JP5967328B1 - 穴あけ工具 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであって、比較的高い送りで加工しても適切に切りくずが分断されて細かくなる穴あけ工具を提供することを目的とする。
切りくず排出溝20は螺旋状に形成され、そのねじれ角は40°以下であることが好ましく、より好ましい範囲は20°以上35°以下である。ねじれ角が上述した範囲であると、後述する第1切れ刃51の外周コーナの強度が確保でき、穴あけ工具100の耐久性が向上する。特にねじれ角が20°以上35°以下のときは、上述した効果に加えて切りくずの排出性と穴あけ工具100の剛性のバランスが最も良くなる。なお、本発明におけるねじれ角の定義はJIS B0171 4004における定義と同一である。
図4に示すように、穴あけ工具100の先端には、クーラントが噴射される噴出口13が二つ形成されている。クーラントは、穴あけ工具100の後端部から供給され、穴あけ工具100の内部に螺旋状に形成された流路を通って噴出口13から噴射される。なお、別の実施形態として直線状のクーラントの流路を採用することも可能である。
各溝部分21,22、23は隣接している。第3の溝部分23は全体が曲面で構成されているが、第1の溝部分21および第2の溝部分22は、曲面部と、穴あけ工具100の外周側に延びる平面もしくは前述の曲面部よりも小さい曲率の曲面とで構成されている。
第1の溝部分21および第2の溝部分22をこのような形状にすることで、溝の形状の自由度が高まり、生成された切りくずの流れを阻害することなく、各切りくず排出溝の断面形状を最小化できる。つまり、第1の溝部分21および第2の溝部分22においても、第3の溝部分23と同様の全体が曲面で構成された断面形状にすることも可能ではあるが、その場合は第1の溝部分21および第2の溝部分22断面積が大きくなり、穴あけ工具100の剛性を低下させることになる。
なお、どの程度の長さ、切りくず排出溝20を階段状に形成するかは穴あけ工具100の使用態様に応じて適宜設定が可能であるが、加工したい穴の深さよりも長いことが好ましい。
第1の逃げ面41は、後述する第2切れ刃52および第3切れ刃53の逃げ面として機能し、第2の逃げ面42は後述する第1切れ刃51の逃げ面として機能する。
穴あけ工具100の最外周に位置する第1切れ刃51のコーナ部に対応する逃げ面の逃げ角は、0°よりも大きく15°以下であることが好ましい。このようにすることで、ねじれた切りくず排出溝20を形成することによって構造的に生じる切れ刃の強度の低下を抑えることができる。穴あけ工具100においては、噴出口13は第2の逃げ面42に形成される。なお、第1の逃げ面と第2の逃げ面とが滑らかにつながる別の実施形態も可能である。
図4に示すように、穴あけ工具100を先端視すると、切りくず排出溝20と先端面40との交差稜線部50は、段差部を二つ有し、外周側ほど工具回転方向Kの後方側に後退する略階段状に形成されている。つまり、最も穴あけ工具100の中心側にある第3切れ刃53よりもその隣に位置する第2切れ刃52の方が相対的に工具回転方向の後方側に位置し、第2切れ刃52よりもその隣に位置する第1切れ刃51の方が相対的に工具回転方向の後方側に位置する。
穴あけ工具100においては、切りくず排出溝20と第1の逃げ面41または第2の逃げ面42との交差稜線部50のうち、これら第1切れ刃51、第2切れ刃52および第3切れ刃53が実際に切りくずの生成に関与する部分(作用部)であって、第1切れ刃51と第2切れ刃52とをつなぐ第1つなぎ部54および第2切れ刃52と第3切れ刃53とをつなぐ第2つなぎ部55は切りくずの生成に関与しない。つまり、二つの交差稜線部50は切りくずの生成に関与する部分と関与しない部分とが交互につながった形状である。
先端形状の一部拡大図である図5に示すように、穴あけ工具100を先端視したとき、第2切れ刃52と、第2切れ刃52の外周側の端部につながる第1つなぎ部54とのなす角度α1は、60°以上120°以下である。さらに、角度α1のより好ましい範囲は、60°以上90°以下である。この実施形態における角度α1は85°である。なお、第1つなぎ部54が曲面である場合、角度α1は第2切れ刃52の外周端から第1つなぎ部54へ引いた接線と第2切れ刃52とのなす角度で規定する。
同様に、第3切れ刃53と、第3切れ刃53の外周側の端部につながる第2つなぎ部55とがなす角度α2は、60°以上120°以下である。角度α2のより好ましい範囲は、60°以上90°以下である。この実施形態における角度α2は85°である。なお、第2つなぎ部55が曲面である場合の角度α2の規定方法は角度α1と同様である。
角度α1および角度α2が上述した範囲であると、範囲外の角度のときよりも切りくずの分断性能が向上する。
第1つなぎ部54および第2つなぎ部55は、穴あけ工具100の内方(中心軸側)に凹む凹曲線状である。これら二つのつなぎ部が凹曲線状であると、つなぎ部は生成直後の切りくずのガイドとして機能し、切りくずはつなぎ部に沿ってカールする。このため、より体積の小さな切りくずになる。
第3切れ刃53は直線状である一方、第1切れ刃51および第2切れ刃52の一部は工具回転方向Kの後方側に凹湾曲している。第1切れ刃51および第2切れ刃52をこのような形状にすることで、切りくずが凹湾曲するので切りくずに力が加わった際に折れやすくなる。
13…噴出口
20…切りくず排出溝
21…第1の溝部分
22…第2の溝部分
23…第3の溝部分
40…先端面(逃げ面)
41…第1の逃げ面
42…第2の逃げ面
50…切りくず排出溝と先端面との交差稜線部
51…第1切れ刃
52…第2切れ刃
53…第3切れ刃
54…第1つなぎ部
55…第2つなぎ部
100…穴あけ工具
Claims (9)
- 略円柱状の穴あけ工具(100)であって、
外周に切りくず排出溝(20)と、
先端面(40)と、を備え、
前記先端面(40)と前記切りくず排出溝(20)との交差稜線部(50)は階段状であり、前記切りくず排出溝(20)は螺旋状であり、
前記交差稜線部(50)が切削に関与する部分であり互いに段違いに配置される作用部(51,52,53)を複数有し、前記作用部(51,52,53)どうしをつなぐ部分をつなぎ部(54,55)とするとき、任意の前記作用部(52,53)と、その作用部(52,53)の外周側の端部につながる前記つなぎ部(54,55)とがなす角度が60°以上120°以下であり、
前記作用部(51,52,53)どうしで構成される各々の段差の大きさは、外周側に位置する段差ほど大きくなる穴あけ工具(100)。 - 略円柱状の穴あけ工具(100)であって、
外周に切りくず排出溝(20)と、
先端面(40)と、を備え、
前記先端面(40)と前記切りくず排出溝(20)との交差稜線部(50)は階段状であり、前記切りくず排出溝(20)は螺旋状であり、
前記交差稜線部(50)が切削に関与する部分であり互いに段違いに配置される作用部(51,52,53)を複数有し、前記作用部(51,52,53)どうしをつなぐ部分をつなぎ部(54,55)とするとき、任意の前記作用部(52,53)と、その作用部(52,53)の外周側の端部につながる前記つなぎ部(54,55)とがなす角度が60°以上120°以下であり、
前記切りくず排出溝(20)の先端部と前記先端面(40)とのなす角は、穴あけ工具(100)の中心から遠い位置にある前記作用部(51,52,53)に対応するものほど小さい穴あけ工具(100)。 - 前記作用部(52,53)と、前記つなぎ部(54,55)と、がなす角度が60°以上90°以下である請求項1または2に記載の穴あけ工具(100)。
- 前記切りくず排出溝(20)のねじれ角が40°以下である請求項1から3に記載の穴あけ工具(100)。
- 前記切りくず排出溝(20)のねじれ角が20°以上35°以下である請求項4に記載の穴あけ工具(100)。
- 前記つなぎ部(54,55)は内方に凹む凹曲線状である請求項1から5のいずれか一項に記載の穴あけ工具(100)。
- 前記作用部(51,52,53)の少なくとも一部は工具回転方向後方側に凹湾曲している請求項1から6のいずれか一項に記載の穴あけ工具(100)。
- 前記作用部は三つ以上あり、
前記作用部(51,52,53)のうち、最も中心側にある作用部(53)以外の各々の作用部(51,52)の長さは、外周側に位置するものほど長くなる請求項1から7のいずれか一項に記載の穴あけ工具(100)。 - 前記交差稜線部(50)の外周端における逃げ角が0°よりも大きく15°以下である請求項1から8のいずれか一項に記載の穴あけ工具(100)。
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