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JP5929452B2 - 遷移金属含有ゼオライト - Google Patents

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Description

本発明は、遷移金属を含むアルミノホスフェートゼオライト、並びに該遷移金属含有ゼオライトを含む自動車排ガス処理触媒、及び水蒸気吸着材に関する。
遷移金属を含むアルミノホスフェートゼオライトは、遷移金属による触媒活性の向上効果などの利点を有することから、化学工業や自動車排気浄化など様々な分野において用途が見出されている。
従来、遷移金属を含むアルミノホスフェートゼオライトは、含浸法、イオン交換法などでゼオライトに遷移金属を担持させることで合成されている。この方法で調製された遷移金属含有ゼオライトは、遷移金属の担持量が少ない場合(通常3重量%未満)は、遷移金属の分散性が高いが、この場合には、遷移金属の担持量が少ないため、遷移金属に由来する触媒の活性点が少なく、触媒性能が不十分である。
一方、非特許文献1には、遷移金属をゼオライトに導入することでゼオライトの安定性を高める方法が記載されている。この方法では、遷移金属の導入量が不十分であると、ゼオライトの安定性も低い。従って、十分な触媒性能やゼオライトの安定性を得るために、一定の遷移金属の導入量が必要である。
しかし、従来の合成法で遷移金属の導入量を高くすると、ゼオライト中の遷移金属の凝集現象が起き、遷移金属の分散性が悪くなる。例えば、特許文献1では、調製したゼオライトを電子プローブマイクロアナライザーで分析すると、凝集した遷移金属が観測されている。
また、特許文献2では、イオン交換担持回数を増加させることで、3重量%の銅を含むアルミノホスフェートゼオライトを合成しているが、担持回数の増加でゼオライトの一部が分解されてしまう。また、この方法で合成された遷移金属を含むアルミノホスフェートゼオライトは結晶性が低く、比表面積は350m/g以下である。また、この方法では、遷移金属の導入量を高くすると、ゼオライト結晶構造の劣化も起きる。
特許文献3では、遷移金属原料をゼオライト合成工程のゲルに導入することで約3.6重量%の銅を含有するアルミノホスフェートゼオライトを合成しているが、生成物中にアモルファス状非結晶不純物が含まれ、ゼオライトの比表面積は500m/g以下である。
特許文献4にも、遷移金属原料をゼオライト合成工程のゲルに導入することで遷移金属を含むアルミノホスフェートゼオライトを合成しているが、合成されたゼオライトは熱安定性が低い。
また、これら方法で合成された遷移金属を含むアルミノホスフェートゼオライトは、遷移金属の導入量は高いが、ゼオライトの結晶性や安定性が低い欠点がある。
WO2010/084930A1明細書 WO2009/099937A1明細書 米国公開特許US2010/0310440A1明細書 中国公開特許CN102259892明細書
Molecular Sieves、Advances in Chemistry Series、Vol.121,Chapter 22,pp249−257,(1973)AMERICAN CHEMICAL SOCIETY.
本発明は、遷移金属の含有量が高く、かつ、遷移金属の分散性、ゼオライトの安定性が高い遷移金属含有アルミノホスフェートゼオライトを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、電子プローブマイクロアナライザーでゼオライト中の遷移金属の元素マッピングを行ったとき、遷移金属の強度の変動係数が33%以下で、かつ、遷移金属の含有量が3重量%以上であり、ケイ素原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比が0.9以上である遷移金属含有アルミノホスフェートゼオライトが、高い遷移金属含有量、高い遷移金属分散性、かつ高いゼオライト安定性を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[10]を要旨とする。
[1] 遷移金属Mを3重量%以上含むアルミノホスフェートゼオライトにおいて、該遷移金属Mが銅であり、電子プローブマイクロアナライザーで該ゼオライト中の遷移金属Mの元素マッピングを行ったとき、遷移金属Mの強度の変動係数が33%以下であり、ケイ素原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比が0.9以上であることを特徴とする遷移金属含有ゼオライト。
[2] 遷移金属Mを3重量%以上含み、骨格構造に8員環構造を有するアルミノホスフェートゼオライトにおいて、該遷移金属Mが銅であり、電子プローブマイクロアナライザーで該ゼオライト中の遷移金属Mの元素マッピングを行ったとき、遷移金属Mの強度の変動係数が33%以下であり、ケイ素原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比が0.9以上であることを特徴とする遷移金属含有ゼオライト
[3] BET比表面積が500m/g以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の遷移金属含有ゼオライト。
[4] ゼオライトがInternational Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライト構造においてフレームワーク密度が10.0T/1000Å3以上16.0T/1000Å3以下である[1]ないし[3]のいずれかに記載の遷移金属含有ゼオライト。
[5] ゼオライトがInternational Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライト構造においてCHAである[1]ないし[4]のいずれかに記載の遷移金属含有ゼオライト。
[6] 遷移金属Mの強度の変動係数が31%以下であることを特徴とする[1]ないし[5]のいずれかに記載の遷移金属含有ゼオライト。
[7] 遷移金属Mの強度の変動係数が29%以下であることを特徴とする[6]に記載の遷移金属含有ゼオライト。
[8] ケイ素原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比が0.93以上であることを特徴とする[1]ないし[7]のいずれかに記載の遷移金属含有ゼオライト。
] [1]ないし[]のいずれかに記載のゼオライトを含む自動車排ガス処理触媒。
10] [1]ないし[]のいずれかに記載のゼオライトを含む水蒸気吸着材。
本発明によれば、従来の遷移金属含有アルミノホスフェートゼオライトと比べて、ゼオライト中の遷移金属導入量が高く、かつ遷移金属分散性も高く、しかも高いゼオライト安定性を有することで、より多い遷移金属触媒活性点を生成させることができ、触媒性能や耐水性、高温水熱耐久性、水蒸気繰り返し吸脱着耐久性に優れた遷移金属含有ゼオライトが提供される。
実施例で用いた触媒の水蒸気繰り返し吸脱着試験装置の構成を示す模式図である。 実施例1で製造したゼオライト1のXRD測定チャートである。 実施例1で製造したゼオライト1のEPMAのSi及びCuの元素マップである。 実施例2で製造したゼオライト2のEPMAのSi及びCuの元素マップである。 比較例1で製造したゼオライト3のEPMAのSi及びCuの元素マップである。 比較例2で製造したゼオライト4のEPMAのSi及びCuの元素マップである。 比較例3で製造したゼオライト5のEPMAのSi及びCuの元素マップである。 比較例4で製造したゼオライト6のEPMAのSi及びCuの元素マップである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に特定はされない。
なお、本発明の遷移金属含有ゼオライトは、本発明で規定される遷移金属含有量において、本発明で規定される特徴的な遷移金属の分散状態を有するものであれば、いずれの方法で製造されたものであってもよい。
従って、本発明の遷移金属含有ゼオライトの製造方法については後述するが、後述の製造方法は、本発明の遷移金属含有ゼオライトの製造方法の代表例であって、本発明の遷移金属含有ゼオライトの製造方法は後述の製造方法によって何ら制限されるものではない。
[遷移金属含有アルミノホスフェートゼオライト]
<ゼオライトの骨格構造>
本発明の遷移金属含有ゼオライトは、ゼオライトの骨格構造に、少なくともリン原子及びアルミニウム原子を含むアルミノホスフェートゼオライトに遷移金属を含有させたものであり、好ましくはゼオライトの骨格構造に更にケイ素原子をも含むものである。特に、本発明の遷移金属含有ゼオライトは、ゼオライト骨格構造のアルミニウム原子、リン原子、及びケイ素原子のモル比が下記の存在割合のゼオライトに、以下の割合で遷移金属Mを含む遷移金属含有シリコンアルミノホスフェートゼオライトであることが好ましい。
本発明の遷移金属含有ゼオライトのゼオライトの骨格構造に含まれるアルミニウム原子、リン原子及びケイ素原子の存在割合は、下記式(I)、(II)、(III)及び(IV)を満たすことが好ましい。
0.001≦x≦0.3 ・・・(I)
(式中、xは骨格構造中のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するケイ素原子のモル比を示す)
0.3≦y≦0.6 ・・・(II)
(式中、yは骨格構造中のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比を示す)
0.3≦z≦0.6 ・・・(III)
(式中、zは骨格構造中のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対するリン原子のモル比を示す)
0.9≦y/(x+z)≦1.5 ・・・(IV)
(式中、y/(x+z)は骨格構造中のケイ素原子とリン原子の合計に対するとアルミニウム原子のモル比を示す)
xの値としては、通常0.001以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、通常0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.18以下である。xの値が上記下限値より小さいと、ゼオライト結晶化しにくい場合がある。xの値が上記上限値より大きいと、合成時に不純物が混入しやすくなる傾向がある。
さらに、yは通常0.3以上、好ましくは0.35以上、より好ましくは0.4以上であり、通常0.6以下、好ましくは0.55以下である。yの値が上記下限値より小さい又は上記上限値より大きいと、合成時に不純物が混入しやすくなる傾向がある。
さらに、zは通常0.3以上、好ましくは0.35以上、より好ましくは0.4以上であり、通常0.6以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.50以下である。zの値が上記下限値より小さいと、合成時に不純物が混入しやすくなる傾向があり、zの値が上記上限値より大きいと、ゼオライト結晶化しにくい場合がある。
さらに、y/(x+z)は通常0.9以上、好ましくは0.93以上、より好ましくは0.96以上、さらに好ましくは0.98以上であり、通常1.5以下、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.1以下である。遷移金属M原料をゼオライト合成工程のゲルに導入することで遷移金属を含むアルミノホスフェートゼオライトを合成する場合、y/(x+z)が上記下限値未満であると、遷移金属Mをゼオライトの骨格構造に取り込んで、ゼオライトの構造が不安定になる。また、上記上限値を超える場合にも、ゼオライト構造が不安定になる傾向がある。従って、骨格構造に遷移金属Mを取り込んだゼオライトは高温水熱処理に対しての水熱安定性や水蒸気繰り返し吸脱着に対しての耐久性が悪くなる。
<遷移金属M>
遷移金属Mとしては、特に限定されるものではないが、吸着材用途や触媒用途での特性の点から、通常、鉄、コバルト、マグネシウム、亜鉛、銅、パラジウム、イリジウム、白金、銀、金、セリウム、ランタン、プラセオジウム、チタン、ジルコニウム等の周期表第3−12族の遷移金属が挙げられ、好ましくは鉄、コバルト、銅などの周期表第8、9、11族、より好ましくは8、11族の遷移金属である。ゼオライトに含有させる遷移金属は、これらの1種であってもよく、2種以上の遷移金属を組み合わせてゼオライトに含有させてもよい。これらの遷移金属のうち、特に好ましくは、鉄及び/又は銅であり、とりわけ好ましくは銅である。
本発明の遷移金属含有ゼオライトの遷移金属Mの含有量は、無水状態下での遷移金属含有ゼオライトの重量に対する遷移金属Mの重量割合で、3%以上、好ましくは3.5%以上、より好ましくは4%以上であり、通常10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下である。遷移金属Mの含有量が上記下限値より少ないと、高分散遷移金属活性点が不十分であり、上記上限値より多いと、ゼオライトが結晶化しにくい場合がある。
なお、上記のゼオライト骨格構造の原子や遷移金属Mの含有量は、元素分析により決定されるが、本発明における元素分析は、試料を塩酸水溶液で加熱溶解させた後誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分光分析により、或は試料を打錠成形した後蛍光X線分析法(XRF)により、ゼオライト骨格構造の原子や遷移金属Mの含有量W(重量%)を求め、一方、熱重量分析(TG)により試料中の水分WH2O(重量%)を求め、下記式(V)で、無水状態下での遷移金属含有ゼオライト中の骨格構造の原子や遷移金属Mの含有量W(重量%)を算出したものである。
W=W/(1−WH2O) ・・・(V)
<遷移金属Mの強度の変動係数>
本発明の遷移金属含有ゼオライトは、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)で遷移金属Mの元素マッピングを行ったとき、金属元素Mの強度の変動係数が通常33%以下であることを特徴とし、この変動係数は、好ましくは31%以下であり、さらに好ましくは29%以下である。
本発明の遷移金属含有ゼオライトにおける遷移金属Mの強度の変動係数の下限は特に制限はない。遷移金属Mの強度の変動係数が小さいほど、ゼオライト中の遷移金属Mがより均一にSiに由来する交換サイトに分散していることを表す。遷移金属Mの強度の変動係数が上記上限値を超過すると、ゼオライト中の遷移金属Mの分散性が悪くなり、遷移金属含有ゼオライトの触媒活性が不十分である、或はゼオライトの安定性が低い、という問題を生じる。
なお、本発明において、変動係数は、3点以上の複数の視野で測定した強度の変動係数の平均値である。EPMAによる元素マッピングは、具体的には後掲の実施例の項に記載される方法で実施される。
<BET比表面積>
本発明の遷移金属含有ゼオライトのBET比表面積の上限は特に制限はないが、下限については500m/g以上であることが好ましく、より好ましくは550m/g以上、特に好ましくは600m/g以上である。BET比表面積が上記下限値未満ではゼオライトの結晶性が低く、触媒活性などの性能が不十分となる傾向がある。
<構造・フレームワーク密度>
本発明の遷移金属含有ゼオライトを自動車排気浄化触媒や水蒸気吸着材として用いる場合には、本発明の遷移金属含有ゼオライトは、以下の構造及びフレームワーク密度を有することが好ましい。
ゼオライトの構造は、XRD(X線回折法:X−ray diffraction)により決定するが、本発明の遷移金属含有ゼオライトは、骨格構造に8員環構造を有するゼオライトは構造安定性が高いである点において好ましく、International Zeolite Association(IZA)が定めるコードで示すと、AEI、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、CHA、DFO、ERI、FAU、GIS、LEV、LTA、VFIであり、AEI、AFX、GIS、CHA、VFI、AFS、LTA、FAU、AFYが好ましく、CHA構造を有するゼオライトが最も好ましい。
また、フレームワーク密度は結晶構造を反映したパラメータであるが、IZAがATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES Fifth Revised Edition 2001において示してある数値で、好ましくは10.0T/1000Å3以上であって、通常16.0T/1000Å3以下、好ましくは15.0T/1000Å3以下である。
なお、フレームワーク密度(T/1000Å3)は、ゼオライトの単位体積1000Å3あたりに存在するT原子(ゼオライトの骨格構造を構成する酸素原子以外の原子(T原子))の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。
ゼオライトのフレームワーク密度が上記下限値未満では、構造が不安定となる場合があったり、耐久性が低下する傾向があり、一方、上記上限値を超過すると吸着量、触媒活性が小さくなる場合があったり、触媒としての使用に適さない場合がある。
<粒子径>
本発明の遷移金属含有ゼオライトの粒子径について特に限定はないが、通常0.1μm以上であり、さらに好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、通常30μm以下であり、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下である。
なお、本発明における遷移金属含有ゼオライトの粒子径とは、電子顕微鏡で遷移金属含有ゼオライトを観察した際の、任意の10〜30点のゼオライト粒子の一次粒子径の平均値をいう。
[遷移金属含有ゼオライトの製造方法]
本発明の遷移金属含有ゼオライトの製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下のような方法で製造することができる。
即ち、まず、ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、遷移金属原子原料及びポリアミンを含む水性ゲルを調製する。ここで、ポリアミンは所望の骨格構造(例えば8員環構造)を有するゼオライトを得るためのテンプレートとしても働くため、水性ゲルの調製にはテンプレート(SDA(Structure−directing agent);構造規定剤)は使用しなくても良いが、所望の骨格構造を有するゼオライトを得るために、ポリアミンとは別に公知のテンプレートを用いてもよい。次いで、この水性ゲルを用いて水熱合成を行った後、ポリアミンや他のテンプレートを除去して本発明の遷移金属含有ゼオライトを得る。
水性ゲルの調製にポリアミンを用いる方法は、EPMAによる元素マッピングで、遷移金属Mの強度の変動係数が33%以下の本発明の遷移金属含有ゼオライトを製造する方法として有効であり、この方法によれば、高温水熱耐久性が高く、かつ繰り返し水熱耐久性が高い本発明の遷移金属含有アルミノホスフェートゼオライトを、簡便かつ効率的に製造することができる。この理由の詳細は明らかではないが、以下のようなことが推察される。
例えば、ゼオライトを合成する際に、遷移金属がポリアミンと強く相互作用するので、遷移金属がゼオライト骨格元素と反応しにくくなる。すわなち、遷移金属がゼオライトの骨格に入りにくく、ゼオライトの細孔だけに存在することができる。このため、従来法で合成された遷移金属含有アルミノホスフェートゼオライトとは異なり、遷移金属によりゼオライト骨格元素が置き換えられにくく、遷移金属をゼオライト細孔に均一に分散させることができると考えられる。
以下、この製造方法について説明する。
{原料}
まず、本発明に係る水性ゲルの調製に用いられる各原料について説明する。
<アルミニウム原子原料>
アルミニウム原子原料は特に限定されず、通常、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド等のアルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。取り扱いが容易な点及び反応性が高い点で、アルミニウム原子原料としては擬ベーマイトが好ましい。
<ケイ素原子原料>
ケイ素原子原料は特に限定されず、通常、fumed(ヒュームド)シリカ、シリカゾル、コロイダルシリカ、水ガラス、ケイ酸エチル、ケイ酸メチル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。高純度で、反応性が高い点で、ケイ素原子原料としてはfumedシリカが好ましい。
<リン原子原料>
リン原子原料は、通常、リン酸であるが、リン酸アルミニウムを用いてもよい。リン原子原料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<遷移金属原子原料>
遷移金属原子原料は特に限定されず、通常、前述の遷移金属Mの硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、塩化物、臭化物等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩、ペンタカルボニル、フェロセン等の有機金属化合物などが使用される。これらのうち、水に対する溶解性の観点からは無機酸塩、有機酸塩が好ましい。場合によってはコロイド状の酸化物、あるいは微粉末状の酸化物を用いても良い。
本発明において好ましく使用できる遷移金属原子原料としては、銅酸化物或いは酢酸銅が挙げられるが、中でも銅(II)酸化物がより好ましいものとして挙げられる。
遷移金属原子原料としては、遷移金属種、或いは化合物種の異なるものの2種以上を併用してもよい。
<ポリアミン>
本発明で用いるポリアミンは、1分子中に2つ以上のアミノ基を有するポリアミン(環状、鎖状(直鎖状、分岐鎖状を含む)であり、中でも、一般式H2N−(Cn2nNH)x−H(式中、nは2〜6の整数、xは1〜10の整数)で表される、2以上のNH基を含む鎖が延長されたポリアミン化合物が好ましい。
上記式において、nは2〜5の整数が好ましく、2〜4の整数がより好ましく、2又は3がさらに好ましく、2が特に好ましい。xは2〜6の整数が好ましく、2〜5の整数がより好ましく、2〜4の整数がさらに好ましく、3又は4が特に好ましく、4がとりわけ好ましい。
このようなポリアミンとしては、中でもエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが安価であり好ましく、中でもジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが特に好ましい。これらのポリアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<テンプレート>
本発明に係る水性ゲルには、ゼオライト製造の際のテンプレートとして一般に使用される、アミン、イミン、四級アンモニウム塩等を更に含んでいてもよい。
テンプレートとしては、好ましくは
(1)ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物
(2)アルキル基を有するアミン(アルキルアミン)
(3)シクロアルキル基を有するアミン(シクロアルキルアミン)
及び
(4)テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド
からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。これらは入手しやすく安価であり、さらに、製造されたシリコンアルミノホスフェートゼオライトの取り扱いが容易で構造破壊も起きにくいという点において好適である。中でも(1)ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物、(2)アルキルアミン、及び(3)シクロアルキルアミンが好ましく、これら3つの群のうち、2つ以上の群から各群につき1種以上の化合物を選択して用いることがより好ましい。
(1)ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物
ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物の複素環は通常5〜7員環であって、好ましくは6員環である。複素環に含まれるヘテロ原子の個数は通常3個以下、好ましくは2個以下である。窒素原子以外のヘテロ原子は任意であるが、窒素原子に加えて酸素原子を含むものが好ましい。ヘテロ原子の位置は特に限定されないが、ヘテロ原子が相互に隣り合わないものが好ましい。
また、ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物の分子量は、通常250以下、好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下であり、また通常30以上、好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上である。
このようなヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物として、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、N−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、キヌクリジン、ピロリジン、N−メチルピロリドン、ヘキサメチレンイミンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、モルホリン、ヘキサメチレンイミン、ピペリジンが好ましく、モルホリンが特に好ましい。
(2)アルキルアミン
アルキルアミンのアルキル基は、通常、鎖状アルキル基であって、アルキルアミンの1分子中に含まれるアルキル基の数は特に限定されるものではないが、3個が好ましい。
また、アルキルアミンのアルキル基は一部水酸基等の置換基を有していてもよい。
アルキルアミンのアルキル基の炭素数は4以下が好ましく、1分子中の全アルキル基の炭素数の合計は5以上30以下がより好ましい。
また、アルキルアミンの分子量は通常250以下、好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下である。
このようなアルキルアミンとしては、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジ−n−ブチルアミン、ネオペンチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、ジ−イソプロピル−エチルアミン、N−メチル−n−ブチルアミン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、ジ−イソプロピル−エチルアミン、N−メチル−n−ブチルアミンが好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。
(3)シクロアルキルアミン
シクロアルキルアミンとしては、アルキル基の炭素数が4以上10以下であるものが好ましく、中でもシクロヘキシルアミンが好ましい。シクロアルキルアミンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(4)テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド
テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドとしては、4個のアルキル基が炭素数4以下のアルキル基であるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
テンプレートとして2種以上のものを組み合わせて用いる場合、その組み合わせは任意であるが、モルホリン、トリエチルアミン及びシクロヘキシルアミンのうちの2種以上、中でもモルホリンとトリエチルアミンを併用することが好ましい。
これらのテンプレート各群の混合比率は、条件に応じて選択する必要がある。2種のテンプレートを混合させるときは、通常、混合させる2種のテンプレートのモル比が1:20から20:1、好ましくは1:10から10:1、さらに好ましくは1:5から5:1である。3種のテンプレートを混合させるときは、通常、3種目のテンプレートのモル比は、上記のモル比で混合された2種のテンプレートに対して1:20から20:1、好ましくは1:10から10:1、さらに好ましくは1:5から5:1である。
本発明においては、このような公知のテンプレートを使用しなくても良いが、使用した方が、高温水熱耐久性や水蒸気繰り返し吸脱着耐久性が優れた遷移金属含有アルミノホスフェートゼオライトを製造することができ、好ましい。
{水性ゲルの調製}
水性ゲルは、上述のケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、遷移金属原子原料、及びポリアミン、必要に応じて用いられるその他のテンプレートを水と混合して調製される。
水性ゲルの調製の際の各原料の混合順序は制限がなく、用いる条件により適宜選択すればよく、まず水にリン原子原料、アルミニウム原子原料を混合し、これにケイ素源、及びテンプレートを混合し、遷移金属原子原料、ポリアミンは、これらを混合する際の何れかのタイミングで添加する方法も挙げられるが、まず少量の水及びリン酸等のリン原子原料に、遷移金属原子原料を溶解させた後、他の原料を加える方法が挙げられる。後者の方法は、水の量を減らすことにより、収率を挙げることができ、また得られる遷移金属含有ゼオライトを触媒や吸着材として使用した場合の性能にも優れるものとなるので好ましい。ここで「少量の水」とは、Al23換算のアルミニウム原子原料に対する水のモル比で、50以下であることが好ましく、より好ましくは40以下、さらに好ましくは35以下である。
なお、遷移金属原子原料とポリアミンを予め混合すると、ポリアミンによる遷移金属原子原料の錯体化による安定化の効果が有効に発揮される。
本発明で用いる水性ゲルの組成は、ケイ素原子原料、アルミニウム原子原料、リン原子原料、及び遷移金属原子原料を酸化物として表したときのモル比で、以下のような組成となることが好ましい。
SiO2/Al23の値は、通常0より大きく、0.8以下であり、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.4以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。
また、P25/Al23の値は、通常0.6以上、好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上であり、通常1.3以下、好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.1以下である。
/Al23(ただし、a及びbはそれぞれ遷移金属MとOの原子比を表す)の値は、通常0.01以上、好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.05以上であり、通常0.8以下、好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下である。
SiO2/Al23が上記上限よりも大きいと、結晶化しにくかったり、水熱耐久性が不十分であったりする。
25/Al23が上記下限よりも小さいと結晶化しにくかったり、水熱耐久性が不十分であったりし、上記上限よりも大きいと同様に結晶化しにくかったり、水熱耐久性が不十分であったりする。
水熱合成によって得られるゼオライトの組成は、水性ゲルの組成と相関があり、従って、所望の組成のゼオライトを得るためには、水性ゲルの組成を上記の範囲において適宜設定すればよい。
また、Mab/Al23が上記下限よりも小さいとゼオライトに遷移金属の導入量が不十分であり、上記上限よりも大きいと結晶化しにくかったり、水熱耐久性が不十分であったりする。
水性ゲル中のポリアミンの量は、テンプレートを使用する場合には、遷移金属原子原料を安定化させるに足りる量にすれば良いが、テンプレートを使用しない場合は、ポリアミンがテンプレートの作用も兼ねるので、テンプレートとして機能するための量にする必要がある。
具体的には、以下のような使用量とすることが好ましい。
<テンプレートを使用する場合>
テンプレートを使用する場合は、水性ゲル中のポリアミンとテンプレートの総量は、水性ゲル中のアルミニウム原子原料の酸化物換算のAl23に対するポリアミン及びテンプレートの合計のモル比で、通常0.2以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上であって、通常4以下、好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下である。
ポリアミンとテンプレートの総量が上記下限より少ないと結晶化しにくかったり、水熱耐久性が不十分であったりし、上記上限より多いとゼオライトの収率が不十分である。
また、ポリアミンは、遷移金属原子原料の酸化物換算のMabに対するポリアミンのモル比で、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.8以上であって、通常10以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下となる量で用いることが好ましい。
水性ゲル中のポリアミンの量が上記下限よりも少ないとポリアミンを用いることによる本発明の効果を十分に得ることができず、上記上限よりも多いとゼオライトの収率が不十分である。
<テンプレートを使用しない場合>
テンプレートを使用しない場合は、上記と同様の理由から、水性ゲル中のポリアミンの量は、水性ゲル中のアルミニウム原子原料の酸化物換算のAl23に対するポリアミンのモル比で、通常0.2以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上、通常4以下、好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下であって、遷移金属原子原料の酸化物換算のMabに対するポリアミンのモル比で、通常1以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上で、通常50以下、好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下となる量で用いることが好ましい。
なお、前述の如く、テンプレートは条件に応じて適宜選ぶ必要があるが、例えば、テンプレートとしてモルホリンとトリエチルアミンを併用する場合、モルホリン/トリエチルアミンのモル比は0.05〜20、特に0.1〜10、とりわけ0.2〜9となるように用いることが好ましい。
前記2つ以上の群から各群につき1種以上選択されたテンプレートを混合する順番は特に限定されず、テンプレート同士を混合した後その他の物質と混合してもよいし、各テンプレートをそれぞれ他の物質と混合してもよい。
また、水性ゲル中の水の割合は、合成のし易さ及び生産性の高さの観点から、アルミニウム原子原料を酸化物で表したとき、Al23に対する水のモル比で、通常3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上であって、通常200以下、好ましくは150以下、さらに好ましくは120以下である。
水性ゲルのpHは通常5以上、好ましくは6以上、さらに好ましくは6.5以上であって、通常11以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは9以下である。
なお、水性ゲル中には、所望により、上記以外の成分を含有していてもよい。このような成分としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や塩、アルコール等の親水性有機溶媒が挙げられる。水性ゲル中のこれらの他の成分の含有量としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や塩は、アルミニウム原子原料を酸化物で表したとき、Alに対するモル比で、通常0.2以下、好ましくは0.1以下であり、アルコール等の親水性有機溶媒は、水性ゲル中の水に対してモル比で通常0.5以下、好ましくは0.3以下である。
{水熱合成}
水熱合成は、上記のようにして調製された水性ゲルを耐圧容器に入れ、自己発生圧力下、又は結晶化を阻害しない程度の気体加圧下で、攪拌又は静置状態で所定温度を保持する事により行われる。
水熱合成の際の反応温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上であって、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは220℃以下である。反応時間は通常2時間以上、好ましくは3時間以上、さらに好ましくは5時間以上であって、通常30日以下、好ましくは10日以下、さらに好ましくは4日以下である。反応温度は反応中一定でもよいし、段階的又は連続的に変化させてもよい。
なお、遷移金属Mが銅であって、銅原子原料として酢酸銅を使用した場合、合成時間を長くする(30時間以上)と、得られる遷移金属含有ゼオライトの性能が良くなる傾向にあるので好ましい。
{テンプレート等を含有したゼオライト}
水熱合成後、生成物であるポリアミン及び必要に応じて用いられたテンプレート(以下、ポリアミン又はポリアミンとテンプレートとを「テンプレート等」と称す。)を含有したゼオライトを水熱合成反応液より分離する。水熱合成反応液からのテンプレート等を含有したゼオライトの分離方法は特に限定されない。通常、濾過又はデカンテーション等により分離し、水洗後、室温から150℃以下の温度で乾燥して生成物であるテンプレート等を含有したゼオライトを得ることができる。
次いで、通常、水熱合成反応液から分離されたテンプレート等を含有したゼオライトからテンプレート等を除去する。テンプレート等の除去方法は特に限定されない。通常、空気又は酸素含有の不活性ガス、あるいは不活性ガスの雰囲気下に300℃から1000℃の温度で焼成したり、エタノール水溶液、HCl含有エーテル等の抽出溶剤による抽出等の方法により、含有される有機物(テンプレート等)を除去することができる。
好ましくは製造性の面で焼成によるテンプレート等の除去が好ましい。この場合、焼成温度については、好ましくは、400℃から900℃、より好ましくは450℃から850℃、さらに好ましくは500℃から800℃である。
[遷移金属含有ゼオライトの用途]
本発明の遷移金属含有ゼオライトの用途としては特に制限はないが、本発明の遷移金属含有ゼオライトは、耐水性、高温水熱耐久性、及び水蒸気繰り返し吸脱着耐久性が高く、触媒活性にも優れることから、自動車排気浄化触媒及び水蒸気吸着材として特に好適に用いられる。
<自動車排気浄化触媒>
本発明の遷移金属含有ゼオライトを自動車排気浄化触媒として用いる場合、本発明の遷移金属含有ゼオライトはそのまま粉末状で用いてもよく、また、シリカ、アルミナ、粘土鉱物等のバインダーと混合し、造粒や成形を行って使用することもできる。また、自動車排気浄化触媒として用いる場合、塗布法や、成形法を用いて所定の形状に成形して用いることもでき、好ましくはハニカム状に成形して用いることができる。
本発明の遷移金属含有ゼオライトを含む触媒の成形体を塗布法によって得る場合、通常、遷移金属含有ゼオライトとシリカ、アルミナ等の無機バインダーとを混合し、スラリーを作製し、コージェライト等の無機物で作製された成形体の表面に塗布し、焼成することにより作成され、好ましくはこの際にハニカム形状の成形体に塗布することによりハニカム状の触媒を得ることができる。
本発明の遷移金属含有ゼオライトを含む触媒の成形体を成形する場合、通常、遷移金属含有ゼオライトをシリカ、アルミナ等の無機バインダーやアルミナ繊維、ガラス繊維等の無機繊維と混練し、押出法や圧縮法等の成形を行い、引き続き焼成を行うことにより作成され、好ましくはこの際にハニカム形状に成形することによりハニカム状の触媒を得ることができる。
本発明の遷移金属含有ゼオライトを含む触媒は、窒素酸化物を含む排ガスを接触させて窒素酸化物を浄化する自動車排気浄化触媒として有効である。該排ガスには窒素酸化物以外の成分が含まれていてもよく、例えば炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、窒素、酸素、硫黄酸化物、水が含まれていてもよい。具体的には、本発明の自動車排気浄化触媒により、ディーゼル自動車、ガソリン自動車、定置発電・船舶・農業機械・建設機械・二輪車・航空機用の各種ディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービン等から排出される多種多様の排ガスに含まれる窒素酸化物を浄化することができる。
本発明の遷移金属含有ゼオライトを含む触媒を使用する際の、触媒と排ガスの接触条件としては特に限定されるものではないが、排ガスの空間速度は通常100/h以上、好ましくは1000/h以上であり、通常500000/h以下、好ましくは100000/h以下であり、温度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、通常700℃以下、好ましくは500℃以下で用いられる。
[水蒸気吸着材]
本発明の遷移金属含有ゼオライトは、優れた水蒸気の吸・脱着特性を示す。
その吸・脱着特性の程度は、条件により異なるが、一般的に、低温から、通常水蒸気の吸着が困難な高温領域まで吸着可能であり、また高湿度状態から、通常水蒸気の吸着が困難な低湿度領域まで吸着可能であり、かつ比較的低温の100℃以下で脱着が可能である。
本発明の遷移金属含有ゼオライトは、特に水蒸気吸着材として優れた性能を示すが、本発明の遷移金属含有ゼオライトを水蒸気吸着材として用いる場合に、シリカ、アルミナ、チタニア等の金属酸化物や粘土等のバインダー成分や、熱伝導性の高い成分と共に使用することができる。本発明の遷移金属含有ゼオライトをこれらの他の成分と共に用いる場合、水蒸気吸着材中の本発明の遷移金属含有ゼオライトの含有量が、60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例において得られた遷移金属含有ゼオライト(以下、単に「ゼオライト」と記載する。)の分析及び性能評価は以下の方法により行った。
[XRDの測定]
以下の方法で調製した試料を用いて、以下の条件で測定した。
<試料の調製>
めのう乳鉢を用いて人力で粉砕したゼオライト試料約100mgを同一形状のサンプルホルダーを用いて試料量が一定となるようにした。
<測定条件>
X線源:Cu−Kα線
出力設定:40kV・30mA
測定時光学条件:
発散スリット=1°
散乱スリット=1°
受光スリット=0.2mm
回折ピークの位置:2θ(回折角)
測定範囲:2θ=3〜50度
スキャン速度:3.0°(2θ/sec)、連続スキャン
[Cu含有量とゼオライト組成の分析]
ゼオライト骨格構造のケイ素、アルミニウム、リン原子と遷移金属銅原子における元素分析は、試料を塩酸水溶液で加熱溶解させた後誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分光分析によりゼオライト骨格構造のケイ素、アルミニウム、リン原子とCuの含有量W(重量%)を求める。或は、試料を打錠成形した後蛍光X線分析法(XRF)により、ゼオライト骨格構造のケイ素、アルミニウム、リン原子とCuの含有量W(重量%)を求める。
一方、熱重量分析(TG)により試料中の水分WH2O(重量%)を求め、下記式(V)で、無水状態下での遷移金属含有ゼオライト中の骨格構造の各原子とCuの含有量W(重量%)を算出した。
W=W/(1−WH2O) ・・・(V)
<BET比表面積>
大倉理研社製、全自動粉体比表面積測定装置(AMS1000)を用いて、流通式一点法により測定を行った。
[触媒活性の評価(初期活性)]
調製したゼオライト試料をプレス成形後、破砕して篩を通し、0.6〜1mmに整粒した。整粒したゼオライト試料1mlを常圧固定床流通式反応管に充填した。ゼオライト層に下記表1の組成のガスを空間速度SV=100000/hで流通させながら、ゼオライト層を加熱した。150℃、175℃、200℃、300℃、400℃、500℃の各温度において、出口NO濃度が一定となったとき、
NO浄化率(%)
={(入口NO濃度)―(出口NO濃度)}/(入口NO濃度) ×100
の値によって、ゼオライト試料の窒素酸化物除去活性を評価した。
Figure 0005929452
[触媒活性の評価(水熱耐久試験後)]
調製したゼオライト試料をプレス成形後、破砕して篩を通し、0.6〜1mmに整粒した後、以下の水蒸気処理による水熱耐久試験を行った。水熱耐久試験を行ったゼオライト試料について、上記と同様に触媒活性(水熱耐久後)の評価を行った。
<水熱耐久試験>
整粒したゼオライト試料を800℃、10体積%の水蒸気に、空間速度SV=3000/hの雰囲気下、5時間通じた。
[触媒活性の評価(水蒸気繰り返し吸脱着耐久性試験)]
調製したゼオライト試料を以下の水蒸気繰り返し吸脱着耐久性試験を行った。水蒸気繰り返し吸脱着耐久性試験を行ったゼオライト試料をプレス成形後、破砕して篩を通し、0.6〜1mmに整粒した後、上記と同様に触媒活性(90-60-5耐久後)の評価を行った。
<水蒸気繰り返し吸脱着耐久性試験(90℃-60℃-5℃の水蒸気繰り返し吸脱着試験)>
実装条件に近い繰り返し吸脱着試験条件として、図1に示す試験装置を用いて、触媒の「90℃-60℃-5℃の水蒸気繰り返し吸脱着試験」を実施した。
図1において、1は60℃に保持された恒温室、2は90℃に保持された恒温室、3は5℃に保持された恒温室である。恒温室1内には飽和水蒸気の容器4が設けられ、恒温室2内には試料を保持した真空容器5が設けられ、恒温室3内には水だめとなる容器6が設けられている。容器4と真空容器5とはバルブaを有する配管を介して連結されており、容器6と真空容器5はバルブbを有する配管を介して連結されている。
試料を90℃に保たれた真空容器5内に保持し、5℃の飽和水蒸気雰囲気(90℃の相対湿度1%)と60℃の飽和水蒸気雰囲気(90℃の相対湿度28%)にそれぞれ90秒曝す操作を繰返す。すなわち、60℃の飽和水蒸気雰囲気に曝す操作は、図1中、バルブaを開く(バルブbは閉じたまま)。この状態で90秒保持した後、バルブaを閉じると同時にバルブbを開ける。このとき、60℃の飽和水蒸気雰囲気に曝されたときに試料に吸着した水は、5℃の飽和水蒸気雰囲気で一部が脱着し、5℃に保った水だめの容器6に移動する。この状態で90秒保持する。
以上の吸着、脱着を2000回繰り返し行う。
試験後回収した試料について上記触媒活性の評価方法の条件に基づきNO浄化率を評価した。
車などのディーゼルエンジン排ガスは5〜15体積%の水を排ガス中に含む。車では走行中、排ガスが200℃以上の高温となり、相対湿度は5%以下に低下し、触媒は水分を脱着した状態になる。しかし、停止時に90℃近辺で相対湿度が15%以上となり、触媒は水を吸着する。本条件により、90℃の吸着時には相対湿度が28%となる。この実条件に近い状態での繰り返し耐久性が実装時には重要となる。
[電子プローブマイクロアナライザー(EMPA)の測定]
調製したゼオライト試料を、樹脂に包埋して断面ミクロトーム(ダイヤ刃)にて切削を行った後、Au蒸着を行って作製したサンプルについて、以下の条件で測定を行った。
装置:JEOL shaseiJXA−8100
電子銃:W エミッター,加速電圧15kV,照射電流20nA
元素マッピング:分析面積3000倍か4000倍の視野相当
収集時間:100msec/point
対象元素(分光結晶):Si(PET),Cu(LIFH)
[変動係数]
遷移金属Mを3重量%以上含むアルミノホスフェートゼオライトにおいて、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)で任意の3視野で観察したサンプルのSiの強度マップよりゼオライト粒子を抽出する。画像処理には、ImageProPlus(Media Cybernetics社製)を用いた。
この処理ソフトを用いて、EPMA分析で得られたSiマップにメディアンフィルタをかけ、ノイズ処理を行った後、強度の高い部分を試料粒子として抽出した。その後、抽出した試料粒子内部におけるCuKα線強度の平均値と標準偏差を算出し、その変動係数を求めた。この画像処理によりゼオライトに分散されなかった孤立状態である銅を取り除いて、ゼオライトに分散された銅の分布状態を調べることができる。例えば、同一の視野において、Cuの強度マップに存在している粒子が、Siの強度マップに存在していない場合は孤立状態である銅として取り除く。
[実施例1]
水20gに85重量%リン酸8.1g及び酸化銅(CuO)0.5gを加え、酸化銅が完全に溶解するまで攪拌した。その後、擬ベーマイト(25重量%水含有、コンデア社製)5.4gをゆっくりと加え、1時間攪拌した。さらに、fumedシリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)0.6g及び水13.4gを加え、1時間攪拌した。その後、モルホリン3.4g、トリエチルアミン4.0gをゆっくりと加え、1時間攪拌した。さらに、テトラエチレンペンタミン(キシダ化学社製)1.1gを添加した後、1時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
<水性ゲル組成(モル比)>
SiO:0.25
Al:1
:0.875
CuO:0.15
テトラエチレンペンタミン:0.15
モルホリン:1
トリエチルアミン:1
水:50
こうして得られた水性ゲルをフッ素樹脂内筒の入った100mlのステンレス製オートクレーブに仕込み、15rpmで攪拌しながら190℃で24時間反応させた。水熱合成後冷却して、デカンテーションにより上澄み及び銅粉を除いて沈殿物を回収した。沈殿物を水で3回洗浄した後濾別し、100℃で乾燥した。その後550℃で空気気流下焼成を行い、有機物を除去し、ゼオライト1を得た。
こうして得られたゼオライト1のXRDを測定したところ、CHA構造(フレームワーク密度=14.6T/1,000Å)であった。このゼオライトの平均一次粒子径は14μmである。
また、XRF分析によるCuの担持量は4.3重量%であり、ゼオライト骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対する各原子の構成割合(モル比)は、ケイ素原子が0.097、アルミニウム原子が0.49、リン原子が0.41であった。
ゼオライト1のXRDの測定結果を図2に示す。
また、EPMAの測定結果(SiおよびCuの元素マップ)を図3に示す。ゼオライト1において、視野3のCuの強度マップの中央にあるCu粒子がSiの強度マップに存在していないので、孤立状態である銅として取り除いた。その後、求めたCuの強度の平均変動係数は27.9%であった。
また、このゼオライト1について、触媒活性の評価とBET比表面積の測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例2]
水217gに75重量%リン酸95g及び酸化銅(CuO)7.2gを加え、酸化銅が完全に溶解するまで攪拌した。その後、擬ベーマイト(25重量%水含有、コンデア製)61.8gをゆっくりと加え、1時間攪拌した。さらに、fumedシリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)16.4g及び水153.2gを加え、1時間攪拌した。その後、モルホリン39.6g、トリエチルアミン46.0gをゆっくりと加え、1時間攪拌した。さらに、テトラエチレンペンタミン(キシダ化学社製)17.2gを添加した後、1時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
<水性ゲル組成(モル比)>
SiO:0.6
Al:1
:0.8
CuO:0.2
テトラエチレンペンタミン:0.2
モルホリン:1
トリエチルアミン:1
水:50
こうして得られた水性ゲルをフッ素樹脂内筒の入った1Lのステンレス製オートクレーブに仕込み、200rpmで攪拌しながら190℃で24時間反応させた。水熱合成後冷却し、濾過して、生成物を回収した。生成物を水で3回洗浄した後濾別し、100℃で乾燥した。その後550℃で空気気流下焼成を行い、有機物を除去し、ゼオライト2を得た。
こうして得られたゼオライトのXRDを測定したところ、CHA構造(フレームワーク密度=14.6T/1,000Å)であった。このゼオライトの平均一次粒子径は13μmである。
また、XRF分析によるCuの担持量は5.1重量%であり、ゼオライト骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対する各原子の構成割合(モル比)は、ケイ素原子が0.16、アルミニウム原子が0.50、リン原子が0.34であった。
このゼオライト2のEPMAの測定結果(Si及びCuの元素マップ)を図4に示す。ゼオライト2において、Cuの強度の平均変動係数は28.4%。
また、このゼオライト2について、触媒活性の評価とBET比表面積の測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例1]
特開2003−183020号公報の実施例2に開示されている方法により、ゼオライト4を合成した。得られた乾燥ゼオライトをジェットミルで3〜5μmに粉砕し、その後700℃で空気気流下焼成を行い、テンプレートを除去した。得られたゼオライトのXRDを測定したところ、CHA構造(フレームワーク密度=14.6T/1,000Å)であった。
また、ICP分析によるゼオライトの組成分析を行ったところ、骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対する各原子の構成割合(モル比)は、ケイ素原子が0.09、アルミニウム原子が0.50、リン原子が0.40であった。
次に、以上のようにして得られたゼオライトに対し、WO2010/084930A1明細書の実施例2Aに開示されている方法により、銅を担持し、800℃で2時間焼成して、ゼオライト3を得た。ICP分析によるゼオライトの組成分析を行ったところ、骨格構造のケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対する各原子の構成割合(モル比)は、ケイ素原子が0.09、アルミニウム原子が0.50、リン原子が0.41であった。このゼオライト3のXRF分析によるCuの担持量は3重量%であった。
このゼオライト3のEPMAの測定結果(Si及びCuの元素マップ)を図5に示す。ゼオライト4において、Cuの強度の平均変動係数は34.1%であった。
また、このゼオライト4について、触媒活性の評価とBET比表面積の測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例2]
中国公開特許CN102259892明細書の実施例1に開示されている方法により、ゼオライト4を合成した。
XRF分析により元素分析を行ったところ、ケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対する各原子の構成割合(モル比)は、ケイ素原子が0.17、アルミニウム原子が0.46、リン原子が0.37であった。
また、XRF分析によるCuの担持量は5.8重量%であった。
このゼオライト4のEPMAの測定結果(Si及びCuの元素マップ)を図6に示す。ゼオライト4において、Cuの強度の平均変動係数は28.2%であった。
また、このゼオライト4について、触媒活性の評価とBET比表面積の測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例3]
米国公開特許US2010/0310440A1明細書の実施例6に開示されている方法により、ゼオライト5を合成した。
XRF分析により元素分析を行ったところ、ケイ素原子とアルミニウム原子とリン原子の合計に対する各原子の構成割合(モル比)は、ケイ素原子が0.12、アルミニウム原子が0.51、リン原子が0.37であった。
また、XRF分析によるCuの担持量は3.4重量%であった。
このゼオライト5のEPMA(Si及びCuの元素マップ)の測定結果を図7に示す。ゼオライト5において、Cuの強度の平均変動係数は43.1%であった。
また、このゼオライト5について、触媒活性の評価とBET比表面積の測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例4]
WO2010/084930A1明細書の比較例5に開示されている方法により、ゼオライト6を合成した。
このゼオライト6のXRF分析によるCuの担持量は2.8重量%であった。
また、EPMAの測定結果(Si及びCuの元素マップ)を図8に示す。ゼオライト7において、Cuの強度の変動係数は15%であった。
また、このゼオライト6について、触媒活性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005929452
表2に示すように、比較例4のゼオライトのCuの変動係数は小さいが、Cuの含有量が少なく、触媒性能が低い。比較例1および比較例3のゼオライトはCu含有量が多くなると、変動係数が高くなり、触媒活性が低く、水蒸気繰り返し吸脱着耐久性試験後の触媒活性の低下が見られた。比較例2のゼオライトには、Cuの含有量が多く、かつCuの変動係数は小さいが、ケイ素原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比が0.9以下であることで水熱耐久試験後の触媒活性が大幅に低下した。
これら比較例1〜4のゼオライトの低い触媒性能に対して、本発明によれば、高い遷移金属含有量、低い変動係数(高い遷移金属分散性)、かつ、ケイ素原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比が0.9以上であることによりゼオライト構造の安定性に優れた遷移金属含有アルミノホスフェートゼオライトを提供することができる。この遷移金属含有ゼオライトは、高い触媒活性及び安定性を有する。
本発明の遷移金属含有ゼオライトは、高い遷移金属含有量、高い遷移金属分散性、かつ高い安定性を有する。
このような本発明の遷移金属含有ゼオライトを用いることにより、ディーゼルエンジン等から排出される排ガス中に含まれる窒素酸化物を効率よく浄化することができる。
1,2,3 恒温室
4,6 容器
5 真空容器

Claims (10)

  1. 遷移金属Mを3重量%以上含むアルミノホスフェートゼオライトにおいて、該遷移金属Mが銅であり、電子プローブマイクロアナライザーで該ゼオライト中の遷移金属Mの元素マッピングを行ったとき、遷移金属Mの強度の変動係数が33%以下であり、ケイ素原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比が0.9以上であることを特徴とする遷移金属含有ゼオライト。
  2. 遷移金属Mを3重量%以上含み、骨格構造に8員環構造を有するアルミノホスフェートゼオライトにおいて、該遷移金属Mが銅であり、電子プローブマイクロアナライザーで該ゼオライト中の遷移金属Mの元素マッピングを行ったとき、遷移金属Mの強度の変動係数が33%以下であり、ケイ素原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比が0.9以上であることを特徴とする遷移金属含有ゼオライト。
  3. BET比表面積が500m/g以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の遷移金属含有ゼオライト。
  4. ゼオライトがInternational Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライト構造においてフレームワーク密度が10.0T/1000Å3以上16.0T/1000Å3以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の遷移金属含有ゼオライト。
  5. ゼオライトがInternational Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライト構造においてCHAである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の遷移金属含有ゼオライト。
  6. 遷移金属Mの強度の変動係数が31%以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の遷移金属含有ゼオライト。
  7. 遷移金属Mの強度の変動係数が29%以下であることを特徴とする請求項6に記載の遷移金属含有ゼオライト。
  8. ケイ素原子とリン原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比が0.93以上であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の遷移金属含有ゼオライト。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のゼオライトを含む自動車排ガス処理触媒。
  10. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のゼオライトを含む水蒸気吸着材。
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