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JP6066574B2 - 全固体二次電池の製造方法 - Google Patents

全固体二次電池の製造方法 Download PDF

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JP6066574B2
JP6066574B2 JP2012047476A JP2012047476A JP6066574B2 JP 6066574 B2 JP6066574 B2 JP 6066574B2 JP 2012047476 A JP2012047476 A JP 2012047476A JP 2012047476 A JP2012047476 A JP 2012047476A JP 6066574 B2 JP6066574 B2 JP 6066574B2
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Description

本発明は、全固体二次電池の製造方法に関するものである。
近年、携帯電話・PDA・ノートパソコンなどの情報関連機器や通信機器の高機能化に伴い、長時間使用が可能であり、小型・軽量で安全性の高い二次電池が強く要望されている。また、自動車業界においても、電気自動車用やハイブリッド自動車用の高出力且つ高容量の電池の開発が進められている。これらの要望に応え得る電池として、リチウムイオン二次電池が注目を集めている。
しかし、可燃性の有機溶媒を含む従来からのリチウムイオン二次電池には、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや、短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。このため、リチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化に伴い、安全性の確保が重要な課題とされてきた。このような課題を解決する電池として、固体電解質を用いた全固体リチウムイオン二次電池の鋭意研究開発が行われている。なぜなら、固体電解質は、不燃性であるため、漏液や発火のおそれがなく、さらに、有機電解液(有機溶媒にリチウム塩を溶解させたもの)に比べて化学的に安定であるため、固体電解質を用いた全固体リチウムイオン二次電池は、安全装置の簡素化が図れるとともに製造コストや生産性に優れるからである。
ところで、全固体リチウムイオン二次電池は、高性能化および高容量化を図るため、薄膜化および大型化が試みられている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、集電体の表面に電荷を帯電させられた活物質および固体電解質の混合粉末材料を搬送用ガスで吹き付けることにより、電池を薄膜化および大型化する方法が開示されている。
特開2011−124028号公報
しかしながら、無機材料を用いた全固体二次電池では、膜を形成した後、プレスにて膜を押し固める工程が必要であるから、特許文献1の方法では、薄型化のために固体電解質層を薄くしたり、高容量化のために電極層を厚くしたりすると、短絡が起こりやすくなるといった問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、薄型化および高容量化しても短絡が起こりにくい全固体二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る本発明の全固体二次電池の製造方法は、正極層と負極層との間に固体電解質層が配置されるとともにこれら電極層の外面にそれぞれ集電体が配置されてなる全固体二次電池の製造方法であって、
上記電極層のうち先に形成される層を、配置する集電体に向けて広がるように側面を傾斜させて、形成し、
上記固体電解質層を形成し、
上記電極層のうち後に形成される層を、配置する固体電解質層に向けて広がるように側面を傾斜させて、形成し、
上記正極層、負極層および固体電解質層の側面の角度が、層面方向に対して30〜80°であり、
上記正極層、負極層および固体電解質層の各層毎におよび/または各層が全て形成された後に層厚方向に加圧する方法である。
また、請求項に係る本発明の全固体二次電池の製造方法は、請求項1に係る発明の全固体二次電池の製造方法において、固体電解質層が、正極層および負極層よりも、層面方向に沿った最大面積が大きい方法である。
また、請求項に係る本発明の全固体二次電池の製造方法は、請求項に係る発明の全固体二次電池の製造方法において、電極層のうち後に形成された層が、電極層のうち先に形成された層よりも、層面方向に沿った最大面積が大きい方法である。
また、請求項に係る本発明の全固体二次電池の製造方法は、請求項1乃至のいずれか一項に係る発明の全固体二次電池の製造方法において、正極層および/または負極層がリチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を含み、
固体電解質層がリチウムイオン伝導体を含む方法である。
また、請求項に係る本発明の全固体二次電池の製造方法は、請求項1乃至のいずれか一項に係る発明の全固体二次電池の製造方法において、固体電解質層がLiS−Pである方法である。
また、請求項に係る本発明の全固体二次電池の製造方法は、請求項1乃至のいずれか一項に係る発明の全固体二次電池の製造方法において、集電体を、材料通過口が形成されたマスクにより、材料通過口が集電体に接触しない状態で覆い、
材料通過口に粉末材料を吹き付けて、側面が層厚方向に対して傾斜した正極層または負極層を形成する方法である。
上記全固体二次電池の製造方法によると、電極層のうち先に形成された層の側面を層厚方向に対して傾斜させることにより、薄膜化されたものであっても、成形体内の内部応力を分散させて、短絡頻度を減少させることができる。
本発明の実施の形態に係る全固体リチウムイオン二次電池の概略構成を示す断面図であり、(a)は全体図、(b)は側面近くの拡大図である。 同二次電池を構成する層の側面形状の種類を示す模式図である。 同二次電池を構成する正極層の形成に使用される正極形成用マスクを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A断面図である。 同二次電池の絶縁フィルムを配置する工程を説明する断面図である。 同正極層を形成する工程を説明する断面図であり、(a)は正極形成用マスクを使用して正極層を形成する図、(b)は正極層を形成した後に正極形成用マスクを取り外した図である。 同二次電池の固体電解質層を形成する工程を説明する断面図であり、(a)は電解質形成用マスクを使用して固体電解質層を形成する図、(b)は固体電解質層を形成した後に電解質形成用マスクを取り外した図である。 同二次電池の負極層を形成する工程を説明する断面図であり、(a)は負極形成用マスクを使用して負極層を形成する図、(b)は負極層を形成した後に負極形成用マスクを取り外した図である。 同二次電池を加圧する工程を説明する断面図であり、(a)は加圧前の同二次電池を示す図、(b)は加圧後の同二次電池を示す図である。 同二次電池を構成する層の形成に使用される他の形状のマスクを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は使用状態を示す断面図である。 同正極層、固体電解質層、および負極層を形成する他の方法として金型を使用する例の断面図であり、(a)はマスクを使用して正極層を形成する図、(b)は正極層を形成した後にマスクを取り外した図である。 同金型を使用する例の断面図であり、(a)は金型でプレスする前の図、(b)は金型でプレス中の図、(c)は金型でプレスした後の図である。 同正極層、固体電解質層、および負極層を形成する他の方法としてライン成膜する例の断面図であり、(a)はライン成膜ノズルの第一パスにより薄膜を形成する図、(b)はライン成膜ノズルの第二パスにより上段に薄膜を形成する図、(c)はライン成膜ノズルの第三パスによりさらに上段に薄膜を形成する図である。 同正極層、固体電解質層、および負極層を形成する他の方法としてレーザ照射器を使用する例の断面図であり、(a)はマスクを使用して正極層を形成する図、(b)は正極層を形成した後にマスクを取り外した図である。 同レーザ照射器を使用する例の断面図であり、(a)は金型でプレスする前の図、(b)は金型でプレスした後の図、(c)はレーザ照射により層の側面を削り取る図である。 本発明の実施例1に係る全固体リチウムイオン二次電池の概略構成を示す断面図である。 本発明の実施例2に係る全固体リチウムイオン二次電池の概略構成を示す断面図である。 比較例1に係る全固体リチウムイオン二次電池の概略構成を示す断面図である。 比較例2に係る全固体リチウムイオン二次電池の概略構成を示す断面図である。 比較例3に係る全固体リチウムイオン二次電池の概略構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る全固体二次電池を図面に基づき説明する。なお、本実施の形態では、全固体二次電池の一例として、固体電解質にリチウムイオン伝導性のものを用いた全固体二次電池、すなわち全固体リチウムイオン二次電池について説明する。
まず、本実施の形態に係る全固体リチウムイオン二次電池の基本的構成について説明する。
この全固体リチウムイオン二次電池は、図1(a)に示すように、正極層2と負極層4との間にリチウムイオン伝導性固体電解質層(以下では単に、固体電解質層3という)が配置(積層)され、また正極層2の固体電解質層3とは反対側の表面に正極集電体1が、負極層4の固体電解質層3とは反対側の表面に負極集電体5が、正極層2の外周に絶縁フィルム6が、それぞれ配置(積層)されたものである。上記正極層2および負極層4は、当然ながら電極となる層、つまり電極層である。また、上記正極層2、固体電解質層3、および負極層4の各側面は、それぞれ層厚方向に対して傾斜している。具体的には、図1(b)に示すように、各層2,3,4の側面の角度は、層面方向(層厚方向に直交する方向)に対して10〜60°である。また、傾斜した上記各側面は、図2(a)に示す平面形状、図2(b)に示す膨らんだ形状、図2(c)に示す窪んだ形状のいずれであってもよい。なお、上記正極層2、固体電解質層3および負極層4は、いずれも粉末材料を吹き付けて形成されたものである。
上記正極層2には、正極活物質とリチウムイオン伝導性固体電解質との混合物、または正極活物質のみが用いられる。上記混合物における、正極活物質とリチウムイオン伝導性固体電解質との重量比は、例えば7:3である。ここで、正極活物質には、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)など、電池分野において正極活物質に通常用いられている材料が用いられる。
上記負極層4には、負極活物質とリチウムイオン伝導性固体電解質との混合物、または負極活物質のみが用いられる。上記混合物における、負極活物質とリチウムイオン伝導性固体電解質との重量比は、例えば6:4である。ここで、負極活物質には、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維または樹脂焼成炭素などの炭素材料、シリコン、錫、リチウム、酸化物、硫化物、窒化物、合金など、粉体や箔などの形状にかかわらず、電池分野において負極活物質に通常用いられている材料が用いられる。
ここで、正極層2、固体電解質層3、負極層4のリチウムイオン伝導性固体電解質には、有機化合物、無機化合物、有機および無機の両化合物からなる材料、リチウムイオン電池分野で通常用いられている材料などが用いられる。また、無機化合物のうち、例えばLiS−Pなどの硫化物系は、他の無機化合物と比べてイオン伝導性に優れる。
上記正極集電体1および負極集電体5には、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、リチウム、錫、若しくはこれらの合金などからなる板状体、箔状体、粉体、または成膜体などが用いられる。
上記絶縁フィルム6は、正極集電体1と負極集電体5との短絡を防止し得るものである。
以下に、上記全固体リチウムイオン二次電池の製造方法について図3〜図8に基づき説明する。
本製造方法では、正極層2、固体電解質層3、および負極層4を形成するために、それぞれ正極形成用マスク、電解質形成用マスク、および負極形成用マスクを使用する。これら正極形成用マスク、電解質形成用マスク、および負極形成用マスクは、同一の形状であり寸法のみが異なるので、代表として、正極形成用マスクについて説明する。
図3(a)および(b)に示すように、正極形成用マスクPMは、貫通口Pが形成された板状体である。この貫通口Pは、矩形の材料通過口Mと、この材料通過口Mに中心が一致して連通するとともに材料通過口Mよりも大きな矩形の層形成口Lとから構成される。上記材料通過口Mは、貫通口Pの上部を構成し、正極形成用マスクPMの上方から吹き付けられた粉末材料を通過させる開口である。また、上記層形成口Lは、貫通口Pの下部を構成し、材料通過口Mを通過した粉末材料が堆積してなる正極層2を形成させる開口である。この層形成口Lは、中心が一致して連通する材料通過口Mよりも大きな開口として形成されることで、材料通過口Mを通過した粉末材料により形成される正極層2を、材料通過口Mおよび層形成口Lの中心から広がる形状にし得るものである。言い換えれば、上記正極形成用マスクPMは、上方から材料通過口Mに吹き付けられた粉末材料により、材料通過口Mおよび層形成口Lの中心から広がる形状の正極層2、すなわち、層厚方向に対して側面が傾斜した正極層2を、層形成口Lにおいて形成するようにされている。
ところで、電解質形成用マスクおよび負極形成用マスクは、図示しないが、正極形成用マスクPMと同様に、材料通過口Mと層形成口Lとから構成される貫通口Pが形成された板状体であり、形成させる層3,4の面積に応じて、貫通口Pが正極形成用マスクPMのものと異なる寸法にされている。
次に、全固体リチウムイオン二次電池の製造方法について詳細に説明する。
まず、図4に示すように、正極集電体1に、正極層3の下面の面積よりも大きい開口部が形成された絶縁フィルムを固定する(貼り付ける)。このように準備した正極集電体1を静電成膜装置に設置し、図5(a)に示すように、正極形成用マスクPMを層形成口Lが下になるようにして正極集電体1および絶縁フィルム6に配置する。このとき、正極集電体1は、材料通過口Mが正極集電体1および絶縁フィルム6に接触しない状態で、正極形成用マスクPMにより覆われている。
そして、静電成膜装置のキャリアガスによる噴射用ノズルNにより、正極用の粉末材料を材料通過口Mに吹き付ける。この粉末材料は静電成膜装置により電荷が帯電したものであり、この電荷に作用するクーロン力により、粉末材料が正極集電体1に付着する。
具体的に説明すると、図5(a)に示すように、粉末材料は、上方から下方に向けて材料通過口Mを通過し、層形成口Lにおいて正極集電体1の上面に堆積する。特に、材料通過口Mの周縁近くを通過した粉末材料は、キャリアガスによって、材料通過口Mおよび層形成口Lの中心から離れる方向に広がって正極集電体1に堆積する。したがって、正極集電体1には、側面が層面方向に対して30〜80°傾斜した正極層2が形成される。正極層2が形成された後は、図5(b)に示すように、正極形成用マスクPMを正極集電体1から取り外す。
その後、図6(a)に示すように、電解質形成用マスクEMを層形成口Lが下になるようにして正極層2および絶縁フィルム6に配置する。このとき、正極層2および絶縁フィルム6は、材料通過口Mが正極層2および絶縁フィルム6に接触しない状態で、電解質形成用マスクEMにより覆われている。
そして、静電成膜装置の噴射用ノズルNにより、固体電解質用の粉末材料を材料通過口Mに吹き付ける。この粉末材料は静電成膜装置により電荷が帯電したものであり、この電荷に作用するクーロン力により、粉末材料が正極層2に付着する。
具体的に説明すると、図6(a)に示すように、粉末材料は、上方から下方に向けて材料通過口Mを通過し、層形成口Lにおいて正極層2および絶縁フィルム6の上面に堆積する。特に、材料通過口Mの周縁近くを通過した粉末材料は、キャリアガスによって、材料通過口Mおよび層形成口Lの中心から離れる方向に広がって正極層2および絶縁フィルム6に堆積する。したがって、正極層2および絶縁フィルム6には、側面が層面方向に対して30〜80°傾斜した固体電解質層3が形成される。固体電解質層3が形成された後は、図6(b)に示すように、電解質形成用マスクEMを正極層2および絶縁フィルム6から取り外す。
その後、図7(a)に示すように、負極形成用マスクNMを層形成口Lが下になるようにして固体電解質層3および絶縁フィルム6に配置する。このとき、固体電解質層3は、材料通過口Mが固体電解質層3および絶縁フィルム6に接触しない状態で、負極形成用マスクNMにより覆われている。
そして、静電成膜装置の噴射用ノズルNにより、負極層用の粉末材料を材料通過口Mに吹き付ける。この粉末材料は静電成膜装置により電荷が帯電したものであり、この電荷に作用するクーロン力により、粉末材料が固体電解質層3に付着する。
具体的に説明すると、図7(a)に示すように、粉末材料は、上方から下方に向けて材料通過口Mを通過し、層形成口Lにおいて固体電解質層3の上面に堆積する。特に、材料通過口Mの周縁近くを通過した粉末材料は、キャリアガスによって、材料通過口Mおよび層形成口Lの中心から離れる方向に広がって固体電解質層3に堆積する。したがって、固体電解質層3には、側面が層面方向に対して30〜80°傾斜した負極層4が形成される。負極層4が形成された後は、図7(b)に示すように、負極形成用マスクNMを固体電解質層3から取り外す。
さらに、図8(a)に示すように、形成された上記負極層4の上面に負極集電体5が載置されることで、全固体リチウムイオン二次電池の半製品が得られる。そして、この半製品を、正極リードおよび負極リードを有する熱圧着式のラミネートフィルム(図示しない)内に挿入するとともに、ラミネートフィルム内のガスを真空ポンプで吸引しながら封止を行うことにより、全固体リチウムイオン二次電池の完成品が得られる。この封止により、充放電時の圧密性が高められるとともに、水分と反応して変質する固体電解質、例えば硫化物系固体電解質が大気から保護される。最後に、構成材料中の微量なガスが加圧力により外部に排出される目的、および、各層2,3,4の粉末同士の接触性を高めてイオン伝導性を向上させる目的で、ラミネートフィルム内のガスを吸引する際に、図8(b)に示すように、正極集電体1と負極集電体5とが近づく方向に全固体リチウムイオン二次電池を加圧する。この加圧により、正極層2、固体電解質層3、および負極層4の厚さは約三分の一になるとともに、各層2,3,4の傾斜した側面の角度は層面方向に対して10〜60°になる。
このように、上記全固体リチウムイオン二次電池の構成によると、正極層2、固体電解質層3、および負極層4の各側面をそれぞれの層厚方向に対して傾斜させることで、薄膜化されたものであっても、成形体の内部応力を分散させて、短絡頻度を減少させることができる。
また、上記全固体リチウムイオン二次電池の製造方法によると、従来のマスクと形状の異なるマスクPM,EM,NMを使用する他は、従来の製造方法と同一であるから、高い生産性を維持することができる。
ところで、上記実施の形態では、材料通過口Mと層形成口Lとが形成されたマスク(正極形成用マスクPM、電解質形成用マスクEM、および負極形成用マスクNM)を使用するものとして説明したが、図9(a)に示すように、材料通過口Mのみが形成されたマスクMKを使用してもよい。この場合、図9(b)に示すように、層を形成させる面[図9(b)では一例として正極集電体1]とマスクMKとの間にスペーサSを置いて空間を形成する(層を形成させる面にマスクMKの材料通過口Mを接触させない)ことにより、この空間が層形成口Lとして作用する。また、図示しないが、材料通過口Mのみが形成されたマスクMKの下に、層形成口Lのみが形成された他のマスクを重ねて使用してもよい。
また、上記実施の形態では、正極層2、固体電解質層3、および負極層4のいずれの側面も層厚方向に対して傾斜しているとして説明したが、少なくとも、正極層2および負極層4のうち先に形成される層の側面が層厚方向に対して傾斜していればよい。
さらに、上記実施の形態では、全固体二次電池の一例として、全固体リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではなく、全固体二次電池であればよい。
また、上記実施の形態では、各層2,3,4が全て形成された後に層厚方向に加圧するとして説明したが、各層2,3,4毎に加圧してもよい。さらに、各層2,3,4毎に加圧し、各層2,3,4が全て形成された後に層厚方向に再度加圧してもよい。
また、上記実施の形態では、各層2,3,4の形成には、いずれも静電成膜装置により粉末材料をマスクPM,EM,NMに吹き付けるとして説明したが、これに限定されるものではない。他の例として、(1)傾斜面が形成された金型で各層2,3,4をプレスする方法、(2)各層2,3,4を側面が傾斜するようにライン成膜する方法、(3)レーザ照射により各層2,3,4の側面を削り取って傾斜させる方法などがある。上記(1)の方法は、噴射用ノズルNにより、形成する層2,3,4の粉末材料をマスクMK’の開口に吹き付け[図10(a)参照]、マスクMK’を除去した後に[図10(b)参照]、傾斜面が形成された金型Dでプレスする[図11(a)〜(c)参照]ものである。上記(2)の方法は、ライン成膜ノズルJにより、薄膜を多段に重ねて各層2,3,4を形成するが、下段の薄膜よりも隣接する上段の薄膜の面積を小さくしていくことで[図12(a)〜(c)参照]、各層2,3,4の側面を傾斜させるものである。上記(3)の方法は、噴射用ノズルNにより、形成する層2,3,4の粉末材料をマスクMK’の開口に吹き付け[図13(a)参照]、マスクMK’を除去した後に[図13(b)参照]、金型D’でプレスし[図14(a)および(b)参照]、レーザ照射器Eからのレーザ照射により各層2,3,4の側面を削り取って傾斜させる[図14(c)参照]ものである。上記(1)〜(3)は、各層2,3,4を形成する例に過ぎず、当然ながら、各層2,3,4が形成された後の図8(a)および(b)に示す工程を必要とする。
以下、上記実施の形態をより具体的に示した実施例に係る全固体リチウムイオン二次電池について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下に説明する実施例および比較例に係る全固体リチウムイオン二次電池は、正極層2、固体電解質層3、および負極層4の形状のみが異なり、他の条件については同一である。また、これら実施例および比較例に係る全固体リチウムイオン二次電池は、いずれも、正極活物質にはLiNi0.8Co0.15Al0.05(粒径6μm)を用い、リチウムイオン伝導性固体電解質にはLiS(70mol%)−P(30mol%)を用い、負極活物質にはグラファイト(粒径25μm)を用い、正極集電体1にはアルミニウム箔(30mm角)をステンレス箔(40mm角)に固定したものを用い、負極集電体5には銅箔(40mm角)を用いた。また、実施例および比較例に係る全固体リチウムイオン二次電池は、いずれも有効面積(最も面積が小さい層における面積)が20mm角であるから、ラミネートフィルム内のガスを吸引する際の加圧を40tとし、各層に10t/cmの圧力を作用させた。
本実施例1では、材料通過口Mが20mm角で層形成口Lが22mm角の正極形成用マスクPMを使用し、材料通過口Mが28mm角で層形成口Lが30mm角の電解質形成用マスクEMを使用し、材料通過口Mが24mm角で層形成口Lが26mm角の負極形成用マスクNMを使用した。このため、図15に示すように、全固体リチウムイオン二次電池において、面積の大きい層から順に、固体電解質層3、負極層4、正極層2となった。
本実施例1に係る全固体リチウムイオン二次電池の短絡頻度および歩留まりを測定し、この測定結果を下表1に示す。なお、短絡頻度は、作製した全固体リチウムイオン二次電池の個数のうち短絡が生じた全固体リチウムイオン二次電池の個数の割合である。また、歩留まりは、作製した全固体リチウムイオン二次電池の個数のうち短絡が生じなかった全固体リチウムイオン二次電池の個数の割合である。表1に示すように、本実施例1に係る全固体リチウムイオン二次電池の短絡頻度は10%、歩留まりは90%であった。
本実施例2では、材料通過口Mが20mm角で層形成口Lが22mm角の正極形成用マスクPMおよび負極形成用マスクNMを使用し、材料通過口Mが28mm角で層形成口Lが30mm角の電解質形成用マスクEMを使用した。このため、図16に示すように、全固体リチウムイオン二次電池において、面積の大きい層から順に、固体電解質層3、負極層4および正極層2(負極層4と正極層2とは同面積)となった。
本実施例2に係る全固体リチウムイオン二次電池の短絡頻度および歩留まりを測定し、この測定結果を下表1に示す。表1に示すように、本実施例2に係る全固体リチウムイオン二次電池の短絡頻度は15%、歩留まりは85%であった。
[比較例1]
比較例1〜3では、実施例1および2とは異なり、材料通過口Mを有しない(層形成口Lのみを有する)マスクを使用して、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。このため、図17に示すように、正極層2’、固体電解質層3’、および負極層4’の各側面は、それぞれの層面方向に対して略直交しており(傾斜しておらず)、すなわち、層厚方向(層面方向に対して直交する方向)に対して略平行である(傾斜していない)。
本比較例1では、層形成口Lが20mm角のマスクを使用して正極層2’を形成し、層形成口Lが28mm角のマスクを使用して固体電解質層3’を形成し、層形成口Lが24mm角のマスクを使用して負極層4’を形成した。このため、図17に示すように、全固体リチウムイオン二次電池において、面積の大きい層から順に、固体電解質層3’、負極層4’、正極層2’となった。
本比較例1に係る全固体リチウムイオン二次電池の短絡頻度および歩留まりを測定し、この測定結果を下表1に示す。表1に示すように、本比較例1に係る全固体リチウムイオン二次電池の短絡頻度は65%、歩留まりは35%であった。
[比較例2]
本比較例2では、層形成口Lが20mm角のマスクを使用して正極層2’、固体電解質層3’、および負極層4’を形成した。このため、図18に示すように、全固体リチウムイオン二次電池において、固体電解質層3’、負極層4’、正極層2’は同面積となった。
本比較例2に係る全固体リチウムイオン二次電池の短絡頻度および歩留まりを測定し、この測定結果を下表1に示す。表1に示すように、本比較例2に係る全固体リチウムイオン二次電池の短絡頻度は85%、歩留まりは15%であった。
[比較例3]
本比較例3では、層形成口Lが20mm角のマスクを使用して正極層2’および負極層4’を形成し、層形成口Lが24mm角のマスクを使用して固体電解質層3’を形成した。このため、図19に示すように、全固体リチウムイオン二次電池において、面積の大きい層から順に、固体電解質層3’、負極層4’および正極層2’(負極層4’と正極層2’とは同面積)となった。
本比較例3に係る全固体リチウムイオン二次電池の短絡頻度および歩留まりを測定し、この測定結果を下表1に示す。表1に示すように、本比較例3に係る全固体リチウムイオン二次電池の短絡頻度は70%、歩留まりは30%であった。
Figure 0006066574
このように、上記実施例1および2に係る全固体リチウムイオン二次電池の構成によると、正極層2、固体電解質層3、および負極層4の各側面をそれぞれの層厚方向に対して傾斜させることで、薄膜化されたものであっても、短絡頻度を著しく減少させることができた。
また、上記実施例1に係る全固体リチウムイオン二次電池の構成によると、負極層4が正極層2よりも面積を大きくするとともに、固体電解質層3が負極層4よりも面積を大きくする(面積の大きい層から順に、固体電解質層3、負極層4、正極層2とする)ことで、さらに短絡頻度を減少させることができた。
ところで、上記実施例1では、さらに短絡頻度を減少させるため、面積の大きい層から順に、固体電解質層3、負極層4、正極層2とすることについて説明したが、これに限定されるものではなく、面積の大きい層から順に、固体電解質層3、正極層2および負極層4のうち後に形成される層、正極層2および負極層4のうち先に形成される層であればよい。
PM 正極形成用マスク
EM 電解質形成用マスク
NM 負極形成用マスク
P 貫通口
M 材料通過口
L 層形成口
1 正極集電体
2 正極層
3 固体電解質層
4 負極層
5 負極集電体
6 絶縁フィルム

Claims (6)

  1. 正極層と負極層との間に固体電解質層が配置されるとともにこれら電極層の外面にそれぞれ集電体が配置されてなる全固体二次電池の製造方法であって、
    上記電極層のうち先に形成される層を、配置する集電体に向けて広がるように側面を傾斜させて、形成し、
    上記固体電解質層を形成し、
    上記電極層のうち後に形成される層を、配置する固体電解質層に向けて広がるように側面を傾斜させて、形成し、
    上記正極層、負極層および固体電解質層の側面の角度が、層面方向に対して30〜80°であり、
    上記正極層、負極層および固体電解質層の各層毎におよび/または各層が全て形成された後に層厚方向に加圧することを特徴とする全固体二次電池の製造方法。
  2. 固体電解質層が、正極層および負極層よりも、層面方向に沿った最大面積が大きいことを特徴とする請求項1に記載の全固体二次電池の製造方法。
  3. 電極層のうち後に形成された層が、電極層のうち先に形成された層よりも、層面方向に沿った最大面積が大きいことを特徴とする請求項2に記載の全固体二次電池の製造方法。
  4. 正極層および/または負極層がリチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を含み、
    固体電解質層がリチウムイオン伝導体を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の全固体二次電池の製造方法。
  5. 固体電解質層がLiS−Pであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の全固体二次電池の製造方法。
  6. 集電体を、材料通過口が形成されたマスクにより、材料通過口が集電体に接触しない状態で覆い、
    材料通過口に粉末材料を吹き付けて、正極層または負極層を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の全固体二次電池の製造方法。
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