JP5975903B2 - 嵌合型コネクタ用端子 - Google Patents
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Description
特許文献2においてリフロー処理後に形成された接続部品用導電材料は、表面被覆層のうちCu−Sn合金層の表面露出面積率が3〜75%、平均の厚さが0.2〜3.0μm、Cu含有量が20〜70at%、Sn層の平均厚さが0.2〜5.0μm、材料表面の少なくとも一方向の算術平均粗さRaが0.15μm以上で、全ての方向の算術平均粗さRaが3.0μm以下と規定され、母材表面について少なくとも一方向の算術平均粗さRaが0.3μm以上で、全ての方向の算術平均粗さRaが4.0μm以下が望ましく、さらにCu−Sn合金層の表面露出間隔について少なくとも一方向において0.01〜0.5mmが望ましいことが記載されている。
この出願においてリフロー処理後に形成された接続部品用導電材料は、表面被覆層のうちNi層の平均の厚さが3.0μm以下、Cu−Sn合金層の平均の厚さが0.2〜3.0μm、材料の垂直断面におけるSn層の最小内接円の直径[D1]が0.2μm以下、最大内接円の直径[D2]が1.2〜20μm、材料の最表点とCu−Sn合金層の最表点との高度差[y]が0.2μm以下と規定され、さらに[D1]が0μmのとき(Cu−Sn合金層が一部露出しているとき)、材料表面におけるCu−Sn合金層の最大内接円の直径[D3]が150μm以下又は/及び材料表面におけるSn層の最大内接円直径[D4]が300μm以下が望ましいことが記載されている。
特願2007−22206号に記載された接続部品用導電材料は、母材表面の凹凸の凹の部分においてSn層が比較的厚く形成されているため、特許文献1,2に比べてはんだ付け性が改善されている。しかし、特許文献1,2と同じく母材表面の表面粗さが大きくされていることに基づき、母材表面の凹凸の凸の部分においてCu−Sn合金層が一部露出し、あるいはSn層が極めて薄く、全面が略均等厚さのSnめっき層に被覆された材料に比べてはんだ付け性がやや劣る。
端子嵌合部において低摩擦係数を実現するには、特許文献1,2及び特願2007−22206号に記載された材料を用いることが望ましい。しかし、これらの材料は前記のとおりはんだ付け性にやや問題がある。特許文献3〜5に記載されているように、後めっきを施すことによりはんだ付け性は改善されるが、それだけでは本質的な改善にならないことはいうまでもない。
本発明に係る嵌合型コネクタ用端子は、さらに表面被覆層としてNi層が形成されていてもよい。この場合、母材表面にNi層、Cu−Sn合金層及びSn層がこの順に形成されていることになる。Ni層が形成される場合、Ni層の下地として下地Cu層が形成されてもよい。
Ni層がない場合、母材表面とCu−Sn合金層の間にCu層を有していてもよく、Ni層がある場合、Ni層とCu−Sn合金層の間にCu層を有していてもよい。
銅合金板条にSnめっき層のみを形成してリフロー処理し、銅合金母材とSnめっき層からCu−Sn合金層を形成することもできる。
このように、本発明によれば、端子嵌合部とはんだ付け部を有する嵌合型コネクタ用端子において、端子嵌合部において低摩擦係数を実現し、同時にはんだ付け部のはんだ付け性を改善することができる。
この嵌合型コネクタ用端子(ここではプリント配線基板に用いるピン端子を想定)は、次の工程で製造される。
(1)図1に示すように、普通に圧延された銅合金条1に順送り工程で打抜き加工を施す。これにより、銅合金条1は端子素材2が帯状の連結部3を介して長さ方向に連鎖状に連なったものとなる。4は打ち抜かれた穴を示す。
また、この打抜き加工と同時に、端子素材2の端子嵌合部5にプレス加工を施し、端子嵌合部5の板面の表面粗さを増大させる。表面粗さの増大した状態を小さいドットで示している。はんだ付け部6の表面粗さは元の銅合金条と変わりがない。このプレス加工は、順送り工程において打抜き加工の前(図2参照)、又は打抜き加工の後(図3参照)に行うこともできる。
(3)続いてリフロー処理する。リフロー処理後のNi層、Cu層(残留している場合)、Cu−Sn合金層、Sn層の平均の厚さは端子嵌合部5とはんだ付け部6において基本的に同一である。
(4)必要に応じて薄くSnめっき(フラッシュめっき)を行う。
(5)必要に応じて端子素材2に成形加工を加えた後、連結部3から切り離す。
端子嵌合部5をみると、母材7の板面8は表面粗さが大きく凹凸が形成され、表面被覆層としてNi層11、Cu−Sn合金層12及びSn層13が形成されている。Ni層11及びCu−Sn合金層12は母材板面8の凹凸に沿って形成され、Sn層13はリフロー処理により溶融流動して平滑化され、母材板面8に形成された凹凸の凸部においてCu−Sn合金層12が露出している。後めっきであるから、母材7の打抜き端面9にもNi層11、Cu−Sn合金層12及びSn層13が形成されている。
この端子素材2から得られた嵌合型コネクタ用端子は、端子嵌合部5の板面において最表層にSn層13があり、かつ硬度の高いCu−Sn合金層12が材料表面に一部露出しているため、電気的信頼性が高いと同時に摩擦係数が小さく、また、はんだ付け部6において板面及び打抜き端面の全表面をSn層13が被覆しているため、はんだ付け性に優れる。
この端子素材2から得られた嵌合型コネクタ用端子は、端子嵌合部5の板面において最表層にSn13層があり、かつCu−Sn合金層が母材板面8の凹凸に沿った凹凸を有し、その凸部ではSn層13の厚みが薄く、硬度の高いCu−Sn合金層12が材料表面近傍に存在するため、電気的信頼性が高いと同時に摩擦係数が小さく、また、はんだ付け部6の板面及び打抜き端面においてその全体をSn層13が前記凸部より厚く被覆しているため、はんだ付け性に優れる。
図6に示すように、端子嵌合部5及びはんだ付け部6において、母材7、Ni層11、Cu−Sn合金層12及びSn層13は、図4に示すものと同じであるが、その上にさらにSn層14(リフロー処理後に形成されたSnめっき層)が形成され、端子嵌合部5の表面全体を被覆している。端子嵌合部5の板面では、Sn層14はリフロー処理後に露出したCu−Sn合金層12及びSn層13の全面をほぼ均等に被覆している。
また、前記端子嵌合部5では、銅合金条(母材7)の両方の板面の表面粗さをプレス加工により増大させたが、増大させるのが片面だけ(他面は増大させない)であってもよい。
リフロー処理後の表面被覆層は、Cu−Sn合金層の表面露出面積率が3〜75%、平均の厚さが0.1〜3.0μm、Cu含有量が20〜70at%、Sn層の平均の厚さが0.2〜5.0μmである。そして、母材表面について少なくとも一方向の算術平均粗さRaが0.15μm以上で、全ての方向の算術平均粗さRaが4.0μm以下が望ましく、さらにCu−Sn合金層の材料表面露出間隔について少なくとも一方向において0.01〜0.5mmが望ましく、Ni層の平均の厚さは3μm以下、Cu層の平均の厚さは3.0μm以下が望ましいとされている。なお、Cu層の平均の厚さは1.0μm以下が望ましい。さらに、前記下地Cuめっきを行った場合、Ni層の下に平均の厚さ0.01〜1μmの下地Cu層が存在する。
リフロー処理後の表面被覆層は、Cu−Sn合金層の表面露出面積率が3〜75%、平均の厚さが0.2〜3.0μm、Cu含有量が20〜70at%、Sn層の平均厚さが0.2〜5.0μm、材料表面の少なくとも一方向の算術平均粗さRaが0.15μm以上で、全ての方向の算術平均粗さRaが3.0μm以下である。そして、母材表面について少なくとも一方向の算術平均粗さRaが0.3μm以上で、全ての方向の算術平均粗さRaが4.0μm以下が望ましく、さらにCu−Sn合金層の表面露出間隔について少なくとも一方向において0.01〜0.5mmが望ましく、Ni層の平均の厚さは3.0μm以下、Cu層の平均の厚さは3.0μm以下が望ましいとされている。なお、Cu層の平均の厚さは1.0μm以下が望ましい。さらに、前記下地Cuめっきを行った場合、Ni層の下に平均の厚さ0.01〜1μmの下地Cu層が存在する。
特願2007−22206号に記載された製造方法の具体的形態を示すと、母材の表面粗さは少なくとも一方向の算術平均粗さRaが0.4μm以上で、全ての方向の算術平均粗さRaが4.0μm以下が望ましく、さらに望ましくは前記一方向において算出された凹凸の平均間隔Smが0.01〜0.5mmであり、さらにさらに望ましくは前記一方向における最大高さRyが2.0〜20μmであり、各めっき層の平均の厚さについては、Niめっき層が3.0μm以下、Cuめっき層が0.1〜1.5μm、Snめっき層が0.4〜8.0μmが望ましいとされている。必要に応じてリフロー処理後にさらにSnめっき層を形成することができる。
[D1]は、図7(a)において材料21の表面とCu−Sn合金層26の間に描ける最小の内接円の直径であり、[D2]は最大の内接円の直径であり、[y]は、材料21の表面の中立面22から最も離れた箇所(材料21の最表点)21Aの高さ(中立面22からの高さ)と、Cu−Sn合金層26の表面の中立面22から最も離れた箇所(Cu−Sn合金層26の最表点)26Aの高さ(中立面22からの高さ)の差である。
また、図8は上記[D3]、[D4]を説明する図であり、材料21の表面を模式的に示す。該表面はCu−Sn合金層26とSn層27により構成され、[D3]はSn層27に囲まれた最大の内接円の直径であり、[D4]はCu−Sn合金層26に囲まれた最大の内接円の直径である。
(1)Ni層は、母材構成元素の材料表面への拡散を抑制し、さらにCu−Sn合金層の成長を抑制してSn層の消耗を防止するため、高温長時間使用後も、また亜硫酸ガス腐食雰囲気下においても接触抵抗の上昇を抑制するとともに、良好なはんだ濡れ性を得るのに役立つ。しかし、Ni層の平均の厚さが0.1μm未満の場合には、Ni層中のピット欠陥が増加することなどにより、上記効果を充分に発揮できなくなる。ただし、特に上記効果を必要としない場合は、Ni層の平均の厚さは0.1μm未満でもよく、なくてもよい。一方、Ni層はある程度まで厚くなると上記効果が飽和し、厚くし過ぎると生産性や経済性が悪くなる。従ってNi層の平均の厚さは、3.0μm以下(0μmを含む)、望ましくは0.1〜3.0μmとする。より望ましくは0.2〜2.0μmである。
なお、Ni層を形成する場合、母材とNi層の間に下地Cu層(Cu下地めっき層)を形成してもよい。Cu下地めっきは母材表面の欠陥(ピット等)や析出物等を覆ってNiめっきの付きを改善しNiめっきの信頼性を高めるためのものであり、このCu下地めっき自体、従来から行われている。下地Cu層の厚さは0.01〜1μmが望ましい。
(5)Sn層の最大内接円の直径[D2](図1参照)が1.2μm未満の場合、熱拡散や経時などによるSn層の消耗で、より早期にSn層が消滅するため、耐熱性や耐食性の向上効果が低くなり、同時にSn層の量が多くないため、はんだ濡れ性を確保することが困難となる。一方、[D2]が20μmを超える場合には、機械的性質に悪影響を及ぼす場合が生じ、生産性や経済性も悪くなる。従って、[D2]を1.2〜20μmと規定する。より望ましくは1.5〜10μmである。
(7)Sn層の最小内接円の直径[D1]が0μm(材料の表面にCu−Sn合金層が一部露出)のとき、材料の表面においてCu−Sn合金層の最大内接円の直径[D3](図2参照)が150μm以下であることが望ましい。[D3]が150μmを超える場合、特に小型の嵌合型端子の電気接点部などにおいてはCu−Sn合金層の接触のみとなる場合があるため、耐熱性や耐食性の劣化を抑制する効果が低くなり、はんだ濡れ性を確保することが困難となる場合が生じてくる。より望ましくは、100μm以下である。
(8)Sn層の最小内接円の直径[D1]が0μmであるとき、Sn層の最大内接円直径[D4]が300μm以下であることが望ましい。[D4]が300μmを超える場合、Sn層同士の接触面積が増加し、Sn層の掘り起こしによる変形抵抗や凝着をせん断するせん断抵抗が増加して摩擦係数を低減する効果が低くなる場合がある。また微摺動によるSn層の摩耗や酸化も増加して、接触抵抗が増加する場合が生じてくる。より望ましくは、200μm以下である。
望ましくは、前記一方向における凹凸の平均間隔Smが0.01〜0.5mmであることであり、0.01mm未満では本願(特願2007−22206号)の規定(特に[D2])を満たすことが困難な場合があり、0.5mmを越えると[D3]、[D4]が規定範囲外になる可能性が高まる。さらに望ましくは、前記一方向における最大高さRyが2.0〜20μmである。この範囲外では、本願(特願2007−22206号)の規定(特に[D2])を満たすことが困難な場合がある。
Sn層がSn合金からなる場合、Sn合金のSn以外の構成成分としては、Pb、Bi、Zn、Ag、Cuなどが挙げられる。Pbについては50質量%未満、他の元素については10質量%未満が望ましい。
Cu層には、母材に含まれる成分元素等が少量混入していてもよい。また、Cu層がCu合金からなる場合、Cn合金のCn以外の構成成分としてはSn、Zn等が挙げられる。Snの場合は50質量%未満、他の元素については5質量%未満が望ましい。
Ni層には、母材に含まれる成分元素等が少量混入していてもよい。また、Ni層がNi合金からなる場合、Ni合金のNi以外の構成成分としては、Cu、P、Coなどが挙げられる。Cuについては40質量%以下、P、Coについては10質量%以下が望ましい。
同じくCuめっき層、Snめっき層及びNiめっき層についても、それぞれCu、Sn、Ni金属のほか、Cu合金、Sn合金及びNi合金を含む。Niめっき層、Cuめっき層及びSnめっき層が、それぞれNi合金、Cu合金及びSn合金からなる場合、上記Ni層、Cu層及びSn層に関して説明した各合金を用いることができる。
ここでは、特願2007−22206号(現時点で未公開)に記載された接続部品用導電材料及びその製造方法がこれまで述べた作用効果(主として低摩擦係数及び電気的信頼性)を奏することを、特願2007−22206号に記載された実施例により説明する。なお、特許文献1,2に記載された接続部品用導電材料及びその製造方法がこれまで述べた作用効果を奏することは同文献により公知となっているから、ここでは説明を省略する。
作製した試験材No.1〜31の製造工程概要を、表1及び表2に示す。
母材には、Cu中に1.8質量%のNi、0.40質量%のSi、0.10質量%のSn、1.1質量%のZnを含有するCu合金板を用い、圧延の際にショットブラストなどにより粗面化したワークロールを使用して表面粗化処理を行い(あるいは行わずに)、ビッカース硬さ200、厚さ0.25mmで、各々の表面粗さを有する母材に仕上げた。なお、母材の表面粗さは、実施例の試験材No.1〜18及び比較例の試験材No.19〜22,24,25は、Ra、Sm及びRyが前述の望ましい範囲内であり、比較例の試験材No.23は、Ra及びSmが望ましい範囲内であるが、Ryが下限値未満であり、従来例の試験材No.26〜31は、Ra及びRyが望ましい範囲の下限値未満である。
続いて、母材の表面に、Niめっきを施し(あるいは施さず)、Cuめっきを施し(あるいは施さず)、次いでSnめっきを施し、リフロー処理を行った後、フッ化水素アンモニウム水溶液浸漬処理を行い(あるいは行わずに)、Snめっきを再度施した(あるいは施さなかった)。
ミクロトーム法にて加工した試験材の断面に、必要に応じてアルゴンイオンエッチングを行い、EDX(エネルギー分散型X線分光分析器)を搭載したSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察し、得られた組成像の濃淡(汚れや傷等のコントラストは除く)から画像解析処理により、Ni層、Cu層及びCu−Sn合金層の平均の厚さを各々算出した。なお、測定断面は、表面粗化処理の際に行った圧延方向に直角な方向の垂直断面とした。
ミクロトーム法にて加工した試験材の断面に、必要に応じてアルゴンイオンエッチングを行い、EDX(エネルギー分散型X線分光分析器)を搭載したSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察し、得られた組成像の濃淡(汚れや傷等のコントラストは除く)から画像解析処理により、[D1]、[D2]及び[y]を各々算出した。なお、測定断面は、表面粗化処理の際に行った圧延方向に直角な方向の垂直断面である。
[材料の表面の形態測定方法]
試験材の表面を、EDX(エネルギー分散型X線分光分析器)を搭載したSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察し、得られた組成像の濃淡(汚れや傷等のコントラストは除く)から画像解析処理により、Cu−Sn合金層の最大内接円の直径[D3]及びSn層の最大内接円直径[D4]を各々算出した。
嵌合型接続部品における電気接点のインデント部の形状を模擬し、図9に示すような装置を用いて評価した。まず、各々の試験材No.1〜31から切り出した板材のオス試験片31を水平な台32に固定し、その上に試験材No.31から切り出した半球加工材(内径をφ1.5mmとした)のメス試験片33をおいて被覆層同士を接触させた。続いて、メス試験片33に3.0Nの荷重(錘34)をかけてオス試験片31を押さえ、横型荷重測定器(アイコーエンジニアリング株式会社;Model−2152)を用いて、オス試験片31を水平方向に引っ張り(摺動速度を80mm/minとした)、摺動距離5mmまでの最大摩擦力F(単位:N)を測定した。摩擦係数を下記式(1)により求めた。なお、35はロードセル、矢印は摺動方向である。
摩擦係数=F/3.0 …(1)
嵌合型接続部品における電気接点のインデント部の形状を模擬し、図10に示すような摺動試験機(株式会社山崎精機研究所;CRS−B1050CHO)を用いて評価した。まず、試験材No.31から切り出した板材のオス試験片36を水平な台37に固定し、その上に各々の試験材No.1〜31から切り出した半球加工材(内径をφ1.5mmとした)のメス試験片38をおいて被覆層同士を接触させた。続いて、メス試験片38に2.0Nの荷重(錘39)をかけてオス試験片36を押さえ、オス試験片36とメス試験片38の間に定電流を印加し、ステッピングモータ40を用いてオス試験片36を水平方向に摺動させ(摺動距離を50μm、摺動周波数を1.0Hzとした)、摺動回数1000回までの最大接触抵抗を四端子法により、開放電圧20mV、電流10mAの条件にて測定した。なお、矢印は摺動方向である。
各々の試験材No.1〜31から切り出した板材の試験片に対して、大気中にて175℃×1000hrの熱処理を行った後、接触抵抗を四端子法により測定した(Auプローブを水平方向に摺動させ、荷重を3.0N、摺動距離を0.30mm、摺動速度を1.0mm/min、開放電圧20mV、電流10mAの条件にて測定した)。
[耐熱剥離試験]
各々の試験材No.1〜31から切り出した板材の試験片に対して、90°曲げ(曲げ半径を0.7mmとした)を行い、大気中にて175℃×1000hrの熱処理を行った後、曲げ戻しを行い、被覆層の剥離の有無を外観評価した。
まず、各々の試験材No.1〜31から切り出した板材の試験片に対して、亜硫酸ガス濃度25ppm、温度35℃、湿度75%RH、時間96hrの亜硫酸ガス腐食試験を行った後、接触抵抗を四端子法により測定した(Auプローブを水平方向に摺動させ、荷重を3.0N、摺動距離を0.30mm、摺動速度を1.0mm/min、開放電圧20mV、電流10mAの条件にて測定した)。
各々の試験材No.1〜31から切り出した板材の試験片に対して、非活性フラックスを1秒間浸漬塗布した後、メニスコグラフ法にてゼロクロスタイムと最大濡れ応力を測定した(255℃のSn−3.0Ag−0.5Cuはんだに浸漬させ、浸漬速度を25mm/sec、浸漬深さを12mm、浸漬時間を5.0secの条件にて測定した)。また、上記はんだ浸漬後の試験片について、はんだ濡れ不良の有無を外観評価した。
試験材No.15〜18は、Ni層の平均厚さが0.1μm未満の例であり、被覆層構成(各被覆層厚さと[D1]、[D2],[y])に関して特願2007−22206号の規定を満たし、いずれも摩擦係数が低く、微摺動摩耗試験時の接触抵抗が比較的低い。
なお、試験材No.21は、Niめっき後Cuめっきを施さずに作製した試験材であり、Cu−Sn合金層でなくNi−Sn合金層が形成されたため、高温放置試験後の接触抵抗、亜硫酸ガス腐食試験後の接触抵抗が高い。
なお、試験材No.26はNiめっきが施されず、長時間のリフロー処理でSn被覆層が全て消滅した試験材であり、試験材No.27は長時間のリフロー処理でSn被覆層の大部分が消滅した試験材であり、試験材No.28はNiめっき及びCuめっきが施されず、試験材No.31はNiめっきが施されていない。
2 端子素材
5 端子嵌合部
6 はんだ付け部
7 母材
8 母材の板面
9 母材の打抜き端面
11 Ni層
12 Cu−Sn合金層
13 Sn層
14 Snめっき層
Claims (6)
- リフロー処理され、母材板面及び打抜き端面に表面被覆層としてCu−Sn合金層及びSn層がこの順に形成された嵌合型コネクタ用端子であり、端子嵌合部とはんだ付け部を有し、前記端子嵌合部はプレス加工された母材板面を有し、その表面粗さがはんだ付け部より大きく形成され、前記Cu−Sn合金層の平均の厚さが0.2〜3.0μmであり、前記端子嵌合部板面の材料表面に対する垂直断面において、前記Sn層の最小内接円の直径[D1]が0.2μm以下、前記Sn層の最大内接円の直径[D2]が1.2〜20μm、材料の最表点と前記Cu−Sn合金層の最表点との高度差[y]が0.2μm以下であり、はんだ付け部においてSn層が全面を被覆していることを特徴とする嵌合型コネクタ用端子。
- 表面被覆層として前記Cu−Sn合金層の下に平均の厚さが1.0μm以下のCu層を有することを特徴とする請求項1に記載された嵌合型コネクタ用端子。
- リフロー処理され、母材板面及び打抜き端面に表面被覆層としてNi層、Cu−Sn合金層及びSn層がこの順に形成された嵌合型コネクタ用端子であり、端子嵌合部とはんだ付け部を有し、前記端子嵌合部はプレス加工された母材板面を有し、その表面粗さがはんだ付け部より大きく形成され、前記Ni層の平均の厚さが3.0μm以下、Cu−Sn合金層の平均の厚さが0.2〜3.0μmであり、前記端子嵌合部板面の材料表面に対する垂直断面において、前記Sn層の最小内接円の直径[D1]が0.2μm以下、前記Sn層の最大内接円の直径[D2]が1.2〜20μm、材料の最表点と前記Cu−Sn合金層の最表点との高度差[y]が0.2μm以下であり、はんだ付け部においてSn層が全面を被覆していることを特徴とする嵌合型コネクタ用端子。
- 表面被覆層として前記Ni層とCu−Sn合金層の間に平均の厚さが1.0μm以下のCu層を有することを特徴とする請求項3に記載された嵌合型コネクタ用端子。
- 前記端子嵌合部において、母材板面の表面粗さが少なくとも一方向の算術平均粗さRaが0.4μm以上で、全ての方向の算術平均粗さRaが4.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された嵌合型コネクタ用端子。
- 表面被覆層として前記Sn層の上にさらにSnめっき層が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された嵌合型コネクタ用端子。
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