル結合量の測定
日本電子(株)製のJNM−ECAシリーズのNMR装置を用いて、構造同定を行い、スチレン含有量およびビニル結合量を算出した。
シス含有量の測定
赤外吸収スペクトル分析法(日本分光(株)製のFT/IR−5300(フーリエ変換赤外分光光度計))によってシス含有量を算出した。
比較例1および2
表1に示す配合内容に従い、加硫剤(E1)および加硫促進剤(E2)以外の各種薬品を1.7Lバンバリーミキサーにて、排出温度150℃で5分間混練りした(工程X)。その後、工程Xの混練物、加硫剤(E1)および加硫促進剤(E2)をオープンロールを用いて排出温度80℃で5分間混練りし(工程F)、未加硫ゴム組成物を得た。その後、実施例と同様に試験用タイヤを製造し、下記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1〜8ならびに比較例3および4
表1に示す配合内容に従い、工程X1に示す各種薬品を、1.7Lバンバリーミキサーにて、排出温度150℃で5.0分間混練りした(工程X1)。次に、工程X1の混練物および工程X2に示す各種薬品を、1.7Lバンバリーミキサーにて、排出温度150℃で5.0分間混練りした(工程X2)。そして、工程X2の混練物および工程Fに示す各種薬品を、オープンロールを用いて排出温度80℃で5分間混練りし(工程F)、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、150℃、25kgfの条件で35分間加硫し、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。得られた試験用タイヤについて下記評価を行った。結果を表1に示す。
<低燃費性試験>
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど低燃費性に優れていることを示す。
<耐摩耗性試験>
各試験用タイヤを試験用実車(国産FF車、排気量:2000cc)の全輪に装着し、ドライアスファルト路面上を8000km走行させ、タイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤトレッド部の溝深さが1mm減少するときの走行距離を算出した。下記の式により比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(各試験用タイヤのタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)
/(比較例1のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)×100
<操縦安定性試験>
試験タイヤを試験用実車(国産FF車、排気量:2000cc)の全輪に装着し、蛇行運転を行った。その際における操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが官能評価し、比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど操縦安定性に優れることを示す。
<加工性試験>
未加硫ゴム組成物の加工のしやすさ、および加工物の形状を目視にて確認し、下記の基準で評価した。
4:容易に加工でき、シート形状がなめらかで非常に良好
3:問題なく加工でき、シート形状が良好
2:加工は可能であるが、シートの生地に凹凸があり劣る
1:生地の状態が悪く、シート加工ができない
Figure 0006030104
表1の結果より、所定のゴム成分(A)、シリカ(B)、カーボンブラック(C)、所定のカップリング剤(D)、加硫剤(E1)、および加硫促進剤(E2)を含有するタイヤ用ゴム組成物を、所定の製造方法で製造することにより、加工性、低燃費性、および耐摩耗性をバランス良く改善できることが分かる。

Claims (8)

  1. 天然ゴムおよびジエン系合成ゴムからなる群から選ばれる少なくとも2種を含むゴム成分(A)、シリカ(B)、カーボンブラック(C)、下記化学式(1)で示されるカップリング剤(D)、ならびに加硫剤および加硫促進剤を含む加硫系薬剤(E)を含有するタイヤ用ゴム組成物の製造方法であって、
    (工程X1)Aの全量、Bの一部およびDの一部を混練りする工程X1、
    (工程X2)工程X1の混練物、ならびにBおよびDの残量を混練りする工程X2、ならびに
    (工程F)工程X2の混練物、およびEを混練りする工程F
    を含むタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
    化学式(1) (Cp2p+1O)3−Si−(CH2q−S−CO−Ck2k+1
    (化学式(1)中、pは1〜3の整数、qは1〜5の整数、kは5〜12の整数を表す。)
  2. ゴム成分が、シリカと反応する官能基を有するスチレンブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムを含む請求項1記載の製造方法。
  3. シリカのチッ素吸着比表面積が160m2/g以上であり、
    シリカの全添加量が、ゴム成分100質量部に対して40質量部以上である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 工程X1および工程X2の各工程におけるカップリング剤の添加量が、各工程で添加するシリカ100質量部に対して4〜10質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 工程X1におけるシリカの添加量が、シリカの全添加量の50〜95質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. さらに、可塑剤を含有するゴム組成物の製造方法であり、
    工程X1において可塑剤の全添加量の50質量%以上を混練する請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. さらに、老化防止剤を含有するゴム組成物の製造方法であり、
    工程X2において老化防止剤を混練りする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたタイヤ用ゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有するタイヤ。
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