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JP6094695B2 - Led用リードフレームの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、LED(発光ダイオード)素子を載置するLED用リードフレームの製造方法に関する。
近年LED素子を基板またはリードフレームに実装した光半導体装置が、表示装置のバックライト、各種電気機器や電子機器の表示灯、車載照明、一般照明等に用いられている。このような光半導体装置は、一般に、銅基材等の放熱性リードフレーム上にLED素子を実装してボンディングした後、透光性樹脂で当該LED素子を埋設するようにして封止した構造を有する。
このような構造を有する光半導体装置として、例えば、銅配線層が形成された銅基材に銅配線層側からプレス加工を施すことで所定の凹部(リフレクタ部)を形成し、当該凹部内(素子載置部)にLED素子を実装した後にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の透光性樹脂で封止してなるものが知られている(特許文献1参照)。かかる光半導体装置は、LED素子から発せられた光を効率的に取り出すために、銅配線層上に設けられた、反射層としての役割を果たす銀めっき層を備えている。
このような構造の光半導体装置において銀は反射率に優れ反射層としての役割を担うとともに、電極を形成する材料としてもすぐれた導電性を有する。一方、銀は、イオンマイグレーションしやすい金属であり、特に直流の駆動であるLED素子を発光素子として載置する光半導体装置においては、電極の近接部で絶縁性が劣化するという問題点がある。イオンマイグレーションは、高温下で進行が促進され、また、水分子の存在で進行が促進されることが知られている。
さらに、このような光半導体装置の封止に用いられる封止剤としての透光性樹脂としては、シリコーン樹脂などが使用され、樹脂の種類により程度の差はあるもののガスバリア性が十分でないため、十分に水分子を遮断できず、LED素子の発光時の温度上昇も相まって、経時的に銀のイオンマイグレーションによる絶縁性の劣化が進行する。
さらに、経時的には反射層としての銀めっき層にまで空気中の硫化水素等の腐食性ガスが浸透するおそれがある。このような腐食性ガスが銀めっき層に接触すると、銀めっき層の変色が生じ、反射率が著しく低下してしまうという問題がある。
このような問題を解決すべく、従来、基材上の銀合金又は銀からなる層の外層に銀合金又は銀以外の金属の金属酸化物層が設けられてなる光半導体装置が提案されている(特許文献2参照)。
特許文献2に開示された光半導体装置においては、銀合金又は銀からなる層の全面を覆うようにして金属酸化物層が設けられているため、空気中の酸素や硫化水素等の腐食性ガスによる銀の変色等を抑制することができる。しかしながら、光半導体装置における反射率が金属酸化物層の反射率に依存することになる。また、金属酸化物は、銀合金又は銀よりも可視光の反射率の低い。従って、光半導体装置の製造初期における反射率、すなわち腐食性ガス等により銀合金又は銀からなる層が変色する前の初期における反射率が低下し、LED素子から発せられた光を効率的に取り出すことが困難となり、光半導体装置の輝度が低下してしまうという問題がある。
一方、製造初期における反射率を低下させないようにすべく、上記特許文献2に開示された光半導体装置において銀合金又は銀からなる層の一部を露出させるように金属酸化物層を設けることが考えられる。このような態様であれば光半導体装置の製造初期における反射率を向上させることができるものの、銀合金又は銀からなる層が一部であっても露出していると腐食性ガス等に対する耐性が低下し、露出する一部の銀合金又は銀からなる層が変色してしまうという問題がある。すなわち、製造初期における反射率の向上及び銀合金又は銀からなる層の腐食性ガス等に対する耐性の向上という要求を、いずれも満足し得るような光半導体装置は、未だ提案されていない。
また、上記光半導体装置を長期的に使用していると、熱などによりリードフレームに含まれる銅が反射層の表面に向かって移動し蓄積する、いわゆるパイルアップ現象が発生することがある。このパイルアップ現象により銅が反射層の表面に向かって移動し蓄積すると、蓄積した銅により反射層が着色する。さらに当該銅と酸素との結合により酸化銅が生成され、光半導体装置における反射率が著しく低下してしまうという問題がある。また、製造工程で銅のパイルアップ現象が生じると表面に形成された酸化銅によりワイヤーボンディングの際、接着強度が落ち、接続不良が生じやすくなるという問題がある。
このような銅のパイルアップ現象による反射率の低下を防止することを目的として、従来、基材と銀めっき層との間にニッケルめっき層等の中間めっき層が設けられてなる光半導体装置が提案されている(特許文献3参照)。しかし、ニッケルめっき層による銅の移動による反射層表面でのパイルアップ(蓄積)に対する抑制効果は十分ではなく、経時的にはニッケルめっき層を通って基材中の銅がパイルアップ(蓄積)してしまい、それにより反射率が低下してしまうという問題がある。
特開2006−245032号公報 国際公開2011/004711号 特開2011−204790号公報
上記のような現状に鑑みて、本発明は、製造初期における反射率が高く、反射層兼導電層として使用される銀のイオンマイグレーションによる絶縁性の低下を防止し、かつ腐食性ガス等に対する耐性も高く、さらには反射層の下方に銅が存在する場合に当該銅のパイルアップによる反射率の低下を効果的に抑制し得るLED素子を載置するリードフレームの製造方法を提供することを目的とする。
以上の状況を鑑み、鋭意研究開発を進め、本願発明の請求項1は、LED素子を載置するLED用リードフレームの製造において、前記リードフレームのLED素子を載置する載置面を有するリードフレームを準備し、前記リードフレームの載置面側に銀または銀合金を含む反射層として銀反射層を設け、前記銀反射層を熱処理することにより粒界を減少させ、次に、前記銀反射層の一部が露出するように、且つ、部分的に覆われた部位によって、前記銀反射層層の一部が露出するように、且つ、部分的に覆われた部位によって、前記銀反射層の表面に露出した銀の粒界部を減少させるように、保護用物質を形成することを特徴とするリードフレームの製造方法である。
ここで、前記銀反射層の表面に露出した銀の粒界部を減少させるとは、前記保護用金属が前記銀反射層の表面に露出した銀の粒界部上に存在する状態を含む概念である。前記保護用金属が前記銀反射層の表面に露出した銀の粒界部のみに存在する状態が望ましいが、前記銀反射層の表面に露出した銀の粒界部のみに存在する状態のみを示す意味で用いた用語ではない。前記保護用金属で覆われた部分の一定割合が、前記銀反射層の表面に露出した銀の粒界部である状態を示す概念として用いた用語である。
加えて、本願発明の請求項のLED用リードフレームの製造方法は、前記保護部材で部分的に覆う処理は、銀よりも標準電極電位が低く、且つ、銀よりもヤング率の低い金属よりなる保護用金属をめっき法にて形成することを特徴とするとするリードフレームの製造方法である。
本発明によれば、銀反射層の表面において、反射率が低く、銀合金又は銀の結晶欠陥、析出した不純物、拡散またはパイルアップした金属が集中している粒界部の露出部分が、保護用物質で覆われることにより減少する。従って、製造初期における反射率が高く、反射層兼導電層として使用される銀のイオンマイグレーションによる絶縁性の低下を防止し、かつ腐食性ガス等に対する耐性も高く、さらには銀反射層の下方に銅が存在する場合に当該銅のパイルアップによる反射率の低下を効果的に抑制し得るといった効果がより顕著となる。
さらに、保護用物質で部分的に覆う処理の前に、前記銀反射層を熱処理することにより、銀合金又は銀の結晶粒子が大きく成長し、銀反射層の表面に露出する粒界が減少する。
銀反射層表面において、反射率に優れ反応性の低い非粒界部(銀合金又は銀の結晶部)の面積が相対的に増加し、例えば、銀よりも標準電極電位が低く、且つ、銀よりもヤング率の低い金属よりなる保護用物質で覆う必要がある粒界部の面積が減少するため、同一の銀のイオンマイグレーションによる絶縁性の低下を防止し、かつ腐食性ガス等に対する耐性も高く、さらには反射層の下方に銅が存在する場合に当該銅のパイルアップによる反射率の低下に対す効果を維持したうえで、より反射率が高い銀反射面を形成できる。また、比較的高価な金属が多い、銀よりも標準電極電位が低く、且つ、銀よりもヤング率の低い金属の使用量を減少させることが、可能となり、コストの低減にも効果がある。
請求項に記載の構成要件を備えることにより、LED素子を載置するLED用リードフレームにおいて、前記銀反射層の一部が露出するように前記銀反射層を部分的に被覆してなる金属が、銀よりも標準電極電位が低いことにより、銀が銀イオン化する代わりに、銀よりも標準電極電位が低い金属がイオン化することにより、所謂、犠牲金属として作用し、銀がイオン化することを防ぐ。さらに、前記銀反射層の一部が露出するように前記銀反射層を部分的に被覆してなる金属が、銀よりもヤング率の低い金属を用いることにより応力緩和作用を生じ、前記銀反射層表面の微細なクラック発生を防止する。従って、前記銀反射層表面に微細なクラックが発生することにより、反射率が低下するとともに、銀の反応表面の増加することを防止する。

さらに、めっき法により反応性が高い銀反射層の表面に露出した粒界部から前記銀よりも標準電極電位が低く、且つ、銀よりもヤング率の低い金属よりなる保護用金属が析出する。従って、銀反射面に露出する銀合金又は銀の粒界部をより一層選択的に覆う事が可能となる。また、反応性が高い部位から保護用金属を形成することになるため、めっき法により保護用金属を形成した後の銀反射層は、化学的に非常に安定したものとなる。一方で、反応性が高い部位から選択的に保護用金属が形成されることから、保護用金属の形成部位は、最小限に抑えることが可能となり、反射に寄与する銀反射層の表面に露出する銀合金又は銀の結晶部の面積を大きくする事が可能となり、初期反射率の高い銀反射面を形成することができる。
本発明の一実施形態に係るLED用リードフレームを示す図2のC−C断面の部分断面図である。本図面において保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。 本発明の一実施形態に係るLED用リードフレームの表面(LED素子載置面)側を示す部分平面図である。本図面において保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。 本発明おける保護用金属で部分的に覆う前の銀反射層の部分拡大図であり、図3(A)は当該銀反射層の表面(LED素子載置面)側を示す部分平面図であり、図3(B)は図3(A)の銀反射層D−D断面を示す部分断面図である。 本発明おける保護用金属で部分的に覆った後の銀反射層の部分拡大図であり、図4(A)は当該銀反射層の表面(LED素子載置面)側を示す部分平面図であり、図4(B)は図4(A)の銀反射層E−E断面を示す部分断面図である。 本発明の一実施形態に係るLED用リードフレームの製造工程を示す図2のC‐C断面に相当する断面から見た工程フロー図である。本図面において保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。 本発明の一実施形態(その1)における光半導体装置を示す断面図である。本図面において保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。 本発明の他の実施形態(その2)における光半導体装置を示す断面図である。本図面において保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。 本発明の他の実施形態(その3)における光半導体装置を示す断面図である。本図面において保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。 本発明の他の実施形態(その4)における光半導体装置を示す断面図である。本図面において保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。 本発明の他の実施形態(その5)における光半導体装置を示す断面図である。本図面において保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。 本発明における、銀のイオンマイグレーションの評価用サンプルの形態及び製造工程を示す工程フロー図(前半)である。本図面において保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。 図中の(a−1)は、本願における基材に相当し(a−2)は(a−1)のF−F断面における断面図である。 図中の(b−1)は、本願における基材に銀反射層を形成したものに相当し(b−2)は(b−1)のG−G断面における断面図である。 図中の(c−1)は、本願における基材に銀反射層を形成した後保護用金属を形成したリードフレームに相当し(c−2)は(c−1)のH−H断面における断面図である。 本発明における、銀のイオンマイグレーションの評価用サンプルの形態及び製造工程を示す工程フロー図(後半)である。本図面において保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。 図中の(d−1)は、本願におけるリードフレームに絶縁樹脂を形成したもの相当し(d−2)は(d−1)のI−I断面における断面図である。 図中の(e−1)は、本願におけるリードフレームに絶縁樹脂を形成した後封止樹脂部を形成したものに相当し(e−2)は(e−1)のJ−J断面における断面図である。 図中の(f−1)は、本願におけるリードフレームに絶縁樹脂を形成した後封止樹脂部を形成したものをトリミングしたものに相当し(f−2)は(f−1)のK−K断面における断面図である。 銀のイオンマイグレーションの比較用サンプルの形態及び製造工程を示す工程フロー図である。本図面において保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。 図中の(a−1)は、本願における基材に相当し(a−2)は(a−1)のL−L断面における断面図である。 図中の(b−1)は、本願における基材に銀反射層を形成した後保護用金属を形成したリードフレームに相当し(b−2)は(b−1)のM−M断面における断面図である。 図中の(c−1)は、本願におけるリードフレームに絶縁樹脂を形成した後封止樹脂部を形成したものをトリミングしたものに相当し(c−2)は(c−1)のN−N断面における断面図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面等を用いて以下に詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
[LED用リードフレーム]
まず、本発明のLED用リードフレームについて説明する。
まず、図1は、本発明の一実施形態に係るLED用リードフレーム10を示す図2のC−C断面の部分断面図であり、図2は、本発明の一実施形態に係るLED用リードフレームの表面(LED素子載置面)側を示す部分平面図である。なお図1においては、LED用リードフレーム10の層構成を説明するため、便宜上、LED用リードフレーム10の断面を矩形形状として表示している。また、保護用金属は、便宜的に層をなすかのように記載しているが、後述するように、現実には、均一に銀反射層を覆う層とはなっておらず、銀反射面層上に、銀反射層を一部露出しつつ、部分的に形成されているに過ぎない。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るLED用リードフレーム10は、LED素子11(後述)を載置するための載置領域MA(図2点線にて囲まれる各領域)を有する平板状の基材12と、当該基材12の少なくとも載置領域MA上に設けられてなる銀反射層13と、前記銀反射層13上に設けられ、前記銀反射層13の一部が露出するように前記銀反射層13を部分的に被覆してなる、銀よりも標準電極電位が低く、且つ、銀よりもヤング率の低い金属よりなる保護用金属14を備える。
[基材]
基材12としては、従来公知のリードフレーム用基材を用いることができ、例えば、銅、銅合金、42合金(ニッケル41%の鉄合金)等の金属基材(導電性基材)、もしくは、セラミックス、ガラス等の電気絶縁性基材表面に導電性材料層を設けてなる複合基材等を用いることができる。これらのうち、基材12の放熱性の観点から、金属基材(導電性基材)を用いるのが好ましい。
図7、図8、図9に例示したように、基材12上には、各載置領域MAを囲むようにしてリフレクタ形成領域RAが設けられており、当該リフレクタ形成領域RAには、一の載置領域MAの外側を囲む、所定の深さを有する溝部20が形成されていてもよい。基材12のリフレクタ形成領域RAに溝部20が形成されていることで、例えば基材12が金属基材であって、その金属基材のリフレクタ形成領域に樹脂製のリフレクタ16を形成したときに、金属基材と樹脂製のリフレクタ16との密着性を向上させることができる。なお、溝部20の深さ、形状等は、樹脂製のリフレクタ16との密着性等を考慮して、適宜設定され得る。
基材12には、縦方向(又は横方向)に並列する複数の載置領域MAを縦断(又は横断)するようにして絶縁スリット19が形成されている。載置領域MAを縦断(又は横断)する絶縁スリット19が形成されていることで、LED用リードフレーム10がダイシングされて個片化されて得られる光半導体装置において、載置領域MAが大面積の第1リード部21及び小面積の第2リード部22に分割され、第1リード部21及び第2リード部22を電気的に独立したものとすることができる。なお、絶縁スリット19の短手方向の幅は、特に限定されるものではないが、例えば、200〜600μmの範囲で適宜設定することができる。
[銀反射層]
銀反射層13は、基材12の載置領域MAに実装されたLED素子11からの発光を反射する役割を果たす層であり、銀、又は銀合金(銀と、スズ、パラジウム、銅、金、インジウム、ロジウム、亜鉛等の他の金属とを含有する合金)が基材12の少なくとも載置領域MA上に電気めっき等によりめっきされた後、所定の温度で加熱されてなるものである。なお、銀合金中の他の金属の含有量は、銀合金の溶融温度、反射率等を考慮して設定することができ、例えば、50質量%以下に設定することができる。高い反射率、高い導電性を実現できる観点からは、銀の純度が高い方が望ましい。
めっき等により形成された銀反射層13は、加熱処理によって銀合金又は銀の結晶化を促進することで、表面に露出した銀合金又は銀の粒界部52が相対的に減少し、イオンマイグレーションの抑止効果を向上し、かつ腐食性ガス等に対する耐性も高く、さらには銀反射層13の下方に銅が存在する場合に当該銅のパイルアップによる反射率の低下に対す予防効果を向上できる。また、保護用金属14で覆うべき表面に露出した銀合金又は銀の粒界部52が減少することで反射率の向上を実現できる。
このようにして基材12上に形成されてなる銀反射層13は、その厚さ方向における所定の断面の全面積のうちの70%以上、好ましくは85%以上100%未満が、断面積1μm2以上の銀合金又は銀の結晶粒子51で占められることが望ましい。銀反射層13の厚さ方向における所定の断面の全面積における、断面積1μm2以上の銀合金又は銀の結晶粒子51の占める割合が上記範囲であれば、銀反射層13における銀合金又は銀の表面に露出した銀合金又は銀の粒界部52が効果的に低減されていることになり、結果として、より少ない保護用金属14により当該表面に露出した銀合金又は銀の粒界部52が十分に被覆されるため、光半導体装置の製造初期における反射率をより向上させることができるとともに、反射層兼導電層として使用される銀のイオンマイグレーションによる絶縁性の低下を防止し、かつ腐食性ガス等に対する耐性も高く、さらには銀反射層13の下方に銅が存在する場合に当該銅のパイルアップによる反射率の低下を効果的に抑制することができる。
なお、本発明において「銀反射層13の厚さ方向所定の断面」とは、基材12の載置領域MA上の銀反射層13の厚さ方向における切断面のうち、SEMを用いて観察可能な領域であって、例えば、銀反射層13の厚さ方向及び面方向における長さが10μm×20μmの切断面である。また、本発明において「銀合金又は銀の結晶粒子51の断面積」とは、銀反射層13の厚さ方向における所定の断面に現れる銀合金又は銀の結晶粒子51切断面の面積を意味し、当該断面積は、例えばSEMを用いて当該切断面を観察し、EBSP検出器を用いて結晶方位を判別し、結晶粒子像を撮影し、粒径分布を算出する方法により測定することができる。
本発明における銀反射層13の(特に熱処理により銀合金又は銀の結晶化を促進した場合の)SEMによる結晶粒像は、模式的には、図3に示したようなものとなる。表面から見た場合は、図3(A)に示すように、銀合金又は銀の結晶粒子51が観察され、銀合金又は銀の結晶粒子51と銀合金又は銀の結晶粒子51の間には、表面に露出した銀合金又は銀の粒界部52(結晶粒界ともいう)が観察できる。また、図3の(A)のD−D断面である「銀反射層の厚さ方向所定の断面」は、SEMにより模式的に図3(B)のように観測され、銀反射層13の厚さ方向における所定の断面に現れる銀合金又は銀の結晶粒子51切断面の面積を算出することができる。
また、銀反射層13の所定の断面の全面積における断面積1μm2以上の銀合金又は銀の結晶粒子51の占める面積割合は、一の載置領域MA上の銀反射層13の任意の複数箇所(例えば3箇所)を切断し、当該切断面における当該面積割合の算術平均値として算出され得る。
このような構成を有する銀反射層13の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜10μm、より好ましくは1〜5μm、特に好ましくは2〜4μmに設定され得る。
[保護用金属]
本願発明においては、銀反射層13上に、銀反射層13の一部が露出するように保護用金属14にて被覆している。なお、本実施形態における保護用金属14は、微細な隙間から銀反射層13を露出させるように銀反射層13上に設けられてなるが、図1の断面図上において当該微細な隙間を表すことが極めて困難であるため、銀反射層13の全面が保護用金属14で被覆されているかのように表している(図2、図5〜図13においても同様である)。
前記保護用金属14の材質としては、犠牲金属として、銀がイオン化する代わりにイオン化することによって、銀のイオン化さらには、銀のイオンマイグレーションを防止する観点から、銀よりも標準電極電位が低い金属が優れた効果を示す。一方で、銀よりヤング率の高い金属では、ストレスによるクラックが生じ、銀表面にクラックを生じることによって銀の表面積が増大し、銀イオンの発生が容易となるため銀のイオンマイグレーションが促進され好ましくない。従って、保護用金属14の材料としては、銀よりも標準電極電位が低い金属であり、且つ、銀よりヤング率の低い金属であることが求められる。
銀よりも標準電極電位が低い金属であり、且つ、銀よりヤング率の低い金属としては、錫、鉛、インジウム、ビスマス、カドミウム、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムなどが、該当する。しかし、反応性が高すぎる金属は、形成と同時に酸化してしまう、もしくは、銀反射層13上に形成が困難である等の問題点もある。安定性、安全性、取扱易さ、形成の容易さの観点から、錫、インジウム、ビスマスが好適である。これらの金属は、めっき法にて容易に銀反射層13上に形成が可能であり、後述するめっき法のメリットも享受できるものである。
銀反射層13上への保護用金属14の形成は、銀反射層13の一部が露出するように前記銀反射層13を部分的に被覆する性状が好ましい。この時、保護用金属14は、図4に示すように、微細な隙間から銀反射層13を露出させるように銀反射層13上に設けられている。
銀反射層13の前面を膜上に被覆して保護用金属14を設ければ、銀反射層13の露出はなく、銀のイオンマイグレーションは好適に抑制することができる。また、空気中の硫化水素による銀反射層の経時的な反射率の低下を抑えることができる。しかし、そのようなLED用リードフレームから得られる光半導体装置の製造初期における反射率は、銀よりも反射率で劣る保護用金属14の反射率に依存する。従って、反射率が高い銀反射層が露出したLED用リードフレームから得られる光半導体装置と比較すると著しく反射率が小さなものとなり、初期の発光輝度の低下を招いてしまう。
しかしながら、銀反射層13を保護用金属14で覆うことなく使用すると、経時的に、銀のイオンマイグレーションを起こし絶縁性に劣化を生じ光半導体装置の安定性、信頼性が著しく低下するものである。また、大気中の硫化水素による銀反射層13の反射率の低下も無視しがたくなる。
本発明は、これらの問題点を解決すべく、反射率に優れた、銀反射層13の一部を露出させたまま、銀反射層13の一部のみを保護用金属14で部分的に被覆することにより、銀反射層13の反射率の高さを生かし、且つ、銀のイオンマイグレーション及び空気中の硫化水素による銀反射層13の経時的な反射率の低下を抑制することを見出したものである。
ここで、銀のイオンマイグレーションの前提になる銀のイオン化は、主に、銀合金又は銀の結晶粒界において生じると考えられる。そのため、当該露出した銀合金又は銀の粒界部52を選択的に被覆するようにして保護用金属14を設けることにより、銀反射層13における銀のイオンマイグレーションを効果的に抑制することができるものと考えられる。しかしながら、断面積1μm2未満の銀合金又は銀の結晶粒子51が、銀反射層13の所定の断面の全面積のうちの30%を超えて占めている場合、所望とする反射率を得るために銀反射層13の一部を露出させるようにして保護用金属14を形成しても、当該露出した銀合金又は銀の粒界部52を保護用金属14により十分に被覆することができず、銀のイオンマイグレーションの抑制が困難となってしまうし、銀のイオンマイグレーションを抑制し得る程度に当該結晶粒界を保護用金属14により十分に被覆すると、所望とする反射率を得ることが困難となってしまう。一方、断面積1μm2未満の銀合金又は銀の結晶粒子51が、銀反射層13の所定の断面の全面積のうちの30%以下であることで、銀反射層13上に所望とする反射率が得られる程度の保護用金属14が設けられているだけであっても、銀反射層13を構成する銀合金又は銀のイオンマイグレーションを抑制することができ、結果として所望とする反射率をも得ることができる。
また、腐食性ガスによる銀合金又は銀の腐食についても、主に、銀合金又は銀の結晶粒界を起点として生じると考えられる。そのため、当該露出した銀合金又は銀の粒界部52を選択的に被覆するようにして保護用金属14を設けることにより、腐食性ガスによる銀合金又は銀の腐食を効果的に抑制することができるものと考えられる。
また、本実施形態における基材12として銅を含む基材12(銅基板、銅合金基板等)を用いた場合、本実施形態に係るLED用リードフレーム10を用いて製造される光半導体装置において、経時的に基材12に含まれる銅が銀反射層13上面に向かって移動し蓄積する、いわゆるパイルアップ現象が生じることがある。このときに、基材12に含まれる銅が銀反射層13における銀合金又は銀の粒界53を通じて移動し、酸素と結合して生成された酸化銅が銀反射層13の表面に露出すると、光半導体装置における反射率が低下してしまう。しかしながら、本実施形態に係るLED用リードフレーム10によれば、保護用金属14が露出した銀合金又は銀の粒界部52の少なくとも一部を被覆するようにして設けられていることで、基材12側から移動する銅が銀反射層13の表面まで到達するのを抑制することができ、また、銀反射層13の表面側から銀合金又は銀の粒界53に沿って酸素が入り込み難いため、銅と酸素との結合により酸化銅が生成されるのを抑制することができ、結果として光半導体装置における反射率の低下を抑制することができる。
さらに望ましくは、銀反射層13に保護用金属14を形成後の状態をSEMにて観測した際の模式図である図4に記載したように、表面においては(図4(A))、保護金属で覆われた部位によって銀反射層の表面に露出した銀の粒界部52を減少させるように形成されることによって、銀反射層13の表面に露出した、反射率に優れ、銀反射層の表面において、反応性が比較的低い銀合金又は銀の結晶粒子51を露出させたまま、銀反射層13の表面に露出した、反射率に劣り、反応性が高い露出した銀合金又は銀の粒界部52を保護用金属14で覆うことにより、銀のイオンマイグレーション及び空気中の硫化水素による銀反射層13の経時的な反射率の低下を抑制する効果と銀反射層の初期反射率の高さの両方にきわめてすぐれた効果を示すことを見出さした。
図4に示したような、きわめてすぐれた、銀反射層13上への保護用金属14の形成は、電解めっき法によって達成される。電解めっき法による保護用金属14の析出は、反応性が高い部位、つまり、銀反射層13の表面に露出した銀合金又は銀の粒界部から形成される。特に高い電流密度と低イオン濃度の電解層を使用する「ストライク(strike)」または「フラッシュ(flash)」と呼ばれる特殊なめっき法は、露出した銀合金又は銀の粒界部52に微小な保護用金属14を析出し、銀合金又は銀の結晶粒子51の露出部を最大限に生かす被覆を実現できる。
保護用金属14の厚さは、5〜50nmであるのが好ましく、10〜30nmであるのがより好ましい。保護用金属14の厚さが上記範囲内であれば、銀のイオンマイグレーション、腐食性ガス(硫化水素など)による銀反射層13の腐食、銅のパイルアップによる着色を効果的に抑制することができる。なお、本実施形態において保護用金属14の厚さとは、本実施形態に係るLED用リードフレーム10の銀反射層13の露出面を含む平面と保護用金属14の最上面を含む平面との基材12に対する垂直方向における距離を意味するものとする。また、かかる保護用金属14の厚さは、集束イオンビーム(FIB)装置や蛍光X線測定装置等を用いて測定することができる。
本実施形態に係るLED用リードフレーム10は、基材12と銀反射層13との間に、基材12と銀反射層13との密着性を向上させる下地めっき層(図示せず)を備えていてもよい。このような下地めっき層としては、例えば、無電解めっき、電気めっきにより形成した銅めっき層、ニッケルめっき層等が挙げられる。かかる下地めっき層の厚さは、例えば、10〜1000nmに適宜設定され得る。下地めっき層は、基材12と銀反射層13の接合性を高める機能を有する。
また、基材12と銀反射層13との間には、基材12側から順に、銅めっき層および銀めっき層が積層されていてもよい。
このうち銅めっき層は、銀めっき層のための下地層として用いられるものであり、銀めっき層と基材12との接合性を高める機能を有している。この銅めっき層の厚みは、0.005μm〜0.1μmとすることが好ましい。
また銀めっき層は、銀反射層13のための下地層として用いられるものであり、銅めっき層と銀反射層13との接合性を高める機能を有している。なお銀めっき層の厚みは、銀反射層13より厚く、例えば1μm〜5μmとすることが好ましい。銀めっき層は、無光沢銀めっきまたは光沢銀めっきのいずれからなっていても良い。上述したように、銀反射層13の厚みは極めて薄いので、銀めっき層のプロファイルを表出させることができる。例えば、銀めっき層が無光沢めっきからなる場合には、銀反射層13の表面も無光沢とすることができ、銀めっき層が光沢めっきからなる場合には、銀反射層13の表面も光沢を帯びさせることができる。
これらの銅めっき層および銀めっき層を設けない構成も可能である。この場合、LED用リードフレーム10は、基材12と、基材12の載置面に直接設けられた銀反射層13とを有している。
下地めっき層としてのニッケルめっき層の直上に銀反射層13を形成しようとすると、当該銀反射層13が剥離しやすくなるおそれがある。その一方で、銀反射層13との密着性を考慮して、ニッケルめっき層上に銅ストライクめっき層を形成したり、さらに銅ストライクめっき層上に銀ストライクめっき層を形成したりすると、かかるLED用リードフレーム10から得られる光半導体装置において、経時的に当該銅ストライクめっき層から銀反射層13の表面に向かっての銅のパイルアップ現象が生じてしまい、反射率が低下してしまうおそれがある。また、ニッケルめっき層は、基材12からの銅のパイルアップを抑止する効果があるものの、当該ニッケルめっき層の厚さが薄い(10〜200nm程度)と、パイルアップの抑止効果が不十分であり、基材12から銅が銀反射層13表面に向かって移動してしまう。しかしながら、本実施形態に係るLED用リードフレーム10によれば、保護用金属14が銀反射層13における銀合金又は銀の結晶粒界を被覆するようにして設けられていることで、当該LED用リードフレーム10から得られた光半導体装置において、ニッケルめっき層上に銅ストライクめっき層が形成されている場合や、ニッケルめっき層の厚さが薄い場合であっても、銀反射層13の下方(基材12、銅ストライクめっき層)から移動してきた銅が銀反射層13の表面にまで移動するのを防止することができるとともに、銀反射層13上の酸素が銀反射層13内に入り込むのを防止することができる。その結果として銅と酸素とが結合するのを抑制することができ、光半導体装置における反射率の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態に係るLED用リードフレーム10においては、各載置領域MAを囲むリフレクタ形成領域RAに樹脂製のリフレクタ16が形成されていてもよいし(図6、図7、図8、図9等参照)、当該樹脂製のリフレクタ16が形成されていなくてもよい(図1、図10参照)。
[LED用リードフレームの製造方法]
上述したような構成を有するLED用リードフレーム10は、以下のようにして製造することができる。図5は、本実施形態に係るLED用リードフレーム10の製造工程を示す工程フロー図である。
(基材のパターニング)
まず、図5(a)に示すように平板状の金属基材からなる基材12を準備する。この基材12は、上述のように例えば、銅、銅合金、42合金(Ni40.5%〜43%のFe合金)等からなる金属基材を使用することができる。基材12の厚さは、例えば、0.05mm〜0.5mmの範囲である。なお基材12は、その両面に対して脱脂等を行い洗浄処理を施したものを使用することが好ましい。
次に、基材12の表裏にエッチング用レジスト41を塗布、乾燥し、これを所望のフォトマスクを介して露光した後、現像してエッチング用レジスト41を形成する(図5(b))。なおエッチング用レジスト41としては、従来公知のものを使用することができる。
次に、エッチング用レジスト41を耐腐蝕膜として基材12に腐蝕液でエッチングを施す(図4(c))。腐蝕液は、使用する基材12の材質に応じて適宜選択することができ、例えば、基材12として銅を用いる場合、通常、塩化第二鉄水溶液を使用し、基材12の両面からスプレーエッチングにて行うことができる。
次いで、エッチング用レジスト41を剥離して除去する。このようにして、第1の部分と、第1の部分から離間した第2の部分とを有する基材12が得られる(図4(d))。またこの際、ハーフエッチングにより基材12の表面に溝部20を形成してもよい。
次いで、エッチング用レジスト41を剥離して除去する。このようにして、第1の部分と、第1の部分から離間した第2の部分とを有する基材12が得られる(図4(d))。またこの際、ハーフエッチングによりLED用リードフレーム10の表面(上面)に溝部20が形成してもよい。
(銀反射層の形成)
次に、基材12の表面および裏面に各々所望のパターンを有するめっき用レジスト42を設ける(図4(e))。このうち表面側のめっき用レジスト42は、銀反射層13の形成部位に相当する箇所に開口部が形成され、この開口部からは基材12のLED載置面10aが露出している。他方、裏面側のめっき用レジスト42は、基材12の裏面全体を覆っている。めっき用レジスト42が有する開口部の大きさ、形状等は、形成される銀反射層13の部位、形状等に応じて適宜設定され得る。
基材12上に金属を析出させて、銀反射層13を形成する(図4(f))。
上述したように、銀反射層13は、白金(Pt)と銀(Ag)との合金または金(Au)と銀(Ag)との合金からなっている。ここで銀反射層13が白金と銀との合金からなる場合、銀反射層13は、合金のスパッタ、イオンプレーティングまたは蒸着などにより形成することができる。一方、銀反射層13が金と銀との合金からなる場合、銀反射層13は、基材12給電層として、電解めっきにより形成することができる。この場合、電解めっき用めっき液としては、シアン化銀、シアン化金およびシアン化カリウムを主成分とした銀めっき液を用いることができる。このようにして形成される銀反射層13の厚さは、例えば、1〜10 μ mであるのが好ましく、1〜5 μ mであるのがより好ましい。
また、上述のような銀を含むめっき膜を形成する場合は、例えば、シアン化銀を主成分とした銀めっき液を用いた電解めっきを施すことにより、基材12の表面に、めっき膜を形成することができる。銀めっき層を形成する電解めっき用めっき液のとしては、シアン化銀およびシアン化カリウムを主成分とした銀めっき液を用いることができる。なお、前記めっき膜を形成する前に、例えば、電解脱脂工程、酸洗工程、銅ストライク工程、を適宜選択し、その後、電解めっき工程を経てめっき膜を形成してもよい。この場合、銅めっき層を形成する電解めっき用めっき液としては、シアン化銅およびシアン化カリウムを主成分とした銅めっき液を用いることができる。
なお、銀反射層13下に下地めっき層を設ける場合、銀めっき工程を行う前に、基材12の表面に下地めっき層(銅めっき層や所定の厚さ(10〜200nm程度)のニッケルめっき層、所望によりそれらの上に銅ストライクめっき層(厚さ50〜200nm程度)及び銀ストライクめっき層(厚さ50〜200nm程度)等)を形成する下地めっき層形成工程を加えることもできる。
(加熱工程)
続いて、銀合金又は銀からなる銀反射層13を有する基材12を加熱する。基材12の加熱温度は、当該銀反射層13を構成する銀合金又は銀の結晶粒子を再結晶化させることによって当該結晶粒子のサイズを増大させ得る温度、すなわち加熱後の銀反射層13の厚さ方向における所定の断面の全面積のうちの、好ましくは70%以上、より好ましくは85%以上100%未満が断面積1μm2以上の銀合金又は銀の結晶粒子で占められるような加熱温度であり、加熱後の銀反射層13において、当該銀反射層13の厚さの二乗以上の断面積を有する銀合金又は銀の結晶粒子が少なくとも1個存在するような加熱温度であるのが特に好ましい。かかる温度で加熱することにより、銀合金又は銀の結晶粒界53の少ない銀反射層13を形成することができる。具体的には、200〜500℃で加熱するのが好ましく、300〜450℃で加熱するのがより好ましい。
また、基材12の加熱時間は、1〜10分間であるのが好ましく、2〜5分間であるのがより好ましい。基材12の加熱時間が1分未満であると、銀反射層13を構成する銀合金又は銀の結晶粒子のサイズを効果的に増大させることができないおそれがあり、10分を超えても、それ以上銀合金又は銀の結晶粒子のサイズを増大させ、結晶粒界53を少なくすることが困難である。
上記基材12の加熱は、窒素等の不活性ガス雰囲気下にて行うのが好ましい。不活性ガス雰囲気下にて基材12を加熱することで、加熱中における銀合金又は銀の腐食(酸化)をより抑制することができる。
なお、めっき用レジスト42が基材12の加熱により除去され得るようなものである場合、後述の保護用金属14形成工程前に、銀反射層13を露出させるようにしてめっき用レジスト42を再度設けてもよいし、めっき用レジスト42を設けなくてもよい。めっき用レジスト42を設けない場合には、基材12の裏面側やリフレクタ形成領域RAにも保護用金属14を構成する金属材料からなるめっき層が形成されることになる。また、めっき用レジスト42が基材12の加熱により除去され得ないものである場合には、加熱後の基材12においてめっき用レジスト42が残存した状態であるため、そのまま後述の保護用金属14形成工程に移行すればよい。
(保護用金属形成工程)
上述の加熱工程により基材12の表面に銀反射層13が形成された後、所定の形態で銀反射層13上に所定の保護用金属材料(銀よりも標準電極電位が低く、且つ、銀よりもヤング率の低い金属(例えば、インジウム、ビスマス、錫のうちのいずれか、又はそれらを含む合金等))を電気めっき法等によりめっきすることで、保護用金属14を形成する(図5(g))。このように所定の膜厚での所定の金属材料の電気めっき法等により保護用金属14を形成することで、銀反射層13の一部が露出するようにして保護用金属14を形成することができる。その後、めっき用レジスト42を取り除くことで、本実施形態に係るLED用リードフレーム10を製造することができる(図5(h))。
このとき、保護用金属は、好ましくは膜厚(銀反射層13の露出面を含む平面と保護用金属14の最上面を含む平面との基材12に対する垂直方向における距離)が、5〜50nm、特に好ましくは膜厚10〜30nmの保護用金属14を形成するようにして、所定の金属材料をめっきする。保護用金属14の膜厚が5nm未満であると、銀反射層13を構成する銀合金又は銀の腐食を効果的に抑制し得る程度の保護用金属14を形成するのが困難となるおそれがあり、50nmを超えると、銀反射層13を構成する銀合金又は銀の腐食を効果的に抑制し得る程度の保護用金属14を形成することができるものの、銀反射層13における銀合金又は銀の結晶粒界以外の部分にも保護用金属14が形成されてしまい、かかるLED用リードフレームを用いて得られる光半導体装置の製造初期における反射率が低下してしまうおそれがある。
上記範囲内の膜厚を有する保護用金属14を形成することで、銀合金又は銀の結晶粒界52の部分に選択的に保護用金属14が形成されることになる。特に、電気めっき法により保護用金属14を形成することで、銀合金又は銀の粒界部52の部分が、それ以外の部分に比べて電流密度が高くなり、当該銀合金又は銀の粒界部52に選択的に保護用金属14が形成されやすくなる。そして、前述したように、加熱された銀反射層13においては、銀反射層13を構成する銀合金又は銀の粒界部52が少なくなっているため、銀反射層13の一部が露出するようにして保護用金属14が形成されたとしても、銀合金又は銀の粒界部52はほとんど露出しないことになる。その結果、銀反射層13での銀のイオンマイグレーションを効果的に抑制することができるとともに、腐食性ガス等による銀反射層13の腐食を効果的に抑制することができ、また、当該LED用リードフレーム10を用いて、銀反射層13を構成する銀合金又は銀の反射率に応じた良好な反射率を有する光半導体装置を得ることができる。
さらに、上記加熱工程により銀反射層13における銀合金又は銀の結晶粒子51のサイズを増大させて表面に露出した銀合金又は銀の粒界部52を少なくし、上記保護用金属14形成工程により当該銀反射層13における露出した銀合金又は銀の粒界部52に選択的に保護用金属14が形成されることで、得られるLED用リードフレーム10を用いて製造される光半導体装置において、銀反射層13の下方(基材12、下地めっき層としての銅ストライクめっき層)側から表面に向かって移動してきた銅が、当該銀反射層13の表面にまで移動してくるのを防止することができるとともに、銀反射層13上の酸素が銀合金又は銀の結晶粒界53を通じて銀反射層13内に入り込むのを防止することができる。その結果として銅と酸素とが結合するのを抑制することができ、光半導体装置における反射率の低下を抑制することができる。
なお、銀合金を用いて銀反射層13を形成した場合、上述した保護用金属14を構成する金属材料は、当該銀反射層13を構成する銀合金と同一金属種を含む合金であってもよい。例えば、銀反射層13が銀インジウム合金により形成される場合に、当該銀インジウム合金よりもインジウムの組成比が大きい銀インジウム合金を用いて保護用金属14が形成されていてもよい。
(樹脂製リフレクタ形成工程)
なお、本実施形態に係るLED用リードフレーム10の製造方法においては、上述の保護用金属14形成工程後、載置領域MAを囲むリフレクタ形成領域RAに樹脂製のリフレクタ16を形成する樹脂製リフレクタ形成工程をさらに有していてもよいし(図6、図7、図8、図9参照)、当該樹脂製リフレクタ形成工程を有していなくてもよい(図10参照)。かかる樹脂製リフレクタ形成工程を有する場合、後述する光半導体装置の製造方法において、LED用リードフレーム10のリフレクタ形成領域RAに樹脂製リフレクタを形成する工程を省略することができる。
[光半導体装置]
続いて、上述したような構成を有するLED用リードフレーム10を用いた光半導体装置について説明する。図6は、本実施形態における光半導体装置30を示す断面図である。
上述のLED素子11としては、例えば、従来一般に用いられているLED素子を用いることができる。ここで、LED素子11は、発光層として、例えば、GaP、GaAs、GaAlAs、GaAsP、AlInGaP等の化合物半導体単結晶、または、InGaN等の各種GaN系化合物半導体単結晶からなる材料を適宜選ぶことにより、紫外光から赤外光に渡る発光波長を選択することができるものである。
図6に示すように、本実施形態における光半導体装置30は、上述した本実施形態に係るLED用リードフレーム10の基材12と、LED用リードフレーム10の基材12のリフレクタ形成領域RAに、載置領域MAを取り囲むように、かつ載置領域MAを露出させるようにして設けられてなるリフレクタ16と、LED用リードフレーム10の基材12の載置領域MAに実装されてなるLED素子11と、LED素子11を封止するために、リフレクタ16により囲まれた空間内に封止樹脂が充填されてなる封止樹脂部17とを備える。
リフレクタ16を構成する樹脂材料としては、電気絶縁性を有する材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリフタルアミド、エポキシ、シリコーン、液晶高分子等の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、基材12の絶縁スリット19には、樹脂製のリフレクタ16と同一の樹脂材料が充填されている。
本実施形態において、基材12の載置領域MAは、絶縁スリット19を介して第1リード部21と第2リード部22とに分割され、かつ絶縁スリット19には樹脂製のリフレクタ16を構成する樹脂材料と同一の樹脂材料が充填されている。これにより、第1リード部21と第2リード部22とは、それぞれ電気的に独立したものとなっている。
ボンディングワイヤ15は、例えば、金、銅、アルミ等の導電性の良い材料からなり、LED素子11は、その一の端子(図示せず)が基材12における大面積の第1リード部21に接続され、他の端子が小面積の第2リード部22にボンディングワイヤ15により接続されることで、載置領域MAに実装されている。
基材12上の銀反射層13は、絶縁スリット19により二分されてなる第1リード部21及び第2リード部22のそれぞれの表面に形成されてなる第1の銀反射層13と第2の銀反射層13とからなり、第1の銀反射層13と第2の銀反射層13との各縁部が絶縁スリット19を介して対向している。
封止樹脂部17を構成する封止樹脂としては、一般に光半導体装置30におけるLED素子11の封止に用いられる透光性樹脂を用いることができる。本発明に係る透光性樹脂としては、光の取り出し効率を向上させるために、LED素子11の発光波長において光透過率が高く、また屈折率が高い材料を選択するのが望ましい。例えば、耐熱性、耐候性、及び機械的強度が高いという特性を満たす樹脂として、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂を選択することが可能である。また、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の透光性樹脂や、それらの透光性樹脂に、蛍光物質、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の拡散材料の1種又は2種以上が含有されてなるもの等が挙げられる。かかる透光性樹脂として、シリコーン樹脂を用いるのが好ましい。光半導体装置30の封止樹脂部17を構成する封止樹脂は、光半導体装置30のリフローはんだ付けの際の加熱により熱に暴露されたり、LED素子11として高輝度LEDを用いる場合に当該高輝度LEDから発せられる強い光に暴露されたりする。この点において、シリコーン樹脂は、他の透光性樹脂(エポキシ樹脂等)に比して熱や光による変色等の透光性の劣化等を生じ難い樹脂材料であるため好ましい。その一方で、シリコーン樹脂は、他の透光性樹脂(エポキシ樹脂等)に比してガスバリア性が低いものであるものの、本実施形態に係るLED用リードフレーム10においては、銀のイオンマイグレーション及び腐食性ガス等による銀反射層13の腐食が効果的に抑制されている。したがって、本実施形態における光半導体装置30において、封止樹脂部17を構成する封止樹脂としてガスバリア性の低いシリコーン樹脂を用いたとしても、銀反射層13を構成する銀合金又は銀の反射率に応じた良好な反射率を得ることができる。
本実施形態における光半導体装置30は、波長400〜700nmの光を発することのできる装置であるのが好ましい。かかる範囲の波長を有する光は、光半導体装置30の銀反射層13の腐食により反射率の低下を招きやすい。しかし、本実施形態における光半導体装置30においては、銀反射層13の一部が露出するようにして保護用金属14が設けられ、当該銀反射層13が銀めっき層を加熱し、銀合金又は銀の結晶を成長させてなるものであることで銀反射層13を構成する露出した銀合金又は銀の粒界部52が少なくなっているため、銀反射層13の腐食が抑制され、かつ光半導体装置30の製造初期における反射率も高いものとなっている。そのため、本実施形態における光半導体装置30においては、波長400〜700nmの光の反射率を製造初期から経時的に高いレベルで維持することができる。
本実施形態における光半導体装置30は、下記のようにして製造することができる。
まず、本実施形態に係るLED用リードフレーム10を準備し、LED用リードフレーム10のリフレクタ形成領域RAに樹脂製のリフレクタ16を形成する。
次いで、当該LED用リードフレーム10の第1リード部21にLED素子11の一の端子を接続し、第2リード部22にLED素子11の他の端子をボンディングワイヤ15により接続する。
そして、LED素子11を載置した載置領域MA上の樹脂製のリフレクタ16により囲まれる空間内に封止樹脂を充填し、LED素子11及びボンディングワイヤ15を封止する封止樹脂部17を形成する。その後、ダイシングラインに沿ってダイシングすることにより個片化された光半導体装置30を得ることができる。
上述した光半導体装置30を構成するLED用リードフレーム10は、銀のイオンマイグレーションを抑止し、腐食性ガス等による銀反射層13の腐食を効果的に防止し得るものであるため、封止樹脂部17を構成する封止樹脂として特にガスバリア性の低いシリコーン樹脂等を使用したとしても銀反射層13を構成する銀合金又は銀のイオンマイグレーション及び腐食を効果的に防止することができる。したがって、本実施形態における光半導体装置30においては、封止樹脂部17を構成する封止樹脂として、熱や光の暴露等により変色等が生じ難いシリコーン樹脂を用いるのが好適である。
上述した構成を有する光半導体装置30によれば、当該光半導体装置30の製造に用いられるLED用リードフレーム10において、銀反射層13の一部が露出するようにして、当該銀反射層13の露出した結晶粒界上に保護用金属14が形成されているため、空気中の水分による銀のイオンマイグレーションや腐食性ガス等による銀反射層13の腐食が効果的に抑制され、銀反射層13を構成する銀合金又は銀の反射率に応じた良好な反射率を得ることができる。また、経時的に銀反射層13の下方(基材12、下地めっき層としての銅ストライクめっき層)から銅が移動してきたとしても、当該銅が銀反射層13の表面にまで移動してくるのを防止することができるとともに、銀反射層13上の酸素が銀反射層13内に入り込むのを防止することができる。その結果として銅と酸素とが結合するのを抑制することができ、光半導体装置における反射率の低下を抑制することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
上記実施形態において、LED用リードフレーム10のダイシングラインは、個片化される1つの光半導体装置30に一のLED素子11(載置領域MA)が含まれるように設定されているが、これに限定されるものではなく、1つの光半導体装置30に複数個(例えば、4個)のLED素子11(載置領域MA)が含まれるように設定されていてもよい。
上記実施形態において、LED用リードフレーム10における載置領域MAは、基材12の縦方向(又は横方向)に並列する載置領域MAを縦断(又は横断)する絶縁スリット19により、大面積の第1リード部21及び小面積の第2リード部22に分割されているが、これに限定されるものではなく、例えば、基材12の縦方向(又は横方向)に並列する載置領域MAの略中央を縦断(又は横断)する絶縁スリット19により、略同一面積の第1リード部21及び第2リード部22に分割されていてもよい。この場合において、ボンディングワイヤに代えて、半田や、導電性および伝熱性を有する接着剤等によって、第1リード部21と第2リード部22に接続される形態(FlipChipPackage)もある。当該LED用リードフレーム10を用いて得られる光半導体装置30は、図8に示すように、第1リード部21及び第2リード部22を跨ぐようにして、LED素子11の一方の端子部が第1リード部21に接続され、他方の端子部が第2リード部22に接続された構成とすることができる。
また、図9に示すように、載置領域MAは、基材12の縦方向(又は横方向)に並列する載置領域MAを縦断(又は横断)する、2つの平行する絶縁スリット19、19により、第1〜第3リード部に分割されていてもよい。この場合において、当該LED用リードフレーム10を用いて得られる光半導体装置30は、載置領域MAの中央(2つの絶縁スリット19、19の間)に位置する第3リード部23にLED素子11が実装され、LED素子11の一方の端子部が第1リード部21に接続され、他方の端子部が第2リード部22に接続された構成とすることができる。
さらに、上記実施形態においては、LED用リードフレーム10のダイシングラインに沿って複数の貫通孔が形成されていてもよい。このような構成を有するLED用リードフレーム10であれば、当該LED用リードフレーム10を用いて光半導体装置30を製造する過程において、LED用リードフレーム10をダイシングして個片化する際におけるダイシングすべき金属量をさらに低減することができ、ダイシングブレードにかかる負荷をさらに低減することができる。また、上金型及び下金型を用いて基材12をクランプし、金型のキャビティ内に樹脂を流し込んで硬化させることでリフレクタ形成領域RAに樹脂製のリフレクタ16を形成するときに、当該貫通孔を介してリフレクタ形成領域RAに位置するキャビティのすべてに樹脂を行き渡らせることができる。
さらにまた、上記実施形態においては、基材12の各載置領域MAに相当する所定形状の開口部を有するめっき用レジスト42を設け、当該開口部にて露出する基材12上に銀反射層13を形成しているが、当該めっき用レジスト42を設けずに基材12の全面に銀反射層13を形成してもよい。
また、上記実施形態において、光半導体装置30は、載置領域MAを取り囲み、かつ載置領域MAを露出させる樹脂製のリフレクタ16を有するが、図10に示すように、上記LED用リードフレーム10の基材12と、一の端子(図示せず)がLED用リードフレーム10の基材12における大面積の第1リード部21に接続され、他の端子が小面積の第2リード部22にボンディングワイヤ15により接続されることで、載置領域MAに実装されてなるLED素子11と、基材12及びLED素子11を被覆する封止樹脂により構成される封止樹脂部17とを備え、樹脂製のリフレクタ16を有しないものであってもよい。
また、図示しないが、1個の第1リード部の上面に2個のLED素子11が載置され、ボンディングワイヤ15により接続される形態も挙げられる。
なお、LED素子11は、一般に、半田や、伝熱性を有する接着剤により固定実装される。ここで、半田の代わりにダイボンディングペーストを用いる場合には、耐光性のあるエポキシ樹脂やシリコーン樹脂からなるダイボンディングペーストを選択することが可能である。また、ACF(異方性導電フィルム)、ACP(異方性導電ペースト)、NCF(非導電性フィルム)、またはNCP(非導電性ペースト)等を用いてLED素子11の第1リード部21、および第2リード部22に直接接続する方法もある。
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等に
何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
基材12として厚み0.2mm、横60mm×縦50mmの大きさの銅板を準備した。所定の形状にエッチング用レジスト41を形成後、塩化第二鉄水溶液を使用し、基材12の両面からスプレーエッチングにより、図2に示す形状の絶縁スリット19形成した。絶縁スリット19形成後、エッチング用レジスト41は剥離し除去した。なお、縦方向に隣接する載置領域MAのピッチを3mmとし、横方向に隣接する載置領域MAのピッチを4mmとし、基材12上に13行×13列のマトリックス状に配列された載置領域MAを設けるように、絶縁スリット19を形成した。
このようにして得られた基材12のLED素子11の載置面側に所定形状の開口部を有するめっき用レジスト42を形成するとともに、他方の面(裏面)側の一面に絶縁性のめっき用レジスト42を形成した。そして、基材12の載置面側の開口部を介して露出する基材12上に、下地層として銅のストライクめっき(厚さ0.05μm)を施した後、電気めっき法により銀めっきを施し銀反射層13(厚み:3μm)を形成した。次に、銀反射層13を形成した基材12を400℃で2分間、リフロー炉(製品名:RN−CS,パナソニック社製)を用いて加熱した。
続いて、上記のようにして形成した銀反射層13上に、錫のフラッシュめっき液によりめっきを施すことにより銀反射層13の一部を露出するように錫による膜厚10nmの保護用金属14を形成し、その後めっき用レジスト42を除去して、LED用リードフレーム10(実施例1)を作製した。かかる錫めっきによる保護用金属14は、具体的には、銀めっき層が形成され、加熱された基材12を、メタンスルホン酸錫を含有するめっき浴(錫濃度:2.0g/L)に1分間浸漬させて電気めっき処理(電流密度:10mA/dm2)を施し、水洗浄し、乾燥することにより形成した。
[実施例2]
実施例1において錫のフラッシュめっき液に変えてメタンスルホン酸ビスマスを含有するフラッシュめっき液を用いて銀反射層13上にめっきを施すことにより銀反射層13の一部を露出するようにビスマスによる膜厚10nmの保護用金属14を形成し、その後めっき用レジスト42を除去して、LED用リードフレーム10(実施例2)を作製した。かかるビスマスめっきによる保護用金属14は、具体的には、銀めっき層が形成され、加熱された基材12を、メタンスルホン酸ビスマスを含有するめっき浴(錫濃度:5.0g/L)に1分間浸漬させて電気めっき処理(電流密度:15mA/dm2)を施し、水洗浄し、乾燥することにより形成した。
[実施例3]
実施例1において錫のフラッシュめっき液に変えてインジウムのフラッシュめっき液を用いて銀反射層13上にめっきを施すことにより銀反射層13の一部を露出するようにインジウムによる膜厚10nmの保護用金属14を形成し、その後めっき用レジスト42を除去して、LED用リードフレーム10(実施例3)を作製した。かかるインジウムめっきによる保護用金属14は、具体的には、銀めっき層が形成され、加熱された基材12を、メタンスルホン酸インジウムを含有するめっき浴(インジウム濃度:3.0g/L)に1分間浸漬させて電気めっき処理(電流密度:15mA/dm2)を施し、水洗浄し、乾燥することにより形成した。
[比較例1]
実施例1において錫のフラッシュめっき液によりめっきを施さず、従って、銀反射層13の表面に保護用金属14を形成することなく、めっき用レジスト42を除去して、LED用リードフレーム(比較例1)を作製した。
このようにして形成された実施例1、実施例2、実施例3のLED用リードフレーム10、及び、比較例1のLED用リードフレーム中の載置領域MAの中から、一の載置領域MAを任意に選択し、当該載置領域MA上の銀めっき層を、任意に選択した3箇所において切断した。そして、当該3箇所の切断面を、SEM(日本電子社製,製品名:JSM−7001F)を用いて観察し、EBSP検出器(TSL社製,条件:傾斜70度,加速電圧15kV,印加電流10nA,範囲20μm×3μm)を用いて結晶方位を判別し、結晶粒像を撮影し、粒径分布を算出する方法により、当該銀めっき層の断面における銀の結晶粒子の断面積を測定した。
その結果、実施例1、実施例2、実施例3にて作製したLED用リードフレーム10、及び、比較例1のLED用リードフレームは、いずれも銀めっき層の厚さ方向の切断面の全面積に占める、断面積1μm2以上の銀の結晶粒子の面積割合(3箇所の切断面における面積割合の算術平均値)は、96%であった。また、当該切断面に現れる銀の結晶粒子の最大断面積(3箇所の切断面のそれぞれにおける銀の結晶粒子の最大断面積の算術平均値)は、35μm2であった。
また、実施例1、実施例2、実施例3にて作製したLED用リードフレーム10中の載置領域MAの中から、それぞれ一の載置領域MAを任意に選択し、当該載置領域MA上の銀反射層13の表面を、SEM(日本電子社製,製品名:JSM−7001F)を用いて観察したところ、実施例1、実施例2、実施例3にて作製したLED用リードフレームいずれにおいても、図4の(A)の模式図のように、銀反射層13の表面に露出した銀合金又は銀の粒界部52に選択的に保護用金属14が析出し、表面に露出した銀の結晶粒子部も大部分が保護用金属14に覆われることなく露出していることが確認できた。
実施例1、実施例2、実施例3にて作製したLED用リードフレーム10、及び、比較例1のLED用リードフレームを用いて、図6に記載したタイプの光半導体装置を作成した。すなわちトランスファーモールド法によりエポキシ樹脂のリフレクタ16及び絶縁樹脂18を形成し、第1リード部にInGaN等の各種GaN系化合物半導体単結晶からなるLED素子を載置し、さらに、LED素子と第2リード部とを金のワイヤを用いてボールボンディングにて接続した後、シリコーン樹脂により封止樹脂部17を形成することにより、本実施例に記載のLED用リードフレーム10を用いた光半導体装置30を作製した。
本実施例1、実施例2、実施例3にて作製したLED用リードフレーム10を用いた光半導体装置は、いずれも、比較例1にて作製したLED用リードフレームを用いた光半導体装置と比較して、製造工程にて、ワイヤーボンディングの不良が少なく、初期の発光効率に優れ、長期の使用に対しても輝度の減衰、発光波長の変化の少ない優れた性能を示すものであった。
[反射率の評価試験]
反射率の変化、及び、銅のパイルアップについて、銀反射層13以外の部位(LED素子11実装上の差、リフレクタ16の形状誤差)の影響を避けて評価するため、反射率の評価用サンプルを作成して評価した。
(サンプル1−1…実施例1相当)
反射率評価用のサンプルである、反射率測定用試験片は、基材12に相当する厚み0.1mm、横60mm×縦50mmの大きさの銅板を準備し、エッチングをすることなく、脱脂工程後に、下地層として銅のストライクめっき(厚さ0.05μm)を施した後、電気めっき法により銀めっきを施し、銀反射層13(厚み:3μm)を形成した。本反射率測定用試験片に対して、実施例1に相当するサンプル1として、銀反射層13を形成した基材12を400℃で2分間、リフロー炉(製品名:RN−CS,パナソニック社製)を用いて加熱した。続いて、上記のようにして形成した銀反射層13上に、錫のフラッシュめっき液によりめっきを施すことにより銀反射層13の一部を露出するように錫による膜厚10nmの保護用金属14を形成し、実施例1に相当するサンプル1−1とした。
(サンプル2−1…実施例2相当)
サンプル1−1において錫のフラッシュめっき液の代わりにビスマスのフラッシュめっき液を使用し銀反射層13上に、ビスマスのフラッシュめっき液によりめっきを施すことにより銀反射層13の一部を露出するようにビスマスによる膜厚10nmの保護用金属14を形成し、実施例2に相当するサンプル2−1とした。
(サンプル3−1…実施例3相当)
サンプル1−1において錫のフラッシュめっき液の代わりにインジウムのフラッシュめっき液を使用し銀反射層13上に、インジウムのフラッシュめっき液によりめっきを施すことにより銀反射層13の一部を露出するようにインジウムによる膜厚10nmの保護用金属14を形成し、実施例3に相当するサンプル3−1とした。
(サンプル4−1…比較例1相当)
サンプル1−1において銀反射層13を形成した基材12を400℃で2分間、リフロー炉(製品名:RN−CS,パナソニック社製)を用いて加熱した。後保護用金属を形成しなかった比較用サンプルを作成しサンプル4−1とした。
(反射率の評価)
初期の反射率の評価としては、初期反射率を、また、経時に硫化による反射率の評価としては硫化試験後反射率を測定し、結果を、表1の反射率に関する試験結果にまとめた。
Figure 0006094695
初期反射率は、サンプル4−1から4−4を作製後ただちに、反射型分光光度計(島津製作所製 UV2550)を用いて、可視光領域の反射率を測定したものである。
また、硫化試験後反射率は、サンプル4−1から4−4を作製後ただちに、硫化アンモニウム溶液0.2%に5分浸漬。処理後のサンプルを反射型分光光度計(島津製作所製 UV2550)で測定したものである。
また、銅のパイルアップ(蓄積)による着色の指針としてパイルアップ試験後評価を行った。パイルアップ試験後評価は、サンプル4−1から4−4を作製後ただちに、400℃で30分間、リフロー炉(製品名:RN−CS,パナソニック社製)を用いて加熱した後、目視で未加熱のサンプルと比較して、着色が認められたものを×、着色が認められなかったものを○として評価した。
表1に示すように、実施例1、実施例2、実施例3に相当するサンプル1−1、サンプル2−1、サンプル3−1においては、初期反射率が優れているとともに、硫化験後の反射率の低下が顕著に抑制されていることが確認された。一方、サンプル1−4においては、初期反射率はサンプル1−1、サンプル2−1、サンプル3−1と略同等であると評価することができるものの、硫化験後の反射率が著しく低下していることが確認された。サンプル1−5においては、硫化験後の反射率の低下はほとんど確認されなかったが、銀めっき層の全面にインジウムめっき層が形成されていることで、初期反射率が低下してしまうことが確認された。このように、実施例1、実施例2、実施例3に相当するサンプル1−1、サンプル2−1、サンプル3−1のように、銀反射層の一部が露出するように前記銀反射層を部分的に被覆してなる、銀よりも標準電極電位が低く、且つ、銀よりもヤング率の低い金属よりなる保護用金属を備えることで、製造初期における反射率を向上させるとともに、硫化水素等の腐食性ガスに対する耐性をも向上させることができると考えられる。
また、表1に示すように、実施例1、実施例2、実施例3に相当するサンプル1−1、サンプル2−1、サンプル3−1においては、銅のパイルアップが抑制されることが確認された。サンプル1−4においては、試験用リードフレーム銀反射層113上に試験用リードフレーム保護用金属114が形成されていないことで、基材12からの銅のパイルアップにより試験用リードフレーム銀反射層113の着色がみられたものと推察される。実施例1、実施例2、実施例3に相当するサンプル1−1、サンプル2−1、サンプル3−1においては、試験用リードフレーム銀反射層113上の試験用リードフレーム保護用金属114により基材12からの銅のパイルアップが抑制され、反射率の低下を抑制することができたものと推察される。
[イオンマイグレーションの評価試験]
銀のイオンマイグレーションについて、銀反射層13以外の部位(LED素子11実装上の差、リフレクタ16の形状誤差)の影響を避けて評価するため、イオンマイグレーションの評価用サンプルを作成して評価した。
(サンプル1−2…実施例1相当)
銅板(厚さ:0.1mm)を用いてエッチング法により図11の(a−1)に示す形状の櫛形電極を持つイオンマイグレーション試験用リードフレーム101を作成した。この際、絶縁スリット119及び電極部の寸法はW1、W2,W3ともに50μmに形成した。この櫛型電極(a−1)上に実施例1と同様に銅ストライクめっきをした後、電解めっきにより銀反射層13に相当する光沢性の銀めっき層を試験用リードフレーム銀反射層113として形成し、ホットプレートを用いて熱処理400℃にて2分を行った(図11(b−1)。次に実施例1同様に試験用リードフレーム銀反射層113上にスズフラッシュめっき液により、部分的にスズによる試験用リードフレーム保護用金属114を形成する(図11(c−3))。試験用リードフレーム保護用金属114を設けた面が露出するように、トランスファーモールド法によりエポキシ樹脂の試験用リードフレーム絶縁樹脂層118(実施例1の絶縁樹脂18に相当)を形成した(図12(d−1)。次に櫛形電極部にシリコーン樹脂により試験用リードフレーム封止樹脂部117(封止樹脂部17に相当)を形成し(図12(e−1)、図12の(f−1)ように切断し、イオンマイグレーション試験片(櫛形電極:L/S=50um/50um)を作製した。
(サンプル2−2…実施例2相当)
サンプル1−2において錫のフラッシュめっき液の代わりにビスマスのフラッシュめっき液を使用し試験用リードフレーム銀反射層113上に、ビスマスのフラッシュめっき液によりめっきを施すことにより試験用リードフレーム銀反射層113の一部を露出するようにビスマスによる膜厚10nmの試験用リードフレーム保護用金属114を形成し、実施例2に相当するサンプル2−2とした。
(サンプル3−2…実施例3相当)
サンプル1−2において錫のフラッシュめっき液の代わりにインジウムのフラッシュめっき液を使用し試験用リードフレーム銀反射層113上に、インジウムのフラッシュめっき液によりめっきを施すことにより試験用リードフレーム銀反射層113の一部を露出するようにビスマスによる膜厚10nmの試験用リードフレーム保護用金属114を形成し、実施例2に相当するサンプル3−2とした。
(サンプル4−2…比較例1相当)
サンプル1−2において試験用リードフレーム銀反射層113を形成後ホットプレートを用いて熱処理400℃にて2分を行った(図13(b−1)、後保護用金属を形成しなかった比較用サンプルを作成し(図13(c−1))サンプル4−2とした。
(イオンマイグレーション試験)
サンプル4−1から4−4を作製後ただちに、絶縁抵抗を測定装置(楠本化成製 SIR 13)にて測定し初期の絶縁抵抗値とした。また、温度85℃、湿度85%R.H.の槽にサンプルを設置し、DC12Vを500時間、1000時間印加した後絶縁抵抗値を測定し評価した。評価の結果を表2のイオンマイグレーションに関する試験結果を記載する。表2において、「○」は絶縁抵抗が、1.0×108Ω以上、「△」は絶縁抵抗が、1.0×104Ω〜1.0×106Ω、「×」は絶縁抵抗が、1.0×104Ω以下であることを示している。
Figure 0006094695
表2に示すように、実施例1、実施例2、実施例3に相当するサンプル1−2、サンプル2−2、サンプル3−2においては、銀のイオンマイグレーションによる絶縁抵抗の低下が抑制されている。一方、サンプル4−2においては、初期の絶縁抵抗値はサンプル1−2、サンプル2−2、サンプル3−2と略同等であると評価することができるものの、イオンマイグレーション試験後の絶縁抵抗の値が著しく上昇していることが確認された。このように、実施例1、実施例2、実施例3に相当するサンプル1−2、サンプル2−2、サンプル3−2のように、銀反射層の一部が露出するように前記銀反射層を部分的に被覆してなる、銀よりも標準電極電位が低く、且つ、銀よりもヤング率の低い金属よりなる保護用金属を備えることで、銀のイオンマイグレーションによる絶縁抵抗の低下が抑制できると考えられる。
これらの評価結果より、実施例1、実施例2、実施例3におけるLED用リードフレーム10を使用して光半導体装置を作製した際には、イオンマイグレーションによる絶縁抵抗の低下に起因する信頼性の低下が抑えられることがわかる。また、同時に、空気中の硫化水素により銀反射面の着色に起因する光半導体装置の発光効率の低下を抑制すること、銅のパイルアップに起因する製造時のワイヤーボンディング不良の削減、及び、銅のパイルアップに起因する長期使用時の発光効率の低下の抑制に対しても優れた効果があることがわかる。
本発明は、LED素子を利用する種々の光半導体装置の製造において、初期の反射率を高く維持したうえで、銀反射層のイオンマイグレーション、硫化や銅のパイルアップによる着色を抑え長期にわたって抑制することにより、光半導体装置の発光効率の低下を抑制する有用な発明である。
10:LED用リードフレーム
10a:リードフレームLED置載面
11:LED素子
12:基材
13:銀反射層
14:保護用金属(銀よりも標準電極電位が低く、且つ、銀よりも弾性率の低い金属)
15:ボンディングワイヤ
16:リフレクタ
17:封止樹脂部
18:絶縁樹脂
19:絶縁スリット
20:溝部
21:第1リード部
22:第2リード部
23:第3リード部
30:光半導体装置
41:エッチング用レジスト
42:めっき用レジスト
51:銀合金又は銀の結晶粒子
52:露出した銀合金又は銀の粒界部
53:銀合金又は銀の粒界
61a:パッケージ連結部
61b:パッケージ連結部
61c:パッケージ連結部
101:インマイグレーション試験用リードフレーム
113:試験用リードフレーム銀反射層
114:試験用リードフレーム保護用金属
117:試験用リードフレーム封止樹脂部
118:試験用リードフレーム絶縁樹脂
119:試験用リードフレーム絶縁スリット
RA:リフレクタ形成領域
MA:載置領域
PA:パッケージ領域

Claims (2)

  1. LED素子を搭載するLED用リードフレームの製造において、前記リードフレームのLED素子を載置する載置面を有するリードフレームを準備し、前記リードフレームの載置面側に銀または銀合金を含む反射層として銀反射層を設け、前記銀反射層を熱処理することにより粒界を減少させ、次に、前記銀反射層の一部が露出するように、且つ、部分的に覆われた部位によって、前記銀反射層の表面に露出した銀の粒界部を減少させるように、保護用物質を形成することを特徴とするリードフレームの製造方法。
  2. 前記保護用物質で部分的に覆う処理は、銀よりも標準電極電位が低く、且つ、銀よりもヤング率の低い金属よりなる保護用金属をめっき法にて形成することを特徴とする請求項1に記載のリードフレームの製造方法。
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