以下、図面を参照して、本技術を適用した実施の形態について説明する。
〈第1の実施の形態〉
[音響効果調整装置の構成例]
本技術は、例えば音楽信号等の音響信号(音声信号)に対して、イコライザやサラウンドなどの音響効果調整や音響効果の切り替えを行なう場合に、ユーザに分かり易く、使い易いユーザインターフェースを提供するものである。すなわち、本技術は、グラフィックイコライザなど、各種の音響効果調整のためのユーザインターフェースのユニバーサルデザインを実現するものである。
図2は、本技術を適用した音響効果調整装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
図2の音響効果調整装置11は、入力部21、表示部22、制御部23、取得部24、音響効果調整部25、および再生部26から構成される。
入力部21は、例えばユーザにより操作されるボタンや、表示部22に重畳して設けられたタッチパネルなどからなり、ユーザの操作に応じた信号を制御部23に供給する。表示部22は、例えば液晶ディスプレイなどからなり、制御部23から供給された画像を表示する。また、表示部22には、入力部21を構成するタッチパネルが重畳して設けられている。
制御部23は音響効果調整装置11全体の動作を制御する。制御部23は、検出部31、設定部32、表示制御部33、および制御信号生成部34を備えている。
検出部31は、入力部21としてのタッチパネルから供給される信号に基づいて、ユーザのタッチパネルへの操作を検出する。設定部32は、検出部31による検出結果に基づいて、表示部22に表示される音響効果調整のための図形の変形量を設定する。
表示制御部33は、検出部31によるユーザ操作の検出結果等に応じて表示部22への画像の表示を制御する。制御信号生成部34は、検出部31による検出結果や設定部32により設定された変形量に基づいて、音響信号に対して行なわれる音響効果調整のための音響パラメータを変化させて、音響効果調整の処理のための制御信号を生成し、音響効果調整部25に供給する。
取得部24は、図示せぬ記録媒体や、有線または無線により接続されている他の装置から音響信号を取得して音響効果調整部25に供給する。
音響効果調整部25は、制御部23から供給された制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号の音響効果を調整し、再生部26に供給する。再生部26は、例えばスピーカなどから構成され、音響効果調整部25から供給された、音響効果調整後の音響信号に基づいて音声を再生する。
[音響効果調整部の構成例]
図2に示した音響効果調整装置11では、イコライザやサラウンドなどの音響効果調整が音響信号に対して行なわれるが、まず音響効果としてイコライザ調整を行なう場合について説明する。
そのような場合、音響効果調整部25は、例えば図3に示すように構成される。図3に示す音響効果調整部25は、ゲイン調整部61−1乃至ゲイン調整部61−n(但し、ゲイン調整部61−3乃至ゲイン調整部61−(n−1)は図示せず)から構成される。
ゲイン調整部61−1は、制御信号生成部34から供給された制御信号に応じて、取得部24から供給された音響信号SGの所定の周波数のゲインを調整し、その結果得られた音響信号SG1をゲイン調整部61−2に供給する。例えばゲイン調整部61−1では、音響信号の100Hzのゲインが調整される。
ゲイン調整部61−2は、制御信号生成部34から供給された制御信号に応じて、ゲイン調整部61−1から供給された音響信号SG1の所定の周波数のゲインを調整し、その結果得られた音響信号SG2をゲイン調整部61−3に供給する。例えばゲイン調整部61−2では、音響信号の500Hzのゲインが調整される。
同様に、ゲイン調整部61−i(但し、3≦i≦n−1)は、制御信号生成部34から供給された制御信号に応じて、ゲイン調整部61−(i−1)から供給された音響信号SG(i−1)の所定の周波数のゲインを調整し、その結果得られた音響信号SGiをゲイン調整部61−(i+1)に供給する。
ゲイン調整部61−nは、制御信号生成部34から供給された制御信号に応じて、ゲイン調整部61−(n−1)から供給された音響信号SG(n−1)の所定の周波数のゲインを調整し、その結果得られた音響信号SG’を再生部26に供給する。例えばゲイン調整部61−nでは、音響信号の10kHzのゲインが調整される。
なお、以下、ゲイン調整部61−1乃至ゲイン調整部61−nを個々に区別する必要のない場合、単にゲイン調整部61とも称する。
[イコライザ調整について]
このように音響効果調整部25において音響効果調整として、イコライザ調整が行なわれる場合、イコライザ調整のためのユーザインターフェースとして、表示部22には例えば図4に示す制御用図形CR11が表示される。
制御用図形CR11は、4つの点A、点B、点C、および点Dを頂点とする四角形の画像であり、この制御用図形CR11は、音響信号の音響パラメータと連動している。すなわち、ユーザが制御用図形CR11に対する操作を行なって、制御用図形CR11を連続的に変形させると、その変形と連動して音響パラメータも連続的に変化するようになっている。
具体的には、制御用図形CR11の点Aには、音響信号の低域、例えば100Hzのゲインが対応付けられており、制御用図形CR11の点Bには、音響信号の高域、例えば10kHzのゲインが対応付けられている。また、図4に示す制御用図形CR11の状態が完全フラット、つまり各周波数のイコライザ(ゲイン)調整量が0である状態であるものとする。
このような状態から、表示部22、つまり入力部21としてのタッチパネルの表面を、ユーザが右手HD11の2本の指で縦方向にピンチアウトしたとする。つまり、ユーザが右手HD11の人差し指と親指をタッチパネルに接触させ、その状態から人差し指と親指が図中、縦方向に離れていくようにタッチパネル表面をなぞる操作を行なったとする。
すると、音響効果調整装置11はユーザの指の動きを感知して、その動きを指のスライド量に変換する。そして、音響効果調整装置11は、得られたスライド量に応じて、縦方向に並ぶ制御用図形CR11の点Aおよび点Bを点A’および点B’に移動させ、4つの点A’、点B’、点C、および点Dを頂点とする四角形の制御用図形CR11’とする。つまり、制御用図形CR11が制御用図形CR11’へと変形される。
制御用図形CR11に対してこのような操作が行なわれると、点Aに対応付けられている音響信号の100Hzの特性と、点Bに対応付けられている音響信号の10kHzの特性とが、図中、右側に示すように変化する。なお、図4中、右側において横軸および縦軸は、それぞれ周波数および各周波数のゲインを示している。特に曲線C11および曲線C12は、音響信号の100Hz付近のゲイン、および10kHz付近のゲインを示している。
制御用図形CR11において、点Aには100Hzのゲインが割り当てられているので、点Aから点A’への移動量(変化量)は、音響信号の100Hzのイコライザの変化量を意味している。そのため、点Aが点A’へと移動すると、音響信号の100Hzの特性が曲線C11に示すようにA(すなわち0)からA’へと変化する。つまり、点Aの図中、縦方向の位置の変化量に応じて音響信号の100Hzのゲインが増減される。
また、制御用図形CR11において、点Bには10kHzのゲインが割り当てられているので、点Bから点B’への移動量(変化量)は、音響信号の10kHzのイコライザの変化量を意味している。そのため、点Bが点B’へと移動すると、音響信号の10kHzの特性が曲線C12に示すようにB(すなわち0)からB’へと変化する。つまり、点Bの図中、縦方向の位置の変化量に応じて音響信号の10kHzのゲインが増減される。
なお、より詳細には、曲線C11や曲線C12に示すように、100Hzまたは10kHzを中心とする所定の周波数帯域のゲインが調整される。また、ゲインの単位は例えばdBなどとされる。
このように、音響効果調整装置11は、図1に示したようなスライドバーによるイコライザ調整ではなく、制御用図形CR11の変形によるイコライザ調整を可能とするものである。
図1を参照して説明したスライドバーによるイコライザ調整は論理的であり、調整量が数値としてもはっきりと認識できるが、前述のように誰もがその意味や意図を理解できるとは限らない。また、操作も周波数ごとに個別に調整する必要があり、全体としてどのような調整をすれば思い通りの音響効果が得られるか直感的に理解できるわけではない。
これに対して、図4の例では、低域(100Hz)と高域(10kHz)という2つの音響パラメータのみに絞っている分、2つの音響パラメータの変化を1つの制御用図形CR11で視覚化して把握させることができる。そのため、ユーザは、どのように制御用図形CR11を変形させれば、どのような音響効果が得られるかという関連性を高く認識可能となり、直感的な操作を行うことができるようになる。よって、ユーザは、音響パラメータの詳細を知らなくても、音響信号の特性を、自身の嗜好に合わせたイコライザ特性に調整することが可能となる。
さらに、ユーザが制御用図形CR11に対する操作を、より簡単に把握することができるようにするために、制御用図形CR11近傍に、対応付けられた音響パラメータを想起させる画像が表示されるようにしてもよい。
例えば、図4の例では、表示部22は制御用図形CR11の点A近傍にドラムのイメージ画像を表示させ、点B近傍にはハイハットのイメージ画像を表示させ、さらにこれらのイメージ画像を、制御用図形CR11の変形に連動させて拡大縮小して表示させる。
これにより、ユーザはより直感的に制御用図形CR11に対する操作、つまりイコライザ調整の操作を行なうことができるようになる。すなわち、例えばユーザは、ドラムのイメージ画像を見ることで、点Aに対する操作が音響信号の低域の強調に関する操作であることを容易に把握することができる。
なお、イメージ画像の変形については、それぞれの特性の変化をイメージすることができるものであれば、どのうような方法により変形されてもよい。また、図4では、100Hz,10kHzともにゲインを増加する例について説明したが、それらのゲインを減少させることも勿論可能である。さらに、100Hzのみ、または10kHzのみのゲイン調整も可能である。
[音響効果調整処理の説明]
次に、図5のフローチャートを参照して、音響効果調整装置11が図4に示した制御用図形CR11に対する操作に応じて、音響信号に対するイコライザ調整(ゲイン調整)を行なう処理である、音響効果調整処理について説明する。
ステップS11において、表示制御部33は、制御用図形CR11の画像データを表示部22に供給して、表示部22に制御用図形CR11を表示させる。すると、表示部22は、表示制御部33から供給された画像データに基づいて制御用図形CR11を表示する。
表示部22に制御用図形CR11が表示されると、ユーザは制御用図形CR11に対する操作を行なう。なお、制御用図形CR11に対する操作は、制御用図形CR11上で行なわれてもよいし、制御用図形CR11近傍の領域において行なわれてもよい。
ユーザが制御用図形CR11に対する操作を行なうと、入力部21としてのタッチパネルは、ユーザの操作に応じた信号を制御部23に供給する。
ステップS12において、検出部31は、入力部21から供給された信号に基づいて、ユーザのタッチパネル(制御用図形CR11)に対する操作を検出する。
具体的には、検出部31は、タッチパネル上におけるユーザのタッチ位置、つまりユーザの指の接触位置と、ユーザのタッチパネルへのタッチ数、つまりユーザがタッチパネルに接触させた指の数(タッチ位置の数)とを検出する。また、検出部31は、タッチパネルへと接触させたユーザの指の移動量をスライド量として検出する。
例えば、図4の例では、ユーザは右手HD11の人差し指と親指でタッチパネルをタッチしているので、検出部31により検出されるタッチ数は2となる。また、右手HD11の人差し指と親指のタッチパネルへの接触位置が、それぞれタッチ位置として検出部31により検出される。さらに、右手HD11の人差し指のタッチパネル上での移動量(移動距離)と、右手HD11の親指のタッチパネル上での移動量とが、それぞれの指のスライド量として検出部31により検出される。
ステップS13において、設定部32は、検出部31により検出されたタッチ数が2であるか否かを判定する。例えば、図4に示した例では、タッチ数が2であると判定される。
ステップS13においてタッチ数が2であると判定された場合、ステップS14において、設定部32は、検出部31により検出されたスライド量に応じて、制御用図形CR11の点Aおよび点Bの移動距離を設定する。
具体的には、図4の例では右手HD11の人差し指と親指のそれぞれについて、各指のスライド量が検出されるので、設定部32は、それらの2つのスライド量のうちの何れか一方、例えば2つのスライド量のうちのより大きい方を選択する。そして、設定部32は選択したスライド量に対して予め定められた距離を、点Aおよび点Bの移動距離とする。この場合、点Aおよび点Bの移動距離は同じ距離となる。ここで、例えば点Aの移動距離とは、図4における点Aと、点Aの移動先である点A’との距離である。
なお、2つのスライド量のうちの一方に限らず、2つのスライド量の平均値などから点Aおよび点Bの移動距離が定められるようにしてもよい。
また、点Aと点Bの移動距離が個別に求められるようにしてもよい。そのような場合、例えば図4中、タッチ位置がより上側である人差し指のスライド量に基づいて点Bの移動距離が定められ、タッチ位置がより下側である親指のスライド量に基づいて点Aの移動距離が定められる。
ステップS15において、表示制御部33は、ステップS14で定められた点Aおよび点Bの移動距離に基づいて表示部22を制御し、制御用図形CR11を上下方向、すなわち点Aと点Bとを結ぶ直線の方向に変形させる。
例えば、図4の例では点Aおよび点Bが定められた移動距離だけ移動される。これにより点Aと点Bは、それぞれ点A’と点B’に移動し、その結果、制御用図形CR11が変形されて制御用図形CR11’となる。
なお、図4の例のようにユーザの制御用図形CR11に対する操作がピンチアウト操作である場合には、点Aと点Bが制御用図形CR11の外側に向かって移動するように変形が行なわれて、制御用図形CR11が拡大される。
逆に、ユーザの制御用図形CR11に対する操作がピンチイン操作、つまり例えばユーザが右手HD11の人差し指と親指をタッチパネルに接触させ、その状態から人差し指と親指が図4中、縦方向に近付いていくようにタッチパネル表面をなぞる操作を行なったとする。そのような場合には、ユーザによるピンチイン操作に応じて定められた移動距離だけ点Aと点Bが互いに接近するように移動され、制御用図形CR11が縮小される。
ステップS16において、制御信号生成部34は、制御用図形CR11の変形に応じたゲインを決定する。
例えば、制御信号生成部34は、図4の例では点Aの移動距離と移動方向に応じて100Hzのイコライザのゲインを決定するとともに、点Bの移動距離と移動方向に応じて10kHzのイコライザのゲインを決定する。
このとき、点Aおよび点Bの移動方向が制御用図形CR11の外側方向である場合には、点Aおよび点Bのそれぞれに対応付けられた音響信号の100Hzおよび10kHzのゲインが増幅される。これに対して、点Aおよび点Bの移動方向が制御用図形CR11の内側方向である場合には、点Aおよび点Bのそれぞれに対応付けられた音響信号の100Hzおよび10kHzのゲインが減衰される。
また、点Aや点Bに対応付けられた各周波数のゲインの増幅量または減衰量は、その点の移動距離が長くなるにしたがって、ゲインの増幅量または減衰量の絶対値が連続的に大きくなるように定められている。
制御信号生成部34は、完全フラットである制御用図形CR11の状態に対する点A’と点B’の位置、つまり点Aと点Bの移動方向および移動距離に基づいて各周波数のゲイン(イコライザ調整量)を決定すると、決定されたゲインに応じて制御信号を生成する。すなわち、制御信号生成部34は、決定されたゲイン特性が得られるように、音響信号のゲインを示す制御信号を生成し、音響効果調整部25の各ゲイン調整部61に供給する。
ステップS17において、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号に対するイコライザ調整を行い、その結果得られた音響信号を再生部26に供給する。
具体的には、例えば図4に示した操作が行なわれ、ゲイン調整部61のうち、ゲイン調整部61−1およびゲイン調整部61−nにおいて、それぞれ100Hzおよび10kHzのゲイン調整が行なわれるとする。
この場合、ゲイン調整部61−1は、取得部24から供給された音響信号SGに対して制御信号に基づく100Hzのゲイン調整を行ない、その結果得られた音響信号SG1をゲイン調整部61−2に供給する。また、ゲイン調整部61−2乃至ゲイン調整部61−(n−1)は、前段のゲイン調整部61−1乃至ゲイン調整部61−(n−2)から供給された音響信号をそのまま後段のゲイン調整部61−3乃至ゲイン調整部61−nに供給する。
さらに、ゲイン調整部61−nは、ゲイン調整部61−(n−1)から供給された音響信号SG(n−1)に対して制御信号に基づく10kHzのゲイン調整を行ない、その結果得られた音響信号SG’を再生部26に供給する。再生部26は、ゲイン調整部61−nから供給された音響信号SG’に基づいて音声を再生する。
このようにして音響信号のゲイン調整が行なわれると、音響効果調整処理は終了する。なお、実際にはステップS15の処理とステップS17の処理とはほぼ同時に行なわれる。
また、ステップS13において、タッチ数が2でないと判定された場合、すなわち検出部31により検出されたタッチ数が1である場合、処理はステップS18へと進む。
ステップS18において、設定部32は、検出部31により検出されたタッチ位置が制御用図形CR11の中心よりも下側、つまり点A側であるか否かを判定する。例えば、図4において、ユーザによるタッチ位置が、点Cと点Dを結ぶ直線よりも図中、下側にある場合、タッチ位置が制御用図形CR11の中心よりも下側であると判定される。
ステップS18において、タッチ位置が制御用図形CR11の中心よりも下側であると判定された場合、ステップS19において、設定部32は、検出部31により検出されたスライド量に応じて、制御用図形CR11の点Aの移動距離を設定する。具体的には、設定部32は、検出された1つのスライド量に対して予め定められた距離を点Aの移動距離とする。
ステップS20において、表示制御部33は、ステップS19で定められた点Aの移動距離に基づいて表示部22を制御し、制御用図形CR11を下方向、すなわち点Aと点Bとを結ぶ直線の方向であって、点Bから点Aに向かう方向に変形させる。
例えば、制御用図形CR11が点A’,点B,点C,点Dを頂点とする図形に変形される。なお、ユーザによって点Aを図4中、上側に移動させる操作が行なわれた場合、つまりユーザの指のスライド方向が図4中、上側である場合には、点Aが上側に移動するように制御用図形CR11が変形する。
ステップS21において、制御信号生成部34は、制御用図形CR11の変形に応じたゲインを決定する。
具体的には、制御信号生成部34は点Aの移動距離と移動方向に応じて、点Aに対応付けられた周波数である100Hzのイコライザのゲインを決定する。なお、ステップS21では、ステップS16における場合と同様にしてゲインが決定される。
制御信号生成部34は、点Aに対応付けられた周波数のゲイン(イコライザ調整量)を決定すると、決定されたゲインに応じて制御信号を生成し、音響効果調整部25の各ゲイン調整部61に供給する。
ステップS22において、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号に対するイコライザ調整を行い、その結果得られた音響信号を再生部26に供給する。すなわち、ステップS22ではステップS17と同様の処理が行なわれる。但し、ステップS22では、点Aに対応付けられた周波数のイコライザ調整(ゲイン調整)のみが行なわれる。
音響効果調整部25は、音響信号のイコライザ調整を行なうと、その結果得られた音響信号を再生部26に供給し、音響効果調整処理は終了する。再生部26では、音響効果調整部25から供給された音響信号に基づいて音声が再生される。
さらに、ステップS18において、タッチ位置が制御用図形CR11の中心よりも下側でない、つまりタッチ位置が制御用図形CR11の中心よりも上側であると判定された場合、処理はステップS23へと進む。
ステップS23において、設定部32は、検出部31により検出されたスライド量に応じて、制御用図形CR11の点Bの移動距離を設定する。具体的には、設定部32は、検出された1つのスライド量に対して予め定められた距離を点Bの移動距離とする。
ステップS24において、表示制御部33は、ステップS23で定められた点Bの移動距離に基づいて表示部22を制御し、制御用図形CR11を上方向、すなわち点Aと点Bとを結ぶ直線の方向であって、点Aから点Bに向かう方向に変形させる。
例えば、制御用図形CR11が点A,点B’,点C,点Dを頂点とする図形に変形される。なお、ユーザによって点Bを図4中、下側に移動させる操作が行なわれた場合、つまりユーザの指のスライド方向が図4中、下側である場合には、点Bが下側に移動するように制御用図形CR11が変形する。
ステップS25において、制御信号生成部34は、制御用図形CR11の変形に応じたゲインを決定する。
具体的には、制御信号生成部34は点Bの移動距離と移動方向に応じて、点Bに対応付けられた周波数である10kHzのイコライザのゲインを決定する。なお、ステップS25では、ステップS16における場合と同様にしてゲインが決定される。
制御信号生成部34は、点Bに対応付けられた周波数のゲイン(イコライザ調整量)を決定すると、決定されたゲインに応じて制御信号を生成し、音響効果調整部25の各ゲイン調整部61に供給する。
ステップS26において、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号に対するイコライザ調整を行い、その結果得られた音響信号を再生部26に供給する。すなわち、ステップS26ではステップS17と同様の処理が行なわれて、点Bに対応付けられた周波数のゲインが調整される。
音響効果調整部25は、音響信号のイコライザ調整を行なうと、その結果得られた音響信号を再生部26に供給し、音響効果調整処理は終了する。再生部26では、音響効果調整部25から供給された音響信号に基づいて音声が再生される。
以上のようにして、音響効果調整装置11は、ユーザの制御用図形CR11に対する操作に応じて、制御用図形CR11を変形させるとともに、その変形に応じて音響信号に対するイコライザ調整を行なう。
音響効果調整装置11によれば、ユーザ操作に応じてイコライザ調整のための音響パラメータが対応付けられた点Aや点Bを移動させて制御用図形CR11を変形させると同時に、その変形に応じて音響効果を調整することで、ユーザの直感的な操作を実現できるようになる。すなわち、ユーザに対して、より分かり易く使い易いユーザインターフェースを提供することができる。これにより、ユーザは、どのように制御用図形CR11を変形させれば、どのような音響効果が得られるかを簡単に知ることができるようになる。
なお、本明細書では、制御用図形CR11に対する操作として代表的なものについてのみ記載しているが、制御用図形CR11に対する操作のバリエーションとして他に多くのものが考えられ、それらの操作のバリエーションに対応する音響効果の調整に対しても、本技術は適用可能である。
また、ユーザが入力部21としてのタッチパネルに対してタッチ操作等を行なうことで、制御用図形に対する操作を行なう例について説明したが、その他、ユーザが入力部21としてのマウスなどを操作することで、制御用図形に対する操作が行なわれてもよい。
そのような場合、例えばユーザは、入力部21としてのマウスを操作することで、表示部22に制御用図形とともに表示されているポインタを移動させ、制御用図形に対するクリック操作やスライド操作を行なう。すると、検出部31は、入力部21から供給される信号に基づいて、ユーザの制御用図形に対する操作を検出し、表示制御部33や制御信号生成部34は、検出部31の検出結果に応じて制御用図形を変形させたり、制御信号を生成したりする。
〈第2の実施の形態〉
[イコライザ調整について]
さらに、以上においては、制御用図形CR11の点Aと点Bに所定周波数のゲイン調整が対応付けられている例について説明したが、さらに制御用図形CR11の点Cと点Dに、所定周波数のゲインとは異なる他の音響パラメータが対応付けられるようにしてもよい。
そのような場合、例えば図6に示すように点Cと点Dに、音響パラメータとしてイコライザのQ値(鋭さ)を対応付けることが考えられる。なお、図6において、図4における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
図6では、表示部22には制御用図形CR11が変形されて得られた制御用図形CR11’が表示されている。
図6の例においても制御用図形CR11’の点A’と点B’には、それぞれ100Hzのゲインおよび10kHzのゲインが対応付けられており、制御用図形CR11’は、完全フラットの状態から100Hzと10kHzのゲインが上げられた状態となっている。
また、この例では、制御用図形CR11’の点Cには100HzのゲインのQ値が対応付けられており、また点Dには10kHzのゲインのQ値が対応付けられている。
例えば図6に示すように、表示部22(タッチパネル)上で、ユーザが右手HD11の2本の指で横方向にピンチアウトしたとする。すると、音響効果調整装置11はユーザの指の動きを感知して、その動きを指のスライド量に変換する。そして、音響効果調整装置11は、得られたスライド量に応じて、横方向に並ぶ制御用図形CR11’の点Cおよび点Dを点C’および点D’に移動させ、4つの点A’、点B’、点C’、および点D’を頂点とする四角形の制御用図形CR11’’とする。つまり、制御用図形CR11’が制御用図形CR11’’へと変形される。
なお、ここでは、表示部22上の制御用図形CR11’の外部の領域で、ユーザの右手HD11によるピンチアウト操作がされているが、制御用図形CR11’に対するユーザの操作は、制御用図形CR11’内部の領域で行なわれても勿論よい。
制御用図形CR11’に対してこのような操作が行なわれると、点Cに対応付けられている音響信号の100HzのQ値と、点Dに対応付けられている音響信号の10kHzのQ値とが、図中、右側に示すように変化する。なお、図6中、右側において横軸および縦軸は、それぞれ周波数および各周波数のゲインを示している。特に曲線C21および曲線C22は、音響信号の100Hz付近のゲイン、および10kHz付近のゲインを示している。
制御用図形CR11’において、点Cには100HzのゲインのQ値が対応付けられているので、点Cから点C’への移動量(変化量)は、音響信号の100HzのイコライザのQ値の変化量を意味している。
そのため、点Cが点C’へと移動すると、音響信号の100Hz付近のゲイン特性が曲線C11から曲線C21へと変化する。つまり、音響信号の100Hz付近のゲインを示す曲線の周波数方向の幅(鋭さ)がより広くなる。
同様に、制御用図形CR11’において、点Dには10kHzのゲインのQ値が対応付けられているので、点Dから点D’への移動量は、音響信号の10kHzのイコライザのQ値の変化量を意味している。そのため、点Dが点D’へと移動すると、音響信号の10kHz付近のゲイン特性が曲線C12から曲線C22へと変化する。つまり、音響信号の10kHz付近のゲインを示す曲線の周波数方向の幅がより広くなる。
このように制御用図形CR11’の幅が広くなることは、音質的には、対応付けられた周波数のQ値が下がり、ゲインの調整帯域幅が広くなることに相当するので、よりブースト感の強い音響効果を得ることができるようになる。
制御用図形CR11’に対する横方向の操作、つまり点Cや点Dに対する操作は、制御用図形CR11’という図形の変化と、イコライザの特性変化とのイメージの一致度が高く直感的であるといえる。このように、100Hzや10kHzのイコライザのゲインのみでなく、それぞれのQ値の調整も同じ1つの制御用図形CR11’を変形させることで実現できるようにすると、使い勝手を向上させることができる。
さらに、ユーザが制御用図形CR11’に対する操作を、より簡単に把握することができるようにするために、制御用図形CR11’の点Cや点Dの近傍に、対応付けられた音響パラメータを想起させる画像が表示されるようにしてもよい。
例えば、点C近傍にドラムのイメージ画像を表示させ、点D近傍にはハイハットのイメージ画像を表示させ、さらにこれらのイメージ画像を、制御用図形CR11’の変形に連動させて横方向にのみ拡大縮小して表示させる。これにより、ユーザはより直感的に制御用図形CR11’に対する操作を行なうことができるようになる。
なお、イメージ画像の変形については、それぞれの特性の変化をイメージすることができるものであれば、どのうような方法により変形されてもよい。但し、点A’や点B’近傍にもドラムやハイハットのイメージ画像が表示される場合には、それらのイメージ画像の変形方法が同じとならないようにする必要がある。
具体的には、点C近傍と点A’近傍にドラムのイメージ画像が表示され、点D近傍と点B’近傍にハイハットのイメージ画像が表示されるとする。そのような場合に、点A’と点B’近傍に配置されるイメージ画像については、そのイメージ画像の大きさを変化させる。また、点Cと点D近傍に配置されるイメージ画像については、そのイメージ画像の色の濃淡や解像度を変化させる。これにより、音響効果の違いを簡単にユーザに把握させることができる。
[音響効果調整処理の説明]
図6に示したように、制御用図形に対する横方向の操作が行なわれる場合、音響効果調整装置11は、図7のフローチャートに示す音響効果調整処理を行なって、音響信号に対するイコライザ調整を行なう。以下、図7のフローチャートを参照して、音響効果調整装置11による音響効果調整処理について説明する。
なお、ステップS51乃至ステップS53の処理は、図5のステップS11乃至ステップS13の処理と同様であるので、その説明は省略する。但し、ステップS51の処理では、例えば図6に示した制御用図形CR11’が表示部22に表示される。また、以下では、制御用図形CR11’が表示された場合を例として説明を続ける。
ステップS53においてタッチ数が2であると判定された場合、ステップS54において、設定部32は、検出部31により検出されたスライド量に応じて、制御用図形CR11’の点Cおよび点Dの移動距離を設定する。例えば、ステップS53では、図5のステップS14と同様の処理が行なわれて点Cと点Dの移動距離が設定される。
ステップS55において、表示制御部33は、ステップS54で定められた点Cおよび点Dの移動距離に基づいて表示部22を制御し、制御用図形CR11’を左右方向、すなわち点Cと点Dとを結ぶ直線の方向に変形させる。
例えば、図6の例では点Cおよび点Dが定められた移動距離だけ移動される。これにより点Cと点Dは、それぞれ点C’と点D’に移動し、その結果、制御用図形CR11’が変形されて制御用図形CR11’’となる。
なお、図6の例のようにユーザの制御用図形CR11’に対する操作がピンチアウト操作である場合には、点Cと点Dが制御用図形CR11’の外側に向かって移動するように変形が行なわれて、制御用図形CR11’が拡大される。逆に、ユーザがピンチイン操作を行なった場合には、その操作に応じて定められた移動距離だけ点Cと点Dが互いに接近するように移動され、制御用図形CR11’が縮小される。
ステップS56において、制御信号生成部34は、制御用図形CR11’の変形に応じたイコライザのQ値を決定する。
例えば、制御信号生成部34は、図6の例では点Cの移動距離と移動方向に応じて100HzのイコライザのQ値を決定するとともに、点Dの移動距離と移動方向に応じて10kHzのイコライザのQ値を決定する。
このとき、点Cおよび点Dの移動方向が制御用図形CR11’の外側方向である場合には、点Cおよび点Dのそれぞれに対応付けられた音響信号の100Hzおよび10kHzのゲインのQ値が減少する。これに対して、点Cおよび点Dの移動方向が制御用図形CR11’の内側方向である場合には、点Cおよび点Dのそれぞれに対応付けられた音響信号の100Hzおよび10kHzのゲインのQ値が増加する。
また、点Cや点Dに対応付けられた各周波数のゲインのQ値の増加量または減少量は、その点の移動距離が長くなるにしたがって、ゲインのQ値の増加量または減少量の絶対値が連続的に大きくなるように定められる。
制御信号生成部34は、制御用図形CR11’’の点C’と点D’の位置、つまり点Cと点Dの移動方向および移動距離に基づいて各周波数のゲイン(イコライザ)のQ値を決定すると、決定されたQ値に応じて制御信号を生成する。すなわち、制御信号生成部34は、決定されたQ値のイコライザ特性(ゲイン特性)が得られるように、音響信号のQ値を示す制御信号を生成し、音響効果調整部25の各ゲイン調整部61に供給する。
ステップS57において、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号に対するイコライザ調整を行い、その結果得られた音響信号を再生部26に供給する。
具体的には、各ゲイン調整部61は、制御信号により示されるゲインおよびQ値で、供給された音響信号に対するゲイン調整を行なう。音響信号に対するゲイン調整(イコライザ調整)が行なわれると、音響効果調整部25は、得られた音響信号を再生部26に供給する。再生部26は、音響効果調整部25から供給された音響信号に基づいて音声を再生する。このようにして音響信号のイコライザ調整が行なわれると、音響効果調整処理は終了する。
また、ステップS53において、タッチ数が2でないと判定された場合、すなわち検出部31により検出されたタッチ数が1である場合、処理はステップS58へと進む。
ステップS58において、設定部32は、検出部31により検出されたタッチ位置が制御用図形CR11’の中心よりも左側、つまり点C側であるか否かを判定する。例えば、図6において、ユーザによるタッチ位置が、点A’と点B’を結ぶ直線よりも図中、左側にある場合、タッチ位置が制御用図形CR11’の中心よりも左側であると判定される。
ステップS58において、タッチ位置が制御用図形CR11’の中心よりも左側であると判定された場合、ステップS59において、設定部32は、検出部31により検出されたスライド量に応じて、制御用図形CR11’の点Cの移動距離を設定する。具体的には、設定部32は、検出された1つのスライド量に対して予め定められた距離を点Cの移動距離とする。
ステップS60において、表示制御部33は、ステップS59で定められた点Cの移動距離に基づいて表示部22を制御し、制御用図形CR11’を左方向、すなわち点Cと点Dとを結ぶ直線の方向であって、点Dから点Cに向かう方向に変形させる。
例えば、制御用図形CR11’が点A’,点B’,点C’,点Dを頂点とする図形に変形される。なお、ユーザによって点Cを図6中、右方向に移動させる操作が行なわれた場合、つまりユーザの指のスライド方向が図6中、右方向である場合には、点Cが右側に移動するように制御用図形CR11’が変形する。
ステップS61において、制御信号生成部34は、制御用図形CR11’の変形に応じたイコライザのQ値を決定する。
具体的には、制御信号生成部34は点Cの移動距離と移動方向に応じて、点Cに対応付けられた100HzのイコライザのQ値を決定する。なお、ステップS61では、ステップS56における場合と同様にしてゲインが決定される。
制御信号生成部34は、点Cに対応付けられた周波数のQ値を決定すると、決定されたQ値に応じて制御信号を生成し、音響効果調整部25の各ゲイン調整部61に供給する。
ステップS62において、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号に対するイコライザ調整を行い、その結果得られた音響信号を再生部26に供給する。すなわち、ステップS62ではステップS57と同様の処理が行なわれる。
音響効果調整部25は、音響信号のイコライザ調整を行なうと、その結果得られた音響信号を再生部26に供給し、音響効果調整処理は終了する。再生部26では、音響効果調整部25から供給された音響信号に基づいて音声が再生される。
さらに、ステップS58において、タッチ位置が制御用図形CR11’の中心よりも左側でない、つまりタッチ位置が制御用図形CR11’の中心よりも右側であると判定された場合、処理はステップS63へと進む。
ステップS63において、設定部32は、検出部31により検出されたスライド量に応じて、制御用図形CR11’の点Dの移動距離を設定する。具体的には、設定部32は、検出された1つのスライド量に対して予め定められた距離を点Dの移動距離とする。
ステップS64において、表示制御部33は、ステップS63で定められた点Dの移動距離に基づいて表示部22を制御し、制御用図形CR11’を右方向、すなわち点Cと点Dとを結ぶ直線の方向であって、点Cから点Dに向かう方向に変形させる。
例えば、制御用図形CR11’が点A’,点B’,点C,点D’を頂点とする図形に変形される。なお、ユーザによって点Dを図6中、左側に移動させる操作が行なわれた場合、つまりユーザの指のスライド方向が図6中、左側である場合には、点Dが左方向に移動するように制御用図形CR11’が変形する。
ステップS65において、制御信号生成部34は、制御用図形CR11’の変形に応じたイコライザのQ値を決定する。
具体的には、制御信号生成部34は点Dの移動距離と移動方向に応じて、点Dに対応付けられた10kHzのイコライザのQ値を決定する。なお、ステップS65では、ステップS56における場合と同様にしてQ値が決定される。
制御信号生成部34は、点Dに対応付けられた周波数のQ値を決定すると、決定されたQ値に応じて制御信号を生成し、音響効果調整部25の各ゲイン調整部61に供給する。
ステップS66において、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号に対するイコライザ調整を行い、その結果得られた音響信号を再生部26に供給する。すなわち、ステップS66ではステップS57と同様の処理が行なわれて、点Dに対応付けられた周波数のゲインが調整される。
音響効果調整部25は、音響信号のイコライザ調整を行なうと、その結果得られた音響信号を再生部26に供給し、音響効果調整処理は終了する。再生部26では、音響効果調整部25から供給された音響信号に基づいて音声が再生される。
以上のようにして、音響効果調整装置11は、ユーザの制御用図形CR11’に対する横方向の操作に応じて、制御用図形CR11’を変形させるとともに、その変形に応じたQ値で音響信号に対するイコライザ調整を行なう。
音響効果調整装置11によれば、ユーザ操作に応じてイコライザ調整のための音響パラメータが対応付けられた点Cや点Dを移動させて制御用図形CR11’を変形させると同時に、その変形に応じて音響効果を調整することで、ユーザの直感的な操作を実現できるようになる。すなわち、ユーザに対して、より分かり易く使い易いユーザインターフェースを提供することができる。
なお、本明細書では、制御用図形CR11’に対するQ値変更の操作として代表的なものについてのみ記載しているが、制御用図形CR11’に対する操作のバリエーションとして他に多くのものが考えられ、それらの操作のバリエーションに対応する音響効果の調整に対しても、本技術は適用可能である。
また、表示制御部33が表示部22に、制御用図形CR11’とともに、制御用図形に対応付けられる音響パラメータを変更するための切替画像を表示させ、ユーザが切替画像に対する操作を行なうことで、表示される制御用図形を切り替えるようにしてもよい。そのような場合、例えば制御用図形CR11’が表示されている状態で、ユーザが切替画像をタッチするなどすると、表示制御部33はこれまで表示されていた制御用図形CR11’に代えて、制御用図形CR11’とは異なる他の制御用図形を表示させる。この制御用図形の各頂点には、例えばイコライザ効果とは異なる他の音響効果を調整するための音響パラメータが対応付けられている。
〈第3の実施の形態〉
[イコライザ調整について]
さらに、図4に示した制御用図形CR11’の状態から、ユーザが制御用図形CR11’に対する横方向の操作を行なって、点A’や点B’を他の2つの点に分割できるようにしてもよい。
そのような場合、制御用図形CR11’の点A’に対して横方向の操作が行なわれると、例えば図8に示すように点A’が点A1と点A2に分割される。なお、図8において図4における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
この例では、制御用図形CR11’の点Cと点Dには音響パラメータは対応付けられていない。また、この例では制御用図形CR11’が表示された状態で、ユーザが右手HD11で制御用図形CR11’の図中、下側の領域に対してピンチアウト操作を行なっている。
このようなピンチアウト操作が行なわれると、制御用図形CR11’の点A’が2つの点A1と点A2に分割される。これにより、制御用図形CR11’が、点A1、点A2、点B’、点C、および点Dを頂点とする五角形の制御用図形CR12に変形される。
変形により得られた制御用図形CR12では、点A1には50Hzのゲインが対応付けられており、点A2には200Hzのゲインが対応付けられている。
また、点A’の点A1および点A2への分割によって、音響信号のゲイン特性は、図中、右側に示すように変化する。なお、図8中、右側において横軸および縦軸は、それぞれ周波数および各周波数のゲインを示している。特に曲線C31および曲線C32は、音響信号の50Hz付近のゲイン、および200Hz付近のゲインを示している。
制御用図形CR11’が表示されている状態では、点A’に対応付けられていた100Hzのゲイン特性が曲線C11に示す特性となっていた。この状態では、50Hzおよび200Hzのゲインは0となっている。
その後、点A’が点A1と点A2に分割されると、点A’に対応付けられていた100Hzのゲインは0となり、分割で得られた点A1と点A2に対応付けられた50Hzおよび200Hz付近のゲインは、曲線C31および曲線C32に示すようになる。この例では、50Hzおよび200Hzのゲインは、曲線C11に示される100Hzのゲインと同じ大きさとなっている。このように、点A’を点A1と点A2の2つの点に分割し、それらの点に対応付けられた周波数のゲインを変更することで、イコライザ特性のより細かい調整が可能となる。
このように点A’を点A1と点A2に分割する操作が行なわれると、表示制御部33は、表示部22に分割後の制御用図形CR12を表示させるとともに、制御信号生成部34は点A’の分割に応じた制御信号を生成し、音響効果調整部25に供給する。そして、音響効果調整部25は、供給された制御信号に応じて、音響信号の50Hzと200Hzのゲインを調整する。
なお、ここでは、点A’を点A1と点A2に分割する例について説明したが、同様に点B’を2つの点B1と点B2とに分割することも可能である。例えば、点A’の分割と点B’の分割とが行なわれる場合、図8において点Cと点Dとを結ぶ直線よりも図中、上側の領域で、ユーザにより横方向へのスライド操作が行なわれたときには、点B’が分割される。また、図8において点Cと点Dとを結ぶ直線よりも図中、下側の領域で、ユーザにより横方向へのスライド操作が行なわれたときには、点A’が分割される。
さらに、ユーザの横方向へのピンチアウト操作やピンチイン操作などの指のスライド量に応じて、分割後の点に対応付けられるゲインの周波数が変化するようにしてもよい。
その他、点Cや点DにQ値が対応付けられている場合、制御用図形CR11’の内側の領域でユーザによるタッチ操作が行なわれたときには、点Cや点Dに対応付けられたQ値が変更され、制御用図形CR11’の外側の領域でタッチ操作が行なわれたときには、点A’や点B’の分割が行なわれるようにしてもよい。
〈第3の実施の形態の変形例1〉
[イコライザ調整について]
さらに、図8の制御用図形CR12が表示された後、ユーザの点A1や点A2に対する縦方向への操作によって、点A1や点A2に対応付けられた周波数のゲインが調整されるようにしてもよい。
例えば、図9に示すように制御用図形CR12が表示された状態で、ユーザが点A2近傍の領域で、右手HD11の人差し指による図中、上方向へのスライド操作が行なわれたとする。なお、図9において図8における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図9では、ユーザが点A2近傍の領域でスライド操作を行なうと、そのスライド操作のスライド量に応じた距離だけ点A2がスライド方向へと移動する。この例では、点A2は点A2’に移動している。これにより、制御用図形CR12は、点A1、点A2’、点B’、点C、および点Dを頂点とする五角形の制御用図形CR12’に変形される。
そして、制御用図形CR12の変形に応じて、点A2に対応付けられていた音響信号の200Hzのゲイン特性は、図中、右側に示すように変化する。なお、図9中、右側において横軸および縦軸は、それぞれ周波数および各周波数のゲインを示している。特に曲線C41は、音響信号の200Hz付近のゲインを示している。
つまり、点A2が点A2’へと移動すると、その移動にともなって、音響信号の200Hz付近のゲイン特性は、図8の曲線C32に示した特性から、図9の曲線C41に示す特性へと変化する。この例では、点A2は図中、上方向へと移動しているので、200Hz付近のゲインは点A2の移動前と比べて減少している。
以上のように、1つの制御用図形の各頂点に対して、イコライザに関する様々な音響パラメータを対応付け、制御用図形の変形に応じて音響パラメータを変化させることで、より分かり易く、使い易いユーザインターフェースを提供することができる。すなわち、ユーザは、制御用図形の形状変化を見ながら直感的に音響パラメータの調整操作を行なうことができるようになる。
〈第4の実施の形態〉
[従来のサラウンド調整について]
さらに、以上においては音響効果の調整としてイコライザ調整を行なう場合について説明したが、音響信号のサラウンド調整を行なうようにしてもよい。
従来、音響効果調整としてサラウンド調整が行なわれる場合、例えば図10に示すように、サラウンド選択画面上で、いくつかのサラウンドのモードのうちの何れかをユーザが選択すると、選択されたモードに応じてサラウンド調整が行なわれる。
図10では、サラウンド選択画面の図中、下側には4つの選択ボックスCK11乃至選択ボックスCK14が横方向に並べられている。ユーザは、これらの選択ボックスCK11乃至選択ボックスCK14の何れかを選択することで、1つのサラウンドモードを選択することができる。この例では、選択ボックスCK12が選択されている。
選択ボックスCK11は、サラウンドモードとしてのオフモードを選択するときに操作される選択ボックスであり、選択ボックスCK11の図中、上側には文字「OFF」が記されている。オフモードはサラウンド効果をオフにするモードであり、オフモードが選択されると、音響信号に対するサラウンド効果調整は行なわれない。
選択ボックスCK12は、サラウンドモードとしてのスタジオモードを選択するときに操作される選択ボックスであり、選択ボックスCK12の図中、上側にはスタジオモードの音響、つまり奥行き感や広がり感をイメージさせる画像PIC11が表示されている。
スタジオモードは、例えば再生された音響信号を聴くユーザが受聴者となる仮想的な空間(以下、仮想受聴空間とも称する)が小さいスタジオであり、そのスタジオの奥行き感や広がり感はそれほど強くないというサラウンド効果が得られるモードである。
ここで、奥行き感とは、仮想受聴空間にいる受聴者としてのユーザからみて奥行き方向に対する仮想受聴空間の大きさ、つまり広がりをいい、広がり感とは、仮想受聴空間にいる受聴者としてのユーザからみて横方向に対する仮想受聴空間の大きさをいう。
画像PIC11は、例えば矢印Q11に示すイメージ画像とされ、画像PIC11には、スタジオモードを示す文字「Studio」も表示される。矢印Q11に示すイメージ画像は、仮想受聴空間を表現する画像であり、このイメージ画像では、受聴者AU11の前方に3つの音源SO11−1乃至音源SO11−3が配置されている。
例えば、受聴者AU11の前方中央に位置する音源SO11−1はボーカルとされ、受聴者AU11の前方左側に位置する音源SO11−2はベースとされ、受聴者AU11の前方右側に位置する音源SO11−3はサックスフォンとされる。なお、以下、音源SO11−1乃至音源SO11−3を特に区別する必要のない場合、単に音源SO11とも称することとする。
選択ボックスCK13は、サラウンドモードとしてのスモールホールモードを選択するときに操作される選択ボックスであり、選択ボックスCK13の図中、上側にはスモールホールモードの奥行き感や広がり感をイメージさせる画像PIC12が表示されている。
スモールホールモードは、仮想受聴空間が、数十人から数百名程度の収容人数のライブハウスなどのように、ある程度大きい部屋であり、そのような仮想受聴空間に応じた奥行き感や広がり感のサラウンド効果が得られるモードである。
画像PIC12は、例えば矢印Q12に示すイメージ画像とされ、画像PIC12には、スモールホールモードを示す文字「Small Hall」も表示される。矢印Q12に示すイメージ画像は、仮想受聴空間を表現する画像であり、このイメージ画像では、受聴者AU11の前方に3つの音源SO11−1乃至音源SO11−3が配置されており、受聴者AU11の後方にはある程度の規模の観客席が配置されている。
選択ボックスCK14は、サラウンドモードとしてのラージホールモードを選択するときに操作される選択ボックスであり、選択ボックスCK14の図中、上側にはラージホールモードの奥行き感や広がり感をイメージさせる画像PIC13が表示されている。
ラージホールモードは、仮想受聴空間が、数千から数万人といったコンサート会場のような規模の空間であり、そのような仮想受聴空間に応じた奥行き感や広がり感のサラウンド効果が得られるモードである。
画像PIC13は、例えば矢印Q13に示すイメージ画像とされ、画像PIC13には、ラージホールモードを示す文字「Large Hall」も表示される。矢印Q13に示すイメージ画像は、仮想受聴空間を表現する画像であり、このイメージ画像では、受聴者AU11の前方に3つの音源SO11−1乃至音源SO11−3が配置されており、受聴者AU11の後方には大規模な観客席が配置されている。
このように、ユーザは画像PIC11乃至画像PIC13などを見ながら、所望のサラウンドモードに対応する選択ボックスを選択することで、選択したサラウンドモードに応じたサラウンド調整を音響信号に対して行なわせる。このとき、ユーザは画像PIC11乃至画像PIC13を参照することで、各サラウンドモードにより得られる音響、つまり奥行き感や広がり感を連想することができる。
[サラウンド調整部の構成]
ここで、図10に示した例において、選択されたサラウンドモードに応じて音響信号に対するサラウンド調整を行なうサラウンド調整部の構成について説明する。
例えば、サラウンド調整部は図11に示す構成とされる。なお、サラウンド調整は、チャンネル間の差分等を利用してその音響効果を実現するものであるので、2以上の複数のチャンネルの音響信号が入力されるものとする。また、図11では、説明を簡単にするために1つの線でパスが表現されているが、実際には、複数のチャンネルの音響信号が伝達される。
図11に示すサラウンド調整部91では、入力端子IPT11と、出力端子OPT11乃至出力端子OPT14とからなるスイッチ101に、処理対象の音響信号と、ユーザにより選択されたサラウンドモードに応じた制御信号とが供給される。
スイッチ101では、入力端子IPT11に音響信号と制御信号とが供給され、スイッチ101は、制御信号に応じて入力端子IPT11と、出力端子OPT11乃至出力端子OPT14の何れかとを接続する。
具体的には、スイッチ101は、オフモードが選択された場合、入力端子IPT11と出力端子OPT11とを接続する。この場合、入力端子IPT11に供給された音響信号は、出力端子OPT11を介してそのまま外部に出力される。つまり、この場合、音響信号に対するサラウンド調整は行なわれない。
また、スイッチ101は、スタジオモードが選択された場合、入力端子IPT11と出力端子OPT12とを接続する。この場合、入力端子IPT11に入力された音響信号は、出力端子OPT12を介して伝達関数処理部102に供給される。
伝達関数処理部102は、出力端子OPT12から供給された音響信号に対して、スタジオモードの音響を実現するための伝達関数TF1を掛け合わせて、その結果得られた音響信号を外部に出力する。
スイッチ101は、スモールホールモードが選択された場合、入力端子IPT11と出力端子OPT13とを接続し、入力端子IPT11に入力された音響信号を、出力端子OPT13を介して伝達関数処理部103に供給する。伝達関数処理部103は、出力端子OPT13から供給された音響信号に対して、スモールホールモードの音響を実現するための伝達関数TF2を掛け合わせて、その結果得られた音響信号を外部に出力する。
さらに、スイッチ101は、ラージホールモードが選択された場合、入力端子IPT11と出力端子OPT14とを接続し、入力端子IPT11に入力された音響信号を、出力端子OPT14を介して伝達関数処理部104に供給する。伝達関数処理部104は、出力端子OPT14から供給された音響信号に対して、ラージホールモードの音響を実現するための伝達関数TF3を掛け合わせて、その結果得られた音響信号を外部に出力する。
[伝達関数処理部の構成]
また、図11の伝達関数処理部102は、例えば図12に示す構成とされる。この例では、例えば音響信号として、左チャンネルの音響信号SLと、右チャンネルの音響信号SRが入力される。ここで、左チャンネルは、左スピーカからユーザの左耳に向けて出力される音響信号のチャンネルであり、右チャンネルは、右スピーカからユーザの右耳に向けて出力される音響信号のチャンネルである。
伝達関数処理部102は、伝達関数演算部131乃至伝達関数演算部134、加算部135、および加算部136から構成される。この例では、伝達関数演算部131および伝達関数演算部132に、左チャンネルの音響信号SLが供給され、伝達関数演算部133および伝達関数演算部134に、右チャンネルの音響信号SRが供給される。
伝達関数演算部131は、供給された左チャンネルの音響信号SLに対して、左スピーカからユーザの左耳への伝達関数TF1LLを掛け合わせて、これにより得られた音響信号SLLを加算部135に供給する。また、伝達関数演算部132は、供給された左チャンネルの音響信号SLに対して、左スピーカからユーザの右耳への伝達関数TF1LRを掛け合わせて、これにより得られた音響信号SLRを加算部136に供給する。
伝達関数演算部133は、供給された右チャンネルの音響信号SRに対して、右スピーカからユーザの左耳への伝達関数TF1RLを掛け合わせて、これにより得られた音響信号SRLを加算部135に供給する。伝達関数演算部134は、供給された右チャンネルの音響信号SRに対して、右スピーカからユーザの右耳への伝達関数TF1RRを掛け合わせて、これにより得られた音響信号SRRを加算部136に供給する。
加算部135は、伝達関数演算部131から供給された音響信号SLLと、伝達関数演算部133から供給された音響信号SRLとを加算して、サラウンド調整後の左チャンネルの信号である音響信号SL’とし、外部に出力する。
同様に、加算部136は、伝達関数演算部132から供給された音響信号SLRと、伝達関数演算部134から供給された音響信号SRRとを加算して、サラウンド調整後の右チャンネルの信号である音響信号SR’とし、外部に出力する。
このように、通常は、そのまま再生される音響信号SLや音響信号SRに対して、空間特性を掛け合わせて音響信号SL’および音響信号SR’とすることで、仮想的に空間の奥行き感や広がり感をユーザに対して感じさせることができる。
なお、ここでは、伝達関数処理部102の構成例について説明したが、図11の伝達関数処理部103や伝達関数処理部104の構成も伝達関数処理部102と同様であるので、その説明は省略する。
[伝達関数演算部の構成]
さらに、図12に示した伝達関数演算部131は、例えば図13に示すように構成される。すなわち、この例では、伝達関数TF1LLによる演算は、インパルス応答畳み込みにより実現される。
図13では、伝達関数演算部131は、入力バッファ161、係数保持部162、乗算部163、および加算部164から構成され、入力バッファ161に音響信号SLが供給される。
入力バッファ161は、x個のバッファw1乃至バッファwxを有しており、各バッファw1乃至バッファwxには、音響信号SLの連続するx個の各サンプルの値が格納される。すなわち、バッファw1には最も新しい音響信号SLのサンプルが格納され、バッファwxには最も古い音響信号SLのサンプルが格納される。また、入力バッファ161に音響信号SLの新たなサンプルが供給されるたびに、バッファwi(但し、1≦i≦x−1)に格納されているサンプルが、バッファw(i+1)へと格納され、これまでバッファwxに格納されていたサンプルが破棄される。
入力バッファ161は、各バッファに格納されている音響信号SLのサンプルの値を、乗算部163に供給する。
係数保持部162は、伝達関数TF1LLの実体であるx個の係数e1乃至係数exを保持しており、これらの係数を乗算部163に供給する。
乗算部163は、x個の乗算器からなり、入力バッファ161からの音響信号SLに対して、係数保持部162からの係数を乗算し、加算部164に供給する。すなわち、バッファwi(但し、1≦i≦x)に格納されているサンプルの値に対して、係数ei(但し、1≦i≦x)が乗算され、加算部164に供給される。
加算部164は、乗算部163から供給された、係数ei(但し、1≦i≦x)が乗算された音響信号SLの各サンプルの値の総和を求め、得られた値を音響信号SLLの1つのサンプルの値として加算部135に出力する。
このように、図13に示した伝達関数演算部131では、音響信号SLに対するx個の係数を用いた畳み込み演算により、音響信号SLLが生成される。この方法は、係数e1乃至係数exを実測により求めるため、空間特性の再現性を高くできるが、入力バッファ161を構成するバッファと係数の数が多くなるので、回路規模や演算量が大きくなる。
なお、ここでは、伝達関数演算部131の構成例について説明したが、図12の伝達関数演算部132乃至伝達関数演算部134の構成も伝達関数演算部131と同様であるので、その説明は省略する。
[伝達関数演算部の他の構成]
また、図12に示した伝達関数演算部131は、例えば図14に示す構成とされるようにしてもよい。なお、図14において、図13における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
図14に示す伝達関数演算部131は、入力バッファ161、係数保持部191−1、係数保持部191−2、乗算部192、および加算部164から構成され、入力バッファ161に音響信号SLが供給される。なお、この例では、入力バッファ161には、バッファw1乃至バッファwy(但し、x<y)が設けられている。
係数保持部191−1は、一次反射音を実現するための係数e1を保持しており、係数e1を乗算部192に供給する。また、係数保持部191−2は、二次反射音を実現するための係数e2を保持しており、係数e2を乗算部192に供給する。なお、以下、係数保持部191−1および係数保持部191−2を特に区別する必要のない場合、単に係数保持部191とも称する。
乗算部192は、入力バッファ161のバッファwxから供給された音響信号SLのサンプルの値に、係数保持部191−1から供給された係数e1を乗算するとともに、バッファwyから供給された音響信号SLのサンプルの値に、係数保持部191−2から供給された係数e2を乗算する。そして、乗算部192は、それらの係数が乗算された音響信号SLのサンプルの値を加算部164に供給する。加算部164は、乗算部192から供給された、係数が乗算された音響信号SLの各サンプルの値の総和を求め、得られた値を音響信号SLLの1つのサンプルの値として加算部135に出力する。
この例では、バッファwxに格納されているサンプルに係数e1が乗算されて一次反射音が生成され、さらに反射の遅延を実現するために、バッファwyに格納されているサンプルに係数e2が乗算されて二次反射音が生成される。そして、一次反射音と二次反射音が加算されて音響信号SLLが生成される。
この方法では、図13に示した方法と比べて、係数を少なくすることができるので回路規模や演算量を小さくできるが、実際の空間の持つ細かい特性までは再現しにくい。但し、バッファを大きくとっておくことで、各反射音の位置を任意の遅延位置に移動させ、係数も任意の値を取ることができるため、実際にない空間特性を作り出すことができる。また、反射音は一次反射音と二次反射音以外にも、システムの許す限り三次反射音、四次反射音と増加させてもよい。
[本技術を適用したサラウンド調整について]
ところで、以上において説明したサラウンド調整では、ユーザは予め用意されたいくつかのサラウンドモードのなかから、所望の1つのサラウンドモードを選択することしかできなかった。そのため、サラウンド調整によって、必ずしもユーザの望む音響効果を得ることができない場合もあった。
そこで、本技術では、例えば図15に示すように、音響効果調整装置11の表示部22に制御用図形を表示させ、サラウンド効果の音響パラメータを連続的に調整できるようにする。
図15では、音響効果調整、すなわちサラウンド調整のためのユーザインターフェースとして、表示部22に制御用図形CR21が表示されている。
制御用図形CR21は、4つの点E、点F、点G、および点Hを頂点とする四角形の画像であり、この制御用図形CR21は、音響信号のサラウンド効果に関する音響パラメータと連動している。すなわち、ユーザが制御用図形CR21に対する操作を行なって、制御用図形CR21を連続的に変形させると、その変形に伴って音響パラメータも連続的に変化するようになっている。
例えば、サラウンド効果に関する音響パラメートとして、音響信号の奥行き感や広がり感などがあるが、この例では、制御用図形CR21の点Eと点Fには、奥行き感が対応付けられている。より詳細には、点Eには仮想受聴空間における、ユーザ(受聴者)からみて後方の空間の奥行き感が対応付けられており、点Fには仮想受聴空間における、ユーザ(受聴者)からみて前方の空間の奥行き感が対応付けられている。
また、図15に示す制御用図形CR21の状態が基準となる状態、つまりサラウンド効果なし(音響効果ゼロ)の状態であるものとする。制御用図形CR21の状態が基準となる状態である場合、例えば音響信号によって図中、右側に示す仮想受聴空間VS11が再現される。なお、図15において、図10における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
仮想受聴空間VS11では、受聴者AU11の前方に3つの音源SO11−1乃至音源SO11−3が配置されている。音響信号に対するサラウンド効果がなしの状態でも、音響信号がステレオ信号等であれば、ユーザは奥行き感や広がり感をある程度感じるので、仮想受聴空間VS11のような空間感を得ることができる。
このような状態から、表示部22、つまり入力部21としてのタッチパネルの表面を、ユーザが左手HD12の2本の指で縦方向にピンチアウトしたとする。すると、音響効果調整装置11はユーザの指の動きを感知して、その動きを指のスライド量に変換する。そして、音響効果調整装置11は、得られたスライド量に応じて、縦方向に並ぶ制御用図形CR21の点Eおよび点Fを点E’および点F’に移動させ、4つの点E’、点F’、点G、および点Hを頂点とする四角形の制御用図形CR21’とする。つまり、制御用図形CR21が制御用図形CR21’へと変形される。
制御用図形CR21に対してこのような操作が行なわれると、点Eに対応付けられている後方の奥行き感の特性と、点Fに対応付けられている前方の奥行き感の特性とが、図中、右側の仮想受聴空間VS12に示すように変化する。つまり、仮想受聴空間VS12は、仮想受聴空間VS11と比べて受聴者AU11の前後の方向がより広い空間となっている。
仮想受聴空間VS12では、受聴者AU11の前方および後方の奥行きがより大きくなっており、それに伴って各音源SO11が、受聴者AU11から遠ざかるように前方の奥側に移動している。また、受聴者AU11の後方には、後方空間の広がりに応じて他の受聴者の観客席も設けられた状態となっている。
制御用図形CR21における点Eの点E’への移動は、サラウンド効果なしの音声を聴いていた受聴者が感じる、仮想受聴空間の後方の奥行き感の変化を意味しており、その変化量に応じて仮想受聴空間VS11の後方の奥行き感が変化する。同様に、制御用図形CR21における点Fの点F’への移動は、サラウンド効果なしの音声を聴いていた受聴者が感じる、仮想受聴空間の前方の奥行き感の変化を意味しており、その変化量に応じて仮想受聴空間VS11の前方の奥行き感が変化する。
つまり、制御用図形CR21が制御用図形CR21’へと前後方向に拡大されたことに連動して、仮想受聴空間の奥行き感(サラウンド効果)も受聴者AU11を中心として前後に拡大されることになる。
このように、音響効果調整装置11は、図10に示したような選択ボックスによるサラウンド調整ではなく、制御用図形CR21の変形によるサラウンド調整を可能とする。
従来の選択ボックスによるサラウンド効果の調整は、サラウンドモードのイメージ画像を表示させることで、直感的に理解しやすいものとなっている。しかしながら、この方法では、サラウンド効果は選択ボックスに応じて選択されるプリセットしか得ることができない。そのため、例えばユーザがスモールホールとラージホールの中間の大きさの空間である、ミディアムホールの奥行き感や広がり感に設定したいと思っても、そのような設定を行なうことはできなかった。
これに対して、本技術によれば、仮想受聴空間の前方と後方の奥行き感という2つの音響パラメータの変化を1つの制御用図形で連続的に調整することができる。しかも、どのように制御用図形を変形させれば、どのようなサラウンド効果が得られるかという関連性をユーザが高く認識可能となり、直感的かつ連続的な操作を行うことができるようになる。これにより、ユーザは、単なる選択ボックスによるサラウンド効果の調整と比べて、より幅広いサラウンド効果を楽しむことができるようになる。
[音響効果調整部の構成例]
次に、図15に示した制御用図形CR21に対する操作によりサラウンド効果の調整が行なわれる場合における、音響効果調整装置11の音響効果調整部25の構成について説明する。そのような場合、音響効果調整部25は、例えば図16に示すように構成される。なお、図16において、図13における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図16に示す音響効果調整部25は、伝達関数演算部131、伝達関数演算部221、乗算部222、乗算部223、および加算部224から構成され、取得部24から出力された音響信号は、伝達関数演算部131および伝達関数演算部221に供給される。
伝達関数演算部131は、供給された音響信号に対して、保持している係数e1乃至係数exを用いた畳み込み演算を行なって、その結果得られた音響信号を乗算部222に供給する。
伝達関数演算部221は、供給された音響信号に対して、保持している係数f1乃至係数fxを用いた畳み込み演算を行なって、その結果得られた音響信号を乗算部223に供給する。
伝達関数演算部221は、伝達関数演算部131と同様の構成を有しており、伝達関数演算部221を構成する入力バッファ231、係数保持部232、乗算部233、および加算部234は、それぞれ入力バッファ161乃至加算部164に対応している。
すなわち、入力バッファ231は、x個のバッファw1乃至バッファwxを有しており、各バッファには音響信号の連続するx個の各サンプルの値が格納される。そして、入力バッファ231は、各バッファに格納されている音響信号のサンプルの値を、乗算部233に供給する。
係数保持部232は、伝達関数の実体であるx個の係数f1乃至係数fxを保持しており、これらの係数を乗算部233に供給する。乗算部233は、入力バッファ231からの音響信号に対して、係数保持部232からの係数を乗算し、加算部234に供給する。すなわち、バッファwi(但し、1≦i≦x)に格納されているサンプルの値に対して、係数fi(但し、1≦i≦x)が乗算され、加算部234に供給される。
加算部234は、乗算部233から供給された、係数が乗算された音響信号の各サンプルの値の総和を求め、得られた値を音響信号の1つのサンプルの値として乗算部223に出力する。
ここで、伝達関数演算部131の伝達関数は、所定の空間SPAにおける奥行き感を示しており、伝達関数演算部221の伝達関数は、空間SPAとは異なる空間SPBにおける奥行き感を示している。図15の制御用図形CR21では、制御用図形CR21の変形に合わせて仮想受聴空間の奥行き感が変化するが、この奥行き感の変化は、伝達関数演算部131の伝達関数と伝達関数演算部221の伝達関数とを切り替えることで実現することができる。すなわち、伝達関数演算部131で音響信号のサラウンド調整を行なうか、伝達関数演算部221で音響信号のサラウンド調整を行なうかを切り替えることで実現することができる。
但し、これらの伝達関数を急激に、または非連続に切り替えると、仮想受聴空間の奥行き感が連続的に変化しないので、制御用図形CR21の変化のイメージと奥行き感の変化が一致しなくなる。そこで、音響効果調整部25では、可変係数をもつ乗算部222と乗算部223が導入されている。
乗算部222は、制御信号生成部34から供給された制御信号に応じて可変係数g1を連続的に変化させ、伝達関数演算部131から供給された音響信号に可変係数g1を乗算して、加算部224に供給する。同様に、乗算部223は、制御信号生成部34から供給された制御信号に応じて可変係数g2を連続的に変化させ、伝達関数演算部221から供給された音響信号に可変係数g2を乗算して、加算部224に供給する。
加算部224は、乗算部222から供給された音響信号と、乗算部223から供給された音響信号とを加算して、サラウンド効果が調整された音響信号とし、再生部26に供給する。つまり、伝達関数演算部131で、予め定められた音響効果(サラウンド効果)が施された音響信号と、伝達関数演算部221で、伝達関数演算部131の音響効果とは異なる、予め定められた他の音響効果が施された音響信号とが加算部224によりクロスフェードされる。
換言すれば、音響効果調整部25は、伝達関数の設定として、予め複数の非連続的な設定を有しており、音響効果(サラウンド効果)をある状態から他の状態へと変化させる場合、これらの複数の伝達関数の状態設定をクロスフェードさせることで、音響効果の連続的な変化を実現する。
このように、制御信号によって、可変係数g1および可変係数g2を連続的に変化させることで、仮想受聴空間の奥行き感を連続的に変化させることができ、制御用図形CR21の変化のイメージと奥行き感の変化との一致度をより高めることができる。これにより、ユーザは、より直感的で分かり易い操作を行なうことができる。
なお、取得部24で取得される音響信号が複数チャンネルある場合には、音響信号のチャンネルごとに伝達関数演算部131乃至加算部224からなる構成が設けられるようにすればよい。
[音響効果調整処理の説明]
さらに、図17のフローチャートを参照して、音響効果調整装置11の音響効果調整部25が図16に示した構成とされる場合に、音響効果調整装置11により行なわれる音響効果調整処理について説明する。
なお、ステップS91乃至ステップS93の処理は、図5のステップS11乃至ステップS13の処理と同様であるので、その説明は省略する。但し、ステップS91の処理では、例えば図15に示した制御用図形CR21が表示部22に表示される。また、以下では、制御用図形CR21が表示された場合を例として説明を続ける。
ステップS93においてタッチ数が2であると判定された場合、ステップS94において、設定部32は、検出部31により検出されたスライド量に応じて、制御用図形CR21の点Eおよび点Fの移動距離を設定する。例えば、ステップS94では、図5のステップS14と同様の処理が行なわれて点Eと点Fの移動距離が設定される。
ステップS95において、表示制御部33は、ステップS94で定められた点Eおよび点Fの移動距離に基づいて表示部22を制御し、制御用図形CR21を上下方向、すなわち点Eと点Fとを結ぶ直線の方向に変形させる。
例えば、図15の例では点Eおよび点Fが定められた移動距離だけ移動される。これにより点Eと点Fは、それぞれ点E’と点F’に移動し、その結果、制御用図形CR21が変形されて制御用図形CR21’となる。
なお、図15の例のようにユーザの制御用図形CR21に対する操作がピンチアウト操作である場合には、点Eと点Fが制御用図形CR21の外側に向かって移動するように変形が行なわれて、制御用図形CR21が拡大される。逆に、ユーザがピンチイン操作を行なった場合には、その操作に応じて定められた移動距離だけ点Eと点Fが互いに接近するように移動され、制御用図形CR21が縮小される。
ステップS96において、制御信号生成部34は、制御用図形CR21の変形に応じた仮想受聴空間の前方および後方の奥行き感を決定する。
例えば、制御信号生成部34は、図15の例では点Eの移動距離と移動方向に応じて、仮想受聴空間の後方の奥行き感を決定するとともに、点Fの移動距離と移動方向に応じて、仮想受聴空間の前方の奥行き感を決定する。
このとき、点Eおよび点Fの移動方向が制御用図形CR21の外側方向である場合には、点Eおよび点Fのそれぞれに対応付けられた後方および前方の奥行き感が広がるようにサラウンド効果の調整が行なわれる。これに対して、点Eおよび点Fの移動方向が制御用図形CR21の内側方向である場合には、後方および前方の奥行き感が狭められるようにサラウンド効果の調整が行なわれる。
また、点Eや点Fに対応付けられた奥行き感の変化量は、その点の移動距離が長くなるにしたがって、奥行き感の変化量の絶対値が連続的に大きくなるように定められている。
制御信号生成部34は、制御用図形CR21’の点E’と点F’の位置、つまり点Eと点Fの移動方向および移動距離に基づいて、仮想受聴空間における後方および前方の奥行き感を決定すると、決定された奥行き感に応じて制御信号を生成し、音響効果調整部25の乗算部222および乗算部223に供給する。
ステップS97において、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号に対するサラウンド調整を行い、その結果得られた音響信号を再生部26に供給する。
具体的には、伝達関数演算部131および伝達関数演算部221は、取得部24から供給された音響信号に対して係数を用いた畳み込み演算を行なって、その結果得られた音響信号を、乗算部222および乗算部223に供給する。
乗算部222および乗算部223は、制御信号生成部34からの制御信号に応じて可変係数g1および可変係数g2を変化させて、伝達関数演算部131および伝達関数演算部221からの音響信号に乗算し、その結果得られた音響信号を加算部224に供給する。加算部224は、乗算部222からの音響信号と、乗算部223からの音響信号とを加算して、再生部26に供給する。
さらに、再生部26は、音響効果調整部25から供給された音響信号に基づいて音声を再生する。このようにして音響信号のサラウンド調整が行なわれると、音響効果調整処理は終了する。
また、ステップS93において、タッチ数が2でないと判定された場合、すなわち検出部31により検出されたタッチ数が1である場合、処理はステップS98へと進む。
ステップS98において、設定部32は、検出部31により検出されたタッチ位置が制御用図形CR21の中心よりも下側、つまり点E側であるか否かを判定する。
ステップS98において、タッチ位置が制御用図形CR21の中心よりも下側であると判定された場合、ステップS99において、設定部32は、検出部31により検出されたスライド量に応じて、制御用図形CR21の点Eの移動距離を設定する。
ステップS100において、表示制御部33は、ステップS99で定められた点Eの移動距離に基づいて表示部22を制御し、制御用図形CR21を下方向、すなわち点Eと点Fとを結ぶ直線の方向であって、点Fから点Eに向かう方向に変形させる。
例えば、図15の制御用図形CR21が点E’,点F,点G,点Hを頂点とする図形に変形される。なお、ユーザによって点Eを図15中、上方向に移動させる操作が行なわれた場合には、点Eが上側に移動するように制御用図形CR21が変形する。
ステップS101において、制御信号生成部34は、制御用図形CR21の変形に応じた仮想受聴空間の後方の奥行き感を決定する。具体的には、制御信号生成部34は点Eの移動距離と移動方向に応じて、点Eに対応付けられた仮想受聴空間の後方の奥行き感を決定する。
制御信号生成部34は、点Eに対応付けられた奥行き感を決定すると、決定された奥行き感に応じて制御信号を生成し、音響効果調整部25の乗算部222および乗算部223に供給する。
ステップS102において、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号に対するサラウンド調整を行い、その結果得られた音響信号を再生部26に供給する。すなわち、ステップS102ではステップS97と同様の処理が行なわれる。
音響効果調整部25は、音響信号のサラウンド調整を行なうと、その結果得られた音響信号を再生部26に供給し、音響効果調整処理は終了する。再生部26では、音響効果調整部25から供給された音響信号に基づいて音声が再生される。
さらに、ステップS98において、タッチ位置が制御用図形CR21の中心よりも下側でない、つまりタッチ位置が制御用図形CR21の中心よりも上側であると判定された場合、処理はステップS103へと進む。
ステップS103において、設定部32は、検出部31により検出されたスライド量に応じて、制御用図形CR21の点Fの移動距離を設定する。具体的には、設定部32は、検出された1つのスライド量に対して予め定められた距離を点Fの移動距離とする。
ステップS104において、表示制御部33は、ステップS103で定められた点Fの移動距離に基づいて表示部22を制御し、制御用図形CR21を上方向に変形させる。
例えば、図15の制御用図形CR21が点E,点F’,点G,点Hを頂点とする図形に変形される。なお、ユーザによって点Fを図15中、下側に移動させる操作が行なわれた場合には、点Fが下方向に移動するように制御用図形CR21が変形する。
ステップS105において、制御信号生成部34は、制御用図形CR21の変形に応じた仮想受聴空間の前方の奥行き感を決定する。具体的には、制御信号生成部34は点Fの移動距離と移動方向に応じて、点Fに対応付けられた前方の奥行き感を決定する。
制御信号生成部34は、点Fに対応付けられた前方の奥行き感を決定すると、決定された奥行き感に応じて制御信号を生成し、音響効果調整部25の乗算部222および乗算部223に供給する。
ステップS106において、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号に対するサラウンド調整を行い、その結果得られた音響信号を再生部26に供給する。すなわち、ステップS106ではステップS97と同様の処理が行なわれて、点Fに対応付けられた奥行き感(サラウンド)が調整される。
音響効果調整部25は、音響信号のサラウンド調整を行なうと、その結果得られた音響信号を再生部26に供給し、音響効果調整処理は終了する。再生部26では、音響効果調整部25から供給された音響信号に基づいて音声が再生される。
以上のようにして、音響効果調整装置11は、ユーザの制御用図形CR21に対する操作に応じて、制御用図形CR21を変形させるとともに、その変形に応じた奥行き感で音響信号に対するサラウンド調整を行なう。
音響効果調整装置11によれば、ユーザ操作に応じてサラウンド調整のための音響パラメータが対応付けられた点を移動させて制御用図形CR21を変形させると同時に、その変形に応じて音響効果を調整することで、ユーザの直感的な操作を実現できるようになる。すなわち、ユーザに対して、より分かり易く使い易いユーザインターフェースを提供することができる。
なお、本明細書では、制御用図形CR21に対する奥行き感変更の操作として代表的なものについてのみ記載しているが、制御用図形CR21に対する操作のバリエーションとして他に多くのものが考えられ、それらの操作のバリエーションに対応する音響効果の調整に対しても、本技術は適用可能である。
〈第4の実施の形態の変形例1〉
[音響効果調整部の他の構成例]
なお、以上においては、音響効果調整部25に2つの伝達関数演算部が設けられる例について説明したが、1つの伝達関数演算部で仮想受聴空間の奥行き感を連続的に変化させるようにしてもよい。
そのような場合、音響効果調整部25は、例えば図18に示すように構成される。
図18に示す音響効果調整部25は、入力バッファ261、係数保持部262、係数保持部263、乗算部264、および加算部265から構成され、入力バッファ261に音響信号が供給される。
入力バッファ261は、図16の入力バッファ161に対応し、供給された音響信号を保持して、その一部のサンプルの値を乗算部264に供給する。ここでは、入力バッファ261は、バッファw1乃至バッファwzのz個のバッファを有しており、音響信号のサンプルの値が、新しいものから順番にバッファw1乃至バッファwzに格納される。
係数保持部262は、制御信号生成部34からの制御信号CVに応じて、一次反射音を実現するための係数e1を変化させ、係数e1を乗算部264に供給する。係数保持部263は、制御信号生成部34からの制御信号CVに応じて、二次反射音を実現するための係数e2を変化させ、係数e2を乗算部264に供給する。
乗算部264は、2個の乗算器からなり、入力バッファ261を構成するバッファのうち、制御信号生成部34からの制御信号CPにより定まるバッファに格納されている音響信号のサンプルの値に、係数保持部262および係数保持部263からの係数を乗算し、加算部265に供給する。
すなわち、乗算部264は、制御信号CPにより定まるバッファwx(但し、1≦x≦z)に格納されているサンプルの値に、係数e1を乗算するとともに、制御信号CPにより定まるバッファwy(但し、1≦y≦z)に格納されているサンプルの値に、係数e2を乗算する。これらのバッファwxとバッファwyの位置は、反射の遅延を実現するように制御信号CPにより定められる。すなわち、バッファwxとバッファwyの位置は、制御信号CPによって変化する。
加算部265は、乗算部264から供給された、係数が乗算された音響信号の各サンプルの値の和を求め、得られた値をサラウンド調整後の音響信号の1つのサンプルの値として再生部26に出力する。
なお、取得部24で取得される音響信号が複数チャンネルある場合には、音響信号のチャンネルごとに入力バッファ261乃至加算部265と同じ構成が設けられるようにすればよい。
このように、図18に示した音響効果調整部25では、音響信号の遅延、すなわちバッファwxおよびバッファwyの位置と、係数e1および係数e2とを任意に変化させることができるため、これらを調整することで、奥行き感を連続的に変化させることができる。これにより、制御用図形CR21の変形のイメージと、サラウンド効果の変化の一致度をより高くすることができる。
換言すれば、図18の構成は、音響パラメータをパラメトリック化することで、音響効果を連続的に変化させる構成である。すなわち、図18に示した音響効果調整部25は、図13および図14に示した伝送関数演算部131をパラメトリック化した例である。この例では、音響信号に乗算される係数として、支配的な要素成分(ここでは、一次反射音と二次反射音)のみを抽出するとともに、その要素成分が固定値ではなくパラメータ(可変値)として利用されている。
音響効果調整部25が図18に示す構成とされる場合においても、図17に示した音響効果調整処理と同様の処理が行なわれる。但し、そのような場合、制御信号生成部34は、制御用図形CR21の変形に応じて、制御信号CVと制御信号CPを生成し、係数保持部262および係数保持部263と、乗算部264とに供給する。
〈第4の実施の形態の変形例2〉
[広がり感の調整について]
また、図15に示した例では、制御用図形CR21に奥行き感が対応付けられる場合について説明したが、制御用図形CR21に広がり感が対応付けられるようにしてもよい。なお、広がり感の調整は、基本的に以上において説明してきた奥行き感と同じく、伝達関数演算部の係数を変えることで実現することができる。奥行き感と広がり感のどちらを変化させることができるかは、1つのチャンネルの係数によって決まるわけではなく、例えば伝達関数処理部102でいえば、4つ全ての伝達関数演算部の係数の組み合わせで決定される。4つの係数の組み合わせを適切に考慮することで、奥行き感と広がり感の両方を調整することができるようになる。この効果については、一般的に広く知られているので、その説明は省略する。
さて、そのような場合、例えば図19に示すように、制御用図形CR21の点Gと点Hに、仮想受聴空間の左右の広がり感が対応付けられる。なお、図19において、図15における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
ここでは、例えば制御用図形CR21の点Gに対して、仮想受聴空間における、ユーザ(受聴者)からみて左側の空間の広がり感が対応付けられており、点Hに対して仮想受聴空間における、ユーザからみて右側の空間の広がり感が対応付けられている。
また、図19に示す制御用図形CR21の状態が基準となる状態、つまりサラウンド効果なし(音響効果ゼロ)の状態であるものとし、制御用図形CR21の状態が基準となる状態では、音響信号によって図中、右側に示す仮想受聴空間VS11が再現されるとする。
このような状態から、表示部22、つまり入力部21としてのタッチパネルの表面を、ユーザが右手HD13の2本の指で横方向にピンチアウトしたとする。すると、音響効果調整装置11はユーザの指の動きを感知して、その動きを指のスライド量に変換する。そして、音響効果調整装置11は、得られたスライド量に応じて、横方向に並ぶ制御用図形CR21の点Gおよび点Hを点G’および点H’に移動させ、4つの点E、点F、点G’、および点H’を頂点とする四角形の制御用図形CR21’’とする。つまり、制御用図形CR21が制御用図形CR21’’へと変形される。
制御用図形CR21に対してこのような操作が行なわれると、点Gに対応付けられている左側の広がり感の特性と、点Hに対応付けられている右側の広がり感の特性とが、図中、右側の仮想受聴空間VS21に示すように変化する。つまり、仮想受聴空間VS21は、仮想受聴空間VS11と比べて受聴者AU11の左右方向がより広い空間となっている。
仮想受聴空間VS21では、受聴者AU11の右側および左側の広がりがより大きくなっており、それに伴って受聴者AU11の前方左右に位置する音源SO11−2と音源SO11−3が、音源SO11−1に対して左右方向に広がるように移動している。
制御用図形CR21における点Gの点G’への移動は、サラウンド効果なしの音声を聴いていた受聴者が感じる、仮想受聴空間の左方向の広がり感の変化を意味しており、その変化量に応じて仮想受聴空間VS11の左側の広がり感が変化する。同様に、制御用図形CR21における点Hの点H’への移動は、サラウンド効果なしの音声を聴いていた受聴者が感じる、仮想受聴空間の右方向の広がり感の変化を意味しており、その変化量に応じて仮想受聴空間VS11の右側の広がり感が変化する。
つまり、制御用図形CR21が制御用図形CR21’’へと左右方向に拡大されたことに連動して、仮想受聴空間の広がり感(サラウンド効果)も受聴者AU11を中心として左右に拡大されることになる。
このように、音響効果調整装置11は、図10に示したような選択ボックスによるサラウンド調整ではなく、制御用図形CR21の変形によるサラウンド調整を可能とする。
上述したように、従来の選択ボックスによるサラウンド効果の調整では、いくつかのサラウンドモードのうちの1つを選択することしかできない。
これに対して、本技術によれば、仮想受聴空間の左側と右側の広がり感という2つの音響パラメータの変化を1つの制御用図形で連続的に調整することができる。しかも、どのように制御用図形を変形させれば、どのようなサラウンド効果が得られるかという関連性をユーザが高く認識可能となり、直感的かつ連続的な操作を行うことができるようになる。これにより、ユーザは、単なる選択ボックスによるサラウンド効果の調整と比べて、より幅広いサラウンド効果を楽しむことができるようになる。
なお、図19に示したように制御用図形CR21に広がり感が対応付けられている場合においても、音響効果調整装置11では、図17のフローチャートを参照して説明した音響効果調整処理と同様の処理が行なわれるので、その説明は省略する。
〈第4の実施の形態の変形例3〉
[広がり感と奥行き感の調整について]
さらに、図19に示した制御用図形CR21に対して、仮想受聴空間の前方の奥行き感も対応付けられるようにしてもよい。
例えば、図20に示すように左右の広がり感を調整するために変形された制御用図形CR21’’が表示されているとする。また、制御用図形CR21’’の状態に対して、音響信号によって図中、右側に示す仮想受聴空間VS21が再現されているとする。つまり、この状態では、音響信号に対して、仮想受聴空間の左右の広がり感を拡大するサラウンド効果が既に施されている。
この例では、さらに制御用図形CR21’’の点Fに対して、仮想受聴空間の前方の奥行き感が対応付けられている。
このような状態から、表示部22の表面を、ユーザが左手HD14の人差し指で図中、上方向にスライド操作したとする。すると、音響効果調整装置11はユーザの指の動きを感知して、その動きを指のスライド量に変換し、スライド量に応じて制御用図形CR21’’の点Fを点F’’に移動させ、4つの点E、点F’’、点G’、および点H’を頂点とする四角形の制御用図形CR31とする。つまり、制御用図形CR21’’が制御用図形CR31へと変形される。
制御用図形CR21’’に対してこのような操作が行なわれると、点Fに対応付けられている前方の奥行き感の特性が、図中、右側の仮想受聴空間VS31に示すように変化する。つまり、仮想受聴空間VS31は、仮想受聴空間VS21と比べて受聴者AU11の前方の奥行きがより広い空間となっており、前方の奥行きの拡大に伴って、各音源SO11も受聴者AU11から遠ざかるように奥行き方向に移動している。
制御用図形CR21’’における点Fの点F’’への移動は、仮想受聴空間の前方の奥行き感の変化を意味しており、その変化量に応じて仮想受聴空間VS21の前方の奥行き感が変化するように、音響信号に対するサラウンド調整が行なわれる。
なお、図20に示したように制御用図形CR21’’に広がり感が対応付けられている場合においても、音響効果調整装置11では、図17のフローチャートを参照して説明した音響効果調整処理と同様の処理が行なわれるので、その説明は省略する。また、ここでは点Fに対して仮想受聴空間の前方の奥行き感が対応付けられる例について説明したが、点Eにも仮想受聴空間の後方の奥行き感が対応付けられるようにしてもよい。
〈第4の実施の形態の変形例4〉
[前方の広がりの調整について]
また、図20に示した例において、ユーザの制御用図形CR31への操作により、仮想受聴空間の前方への奥行き感をさらに左右に広げる調整を行なうことができるようにしてもよい。
そのような場合、例えば図21に示すように、点Fが点F’’へと移動するように変形された制御用図形CR31が表示部22に表示されているとする。また、制御用図形CR31の状態に対して、音響信号によって図中、右側に示す仮想受聴空間VS31が再現されているとする。なお、図21において、図20における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
制御用図形CR31が表示されている状態では、サラウンド効果なしである基準となる状態から、左右方向の広がり感が拡大され、かつ前方への奥行き感も拡大された状態となるように、すでに音響信号にサラウンド効果が施されている。
このような状態から、仮想受聴空間の前方への奥行き感を、さらに左右に広げるために、表示部22の表面を、ユーザが右手HD15の2本の指で図中、横方向にピンチアウトしたとする。すると、音響効果調整装置11はユーザの指の動きを感知して、その動きを指のスライド量に変換する。そして、音響効果調整装置11は、得られたスライド量に応じて、制御用図形CR31の点F’’を2つの点F1と点F2に分割する。これにより、制御用図形CR31が、点E、点F1、点F2、点G’、および点H’を頂点とする五角形の制御用図形CR31’に変形される。
このように、点Fを点F1と点F2に分割する操作は、前方への奥行き感を、さらに左右に広げることを意味しており、ユーザのピンチアウト操作時のスライド量に応じた位置に点F1と点F2が位置するようになされる。
そして、点Fから点F1または点F2の距離に応じて、点F1と点F2に対応付けられている前方の左右の奥行き感の特性が、図中、右側の仮想受聴空間VS41に示すように変化する。つまり、仮想受聴空間VS41は、仮想受聴空間VS31と比べて受聴者AU11の前方の奥行きがさらに左右に広がっており、これに伴って音源SO11−2と音源SO11−3も左奥方向および右奥方向へと移動している。
このように、点Fが点F1と点F2に分割されると、仮想受聴空間の前方の奥行き感の左右感が変化する。音響効果調整部25は、ユーザの操作に応じて制御信号生成部34から供給される制御信号に応じて、仮想受聴空間の前方奥行きが左右に拡大されるように、音響信号に対するサラウンド効果を調整する。
なお、この場合においても、音響効果調整装置11では、図17のフローチャートを参照して説明した音響効果調整処理と同様の処理が行なわれるので、その説明は省略する。
〈第4の実施の形態の変形例5〉
[受聴者の位置調整について]
また、以上においては、仮想受聴空間において受聴者を中心として、仮想受聴空間の音響特性を変化させる方法、すなわち前後左右のサラウンド効果を調整する方法について説明したが、受聴者の位置を変更するようなサラウンド効果の調整が行なわれてもよい。
そのような場合、例えば図22に示すように、点Fが点F1と点F2に分割されて得られた制御用図形CR31’が表示部22に表示されているとする。また、制御用図形CR31’の状態に対して、音響信号によって図中、右側に示す仮想受聴空間VS41が再現されているとする。なお、図22において、図21における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
制御用図形CR31’が表示されている状態では、前方への奥行き感がさらに左右に広げられた状態となるように、すでに音響信号にサラウンド効果が施されている。
このような状態から、表示部22の表面を、ユーザが右手HD15の人差し指で図中、横方向へのスライド操作をしたとする。すると、音響効果調整装置11はユーザの指の動きを感知して、その動きを指のスライド量に変換する。そして、音響効果調整装置11は、得られたスライド量に応じて、制御用図形CR31’の点Eを点E’’に移動させ、5つの点E’’、点F1、点F2、点G’、および点H’を頂点とする五角形の制御用図形CR41とする。つまり、制御用図形CR31’が制御用図形CR41へと変形される。
点Eを点E’’へと移動させる操作は、仮想受聴空間における受聴者の位置を移動させることを意味しており、ユーザのスライド操作のスライド量に応じた位置に点Eが移動する。
そして、点Eの移動方向と移動距離に応じて、点Eに対応付けられている受聴者の位置が、図中、右側の仮想受聴空間VS51に示すように変化する。つまり、仮想受聴空間VS51では、受聴者AU11の位置が、仮想受聴空間VS41における受聴者AU11の位置と比べて図中、左方向に移動している。
このように、点Eが点E’’へと移動すると、仮想受聴空間の受聴者の位置が移動する。音響効果調整部25は、ユーザの操作に応じて制御信号生成部34から供給される制御信号に応じて、仮想受聴空間の受聴者の位置が変更されるように、音響信号に対するサラウンド効果を調整する。
なお、この場合においても、音響効果調整装置11では、図17のフローチャートを参照して説明した音響効果調整処理と同様の処理が行なわれるので、その説明は省略する。
以上のような操作によれば、受聴者を中心としたサラウンド効果の変化のみでなく、会場における受聴者の位置を移動させることに相当するようなサラウンド効果の変化も、制御用図形の変化と連動して実現することができる。もちろん、受聴者の位置は制御用図形を変形させることで様々な位置に変更可能であり、従来にないユーザインターフェースと音響効果を実現することができる。
〈第5の実施の形態〉
[中央定位成分の調整について]
さらに、制御用図形に対して中央定位成分のゲインを対応付けて、音響信号の中央定位成分を調整できるようにしてもよい。
そのような場合、例えば図15に示した制御用図形CR21が表示部22に表示されているとする。ここで、制御用図形CR21の点Eと点Fには、仮想受聴空間の後方と前方の奥行き感が対応付けられている。
このような状態から、図23に示すようにユーザが右手HD16で制御用図形CR21の内部をタッチ(タップ)すると、制御用図形CR21の内部にさらに点K、点L、点M、および点Nを頂点とする四角形の制御用図形CR51が表示される。なお、図23において、図15における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。また、制御用図形CR51を表示させるための操作は、制御用図形CR21内の領域をタップする操作に限らず、どのような操作であってもよい。
制御用図形CR51が表示されると、ユーザは制御用図形CR51に対する操作を行なうことで、音響信号の中央定位成分に対する音響効果を調整することができる。
例えば、図23に示す制御用図形CR51の状態が基準となる状態、つまり中央定位成分の変化がない、音響効果ゼロの状態であるものとする。
制御用図形CR51の状態が基準となる状態である場合、例えば音響信号によって図中、右側に示す仮想受聴空間VS61が再現されるとする。仮想受聴空間VS61では、受聴者AU11の前方に3つの音源SO11−1乃至音源SO11−3が配置されており、各音源SO11の画像はほぼ同じ大きさとなっている。
このような状態から、表示部22をユーザが右手HD16の人差し指でスライド操作したとする。すると、音響効果調整装置11はユーザの指の動きを感知して、その動きを指のスライド量に変換する。そして、音響効果調整装置11は、得られたスライド量に応じて制御用図形CR51を拡大させ、点K’、点L’、点M’、および点N’を頂点とする四角形の制御用図形CR51’に変形させる。
ここでは、制御用図形CR51の大きさの変化は、音響信号の中央定位成分のゲインの変化を示しており、制御用図形CR51が拡大されると中央定位成分のゲインは増加し、制御用図形CR51が縮小されると中央定位成分のゲインは減少するようにゲイン調整が行なわれる。
例えば制御用図形CR51へのスライド操作時において、ユーザが最初にタッチした位置が制御用図形CR51内部であれば、制御用図形CR51は縮小される。これに対して、ユーザが最初にタッチした位置が制御用図形CR51外部であって、かつ制御用図形CR21内部の領域であれば、制御用図形CR51は拡大される。
なお、制御用図形CR21の外部でユーザによる操作が行なわれたときは、制御用図形CR21に対する操作とされて奥行き感が調整されるようにしてもよい。また、ユーザが最初にタッチした位置が制御用図形CR51外部であれば、その位置が制御用図形CR21の外部の領域であっても、制御用図形CR51が拡大されるようにしてもよい。
図23の例では、ユーザは制御用図形CR51の外部で、かつ制御用図形CR21内部の領域をタッチしてスライド操作を行なっているので、制御用図形CR51は拡大されて制御用図形CR51’とされる。
このようにして制御用図形CR51が拡大表示されると、仮想受聴空間VS61の状態から中央定位成分である音源SO11−1からの音のゲインが増幅され、図中、右側に示す仮想受聴空間VS62の状態へと仮想受聴空間が変化する。仮想受聴空間VS62では、仮想受聴空間VS61と比べて、音源SO11−1の画像がゲインの増幅分だけ大きくなっている。これに伴い、音響効果調整部25では、音響信号の中央定位成分が増幅される。
なお、ここでの仮想受聴空間VS62における音源SO11−1の画像の拡大は、音源SO11−1からの音声の増幅を模したものである。また、中央定位成分のゲイン調整において、制御用図形CR51の大きさの変化のみでなく、例えば制御用図形CR51の色を変化させることでゲインの調整量が表現されるようにしてもよい。具体的には、明るい色から暗い色への変化を、数値の大小関係に置き換えて、制御用図形CR51の色を変化させてもよい。
さらに、任意の画像を表示しておき、その画像の解像度を変えることで中央定位成分のゲイン調整量を表現するようにしてもよい。具体的には、画像の解像度が高い状態から低い状態への変化を、数値の大小関係に置き換えるようにしてもよい。
その他、任意の画像を表示しておき、その画像の透過度を変えることで中央定位成分の調整量を表現するようにしてもよい。具体的には、画像の透過度がゼロの状態から、完全透過の状態、つまり画像が見えない状態への変化を、数値の大小関係に置き換えてもよい。
このように、制御用図形の変形だけでなく、色や解像度を変えてゲイン調整量を表現することは、この例のみに限らず、本明細書で開示する全ての例に対して適用可能である。例えば、上述した制御用図形CR11の色や解像度、透過度などが、ユーザの制御用図形CR11に対する操作に応じて変化するようにしてもよい。
また、中央定位成分の増加,減少方法については、例えば入力となる音響信号が5.1チャンネルの信号であれば、センターチャンネル(中央チャンネル)のみのゲインを調整すればよい。また、入力となる音響信号が2チャンネルしかない場合には、2チャンネルの音響信号を信号処理によって、左チャンネル、中央チャンネル、および右チャンネルの各成分に分解した後、中央定位成分である中央チャンネルのみのゲイン調整をするようにしてもよい。
以上のように、制御用図形CR51に対して、音響パラメータとして中央定位成分のゲインを対応付けることで、より直感的で使い易いユーザインターフェースを提供することができる。
例えば、映画のような5.1チャンネルのコンテンツでは、中央定位成分であるセンターチャンネルにセリフが入っている場合がある。この場合、セリフを聞きやすいようにセンターチャンネルのゲインをマニュアルで変えることができるが、そのためには5.1チャンネルの各チャネルのゲイン設定メニューまで辿りつかないと、ユーザはその調整を行なうことができない。
また、通常の2チャンネルのコンテンツ、特に楽曲においては、信号処理によって中央定位成分を抜いてカラオケ機能を実現することができる。しかし、カラオケ機能を実現するためには、例えばメニューの深い層まで進んだ上でカラオケ機能のボタンを押すなどして機能を有効にしなければならない。つまり、同じ中央定位成分を調整するだけでも、複数のメニューや、複数の機能が存在しており、現状のインターフェースが使いやすいとはいえなかった。
これに対して、本技術では、サラウンドの調整をしている画面上において、さらに1つコマンドを与えるだけで中央定位成分の調整を実現する機能を付加することができる。また、制御用図形CR21の内部の真ん中に新しい制御用図形CR51が表示されるので、この制御用図形CR51が中央定位成分を調整するためのものだと連想もしやすい。
したがって、従来のように機能を別々のメニューから呼び出して個別に調整する方法に比べると、本技術は1つの画面上で複数の音響パラメータを連続に調整できるという、極めて高い利便性を実現することができる。
[音響効果調整部の構成例]
次に、図23に示した制御用図形CR51によって、中央定位成分のゲイン調整が行なわれる場合における音響効果調整部25の構成について説明する。
例えば、取得部24から出力される音響信号が、左チャンネルの音響信号SL、右チャンネルの音響信号SR、および中央チャンネルの音響信号SCからなる3チャンネルの信号であるとする。これは、再生対象となるコンテンツがマルチチャンネルで記録されていることに相当する。
ここで、例えば再生部26での再生がステレオチャンネル(2チャンネル)での再生であるとすると、マルチチャンネルの音響信号に対して、いわゆるミックスダウン処理を行なう必要がある。
通常、ミックスダウン処理とは、マルチチャンネルの信号を2チャンネルのスピーカでも再生できるように、各チャンネルの信号を一定の比率でミキシングして、チャンネル数を2チャンネルに減らす処理である。
したがって、取得部24から出力される音響信号が3チャンネルの信号である場合には、左チャンネルの音響信号SLと右チャンネルの音響信号SRに、中央チャンネルの音響信号SCを一定の比率で加算することに相当する。
しかし、音響効果調整装置11は、このミックスダウン処理を一定の比率で行なわず、制御用図形CR51の変形量に応じて制御信号を生成する。そして、音響効果調整装置11は、この制御信号に応じて、中央チャンネルの音響信号SCの左チャンネルの音響信号SLと右チャンネルの音響信号SRへのミキシング比率を可変化する。
これにより、ユーザの操作に応じて中央定位成分のゲインを調整することができる。例えば、ミキシング比率を大きくして中央定位成分であるボーカルを強調したり、ミキシング比率を小さくしてカラオケのように利用したりすることが可能である。
このように、制御用図形CR51の変形量に応じた制御信号により、中央チャンネルの音響信号SCのミキシング比率を可変化する場合、音響効果調整部25には、サラウンド効果を調整する構成の他、図24に示す中央定位成分を調整する構成が設けられる。
なお、図24では、サラウンド効果を調整する構成の図示は省略されている。図24に示す音響効果調整部25には、ゲイン調整部291、加算部292、および加算部293が含まれている。
この例では、制御用図形CR51の変形量に応じた制御信号がゲイン調整部291に供給されるとともに、中央チャンネルの音響信号SCがゲイン調整部291に供給される。また、加算部292および加算部293には、それぞれ左チャンネルの音響信号SLおよび右チャンネルの音響信号SRが供給される。
ゲイン調整部291は、制御信号生成部34から供給された制御信号に基づいて、供給された音響信号SCのゲインを調整し、加算部292および加算部293に供給する。
加算部292は、供給された音響信号SLに、ゲイン調整部291から供給された音響信号SCを加算して、ゲイン調整後の左チャンネルの音響信号SL’とし、再生部26に供給する。また、加算部293は、供給された音響信号SRに、ゲイン調整部291から供給された音響信号SCを加算して、ゲイン調整後の右チャンネルの音響信号SR’とし、再生部26に供給する。
なお、音響信号が左右の2チャンネルの信号である場合には、左チャンネルと右チャンネルの信号を用いて、中央チャンネルに相当する信号を生成し、その信号のゲインを調整することで、中央定位成分のゲイン調整を行なうことができる。
また、サラウンド調整後の音響信号に対して中央定位成分のゲイン調整が行なわれてもよいし、中央定位成分のゲイン調整後の音響信号に対してサラウンド調整が行なわれるようにしてもよい。
[音響効果調整処理の説明]
さらに、図25のフローチャートを参照して、音響効果調整部25が図24に示した構成とされ、制御用図形CR51に対する操作により中央定位成分のゲイン調整が行なわれる場合に、音響効果調整装置11により行なわれる音響効果調整処理について説明する。
ステップS131において、表示制御部33は、制御用図形CR21の画像データを表示部22に供給して、表示部22に制御用図形CR21を表示させる。すると、表示部22は、表示制御部33から供給された画像データに基づいて制御用図形CR21を表示する。
ユーザが中央定位成分のゲイン調整を行なおうとする場合、ユーザは制御用図形CR21の内部、つまり制御用図形CR21の領域をタップして、制御用図形CR51の表示を指示する。ユーザが制御用図形CR21に対する操作を行なうと、入力部21としてのタッチパネルは、ユーザの操作に応じた信号を制御部23に供給する。
ステップS132において、検出部31は、入力部21から供給された信号に基づいて、ユーザの制御用図形CR21内部への操作を検出する。具体的には、検出部31は、タッチパネル上におけるユーザのタッチ位置から、ユーザの制御用図形CR21内部への操作を検出する。
制御用図形CR21内部への操作が検出されると、ステップS133において表示制御部33は、その検出に応じて制御用図形CR51の画像データを表示部22に供給し、表示部22における制御用図形CR21の内部に、さらに制御用図形CR51を表示させる。これにより、表示部22は、例えば図23に示したように、制御用図形CR21の内部に制御用図形CR51を表示させる。
制御用図形CR51が表示されると、ユーザは、音響信号の中央定位成分のゲイン調整を指示するため、制御用図形CR51に対するスライド操作を行なう。
なお、ユーザは中央定位成分を増加させるか、または減少させるかに応じて、制御用図形CR51内部、つまり制御用図形CR51の領域への操作か、または制御用図形CR51外部で、かつ制御用図形CR21内部の領域への操作を行なう。
ステップS134において、検出部31は、ユーザによる制御用図形CR51への操作に応じて入力部21から供給された信号に基づいて、ユーザの制御用図形CR21内部の領域への操作を検出する。
具体的には、検出部31は、タッチパネル上におけるユーザのタッチ位置と、タッチパネルへと接触させたユーザの指の移動量であるスライド量とを検出する。
ステップS135において、設定部32は、検出部31により検出されたタッチ位置が、内部に表示された制御用図形CR51の外部の領域であるか否かを判定する。すなわち、ユーザによる最初のタッチ位置が、制御用図形CR21内部であり、かつ制御用図形CR51の外部の領域である場合、タッチ位置が制御用図形CR51外部の領域であると判定される。
ステップS135においてタッチ位置が制御用図形CR51外部の領域であると判定された場合、処理はステップS136に進む。
ステップS136において、設定部32は、検出部31により検出されたスライド量に応じて、制御用図形CR21内部に表示された制御用図形CR51の拡大量を設定する。例えば、スライド量に対して予め定められた距離だけ、制御用図形CR51の各点(頂点)が移動するように、拡大量が定められる。
ステップS137において、表示制御部33は、ステップS136で定められた拡大量に基づいて表示部22を制御し、制御用図形CR51を拡大させる。これにより、例えば図23に示した制御用図形CR51が、制御用図形CR51’へと拡大表示される。
ステップS138において、制御信号生成部34は、制御用図形CR51の拡大量に応じた中央定位成分のゲインの増加量を決定する。制御信号生成部34は、決定した増加量だけ音響信号の中央定位成分のゲインを増加させる制御信号を生成し、音響効果調整部25のゲイン調整部291に供給する。
ステップS139において、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号に対する中央定位成分のゲイン調整を行い、その結果得られた音響信号を再生部26に供給する。
具体的には、ゲイン調整部291は、制御信号生成部34から供給された制御信号に基づいて、供給された音響信号SCのゲインを調整し、加算部292および加算部293に供給する。そして、加算部292は、供給された音響信号SLに、ゲイン調整部291から供給された音響信号SCを加算して音響信号SL’とし、再生部26に供給する。また、加算部293は、供給された音響信号SRに、ゲイン調整部291から供給された音響信号SCを加算して音響信号SR’とし、再生部26に供給する。
再生部26は、加算部292および加算部293から供給された音響信号に基づいて音声を再生する。
このようにして音響信号の中央定位成分のゲイン調整が行なわれると、音響効果調整処理は終了する。
また、ステップS135においてタッチ位置が制御用図形CR51外部の領域でない、つまり制御用図形CR51内部の領域であると判定された場合、処理はステップS140に進む。
ステップS140において、設定部32は、検出部31により検出されたスライド量に応じて、制御用図形CR21内部に表示された制御用図形CR51の縮小量を設定する。
ステップS141において、表示制御部33は、ステップS140で定められた縮小量に基づいて表示部22を制御し、制御用図形CR51を縮小させる。
ステップS142において、制御信号生成部34は、制御用図形CR51の縮小量に応じた中央定位成分のゲインの減少量を決定する。制御信号生成部34は、決定した減少量だけ音響信号の中央定位成分のゲインを減少させる制御信号を生成し、音響効果調整部25のゲイン調整部291に供給する。
ステップS143において、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号に基づいて、取得部24から供給された音響信号に対する中央定位成分のゲイン調整を行い、その結果得られた音響信号を再生部26に供給する。すなわち、ステップS143では、ステップS139と同様の処理が行なわれる。
音響信号の中央定位成分のゲイン調整が行なわれて、音響効果調整部25から再生部26に音響信号が供給されると、再生部26は、音響効果調整部25から供給された音響信号に基づいて音声を再生し、音響効果調整処理は終了する。
以上のようにして、音響効果調整装置11は、ユーザの制御用図形CR51に対する操作に応じて、制御用図形CR51を変形させるとともに、その変形に応じて音響信号の中央定位成分のゲイン調整を行なう。
音響効果調整装置11によれば、ユーザ操作に応じてゲイン調整のための音響パラメータが対応付けられた制御用図形CR51を変形させると同時に、その変形に応じて音響効果を調整することで、ユーザの直感的な操作を実現できるようになる。すなわち、ユーザに対して、より分かり易く使い易いユーザインターフェースを提供することができる。
なお、本明細書では、制御用図形CR51に対する操作として代表的なものについてのみ記載しているが、制御用図形CR51に対する操作のバリエーションとして他に多くのものが考えられ、それらの操作のバリエーションに対応する音響効果の調整に対しても、本技術は適用可能である。
〈第6の実施の形態〉
[イコライザ調整とサラウンド調整について]
また、制御用図形の各頂点に対して、イコライザ調整の音響パラメータと、サラウンド調整の音響パラメータなど、異なるカテゴリ(種別)の音響パラメータが対応付けられるようにしてもよい。
例えば、制御用図形にイコライザ調整の音響パラメータと、サラウンド調整の音響パラメータとが対応付けられる場合、図26に示すように制御用図形に対する操作が行なわれる。なお、図26において、図4または図19における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
例えば図26中、上側に示すように表示部22に、点A、点B、点C、および点Dを頂点とする制御用図形CR11が表示されているとする。
この制御用図形CR11では、点Aおよび点Bには、音響信号の100Hzのゲインおよび10kHzのゲインが対応付けられている。また、点Cおよび点Dには、仮想受聴空間の左方向および右方向の広がり感が対応付けられている。
したがって、例えば図中、上側に示すように、ユーザが右手HD11で縦方向にピンチアウト操作をすると、その操作にしたがって制御用図形CR11が縦方向に拡大され、制御用図形CR11’へと変形される。そして、制御用図形CR11の変形に応じて図中、右側の曲線C11および曲線C12に示すように、音響信号の100Hzの特性と10kHzの特性とが変化するように音響信号のゲイン調整(イコライザ調整)が音響効果調整部25により行なわれる。
さらに、図中、下側に示すように、ユーザが右手HD11で制御用図形CR11’に対して、横方向にピンチアウト操作をすると、その操作にしたがって制御用図形CR11’が横方向に拡大され、制御用図形CR61へと変形される。制御用図形CR61は、点A’、点B’、点C’’、および点D’’を頂点とする四角形である。
制御用図形CR11’が制御用図形CR61へと変形されると、その変形に応じて図中、右側に示すように、音響信号の仮想受聴空間の左右方向の広がり感が拡大される。この例では、制御用図形CR11’が表示されている状態における仮想受聴空間VS71が、制御用図形CR61への変形に伴って仮想受聴空間VS72へと変化している。つまり、仮想受聴空間が左右方向に拡大されるとともに、その拡大に応じて音源SO11−2と音源SO11−3の位置が音源SO11−1から遠ざかるように外側に移動している。
制御用図形CR11’が横方向に拡大されると、音響効果調整部25は仮想受聴空間の広がり感が拡大されるように、音響信号に対する広がり感の調整、つまりサラウンド効果の調整を行なう。
このように、1つの制御用図形CR11の縦方向の操作に対してはイコライザ調整を対応付け、横方向の操作に対してはサラウンド調整を対応付けることができる。したがって、従来は機能を別々のメニューから呼び出して個別に調整していたのに比べると、本技術では1つの画面上で複数の音響パラメータを連続的に調整することができるので、より高い利便性をユーザに提供することができる。
なお、制御用図形の各部分(頂点)に、どのような音響パラメータが対応付けられるかをユーザが設定できるようにしてもよい。
〈第7の実施の形態〉
[イコライザ調整とサラウンド調整について]
また、以上においては、1つの図形の頂点に音響パラメータを対応付ける例について説明したが、立体図形の各面に制御用図形を表示させるようにしてもよい。
そのような場合、例えば図27に示すように、表示制御部33は表示部22に立体制御用図形DCR11を表示させる。この例では、立体制御用図形DCR11は立方体とされ、その立方体の面には、制御用図形が表示されている。具体的には、図中、上側に示すように、立体制御用図形DCR11の正面、上面、および右側面には、それぞれ制御用図形CR71、制御用図形CR72、および制御用図形CR73が表示されている。
例えば、制御用図形CR71は、イコライザ調整のための制御用図形であり、制御用図形CR71の縦方向上側および下側の点には、それぞれ10kHzおよび100Hzのゲイン特性が対応付けられている。
また、制御用図形CR72は、サラウンド調整のための制御用図形とされており、制御用図形CR73は、イコライザ調整のための制御用図形とされている。特に、制御用図形CR73の縦方向上側および下側の点には、それぞれ5kHzおよび500Hzのゲイン特性が対応付けられている。
このような立体制御用図形DCR11では、例えばユーザから見て正面側に位置する面に表示されている制御用図形に対してのみ操作が可能となっている。したがって図中、上側の状態では、正面に表示されている制御用図形CR71に対する操作が可能となっている。
また、この状態から、ユーザが矢印Q31に示す方向、つまり図中、左方向への指のスライド操作を行なうと、立体制御用図形DCR11が左方向に回転し、図中、右下に示すように制御用図形CR73が正面に位置するようになる。この状態では、ユーザは制御用図形CR73に対する操作を行なって、音響信号のイコライザを調整することができる。
さらに、図中、上側に示す状態から、ユーザが矢印Q32に示す方向、つまり図中、下方向への指のスライド操作を行なうと、立体制御用図形DCR11が下方向に回転し、図中、左下に示すように制御用図形CR72が正面に位置するようになる。この状態では、ユーザは制御用図形CR72に対する操作を行なって、音響信号のサラウンドを調整することができる。
なお、ここでは、立体制御用図形DCR11の3つの面に制御用図形が表示される例について説明したが、全ての面に制御用図形が表示されるようにしてもよい。この場合、ユーザは、立体制御用図形DCR11を任意の方向に回転させて、所望の面を正面に表示させ、その面に表示された制御用図形に対する操作を行なうことで、音響効果を調整することができる。もちろん、ユーザは立体制御用図形DCR11を同じ方向に一周以上回転させることも可能であるし、逆方向に回転させることも可能である。
また、立体制御用図形は立方体に限らず、直方体や四面体、八面体など、複数の面を有する立体図形であればよい。さらに、立体制御用図形DCR11の各面に対応付けられた音響パラメータの調整量に応じて、その面の明るさや色合いを変えたりすることで、各面でどのような調整が行われているかを、より簡単に把握させることができる。
このように、1つの立体制御用図形DCR11上の各平面に、それぞれ音響パラメータを割り当てることで、従来のように画面上にテキストなどで縦方向または横方向に一列に音響パラメータの項目が表示されている場合と比べて、より分かり易く音響パラメータを選択することができる。
〈第8の実施の形態〉
[使用環境について]
また、以上においては、音響効果調整装置11が表示デバイスでもあり、その表示デバイス自体で音響効果を感じることができると説明してきた。
すなわち、図28に示すように、例えば音響効果調整装置11には再生部26としてのスピーカ321−1とスピーカ321−2が設けられており、これらのスピーカ321−1とスピーカ321−2から音響信号に基づく音声が出力される。なお、以下、スピーカ321−1およびスピーカ321−2を特に区別する必要のない場合、単にスピーカ321とも称する。
また、音響効果調整装置11の表示部22には、音響パラメータが対応付けられた制御用図形CR81が表示され、スピーカ321からは制御用図形CR81に対応した音響効果が施された音声が再生される。
さらに、この制御用図形CR81に対する操作が行なわれると、図中、下側に示すように制御用図形CR81が変形されて制御用図形CR81’となる。
そして、制御用図形CR81の変形に伴って音響効果が調整される。ここで、例えば制御用図形CR81に、サラウンド効果としての左右の広がり感が対応付けられているとする。そのような場合には、制御用図形CR81の変形に伴って横方向の広がり感が増加され、矢印Q41および矢印Q42に示すように、あたかもスピーカ321が音響効果調整装置11に対して外側に移動したかのような音響効果を得ることができる。つまり、ユーザは制御用図形CR81に対する操作に応じた音響効果を、音響効果調整装置11で感じることができる。
本技術は、このように表示デバイス自体で音響効果を感じることができる使用環境の他に、表示デバイス自体にはスピーカが設けられておらず、表示デバイスをリモートコマンダとする使用環境にも適用可能である。
そのような場合、例えば図29に示すように、表示デバイスである音響効果調整装置351にはスピーカが設けられておらず、音響効果調整装置351は、リモートコマンダとして機能し、外部機器352に対して音響信号の再生や音響効果の調整を指示する。
この例では、外部機器352には、2つのスピーカ353−1およびスピーカ353−2が設けられている。外部機器352は、音響効果調整装置351の制御にしたがって音響信号の音響効果を調整したり、音響信号に基づく音声をスピーカ353−1およびスピーカ353−2から出力したりする。なお、以下、スピーカ353−1およびスピーカ353−2を特に区別する必要のない場合、単にスピーカ353とも称する。
例えば、音響効果調整装置351の表示画面には、音響パラメータが対応付けられた制御用図形CR91が表示され、外部機器352からは図中、左上に示すように制御用図形CR91に対応した音響効果が施された音声が再生される。
さらに、この制御用図形CR91に対する操作が行なわれると、図中、下側に示すように制御用図形CR91が変形されて制御用図形CR91’となる。
そして、音響効果調整装置351は、制御用図形CR91の変形に応じた音響効果を施す旨の制御信号を外部機器352に送信し、外部機器352に制御信号に応じた音響効果の調整を実行させる。
ここで、例えば制御用図形CR91に、サラウンド効果としての左右の広がり感が対応付けられているとする。そのような場合には、制御用図形CR91の変形に伴って横方向の広がり感が増加されるように、音響効果調整装置351は制御信号を外部機器352に送信し、広がり感の調整を指示する。すると、外部機器352は、音響効果調整装置351からの制御信号を受信する。さらに、外部機器352は、受信した制御信号に基づいて、例えば矢印Q51および矢印Q52に示すように、あたかもスピーカ353が外部機器352に対して外側に移動したかのような音響効果が得られるように音響信号のサラウンドを調整する。これにより、ユーザは制御用図形CR91に対する操作に応じた音響効果を感じることができる。
[音響効果調整装置の構成例]
このように、音響効果調整装置351がリモートコマンダとして機能し、外部機器352に対して音響効果の調整を指示する場合、音響効果調整装置351は、例えば図30に示すように構成される。なお、図30において、図2における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図30に示す音響効果調整装置351は、入力部21、表示部22、制御部23、および通信部371から構成される。
制御部23は、タッチパネルなどからなる入力部21から供給される信号に基づいて、表示部22に制御用図形を表示させたり、通信部371に外部機器352への制御信号の送信を指示したりする。
また、制御部23は、検出部31、設定部32、表示制御部33、および制御信号生成部34を備えている。例えば、制御信号生成部34は、ユーザの制御用図形への操作に応じて、音響効果の調整を指示する制御信号を生成し、通信部371に供給する。
通信部371は、制御信号生成部34から供給された、音響効果の調整を指示する制御信号を、例えば無線通信により外部機器352に送信する。その他、通信部371は、制御部23の制御にしたがって、音響信号の再生や再生停止などを指示する制御信号も外部機器352に送信する。
音響効果調整装置351も、上述した音響効果調整装置11と同様の処理を行なって、音響信号の音響効果の調整を制御する。
〈第9の実施の形態〉
[タッチ位置ごとの音響効果について]
さて、以上においては、表示部の画面上の制御用図形を変形させることで音響効果を調整してきたが、画面をタッチする位置自体に応じて音響効果を変えることで、新しいユーザインターフェースを構築することも可能である。
例えば、図31に示すように、音響効果調整装置381の表示画面を20分割して、分割された各領域のうちの何れかにユーザがタッチ(接触)すると、ユーザによりタッチされた領域から音声が聞こえてくるような音響効果が実現される。
この例では、音響効果調整装置381には、2つのスピーカ382−1およびスピーカ382−2が設けられており、音響効果調整装置381は音響効果を施した音響信号に基づいて、これらのスピーカ382−1およびスピーカ382−2から音声を出力させる。なお、以下、スピーカ382−1およびスピーカ382−2を特に区別する必要のない場合、単にスピーカ382とも称する。
また、音響効果調整装置381の表示画面では、20分割された各領域に文字「A」乃至「T」の何れかが表示されており、各領域は正方形の領域となっている。以下では、分割された各領域を、その領域に表示された文字の領域と称することとする。すなわち、例えば文字「A」が表示された領域は、Aの領域とも称することとする。
このような音響効果調整装置381では、A乃至Tの各領域について、スピーカ382で再生されたときに、その領域から音声が出力されているような音響効果が施された音響信号のファイルが予め用意されて保持されている。そして、ユーザにより音響効果調整装置381の表示画面へのタッチ操作が行なわれると、タッチされた領域に対応付けられているファイル(音響信号)が再生されるようになされている。
例えば、ユーザが音響効果調整装置381の表示画面におけるPの領域をタッチすると、図中、左側に示すように、あたかも音響効果調整装置381の左下側の位置から音声が出力されているかのような音響効果の音響信号がスピーカ382で再生される。
また、例えば、ユーザが音響効果調整装置381の表示画面におけるEの領域をタッチすると、図中、右側に示すように、あたかも音響効果調整装置381の右上側の位置から音声が出力されているかのような音響効果の音響信号がスピーカ382で再生される。
なお、音による画面の左右位置の表現、つまり仮想的な音源の左右方向の位置の制御は、例えばスピーカ382−1とスピーカ382−2から出力される音声の音量バランスを変えることで実現することができる。また、音による画面の上下位置の表現は、スピーカ382−1とスピーカ382−2で再生される音声に特殊なノッチ特性を与えることで再現できることが知られている。
さらに、最も効果的には、スピーカ382−1とスピーカ382−2以外にも、音響効果調整装置381の上下方向にスピーカ382−3とスピーカ382−4を設ければ、より確かに音の上下位置の表現が可能となる。
例えばタブレットでは、電子書籍の配信や購読が一般化しつつある。このような電子書籍を表示させるアプリケーションプログラムとして、ページをめくった際に音を出力させるものもある。しかし、そのようなアプリケーションプログラムでは、ユーザが画面のどこを触っても同じ音が出力されるだけである。
これに対して、音響効果調整装置381によれば、電子書籍のページをめくるときに、ユーザが画面の左側を触れば左側から、画面の上側を触れば上側から音が聞こえるようにユーザに感じさせることができ、よりリアリティを向上させることができる。
したがって、多くのユーザがこれまで慣れ親しんできた物理的な本の操作感と、タブレットが再生する操作音との一致度を高くすることができるようになる。これにより、操作の違和感を減少させた、ユーザ満足度の高いユーザインターフェースを構成することが可能となる。
なお、音響効果調整装置381の構成も図2に示した音響効果調整装置11と同様の構成とされる。例えば、表示制御部33は、表示部22にA乃至Tの領域を表示させ、ユーザによりそれらの領域に対する操作が行なわれると、入力部21から制御部23へと、ユーザの操作に応じた信号が供給される。
すると、検出部31は、入力部21からの信号に基づいて、ユーザによりタッチされた領域を特定し、制御信号生成部34は、その特定結果に応じた制御信号を音響効果調整部25に供給する。そして、音響効果調整部25は、制御信号生成部34からの制御信号により特定される音響信号のファイルを取得部24から取得して再生部26に供給し、再生部26は供給された音響信号に基づいて音声を出力する。
〈第10の実施の形態〉
[スライド方向に応じた音響効果について]
さらに、本技術によれば、電子書籍などを再生する場合に、例えば画面上に重ねて表示されている紙を、ページをめくるように所定方向にスライドさせたときに、そのスライド方向に応じた音響効果を実現することも可能である。
そのような場合、例えば図32に示すように本技術を適用した音響効果調整装置411の表示部421には、電子書籍としての紙の画像が表示される。表示部421に表示されている紙は重ねられて、各紙が1つのページとなっている。また、表示部421には、図2の入力部21に対応するタッチパネルが重畳して設けられており、このタッチパネルによって、ユーザの表示部421への操作が受け付けられる。
さらに、音響効果調整装置411の図中、左右の端には、2つのスピーカ422−1およびスピーカ422−2が設けられており、音響効果調整装置411はユーザによるページ送り操作に応じた音響信号に基づいて、スピーカ422−1およびスピーカ422−2から音声を出力させる。なお、以下、スピーカ422−1およびスピーカ422−2を特に区別する必要のない場合、単にスピーカ422とも称する。
例えば、図32に示すように一番手前側に表示されている紙を図中、右側にめくるように、表示部421表面においてユーザが指でスライド操作を行なうと、そのスライド操作に応じて表示部421は、一番手前側の紙を左から右方向にスライドさせる。
同時に、音響効果調整装置411は、このようなスイライド操作を音声で表現するために、矢印Q61に示すように時刻T1においてスピーカ422−1から音響信号に基づく音声を出力させる。さらに、音響効果調整装置411は、その後、時刻T2においてスピーカ422−2から音響信号に基づく音声を出力させる。これにより、ページ(紙)の左側から右側への移動感が表現された音響効果が得られるので、表示部421の画面上の紙の動きと音声の一致度をより高めることができるようになる。
さらに、ユーザによる右方向へのスライド操作に応じて、音響効果調整装置411が矢印Q62に示すようにスピーカ422から音響信号に基づく音声を出力させるようにしてもよい。
すなわち、音響効果調整装置411は、時刻T1においてスピーカ422−1から音響信号に基づく音声を出力させ、この音声の音量が時間とともに小さくなり、時刻Tmidにおいてスピーカ422−1からの音声の出力が停止されるように音声の音量を制御する。図32では、直線C71は、スピーカ422−1から出力される音声の音量を示しており、この音声の音量は、時刻T1から時刻Tmidに近付くにつれて小さくなっている。
さらに、音響効果調整装置411は、時刻Tmidにおいてスピーカ422−2から音響信号に基づく音声を出力させ、この音声の音量が時刻T2まで時間とともに大きくなり、その後、時刻Tendまでは音声の音量が時間とともに小さくなるように、音声の音量を制御する。
図32では、直線C72は、スピーカ422−2から出力される音声の音量を示しており、この音声の音量は、時刻Tmidから時刻T2に近付くにつれて大きくなり、時刻T2から時刻Tendまでは音声の音量がしだいに小さくなっている。また、時刻Tendで音声の再生が停止される。
このような音声の再生を行なうと、特に紙の動きがゆっくりとしている場合に、再生される音声と、現実のページめくりで生じる音の変化との一致度が高くなる。
このように、画面上で動きのあるオブジェクト(画像)の移動に対して、その移動に対応するような音の変化を与えることで、よりリアリティを向上させることが可能となる。その結果、操作の違和感を減少させた、ユーザ満足度の高いユーザインターフェースを構成することが可能となる。
なお、図32を参照して説明した音響効果調整装置411の構成も、図2の音響効果調整装置11の構成と同様の構成とされる。すなわち、検出部31によりユーザのスライド操作が検出され、検出された操作に応じて音量を制御する制御信号が制御信号生成部34により生成される。そして、音響効果調整部25は、制御信号生成部34で生成された制御信号に基づいて、音響信号の音量を制御することで、ページめくり等のオブジェクトの移動に対応する音響効果を実現する。
以上のように本技術によれば、画面上の図形や画像の変化,位置に合わせて音響効果を変えるようにすることで、従来の羅列的でイメージの伴わない音響調整方法と比べて、より分かり易く、使い易いユーザインターフェースを提供することが可能となる。
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
図33は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)701,ROM(Read Only Memory)702,RAM(Random Access Memory)703は、バス704により相互に接続されている。
バス704には、さらに、入出力インターフェース705が接続されている。入出力インターフェース705には、入力部706、出力部707、記録部708、通信部709、及びドライブ710が接続されている。
入力部706は、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネルなどよりなる。出力部707は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部708は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部709は、ネットワークインターフェースなどよりなる。ドライブ710は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア711を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU701が、例えば、記録部708に記録されているプログラムを、入出力インターフェース705及びバス704を介して、RAM703にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータ(CPU701)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア711に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア711をドライブ710に装着することにより、入出力インターフェース705を介して、記録部708にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部709で受信し、記録部708にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM702や記録部708に、あらかじめインストールしておくことができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、本技術は、以下の構成とすることも可能である。
[1]
音響信号の音響効果を調整するための制御用図形を表示させるとともに、前記制御用図形に対するユーザの操作に応じて前記制御用図形を連続的に変化させる表示制御部と、
前記制御用図形の互いに異なる部分に対応付けられた、前記音響信号に前記音響効果を施すための複数の音響パラメータについて、前記制御用図形の変化と連動させて前記音響パラメータを連続的に変化させる制御部と
を備える音響効果調整装置。
[2]
前記制御用図形を表示する表示部に重畳して設けられたタッチパネルに対する前記ユーザの操作を検出することで、前記制御用図形に対する前記ユーザの操作を検出する検出部をさらに備え、
前記表示制御部は前記検出部による検出結果に応じて前記制御用図形を変化させ、
前記制御部は前記検出部による前記検出結果に応じて前記音響パラメータを変化させる
[1]に記載の音響効果調整装置。
[3]
前記制御用図形とともに表示されたポインタによる前記制御用図形への操作を検出することで、前記制御用図形に対する前記ユーザの操作を検出する検出部をさらに備え、
前記表示制御部は前記検出部による検出結果に応じて前記制御用図形を変化させ、
前記制御部は前記検出部による前記検出結果に応じて前記音響パラメータを変化させる
[1]に記載の音響効果調整装置。
[4]
前記制御用図形の変化に応じて変化した前記音響パラメータに基づいて、前記音響信号に対して前記音響効果を施す音響効果調整部と、
前記音響効果調整部により前記音響効果が施された前記音響信号に基づいて音声を再生する再生部と
をさらに備える[1]乃至[3]の何れかに記載の音響効果調整装置。
[5]
前記音響パラメータをパラメトリック化することで前記音響効果を連続的に変化させる
[4]に記載の音響効果調整装置。
[6]
前記音響効果調整部は、予め定められた第1の音響効果が施された前記音響信号と、予め定められた、前記第1の音響効果とは異なる第2の音響効果が施された前記音響信号とを、前記音響パラメータの変化に応じてクロスフェードすることで前記音響効果を連続的に変化させる
[4]に記載の音響効果調整装置。
[7]
前記音響パラメータの変化に応じた制御信号を、前記音響信号に対して前記音響効果を施す外部機器に送信する通信部をさらに備える
[1]乃至[3]の何れかに記載の音響効果調整装置。
[8]
前記表示制御部は、前記制御用図形とともに、前記制御用図形とは異なる他の制御用図形をさらに表示させる
[1]乃至[7]の何れかに記載の音響効果調整装置。
[9]
前記表示制御部は、前記制御用図形とともに前記音響パラメータを想起させる画像をさらに表示させ、前記制御用図形に対する前記ユーザの操作に応じて前記制御用図形および前記画像を変化させる
[1]乃至[7]の何れかに記載の音響効果調整装置。
[10]
前記表示制御部は、前記制御用図形に対する前記ユーザの操作に応じて前記制御用図形を変形させる
[1]乃至[9]の何れかに記載の音響効果調整装置。
[11]
前記制御用図形の第1の頂点と第2の頂点には、互いに異なる種別の前記音響パラメータが対応付けられている
[10]に記載の音響効果調整装置。
[12]
前記表示制御部は、前記制御用図形に対する前記ユーザの操作に応じて前記制御用図形の色、解像度、または透過度を変化させる
[1]乃至[9]の何れかに記載の音響効果調整装置。
[13]
前記制御部は、前記音響パラメータを変化させることで、前記音響信号により再現される仮想受聴空間の受聴者を中心として、前記仮想受聴空間の音響特性を変化させる
[1]乃至[12]の何れかに記載の音響効果調整装置。
[14]
前記制御部は、前記音響パラメータを変化させることで、前記音響信号により再現される仮想受聴空間の受聴者の位置を変化させる
[1]乃至[12]の何れかに記載の音響効果調整装置。
[15]
音響信号の音響効果を調整するための制御用図形を表示させるとともに、前記制御用図形に対するユーザの操作に応じて前記制御用図形を連続的に変化させ、
前記制御用図形の互いに異なる部分に対応付けられた、前記音響信号に前記音響効果を施すための複数の音響パラメータについて、前記制御用図形の変化と連動させて前記音響パラメータを連続的に変化させる
ステップを含む音響効果調整方法。
[16]
音響信号の音響効果を調整するための制御用図形を表示させるとともに、前記制御用図形に対するユーザの操作に応じて前記制御用図形を連続的に変化させ、
前記制御用図形の互いに異なる部分に対応付けられた、前記音響信号に前記音響効果を施すための複数の音響パラメータについて、前記制御用図形の変化と連動させて前記音響パラメータを連続的に変化させる
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
[17]
表示部に所定の画像を表示させるとともに、ユーザの前記画像に対する操作に応じて前記画像を変化させる表示制御部と、
前記画像の変化と連動させて、音響信号の音響効果を連続的に変化させる制御部と
を備える音響効果調整装置。
[18]
表示部に所定の画像を表示させるとともに、ユーザの前記画像に対する操作に応じて前記画像を変化させ、
前記画像の変化と連動させて、音響信号の音響効果を連続的に変化させる
ステップを含む音響効果調整方法。