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JP6028948B2 - インクジェット記録方法、インクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクセット、インクジェット記録方法およびその記録物、並びにインクジェット記録装置に関し、特に、任意の色調の金属光沢を有する印刷面の形成が可能なインクセット、インクジェット記録方法およびその記録物、並びにインクジェット記録装置に関する。
従来、印刷物上に金属光沢を有する印刷面を形成するためには、真鍮、アルミニウム微粒子等から作成された金粉、銀粉を顔料に用いた印刷インキや金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写方式等が用いられている。
しかしながら、金粉、銀粉を用いた印刷インキによる印刷面は、使用される金属粉の平均粒子径が10μmから30μmと大きく、つや消し調の金属光沢は得られるが、鏡面光沢を得ることは難しいものであった。また、金属箔を使用する箔押し印刷又は熱転写では、印刷媒体に接着剤を塗布し、その上に平滑な金属箔を押し付ける、又は記録媒体と金属箔を密着させ加熱し、金属箔と記録媒体を熱融着させるといった方法をとる。そのため、比較的良好な光沢は得られるが、専用の装置が必要となること、また製造工程が多くなり製造工程中で圧力や熱が加わるため、記録媒体に関して、熱や変形に強い記録媒体などに限られるという制限があった。
近年、印刷におけるインクジェットの応用例が数多く見受けられ、その中の一つの応用例として、メタリック印刷がある。例えば、特許文献1には、プラスチックの球形粒子表面に金属皮膜を形成し、その顔料を含むインク組成物をインクジェット印刷にて印字処理するという技術が開示されている。しかしながら、高い金属光沢を得るためには、その球体を変形させ扁平にして、表面を平滑にする必要があり、この技術ではローラーによるプレス処理と加熱処理を同時に行う必要があるとされている。従って、この点で装置や製造工程が複雑になることが避けられず、また記録媒体も制限を受けてしまう。
また、特許文献2及び3には、金、銀等の貴金属コロイドを分散したインク組成物を用いる技術が開示されている。しかしながら、貴金属コロイドは分散安定性を優先して粒子径を数nm〜数十nmまで小さくすると、プラズモン吸収に由来する発色が発現し、インク組成物として金属光沢は得られない。この場合には、印刷面を乾燥した後、150℃以上の加熱処理することでコロイド粒子を融着させることにより金属光沢が得られる。また、金属光沢を優先し粒子径を大きくした場合には、分散安定性が低下し、凝集や沈降の問題が避けられなくなり、インク組成物の保存寿命が著しく低下する。また、自明のことながら、貴金属を材料とすることはインク組成物のコストを大きく押し上げるため、付加価値の高い用途にしか使用できず、コスト面で不利である。
そして従来のメタリックインク組成物は、金属顔料と色材を混合して一つのインク組成物として用いる方法が見られたが、この方法では印刷した場合に金属顔料と色材が分離する、インク組成物の保存中に金属顔料のみが沈降して凝集するといった不具合があり、色材のみが記録媒体中に吸収されて、金属顔料だけが表面に残る色抜けやムラのある不均一な画像形成といった印刷不良の原因となっていた。
特開2002−179960号公報 特開2003−292836号公報 特開2003−306625号公報
一方、金属顔料と色材を混合して使用する方法は、メタリックの発色に制限が生じてしまうという問題もあった。例えば、金属顔料に黄色の顔料を添加し、金色としたインク組成物を用いて、銀色を表現することは非常に困難である。従って、金属顔料のみのインク組成物と任意の色材を含有する有彩色インク組成物を組み合わせる手法の方が、任意のメタリック色を効率良く多くの組み合わせで表現できるので、より好ましいことになる。
そこで、本発明は、比較的安価な金属材料としてアルミニウムに着目し、高い金属鏡面光沢を有するインク組成物を含むインクセットを構成することにより、印刷物上に任意の色調を帯びた金属光沢を有する印刷面を形成することが可能なインクセットを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行ったところ、特定の金属顔料を含む油性インク組成物を用いることにより、従来は不可能であった高い鏡面光沢度を有する印刷物が得られるとの知見を得た。
加えて、色材として顔料を用いるよりも染料を用いる方が透明性の面で優れ、乱反射による拡散光の発生が抑えられるため、光透過性媒体を用いる場合にはより好ましいことを知見した。図1は、これを具体的に示す一例である。図1は、L***表色系において、イエローの色材の染料と顔料を用いて透明フィルムにベタ印字した場合で、それぞれの近似のa*値、b*値(ΔE=√(a*2−(b*2)を有し、ΔE=1.2の場合の、透過光の明度(L*値)の分布である。これは、0°方向からの入射光に対する透過光に関して、−80°〜+80°方向の5度刻みの透過光強度のプロファイルについて、XYZ表色系のY値(明度)、L***表色系のL* 値に対してグラフ化したものである。
図1に示される通り、色材が顔料の場合では、染料の場合と比較して、光の入射方向である0°以外の方向により多くの光が拡散しており、目視でも不透明性が確認され、白っぽくなっている様子が観察される。
本発明者らは上記知見に基づき、任意の色調を帯びた金属光沢を有する印刷物を得る場合には、金属光沢感を形成する前記特定の金属顔料を含む油性インク組成物と、色調を形成するインク組成物とからなるインクセットであって、前記色調を形成するインク組成物を、色材として油性染料を含む油性インク組成物または色材を含まない油性インク組成物とすることにより、顔料を含む油性インク組成物を用いた場合よりも、色材が金属光沢感を遮蔽することなく、透明性が向上した、任意の色調の金属光沢感を有する印刷物を形成できることを見出し、本発明を想到するに至った。
本発明は、下記の通りである。
(1)金属顔料を含む油性インク組成物と、
有彩色油性染料を含む有彩色インク組成物、黒色油性染料を含む黒色インク組成物、及び色材を含有しない無色透明インク組成物からなる群から選択された少なくとも1種類以上の油性インク組成物と、
を備えたインクセット。
上記発明の好ましい態様は次のとおりである。
(2) さらに、白色顔料を含む白色油性インク組成物を備えた、上記(1)記載のインクセット。
(3) 前記金属顔料が、平板状粒子であり、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たす金属顔料である、上記(1)または(2)に記載のインクセット。
(4) 前記金属顔料が、アルミニウム又はアルミニウム合金である、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のインクセット。
(5) 前記金属顔料が、金属蒸着膜を破砕して作成されたものである、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のインクセット。
(6) 前記金属顔料を含む油性インク組成物が、前記金属顔料と、有機溶剤と、樹脂と、を含有する、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のインクセット。
(7) 前記金属顔料を含む油性インク組成物の顔料の濃度が0.1〜10.0質量%である、上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のインクセット。
(8) 前記有機溶剤が、常温常圧下で液体であるアルキレングリコールエーテルを1種類以上含む、上記(6)または(7)に記載のインクセット。
(9) 前記有機溶剤が、アルキレングリコールジエーテル、アルキレングリコールモノエーテル及びラクトンの混合物である、上記(6)または(7)に記載のインクセット。
(10) 前記樹脂が、ポリビニルブチラール、セルロースアセテートブチレート、ポリアクリルポリオール、ポリウレタン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、及びそれらの樹脂エマルジョンからなる群から選択された少なくとも1種以上である、上記(6)〜(9)のいずれか1項に記載のインクセット。
(11) 前記金属顔料を含む油性インク組成物が、少なくとも1種類以上のアセチレングリコール系及び/又はシリコーン系界面活性剤を含む、上記(6)〜(10)のいずれか1項に記載のインクセット。
(12) インク組成物の液滴を吐出し、該液滴をインク受容層を有してなる記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、
上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のインクセットを用いて画像を形成する、インクジェット記録方法。
(13) 前記金属顔料を含む油性インク組成物と、
前記有彩色インク組成物、前記黒色インク組成物、及び前記無色透明インク組成物からなる群から選択された少なくとも1種類以上の油性インク組成物と、を同時に吐出して画像を形成する、上記(12)に記載のインクジェット記録方法。
(14) 前記金属顔料を含む油性インク組成物を用いて任意の画像を形成した後に、前記有彩色インク組成物、前記黒色インク組成物、及び前記無色透明インク組成物からなる群から選択された少なくとも1種類以上の油性インク組成物を用いて任意の画像を形成する、上記(12)に記載のインクジェット記録方法。
(15) 前記有彩色インク組成物、前記黒色インク組成物、及び前記無色透明インク組成物からなる群から選択された少なくとも1種類以上の油性インク組成物を用いて任意の画像を形成した後に、前記金属顔料を含む油性インク組成物を用いて任意の画像を形成する、上記(12)に記載のインクジェット記録方法。
(16) 前記記録媒体が可視光透過性記録媒体である、上記(12)〜(15)記載のインクジェット記録方法。
(17) 前記記録媒体を印刷する前及び/又は印刷と同時に及び/又は印刷した後に加熱して印刷する、上記(12)〜(15)のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(18) 前記加熱温度が30℃〜80℃である上記(17)に記載のインクジェット記録方法。
(19) 上記(12)〜(18)のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法により記録された、記録物。
(20) 上記(1)〜(11)のインクセットを備えた、インクジェット記録装置。
(21)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のインクセットを用いて画像を形成する画像記録方法であって、
インク受容層を有してなる可視光透過性記録媒体の前記インク受容層に、前記有彩色インク組成物、前記黒色インク組成物、及び前記無色透明インク組成物からなる群から選択された少なくとも1種類以上の油性インク組成物を用いて任意の画像を形成する色調画像形成工程と、
前記可視光透過性記録媒体のインク受容層を有する側とは反対面に、前記金属顔料を含む油性インク組成物を用いて任意の画像を形成する金属光沢画像形成工程と、を有する、画像記録方法。
(22)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のインクセットを用いて画像を形成する画像記録方法であって、
インク受容層を有してなる可視光透過性記録媒体の前記インク受容層に、前記有彩色インク組成物、前記黒色インク組成物、及び前記無色透明インク組成物からなる群から選択された少なくとも1種類以上の油性インク組成物を用いて任意の画像を形成する色調画像形成工程と、
可視光透過性または非可視光透過性記録媒体に、前記金属顔料を含む油性インク組成物を用いて任意の画像を形成する金属光沢画像形成工程と、
前記色調画像が形成された可視光透過性記録媒体と、前記金属光沢画像が形成された可視光透過性または非可視光透過性記録媒体とを、前記色調画像と前記金属光沢画像とが当接するように、または、前記色調画像と前記金属光沢画像が前記可視光透過性記録媒体のいずれかを介して当接するように積層させる、画像記録方法。
本発明のインクセット、インクジェット記録方法およびその記録物、ならびにインクジェット記録装置によれば、金属顔料を含むインク組成物を用いることで、記録媒体上に、高い金属光沢(いわゆるメタリック光沢)を有する画像の形成が可能となり、更に、かかる金属顔料を含むインク組成物と、有彩色油性染料を含む有彩色インク組成物、黒色油性染料を含む黒色インク組成物、および色材を含有しない無色透明インク組成物からなる群から選択された少なくとも1種類以上の油性インク組成物とを組み合わせてインクセットを構成することにより、従来のインクセットでは実現できなかった画像、即ち、色材が金属光沢感を遮蔽することなく、透明性が向上した、任意の色調の金属光沢感を有する画像を形成することができる。
顔料と染料について、0°方向からの入射光に対する透過光に関して、−80°〜+80°方向の5度刻みの透過光強度のプロファイルを、XYZ表色系のY値(明度)、L***表色系のL* 値に対してグラフ化したものである。 本発明のインクセットを用いて、インク受容層を有する可視光透過性記録媒体に画像を形成することにより得られる記録物の断面模式図である。 記録ヘッドの構成を説明する分解斜視図である。 インク導入針の構成を説明する断面図である。 本発明のインクセットを用いた画像形成方法の一例を示す断面模式図である。 本発明のインクセットを用いた画像形成方法の他の一例を示す断面模式図である。
[インクセット]
本発明のインクセットは、既述のとおり、金属顔料を含む油性インク組成物と、有彩色油性染料を含む有彩色インク組成物、黒色油性染料を含む黒色インク組成物、及び色材を含有しない無色透明インク組成物からなる群から選択された少なくとも1種以上の油性インク組成物と、を備えている。これにより、有彩色油性染料、黒色油性染料及び無色透明の色調にメタリック調の金属光沢が付加された画像を形成することが可能となる。特に、本発明のインクセットは染料系色材を使用しているため、顔料系色材と比較して色材が金属光沢感を遮蔽することなく、高い透明性の、任意の色調にメタリック調の金属光沢が付加された画像を形成することが可能となる。
前記金属顔料(以下、メタリック顔料ともいう)は、平板状粒子であり、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たす金属顔料であることが好ましい。尚、平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50は、数平均の50%平均粒子径を示す。
「平板状粒子」とは、略平坦な面(X−Y平面)を有し、かつ、厚み(Z)が略均一である粒子をいう。平板状粒子は金属蒸着膜を破砕して作成されたものであるため、略平坦な面と、略均一な厚みの金属粒子を得ることができる。従って、この平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZと定義することができる。
「円相当径」は、メタリック顔料の平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)を、当該メタリック顔料の粒子の投影面積と同じ投影面積を持つ円と想定したときの当該円の直径である。例えば、メタリック顔料の平板粒子の略平坦な面(X−Y平面)が多角形である場合、その多角形の投影面を円に変換して得られた当該円の直径を、そのメタリック顔料の平板粒子の円相当径という。
前記平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50は金属光沢、印字安定性の観点から0.5〜3μmであることがより好ましく、0.75〜2μmであることがさらに好ましい。
また、前記円相当径の50%平均粒子径R50と厚みZとの関係においては高い金属光沢を確保する観点からは、R50/Z>5であることが好ましい。
前記メタリック顔料は、コストの観点及び金属光沢を確保する観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウムに添加されうる別の金属元素または非金属元素としては、金属光沢を有するものであれば特に限定されるものではないが、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等を挙げることができ、これらの単体又はこれらの合金及びこれらの混合物の少なくとも一種が好適に用いられる。
前記メタリック顔料の製造方法は、例えば、シート状基材面に剥離用樹脂層と金属又は合金層とが順次積層された構造からなる複合化顔料原体の前記金属又は合金層と前記剥離用樹脂層の界面を境界として前記シート状基材より剥離し粉砕し微細化して平板状粒子を得る。そして、得られた平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たすものを分取する。
前記メタリック顔料(平板状粒子)の平面上の長径X、短径Y及び円相当径は、粒子像分析装置を用いて測定することができる。粒子像分析装置としては、例えば、シスメックス株式会社製のフロー式粒子像分析装置FPIA−2100、FPIA−3000、FPIA−3000Sを利用することができる。
前記金属又は合金層は、真空蒸着、イオンプレーティング又はスパッタリング法によって形成されることが好ましい。
前記金属又は合金層の厚さは、20nm以上100nm以下で形成される。これにより、平均厚みが20nm以上100nm以下の顔料が得られる。20nm以上にすることで、反射性、光輝性に優れ、メタリック顔料としての性能が高くなり、100nm以下にすることで、見かけ比重の増加を抑え、メタリック顔料の分散安定性を確保することができる。
前記複合化顔料原体における剥離用樹脂層は、前記金属又は合金層のアンダーコート層であるが、シート状基材面との剥離性を向上させるための剥離性層である。この剥離用樹脂層に用いる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、ポリビニルブチラール、アクリル酸重合体又は変性ナイロン樹脂が好ましい。
上記の一種又は二種以上の混合物の溶液を記録媒体に塗布し、乾燥等を施して層が形成される。塗布後は粘度調節剤等の添加剤を含有させることができる。
前記剥離用樹脂層の塗布は、一般的に用いられているグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート法等により形成される。塗布・乾燥後、必要であれば、カレンダー処理により、表面の平滑化を行う。
剥離用樹脂層の厚さは、特に限定されないが、0.5〜50μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。0.5μm未満では分散樹脂としての量が不足し、50μmを超えるとロール化した場合、顔料層と界面で剥離しやすいものとなってしまう。
前記シート状基材としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、66ナイロン、6ナイロン等のポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、ポリイミドフィルム等の離型性フィルムが挙げられる。好ましいシート状基材としては、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体である。
これらのシート状基材の厚さは、特に限定されないが、10〜150μmが好ましい。10μm以上であれば、工程等で取り扱い性に問題がなく、150μm以下であれば、柔軟性に富み、ロール化、剥離等に問題がない。
また、前記金属又は合金層は、特開2005−68250に例示されるように、保護層で挟まれていてもよい。該保護層としては、酸化ケイ素層、保護用樹脂層が挙げられる。
酸化ケイ素層は、酸化ケイ素を含有する層であれば特に制限されるものではないが、ゾル−ゲル法によって、テトラアルコキシシラン等のシリコンアルコキシド又はその重合体から形成されることが好ましい。
上記シリコンアルコキシド又はその重合体を溶解したアルコール溶液を塗布し、加熱焼成することにより、酸化ケイ素層の塗層を形成する。
前記保護用樹脂層としては、分散媒に溶解しない樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドまたはセルロース誘導体等が挙げられるが、ポリビニルアルコール又はセルロース誘導体から形成されることが好ましい。
上記樹脂一種または二種以上の混合物の水溶液を塗布し、乾燥等を施した層が形成される。塗布液には粘度調節剤等の添加剤を含有させることができる。
上記酸化ケイ素および樹脂の塗布は、上記剥離用樹脂層の塗布と同様の手法により行われる。
上記保護層の厚さは、特に限定されないが、50〜150nmの範囲が好ましい。50nm未満では機械的強度が不足であり、150nmを超えると強度が高くなりすぎるため粉砕・分散が困難となり、また金属又は合金層との界面で剥離してしまう場合がある。
また、前記「保護層」と「金属又は合金層」との間に色材層を有していてもよい。
色材層は、任意の着色複合顔料を得るために導入するものであり、本発明に使用するメタリック顔料の金属光沢、光輝性に加え、任意の色調、色相を付与できる色材を含有できるものであれば特に限定されるものではない。この色材層に用いる色材としては、染料、顔料のいずれでもよい。また、染料、顔料としては、公知のものを適宜使用することができる。
この場合、色材層に用いられる“顔料”は、一般的な顔料化学の分野で定義される、天然顔料、合成有機顔料、合成無機顔料等を意味し、本発明の“複合化顔料”等の、積層構造に加工されたものとは異なるものである。
この色材層の形成方法としては、特に限定されないが、コーティングにより形成することが好ましい。
また、色材層に用いられる色材が顔料の場合は、色材分散用樹脂をさらに含むことが好ましく、該色材分散用樹脂としては、顔料と色材分散用樹脂と必要に応じてその他の添加剤等を溶媒に分散又は溶解させ、溶液としてコーティングで均一な液膜を形成した後、乾燥させて樹脂薄膜として作成されることが好ましい。
なお、前記複合化顔料原体の製造において、上記の色材層と保護層の形成がともにコーティングにより行われることが、作業効率上好ましい。
前記複合化顔料原体としては、前記剥離用樹脂層と金属又は合金層との順次積層構造を複数有する層構成も可能である。その際、複数の金属又は合金層からなる積層構造の全体の厚み、即ち、シート状基材とその直上の剥離用樹脂層を除いた、金属又は合金層−剥離用樹脂層−金属又は合金層、又は剥離用樹脂層−金属又は合金層の厚みは5000nm以下であることが好ましい。5000nm以下であると、複合化顔料原体をロール状に丸めた場合でも、ひび割れ、剥離を生じ難く、保存性に優れる。また、顔料化した場合も、光輝性に優れており好ましいものである。
また、シート状基材面の両面に、剥離用樹脂層と金属又は合金層とが順次積層された構造も挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記シート状基材からの剥離処理法としては、特に限定されないが、前記複合化顔料原体を液体中に浸漬することによりなされる方法、また液体中に浸漬すると同時に超音波処理を行い、剥離処理と剥離した複合化顔料の粉砕処理を行う方法が好ましい。
上記のようにして得られる顔料は、剥離用樹脂層が保護コロイドの役割を有し、溶剤中での分散処理を行うだけで安定な分散液を得ることが可能である。また、該顔料を用いたインク組成物においては、前記剥離用樹脂層由来の樹脂は紙等の記録媒体に対する接着性を付与する機能も担う。
本発明のインクセットに用いられる油性インク組成物は、上述したメタリック顔料と、有機溶剤と、樹脂と、を含有するものである。
前記メタリック顔料のインク組成物中の濃度は、0.1〜10.0質量%であることが好ましい。
前記メタリック顔料のインク組成物中の濃度が0.1質量%以上1.5質量%未満の場合、印刷面を十分にカバーしきれないインク量を吐出することでハーフミラー様の光沢面、即ち光沢感は感じられるが、背景も透けて見えるような風合いを印刷可能となり、印刷面をカバーするに十分なインク量を吐出することで高光沢の金属光沢面を形成することができる。そのため、例えば、透明記録媒体においてハーフミラー画を形成する場合や高光沢の金属光沢面を表現する場合に適している。また、前記メタリック顔料のインク組成物中の濃度が1.5質量%以上3.0質量%以下の場合、金属顔料が印刷面にランダムに配列する為、高光沢は得られず、マット調の金属光沢面を形成することができる。そのため、例えば、透明な記録媒体において遮蔽層を形成する場合に適している。
前記有機溶剤としては、好ましくは極性有機溶媒、例えば、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、又はフッ化アルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、又はプロピオン酸エチル等)、又はエーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、又はジオキサン等)等を用いることができる。
特に、前記有機溶剤は、常温常圧下で液体であるアルキレングリコールエーテルを1種類以上含むことが好ましい。
アルキレングリコールエーテルは、メチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、ヘキシル、そして2−エチルヘキシルの脂肪族、二重結合を有するアリル並びにフェニルの各基をベースとするエチレングリコール系エーテルとプロピレングリコール系エーテルがあり、無色で臭いも少なく、分子内にエーテル基と水酸基を有しているので、アルコール類とエーテル類の両方の特性を備えた、常温で液体のものである。また、片方の水酸基だけを置換したモノエーテル型と両方の水酸基を置換したジエーテル型があり、これらを複数種組み合わせて用いることができる。
特に、前記有機溶剤は、アルキレングリコールジエーテル、アルキレングリコールモノエーテル、及びラクトンの混合物であることが好ましい。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
またラクトンとしては、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
このような好適な構成とすることにより、本発明の目的をより一層達成することができる。
前記油性インク組成物に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、繊維素系樹脂(例えば、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリビニルブチラール、ポリアクリルポリオール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。
また、非水系のエマルジョン型ポリマー微粒子(NAD=Non Aqueous Dispersion)も樹脂として用いることができる。これはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂等の微粒子が有機溶剤中に安定に分散している分散液のことである。例えば、ポリウレタン樹脂では、三洋化成工業社製の「サンプレンIB−501」、「サンプレンIB−F370」等が挙げられ、アクリルポリオール樹脂では、ハリマ化成社製の「N−2043−60MEX」等が挙げられる。
樹脂エマルジョンは、記録媒体への顔料の定着性を一層向上させるため、インク組成物中、0.1質量%以上10質量%以下添加することが好ましい。添加量が過剰であると印字安定性が得られず、過少であれば、定着性が不十分となる。
特に、前記樹脂は、ポリビニルブチラール、セルロースアセテートブチレート、ポリアクリルポリオール、ポリウレタン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、及びそれらの樹脂エマルジョンからなる群から選択された少なくとも1種以上であることが好ましい。
前記インク組成物は、少なくとも1種類以上のグリセリン、ポリアルキレングリコール、又は糖類を含むことが好ましい。これら1種類以上のグリセリン、ポリアルキレングリコール、又は糖類の合計量は、インク組成物中0.1質量%以上10質量%以下添加されることが好ましい。
このような好ましい構成とすることにより、インクの乾燥を抑え、目詰まりを防止しつつ、インクの吐出を安定化し、記録物の画像品質を良好にすることができる。
ポリアルキレングリコールとしては、主鎖中にエーテル結合の繰り返し構造を有する線状高分子化合物であり、例えば環状エーテルの開環重合等によって製造される。
ポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体およびその誘導体等が挙げられる。共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体等のいずれの共重合体も用いることができる。
ポリアルキレングリコールの好ましい具体例として、下式で表されるものが挙げられる。
HO−(Cn2nO)m−H(上記式中、nは、1〜5の整数を表し、mは、1〜100の整数を表す)
なお、上記式中、(Cn2nO)mは、整数値nの範囲内において、一の定数または二種以上の数の組み合わせであってよい。例えば、nが3の場合は(C36O)mであり、nが1と4との組み合わせの場合は(CH2O−C48O)mである。また、整数値mは、その範囲内において、一の定数または二種以上の数の組み合わせであってよい。例えば、上記の例において、mが20と40との組み合わせの場合は(CH2O)20−(C24O)40であり、mが10と30の組み合わせの場合は(CH2O)10−(C48O)30である。さらに、整数値nとmとは上記の範囲内で任意に組み合わせてもよい。
糖類としては、ペントース、ヘキトース、ヘプトース、オクトース等の単糖類、あるいは二糖類、三糖類、四糖類 といった多糖類、またはこれらの誘導体である糖アルコール、デオキシ酸といった還元誘導体、アルドン酸、ウロン酸といった酸化誘導体、グリコセエンといった脱水誘導体、アミノ酸、チオ糖等が挙げられる。多糖類とは広義の糖を指し、アルギン酸やデキストリン、セルロース等の自然界に広く存在する物質も含む。
前記油性インク組成物は、少なくとも1種類以上のアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤を含むことが好ましい。該界面活性剤は、インク組成物中の顔料の含有量に対して、0.01質量%以上10質量%以下添加されることが好ましい。
このような好適な構成とすることにより、前記油性インク組成物の記録媒体へのぬれ性が改善され、速やかな定着性を得ることがきる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、サーフィノール465(商標)、サーフィノール104(商標)(以上商品名、Air Products and Chemicals, Inc. 社製)、オルフィンSTG(商標)、オルフィンE1010(商標)(以上商品名、日信化学社製)等が好適に挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3530、BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン株式会社)が挙げられる。
前記油性インク組成物は、公知の慣用方法によって調製することができる。例えば、最初に、前述したメタリック顔料、分散剤、及び前記液媒を混合した後、ボールミル、ビーズミル、超音波、又はジェットミル等で顔料分散液を調製し、所望のインク特性を有するように調整する。続いて、バインダー樹脂、前記液媒、及びその他の添加剤(例えば、分散助剤や粘度調整剤)を撹拌下に加えて顔料インク組成物を得ることができる。
その他、複合化顔料原体を、一旦液媒中で超音波処理して複合化顔料分散液とした後、必要なインク用液媒と混合しても良く、また、複合化顔料原体を直接インク用液媒中で超音波処理してそのままインク組成物とすることもできる。
前記油性インク組成物の物性は特に限定されるものではないが、例えば、その表面張力は好ましくは20〜50mN/mである。表面張力が20mN/m未満になると、インク組成物がインクジェット記録用プリンタヘッドの表面に濡れ広がるか、又は滲み出してしまい、インク滴の吐出が困難になることがあり、表面張力が50mN/mを越えると、記録媒体の表面において濡れ広がらず、良好な印刷ができないことがある。
次に、本発明のインクセットに用いられる、有彩色インク組成物、黒色インク組成物、色材を含まない無色透明インク組成物の、各色油性インク組成物について説明する。「有彩色」とは、白から灰色を経て黒に至る系列の色(無彩色)以外のすべての色をいう。
有彩色インク組成物、黒色インク組成物は、色材として油性染料(即ち、油溶性染料)を含有する。
本発明において使用可能な油性染料とは、常温常圧の環境下で水以外の液体状化合物に対して良好に溶解し、水に実質的に不溶な染料のことをいう。油性染料は、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の重量)が1g以下であるものを用いることができる。油性染料は、該染料分子がインク組成物中に溶解し、分子単体または数分子が集合した極めて微小な会合体(直径数十nm程度)を形成することができる。
以下に有彩色油性染料の具体例を記す。
以下の具体例では、油性染料の色を青色系、赤色系、および黄色系に大別して記載する。また中間色すなわち緑色系や紫色系についても前記分類のいずれかに含めて記載する。
青色系の油性染料としては、例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料、カップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料、シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料等を挙げることができる。
青色系の油性染料の具体例としては、マクロレックスブルーRR、FR(バイエル社製)、スミプラストグリーンG(住友化学社製)、Vali Fast Blue 2606、Oil BlueBOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)、オイルバイオレット#730(オリエント化学社製)、C.I.SolventBlue−2、−11、−25、−35、−38、−43、−67、−70、−134、C.I.Solvent Green−1、−3、−7、−20、−33、C.I.Solvent Violet−2、−3、−11、−47等が挙げられる。
赤色系の油性染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、カップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料、アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、ジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
赤色系の油性染料の具体例としては、オイルレッド5303(有本化学社製)、オイルレッド5B、Oil Pink 312、Oil Scarlet 308(オリエント化学社製)、オイルレッドXO(カントー化学社製)、Neopen Mazenta SE1378(BASF社製)、オイルブラウンGR(オリエント化学社製)、C.I.Solvent Red−1、−3、−8、−18、−24、−27、−43、−49、−51、−72、−73、−109、−111、−229、−122、−132、−219、C.I.Solvent Brown−1、−12、−58、ORASET RED BG(チバ・スペシャルティケミカル社製)等が挙げられる。
黄色系の油性染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料を挙げることができる。また例えば、カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料、ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料等を挙げることができる。さらに、これ以外のイエロー染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
黄色系の油性染料の具体例としては、Oil Yellow 3G、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105(オリエント化学社製)、ファーストオレンジG、Neopen Yellow 075(BASF社製)、ORASET YELLOW 3GN(チバ・スペシャルティケミカル社製)、C.I.Solvent Yellow−1、−14、−16、−19、−25:1、−29、−30、−56、−82、−93、−162、−172、C.I.Solvent Orange−1、−2、−40:1、−99等が挙げられる。
インク組成物には、上述の染料を複数組み合わせて含有させることができる。染料を複数組み合わせた場合、無彩色となる組み合わせも生じることもある。
以下に黒色油性染料の具体例を記す。
黒色系の染料の具体例としては、スーダンブラックX60(BASF社製)、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB(オリエント化学社製)、C.I.SolventBlack−3、−7、−22:1、−27、−29、−34、−50等が挙げられる。また、有彩色系油性染料の明度を調節する等のために、有彩色インク組成物に黒色系の染料をさらに含有することができる。
前記有彩色インク組成物、黒色インク組成物に含有される染料の含有量は、好ましくは0.1質量%ないし25質量%であり、より好ましくは0.5質量%ないし15質量%である。
色材を含まない無色透明のインク組成物(クリアインク)は、上記有彩色インク組成物において、色材を含まない以外は同様の組成であり、具体的には溶剤、定着樹脂成分を含んで構成される。
無色透明のクリアインクを使用することにより、金属顔料が付着することにより形成される金属光沢面を保護する機能を付与することができる。
また、有彩色インク組成物、黒色インク組成物、クリアインクは、その他の成分として、公知公用の湿潤剤、浸透溶剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤等を添加してもよい。さらに、必要に応じて、レベリング添加剤、マット剤、記録物の物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。
有彩色インク組成物、黒色インク組成物、クリアインクは、公知の慣用方法によって調製することができる。
本発明のインクセットは、本発明の効果を阻害しない限り、白色顔料を含む白色油性インク組成物を備えていても良い。白色油性インク組成物をインクセットに含めることにより、金属光沢面に部分的にマット調の風合いを付与することができる。
白色顔料としては、二酸化チタン、二酸化ジルコニア等の第IV族元素酸化物が挙げられる。その他にも、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸バリウム、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、タルク、白土、水酸化アルミ、炭酸マグネシウム、白色中空樹脂エマルジョン等が挙げられ、好ましくはこれらからなる群から選択される1種又は2種以上の混合物である。
中空樹脂エマルジョンとは、中空ポリマー微粒子を含有する油性分散液であって、前記中空ポリマー微粒子が複数の微粒子サブ群からなり、平均粒径の大きさの点で相互に隣接する各微粒子サブ群の平均粒径の差がそれぞれ100nm未満である油性分散液をいう。
前記白色顔料の一次粒子径は、白色度の観点から、好ましくは0.02〜1μmであり、より好ましくは0.05〜0.8μmである。白色顔料粒子の平均粒子径が1μmを超えると、白色顔料粒子は沈降するなどして分散安定性を損なうことがある。一方、平均粒子径が0.02μm未満であると、白色度が不足する傾向にある。
ここで、「一次粒子径」とは、単結晶又はそれに近い結晶子が集まって形成している粒子の大きさをいう。顔料の一次粒子径の測定は、電子顕微鏡法による。これは電子顕微鏡写真から顔料粒子の大きさを計測するもので、顔料を有機溶媒に分散し、支持膜に固定して透過型電子顕微鏡写真から画像処理し計測することにより、より信頼性がある値を求めることができる。具体的には、個々の一次粒子径の短軸径と長軸径を計測し、その面積と等しい円の直径を算術的に求めそれを一次粒子径とし、一定の視野から50個以上の顔料粒子をランダムに選択して平均値を求める。他の測定法でも同等の信頼性が得られれば差し支えないが、数値に実質的な差がある場合は上記の方法で求めた値を採用する。
白色油性インク組成物の顔料の含有量は、白色度の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、20質量%以下である。
白色油性インク組成物は、着色剤として顔料を使用するとともに、該顔料を分散するための分散剤を含有するものが好ましい。分散剤は、この種の顔料インクに使用可能であるものを特に制限なく用いることができ、例えば、カチオン性分散剤、アニオン性分散剤、ノニオン性分散剤や界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性分散剤の例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
ノニオン性分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
分散剤としての界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等のノニオン性界面活性剤、が挙げられる。特に、顔料の分散安定性を高める観点から、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることが好ましい。
白色油性インク組成物は、有機溶剤、定着樹脂成分、界面活性剤等の添加剤として、上記したメタリック顔料を含む油性インク組成物と同様のものを使用することができる。
白色油性インク組成物は、更に、通常の油性インク組成物に含まれているその他の添加剤を含むことができる。こうした添加剤としては、例えば、安定剤(例えば、酸化防止剤、又は紫外線吸収剤)等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、例えば、BHA(2,3−ブチル−4−オキシアニソール)又はBHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を用いることができ、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、又はベンゾトリアゾール系化合物を用いることができる。
白色油性インク組成物は、公知の慣用方法によって調製することができる。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェットヘッドを駆動させてインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、上述のインクセットを用いて画像を形成するものである。
上述した金属顔料を含む油性インク組成物は、単独で用いた場合、角度依存性の観点から、JIS Z8741にて規定された20度、60度、85度鏡面光沢度の測定値がそれぞれ同時に200、200、100以上の数値を示す金属光沢を有する画像を適宜組み合わせることによって、マット調の画像からグロス調の画像まで、所望の金属光沢を有する画像を形成することができる。
具体的には、JIS Z8741にて規定された20度、60度、85度鏡面光沢度の測定値がそれぞれ同時に200以上400未満、200以上400未満、100以上の数値を示す画像を形成した場合、つや消し調(マット調)の金属光沢を有する画像とすることができる。
また、JIS Z8741にて規定された20度、60度、85度鏡面光沢度の測定値がそれぞれ同時に400以上600未満、400以上600未満、100以上の数値を示す画像は、形成した画像に映りこんだ物体が若干判別できるほどの、つやのある金属光沢とすることができる。
さらに、JIS Z8741にて規定された20度、60度、85度鏡面光沢度の測定値がそれぞれ同時に600以上、600以上、100以上の数値を示す金属光沢を有する画像は、鮮鋭性を有し、形成した画像に映りこんだ物体が明確に判別できるほどの光沢、いわゆる「鏡面光沢」を有する金属光沢とすることができる。
一方、20度、60度、85度鏡面光沢度の測定値がそれぞれ200、200、100以上の数値を示さない場合、そのような画像は目視観察をしたときに金属光沢は感じられず、灰色として観察される。また、20度、60度、85度鏡面光沢度の測定値のいずれかの値が上記の数値以上の数値を示さない場合も上述の各種メタリック調の画像を得ることはできない。
前記記録媒体上に吐出されるインク組成物の吐出量は、金属光沢を確保する観点、印刷プロセスの観点及びコストの観点から、0.1〜100mg/cm2であることが好ましく、1.0〜50mg/cm2であることがより好ましい。
前記記録媒体上で画像を形成する前記メタリック顔料の乾燥重量は、金属光沢、印刷プロセス、コストの観点から、0.0001〜3.0mg/cm2であることが好ましい。前記メタリック顔料の乾燥重量が低いほど、高光沢の金属光沢面を形成することができる。そのため、例えば、可視光透過性記録媒体においてハーフミラー画を形成する場合に適している。また、前記メタリック顔料の乾燥重量が高いほど、マット調の金属光沢面を形成することができる。そのため、例えば、可視光透過性記録媒体において遮蔽層を形成する場合に適している。
金属顔料を含む前記油性インク組成物と、前記有彩色インク組成物、前記黒色インク組成物、前記色材を含まない無色透明インク組成物からなる油性インク組成物(以下、「色調画像形成用油性インク組成物」ともいう)とは、同時に吐出して画像を形成することができる。これにより、有彩色油性染料、黒色油性染料及び無色透明な色調にメタリック調の金属光沢を付与することができる。
また、前記金属顔料を含む油性インク組成物と、前記色調画像形成用油性インク組成物とを別々に吐出する場合は、例えば、前記金属顔料を含む油性インク組成物を用いて金属光沢を有する画像を形成した後に、前記色調画像形成用油性インク組成物を用いて画像を形成する方法、または、前記色調画像形成用油性インク組成物を用いて画像を形成した後に、前記金属顔料を含む油性インク組成物を用いて金属光沢を有する画像を形成する方法、が可能である。
メタリック顔料は、記録媒体がインク受容層を有するか否かにかかわらず、インク受容層には浸透しにくく、記録媒体上に付着した状態となる。これに対して色調画像形成用油性インク組成物に含まれる染料は、インク受容層を有する記録媒体上に吐出された場合、そのインク受容層中に浸透しやすい。したがって、金属顔料を含む油性インク組成物を用いて金属光沢を有する画像を形成した後に、色調画像形成用油性インク組成物で画像を形成しても、前記色調画像形成用油性インク組成物の染料はインク受容層に浸透し、任意の色調の金属光沢画像を得ることが可能となる。図2は、本発明のインクセットを用いて、インク受容層を有する可視光透過性記録媒体に画像を形成することにより得られる記録物の模式断面図である。インク受容層2を有する可視光透過性記録媒体1を用いることで、金属顔料を含む前記油性インク組成物と色調画像形成用油性インク組成物とを同時に吐出する方法、前記金属顔料を含む油性インク組成物を用いて金属光沢を有する画像を形成した後に、前記色調画像形成用油性インク組成物を用いて画像を形成する方法、および、前記色調画像形成用油性インク組成物を用いて画像を形成した後に、前記金属顔料を含む油性インク組成物を用いて金属光沢を有する画像を形成する方法、のいずれにおいても、観測面を可視光透過性記録媒体1のフィルム層5側として(本画像形成方法では、印刷面とは反対側から観察が可能である)、色材である染料3が下地であるメタリック顔料の付着層4の金属光沢を遮蔽することなく、任意の色調の金属光沢画像を得ることできる。
一方、インク受容層を有さない記録媒体を用いる場合には、金属顔料を含む油性インク組成物を用いて金属光沢を有する画像を形成した後に、前記色調画像形成用油性インク組成物を用いて画像を形成する方法により、任意の色調の金属光沢画像を得ることできる。
インク組成物を吐出する方法としては、以下に説明する方法が挙げられる。
第一の方法としては、静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、またはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式である。
第二の方法としては、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式である。噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第三の方法は圧電素子(ピエゾ素子)を用いる方式であり、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式である。
第四の方式は熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式であり、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で加熱起泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式である。
以上のいずれの方式も本発明のインクジェット記録方法に使用することができるが、高速印刷対応の観点からは、インク組成物を吐出する方式が、非加熱方式であることが好ましい。即ち、上記第一の方法、第二の方法又は第三の方法を採用することが好ましい。
記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、普通紙、インクジェット専用紙(マット紙、光沢紙)、ガラス、塩ビ等のプラスチックフィルム、基材にプラスチックやインク受容層をコーティングしたフィルム、金属、プリント配線基板等の種々の可視光透過性または非可視光透過性の記録媒体を用いることができる。インク受容層としては、特に制限はなく、例えばアクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等が挙げられる。
前記記録媒体がインク受容層を有している場合は、熱ダメージを与えないという観点から、前記記録媒体を非加熱で印刷することが好ましい。
一方、前記記録媒体がインク受容層を有していない場合は、乾燥速度を高め、高光沢が得られるという観点から、前記記録媒体を加熱して印刷することが好ましい。
加熱は、記録媒体に熱源を接触させて加熱する方法、赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長を持つ電磁波)などを照射し、または熱風を吹き付けるなど記録媒体に接触させずに加熱する方法などが挙げられる。
前記加熱は、印刷する前及び/又は印刷と同時に及び/又は印刷した後に行うことが好ましい。換言すれば、前記記録媒体の加熱は、印刷の前に行っても、同時に行っても、後に行ってもよく、印刷を行っている間を通して加熱してもよい。加熱温度は記録媒体の種類によるが、30〜80℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。
[記録装置]
本発明の記録装置は、上記インクセットを備えたインクジェット記録装置である。
次に、インクジェット記録装置の記録ヘッド13の構成について説明する。ここで、図3は、キャリッジ(図示せず)に収容される記録ヘッド13の概略斜視図である。また、図4は、インクカートリッジに挿入されるインク導入針19の断面図である。
例示した記録ヘッド13は、カートリッジ基台15(以下、「基台」という)を有している。この基台15には、ヘッドケース16が取り付けられる。このヘッドケース16の先端部には流路ユニット17が取り付けられる(配設される)。この基台15は例えば合成樹脂によって成型されており、その上面には複数の区画15´(液体貯留部材装着部)が設けられている。
各区画15´には、メッシュフィルタ18を介在させてインク導入針19がそれぞれ取り付けられている。そして、これらの区画15´にはインクカートリッジ(図示せず)が装着される。即ち、インクカートリッジはこの基台15上に配置される。インクカートリッジに挿入されるインク導入針19の詳細については後述する。
上記区画15´とは反対側となる基台15の他面には、回路基板20が取り付けられる。そして、この回路基板20は、パッキンとして機能するシート部材21を介して基台15に取り付けられている。
ヘッドケース16は、基台15に固定されるものであり、圧電振動子を有する振動子ユニット22を収容するためのケーシングである。そして、ヘッドケース16の基台15の取付面とは反対側の先端面には、流路ユニット17が接着剤等により固定されている。この流路ユニット17は、弾性板23、流路形成基板24、及びノズルプレート25を順次積層し、接着剤等で固定して一体化することにより作製されている。
ここで、ノズルプレート25は例えばステンレス製の薄板から作製された板状部材であり、プリンタのドット形成密度に対応したピッチで微細なノズル開口26が列状に形成されている。また、ヘッドカバー27は、例えば金属製の薄板部材によって構成されている。
インクカートリッジに挿入されるインク導入針19は、図4に示すように、上流側の先端が円錐状に形成されると共に、内部にインク導入路41が形成された中空針であり、下半部分が上流側から下流側に向けて拡開するテーパー形状に形成されている。また、このインク導入針19の先端側には、外部空間とインク導入路41とを連通するインク導入孔42が開設されている。
このインク導入針19は、メッシュフィルタ18を介在させた状態で、例えば超音波溶着によって基台15に取り付けられる。これにより、インク導入針19のインク導入路41とヘッドケース16のインク連通路37とが連通する。
そして、インクカートリッジ(図示せず)を基台15の区画15´に装着すると、インク導入針19がインクカートリッジの針挿入口内に挿入され、インクカートリッジの内部空間とインク導入針19内のインク導入路41とがインク導入孔42を介して連通する。その後、インクカートリッジに貯留されたインクは、インク導入孔42を通じてインク導入路41内に導入され、インク連通路37を通じてノズル開口26から吐出される。
ここで、インクジェット記録装置の記録ヘッド13のノズル開口26の径をLμm、インク導入路41内に設けられたメッシュフィルタ18の開き目をWμmとした場合、該ノズル径Lμmと該メッシュフィルタの開き目WμmとがL≧5Wの関係を満たすことが好ましい。このような関係を満たすインクジェット記録装置に本発明で用いられるメタリック顔料分散液を含むインク組成物を使用する場合は、ノズル開口26におけるメタリック顔料の目詰まりを防止し、インク組成物の吐出安定性を確保する観点から、前記平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の平均粒子径をRμmとした場合、R>(L/5)の条件を満たす平板状粒子数が平板状粒子数全体の5%以下であることが好ましい。
[画像記録方法]
また、本発明では、先述のインクセットを用いて、更に別の画像形成方法によって、任意の色調を帯びたメタリック調の画像(金属光沢画像)を形成することが可能である。例えば、図5に示すように、インク受容層2を有する可視光透過性記録媒体1において、色調画像形成用油性インク組成物を用いてインク受容層2に任意の画像を形成し、前記可視光透過性記録媒体1のインク受容層2を有する側とは反対面に、金属顔料を含む油性インク組成物を用いてメタリック顔料の付着層4を形成することにより、観測面を可視光透過性記録媒体1のインク受容層2側として、色材である染料3が下地であるメタリック顔料の付着層4の金属光沢を遮蔽することなく、任意の色調の金属光沢画像を得ることが可能となる。
また、図6に示すように、色調画像形成用油性インク組成物を用いてインク受容層2に任意の画像が形成された可視光透過性記録媒体1と、金属顔料を含む油性インク組成物を用いて任意の画像が形成された透過性または非可視光透過性記録媒体6とを、前記色調画像と前記メタリック顔料の付着層4とが当接するように積層することにより(図6(A)参照)、または、前記色調画像と前記メタリック顔料の付着層4が前記可視光透過性記録媒体1、6のいずれかを介して当接するように積層することにより(図6(B)参照)、色材である染料3が下地であるメタリック顔料の付着層4の金属光沢を遮蔽することなく、任意の色調の金属光沢画像を得ることが可能となる。
[記録物]
本発明の記録物は、先述のインクセットを用いて、上記インクジェット記録方法または画像記録方法により記録が行われたものである。この記録物は、先述のインクセットを用いて上記インクジェット記録方法または画像記録方法により得られたものであるため、高い透明度の任意の色調を帯びたメタリック調の画像を有する記録物を得ることができる。
1.メタリックインク組成物
(1)メタリック顔料分散液の調製
膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35〜39%、関東化学社製)3.0質量%及びジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤社製)97質量%からなる樹脂層塗工液をバーコート法によって均一に塗布し、60℃、10分間乾燥する事で、PETフィルム上に樹脂層薄膜を形成した。
次に、真空蒸着装置(真空デバイス社製VE−1010型真空蒸着装置)を用いて、上記の樹脂層上に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成した。
次に、上記方法にて形成した積層体を、ジエチレングリコールジエチルエーテル中、VS−150超音波分散機(アズワン社製)を用いて剥離・微細化・分散処理を同時に行い、積算の超音波分散処理時間が12時間であるメタリック顔料分散液を作成した。
得られたメタリック顔料分散液を、開き目5μmのSUSメッシュフィルターにてろ過処理を行い、粗大粒子を除去した。次いで、ろ液を丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレターを用いてジエチレングリコールジエチルエーテルを留去した。これにより、メタリック顔料分散液を濃縮し、その後、そのメタリック顔料分散液の濃度調整を行い、5質量%濃度のメタリック顔料分散液を得た。
そして、粒子径・粒度分布測定装置(シスメックス社製FPIA−3000S)を用いて、各メタリック顔料の長径(X方向)−短径(Y方向)平面の円相当径の50%平均粒子径R50、平均膜厚Zを測定し、さらに、得られたR50とZの測定値に基づき、R50/Zを算出した。なお、粒度分布値(CV値)は、CV値=粒度分布の標準偏差/粒子径の平均値×100の計算式により求めた。結果を表1に示す。
Figure 0006028948
(2)メタリック顔料インク組成物の調製
上記方法にて調製したメタリック顔料分散液を用いて、表2に示す組成にてメタリック顔料インク組成物を調製した。溶媒及び添加剤を混合・溶解し、インク溶媒とした後に、メタリック顔料分散液をそのインク溶媒中へ添加して、更に常温・常圧下30分間マグネティックスターラーにて混合・撹拌して、メタリック顔料インク組成物とした。
表2中、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDE)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGMB)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDM)は日本乳化剤社製のものを用いた。また、γ−ブチロラクトンは関東化学社製のものを用いた。また、N−2043−AF−1(樹脂エマルジョン)はハリマ化成社製のものを用い、BYK−3500(界面活性剤)はビックケミー・ジャパン社製のものを用いた。なお、単位は質量%である。
Figure 0006028948
(3)光沢度の測定
インクジェットプリンタEM−930C(セイコーエプソン社製)を用いて、インク組成物をブラック列に充填し、インク受容層を有する同社製写真用紙<光沢>(型番:KA450PSK)上に常温でベタ印刷を行った。このときのインク組成物の吐出量は、1.2mg/cm2、金属顔料の乾燥重量は、12μg/cm2であった。得られた画像の光沢度は光沢度計(コニカミノルタ社製 MULTI Gloss 268)を用いて行った。結果を表3に示す。
光沢度の評価基準は下記の通りである。
(20°光沢度)
A:300以上(クリアな金属光沢)
B:200以上300未満(つや消しの金属光沢)
C:200未満(金属光沢なし)
(60°光沢度)
A:500以上(クリアな金属光沢)
B:300以上500未満(つや消しの金属光沢)
C:300未満(金属光沢なし)
(85°光沢度)
A:120以上(クリアな金属光沢)
B:100以上120未満(つや消しの金属光沢)
C:100未満(金属光沢なし)
Figure 0006028948
表3の結果から、R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たす金属顔料を用いれば、マット調の画像からグロス調の画像まで、所望の金属光沢を有する画像を形成することができることが判る。
2.インクセット
(1)メタリックインク組成物の調製
上記方法にて調製したメタリック顔料分散液4を用いて、表4に示す組成にてメタリック顔料インク組成物を調製した。溶媒及び添加剤を混合・溶解し、インク溶媒とした後に、メタリック顔料分散液をそのインク溶媒中へ添加して、更に常温・常圧下30分間マグネティックスターラーにて混合・撹拌して、メタリック顔料インク組成物(S1、S2)とした。
表4中、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDE)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDM)は日本乳化剤社製のものを用いた。また、γ−ブチロラクトンは関東化学社製のものを用いた。また、N−2043−60MEX(ポリアクリルポリオール樹脂エマルジョン)はハリマ化成社製のものを用い、BYK−3500(界面活性剤)はビックケミー・ジャパン社製のものを用い、E−1010(界面活性剤)は日信化学工業(株)のものを用いた。なお、単位は質量%である。
Figure 0006028948
(2)色調画像形成用油性インク組成物(有彩色インク組成物、黒色インク組成物、無色透明インク(クリアインク)組成物、白色インク組成物)の調製(2−1)染料インク組成物、クリアインク組成物の組成
表5に示す組成で、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラックインク組成物、及びクリアインク組成物を調製した。
表5中、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDE)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDM)は日本乳化剤社製のものを用いた。また、γ−ブチロラクトン(γ−BL)は関東化学社製のものを用いた。また、N−2043−60MEX(ポリアクリルポリオール樹脂エマルジョン)はハリマ化成社製のものを用い、BYK−UV3500(界面活性剤)はビックケミー・ジャパン社製のものを用いた。また、各種油性染料はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のものを使用した。表中、単位は質量%である。
(2−2)染料インク組成物、クリアインク組成物の調製方法
溶媒及び添加剤を混合・溶解し、インク溶媒とした後に、染料をそのインク溶媒中へ添加して、更に常温・常圧下30分間マグネティックスターラーにて混合・撹拌して、染料インク組成物を調製した。また、染料を用いない以外は同様の方法により、クリアインク組成物を調整した。
Figure 0006028948
(2−3)顔料インク組成物の組成
表6及び表7に示す組成で、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラックインク組成物及びホワイトインク組成物を調製した。尚、表6のホワイトインク組成物は、顔料成分以外は上記表5と同様の添加物を使用した。また、表7において、「分散剤」は、ポリエステル系高分子化合物であり、「N−2043−60MEX」は、前記ポリアクリルポリオール樹脂エマルジョンであり、「混合有機溶剤」は、ジエチレングリコールジエチルエーテル(70質量%)とγ−ブチロラクトン(15質量%)とテトラエチレングリコールジメチルエーテル(15質量%)との混合溶媒である。表6および表7で使用した顔料は、それぞれC.I.ピグメントイエロー213、ピグメントヴァイオレット19、ピグメントブルー15:3、ピグメントブラック7である。また、表6及び表7中の数値は質量%を意味する。
また、表7中の中空樹脂エマルジョンは、以下のように製造した。尚、以下、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
〔1〕重合体粒子1
2Lの反応容器に、スチレン80部、メタクリル酸5部、メタクリル酸メチル15部、α−メチルスチレンダイマー1部、t−ドデシルメルカプタン14部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8部、過硫酸カリウム1.0部及び水200部を入れ、窒素ガス中で攪拌し、80℃まで加温して6時間乳化重合を行った。これにより得られた重合体粒子1は、平均粒径150nm(0.15μm)であった。
〔2〕中空ポリマー微粒子エマルジョン1
前項〔1〕で得られた重合体粒子1の10部(固形分換算)とともにラウリル硫酸ナトリウム0.3部、過硫酸カリウム0.5部、及び水400部を反応容器にいれたものに、ジビニルベンゼン11.6部(純度55質量%;残余が1官能ビニルモノマーのもの)、エチルビニルベンゼン8.4部、アクリル酸5部、及びメタクリル酸メチル75部の混合物による架橋重合性モノマー組成物を添加し、30℃で1時間攪拌し、更に70℃で5時間攪拌しながら乳化重合処理を行い、水系分散液を得た。得られたものを粒度分析計(マイクロトラックUPA:日機装株式会社)で測定したところ粒径は320nmであり、別途、透過型電子顕微鏡で観察したところ中空ポリマー微粒子であった。
(2−4)顔料インク組成物の調整方法
表6に示す顔料インク組成物(W)は下記の通り調整した。
〔1〕二酸化チタン微粒子の製法
チタン含有鉱石を硫酸で溶かして硫酸チタン溶液を得た。この硫酸チタン溶液を加水分解して得た含水酸化チタンに、TiO2換算での100質量部に対してリン酸アンモニウムを0.50質量部、硫酸カリウムを0.30質量部、硫酸アルミニウムを0.30質量部添加し、含水酸化チタンを生成物温度が1020℃になるまで実験室用回転マッフル炉内で加熱した。生成した二酸化チタン微粒子を室温に冷却し、透過型電子顕微鏡写真で観測したところ、平均一次粒子径が0.13μmであるアナターゼ型であることが判った。
〔2〕二酸化チタン微粒子の分散液の調製
この表面処理された白色顔料としての二酸化チタン微粒子15質量部、分散剤としてのポリオキシアルキレン付加ポリアルキレンアミン(第一工業製薬社製、ディスコール N−518)5質量部、ジエチレングリコールジエチルエーテル80質量部を混合し、サンドミル(安川製作所製)で、ジルコニアビーズ(1.0mm径)をスラリーの1.5倍量充填し、2時間分散させた後、ビーズを取り除き、二酸化チタン微粒子の分散液を得た。
〔3〕白色インク組成物(W)の調製
この二酸化チタン微粒子の分散液を用いて表6に記載した組成となるように白色インク組成物(W)を調製した。すなわち、ジエチレングリコールジエチルエーテル、γ−ブチロラクトン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、N−2043−60MEX、界面活性剤を容器に分取し、マグネティックスターラーで30分間撹拌混合して十分に混合した後、分散液を添加してさらに1時間撹拌混合した。得られた生成物を10μmのPTFE製メンブランフィルターを用いてろ過を行い、白色インク組成物(W)とした。
表7に示す顔料インク組成物(Y1、M1、C1、B1、W1)は下記の通り調整した。
まず、配合成分の内、顔料、分散剤、及び混合有機溶剤(一部)をディゾルバーで3000rpmにて1時間撹拌した後、ジルコニアビーズ(2mm)を充填したビーズミルで予備分散した。この予備分散によって得られる顔料粒子の平均粒径は5μm以下であった。更に、ジルコニアビーズ(0.3mm)を充填したナノミルで本分散を行い、顔料分散液を得た。この本分散によって得られる顔料粒子の平均粒径は、50nm〜200nmである。
得られた顔料分散液を4000rpmで撹拌しながら、N−2043−60MEX、通常の添加剤、中空樹脂エマルジョン及び混合有機溶剤(残部)を混合し、顔料質量部が前記組成に示す質量%になるよう調整して、所望のインク組成物(Y1、M1、C1、B1、W1)を得た。
Figure 0006028948
Figure 0006028948
(3)インクセット
前記(1)で得られたメタリックインク組成物及び(2)で得られた色調形成用油性インク組成物を用い、表8に示す組み合わせでインクセットを構成した。
Figure 0006028948
(4)印刷評価試験
(4−1)印刷評価試験1
メタリックインク組成物S1(またはS2)と、上記色調形成用油性インク組成物を組み合わせてインクセットを構成し、インクジェットプリンタPM−4000PX(セイコーエプソン製)を2台用いて、1台目のインクジェットプリンタにはブラックインク組成物、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物はそれぞれ対応するカラー列に充填した。そして、2台目のインクジェットプリンタにはメタリックインク組成物S1(またはS2)はブラック列に充填した。ホワイトインク組成物はイエロー列に充填した。また、クリアインク組成物はライトシアン列に充填した。
そして、インク受容層を有する同社製写真用紙<光沢>(セイコーエプソン製、型番:KA450PSK)上に常温で、下記印刷パターンに示した通り、印刷を実施した。さらに、下記の評価基準に基づき、印刷物の官能評価を行った。結果を表8に示す。
<印刷パターン>
メタリックインク組成物を用いて印刷を実施し、乾燥処理後、有彩色インク組成物、黒色インク組成物、白色インク組成物、透明なクリアインク組成物を用いて、メタリック印刷面の上に画像印刷を行った。尚、下記の印字物の官能評価は、白色インク組成物以外の染料含有インクおよびクリアインク組成物により画像形成を行なった箇所の評価したものである。
印字物の官能評価基準
S:高メタリック光沢からマット調までの任意のメタリック調光沢が得られ、加えて透明感のある任意のメタリック色が得られた。
AAA:高メタリック光沢からマット調までの任意のメタリック調光沢が得られた。
AA:映りこんだ物体が明確に判別できるほどのメタリック調光沢が得られた。
表8に示すように、上記のインクセットを用いた上記インクジェット記録方法により、透明性が向上した、任意の色調を帯びたメタリック調の画像を有する記録物を得ることができた。即ち、顔料とは異なり、染料は透明な印刷が可能であり、濁りの無い色調の鮮やかなフルカラー印刷が得られ、黒色インクの使用によりスモーク調の風合いを印刷画像に付与できた。また、無色透明のクリアインクは金属光沢面を保護する機能を付与できた。また、必要に応じて白色インクを使用することで、金属光沢面に部分的にマット調の風合いを付与できた。
1…可視光透過性記録媒体、2…インク受容層、3…染料、4…メタリック顔料付着層、5…フィルム層、6…可視光透過性または非可視光透過性記録媒体、13…記録ヘッド,15…基台,16…ヘッドケース,17…流路ユニット,18…メッシュフィルタ,19…インク導入針,20…回路基板,21…シート部材,22…振動子ユニット,23…弾性板,24…流路形成基板,25…ノズルプレート,26…ノズル開口,27…ヘッドカバー,37…インク連通口,41…インク導入路,42…インク導入孔。

Claims (13)

  1. 金属顔料を含む第1インク組成物と、有彩色染料を含む有彩色インク組成物、黒色染料を含む黒色インク組成物から選択された少なくとも1種類の第2インク組成物と、の液滴を、それぞれ吐出して、該液滴を記録媒体に付着させ、前記染料の色調を帯びたメタリック調の画像を記録する、インクジェット記録方法であって、
    前記記録媒体は、インク受容層を有する可視光透過性記録媒体であり、
    前記第1インク組成物の液滴と前記第2インク組成物の液滴は、前記記録媒体の同一の側に付着させる、インクジェット記録方法。
  2. 前記第1インク組成物を用いて金属光沢を有する画像を形成した後に、前記第2インク組成物を用いて画像を形成することにより、前記染料の色調を帯びたメタリック調の画像を記録する、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記第2インク組成物を用いて画像を形成した後に、前記第1インク組成物を用いて金属光沢を有する画像を形成することにより、前記染料の色調を帯びたメタリック調の画像を記録する、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  4. 金属顔料を含む第1インク組成物と、有彩色染料を含む有彩色インク組成物、黒色染料を含む黒色インク組成物から選択された少なくとも1種類の第2インク組成物と、の液滴を、それぞれ吐出して、該液滴を記録媒体に付着させ、前記染料の色調を帯びたメタリック調の画像を記録する、インクジェット記録方法であって、
    前記記録媒体は、可視光透過性記録媒体であり、
    前記第1インク組成物の液滴を前記記録媒体の第1の側に付着させ、前記第2インク組成物の液滴を前記記録媒体の前記第1の側とは反対側に付着させる、インクジェット記録方法。
  5. 金属顔料を含む第1インク組成物と、有彩色染料を含む有彩色インク組成物、黒色染料を含む黒色インク組成物から選択された少なくとも1種類の第2インク組成物と、の液滴を、それぞれ吐出して、該液滴を記録媒体に付着させ、前記染料の色調を帯びたメタリック調の画像を記録する、インクジェット記録方法であって、
    前記記録媒体は、第1の記録媒体と第2の記録媒体とから構成され、
    前記第2の記録媒体は、可視光透過性記録媒体であり、
    前記第1インク組成物の液滴を前記第1の記録媒体に付着させ、前記第2インク組成物の液滴を前記第2の記録媒体に付着させ、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を積層する、インクジェット記録方法。
  6. 前記第1インク組成物の付着面と前記第2インク組成物の付着面とが当接するように、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体とを積層する、請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記第1インク組成物の付着面と前記第2インク組成物の付着面とが、前記第1の記録媒体、前記第2の記録媒体のいずれかを介して当接するように、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体とを積層する、請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記有彩色インク組成物と前記黒色インク組成物とを含む2種類の前記第2インク組成物を用いる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記1種以上の第2インク組成物の染料の含有量が、インク組成物に対し0.5質量%以上15質量%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記金属顔料が、アルミニウム又はアルミニウム合金である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記記録媒体を印刷する前及び/又は印刷と同時に及び/又は印刷した後に加熱して印刷する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記金属顔料が、平板状粒子であり、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が3μm以下であり、かつ、R50/Z>5の条件を満たす金属顔料である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法により記録を行うインクジェット記録装置。
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