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JP5995685B2 - 廃熱回収設備 - Google Patents

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JP5995685B2
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Description

本発明は、廃熱回収設備に関し、詳しくは廃熱ボイラを備えた廃棄物処理炉に組み込まれる廃熱回収設備に関する。
下水処理場には、下水処理設備で発生した有機性の汚泥を処理するために、汚泥用の焼却設備や溶融設備が設置されている。例えば、流動床式焼却炉やコークスベッド溶融炉である。
このような焼却設備や溶融設備を運転するために、重油やコークス等の化石燃料が必要になるばかりか、設備を稼動するために電力が必要になり、一定の維持コストがかかる。
大規模なゴミ焼却設備等の廃棄物処理設備には、廃熱ボイラで発生した蒸気で発電する発電設備が組み込まれ、設備を稼動するために必要な電力を自己発電電力で賄うとともに余剰電力を電力会社に売電している。
しかし、処理量が少ない小規模のゴミ焼却設備では、それほど発電量を稼ぐことができないため、経済性等の観点で発電設備の設置が見送られる場合も多い。
このような背景の下、下水処理設備で発生した有機性の汚泥に含まれる可燃分を廃棄物とともに廃棄物処理炉で焼却または溶融処理するように構成することが考えられている。
このような廃棄物処理炉によれば、廃棄物の処理量がそれほど多くない場合でも、汚泥を熱源として燃焼させることにより、廃熱ボイラである程度安定的に蒸気を発生させることができ、発電設備を設置することが可能になる。そして、廃棄物処理炉を含む設備を稼動するためにその発電電力を利用することで、電力コストや燃料コストを低減することが可能になる。
また、下水汚泥中の窒素(N)含有率は、一般ゴミに対して5倍程度と非常に高いため、下水汚泥焼却施設での汚泥の焼却時に亜酸化窒素(NO)が多く発生して地球温暖化に影響を与えている。下水汚泥焼却施設では、亜酸化窒素(NO)の発生量を抑制するために従来の800℃程度から850℃以上の高温汚泥を燃焼させることにより改善を図っているが、化石燃料の使用量が増加するという問題があった。そこで、汚泥をゴミ焼却炉で一般ゴミと混焼させれば、化石燃料を使用せずに高温燃焼が可能となり、亜酸化窒素(NO)の発生を抑制することができる。
ところで、有機成分を含む下水汚泥を熱源として効率よく燃焼させるためには、汚泥を予め乾燥させて含水率を低下させる必要がある。そのため、特許文献1や特許文献2には、下水汚泥の脱水ケーキを乾燥機により乾燥して焼却炉により焼却するとともに、この焼却炉で発生した蒸気を乾燥機に供給して脱水ケーキを乾燥させる下水汚泥の焼却方法が提案されている。
また、特許文献3には、背圧タービンの排気蒸気の潜熱を汚泥乾燥の熱源に用いる構成が開示されている。
特開2004−278950号公報 特開平09−273704号公報 特開平10−30809号公報
しかし、特許文献1に記載されたような下水汚泥の焼却方法では、焼却炉に設置された廃熱ボイラで生成された蒸気の一部を脱水ケーキの加熱乾燥のために用いる必要があり、廃熱ボイラで生成された蒸気による発電量が低下するという問題があった。
また、特許文献3に記載されたような蒸気が復水へ状態変化する際の潜熱を利用する方法では、温度が低いために汚泥を十分に乾燥させることが困難であった。また、煙突排ガスの保有熱を回収して汚泥を乾燥させる場合には、例えば200℃の排ガスと常温の空気を熱交換する際に、低温腐食の発生温度より管壁温度が低下しないように、空気の一部を循環させる循環方式等を採用する必要があり、熱交換器が大型になり設備コストの上昇や設置スペースの制限等の観点で実現が困難であった。
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、発電量の低下や低温腐食を招くことなく、廃棄物処理炉の廃熱を有効に活用して汚泥を乾燥させることが可能な廃熱回収設備を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による廃熱回収設備の第一特徴構成は、特許請求の範囲の請求項1に記載した通り、廃熱ボイラを備えた廃棄物処理炉に組み込まれる廃熱回収設備であって、煙道に設置され、前記廃熱ボイラへ供給される脱気器の加圧給水が被加熱媒体として分岐供給される熱交換器と、前記熱交換器で熱交換された被加熱媒体により汚泥を乾燥させる汚泥乾燥機と、を備えている点にある。
通常、廃熱ボイラを経て煙道に流下する排ガスの保有熱が熱交換器で効率的に回収でき、例えば減温塔を設けなくても熱交換器で十分に減温された排ガスをそのままバグフィルタに流下させることができるようになる。その結果、汚泥を乾燥させるために従来のように廃熱ボイラで生成された蒸気を用いる必要がなくなり、蒸気による発電効率の低下を来たすこともなくなる。
そして、廃熱を回収する被加熱媒体としてボイラ給水である加圧給水が用いられるので、気体を被加熱媒体として用いる場合よりも熱伝達率を向上させることができ、それだけ効率的に汚泥を乾燥させることができるようにもなる。
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記熱交換器がエコノマイザの下流側煙道に設置され、前記エコノマイザへ供給される脱気器の加圧給水が被加熱媒体として分岐供給される点にある。
煙道に沿ってエコノマイザと熱交換器が順に配置され、脱気器で脱気された加圧給水がエコノマイザと熱交換器にそれぞれ供給される。例えば、エコノマイザで加熱された加圧給水が廃熱ボイラに供給され、熱交換器で加熱された加圧給水が汚泥乾燥機に送られ、さらに熱交換器を通過して減温された排ガスが後段の排ガス処理設備に供給される。通常、エコノマイザを通過した排ガスは、減温塔を経てバグフィルタ等の集塵機に送られるが、上述の構成によれば、熱交換器で十分に減温されるため、減温塔を設ける必要が無く、しかも廃熱が効率的に回収できるようになる。その結果、汚泥を乾燥させるために従来のように廃熱ボイラで生成された蒸気を用いる必要がなくなり、蒸気による発電効率の低下を来たすこともなくなる。
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、前記熱交換器から排出された排ガスが所定温度を下回らないように、前記熱交換器への給水量を調整する制御機構を備えている点にある。
廃棄物処理炉で処理される廃棄物の性状は様々に変動するため、熱交換器に流入する排ガス量も変動する。廃棄物の燃焼状態が大きく低下して排ガス量が低下しても、熱交換器から排出された排ガスが所定温度を下回らないように、制御機構によって熱交換器への給水量が調整されるので、低温腐食の発生を未然に防止することができる。
また、集塵機の前段の減温塔を無くすために伝熱面積を大きくしたエコノマイザを備え、廃熱を効率的に回収するいわゆる低温エコを採用した廃棄物処理炉では、廃棄物の燃焼状態が大きく低下して排ガス量が低下すると、エコノマイザで必要以上に吸熱されて出口温度が低下するため、低温腐食が発生する虞もある。しかし、上述の構成によれば、いわゆる低温エコではない通常のエコノマイザを用いても、減温塔が不要になるばかりか、制御機構によって熱交換器への給水量が調整されるので、低温腐食の発生を未然に防止することができる。
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの第二特徴構成に加えて、前記汚泥乾燥機で乾燥された汚泥を前記廃棄物処理炉に廃棄物として供給する汚泥供給機構を備えている点にある。
汚泥乾燥機で乾燥された汚泥が汚泥供給機構を介して廃棄物処理炉に廃棄物として供給されるので、汚泥の保有熱量を発電に有効に活用することができ、少なくともその電力を設備の稼動に利用することができるので、運転コストを軽減させることができる。
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記汚泥乾燥機で発生した汚泥蒸気を前記廃棄物処理炉の二次燃焼部の攪拌ガスとして供給するガス供給機構を備えている点にある。
汚泥蒸気には様々な臭気成分が含まれているため、大気開放するためには臭気ガス成分を除去するフィルタ装置が必要になる。しかし、上述の構成によれば、汚泥乾燥機で発生した汚泥蒸気が、廃棄物処理炉の二次燃焼部の攪拌ガスとして供給されるので、二次燃焼部でその臭気成分を熱分解することができるようになり、しかも、高温の蒸気として二次燃焼部に供給されるので、二次燃焼温度の低下を来たすことなく二次燃焼を促進することができる。
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記汚泥乾燥機から排出された被加熱媒体を脱気器の熱源として供給する供給経路を備えている点にある。
ボイラ給水は脱気器で脱気された後に廃熱ボイラに循環供給される。従来、廃熱ボイラで生成され、蒸気溜めに蓄積された蒸気の一部が、脱気のための熱源として脱気器に供給されていたが、上述の構成によれば、被加熱媒体である加圧給水が供給経路を介して汚泥乾燥機から脱気器に供給され、脱気の熱源として用いられるようになり、これまで脱気のための熱源となっていた蒸気を発電に用いることでより一層発電効率を高めることができるようになった。
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第六特徴構成に加えて、前記廃熱ボイラで生成された蒸気を蓄積する蒸気溜めと、前記蒸気溜めに蓄積された蒸気の一部を前記脱気器の熱源として供給する蒸気供給経路と、前記脱気器への蒸気の供給量を調整する制御機構を備えている点にある。
汚泥乾燥機から脱気器へ供給される加圧水が脱気の熱源として不足するような温度に低下し或いは流量が低下すると、脱気が十分に行われない虞がある。上述の構成によれば、廃熱ボイラで生成され、蒸気溜めに蓄積された蒸気の一部が、脱気のための熱源として蒸気供給経路を介して脱気器に供給され、熱源の不足分を補うことができる。このとき、脱気器に供給される脱気の熱源の不足の程度に応じて、制御機構によって脱気器への蒸気の供給量を調整することができる。
以上説明した通り、本発明によれば、発電量の低下や低温腐食を招くことなく、廃棄物処理炉の廃熱を有効に活用して汚泥を乾燥させることが可能な廃熱回収設備を提供することができるようになった。
本発明による廃熱回収設備が組み込まれた廃棄物処理炉の説明図 熱交換器の制御装置により実行される制御手順のフローチャート 本発明による廃熱回収設備の運転態様の説明図 本発明による熱交換器の機械的サイズを算出するためのモデルの説明図 発明による廃熱回収設備が組み込まれた別の態様の廃棄物処理炉の説明図
以下、本発明による廃熱回収設備を図面に基づいて説明する。
図1には、下水処理場の敷地内に構築された廃棄物処理炉の一例であるストーカ式の焼却炉1が示されている。ホッパー2に投入された都市ゴミ等の廃棄物が、ホッパー2下部のプッシャー機構3により炉内に装入され、ストーカ機構4で攪拌及び押圧搬送されつつ一次燃焼され、燃焼ガスがその上方空間の二次燃焼部5で約950℃前後の温度で完全燃焼される。
ストーカ機構4の下方に備えた一次燃焼空気供給機構6から一次燃焼空気が供給されてストーカ上で廃棄物が一次燃焼し、気化した可燃性ガスと一次燃焼で寄与しなかった空気が二次燃焼部5で二次燃焼する。二次燃焼部5の側壁には、二次燃焼部で未燃焼ガスと空気とを攪拌して完全燃焼させるための攪拌用ガスを供給するガス噴射ノズル群で構成されたガス供給機構7が設置されている。
二次燃焼部5の上部には廃熱ボイラ8及び過熱器9が設置され、廃熱ボイラ8で生成され、過熱器9で過熱された蒸気が蒸気溜め27を経由して発電設備20に供給される。廃熱ボイラを通過した排ガスは、煙道に沿って配置されたエコノマイザ10、熱交換器11、バグフィルタ12等を経て煙突15から排気される。
発電設備20には、蒸気溜め27からの過熱蒸気が供給される蒸気タービン21、蒸気タービン21で回転駆動される発電機22、復水器23、復水タンク24、脱気器25等を備えている。蒸気タービン21からの排蒸気が復水器23で復水され、脱気器25で脱気されたボイラ給水がエコノマイザ10で余熱された後に廃熱ボイラ8に循環供給される。
本発明による廃熱回収設備30は、上述の熱交換器11と、汚泥乾燥機31とを備えて構成されている。当該熱交換器11は、エコノマイザ10の下流側煙道に設置され、エコノマイザ10へ供給される脱気器25の加圧給水が被加熱媒体として分岐供給されている。
エコノマイザ10で加熱されたボイラ給水が廃熱ボイラ8に供給され、熱交換器11で加熱された加圧水が汚泥乾燥機31に送られる。そして熱交換器11を通過して減温された排ガスが後段の排ガス処理設備に供給される。
通常、エコノマイザ10を通過した排ガスは、減温塔を経てバグフィルタ等の集塵機に送られるが、当該構成によれば、熱交換器11で十分に減温されるため、減温塔等の別途の減温装置を設ける必要が無く、従って廃熱が効率的に回収できるようになる。
その結果、汚泥を乾燥させるために従来のように廃熱ボイラ8で生成された蒸気を用いる必要がなくなり、蒸気による発電効率の低下を来たすこともなくなる。
熱交換器11への加圧給水の入口経路に給水バルブ機構32aが設けられ、出口経路に出水バルブ機構32bが設けられ、それらバルブ機構32(32a,32b)の開度を制御する制御装置33(33a,33b)が設けられている。
制御装置33(33a,33b)は、熱交換器11を通過した排ガスの温度を温度センサで計測し、その計測温度に基づいて給水バルブ機構32aの開度を調整するとともに、熱交換器11出口部の加圧水の圧力を圧力センサで計測し、その計測値に基づいて出水バルブ機構32bの開度を調整する。
図2に示すように、制御装置33a(33)は、熱交換器11を通過した排ガスの温度が低温腐食を回避するために設定された所定の下限温度、例えば160℃より低下すると(S1,Y)、給水バルブ機構32aを閉塞或いは開度を絞って排ガス温度の低下を回避し(S2)、排ガスの温度が当該所定の下限温度よりも高温である場合には(S1,N)、給水バルブ機構32aの開度を調整して、排ガス温度を所定の温度以上に維持する(S3)。
さらに、制御装置33b(33)は、熱交換器11の出口部の加圧水の圧力が所定圧力範囲、例えば3MPa〜4MPaの範囲に入っていれば(S4、Y)、出水バルブ機構32bの開度を維持し(S5)、所定圧力範囲を逸脱していれば(S4,N)、所定範囲に維持されるように、出水バルブ機構32bの開度をPID制御で調整して(S6)、規定圧以上に上がった場合に熱交換器が噴破することを防止し、また熱交換器内で加圧水が蒸気化することを防ぐ。
ステップS3では、例えば、現在の排ガス出口温度と排ガス出口目標温度との偏差等に基づき給水バルブ機構32aの開度目標値を算出してその目標値に制御するPID制御を行うことができる。例えば上述した低音腐食回避のための下限温度を排ガス出口目標温度に設定することができる。
ステップS6では、例えば、現在の加圧水の圧力と、所定圧力範囲に設定された目標圧力との偏差等に基づき出水バルブ機構の開度目標値を算出してその目標値に制御するPID制御を行うことができる。尚、ステップS5でも同様のPID制御を行ってもよい。
即ち、制御装置33(33a)とバルブ機構32(32a)によって、熱交換器11から排出された排ガスが所定温度を下回らないように、熱交換器11への給水量を調整する制御機構が構成されている。尚、説明の便宜のために制御装置33が33a,33bの二つのブロックで構成されているように説明しているが、それぞれが独立した別体で構成されていてもよいし、一体に構成され、それぞれが独立して制御対象を制御する構成であってもよい。
汚泥乾燥機31は、熱交換器11で熱交換された被加熱媒体である加圧水を熱源として、脱水汚泥を乾燥処理する装置で、外側筒状体34aに対して内側筒状体34bが駆動機構(図示せず)を介して回転可能に支持された同軸心の二重の筒状体(キルン)34で構成されている。尚、脱水汚泥とは、下水処理設備で発生した余剰汚泥で、フィルタプレス等の脱水機で脱水された汚泥をいう。
筒状体(キルン)34の一端側から内側筒状体34bにフィーダ37を介して供給された脱水汚泥が、内側筒状体34bの回転に伴ってその内壁に設けられた攪拌羽根で攪拌搬送されながら加熱乾燥され、他端側から排出される。熱交換器11で加熱された加圧水が、汚泥の搬送方向と対向するように、他端側から外側筒状体34aと内側筒状体34bとで仕切られる空間に供給され、内側筒状体34bの壁面を介して汚泥を間接加熱した後に一端側から排出される。
廃熱を回収する被加熱媒体として加圧水が用いられるので、被加熱媒体として蒸気や空気等の気体を用いる場合よりも熱伝達率を向上させることができ、それだけ効率的に汚泥を乾燥させることができるようにもなる。
汚泥乾燥機31から排出された被加熱媒体は、脱気のための熱源として、供給管路26を介して脱気器25に送られる。
汚泥乾燥機31で乾燥された汚泥は、スクリュー式の搬送機構等で構成される汚泥供給機構35を介して廃棄物処理炉のホッパー2下部に供給され、プッシャー3により炉内に投入されて焼却処理される。
汚泥乾燥機31には、汚泥乾燥機31への汚泥投入量を制御する制御装置33(33c)が設けられている。当該制御装置33(33c)は、汚泥乾燥機31の出口部の汚泥湿度の計測値、バルブ機構32aの絞り量または加圧水の流量が入力され、当該汚泥湿度が所定の目標湿度範囲に入るように、汚泥乾燥機31へ汚泥を投入するフィーダ37の送り量を制御する。
図2に示すように、制御装置33は、汚泥乾燥機31の出口部の汚泥湿度が所定の目標湿度範囲に維持されているか否かを判断し(S7)、上方に逸脱した場合(過乾燥時)には(S8,Y)、そのときの加圧水の流量またはバルブ機構32aの絞り量に応じて定まる補正量を算出し、フィーダ37による汚泥の投入量を低下させ(S9)、下方に逸脱した場合(乾燥不足)には(S8,N)、そのときの加圧水の流量またはバルブ機構32aの絞り量に応じて定まる補正量を算出し、フィーダ37による汚泥の投入量を増加させる(S10)。
尚、下方に逸脱した場合(乾燥不足)には、内側筒状体34bの回転速度を低下させて乾燥を促進し、上方に逸脱した場合(乾燥不足)には、内側筒状体34bの回転速度を上昇させて速やかに排出するように制御してもよい。
汚泥乾燥機31の内側筒状体34b内部で発生した汚泥蒸気は、蒸気ダクト36を介して二次燃焼部5側壁に備えたガス供給機構7に送られる。高温の蒸気が二次燃焼部5に攪拌用ガスとして供給されるため、二次燃焼温度の低下を来たすことなく、未燃焼ガスと空気とが良好に攪拌され、完全燃焼化が図られる。このとき、汚泥蒸気に含まれる臭気成分も二次燃焼部5で熱分解されるため、臭気を除去するための別途のフィルタ機構を備える必要もない。
汚泥蒸気をガス供給機構7に所定圧力で供給するために、蒸気ダクト36に送風機構を設けたりアキュムレータ等の調圧機構を設けたりしてもよい。
上述したように、廃熱回収設備30は、熱交換器11で熱交換された被加熱媒体である加圧水を熱源として、汚泥乾燥機31での汚泥の乾燥処理を行ない、さらに脱気器25での脱気処理を行なうように構成されている。
しかし、泥乾燥機31から供給管路26を介して脱気器25に供給される加圧水が脱気の熱源として不十分な場合がある。例えば、汚泥乾燥機31から供給管路26を介して脱気器25に供給される加圧水の温度が脱気に必要な温度より低い場合や、加圧水の温度が脱気に必要な温度であっても流量が少ない場合には、脱気器25で十分に脱気できない。
そこで、過熱器9で過熱された蒸気の一部を脱気器25に供給する蒸気供給経路28が設けられ、蒸気供給経路28を介して脱気器25に供給される蒸気量を調整する制御機構としてのバルブ機構32cと制御装置33(33d)が設けられている。
上述したように、廃熱ボイラ8で生成され過熱器9で過熱された蒸気は、高圧の蒸気溜め27を経由して過熱蒸気が蒸気タービン21に供給される。さらに、過熱蒸気の一部が高圧の蒸気溜め27から低圧の蒸気溜め29に蓄積され、低圧の過熱蒸気が様々な熱源に利用されている。低圧の蒸気溜め29には、蒸気タービン21に圧力エネルギーを与えて、圧力が幾らか低下した蒸気の一部も供給される。
制御装置33(33d)は、脱気器25の内部圧力を計測し、脱気に必要な目標圧力に達しない場合に、バルブ機構32cの開度を調整して脱気器25に低圧の過熱蒸気を供給する。
汚泥乾燥機31への投入汚泥量が少ない場合等、汚泥乾燥機31での熱消費量が少ない場合、脱気器25への流入熱量は必然的に多くなる。この場合、脱気器25の圧力は高くなるが、バルブ機構32cの開度をPID演算で必要な開度に調整することで、脱気器加熱用の蒸気消費量が低減され、それだけ蒸気タービン21での発電用エネルギーとして活用でき、発電量が上がるため熱交換器11で回収したエネルギーを汚泥乾燥及び発電用のエネルギーとして活用することができる。
図1を用いた説明では、符合33a,33b,33c,33dで示した4つのブロックで制御装置33が構成されているが、各ブロックが一つの制御装置で構成されていてもよいし、個別の制御装置で構成されていてもよいし、符合33a,33bで示した2つのブロックが1つの制御装置に統合され、符合33c,33dで示した2つのブロックが1つの制御装置に統合されていてもよい。
また、各ブロックが個別の制御装置で構成される場合には、制御装置を接続する信号線で互いの制御情報を送受信してもよい。例えば、制御機構33dが、他の制御装置からバルブ機構32aの絞り量を受信することにより、加圧水の流量を獲得することができる。
以下、図3に基づいて、廃棄物処理炉及び廃熱回収設備の運転態様を説明する。
約800℃〜1000℃の範囲で燃焼する二次燃焼部5に設置された廃熱ボイラ8及び過熱器9によって得られた4MPa,400℃の過熱蒸気が、蒸気溜め27を介して蒸気タービン21に供給され、発電機22が駆動される。
蒸気タービン21からの排蒸気は、復水器23を介して復水されて復水タンク24に回収され、その後、復水タンク24から約60℃の復水が脱気器25に給水されて脱気され、143℃に加熱されたボイラ給水としてエコノマイザ10及び熱交換器11に給水される。
エコノマイザ10で200℃に加熱されたボイラ給水が廃熱ボイラ8に循環供給され、熱交換器11で圧力3MPa〜4MPa、温度160℃に加熱された加圧水が汚泥乾燥機31に供給される。汚泥乾燥機31から排出された高温の加圧水は脱気器25に供給されて脱気用の熱源に用いられる。
含水率80%〜90%の有機性の汚泥が汚泥乾燥機31に投入され、160℃の加圧水で間接加熱され、100℃近い高温で含水率10%〜20%まで乾燥される。乾燥汚泥は、汚泥供給機構35を介して焼却炉1に搬送されて、他の廃棄物とともに焼却処理される。汚泥乾燥機31で生じた汚泥蒸気は、ガス供給機構7を介して焼却炉1の二次燃焼部5の攪拌用ガスと供給される。
廃熱ボイラ8及び過熱器9で熱交換されて約350℃程度の減温された排ガスは、エコノマイザ10で210℃〜180℃の範囲に減温され、さらに熱交換器11で180℃〜160℃の範囲に減温された後に、バグフィルタ12で除塵され、酸性ガス成分が除去された後に煙突15から排気される。
図4(a)には、一般的なエコノマイザを用いて、350℃の排ガスにより143℃のボイラ給水が200℃に予熱され、排ガスが210℃に減温される場合の例が示され、図4(b)には、高効率低温エコノマイザを用いて、350℃の排ガスにより143℃のボイラ給水が約210℃に予熱され、排ガスが180℃に減温される場合の例が示されている。
前者によれば、エコノマイザとその後段のバグフィルタとの間に減温塔例えば排ガスに水を噴霧して減温させる減温塔を設置して排ガス温度を減温させる必要があるが、後者によれば減温塔を設ける必要がなく、廃熱が効率的に回収できる。
図4(c)には、エコノマイザの後段に本発明の熱交換器を配置して、350℃の排ガスにより143℃のボイラ給水がエコノマイザで約200℃に予熱され、排ガスが210℃に減温され、さらに210℃の排ガスにより143℃のボイラ給水が熱交換器で約160℃に予熱され、排ガスが180℃に減温される例が示されている。
吸収熱量Q,総括伝熱係数K,伝熱面積A,温度T,対数平均温度差ΔT,比熱C,流量W,排ガスの熱交換器への入口温度Tg1,出口温度Tg2,熱媒体の入口温度Tw2,出口温度Tw1とすると、以下の近似式が成立する。
[数式1]
Q=KAΔT
[数式2]
Q={WCT(出口)-WCT(入口)}∝(T(出口)-T(入口))
[数式3]
ΔT={(Tg1-Tw1)-(Tg2-Tw2)}/{ln(Tg1-Tw1)-ln(Tg2-Tw2)}
ここに、K及びWCは略一定と仮定している。
図4(a),(b),(c)それぞれの場合の対数温度差ΔTを求めて、数式2からQを求め、数式1にQ及びΔTを代入してKAを求めると、図4(a)ではKA=1.359、図4(b)ではKA=2.218、図4(c)では前段がKA=1.359、後段がKA=0.662と求まる。これらの値は伝熱部の総面積に相当する値となる。
図4(a)の基本的なエコノマイザの伝熱面積を基準にすると、図4(b)の高効率低温エコノマイザでは、伝熱面積が約1.63倍と大型になり、図4(c)の本発明の熱交換器と従来のエコノマイザを結合した場合には、伝熱面積が約1.48倍となる。
つまり、図4(b)の高効率低温エコノマイザよりは小さな伝熱面積で排ガス温度を同等に減温することができるのである。
以下に、図5に基づいて、本発明による廃熱回収設備30を備えた廃棄物処理炉の別実施形態を説明する。
尚、主に図1に示す廃棄物処理炉と異なる構成について詳しく説明し、同一の構成は同一の符号を付し説明を簡略する。
図5に示す廃棄物処理炉は、図1に示す廃棄物処理炉と同様に、焼却炉1、廃熱ボイラ8、発電設備20、廃熱回収設備30(熱交換器11と汚泥乾燥機31)等を備えている。しかし、図1に示す廃棄物処理炉とは、焼却炉1から煙突15までの煙道に配置された設備の構成が異なっている。
煙道には、上流側からエコノマイザ10、減温塔16、バグフィルタ12、再加熱器17、触媒反応塔18、熱交換器11が配置され、熱交換された排ガスが煙突15から排気される。つまり、廃熱回収設備30を構成する熱交換器11が触媒反応塔18と煙突15の間に配置されている。
エコノマイザ10で180〜210℃に減温された排ガスが、減温塔16で160〜180℃に減温され、耐熱性の高いバグフィルタ12で除塵され、廃熱ボイラ8で発生した蒸気を熱源とする再加熱器17で180〜210℃に再加熱された後に、触媒反応塔18で窒素酸化物やダイオキシン類が分解される。
触媒反応塔18から排出された180〜210℃の排ガスの保有熱が、本発明による熱交換器11により回収される。つまり、廃熱回収設備は、エコノマイザ10の下流側煙道に設置され、エコノマイザ10へ供給される脱気器25の加圧給水が被加熱媒体として分岐供給される熱交換器11と、熱交換器11で熱交換された被加熱媒体により汚泥を乾燥させる汚泥乾燥機とを備えている。
上述した実施形態では、何れも廃熱ボイラ8の下流側の煙道にエコノマイザ10を備えた構成を説明したが、エコノマイザ10を備えることなく、廃熱ボイラ8の下流側の煙道に熱交換器11のみを備えた構成でもよい。
上述した実施形態では、廃熱回収設備がストーカ式の焼却炉に組み込まれる例を説明したが、廃熱回収設備が組み込まれる廃棄物処理炉はストーカ式の焼却炉に限るものではなく、流動床式焼却炉等の他の方式の焼却炉であってもよいし、コークスベッド式溶融炉や表面溶融炉等の溶融炉であってもよい。
上述した実施形態は、本発明の一具体例であり、当該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、廃熱回収設備の各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
1:焼却炉(廃棄物処理炉)
5:二次燃焼部
7:ガス供給機構
8:廃熱ボイラ
10:エコノマイザ
11:熱交換器
25:脱気器
26:供給管路(供給経路)
30:廃熱回収設備
31:汚泥乾燥機
32:バルブ機構(制御機構)
33:制御装置(制御機構)
35:汚泥供給機構

Claims (7)

  1. 廃熱ボイラを備えた廃棄物処理炉に組み込まれる廃熱回収設備であって、
    煙道に設置され、前記廃熱ボイラへ供給される脱気器の加圧給水が被加熱媒体として分岐供給される熱交換器と、
    前記熱交換器で熱交換された被加熱媒体により汚泥を乾燥させる汚泥乾燥機と、
    を備えている廃熱回収設備。
  2. 前記熱交換器がエコノマイザの下流側煙道に設置され、前記エコノマイザへ供給される脱気器の加圧給水が被加熱媒体として分岐供給される請求項1記載の廃熱回収設備。
  3. 前記熱交換器から排出された排ガスが所定温度を下回らないように、前記熱交換器への給水量を調整する制御機構を備えている請求項1または2記載の廃熱回収設備。
  4. 前記汚泥乾燥機で乾燥された汚泥を前記廃棄物処理炉に廃棄物として供給する汚泥供給機構を備えている請求項1から3の何れかに記載の廃熱回収設備。
  5. 前記汚泥乾燥機で発生した汚泥蒸気を前記廃棄物処理炉の二次燃焼部の攪拌ガスとして供給するガス供給機構を備えている請求項1から4の何れかに記載の廃熱回収設備。
  6. 前記汚泥乾燥機から排出された被加熱媒体を脱気器の熱源として供給する供給経路を備えている請求項1から5の何れかに記載の廃熱回収設備。
  7. 前記廃熱ボイラで生成された蒸気を蓄積する蒸気溜めと、前記蒸気溜めに蓄積された蒸気の一部を前記脱気器の熱源として供給する蒸気供給経路と、前記脱気器への蒸気の供給量を調整する制御機構を備えている請求項6記載の廃熱回収設備。
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