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JP5917456B2 - 標識情報出力装置 - Google Patents

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JP5917456B2
JP5917456B2 JP2013158436A JP2013158436A JP5917456B2 JP 5917456 B2 JP5917456 B2 JP 5917456B2 JP 2013158436 A JP2013158436 A JP 2013158436A JP 2013158436 A JP2013158436 A JP 2013158436A JP 5917456 B2 JP5917456 B2 JP 5917456B2
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Description

この発明は、撮像部からの撮像信号に基づき道路の周辺にある標識を検知し、該標識の種類に関する標識情報を出力する標識情報出力装置に関する。
従来から、撮像部からの撮像信号に基づき道路の周辺にある標識を検知し、該標識の種類に関する標識情報を出力する装置が知られている。特に、この種の装置では車両の走行中に逐次撮像するため、当該車両の周辺におけるシーンは時々刻々と変化し得る。そこで、この装置は、現時点における標識情報の出力内容が、シーンの変化に対して完全に追従するように制御を実行することが好ましい。或いは、これに代わって、現時点でのシーンに存在する標識情報と異なる以前の内容を、誤った標識情報として出力しないように制御してもよい。
例えば、特許文献1には、走行距離、経過時間及び車速のうち少なくとも1つを含む走行状態に基づいて、標識情報を徐々に非表示(aging status)にさせる方法が提案されている。
米国特許出願公開第2012/0046855号明細書
ところで、法律・地理上の都合・生活環境を含む様々な事情により、道路に沿って配置される標識の設置間隔がエリア(特に国)毎に異なっている。このため、特許文献1で提案される方法を用いた場合、標識の設置間隔が大きい道路を走行する際に、次の標識に到達する前に標識情報が非表示になってしまい、これを視認する車両の乗員に対して違和感を与える場合があった。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、車両が走行するエリアの違いにかかわらず標識情報の出力を適時に停止可能な標識情報出力装置を提供することを目的とする。
本発明に係る標識情報出力装置は、車両に搭載され、該車両の走行中に撮像することで撮像信号を取得する撮像部と、前記撮像部により取得された前記撮像信号が表す画像領域から道路の周辺にある標識を検知する標識検知部と、前記標識検知部により検知された前記標識の種類に関する標識情報を出力する情報出力部と、前記標識の検知をトリガとして前記車両の走行距離を計測する走行距離計測部と、前記走行距離計測部により計測された前記走行距離が閾値を超えた場合に、前記情報出力部に対して前記標識情報の出力停止を指示する出力指示部と、同じ種類である前記標識の設置間隔に関する間隔情報、前記道路の制限速度に関する制限速度情報、及び前記車両の速度のうち少なくとも1つに応じて前記閾値を変更する閾値変更部を備える。
このように、標識の検知をトリガとして計測された走行距離が閾値を超えた場合に、情報出力部に対して標識情報の出力停止を指示する出力指示部と、同じ種類である前記標識の設置間隔に関する間隔情報、道路の制限速度に関する制限速度情報、及び前記車両の速度のうち少なくとも1つに応じて前記閾値を変更する閾値変更部とを設けたので、標識の設置間隔、道路の制限速度、及び車両の速度のうち少なくとも1つを考慮した上で、標識情報を連続的に出力可能な最大の走行距離(すなわち閾値)を設定できる。これにより、車両が走行するエリアの違いにかかわらず標識情報の出力を適時に停止できる。
また、前記走行距離計測部は、直近に検知された前記標識から、同じ種類であると次に検知された前記標識までの前記走行距離を計測し、前記閾値変更部は、前記間隔情報としての前記走行距離に応じて前記閾値を変更することが好ましい。車両を走行させながら実際に計測された設置間隔を考慮に入れることで、標識情報の出力を停止する際の適時性が一層高まる。
また、計測された前記走行距離を逐次記憶する記憶部を更に備え、前記閾値変更部は、前記記憶部により直近に記憶された複数の前記走行距離を入力とし、前記閾値を出力とする学習処理に基づき変更することが好ましい。これにより、直近の計測結果を踏まえた適切な閾値が得られる。
また、前記閾値変更部は、前記制限速度情報としての前記道路の種類に応じて前記閾値を変更することが好ましい。標識の設置間隔が道路の種類に応じて異なる傾向を考慮に入れることで、標識情報の出力を停止する際の適時性が一層高まる。
また、前記標識検知部は、前記標識が示す前記制限速度の数値に基づいて前記道路の種類が一般道路であるか高速道路であるかを更に検知し、前記閾値変更部は、前記一般道路に対応する第1閾値及び前記高速道路に対応する第2閾値のうちいずれか一方を選択することで前記閾値を変更することが好ましい。これにより、標識が示す数値(すなわち、制限速度)を手掛かりにして、一般道路又は高速道路に適した閾値を選択できる。
また、前記閾値変更部は、前記道路種類判別部により前記道路の種類の判別ができなかった場合に、前記第1閾値及び前記第2閾値と異なる第3閾値を選択することで前記閾値を変更することが好ましい。例えば、速度の単位系が異なる場合に、標識が示す数字が、一般道路・高速道路のうちどちらの制限速度に該当するのか判別できないことがある。この場合、第1閾値及び第2閾値と異なる第3閾値を割り当てることで、種々の数値範囲・種々の単位系において対応できる。また、保持すべき閾値の数が3つで足りるため、記憶させるデータ量の削減にもなる。
また、前記閾値変更部は、前記制限速度情報としての前記道路の管轄区域に応じて前記閾値を変更することが好ましい。道路の管轄区域を更に考慮に入れることで、標識情報の出力を停止する際の適時性が一層高まる。
また、前記記憶部は、隣接する2つの前記標識が示す前記制限速度の数値が異なる場合に、前記走行距離を記憶しないことが好ましい。同一の道路において異なる数値を標示する標識が混在する場合がある。通常、同一の数値を標示する標識同士の配置関係に周期性があることを考慮して、数値が異なる場合の計測結果を予め除外することで学習処理の演算精度を維持できる。
また、前記記憶部は、前記走行距離の計測中にて前記車両の進行方向が変化した場合に、前記走行距離を記憶しないことが好ましい。車両の進行方向が変化するとき車線変更を伴う可能性が高いので、この計測結果を予め除外することで学習処理の演算精度を維持できる。
本発明に係る標識情報出力装置によれば、標識の検知をトリガとして計測された走行距離が閾値を超えた場合に、情報出力部に対して標識情報の出力停止を指示する出力指示部と、同じ種類である前記標識の設置間隔に関する間隔情報、道路の制限速度に関する制限速度情報、及び前記車両の速度のうち少なくとも1つに応じて前記閾値を変更する閾値変更部とを設けたので、標識の設置間隔、道路の制限速度、及び車両の速度のうち少なくとも1つを考慮した上で、標識情報を連続的に出力可能な最大の走行距離(すなわち閾値)を設定できる。これにより、車両が走行するエリアの違いにかかわらず標識情報の出力を適時に停止できる。
この実施形態に係る標識情報出力装置の構成を示す電気ブロック図である。 図2Aは、図1に示す標識情報出力装置が組み込まれた車両の、運転者側から視た内観図である。図2Bは、図2Aに示す表示部の概略正面図である。 図1に示す標識情報出力装置の出力動作に関する概略説明図である。 図1に示す標識情報出力装置の動作説明に供されるフローチャートである。 図1に示す間隔テーブルのデータ構造に関する概略説明図である。 閾値の変更方法に関する第1の説明図である。 閾値の変更方法に関する第2の説明図である。 閾値の変更方法に関する第3の説明図である。
以下、本発明に係る標識情報出力装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
[標識情報出力装置10の全体構成]
図1は、この実施形態に係る標識情報出力装置10の構成を示す電気ブロック図である。
図1に示すように、標識情報出力装置10は、車両50(図2A等)の周辺を撮像するカメラ12(撮像部)と、車両50の速度を検出する速度センサ14と、車両50のヨーレートを検出するヨーレートセンサ16と、車両50のステアリングの操舵角を検出する舵角センサ18と、車両50の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)センサ20と、この標識情報出力装置10を制御するECU22(Electronic Control Unit;電子制御ユニット)と、音声を出力するスピーカ24と、可視情報を出力する表示部26を備える。
ECU22は、マイクロコンピュータ等からなる計算機である。この実施形態において、ECU22は、入出力部28、演算部30、及び記憶部32として機能する。
カメラ12、速度センサ14、ヨーレートセンサ16、舵角センサ18及びGPSセンサ20からの各種信号は、入出力部28を介してECU22側に入力される。また、ECU22からの各種信号は、入出力部28を介してスピーカ24及び表示部26側に出力される。入出力部28は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する図示しないA/D変換回路を備える。
演算部30は、入出力部28を介して入力された各種信号に基づく演算を実行し、演算結果に基づきスピーカ24及び表示部26の制御信号を生成する。演算部30は、標識検知部34、走行距離計測部36、閾値変更部38、及び出力指示部40として機能する。
演算部30における各部の機能は、記憶部32に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。或いは、当該プログラムは、図示しない無線通信装置(携帯電話機、スマートフォン等)を介して外部から供給されてもよい。
記憶部32は、デジタル信号に変換された撮像信号、各種演算処理に供される一時データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)、及び、実行プログラム、テーブル又はマップ等を記憶するROM(Read Only Memory)等で構成される。本図例では、後述する間隔テーブル42及び制限速度データ44が記憶されている。
ここで、スピーカ24及び表示部26は、検知された標識の種類に関する標識情報を出力する情報出力部46に相当する。情報出力部46は、例えば、画像(静止画/動画)、文字、又は音声を含む、人間の五感に訴えて報知可能な情報標識を出力可能である。
図2Aは、図1に示す標識情報出力装置10が組み込まれた車両50の、運転者側から視た内観図である。図2Bは、図2Aに示す表示部26の概略正面図である。なお、この車両50は、自動車が左側走行することを取り極められている国の道路を走行している状況を示しており、車両50は右ハンドル車として図示されている。
図2Aに示すように、カメラ12は、車両50の車室内のバックミラー52の近傍に配置されており、フロントウインドシールド54を通して、車両50の周辺領域(本図例では、道路56及び標識58を含む)を撮像する。例えば、カメラ12はデジタルビデオカメラであり、所定のフレームクロック間隔(例えば1秒あたり30フレーム)毎に画像を撮像可能である。
ダッシュボード60には、その下部から運転席62の方へ突出するハンドル64が配設されている。ハンドル64の中心位置に揃えた位置(例えば、計器盤66内)には、表示部26としてのMID(Multi-Information Display)が配設されている。これにより、運転者は、車両50の前方へ顔を向けた状態のまま、表示部26を正視することができる。なお、汎用ディスプレイ68は、ダッシュボード60の所定部位(具体的には、表示部26の配設位置に対して左方の部位)に配設されている。MIDに代替して、汎用ディスプレイ68を表示部26として使用してもよい。
図2Bに示すように、表示部26には、横方向に長尺な矩形状の表示領域70が設けられている。表示領域70の右半分には、標識58のマークを模擬した標識情報72が表示されている。なお、表示部26には、少なくとも1種類の標識情報72の他、燃費、現在時刻、計器盤66に関する情報等を表示可能である。
[標識情報出力装置10の動作説明]
この実施形態に係る標識情報出力装置10は、基本的には上記のように構成される。以下、この標識情報出力装置10の出力処理について、図3を参照しながら概略的に説明する。なお、この明細書において、標識情報72を出力する処理及び当該出力を停止する処理を総称して「出力処理」という。
図3に示すように、制限速度が50[kph]である道路56上を、車両50が走行する場合を想定する。車両50は、図面の左側から右側に直進しながら、道路56の周辺にある標識58を通過する。車両50の遥か前方に標識58が存在する場合、標識情報出力装置10により標識58が検知されないので、表示領域70内には何の情報も出力されない。
その後、車両50が標識58の周辺に到達すると、標識情報出力装置10(特にECU22)は、該標識58の存在及び種類を検知し、表示部26に対して標識58の種類に応じた標識情報72の出力を指示する。車両50の乗員は、表示部26の出力内容を視認することで、現在走行中の道路56の制限速度が50[kph]であることを一見して把握できる。
その後、別の標識の存在を検知することなく車両50が特定の距離(例えば、閾値Lth)を走行すると、ECU22は、表示部26に対して標識情報72の出力停止を指示する。その結果、表示領域70内に表示されていた標識情報72が消去される。
[標識情報72の出力処理に関する詳細説明]
続いて、標識情報出力装置10における標識情報72の出力処理について、図4のフローチャートを主に参照しながら詳細に説明する。
ステップS1において、ECU22は、車両50の制限速度に関する情報(以下、制限速度情報)として制限速度データ44を取得する。この取得に先立ち、GPSセンサ20は、受信したGPS信号に基づいて車両50の現在位置を取得する。そして、ECU22は、図示しない地図データを記憶部32から読み出し参照することで、現在位置に対応する制限速度データ44を取得する。
制限速度データ44には、例えば、道路56の制限速度(値及び単位系)のみならず、制限速度のメタデータに相当する道路56の管轄区域(国、州、地区)、道路56の種類(一般道路又は高速道路)が含まれる。
また、地図データには、推奨経路を演算するために用いられる経路計算データや、交差点名称、道路名称等、推奨経路に従って車両50を目的地まで案内するために用いられる経路誘導データ、道路形状を表す道路データ、更には海岸線や河川、鉄道、建物等、道路以外の地図形状を表す背景データが含まれる。
ステップS2において、ECU22は、フレーム毎に、車両50の前方(所定画角範囲)における撮像信号を取得し、記憶部32に一時的に記憶させる。例えば、カメラ12としてRGBカメラを用いる場合、得られた撮像信号は、3つのカラーチャンネルからなる多階調画像を表す。
ステップS3において、標識検知部34は、撮像信号が表す画像領域から道路56の周辺にある標識58を検出する。この検知処理として、標識58の種類に適した公知の画像認識処理(具体的には、テンプレートマッチング法等)を種々適用可能である。検出可能な標識58の種類として、案内標識(「方面・方向」等)、警戒標識(「車線数減少」等)、規制標識(「最高速度」等)、指示標識(「横断歩道」等)、又は補助標識(「車両種類」等)のいずれであってもよい。また、標識検知部34は、特定の形状を有する標識58に対して、該標識58が示す数値を抽出することで、道路56の種類が一般道路であるか高速道路であるかを更に検知してもよい。
ステップS4において、ECU22は、ステップS3にて標識58が少なくとも1つ検知されたか否かを判定する。「検知なし」と判定された場合(ステップS4:NO)、ステップS2に戻って、以下ステップS2及びS3を順次繰り返す。一方、「検知あり」と判定された場合(ステップS4:YES)、次のステップ(S5)に進む。
ステップS5において、走行距離計測部36は、走行距離Lの計測を継続しているかを判別するためのフラグ(以下、継続フラグ)の値を確認する。初期状態では「OFF」に設定されているため(ステップS5:OFF)、次のステップ(S6)に進む。
ステップS6において、走行距離計測部36は、標識58の検知をトリガとして、車両50の走行距離Lの計測を開始する。走行距離計測部36は、速度センサ14から得た車両50の速度を時間で積分して計測してもよいし、GPSセンサ20を介して車両50の位置を追跡することで計測してもよい。なお、計測を開始するタイミングは、標識58を初めて検知した時点に限られず、車両50が当該標識58に到達した時点等、任意に設定してもよい。
ステップS7において、閾値変更部38は、標識情報72の出力停止指示に供される閾値Lthを設定する。なお、閾値Lthの具体的な設定方法については後述する。
ステップS8において、出力指示部40は、表示部26に対して標識情報72を出力する旨を指示する。この指示により、表示部26の表示領域70内には、標識58の種類に関する標識情報72(図2B等参照)が新たに表示される。
ステップS9において、ECU22は、ステップS2及びS3と同様に、撮像動作及び検知動作を順次実行する。
ステップS10において、標識検知部34は、標識58とは別であり、且つ、同じ種類である次の標識(以下、単に「次の標識58」という)が検知されたか否かを判定する。「検知なし」と判定された場合(ステップS10:NO)、出力指示部40は、ステップS6を起点として計測中である走行距離Lと、ステップS7で設定された閾値Lthとの大小関係を比較する(ステップS11)。
L>Lthの関係を満たさない場合(ステップS11:NO)、換言すれば、L≦Lthの関係を満たす場合、ステップS8に戻って、以下、ステップS8及びS9を順次繰り返す。一方、L>Lthの関係を満たす場合(ステップS11:YES)、次のステップ(S12)に進む。
ステップS12において、出力指示部40は、表示部26に対して標識情報72の出力を停止する旨を指示する。この指示により、表示領域70内に表示されていた標識情報72が消去される。
ステップS13において、演算部30は、継続フラグを「OFF」から「ON」に変更する。ここで、標識情報72の出力が停止された後にかかわらず、走行距離Lの計測をなおも継続する点に留意する。
その後、ステップS2に戻って、ECU22は、次の標識58を検知するまでステップS2及びS3を順次繰り返す。その後、次の標識58が検知された場合(ステップS4:YES)、走行距離計測部36は、継続フラグが「ON」であることを確認し(ステップS5:ON)、次のステップ(S14)に進む。
ステップS14において、演算部30は、継続フラグを「ON」から「OFF」に変更する。その後、ステップS15において、走行距離計測部36は、走行距離Lの計測を終了すると共に、当該計測にて得られた走行距離Lを記憶部32に一時的に格納する。
ステップS16において、演算部30は、所定の更新条件下に、ステップS15で得られた走行距離Lを、間隔テーブル42のうちの1つの記憶値として更新させる。
その後、ステップS6に戻って、走行距離計測部36は、ステップS6〜S11を順次実行する。このように、標識情報出力装置10は、車両50の走行下に、図4のステップS1〜S16を逐次実行することで標識情報72の出力処理を行う。
[閾値Lthの静的な変更方法]
続いて、閾値変更部38による閾値Lthの静的な変更方法の具体例について説明する。閾値Lthの設定・変更に先立ち、閾値変更部38は、複数種類ある間隔テーブル42のうちのいずれかを、記憶部32から選択的に読み出す。
図5は、図1に示す間隔テーブル42のデータ構造に関する概略説明図である。本図例では、データ形式が同一である3種類のテーブル、具体的には、「第1テーブル」、「第2テーブル」及び「第3テーブル」が準備されている。各テーブルは、標識58が示す制限速度の数値(以下、標示値ともいう)又は車両50が走行する道路56の種類に対応付けられている。
第1テーブルは、標示値が「0から40まで」の範囲内であり、又は、道路56の種類が「一般道路」である場合に使用される。1〜5番目のすべての記憶値には、初期状態として「150」(単位:m)が格納されている。
第2テーブルは、標示値が「70以上」の範囲内であり、又は、道路56の種類が「高速道路」である場合に使用される。1〜5番目のすべての記憶値には、初期状態として「1000」(単位:m)が格納されている。
ところで、速度の単位系として、フランス国内ではキロメートル毎時(kph)が主に使用される一方、イギリス国内ではマイル毎時(mph)が主に使用される。通常、標識58には制限速度の数値(例えば、「50」)のみが表記されており、この標示値に付随する単位系が省略される。このため、標示値の範囲によって、一般道路・高速道路のうちどちらの制限速度に該当するのか判別できないことがある。そこで、道路56の管轄区域によって速度の単位系が異なる点を考慮し、一般道路・高速道路のどちらにも共用可能な別のテーブルを更に準備する。
第3テーブルは、標示値が「41から69まで」の範囲内であり、又は、道路56の種類が「一般道路(kph)又は高速道路(mph)」である場合に使用される。1〜5番目のすべての記憶値には、初期状態として「250」(単位:m)が格納されている。
ここで、閾値変更部38は、制限速度データ44又は車両50の速度に応じて第1〜第3テーブルを選択的に読み出し、その値を閾値Lthとして設定する。以下、その具体例(第1〜第5例)について詳細に説明する。
<第1例>
閾値変更部38は、制限速度データ44としての、道路56の管轄区域に応じて閾値Lthを設定・変更してもよい。道路56の管轄区域を考慮に入れることで、標識情報72の出力を停止する際の適時性が一層高まる。
具体的には、管轄区域が「A国」である場合は第1テーブルの値(Lth=150[m])を、「B国」である場合は第3テーブルの値(Lth=250[m])を読み出す。その後、閾値変更部38は、読み出した値(例えば、250)に対して余裕係数(1以上である正数;例えば1.2)を乗算することで、250[m]×1.2=300[m]を得る。その後、閾値変更部38は、閾値Lthとして得られた数値「300」を設定し、出力指示部40側に供給する。
<第2例>
閾値変更部38は、制限速度データ44としての、標識58の標示値に応じて閾値Lthを設定・変更してもよい。閾値変更部38は、標識検知部34での検知処理にて得た標示値に対応するテーブルを、複数種類のテーブルの中から選択・取得する。ここで、図3例では、標示値が「50」であるため、第3テーブルが読み出される。
<第3例>
閾値変更部38は、制限速度データ44としての、道路56の種類に応じて閾値Lthを設定・変更してもよい。標識58の設置間隔が道路56の種類に応じて異なる傾向を考慮に入れることで、標識情報72の出力を停止する際の適時性が一層高まる。
具体的には、閾値変更部38は、一般道路に対応する第1閾値(150[m]×1.2=180[m])及び高速道路に対応する第2閾値(1000[m]×1.2=1200[m])のうちいずれか一方を選択・変更してもよい。これにより、標識58が示す数字(すなわち、制限速度の数値)を手掛かりにして、一般道路又は高速道路に適した閾値Lthを選択できる。
<第4例>
また、標識検知部34等により道路56の種類の判別ができなかった場合、閾値変更部38は、第1閾値及び第2閾値と異なる第3閾値(300[m])を選択・変更してもよい。これにより、種々の数値範囲・種々の単位系において対応可能になると共に、保持すべき閾値の数が3つで足りるため、記憶させるデータ量の削減にもなる。
<第5例>
閾値変更部38は、車両50の速度に応じて閾値Lthを設定・変更してもよい。なぜならば、車両50の速度は、車両50が走行する道路56の制限速度と相関性が高いからである。具体的には、閾値変更部38は、速度センサ14により逐次検出された車両50の速度の時系列に基づき道路56の制限速度を推定した上で、<第2例>と同様にしてテーブルを選択してもよい。或いは、間隔テーブル42自体が、車両50の速度に対応付けられてもよい。
このように、閾値変更部38は、制限速度データ44又は車両50の速度に応じて閾値Lthを設定・変更してもよい。この方法は、標識58の設置間隔が略一定である管轄区域において特に効果的である。
[閾値Lthの動的な変更方法]
続いて、閾値変更部38による閾値Lthの動的な変更方法について、図6〜図8を参照しながら詳細に説明する。
上記した通り、標識58の設置間隔が一定である管轄区域では、閾値Lth(設置間隔の典型値)を静的に変更することが好ましい。しかし、標識58の設置間隔が有意に異なっている道路56において、上記した設定方法が適さない場合がある。具体的には、国、地域、区域等の異なる管轄区域を跨ぐ道路56を走行中に、標識58の設置間隔又は標示形態が突然に切り替わる場合が想定される。
そこで、この実施形態では、上記した「静的な変更」と併せて又はこれとは別に、同じ種類である標識58の設置間隔に関する情報(以下、間隔情報)に基づいて閾値Lthを「動的に」変更する手法を採用する。間隔情報には、標識58の検知後に次の標識58を検知するまでの走行距離Lのみならず、カメラ12からの撮像信号に基づく計測値、GPSセンサ20からのGPS信号に基づく計測値が含まれる。
図6に示すように、制限速度が50[kph]である道路56上を、車両50が走行する場合を想定する。車両50は、位置P1から位置P5までの範囲を直進しながら、道路56の周辺にある標識58a、58b、58cを順次通過する。道路56の進行方向左側には、標示値がいずれも「50」(単位はkph)である標識58a、58b、58cが設置されている。標識58a、58b同士の間隔は500[m]であり、標識58b、58c同士の間隔は300[m]であったとする。
位置P1において、3種類の間隔テーブル42のうち、1〜5番目のすべての記憶値が「250」である第3テーブル(標示値が41〜69)が選択されている。位置P1から位置P2までの区間では、標識58a〜58cが1つも検知されないので、表示部26の出力状態は常時「OFF(非表示状態)」である。また、間隔テーブル42は初期状態のままであると共に、閾値Lthは未だ設定されていない。
位置P2において、1つ目の標識58aが初めて検知されたとする。この場合、表示部26の出力状態は「OFF」から「ON(表示状態)」に遷移されると共に、閾値Lthが、Lth=1.2×(250+250+250+250+250)/5=300[m]に設定される。ここで、閾値変更部38は、5個の記憶値における平均値(統計値の一形態)に対して余裕係数(1以上である正数;例えば1.2)を乗算することで閾値Lthを算出する点に留意する。
位置P3において、位置P2を起点とする走行距離LがLth=300[m]に到達するので、表示部26の出力状態は「ON」から「OFF」に遷移される。その後、位置P3を通過した後も走行距離Lの計測は継続される。
位置P4において、2つ目の標識58bが初めて検知されたとする。この場合、表示部26の出力状態は「OFF」から「ON(表示状態)」に遷移される。そして、計測結果としての走行距離L=500[m]が、間隔テーブル42(1番目の記憶値;矩形状の太枠)にFIFO(First-In First-Out)形式で格納される。また、閾値Lthが、Lth=1.2×(500+250+250+250+250)/5=360[m]に変更される。
位置P5において、3つ目の標識58cが初めて検知されたとする。この場合、表示部26の出力状態は「ON」のままで維持される。そして、計測結果としての走行距離L=300[m]が、間隔テーブル42(1番目の記憶値;矩形状の太枠)にFIFO形式で格納される。また、閾値Lthが、Lth=1.2×(300+500+250+250+250)/5=372[m]に変更される。
以上のように、走行距離計測部36は、直近に検知された標識58a(又は標識58b)から、同じ種類であると次に検知された標識58b(又は標識58c)までの走行距離Lを計測する。そして、閾値変更部38は、間隔情報としての走行距離Lに応じて閾値Lthを変更する。車両50を走行させながら実際に計測された設置間隔を考慮に入れることで、標識情報72の出力を停止する際の適時性が一層高まる。
また、記憶部32は、計測された走行距離Lを逐次記憶する。そして、閾値変更部38は、直近に記憶された複数の走行距離Lを入力とし、閾値Lthを出力とする学習処理に基づいて閾値Lthを変更する。これにより、直近の計測結果を踏まえた適切な閾値Lthが得られる。なお、学習処理のアルゴリズムは、平均化を含む統計的処理に限られず、教師あり学習、教師なし学習、強化学習のうちいずれかの手法を採用した機械学習を種々適用できる。学習アーキテクチャの例として、AdaBoostを含むブースティング法、SVM(Support Vector machine)、ニューラルネットワーク、EM(Expectation Maximization)アルゴリズム等が挙げられる。
ところで、図6では、走行距離Lが計測される都度に間隔テーブル42を更新する場合について例示しているが、これと異なる処理を採用することができる。
<第1例>
図7に示すように、制限速度が50[kph]である道路56上を、車両50が走行する場合を想定する。ただし、標示値が「50」である標識58bに代替して、標示値が「60」である標識58dが特異的に設置されている点で図6と異なっている。なお、表示部26の出力状態における「ON1」は「50」に関する標識情報72のオン状態を示すと共に、「ON2」は「60」に関する標識情報72のオン状態を示す。
このとき、位置P1から位置P3までの間において、図6の場合と同様の処理が実行される。そして、位置P4において、2つ目の標識58dが初めて検知されたとき、走行距離L=500[m]が標識58a、58d同士の設置間隔として計測される。
ここで、記憶部32は、隣接する2つの標識58a、58dが示す制限速度の数値が同一である場合に走行距離Lを記憶する一方、異なる場合に走行距離Lを記憶しないようにする。図7例では、今回にて検知された標識58dの「60」は、前回にて検知された標識58aの「50」と異なるため、走行距離L=500[m]を記憶することなく、閾値Lthの値をLth=300[m]のまま維持する。
位置P5において、3つ目の標識58cが初めて検知されたとき、走行距離L=300[m]が標識58d、58c同士の設置間隔として計測される。ところが、今回にて検知された標識58cの「50」は、前回にて検知された標識58dの「60」と異なるため、走行距離L=300[m]を記憶することなく、閾値Lthの値をLth=300[m]のまま維持する。
このように、同一の道路56において異なる数値を標示する標識58a〜58c、58dが混在する場合がある。通常、同一の数値を標示する標識58a〜58c同士の配置関係に周期性があることを考慮して、数値が異なる場合の計測結果を予め除外することで学習処理の演算精度を維持できる。
<第2例>
図8に示すように、制限速度が50[kph]である道路56上を、車両50が走行する場合を想定する。ただし、道路56はL字状のカーブ56cを有する点で図6と異なる。車両50は、カーブ56cの手前にある標識58e、カーブ56cの奥にある標識58fを順次通過する。
ここで、ECU22は、カメラ12、ヨーレートセンサ16等からの各種信号に基づく公知の判定処理を実行し、車両50の進行方向の変化を検知する。そして、記憶部32は、走行距離Lの計測中にて車両50の進行方向が変化した場合に、隣接する2つの標識58e、58fが示す制限速度の数値の一致性にかかわらず、走行距離Lを記憶しないようにする。車両50の進行方向が変化するとき車線変更を伴う可能性が高いので、この計測結果を予め除外することで学習処理の演算精度を維持できる。
[標識情報出力装置10による効果]
以上のように、この実施形態に係る標識情報出力装置10は、車両50に搭載され、車両50の走行中に撮像することで撮像信号を取得するカメラ12と、この撮像信号が表す画像領域から道路56の周辺にある標識58を検知する標識検知部34と、標識58の種類に関する標識情報72を出力する情報出力部46と、標識58の検知をトリガとして車両50の走行距離Lを計測する走行距離計測部36と、走行距離Lが閾値Lthを超えた場合に、情報出力部46に対して標識情報72の出力停止を指示する出力指示部40と、同じ種類である標識58の設置間隔に関する間隔情報、道路56の制限速度に関する制限速度情報、及び車両50の速度のうち少なくとも1つに応じて閾値Lthを変更する閾値変更部38を備える。
このように構成しているので、標識58の設置間隔、道路56の制限速度、及び車両50の速度のうち少なくとも1つを考慮した上で、標識情報72を連続的に出力可能な最大の走行距離(すなわち閾値Lth)を設定できる。これにより、車両50が走行するエリアの違いにかかわらず標識情報72の出力を適時に停止できる。
[補足]
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
この実施形態では、単眼カメラ(カメラ12)により得られた撮像信号に対して上記した出力処理を実行しているが、複眼カメラ(ステレオカメラ)でも同様の作用効果が得られることは言うまでもない。
また、この実施形態の図2A、図2Bでは、標識情報72を固定的且つ一時的に出力する形態を例示しているが、標識情報72を経時的に変形させる演出効果(例えば、フェードアウト効果)を付与してもよい。
10…標識情報出力装置 12…カメラ
22…ECU 24…スピーカ
26…表示部 30…演算部
32…記憶部 34…標識検知部
36…走行距離計測部 38…閾値変更部
40…出力指示部 42…間隔テーブル
44…制限速度データ 46…情報出力部
50…車両 56…道路
58(a〜f)…標識 72…標識情報

Claims (7)

  1. 車両に搭載され、該車両の走行中に撮像することで撮像信号を取得する撮像部と、
    前記撮像部により取得された前記撮像信号が表す画像領域から道路の周辺にある標識を検知する標識検知部と、
    前記標識検知部により検知された前記標識の種類に関する標識情報を出力する情報出力部と、
    前記標識の検知をトリガとして前記車両の走行距離を計測する走行距離計測部と、
    前記走行距離計測部により計測された前記走行距離が閾値を超えた場合に、前記情報出力部に対して前記標識情報の出力停止を指示する出力指示部と、
    同じ種類である前記標識の設置間隔に関する間隔情報に応じて前記閾値を変更する閾値変更部と
    を備え
    前記走行距離計測部は、直近に検知された前記標識から、同じ種類であると次に検知された前記標識までの前記走行距離を計測し、
    前記閾値変更部は、前記間隔情報としての前記走行距離に応じて前記閾値を変更する
    ことを特徴とする標識情報出力装置。
  2. 請求項記載の標識情報出力装置において、
    計測された前記走行距離を逐次記憶する記憶部を更に備え、
    前記閾値変更部は、前記記憶部により直近に記憶された複数の前記走行距離を入力とし、前記閾値を出力とする学習処理に基づき変更する
    ことを特徴とする標識情報出力装置。
  3. 車両に搭載され、該車両の走行中に撮像することで撮像信号を取得する撮像部と、
    前記撮像部により取得された前記撮像信号が表す画像領域から道路の周辺にある標識を検知する標識検知部と、
    前記標識検知部により検知された前記標識の種類に関する標識情報を出力する情報出力部と、
    前記標識の検知をトリガとして前記車両の走行距離を計測する走行距離計測部と、
    前記走行距離計測部により計測された前記走行距離が閾値を超えた場合に、前記情報出力部に対して前記標識情報の出力停止を指示する出力指示部と、
    前記道路の制限速度に関する制限速度情報に応じて前記閾値を変更する閾値変更部と
    を備え、
    前記標識検知部は、前記標識が示す前記制限速度の数値に基づいて前記道路の種類が一般道路であるか高速道路であるかを更に検知し、
    前記閾値変更部は、前記制限速度情報としての前記道路の種類のうちの前記一般道路に対応する第1閾値及び前記制限速度情報としての前記道路の種類のうちの前記高速道路に対応する第2閾値のうちいずれか一方を選択することで前記閾値を変更する
    ことを特徴とする標識情報出力装置。
  4. 請求項記載の標識情報出力装置において、
    前記閾値変更部は、前記標識検知部により前記道路の種類の判別ができなかった場合に、前記第1閾値及び前記第2閾値と異なる第3閾値を選択することで前記閾値を変更することを特徴とする標識情報出力装置。
  5. 請求項記載の標識情報出力装置において、
    前記記憶部は、隣接する2つの前記標識が示す制限速度の数値が異なる場合に、前記走行距離を記憶しないことを特徴とする標識情報出力装置。
  6. 請求項記載の標識情報出力装置において、
    前記記憶部は、前記走行距離の計測中にて前記車両の進行方向が変化した場合に、前記走行距離を記憶しないことを特徴とする標識情報出力装置。
  7. 車両に搭載され、該車両の走行中に撮像することで撮像信号を取得する撮像部と、
    前記撮像部により取得された前記撮像信号が表す画像領域から道路の周辺にある標識を検知する標識検知部と、
    前記標識検知部により検知された前記標識の種類に関する標識情報を出力する情報出力部と、
    前記標識の検知をトリガとして前記車両の走行距離を計測する走行距離計測部と、
    前記走行距離計測部により計測された前記走行距離が閾値を超えた場合に、前記情報出力部に対して前記標識情報の出力停止を指示する出力指示部と、
    前記車両の速度に応じて前記閾値を変更する閾値変更部と
    を備え
    前記標識検知部は、前記車両の速度に基づいて前記道路の種類が一般道路であるか高速道路であるかを更に検知し、
    前記閾値変更部は、前記一般道路に対応する第1閾値及び前記高速道路に対応する第2閾値のうちいずれか一方を選択することで前記閾値を変更する
    ことを特徴とする標識情報出力装置。
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