JP6066645B2 - 非水電解液用添加剤、非水電解液、及び、蓄電デバイス - Google Patents
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Description
本発明は、保存安定性に優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる非水電解液用添加剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該非水電解液用添加剤を含む非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明にかかるN−アリールカルボン酸アミド化合物が非水電解液用添加剤として、サイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善する理由は詳らかではないが、次のように考えられる。本発明にかかるN−アリールカルボン酸アミド化合物は、フェニル基の高いラジカル安定性により電気化学的還元を受けた際にフェニル基が脱離し、N、O等を含む極性基を多数含有するSEIを形成すると考えられる。このようなN、O等を含む極性基を多数含有しているSEIは、優れたイオン伝導度を示すことができることから、非常に高性能なSEIであると考えられる。
なお、一般的にこのような高性能SEIの性能確認は数百回に及ぶサイクル試験を行い、容量の維持率を見ることにより評価する。
なお、本明細書において、「置換されていてもよいアリール基」とは、フェニル基やベンジル基等のアリール基の有する水素原子の少なくとも一つが置換基により置換されていてもよいことを意味する。このような置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。なかでも、より低いLUMOエネルギーを示すものとなることから、フッ素原子が好ましい。
また、Arで示される置換されていてもよいアリール基のうち、置換されていてもよいベンジル基としては、例えば、ベンジル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2−エチルベンジル基、3−エチルベンジル基、4−エチルベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、2−エトキシベンジル基、3−エトキシベンジル基、4−エトキシベンジル基、2−(ジメチルアミノ)ベンジル基、3−(ジメチルアミノ)フベンジル基、4−(ジメチルアミノ)ベンジル基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基等が挙げられる。なかでも、電気化学的還元を受けやすい低いLUMOエネルギーを示すこと等から、ベンジル基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基であることが好ましい。
なお、本明細書において、「置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基」とは、該アルキル基の有する水素原子の少なくとも一つが置換基により置換されていてもよいことを意味する。このような置換基としては、例えば、アルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。なかでも、より低いLUMOエネルギーを示すものとなることから、フッ素原子が好ましい。
前記式(1)中、Rが、置換されていてもよいアルキル基である場合、該アルキル基の炭素数が7以上であると、非水溶媒への溶解性が低下するおそれがある。Rで示されるアルキル基の炭素数の好ましい上限は3である。
また、Rで示される置換されていてもよいアリール基のうち、置換されていてもよいベンジル基としては、例えば、ベンジル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2−エチルベンジル基、3−エチルベンジル基、4−エチルベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、2−エトキシベンジル基、3−エトキシベンジル基、4−エトキシベンジル基、2−(ジメチルアミノ)ベンジル基、3−(ジメチルアミノ)ベンジル基、4−(ジメチルアミノ)ベンジル基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基等が挙げられる。なかでも、電気化学的還元を受けやすい低いLUMOエネルギーを示すこと等から、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基であることが好ましい。
なお、添加剤のLUMOエネルギーが、共存する電解液成分と比べて同等又は高い場合、電解液より優先して負極上での電気分解を受けることができないため、高性能のSEIが形成されずサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性向上を達成することはできない。例えば、一般的に電解液で用いられる炭酸エチレンのLUMOエネルギーは1.07であり、一般的にSEI形成用添加剤として用いられるビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)のLUMOエネルギーはそれぞれ0.01、0.52である。
また、本発明にかかるN−アリールカルボン酸アミド化合物は、水分や温度変化に対して安定であるため、該化合物からなる本発明の非水電解液用添加剤は、長期間、室温で保存することが可能である。したがって、該非水電解液用添加剤を含有する非水電解液も、長期間の保存及び使用に耐えることができる。
本発明の非水電解液用添加剤、非水溶媒、及び、電解質を含有する非水電解液もまた、本発明の1つである。
更に、本発明の非水電解液用添加剤と共に、必要に応じて、非水電解液にビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,3−プロパンスルトン(PS)等の一般的な添加剤を混合してもよい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル等が挙げられる。
前記脂肪族カルボン酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル等が挙げられる。
前記ラクトンとしては、例えば、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
前記ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン等が挙げられる。
前記スルホンとしては、例えば、スルホラン等が挙げられる。
前記ハロゲン誘導体としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
これらの非水溶媒は、単独で用いてもよいし、複数種を混合してもよい。
これらの非水溶媒は、例えば、リチウムイオン電池等の非水電解液二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等の電気二重層キャパシタ等に好ましく用いられる。
図1において、非水電解液二次電池1は、正極集電体2の一方面側に正極活物質層3が設けられてなる正極板4、及び、負極集電体5の一方面側に負極活物質層6が設けられてなる負極板7を有する。正極板4と負極板7とは、本発明の非水電解液8と非水電解液8中に設けたセパレータ9を介して対向配置されている。
また、負極活物質として、リチウム金属、及び、リチウムと合金を形成することができる金属材料を用いることもできる。前記リチウムと合金を形成することができる金属としては、例えば、Cu、Sn、Si、Co、Mn、Fe、Sb、Ag等が挙げられ、これらの金属とリチウムを含む2元又は3元からなる合金を用いることもできる。
これらの負極活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
(N−メチルアセトアニリド(化合物1)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−フェニルアミン10.2g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたアセチルクロライド7.85g(0.10モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N−メチルアセトアニリド12.7g(0.085モル)を取得した。N−メチルアセトアニリドの収率は、アセチルクロライドに対して85%であった。
なお、得られたN−メチルアセトアニリドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.10−7.31(m、5H)、2.78(s、3H)、2.02(s、3H)
(N,N−ジフェニルアセトアミド(化合物2)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−ジフェニルアミン18.6g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたアセチルクロライド7.85g(0.10モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N,N−ジフェニルアセトアミド16.5g(0.078モル)を取得した。N,N−ジフェニルアセトアミドの収率は、アセチルクロライドに対して78%であった。
なお、得られたN,N−ジフェニルアセトアミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.00−7.64(m、10H)、2.02(s、3H)
(N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)アセトアミド(化合物3)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)アミン15.09g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたアセチルクロライド7.85g(0.10モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)アセトアミド15.2g(0.085モル)を取得した。N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)アセトアミドの収率は、アセチルクロライドに対して85%であった。
なお、得られたN−メチル−N−(4−メトキシフェニル)アセトアミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.82−6.99(m、4H)、3.73(s、3H)、2.78(s、3H)、2.05(s、3H)
(N−メチル−N−(4−フルオロフェニル)アセトアミド(化合物4)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−メチル−N−(4−フルオロフェニル)アミン13.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたアセチルクロライド7.85g(0.10モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N−メチル−N−(4−フルオロフェニル)アセトアミド13.5g(0.081モル)を取得した。N−メチル−N−(4−フルオロフェニル)アセトアミドの収率は、アセチルクロライドに対して81%であった。
なお、得られたN−メチル−N−(4−フルオロフェニル)アセトアミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.02−7.08(m、4H)、2.81(s、3H)、2.06(s、3H)
(N,N−ジベンジルアセトアミド(化合物5)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ジベンジルアミン21.7g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたアセチルクロライド7.85g(0.10モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N,N−ジベンジルアセトアミド15.3g(0.064モル)を取得した。N,N−ジベンジルアセトアミドの収率は、アセチルクロライドに対して64%であった。
なお、得られたN,N−ジベンジルアセトアミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.07−7.14(m、10H)、4.46(s、4H)、2.01(s、3H)
(N−メチル−N−(4−フルオロベンジル)アセトアミド(化合物6)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−メチル−N−(4−フルオロベンジル)アミン15.3g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたアセチルクロライド7.85g(0.10モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N−メチル−N−(4−フルオロベンジル)アセトアミド12.9g(0.071モル)を取得した。N−メチル−N−(4−フルオロベンジル)アセトアミドの収率は、アセチルクロライドに対して71%であった。
なお、得られたN−メチル−N−(4−フルオロベンジル)アセトアミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.85−7.04(m、4H)、4.48(s、2H)、2.91(s、3H)、2.03(s、3H)
(N−エチル−N−フェニルプロピオンアミド(化合物7)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−エチル−N−フェニルアミン13.3g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたプロピオニルクロライド9.25g(0.10モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N−エチル−N−フェニルプロピオンアミド14.5g(0.082モル)を取得した。N−エチル−N−フェニルプロピオンアミドの収率は、プロピオニルクロライドに対して82アミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.09−7.32(m、5H)、3.42(q、2H)、2.37(q、2H)、1.15(t、3H)、1.13(t、3H)
(N,N−ジフェニルプロピオンアミド(化合物8)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−ジフェニルアミン18.6g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたプロピオニルクロライド9.25g(0.10モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N,N−ジフェニルプロピオンアミド14.9g(0.066モル)を取得した。N,N−ジフェニルプロピオンアミドの収率は、プロピオニルクロライドに対して66%であった。
なお、得られたN,N−ジフェニルプロピオンアミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
7.00−7.62(m、10H)、2.31(q、2H)、1.15(t、3H)
(N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)プロピオンアミド(化合物9)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)アミン15.09g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたプロピオニルクロライド9.25g(0.10モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)プロピオンアミド15.3g(0.079モル)を取得した。N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)プロピオンアミドの収率は、プロピオニルクロライドに対して79%であった。
なお、得られたN−メチル−N−(4−メトキシフェニル)プロピオンアミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.80−7.00(m、4H)、3.72(s、3H)、2.82(s、3H)、2.33(q、2H)、1.15(t、3H)
(N−メチル−N−(4−フルオロフェニル)プロピオンアミド(化合物10)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−メチル−N−(4−フルオロフェニル)アミン13.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたプロピオニルクロライド9.25g(0.10モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N−メチル−N−(4−フルオロフェニル)プロピオンアミド14.0g(0.077モル)を取得した。N−メチル−N−(4−フルオロフェニル)プロピオンアミドの収率は、プロピオニルクロライドに対して77%であった。
なお、得られたN−メチル−N−(4−フルオロフェニル)プロピオンアミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.80−7.00(m、4H)、2.86(s、3H)、2.35(q、2H)、1.14(t、3H)
(N,N−ジベンジルプロピオンアミド(化合物11)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ジベンジルアミン21.7g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたプロピオニルクロライド9.25g(0.10モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N,N−ジベンジルプロピオンアミド15.2g(0.060モル)を取得した。N,N−ジベンジルプロピオンアミドの収率は、プロピオニルクロライドに対して60%であった。
なお、得られたN,N−ジベンジルプロピオンアミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.06−7.15(m、10H)、4.49(s、4H)、2.38(q、2H)、1.17(t、3H)
(N−メチル−N−(4−フルオロベンジル)プロピオンアミド(化合物12)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−メチル−N−(4−フルオロベンジル)アミン15.3g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたプロピオニルクロライド9.25g(0.10モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N−メチル−N−(4−フルオロベンジル)プロピオンアミド13.9g(0.071モル)を取得した。N−メチル−N−(4−フルオロベンジル)プロピオンアミドの収率は、プロピオニルクロライドに対して71%であった。
なお、得られたN−メチル−N−(4−フルオロベンジル)プロピオンアミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.82−7.02(m、4H)、4.49(s、2H)、2.97(s、3H)、2.30(q、2H)、1.15(t、3H)
(N−メチル−N−(4−メトキシベンジル)プロピオンアミド(化合物13)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−メチル−N−(4−メトキシベンジル)アミン15.3g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたプロピオニルクロライド9.25g(0.10モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、N−メチル−N−(4−メトキシベンジル)プロピオンアミド13.9g(0.071モル)を取得した。N−メチル−N−(4−メトキシベンジル)プロピオンアミドの収率は、プロピオニルクロライドに対して71%であった。
なお、得られたN−メチル−N−(4−メトキシベンジル)プロピオンアミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.62−6.96(m、4H)、4.46(s、2H)、3.73(s、3H)、2.94(s、3H)、2.24(q、2H)、1.16(t、3H)
N,N−ジメチルアセトアミド(化合物14)は、試薬を購入し、蒸留により精製して用いた。
N,N−ジエチルアセトアミド(化合物15)は、試薬を購入し、蒸留により精製して用いた。
N,N−ジプロピルアセトアミド(化合物16)は、試薬を購入し、蒸留により精製して用いた。
N,N−ジメチルプロピオンアミド(化合物17)は、試薬を購入し、蒸留により精製して用いた。
リチウムイオン電池等の添加剤として一般的に用いられる、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を非水電解液用添加剤として用意した。
(LUMOエネルギーの測定)
実施例1〜12で得られた化合物1〜12、及び、比較例1〜5で得られた化合物13〜17について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを測定するため、Gaussian03ソフトウェアにより、半経験的分子軌道計算を行った。軌道計算により得られた化合物1〜12のLUMOエネルギーを表1、化合物13〜17のLUMOエネルギーを表2に示した。
一方、表2より、式(1)で表されるN−アリールカルボン酸アミド化合物でも、化合物13のLUMOエネルギーは、約0.05と0を超える値となっている。式(1)で表されるN−アリールカルボン酸アミド化合物以外のN−アリールカルボン酸アミド化合物である化合物14〜17は約0.87eVから約0.96eVと高いLUMOエネルギーを示すことがわかる。従って、本発明にかかるN−アリールカルボン酸アミド化合物以外のN−アリールカルボン酸アミド化合物である化合物13〜17は電気化学的還元に対して比較的安定であり、電極上にSEIが形成され難い。
以上より、本発明にかかるN−アリールカルボン酸アミド化合物は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
実施例1〜12で得られた化合物1〜12、比較例1〜5で得られた化合物13〜17、及び比較例6のフルオロエチレンカーボネート(FEC)について、温度40±2℃、湿度75±5%の恒温恒湿下で90日間の保存試験を行い、各化合物の分解を1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)で測定し、評価した。結果を表3に示した。
〇:保存前後で1H−NMRのピークに変化なし
△:保存前後で1H−NMRのわずかなピーク変化を確認
×:保存前後で1H−NMRの明らかなピーク変化を確認
一方、実施例1〜12で得られたN−アリールカルボン酸アミド化合物(化合物1〜12)及び比較例1で得られたN−アリールカルボン酸アミド化合物(化合物13)は、1H−NMRのピークにほとんど変化が見られず、安定性に優れるものであった。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例及び各比較例で得られたN−アリールカルボン酸アミド化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。得られた非水電解液、及び、電極としてグラッシーカーボンからなるディスク電極、対極として白金を用い、5mV/secの走査電位速度で分極測定を行った。参照電極として銀電極を用い、100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を酸化電位、−100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を還元電位とし、還元開始電圧を算出した。また、参考例1として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして還元開始電圧を算出した。結果を表4に示した。
表5〜8に記載の正極活物質、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例及び各比較例で得られたN−アリールカルボン酸アミド化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。また、参考例1として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして円筒型二次電池を作製した。
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の容量維持率(%)を表5〜8に示した。
なお、「200サイクル後の容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。
2 正極集電体
3 正極活物質層
4 正極板
5 負極集電体
6 負極活物質層
7 負極板
8 非水電解液
9 セパレータ
Claims (9)
- 請求項1記載の非水電解液用添加剤、非水溶媒、及び、電解質を含有することを特徴とする非水電解液。
- 非水溶媒は、非プロトン性溶媒であることを特徴とする請求項2記載の非水電解液。
- 非プロトン性溶媒は、環状カーボネート、鎖状カーボネート、脂肪族カルボン酸エステル、ラクトン、ラクタム、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン、及び、これらのハロゲン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項3記載の非水電解液。
- 電解質は、リチウム塩を含有することを特徴とする請求項2、3又は4記載の非水電解液。
- リチウム塩は、LiAlCl4、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、及び、LiSbF6からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載の非水電解液。
- 請求項2、3、4、5又は6記載の非水電解液、正極、及び、負極を備えたことを特徴とする蓄電デバイス。
- 蓄電デバイスがリチウムイオン電池である、請求項7記載の蓄電デバイス。
- 蓄電デバイスがリチウムイオンキャパシタである、請求項7記載の蓄電デバイス。
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