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JP5971927B2 - 光学体、窓材、建具、日射遮蔽装置および建築物 - Google Patents

光学体、窓材、建具、日射遮蔽装置および建築物 Download PDF

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Description

本技術は、光学体、窓材、建具、日射遮蔽装置および建築物に関する。詳しくは、入射光を指向反射する光学体に関する。
空調負荷低減の観点から、日射を遮蔽するための窓用フィルムが上市されている。この日射を遮蔽する技術として、日射を吸収するフィルムや、日射を反射するフィルムが上市されているが、前者のフィルムは日射を吸収したフィルムが熱くなり、ペリメーターゾーンと呼ばれる窓の周辺部が暑くなる問題がある。後者に関しては、反射層として光学多層膜、金属含有膜、透明導電性膜などを用いる技術が既に数多く開示されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、このような反射層は平面上の窓ガラスに設けられるため、入射した太陽光を正反射させることしかできない。このため、上空から照射されて正反射された光は、屋外の別な建物や地面に到達し、吸収されて熱に変わり周囲の気温を上昇させる。これにより、このような反射層が窓全体に貼られたビルの周辺では、局所的な温度上昇が起こり、都市部ではヒートアイランドが増長されたり、反射光の照射面のみ芝生が生長しないなどの問題が生じている。
そこで、このような正反射によるヒートアイランド増長などの問題を解決するために、正反射以外の方向に日射を指向反射するフィルムが種々提案されている(特許文献2参照)。その提案の一つとして、一次元配列された複数の柱状体により構成され凹凸面上に反射層を形成し、その反射層を形成した凹凸面を樹脂材料で包埋したフィルムがある。
国際公開第05/087680号パンフレット
特許第4513921号公報
しかしながら、上述のように凹凸面を樹脂材料で包埋すると、その包埋工程においてスジ状の膜厚ムラが発生し、フィルムの視認性が劣化してしまう。
したがって、本技術の目的は、スジ状の膜厚ムラの発生を抑制することができる光学体、窓材、建具、日射遮蔽装置および建築物を提供することにある。
上述の課題を解決するために、本技術は、表面に凹凸面が設けられた光学層と、凹凸面上に設けられた波長選択反射層と、上記凹凸面を包埋する樹脂層とを備え、波長選択反射層が、特定波長帯の光を選択的に指向反射するのに対して、特定波長帯以外の光を透過するものであり、凹凸面は、一の傾斜面と他の傾斜面で頂角が形成され、光学層の表面内の第1方向に延在された複数の第1構造体と、一の傾斜面と他の傾斜面で頂角が形成され、該複数の第1構造体と交差するように光学層の表面内の第2方向に延在されると共に、離間して設けられた複数の第2構造体とを備え、第1方向と第2方向とは交差する光学体である。
本技術の光学体、窓材、建具、日射遮蔽装置および建築物は、本技術の光学体を備えることを特徴とする。
本技術によれば、光学層の凹凸面は、光学層の表面内の第1方向に延在された複数の第1構造体と、光学層の表面内の第2方向に延在されると共に、離間して設けられた複数の第2構造体とを備え、第1方向と第2方向とは交差する関係にある。これにより、光学層の凹凸面を包埋する際に、その包埋に用いる材料が流れるためのパスを第2構造体により形成することができる。
以上説明したように、本技術によれば、スジ状の膜厚ムラの発生を抑制することができる。
図1Aは、第1の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図1Bは、第1の実施形態に係る光学フィルムを被着体に貼り合わせた例を示す断面図である。 図2は、光学フィルムに対して入射する入射光と、光学フィルムにより反射された反射光との関係を示す斜視図である。 図3は、第1の実施形態に係る光学フィルムの第1光学層の凹凸面の一形状例を示す平面図である。 図4Aは、第2方向における第1光学層の凹凸面の一形状例を示す断面図である。図4Bは、第1方向における第1光学層の凹凸面の一形状例を示す断面図である。 図5Aは、第1光学層に形成された第1構造体の一形状例を示す斜視図である。図5Bは、図5Aに示す第1構造体が形成された第1光学層を備える光学フィルムの一構成例を示す断面図である。 図6Aは、図5Bに示した光学フィルムの一部を拡大して表す拡大断面図である。図6Bは、図5Bに示した波長選択反射層を拡大して表す拡大断面図である。 図7A、図7Bは、第1の実施形態に係る光学フィルムの機能の一例を説明するための断面図である。 図8Aは、第1の実施形態に係る光学フィルムの機能の一例を説明するための断面図である。図8Bは、第1の実施形態に係る光学フィルムの機能の一例を説明するための平面図である。 図9は、第1の実施形態に係る光学フィルムの全体形状の一例を示す斜視図である。 図10A、図10Bは、本技術の第1の実施形態に係る光学フィルムの貼り合わせ方法の一例を説明するための略線図である。 図11A、図11Bは、貼り合わせ方向による光学フィルムの反射機能の相違を説明するための略線図である。 図12は、本技術の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造に用いる原盤の一構成例を示す斜視図である。 図13は、原盤の成形面の一形状例を示す平面図である。 図14Aは、原盤の円周方向における成形面の一形状例を示す断面図である。図4Bは、原盤の幅方向における成形面の一形状例を示す断面図である。 図15は、第1の実施形態に係る光学フィルムを製造するための製造装置の一構成例を示す概略図である。 図16A〜図16Cは、第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例を説明するための工程図である。 図17A〜図17Cは、第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例を説明するための工程図である。 図18A〜図18Cは、第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例を説明するための工程図である。 図19Aは、第1の実施形態の変形例に係る光学フィルムの第2方向の断面図である。図19Bは、第1の実施形態の変形例に係る光学フィルムの第1方向の断面図である。 図20は、第2の実施形態に係る光学フィルムの第1光学層の凹凸面の一形状例を示す平面図である。 図21Aは、第3の実施形態に係る光学フィルムの第1の構成例を示す斜視図である。図21Bは、第3の実施形態に係る光学フィルムの第2の構成例を示す斜視図である。図21Cは、第3の実施形態に係る光学フィルムの第3の構成例を示す斜視図である。 図22は、第4の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。 図23は、第5の実施形態に係るブラインド装置の一構成例を示す斜視図である。 図24Aは、スラットの第1の構成例を示す断面図である。図24Bは、スラットの第2の構成例を示す断面図である。 図25Aは、第6の実施形態に係るロールスクリーン装置の一構成例を示す斜視図である。図25Bは、スクリーンの一構成例を示す断面図である。 図26Aは、第7の実施形態に係る建具の一構成例を示す斜視図である。図26Bは、光学体の一構成例を示す断面図である。 図27は、実施例1の光学フィルムの作製に用いる原盤の第1溝(幅方向の溝)の形状を示す略線図である。 図28は、実施例1の光学フィルムの作製に用いる原盤の第2溝(円周方向の溝)の形状を示す略線図である。 図29は、実施例1〜4、6、8の原盤の作製に用いたバイトの形状を示す略線図である。 図30A〜図30Dは、実施例1、4、6、8の光学フィルムの観察結果を示す図である。 図31は、比較例1の光学フィルム表面の粗さ曲線を示す図である。
本技術の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.第1の実施形態(第1構造体と第2構造体とを直交に設けた光学フィルムの例)
2.第2の実施形態(第2構造体を第1構造体に対して斜めに設けた光学フィルムの例)
3.第3の実施形態(光散乱体をさらに備えた光学フィルムの例)
4.第4の実施形態(自己洗浄効果層をさらに備えた光学フィルムの例)
5.第5の実施形態(ブラインド装置に光学フィルムを適用した例)
6.第6の実施形態(ロールスクリーン装置に光学フィルムを適用した例)
7.第7の実施形態(建具に光学フィルムを適用した例)
<1.第1の実施形態>
[光学フィルムの構成]
図1Aは、第1の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図1Bは、第1の実施形態に係る光学フィルムを被着体に貼り合わせた例を示す断面図である。光学体としての光学フィルム1は、いわゆる指向反射性能を有する光学フィルムである。図1Aに示すように、この光学フィルム1は、凹凸形状の界面を内部に有する光学層2と、この光学層2の界面に設けられた波長選択反射層3とを備える。光学層2は、凹凸形状の第1の面を有する第1光学層4と、凹凸形状の第2の面を有する第2光学層5とを備える。光学層内部の界面は、対向配置された凹凸形状の第1の面と第2の面とにより形成されている。具体的には、光学フィルム1は、凹凸面4bを有する第1光学層4と、第1光学層4の凹凸面4b上に形成された波長選択反射層3と、波長選択反射層3が形成された凹凸面4bを埋めるように、波長選択反射層3上に形成された第2光学層5とを備える。光学フィルム1は、太陽光などの光が入射する入射面S1と、この入射面S1より入射した光のうち、光学フィルム1を透過した光が出射される出射面S2とを有する。光学フィルム1は、内壁部材、外壁部材、窓材、壁材などに適用して好適なものである。また、光学フィルム1は、ブラインド装置のスラット(日射遮蔽部材)、およびロールスクリーン装置のスクリーン(日射遮蔽部材)として用いても好適なものである。さらに、光学フィルム1は、障子などの建具(内装部材または外装部材)の採光部に設けられる光学体として用いても好適なものである。
光学フィルム1が、必要に応じて、光学層2の出射面S2に第1の基材4aをさらに備えるようにしてもよい。また、光学フィルム1が、必要に応じて、光学層2の入射面S1に第2の基材5aをさらに備えるようにしてもよい。なお、このように第1の基材4a、および/または第2の基材5aを光学フィルム1に備える場合には、第1の基材4a、および/または第2の基材5aを光学フィルム1に備えた状態において、後述する透明性、および透過色などの光学特性を満たすことが好ましい。
光学フィルム1が、必要に応じて貼合層6をさらに備えるようにしてもよい。この貼合層6は、光学フィルム1の入射面S1および出射面S2のうち、窓材10に貼り合わされる面に形成される。この貼合層6を介して、光学フィルム1は被着体である窓材10の屋内側または屋外側に貼り合わされる。貼合層6としては、例えば、接着剤(例えば、UV硬化型樹脂、2液混合型樹脂)を主成分とする接着層、または粘着剤(例えば、感圧粘着材(PSA:Pressure Sensitive Adhesive))を主成分とする粘着層を用いることができる。貼合層6が粘着層である場合、貼合層6上に形成された剥離層7をさらに備えることが好ましい。このような構成にすることで、剥離層7を剥離するだけで、貼合層6を介して窓材10などの被着体に対して光学フィルム1を容易に貼り合わせることができるからである。
光学フィルム1が、第2の基材5aと、貼合層6および/または第2光学層5の接合性を向上させる観点から、第2の基材5aと、貼合層6および/または第2光学層5との間に、プライマー層(図示せず)をさらに備えるようにしてもよい。また、同様の箇所の接合性を向上させる観点から、プライマー層に代えて、またはプライマー層と共に、公知の物理的前処理を施すことが好ましい。公知の物理的前処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理などが挙げられる。
光学フィルム1が、窓材10などの被着体に貼り合わされる入射面S1もしくは出射面S2上、またはその面と波長選択反射層3との間に、バリア層(図示せず)をさらに備えるようにしてもよい。このようにバリア層を備えることで、入射面S1または出射面S2から波長選択反射層3への水分の拡散を低減し、波長選択反射層3に含まれる金属などの劣化を抑制することができる。したがって、光学フィルム1の耐久性を向上させることができる。
光学フィルム1は、表面に耐擦傷性などを付与する観点から、ハードコート層8をさらに備えるようにしてもよい。このハードコート層8は、光学フィルム1の入射面S1および出射面S2のうち、窓材10などの被着体に貼り合わされる面とは反対側の面に形成することが好ましい。光学フィルム1の入射面S1または出射面S2に、防汚性などを付与する観点から、撥水性または親水性を有する層をさらに備えてもよい。このような機能を有する層は、例えば、光学層2上に直接備える、またはハードコート層8などの各種機能層上に備えるようにしてもよい。
光学フィルム1は、光学フィルム1を窓材10などの被着体に容易に貼り合わせ可能にする観点からすると、可撓性を有することが好ましい。ここで、フィルムにはシートが含まれるものとする。すなわち、光学フィルム1には光学シートも含まれものとする。
光学フィルム1は、透明性を有していることが好ましい。透明性としては、後述する透過像鮮明度の範囲を有するものであることが好ましい。第1光学層4と第2光学層5との屈折率差が、好ましくは0.010以下、より好ましくは0.008以下、さらに好ましくは0.005以下である。屈折率差が0.010を超えると、透過像がぼけて見える傾向がある。0.008を超え0.010以下の範囲であると、外の明るさにも依存するが日常生活には問題がない。0.005を超え0.008以下の範囲であると、光源のように非常に明るい物体のみ回折パターンが気になるが、外の景色を鮮明に見ることができる。0.005以下であれば、回折パターンは殆ど気にならない。第1光学層4および第2光学層5のうち、窓材10などと貼り合わせる側となる光学層は、粘着剤を主成分としてもよい。このような構成とすることで、粘着材を主成分とする第1光学層4、または第2光学層5により光学フィルム1を窓材10などに貼り合わせることができる。なお、このような構成にする場合、粘着剤の屈折率差が上記範囲を満たすことが好ましい。
第1光学層4と第2光学層5とは、屈折率などの光学特性が同じであることが好ましい。より具体的には、第1光学層4と第2光学層5とが、可視領域において透明性を有する同一材料、例えば同一樹脂材料からなることが好ましい。第1光学層4と第2光学層5とを同一材料により構成することで、両者の屈折率が等しくなるので、可視光の透明性を向上させることができる。ただし、同一材料を出発源としても、成膜工程における硬化条件などにより最終的に生成する層の屈折率が異なることがあるので、注意が必要である。これに対して、第1光学層4と第2光学層5とを異なる材料により構成すると、両者の屈折率が異なるので、波長選択反射層3を境界として光が屈折し、透過像がぼやける傾向がある。特に、遠くの電灯など点光源に近い物を観察すると回折パターンが顕著に観察される傾向がある。なお、屈折率の値を調整するために、第1光学層4および/または第2光学層5に添加剤を混入させてもよい。
第1光学層4と第2光学層5は、可視領域において透明性を有することが好ましい。ここで、透明性の定義には2種類の意味があり、光の吸収がないことと、光の散乱がないことである。一般的に透明と言った場合に前者だけを指すことがあるが、第1の実施形態に係る光学フィルム1では両者を備えることが好ましい。現在利用されている再帰反射体は、道路標識や夜間作業者の衣服など、その表示反射光を視認することを目的としているため、例えば散乱性を有していても、下地反射体と密着していれば、その反射光を視認することができる。例えば、画像表示装置の前面に、防眩性の付与を目的として散乱性を有するアンチグレア処理をしても、画像は視認できるのと同一の原理である。しかしながら、第1の実施形態に係る光学フィルム1は、指向反射する特定の波長以外の光を透過する点に特徴を有しており、この透過波長を主に透過する透過体に接着し、その透過光を観察するため、光の散乱がないことが好ましい。但し、その用途によっては、第2光学層5に意図的に散乱性を持たせることも可能である。
光学フィルム1は、好ましくは、透過した特定波長以外の光に対して主に透過性を有する剛体、例えば、窓材10に粘着剤などを介して貼り合わせて使用される。窓材10としては、高層ビルや住宅などの建築用窓材、車両用の窓材などが挙げられる。建築用窓材に光学フィルム1を適用する場合、特に東〜南〜西向きの間のいずれかの向き(例えば南東〜南西向き)に配置された窓材10に光学フィルム1を適用することが好ましい。このような位置の窓材10に適用することで、より効果的に熱線を反射することができるからである。光学フィルム1は、単層の窓ガラスのみならず、複層ガラスなどの特殊なガラスにも用いることができる。また、窓材10は、ガラスからなるものに限定されるものではなく、透明性を有する高分子材料からなるものを用いてもよい。光学層2が、可視領域において透明性を有することが好ましい。このように透明性を有することで、光学フィルム1を窓ガラスなどの窓材10に貼り合せた場合、可視光を透過し、太陽光による採光を確保することができるからである。また、貼り合わせる面としてはガラスの内面のみならず、外面にも使用することができる。
また、光学フィルム1は他の熱線カットフィルムと併用して用いることができ、例えば空気と光学フィルム1との界面(すなわち、光学フィルム1の最表面)に光吸収塗膜を設けることもできる。また、光学フィルム1は、ハードコート層、紫外線カット層、表面反射防止層などとも併用して用いることができる。これらの機能層を併用する場合、これらの機能層を光学フィルム1と空気との間の界面に設けることが好ましい。ただし、紫外線カット層については、光学フィルム1よりも太陽側に配置する必要があるため、特に室内の窓ガラス面に内貼り用として用いる場合には、該窓ガラス面と光学フィルム1の間に紫外線カット層を設けることが望ましい。この場合、窓ガラス面と光学フィルム1の間の貼合層中に、紫外線吸収剤を添加するようにしてもよい。
また、光学フィルム1の用途に応じて、光学フィルム1に対して着色を施し、意匠性を付与するようにしてもよい。このように意匠性を付与する場合、透明性を損なわない範囲で第1光学層4および第2光学層5の少なくとも一方が、可視領域における特定の波長帯の光を主として吸収する構成とすることが好ましい。
図2は、光学フィルム1に対して入射する入射光と、光学フィルム1により反射された反射光との関係を示す斜視図である。光学フィルム1は、光Lが入射する入射面S1を有する。光学フィルム1は、入射角(θ、φ)で入射面S1に入射した光Lのうち、特定波長帯の光L1を選択的に正反射(−θ、φ+180°)以外の方向に指向反射するのに対して、特定波長帯以外の光L2を透過することが好ましい。また、光学フィルム1は、上記特定波長帯以外の光に対して透明性を有し、その透明性としては、後述する透過像鮮明度の範囲を有するものであることが好ましい。但し、θ:入射面S1に対する垂線l1と、入射光Lまたは反射光L1とのなす角である。φ:入射面S1内の特定の直線l2と、入射光Lまたは反射光L1を入射面S1に射影した成分とのなす角である。ここで、入射面内の特定の直線l2とは、入射角(θ、φ)を固定し、光学フィルム1の入射面S1に対する垂線l1を軸として光学フィルム1を回転したときに、φ方向への反射強度が最大になる軸である(図5参照)。但し、反射強度が最大となる軸(方向)が複数ある場合、そのうちの1つを直線l2として選択するものとする。なお、垂線l1を基準にして時計回りに回転した角度θを「+θ」とし、反時計回りに回転した角度θを「−θ」とする。直線l2を基準にして時計回りに回転した角度φを「+φ」とし、反時計回りに回転した角度φを「−φ」とする。
選択的に指向反射する特定の波長帯の光、および透過させる特定の光は、光学フィルム1の用途により異なる。例えば、窓材10に対して光学フィルム1を適用する場合、選択的に指向反射する特定の波長帯の光は近赤外光であり、透過させる特定の波長帯の光は可視光であることが好ましい。具体的には、選択的に指向反射する特定の波長帯の光が、主に波長帯域780nm〜2100nmの近赤外線であることが好ましい。近赤外線を反射することで、光学体をガラス窓などの窓材に貼り合わせた場合に、建物内の温度上昇を抑制することができる。したがって、冷房負荷を軽減し、省エネルギー化を図ることができる。ここで、指向反射とは、正反射以外のある特定の方向への反射を有し、かつ、指向性を持たない拡散反射強度よりも十分に強いことを意味する。ここで、反射するとは、特定の波長帯域、例えば近赤外域における反射率が好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上であることを示す。透過するとは、特定の波長帯域、例えば可視光域における透過率が好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上であることを示す。
光学フィルム1において、指向反射する方向φoが−90°以上、90°以下であることが好ましい。光学フィルム1を窓材10に貼った場合、上空から入射する光のうち、特定波長帯の光を上空方向に戻すことができるからである。周辺に高い建物がない場合にはこの範囲の光学フィルム1が有用である。また、指向反射する方向が(θ、−φ)近傍であることが好ましい。近傍とは、好ましく(θ、−φ)から5度以内、より好ましくは3度以内であり、さらに好ましくは2度以内の範囲内のずれのことをいう。この範囲にすることで、光学フィルム1を窓材10に貼った場合、同程度の高さが立ち並ぶ建物の上空から入射する光のうち、特定波長帯の光を他の建物の上空に効率良く戻すことができるからである。このような指向反射を実現するためには、一方向に延在された柱状体を一次元配列して、第1光学層4の凹凸面4bまたは第2光学層5の凹凸面5bを形成することが好ましい。(θ、φ)方向(−90°<φ<90°)から入射した光は、柱状体の傾斜角に基づいて(θo、−φ)方向(0°<θo<90°)に反射させることができる。
光学フィルム1において、透過性を持つ波長帯に対する透過像鮮明度に関し、0.5mmの光学くしを用いたときの値が、好ましくは50以上、より好ましくは60以上、さらに好ましくは75以上である。透過像鮮明度の値が50未満であると、透過像がぼけて見える傾向がある。50以上60未満であると、外の明るさにも依存するが日常生活には問題がない。60以上75未満であると、光源のように非常に明るい物体のみ回折パターンが気になるが、外の景色を鮮明に見ることができる。75以上であれば、回折パターンは殆ど気にならない。更に0.125mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの光学くしを用いて測定した透過像鮮明度の値の合計値が、好ましくは230以上、より好ましくは270以上、さらに好ましくは350以上である。透過像鮮明度の合計値が230未満であると、透過像がぼけて見える傾向がある。230以上270未満であると、外の明るさにも依存するが日常生活には問題がない。270以上350未満であると、光源のように非常に明るい物体のみ回折パターンが気になるが、外の景色を鮮明に見ることができる。350以上であれば、回折パターンは殆ど気にならない。ここで、透過像鮮明度の値は、スガ試験機製ICM−1Tを用いて、JIS K7105に準じて測定したものである。ただし、透過させたい波長がD65光源波長と異なる場合は、透過したい波長のフィルターを用いて校正した後に測定することが好ましい。
光学フィルム1において、透過性を持つ波長帯に対するヘイズが、好ましくは6%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは2%以下である。ヘイズが6%を超えると、透過光が散乱され、曇って見えるためである。ここで、ヘイズは、村上色彩製HM−150を用いて、JIS K7136で規定される測定方法により測定したものである。ただし、透過させたい波長がD65光源波長と異なる場合は、透過したい波長のフィルターを用いて校正した後に測定することが好ましい。光学フィルム1の入射面S1、好ましくは入射面S1および出射面S2は、透過像鮮明度を低下させない程度の平滑性を有する。具体的には、入射面S1および出射面S2の算術平均粗さRaは、好ましくは0.08μm以下、より好ましくは0.06μm以下、さらに好ましくは0.04μm以下である。なお、上記算術平均粗さRaは、入射面の表面粗さを測定し、2次元断面曲線から粗さ曲線を取得し、粗さパラメータとして算出したものである。なお、測定条件はJIS B0601:2001に準拠している。以下に測定装置および測定条件を示す。
測定装置:全自動微細形状測定機 サーフコーダーET4000A(株式会社小坂研究所)
λc=0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ×5倍
データサンプリング間隔0.5μm
光学フィルム1の透過色はなるべくニュートラルに近く、色付きがあるとしても涼しい印象を与える青、青緑、緑色などの薄い色調が好ましい。このような色調を得る観点からすると、入射面S1から入射し、光学層2および波長選択反射層3を透過し、出射面S2から出射される透過光および反射光の色度座標x、yは、例えばD65光源の照射に対しては、好ましくは0.20<x<0.35かつ0.20<y<0.40、より好ましくは、0.25<x<0.32かつ0.25<y<0.37、更に好ましくは0.30<x<0.32かつ0.30<y<0.35の範囲を満たすのが望ましい。更に、色調が赤みを帯びないためには、好ましくはy>x−0.02、より好ましくはy>xの関係を満たすのが望ましい。また、反射色調が入射角度によって変化すると、例えばビルの窓に適用された場合に、場所によって色調が異なったり、歩くと色が変化して見えるため好ましくない。このような色調の変化を抑制する観点からすると、5°以上60°以下の入射角度θで入射面S1または出射面S2から入射し、光学フィルム1により反射された正反射光の色座標xの差の絶対値、および色座標yの差の絶対値が、光学フィルム1の両主面のいずれにおいても、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、さらに好ましくは0.01以下である。このような反射光に対する色座標x、yに関する数値範囲の限定は、入射面S1、および出射面S2の両方の面において満たされることが望ましい。
正反射近傍での色変化を抑制するためには、好ましくは5°以下、更に好ましくは10°以下の傾斜角を有する平面が含まれないことが好ましい。また、波長選択反射層3が樹脂で覆われている場合、入射光が空気から樹脂に入射する際に屈折するため、より広い入射角の範囲で正反射光近傍での色調変化を抑制することができる。その他、正反射以外への反射色が問題になる場合は、問題となる方向に指向反射しないように、光学フィルム1を配置することが好ましい。
以下、光学フィルム1を構成する第1光学層4、第2光学層5、および波長選択反射層3について順次説明する。
(第1光学層、第2光学層)
第1光学層4は、例えば、波長選択反射層3を支持し、かつ保護するためのものである。第1光学層4は、光学フィルム1に可撓性を付与する観点から、例えば、樹脂を主成分とする層からなる。第1光学層4の両主面のうち、例えば、一方の面は平滑面であり、他方の面は凹凸面4bである。波長選択反射層3は当該凹凸面4b上に形成される。
第2光学層5は、例えば、波長選択反射層3が形成された第1光学層4の凹凸面4bを包埋することにより、波長選択反射層3を保護するためのものである。第2光学層5は、光学フィルム1に可撓性を付与する観点から、例えば、樹脂を主成分とする層からなる。第2光学層5の両主面のうち、例えば、一方の面は平滑面であり、他方の面は凹凸面5bである。第1光学層4の凹凸面4bと第2光学層5の凹凸面5bとは、互いに凹凸を反転した関係にある。したがって、以下では第1光学層4の凹凸面4bについて説明する。
図3は、第1の実施形態に係る光学フィルムの第1光学層の凹凸面の一形状例を示す平面図である。図4Aは、第2方向における第1光学層の凹凸面の一形状例を示す断面図である。図4Bは、第1方向における第1光学層の凹凸面の一形状例を示す断面図である。第1の実施形態では、第1光学層4の凹凸面内において直交交差する2方向を第1方向D1および第2方向D2と称する。第1光学層4が、対向する2組の辺を持つ矩形状を有する場合には、第1方向D1が2組の辺のうちの一方の組の辺の延在方向であり、第2方向D2が2組の辺のうちの他方の組の辺の延在方向であることが好ましい。第1光学層4が、短手方向DWおよび長手方向DLを持つ帯状または矩形状を有する場合には、第1方向D1が第1光学層4の短手方向DWであり、第2方向D2が第1光学層4の長手方向DLであることが好ましい。
第1光学層4の凹凸面4bは、例えば、複数の第1構造体4mと、複数の第2構造体4nとにより構成されている。第1構造体4mは、第1光学層4の凹凸面内の第1方向D1に延在された構造体であり、第1光学層4の第2方向D2に隣接して1次元配列されている。一方、第2構造体4nは、第1光学層4の凹凸面内の第2方向D2に延在された構造体であり、第1光学層4の第1方向D1に離間して1次元配列されている。すなわち、第1光学層4の凹凸面において第1構造体4mと第2構造体4nとは、直交交差する関係にある。なお、第1構造体4mと第2構造体4nとの関係はこれに限定されるものではなく、両者がほぼ直交交差する関係にあるようにしてもよい。
第1光学層4が、短手方向DWおよび長手方向DLを持つ帯状または矩形状を有する場合には、第1構造体4mおよび第2構造体4nは、以下の構成を有することが好ましい。すなわち、第1構造体4mは、第1光学層4の短手方向DWに延在された構造体であり、第1光学層4の長手方向DLに隣接して1次元配列されている。一方、第2構造体4nは、第1光学層4の長手方向DLに延在された構造体であり、第1光学層4の短手方向DWに離間して1次元配列されている。すなわち、第1光学層4の表面において第1構造体4mと第2構造体4nとは、直交交差する関係にある。
第1構造体4mとしては、柱状体またはその反転形状を用いることが好ましい。柱状体の形状としては、例えば、プリズム形状(三角柱状)などの多角柱状、稜線部分にR形状が付されたプリズム形状、レンチキュラー形状、トロイダル形状、双曲柱状、自由曲面状を用いることができ、これらの形状を2種以上組み合わせて用いてもよい。ここで、レンチキュラー形状とは、柱状体の稜線に垂直な断面形状が円弧状もしくはほぼ円弧状、楕円弧状もしくはほぼ楕円弧状、または放物線状もしくはほぼ放物線状の一部となっているものをいう。したがって、シリンドリカル形状もレンチキュラー形状に含まれる。
第1構造体4mの稜線部(頂部)の形状としては、例えば、直角形状、R形状または多角形状(例えば五角形状)などが挙げられるが、R形状が特に好ましい。第1構造体4mの稜線部をR形状にすることで、Roll to Roll工程により光学フィルム1を製造する場合に、フィルムの巻き締まりによる第1構造体4mの形状崩れを抑制することができる。ここで、第1構造体4mの稜線部(頂部)の形状とは、稜線に垂直な方向における稜線部の断面形状を意味する。具体的には例えば、第1構造体4mにおいては長手方向DLにおける稜線部の断面形状を意味する。
第1構造体4mの稜線部がR形状を有している場合、曲率半径Rと第1構造体4mのピッチPの比R/Pは、好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
光学フィルム1において、第1構造体4mのピッチP1は、好ましくは5μm以上5mm以下、より好ましくは5μm以上250μm未満、さらに好ましくは20μm以上200μm以下である。第1構造体4mのピッチP1が5μm未満であると、第1構造体4mの形状を所望のものとすることが難しい上、波長選択反射層3の波長選択特性は一般的には急峻にすることが困難であるため、透過波長の一部を反射することがある。このような反射が起こると回折が生じて高次の反射まで視認されるため、透明性が悪く感じられる傾向がある。一方、第1構造体4mのピッチP1が5mmを超えると、指向反射に必要な第1構造体4mの形状を考慮した場合、必要な膜厚が厚くなりフレキシブル性が失われ、窓材10などの剛体に貼りあわせることが困難になる。また、第1構造体4mのピッチP1を250μm未満にすることにより、さらにフレキシブル性が増し、ロール・ツー・ロールでの製造が容易となり、バッチ生産が不要となる。窓などの建材に本技術の光学フィルム1を適用するためには、光学フィルム1が数m程度の長さを有していることが好ましく、バッチ生産よりもロール・ツー・ロールでの製造が適している。さらに、ピッチP1を20μm以上200μm以下とした場合には、より生産性が向上する。
また、第1光学層4の表面に形成される第1構造体4mの形状は1種類に限定されるものではなく、複数種類の形状の第1構造体4mを第1光学層4の表面に形成するようにしてもよい。複数種類の形状の第1構造体4mを表面に設ける場合、複数種類の形状の第1構造体4mからなる所定のパターンが周期的に繰り返されるようにしてもよい。また、所望とする特性によっては、複数種類の第1構造体4mがランダム(非周期的)に形成されるようにしてもよい。
図5Aは、第1構造体の一形状例を示す斜視図である。図5Bは、図5Aに示す形状の第1構造体を有する光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図5Aおよび図5Bに示すように、第1構造体4mとして、一方向に延在された非対称な柱状体を用いることが好ましい。このような形状にすることで、入射光を1回または2回の反射で上空へ戻すことができる。したがって、入射光を3回の反射で上空へ戻すコーナーキューブに比して、波長選択反射層3の光吸収量を低減し、発熱を抑制することができる。
図5Aに示すように、第1構造体4mの形状を、光学フィルム1の入射面S1または出射面S2に垂直な垂線l1に対して非対称な形状としてもよい。この場合、第1構造体4mの主軸lmが、垂線l1を基準にして第1構造体4mの配列方向a(すなわち、長手方向DL)に傾くことになる。ここで、第1構造体4mの主軸lmとは、第1構造体断面の底辺の中点と第1構造体4mの頂点とを通る直線を意味する。例えば、第1構造体4mが三角柱状体である場合、三角柱状体の主軸lmとは、三角柱状体断面の底辺の中点と三角柱状体の頂点とを通る直線を意味する。地面に対して略垂直に配置された窓材10に光学フィルム1を貼り合わせた場合には、第1構造体4mの主軸lmが、垂線l1を基準にして窓材10の上方側(上空側)または下方側(地面側)に傾くこととなる。図5Bでは、第1構造体4mの主軸lmが、垂線l1を基準にして窓材10の下方(地面側)に傾いた例が示されている。
図6Aは、図5Bに示した光学フィルムの一部を拡大して表す拡大断面図である。図6Bは、図5Bに示した波長選択反射層を拡大して表す拡大断面図である。第1構造体4mは、例えば、波長選択反射層3を形成する成膜面である柱状面を形成する第1の傾斜面Sp1と第2の傾斜面Sp2とを有する。第1の傾斜面Sp1が、光学フィルム1を窓材10などの被着体に貼り合わせた場合に、上方側(上空側)となる面であり、第2の傾斜面Sp2が、光学フィルム1を窓材10などの被着体に貼り合わせた場合に、下方側(地面側)となる面である。以下では、第1の傾斜面Sp1、第2の傾斜面Sp2に形成された波長選択反射層3の膜厚をそれぞれ、波長選択反射層3の第1の膜厚d1、第2の膜厚d2と称する。
第1構造体4mは、例えば、第1の傾斜面Sp1と第2の傾斜面Sp2とにより形成される頂角γ1と、入射面S1または出射面S2に対する第1の傾斜面Sp1の傾斜角α1とを有する。傾斜角α1は、光学フィルム1を窓材10などの被着体に貼り合わせた場合に、上方側(上空側)となる傾斜角である。光学フィルム1は、各第1構造体4mにおける傾斜角α1が頂角γ1よりも上方になるようにして、窓材10や建築物などの被着体に対して貼り合わされる。上述したように、第1構造体4mの稜線部(頂部)に曲率Rを付すようにしてもよい。このように稜線部に曲率Rが付されている場合、頂角Rは、曲率Rにより湾曲する頂部より手前の部分の辺の開き角度とする。
頂角γ1および傾斜角α1は、以下の式(1)〜(4)のいずれか1つの式を満たしていることが好ましい。いずれか1つの式を満たすことで、高い上方反射率を得ることができるからである。
−3.6γ1+396≦α1≦80 (85≦γ1≦90) ・・・(1)
γ1−30≦α1≦−γ1+170 (90≦γ1≦100) ・・・(2)
30≦α1≦γ1−50 (80≦γ1≦90) ・・・(3)
30≦α1≦−γ1+130 (90≦γ1≦100) ・・・(4)
頂角γ1および傾斜角α1が式(1)または(2)を満たしている場合、第1の膜厚d1と第2の膜厚d2とがほぼ同一であることが好ましい。これにより、透過性能、及び反射性能の向上を見込むことができるからである。ここで、膜厚がほぼ同一とは、第1の膜厚d1に対する、第2の膜厚d2の割合((d1/d2)×100)[%]が、±10%以下であることをいう。
頂角γ1および傾斜角α1が式(3)または(4)を満たしている場合、第1の膜厚d1と第2の膜厚d2とが異なっていても良い。この場合、片方の斜面の波長選択反射層3中の各金属層の厚みが薄いと、光を反射できずに透過してしまうため、波長選択反射層3中の各金属層の厚みは7nm以上とすることが好ましい。一方、波長選択反射層3中の各金属層の厚みが14nmを超えると、反射光の色浮が生じてしまうため、波長選択反射層3中の各金属層の厚みは14nm以下とすることが好ましい。すなわち、膜厚の比率は200%以下であることが好ましい。
第2構造体4nとしては、柱状体またはその反転形状を用いることが好ましい。柱状体の形状としては、例えば、プリズム形状(三角柱状)などの多角柱状、稜線部分にR形状が付されたプリズム形状、レンチキュラー形状、トロイダル形状、双曲柱状、自由曲面状を用いることができ、これらの形状を2種以上組み合わせて用いてもよい。ここで、レンチキュラー形状とは、柱状体の稜線に垂直な断面形状が円弧状もしくはほぼ円弧状、楕円弧状もしくはほぼ楕円弧状、または放物線状もしくはほぼ放物線状の一部となっているものをいう。したがって、シリンドリカル形状もレンチキュラー形状に含まれる。また、第2構造体4nを短手方向DWに蛇行するなどして、第2構造体4nの傾斜面を屈曲させるようにしてもよい。
第2構造体4nの稜線部(頂部)の形状としては、例えば、直角形状、R形状または多角形状(例えば五角形状)などが挙げられるが、R形状が特に好ましい。第2構造体4nの稜線部をR形状にすることで、第2構造体4nの傾斜角が大きい場合であっても、第2構造体4nの稜線部の視認を抑制することができる。また、Roll to Roll工程により光学フィルム1を製造する場合に、フィルムの巻き締まりによる第2構造体4nの形状崩れを抑制することができる。ここで、第2構造体4nの稜線部(頂部)の形状は、稜線に垂直の方向における稜線部の断面形状を意味する。具体的には例えば、第2構造体4nにおいては短手方向Dwにおける稜線部の断面形状を意味する。
第1光学層4の表面を基準にした第1構造4m、第2構造体4nの高さをそれぞれH1、H2とした場合、第1構造体4mの高さH1および第2構造体4nの高さH2がH2>H1の関係を満たすことが好ましい。後述する包埋工程において樹脂材料の流れを確保し、スジ状の膜厚ムラの発生を抑制することができるからである。なお、第1光学層4は、上述したように、光学フィルム1を透過した太陽光が出射される出射面S2を有する光学層である。第2構造体4nの高さH2と第1構造体の高さH1との差ΔH(=H2−H1)が、好ましくは0.5μm以上25μm以下、より好ましくは2μm以上15μm以下、更に好ましくは3μm以上6μm以下である。高さの差ΔHが0.5μm以上であると、後述する包埋工程において樹脂材料の流れを十分に確保でき、スジ状の膜厚ムラの発生をより抑制できる傾向にある。高さの差ΔHが25μm以下であると、光学体としての光学フィルム1に斜めから入射した光が第2構造体4nで反射される割合を低減することができ、本来目的とする第1構造体4mによる反射性能が得られる傾向にある。
特定の波長帯の光を指向反射する機能は主に第1構造体4mの機能であるため、第2構造体4nは光学性能に悪影響を与えないように設けることが好ましい。具体的には、第2構造体4nのピッチをP2、第2構造体4nの溝幅をw2とした場合、ピッチP2は、好ましくは10×W2以上、より好ましくは20×W2、更に好ましくは25×W2以上である。ピッチP2を10×W2以上にすることで、第2構造体4nによる光学フィルム1の指向反射機能の低下を抑制できる傾向がある。なお、上述したように、第1構造体4mが、主として、光学フィルム1の指向反射機能を担っている。
また、第2構造体4nのピッチP2は、好ましくは200μm以上、より好ましくは250μm以上、更に好ましくは300μm以上である。ピッチP2を200μm以上にすることで、回折パターンの視認を抑制できる傾向がある。
第2構造体4nのピッチP2は、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、更に好ましくは1mm以下である。ピッチP2を5mm以下にすることで、スジ状の膜厚ムラ発生を抑制する効果の低下を抑えることができる傾向がある。
したがって、指向反射機能の低下の抑制し、かつ、スジ状の膜厚ムラ発生を抑制する効果の低下を抑える観点からすると、第2構造体4nのピッチP2は、好ましくは10×W2以上、5mm以下、より好ましくは20×W2以上、3mm以下、更に好ましくは25×W2以上、1mm以下である。また、回折パターンの視認を抑制し、かつ、スジ状の膜厚ムラ発生を抑制する効果の低下を抑える観点からすると、第2構造体4nのピッチP2は、好ましくは200μm以上5mm以下、より好ましくは250μm以上3mm以下、更に好ましくは300μm以上1mm以下である。
第1構造体4mおよび第2構造体4n上に波長選択反射層3が設けられるが、これらの構造体の傾斜面の傾きによって波長選択反射層3のつきまわりが異なる。本発明者らが鋭意検討した結果によれば、第2構造体4nの傾斜面の傾きが第1構造体4mの傾斜面の傾きより大幅に急峻な場合、波長選択反射層3による光学吸収が増大し、離れて観察しても線が視認される傾向があることがわかっている。したがって、第2構造体4nの第1の傾斜面の傾斜角度α2および第2の傾斜面の傾斜角度β2は、好ましくは65°以下、より好ましくは60°以下である。また、第1の傾斜面の傾斜角度α2および第2の傾斜面の傾斜角度β2が緩いと、第2構造体4nの占有する面積が増えてしまい、本来目的とする第1構造体4mによる反射性能に影響が生じてしまう。したがって、第2構造体4nの第1の傾斜面の傾斜角度α2および第2の傾斜面の傾斜角度β2は、好ましくは30°以上、より好ましくは45°以上である。以上の点を総合すると、第2構造体4nの第1の傾斜面の傾斜角度α2および第2の傾斜面の傾斜角度β2は、好ましくは30°以上65°以下、より好ましくは45°以上60°以下である。
第1構造体4mと第2構造体4nとの傾斜面の傾斜角度との差は、好ましくは±15°以下、より好ましくは±10°以下、更に好ましくは±5°以下である。傾斜面の傾斜角度との差を±15°以下にすることで、波長選択反射層3の付きまわりの違いによる色味の視認を抑制することができる。ここで、第1構造体4mの傾斜面が複数種ある場合は、一番傾斜角が近い面からの偏角を考える。
第1光学層4が、100℃での貯蔵弾性率の低下が少なく、25℃と100℃とでの貯蔵弾性率が著しく異ならない樹脂を主成分としていることが好ましい。具体的には、25℃での貯蔵弾性率が3×109Pa以下であり、100℃での貯蔵弾性率が3×107Pa以上である樹脂を含んでいることが好ましい。なお、第1光学層4は、1種類の樹脂で構成されているのが好ましいが、2種類以上の樹脂を含んでいてもよい。また、必要に応じて、添加剤が混入されていてもよい。
このように100℃での貯蔵弾性率の低下が少なく、25℃と100℃とでの貯蔵弾性率が著しく異ならない樹脂を主成分としていると、熱、または熱と加圧とを伴うプロセスが第1光学層4の凹凸面4bを形成後に存在する場合でも、設計した界面形状をほぼ保つことができる。これに対して、100℃での貯蔵弾性率の低下が大きく、25℃と100℃とでの貯蔵弾性率が著しく異なる樹脂を主成分としていると、設計した界面形状からの変形が大きくなり、光学フィルム1にカールが生じたりする。
ここで、熱を伴うプロセスには、アニール処理などのように直接的に光学フィルム1またはその構成部材に対して熱を加えるようなプロセスのみならず、薄膜の成膜時、および樹脂組成物の硬化時などに、成膜面が局所的に温度上昇して間接的にそれらに対して熱を加えるようなプロセスや、エネルギー線照射により金型の温度が上昇し、間接的に光学フィルムに熱を加えるようなプロセスも含まれる。また、上述した貯蔵弾性率の数値範囲を限定することにより得られる効果は、樹脂の種類に特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、およびエネルギー線照射型樹脂のいずれでも得ることができる。
第1光学層4の貯蔵弾性率は、例えば以下のようにして確認することができる。第1光学層4の表面が露出している場合には、その露出面の貯蔵弾性率を微小硬度計を用いて測定することにより確認することができる。また、第1光学層4の表面に第1の基材4aなどが形成されている場合には、第1の基材4aなどを剥離して、第1光学層4の表面を露出させた後、その露出面の貯蔵弾性率を微小硬度計を用いて測定することにより確認することができる。
高温下での弾性率の低下を抑制する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂にあっては、側鎖の長さおよび種類などを調整する方法が挙げられ、熱硬化型樹脂、およびエネルギー線照射型樹脂にあっては、架橋点の量および架橋材の分子構造などを調整する方法が挙げられる。但し、このような構造変更によって樹脂材料そのものに求められる特性が損なわれないようにすることが好ましい。例えば、架橋剤の種類によっては室温付近での弾性率が高くなり、脆くなってしまったり、収縮が大きくなりフィルムが湾曲したり、カールしたりすることがあるので、架橋剤の種類を所望とする特性に応じて適宜選択することが好ましい。
第1光学層4が、結晶性高分子材料を主成分として含んでいる場合には、ガラス転移点が、製造プロセス中の最高温度より大きく、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が少ない樹脂を主成分としていることが好ましい。これに対して、ガラス転移点が、室温25℃以上、製造プロセス中の最高温度以下の範囲内にあり、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が大きい樹脂を用いると、製造プロセス中に、設計した理想的な界面形状を保持することが困難になる。
第1光学層4が、非晶性高分子材料を主成分として含んでいる場合には、融点が、製造プロセス中の最高温度より大きく、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が少ない樹脂を主成分としていることが好ましい。これに対して、融点が、室温25℃以上、製造プロセス中の最高温度以下の範囲内にあり、製造プロセス中の最高温度下での貯蔵弾性率の低下が大きい樹脂を用いると、製造プロセス中に、設計した理想的な界面形状を保持することが困難になる。
ここで、製造プロセス中の最高温度とは、製造プロセス中における第1光学層4の凹凸面4bの最高温度を意味している。上述した貯蔵弾性率の数値範囲、およびガラス転移点の温度範囲は、第2光学層5も満たしていることが好ましい。
すなわち、第1光学層4、および第2光学層5の少なくとも一方が、25℃での貯蔵弾性率が3×109Pa以下である樹脂を含んでいることが好ましい。室温25℃において光学フィルム1に可撓性を付与することができるので、ロール・ツー・ロールでの光学フィルム1の製造が可能となるからである。
第1の基材4a、および第2の基材5aは、例えば、透明性を有している。基材の形状としては、光学フィルム1に可撓性を付与する観点から、フィルム状を有することが好ましいが、特にこの形状に限定されるものではない。第1の基材4a、および第2の基材5aの材料としては、例えば、公知の高分子材料を用いることができる。公知の高分子材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられるが、特にこれらの材料に限定されるものではない。第1の基材4a、および第2の基材5aの厚さは、生産性の観点から38〜100μmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。第1の基材4a、および第2の基材5aは、エネルギー線透過性を有することが好ましい。これにより、後述するように、第1の基材4a、または第2の基材5aと波長選択反射層3との間に介在させたエネルギー線硬化型樹脂に対して、第1の基材4a、または第2の基材5a側からエネルギー線を照射し、エネルギー線硬化型樹脂を硬化させることができるからである。
第1光学層4、および第2光学層5は、例えば、透明性を有する。第1光学層4、および第2光学層5は、例えば、樹脂組成物を硬化することにより得られる。樹脂組成物としては、製造の容易性の観点からすると、光または電子線などにより硬化するエネルギー線硬化型樹脂、または熱により硬化する熱硬化型樹脂を用いることが好ましい。エネルギー線硬化型樹脂としては、光により硬化する感光性樹脂組成物が好ましく、紫外線により硬化する紫外線硬化型樹脂組成物が最も好ましい。樹脂組成物は、第1光学層4、または第2光学層5と波長選択反射層3との密着性を向上させる観点から、リン酸を含有する化合物、コハク酸を含有する化合物、ブチロラクトンを含有する化合物をさらに含有することが好ましい。リン酸を含有する化合物としては、例えばリン酸を含有する(メタ)アクリレート、好ましくはリン酸を官能基に有する(メタ)アクリルモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。コハク酸を含有する化合物としては、例えば、コハク酸を含有する(メタ)アクリレート、好ましくはコハク酸を官能基に有する(メタ)アクリルモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。ブチロラクトンを含有する化合物としては、例えば、ブチロラクトンを含有する(メタ)アクリレート、好ましくはブチロラクトンを官能基に有する(メタ)アクリルモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。
紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、(メタ)アクリレートと、光重合開始剤とを含有している。また、紫外線硬化型樹脂組成物が、必要に応じて、光安定剤、難燃剤、レベリング剤および酸化防止剤などをさらに含有するようにしてもよい。
アクリレートとしては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを用いることが好ましい。このモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどを用いることができる。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタアクリロイル基のいずれかを意味するものである。ここで、オリゴマーとは、分子量500以上60000以下の分子をいう。
光重合開始剤としては、公知の材料から適宜選択したものを使用できる。公知の材料としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラキノン誘導体などを単独で、または併用して用いることができる。重合開始剤の配合量は、固形分中0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。0.1質量%未満であると、光硬化性が低下し、実質的に工業生産に適さない。一方、10質量%を超えると、照射光量が小さい場合に、塗膜に臭気が残る傾向にある。ここで、固形分とは、硬化後の樹脂組成物を構成する全ての成分をいう。具体的には例えば、アクリレート、および光重合開始剤などを固形分という。
樹脂はエネルギー線照射や熱などによって構造を転写できるものが好ましく、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、熱可塑性樹脂など上述の屈折率の要求を満たすものであればどのような種類の樹脂を使用しても良い。
硬化収縮を低減するために、オリゴマーを添加してもよい。硬化剤としてポリイソシアネートなどを含んでもよい。また、第1光学層4、および第2光学層5との密着性を考慮して水酸基やカルボキシル基、リン酸基を有するような単量体、多価アルコール類、カルボン酸、シラン、アルミ、チタンなどのカップリング剤や各種キレート剤などを添加しても良い。
樹脂組成物が、架橋剤をさらに含んでいることが好ましい。この架橋剤としては、環状の架橋剤を用いることが特に好ましい。架橋剤を用いることで、室温での貯蔵弾性率を大きく変化させることなく、樹脂を耐熱化することができるからである。なお、室温での貯蔵弾性率が大きく変化すると、光学フィルム1が脆くなり、ロール・ツー・ロール工程などによる光学フィルム1の作製が困難となる。環状の架橋剤としては、例えば、ジオキサングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジアクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどを挙げることができる。
第1の基材4a、または第2の基材5aは、第1光学層4、または第2光学層5より水蒸気透過率が低いことが好ましい。例えば、第1光学層4をウレタンアクリレートのようなエネルギー線硬化型樹脂で形成する場合には、第1の基材4aを第1光学層4より水蒸気透過率が低く、かつ、エネルギー線透過性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂により形成することが好ましい。これにより、入射面S1または出射面S2から波長選択反射層3への水分の拡散を低減し、波長選択反射層3に含まれる金属などの劣化を抑制することができる。したがって、光学フィルム1の耐久性を向上させることができる。なお、厚み75μmのPETの水蒸気透過率は、10g/m2/day(40℃、90%RH)程度である。
第1光学層4および第2光学層5の少なくとも一方が、極性の高い官能基を含み、その含有量が第1光学層4と第2光学層5とで異なることが好ましい。第1光学層4と第2光学層5との両方が、リン酸化合物(例えば、リン酸エステル)を含み、第1光学層4と第2光学層5とにおける上記リン酸化合物の含有量が異なることが好ましい。リン酸化合物の含有量は、第1光学層4と第2光学層5とにおいて、好ましくは2倍以上、より好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上異なる。
第1光学層4、および第2光学層5の少なくとも一方が、リン酸化合物を含む場合、波長選択反射層3は、リン酸化合物を含む第1光学層4または第2光学層5と接する面に、酸化物もしくは窒化物、酸窒化物を含むことが好ましい。波長選択反射層3は、リン酸化合物を含む第1光学層4または第2光学層5と接する面に、酸化亜鉛(ZnO)または酸化ニオブを含む層を有することが特に好ましい。これらの光学層と波長選択反射層3との密着性が向上するためである。また、波長選択反射層3がAg等の金属を含む場合に、腐食防止効果が高いからである。また、この波長選択反射層3は、Al、Gaなどのドーパントを含有していても良い。金属酸化物層をスパッタ法等で形成する場合に、膜質や平滑性が向上するからである。
第1光学層4、および第2光学層5の少なくとも一方が、光学フィルム1や窓材10などに意匠性を付与する観点からすると、可視領域における特定の波長帯の光を吸収する特性を有することが好ましい。樹脂中に分散させる顔料は、有機系顔料および無機系顔料のいずれであってもよいが、特に顔料自体の耐候性が高い無機系顔料とすることが好ましい。具体的には、ジルコングレー(Co、NiドープZrSiO4)、プラセオジムイエロー(PrドープZrSiO4)、クロムチタンイエロー(Cr、SbドープTiO2またはCr、WドープTiO2)、クロムグリーン(Cr23など)、ピーコックブルー((CoZn)O(AlCr)23)、ビクトリアグリーン((Al、Cr)23)、紺青(CoO・Al23・SiO2)、バナジウムジルコニウム青(VドープZrSiO4)、クロム錫ピンク(CrドープCaO・SnO2・SiO2)、陶試紅(MnドープAl23)、サーモンピンク(FeドープZrSiO4)などの無機顔料、アゾ系顔料やフタロシアニン系顔料などの有機顔料が挙げられる。
(波長選択反射層)
波長選択反射層3は、例えば、入射角(θ、φ)で入射面に入射した光のうち、特定波長帯の光を指向反射するのに対して、特定波長帯以外の光を透過するものである。波長選択反射層3は、例えば、積層膜、透明導電層、または機能層である。また、積層膜、透明導電層、および機能層を2以上組み合わせて波長選択反射層3としてもよい。波長選択反射層3の平均層厚は、好ましくは20μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。波長選択反射層3の平均層厚が20μmを超えると、透過光が屈折する光路が長くなり、透過像が歪んで見える傾向がある。反射層の形成方法としては、例えば、スパッタ法、蒸着法、ディップコーティング法、ダイコーティング法などを用いることができる。
以下、積層膜、透明導電層、および機能層について順次説明する。
(積層膜)
積層膜は、例えば、屈折率の異なる低屈折率層および高屈折率層を交互に積層してなる積層膜である。または、積層膜は、例えば、赤外領域において反射率の高い金属層と、可視領域において屈折率が高く反射防止層として機能する高屈折率層とを交互に積層してなる積層膜である。高屈折率層としては、光学透明層、または透明導電層を用いることができる。
赤外領域において反射率の高い金属層は、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Cr、Ti、Pd、Co、Si、Ta、W、Mo、Geなどの単体、またはこれらの単体を2種以上含む合金を主成分とする。そして、実用性の面を考慮すると、これらのうちのAg系、Cu系、Al系、Si系またはGe系の材料が好ましい。また、金属層の材料として合金を用いる場合には、金属層は、AlCu、AlTi、AlCr、AlCo、AlNdCu、AlMgSi、AgPdCu、AgPdTi、AgCuTi、AgPdCa、AgPdMg、AgPdFe、AgまたはSiBなどを主成分とすることが好ましい。また、金属層の腐食を抑えるために、金属層に対してTi、Ndなどの材料を添加することが好ましい。特に、金属層の材料としてAgを用いる場合には、上記材料を添加することが好ましい。
光学透明層は、可視領域において屈折率が高く反射防止層として機能する光学透明層である。光学透明層は、例えば酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタンなどの高誘電体を主成分とする。透明導電層は、例えば、ZnO系酸化物、インジウムドープ酸化錫などの主成分とする。なお、ZnO系酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)およびアルミニウム(Al)をドープした酸化亜鉛(GAZO)、Alをドープした酸化亜鉛(AZO)、およびガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛(GZO)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
また、積層膜に含まれる高屈折率層の屈折率は、1.7以上2.6以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは1.8以上2.6以下、更に好ましくは1.9以上2.6以下である。これにより、クラックが発生しない程度の薄い膜で可視光領域での反射防止が実現できるからである。ここで、屈折率は、波長550nmにおけるものである。高屈折率層は、例えば、金属の酸化物を主成分とする層である。金属の酸化物としては、層の応力を緩和し、クラックの発生を抑制する観点からすると、酸化亜鉛以外の金属酸化物を用いることが好ましい場合もある。特に、酸化ニオブ(例えば、五酸化ニオブ)、酸化タンタル(例えば、五酸化タンタル)、および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。高屈折率層の膜厚は、好ましくは10nm以上120nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下、さらに好ましくは10nm以上80nm以下である。膜厚が10nm未満であると、可視光が反射しやすくなる傾向がある。一方、膜厚が120nmを超えると、透過率の低下やクラックが発生しやすくなる傾向がある。
なお、積層膜は、無機材料からなる薄膜に限定されるものではなく、高分子材料からなる薄膜や高分子中に微粒子などを分散した層を積層して構成してもよい。また、これら光学透明層成膜時の下層金属の酸化劣化を防ぐ目的で、成膜する光学透明層の界面に数nm程度のTiなどの薄いバッファー層を設けてもよい。ここで、バッファー層とは、上層成膜時に、自らが酸化することで下層である金属層などの酸化を抑制するための層である。
(透明導電層)
透明導電層は、可視領域において透明性を有する導電性材料を主成分とする透明導電層である。透明導電層は、例えば、酸化錫、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ含有体、インジウムドープ酸化錫、インジウムドープ酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化錫などの透明導電物質を主成分とする。もしくはこれらのナノ粒子や金属などの導電性を持つ材料のナノ粒子、ナノロッド、ナノワイヤーを樹脂中に高濃度に分散させた層を用いても良い。
(機能層)
機能層は、外部刺激により反射性能などが可逆的に変化するクロミック材料を主成分とする。クロミック材料は、例えば、熱、光、侵入分子などの外部刺激により構造を可逆的に変化させる材料である。クロミック材料としては、例えば、フォトクロミック材料、サーモクロミック材料、ガスクロミック材料、エレクトロクロミック材料を用いることができる。
フォトクロミック材料とは、光の作用により構造を可逆的に変化させる材料である。フォトクロミック材料は、例えば紫外線などの光照射により、反射率や色などの様々な物性を可逆的に変化させることができる。フォトクロミック材料としては、例えばCr、Fe、NiなどをドープしたTiO2、WO3、MoO3、Nb25などの遷移金属酸化物を用いることができる。また、これらの層と屈折率の異なる層を積層することで波長選択性を向上させることもできる。
サーモクロミック材料とは、熱の作用により構造を可逆的に変化させる材料である。フォトクロミック材料は、加熱により、反射率や色などの様々な物性を可逆的に変化させることができる。サーモクロミック材料としては、例えばVO2などを用いることができる。また、転移温度や転移カーブを制御する目的で、W、Mo、Fなどの元素を添加することもできる。また、VO2などのサーモクロミック材料を主成分とする薄膜を、TiO2やITOなどの高屈折率体を主成分とする反射防止層で挟んだ積層構造としてもよい。
または、コレステリック液晶などのフォトニックラティスを用いることもできる。コレステリック液晶は層間隔に応じた波長の光を選択的に反射することができ、この層間隔は温度によって変化するため、加熱により、反射率や色などの物性を可逆的に変化させることができる。この際、層間隔の異なるいくつかのコレステリック液晶層を用いて反射帯域を広げることも可能である。
エレクトロクロミック材料とは、電気により、反射率や色などの様々な物性を可逆的に変化させることができる材料である。エレクトロクロミック材料としては、例えば、電圧の印加により構造を可逆的に変化させる材料を用いることができる。より具体的には、エレクトロクロミック材料としては、例えば、プロトンなどのドープまたは脱ドープにより、反射特性が変わる反射型調光材料を用いることができる。反射型調光材料とは、具体的には、外部刺激により、光学的な性質を透明な状態と、鏡の状態、および/またはその中間状態に制御することができる材料である。このような反射型調光材料としては、例えば、マグネシウムおよびニッケルの合金材料、マグネシウムおよびチタンの合金材料を主成分とする合金材料、WO3やマイクロカプセル中に選択反射性を有する針状結晶を閉じ込めた材料などを用いることができる。
具体的な機能層の構成としては、例えば、第2光学層上に、上記合金層、Pdなどを含む触媒層、薄いAlなどのバッファー層、Ta25などの電解質層、プロトンを含むWO3などのイオン貯蔵層、透明導電層が積層された構成を用いることができる。または、第2光学層上に透明導電層、電解質層、WO3などのエレクトロクロミック層、透明導電層が積層された構成を用いることができる。これらの構成では、透明導電層と対向電極の間に電圧を印加することにより、電解質層に含まれるプロトンが合金層にドープまたは脱ドープされる。これにより、合金層の透過率が変化する。また、波長選択性を高めるために、エレクトロクロミック材料をTiO2やITOなどの高屈折率体と積層することが望ましい。また、その他の構成として、第2光学層上に透明導電層、マイクロカプセルを分散した光学透明層、透明電極が積層された構成を用いることができる。この構成では、両透明電極間に電圧を印加することにより、マイクロカプセル中の針状結晶が配向した透過状態にしたり、電圧を除くことで針状結晶が四方八方を向き、波長選択反射状態にすることができる。
[光学フィルムの機能]
図7A、図7Bは、光学フィルムの機能の一例を説明するための断面図である。図7Aに示すように、この光学フィルム1に入射した太陽光のうち近赤外線L1の一部は、入射した方向と同程度の上空方向に指向反射されるのに対して、可視光L2は光学フィルム1を透過する。
また、図7Bに示すように、光学フィルム1に入射し、波長選択反射層3の反射層面で反射された光は、入射角度に応じた割合で、上空反射する成分LAと、上空反射しない成分LBとに分離する。そして、上空反射しない成分LBは、第2光学層4と空気との界面で全反射された後、最終的に入射方向とは異なる方向に反射される。
図8A、図8Bは、第1構造体4mの稜線l3と、入射光Lおよび反射光L1との関係を示す。光学フィルム1は、入射角(θ、φ)で入射面S1に入射した光Lのうち、特定波長帯の光L1を選択的に(θo、−φ)の方向(0°<θo<90°)に指向反射するのに対して、特定波長帯以外の光L2を透過することが好ましい。このような関係を満たすことで、特定波長帯の光を上空方向に反射できるからである。但し、θ:入射面S1に対する垂線l1と、入射光Lまたは反射光L1とのなす角である。φ:入射面S1内において柱状の第1構造体4mの稜線l3と直交する直線とl2と、入射光Lまたは反射光L1を入射面S1に射影した成分とのなす角である。なお、垂線l1を基準にして時計回りに回転した角度θを「+θ」とし、反時計回りに回転した角度θを「−θ」とする。直線l2を基準にして時計回りに回転した角度φを「+φ」とし、反時計回りに回転した角度φを「−φ」とする。
[光学フィルムの全体形状]
図9は、第1の実施形態に係る光学フィルムの全体形状の一例を示す斜視図である。図9に示すように、光学フィルム1は、全体として帯状または矩形状の形状を有していることが好ましい。このような形状とすることで、光学フィルム1をロール・ツー・ロール工程により容易に作製することができる。また、ロール状などに光学フィルム1を巻回することで、取り扱いを容易とすることができる。以下では、帯状または矩形状を有する光学フィルム1の長手方向を長手方向DL、短手方向(幅方向ともいう。)を短手方向DWと称する。また、第1光学層4に形成された第1構造体4mの稜線lrの方向を稜線方向DRと称する。
第1構造体4mは、その稜線lrが光学フィルム1の短手方向DWと平行となるように第1光学層4に形成されていることが好ましい。第1構造体4mの稜線方向DRと光学フィルム1の長手方向を長手方向DLとが直交する関係にあることが好ましい。これにより、建築物の高さ方向と、帯状または矩形状の光学フィルム1の長手方向DLとが略平行の関係となるように、帯状または矩形状の光学フィルム1を建築物の窓材などに貼り合わせるだけで、光学フィルム1の反射機能を有効に発現させることができる。
[光学フィルムの貼り合わせ方法]
図10A、図10Bは、本技術の第1の実施形態に係る光学フィルムの貼り合わせ方法の一例を説明するための略線図である。ビルディングなどの近年の高層建築物に設けられた窓材10は、横幅に比べて縦幅の方が大きい矩形状のものが一般的である。したがって、以下では、このような形状を有する窓材10に対して光学フィルム1を貼り合わせる例について説明する。
まず、ロール状に巻回された光学フィルム(いわゆる原反)1から、帯状の光学フィルム1を巻き出し、貼り合わせる窓材10の形状に合わせて適宜裁断し、矩形状の光学フィルム1を得る。この矩形状の光学フィルム1は、図10Aに示すように、対向する1組みの長辺Laと、対向する1組みの短辺Lbとを有する。矩形状の光学フィルム1の長辺Laと、光学フィルム1の入射面内における第1構造体4mの稜線方向DRとが略直交している。すなわち、矩形状の光学フィルム1の長手方向DLと、光学フィルム1の入射面内における第1構造体4mの稜線方向DRの方向とが略直交している。
次に、裁断した光学フィルム1の一方の短辺Lbを、矩形状の窓材10の上端に位置する短辺10aに位置合わせする。次に、矩形状の光学フィルム1を貼合層6などを介して窓材10の上端から下端に向かって順次貼り合わせる。これにより、光学フィルム1の他方の短辺Lbが、矩形状の窓材10の他端に位置する短辺10bに位置合わせされる。次に、必要に応じて、窓材10に貼り合わされた光学フィルム1の表面を押圧などして、窓材10と光学フィルム1との間に混入した気泡を脱気する。以上により、光学フィルム1の入射面内における第1構造体4mの稜線方向DRと、高層建築物などの建築物の高さ方向DHとが略平行となるように、矩形状の光学フィルム1が窓材10に貼り合わされる。
[光学フィルムの貼り合わせ方向]
図11A、図11Bは、貼り合わせ方向による光学フィルム1の反射機能の相違を説明するための略線図である。
図11Aでは、光学フィルム1の入射面内における第1構造体4mの稜線方向DRと、建築物の高さ方向DHとが略直交するように、光学フィルム1を窓材10に貼り合わさせた建築物500の例が示されている。すなわち、上述の光学フィルムの貼り合わせ方法により、光学フィルム1を窓材10に対して貼り合わせた例が示されている。このように光学フィルム1を窓材10に貼り合わせた場合には、光学フィルム1の反射機能を有効に発現させることができる。したがって、上方向から窓材10に入射した光の多くを、上方向に反射することができる。すなわち、窓材10の上方反射率を向上させることができる。
図11Bでは、光学フィルム1の入射面内における第1構造体4mの稜線方向DRと、建築物の高さ方向DHとが直交せず、斜めの関係となるように、光学フィルム1を窓材10に貼り合わせた建築物600の例が示されている。このように光学フィルム1を窓材10に貼り合わせた場合には、光学フィルム1の反射機能を有効に発現させることができなくなる。したがって、上方向から窓材10に入射した光が、下方向に反射される割合が増加してしまう。すなわち、窓材10の上方反射率が低下してしまう。
[原盤]
図12は、本技術の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造に用いる原盤の一構成例を示す斜視図である。ロール状原盤100は、図12に示すように、円柱面を有し、その円柱面には成形面としての凹凸面が設けられている。この凹凸面をフィルムなどに転写することにより、第1光学層4の凹凸面4bが成形される。ロール状原盤100の凹凸面は、複数の第1溝101mと複数の第2溝101nとにより構成されている。第1溝101mは、第1光学層4の第1構造体4mを成形するためのものであり、第1構造体4mとは凹凸を反転した関係にある。一方、第2溝101nは、第1光学層4の第2構造体4nを成形するためのものであり、第2構造体4nとは凹凸を反転した関係にある。
図13は、原盤の成形面の一形状例を示す平面図である。図14Aは、原盤の円周方向における成形面の一形状例を示す断面図である。図4Bは、原盤の幅方向における成形面の一形状例を示す断面図である。第1溝101mは、例えば、原盤100の幅方向(軸方向)DWに延在された溝であり、原盤100の円周方向DRに隣接して1次元配列されている。一方、第2溝101nは、例えば、原盤100の円周方向DRに延在された溝であり、原盤100の幅方向(高さ方向)DWに離間して1次元配列されている。すなわち、原盤100の成形面において第1溝101mと第2溝101nとは、直交する関係にある。
第2溝101nの深さD2が、第1溝101mの深さD1よりも深いことが好ましい。第2溝101nの深さD2と第1構造体の深さD1との差ΔD(=D2−D1)が、好ましくは0.5μm以上25μm以下、より好ましくは2μm以上15μm以下、更に好ましくは3μm以上6μm以下である。
第2溝101nのピッチをP2、第2溝101nの溝幅をw2とした場合、ピッチP2は、好ましくは10×W2以上、より好ましくは20×W2、更に好ましくは25×W2以上である。
また、第2溝101nのピッチP2は、好ましくは200μm以上、より好ましくは250μm以上、更に好ましくは300μm以上である。
第2溝101nのピッチP2は、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、更に好ましくは1mm以下である。
したがって、第2溝101nのピッチP2は、好ましくは10×W2以上、5mm以下、より好ましくは20×W2以上、3mm以下、更に好ましくは25×W2以上、1mm以下である。また、第2溝101nのピッチP2は、好ましくは250μm以上5mm以下、より好ましくは300μm以上3mm以下、更に好ましくは200μm以上1mm以下である。
第2溝101nの第1の傾斜面の傾斜角度α2および第2の傾斜面の傾斜角度β2は、好ましくは65°以下、より好ましくは60°以下である。第2溝101nの第1の傾斜面の傾斜角度α2および第2の傾斜面の傾斜角度β2は、好ましくは30°以上、より好ましくは45°以上である。したがって、第2溝101nの第1の傾斜面の傾斜角度α2および第2の傾斜面の傾斜角度β2は、好ましくは30°以上65°以下、より好ましくは45°以上60°以下である。
第1溝101mと第2溝101nとの傾斜面の傾斜角度との差は、好ましくは±15°以下、より好ましくは±10°以下、更に好ましくは±5°以下である。ここで、第1溝101mの傾斜面が複数種ある場合は、一番傾斜角が近い面からの偏角を考える。
[光学フィルムの製造装置]
図15は、第1の実施形態に係る光学フィルムを製造するための製造装置の一構成例を示す概略図である。図15に示すように、この製造装置は、ラミネートロール41、42、ガイドロール43、塗布装置45、および照射装置46を備える。
ラミネートロール41、42は、反射層付き光学層9と、第2の基材5aとをニップ可能に構成されている。ここで、反射層付き光学層9は、第1光学層4の一主面上に波長選択反射層3を成膜したものである。なお、反射層付き光学層9として、第1光学層4の波長選択反射層3が成膜された面と反対側の他主面上に第1の基材4aが形成されていてもよい。この例では、第1光学層4の一主面上に波長選択反射層3が成膜され、他主面上に第1の基材4aが形成された場合が示されている。ガイドロール43は、帯状の光学フィルム1を搬送できるように、この製造装置内の搬送路に配置されている。ラミネートロール41、42およびガイドロール43の材質は特に限定されるものではなく、所望とするロール特性に応じてステンレスなどの金属、ゴム、シリコーンなどを適宜選択して用いることができる。
塗布装置45は、例えば、コーターなどの塗布手段を備える装置を用いることができる。コーターとしては、例えば、塗布する樹脂組成物の物性などを考慮して、グラビア、ワイヤバー、およびダイなどのコーターを適宜使用することができる。照射装置46は、例えば、電子線、紫外線、可視光線、またはガンマ線などの電離線を照射する照射装置である。この例では、照射装置46として紫外線を照射するUVランプを用いた場合が図示されている。
[光学フィルムの製造方法]
以下、図15〜図18を参照して、第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例について説明する。なお、以下に示す製造プロセスの一部または全部は、生産性を考慮して、ロール・ツー・ロールにより行われることが好ましい。但し、金型の作製工程は除くものとする。
まず、図16Aに示すように、例えばバイト加工またはレーザー加工などにより、複数の第1溝101mと複数の第2溝101nとからなる凹凸面を金型(レプリカ)100の表面に形成する。次に、図16Bに示すように、例えば溶融押し出し法または転写法などを用いて、上記金型100の凹凸面の形状をフィルム状の樹脂材料に転写する。転写法としては、型にエネルギー線硬化型樹脂を流し込み、エネルギー線を照射して硬化させる方法、樹脂に熱や圧力を加え、形状を転写する方法、または樹脂フィルムをロールから供給し、熱を加えながら型の形状を転写する方法(ラミネート転写法)などが挙げられる。これにより、図16Cに示すように、一主面に凹凸面4bを有する第1光学層4が形成される。
また、図16Cに示すように、第1の基材4a上に、第1光学層4を形成するようにしてもよい。この場合には、例えば、フィルム状の第1の基材4aをロールから供給し、該基材上にエネルギー線硬化型樹脂を塗布した後に型に押し当て、型の形状を転写し、エネルギー線を照射して樹脂を硬化させる方法が用いられる。なお、樹脂は、架橋剤をさらに含んでいることが好ましい。室温での貯蔵弾性率を大きく変化させることなく、樹脂を耐熱化することができるからである。
次に、図17Aに示すように、その第1光学層4の一主面上に波長選択反射層3を成膜する。波長選択反射層3の成膜方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ディップコーティング法、ダイコーティング法、ウェットコーティング法、スプレーコーティング法などが挙げられ、これらの成膜方法から、第1光学層4の凹凸面4bの形状などに応じて適宜選択することが好ましい。次に、図17Bに示すように、必要に応じて、波長選択反射層3に対してアニール処理31を施す。アニール処理の温度は、例えば100℃以上250℃以下の範囲内である。
次に、図17Cに示すように、未硬化状態の樹脂22を波長選択反射層3上に塗布する。樹脂22としては、例えば、エネルギー線硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂などを用いることができる。エネルギー線硬化型樹脂としては、紫外線硬化樹脂が好ましい。次に、図18Aのように、樹脂21上に第2の基材5aを被せることにより、積層体を形成する。次に、図18Bに示すように、例えばエネルギー線32または加熱32により樹脂22を硬化させるとともに、積層体に対して圧力33を加える。エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線、ガンマ線、電子線などを用いることができ、生産設備の観点から、紫外線が好ましい。積算照射量は、樹脂の硬化特性、樹脂や基材11の黄変抑制などを考慮して適宜選択することが好ましい。積層体に加える圧力は、0.01MPa以上1MPa以下の範囲内であることが好ましい。0.01MPa未満であると、フィルムの走行性に問題が生じる。一方、1MPaを超えると、ニップロールとして金属ロールを用いる必要があり、圧力ムラが生じ易く好ましくない。以上により、図18Cに示すように、波長選択反射層3上に第2光学層5が形成され、光学フィルム1が得られる。
ここで、図15に示す製造装置を用いて、光学フィルム1の形成方法について具体的に説明する。まず、図示しない基材供給ロールから第2の基材5aを送出し、送出された第2の基材5aは、塗布装置45の下を通過する。次に、塗布装置45の下を通過する第2の基材5a状に、塗布装置45により電離線硬化樹脂44を塗布する。次に、電離線硬化樹脂44が塗布された第2の基材5aをラミネートロール41、42に向けて搬送する。一方、図示しない光学層供給ロールから反射層付き光学層9を送出し、ラミネートロール41、42に向けて搬送する。
次に、第2の基材5aと反射層付き光学層9との間に気泡が入らないように、搬入された第2の基材5aと反射層付き光学層9とをラミネートロール41、42により挟み合わせ、第2の基材5aに対して反射層付き光学層9をラミネートする。この際、第2構造体4nにより電離線硬化樹脂44が流れるためのパスを、帯状の反射層付き光学層9の走行方向、すなわち帯状の反射層付き光学層9の長手方向に形成することができる。したがって、作製される帯状の光学フィルム1の長手方向にスジ状の膜厚ムラが発生することを抑制することができる。
次に、反射層付き光学層9によりラミネートされた第2の基材5aを、ラミネートロール41の外周面に沿わせながら搬送するとともに、照射装置46により第2の基材5a側から電離線硬化樹脂44に電離線を照射し、電離線硬化樹脂44を硬化させる。これにより、第2の基材5aと反射層付き光学層9とが電離線硬化樹脂44を介して貼り合わされ、目的とする長尺の光学フィルム1が作製される。次に、作製された帯状の光学フィルム1を図示しない巻き取りロールにより巻き取る。これにより、帯状の光学フィルム1が巻回された原反が得られる。
硬化した第1光学層4は、上述の第2光学層形成時のプロセス温度をt℃としたときに、(t−20)℃における貯蔵弾性率が3×107Pa以上であることが好ましい。ここで、プロセス温度tとは、例えば、ラミネートロール41の加熱温度である。第1光学層4は、例えば、第1の基材4a上に設けられ、第1の基材4aを介してラミネートロール41に沿うように搬送されるため、実際に第1光学層4にかかる温度は、経験的に(t−20)℃程度であることが分かっている。したがって、第1光学層4の(t−20)℃における貯蔵弾性率を3×107Pa以上にすることにより、熱、または熱と加圧とにより光学層内部の界面の凹凸形状が変形することを抑制することができる。
また、第1光学層4は、25℃での貯蔵弾性率が3×109Pa以下であることが好ましい。これにより、室温において可撓性を光学フィルムに付与することができる。したがって、ロール・ツー・ロールなどの製造工程により光学フィルム1を作製することが可能となる。
なお、プロセス温度tは、光学層または基材の使用樹脂の耐熱性を考慮すると、200℃以下であることが好ましい。ただし、耐熱性の高い樹脂を用いることにより、プロセス温度tを200℃以上に設定することも可能である。
[効果]
第1の実施形態では、第1光学層4の凹凸面は、第1方向D1に延在された複数の第1構造体4mと、第1方向D1と直交交差する第2方向D2に延在されると共に、離間して設けられた複数の第2構造体4nとにより構成されている。これにより、第1光学層4の凹凸面に波長選択反射層3を形成後、透明性を向上するために、その凹凸面を樹脂組成物などにより包埋する際に、包埋に用いる樹脂組成物などが流れるパスを、第1構造体4mの延在方向に直交する第2方向D2に形成することができる。したがって、第1構造体4mの延在方向に直交する第2方向D2にスジ状の膜厚ムラが発生することを抑制することができる。例えば、第1光学層4が短手方向DWおよび長手方向DLを持つ帯状または矩形状である場合には、包埋に用いる樹脂組成物が流れるパスを、第1光学層4の長手方向DLに形成し、第1光学層4の長手方向DLにスジ状の膜厚ムラが発生することを抑制できる。
第1溝101mと直交交差する第2溝101nの延在方向がフィルムの走行方向と略平行である場合には、ロール状原盤100を加工する際に、切削バイトを固定したままロール状原盤100を回転しながら第2溝101nを加工できるため、第2溝101nをロール状原盤100の表面に容易に加工することができる。
第1光学層4の凹凸面のうち第2構造体4nが最も突出している場合には、その先端部はR形状を有していることが好ましい。これにより、Roll to Rollで第1光学層4を製造する際の巻き締まりによる第2構造体4nの先端部の形状崩れを抑制することができる。
<変形例>
以下、上記実施形態の変形例について説明する。
図19Aは、第1の実施形態の変形例に係る光学フィルムの第2方向の断面図である。図19Bは、第1の実施形態の変形例に係る光学フィルムの第1方向の断面図である。この変形例に係る光学フィルム1では、図19Aおよび図19Bに示すように、波長選択反射層3が形成された第1光学層4の凹凸面4bのうちの凸形状頂部の位置が、第1光学層4の入射面S1とほぼ同一の高さとなるように形成されている。なお、図19Aおよび図19Bでは、第2構造体4nの高さが第1構造体4mの高さに比して高く、第2構造体4nの頂部が第1構造体4mの頂部に比して入射面S1の近傍となる構成が示されている。
また、波長選択反射層3に代えて、高反射層を用いるようにしてもよい。高反射層は、例えば、入射角(θ、φ)で入射面S1に入射した光Lの殆どを正反射(−θ、φ+180°)以外の方向に指向反射する高反射層である(図2参照)。高反射層は、例えば、高反射率を有する金属層であり、その反射率が、波長1500nmにおいて30%以上であることが好ましい。高反射層の材料として、例えばAu、Ag、Cu、Al、Ni、Cr、Ti、Pd、Co、Si、Ta、W、Mo、Geなどの単体、またはこれらの単体を2種以上含む合金を主成分とする材料が挙げられる。そして、実用性の面を考慮すると、これらのうちのAg系、Cu系、Al系、Si系またはGe系の材料が好ましい。また、高反射層の腐食を抑えるために、高反射層に対してTi、Ndなどの材料を添加することが好ましい。また、高反射層として金属窒化層を用いることも可能であり、金属窒化層の材料としては、例えば、TiN、CrN、WNなどが挙げられる。高反射層の膜厚は、例えば、10nm以上200nm以下の範囲とすることが可能であるが、高反射率が得られる膜厚であればよく、これに限定されるものではない。
<2.第2の実施形態>
図20は、第2の実施形態に係る光学フィルムの第1光学層の凹凸面の一形状例を示す平面図である。第2の実施形態では、第1光学層4の凹凸面内において斜め交差する2方向を第1方向D1および第2方向D2と称する。第1光学層4が、対向する2組の辺を持つ矩形状を有する場合には、第1方向D1が2組の辺のうちの一方の組の辺の延在方向であることが好ましい。第1光学層4が、短手方向DWおよび長手方向DLを持つ帯状または矩形状を有する場合には、第1方向D1が光学層4の短手方向DWであることが好ましい。
第2の実施形態に係る光学フィルムは、図20に示すように、第1構造体4mの延在方向である第1方向D1と、第2構造体4nの延在方向である第2方向D2とが斜めに交差する点において、第1の実施形態とは異なっている。
第1光学層4が、短手方向DWおよび長手方向DLを持つ帯状または矩形状を有する場合には、第1構造体4mおよび第2構造体4nは、以下の構成を有することが好ましい。すなわち、第1構造体4mは、第1光学層4の短手方向DWに延在された構造体であり、第1光学層4の長手方向DLに隣接して1次元配列されている。一方、第2構造体4nは、第1光学層4の長手方向DLに対して斜めの方向に延在された構造体であり、上記斜め方向に直交する方向に離間して1次元配列されている。すなわち、第1光学層4の表面において第1構造体4mと第2構造体4nとは、斜め交差する関係にある。
ここで、第1方向D1と第2方向D2とのなす角は、好ましくは45°以上90°未満、より好ましくは60°以上90°未満、さらに好ましくは75°以上90°未満、最も好ましくは85°以上90°未満の範囲内である。45°以上にすることで、スジ状の膜厚ムラの発生を抑制する効果が向上する傾向にある。
第1の実施形態における第1方向D1と第2方向D2とが直交する場合を含めて、第1方向D1と第2方向D2とのなす角を定義すると、そのなす角は、好ましくは45°以上90°以下、より好ましくは60°以上90°以下、さらに好ましくは75°以上90°以下、最も好ましくは85°以上90°以下の範囲内である。なす角が最も好ましい範囲内(85°以上90°以下)にある場合、第1方向D1と第2方向D2とはほぼ直交する関係にある。
複数の第2構造体4nのすべてが同一の延在方向に延在されている必要はなく、複数の第2構造体4nが、2つ以上異なる方向に延在されていてもよい。図20では、複数の第2構造体4nが第1構造体4mの延在方向に対して角度θをなす第2方向と、角度−θをなす第3方向との二方向に延在されている例が示されている。なお、複数の第2構造体4nが2つ以上異なる方向に延在された構成を採用する場合には、複数の第2構造体4n同士が交差しないように延在された構成を採用することが好ましい。第1光学層4の凹凸面を樹脂組成物などにより包埋する際に、包埋に用いる樹脂組成物などの流れが第2構造体4n同士の交差部分で阻害されることを防ぐことができるからである。
上述の構成を有する第1光学層4を成形するためのロール状原盤100は、例えば以下のようにして作製することができる。まず、ロール状原盤の幅方向DWに切削バイトを移動させる工程を繰り返すことにより、複数の第1溝101mを形成する。次に、ロール状原盤100の回転と同期させながら、切削バイトをロール状原盤100の幅方向DWに移動させる工程を繰り返すことにより、複数の第1溝101mと斜めに交差する複数の第2溝101nを形成する。
<3.第3の実施形態>
第3の実施形態は、特定波長の光を指向反射するのに対して、特定波長以外の光を散乱させる点において、第1の実施形態とは異なっている。光学フィルム1は、入射光を散乱する光散乱体を備えている。この散乱体は、例えば、光学層2の表面、光学層2の内部、および波長選択反射層3と光学層2との間のうち、少なくとも1箇所に設けられている。光散乱体は、好ましくは、波長選択反射層3と第1光学層4との間、第1光学層4の内部、および第1光学層4の表面のうちの少なくとも一箇所に設けられている。光学フィルム1を窓材などの支持体に貼り合わせる場合、室内側および室外側のどちらにも適用可能である。光学フィルム1を室外側に対して貼り合わせる場合、波長選択反射層3と窓材などの支持体との間にのみ、特定波長以外の光を散乱させる光散乱体を設けることが好ましい。波長選択反射層3と入射面との間に光散乱体が存在すると、指向反射特性が失われてしまうからである。また、室内側に光学フィルム1を貼り合せる場合には、その貼り合わせ面とは反対側の出射面と、波長選択反射層3との間に光散乱体を設けることが好ましい。
図21Aは、第3の実施形態に係る光学フィルム1の第1の構成例を示す断面図である。図21Aに示すように、第1光学層4は、樹脂と微粒子11とを含んでいる。微粒子11は、第1光学層4の主構成材料である樹脂とは異なる屈折率を有している。微粒子11としては、例えば有機微粒子および無機微粒子の少なくとも1種を用いることができる。また、微粒子11としては、中空微粒子を用いてもよい。微粒子11としては、例えば、シリカ、アルミナなどの無機微粒子、またはスチレン、アクリルやそれらの共重合体などの有機微粒子が挙げられるが、シリカ微粒子が特に好ましい。
図21Bは、第3の実施形態に係る光学フィルム1の第2の構成例を示す断面図である。図21Bに示すように、光学フィルム1は、第1光学層4の表面に光拡散層12をさらに備えている。光拡散層12は、例えば、樹脂と微粒子とを含んでいる。微粒子としては、第1の例と同様のものを用いることができる。
図21Cは、第3の実施形態に係る光学フィルム1の第3の構成例を示す断面図である。図21Cに示すように、光学フィルム1は、波長選択反射層3と第1光学層4との間に光拡散層12をさらに備えている。光拡散層12は、例えば、樹脂と微粒子とを含んでいる。微粒子としては、第1の例と同様のものを用いることができる。
第3の実施形態によれば、赤外線などの特定波長帯の光を指向反射し、可視光などの特定波長対以外の光を散乱させることができる。したがって、光学フィルム1を曇らせて、光学フィルム1に対して意匠性を付与することができる。
<4.第4の実施形態>
図22は、第4の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。第4の実施形態は、光学フィルム1の入射面S1および出射面S2のうち、被着体に貼り合わされる面とは反対側の露出面上に、洗浄効果を発現する自己洗浄効果層51をさらに備えている点において、第1の実施形態とは異なっている。自己洗浄効果層51は、例えば、光触媒を含んでいる。光触媒としては、例えば、TiO2を用いることができる。
上述したように、光学フィルム1は入射光を波長選択反射する点に特徴を有している。光学フィルム1を屋外や汚れの多い部屋などで使用する際には、表面に付着した汚れにより光が散乱され透過性および反射性が失われてしまうため、表面が常に光学的に透明であることが好ましい。そのため、表面が撥水性や親水性などに優れ、表面が自動的に洗浄効果を発現することが好ましい。
第4の実施形態によれば、光学フィルム1が自己洗浄効果層51を備えているので、撥水性や親水性などを入射面に付与することができる。したがって、入射面に対する汚れなどの付着を抑制し、指向反射特性の低減を抑制できる。
<5.第5の実施形態>
上述の第1の実施形態では、本技術を窓材などに適用する場合を例として説明したが、本技術はこの例に限定されるものではなく、窓材以外の内装部材や外装部材などに適用することが可能である。また、本技術は壁や屋根などのように固定された不動の内装部材および外装部材のみならず、季節や時間変動などに起因する太陽光の光量変化に応じて、太陽光の透過量および/または反射量を内装部材または外装部材を動かして調整し、屋内などの空間に取り入れ可能な装置にも適用可能である。第5の実施形態では、このような装置の一例として、複数の日射遮蔽部材からなる日射遮蔽部材群の角度を変更することにより、日射遮蔽部材群による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置(ブラインド装置)について説明する。
図23は、第5の実施形態に係るブラインド装置の一構成例を示す斜視図である。図23に示すように、日射遮蔽装置であるブラインド装置201は、ヘッドボックス203と、複数のスラット(羽)202aからなるスラット群(日射遮蔽部材群)202と、ボトムレール204とを備える。ヘッドボックス203は、複数のスラット202aからなるスラット群202の上方に設けられている。ヘッドボックス203からラダーコード206、および昇降コード205が下方に向かって延びており、これらのコードの下端にボトムレール204が吊り下げられている。日射遮蔽部材であるスラット202aは、例えば、細長い矩形状を有し、ヘッドボックス203から下方に延びるラダーコード206により所定間隔で吊り下げ支持されている。また、ヘッドボックス203には、複数のスラット202aからなるスラット群202の角度を調整するためのロッドなどの操作手段(図示省略)が設けられている。
ヘッドボックス203は、ロッドなどの操作手段の操作により応じて、複数のスラット202aからなるスラット群202を回転駆動することにより、室内などの空間に取り込まれる光量を調整する駆動手段である。また、ヘッドボックス203は、昇降操作コード207などの操作手段の適宜操作に応じて、スラット群202を昇降する駆動手段(昇降手段)としての機能も有している。
図24Aは、スラットの第1の構成例を示す断面図である。図24Aに示すように、スラット202は、基材211と、光学フィルム1とを備える。光学フィルム1は、基材211の両主面のうち、スラット群202を閉じた状態において外光が入射する入射面側(例えば窓材に対向する面側)に設けることが好ましい。光学フィルム1と基材211とは、例えば、接着層または粘着層などの貼合層により貼り合される。
基材211の形状としては、例えば、シート状、フィルム状、および板状などを挙げることができる。基材211の材料としては、ガラス、樹脂材料、紙材、および布材などを用いることができ、可視光を室内などの所定の空間に取り込むことを考慮すると、透明性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。ガラス、樹脂材料、紙材、および布材としては、従来ロールスクリーンとして公知のものを用いることができる。光学フィルム1としては、上述の第1〜第4の実施形態に係る光学フィルム1のうちの1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
図24Bは、スラットの第2の構成例を示す断面図である。図24Bに示すように、第2の構成例は、光学フィルム1をスラット202aとして用いるものである。光学フィルム1は、ラダーコード205により支持可能であるとともに、支持した状態において形状を維持できる程度の剛性を有していることが好ましい。
<6.第6の実施形態>
第6の実施形態では、日射遮蔽部材を巻き取る、または巻き出すことで、日射遮蔽部材による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置の一例であるロールスクリーン装置について説明する。
図25Aは、第6の実施形態に係るロールスクリーン装置の一構成例を示す斜視図である。図25Aに示すように、日射遮蔽装置であるロールスクリーン装置301は、スクリーン302と、ヘッドボックス303と、芯材304とを備える。ヘッドボックス303は、チェーン205などの操作部を操作することにより、スクリーン302を昇降可能に構成されている。ヘッドボックス303は、その内部にスクリーンを巻き取り、および巻き出すための巻軸を有し、この巻軸に対してスクリーン302の一端が結合されている。また、スクリーン302の他端には芯材304が結合されている。スクリーン302は可撓性を有し、その形状は特に限定されるものではなく、ロールスクリーン装置301を適用する窓材などの形状に応じて選択することが好ましく、例えば矩形状に選ばれる。
図25Bは、スクリーン302の一構成例を示す断面図である。図25Bに示すように、スクリーン302は、基材311と、光学フィルム1とを備え、可撓性を有していることが好ましい。光学フィルム1は、基材211の両主面のうち、外光を入射させる入射面側(窓材に対向する面側)に設けることが好ましい。光学フィルム1と基材311とは、例えば、接着層または粘着層などの貼合層により貼り合される。なお、スクリーン302の構成はこの例に限定されるものではなく、光学フィルム1をスクリーン302として用いるようにしてもよい。
基材311の形状としては、例えば、例えば、シート状、フィルム状、および板状などを挙げることができる。基材311としては、ガラス、樹脂材料、紙材、および布材などを用いることができ、可視光を室内などの所定の空間に取り込むことを考慮すると、透明性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。ガラス、樹脂材料、紙材、および布材としては、従来ロールスクリーンとして公知のものを用いることができる。光学フィルム1としては、上述の第1〜第4の実施形態に係る光学フィルム1のうちの1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
<7.第7の実施形態>
第7の実施形態では、指向反射性能を有する光学体に採光部を備える建具(内装部材または外装部材)に対して本技術を適用した例について説明する。
図26Aは、第7の実施形態に係る建具の一構成例を示す斜視図である。図26Aに示すように、建具401は、その採光部404に光学体402を備える構成を有している。具体的には、建具401は、光学体402と、光学体402の周縁部に設けられる枠材403とを備える。光学体402は枠材403により固定され、必要に応じて枠材403を分解して光学体402を取り外すことが可能である。建具401としては、例えば障子を挙げることができるが、本技術はこの例に限定されるものではなく、採光部を有する種々の建具に適用可能である。
図26Bは、光学体の一構成例を示す断面図である。図26Bに示すように、光学体402は、基材411と、光学フィルム1とを備える。光学フィルム1は、基材411の両主面のうち、外光を入射させる入射面側(窓材に対向する面側)に設けられる。光学フィルム1と基材311とは、接着層または粘着層などの貼合層などにより貼り合される。なお、障子402の構成はこの例に限定されるものではなく、光学フィルム1を光学体402として用いるようにしてもよい。
基材411は、例えば、可撓性を有するシート、フィルム、または基板である。基材411としては、ガラス、樹脂材料、紙材、および布材などを用いることができ、可視光を室内などの所定の空欄に取り込むことを考慮すると、透明性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。ガラス、樹脂材料、紙材、および布材としては、従来建具の光学体として公知のものを用いることができる。光学フィルム1としては、上述の第1〜第4の実施形態に係る光学フィルム1のうちの1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、実施例により本技術を具体的に説明するが、本技術はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、バイトによる切削加工により、図27に示す溝(第1溝)をNi−P製金型ロールの軸方向(幅方向)に付与した。更に、図29Aに示す形状のバイトを用いて、円周方向に加工を行うことで、図28に示す溝(第2溝)をNi−P製金型ロールの円周方向に付与した。これにより、図12に示す金型ロールが得られた。この際、第2溝はピッチ2mm、深さを34μmとして加工を行うことで、第1溝より深い溝とした。次に、この金型ロールとニップロールの間に厚み75μmの帯状のPETフィルム(東洋紡製、A4300)を通紙し、金型ロールと帯状のPETフィルムの間にウレタンアクリレート(東亞合成株式会社製、商品名:アロニックス、硬化後屈折率:1.533、粘度:約200mPa・s)を供給してニップしながら走行させ、PETフィルム側からUV光を照射して樹脂を硬化させることで形状を付与した。これにより、フィルムの短手方向(幅方向)に延在された複数の第1三角柱状体(第1構造体)と、フィルムの長手方向に延在された複数の第2三角柱状体(第2構造体)とからなる凹凸面が、帯状のPETフィルム上に成形された。
次に、形状が付与された成形面に対し、GAZO(29.1nm)/AgNdCu(9.9nm)/GAZO(89.7nm)/AgNdCu(9.9nm)/GAZO(29.1nm)を製膜することで、35°の傾斜面に垂直な方向にGAZO(23.8nm)/AgNdCu(8.1nm)/GAZO(73.5nm)/AgNdCu(8.1nm)/GAZO(23.8nm)となるよう、反射層を真空スパッタ法により製膜した。なお、銀合金膜であるAgNdCu膜の製膜には、Ag/Nd/Cu=99.0at%/0.4at%/0.6at%の組成を有する合金ターゲットを、GAZO膜の製膜には、Ga23/Al23/ZnO=0.57at%/0.31at%/99.12at%の組成を有するセラミックスターゲットを使用した。
製膜後、図15に示す装置を用いて、以下のようにして凹凸面である成膜面を樹脂により包埋した。まず、ニップロール間に、交互多層膜が形成されている形状面と厚み50μmのPETフィルム(東洋紡製、A4300)を対向させ、その間に形状層と同じ樹脂(東亞合成株式会社製、商品名:アロニックス、硬化後屈折率:1.533、粘度:約200mPa・s)を供給してニップしながら走行させることで、気泡を押し出した。次に、このPETフィルム越しにUV光を照射し、樹脂を硬化させた。以上により、目的とする実施例1の光学フィルムを得た。
(実施例2)
反射層として、Al(15nm)を製膜した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の光学フィルムを得た。
(実施例3)
第2溝(円周方向溝)の加工において、ピッチを4mmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の光学フィルムを得た。
(実施例4)
第2溝(円周方向溝)の加工において、図29Bに示す形状のバイトを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の光学フィルムを得た。
(実施例5)
第2溝(円周方向溝)の加工において、図20に示すように、θ=±60°の交差角で第2溝を形成し、そのピッチを1mmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の光学フィルムを得た。
(実施例6)
第2溝(円周方向溝)の加工において、図29Cに示す形状のバイトを用いて加工深さを35μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例6の光学フィルムを得た。
(実施例7)
第1溝(軸方向溝)の加工において、表1に示すように45°の対称傾斜角を有する溝構造を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の光学フィルムを得た。
(実施例8)
第2溝(円周方向溝)の加工において、図29Dに示す形状のバイトを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例8の光学フィルムを得た。
(実施例9)
第2溝(円周方向溝)の加工において、ピッチを150μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例9の光学フィルムを得た。
(実施例10)
第2溝の加工において、ピッチを10mmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例10の光学フィルムを得た。
(実施例11)
第2溝(円周方向溝)の加工において、加工深さを28μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例11の光学フィルムを得た。
(比較例1)
第2溝(円周方向溝)を加工しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光学フィルムを得た。
(流れ方向スジの評価)
作製した光学フィルムを窓ガラスに貼り、晴天の日に斜め45°および70°の方向から、光学フィルムを通して反対側の景色を観察した。
○:45°および70°のどちらの方向でも、光学フィルムを貼らない場合と同様に景色が歪まずに見える
△:45°では景色の歪は気にならないが、70°ではスジ状に歪んで見える
×:45°でも景色がスジ状に歪んで見える
なお、70°の角度からも景色が歪まなければ、光学フィルム表面の平面性が高く、高級感のある建築物でも使用できるが、70°で多少歪んで見えても、45°程度の角度から見た場合に歪みが見られなければ、一般的な建築物には適用することができる。
(長手方向の稜線の視認性の評価)
作製した光学フィルムを窓ガラスに貼り、晴天の日に50cm離れて正面方向から、光学フィルムを観察した。ここで、「長手方向の稜線」とは、光学フィルムを正面方向から観察したときに観察される第2三角柱状体(第2構造体)の稜線を意味する。
◎:長手方向の稜線が全く気にならない
○:良く見ると長手方向の稜線の部分に何かあるように見えるが、気にならない程度
×:長手方向の稜線に対応する部分が黒い線のように見える
図30A〜図30Dに、実施例1、4、6、8の光学フィルムの観察結果を代表して示す。
(横方向の回折パターン)
作製した光学フィルムを長手方向の稜線の方向が鉛直方向になるように窓ガラスに貼り、夜に100m以上離れた遠くの電灯を観察した。
○:横方向には回折パターンが見られない
×:横方向に色分離した回折パターンが観察される
表1は、実施例1〜11、比較例1の光学フィルムの構成を示す。
表2は、実施例1〜11、比較例1の光学フィルムの構造パラメータおよび評価結果を示す。
表1および表2から以下のことがわかる。
比較例1では、流れ方向スジを観察したところ、明瞭なスジが観察された。このスジのピッチと高さを測定するため、触針式表面形状測定器ET−4000(小坂研究所製)を用いて、スジを横切るように粗さ曲線を取得した。その結果、図31に示すように、ピッチが約6mm前後、高さが1〜2μm程度のスジであることがわかった。また、光学フィルムを裏返して同様の測定を行ったところ、表裏で山と谷の位置が大凡一致したことから、このスジは光学フィルムが歪んだシワではなく、厚み分布によるスジであることがわかった。
これに対し、実施例1〜11では、第1三角柱状体に交差する第2三角柱状体を形成することで、流れ方向スジの発生を抑制できることがわかった。流れ方向スジの原因は、光学フィルムの長手方向に延在された第2三角柱状体がないと、光学フィルムの走行方向(樹脂の流れ方向)に樹脂が流れるパスがないため、樹脂が局所的に集まって厚みムラが生じるためと考えられる。
また、実施例1〜9に示したように、1〜4mmのピッチで第1三角柱状体より高い第2三角柱状体を形成することで、流れ方向スジの発生をさらに抑制できることがわかった。実施例10では、流れ方向スジの発生を抑制することはできるが、実施例1〜9に比べてその抑制効果が低くなる傾向にあり、70°方向からの観察では、流れ方向スジが観察された。これは、実施例10では、第2三角柱状体のピッチが10mmと広いためと考えられる。また、実施例11でも、流れ方向スジの発生を抑制することはできるが、実施例10と同様の傾向があった。これは、実施例11では、第2三角柱状体の高さが第1三角柱状体より低いためと考えられる。
また、実施例1〜11および比較例1の光学フィルムを窓に貼った際に、実施例8の光学フィルムでは、第2三角柱状体の稜線に対応する部分に黒い線が視認された。これは、第2三角柱状体の傾斜角が67.5°と大きく、この傾斜面上にスパッタ多層膜が付きにくいため、Ag層が連続層になりにくく、光学吸収が増えたためと考えられる。逆に実施例6、7の光学フィルムは第2三角柱状体の傾斜角が小さいため、スパッタ膜のつき周りも良く、長手方向の稜線は殆ど視認されなかった。実施例4の光学フィルムでは、第2三角柱状体の傾斜角が60°と比較的大きいが、先端にR形状があり、この部分の傾斜角が小さいため、長手方向の稜線は視認されにくかった。
また、窓に貼ったこれらの光学フィルムを通して夜に遠くの電灯を観察したところ、実施例9のみ横方向に回折パターンが観察された。これは、第2三角柱状体のピッチが150μmと狭いためであり、第2三角柱状体のピッチが1mm以上の実施例1〜8、10、11比較例1の光学フィルムでは、このような回折パターンは観察されなかった。
以上、本技術の実施形態について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、材料および数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態の各構成は、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、上述の実施形態では、ブランインド装置、およびロールスクリーン装置の駆動方式が手動式である場合を例として説明したが、ブランインド装置、およびロールスクリーン装置の駆動方式を電動式としてもよい。
また、上述の実施形態では、光学フィルムを窓材などの被着体に貼り合わせる構成を例として説明したが、窓材などの被着体を光学フィルムの第1光学層、または第2光学層自体とする構成を採用するようにしてもよい。これにより、窓材などの光学体に予め指向反射の機能を付与することができる。
また、上述の実施形態では、光学体が光学フィルムである場合を例として説明したが、光学体の形状はフィルム状に限定されるものではなく、プレート状、ブロック状などでもよい。
上述の実施形態では、本技術を窓材、建具、ブラインド装置のスラット、およびロールスクリーン装置のスクリーンなどの内装部材または外装部材に適用した場合を例として説明したが、本技術はこの例に限定されるものではなく、上記以外の内装部材および外装部材にも適用可能である。
本技術に係る光学体が適用される内装部材または外装部材としては、例えば、光学体自体により構成された内装部材または外装部材、指向反射体が貼り合わされた透明基材などにより構成された内装部材または外装部材などが挙げられる。このような内装部材または外装部材を室内の窓付近に設置することで、例えば、赤外線だけを屋外に指向反射し、可視光線を室内に取り入れることができる。したがって、内装部材または外装部材を設置した場合にも、室内照明の必要性が低減される。また、内装部材または外装部材による室内側への散乱反射も殆どないため、周囲の温度上昇も抑えることができる。また、視認性制御や強度向上など必要な目的に応じ、透明基材以外の貼り合わせ部材に適用することも可能である。
また、上述の実施形態では、ブラインド装置、およびロールスクリーン装置に対して本技術を適用した例について説明したが、本技術はこの例に限定されるものではなく、室内または屋内に設置される種々の日射遮蔽装置に適用可能である。
また、上述の実施形態では、日射遮蔽部材を巻き取る、または巻き出すことで、日射遮蔽部材による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置(例えばロールスクリーン装置)に本技術を適用した例について説明したが、本技術はこの例に限定されるものではない。例えば、日射遮蔽部材を折り畳むことで、日射遮蔽部材による入射光線の遮蔽量を調整可能な日射遮蔽装置に対しても本技術は適用可能である。このような日射遮蔽装置としては、例えば、日射遮蔽部材であるスクリーンを蛇腹状に折り畳むことで、入射光線の遮蔽量を調整するプリーツスクリーン装置を挙げることができる。
また、上述の実施形態では、本技術を横型ブラインド装置(ベネシアンブラインド装置)に対して適用した例について説明したが、縦型ブラインド装置(バーチカルブラインド装置)に対しても適用可能である。
本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
表面に凹凸面が設けられた光学層と、
上記凹凸面上に設けられた波長選択反射層と
を備え、
上記波長選択反射層が、特定波長帯の光を選択的に指向反射するのに対して、上記特定波長帯以外の光を透過するものであり、
上記凹凸面は、上記光学層の表面内の第1方向に延在された複数の第1構造体と、上記光学層の表面内の第2方向に延在されると共に、離間して設けられた複数の第2構造体とを備え、
上記第1方向と上記第2方向とは交差する関係にある光学体。
(2)
上記光学層が、短手方向および長手方向を持つ帯状または矩形状を有し、
上記第1方向が上記光学層の短手方向であり、上記第2方向が上記光学層の長手方向である(1)に記載の光学体。
(3)
上記光学層が、対向する2組の辺を持つ矩形状を有し、
上記第1方向が上記2組の辺のうちの一方の組の辺の延在方向であり、上記第2方向が上記2組の辺のうちの他方の組の辺の延在方向である(1)に記載の光学体。
(4)
上記第2構造体が、上記第1構造体よりも高い(1)〜(3)のいずれかに記載の光学体。
(5)
上記第2構造体の傾斜角が、65°以下の範囲内である(1)〜(4)のいずれかに記載の光学体。
(6)
上記第2構造体のピッチが、200μm以上5mm以下の範囲内である(1)〜(5)のいずれかに記載の光学体。
(7)
上記第2構造体は、頂部にR形状を有する(1)〜(6)のいずれかにに記載の光学体。
(8)
上記第1構造体と上記第2構造体との傾斜面の角度の差が、±15°以下の範囲内である(1)〜(7)のいずれかに記載の光学体。
(9)
上記凹凸面を埋めるように上記波長選択反射層上に設けられた光学層をさらに備える(1)〜(8)のいずれかに記載の光学体。
(10)
上記第1方向と上記第2方向との交差が、直交交差またはほぼ直交交差である(1)〜(9)のいずれかに記載の光学体。
(11)
上記第1方向と上記第2方向との交差が、斜め交差である(1)〜(9)のいずれかに記載の光学体。
(12)
(1)〜(11)のいずれかに記載の光学体を備える窓材。
(13)
上記光学体は、上記第1構造体の稜線方向が建築物の高さ方向と略直交するように備えられている(12)に記載の窓材。
(14)
(1)〜(11)のいずれかに記載の光学体を採光部に備える建具。
(15)
日射を遮蔽する1または複数の日射遮蔽部材を備え、
上記日射遮蔽部材が、(1)〜(11)のいずれかに記載の光学体を備える日射遮蔽装置。
(16)
(1)〜(11)のいずれかに記載の光学体を備えた建築物。
1 光学フィルム
2 光学層
3 波長選択反射層
4 第1光学層
4a 第1の基材
4b 凹凸面
4m 第1構造体
4n 第2構造体
5 第2光学層
5a 第2の基材
5b 凹凸面
6 貼合層
7 剥離層
8 ハードコート層
9 反射層付き光学層
S1 入射面
S2 出射面

Claims (15)

  1. 表面に凹凸面が設けられた光学層と、
    上記凹凸面上に設けられた波長選択反射層と、
    上記凹凸面を包埋する樹脂層と
    を備え、
    上記波長選択反射層が、特定波長帯の光を選択的に指向反射するのに対して、上記特定波長帯以外の光を透過するものであり、
    上記凹凸面は、一の傾斜面と他の傾斜面で頂角が形成され、上記光学層の表面内の第1方向に延在された複数の第1構造体と、一の傾斜面と他の傾斜面で頂角が形成され、該複数の第1構造体と交差するように上記光学層の表面内の第2方向に延在されると共に、離間して設けられた複数の第2構造体とを備え、
    上記第1方向と上記第2方向とは交差する関係にある光学体。
  2. 上記光学層が、短手方向および長手方向を持つ帯状または矩形状を有し、
    上記第1方向が上記光学層の短手方向であり、上記第2方向が上記光学層の長手方向である請求項1に記載の光学体。
  3. 上記光学層が、対向する2組の辺を持つ矩形状を有し、
    上記第1方向が上記2組の辺のうちの一方の組の辺の延在方向であり、上記第2方向が上記2組の辺のうちの他方の組の辺の延在方向である請求項1に記載の光学体。
  4. 上記光学層の表面を基準にした第1構造、第2構造体の高さをそれぞれH1、H2とした場合、上記第1構造体の高さH1および上記第2構造体の高さH2がH2>H1の関係を満たす請求項1に記載の光学体。
  5. 上記第2構造体の傾斜角が、65°以下の範囲内である請求項1に記載の光学体。
  6. 上記第2構造体のピッチが、200μm以上5mm以下の範囲内である請求項1に記載の光学体。
  7. 上記第2構造体は、頂部にR形状を有する請求項1に記載の光学体。
  8. 上記第1構造体と上記第2構造体との傾斜面の角度の差が、±15°以下の範囲内である請求項1に記載の光学体。
  9. 上記第1方向と上記第2方向との交差が、直交交差またはほぼ直交交差である請求項1に記載の光学体。
  10. 上記第1方向と上記第2方向との交差が、斜め交差である請求項1に記載の光学体。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の光学体を備える窓材。
  12. 上記光学体は、上記第1構造体の稜線方向が建築物の高さ方向と略直交するように備えられている請求項11に記載の窓材。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載の光学体を採光部に備える建具。
  14. 日射を遮蔽する1または複数の日射遮蔽部材を備え、
    上記日射遮蔽部材が、請求項1〜10のいずれかに記載の光学体を備える日射遮蔽装置。
  15. 請求項1〜10のいずれかに記載の光学体を備えた建築物。
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