以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の接点装置1を示す。図2は、可動接点31、31、31の配置を示すための可動端子28の平面図である。
本実施形態にかかる接点装置1は、電磁継電器に適用されるものである。接点装置1は図1中で下部に位置する駆動部2と、上部に位置する接点部3とを備えており、これら駆動部2および接点部3がケース5内に収容されている。
ケース5は、接点部3側が開口する駆動部収納ケース部7と、この駆動部収納ケース部7の開口側を閉塞する接点部収納ケース部9と、を有している。このケース5は、図1の上下方向から見た平面視で円形であってもよく、四角あるいは多角形状であってもよい。
駆動部収納ケース部7は、下壁7aと、下壁7aの周縁から接点部3側に向けて立ち上がる側壁7bと、を備えており、接点部3側が開口するカップ状を呈している。また、接点部収納ケース部9は、上壁9aと、上壁9aの周縁から駆動部2側に向けて延びる側壁9bと、を備えており、駆動部2側が開口するカップ状を呈している。
駆動部2は、コイルボビン11に巻かれたコイル13を備えており、コイルボビン11の中心に形成した貫通孔11a内には、固定部材である固定鉄心15が駆動部ケース7の下壁7a側に配置されており、可動部材である可動鉄心17が下壁7aと反対の開口側に配置されている。
そして、コイル13と駆動部収納ケース部7との間には、継鉄19が配置されている。継鉄19は、下壁7aに対向する底壁19aと、底壁19aの周縁から立ち上がりコイル13の周囲を囲むようにして形成されて側壁7bに対向する筒部19bとを備えている。
そして、継鉄19の接点部3側の開口のコイル13に対応する部位を覆うようにして継鉄上板21が配置されている。継鉄上板21は、外周縁部が継鉄19の筒部19bの端部に固定されており、内周縁部から下方に突出させた筒部21aが、可動鉄心17とコイルボビン11との間に挿入されている。このため、コイルボビン11は、継鉄上板21の筒部21aを挿入した接点部3側の一部が、下部の他の部位よりも貫通孔11aの内径が大きくなっている。
固定鉄心15は、継鉄19の底壁19aの中心に形成されている嵌合孔19cに、突起部15aを嵌合させることで継鉄19に固定されている。一方、固定鉄心15の接点部3側に位置する可動鉄心17は、コイルボビン11の貫通孔11a内にて固定鉄心15に対して接近離反移動可能となっている。
固定鉄心15および可動鉄心17の互いに対向する側には、凹部15bおよび凹部17aがそれぞれ形成されており、これら各凹部15b、17a相互間に復帰ばね23が配置されている。この復帰ばね23は、可動鉄心17を固定鉄心15から離反する方向(図1の上向き)に押し付けている。
可動鉄心17の固定鉄心15との反対側には、シャフト25が可動鉄心17の移動方向に沿って延びるように設けられている。このシャフト25は可動鉄心17と一体に形成されていてもよく、別体として形成し、可動鉄心17に固定する構造としてもよい。
シャフト25の先端には、ボス部27を介して可動端子28が取り付けられている。
可動端子28は、ボス部27に取り付けられた平板状の可動接触子29と、可動接触子29の駆動部2側の下面に突出するように設けた3つの可動接点31(31a)、31(31b)、31(31c)(図2参照)とによって形成されている。本実施形態では、各可動接点31a、31b、31cは平面視円形状に形成されている。しかし、各可動接点31a、31b、31cの平面視形状は円形に限られず、四角形などの他の形状であってもよい。
本実施形態では、各可動接点31の駆動部2側と対向する位置には、固定接点35が上面に突出するように配置されている。
具体的には、3つの可動接点31a、31b、31cの駆動部2側の面と対向する位置には、3つの固定接点35、35、35が上面に突出するように配置されている。また本実施形態の接点装置1は、2つの固定端子37、37を備えている。各固定接点35は、2つの固定端子37、37のうちのいずれか一方上に固定されている。固定端子37、37は、絶縁性樹脂からなる固定接点保持部41、41にそれぞれ取り付けられている。この固定端子37の端部は、ケース5の外部に引き出して外部負荷や外部電源などに接続する外部接続端子となっている。
すなわち、固定接点35は可動接触子29の可動接点31に対応した位置及び数となるように、固定端子37に設けられている。可動接点31(31a、31b、31c)が3点に設けられていることから、固定接点35、35、35も固定端子37、37に3点が設けられる。それぞれの固定接点35、35、35には、可動接触子29の対応した可動接点31a、31b、31cが接触し、この接触によって固定接点35と対応する可動接点31とが導通する。これにより、2つの固定端子37、37間が可動接触子29を介して導通する。
本実施形態では、図1の左側の固定端子37(第1の固定端子)に1つの固定接点35が設けられ、図1の右側の固定端子37(第2の固定端子)に2つの固定接点35、35が設けられている。そして、左側の固定端子37(第1の固定端子)に設けられた1つの固定接点35(図1の左側の固定接点35)が、可動接点31aに接触(当接)し、右側の固定端子37(第2の固定端子)に設けられた2つの固定接点35、35(図1の右側の2つの固定接点35、35)が、可動接点31bおよび可動接点31cにそれぞれ接触(当接)する。この接触によって固定接点35と対応する可動接点31a、31b、31cとが導通することとなる。
なお、固定接点35は必ずしも3つ設ける必要はない。例えば、右側の固定端子37(第2の固定端子)に、2つの可動接点31b、31cの両方を覆う大きさの1つの固定接点35を設けてもよい。
ここで、可動接触子29と接点部収納ケース部9の上壁9aとの間には、可動接触子29を駆動部2側(下方)に押圧する接圧ばね33が配置されている。本実施形態では、接圧ばね33はコイルばねからなる。接圧ばね33が可動接触子29を押圧することにより、それぞれの可動接点31a、31b、31cが固定接点35、35、35に所定の接圧力で接触する。この接圧ばね33は、上述した復帰ばね23よりもばね荷重が低くなるように設定されている。このため、コイル13が通電されずに可動鉄心17に駆動力が付与されていない状態では、復帰ばね23の弾性力が接圧ばね33の弾性力に打ち勝って、可動鉄心17は可動接触子29とともに固定鉄心15から離れる方向に移動して図1の状態となる。
本実施形態では、図2に示すように、可動接触子29は略矩形の平板状に形成されており、可動接点31は相互に離れた3点位置となるように可動接触子29の下面29bに設けられている。図2において、符号31a、31b、31cは可動接触子29に対して3点位置となるように設けられた3個のそれぞれの可動接点を示す。
接圧ばね33は、かかる3点の可動接点31a、31b、31cが設けられた可動接触子29の上面に一端側が当接することにより、可動接触子29を固定端子37に向けて押圧する。接圧ばね33の一端側が当接した位置における接圧ばね33のばね荷重中心が、接圧ばね33の作用点63となる(図2参照)。すなわち、接圧ばね33の作用点63は、接圧ばね33のばね荷重中心である。本実施形態では、接圧ばね33はコイルばねなので、接圧ばね33の軸心(接圧ばね33の作用線)と可動接触子29との交点が、接圧ばね33の作用点63となる。この実施形態においては、3点の可動接点31a、31b、31c及び接圧ばね33の作用点63を、図2に示す配置としている。これにより、3点の可動接点31a、31b、31cを3点のそれぞれの固定接点35、35、35へ接触させている。
本実施形態においては、接圧ばね33の作用点63(接圧ばね33のばね荷重中心)が、可動接触子29の3点の可動接点31a、31b、31cの内側接線で形成される仮想的な三角形の内部に位置するものである。すなわち図2に示すように、3点の可動接点31a、31b、31cに対し、これらを接続する3本の内側接線64、65、66を描いた場合、3本の内側接線64、65、66によって仮想的な三角形67が形成される。そして、本実施形態の接点装置1は、接圧ばね33の作用点63が、この三角形67の内部に位置するように構成されている。
ここで、ある2つの可動接点31、31(第1の可動接点と第2の可動接点)に対する内側接線は、以下のように規定される。
まず、可動接触子29の面上において、第1の可動接点および第2の可動接点の両方に対してそれぞれ1点のみで接する直線を、求める。本実施形態のように、2つの可動接点31、31が相互に離れた円形の場合には、この直線は、この2つの円の4本の共通接線(2本の共通外接線と2本の共通内接線)である。
そして、これらの直線のうちで、第1の可動接点および第2の可動接点の両方を含む領域と、第3の可動接点を含む領域と、を分ける直線を、第1の可動接点と第2の可動接点に対する内側接線と定める。
本実施形態では、3つの可動接点31、31、31の平面形状がそれぞれ円形である。この場合、内側接線は、2つの可動接点31、31の共通外接線のうち、他の可動接点31側に形成される接線で規定される。
このように、本実施形態の接点装置1は、3点の可動接点31a、31b、31cの内側接線64、65、66で形成される三角形67の内部に、接圧ばね33の作用点63(接圧ばね33のばね荷重中心)を位置させた構成となっている。この構成においては、3点の全ての可動接点31a、31b、31cを、接圧ばね33によって固定接点35側に確実に押圧することができるようになる。そのため、接圧ばね33の付勢力が3点の全ての可動接点31a、31b、31cに確実に作用する。これにより3点の全ての可動接点31a、31b、31cが固定接点35、35、35のそれぞれに確実に接触することができる。このため可動接点31(31a、31b、31c)及び固定接点35を安定した導通状態とすることができる。さらに、本実施形態では、三角形67の内部に接圧ばね33の作用点63が位置しているので、2つの可動接点を結ぶ線を軸として可動端子28が回転してしまうおそれが、小さくなっている。従って、接点装置1の騒音を抑制することができる。
次に、接点装置1の動作を説明する。
まず、コイル13が通電されていない図1の状態では、復帰ばね23の弾性力が接圧ばね33の弾性力に打ち勝って、可動鉄心17が固定鉄心15から離れる方向に移動し、可動接点31a、31b、31cが固定接点35、35、35から離反した図1の状態となり、接点装置1がオフとなる。
このオフ状態からコイル13が通電されると、可動鉄心17が電磁力により復帰ばね23の弾性力に抗して固定鉄心15に吸引されるようにして固定鉄心15に接近移動する。これにより各可動接点31が対応する固定接点35に接触して、これら各接点相互が電気的に導通して接点装置1がオンとなる。
このように、本実施形態では、図1の上下方向が、可動端子28の固定端子37に対する相対移動方向となっている。
以上の動作において、接圧ばね33の作用点63(接圧ばね33のばね荷重中心)が可動接触子29の3点の可動接点31a、31b、31cの内側接線64、65、66で形成される三角形67の内部に位置していることにより、接圧ばね33の付勢力が3点の可動接点31a、31b、31cに確実に作用するため、3点の全ての可動接点31a、31b、31cが固定接点35、35、35のそれぞれに確実に接触することができる。このため可動接点31(31a、31b、31c)及び固定接点35を安定した導通状態とすることができる。また、可動端子28の回動が抑制されるため、接点装置1の騒音を抑制することができるようになる。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態の接点装置における可動端子28の構成を示す。
本実施形態においては、可動接触子29に対し、ばね受け部69が設けられている。ばね受け部69は接圧ばね33を受ける部材であり、可動接触子29の上面から立設するように設けられている。ばね受け部69には、接圧ばね33の一端側が当接する。
すなわち本実施形態の接点装置1では、可動接触子29の上面に、接圧ばね33の一端(下端)を受けるばね受け部69が設けられている。ばね受け部69は、接圧ばね33の一端が当接する円板部69aと、円板部69aの外周縁に設けられた鍔部69bと、可動接触子29の上面に立設された支持部69cとを有する。円板部69aは、接圧ばね33の外径よりも僅かに大きな外径の同心円板状に形成されている。なお、円板部69aは、円板状に形成されていてもよい。鍔部69bは、円板部69aと同心の円筒状に形成されている。鍔部69bは、接圧ばね33の外径よりも僅かに大きな径を有する。支持部69cは、円板部69aと同心の円筒状に形成されている。支持部69cは、円板部69aの外径よりも小さな径を有する。接圧ばね33の一端は、ばね受け部69の鍔部69bの内部に収納される。これにより、接圧ばね33の前後および左右方向の動きが制限される。
図3の実施形態においても、図2と同様に可動接触子29に対し3点の可動接点31(31a)、31(31b)、31(31c)が設けられている。そして、接圧ばね33の作用点63(接圧ばね33のばね荷重中心)は、3点の可動接点31a、31b、31cの内側接線で形成される三角形67の内部に位置するものである。これにより、第1実施形態の図2に示すと同様に、接圧ばね33の付勢力が3点の可動接点31a、31b、31cに確実に作用するため、3点の全ての可動接点31a、31b、31cが固定接点35、35、35のそれぞれに確実に接触することができ、可動接点31(31a、31b、31c)及び固定接点35を安定した導通状態とすることができる。
又、この実施形態では、接圧ばね33を受けるばね受け部69が設けられることにより、3点の可動接点の距離を短くすることができると共に、可動接点31(31a、31b、31c)を大きくすることができる。可動接点31(31a、31b、31c)が大きくなることにより、電気的な負荷を与えたときの接点摩耗特性が向上し寿命の向上が図れる。
(第3実施形態)
図4は本発明の第3実施形態の接点装置における可動端子28の構成を示す。
本実施形態の可動端子28においては、可動接触子29に3点の可動接点31a、31b、31cが設けられ、この3点の可動接点31a、31b、31cを結ぶ内側接線64、65、66によって三角形67が形成される。接圧ばね33は可動接触子29を押圧しており、接圧ばね33は、作用点63が、内側接線64、65、66が形成する三角形67内に位置するよう配置されている。さらに本実施形態は、接圧ばね33の作用点63(接圧ばね33のばね荷重中心)を中心とする円63Aが、上記三角形67の二辺に内接するように、可動接点31a、31b、31cおよび接圧ばね33が配置されている。図4においては、作用点63を中心とする円63Aが可動接点31a及び31bを結ぶ内側接線64と、可動接点31c及び31aを結ぶ内側接線66とに内接するように接圧ばね33を設けているが、これに限らず内側接線64、65又は内側接線65、66に内接するように設けてもよい。なお、接圧ばね33の一端側の円環(円弧)状の端部が、三角形67に内接するように構成されてもよい。
このように接圧ばね33の作用点63を中心とする円63Aが3点の可動接点31a、31b、31cの内側接線64、65、66で形成される三角形67の二辺に内接するように、接圧ばね33が設けられることにより、3点の可動接点31a、31b、31cが確実に対応する固定接点35と接触することができ、全ての可動接点31a、31b、31cが固定接点35、35、35とそれぞれ確実に接触することができる。
(第4実施形態)
図5は本発明の第4実施形態の接点装置1Aを示し、図6及び図7は、本実施形態の可動端子28の構成を示す。
この実施形態においては、可動端子28が図1の第1実施形態とは逆方向、つまり図5で上方に移動するものであり、各可動接点31に対応した固定接点35は、可動端子28の移動方向前方の上方に配置されている。
固定鉄心15と可動鉄心17との位置関係は、図1と逆であり、可動鉄心17は、駆動部ケース7の下壁7a側に配置されている。固定鉄心15は、可動鉄心17の上部に配置され、継鉄上板21に上端部が固定されている。
固定鉄心15の中心には、可動鉄心17の移動方向に向けて貫通する貫通孔15cが形成されており、可動鉄心17にねじ55によって連結されているシャフト25が、この貫通孔15cに挿入されている。貫通孔15cには、可動鉄心17を固定鉄心15から離れる方向に押し付ける復帰ばね23が収容されている。復帰ばね23の上端は、継鉄上板21の上面に固定された押さえ板49に当接している。押さえ板49のさらに上部には、ばね受け部51が配置され、このばね受け部51と可動接触子29との間に接圧ばね33が配置されている。可動接触子29、押さえ板49及びばね受け51部には、シャフト25を挿入する貫通孔29a、49a及び51aがそれぞれ形成されている。また、シャフト25の上端には、貫通孔29aよりも大きな外径を有するフランジ部25aが設けられている。
この実施形態では、第1実施形態とは逆に、可動接点31、31、31が、可動接触子29における駆動部2とは反対側の上面に、取り付けられている。また、本実施形態の接点装置1は、2つの固定端子37、37を備えている。そして、可動接点31、31、31のそれぞれに対向して、3つの固定接点35、35、35が設けられている。各固定接点35は、固定端子37、37のうちのいずれか一方に設けられている。固定端子37は、接点部ケース9の上壁9aに設けられた固定接点保持部41に取り付けられている。
可動接触子29の上面には、距離を有して(相互に離れた位置となるように)3つの可動接点31(31a)、31(31b)、31(31c)が設けられている。図6に示すように、3点の可動接点31(31a)、31(31b)、31(31c)を3つの頂点とし、この頂点を線分で接続することにより、仮想的な三角形67Aが形成される。具体的には、各可動接点31a、31b、31cの重心を3つの頂点とし、この頂点を線分で接続することにより、三角形67Aが形成される。本実施形態は、接圧ばね33の作用点63(接圧ばね33のばね荷重中心)が、この三角形67Aの重心位置と一致するよう、構成されている。重心位置は可動接点31a、31b、31cを頂点として形成された三角形67Aの重力の中心となる。このように接圧ばね33の作用点63を三角形67Aの重心位置に設けることにより、接圧ばね33の付勢力が三角形67Aの重力の中心に作用する。これにより接圧ばね33の付勢力が3点の可動接触子31a、31b、31cに確実に作用し、3点の可動接点31a、31b、31cが確実に固定接点35、35、35と接触することができる。
なお、本実施形態でも、接圧ばね33の作用点63(接圧ばね33のばね荷重中心)が可動接触子29の3点の可動接点31a、31b、31cの内側接線(図6には図示せず)で形成される三角形(図6には図示せず)の内部に位置している。
以上に加えて、この実施形態では、図7に示すように可動接触子29における接圧ばね33の作用点63に対応した部位を肉厚としている。符号71はこの肉厚部を示す。この肉厚部71は3点の可動接点31a、31b、31cを頂点とした三角形67Aの重心位置に対応しているため、接圧ばね33の付勢力を作用点63(重心位置)に集中させることができる。従って、接圧ばね33の付勢力を3点の可動接点31a、31b、31cにさらに確実に作用させることが可能となっている。
次に、接点装置1Aの動作を説明する。
まず、コイル13が通電されていない図5の状態では、復帰ばね23の弾性力が接圧ばね33の弾性力に打ち勝って、可動鉄心17が固定鉄心15から離れる方向に移動し、可動接点31a、31b、31cが固定接点35、35、35から離反した図5の状態となり、接点装置1Aがオフとなる。
このオフ状態からコイル13が通電されると、可動鉄心17が電磁力により復帰ばね23の弾性力に抗して固定鉄心15に吸引されるようにして固定鉄心15に接近移動する。これにより、フランジ部25a及び可動接触子29が上方に移動し、各可動接点31が対応する固定接点35に接触して、これら各接点相互が電気的に導通して接点装置1Aがオンとなる。
このように、本実施形態では、図5の上下方向が、可動端子28の固定端子37に対する相対移動方向となっている。
本実施形態においては、接圧ばね33の作用点63(接圧ばね33のばね荷重中心)が3点の可動接点31a、31b、31cが形成する三角形67Aの重心位置と一致するよう構成されているため、接圧ばね33の付勢力が3点の可動接点31a、31b、31cに確実に作用する。このため3点の可動接点31a、31b、31cが確実に固定接点35、35、35と接触することができる。
(第5実施形態)
図8及び図9は本発明の第5実施形態の接点装置における可動端子28および接圧ばね33、33、33の構成を示す。この可動端子28および接圧ばね33、33、33は、例えば図5に示す接点装置1Aに適用されるものである。なお、図9では、貫通孔29aの図示を省略している。
この実施形態においては、可動接触子29の3点に設けられた可動接点31a、31b、31cに対応して、接圧ばね33、33、33が3個設けられている。すなわち、可動接点31aに対応して接圧ばね33aが設けられ、可動接点31bに対応して接圧ばね33bが設けられ、可動接点31cに対応して接圧ばね33cが設けられている。これらの接圧ばね33a、33b、33cは対応した可動接点31a、31b、31cの下側に位置するように可動接触子29に設けられるものである。すなわち、接圧ばね33a、33b、33cは、可動接触子29における可動接点31a、31b、31cの裏側に、それぞれ設けられている(図8、9参照)。それぞれの接圧ばね33a、33b、33cは、可動接触子29が固定接点35方向に移動するように可動接触子29を付勢している。接圧ばね33a、33b、33cは、互いに同じ向き(図8の上向き)に可動端子28を付勢している。
3個の接圧ばね33a、33b、33cは、これらのばねを総合した総合作用点が3点の可動接点31a、31b、31cの内側接線64、65、66で形成される三角形67の内側に位置するよう構成されている。本実施形態では、総合作用点は、3つの接圧ばね33a、33b、33cにより生じるモーメントの和が0となる点として、規定される。すなわち図9に示すように、3点の可動接点31a、31b、31cに対し、これらを接続する3本の内側接線64、65、66を描くことにより、3本の内側接線64、65、66によって三角形67が形成される。本実施形態では、3個の接圧ばね33a、33b、33cの総合作用点73が、この三角形67の内部に位置するように構成されている。すなわち、総合作用点73が、3本の内側接線64、65、66によって規定される三角形67の内部に位置するように、3個の接圧ばね33a、33b、33cのばね定数および位置が設定されている。
このように3点の可動接点31a、31b、31cの内側接線64、65、66で形成される三角形67の内部に3個の接圧ばね33の総合作用点73が位置することにより、3個の接圧ばね33a、33b、33cを総合した付勢力が3点の可動接点31a、31b、31cに確実に作用する。従って、3点の全ての可動接点31a、31b、31cが固定接点35、35、35のそれぞれに確実に接触することができ、可動接点31(31a、31b、31c)及び固定接点35を安定した導通状態とすることができる。
(第6実施形態)
図10は本発明の第6実施形態の接点装置における可動端子28の構成を示す。この可動端子28は、例えば図5に示す接点装置1Aに適用されるものである。なお図10でも、貫通孔29aの図示を省略している。
本実施形態においては、可動接触子29に対し3点の可動接点31a、31b、31cが略正三角形状に配置されている。一方、接圧ばね33は可動接触子29に対し1個が配置されて可動接触子29を付勢している。接圧ばね33は、接圧ばね33の作用点63を中心とする円63Aが、3点の可動接点31a、31b、31cが形成する三角形67に内接する位置に、設けられている。すなわち、3点の可動接点31a、31b、31cを結ぶ内側接線64、65、66によって三角形67が形成され、接圧ばね33は、その作用点63(ばね荷重中心)を中心とする円63Aが、内側接線64、65、66が形成する三角形67に内接する位置に設けられるものであり、作用点63を中心とする円63Aは、それぞれの内側接線64、65、66に内接している。なお、接圧ばね33の一端側の、円環(円弧)状の端部が、三角形67の三辺に内接するように構成されてもよい。
このように接圧ばね33の作用点63を中心とする円63Aが、3点の可動接点31a、31b、31cが形成する三角形67に内接する位置に設けられることにより、接圧ばね33の付勢力が3点の可動接触子31a、31b、31cに確実に作用するため、3点の可動接点31a、31b、31cが確実に固定接点35、35、35と接触することができる。
(第7実施形態)
図11は本発明の第7実施形態の接点装置1Bを示す。図12〜18は、本実施形態の可動端子28を示す。本実施形態の接点装置1Bは、図5に示す接点装置1Aとほぼ同様の構成であり、可動端子28の構成などが相違する。
本実施形態にかかる接点装置1Bは、電磁継電器に適用されるものである。接点装置1Bは図11中で下部に位置する駆動部2と、上部に位置する接点部3とを備えており、これら駆動部2および接点部3がケース5内に収容されている。
ケース5は、接点部3側が開口する駆動部収納ケース部7と、この駆動部収納ケース部7の開口側を閉塞する接点部収納ケース部9と、を有している。このケース5は、図11の上下方向から見た平面視で円形であってもよく、四角あるいは多角形状であってもよい。
駆動部収納ケース部7は、下壁7aと、下壁7aの周縁から接点部3側に向けて立ち上がる側壁7bと、を備えており、接点部3側が開口するカップ状を呈している。また、接点部収納ケース部9は、上壁9aと、上壁9aの周縁から駆動部2側に向けて延びる側壁9bと、を備えており、駆動部2側が開口するカップ状を呈している。
駆動部2は、コイルボビン11に巻かれたコイル13を備えており、コイルボビン11の中心に形成された貫通孔11a内には、固定部材である固定鉄心15が、駆動部ケース7の開口側に配置され、可動部材である可動鉄心17が、開口と反対の下壁7a側に配置されている。
また、コイル13と駆動部収納ケース部7との間には継鉄19が配置されている。継鉄19は、下壁7aに対向する底壁19aと、底壁19aの周縁から立ち上がりコイル13の周囲を囲むようにして形成されて側壁7bに対向する筒部19bと、を備えている。
そして、継鉄19の接点部3側の開口のコイル13に対応する部位を覆うようにして継鉄上板21が配置されている。
固定鉄心15は、継鉄上板21の貫通孔21aおよびコイルボビン11の貫通孔11aに突起部15aを嵌合させ、継鉄上板21の上部に形成された座面21bにフランジ部15bを載置することで、継鉄上板21およびコイルボビン11に固定されている。一方、固定鉄心15の下壁7a側に位置する可動鉄心17は、コイルボビン11の貫通孔11a内にて固定鉄心15に対して接近離反移動可能となっている。
固定鉄心15および可動鉄心17には、貫通孔15cおよび貫通孔17aがそれぞれ形成されており、固定鉄心15と可動鉄心17との間には、復帰ばね23が配置されている。この復帰ばね23は、ばね受け部52を介して、可動鉄心17を固定鉄心15から離反する方向(図11の下方)に押し付けている。
そして、復帰ばね23の上端は、継鉄上板21の上面に固定してある押さえ板49に当接している。押さえ板49のさらに上部には、ばね受け部51が配置されており、このばね受け部51と後述する可動接触子29との間に接圧ばね33が配置されている。
また、可動鉄心17には、シャフト25が可動鉄心17の移動方向に沿って延びるように設けられており、シャフト25の上端側には可動端子28が配置される。可動端子28には貫通孔29aが形成されており、シャフト25が貫通孔29aに挿通されている。可動端子28は、平板状の可動接触子29と、可動接触子29の上面に突出するように設けた3つの可動接点31(31a)、31(31b)、31(31c)(図12参照)と、によって形成されている。3つの可動接点31a、31b、31cは、可動接触子29の上面に互いに距離を有して形成されている。
また、本実施形態では、シャフト25の一端(下端)には、ねじ55が形成されており、他端(上端)には、フランジ部25aが形成されている。そして、押さえ板49、ばね受け部51、52および可動接触子29には、シャフト25が挿入される貫通孔49a、貫通孔51a、52aおよび貫通孔29aがそれぞれ形成されている。
そして、以下のようにして、シャフト25の上端側に、可動端子28が配置されるようにしている。
まず、図11に示すように、下から可動鉄心17、ばね受け部52、復帰ばね23、押さえ板49、ばね受け部51、接圧ばね33、可動端子28の順に配置する。このとき、復帰ばね23は、継鉄上板21の貫通孔21aおよびコイルボビン11の貫通孔11aに突起部15aを嵌合させた固定鉄心15の貫通孔15c内に、挿通されている。
そして、シャフト25のねじ55側を、可動端子28の上方からそれぞれの貫通孔29a、51a、49aおよび接圧ばね33、復帰ばね23に挿通させ、可動鉄心17にねじ55によって連結する。
こうして、シャフト25の上端側に可動端子28が配置されている。なお、本実施形態では、可動接触子29の下面側に、円環状の溝部29bが形成されており、この溝部29b内に接圧ばね33の一端が収容されるようになっている。可動端子28は、接圧ばね33によって上方に付勢されている。
本実施形態では、3つの可動接点31a、31b、31cと対向する位置に、2つの固定接点35、35が下側に突出するように配置されている。また本実施形態の接点装置1Bは、2つの固定端子37、37を備えている。
各固定接点35は、2つの固定端子37、37のうちのいずれか一方上に固定されている。固定端子37、37は、絶縁性樹脂からなる固定接点保持部41、41にそれぞれ取り付けられている。なお、固定端子37の端部は、ケース5の外部に引き出して外部負荷や外部電源などに接続する外部接続端子となっている。
本実施形態では、固定端子37、37に合わせて2つ(複数)の固定接点35、35が設けられている。言い換えれば、一方の固定端子37に一つの(第1の)固定接点35が設けられ、他方の固定端子37に一つの(第2の)固定接点35が設けられている。そして、一方の固定接点35(図11の左側の固定接点35:第1の固定接点35)が、可動接点31aに接触(当接)し、他方の固定接点35(図11の右側の固定接点35:第2の固定接点35)が、可動接点31bおよび可動接点31cに接触(当接)する。この接触によって固定接点35と対応する可動接点31a、31b、31cとが導通することとなる。
このとき、接圧ばね33が可動接触子29を押圧することにより、それぞれの可動接点31a、31b、31cが対応する固定接点35に所定の接圧力で接触する。この接圧ばね33は、上述した復帰ばね23よりもばね荷重が低くなるように設定されている。このため、コイル13が通電されずに可動鉄心17に駆動力が付与されていない状態では、復帰ばね23の弾性力が接圧ばね33の弾性力に打ち勝って、可動鉄心17は可動接触子29とともに固定鉄心15から離れる方向(図11の下方)に移動して図11の状態となる。
次に、接点装置1Bの動作を説明する。
まず、コイル13が通電されていない図11の状態では、復帰ばね23の弾性力が接圧ばね33の弾性力に打ち勝って、可動鉄心17が固定鉄心15から離れる方向に移動し、可動接点31a、31b、31cが固定接点35、35から離反した図11の状態となり、接点装置1Bがオフとなる。
このオフ状態からコイル13が通電されると、可動鉄心17が電磁力により復帰ばね23の弾性力に抗して固定鉄心15に吸引されるようにして固定鉄心15に接近移動する。これにより各可動接点31が対応する固定接点35に接触してこれら各接点相互が電気的に導通して接点装置1Bがオンとなる。
このように、本実施形態では、図11の上下方向が、可動端子28の固定端子37に対する相対移動方向となっている。
ここで、本実施形態では、接圧ばね33のばね荷重中心x(接圧ばね33の作用点)が、3つの可動接点31a、31b、31cを結んで形成される仮想的な三角形T1内に位置するように、接圧ばね33による可動端子28の押圧部位を設定している。
具体的には、可動端子28の可動接触子29は、図12に示すように、略台形状の平板となるように形成されており、3つの可動接点31a、31b、31cが、可動接触子29上で相互に離れた3点位置となるように設けられている。本実施形態では、可動接触子29の長手方向一端側(図12の左側:可動接触子29の短辺側)における幅方向(図12の上下方向)中央部を、略台形状に上方へ突出させることで、略台形状の可動接点31aが設けられている。そして、可動接触子29の長手方向他端側(図12の右側:可動接触子29の長辺側)における幅方向両端部を、略五角形状に上方へ突出させることで、略五角形状の可動接点31b、31cが設けられている。図14は、可動端子28を図12の右側から視た側面図である。
また、可動接触子29の長手方向中央部、すなわち、一方側の可動接点31aと他方側の可動接点31b、31cとの間には、上述したシャフト25が挿入される貫通孔29aが形成されている。そして、可動接触子29の下面には、貫通孔29aとほぼ同心状となるように、円環状の溝部29bが形成されている。
そして、円環状の溝部29bにおける可動接触子29の長手方向両端には、下方に向けて凸となる突起部(当接部)29c、29cが設けられており(図12、13参照)、溝部29bに収容された接圧ばね33の一端は、この突起部(当接部)29c、29cのみに当接するようにしている。すなわち、溝部29bの内面のうち突起部(当接部)29c、29cが形成された部位以外に、接圧ばね33が当接しないようにしている。
したがって、接圧ばね33のばね荷重中心xは、2つの突起部(当接部)29c、29cの中間部、すなわち、溝部29bのほぼ中心に位置することになる。
また、固定接点35は、略円柱状となるように設けられており、可動接触子29の長手方向一端側の固定接点35(図11の左側の固定接点35)が、可動接点31aに当接し、可動接触子29の長手方向他端側の固定接点35(図11の右側の固定接点35)が、可動接点31b、31cにそれぞれ当接するようになっている。
このとき、上下方向(可動端子28の固定端子37に対する相対移動方向)から視た状態で、可動端子28には、可動接点31a、31b、31cと固定接点35、35との当接領域R1、R2、R3が3つ形成されることとなる。なお、当接領域R1、R2、R3は、可動端子28が通常の状態において、上下方向から視た際に、可動接点31a、31b、31cと固定接点35、35とがオーバーラップする領域(図17の斜線部分)である。図17に示すように、当接領域R1、R2、R3のそれぞれの重心G1、G2、G3を結ぶことで三角形T1が形成される。
そして本実施形態では、図17に示すように、接圧ばね33のばね荷重中心x(接圧ばね33の作用点)が、3つの可動接点31a、31b、31cを結んで形成される三角形T1内に位置するように設定している。
すなわち、本実施形態では、接圧ばね33のばね荷重中心x(接圧ばね33の作用点)が、図17における線分L2上に位置するようにしている。
この線分L2は、以下のようにして作図される線分である。
まず、3つの当接領域R1、R2、R3のうちいずれか2つ(本実施形態では、1つの固定接点35に当接する当接領域R2、R3)の当接領域R2、R3間の距離が最短となるように結んだ線分を線分L1とする。そして、線分L1の中点を中点M1とする。そして、他の1つの当接領域R1における中点M1からの距離が最短となる点を点P1とする。そして、中点M1と点P1とを結ぶことで線分L2が作図される。
こうして作図される線分L2上に、接圧ばね33のばね荷重中心xが位置するようにしている。
なお、本実施形態では、可動端子28は、線分L2に対して線対称となるように形成されているため、三角形T1は二等辺三角形となり、線分L2は、三角形T1の重心を通ることとなる。
ここで、接圧ばね33のばね荷重中心xの位置の設定は、下記のようにして行われる。
まず、可動端子28の固定端子37に対する相対移動方向から視た状態で、線分L2を含む直線の少なくとも一部が含まれるように溝部29bを形成する。本実施形態では、線分L2を含む直線が中心を通るように円環状の溝部29bを形成している。このとき、線分L2によって溝部29bが2分割されるようにしている。
そして、可動端子28の固定端子37に対する相対移動方向から視た状態で、線分L2を含む領域、かつ、溝部29b内に、接圧ばね33の一端が当接する突起部(当接部)29c、29cを形成する。
そして、突起部(当接部)29cの接圧ばね33の一端が当接する当接面29dの形状を、線分L2方向から視た状態における横断面形状が線分L2を含む直線を中心とする円弧状となるようにする。
本実施形態では、線分L2を軸とする円柱の一部が突起部(当接部)29cとなるようにしている(図15、16参照:図15は、図12のB−B断面図である)。
こうすれば、突起部(当接部)29cの当接面29dに接圧ばね33の一端が当接した際に、2つの接圧ばね33のばね荷重の押圧方向がともに線分L2を通るようになり(図16参照)、接圧ばね33のばね荷重中心xが線分L2上に位置するようになる。
以上説明したように、本実施形態では、3つの当接領域R1、R2、R3のうちいずれか2つの当接領域R2、R3間の距離が最短となるように結んだ線分L1の中点M1と、他の1つの当接領域R1における中点M1からの距離が最短となる点P1と、を結ぶ線分L2上に、接圧ばね33のばね荷重中心xが位置するようにしている。
このように、接圧ばね33のばね荷重中心xの位置を線分L2上に設定すれば、接圧ばね33のばね荷重中心xが、3つの可動接点31a、31b、31cを結ぶことで形成される三角形T1内に位置することになる。
ところで、接圧ばね33のばね荷重中心x(接圧ばね33の作用点)が三角形T1外に位置していると、可動接点31a、31b、31cを固定接点35、35に接触させた際に、接圧ばね33による可動端子28の押圧で、いずれかの可動接点が固定接点35から離れる方向に可動端子28が回動してしまう。そのため、3点の可動接点31a、31b、31cの全てが固定接点35と接触することが難しくなり、安定した導通ができないという問題があった。また、可動端子28の回動により、接点装置1Bをオンにした際における、可動端子28の振動が大きくなってしまい、騒音が大きくなってしまうという問題もあった。
しかしながら、本実施形態では、接圧ばね33のばね荷重中心xを三角形T1内に位置させている。そのため、3点の全ての可動接点31a、31b、31cを接圧ばね33によって固定接点35側に押圧させることができるようになり、3点の全ての可動接点31a、31b、31cを対応する固定接点35により確実に接触させることができるようになる。すなわち、可動接点31a、31b、31cと固定接点35、35とを、3つの当接領域R1、R2、R3でより確実に接触させることができるようになる。さらに、可動端子28の回動が抑制されるため、接点装置1Bの騒音を抑制することができるようになる。
さらに、本実施形態では、接圧ばね33のばね荷重中心xの位置を線分L2上に設定している。そのため、図18に示すように、可動端子28が位置ずれ(回動)した状態で、固定接点35、35に接触(当接)した場合であっても、接圧ばね33のばね荷重中心xを三角形T1内に位置させることができる。
すなわち、本実施形態によれば、可動端子28の位置ずれ許容範囲を広くすることができる。具体的には、3点の全ての可動接点31a、31b、31cが固定接点35、35に接触している状態であれば、接圧ばね33のばね荷重中心xが三角形T1内に位置させることができる。したがって、より一層確実に、3点の全ての可動接点31a、31b、31cを固定接点35、35に接触させることができるようになる。
また、本実施形態では、可動端子28には、接圧ばね33の一端が収容される溝部29bが形成されている。
そして、可動端子28の固定端子35に対する相対移動方向から視た状態で、線分L2の少なくとも一部が溝部29bに含まれるようにしている。
そして、溝部29b内に、接圧ばね33が当接する当接面29dを有する突起部(当接部)29c、29cを形成している。
そして、突起部(当接部)29cの当接面29dを、線分L2方向から視た状態における横断面形状が線分L2を中心とする円弧状となるように形成している。
このように、突起部(当接部)29cを形成することで、当接面29dのいずれの部位に接圧ばね33が当接したとしても、接圧ばね33のばね荷重の押圧方向が線分L2を通るようになる。したがって、接圧ばね33が位置ずれした状態で当接面29dに当接することによる接圧ばね33のばね荷重中心xの位置ずれを極力抑制することができ、より一層確実に、3点の全ての可動接点31a、31b、31cを固定接点35、35に接触させることができるようになる。
(第8実施形態)
本実施形態にかかる接点装置1Cは、第1実施形態とほぼ同様の構成をしており、電磁継電器に適用されるものである。
すなわち、本実施形態の接点装置1Cは、図19中で下部に位置する駆動部2と、上部に位置する接点部3とを備えており、これら駆動部2および接点部3がケース5内に収容されている。
なお、本実施形態のケース5、および駆動部2の構成は、上記第1実施形態と同様なので、詳細な説明は省略する。
本実施形態の可動端子28は、上記第7実施形態の可動端子28とほぼ同様の構成となっている。本実施形態の可動端子28は、シャフト25の先端に、ボス部27を介して取り付けられている。
可動端子28は、ボス部27に取り付けられた平板状の可動接触子29と、可動接触子29の駆動部2側の下面に突出するように設けた3つの可動接点31(31a)、31(31b)、31(31c)(図12参照)とによって形成されている。すなわち、本実施形態では、貫通孔29aが設けられていない可動端子28を上記第7実施形態とは逆に、溝部29bが形成される側が上面となるように配置した状態で、ボス部27に取り付けている。
また、本実施形態では、3つの可動接点31a、31b、31cの駆動部2側と対向する位置に、2つの固定接点35、35が上面に突出するように配置されている。また本実施形態の接点装置1Cは、2つの固定端子37、37を備えている。各固定接点35は、2つの固定端子37、37のうちのいずれか一方上に固定されている。固定端子37、37は、絶縁性樹脂からなる固定接点保持部41、41にそれぞれ取り付けられている。この固定端子37の端部は、ケース5の外部に引き出して外部負荷や外部電源などに接続する外部接続端子となっている。
本実施形態では、第7実施形態と同様に、固定端子37、37に合わせて2つ(複数)の固定接点35、35が設けられている。言い換えれば、一方の固定端子37に一つの(第1の)固定接点35が設けられ、他方の固定端子37に一つの(第2の)固定接点35が設けられている。そして、一方の固定接点35(図19の左側の固定接点35:第1の固定接点35)が、可動接点31aに接触(当接)し、他方の固定接点35(図19の右側の固定接点35:第2の固定接点35)が、可動接点31bおよび可動接点31cに接触(当接)する。この接触によって固定接点35と対応する可動接点31a、31b、31cとが導通することとなる。
このとき、接圧ばね33が可動接触子29を押圧することにより、それぞれの可動接点31a、31b、31cが対応する固定接点35に所定の接圧力で接触する。この接圧ばね33は、上述した復帰ばね23よりもばね荷重が低くなるように設定されている。このため、コイル13が通電されずに可動鉄心17に駆動力が付与されていない状態では、復帰ばね23の弾性力が接圧ばね33の弾性力に打ち勝って、可動鉄心17は可動接触子29とともに固定鉄心15から離れる方向(図19の上方)に移動して図19の状態となる。
次に、接点装置1Cの動作を説明する。
まず、コイル13が通電されていない図19の状態では、復帰ばね23の弾性力が接圧ばね33の弾性力に打ち勝って、可動鉄心17が固定鉄心15から離れる方向に移動し、可動接点31a、31b、31cが固定接点35、35から離反した図19の状態となり、接点装置1Cがオフとなる。
このオフ状態からコイル13が通電されると、可動鉄心17が電磁力により復帰ばね23の弾性力に抗して固定鉄心15に吸引されるようにして固定鉄心15に接近移動する。これにより各可動接点31が対応する固定接点35に接触してこれら各接点相互が電気的に導通して接点装置1Cがオンとなる。
このように、本実施形態では、図19の上下方向が、可動端子28の固定端子37に対する相対移動方向となっている。
ここで、本実施形態では、接圧ばね33のばね荷重中心x(接圧ばね33の作用点)が、3つの可動接点31a、31b、31cを結んで形成される三角形T1内に位置するように、接圧ばね33による可動端子28の押圧部位を設定している。
具体的には、可動端子28の可動接触子29は、上記第7実施形態と同様に、略台形状の平板となるように形成されており、3つの可動接点31a、31b、31cが、可動接触子29上で相互に離れた3点位置となるように設けられている(図12参照)。
本実施形態では、可動接触子29の長手方向一端側(図12の左側:可動接触子29の短辺側)における幅方向(図12の上下方向)中央部を、略台形状に下方へ突出させることで、略台形状の可動接点31aが設けられている。そして、可動接触子29の長手方向他端側(図12の右側:可動接触子29の長辺側)における幅方向両端部を、略五角形状に下方へ突出させることで、略五角形状の可動接点31b、31cが設けられている。
また、可動接触子29の上面には、円環状の溝部29bが形成されている。なお、本実施形態では、第7実施形態とは異なり、可動接触子29に貫通孔は設けられていない。
そして、円環状の溝部29bにおける可動接触子29の長手方向両端には、上方に向けて凸となる突起部(当接部)29c、29cが設けられており、溝部29bに収容された接圧ばね33の一端は、この突起部(当接部)29c、29cのみに当接するようにしている。すなわち、溝部29bの内面のうち突起部(当接部)29c、29cが形成された部位以外に、接圧ばね33が当接しないようにしている。
したがって、接圧ばね33のばね荷重中心xは、2つの突起部(当接部)29c、29cの中間部、すなわち、溝部29bのほぼ中心に位置することになる。
また、固定接点35は、略円柱状となるように設けられている。
このとき、上下方向(可動端子28の固定端子37に対する相対移動方向)から視た状態で、可動端子28には、可動接点31a、31b、31cと固定接点35、35との当接領域R1、R2、R3が3つ形成される。そして、当接領域R1、R2、R3のそれぞれの重心G1、G2、G3を結ぶことで三角形T1が形成される。
そして、本実施形態においても、第7実施形態と同様に、接圧ばね33のばね荷重中心x(接圧ばね33の作用点)が、3つの可動接点31a、31b、31cを結んで形成される三角形T1内に位置するように設定している(図17参照)。
具体的には、3つの当接領域R1、R2、R3のうちいずれか2つの当接領域R2、R3間の距離が最短となるように結んだ線分L1の中点M1と、他の1つの当接領域R1における中点M1からの距離が最短となる点P1と、を結ぶ線分L2上に、接圧ばね33のばね荷重中心xが位置するようにしている。
また、本実施形態においても、第7実施形態と同様に、突起部(当接部)29cの当接面29dを、線分L2方向から視た状態における横断面形状が線分L2を中心とする円弧状となるように形成している。
以上の本実施形態によっても、上記第7実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
(第9実施形態)
本実施形態にかかる接点装置1Dは、上記第8実施形態とほぼ同様の構成をしている。
すなわち、本実施形態の接点装置1Dも、図20中で下部に位置する駆動部2と、上部に位置する接点部3とを備えており、これら駆動部2および接点部3がケース5内に収容されている。
駆動部2は、コイルボビン11に巻かれたコイル13を備えており、コイルボビン11の中心に形成した貫通孔11a内には、固定部材である固定鉄心15が駆動部ケース7の下壁7a側に配置されており、可動部材である可動鉄心17が下壁7aと反対の開口側に配置されている。
また、本実施形態においても、図20の上下方向が、可動端子28の固定端子37に対する相対移動方向となっている。
ここで、本実施形態にかかる接点装置1Dでは、可動端子28に3つ設けられた可動接点31a、31b、31cのそれぞれに対向する位置に、3つの固定接点35、35、35が形成されている。
そして、可動端子28の固定端子37に対する相対移動方向から視た状態で、可動端子28には、可動接点31a、31b、31cと固定接点35、35、35との当接領域が3つ形成されている。本実施形態では、可動接点31a、31b、31cのそれぞれに対向する位置に、3つの固定接点35、35、35が形成されているため、可動接点31a、31b、31cがそれぞれ円形の当接領域R1、R2、R3となる。
そして、本実施形態では、当接領域R1、R2、R3の内側接線(2つの当接領域に形成される共通外接線のうち他の当接領域側に形成される接線)L3、L4、L5で形成される仮想的な三角形T2内に、接圧ばね33のばね荷重中心x(接圧ばね33の作用点)が位置するようにしている。なお本実施形態では、各可動接点31a、31b、31cが円形に形成されており、可動接点31a、31b、31cの3本の内側接線と当接領域R1、R2、R3の3本の内側接線L3、L4、L5とは、それぞれ一致する。
さらに、本実施形態では、三角形T2内の、線分L7上に接圧ばね33のばね荷重中心xが位置するようにしている。
具体的には、3つの当接領域R1、R2、R3の内側接線L3、L4、L5で形成される三角形を三角形T2とする。そして、三角形T2における2つの頂点(図21の下側の頂点)P2、P3を結ぶ線分を線分L6とする。そして、線分L6の中点M2と、三角形T2の他の1つの頂点P4とを結ぶ線分を、線分L7とし、当該線分L7上に、接圧ばね33のばね荷重中心x(接圧ばね33の作用点)が位置するようにしている。
なお、本実施形態においても、可動端子28の輪郭形状は、上記第7および第8実施形態の可動端子28の輪郭形状と同様であり、線分L7を含む直線に対して線対称となるように形成されているため、三角形T2は二等辺三角形となる。
以上説明したように、本実施形態では、3つの当接領域R1、R2、R3の内側接線L3、L4、L5で形成される三角形T2における2つの頂点P2、P3を結ぶ線分L6の中点M2と他の1つの頂点P4とを結ぶ線分L7上に、接圧ばね33のばね荷重中心xが位置するようにしている。
このように、接圧ばね33のばね荷重中心xの位置を線分L7上に設定すれば、接圧ばね33のばね荷重中心xが、3つの可動接点31a、31b、31cの中心(重心)を結ぶことで形成される三角形T1内に位置することになる。
そのため、3点の全ての可動接点31a、31b、31cを接圧ばね33によって固定接点35側に押圧させることができるようになり、3点の全ての可動接点31a、31b、31cを対応する固定接点35により確実に接触させることができるようになる。すなわち、可動接点31a、31b、31cと固定接点35、35、35とを3つの当接領域R1、R2、R3でより確実に接触させることができるようになる。さらに、可動端子28の回動が抑制されるため、接点装置1の騒音を抑制することができるようになる。
なお、本実施形態では、可動端子28に溝部を設けず、接圧ばね33の一端を可動端子28の上面に当接させたものを例示したが、上記第7および第8実施形態と同様に、溝部を設けて、溝部内に接圧ばね33の一端を収容させるようにしてもよい。このとき、溝部内に突起部(当接部)を設け、当接面が、線分L7方向から視た状態における横断面形状が線分L7を中心とする円弧状となるように形成するのが好適である。
なお、可動接触子29に、実施形態2のばね受け部69を設けてもよい。
次に、可動端子の変形例について説明する。
上記第9実施形態では、図21に示すように、3つの可動接点31a、31b、31cの中心を結ぶことで形成される三角形T1が二等辺三角形となるものを例示したが、図22に示すように、3つの可動接点31a、31b、31cの中心を結ぶことで形成される三角形T1が直角三角形となるように、3つの可動接点31a、31b、31cを配置してもよい。
この場合にあっても、3つの当接領域R1、R2、R3の内側接線L3、L4、L5で形成される三角形T2における2つの頂点P2、P3を結ぶ線分L6の中点M2と他の1つの頂点P4とを結ぶ線分L7上に、接圧ばね33のばね荷重中心xが位置するようにすれば、3つの可動接点31a、31b、31cの中心を結ぶことで形成される三角形T1内に接圧ばね33のばね荷重中心xを配置させることができる。
すなわち、3つの可動接点31a、31b、31cの配置を図22に示す配置としても、上記第9実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
なお、上記第7および第8実施形態においても、3つの可動接点31a、31b、31cの配置位置を、三角形T1が直角三角形となるように配置してもよい。
一修正実施形態の接点装置では、第1〜第9実施形態において、接圧ばね33による弾性力の作用線(接圧ばね33の作用点63を通り、接圧ばね33の伸縮方向に伸びる直線)上に、可動端子28の重心が位置している。
すなわち、第1〜6実施形態においては、例えば、接圧ばね33の作用線上に可動接触子29の重心が位置するように、接圧ばね33を配置し、可動端子28の重心が3本の内側接線64、65、66によって形成される三角形67の内部に位置するように、3点の可動接点31a、31b、31cの配置(及び固定接点35、35、35の配置)が設定される。この場合、接圧ばね33の作用点および可動端子28の重心の両方が、3点の可動接点31a、31b、31cの内側接線64、65、66で形成される三角形67内に、位置することとなる。
この構成によれば、可動端子28においては、接圧ばね33の弾性力と重力の両方が重心に作用するとみなすことができる。このため、可動端子28の回動をより抑制することができ、接点装置1の騒音を抑制することができる。
以上説明した各実施形態によれば、可動接点31a、31b、31cと固定接点35とが3つの領域で接触する接点装置において、3つの領域全てで確実に可動接点31と固定接点35とを接触させることができる。また、可動端子28の回動を抑制することができ、接点装置の騒音を抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、図2、図3、図4に示す可動端子28の構成を、図5に示す接点装置1Aに適用してもよく、図6及び図7、図8及び図9、図10に示す可動端子28の構成を、図1に示す接点装置1に適用してもよい。
また、上記実施形態7、8では、突起部29cの形状が円柱の一部となるようにしたものを例示したが、突起部29cの形状を球の一部としてもよい。
また、第7〜第9実施形態において、3つの可動接点の配置位置は、二等辺三角形や直角三角形だけでなく他の三角形が形成されるように配置することも可能である。
また、可動端子や固定端子、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
本発明を幾つかの好ましい実施形態について記述したが、この発明の本来の精神および範囲、即ち請求の範囲を逸脱することなく、当業者によって様々な修正および変形が可能である。