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JP5927937B2 - 装飾部材 - Google Patents

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本発明は、自動車あるいは家電などのロゴマーク、オーナメント、エンブレムなどに利用できる装飾部材に関する。
自動車には、メーカーのマーク、車種などを表すオーナメント、エンブレム、フロントグリルガーニッシュなどの装飾部材が用いられている。これらの装飾部材は一般に透明樹脂基材から形成され、背景部の中に光輝部が浮き上がって表出する意匠とされる場合が多い。
例えば特開2001−107256号公報には、透明樹脂基材の表面に規則的な凹凸部を形成し、その表面にプライマ層を介して金属層を積層してなる積層品が提案されている。この積層品においては、透明樹脂基材の表面に対して所定角度で見た場合に、金属層の金属光沢と凹凸部における干渉色とが視認される。しかしながら同公報に記載の積層品では、金属光沢と干渉色との色差が小さいために、干渉の程度が弱い場合には十分な意匠が発現されなかった。
そこで特開2009−120120号公報には、透明樹脂基体の意匠表面と反対側表面に形成された周期的凹凸部をもつ凹凸表面に、透明樹脂基体とは異なる光屈折率をもつ中間層を形成し、中間層の表面に着色層を形成した装飾部材が提案されている。この装飾部材によれば、周期的凹凸部のピッチと着色層の色調とを最適に選択することで、背景色と干渉色との色差を大きくすることができ、特有の意匠を発現させることができる。
特開2001−107256号公報 特開2009−120120号公報
しかしながら干渉色を利用した装飾部材では、光量によって発色の程度が異なり、雨天時や夜間など光量が不足する場合には意匠性が低下するという問題がある。本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、光屈折を利用した新規な意匠を呈する装飾部材を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の装飾部材の特徴は、外部から視認される意匠表面をもつ透明樹脂基体と、透明樹脂基体の意匠表面と反対側の裏面側に配置された背景層と、を有する装飾部材であって、面の表面には透明樹脂基体とは異なる光屈折率をもつ中間部材が配置され、中間部材の表面にはレンズ作用を有する凹凸表面が形成され、意匠表面から凹凸表面を介して背景層が視認され、中間部材は、みが0.01μm〜0.2μmの透明なTiO膜であることにある。
本発明の装飾部材の特徴は、外部から視認される意匠表面をもつ透明樹脂からなる本体と、本体の表面と平行に配向した状態で本体に埋設された粒子状物と、本体の意匠表面と反対側の裏面側に配置された背景層と、を有する装飾部材であって、粒子状物は、マイクロレンズ加工面をもつ透明樹脂基体と、透明樹脂基体のマイクロレンズ加工面に本体とは異なる光屈折率をもちレンズ作用を有する凹凸表面をもつ中間層とを有し、中間層は、厚みが0.01μm〜0.2μmの透明なTiO 膜である。
本発明の装飾部材によれば、意匠表面からレンズ作用を有する凹凸表面を介して背景層が視認される。そして凹凸表面をもつ中間部材は透明樹脂基体とは異なる光屈折率を有するので、凹凸表面のレンズ作用によって拡大あるいは縮小された背景層を意匠表面から視認することができ、立体的な特異な意匠が発現される。
本発明の一実施例に係る装飾部材の斜視図である。 本発明の一実施例に係る装飾部材の断面図である。 本発明の一実施例に係る装飾部材の製造工程を示す説明断面図である。 本発明の第二の実施例に係る装飾部材の断面図である。 本発明の第二の実施例に係る装飾部材の他の態様を示す断面図である。 本発明の第三の実施例に係る装飾部材の製造工程を示す説明断面図である。 本発明の第四の実施例に係る装飾部材の要部断面図である。
本発明の装飾部材は、透明樹脂基体と、中間部材と、背景層とから構成される。透明樹脂基体は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明性に優れた樹脂、あるいはポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニルなどの半透明樹脂から射出成形などで形成することができる。その厚さは特に制限されず、板状、フィルム状などとすることができる。この透明樹脂基体は外部に表出する意匠表面をもち、意匠表面と反対側の裏面側に背景層が配置されている。この透明樹脂基体には、アルミニウム、インジウム、錫などからなる光輝層が形成されていることも好ましい。
背景層は、透明樹脂基体の裏面に貼着されたシール部材、透明樹脂基体の裏面に塗装あるいは印刷により形成された塗膜などとすることができる。場合によっては、透明樹脂基体の裏面側に空気層を介して配置された印刷体などを背景層とすることもできる。なお塗装あるいは印刷により形成された背景層は一般に薄肉であるので、傷付きなどが生じやすい。したがって背景層の表面にはさらに保護層を形成することが望ましい。この保護層の材質は特に制限されず、ABS、PPなどの各種樹脂から形成することができる。また着色樹脂を用いれば、この保護層が背景層を兼ねることも可能である。
透明樹脂基体の意匠表面と、意匠表面と反対側の裏面との間、又は裏面の表面には、透明樹脂基体とは異なる光屈折率をもつ中間部材が配置されている。もし中間部材の光屈折率が透明樹脂基体の光屈折率と近い場合には、凹凸表面によるレンズ効果が発現されない。そこで中間部材は、透明樹脂基体とは異なる光屈折率をもつ材料から形成される。PCの屈折率は1.49であり、PMMAの屈折率は1.41であるので、これらとは異なる屈折率をもつ材料を用いる。
例えば酸化チタン(TiO2)は屈折率が2.52程度であり、好適に用いることができる。またCOP(シクロオレフィン系ポリマ)も用いることができる。さらに、空気の屈折率は1.0であるので、場合によっては中間部材を空気層とすることもできる。
透明樹脂基体の屈折率と中間部材の屈折率との差は0.3以上であることが望ましく、0.5以上であることがさらに望ましい。屈折率の差が0.3より小さいと、凹凸表面によるレンズ作用が低下し意匠性が低下する。
中間部材の表面には、レンズ作用を有する凹凸表面が形成されている。この凹凸表面によって構成されるレンズとしては、フレネルレンズ、回折レンズを例示することができる。フレネルレンズとしては、同心状フレネルレンズ、直線状フレネルレンズのどちらも用いることができる。また回折レンズとしては、レリーフ型回折レンズ、振幅型回折レンズなどがある。また凸レンズと凹レンズのどちらも採用できる。
中間部材の表面にレンズ作用を有する凹凸表面を形成するには、例えば透明樹脂基体の裏面にレンズ作用を有する凹凸面を予め形成しておき、その凹凸面にアルコキシド法、蒸着法、スパッタリング法などを用いて膜厚が0.01μm〜0.2μmの薄膜の中間部材を形成する方法がある。このようにすれば、中間部材は透明樹脂基体に形成された凹凸面に沿って形成され、凹凸面と同じレンズ作用を有する凹凸表面を形成することができる。その後、中間部材の表面に透明樹脂基体と同一の又は異なる透明樹脂を積層すれば、凹凸表面によるレンズ作用を損なうことなく凹凸表面を保護することができる。なお中間部材の膜厚がこの範囲を外れると、レンズ作用による効果が低下する場合がある。
あるいはレンズ作用を有する凹凸表面をもつ中間部材を予め形成しておき、それをそのまま中間部材をもつ透明樹脂基体として用いてもよいし、あるいはそれを透明樹脂基体の裏面に積層することもできる。レンズ作用を有する凹凸表面をもつ中間部材を製造するには、板状あるいはシート状あるいはフィルム状の透明樹脂の裏面にレンズ作用を有する凹凸面を形成しておき、その凹凸面にアルコキシド法、蒸着法、スパッタリング法などを用いてTiO2などの薄膜を形成すればよい。この方法の場合も上記の製造方法と同様に、中間部材の表面に透明樹脂基体と同一の又は異なる透明樹脂を積層することが望ましい。
また、レンズ作用を有する凹凸表面をもつ中間部材を粒状、鱗片状などの粒子状の形状に形成し、それを透明樹脂基体の内部に埋設することもできる。この場合、中間部材は、平均粒径が2μm以上の鱗片状であることが好ましい。平均粒径が2μm未満では、凹凸表面によるレンズ作用の効果が顕れにくくなる。平均粒径の最大値は、装飾部材の大きさによって宜決められる。粒子状の中間部材は、レンズ作用を有する凹凸表面をもつ中間部材を予め型成形などによって形成しておき、それを粉砕することで製造することができる。
以下、実施例により本発明の実施態様を具体的に説明する。
図1に本実施例に係るフロントグリルガーニッシュの平面図を、図2にその断面図を示す。このフロントグリルガーニッシュ1は、金属光沢意匠をもつリング状の縁取り部10と、金属光沢意匠をもつ略T字形状のマーク部11と、紺色の背景部12とを備えている。
このフロントグリルガーニッシュ1は、ポリカーボネートからなる楕円板状の透明樹脂基体2と、TiO2膜からなる透明な中間層3(中間部材)と、印刷により形成された着色層4(背景層)と、金属アルミニウムからなる蒸着層5と、ABS製のベース6(保護層)と、から構成されている。以下、図3を参照しながら、このフロントグリルガーニッシュ1の製造方法を説明し、構成の詳細な説明に代える。
先ず、ポリカーボネートから射出成形によって図3(A)に示す透明樹脂基体2を形成した。透明樹脂基体2は平滑な曲面状の意匠表面20を有し、その裏面には縁取り部10及びマーク部11の形状に対応する凹部21が形成されている。また凹部21以外の裏面には、同心状のフレネルレンズを構成するマイクロレンズ加工面22が形成されている。マイクロレンズ加工面22の山谷高さは約10μmであるが、フレネルレンズの分割数を多くすれば山谷高さをさらに低くすることができる。
次に、蒸着法により、図3(B)に示すように、透明樹脂基体2の裏面全面にTiO2からなる透明な中間層3を0.01μm〜0.2μmの厚さに形成した。中間層3は薄膜であるのでマイクロレンズ加工面22の形状に沿い、その表面にはマイクロレンズ加工面22と同等のフレネルレンズを構成する凹凸表面30が形成されている。
続いて図3(C)に示すように、凹部21を除く部分の中間層3の表面に、紺色の塗料を用い塗装によって着色層4を形成した。着色層4の厚さは約20μmである。なお、中間層3と着色層4との間に透明樹脂層を形成することもできる。
次に図3(D)に示すように、真空蒸着法によって、着色層4の表面及び凹部21に形成されている中間層3の表面の全面に金属アルミニウムからなる蒸着層5を形成した。
上記のようにして得られた中間体を成形型内に配置し、図3(E)に示すように、蒸着層5の表面に射出成形によってABS樹脂からなるベース6を形成した。
本実施例のフロントグリルガーニッシュ1では、意匠表面20側から見た時に、凹部21に対応する部位(縁取り部10及びマーク部11)には、透明樹脂基体2及び中間層3を通して蒸着層5の金属光沢意匠が表出する。一方、背景部12には、透明樹脂基体2及び中間層3を通して、凹凸表面30の凸レンズ作用によって拡大された着色層4の紺色調が表出し、立体的な高い意匠性を呈している。
図4に本実施例に係る装飾部材の断面図を示す。この装飾部材7は短冊状のシート形状をなし、意匠表面70と、意匠表面70と反対側の裏面に形成されたフレネルレンズを構成するマイクロレンズ加工面71とをもつ透明樹脂基体72と、マイクロレンズ加工面71の表面に実施例1と同様に形成されたTiO2膜からなる透明な中間層73(中間部材)と、中間層73の表面に形成された透明樹脂からなるベース層75と、ベース層75の表面に接着された印刷体76とから構成されている。
透明樹脂基体72は厚さ約200μmのポリカーボネートシートからなり、シート形成時にフレネルレンズを構成するマイクロレンズ加工面71が一体に形成されている。マイクロレンズ加工面71の表面には、蒸着法により、TiO2からなる透明な中間層73が0.01μm〜0.2μmの厚さに形成されている。中間層73は薄膜であるのでマイクロレンズ加工面71の形状に沿い、その表面にはマイクロレンズ加工面71と同等のフレネルレンズを構成する凹凸表面74が形成されている。
凹凸表面74には、さらに透明塗料からなり厚さ200μmのベース層75が形成されている。印刷体76は、印刷フィルムからなり、印刷面がベース層75に対向するように接着されている。
本実施例の装飾部材によれば、凹凸表面74と印刷体76の印刷面とがベース層75の厚み分だけ離れているので、意匠表面70側から見た時に印刷面がより拡大されて視認され、特異な意匠を発現する。
なお本実施例では、印刷体76をベース層75に接着しているが、図5に示すように印刷体76をベース層75から分離し、ベース層75と印刷体76との間に空気層77を介在させてもよい。この場合は、意匠表面70側から見た時に、凹凸表面74と印刷体76の印刷面とがベース層75の厚みと空気層77の厚みの合計距離分だけ離れているので、意匠表面70側から見た時に印刷面がより拡大されて視認され、特異な意匠を発現する。なお、この場合には、空気層77と印刷体76とが本発明にいう背景層を構成している。
本実施例は、本発明の参考例である。図6に本実施例に係る装飾部材の断面図を示す。本実施例は、中間層73としてTiO2膜に代えて空気層を用いたこと以外は実施例2と同様である。
先ずポリカーボネートから実施例2と同様のマイクロレンズ加工面71をもつ第1透明樹脂基体80を形成した。またポリカーボネートからマイクロレンズ加工面71と略対称形状のマイクロレンズ加工面81をもつ第2透明樹脂基体82を形成した。第1透明樹脂基体80のマイクロレンズ加工面71側表面の周縁部には凸条83が形成され、第2透明樹脂基体82のマイクロレンズ加工面81側表面の周縁部には凸条84が形成され、マイクロレンズ加工面71と凹凸部81とが僅かな間隔を隔てて対向し、かつ凸条83と凸条84とが対向するように第1透明樹脂基体80と第2透明樹脂基体82を重ね、凸条83と凸条84とを溶着することで、マイクロレンズ加工面71とマイクロレンズ加工面81の間には空気層85(中間部材)が形成された。
本実施例の装飾部材によれば、空気の光屈折率はポリカーボネートの光屈折率より小さいので、空気層85を介したマイクロレンズ加工面81(凹凸表面)がフレネルレンズとして機能する。したがって第2透明樹脂基体82の表面側に印刷体などの背景層を配置し、第1透明樹脂基体80の表面側から見ることで、背景層が拡大された特異な意匠が発現される。
図7に本実施例に係る装飾部材の要部断面図を示す。この装飾部材はフィルム状のものであり、透明樹脂であるPMMAからなる板状の本体90と、本体90内に分散された配合剤91(粒状物)とからなる。
配合剤91は、実施例2と同様のフレネルレンズを構成するマイクロレンズ加工面71をもつ透明樹脂基体72と、マイクロレンズ加工面71の表面に実施例1と同様に形成されたTiO2膜からなる透明な中間層73と、からなるフィルムを粉砕することで形成されたものであり、PMMA又はPCからなる透明樹脂基体93と、凹凸表面94を有する中間層95とからなり、平均粒子径が2μmの鱗片状の粒子である。
本実施例の装飾部材によれば、本体90をフィルム状に加工する際に鱗片の配合剤91は図7のように本体90の表面に平行に配向する。そして中間層95は、その屈折率が本体90の屈折率との差が大きいので、フレネルレンズとして機能する。したがって本体90の一表面側に印刷体などの背景層を配置し、本体90の他表面側から見ることで、背景層が局部的に拡大された特異な意匠が発現される。
本発明の装飾部材は、自動車や家電のロゴマーク、オーナメント、エンブレムなどに利用できる他、アクセサリー、飾り箱、玩具など種々の物品の装飾に用いることができる。
1:フロントグリルガーニッシュ 2:透明樹脂基体
3:中間層(中間部材) 4:着色層(背景層)
5:蒸着層 6:ベース
20:意匠表面 22、71、81:マイクロレンズ加工面
30、74、94:凹凸表面

Claims (4)

  1. 外部から視認される意匠表面をもつ透明樹脂基体と、該透明樹脂基体の該意匠表面と反対側の裏面側に配置された背景層と、を有する装飾部材であって、
    裏面の表面には該透明樹脂基体とは異なる光屈折率をもつ中間部材が配置され、該中間部材の表面にはレンズ作用を有する凹凸表面が形成され、該意匠表面から該凹凸表面を介して該背景層が視認され、
    前記中間部材は、みが0.01μm〜0.2μmの透明なTiO膜であることを特徴とする装飾部材。
  2. 前記凹凸表面はフレネルレンズとして機能する請求項1に記載の装飾部材。
  3. 前記透明樹脂基体の前記裏面にマイクロレンズ加工面が形成され、前記中間部材が該マイクロレンズ加工面に薄肉で積層されることで前記中間部材の表面に前記レンズ作用を有する凹凸表面が形成されている請求項1又は請求項2に記載の装飾部材。
  4. 外部から視認される意匠表面をもつ透明樹脂からなる本体と、前記本体の表面と平行に配向した状態で前記本体に埋設された粒子状物と、前記本体の該意匠表面と反対側の裏面側に配置された背景層と、を有する装飾部材であって、
    前記粒子状物は、マイクロレンズ加工面をもつ透明樹脂基体と、前記透明樹脂基体の前記マイクロレンズ加工面に前記本体とは異なる光屈折率をもちレンズ作用を有する凹凸表面をもつ中間層とを有し、
    前記中間層は、厚みが0.01μm〜0.2μmの透明なTiO 膜であることを特徴とする装飾部材。
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