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JP6066595B2 - 眼底画像の画像処理装置、眼底画像の画像処理方法、及びプログラム - Google Patents

眼底画像の画像処理装置、眼底画像の画像処理方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、眼科装置の画像処理に関し、特に眼底画像の色調変換処理に関する。
従来から、診断用のカラーの眼底画像を得るために、撮像素子により撮像された原画像に対して色調変換処理やガンマ処理等の画像処理を行う画像処理装置が知られている。ここで色調変換処理とは原画像の赤、緑、青チャンネルを各々所定の補正値で色調を変換することである。
特許文献1の眼科撮影装置は撮影光源を選択すると、選択された撮影光源に応じた所定の補正値を原画像の各チャンネルに自動で設定し、撮影光源の色温度を補正した画像を提供するものである。
また一般のデジタルカメラやデジタルビデオカメラにおいて開示されているオートホワイトバランスの技術として、被写体の色調が所定の色調となるように原画像の各チャンネルに設定する補正値を自動追従させ、色調変換処理する技術がある。
一方、眼底の色素上皮層と脈絡膜の間にはメラニン色素が存在する。このメラニン色素の量は個体差によって異なることが知られている。撮影光源による照明光を照射すると、このメラニン色素の量が多い被写体ではメラニン色素の吸収により照明光の一部が吸収され脈絡膜からの反射が少なくなる。一方、メラニン色素の量が少ない被写体では脈絡膜からの反射が多くなる。脈絡膜からの反射は画像の赤チャンネルに撮像される為、メラニン色素の量が少ない被写体は、メラニン色素の量が多い被写体に比べ画像が赤くなる。
また特許文献2は、撮影光源の照明系に挿入された光学フィルタと撮影光源の撮影光量を調整することにより撮影画像の赤、緑、青の各チャンネルの階調値が所定の階調値以上をもつような画像を提供するものである。この光学フィルタはメラニン色素の量による画像への影響を補正する為のものである。
特開2003−310554号公報 特開2009−165624号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、撮影光源に応じてホワイトバランスを自動調整するため、全ての被検眼で所定の色調となる。このため、ホワイトバランスを調整することでメラニン色素の量による画像への影響を補正できるが、眼底画像の診断時に重要な診断情報である個体差による色調差を喪失した画像となる。
一方、特許文献2は、個体差を光源の色調で補うものである。したがって、個体別に照射する照明光の波長分布が異となる。このため、同一の撮影環境下で個体差の情報得るための診断目的には必ずしも適しているとはいえない。また、複数の光学フィルタ、撮影光量のダイナミックレンジが必要となる為、装置が大型化する。
そこで本発明は、上記の問題を解決し、メラニン色素の量による画像への影響を低減し診断に適した画像を得る仕組みを提供することを目的とする。
上記課題を解決する為の本発明の形態による被検眼の眼底画像を画像処理する画像処理装置は以下の構成を備える。すなわち、メラニン色素の量が標準的な被検眼の眼底画像を処理するための第一の色調変換処理及び、メラニン色素の量が少ない被検眼の眼底画像を処理するための第二の色調変換処理のうちいずれかを選択する選択手段と、前記選択手段で選択された前記第一の色調変換処理又は前記第二の色調変換処理で前記眼底画像の色調を変換する色調変換手段と、を有し、同一の眼底画像を前記第一の色調変換処理及び前記第二の色調変換処理でそれぞれ色調を変換した場合、前記第二の色調変換処理で変換される眼底画像の色調の青波長の成分に対する赤波長の成分の比率と緑波長の成分に対する赤波長の成分の比率が、前記第一の色調変換処理で変換される眼底画像の色調の青波長の成分に対する赤波長成分の比率と緑波長の成分に対する赤波長の成分の比率より低いことを特徴とする。
メラニン色素の量による画像への影響を低減し診断に適した画像を得る仕組みを提供することができる。
実施例1における眼科撮影システムの構成図である。 撮影用光源11による照明光の眼底Erでの反射を示す図である。 実施例2における眼科撮影システムの構成図である。 範囲取得部20によって取得される画像の範囲を示す図である。 実施例2における画像処理装置101の動作を示すフローチャートである。 範囲取得部20の画像取得時に、画像を複数範囲に分割した図である。 実施例3における画像処理装置101の動作を示すフローチャートである。 範囲取得部20で取得された画像を色度座標にプロットした図である。 実施例4における画像調整装置102の構成図である。 実施例4における色調変換処理ごとの画像調整値を示す図である。 実施例4における画像調整装置102の動作を示すフローチャートである。
[実施例1]
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な一実施形態を説明する。図1は本実施形態による眼科撮影システムの構成例を示す構成図である。眼科撮影システムは、眼底カメラ100と本発明の画像処理装置101から構成される。
まず眼底カメラ100の構成について説明する。
被検眼Eの眼底Erに対向する光軸L1上には対物レンズ1、その後方に孔あきミラー2、フォーカスレンズ3、結像レンズ4、撮像素子5が順次配置されている。これらは被検眼Eに対する撮影光学系を構成している。
一方、孔あきミラー2の反射方向の光軸L2には、レンズ6、ダイクロイックミラー7、コンデンサレンズ8、観察用光源9が配置されている。加えてダイクロイックミラー7の反射方向の光軸L3には、コンデンサレンズ10、撮影用光源11が配置されている。これら光軸L2、L3上の構成によって照明光学系を構成している。ダイクロイックミラー7は観察用光源9の波長帯を透過し撮影用光源11の波長帯を反射する特性を有している。観察用光源9はLEDが複数個配置され、定常光を被検眼に照射する光源である。撮影光源11は、撮影のパルス光を可視光を眼底Erに照射する光源である。
加えて眼底カメラ100内部には、眼底カメラ制御部12が構成され、この眼底カメラ制御部12は観察用光源9、撮影用光源11に接続され、この観察用光源9、撮影光用光源11の発光光量や発光時間を制御している。
次に画像処理装置101の構成について説明する。
図1の画像処理装置101の各ブロックは、不図示のCPU110がプログラムを実行することで実現される機能をブロックで示したものである。画像処理が実行される場合にOSやそのモジュールを利用する上位モジュールによってRAMにロードされ実行されるプログラムモジュールである。
この画像処理装置101内部には眼底画像の色調を変換する色調変換部13と、色調変換部13で変換する色調を選択する色調選択部14を備る。さらに、眼底画像を単色に変換するモノクロ変換部15と、眼底画像の階調を変換する階調変換部16が構成されている。
色調変換部13は眼底カメラ100内の撮像素子5で得られた画像データを色調選択部14で選択した色調で変換する。色調変換後の画像は階調変換部16で階調変換される。また、モノクロ変換部15は眼底カメラ100内の撮像素子5で得られた画像データをモノクロ変換し、変換後の画像を階調変換部16で階調変換する。なお、これらの構成を回路構成にしてもよい。更に、階調変換部16で階調変換された画像は表示部17で表示され、記憶部18で記憶される。
以上説明した眼科撮影システムの構成において、眼底撮影の流れを以下に説明する。
撮影者は対物レンズ1の正面に被検眼Eを位置させ、眼底撮影のための被検眼Eとの精密な位置合わせやピント合わせを行う。眼底カメラ制御部12によって観察用光源9を点灯すると、その観察光は観察用光源9から対物レンズ1に至る照明光学系を通り、被検眼Eの瞳孔Epを介して眼底Erを照明する。
この観察光源9により照明された眼底Erからの反射光は、対物レンズ1、孔あきミラー2、フォーカスレンズ3、結像レンズ4に至る撮影光学系を通り、撮像素子5に達する。撮像素子5によって撮像された観察用の原画像はモノクロ変換部15にてモノクロ化処理され、更に階調変換部16においてガンマカーブやコントラストの演算を処理され、表示部17に表示される。
撮影者は表示部17に表示される観察画像を見ながら図示を省略している操作桿を操作して眼底カメラ100を左右上下に移動させることにより、被検眼Eと眼底カメラ100との精密な位置合わせを行い、更に図示を省略してあるフォーカスノブを操作してフォーカスレンズ3を動かしピント合わせを行う。
次に撮影手順は以下のように行われる。
撮影者は位置、ピントが正確であることを確認した後、図示を省略している撮影開始スイッチを操作し眼底Erの撮影を行う。撮影開始スイッチが操作される事で撮影用光源11を発光させる。撮影用光源11の発した撮影光は撮影用光源11から対物レンズ1に至る照明光学系を通り眼底Erを照明する。撮影用光源11によって照明された眼底Erからの反射光は対物レンズ1、孔あきミラー2、フォーカスレンズ3、結像レンズ4に至る撮影光学系を通り、撮像素子5に達する。撮像素子5によって撮像された撮影用の原画像は、色調変換部13にて色調変換処理され、階調変換部16にてガンマカーブやコントラストの演算を処理され、図示しない表示制御部の制御で表示部17に表示し、記憶部18に記録される。
ここで一旦、撮影用光源11による照明光の眼底Erでの反射について図2を用いて説明する。図2のL1からL5は眼底の深さ方向の構造物について簡略的に示したものであり、図示上方の硝子体側より内境界膜L1、神経線維層L2、内網上層から視細胞層までの複数の層L3、色素上皮層L4、脈絡膜L5がある。また撮影用光源11の照明光の赤波長はIr、緑波長はIg、青波長はIbで示されている。加えてその反射光の赤波長はHr、緑波長はHg、青波長はHbで示されている。
この撮影用光源11による照明光は、その波長により眼底Erへの深達度が異なる。具体的には照明光の赤波長Irは脈絡膜L5まで到達し、この脈絡膜L5で反射光の赤波長Hrとして反射される。照明光の緑波長Igは網膜の色素上皮層L4まで到達し、この色素上皮層L4で反射の緑波長Hgとして反射される。照明光の青波長Ibは網膜の神経線維層L2まで到達し、この神経線維層L2で反射の青波長Hbとして反射される。ここで、赤波長、青波長、緑波長は撮像素子の赤チャンネル、青チャンネル、緑チャンネルに対応する波長域である。
その為、この反射光Hr、Hg、Hbを撮影した撮影画像はチャンネル毎に描写される情報が異なる。つまり反射光の赤波長Hrを撮像した撮影画像の赤チャンネルには脈絡膜L5からの情報が多く描写され、反射光の緑波長Hgを撮像した撮影画像の緑チャンネルには色素上皮層L4からの情報が多く描写され、反射光の青波長Hbを撮像した撮影画像の青チャンネルには神経線維層L2からの情報が多く描写される。
更に、色素上皮層L4と脈絡膜L5の間にはメラニン色素が存在する。このメラニン色素の量は個体差によって異なることが知られている。撮影用光源11による照明光を照射すると、このメラニン色素の量が少ない被検眼では、メラニン色素によって吸収される照明光の赤波長Hrの吸収が少なくなり、結果として脈絡膜からの反射の赤波長Hrが多くなる。一方、メラニン色素の量が標準的な被検眼では、メラニン色素の量が少ない被検眼に対してメラニン色素によって吸収される照明光の赤波長Hrの吸収が多くなる為、その結果として脈絡膜からの反射の赤波長Hrが少なくなる。その為、メラニン色素の量が少ない被検眼は、メラニン色素の量が標準的な被検眼に比べ画像の緑、青チャンネルに対し赤チャンネルが相対的に強くなり、画像が赤くなる。
本発明ではこのメラニン色素の量に注目し、全ての被検眼を二つのグループに大別する。このメラニン色素の量が標準的なグループと少ないグループである。前者を第一グループと呼び、後者を第二グループと呼ぶ。
次に、色調変換部13と色調選択部14について説明する。
本発明の色調変換部13で行われる色調変換処理には、第一グループの被検眼用の第一の色調変換処理と、第二グループの被検眼用の第二の色調変換処理がある。
一方、色調選択部14は撮影者が、第一の色調変換処理、第二の色調変換処理、どちらを処理するかを選択するためのものである。この色調選択部14は例えばユーザーインターフェースによって撮影者がどちらの処理を行うかを選択できるなどしたものである。色調変換部13は色調選択部14の選択結果に応じて第一の色調変換処理と、第二の色調変換処理のどちらか一方を処理するようになっている。
以下に第一の色調変換処理と、第二の色調変換処理についてそれぞれ説明する。
<第一の色調変換処理>
第一の色調変換処理は撮像素子5によって撮像された原画像の赤、緑、青チャンネルに対して、固定の補正値を各々設定し、その補正値によって演算することにより色調を変換する。
この第一の色調変換処理用の固定の補正値による演算では以下のような画像が得られる。ここで第一グループに属する代表的な被検眼に対して第一の色調変換処理した際、その処理画像を画像P1とする。この画像P1の赤チャンネル、緑チャンネル、青チャンネルを(R1,G1,B1)とする。一方、第二グループに属する代表的な被検眼を第一の色調変換処理した際、その処理画像をP2とする。この画像P2の赤チャンネル、緑チャンネル、青チャンネルを(R2,G2,B2)とする。
そうすると画像P1の緑チャンネルに対する赤チャンネルの比率R1/G1は、TH1<R1/G1<TH2となる。このTH1とTH2は緑チャンネルに描写される色素上皮層の情報に対して赤チャンネルに描写される脈絡膜の情報が、バランスよく描写されたことを示す範囲である。更に画像P1の青チャンネルに対する赤チャンネルの比率R1/B1は、TH3<R1/B1<TH4となる。このTH3とTH4は青チャンネルに描写される神経線維層の情報に対して、赤チャンネルに描写される脈絡膜の情報が、バランスよく描写されたことを示す範囲である。
一方、画像P2の緑チャンネルに対する赤チャンネルの比率R2/G2は、R2/G2>TH2となり、更に青チャンネルに対する赤チャンネルの比率R2/B2は、R2/B2>TH4となる。
このように第一の色調変換処理用の固定の補正値は、メラニン色素の量が標準的な第一グループに属する被検眼において神経線維層、色素上皮層までの情報に対して脈絡膜の情報がTH1、TH2、TH3、TH4内となる画像が得られるよう作用し、一方、メラニン色素の量が少ない第二グループに属する被検眼において、神経線維層、色素上皮層までの情報に対して脈絡膜の情報がTH2、TH4より大きい画像が得られるよう作用する。
また第一の色調変換処理は固定の補正値によって演算される為、被検眼の個体差による色調差も描写できる。
<第二の色調変換処理>
第二の色調変換処理は撮像素子5によって撮像された原画像の赤、緑、青チャンネルに対して、固定の補正値を各々設定し、その補正値によって演算することにより色調を変換する。
この第二の色調変換処理用の固定の補正値による演算では以下のような画像が得られる第一グループに属する代表的な被検眼に対して第二の色調変換処理した際、その処理画像を画像P3とする。この画像P3の赤チャンネル、緑チャンネル、青チャンネルを(R3,G3,B3)とする。一方、第二グループに属する代表的な被検眼を第二の色調変換処理した際、その処理画像をP4とする。この画像P4の赤チャンネル、緑チャンネル、青チャンネルを(R4,G4,B4)とする。
そうすると画像P3の緑チャンネルに対する赤チャンネルの比率R3/G3は、R3/G3<TH1となる。更に画像P3の青チャンネルに対する赤チャンネルの比率R3/B3は、R3/B3<TH3となる。一方、画像P4の緑チャンネルに対する赤チャンネルの比率R4/G4は、TH1<R4/G4<TH2となり、更に青チャンネルに対する赤チャンネルの比率R4/B4は、TH3<R4/B4<TH4となる。
このように第二の色調変換処理用の固定の補正値は、メラニン色素の量が多い第二グループに属する被検眼において神経線維層、色素上皮層までの情報に対して脈絡膜の情報がTH1、TH2、TH3、TH4内となる画像が得られるよう作用し、一方、メラニン色素の量が標準的な第一グループに属する被検眼おいて神経線維層、色素上皮層までの情報に対して、脈絡膜の情報がTH1、TH3より小さい画像が得られるよう作用する。
また第二の色調変換処理は固定の補正値によって演算される為、被検眼の個体差による色調差も描写できる。
つまり、第二の色調変換処理用の固定の補正値は、同一被検眼を撮影した際、第二の色調変換処理で得られた画像の緑チャンネルや青チャンネルに対する赤チャンネルの比が第一の色調変換処理で得られた画像よりも下がり、かつその比がTH1、TH2、TH3、TH4内になるように作用すればよい。
具体的な第二の色調変換処理用の固定の補正値の設定方法は以下に示す3つのいずれかであればよい。前述の第二グループの代表的な被検眼を第一の色調変換処理した画像P2と第二の色調変換処理した画像P4を用いて説明する。
1つ目の設定方法は、P4画像の赤チャンネル、緑チャンネル、青チャンネルが画像P2に対して、R4<R2、G4=G2、B4=B2となり、その比がTH1、TH2、TH3、TH4内になるように固定の補正値を設定する方法である。
2つ目の設定方法は、P4画像の赤チャンネル、緑チャンネル、青チャンネルが画像P2に対して、R4<R2、G4>G2、B4>B2となり、その比がTH1、TH2、TH3、TH4内になるように固定の補正値を設定する方法である。
3つ目の設定方法は、P4画像の赤チャンネル、緑チャンネル、青チャンネルが画像P2に対して、R4=R2、G4>G2、B4>B2となり、その比がTH1、TH2、TH3、TH4内になるように固定の補正値を設定する方法である。
上述のような色調変換処理された画像は処理階調変換部16にてガンマカーブやコントラストの演算を処理され、表示部17に表示、記憶部18に記憶される。
この表示部17に表示する際、処理画像と共に、第一の色調変換処理と第二の色調変換処理のどちらが処理されたかが分かるような情報を同時に表示する。撮影者はどちらが処理された画像であるかが一目瞭然に分かるので使い勝手がよい。また、第一の色調変換処理と第二の色調変換処理のそれぞれを別々にかけた画像を、表示部12に両方表示してもよい。このような表示の選択は不図示の表示選択部130にて行われる。
上記3つの設定方法のいずれかによって設定された第二の色調変換処理用の固定の補正値は、同一被検眼を撮影した際、第一の色調変換処理後の画像の輝度値Yと第二の色調変換処理後の画像の輝度値Yとが変わらないような値にすることが好ましい。
眼底診断において画像の輝度情報は大事な診断情報であるからである。
特に、第一の色調変換処理と第二の色調変換処理のそれぞれを別々にかけた画像を、表示部12に両方表示する場合には、適している。
ここで画像の輝度値Yは画像の輝度成分を表現する為の式であり、一般的にY=0.2990×R+0.5870×G+0.1140×Bで与えられる。
そのため、第一の方法では、第一の色調変換処理後の画像に対して、第二の色調変換処理後の画像の全体のR,G,Bの値を大きくする。
第二の方法では、適宜、第二の色調変換処理後の画像の全体のR,G,Bの値を調整する。
そのため、第三の方法では、第一の色調変換処理後の画像に対して、第二の色調変換処理後の画像の全体のR,G,Bの値を小さくする。
また記憶部18に記憶する際、処理画像を記録すると共に第一の色調変換処理と第二の色調変換処理のどちらが処理されたかがわかるような情報を記憶する。そのため、撮影から暫く時間が経過し再度画像を見る際など、撮影者はどちらが処理された画像であるかが一目瞭然に分かるので使い勝手がよい。
以上のように、第一、第二の色調変換処理を切り替えることにより、メラニン色素の量による画像への影響を補正し、全ての被検眼において神経線維層、色素上皮層、脈絡膜までの情報のバランスが良い眼底画像を提供することができる。またこの第一、第二の色調変換処理は固定の補正値による演算を行う為、被検眼の個体差による色調差を描写した眼底画像を提供できる。更に画像処理装置という簡易な構成によって上記画像を提供できる。
なお、上記実施形態では、色調選択部14は撮影者によって選択されるとしたが、撮影時に入力される被検者情報を参照し色調を選択するようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、被検眼をメラニン色素の量に応じて2つのグループに分割し、それに対応した第一、第二の色調変換処理を有していたが、被検眼のメラニン色素の量を更に細分化し、この細分化した数に対応した複数の色調変換処理を有するようにしてもよい。
なお、上記実施形態における画像処理装置101は眼底カメラ100とは別個に配置して説明したが、眼底カメラ100内の眼底カメラ制御部12内で構成されてもよい。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する。
[実施例2]
図3は実施例2の構成を示す構成図であり、図1に示す構成と同一の構成については同一番号を付して説明を省略する。
図3では図1に加え、範囲取得部20と検出部19を配置している。この範囲取得部20は撮像素子5と検出部19に接続されている。検出部19は色調選択部14に接続されている。
範囲取得部20と検出部19、色調選択部14、色調変換部13の動作について図5のフローチャートを用いて説明する。
撮像素子5によって原画像が撮像されると、範囲取得部20は原画像から所定範囲の画像を取得する。
図4は原画像に対して範囲取得部20によって取得される画像の範囲を示したものである。原画像の中心を基準とした所定範囲23の画像が取得される。ここで範囲取得部20によって取得された画像をP5とし、その画素数は(M、N)であるとする。
なおこの範囲取得部20は、眼底画像の中の、マスク21を含まない、眼底のみが描写された範囲を取得するようにする<S901>。
更に、少なくとも神経線維層、色素上皮、脈絡膜が描写された部位を取得する。一方血管や乳頭部のみが描写された範囲を取得しないようにする。なぜなら血管や乳頭部は原則としてメラニン色素を欠くからである。
検出部19では、まず範囲取得部20で取得された画像P5の赤、緑、青チャンネル毎に階調平均値を算出する。画像P5の赤、緑、青チャンネルを其々R5、G5、B5とし、R5、G5、B5の階調平均値をR5ave、G5ave、B5aveとすると其々、
Figure 0006066595
Figure 0006066595
Figure 0006066595
で与えられる<S902>。
次に検出部19はG5aveに対するR5aveの比、R5ave/G5aveを演算する<S903>。
色調選択部14は、この検出部19から出力された上述の比R5ave/G5aveが所定値以上であるか、否かを判別し、その判別結果に応じて、第一の色調変換処理か第二の色調変換処理のどちら一方の処理を選択する。
R5ave/G5aveの比は、メラニン色素の量を示す情報の例である。また、色素上皮層の情報量と、脈絡膜の情報量の比を代表している。このため、R5ave/G5aveの比が所定値以上である場合、色調選択部14は第二グループに属する被検眼であると判断でき、第二の色調変換処理を選択する。一方、R5ave/G5aveの比が所定値以下である場合、色調選択部14は第一グループに属する被検眼であると判断でき、第一の色調変換処理を選択する<S904>。メラニン色素の量を示す情報としては、光源の赤色分布の強度と眼底から戻ってきた赤色分布の強度の比を求めることでも得ることができる。この場合には、色調選択部14は、光源の赤色分布の強度と眼底から戻ってきた赤色分布の強度の比からメラニン色素の量に関連付ける換算表を有するように構成する。
色調変換部13は色調選択部14の選択結果に応じて第一の色調変換処理と、第二の色調変換処理のどちらか一方の処理を行う<S905、S906>。以上説明したように、撮影した原画像からメラニン色素の量に相当する情報を検出し、その検出結果に応じて色調変換処理を自動で切り替える為使い勝手がよい。
なお上述の検出部13、色調選択部14ではR5ave/G5aveを算出し、その比の大小によって色調を選択する場合について説明したが、R5ave/B5aveを算出し、その比の大小によって色調を選択してもよい。またR5ave/G5ave、R5ave/B5aveの両方を算出し、其々の比の大小よって色調を選択してもよい。
なお、範囲取得部20は原画像の中心を基準とした所定範囲23の画像を取得するようにしたが、図6の点線で示すように原画像を複数範囲に分割し、その分割した範囲の一つもしくは複数の画像を取得するようにしてもよい。こうすることにより病変部以外の部位、つまり健常な部位の画像からメラニン色素の量に相当する情報を検出できる。
なお範囲取得部20はパターンマッチングなどの技術を用いて、少なくとも血管や乳頭部が描写されない範囲を取得するようにしてもよい。
なお範囲取得部20は原画像の中心を基準とした所定範囲の画像を取得していたが、必ずしも画像の中心を基準とする必要はない。
[実施例3]
実施例3の構成図は図3と同じであり、説明を省略する。次に動作について図7のフローチャートを用いて説明する。図7においてS901、S902、S905、S906については実施例2と同じ動作をするので、説明を省略する。
検出部19では、赤、緑、青チャンネル毎の階調平均値R5ave、G5ave、B5aveを輝度情報と、色情報が分離可能な色空間に変換する。輝度情報に対して色情報が分離可能な色空間であればどのような色空間でもよいが、本説明では色空間の例としてL*a*b表色系を用いる。このL*a*b色空間においてLは輝度情報を示し、*a、*bは色情報を示す。
赤、緑、青チャンネル毎の階調平均値R5ave、G5ave、B5aveをL*a*b色空間に変換し、その色情報を*aを横軸、*b縦軸とした色度座標に示すと、図8の座標22(P5a、P5b)で与えられる。この座標22の彩度はP5a、P5bの長さ
Figure 0006066595
となり、一方色相は(P5a、P5b)のなす角24となる<S907>。つまり、色空間における分布を示す彩度と色相との関係からもメラニン色素の量を示す情報を得ることができる。
色調選択部14は、この検出部19から出力された彩度、色相が図8で示す範囲25内であるか、否かを判断する。この範囲23はメラニン色素の量が多い第二グループに属する被検眼の色味の範囲を示したものである。検出部19から出力された彩度、色相が範囲25内にある場合、第二グループに対応した第二の色調変換処理を選択し、一方、検出部19から出力された彩度、色相が範囲25外にある場合、第一グループに対応した第一の色調変換処理を選択する<S908>。
色調変換部13は色調選択部14の選択結果に応じて第一の色調変換処理と、第二の色調変換処理のどちらか一方の処理を行う<S905、S906>。
[実施例4]
実施例4の構成図を図9に示す。画像調整装置102は、画像取得部21、情報取得部22、画像調整値設定部23、画像調整値取得部24、画像調整処理部25、出力部26で構成される。出力部26は、記憶装置27、表示装置28、印刷装置29と接続される。
まず、画像調整値設定部23について説明する。
画像調整値設定部23では、図10に示すように色調変換処理ごとに画像調整値を設定する。画像調整値としては、輝度、コントラスト、ガンマ、色調(赤)、色調(緑)、色調(青)がある。ここで設定する画像調整値は、経過観察において過去画像と比較する場合に、画像の明るさや色味を揃えるためのものである。また、特性の異なる表示装置、印刷装置において、同様の画像を表示、印刷するためのものである。
次に動作について図11のフローチャートを用いて説明する。
画像取得部21は、図1、図3の記憶部18で記憶された画像を取得する<S910>。
情報取得部22は、図1、図3の記憶部18で記憶された、第一の色調変換処理と第二の色調変換処理のどちらが選択されたかの色調変換処理選択情報を取得する<S911>。
情報取得部22で取得した色調変換処理選択情報が、第一の色調変換処理か第二の色調変換処理かにより、画像調整処理部25で適用する画像調整値を選択する<S912>。
色調変換処理選択情報が第一の色調変換処理の場合、画像調整値取得部24は、第一の色調変換処理に対応する画像調整値を取得する<S913>。画像調整処理部25は、取得した第一の色調変換処理に対応する画像調整値を画像取得部21で取得した画像に適用する<S914>。
同様に、色調変換処理選択情報が第二の色調変換処理の場合、画像調整値取得部24は、第二の色調変換処理に対応する画像調整値を取得する<S915>。画像調整処理部25は、取得した第二の色調変換処理に対応する画像調整値を画像取得部21で取得した画像に適用する<S916>。
画像調整処理部25で画像調整処理された画像は、出力部26で、記憶装置27への保存、表示装置28への表示、印刷装置29への出力などが実行される<S917>。
以上説明したように、撮影した原画像からメラニン色素の量に相当する情報を検出し、その検出結果に応じて色調変換処理を自動で切り替える為使い勝手がよい。
5 撮像素子
13 色調変換部
14 色調選択部
16 階調変換部
17 表示部
18 記憶部
19 検出部
20 範囲取得部
21 画像取得部
22 情報取得部
23 画像調整値設定部
24 画像調整値取得部
25 画像調整処理部
26 出力部
27 記憶装置
28 表示装置
29 印刷装置
100 眼底カメラ
101 画像処理装置
102 画像調整装置

Claims (12)

  1. 被検眼の眼底画像を画像処理する画像処理装置であって、
    メラニン色素の量が標準的な被検眼の眼底画像を処理するための第一の色調変換処理及び、メラニン色素の量が少ない被検眼の眼底画像を処理するための第二の色調変換処理のうちいずれかを選択する選択手段と、
    前記選択手段で選択された前記第一の色調変換処理又は前記第二の色調変換処理で前記眼底画像の色調を変換する色調変換手段と、を有し、
    同一の眼底画像を前記第一の色調変換処理及び前記第二の色調変換処理でそれぞれ色調を変換した場合、前記第二の色調変換処理で変換される眼底画像の色調の青波長の成分に対する赤波長の成分の比率と緑波長の成分に対する赤波長の成分の比率が、前記第一の色調変換処理で変換される眼底画像の色調の青波長の成分に対する赤波長成分の比率と緑波長の成分に対する赤波長の成分の比率より低いことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記選択手段は、前記被検眼のメラニン色素の量を示す情報が所定値以上で有る場合に第一の色調変換処理を選択することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  3. 前記選択手段は、前記眼底画像の色空間における分布に応じてメラニン色素の量を示す情報を得ることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  4. 前記選択手段は、前記眼底画像の緑波長の成分に対する赤波長の成分の比率、青波長の成分に対する赤波長の成分の比率の少なくともいずれかが所定値以上である場合に第二の色調変換処理を選択することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  5. 前記第一の色調変換処理された眼底画像と前記第二の色調変換処理された眼底画像は、眼底画像の赤、青、緑の各波長の成分で表される輝度値が等しくなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  6. 前記眼底画像は、少なくとも色素上皮層と神経線維層と脈絡膜を撮像した画像であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  7. 前記眼底画像の中の所定の範囲を取得する範囲取得手段を更に備え、前記選択手段は、前記範囲取得手段で取得した所定の範囲の赤、青、緑の各波長の成分に基づいて前記第一の色調変換処理と第二の色調変換処理のいずれかを選択することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  8. 前記範囲取得手段は前記眼底画像を複数の範囲に分割し、複数の範囲の中から少なくとも一つの範囲を取得することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  9. 前記選択手段で選択された前記第一の色調変換処理又は前記第二の色調変換処理を示す情報を前記色調の変換処理後の眼底画像と関連付けて記憶する記憶手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  10. 前記選択手段で選択された前記第一の色調変換処理又は前記第二の色調変換処理を示す情報と、前記色調の変換処理後の眼底画像を同時に表示手段に表示させる表示制御手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  11. 被検眼の眼底画像を画像処理する画像処理方法であって、
    メラニン色素の量が標準的な被検眼の眼底画像を処理するための第一の色調変換処理及び、メラニン色素の量が少ない被検眼の眼底画像を処理するための第二の色調変換処理のうちいずれかを選択する工程と、
    前記選択された色調変換処理で前記眼底画像の色調を変換する色調変換工程と、を有し、
    同一の眼底画像を前記第一の色調変換処理及び前記第二の色調変換処理でそれぞれ色調を変換した場合、前記第二の色調変換処理で変換される眼底画像の色調の青波長の成分に対する赤波長の成分の比率と緑波長の成分に対する赤波長の成分の比率が、前記第一の色調変換処理で変換される眼底画像の色調の青波長の成分に対する赤波長成分の比率と緑波長の成分に対する赤波長の成分の比率より低いことを特徴とする画像処理方法。
  12. 請求項11に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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