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JP6099550B2 - ベーン型2段圧縮機 - Google Patents

ベーン型2段圧縮機 Download PDF

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Description

この発明は、2段圧縮を行うベーン型2段圧縮機に関する。
従来より、「略円筒状で、軸方向の両端が開口しているシリンダと、前記シリンダの両端を閉塞するシリンダヘッド及びフレームと、前記シリンダ内で回転運動する円柱形のロータ部及び前記ロータ部に回転力を伝達するシャフト部を有するロータシャフトと、前記ロータ部内に設置され、先端部が外側に円弧形状に形成される複数のベーン部を有するベーン型圧縮機において、前記複数のベーン部の前記先端部の前記円弧状の法線と、前記シリンダの内周面の法線とが常にほぼ一致する状態で圧縮動作を行うように、前記複数のベーン部が常に前記シリンダの内周面の法線方向、又は前記シリンダの内周面の法線方向に対し一定の傾きを持つように保持され、更に、前記ロータ部内で前記複数のベーン部が、前記ロータ部に対して回転可能且つ移動可能に支持されており、前記シリンダヘッド及び前記フレームの前記シリンダ側端面に、前記シリンダ内径と同心の凹部又はリング状の溝で構成された回転支持部を形成し、前記回転支持部内に、部分リング形状の端面に板状の突起又は溝を有する一対のベーンアライナ部を嵌入し、前記板状の突起又は溝を前記複数のベーン部に設けられた溝又は突起に嵌入した」ベーン型圧縮機がある(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1では、ベーン部が、シリンダの内周面の中心まわりに回転可能且つシリンダの径方向に移動可能にロータに支持されることで、ベーン部の先端部(以下、ベーン先端部という)の円弧状の法線とシリンダ内周面の法線とが常にほぼ一致するように圧縮動作を行う。これにより、ベーン先端部の摺動状態の改善を図り、ベーン先端部とシリンダ内周面とが非接触で動作可能となっている。このようにベーン先端部とシリンダ内周面とが常に非接触且つ微小な隙間で運転することで、ベーン先端部での摺動損失が発生せず、漏れ損失も小さい高効率のベーン型圧縮機が実現できる。
また、圧縮要素に2つの圧縮機構(低圧段圧縮機構及び高圧段圧縮機構)を設け、これら低圧段圧縮機構及び高圧段圧縮機構を軸方向に直列に接続して1段当たりの圧力差(吸入圧と吐出圧との圧力差)を小さくすることが可能な2段圧縮機が従来より存在する。このような2段圧縮機は、低圧段圧縮機構で圧縮された中間圧の冷媒を高圧段圧縮機構に導入するための中間連結管が密閉容器の外部を通過するように形成されている。そして、中間連結管に冷媒をインジェクションすることで吐出流量の増加を可能としており、寒冷地向けの空調機や低温機などの用途で多く用いられている。
ベーン部がロータ中心軸まわりに回転する従来のベーン型の2段圧縮機として例えば特許文献2に示されるような構成が記載されている。この構成では、ベーン型の圧縮機構が軸方向に2つ設けられ、2つの圧縮機構は中板(仕切板)によって仕切られている。
国際公開第2012/023426号(第8頁、第2図、第3図及び第16頁、第9図) 特開平4−187887号公報(第7頁、第8図、第9図)
特許文献1に記載されている構造のベーン型圧縮機についても、寒冷地向けの空調機や低温機などの用途では圧縮機構を2つ設けた2段構成が要求される。ただし、特許文献1の構造では、ベーン部の軸方向両端に設けたベーンアライナ部をフレームで支持する構造のため、特許文献2に示されるように単純に圧縮機構を2段化した場合、ベーンアライナ軸受部を軸方向に1対のフレームのそれぞれに設けるとともに、仕切板の軸方向両面のそれぞれにもベーンアライナ軸受部を設ける必要がある。つまり、各段それぞれでベーン部を支持する必要がある。そうすると、ベーンアライナ軸受部が4個必要となる上に、ベーンアライナ軸受部の軸方向の長さ分、仕切板の厚さを厚くする必要が生じ、全体的に軸方向に長い構成となる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ベーン部がシリンダ内周面の中心軸まわりに回転する構成を有しつつ、ベーンアライナ軸受部の個数を減らして、軸方向の長さを短くしたコンパクトで且つ簡易的なベーン型2段圧縮機を得ることを目的とする。
この発明に係るベーン型2段圧縮機は、軸方向に間隔を空けて配置された2つのロータ部を有するロータシャフトと、2つのロータ部のそれぞれを内部に収容し、内周面の中心がロータ中心に対して偏芯して配置された2つのシリンダと、2つのシリンダを挟むように軸方向両端に設置された2つのフレームと、2つのシリンダ間に配置されて2つのシリンダ間を仕切る中空円板状の仕切板と、2つのロータ部のそれぞれに少なくとも1枚配置され、シリンダの内部を区画して圧縮室を形成するベーン部とを備え、軸方向に2つ形成された圧縮室を接続することで2段圧縮可能としたベーン型2段圧縮機において、軸方向に2つ設けられたベーン部同士が一体で構成され、その一体に形成された一体ベーン部においてベーン部同士間を連結する部分がベーンアライナ部となっており、ベーンアライナ部が、仕切板中央に設けられた中空部の外周面で構成された、シリンダの内周面と同心のベーンアライナ軸受部に沿って回転することで、ベーン部がシリンダの内周面の中心軸まわりに回転するものである。
この発明によれば、ベーン部がシリンダの内周面の中心軸まわりに回転する構成を有しつつ、軸方向に2つ設けられたベーン部同士を一体とすることで仕切板にベーンアライナ軸受部を設けることを不要とし、その結果、軸方向の厚さの薄いコンパクトな構造が実現できる。これにより、ベーン先端摺動損失が発生せず、漏れ損失も小さい高効率でコンパクトで且つ簡易な構造のベーン型2段圧縮機を得ることができる。
この発明の実施の形態1を示す図で、ベーン型2段圧縮機200の縦断面図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、ベーン型2段圧縮機200の圧縮要素101の分解斜視図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、図3(a)は、第1のベーン7、第2のベーン8の平面図、図3(b)は第1のベーン7、第2のベーン8の正面図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、後述する図6における回転角度90°の状態における図1のI−I線に沿った断面図である。 この発明の実施の形態1によるベーン型2段圧縮機200を搭載した例えば空調機の構成を示す冷媒回路図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、ベーン型2段圧縮機200の圧縮動作を示す図1のI−I線に沿った断面図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、ベーンアライナ部7d、8dの回転動作を示す断面図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、図4における第1のベーン7のベーン部7aまわりの要部断面図である。 特許文献1に示される単段のベーン型圧縮機を単純に2段化した構造のベーン型2段圧縮機208を示す図である。 この発明の実施の形態2を示すベーン型2段圧縮機200の縦断面図である。 この発明の実施の形態2を示す図で、図11(a)は第1のベーン7、第2のベーン8の平面図、図11(b)は第1のベーン7、第2のベーン8の正面図、図11(c)は第1のベーン7、第2のベーン8の斜視図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1を示す図で、ベーン型2段圧縮機200の縦断面図である。図1において、実線で示す矢印はガス(冷媒)の流れ、破線で示す矢印は冷凍機油20の流れを示している。図2は、この発明の実施の形態1を示す図で、ベーン型2段圧縮機200の圧縮要素101の分解斜視図である。図3は、この発明の実施の形態1を示す図で、図3(a)は、第1のベーン7、第2のベーン8の平面図、図3(b)は第1のベーン7、第2のベーン8の正面図である。図4は、この発明の実施の形態1を示す図で、後述する図6における回転角度90°の状態における図1のI−I線に沿った断面図である。図1〜図4を参照しながら、ベーン型2段圧縮機200について説明する。なお、図1〜図4及び後述の図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。更に、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
ベーン型2段圧縮機200は、密閉容器103と、密閉容器103内に収納され、低圧段圧縮機構(以下、低圧段と略す)と高圧段圧縮機構(以下、高圧段と略す)とを備えた圧縮要素101と、圧縮要素101の上部に位置し圧縮要素101を駆動する電動要素102と、密閉容器103内の底部に設けられ、冷凍機油20を貯溜する油溜め104とを備えている。
圧縮要素101を駆動する電動要素102は、例えば、ブラシレスDCモータで構成される。電動要素102は、密閉容器103の内周に固定される固定子21と、固定子21の内側に配設され、永久磁石を使用する回転子22とを備える。固定子21には、密閉容器103の上面に溶接により固定されたガラス端子23から電力が供給される。密閉容器103の側面には吸入管24、低圧段で吐出されたガスを高圧段に導く中間連結管25、上面には吐出管26が取り付けられている。
図1、図2に示すように、圧縮要素101は以下に示す要素を有する。なお、この実施の形態では、ベーン枚数2枚の場合について示している。
(1)低圧段シリンダ1:低圧段シリンダ1は、全体形状が略円筒状で、軸方向の両端部が開口している。また、シリンダ内周面1bの一部に、軸方向に貫通し外側に抉られた切欠き部1cが設けられ、切欠き部1cに吸入管24と連通した吸入ポート1aが開口している。また、後述する最近接点32(図4に図示)を挟んで吸入ポート1aと反対側に位置し、最近接点32の近傍で、後述する低圧段フレーム3に面した側に吐出ポート1dが設けられている。また、低圧段シリンダ1の外周部には軸方向に貫通した油戻し穴1eが設けられている。
(2)高圧段シリンダ2:高圧段シリンダ2は、全体形状が略円筒状で、軸方向の両端部が開口している。また、シリンダ内周面2bの一部に、軸方向に貫通し外側に抉られた切欠き部2cが設けられ、切欠き部2cに中間連結管25と連通した吸入ポート2aが開口している。また、最近接点32を挟んで吸入ポート2aと反対側に位置し、最近接点32の近傍で、後述する高圧段フレーム4に面した側に吐出ポート2dが設けられている。また、高圧段シリンダ2の外周部には軸方向に貫通し、油戻し穴1eと連通した油戻し穴2eが設けられている。ここで、シリンダ内周面2bの内径は、シリンダ内周面1bの内径と同じで、シリンダ内周面2bの中心軸とシリンダ内周面1bの中心軸とは同軸である。
(3)低圧段フレーム3:低圧段フレーム3は、断面が略T字状で、低圧段シリンダ1に接する部分が略円板状であり、低圧段シリンダ1の一方の開口部を閉塞する。低圧段フレーム3の低圧段シリンダ1側端面には、外周面がシリンダ内周面1bと同心円で形成される凹部3aが形成されており、ここに後述する第1のベーン7のベーンアライナ部7d、第2のベーン8のベーンアライナ部8dが摺動自在に嵌入され、ベーンアライナ部7d、8dが凹部3aの外周面であるベーンアライナ軸受部3bで支承される。
また、低圧段フレーム3の中央部は円筒状の中空であり、ここに主軸受部3cが設けられている。また、低圧段シリンダ1に設けた吐出ポート1dと連通し、軸方向に貫通した吐出ポート3dが設けられ、吐出ポート3dの低圧段シリンダ1と反対側の面(図1では下側)には、吐出弁41及び吐出弁41の開度を規制するための吐出弁押え42が低圧段フレーム3に取り付けられている。更に、低圧段フレーム3の下側には、吐出弁41から吐出されたガスの脈動を抑えるための中間マフラー43が設けられ、中間マフラー43は中間連結管25と連通している。
(4)高圧段フレーム4:高圧段フレーム4は、断面が略T字状で、高圧段シリンダ2に接する部分が略円板状であり、高圧段シリンダ2の一方の開口部を閉塞する。高圧段フレーム4の高圧段シリンダ2側端面には、外周面がシリンダ内周面2bと同心円で形成される凹部4a(図2において符号4aは不図示)が形成されており、ここに後述する第1のベーン7のベーンアライナ部7e、第2のベーン8のベーンアライナ部8eが摺動自在に嵌入され、ベーンアライナ部7e、8eが凹部4aの外周面であるベーンアライナ軸受部4bで支承される。
また、高圧段フレーム4の中央部は円筒状の中空であり、ここに主軸受部4cが設けられている。また、高圧段シリンダ2に設けた吐出ポート2dと連通し、軸方向に貫通した吐出ポート4dが設けられ、吐出ポート4dの高圧段シリンダ2と反対側の面(図1では上側)には、吐出弁44及び吐出弁44の開度を規制するための吐出弁押え45が高圧段フレーム4に取り付けられている。
ここで、ベーンアライナ軸受部3bの中心軸の主軸受部3cの中心軸に対する方向及び距離は、ベーンアライナ軸受部4bの中心軸の主軸受部4cの中心軸に対する方向及び距離と同じである。また、ベーンアライナ軸受部4bの軸受径はベーンアライナ軸受部3bの軸受径と同じである。
(5)仕切板5:仕切板5は、低圧段シリンダ1と高圧段シリンダ2との間に固定して設けられ、低圧段と高圧段とを仕切る中空円板である。なお、図2の仕切板5は、組み立て上の観点から、特許第4897867号公報に記載されているように2分割された分割板を組み立てて構成されている。また、仕切板5の外周部には油戻し穴1e及び油戻し穴2eと連通した油戻し穴5aが設けられている。
(6)ロータシャフト6:ロータシャフト6は、軸方向に間隔を空けて配置されたロータ部6a、6bと、ロータ部6a、6bの中心に固定された回転軸部とを有している。ロータ部6aは、低圧段シリンダ1内で低圧段シリンダ1の中心軸とは偏心した中心軸上に回転運動を行う。また、ロータ部6bは、高圧段シリンダ2内で高圧段シリンダ2の中心軸(低圧段シリンダ1の中心軸と同軸) とは偏心した中心軸(ロータ部6aの中心軸と同軸)上に回転運動を行う。回転軸部は、上側の回転軸部6dと、中間に位置してロータ部6aとロータ部6bとを接続する回転軸部6c(図2において符号6cは不図示)と、下側の回転軸部6eとが一体となった構造で、回転軸部6d、6eはそれぞれ低圧段フレーム3の主軸受部3c、高圧段フレーム4の主軸受部4cで支承される。
ロータ部6aには断面が略円形で軸方向に貫通するブッシュ保持部6f、6g及びベーン逃がし部6j、6k(図2には符号6gのみが示され、他の符号6f、6j、6kは示されていないが、ロータ部6b側のブッシュ保持部6i、6h及びベーン逃がし部6n、6mと区別する関係上、符号を付すものとする。符号6f、6j、6kについては図4参照)が形成されている。また、ロータ部6bには断面が略円形で軸方向に貫通するブッシュ保持部6h、6i及びベーン逃がし部6m、6nが形成されている。
ブッシュ保持部6fとベーン逃がし部6j、ブッシュ保持部6gとベーン逃がし部6k、ブッシュ保持部6hとベーン逃がし部6m、ブッシュ保持部6iとベーン逃がし部6nとは連通している。また、ベーン逃がし部6j、6kの軸方向端部は低圧段フレーム3の凹部3aと連通している。そして、ベーン逃がし部6j、6kの軸方向端部は、回転軸部6cの外径側でロータ部6aとロータ部6bとで挟まれた中空部46にも連通している。また、ベーン逃がし部6m、6nの軸方向端部は高圧段フレーム4の凹部4a及び中空部46と連通している。また、ブッシュ保持部6fと6g、ブッシュ保持部6hと6i、ベーン逃がし部6jと6k、ベーン逃がし部6mと6nとは、回転軸部6cを挟んでほぼ対称の位置に配置されている。
また、ロータシャフト6の下端部には例えば特開2009−264175号公報に記載されているようなロータシャフト6の遠心力を利用した油ポンプ31(図1に図示)が設けられている。油ポンプ31はロータシャフト6の軸中央部に設けられ軸方向に延在する給油路6pと連通しており、給油路6pと凹部3a間には給油路6q、給油路6pと凹部4a間には給油路6r、給油路6pと中空部46間には給油路6sが設けられている。また、回転軸部6eの主軸受部4cの上方の位置に排油穴6t(図1に図示)が設けられている。
(7)第1のベーン7:第1のベーン7は、一体ベーン部7Aと、ベーンアライナ部7dと、ベーンアライナ部7eとを備えており、これらが一体に連結されている。一体ベーン部7Aは、略四角形の板状部材で構成され、シリンダ内周面1b側に位置するベーン部7aと、シリンダ内周面2b側に位置するベーン部7bと、ベーン部7aとベーン部7bとの間に位置する中間部7cとが一体となった構成を有している。一体ベーン部7Aは、ロータ部6aのブッシュ保持部6f及びベーン逃がし部6jと、ロータ部6bのブッシュ保持部6h及びベーン逃がし部6mとによって形成された、径方向に延びる空間に配置される。一体ベーン部7Aは、具体的には、径方向外側の端部(低圧段シリンダ1及び高圧段シリンダ2の内周面側の端部)が軸方向の中間部で切欠かれた形状を有し、その切欠き部7hを境としてシリンダ内周面1b側がベーン部7a、シリンダ内周面2b側がベーン部7bとなっている。そして、切欠き部7hに仕切板5が嵌め込まれている。
ベーンアライナ部7d及びベーンアライナ部7eは部分リング状に構成され、低圧段フレーム3側の軸方向端部にベーンアライナ部7dが設けられ、高圧段フレーム4側の軸方向端部に設けられた部分リング状のベーンアライナ部7eが設けられる。そして、ベーン部7aのベーン先端部7f及びベーン部7bのベーン先端部7gは、外側に円弧形状に形成され、その円弧形状の半径はシリンダ内周面1b及びシリンダ内周面2bの半径とほぼ同等の半径で構成されている。ここで、ベーン部7a、7bのベーン長さ方向(図2の左右方向)及びベーン先端部7f、7gの円弧形状の法線方向は、ベーンアライナ部7d、7eを形成する円弧形状の略中心を通るように形成されている。
(8)第2のベーン8:第2のベーン8は、一体ベーン部8Aと、ベーンアライナ部8dと、ベーンアライナ部8eとを備えており、これらが一体に連結されている。一体ベーン部8Aは、略四角形の板状部材で構成され、シリンダ内周面1b側に位置するベーン部8aと、シリンダ内周面2b側に位置するベーン部8bと、ベーン部8aとベーン部8bとの間に位置し、仕切板5に対向する中間部8cとが一体となった構成を有している。一体ベーン部8Aは、ロータ部6aのブッシュ保持部6g及びベーン逃がし部6kと、ロータ部6bのブッシュ保持部6i及びベーン逃がし部6nとによって形成された、径方向に延びる空間に配置される。一体ベーン部8Aは、具体的には、径方向外側の端部(低圧段シリンダ1及び高圧段シリンダ2の内周面側の端部)が軸方向の中間部で切欠かれた形状を有し、その切欠き部8hを境としてシリンダ内周面1b側がベーン部8a、シリンダ内周面2b側がベーン部8bとなっている。そして、切欠き部8hに仕切板5が嵌め込まれている。
ベーンアライナ部8d及びベーンアライナ部8eは部分リング状に構成され、低圧段フレーム3側の軸方向端部にベーンアライナ部8dが設けられ、高圧段フレーム4側の軸方向端部に設けられた部分リング状のベーンアライナ部8eが設けられる。そして、ベーン部8aのベーン先端部8f及びベーン部8bのベーン先端部8gは、外側に円弧形状に形成され、その円弧形状の半径はシリンダ内周面1b及びシリンダ内周面2bの半径とほぼ同等の半径で構成されている。ここで、ベーン部8a、8bのベーン長さ方向(図2の左右方向)及びベーン先端部8f、8gの円弧形状の法線方向は、ベーンアライナ部8d、8eを形成する円弧形状の略中心を通るように形成されている。
(9)ブッシュ9、10、11、12:ブッシュ9、10、11、12は、円柱を軸方向に半割した略半円柱状を有し、一対で構成される。一対のブッシュ9、11はロータシャフト6のブッシュ保持部6f、6hに回転自在に嵌入される。そして、ブッシュ9の内側に一体ベーン部7Aのベーン部7aがロータ部6aに対して回転自在且つ略長手方向に移動可能に保持され、ブッシュ11の内側に一体ベーン部7Aのベーン部7bがロータ部6bに対して回転自在且つ略長手方向に移動可能に保持される。
また、一対のブッシュ10、12はロータシャフト6のブッシュ保持部6g、6iに、回転自在に嵌入される。そして、ブッシュ10の内側に一体ベーン部8Aのベーン部8aがロータ部6aに対して回転自在且つ略長手方向に移動可能に保持され、ブッシュ12の内側に一体ベーン部8Aのベーン部8bがロータ部6bに対して回転自在且つ略長手方向に移動可能に保持される。なお、図4において、符号9a、10aはブッシュ中心で、それぞれブッシュ9、10の回転中心である。
圧縮要素101は以上のように構成されており、低圧段シリンダ1、低圧段フレーム3、ロータ部6a、ベーン部7a、8a等で低圧段が構成され、高圧段シリンダ2、高圧段フレーム4、ロータ部6b、ベーン部7b、8b等で高圧段が構成されている。
図5は、この発明の実施の形態1によるベーン型2段圧縮機200を搭載した例えば空調機の構成を示す冷媒回路図である。冷媒回路は、ベーン型2段圧縮機200、凝縮器201、第1の膨張弁202、気液分離器203、インジェクション管27、第2の膨張弁204、蒸発器205、四方弁206、流量調整弁207を備えている。インジェクション管27の一端は気液分離器203に接続され、他端はベーン型2段圧縮機200の中間連結管25に接続されている。なお、矢印は冷媒の流れを示している。
まず、冷媒回路の動作を、図5を用いて説明する。吸入管24からベーン型2段圧縮機200に吸入された低圧の冷媒は、ベーン型2段圧縮機200の低圧段で圧縮された後、中間連結管25に吐出される。中間連結管25に吐出された冷媒は、再びベーン型2段圧縮機200に戻され、高圧段で更に圧縮されて吐出管26から機外に吐出される。その後、冷媒は四方弁206を通って凝縮器201で放熱冷却された後、第1の膨張弁202で減圧され、湿りガス状態になった後、気液分離器203に導かれる。気液分離器203に導かれた冷媒は、冷媒ガスと液に分離され、冷媒ガスはインジェクション管27を通ってベーン型2段圧縮機200内の中間連結管25に導かれる。
一方、気液分離器203で分離された冷媒液は、第2の膨張弁204で更に減圧された後、蒸発器205に導かれ、ガス状態まで加熱された後、再び吸入管24に導かれる。なお、インジェクション管27の途中には流量調整弁207が取り付けられており、インジェクション量を調整できるように構成されている。
つぎに、この発明の実施の形態1によるベーン型2段圧縮機200の圧縮動作を図4にて説明する。ロータシャフト6のロータ部6aとシリンダ内周面1bとは一箇所(最近接点32)において最近接している。
ここで、ベーンアライナ軸受部3b、4bの半径をr(後述する図7参照)、シリンダ内周面1bの半径をrとしたとき、ベーンアライナ部7d、7e、8d、8eの外周側とベーン先端部7f、7g、8f、8g間の距離r(図3参照)は下記の式(1)を満たすように設定されている。
=r−r−δ ・・・ (1)
δはベーン先端部7f、7g、8f、8gとシリンダ内周面1b間の隙間であり、式(1)のようにrを設定することで、第1のベーン7、第2のベーン8はシリンダ内周面1bに接触することなく、回転することとなる。ここで、δが極力小さくなるようにrを設定し、ベーン先端部7f、7g、8f、8gからの冷媒の漏れを極力少なくしている。
以上のように、第1のベーン7及び第2のベーン8とシリンダ内周面1bとがそれぞれ狭い隙間を保つことにより、低圧段シリンダ1内には3つの空間(吸入室13、中間室14、圧縮室15)が形成される。吸入室13には、切欠き部1cを介して吸入ポート1a(吸入管24を介して冷凍サイクルの低圧側に連通する)が開口している。圧縮室15は、低圧段シリンダ1に設けた吐出ポート1dを介して低圧段フレーム3に設けた吐出ポート3dに連通しており、吐出時以外は吐出弁41で閉塞される。切欠き部1cは、図4(回転角度90°)において最近接点32の近傍から、第1のベーン7のベーン先端部7fとシリンダ内周面1bとが相対する点Aの範囲まで設けられている。
したがって、中間室14は、回転角度90°までは吸入ポート1aと連通するが、その後、吸入ポート1a、吐出ポート1dの何れとも連通しない回転角度範囲が有り、その後、吐出ポート1dと連通する。
なお、以上の動作は低圧段について示しているが、高圧段でも同様の動作である。
つづいて、この発明の実施の形態1によるベーン型2段圧縮機200の回転動作を説明する。
電動要素102の駆動部からの回転動力を受け、ロータシャフト6が回転する。ロータシャフト6の回転に伴い、ロータ部6aは低圧段シリンダ1内で回転し、ロータ部6bは高圧段シリンダ2内で回転する。また、ロータシャフト6の回転に伴い、ブッシュ保持部6f、6g、6h、6iは、ロータシャフト6を中心とした円周r(図4参照)上を移動する。そして、ブッシュ保持部6f、6h内に保持されている一対のブッシュ9、11と、その一対のブッシュ9、11の間に摺動可能に保持されている一体ベーン部7Aとが、ロータシャフト6とともに回転する。同様に、一対のブッシュ10、12と、その一対のブッシュ10、12の間に回転可能に保持されている一体ベーン部8Aとが、ロータシャフト6とともに回転する。
第1のベーン7は、回転による遠心力を受け、その遠心力によりベーンアライナ部7d、7eがベーンアライナ軸受部3b、4bにそれぞれ押付けられて摺動しながら、ベーンアライナ軸受部3b、4bの中心まわりに回転する。同様に、第2のベーン8は、回転による遠心力を受け、その遠心力によりベーンアライナ部8d、8eがベーンアライナ軸受部3b、4bにそれぞれ押付けられて摺動しながら、ベーンアライナ軸受部3b、4bの中心まわりに回転する。
ここで、ベーンアライナ軸受部3b、4bとシリンダ内周面1bとは同心であり、このため、第1のベーン7、第2のベーン8はシリンダ内周面1bの中心軸まわりに回転することになる。そうすると、第1のベーン7のベーン部7a、7b、第2のベーン8のベーン部8a、8bの径方向の延長線がシリンダ中心に向かうように、ブッシュ9、10、11、12がブッシュ保持部6f、6g、6h、6i内で、ブッシュ中心9a、10a、11a、12aまわりに回転することになる。
以上の動作において、ブッシュ9とベーン部7aの側面とは互いに摺動を行う。同様にブッシュ10とベーン部8aの側面とは互いに摺動を行う。また、ブッシュ11とベーン部7bの側面とは互いに摺動を行う。また、ブッシュ12とベーン部8bの側面とは互いに摺動を行う。そして、ロータシャフト6のブッシュ保持部6fとブッシュ9とも互いに摺動する。また、ブッシュ保持部6gとブッシュ10とも互いに摺動する。また、ブッシュ保持部6hとブッシュ11とも互いに摺動する。また、ブッシュ保持部6iとブッシュ12とも互いに摺動することになる。
図6は、この発明の実施の形態1を示す図で、ベーン型2段圧縮機200の圧縮動作を示す図1のI−I線に沿った断面図である。図6を参照しながら、吸入室13、中間室14及び圧縮室15の容積が変化する様子及びガスの吸入及び吐出の状況を説明する。
まず、ロータシャフト6の回転に伴い、吸入管24から冷媒回路の低圧のガスが吸入ポート1aに流入する。ここで、ロータシャフト6のロータ部6aとシリンダ内周面1bとが最近接している最近接点32と、第1のベーン7とシリンダ内周面1bとが相対する箇所とが一致するときを、「角度0°」と定義する。
図6では、「角度0°」、「角度45°」、「角度90°」、「角度135°」での、第1のベーン7のベーン部7a及び第2のベーン8のベーン部8aの位置と、そのときの吸入室13、中間室14及び圧縮室15の状態を示している。また、「角度0°」の図にロータシャフト6の回転方向を矢印で示している。なお、「角度180°」以降の状態を示していないのは、「角度180°」になると、「角度0°」において、ベーン部7aとベーン部8aが入れ替わった状態と同じになり、以降は「角度0°」から「角度135°」までと同じ圧縮動作を示すためである。
図6における「角度0°」では、最近接点32とベーン部8aで仕切られた右側の空間は中間室14で、切欠き部1cを介して吸入ポート1aと連通しており、ガスを吸入する。最近接点32とベーン部8aとで仕切られた左側の空間は吐出ポート1dに連通した圧縮室15となる。
図6における「角度45°」では、ベーン部7aと最近接点32で囲まれた空間は吸入室13となる。ベーン部7aとベーン部8aで囲まれた中間室14は、切欠き部1cを介して吸入ポート1aと連通しており、中間室14の容積は「角度0°」のときより大きくなるので、ガスの吸入を続ける。また、ベーン部8aと最近接点32で仕切られた空間は圧縮室15で、圧縮室15の容積は「角度0°」のときより小さくなり、冷媒は圧縮され徐々にその圧力が高くなる。
図6における「角度90°」では、ベーン部7aのベーン先端部7fがシリンダ内周面1b上の点Aと重なるので、中間室14は吸入ポート1aと連通しなくなる。これにより、中間室14でのガスの吸入は終了する。また、この状態で、中間室14の容積は略最大となる。圧縮室15の容積は「角度45°」のときより更に小さくなり、冷媒の圧力は上昇する。吸入室13の容積は「角度45°」のときより大きくなり、吸入を続ける。
図6における「角度135°」では、中間室14の容積は「角度90°」ときより小さくなり、冷媒の圧力は上昇する。また、圧縮室15の容積も「角度90°」のときより小さくなり、冷媒の圧力は上昇する。吸入室13の容積は「角度90°」のときより大きくなり、吸入を続ける。
その後、ベーン部8aが吐出ポート1dに近づくが、中間マフラー43内の圧力である中間圧力(吐出弁41を開くのに必要な圧力も含む)を圧縮室15の圧力が上回ると、吐出弁41が開く。これにより、圧縮室15の冷媒は、吐出ポート1d及び吐出ポート3dを通って、図1に示すように中間マフラー43内に吐出される。中間マフラー43内に吐出された冷媒は、中間連結管25を通って、高圧段シリンダ2の吸入ポート2aに流入する。
高圧段での圧縮動作は上記と同様で、圧縮室内の圧力が冷凍サイクルの高圧(吐出弁44を開くのに必要な圧力も含む)を上回ると、吐出弁44が開き圧縮室内の冷媒は、密閉容器103内に吐出される。密閉容器103内に吐出された冷媒は、電動要素102を通過して密閉容器103の上部に固定(溶接)された吐出管26から外部(冷凍サイクルの高圧側)に吐出される。これにより、密閉容器103内の圧力は高圧である吐出圧力となる。
図7は、この発明の実施の形態1を示す図で、ベーンアライナ部7d、8dの回転動作を示す断面図である。つぎに、図7にてベーンアライナ部7d、8dの回転動作を説明する。図7の「角度0°」の図に示す矢印は、ベーンアライナ部7d、8dの回転方向(図7では時計方向)である。但し、他の図では、ベーンアライナ部7d、8dの回転方向を示す矢印は省略している。
ロータシャフト6の回転により、ベーン部7a及びベーン部8aがシリンダ内周面1bの中心軸まわりに回転することにより、ベーンアライナ部7d、8dは、凹部3a内を、ベーンアライナ軸受部3bに支持されてシリンダ内周面1bの中心軸まわりに回転する。なお、この動作は凹部4a内をベーンアライナ軸受部4bに支持されて回転するベーンアライナ部7e、8eについても同様である。
以上の動作において、図1に示すように、ロータシャフト6の回転により、油ポンプ31により油溜め104から冷凍機油20が吸い上げられ、給油路6pに送り出される。給油路6pに送り出された冷凍機油20は、給油路6qを通って低圧段フレーム3の凹部3a、給油路6rを通って高圧段フレーム4の凹部4a、給油路6sを通って中空部46に送り出される。
凹部3a、4a及び中空部46に送り出された冷凍機油20は、ベーンアライナ軸受部3b、4bを潤滑するとともに、凹部3a、4aと連通したベーン逃がし部6j、6k、6m、6nに供給される。ここで、密閉容器103内の圧力は高圧である吐出圧力になっているため、凹部3a、4a、中空部46及びベーン逃がし部6j、6k、6m、6n内の圧力も吐出圧力となる。また、凹部3a、4aに送り出された冷凍機油20の一部は、主軸受部3c、4cに供給される。
図8は、この発明の実施の形態1を示す図で、図4における第1のベーン7のベーン部7aまわりの要部断面図である。図中、実線で示す矢印は冷凍機油20の流れを示している。
ベーン逃がし部6jの圧力は高圧である吐出圧力であり、吸入室13及び中間室14の圧力より高い。このため、冷凍機油20は、ベーン部7aの側面とブッシュ9との間の摺動部を潤滑しながら、圧力差及び遠心力によって吸入室13及び中間室14に送り出される。また、冷凍機油20は、ブッシュ9とロータシャフト6のブッシュ保持部6fとの間の摺動部を潤滑しながら、圧力差及び遠心力によって吸入室13及び中間室14に送り出される。また、中間室14に送り出された冷凍機油20の一部はベーン先端部7fとシリンダ内周面1b間の隙間をシールしながら吸入室13に流入する。
上記では、ベーン部7aで仕切られる空間が吸入室13と中間室14とである場合について示したが、回転が進んで、ベーン部7aで仕切られる空間が中間室14と圧縮室15となる場合でも同様である。なお、以上の動作はベーン部7aに対して示したが、ベーン部7b、8a、8bにおいても同様である。なお、ベーン部7b、8a、8bにおいて、仕切られる空間が中間室14と圧縮室15となる場合に、圧縮室15内の圧力がベーン逃がし部の圧力と同じ吐出圧力に達した場合でも、遠心力によって、冷凍機油20は圧縮室15に向かって送り出されることになる。
以上において、図1に示すように、主軸受部4cに供給された冷凍機油20は主軸受部4cの隙間を通って高圧段フレーム4の上方の空間に吐出された後、油戻し穴2e、5a、1eを通って油溜め104に戻される。また、主軸受部3cに供給された冷凍機油20は主軸受部3cの隙間を通って油溜め104に戻される。また、冷媒とともに高圧段フレーム4の上方の空間に吐出された油も、油戻し穴2e、5a、1eを通って油溜め104に戻される。また、油ポンプ31により給油路4pに送り出された冷凍機油20のうち、余剰な冷凍機油20はロータシャフト6の上方の排油穴6tから高圧段フレーム4の上方の空間に吐出された後、油戻し穴2e、5a、1eを通って油溜め104に戻される。
図9は、特許文献1に示される単段のベーン型圧縮機を単純に2段化した構造のベーン型2段圧縮機208を示す図である。以下にこの発明の実施の形態1の効果を図9のベーン型2段圧縮機208と比較して説明する。
まず、単純に2段化したベーン型2段圧縮機208の構造を説明する。低圧段及び高圧段のそれぞれに独立してベーンが設けられた構成となっている。すなわち、低圧段側の第1のベーン70、第2のベーン80、高段側の第1のベーン71、第2のベーン81が設けられている。
低圧段側の第1のベーン70は、第1のベーン部70aと、低圧段フレーム30側の軸方向端部に設けられた部分リング状のベーンアライナ部70dと、仕切板50側の軸方向端部に設けられた部分リング状のベーンアライナ部70eとを備えている。低圧段側の第2のベーン80も同様に、第2のベーン部80aと、低圧段フレーム3側の軸方向端部に設けられた部分リング状のベーンアライナ部80dと、仕切板50側の軸方向端部に設けられた部分リング状のベーンアライナ部80eとを備えている。
高圧段側についても同様で、第1のベーン71は、第1のベーン部71aと、高圧段フレーム40側の軸方向端部に設けられた部分リング状のベーンアライナ部71dと、仕切板50側の軸方向端部に設けられた部分リング状のベーンアライナ部71eとを備えている。また、第2のベーン81は、第2のベーン部81aと、高圧段フレーム40側の軸方向端部に設けられた部分リング状のベーンアライナ部81dと、仕切板50側の軸方向端部に設けられた部分リング状のベーンアライナ部81eとを備えている。
仕切板50は、低圧段シリンダ1000と高圧段シリンダ2000との間に固定して設けられ、低圧段と高圧段とを仕切る中空円板である。仕切板50の中央に設けられた中空部460の外周面はシリンダ内周面1000b、2000bと同心に形成されたベーンアライナ軸受部50b、50cとなっている。また、仕切板50の外周部には油戻し穴50aが設けられている。
そして、ベーンアライナ軸受部50bにて低圧段の第1のベーン70のベーンアライナ部70eと、第2のベーン80のベーンアライナ部80eとが支承される。また、ベーンアライナ軸受部50cにて高圧段の第1のベーン71のベーンアライナ部71eと、第2のベーン81のベーンアライナ部81eとが支承される。
なお、低圧段の第1のベーン70のベーンアライナ部70dと、第2のベーン80のベーンアライナ部80dとは、低圧段フレーム30に設けられたベーンアライナ軸受部30bで支承される。また、高圧段の第1のベーン71のベーンアライナ部71dと、第2のベーン81のベーンアライナ部81dとは、高圧段フレーム40に設けられたベーンアライナ軸受部40bで支承される。
ベーン型2段圧縮機208の圧縮動作については、この発明の実施の形態1によるベーン型2段圧縮機200と同様であるので、説明は省略する。
単純に2段化したベーン型2段圧縮機208は以上のように構成されているので、単純に2段化したベーン型2段圧縮機ではベーン枚数が4枚必要である。これに対し、この発明の実施の形態1によるベーン型2段圧縮機200は、いわば図9の低圧段及び高圧段の第1のベーン部70a、71a同士を一体化するとともに、低圧段及び高圧段の第2のベーン部80a、81a同士を一体化した構造であるため、ベーン枚数が2枚でよい。
また、単純に2段化したベーン型2段圧縮機208ではベーンアライナ軸受部が4箇所(30b、50b、50c、40b)必要で、そのうちの2つ(50b、50c)を仕切板50に設ける必要があることで、仕切板5の軸方向長さが長くなる。これに対し、この発明の実施の形態1によるベーン型2段圧縮機200では、ベーンアライナ軸受部が2箇所(3b、4b)でよく、仕切板5にベーンアライナ軸受部を設ける必要がない。よって、この発明の実施の形態1によるベーン型2段圧縮機200の仕切板5は、単なる仕切りであって低圧段と高圧段とを仕切ることができればよいため、軸方向長さは短くてよい。
以上のように、この発明の実施の形態1によるベーン型2段圧縮機では、単純に圧縮機構を2段化したベーン型2段圧縮機に比べて軸方向長さを短くでき、且つベーン枚数、ベーンアライナ軸受個数を低減することができる。これにより、ベーン先端摺動損失が発生せず、漏れ損失も小さい高効率のベーン型2段圧縮機を、コンパクトで簡易な構造で実現することが可能となる。
実施の形態2.
図10は、この発明の実施の形態2を示すベーン型2段圧縮機200の縦断面図である。図11は、この発明の実施の形態2を示す図で、図11(a)は第1のベーン7、第2のベーン8の平面図、図11(b)は第1のベーン7、第2のベーン8の正面図、図11(c)は第1のベーン7、第2のベーン8の斜視図である。図10及び図11にて、この発明の実施の形態2によるベーン型2段圧縮機200について、この発明の実施の形態1と異なる箇所を説明する。
(1)第1のベーン7、第2のベーン8:上記実施の形態1では、第1のベーン7においてベーン部7aとベーン部7bとの間は板状の中間部7cであったが、実施の形態2では部分リング状のベーンアライナ部7iとなっている。第2のベーン8も同様に、上記実施の形態1では板状の中間部8cであった部分が、実施の形態2では部分リング状のベーンアライナ部8iとなっている。
(2)低圧段フレーム3、高圧段フレーム4:低圧段フレーム3、高圧段フレーム4には、凹部3a、4aと、ベーンアライナ軸受部3b、4bとは設けられていない。
(3)仕切板5:仕切板5は、低圧段シリンダ1と高圧段シリンダ2との間に固定して設けられ、低圧段と高圧段とを仕切る中空円板である。仕切板5の中央に設けられた中空部46の外周面はシリンダ内周面1b、2bと同心に形成されたベーンアライナ軸受部5bとなっており、ベーンアライナ軸受部5bにて第1のベーン7、第2のベーン8のベーンアライナ部7i、8iが支承される。
(4)ロータシャフト6:給油路6pと中空部46間に給油路6sが設けられ、給油路6pと主軸受部3c間に給油路6qが設けられ、給油路6pと主軸受部4c間に給油路6rが設けられている。なお、ベーン逃がし部6j、6k、6m、6n(図2参照)と中空部46とは連通している。
実施の形態2における冷凍機油20の流れを以下に説明する。給油路6pに送り出された冷凍機油20は、給油路6sを通って中空部46に送り出され、ベーンアライナ軸受部5bを潤滑するとともに、中空部46と連通したベーン逃がし部6j、6k、6m、6n(図2参照)に供給される。また、給油路6pに送り出された冷凍機油20の一部は、給油路6q、6rを通って主軸受部3c、4cに供給される。ベーン逃がし部6j、6k、6m、6n(図2参照)及び主軸受部3c、4cに送り出された冷凍機油20の挙動は、実施の形態1と同様であり、最終的に油戻し穴2e、5a、1eを通って油溜め104に戻される。
この実施の形態2では、以上のように構成されているので、第1のベーン7、第2のベーン8を仕切板5に設けたベーンアライナ軸受部5bの1個のみで支承できる。これにより、低圧段フレーム3、高圧段フレーム4にベーンアライナ軸受が不要となり、実施の形態1に比べて、更に簡易な構成とすることができる。
以上、実施の形態1及び2においては、ベーン枚数が2枚の場合について示したが、ベーン枚数が1枚又は3枚以上の場合でも同様の構成であり、同様の効果が得られる。なお、ベーン枚数が1枚の場合は、ベーンアライナ部は部分リング形状でなく、リング形状であってもよい。
1 低圧段シリンダ、1a 吸入ポート、1b シリンダ内周面、1c 切欠き部、1d 吐出ポート、1e 油戻し穴、2 高圧段シリンダ、2a 吸入ポート、2b シリンダ内周面、2c 切欠き部、2d 吐出ポート、2e 油戻し穴、3 低圧段フレーム、3a 凹部、3b ベーンアライナ軸受部、3c 主軸受部、3d 吐出ポート、4 高圧段フレーム、4a 凹部、4b ベーンアライナ軸受部、4c 主軸受部、4d 吐出ポート、4p 給油路、5 仕切板、5a 油戻し穴、5b ベーンアライナ軸受部、6 ロータシャフト、6a ロータ部、6b ロータ部、6c 回転軸部、6d 回転軸部、6e 回転軸部、6f ブッシュ保持部、6g ブッシュ保持部、6h ブッシュ保持部、6i ブッシュ保持部、6j ベーン逃がし部、6k ベーン逃がし部、6m ベーン逃がし部、6n ベーン逃がし部、6p 給油路、6q 給油路、6r 給油路、6s 給油路、6t 排油穴、7 第1のベーン、7A 一体ベーン部、7a ベーン部、7b ベーン部、7c 中間部、7d ベーンアライナ部、7e ベーンアライナ部、7f ベーン先端部、7g ベーン先端部、7h 切欠き部、7i ベーンアライナ部、8 第2のベーン、8A 一体ベーン部、8a ベーン部、8b ベーン部、8c 中間部、8d ベーンアライナ部、8e ベーンアライナ部、8f ベーン先端部、8g ベーン先端部、8h 切欠き部、8i ベーンアライナ部、9 ブッシュ、9a ブッシュ中心、10 ブッシュ、10a ブッシュ中心、11 ブッシュ、12 ブッシュ、13 吸入室、14 中間室、15 圧縮室、20 冷凍機油、21 固定子、22 回転子、23 ガラス端子、24 吸入管、25 中間連結管、26 吐出管、27 インジェクション管、31 油ポンプ、32 最近接点、41 吐出弁、42 吐出弁押え、43 中間マフラー、44 吐出弁、45 吐出弁押え、46 中空部、101 圧縮要素、102 電動要素、103 密閉容器、104 油溜め、200 ベーン型2段圧縮機、201 凝縮器、202 第1の膨張弁、203 気液分離器、204 第2の膨張弁、205 蒸発器、206 四方弁、207 流量調整弁。

Claims (3)

  1. 軸方向に間隔を空けて配置された2つのロータ部を有するロータシャフトと、前記2つのロータ部のそれぞれを内部に収容し、内周面の中心がロータ中心に対して偏芯して配置された2つのシリンダと、前記2つのシリンダを挟むように軸方向両端に設置された2つのフレームと、前記2つのシリンダ間に配置されて前記2つのシリンダ間を仕切る中空円板状の仕切板と、前記2つのロータ部のそれぞれに少なくとも1枚配置され、前記シリンダの内部を区画して圧縮室を形成するベーン部とを備え、軸方向に2つ形成された前記圧縮室を接続することで2段圧縮可能としたベーン型2段圧縮機において、
    軸方向に2つ設けられた前記ベーン部同士が一体で構成され、その一体に形成された一体ベーン部において前記ベーン部同士の間を連結する部分がベーンアライナ部となっており、前記ベーンアライナ部が、前記仕切板の中央に設けられた中空部の外周面で構成された、前記シリンダの前記内周面と同心のベーンアライナ軸受部に沿って回転することで、前記ベーン部が前記シリンダの前記内周面の中心軸まわりに回転する
    ことを特徴とするベーン型2段圧縮機。
  2. 前記仕切板は、2分割された分割板を組み立てて構成されている
    ことを特徴とする請求項記載のベーン型2段圧縮機。
  3. 前記ベーンアライナ部は、部分リング状である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のベーン型2段圧縮機。
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