JP5910939B2 - クリーニングブレード、画像形成装置、プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
このクリーニング装置のクリーニング部材として、一般的に構成を簡単にでき、クリーニング性能も優れていることから、短冊形状のクリーニングブレードを用いたものがよく知られている。このクリーニングブレードは、ポリウレタンゴムなどの弾性体で構成されている。そして、クリーニングブレードの基端を支持部材で支持して先端稜線部を像担持体の周面に押し当て、像担持体上に残留するトナーをせき止めて掻き落とし除去する。
すなわち、上記ゴム部材の先端面の長手方向にわたって表面層や含浸部分を設けているため、表面層や含浸部分の影響によりゴム部材の弾性が阻害されることがある。ゴム部材の弾性が阻害されると、像担持体が偏心していたり、像担持体表面に微小なうねりがあったりした場合、像担持体表面に当接するクリーニングブレードの長手方向で当接圧が変動し、クリーニングブレードの先端稜線部の像担持体表面への追随性が低下してしまう。連続的なベタ画像形成時など、クリーニングブレードによって、多くのトナーが堰き止められているとき、堰き止められているトナーによるクリーニングブレードへの押圧力が高くなる。そのため、クリーニングブレードの像担持体に対する当接圧が低い部分では、クリーニングブレードが当接する力よりも像担持体上のトナーによるクリーニングブレードへの押圧力が勝ると、その部分で当接状態が維持できなくなり、クリーニングブレードをトナーがすり抜けてしまう。その結果、像担持体に形成される粉体量が非常に多い連続的なベタ画像形成時等の厳しい条件では、クリーニング不良が生じてしまったと考えられる。
上記弾性ブレードは、tanδピーク温度が0℃以上、且つ、JIS−A硬度の23℃から10℃における変化量が5°以上であるウレタンゴムであり、該弾性ブレードの上記先端稜線部を含む部分にマルテンス硬度が250〜500N/mm2、弾性仕事率が75%以下の紫外線硬化樹脂が含浸され、且つ、該先端稜線部を含む該弾性ブレードの表面に該弾性ブレードよりも硬い表面層を1μm以下の厚みで設けたことを特徴とするものである。
弾性ブレードとして、tanδピーク温度が0℃以上、且つ、JIS−A硬度の23℃から10℃における変化量が5°以上であるウレタンゴムを用いている。この条件を満たさないものは、ゴムの架橋密度が低いため、大量の紫外線硬化樹脂を含浸させないと、充分な改質効果か得られない。しかしながら、大量の紫外線硬化樹脂の含浸処理では、ゴムが膨潤して先端稜線部が直角形状を保てなくなり、クリーニング性能が低下するなどの副作用の虞がある。また、少量の紫外線硬化樹脂の含浸処理による改質をして、その表面に表面層を形成しても、耐久性能が充分ではなく、長期の使用によって稜線部の摩耗が大幅に進み、その結果、クリーニング性が低下するおそれがある。これに対して、上記条件を満たす架橋密度の高いウレタンゴムでは、比較的少量の紫外線硬化樹脂の含浸処理により、充分な改質効果が得られ、その表面に表面層を形成することで、良好に耐摩耗性を向上させることができる。
紫外線硬化樹脂としては、マルテンス硬度が250〜500N/mm2、弾性仕事率が75%以下の特性を有するものを用いて改質を行なう。マルテンス硬度これより大きいものでは、架橋密度が上がりすぎてしまい、ゴムというよりガラスに近い状態となるため、先端稜線部の動きが抑制されすぎて、逆に耐摩耗性を悪化させる。また、マルテンス硬度がこれ以上小さいものでは、耐磨耗性を向上させる充分な効果が得られない。
弾性仕事率は、マルテンス硬度の測定時の積算応力から、以下のようにして求められる特性値である。マルテンス硬度は、ガラス板上に紫外線硬化樹脂層を塗布し、ビッカース圧子を一定の力で、例えば30秒で押し込み、5秒保持し、一定の力で30秒間で抜く動作をおこないながら微小硬度計を用いて計測する。ここで、ビッカース圧子を押し込むときの積算応力をWplast、試験荷重除荷寺の積算応力をWelastとすると、弾性仕事率は、Welast/Wplast×100%の式で定義される特性値である。弾性仕事率が高いほど、塑性変形が少ない、すなわちゴム性が高いことをあらわしている。弾性仕事率が低すぎると、ゴムというよりガラスに近い状態であり、先端稜線部の動きが抑制されすぎて、逆に耐摩耗性を悪化させる。通常、紫外線硬化樹脂は、上記マルテンス硬度の範囲では、弾性仕事率がある程度高く、ゴムの状態が得られる。しかしながら、紫外線硬化樹脂の構造によっては弾性仕事率が高くなりすぎて、クリーニングブレードとしての姿勢を適度に保てないことがある。本発明は、後述する実験に示すように、弾性仕事率が75%以下の紫外線硬化性樹脂を含浸処理することにより、クリーニングブレードとしての適度な姿勢を保ち、良好なクリーニング性を保つようにしている。
さらに、先端稜線部を含む表面に弾性ブレードよりも硬い表面層を1μm以下の厚みで設ける。これにより、表面層を厚くすることに起因して、先端稜線部の像担持体表面への追随性の低下して、均一な当接状態が得られずトナーのすり抜けが増大してクリーニング不良が発生し易くなったり、異音の発生を生じ易くなったりすることを抑制できる。このように表面層を薄くして、経時使用において短時間で弾性ブレードが被清掃部材に接触しても、弾性ブレードの基材と紫外線硬化樹脂とが混在した弾性ブレードよりも硬度が高い含浸部分が被清掃部材と接触するため、経時使用時の異常摩耗及び異音の発生を抑制することができる。
すなわち、上記条件を満たす弾性ブレードに上記条件を満たす紫外線硬化樹脂を含浸処理して弾性ブレードの改質を行い、弾性ブレードよりも硬い表面層を1μm以下の厚みの表面層を設けることにより、経時使用時の異常摩耗及び異音の発生を抑制しつつ、先端稜線部のめくれを抑制し、かつ、先端稜線部の被清掃部材に対する追随性を良好にでき当接圧を維持することが可能となる。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタ500という)の一実施形態(以下、実施形態1という)について説明する。まず、本実施形態1に係るプリンタ500の基本的な構成について説明する。
図2は、プリンタ500を示す概略構成図である。プリンタ500は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)用の四つの作像ユニット1Y,C,M,Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
また、四つの作像ユニット1の下方に光書込ユニット40が配設されている。潜像形成手段たる光書込ユニット40は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各作像ユニット1Y,C,M,Kの感光体3Y,C,M,Kに照射する。これにより、感光体3Y,C,M,K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット40は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー41によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,C,M,Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LDEアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
図3に示すように、作像ユニット1は、像担持体としてのドラム状の感光体3を備えている。感光体3はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
感光体3の周囲には、帯電ローラ4、現像装置5、一次転写ローラ7、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10及び不図示の除電ランプ等が配置されている。帯電ローラ4は、帯電手段としての帯電装置が備える帯電部材であり、現像装置5は、感光体3の表面上に形成された潜像をトナー像化する現像手段である。一次転写ローラ7は、感光体3の表面上のトナー像を中間転写ベルト14に転写する一次転写手段としての一次転写装置が備える一次転写部材である。クリーニング装置6は、トナー像を中間転写ベルト14に転写した後の感光体3上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段である。潤滑剤塗布装置10は、クリーニング装置6がクリーニングした後の感光体3の表面上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段である。不図示の除電ランプは、クリーニング後の感光体3の表面電位を除電する除電手段である。
現像装置5は、現像剤担持体としての現像ローラ51を有している。この現像ローラ51には、図示しない電源から現像バイアスが印加されるようになっている。現像装置5のケーシング内には、ケーシング内に収容された現像剤を互いに逆方向に搬送しながら攪拌する供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53が設けられている。また、現像ローラ51に担持された現像剤を規制するためのドクタ54も設けられている。供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53の二本スクリュによって撹拌・搬送された現像剤中のトナーは、所定の極性に帯電される。そして、現像剤は、現像ローラ51の表面上に汲み上げられ、汲み上げられた現像剤は、ドクタ54により規制され、感光体3と対向する現像領域でトナーが感光体3上の潜像に付着する。
潤滑剤塗布装置10は、固形潤滑剤103や潤滑剤加圧スプリング103a等を備え、固形潤滑剤103を感光体3上に塗布する塗布ブラシとしてファーブラシ101を用いている。固形潤滑剤103は、ブラケット103bに保持され、潤滑剤加圧スプリング103aによりファーブラシ101側に加圧されている。そして、感光体3の回転方向に対して連れまわり方向に回転するファーブラシ101により固形潤滑剤103が削られて感光体3上に潤滑剤が塗布される。感光体への潤滑剤塗布により感光体3表面の摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持される。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザは照射エネルギーが高く、また600〜800[nm]の長波長光を有するため、良好に使用される。
図示しない操作部などからプリント実行の信号を受信したら、帯電ローラ4及び現像ローラ51にそれぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。同様に、光書込ユニット40及び除電ランプなどの光源にもそれぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。また、これと同期して、駆動手段としての感光体駆動モータ(不図示)により感光体3が図中矢印方向に回転駆動される。
静電潜像の形成された感光体3の表面は、現像装置5との対向部で現像ローラ51上に形成された現像剤の磁気ブラシによって摺擦される。このとき、現像ローラ51上の負帯電トナーは、現像ローラ51に印加された所定の現像バイアスによって、静電潜像側に移動し、トナー像化(現像)される。各作像ユニット1において、同様の作像プロセスが実行され、各作像ユニット1Y,C,M,Kの各感光体3Y,C,M,Kの表面上に各色のトナー像が形成される。
このように、プリンタ500では、感光体3上に形成された静電潜像は、現像装置5によって、負極性に帯電されたトナーにより反転現像される。本実施形態1では、N/P(ネガポジ:電位が低い所にトナーが付着する)の非接触帯電ローラ方式を用いた例について説明したが、これに限るものではない。
中間転写ベルト14上に形成された四色トナー像は、第一給紙カセット151または第二給紙カセット152から給紙され、レジストローラ対55のローラ間を経て、二次転写ニップに給紙される転写紙Pに転写される。このとき、転写紙Pはレジストローラ対55に挟まれた状態で一旦停止し、中間転写ベルト14上の画像先端と同期を取って二次転写ニップに供給される。トナー像が転写された転写紙Pは中間転写ベルト14から分離され、定着ユニット80へ搬送される。そして、トナー像が転写された転写紙Pが定着ユニット80を通過することにより、熱と圧力の作用でトナー像が転写紙P上に定着されて、トナー像が定着された転写紙Pはプリンタ500装置外に排出され、スタック部88にスタックされる。
また、一次転写ニップで中間転写ベルト14に各色のトナー像を転写した感光体3の表面は、クリーニング装置6によって転写後の残留トナーが除去され、潤滑剤塗布装置10によって潤滑剤が塗布された後、除電ランプで除電される。
プリンタ500に用いるトナーとしては、画質向上のために、高円形化、小粒径化がし易い懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法により製造された重合トナーを用いるのが好ましい。特に、円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]以下の重合トナーを用いるのが好ましい。平均円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]のものを用いることにより、より高解像度の画像を形成することができる。
クリーニングブレード62は、金属や硬質プラスチックなどの剛性材料からなる短冊形状のホルダー621と、短冊形状の弾性ブレード622とで構成されている。弾性ブレード622は先端稜線部62cに詳細は後述する含浸処理がなされている。また、ブレード先端面62aとブレード下面62bには、ブレード長手方向にわたって表面層623が形成されている。
弾性ブレード622は、ホルダー621の一端側に接着剤などにより固定されており、ホルダー621の他端側は、クリーニング装置6のケースに片持ち支持されている。
また、弾性ブレード622の硬度としては、SII社製DMS6100などで測定したゴムのtanδピーク温度が0[℃]以上、且つ、23[℃]と10[℃]におけるそれぞれの硬度(JIS−A)の差が5℃以上あるウレタンゴムが好ましい。この条件を満たさないものは、ゴムの架橋密度が不足し、後述するように、含浸処理による改質をして、その表面に表面層623を形成しても、耐久性能が充分ではなく、長期の使用によって稜線部の摩耗が大幅に進み、その結果、クリーニング性が低下するおそれがある。
なお、弾性ブレード622の硬さは含浸処理によるウレタンゴムそのものの改質で変化し、さらに表面層623の形成によっても影響を受けるので、各々の効果を調整することが必要である。
紫外線硬化樹脂を含浸させた後、または、表面層623による被覆を行った後に、紫外線を照射することで、図1に示す含浸部分62dを形成し、先端稜線部62cの硬度上昇を図る改質効果を生じさせることができる。特許文献3に記載の弾性ブレードでは、イソシアネート化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物等の含浸をさせて改質を行っているが、本実施形態1のように紫外線硬化樹脂を含浸させて紫外線を照射することで、さらに耐久性の向上を図ることができる。これは以下の理由によるものと考えられる。
もう一つの可能性として、含浸した紫外線硬化樹脂が、表面に追加された紫外線硬化樹脂に対し、いわゆる「アンカー効果」を発揮して、樹脂膜とゴムの密着性を増大させていることが考えられる。これにより紫外線硬化樹脂自体の耐久性が底上げされていると考えることもできる。
すなわち、上記条件を満たす弾性ブレードに上記条件を満たす紫外線硬化樹脂を含浸処理して弾性ブレードの改質を行い、弾性ブレードよりも硬い表面層を1μm以下の厚みの表面層を設けることにより、経時使用時の異常摩耗及び異音の発生を抑制しつつ、先端稜線部のめくれを抑制し、かつ、先端稜線部の被清掃部材に対する追随性を良好にでき当接圧を維持することが可能となる。
含浸させた紫外線硬化樹脂を硬化させるために外線を照射するタイミングとしては、弾性ブレード622に紫外線硬化樹脂を含浸させた後、表面層623を被覆する前に、紫外線を照射してもよい。弾性ブレード622の基材となるウレタンゴムに紫外線硬化樹脂を含浸させた後、一度、紫外線を照射して含浸させた紫外線硬化樹脂を硬化させた後に、表面層623を形成する樹脂で被覆する構成であれば、表面層623を形成する前にウレタンゴムに対して紫外線硬化樹脂の含浸状態を固定し、後から表面層623を形成する紫外線硬化樹脂を塗布しても、含浸状態が変化しないため、所望の含浸状態の弾性ブレード622を作成できる。
希釈溶剤にゴムへの浸透速度が速いものを用いる、含浸操作を長時間行うなど、基材(弾性ブレード622のウレタンゴム)の内部まで充分に含浸素材(紫外線硬化樹脂)が浸透する条件で実施すれば、一種の平衡状態となり、全体は均一組成となって傾斜性をもたない状態も作り出すことは可能である。しかし、本実施形態1では、含浸操作で紫外線硬化樹脂の含浸する量を抑制することで、弾性ブレード622のウレタンゴムに対する紫外線硬化樹脂の含有量に傾斜性を持たせている。
ここで、弾性ブレード622の基材に紫外線硬化樹脂を含浸させず、この基材よりも硬度の硬い表面層623のみを備える構成について説明する。表面層623を設けて摩擦係数を低減させても、経時で表面層623は摩耗し減少する。このとき、長期使用に耐え得るように、表面層623を厚くすると、弾性ブレード622の先端稜線部62cにおける弾性変形を阻害して、クリーニング不良となるおそれがある。一方、弾性ブレード622の先端稜線部62cにおける弾性変形を阻害しないように、表面層623を薄くすると、短時間で基材が露出する程度に表面層623が摩耗する。硬度の低い基材が露出して感光体3の表面に直接接触すると、クリーニングブレード62と感光体3表面との摩擦係数が大きくなり、異常摩耗や異音が発生する。
また、弾性ブレード622の基材に硬度の高い表面層623のみを設けると、高硬度層と基材層との境目で硬度が急激に変化して応力が集中し、弾性ブレード622が破損するおそれがある。これに対して、弾性ブレード622の基材に含有量に傾斜性を生じさせることで、高硬度層と基材層との境目で硬度が急激に変化することを抑制し、応力集中に起因して弾性ブレード622が破損することを防止できる。
このため、弾性ブレード622のブレード下面62bの全面に弾性ブレード622よりも硬度が高い表面層623を形成すると、ブレード下面62bに形成した表面層623が、弾性ブレード622の先端稜線部62cの感光体表面への弾性変形を阻害してしまい、先端稜線部62cにおいて感光体3表面への当接圧を高める向きに働く弾性変形に対する復元力がほとんど得られなくなってしまう。その結果、先端稜線部62cが感光体3の偏心や微小なうねりに対して追随できなくなってしまう。従って、感光体3に対する当接圧が変動してしまい、連続的なベタ画像形成時等、先端稜線部62cに堰きとめたトナーから大きな押圧力を受けるなどの厳しい条件において、当接圧が低下したときに、トナーがクリーニングブレード62からすり抜けてクリーニング不良を生じるおそれがある。
このような問題に対して、弾性ブレード622のブレード下面62bに表面層623を形成しないことも考えられる。しかし、ブレード下面62bに表面層623を形成しなかった場合は、弾性ブレード622の先端稜線部62cが感光体3の表面移動方向へ大きく弾性変形して、先端稜線部62cがめくれてしまい、めくれ摩耗が生じるおそれがある。
弾性ブレード622の材質、表面層623の材質、含浸処理方法、ブレード下面62bにおける表面層623の形成をそれぞれ変化させて、耐久試験を行った。
[弾性ブレード]
弾性ブレード622としては、表1のtanδピーク温度、23℃硬度、10℃硬度の物性となっている4つのウレタンゴムを用意した。なお、それぞれのJIS−A硬度と反発弾性率を示している。
ウレタンゴムの当接面側および裏側の硬度は、高分子計器社製MD−1を用い、試料は2[mm]のシート1枚とした。このMD−1を用いる利点は、極薄いサンプルの表層わずかな部分の硬度を測定できる点で、ウレタンゴムNo.3のような多層ゴムの、それぞれの層の硬度が測定可能である。
ウレタンゴムの硬度/JIS−Aは、島津製作所製デュロメーターを用いて測定した。試料は厚さ12[mm]以上となるように約2[mm]のシートを重ね合わせたものとした。
ウレタンゴムの反発弾性率は、東洋精機製作所製No.221レジリエンステスタを用い、JIS K6255に準じて測定した。試料は厚さ4[mm]以上となるように約2[mm]のシートを重ね合わせたものとした。
含浸処理や表面層623の形成処理に用いる硬化材料としては、以下の硬化材料1〜7のものを用いた。
<硬化材料1>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 8部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック IBOA 2部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :シクロヘキサノン 89部
<硬化材料2>
紫外線硬化樹脂1:日本化薬 DPCA−120 8部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック IBOA 2部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :シクロヘキサノン 89部
<硬化材料3>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 8部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック ODA−N 2部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :シクロヘキサノン 89部
<硬化材料4>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 8部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック HDDA 2部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :シクロヘキサノン 89部
<硬化材料5>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 6部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック EBECRYL11 4部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :シクロヘキサノン 89部
<硬化材料6>
紫外線硬化樹脂 :ダイセルサイテック PETIA 10部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :シクロヘキサノン 89部
<硬化材料7>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 5部
紫外線硬化樹脂2:根上工業 UN−2700 5部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :シクロヘキサノン 89部
また、弾性仕事率は、マルテンス硬度の計測時のビッカース圧子を押し込むときの積算応力をWplast、試験荷重除荷寺の積算応力をWelastとすると、弾性仕事率は、Welast/Wplast×100%の式から求めた。
上記ウレタンゴム1〜4のいずれかを用いて、厚さ1.8[mm]の短冊形状の弾性ブレードを作成し、この弾性ブレードを含浸材料として、上記硬化材料1〜7のいずれかに所定時間(30[秒])浸漬したのち、3分間風乾する。さらにスプレー塗工法とスクリーン印刷法により上記硬化材料1〜5のいずれかからなる表面層623を形成した。具体的には、適宜含浸処理を行った各々のウレタンゴムからなる弾性ブレードに対し、まずスプレー塗工によりブレード先端面から10[mm/s]のスプレーガン移動速度にて所定の層厚になるように先端面全面に重ね塗りを行った。3分間指触乾燥後、ブレード下面にスクリーン印刷によりブレード稜線部から所定の非形成領域をはさんで先端約3[mm]幅に表面層623が形成されるように塗工した。ブレード下面62bへのパターン塗工は、太陽精機製シルクスクリーン230メッシュを用い、UV露光により非形成領域を規制する所定のパターンを形成したのち、表面層材料として用いる硬化材料を溶媒量により粘度調節して塗工した。その後さらに3分間指触乾燥を行い、紫外線露光(140[W/cm]×5[m/min]×5パス)を行った。
トナー母体:円形度0.98、平均粒径4.9[μm]
外添剤 :小粒径シリカ1.5部(クラリアント製H2000)
小粒径酸化チタン0.5部(テイカ製MT−150AI)
大粒径シリカ1.0部(電気化学工業製UFP−30H)
検証実験は、実験室環境:21[℃]・65[%RH]、通紙条件:画像面積率5%チャートを3プリント/ジョブで、50,000枚(A4横)で行った。そして、以下の項目を評価した。
クリーニング不良発生:有無(目視観察)
評価時画像:縦帯パターン(紙進行方向に対して)43[mm]幅、3本チャート
出力20枚(A4横)
ブレードエッジ摩耗幅:図6に示すようにブレード先端面側からみた摩耗幅
ブレードエッジ摩耗深さ:摩耗幅と90°反対側の摩耗幅
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料1
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.5[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:10[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:6[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料2
表面層材料:硬化材料2
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.5[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:11[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料3
表面層材料:硬化材料3
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.9[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:9[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:4[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料4
表面層材料:硬化材料4
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.7[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:11[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:6[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料5
表面層材料:硬化材料5
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.4[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:13[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:6[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料5
表面層材料:硬化材料5
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.8[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:8[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:4[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料2
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1.0[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:10[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料6
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.5[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料4
表面層材料:硬化材料2
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.05[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:7[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:2[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料4
表面層材料:硬化材料6
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:10[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:6[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料6
表面層材料:硬化材料6
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.5[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:10[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:30[μm]
クリーニング不良発生:全面
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料7
表面層材料:硬化材料7
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.9[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:8[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:20[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が2箇所
異音発生:なし
先端面えぐれ摩耗
ベースゴム:ウレタンゴム4
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料1
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.3[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:25[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:25[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が5箇所
異音発生:ビビリ
ベースゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :−
表面層材料:−
ブレードエッジ摩耗幅:10[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:15[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が2箇所
異音発生:なし
先端面えぐれ摩耗
<比較例5>
ベースゴム:ウレタンゴム4
含浸材料 :−
表面層材料:−
ブレードエッジ摩耗幅:30[μm]
ブレードエッジ摩耗深さ:30[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が7箇所
異音発生:なし
先端面えぐれ摩耗
実施例1〜実施例10においては、弾性ブレード622として、tanδピーク温度が0℃以上、且つ、JIS−A硬度の23℃から10℃における変化量が5°以上のウレタンゴムを用い、マルテンス硬度が250〜500N/mm2、弾性仕事率75%以下の紫外線硬化樹脂を用いて、その先端稜線部を含む部分に含浸処理を行い、先端稜線部を含む弾性ブレードの表面に弾性ブレードよりも硬い表面層623を1μm以下の厚みで設けたものである。含浸処理による硬度上昇を図り、先端稜線部の動きが抑制され過ぎず、且つ、クリーニングブレードとしての姿勢を適度に保つことができるレベルで、先端稜線部62cの改質処理がなされている。このため、ブレード先端面62aに表面層623を設けた構成において、経時的な異音発生を回避することができたと考えられる。さらに、感光体3と先端稜線部62cとの間で生じる摩擦力を低減することができ、先端稜線部62cのめくれを抑制することができるとともに、弾性ブレード622の摩耗も抑制することができたと考えられる。表面層623は感光体3との接触部近傍の弾性体部分を補強する効果を有しており、それにより先端稜線部62cの運動を適度に制御することができ、異音発生を生じることなく、めくれを抑制できたと考えられる。
表面層623を形成する被膜樹脂としては、実施例1〜6に示すように、含浸処理をおこなう紫外線硬化樹脂と同一処方のものを用いることができる。また、実施例7〜10に示すように、表面層623を形成する被膜樹脂が、含浸処理をおこなう紫外線硬化樹脂とが異なるものであってもよい。表面層623としては、弾性ブレード622より硬い樹脂であれば、上記効果を得ることができる。
また、比較例2においては、クリーニング評価において、帯状にクリーニング不良が発生した。これは、比較例2では、含浸処理に用いた紫外線硬化樹脂が上記範囲を満たしておらず、柔らかすぎる。このため、先端稜線部62cの運動性を抑制できず、含浸処理および表面層を設けていない基材ウレタンゴムと同様の先端面えぐれ摩耗が発生し、摩耗進行とともに露出した基材ウレタンゴムが不快なビビリ音を発生させると共に、トナーすり抜けによるクリーニング不良が発生したと考えられる。
比較例3においては、弾性ブレード622に用いるウレタンゴムのtanδピーク温度が低い、即ち架橋密度が低いゴムを用いたため、耐久性の高い表面層で被覆しても長期的な摩耗進行によるゴム露出後の摩耗速度が速く、トナーすり抜けによるクリーニング不良が発生したと考えられる。
また、比較例4および5においては、クリーニング評価において、帯状クリーニング不良が発生した。これは、含浸処理および表面層を設けていないことから、先端摩擦係数が高く、先端稜線部62cの運動性を適度に制御できていないため、先端面えぐれ摩耗が発生し、局所的なトナーすり抜けによりクリーニング不良が発生したと考えられる。
本発明を適用した画像形成装置の他の実施形態(以下、実施形態2という)について説明する。ここで、本実施形態2に係るプリンタの基本的な構成は、実施形態1に係るプリンタの構成と同様なので、その説明は省略する。また、実施形態1と本実施形態2とでは、弾性ブレード622の先端稜線部を含む部分に浸透させる紫外線硬化樹脂にフッ素系アクリルモノマーを含んでいることに係る点のみ異なる。したがって、実施形態1と同様な構成部材については、同一の符号を付して説明するとともに、同一な構成・動作、及び効果については、適宜、省略して説明する。また、上述した実施形態1の説明で用いた図についても、適宜、流用して説明する。また、図10は、本実施形態2に係る、弾性ブレードの摩耗断面積の測定箇所を示した模式図である。
弾性ブレード622は、ホルダー621の一端側に接着剤などにより固定されており、ホルダー621の他端側は、クリーニング装置6のケースに片持ち支持されている。
紫外線硬化樹脂を含浸させた後、または、表面層623による被覆を行った後に、紫外線を照射することで、図1に示す含浸部分62dを形成し、先端稜線部62cの硬度上昇を図る改質効果を生じさせることができる。特許文献3に記載の弾性ブレードでは、イソシアネート化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物等の含浸をさせて改質を行っているが、本実施形態2のように紫外線硬化樹脂を含浸させて紫外線を照射することで、さらに耐久性の向上を図ることができる。これは実施形態1で説明した理由と同様なものと考えられる。
これらのように紫外線硬化樹脂を硬化させることで、実施形態1と同様に所望の含浸状態の弾性ブレード622を作成できる。
[弾性ブレード]
弾性ブレード622としては、表1のtanδピーク温度、23℃硬度、10℃硬度の物性となっている5つのウレタンゴムを用意した。なお、それぞれのJIS−A硬度と反発弾性率を示している。
含浸処理や表面層623の形成処理に用いる硬化材料としては、以下の硬化材料1〜10のものを用いた。
<硬化材料1>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 8部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック ODA−N 2部
紫外線硬化樹脂3:ダイキン OPTOOL DAC−HP 0.1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 0.5部
溶媒 :シクロヘキサノン 89.4部
<硬化材料2>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 7部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック EBECRYL11 3部
紫外線硬化樹脂3:ダイキン OPTOOL DAC−HP 0.1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 0.5部
溶媒 :シクロヘキサノン 89.4部
<硬化材料3>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 8部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック IBOA 2部
紫外線硬化樹脂3:ダイキン OPTOOL DAC−HP 0.1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 0.5部
溶媒 :シクロヘキサノン 89.4部
<硬化材料4>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 7部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック HDDA 3部
紫外線硬化樹脂3:DIC RS−75 0.1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 0.5部
溶媒 :シクロヘキサノン 89.4部
<硬化材料5>
紫外線硬化樹脂1:日本化薬 DPCA−120 8部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック IBOA 2部
紫外線硬化樹脂3:DIC RS−75 0.1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 0.5部
溶媒 :シクロヘキサノン 89.4部
<硬化材料6>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 7部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック EBECRYL11 3部
紫外線硬化樹脂3:DIC RS−75 0.1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 0.5部
溶媒 :シクロヘキサノン 89.4部
<硬化材料7>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 8部
紫外線硬化樹脂2:根上工業 UN−2700 2部
紫外線硬化樹脂3:DIC RS−75 0.1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 0.5部
溶媒 :シクロヘキサノン 89.4部
<硬化材料8>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 8部
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック ODA−N 2部
紫外線硬化樹脂3:シルセスキオキサン系表面改質剤 0.1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 0.5部
溶媒 :シクロヘキサノン 89.4部
<硬化材料9>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 10部
紫外線硬化樹脂2:ダイキン OPTOOL DAC−HP 0.1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 0.5部
溶媒 :シクロヘキサノン 89.4部
<硬化材料10>
紫外線硬化樹脂1:ダイセルサイテック PETIA 5部
紫外線硬化樹脂2:根上工業 UN−2700 5部
紫外線硬化樹脂3:DIC RS−75 0.1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 0.5部
溶媒 :シクロヘキサノン 89.4部
上記ウレタンゴム1〜5のいずれかを用いて厚さ1.8[mm]の短冊形状の弾性ブレードを作成し、この弾性ブレードを含浸材料として上記硬化材料1〜10のいずれかに所定時間浸漬したのち、3分間風乾する。さらにスプレー塗工法とスクリーン印刷法により上記硬化材料1〜10のいずれかからなる表面層623を形成した。具体的な表面層623を形成する方法は、実施形態1と同様である。
トナー母体:円形度0.98、平均粒径4.9[μm]
外添剤 :小粒径シリカ1.5部(クラリアント製H2000)
小粒径酸化チタン0.5部(テイカ製MT−150AI)
大粒径シリカ1.0部(電気化学工業製UFP−30H)
検証実験は、実験室環境:21[℃]・65[%RH]、通紙条件:画像面積率5%チャートを3プリント/ジョブで、50,000枚(A4横)で行った。そして、以下の項目を評価した。
クリーニング不良発生:有無(目視観察)
評価時画像:縦帯パターン(紙進行方向に対して)43[mm]幅、3本チャート
出力20枚(A4横)
ブレードエッジ摩耗断面積:図10に示すようにブレード先端部の摩耗損失部分
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料1
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.75[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:2[μm2]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料3
表面層材料:硬化材料3
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.5[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:3[μm2]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料6
表面層材料:硬化材料6
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.7[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:2[μm2]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料7
表面層材料:硬化材料7
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1.0[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:4[μm2]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料2
表面層材料:硬化材料2
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.1[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:5[μm2]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料4
表面層材料:硬化材料4
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.07[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:2[μm2]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料5
表面層材料:硬化材料5
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.25[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:3[μm2]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料6
表面層材料:硬化材料6
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.15[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:5[μm2]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料4
表面層材料:硬化材料4
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.05[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:2[μm2]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム4
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料1
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.35[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:4[μm2]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :−
表面層材料:−
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:73[μm2]
クリーニング不良発生:全面
異音発生:なし
先端面えぐれ摩耗
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料8
表面層材料:硬化材料8
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.6[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:49[μm2]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が3箇所
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料1
エッジ部より50[μm]での表面層厚:5[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:23[μm2]
クリーニング不良発生:全面クリーニング不良
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料1
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.8[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:35[μm2]
クリーニング不良発生:全面クリーニング不良
異音発生:なし
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :−
表面層材料:硬化材料9
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.5[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:15[μm2]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が2箇所
異音発生:なし
先端面えぐれ摩耗
ベースゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料10
表面層材料:硬化材料10
エッジ部より50[μm]での表面層厚:5[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:18[μm2]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が4箇所
異音発生:不快なビビリ音
先端面えぐれ摩耗
ベースゴム:ウレタンゴム5
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料1
エッジ部より50[μm]での表面層厚:0.6[μm]
ブレードエッジ摩耗断面積:65[μm2]
クリーニング不良発生:全面クリーニング不良
異音発生:なし
先端面えぐれ摩耗
実施例1〜実施例10においては、含浸処理による硬度上昇を図り、先端稜線部62cの改質処理がなされている。さらに、潤滑剤塗布装置10による潤滑剤塗布により感光体3表面の摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持されている。このため、ブレード先端面62aに表面層623を設けた構成において、経時的な異音発生を回避することができたと考えられる。さらに、感光体3と先端稜線部62cとの間で生じる摩擦力を低減することができ、先端稜線部62cのめくれを抑制することができるとともに、弾性ブレード622の摩耗も抑制することができたと考えられる。表面層623は感光体3との接触部近傍の弾性体部分を補強する効果を有しており、それにより先端稜線部62cの運動を適度に制御することができ、異音発生を生じることなく、めくれを抑制できたと考えられる。
また、比較例2においては、クリーニング評価において、帯状にクリーニング不良が発生した。これは、ゴム表面からの紫外線硬化樹脂の含浸深さが充分ではないため、部分的に改質部が損耗して非改質部が露出し、そこが大きく摩耗してクリーニング不良が発生したと考えられる。
また、比較例3においては、クリーニング評価において、全面にクリーニング不良が発生した。これは表面層の膜厚を厚く設定したため、先端稜線部の挙動が抑制されすぎた結果、像担持体との摺擦エネルギーがブレードの先端稜線部62cに部分的に集中し損耗した結果、トナーすり抜けによりクリーニング不良が発生したと考えられる。
また、比較例5においては、クリーニング評価において、帯状にクリーニング不良が発生した。これは含浸処理をせず、表面層のみ形成したため、ゴム内部に紫外線硬化樹脂がほとんど含浸せず、ゴム内部の改質が行われなかったため耐摩耗性が充分でなく、先に表面層が損耗してゴムが露出した先端稜線部62cに像担持体との摺動エネルギーが集中し大きく損耗した結果、トナーすり抜けによりクリーニング不良が発生したと考えられる。
また、比較例7においては、ゴムのtanδピーク温度が低い、即ち架橋密度が低いゴムを用いたため、耐久性の高い表面層で被覆しても長期的な摩耗進行によるゴム露出後の摩耗速度が速く、トナーすり抜けによるクリーニング不良が発生したと考えられる。
(態様A)
短冊形状の弾性ブレード622で構成され、弾性ブレードの先端稜線部62cを表面移動する感光体3等の被清掃部材の表面に当接して、被清掃部材表面から粉体を除去するクリーニングブレード62において、弾性ブレードは、tanδピーク温度が0℃以上、且つ、JIS−A硬度の23℃から10℃における変化量が5°以上であるウレタンゴムであり、弾性ブレードの先端稜線部を含む部分にマルテンス硬度が250〜500N/mm2、弾性仕事率が75%以下の紫外線硬化樹脂が含浸され、且つ、先端稜線部を含む弾性ブレードの表面に弾性ブレードよりも硬い表面層を1μm以下の厚みで設ける。これによれば、上記各実施形態について説明したように、経時使用時の異常摩耗及び異音の発生を抑制しつつ、先端稜線部のめくれを抑制し、かつ、先端稜線部の被清掃部材に対する追随性を良好にでき当接圧を維持することができる。
(態様B)
(態様A)において、表面層623として、弾性ブレード622を紫外線硬化樹脂で被覆している。これによれば、上記各実施形態について説明したように、所望の硬度を有する表面層623を容易に得ることができ、クリーニングブレード62を安価に製造することができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、紫外線硬化樹脂が、官能基当量分子量350以下、官能基数3〜6のペンタエリスリトール・トリアクリレートを主要骨格とする材料である。これにより、上記各実施形態について説明したように、紫外線硬化樹脂を含む層が脆弱になり過ぎることを防止して、先端稜線部のめくれや先端面摩耗をさらに良好に抑制することができる。
(態様D)
(態様A)、(態様B)または(態様C)において、紫外線硬化樹脂として、官能基当量分子量100〜1000、官能基数1〜2のアクリレート材料を混合する構成とする。これによれば、上記各実施形態について説明したように、表面層623に可撓性を付与することが可能であり、特定環境での異音が発生した時などにブレード挙動を微調整するなど、環境特性等を向上させることも可能となる。
(態様E)
(態様A)、(態様B)、(態様C)または(態様D)において、クリーニングブレード62の弾性ブレード622に紫外線硬化樹脂を含浸させ硬化させた後のマルテンス硬度変化率を5%以下とする。これにより、上記各実施形態について説明したように、架橋密度が必要以上に上昇することが抑制され、先端稜線部62cは適度にスティックスリップ運動することで応力集中を防ぎ、高い耐摩耗性を発揮することができる
(態様F)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)または(態様E)において、クリーニングブレード62は、弾性ブレード622として、硬度の異なるゴムを遠心成型などで一体的に積層する。これによれば、上記各実施形態について説明したように、先端稜線部62cとなる側に架橋密度の高い層、反対側に適度な架橋密度、すなわち、高い反発弾性を持つ層を配し、高耐久かつ、低温領域でのクリーニング性能低下を抑制できる。
(態様G)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)または(態様F)のいずれかにおいて、クリーニングブレード62の上記先端稜線部を含む部分に浸透させる紫外線硬化樹脂が、フッ素系アクリルモノマーを含む紫外線硬化樹脂であり、該弾性ブレードの表面より100μm以上内部まで含浸されている。これによれば、上記実施形態2について説明したように、経時使用時の異常摩耗及び異音の発生を抑制しつつ、先端稜線部62cのめくれを抑制し、かつ、先端稜線部62cの被清掃部材である感光体3に対する追随性を良好にでき当接圧を維持することができる。
(態様H)
(態様G)において、フッ素系アクリルモノマーが、パーフルオロポリエーテル骨格を持ち、官能基数2以上のアクリレートである。これによれば、上記実施形態2について説明したように、経時使用時の異常摩耗及び異音の発生を抑制しつつ、先端稜線部62cのめくれを抑制し、かつ、先端稜線部62cの被清掃部材である感光体3に対する追随性を良好にでき当接圧を維持することができる。
(態様I)
感光体3等の像担持体と、像担持体の表面を帯電する帯電ローラ4等の帯電手段と、帯電した像担持体表面に静電潜像を形成する光書込ユニット40等の潜像形成手段と、像担持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像化する現像装置5等の現像手段と、像担持体表面のトナー像を転写体である転写紙Pに転写する転写ユニット60等の転写手段と、像担持体表面に当接して像担持体表面に付着した残トナーを除去するクリーニング部材を有するクリーニング装置6等のクリーニング手段とを備えたプリンタ500等の画像形成装置である。このような画像形成装置において、クリーニング部材として、(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)、(態様G)または(態様H)のクリーニングブレードを用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、経時使用時においても、異常摩耗及び異音の発生を抑制しつつ、良好なクリーニング性能を維持でき、高品位な画像を形成することができる。
(態様J)
感光体3等の像担持体と、少なくとも像担持体表面に付着した残トナーを除去するクリーニング部材を有するクリーニング装置6とを一体に支持し、プリンタ500等の画像形成装置本体に対して本体に対して着脱自在な作像ユニット1等のプロセスカートリッジである。このようなプロセスカートリッジのクリーニング部材として、(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)、(態様G)または(態様H)のクリーニングブレードを用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、経時使用時においても、クリーニング性が良好なプロセスカートリッジを提供することができる。
3 感光体
6 クリーニング装置
10 潤滑剤塗布装置
14 中間転写ベルト
60 転写ユニット
62 クリーニングブレード
62a ブレード先端面
62b ブレード下面
62c 先端稜線部
62d 含浸部分
80 定着ユニット
101 ファーブラシ
103 固形潤滑剤
162 ベルトクリーニングユニット
162a ベルトクリーニングブレード
500 プリンタ
621 ホルダー
622 弾性ブレード
623 表面層
Claims (10)
- 短冊形状の弾性ブレードで構成され、該弾性ブレードの先端稜線部を表面移動する被清掃部材の表面に当接して、該被清掃部材表面から粉体を除去するクリーニングブレードにおいて、
上記弾性ブレードは、tanδピーク温度が0℃以上、且つ、JIS−A硬度の23℃から10℃における変化量が5°以上であるウレタンゴムであり、該弾性ブレードの上記先端稜線部を含む部分にマルテンス硬度が250〜500N/mm2、弾性仕事率が75%以下の紫外線硬化樹脂が含浸され、且つ、該先端稜線部を含む該弾性ブレードの表面に該弾性ブレードよりも硬い表面層を1μm以下の厚みで設けたことを特徴とするクリーニングブレード。 - 請求項1のクリーニングブレードにおいて、上記表面層は、上記弾性ブレードを紫外線硬化樹脂で被覆して形成されたものであることを特徴とクリーニングブレード。
- 請求項1または2のクリーニングブレードにおいて、上記紫外線硬化樹脂が、官能基当量分子量350以下、官能基数3〜6のペンタエリスリトール・トリアクリレートを主要骨格とする材料であることを特徴とするクリーニングブレード。
- 請求項1、2または3のいずれかのクリーニングブレードにおいて、上記紫外線硬化樹脂に、官能基当量分子量100〜1000、官能基数1〜2のアクリレート材料を混合することを特徴とするクリーニングブレード。
- 請求項1、2、3または4のいずれかのクリーニングブレードにおいて、上記紫外線硬化樹脂を含浸し硬化後のゴム内部マルテンス硬度変化率が5%以下であることを特徴とするクリーニングブレード。
- 請求項1、2、3、4または5のいずれかのクリーニングブレードにおいて、上記弾性ブレードはJIS−A硬度の異なる2種類以上のゴムが一体成型によって積層されたものであることを特徴とするクリーニングブレード。
- 請求項1、2、3、4、5または6のいずれかのクリーニングブレードにおいて、上記弾性ブレードの上記先端稜線部を含む部分に浸透、及び上記弾性ブレードを被覆させる紫外線硬化樹脂が、フッ素系アクリルモノマーを含む紫外線硬化樹脂であり、該弾性ブレードの表面より100μm以上内部まで含浸されていることを特徴とするクリーニングブレード。
- 請求項7のクリーニングブレードにおいて、フッ素系アクリルモノマーが、パーフルオロポリエーテル骨格を持ち、官能基数2以上のアクリレートであることを特徴とするクリーニングブレード。
- 表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置において、上記像担持体の表面に接触し、その表面上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング部材として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とする画像形成装置。
- 表面移動する潜像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、該潜像担持体を上記被清掃部材としてその表面に接触し、その表面上に付着した不要な付着物を除去するクリーニング部材を有するクリーニング手段と、該潜像担持体とを一体に支持したプロセスカートリッジにおいて、上記クリーニング部材として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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