JP6054052B2 - 発熱部品冷却装置 - Google Patents
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近年、社会のICT化の進展に伴い、情報通信機器(ICT装置)の高速化、大容量化、高密度化が急速に進んでおり、発熱量の増加及び発熱の偏在等によるICT装置内の温度環境が悪化している。その改善には導入冷気風量の増加が必要となるが、空気を介しての放熱にはその物性上(熱伝達率等)一定の限界がある。また、高発熱量の放熱には放熱フィン等の伝熱面積を大きくする必要があり、そのためのスペース確保も問題となっている。さらに冷気風量増加に伴う送風機の動力増も問題となっている。
また、冷却設備構築の面から考えると、液冷方式の場合、ICT装置の入れ替え毎に設備を構築する必要があるという問題がある。その点、空冷方式はその特性上ラック周辺の冷却を行うため、ラックに収容するICT装置の入れ替え等に柔軟な対応が可能であり、必ずしも入れ替えの都度、設備を構築する必要がないという長所がある 。
設置現場に対応して液冷方式又は空冷方式を選択する場合、以下の問題がある。まず、ICT装置の設置現場毎に適用可能な熱源が異なるため、熱源に応じた放熱機構の構築が必要になる。一方、ICT装置製造側からみると、ICT装置製作時に液冷または空冷を選択しなくてはならず、開発コスト、製造コストが二重にかかるという問題がある。
(a)構成部品・装置ごとに適切な冷却方式を選択でき、
(b)ICT装置の入れ替え(設置または撤去)にも柔軟に対応可能、かつ、
(c)液冷系統故障時のリスクを軽減することができる、
発熱部品冷却装置を提供するものである。
本発明は、以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る発熱部品冷却装置は、
互いに交換可能、かつ、それぞれ下面が高発熱部品の上面に密着固定可能に構成した液冷ユニット及び空冷ユニットを備え、
空冷ユニットは、放熱フィン部を備えて構成され、
液冷ユニットは、内部を冷媒循環可能に構成され、
高発熱部品の冷却につき、空冷方式又は液冷方式の選択を可能に構成したことを特徴とする。
上面に放熱フィン部を備え、下面が高発熱部品の上面に密着固定可能に構成した空冷ユニットと、
内部を冷媒循環可能に構成した吸熱部を備えた液冷ユニットと、を備えて成り、
液冷ユニットの各吸熱部を、空冷ユニットの隣接する放熱フィン部の間に差し込んだ状態で、液冷ユニットを空冷ユニットに密着して載置可能に構成し、
液冷ユニットの吸熱部に冷媒循環させることにより、空冷ユニットを介して液冷ユニットにより高発熱部品の冷却を可能に構成したことを特徴とする。
「冷媒による熱搬送手段」としては、ヒートパイプ、自然循環方式、ポンプによる冷媒循環方式 等が例示される。
液冷方式選択時において、前記ICT機器が備えた冷却用ファンの一部を取り外して、その空きスペースに該熱交換器を配置可能に構成したことを特徴とする。
(8)上記各発熱部品冷却装置を備えたサーバを格納するサーバラックを収容する機械室の空調方法であって、各サーバの稼働率又は消費電力に基づいて、前記液冷ユニット又は前記空冷ユニットを選択することを特徴とする。
(9)上記各発熱部品冷却装置を備えたサーバを格納するサーバラックを収容する機械室の空調方法であって、
サーバラック吸い込み空気温度に基づいて、前記液冷ユニット又は前記空冷ユニットを選択することを特徴とする。
また、ICT装置の負荷に応じて冷却装置の変更が可能となることから、ICT装置の逐次増設を行わずに、放熱機構の変更のみで、ICT装置の負荷の増加に対応可能となる
また、空冷方式から液冷方式、または液冷方式から空冷方式への変更は、従来はICT装置ごと入れ替える必要があったが、放熱機構のみの入替で済むので、冷却方式の変更にかかる作業が低減可能になる。また、入替コストも低減できるという効果がある。
また、冷媒の流路を空冷方式、液冷方式の順に流すことで、新規の液冷用の設備が不要となるという効果がある。
本実施形態は空冷又は液冷に対応してユニットを交換する態様に関する。
図1(a)を参照して、本実施形態に係る発熱部品冷却装置(以下、冷却装置と略記する場合がある)1は、一対の空冷ユニット2及び液冷ユニット3により構成され、CPU等の高発熱部品4の上側に密着、かつ、交換可能に取り付けられるように構成されている。
図1(c)を参照して、本体部3a内部には冷媒が集合管部3c、3dと複数の吸熱管部3eがモールドされており、高発熱部品4からの放熱を吸熱するように構成されている。本体部3aの材質としては、高伝熱性材料(例えばアルミ、銅等)を用いることができる。本体部3a底面と高発熱部品4上面の固定は、空冷ユニット2と同様に行うことができる。
ICT装置内には電子部品が設置されており、漏水した場合には甚大な被害を与える。図1(d)の方式によれば、循環冷媒として水が用いられている場合であっても、循環配管3f側にフロン等の冷媒を循環させることにより、ICT装置内に水を循環させる必要がなくなるため、漏水リスクの回避が可能となる。
次に、図2(a)乃至2(c)を参照して本発明の他の実施形態について説明する。
本実施形態に係る発熱部品冷却装置20が上述の発熱部品冷却装置1と異なる点は、液冷ユニットの構成である。
図2(a)を参照して、本実施形態に係る液冷ユニット21は、高発熱部品4に固定される吸熱部22と、吸熱部22の上側の放熱部23と、吸熱部22と放熱部23間にモールドされるヒートパイプ25と、を主要構成として備えている。放熱部23には後述するように、緊急時等に空冷可能な機能を有するフィン23aが設けられている。吸熱部22の底面構成及び高発熱部品4への固定機構については、第一の実施形態の液冷ユニット3と同様であるので、重複説明を省略する。
伝熱層22a材質としては高伝熱性材料(例えばアルミ、銅等)を用いることができ、また断熱層22b材質としては、フェノール樹脂等の発泡系の断熱材、又は炭化コルク等の繊維系断熱材などの耐熱性に優れた材質を用いることができる。吸熱部22内部には上述の実施形態と同様に冷媒菅24がモールドされており、不図示の冷媒液供給装置との接続及び冷媒循環の構成は上述の実施形態と同様である。
本実施形態の空冷ユニットの構成は上述の発熱部品冷却装置1と同様である。また、その他の構成についても発熱部品冷却装置1と同様であるので重複説明を省略する。
図2(b)を参照して、冷媒循環が正常な場合には、高発熱部品4からの発熱は伝熱層22aを介して冷媒菅24内を流れる冷媒に吸熱され、最終的に外部に放熱される。この場合には、断熱層22bの存在により熱は上層には伝わることがないため、効率的に冷媒に吸熱される。
次に、図3(a)乃至3(e)を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係る発熱部品冷却装置30が上述の発熱部品冷却装置1と異なる点は、液冷ユニットの構成、及び、液冷ユニットと空冷ユニットの交換使用態様である。
次に図3(a)を参照して、本実施形態の液冷ユニット32は、上側の支持部32aと、下側の複数の吸熱部32bと、支持部32aの端部に冷媒配管(図示せず)への接続部32cと、により構成されている。
図3(b)を参照して、液冷ユニット32内部の冷媒配管は、支持部32a内には接続部32cに繋がる集熱管32d、32eと、それぞれの吸熱部32b内を蛇腹状に配管した吸熱管32fと、により構成される。
なお、本実施形態では支持部32aが吸熱部32bの上側に配置する形態としたが、これに限らず図3(d)の液冷ユニット33に示すように、集熱部33aを吸熱部33bの側面に配置してもよい。液冷ユニット33内部の冷媒配管は集熱部33a内の集熱管33d、33eと、それぞれの吸熱部33b内を蛇腹状に配管した吸熱管33fと、により構成される。
次に、図4(a)乃至4(d)を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。
本実施形態に係る発熱部品冷却装置40が上述の発熱部品冷却装置30と異なる点は、液冷ユニット41の構成である。空冷ユニット42の構成は発熱部品冷却装置1と同様である。また、液冷が必要な場合に、空冷ユニット42の隣接するフィン間に密着して液冷ユニット41を差し込む点についても共通である。
液冷ユニット41は、両端の冷媒流入部41a及び流出部41bと、冷媒の整流化促進のための分流部41d及び合流部41eと、冷媒が空冷ユニット42のフィン側面を通過するように構成した流路部41f(請求項の吸熱部に該当)と、により構成されている。
さらに、図5(a)、5(b)を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。
本実施形態に係る発熱部品冷却装置50は、液冷が必要な場合に空冷ユニット52の上部から液冷ユニット51を差し込む点については、上述の各実施形態と共通である。
発熱部品冷却装置50が発熱部品冷却装置40と異なる点は、液冷ユニットの構成である。すなわち液冷ユニット51は、内部に作動液51cが封入された吸熱部51bと、吸熱部51bを上側から固定する集熱部51aにより構成されている。冷媒液は集熱部51a内の冷媒配管51c内を流れている。吸熱部51bは表面が変形可能な、例えば耐熱ゴム、耐熱シリコンゴム等の材質により構成されている点において上述の発熱部品冷却装置40と共通である。
蒸発した作動液51cは吸熱部51b内を上昇して、集熱部51a内を流れる冷媒により冷却されて凝縮して内壁面を流下する。流下途中でフィン52aから吸熱して再度蒸発する。この工程を繰り返し行うことにより空冷ユニット52の冷却が進行する。
次に、図6を参照して本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、上述の各発熱部品冷却装置を備えたサーバを収容する機械室空調システムの発明に関する。
本実施形態に係る機械室空調システム60は、冷気供給源として空調機61を備えている。冷房対象空間62aには、複数のサーバラック63a乃至63dがラック列を構成して収容されている。
冷房対象空間62aにおける空調は以下のように行われる。天井パネル62bを介して空調機61に戻される室内空気は、蒸発器61aにおいて冷気となって二重床空間62cに送出され、吹出し口62dを介してコールドアイル64aに供給される。冷気は各サーバラック63に導入され、ラック内のサーバ65を冷却した後に高温排気となって背面からホットアイル64bに排出される。サーバラック63内部は複数段に分割されており、各段にサーバ65が格納されている。コールドアイルのラック前面には温度センサ66が配設されており、吸込み温度を計測可能に構成されている
本実施形態において、液冷ユニットへの冷媒供給温度は、空調機への温度と比べ高くすることができる。従って、液冷ユニット冷却に際して、冷凍機等を用いることなく冷却塔等によるフリークーリングにより行うことも可能となり、冷凍機動力を削減できるというメリットがある。
さらに本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、空調機の冷媒を発熱部品冷却装置に供給するシステムに関する。
図7を参照して、本実施形態に係る空調システム70が上述の空調システム60と異なる点は、空調機71及び発熱部品冷却装置72の冷媒循環の構成である。すなわち、空調機71の蒸発器71aへの冷媒配管71b、71cと分岐、合流する冷媒循環配管72を備えている。
さらに、不図示の制御部が各サーバ74の消費電力を監視している点が異なる。
本実施形態では、新たに液冷ユニット用に冷媒供給装置を配置することなく、既設の空調機の循環冷媒を利用して空冷・液冷の切り替えが可能となる。
さらに本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、サーバに取り付けられている冷却用ファンを取り外して、その位置に図1(d)と同タイプの液冷ユニット熱交換器を配設する形態に関する。
図8(a)を参照して、本実施形態に係る発熱部品冷却装置80の空冷ユニット82は、高発熱部品4の上部に固定されている既存の放熱フィン82aにより構成されている。また図8(b)を参照して液冷ユニット81は、上述の液冷ユニット32(図3(a)参照)と同様、空冷ユニット82を覆うタイプであり、循環配管81bを介して熱交換器81cと接続するように構成されている。
このような構成により発熱部品冷却装置80によれば、高発熱部品4からの発熱を熱交換器81cに搬送し、さらに冷媒配管81dを介して外部に放熱することができる。
この場合には、同図(c)に示すようにファン87bを取り外して、放熱フィン87aの上部に図3(a)と同タイプの液冷ユニット88を被せることにより、液冷化が可能となる。このような構成により発熱部品冷却装置86により、高発熱部品4からの発熱を液冷ユニット88で吸熱し、冷媒配管88aを介して外部に搬送することができる。
なお、この場合にも液冷ユニット33(図3(d))、液冷ユニット41(図4(a))、液冷ユニット51(図5(a))を用いる態様とすることができる。
さらに本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、高発熱部品の放熱フィンが離れた位置に取り付けられている場合に適した形態に関する。
図9(a)を参照して、本実施形態に係る発熱部品冷却装置90の空冷ユニット92は、既存の放熱フィン92bを含んで構成されている点で上述の実施形態と同様である。但し、上述の実施形態と異なり、本実施形態に係る空冷ユニット92は高発熱部品4の上部に固定されておらず、高発熱部品4から離れたサーバ筺体94の背面部94bの近傍に配設されている。また、空冷ユニット92は放熱フィン92bと一体に構成される冷却用ファン92cを備えている。高発熱部品4と空冷ユニット92とはヒートパイプ93を介して熱搬送可能に構成されている。ヒートパイプ93の両端は、高発熱部品4の上面及び放熱フィン92bの下面に取り付けられる伝熱板93a、92dにそれぞれモールドされている。
また液冷ユニット91は、上述の液冷ユニット81と同様、空冷ユニット92を覆うタイプである。
以上の構成により、高発熱部品4からの発熱は、ヒートパイプ93を介して空冷ユニット92の放熱フィン92bに熱搬送され、さらに冷却用ファン92cにより外部に放熱される。
以上の構成により、液冷ユニット91内部に冷媒を循環させることにより、高発熱部品4からの発熱は、ヒートパイプ93→放熱フィン92b→液冷ユニット91に熱搬送され、さらに液冷ユニット91内を流れる冷媒を介して外部に放熱することができる。
2,31、42、82、87、92・・・・・空冷ユニット
3、21、32、33、41、51、81、88、91・・・・・液冷ユニット
4・・・・・高発熱部品
60、70・・・・機械室空調システム
61、71・・・・空調機
Claims (9)
- ICT機器の高発熱部品を冷却するための発熱部品冷却装置であって、
上面に放熱フィン部を備え、下面が高発熱部品の上面に密着固定可能に構成した空冷ユニットと、
内部を冷媒循環可能に構成した吸熱部を備えた液冷ユニットと、を備えて成り、
液冷ユニットの各吸熱部を、空冷ユニットの隣接する放熱フィン部の間に差し込んだ状態で、液冷ユニットを空冷ユニットに密着して載置可能に構成し、
液冷ユニットの吸熱部に冷媒循環させることにより、空冷ユニットを介して液冷ユニットにより高発熱部品の冷却を可能に構成したことを特徴とする発熱部品冷却装置。 - 前記吸熱部を変形自在な材質で構成し、冷媒循環状態において前記吸熱部が前記空冷ユニットの放熱フィン部に密着して載置可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の発熱部品冷却装置。
- 前記液冷ユニットの各吸熱部の間隔を、高発熱部品に取り付けられた既設の放熱フィンの間隔に合わせることにより、既設の放熱フィンを前記空冷ユニットとして機能するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の発熱部品冷却装置。
- 前記吸熱部を、内部に作動流体を充填したヒートパイプにより構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発熱部品冷却装置。
- 前記空冷ユニットは、「上面に放熱フィン部を備え、下面が高発熱部品の上面に密着固定可能に構成した」ものであることに替えて、「放熱フィン部を備え、かつ、前記高発熱部品と冷媒による熱搬送手段を介して熱交換可能に構成した」ものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発熱部品冷却装置。
- 前記液冷ユニットは、冷媒循環による高発熱部品からの吸熱を、熱交換器を介在させて外部に放熱するように構成して成り、かつ、
液冷方式選択時において、前記ICT機器が備えた冷却用ファンの一部を取り外して、その空きスペースに該熱交換器を配置可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発熱部品冷却装置。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の発熱部品冷却装置を備えたサーバを格納するサーバラックを収容する機械室の空調システムであって、消費電力を監視する手段を備え、
各サーバの稼働率又は消費電力に基づいて、前記液冷ユニット又は前記空冷ユニットの切り替えを可能に構成したことを特徴とする機械室の空調システム。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の発熱部品冷却装置を備えたサーバを格納するサーバラックを収容する機械室の空調システムであって、サーバラック吸い込み空気温度を計測する手段を備え、
サーバラック吸い込み空気温度に基づいて、前記液冷ユニット又は前記空冷ユニットの切り替えを可能に構成したことを特徴とする機械室の空調システム。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の液冷ユニットに供給する冷媒が、空調機の蒸発器を循環する冷媒配管から分岐したものであることを特徴とする空調システム。
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