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JP5917036B2 - Soi基板の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁層を介して半導体層が設けられた基板の作製方法に関する。また、絶縁層を介して半導体層が設けられた基板を用いた半導体装置の作製方法に関する。
近年、バルク状のシリコンウエハに代わり、絶縁表面に薄い単結晶半導体層が存在するSOI(Silicon on Insulator)基板を使った集積回路が開発されている。SOI基板を使うことで、トランジスタのドレインと基板間における寄生容量が低減されるため、SOI基板は半導体集積回路の性能を向上させるものとして注目されている。
SOI基板を製造する方法の1つに、水素イオン注入剥離法が知られている(例えば、特許文献1参照)。水素イオン注入剥離法によるSOI基板の作製方法の概要を以下に説明する。まず、シリコンウエハにイオン注入法を用いて水素イオンを注入することによって表面から所定の深さに微小気泡層を形成する。次に、酸化シリコン膜を介して、水素イオンを注入したシリコンウエハを別のシリコンウエハに接合させる。その後、熱処理を行うことにより、微小気泡層が劈開面となり、水素イオンが注入されたシリコンウエハの一部が微小気泡層を境に薄膜状に分離し、接合させた別のシリコンウエハ上に単結晶シリコン膜を形成することができる。
また、このような水素イオン注入剥離法を用いて単結晶シリコン膜をガラスからなるベース基板上に形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。ガラス基板はシリコンウエハよりも大面積化が可能であり且つ安価な基板であるため、ガラス基板をベース基板として用いることにより、大面積で安価なSOI基板を作製することが可能となる。
また、特許文献2では、ベース基板に含有される不純物等が単結晶シリコン膜に拡散することを防止するために、ベース基板と単結晶シリコン膜との間に窒化シリコン膜を設けることが提案されている。
単結晶半導体基板に加速した水素イオンを照射して、特定の深さに水素イオンを注入、またはドーピングして脆化領域を形成する。次いで加熱処理して当該脆化領域が含む水素を気体化し、さらに当該水素を膨張せしめて、劈開面を当該脆化領域に形成する。
特開2000−124092号公報 特開2002−170942号公報
ところでベース基板に半導体層を転載する工程において、脆化領域が形成された半導体結晶基板に加熱処理を施すことによって、当該脆化領域が含む水素を気体化し、さらに膨張せしめて当該領域に劈開面を形成する。このようなメカニズムを利用する以上、転載工程における加熱処理は必要不可欠な処理である。
しかし、ガラス基板をベース基板に用いる場合、転載工程の最高温度をガラス基板の歪み点未満とする必要がある。
そこで、加熱処理温度を低温化する方法が検討されている。一例として、加速した水素イオンの照射量を増やし、脆化領域への水素イオンの注入量、またはドーピング量を増やす方法が知られている。しかし、水素イオンの注入量、またはドーピング量を増やすと、次に挙げる3つの問題が発生する。
第1に半導体層に生じる積層欠陥や転位などの損傷が増大し、転載後の修復が困難になるという問題がある。その結果、当該半導体層を用いて作製したトランジスタ等の半導体素子の特性が欠陥により低下してしまう。
第2に工程中に半導体層が部分的に浮き上がる、ブリスタリングと言われる現象が生じ易くなるという問題がある。ブリスタリングが発生すると、転載した半導体層に多量の欠陥が形成されてしまう。または、ブリスタリングが発生すると、半導体層を基板に貼り合わせる、さらには転載することが困難になってしまう。
第3に水素イオンの照射時間が長くなり、生産効率が低下するという問題がある。特に、水素イオンの注入装置、またはドーピング装置は大規模な、高額な設備であり、処理時間(タクト)が長くなると経済的な損失が大きい。
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがって、その目的は加速した水素イオンの照射量を増やすことなく、低い加熱処理温度で半導体基板からベース基板に半導体層を転載できるSOI基板の作製方法を提供することを課題の一とする。
又は、結晶欠陥が少ない半導体膜を備えるSOI基板を提供することを課題の一とする。
又は、高い歩留まりでブリスタリング等に起因するムラが低減されたSOI基板を作製する方法を提供することを課題の一とする。
又は、水素イオンの照射時間が短いSOI基板の作製方法を提供することを課題の一とする。
上記目的を達成するために、本発明は劈開に寄与することなく脆化領域から半導体基板のベース基板側の表面に拡散する水素に着眼した。そして、脆化領域からの水素の拡散を防ぎ、且つ脆化領域と半導体基板の表面に挟まれた領域に水素を供給できるキャップ膜を半導体基板に形成し、当該半導体基板からベース基板に半導体層を転載する発明に至った。特に、半導体基板に形成するキャップ膜の水素濃度は水素イオンの照射量以上とすればよい。
脆化領域の水素は加熱処理に伴い水素濃度が低い領域に拡散する。特に、脆化領域から半導体基板の表面までの距離は10nm以上500nm以下(好ましくは50nm以上200nm以下)と短いため、脆化領域の水素の一部は劈開に寄与することなく半導体基板の表面から散逸してしまう。そこで、脆化領域に近い半導体基板の表面にキャップ膜を設けて、基板表面からの水素の散逸を抑制し、加熱処理工程中の脆化領域の水素濃度を保てばよい。
特にキャップ膜の水素濃度を加速した水素イオンの照射量以上とすることで、上述のキャップ膜は水素の供給源となる。水素の供給源となるキャップ膜を設けることにより、加熱処理中にキャップ膜から半導体基板の表面を介して脆化領域に向けて水素が拡散し、キャップ膜から脆化領域にかけての水素濃度を高めることができる。その結果、脆化領域から半導体基板の表面側に水素が拡散する現象が抑制され、そして脆化領域の水素濃度を保つことが可能となる。
なお、加速した水素イオンの照射量を5×1020以上3×1021atoms/cm以下、好ましくは、8×1020以上2×1021atoms/cm以下、さらに好ましくは、1×1021以上2×1021atoms/cm未満とすれば脆化領域を形成することができ、また加熱処理により脆化領域の水素を気体化し、膨張して劈開面を形成できる。
上記の作用によって脆化領域の水素濃度を保ちつつ、加熱処理して水素を気体化及び膨張することにより、当該領域に効果的に劈開面を形成すればよい。
すなわち、本発明の一態様は、半導体基板の一方の面に加速した水素イオンを照射して脆化領域を形成するステップと、半導体基板の一方の面に水素イオンの照射量以上の濃度の水素を含むキャップ膜を形成するステップを有し、脆化領域が形成された半導体基板とベース基板をキャップ膜を介して接合し、加熱処理を施して半導体基板の脆化領域を境に半導体層を分離して、ベース基板表面に半導体層を形成するSOI基板の作製方法である。
上記本発明の一態様によれば、半導体基板表面に設けたキャップ膜が、加熱処理に伴い水素が半導体基板から散逸する現象を抑制して脆化領域の水素濃度を保つことができるため、加速した水素イオンの照射量を低減できる。特に、前記水素イオンの照射量以上の水素濃度を含むキャップ膜が水素の供給源として効果的に働き、脆化領域からの水素の拡散を抑制できる。
その結果、当該脆化領域に効果的に劈開面を形成できる。依って、少ない水素イオンの照射量であっても低い加熱処理温度で半導体基板からベース基板に半導体層を転載できる。
また、本発明の一態様は、半導体基板の一方の面に加速した水素イオンを照射して脆化領域を形成するステップと、半導体基板の一方の面に水素イオンの照射量以上の濃度の水素を含むキャップ膜を形成するステップを有し、キャップ膜と脆化領域が形成された半導体基板を予備加熱処理した後、脆化領域が形成された前記半導体基板とベース基板をキャップ膜を介して接合し、加熱処理を施して半導体基板の脆化領域を境に半導体層を分離して、ベース基板表面に半導体層を形成するSOI基板の作製方法である。
上記本発明の一態様によれば、半導体基板表面に設けたキャップ膜が、加熱処理に伴い水素が半導体基板から散逸、並びに脆化領域から拡散する現象を抑制して脆化領域の水素濃度を保つことができるため、加速した水素イオンの照射量を低減できる。特に、前記水素イオンの照射量以上の水素濃度を含むキャップ膜が水素の供給源として効果的に働き、脆化領域からの水素の拡散を抑制できる。
また、キャップ膜が形成された前記半導体基板に予備加熱処理を施すと、不均一なガラス基板に起因する加熱ムラ、又は/及びサーマルバジェット(熱履歴)を抑制できる。
その結果、当該脆化領域に効果的に劈開面を形成できる。依って、少ない水素イオンの照射量であっても低い加熱処理温度で半導体基板からベース基板に半導体層を転載できる。
また、本発明の一態様は、前記加速した水素イオンを照射量が5×1020以上3×1021atoms/cm以下である上記SOI基板の作成方法である。
上記本発明の一態様によれば、少ない水素イオンの照射量であっても低い加熱処理温度で半導体基板からベース基板に半導体層を転載できる。さらに、水素イオンの照射量が低減され、処理時間(タクト)を短縮できる。
また、本発明の一態様は、前記半導体基板上に前記キャップ膜を形成するステップに次いで、加速した水素イオンを照射して、前記半導体基板に脆化領域を形成する上記SOI基板の作製方法である。
上記本発明の一態様によれば、注入水素がノックオンすることで、キャップ膜中の水素が深さ方向に移動し、脆化領域の水素濃度がより高濃度になるため、効果的に脆化領域を形成できる。
また、本発明の一態様は、加速した水素イオンを照射して、前記半導体基板に脆化領域を形成するステップに次いで、半導体基板上にキャップ膜を形成する上記SOI基板の作製方法である。
基板を覆うキャップ膜は、その厚みが厚いほど基板から散逸する水素を抑制する能力が高くなるが、キャップ膜越しに水素イオンを照射して脆化領域を形成する場合には、水素イオンの加速エネルギーを高める必要が生じる。しかし、上記本発明の一態様によればキャップ膜を形成する前に半導体基板に水素イオンを照射するため、後の工程で形成するキャップ膜の厚みにかかわらず水素イオンの加速エネルギーを高めることなく、当該半導体基板に脆化領域を形成できる。
また、本発明の一態様は、窒化珪素を含むキャップ膜を形成する上記SOI基板の作製方法である。
上記本発明の一態様によれば、キャップ膜がガスバリア性、及び水素濃度が高い窒化珪素を含むため、半導体基板表面からの水素の散逸を効果的に抑制できる。
また、本発明の一態様は、前記脆化領域が形成された前記半導体基板のキャップ膜とベース基板を、接合層を用いて接合する上記SOI基板の作製方法である。
上記本発明の一態様によれば、接合層が基板とキャップ膜の接合を仲介するため、キャップ膜に多様な材質を適用することが可能になる。
なお、本明細書において、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。ただし、酸化窒化シリコン又は窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
本明細書において単結晶とは、結晶面、結晶軸が揃っている結晶であり、それを構成している原子又は分子が空間的に規則正しい配列になっているものをいう。もっとも、単結晶は原子が規則正しく配列することによって構成されるものであるが、一部にこの配列の乱れがある格子欠陥を含むもの、意図的又は非意図的に格子歪みを有するものも含まれる。
また、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、半導体素子を備える電気光学装置、半導体回路及び電子機器は全て半導体装置に含まれる。
本発明によれば、加速した水素イオンの照射量を増やすことなく、低い加熱処理温度で半導体基板からベース基板に半導体層を転載できるSOI基板の作製方法を提供できる。
又は、結晶欠陥が少ない半導体膜を備えるSOI基板を提供できる。
又は、高い歩留まりでムラのないSOI基板を作製する方法を提供できる。
又は、水素イオンの照射時間が短いSOI基板の作製方法を提供できる。
実施の形態に係わる半導体基板の作製工程を説明する図。 実施の形態に係わる半導体基板の作製工程における水素濃度を説明する図。 実施の形態に係わる半導体基板の作製工程を説明する図。 実施の形態に係わる半導体装置の作製工程を説明する図。 実施の形態に係わる半導体装置の作製工程を説明する図。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、絶縁層を介して半導体層が設けられたSOI基板の作製方法について図1及び図2を参照して説明する。具体的には、半導体基板からの水素の散逸を防ぎ、且つ脆化領域と半導体基板の表面に挟まれた領域に水素を供給するキャップ膜を形成し、次いで加速した水素イオンを照射して脆化領域を形成し、ベース基板に接合した後に加熱をし、当該半導体基板からベース基板に半導体層を転載する、絶縁層を介して半導体層が設けられた基板の作製方法について説明する。
まず、半導体基板100を準備する(図1(A−1)参照)。
半導体基板100は、単結晶半導体基板や多結晶半導体基板を用いることができる。半導体基板100としては、例えば単結晶又は多結晶のシリコン基板や、ゲルマニウム基板、ガリウムヒ素やインジウムリン等の化合物半導体基板を用いることができる。
本実施の形態では、半導体基板100として、単結晶シリコン基板を用いる場合について示す。
なお、市販のシリコン基板としては、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)、直径16インチ(400mm)サイズの円形のものが代表的である。なお、形状は円形に限られず矩形状等に加工したシリコン基板を半導体基板100として用いることも可能である。
また、半導体基板100の表面をあらかじめ硫酸過水(SPM)、アンモニア過水(APM)、塩酸過水(HPM)、希フッ酸(DHF)などを用いて適宜洗浄することが汚染除去の点から好ましい。また、希フッ酸とオゾン水を交互に吐出して半導体基板100を洗浄してもよい。
次に、酸化膜102を半導体基板100の表面に形成する(図1(A−2)参照)。なお、酸化膜102は必ずしも形成する必要はないが、酸化膜102を設けるとキャップ膜と半導体層となるシリコン膜の応力差を緩和し、デバイスの特性のバラツキを抑制することができるため、好ましい。
酸化膜102は、熱酸化法、CVD法又はスパッタリング法等を用いて形成することができる。また、CVD法を用いて酸化膜102を形成する場合には、テトラエトキシシラン(略称;TEOS:化学式Si(OC)等の有機シランを用いて作製される酸化シリコン膜を酸化膜102に用いることが生産性の点から好ましい。
本実施の形態では、半導体基板100に熱酸化処理を行うことにより酸化膜102(ここでは、SiOx膜)を形成する。なお、熱酸化処理は、酸化性雰囲気中にハロゲンを添加して行うことが好ましい。例えば、塩素(Cl)ガスが導入された酸化性雰囲気中で半導体基板100に熱酸化処理を行うことにより、塩素酸化された酸化膜102を形成する。この場合、酸化膜102は、塩素原子を含有した膜となる。
酸化膜102中に含有された塩素原子は、歪みを形成する。その結果、酸化膜102の水分に対する吸収割合が向上し、拡散速度が増大する。つまり、酸化膜102の表面に水分が存在する場合に、当該表面に存在する水分を酸化膜102中に素早く吸収し、拡散させることができる。
熱酸化処理の一例として、酸素に対し塩化水素(HCl)を0.5〜10体積%(好ましくは2体積%)の割合で含む酸化性雰囲気中で、900℃〜1150℃の温度(代表的には1000℃)で行うことができる(HCl酸化)。処理時間は0.1〜6時間、好ましくは0.5〜1時間とすればよい。形成する酸化膜の膜厚としては、10nm〜1000nm(好ましくは50nm〜300nm)、例えば100nmの厚さとする。
熱酸化処理の他の一例としては、酸素に対し、トランス−1,2−ジクロロエチレン(DCE)を0.25〜5体積%(好ましくは3体積%)の割合で含む酸化性雰囲気中で、700℃〜1150℃の温度(代表的には950℃)で行うことができる。処理時間は0.1〜6時間、好ましくは0.5〜1時間とすればよい。形成される酸化膜の膜厚としては、10nm〜1000nm(好ましくは50nm〜300nm)、例えば100nmの厚さとする。
トランス−1,2−ジクロロエチレンは熱分解する温度が低いため、熱酸化処理の温度を低温で行うことができる。特に、半導体基板100を繰り返し再利用する場合には、熱酸化処理の温度を低くすることにより生産性の向上と熱衝撃の影響を低減することができる。なお、トランス−1,2−ジクロロエチレンにかえて、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレンや、これらの中から二種類以上のガスの混合ガスを用いてもよい。
本実施の形態では、酸化膜102に含まれる塩素原子の濃度を1×1017atoms/cm〜1×1021atoms/cmとなるように制御する。
酸化膜102に塩素原子を含有させることによって、外因性不純物である重金属(例えば、Fe、Cr、Ni、Mo等)を捕集して半導体基板100が汚染されることを防止する効果を奏する。
また、酸化膜102中に塩素等のハロゲンを含ませることにより、半導体基板100に悪影響を与える不純物(例えば、Na等の可動イオン)をゲッタリングすることができる。つまり、酸化膜102を形成した後に行われる熱処理により、半導体基板100に含まれる不純物が酸化膜102に析出し、ハロゲン(例えば塩素)と反応して捕獲されることとなる。それにより酸化膜102中に捕集した当該不純物を固定して半導体基板100の汚染を防ぐことができる。つまり、塩素等のハロゲンを含む酸化膜102はガラス基板と貼り合わせた場合に、ガラスに含まれるNa等の不純物を中和する膜として機能しうる。
特に、酸化膜102として、HCl酸化などによって膜中に塩素等のハロゲンを含ませることは、半導体基板100の洗浄が不十分である場合や、繰り返し再利用して用いられる半導体基板100の汚染除去に有効となる。
また、熱酸化処理のガスに水素を含有させることにより、半導体基板100と酸化膜102の界面の欠陥を補償して界面の局在準位密度を低減する作用を奏する。そのため、酸化膜102中に水素原子が1×1018atoms/cm以上含まれるようにすることが好ましい。
上記説明では、塩素原子を含有する酸化膜102の形成方法として、塩化水素やジクロロエチレンを含有させた酸化性雰囲気中で熱酸化処理を行う場合を示したが、これに限られない。例えば、半導体基板100に酸化性雰囲気で熱酸化処理を行い、半導体基板100表面に酸化膜102(例えば、SiOx膜)を形成した後、イオンドーピング装置又はイオン注入装置を用いて、電界で加速された塩素イオンを添加することにより酸化膜102中に塩素原子を含有させてもよい。他にも、表面を塩化水素(HCl)の水溶液(塩酸)で処理した後に酸化性雰囲気中で熱酸化処理を行ってもよい。
また、酸化膜102に含有させるハロゲン原子は塩素原子に限られない。酸化膜102にフッ素原子を含有させてもよい。半導体基板100表面をフッ素酸化するには、半導体基板100表面をHF溶液に浸漬した後に酸化性雰囲気中で熱酸化処理を行う方法や、NFを酸化性雰囲気に添加して半導体基板100を熱酸化処理する方法を用いればよい。
次に、キャップ膜105を、酸化膜102を介して半導体基板100上に形成する(図1(A−3)参照)。キャップ膜105としては、ガスバリア性に優れ、且つ加速した水素イオンの照射量以上の濃度の水素を含む膜を用いる。
キャップ膜105がガスバリア性を備えることで、脆化領域から拡散する水素がキャップ膜105を介して散逸する現象を抑制できる。更に、後述する加速した水素イオンの照射量以上の濃度の水素を含むキャップ膜105は、隣接する層に対し水素の供給源として働く。
キャップ膜105に用いることができる材料としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化シリコン等の単層膜、又はこれらを積層した膜を用いることができる。なお、これらの膜は、CVD法、スパッタリング法を用いて形成することができる。
本実施の形態では、キャップ膜105として単層の窒化シリコン膜、又は窒化酸化シリコン膜を用いる。窒化シリコン膜、又は窒化酸化シリコン膜はガスバリア性に優れるだけでなく、シランガス、アンモニアガス及び水素ガスを原料ガスとしてプラズマCVD法を用いて成膜することにより、膜中の水素濃度を高くできる。
なお、キャップ膜105に水素と共に希ガスを含ませてもよい。希ガスとしては、例えばアルゴン、ヘリウム、キセノン等の18族の元素を用いることができる。キャップ膜105に希ガスを含ませる方法としては、希ガスが添加されたガスを用いて、スパッタリング法を用いてキャップ膜105を成膜する方法を挙げることができる。
希ガスを含むキャップ膜105は、隣接する層に対し希ガスの供給源として働く。
次に、脆化領域104を半導体基板100に形成する(図1(A−4)参照)。運動エネルギーを有するイオンを半導体基板100に照射し、半導体基板100の所定の深さの結晶構造を損傷して、脆化領域104を形成する。
本実施の形態では、酸化膜102及びキャップ膜105を介して、加速されたイオン103を半導体基板100に照射する。加速するイオン103としては、水素ガスから生成されるイオン種(H、H 、H )を用いる。脆化領域を形成するための水素イオンの照射量は、5×1020以上3×1021atoms/cm以下、好ましくは、8×1020以上2×1021atoms/cm以下、さらに好ましくは、1×1021以上2×1021atoms/cm未満とすればよい。
なお、酸化膜102及びキャップ膜105を形成するステップの後に、脆化領域104を形成するステップを行う構成とすることで、酸化膜102及びキャップ膜105の成膜温度の自由度を高めることができる。具体的には成膜温度が400℃以上を要するものであっても、酸化膜102又はキャップ膜105に用いることができる。脆化領域104が形成された半導体基板100を高温に加熱すると、脆化領域104を境に単結晶半導体層124を分離してしまい、酸化膜102又はキャップ膜105の成膜が困難となるためである。
加速されたイオン103の生成方法としては、例えばソースガスを励起してプラズマを生成し、このプラズマに含まれるイオンを電界の作用により引き出して加速する方法が挙げられる。なお、加速されたイオン103としては水素ガスから生成されるイオン種に限定されず、He等を単独、又は他のイオン種と混合して利用することができる。
半導体基板100の表面から所定の深さの領域にイオン103を添加し、脆化領域104を形成する場合、脆化領域104が形成される領域の深さは、イオン103の運動エネルギー、質量、イオン103の入射角等によって調節することができる。運動エネルギーは加速電圧、ドーズ量などにより調節できる。イオン103の平均浸入深さとほぼ同じ深さの領域に脆化領域104が形成される。そのため、イオン103を添加する深さで、半導体基板100から分離される半導体層の厚さが決定される。この半導体層の厚さが10nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上200nm以下になるように、脆化領域104が形成される深さを調節する。
脆化領域104の形成は、イオンドーピング処理で行うことができる。イオンドーピング処理には、イオンドーピング装置を用いて行うことができる。イオンドーピング装置の代表的な装置は、プロセスガスをプラズマ励起して生成された全てのイオン種をチャンバー内に配置された被処理体に照射する非質量分離型の装置である。非質量分離型の装置であるのは、プラズマ中のイオン種を質量分離しないで、全てのイオン種を被処理体に照射しているからである。これに対して、イオン注入装置は質量分離型の装置である。イオン注入装置は、プラズマ中のイオン種を質量分離し、ある特定の質量のイオン種を被処理体に照射する装置である。
イオンドーピング装置の主要な構成は、被処理物を配置するチャンバー、所望のイオンを発生させるイオン源、およびイオンを加速し、照射するための加速機構である。イオン源は、所望のイオン種を生成するためのソースガスを供給するガス供給装置、ソースガスを励起して、プラズマを生成させるための電極などで構成される。プラズマを形成するための電極として、フィラメント型の電極や容量結合高周波放電用の電極などが用いられる。加速機構は、引出電極、加速電極、減速電極、接地電極等の電極など、およびこれらの電極に電力を供給するための電源などで構成される。加速機構を構成する電極には複数の開口やスリットが設けられており、イオン源で生成されたイオンは電極に設けられた開口やスリットを通過して加速される。なお、イオンドーピング装置の構成は上述したものに限定されず、必要に応じた機構が設けられる。
本実施形態では、イオンドーピング装置で、水素を半導体基板100に添加する。プラズマソースガスとして水素を含むガスを供給する。例えば、Hを供給する。水素ガスを励起してプラズマを生成し、質量分離せずに、プラズマ中に含まれるイオンを加速し、加速されたイオンを半導体基板100に照射する。
イオンドーピング装置において、水素ガスから生成されるイオン種(H、H 、H )の総量に対してH の割合が50%以上とする。より好ましくは、そのH の割合を80%以上とする。イオンドーピング装置は質量分離を行わないため、プラズマ中に生成される複数のイオン種のうち、1つ(H )を50%以上とすることが好ましく、80%以上とすることが好ましい。同じ質量のイオンを照射することで、半導体基板100の同じ深さに集中させてイオンを添加することができる。
脆化領域104を浅い領域に形成するためには、イオン103の加速電圧を低くする必要があるが、プラズマ中のH イオンの割合を高くすることで、原子状水素(H)を効率よく、半導体基板100に添加できる。H イオンはHイオンの3倍の質量を持つことから、同じ深さに水素原子を1つ添加する場合、H イオンの加速電圧は、Hイオンの加速電圧の3倍にすることが可能となる。イオンの加速電圧を大きくできれば、イオンの照射工程のタクトタイムを短縮することが可能となり、生産性やスループットの向上を図ることができる。
イオンドーピング装置は廉価で、大面積処理に優れているため、このようなイオンドーピング装置を用いてH を照射することで、半導体特性の向上、大面積化、低コスト化、生産性向上などの顕著な効果を得ることができる。また、イオンドーピング装置を用いた場合、重金属も同時に導入されるおそれがあるが、塩素原子を含有する酸化膜102を介してイオンの照射を行うことによって、上述したようにこれらの重金属による半導体基板100の汚染を防ぐことができる。
なお、加速されたイオン103を半導体基板100に照射する工程は、イオン注入装置で行うこともできる。イオン注入装置は、チャンバー内に配置された被処理体に、ソースガスをプラズマ励起して生成された複数のイオン種を質量分離し、特定のイオン種を照射する質量分離型の装置である。したがって、イオン注入装置を用いる場合は、水素ガスやPHを励起して生成されたHイオンおよびH イオンを質量分離して、HイオンまたはH イオンの一方のイオンを加速して、半導体基板100に照射する。
次に、ベース基板120を準備する(図1(B−1)参照)。
ベース基板120は、絶縁体でなる基板を用いる。具体的には、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板、サファイア基板が挙げられる。
本実施の形態では、ガラス基板を用いる場合について説明する。ベース基板120として大面積化が可能で安価なガラス基板を用いることにより、シリコンウエハを用いる場合と比較して低コスト化を図ることができる。
なお、ベース基板120の表面をあらかじめ洗浄することが好ましい。具体的には、ベース基板120を、塩酸過水(HPM)、硫酸過水(SPM)、アンモニア過水(APM)、希フッ酸(DHF)等を用いて超音波洗浄を行う。例えば、ベース基板120の表面に塩酸過水を用いて超音波洗浄を行うことが好ましい。このような洗浄処理を行うことによって、ベース基板120表面の平坦化や残存する研磨粒子を除去することができる。
次に、接合層121をベース基板120の表面に形成する(図1(B−2)参照)。接合層121は半導体基板100上に設けられたキャップ膜105と貼り合わされる層となる。なお、接合層121は必ずしも形成する必要ではないが、接合層121を設けると半導体基板100とベース基板120との接合不良を抑制できるため好ましい。
本実施の形態では、接合層121としてCVD法を用いた酸化珪素膜を適用する。
なお、半導体基板100とベース基板120との接合不良を抑制するには接合層121の表面を平滑とすることが好ましい。具体的には、接合層121の表面の平均面粗さ(Ra)を0.5nm以下、自乗平均粗さ(Rms)を0.60nm以下、より好ましくは、平均面粗さを0.35nm以下、自乗平均粗さを0.45nm以下となるように接合層121を形成する。膜厚は、好ましくは10nm以上200nm以下、より好ましくは50nm以上100nm以下の範囲で設けることができる。
次に、半導体基板100の表面とベース基板120の表面とを対向させ、キャップ膜105の表面と接合層121の表面とを接合させる(図1(C)参照)。
本実施の形態では、半導体基板100とベース基板120を密接させた後、半導体基板100の一箇所に0.1〜500N/cm、好ましくは1〜20N/cm程度の圧力を加える。圧力を加えた部分からキャップ膜105と接合層121とが接合しはじめ、自発的に接合が形成され全面におよぶ。この接合工程は、ファンデルワールス力や水素結合が作用しており、加熱処理を伴わず、常温で行うことができるため、ベース基板120には、ガラス基板のように耐熱温度が低い基板を用いることができる。
なお、半導体基板100とベース基板120を接合させる前に、半導体基板100上に形成されたキャップ膜105と、ベース基板120上に形成された接合層121の表面処理を行うことが好ましい。表面処理としては、オゾン処理(例えば、オゾン水洗浄)やメガソニック洗浄、2流体洗浄(純水や水素添加水等の機能水を窒素等のキャリアガスとともに吹き付ける方法)又はこれらを組み合わせて行うことができる。また、オゾン水洗浄とフッ酸による洗浄を複数回繰り返し行ってもよい。
また、ベース基板120に半導体基板100を接合させた後、キャップ膜105と接合層121との接合強度を増加させるための熱処理を行うことが好ましい。この熱処理の温度は、脆化領域104に亀裂を発生させない温度とし、例えば、室温以上400℃未満の温度範囲で処理する。また、この温度範囲で加熱しながら、キャップ膜105と接合層121を接合させてもよい。熱処理には、拡散炉、抵抗加熱炉などの加熱炉、RTA(瞬間熱アニール、Rapid Thermal Anneal)装置、マイクロ波加熱装置などを用いることができる。
本実施の形態では、200℃にて2時間の熱処理を施して接合強度を増す。
一般的に、キャップ膜105と接合層121を接合と同時又は接合させた後に熱処理を行うと、接合界面において脱水反応が進行して、水素結合の強化や共有結合が形成されて接合が強化される。脱水反応を促進させるためには、脱水反応により接合界面に生じる水分を高温で熱処理を行うことにより除去する必要がある。つまり、接合後の熱処理温度が低い場合には、脱水反応で接合界面に生じた水分を効果的に除去できないため、脱水反応が進まず接合強度を十分に向上させることが難しい。
次に、加熱処理を半導体基板100に施して、脆化領域104を境に単結晶半導体層124を分離して、キャップ膜105及び接合層121を介してベース基板120上に単結晶半導体層124を設ける(図1(D)参照)。
この加熱処理には、拡散炉、抵抗加熱炉などの加熱炉、RTA装置、マイクロ波加熱装置などを用いることができる。例えば、RTA装置を用いる場合、加熱温度550℃以上730℃以下で行うことができる。
本実施の形態では、加熱温度600℃で、2時間の加熱処理を施して、脆化領域104を境に単結晶半導体層124を分離する。
脆化領域104とキャップ膜105に挟まれた領域を有する半導体基板100における、加熱処理に伴う水素濃度の変化に及ぼすキャップ膜105の効果について図2を用いて説明する。図2(A)にキャップ膜105を設けていない半導体基板100とベース基板120を、酸化膜102と接合層121を介して接合する場合の構成を示す。また、図2(B)にキャップ膜105を設けた半導体基板100とベース基板120を酸化膜102と接合層121を介して接合する場合の構成を示す。なお、それぞれの構成に含まれる水素濃度が基板の厚み方向に分布する加熱処理前の様子を破線で、加熱処理後の様子を実線で模式的に示してある。
加熱処理前において、水素濃度は半導体基板100の脆化領域104に極大を有する。その後の加熱処理に伴い、水素は水素濃度が高いところから低いところに拡散する。特に、キャップ膜105を設けていない半導体基板100においては、図中の矢印に示すように脆化領域104に認められる水素濃度の極大値が低下し、脆化領域の周りに分布が広がる(図2(A)参照)。なお、脆化領域104の水素濃度が低下すると、加熱処理を施しても脆化領域104に亀裂が生じず、半導体層が半導体基板100から分離しないという問題が生じてしまう。
しかし、脆化領域104に近い面にキャップ膜105を備える本実施の形態に例示する半導体基板においては、キャップ膜105が脆化領域104からの水素の拡散を抑制する。さらに、キャップ膜105から半導体基板の脆化領域に向けて水素が拡散し、半導体基板の表面から脆化領域104にかけての領域の水素濃度が高まり、且つ水素濃度の勾配が緩やかになる。その結果、脆化領域から半導体基板の表面側に拡散する水素の量が抑制され、脆化領域104の水素濃度が低下し難くなるという効果を奏する(図2(B)参照)。
特に、キャップ膜の水素濃度が、加速した水素イオンの照射量以上である場合、キャップ膜105は水素の供給源として効果的に働き、水素が酸化膜102を介して半導体基板100に拡散する。その結果、キャップ膜から脆化領域にかけての領域の水素濃度が高まり、且つ水素濃度の勾配が緩やかになり、脆化領域からの水素の拡散を抑制することができる。
なお、加熱処理に伴う温度上昇によって、脆化領域104に形成されている微小な孔に体積変化が起こり、脆化領域104に亀裂が生じて、脆化領域104に沿って半導体基板100が分離する。キャップ膜105はベース基板120に接合層121を介して接合しているので、ベース基板120上には半導体基板100から分離された単結晶半導体層124が形成される。また、ここでの熱処理の温度は、ベース基板120の歪み点を越えない温度とする。
また、上述したキャップ膜105と接合層121との接合強度を増加させるための熱処理を行わず、図1(D)の熱処理を行うことにより、キャップ膜105と接合層121の接合強度を増加するための熱処理工程と、脆化領域104を境に単結晶半導体層124を分離するための熱処理工程を同時に行ってもよい。
以上の工程により、ベース基板120上にキャップ膜105と接合層121を介して単結晶半導体層124が設けられたSOI基板を作製することができる。
なお、SOI基板の表面に平坦化処理を施してもよい。ベース基板120上に設けた単結晶半導体層124の表面に凹凸が生じる場合、平坦化処理は有用である。
平坦化処理としては、CMP(Chemical Mechanical Polishing)、エッチング処理、レーザー光の照射等をその例に挙げることができる。
本実施の形態では、ドライエッチングまたはウエットエッチングの一方、または双方を組み合わせたエッチング処理(エッチバック処理)を行った後に、レーザー光を照射して、単結晶半導体層124の再結晶化と表面の平坦化を行う。
レーザー光を単結晶半導体層124の上面側から照射することで、単結晶半導体層124の上面を溶融させることができる。溶融した後、単結晶半導体層124が冷却、固化することで、その上面の平坦性が向上した単結晶半導体層124が得られる。レーザー光を用いることにより、ベース基板120が直接加熱されないため、当該ベース基板120の温度上昇を抑えることができる。このため、ガラス基板のような耐熱性の低い基板をベース基板120に用いることが可能である。
なお、レーザー光の照射による単結晶半導体層124の溶融は、部分溶融とすることが好ましい。完全溶融させた場合には、液相となった後の無秩序な核発生により微結晶化し、結晶性が低下する可能性が高いためである。一方で、部分溶融させることにより、溶融されていない固相部分から結晶成長が進行する。これにより、半導体層中の欠陥を減少させることができる。ここで、完全溶融とは、単結晶半導体層124が下部界面付近まで溶融されて、液体状態になることをいう。他方、部分溶融とは、この場合、単結晶半導体層124の上部は溶融して液相となるが、下部は溶融せずに固相のままであることをいう。
上記レーザー光の照射には、パルス発振レーザーを用いることが好ましい。これは、瞬間的に高エネルギーのパルスレーザー光を発振及び射出することができ、溶融状態を作り出すことが容易となるためである。発振周波数は、1Hz以上10MHz以下程度とすることが好ましい。
さらに、薄膜化工程を平坦化処理の後に行ってもよい。薄膜化工程は、単結晶半導体層124の膜厚を小さくする工程である。単結晶半導体層124の薄膜化には、ドライエッチングまたはウエットエッチングの一方、または双方を組み合わせたエッチング処理(エッチバック処理)を適用すればよい。例えば、単結晶半導体層124がシリコン材料からなる層である場合、ドライエッチングとしてSFとOをプロセスガスに用いて、単結晶半導体層124を薄くすることができる。
なお、平坦化処理はSOI基板に限らず分離後の半導体基板100に対して行ってもよい。分離後の半導体基板100の表面を平坦にすることによって、当該半導体基板100をSOI基板の作製工程において再利用することが可能となる。
<変形例>
本実施の形態のSOI基板の作製方法は、本発明の一態様であり、当該SOI基板の作製方法と異なる点を有するSOI基板の作製方法も本発明には含まれる。
例えば、半導体基板100に運動エネルギーを有するイオンを照射して、脆化領域104を形成するステップ(図1(A−4)参照)の後に、半導体基板100に予備加熱を行うことができる。なお、この予備加熱の温度は400℃未満の温度範囲とする。
ガスバリア性を備え、水素を含むキャップ膜105が表面に形成され、内部に脆化領域104が形成された半導体基板100に予備加熱を施すと、キャップ膜105は脆化領域104からの水素の拡散を抑制しつつ、更に酸化膜102を介して水素を脆化領域104に向けて供給することができる。
この工程を施すことにより、より効果的にキャップ膜から半導体基板の表面を介して脆化領域に向けて水素が供給されるほか、不均一なガラス基板に起因する加熱ムラ、又は/及びサーマルバジェット(熱履歴)を抑制できる。
予備加熱の一例としては、温度400℃未満で、2時間の予備加熱を施して、キャップ膜105から水素を供給すればよい。
本実施の形態で例示したSOI基板の作製方法によれば、半導体基板表面に設けたキャップ膜が、加熱処理に伴い水素が半導体基板から散逸する現象を抑制し、脆化領域の水素濃度を保つことができるため、加速した水素イオンの照射量を低減できる。特に、前記水素イオンの照射量以上の水素濃度を含むキャップ膜が水素の供給源として効果的に働き、脆化領域からの水素の拡散を抑制できる。
その結果、当該脆化領域に効果的に劈開面を形成できる。依って、少ない水素イオンの照射量であっても低い加熱処理温度で半導体基板からベース基板に半導体層を転載できる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、絶縁層を介して半導体層が設けられたSOI基板の作製方法について図3を参照して説明する。具体的には、半導体基板に加速した水素イオンを照射して脆化領域を形成した後、脆化領域からの水素の拡散を防ぎ、且つ脆化領域と半導体基板の表面に挟まれた領域に水素を供給するキャップ膜を形成し、次いで半導体基板をベース基板に接合した後に加熱をし、当該半導体基板からベース基板に半導体層を転載する、絶縁層を介して半導体層が設けられた基板の作製方法について説明する。
本実施の形態で例示する半導体基板200、及びその表面に形成する酸化膜202は、実施の形態1で示した半導体基板100、及びその表面に形成する酸化膜102と同様の材料、方法、及び条件を用いることができる(図3(A−1)、及び図3(A−2)参照)。具体的には、半導体基板200は、単結晶半導体基板や多結晶半導体基板を用いることができ、酸化膜202は、熱酸化法、CVD法又はスパッタリング法等を用いて形成することができる。よって、詳細については、実施の形態1の記載を参酌することができる。
本実施の形態では、実施の形態1と同様に半導体基板200として、単結晶シリコン基板を用い、熱酸化処理を行うことにより酸化膜202(ここでは、SiOx膜)を形成する場合について示す。
次に、脆化領域204を半導体基板200に形成する(図3(A−3)参照)。本実施の形態で例示する脆化領域204は、酸化膜202のみを介してイオン照射を行うことで半導体基板200に形成する以外は、実施の形態1で示した脆化領域104の作製方法と同様の材料、方法を用いることができる。具体的には、酸化膜202を介して、加速されたイオン203を半導体基板200に照射する。加速するイオン203としては、水素ガスから生成されるイオン種(H、H 、H )を用いる。脆化領域を形成するための水素イオンの照射量は、5×1020以上3×1021atoms/cm以下、好ましくは、8×1020以上2×1021atoms/cm以下、さらに好ましくは、1×1021以上2×1021atoms/cm未満とすればよい。よって、詳細については、実施の形態1の記載を参酌することができる。
なお、後述するキャップ膜205を形成するステップの前に、脆化領域204を形成するステップを行う構成とすることで、イオンの加速エネルギーを低減できる。加速されたイオンの浸入を阻害するキャップ膜205を基板表面に設けていないため、少ない加速エネルギーで半導体基板200の所定の深さの結晶構造を損傷して、脆化領域204を形成することができる。
本実施形態では、実施の形態1と同様にイオンドーピング装置で、水素を半導体基板200に添加する。
次に、キャップ膜205を、酸化膜202を介して半導体基板200上に形成する(図3(A−4)参照)。本実施の形態の半導体基板200には、既に脆化領域204が形成されているため、脆化領域204に亀裂を発生させない成膜温度とする以外は、実施の形態1で示したキャップ膜の作製方法と同様の材料、方法を用いることができる。具体的には、ガスバリア性に優れ、且つ加速した水素イオンの照射量以上の濃度の水素を含む膜を用いる。よって、詳細については、実施の形態1の記載を参酌することができる。
なお、キャップ膜205がガスバリア性を備えることで、脆化領域から拡散する水素がキャップ膜205を介して散逸する現象を抑制できる。更に、加速した水素イオンの照射量以上の濃度の水素を含むキャップ膜205は、隣接する層に対し水素の供給源として働く。また、脆化領域204を形成した後にキャップ膜205を形成するため、キャップ膜205が加速されたイオンの浸入を阻害する効果を考慮する必要がない。依って、厚いキャップ膜205を形成してガスバリア性を高めることができる。
次に、ベース基板220、及びその表面に形成する接合層221は、実施の形態1で示したベース基板120、及びその表面に形成する接合層121と同様の材料、方法、及び条件を用いることができる(図3(B−1)、及び図3(B−2)参照)。具体的には、ベース基板220は、電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板、サファイア基板を用いることができ、接合層221はCVD法を用いた酸化珪素膜を適用することができる。よって、詳細については、実施の形態1の記載を参酌することができる。
半導体基板200の表面とベース基板220の表面とを対向させ、キャップ膜205の表面と接合層221の表面とを接合させるステップ(図3(C)参照)から、加熱処理を半導体基板200に施して、脆化領域204を境に単結晶半導体層224を分離して、キャップ膜205及び接合層221を介してベース基板220上に単結晶半導体層224を設ける(図3(D)参照)ステップまでは、実施の形態1で示した同様の材料、方法、及び条件を用いることができる。
具体的には、半導体基板200とベース基板220を密接させた後、半導体基板200の一箇所に0.1〜500N/cm、好ましくは1〜20N/cm程度の圧力を加え、キャップ膜205と接合層221との接合強度を増加させるために200℃にて2時間の熱処理を施し、次いで、600℃にて2時間の加熱処理を半導体基板200に施して、脆化領域204を境に単結晶半導体層224を分離して、キャップ膜205及び接合層221を介してベース基板220上に単結晶半導体層224を設けることができる(図3(D)参照)。よって、詳細については、実施の形態1の記載を参酌することができる。
以上の工程により、ベース基板220上にキャップ膜205と接合層221を介して単結晶半導体層224が設けられたSOI基板を作製することができる。
なお、実施の形態1と同様に、SOI基板の表面に平坦化処理を施しても良い。さらに、薄膜化工程を平坦化処理の後に行ってもよい。
<変形例>
本実施の形態のSOI基板の作製方法は、本発明の一態様であり、当該SOI基板の作製方法と異なる点を有するSOI基板の作製方法も本発明には含まれる。
例えば、キャップ膜205を、酸化膜202を介して半導体基板200上に形成するステップ(図3(A−4)参照)の後に、半導体基板200に予備加熱を行うことができる。なお、この予備加熱の温度は400℃未満の温度範囲とする。
ガスバリア性を備え、水素を含むキャップ膜205が表面に形成され、内部に脆化領域204が形成された半導体基板200に予備加熱を施すと、キャップ膜205は基板表面からの水素の散逸を抑制しつつ、更に酸化膜202を介して水素を脆化領域204に向けて供給することができる。
この工程を施すことにより、より効果的にキャップ膜から水素が供給されるほか、不均一なガラス基板に起因する加熱ムラ、又は/及びサーマルバジェット(熱履歴)を抑制できる。
予備加熱の一例としては、温度400℃未満で、2時間の予備加熱を施して、キャップ膜205から水素を供給すればよい。
本実施の形態で例示したSOI基板の作製方法によれば、半導体基板表面に設けたキャップ膜が、加熱処理に伴い水素が半導体基板から散逸する現象を抑制し、脆化領域の水素濃度を保つことができるため、加速した水素イオンの照射量を低減できる。特に、前記水素イオンの照射量以上の水素濃度を含むキャップ膜が水素の供給源として効果的に働き、脆化領域からの水素の拡散を抑制できる。
その結果、当該脆化領域に効果的に劈開面を形成できる。依って、少ない水素イオンの照射量であっても低い加熱処理温度で半導体基板からベース基板に半導体層を転載できる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で作製したSOI基板を用いて、半導体装置を作製する方法を説明する。
nチャネル型薄膜トランジスタ、およびpチャネル型薄膜トランジスタを作製する方法を図4および図5を参照して説明する。複数の薄膜トランジスタ(TFT)を組み合わせることで、各種の半導体装置を形成することができる。
SOI基板として、上記実施の形態1の方法で作製したSOI基板を用いる場合について説明する。もちろん、上記実施の形態2の方法で作製したSOI基板を用いることも可能である。
図4(A)は、図1を用いて説明した方法で作製されたSOI基板の断面図である。
エッチングにより、単結晶半導体層124を素子分離して、図4(B)に示すように半導体層251、252を形成する。半導体層251はnチャネル型のTFTを構成し、半導体層252はpチャネル型のTFTを構成する。
図4(C)に示すように、半導体層251、252上に絶縁膜254を形成する。次に、絶縁膜254を介して半導体層251上にゲート電極255を形成し、半導体層252上にゲート電極256を形成する。
なお、単結晶半導体層124のエッチングを行う前に、TFTのしきい値電圧を制御するために、ホウ素、アルミニウム、ガリウムなどの不純物元素、またはリン、ヒ素などの不純物元素を単結晶半導体層124に添加することが好ましい。例えば、nチャネル型TFTが形成される領域にホウ素、アルミニウム、ガリウムなどの不純物元素を添加し、pチャネル型TFTが形成される領域にリン、ヒ素などの不純物元素を添加する。
次に、半導体層251にn型の低濃度不純物領域257を形成し、半導体層252にp型の高濃度不純物領域259を形成する(図4(D)参照)。具体的には、まず、半導体層251にn型の低濃度不純物領域257を形成する。このため、pチャネル型TFTとなる半導体層252をレジストでマスクし、不純物元素を半導体層251に添加する。不純物元素としてリンまたはヒ素を添加すればよい。イオンドーピング法またはイオン注入法により不純物元素を添加することにより、ゲート電極255がマスクとなり、半導体層251に自己整合的にn型の低濃度不純物領域257が形成される。半導体層251のゲート電極255と重なる領域はチャネル形成領域258となる。
次に、半導体層252を覆うレジストマスクを除去した後、nチャネル型TFTとなる半導体層251をレジストマスクで覆う。次に、イオンドーピング法またはイオン注入法により不純物元素を半導体層252に添加する。不純物元素として、ボロンを添加することができる。不純物元素の添加工程では、ゲート電極256がマスクとして機能して、半導体層252にp型の高濃度不純物領域259が自己整合的に形成される。高濃度不純物領域259はソース領域またはドレイン領域として機能する。半導体層252のゲート電極256と重なる領域はチャネル形成領域260となる。ここでは、n型の低濃度不純物領域257を形成した後、p型の高濃度不純物領域259を形成する方法を説明したが、先にp型の高濃度不純物領域259を形成することもできる。
次に、半導体層251を覆うレジストを除去した後、プラズマCVD法等によって窒化シリコン等の窒素化合物や酸化シリコン等の酸化物からなる単層構造または積層構造の絶縁膜を形成する。この絶縁膜を垂直方向の異方性エッチングすることで、図5(A)に示すように、ゲート電極255、256の側面に接するサイドウォール絶縁膜261、262を形成する。この異方性エッチングにより、絶縁膜254もエッチングされる。
次に、図5(B)に示すように、半導体層252をレジスト265で覆う。半導体層251にソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域を形成するため、イオン注入法またはイオンドーピング法により、半導体層251に高ドーズ量で不純物元素を添加する。ゲート電極255およびサイドウォール絶縁膜261がマスクとなり、n型の高濃度不純物領域267が形成される。次に、不純物元素の活性化のための加熱処理を行う。
活性化の加熱処理の後、図5(C)に示すように、水素を含んだ絶縁膜268を形成する。絶縁膜268を形成後、350℃以上450℃以下の温度による加熱処理を行い、絶縁膜268中に含まれる水素を半導体層251、252中に拡散させる。絶縁膜268は、プロセス温度が350℃以下のプラズマCVD法により窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを堆積することで形成できる。半導体層251、252に水素を供給することで、半導体層251、252中および絶縁膜254との界面での捕獲中心となるような欠陥を効果的に補償することができる。
その後、層間絶縁膜269を形成する。層間絶縁膜269は、酸化シリコン膜、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)膜などの無機材料でなる絶縁膜、または、ポリイミド、アクリルなどの有機樹脂膜から選ばれた単層構造の膜、積層構造の膜で形成することができる。層間絶縁膜269にコンタクトホールを形成した後、図5(C)に示すように配線270を形成する。配線270の形成には、例えば、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜などの低抵抗金属膜をバリアメタル膜で挟んだ3層構造の導電膜で形成することができる。バリアメタル膜は、モリブデン、クロム、チタンなどの金属膜で形成することができる。
以上の工程により、ガラス基板等に結晶欠陥が少ない半導体膜を用いてnチャネル型TFTとpチャネル型TFTを有する半導体装置を低い加熱処理温度で作製することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
100 半導体基板
102 酸化膜
103 イオン
104 脆化領域
105 キャップ膜
120 ベース基板
121 接合層
124 単結晶半導体層
200 半導体基板
202 酸化膜
203 イオン
204 脆化領域
205 キャップ膜
220 ベース基板
221 接合層
224 単結晶半導体層
251 半導体層
252 半導体層
254 絶縁膜
255 ゲート電極
256 ゲート電極
257 低濃度不純物領域
258 チャネル形成領域
259 高濃度不純物領域
260 チャネル形成領域
261 サイドウォール絶縁膜
265 レジスト
267 高濃度不純物領域
268 絶縁膜
269 層間絶縁膜
270 配線

Claims (5)

  1. 半導体基板の一方の面に、第1の濃度で水素を含む、窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜を形成する、第1のステップと、
    前記半導体基板の一方の面に、加速した水素イオンを照射して、第2の濃度で水素を含む脆化領域を形成する、第2のステップと、
    前記脆化領域が形成された前記半導体基板とベース基板とを、前記窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜を介して貼り合わせ、加熱処理を行って、前記脆化領域を境に前記半導体基板を分離して、前記ベース基板に半導体層を形成する、第3のステップと、を有し、
    前記第1の濃度は、前記第2の濃度より高いことを特徴とするSOI基板の作製方法。
  2. 半導体基板の一方の面に、第1の濃度で水素を含む、窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜を形成する、第1のステップと、
    前記半導体基板の一方の面に、加速した水素イオンを照射して、第2の濃度で水素を含む脆化領域を形成する、第2のステップと、
    前記窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜と脆化領域とが形成された前記半導体基板に、第1の加熱処理を行う、第3のステップと、
    前記脆化領域が形成された前記半導体基板とベース基板とを、前記窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜を介して貼り合わせ、加熱処理を行って、前記脆化領域を境に前記半導体基板を分離して、前記ベース基板に半導体層を形成する、第4のステップと、を有し、
    前記第1の濃度は、前記第2の濃度より高いことを特徴とするSOI基板の作製方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記第2の濃度は、5×1020以上3×1021atoms/cm以下を有することを特徴とするSOI基板の作成方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記第1のステップの後に、前記第2のステップを行うことを特徴とするSOI基板の作製方法。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記第2のステップの後に、前記第1のステップを行うことを特徴とするSOI基板の作製方法。
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