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JP5966341B2 - 画像処理装置、画像処理方法、画像処理装置用プログラム、画像表示装置 - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、画像処理装置用プログラム、画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、広角レンズまたは全方位ミラーを用いた撮影された画像を画像処理する画像処理装置、画像処理方法、画像処理装置用プログラム、および、画像表示装置に関する。
広角レンズまたは全方位ミラーを用いたカメラは、車両の運転者にとって障害物や様々な状況が確認できるように使用されている。例えば、特許文献1には、車両後方の低位置に広角レンズのカメラを備え、高位置に狭角レンズのカメラを備え、車両状態検出装置が車両の状態に応じて必要な画像を切り替え表示する車両後方表示装置が開示されている。
特開2003−212041号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、広角レンズのカメラおよび狭角のレンズのカメラの2台のカメラにより撮像した画像を1枚の画像として表示するときに、2枚の画像を合成したり切り替えたり、特に広角レンズのカメラからの画像を違和感のない画像にするための画像の調整をしたりすることが必要となる。さらに、2台のカメラが必要とされるためコストがかかる。
そこで、本発明は上記の問題点等に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、障害物等の状況が確認できるように、1台のカメラにより撮影された歪曲画像から、より自然な画像を生成する画像処理装置等を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、広角レンズまたは全方位ミラーを用いた撮影により得られた歪曲画像を取得する歪曲画像取得手段と、前記歪曲画像から一部分の切出領域を切り出すための切出基準点を設定する切出基準点設定手段と、前記切出基準点に応じて、切出領域を設定する切出領域設定手段と、前記歪曲画像の撮影の視点を基点として、前記切出基準点に対応する視線ベクトルを設定する視線ベクトル設定手段と、前記切出基準点から所定の距離、前記切出領域を移動させるオフセット手段と、前記視線ベクトルに応じて前記歪曲画像から平面正則画像に変換する画像変換により、前記移動された切出領域を変換する画像変換手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記歪曲画像の中心を中心とした仮想球面を設定する仮想球面設定手段を更に備え、前記視線ベクトル設定手段が、前記仮想球面の中心から、前記歪曲画像を含む平面と直交して前記切出基準点を通過する直線と、前記仮想球面とが交差する交点に向く視線ベクトルを設定することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、前記視線ベクトル設定手段が、前記視線ベクトルを特定するパラメータの入力を受け付けて、前記視線ベクトルを設定し、前記切出領域設定手段が、前記視線ベクトルの方向で交差する交点において前記視線ベクトルと直交する面内に、前記切出領域に対応する前記平面正則画像の領域を設定し、前記オフセット手段が、前記視線ベクトルと直交する面内において、前記設定された平面正則画像の領域を移動させ、前記画像変換手段が、前記視線ベクトルに応じて、前記移動された平面正則画像の領域の各点に対応する前記歪曲画像の画素値を求め、当該求めた前記歪曲画像の画素値を前記平面正則画像の画素値とすることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理装置において、前記視線ベクトルと直交する面が、円柱の面であることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に画像処理装置において、前記視線ベクトル設定手段が、複数の視線ベクトルを設定し、前記切出領域設定手段が、各視線ベクトルに応じた切出領域を設定し、前記画像変換手段が、前記各切出領域を平面正則画像に変換し、前記画像変換手段が求めた各平面正則画像を1つの表示手段に表示することを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、画像処理装置が画像を処理する画像処理方法であって、広角レンズまたは全方位ミラーを用いた撮影により得られた歪曲画像を取得する歪曲画像取得ステップと、前記歪曲画像から一部分の切出領域を切り出すための切出基準点を設定する切出基準点設定ステップと、前記切出基準点に応じて、切出領域を設定する切出領域設定ステップと、前記歪曲画像の撮影の視点を基点として、前記切出基準点に対応する視線ベクトルを設定する視線ベクトル設定ステップと、前記切出基準点から所定の距離、前記切出領域を移動させるオフセットステップと、前記視線ベクトルに応じて前記歪曲画像から平面正則画像に変換する画像変換により、前記移動された切出領域を変換する画像変換ステップと、を含むことを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、コンピュータを、広角レンズまたは全方位ミラーを用いた撮影により得られた歪曲画像を取得する歪曲画像取得手段、前記歪曲画像から一部分の切出領域を切り出すための切出基準点を設定する切出基準点設定手段と、前記切出基準点に応じて、切出領域を設定する切出領域設定手段、前記歪曲画像の撮影の視点を基点として、前記切出基準点に対応する視線ベクトルを設定する視線ベクトル設定手段、前記切出基準点から所定の距離、前記切出領域を移動させるオフセット手段、および、前記視線ベクトルに応じて前記歪曲画像から平面正則画像に変換する画像変換により、前記移動された切出領域を変換する画像変換手段として機能させる。
また、請求項8に記載の発明は、広角レンズまたは全方位ミラーを用いた撮影により得られた歪曲画像を取得する歪曲画像取得手段と、前記歪曲画像から一部分の切出領域を切り出すための切出基準点を設定する切出基準点設定手段と、前記切出基準点に応じて、切出領域を設定する切出領域設定手段と、前記歪曲画像の撮影の視点を基点として、前記切出基準点に対応する視線ベクトルを設定する視線ベクトル設定手段と、前記切出基準点から所定の距離、前記切出領域を移動させるオフセット手段と、前記視線ベクトルに応じて前記歪曲画像から平面正則画像に変換する画像変換により、前記移動された切出領域を変換する画像変換手段と、前記画像変換手段により得られた平面正則画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、広角レンズまたは全方位ミラーを用いた撮影により得られた歪曲画像を取得し、歪曲画像から一部分の切出領域を切り出すための切出基準点を設定し、切出基準点に応じて、切出領域を設定し、歪曲画像の撮影の視点を基点として、切出基準点に対応する視線ベクトルを設定し、切出基準点から所定の距離、切出領域を移動させ、視線ベクトルに応じて歪曲画像から平面正則画像に変換する画像変換により、移動された切出領域を変換することによって、1台のカメラにより撮影された歪曲画像から、より自然な画像を生成することができる。
本発明の実施形態に係る画像表示システムの概要構成例を示すブロック図である。 3次元XYZ直交座標系において歪曲円形画像Sを含む2次元XY直交座標系と、平面正則画像Tを含む2次元UV直交座標系との関係の一例を示す斜視図である。 2次元XY直交座標系と、2次元UV湾曲座標系との関係の一例を示す斜視図である。 2次元UV直交座標系上における点T(u,v)と2次元UV湾曲座標系上における点C(u,v)との対応関係の一例を示す平面図である。 平面正則画像Tとオフセット後の平面正則画像T’との関係、および、切出領域Eとオフセット後の切出領域E’との関係の一例を示す斜視図である。 平面正則画像Tとオフセット後の平面正則画像T’との関係の一例を示す平面図である。 図1の画像表示システムの動作例を示すフローチャートである。 視線ベクトルの向きと、オフセット機能を用いて変換された画像の一例を示す模式図である。 視線ベクトルの向きと、オフセット機能を用いず変換された画像の一例を示す模式図である。 車体の後部に魚眼カメラを備えた一例を示す模式図である。 魚眼カメラで撮影した歪曲円形画像の一例を示す模式図である。 視点ベクトルがレンズの光軸に対して垂直方向を向いている状態で、オフセット後の平面正則画像T’の一例を示した斜視図である。 パノラマ画像と見下ろし画像とが表示された画面表示の一例を示す模式図である。 視点ベクトルがレンズの光軸に対して水平方向を向いている状態で、オフセット後の平面正則画像T’の一例を示した斜視図である。 平面正則画像Tとオフセット後の平面正則画像T’との関係の一例を示す平面図である。 車体の前部に魚眼カメラを備えた車がT字路で停車している俯瞰図である。 魚眼カメラで撮影した歪曲円形画像の一例を示す模式図である。 複数の平面正則画像が表示された画面表示の一例を示す模式図である。 車体の後部に魚眼カメラを備えた一例を示す模式図である。 複数の平面正則画像が表示された画面表示の一例を示す模式図である。 複数の平面正則画像が表示された画面表示の一例を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、画像表示システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
[1.画像表示システムの構成および機能の概要]
(1.1 画像表示システム1の構成および機能)
まず、本発明の一実施形態に係る画像表示システムの構成および概要機能について、図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る画像表示システム1の概要構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、画像表示システム1(画像表示装置の一例)は、広角レンズまたは全方位ミラーを有するカメラ2と、カメラ2により撮影された画像に対して画像処理を行う画像処理装置10と、画像処理装置10の処理に必要なパラメータを入力するパラメータ入力部3と、画像処理装置10における演算に必要なメモリを有するフレームメモリ4と、画像処理装置10による画像を表示する表示用モニタ5と、を備えている。
カメラ2は、例えば、正射影方式の魚眼レンズであり、動画の歪曲円形画像(歪曲画像の一例)を出力する。また、カメラ2は、車両の後方等に所定の向きに設置され、運転者の死角をなくすような広範囲な画像を捉える。なお、カメラ2のレンズは、広角レンズに限らず、全方位ミラーと組み合わせた通常の画角のレンズでもよい。また、広角レンズの画角は180°に限らず、180°より大きくても、小さくてもよい。また、カメラ2が撮影する画像は、静止画でもよい。また、カメラ2が、対角線魚眼レンズを有する場合、矩形の歪曲画像を出力する。カメラ2は、等距離射影方式のレンズや、等立体角射影方式のレンズ等の非正射影方式のレンズでもよい。
パラメータ入力部3は、歪曲円形画像から平面正則画像への画像変換に必要なパラメータの入力を受け付ける。例えば、パラメータ入力部3は、歪曲円形画像の撮影の視点を基点とした視線ベクトルや、歪曲円形画像から切り出す切出領域に対応する平面正則画像のサイズを示すパラメータや、表示させる平面正則画像の倍率等を設定するために必要なパラメータの入力を、ユーザの指示入力に基づいて受け付ける。ここで、平面正則画像とは、歪曲画像の歪みを軽減させため、ある規則に従って、座標変換された平面正則画像である。
フレームメモリ4は、記憶手段の一例として、記憶部はRAM(Random Access Memory)、ハードディスクまたはシリコンディスク等により構成されている。フレームメモリ4は、カメラ2により撮影された歪曲円形画像や、画像変換の演算途中の画像データや、画像変換された平面正則画像等を記憶する。
表示用モニタ5は、表示手段の一例として、液晶表示素子またはEL(Electro Luminescence)素子等によって構成されているモニタ画面(平面画面)である。表示用モニタ5は、カメラ2により撮影された歪曲円形画像や、画像変換で得られた平面正則画像等を表示する。
画像処理装置10は、補正係数および対応座標を算出する補正・演算部11と、歪曲円形画像を平面正則画像に変換して、表示用モニタ5に表示するための平面正則画像を生成する画像生成部12と、を有する。
補正・演算部11は、専用の演算等を行うLSI(Large Scale Integration)チップを用いたハードウエアにより構成されている。補正・演算部11は、画像生成部12から、任意の座標が与えられた場合、画像変換の対応関係式を用いた演算を実行し、対応座標を算出したり、視線ベクトルに対応した位置から切出領域を移動させた場合の画像変換の対応関係式を用いた演算を実行し、対応座標を算出したりする。なお、画像変換の対応関係式については、画像変換Iおよび画像変換IIにおいて説明する。
画像生成部12は、専用の演算等を行うLSI(Large Scale Integration)チップを用いたハードウエアにより構成されている。画像生成部12は、歪曲円形画像から平面正則画像への画像変換の演算を行ったり、画像変換により生成された平面正則画像をフレームメモリ4に記憶させたり、読み出したりする。
(1.2 画像変換I)
次に、魚眼レンズを有するカメラ2を用いた撮影により得られた歪曲円形画像を、歪みを軽減させた平面正則画像に変換する画像変換Iの処理の基本原理について、図2を用いて説明する。
図2に示すように、XY平面上に形成された歪曲円形画像Sは、座標系の原点Oを中心とした半径Rの円を構成する画像であり、レンズの光軸であるZ軸の正の領域側における180°の画角を有する領域に存在する像を歪ませて記録した歪曲画像である。なお、図2のモデルは、正射影方式の魚眼レンズにより撮影された場合のモデルである。
ここで、歪曲円形画像Sから一部分の領域(切出領域E)を切り出して、画像変換を行い平面正則画像Tが得られる。そのため、図2に示すように、歪曲円形画像Sからどの領域を切り出すか決めるための切出基準点の一例として、切出中心点P(x0,y0)が設定される。なお、切出基準点は、中心とは限らなくてもよい。
次に、歪曲円形画像Sの中心(歪曲画像の撮影の視点の一例)を中心とした仮想球面Hが設定される。図2に示すように、歪曲円形画像S上に設定された切出中心点P(x0,y0)を通り、Z軸(3次元XYZ直交座標系の座標軸)に平行な直線と仮想球面Hとの交点Q(x0,y0,z0)が設定される。歪曲円形画像の中心から交点Q(x0,y0,z0)に向かう視線ベクトル(歪曲画像の撮影の視点を基点として、切出基準点に対応する視線ベクトルの一例)が設定される。
次に、交点Q(x0,y0,z0)において、仮想球面Hに接する接平面(視線ベクトルの方向で交差する交点において視線ベクトルと直交する面の一例)が設定され、この接平面上に2次元UV直交座標系が設定される。
そして、倍率mによって2次元UV直交座標系を視線ベクトルnに直交するように平行移動させ、平面正則画像Tを2次元UV直交座標系上の画像として求める。2次元UV直交座標系は、点G(xg,yg,zg)が原点となるように設定されている。倍率mにより、仮想球面の半径が変動し、平面正則画像Tの面が、仮想球面の半径を変動させた仮想球面に接する面(視線ベクトルの方向で交差する交点において視線ベクトルと直交する面)となる。ここで、倍率mは、座標値(u,v)のスケーリングと座標値(x,y)のスケーリングとの関係を示すものである。従って、2点OG間の距離はm・Rに設定されている。なお、パラメータである倍率mは、パラメータ入力部3から入力されてもよいし、予め設定されておいてもよい。また、図2に示すように、倍率mが1より大きい場合、平面正則画像Tは、仮想平面Hの外側になる。倍率が1より小さい場合、平面正則画像Tの視線ベクトルの方向で交差する点Gは、仮想平面Hの内側になる。
点G(xg,yg,zg)の位置は、方位角αと天頂角βによって特定することができる。さらにUV座標系を決定するために、U軸とJ軸(回転基準軸)のなす角度を平面傾斜角φと定義する。なお、XY座標系の原点OからUV座標系の原点Gへ向かう方向のベクトルが視線ベクトルnである。また、パラメータである方位角α、天頂角β、および平面傾斜角φは、パラメータ入力部3から入力されてもよいし、予め設定されておいてもよい。
ここで、XY座標系上に定義された歪曲円形画像S上の切出中心点P(x0,y0)を中心とした切出領域内の歪曲画像を切り出して変形し、UV座標系上に平面正則画像Tを得るための対応関係式は、次の式(1)から(9)に示される。
Figure 0005966341
この対応関係式に基づく変換演算で得られる平面正則画像は、水平方向の歪が小さいが垂直方向の歪が大きい。
(1.3 画像変換II)
次に、魚眼レンズを有するカメラ2を用いた撮影により得られた歪曲円形画像を、歪みを軽減させた平面正則画像に変換する画像変換IIの処理の基本原理について、図3および図4を用いて説明する。なお、画像変換IIは、特開2010−62790に開示されている技術である。
図2のモデルでは、UV座標系は、点G(xg,yg,zg)を通り、視線ベクトルnに直交する平面上に設定されているのに対し、図3に示すようなモデルでは、この平面上に定義されたUV座標系を円柱側面に沿って湾曲させている。
従って、図3のモデルでは、2次元UV湾曲座標系(円柱側面上の座標系)上に湾曲した平面正則画像Cが得られることになる。
図3に破線で示す平面正則画像Tは図2の平面正則画像Tと同じものであり、平面正則画像Cは、この平面正則画像Tを湾曲させた画像に相当し、円柱側面に沿った曲面上の画像になる。
2次元湾曲座標系も、U軸とY軸とを有する2次元の座標系であり、平面正則画像C内の任意の1点が(u,v)なる座標で示される点は通常の平面上の2次元座標系の場合と同じである。この2次元湾曲座標系は、点Gを原点とし、視線ベクトルnに直交する平面上に配置された2次元UV直交座標系を、仮想円柱の側面に沿って湾曲させることにより設定された座標系である。
従って、画像変換IIでは、円柱側面上に定義された2次元UV湾曲座標系上に平面正則画像Cを求め、この平面正則画像Cを示す画素配列データを用いて、通常のモニタ画面(平面画面)に画素表示を行う。
ここで、2次元UV直交座標系上の座標(u,v)と2次元XY直交座標系上の座標(x,y)との対応関係を示す対応関係式を説明する。
図4は、2次元UV直交座標系(座標面は図4中のTになる)と、これを湾曲することにより得られる2次元UV湾曲座標系(座標面は図4中のCになる)との位置関係を示す側面図である。
図4に示すように、2次元UV直交座標系における点T(u,v)と2次元UV湾曲座標系における点C(u,v)があり、太線の線分Dと線分Aは同じ長さである。いずれも座標(u,v)で表されている点であるが、異なる座標系で設定された点であるため、XYZ3次元直交座標系で示される空間上の位置は異なっている。XYZ3次元直交座標系で考えると点T(u,v)は、点T(u,v,w)となるのに対して、点C(u,v)の座標値はC(u’,v,w’)になる。従って、u’、v’と、u,vとの関係は、式(10)から式(12)で表すことができる。
Figure 0005966341
この式(10)から式(12)を、式(1)から式(9)に適用することにより、UV座標系上に平面正則画像Cを得るための対応関係式は、次の式(1’)および(2’)に示される。
Figure 0005966341
このように、式(1)および式(2)における変数uの代わりに式(11)に示す変数u’を用い、変数wの代わりに式(12)に示す変数w’を用い式(1’)、(2’)に代入することで、2次元XY直交座標系における対応座標(x,y)が算出される。
画像変換IIは、画像変換Iに対して、左右輪郭近傍の歪が大幅に改善される。水平パニングを行う(パノラマ映像を撮影する)ような場合でも、滑らかなパニング映像を得ることができる。従って、画像変換IIは、画像の右端や左端に位置する人物の細かな特徴を把握することに適している。
(1.4 平面正則画像のオフセット)
次に、視点ベクトルnを変えずに、2次元UV直交座標系上に平面正則画像を表示するオフセット機能について図5および図6を用いて説明する。なお、便宜上、まず画像変換Iの例を用いて、オフセット機能について説明する。
図5に示すように、歪曲円形画像Sから切出領域Eの切出中心点P(x0,y0)を指定し、方位角α、天頂角βの値が得られ、式(1)から式(9)に示されている対応関係式を用いて、切出領域Eを画像変換して平面正則画像Tが得られる。なお、図5には、破線で示されている切出領域Eを画像変換して、破線で示されている平面正則画像Tを得るモデルが示されている。
さらに、図5に示すように、切出中心点P(x0,y0)を変えずに視点ベクトルnの向きを一定とし、画像変換を開始する点を移動させるオフセットを加えることにより、切出領域E’を画像変換した平面正則画像T’が得られる。なお、図5には、実線で示されている切出領域E’を画像変換し、実線で示されている平面正則画像T’を得るモデルも示されている。
また、図5および図6に示すように、平面正則画像Tにおいて、点G(xg,yg,zg)を原点とし、歪曲円形画像Sに含まれる切出領域Eの画像変換を開始する点を、点Ts(us,vs)とする。この画像変換を開始する点Ts(us,vs)にU軸方向とV軸方向にオフセットを加え、画像変換を開始する点を変えることで平面正則画像T’が得られる。オフセットを加えた平面正則画像T’の画像変換を開始する点は、点Ts’(us’,vs’)となる。また平面正則画像T’は視線ベクトルnに垂直な平面である。
画像変換Iに対してオフセット機能を適用した場合、対応関係式は、式(13)および式(14)に示すようになる。
Figure 0005966341
ここで、2次元UV座標上の画像変換を開始する点Ts(us,vs)にオフセット値uos,vosがそれぞれ加えられる。us’=us+uosおよびvs’=vs+vosとなる。
次に、画像変換IIに対してオフセット機能を適用した場合の対応関係式を示す。
2次元UV湾曲座標上の画像変換を開始する点にオフセット値uos,vosがそれぞれ加えられた場合、式(10)から式(12)に対応して、式(15)から式(17)が得られる。
Figure 0005966341
そして、対応関係式は、式(18)および式(19)に示すようになる。
Figure 0005966341
このように画像変換Iまたは画像変換IIに対してオフセットを適用することにより、画像変換を開始する点から順次走査で座標の値が変化して平面正則画像を得ることができる。
なお、画像変換Iまたは画像変換IIにおいて、非正射影方式の魚眼レンズによって撮影された非正射影画像である場合には、正射影画像上の座標と非正射影画像上の座標との間の座標変換式を用いて、切出中心点Pの座標を補正し、補正後の点を通りZ軸に平行な直線と前記仮想球面との交点Qを定義し、前記原点Oを基点として交点Qを通るベクトルを視線ベクトルnとすればよい。
また、画角が180°より小さい場合、仮想球面Hの半径は、画角180°に設定され、歪曲円形画像の半径より大きくなる。画角が180°より大きい場合、仮想球面Hの半径は、画角180°に設定されているので、180°以上の画角の部分の歪曲円形画像は、仮想球面Hの中心に折り返した形で設定される。
[2.画像表示システムの動作]
次に、本発明の1実施形態に係る画像表示システムの動作について図7から図17を用いて説明する。
図7に示すように、画像処理装置10が歪曲円形画像を取得する(ステップS1)。具体的には、画像処理装置10の画像生成部12が、カメラ2が撮影した歪曲円形画像Sを、カメラ2から取得する。そして、画像処理装置10の画像生成部12が、歪曲円形画像Sを表示用モニタ5に表示させる。ここで、カメラ2の向きは、図8に示すように、水平方向とする。カメラ2の斜め下にあるベンチに、3人の人間が並んで座っている画像を、カメラ2が撮影しているとする。なお、画像処理装置10は、歪曲円形画像の半径Rを、歪曲円形画像Sから求めたり、パラメータ入力部3から取得したりする。このように、画像処理装置10は、広角レンズまたは全方位ミラーを用いた撮影により得られた歪曲画像を取得する歪曲画像取得手段の一例として機能する。
次に、画像処理装置10が、歪曲円形画像に切出領域の切出中心点を設定する(ステップS2)。具体的には、表示用モニタ5を見ているユーザによりパラメータ入力部3に、歪曲円形画像Sにおける切出領域の切出中心点の座標が入力される。そして、画像生成部12が、パラメータ入力部3から切出領域の切出中心点の座標の情報を取得し、歪曲円形画像Sに切出領域Eの切出中心点を設定する。このように、画像処理装置10は、歪曲画像から一部分の切出領域を切り出すための切出基準点を設定する切出基準点設定手段の一例として機能する。
次に、画像処理装置10が、仮想球面の中心を基点として切出中心点に対応する視点ベクトルを設定する(ステップS3)。図5に示すように、切出中心点P(x0,y0)が設定されることにより、方位角α、および、天頂角βが定まる。方位角α、および、天頂角βが定まることは、視点ベクトルの方向が設定されることになる。また、視点ベクトルnが設定されることは、式(3)から式(8)のAからFが設定され、対応関係式(1)および(2)が定まることに相当する。なお、平面傾斜角φ=0としておくと、式(3)から式(8)のAからFが設定される。また、視点ベクトルnの長さは、OG間の距離m・Rでもよい。また、平面傾斜角φの値は、パラメータ入力部3によりユーザが指定できるようにしておいてもよい。
図5に示す場合は、切出中心点P(x0,y0)が設定され、方位角α、天頂角βが定まり、視点ベクトルnが設定される。この視点ベクトルnは、仮想球面Sの中心Oを基点として、切出中心点P(x0,y0)からZ軸に平行に伸びる直線と仮想球面Hと交差する交点(x0,y0,z0)に向かう方向に設定される。
図8に示す場合は、切出領域Eの切出中心点は、歪曲円形画像Sの中心Oに設定され、方位角α=0、天頂角β=0が定まり、視点ベクトルnは、水平方向になる。
画像処理装置10の画像生成部12が、パラメータ入力部3に入力された切出中心点の座標値から、視点ベクトルnの方向を設定する。すなわち、画像処理装置10の画像生成部12が、方位角α、および、天頂角βを、パラメータ入力部3に入力された切出中心点の座標値から設定する。なお、ユーザがパラメータ入力部3に方位角α、および、天頂角βのパラメータの値を入力して、切出中心点が設定されるようにしてもよい。
このように画像処理装置10は、歪曲画像の撮影の視点を基点として、切出基準点に対応する視線ベクトルを設定する視線ベクトル設定手段の一例として機能する。また、画像処理装置10は、仮想球面の中心から、歪曲画像を含む平面と直交して切出基準点を通過する直線と、仮想球面とが交差する交点に向く視線ベクトルを設定する視線ベクトル設定手段の一例として機能する。また、画像処理装置10は、視線ベクトルを特定するパラメータの入力を受け付けて、視線ベクトルを設定する視線ベクトル設定手段の一例として機能する。
次に、画像処理装置10が、視点ベクトルに基づき、切出領域に対応する平面正則画像の領域を設定する(ステップS4)。具体的には、ユーザがパラメータ入力部3を操作して、切出領域Eに対応する平面正則画像Tのサイズおよび倍率mが指定される。そして、画像生成部12が、パラメータ入力部3から指定された平面正則画像Tのサイズの情報を取得し、視点ベクトルnに基づき、2次元UV直交座標系における平面正則画像Tを設定する。このとき、オフセットを加える前の画像変換を開始する点Ts(us,vs)も設定される。なお、図8に示す場合は、表示用モニタ5に出力される平面正則画像20に対応した平面正則画像Tのサイズが設定される。なお、画像変換IIの2次元UV湾曲座標系の場合、平面正則画像Tは、平面正則画像Cとする(以下同様)。
このように画像処理装置10は、切出基準点に応じて、切出領域を設定する切出領域設定手段の一例として機能する。また、画像処理装置10は、視線ベクトルの方向で交差する交点において、視線ベクトルと直交する面内に、切出領域に対応する平面正則画像の領域を設定する切出領域設定手段の一例として機能する。
次に、画像処理装置10が、平面正則画像の領域のオフセット開始位置を取得する(ステップS5)。具体的には、ユーザがパラメータ入力部3を操作して、平面正則画像Tをどの方向に、どのくらいの距離、移動させて、オフセットを行いたいかが指定される。そして、画像生成部12が、パラメータ入力部3から指定されたオフセットに関する情報を取得し、平面正則画像の領域のオフセット開始位置を設定する。さらに具体的には、画像生成部12が、オフセットを加えた平面正則画像T’の画像変換を開始する点Ts’(us’,vs’)を設定する。なお、対応関係式(1)(2)、対応関係式(1’)(2’)、対応関係式(13)(14)、および、対応関係式(18)(19)のいずれの画像変換の式を適用するかの情報を、パラメータ入力部3を介して、画像生成部12は取得しておく。
このように画像処理装置10は、切出基準点から所定の距離、前記切出領域を移動させるオフセット手段の一例として機能する。また、画像処理装置10は、視線ベクトルと直交する面内において、設定された平面正則画像の領域を移動させるオフセット手段の一例として機能する。
次に、画像処理装置10が、視線ベクトルに応じて、平面正則画像の領域の各点に対応する歪曲円形画像の画素値を求める(ステップS6)。具体的には、画像処理装置10の画像生成部12が、視線ベクトルに対応する方位角α、天頂角β、および、倍率mに関するデータと、歪曲円形画像の半径Rのデータと、平面傾斜角φのデータとを、補正・演算部11に送信する。補正・演算部11は、受信した方位角α、天頂角β、平面傾斜角φ、倍率m、および、半径Rから、式(13)および式(14)を適用して、値A、B、C、D、E、F、および、wを算出して、設定する。さらに、画像生成部12が、対応関係式(1)(2)、対応関係式(1’)(2’)、対応関係式(13)(14)、および、対応関係式(18)(19)のいずれの変換を行うかの情報を補正・演算部11に送信する。さらにまた、オフセット機能を使用する場合、画像処理装置10の画像生成部12が、オフセット開始位置(点Ts’(us’,vs’))に関するデータ(オフセット値uos,vosのデータ)を補正・演算部11に送信する。そして、平面正則画像Tまたは平面正則画像T’の座標値に基づき、対応関係式(1)(2)、対応関係式(1’)(2’)、対応関係式(13)(14)、および、対応関係式(18)(19)に応じて、すなわち、視線ベクトルに応じて、歪曲円形画像の画素値が計算できるようになる。
そして、画像生成部12が、画像変換を開始する点Ts’(us’,vs’)から、平面正則画像T’を一画素分ずつ平面正則画像の領域をスキャンして、順に、当該画素の座標のデータを補正・演算部11に送信する。補正・演算部11は、対応関係式(1)(2)、対応関係式(1’)(2’)、対応関係式(13)(14)、および、対応関係式(18)(19)に応じて、平面正則画像T’に対応する歪曲円形画像E’の画素値を順次演算する。なお、図8に示す場合は、画像変換IIに対してオフセット機能を適用した場合の対応関係式(18)(19)を利用した場合である。なお、スキャンの方向は、u方向、v方向どちらでもよい。
次に、画像処理装置10が、求めた歪曲円形画像の画素値を平面正則画像の画素値とする(ステップS7)。具体的には、画像処理装置10の画像生成部12が、補正・演算部11により演算された歪曲円形画像E’の画素値を順次取得する。そして、画像生成部12が、取得した画素値に応じて、平面正則画像T’の位置に、歪曲円形画像E’の画素値をプロットして平面正則画像を生成する。
このように画像処理装置10は、視線ベクトルに応じて歪曲画像から平面正則画像に変換する画像変換により、移動された切出領域を変換する画像変換手段の一例として機能する。また、画像処理装置10は、視線ベクトルに応じて、移動された平面正則画像の領域の各点に対応する歪曲画像の画素値を求め、当該求めた歪曲画像の画素値を平面正則画像の画素値とする画像変換手段の一例として機能する。
このように画像処理装置10は、画像変換Iおよび画像変換IIの対応関係式を設定することにより、歪曲画像の中心を中心とした仮想球面を設定する仮想球面設定手段の一例として機能する。
次に、画像処理装置10が、平面正則画像を表示する(ステップS8)。具体的には、画像処理装置10の画像生成部12が、生成した平面正則画像を表示モニタ5に送信し、表示モニタ5に平面正則画像が表示される。図8の場合は、平面正則画像20が表示モニタ5に表示される。図8に示すように、平面正則画像20において、平面正則画像20の端に写っている人物も、図中ほぼ垂直方向に撮影されている。
なお、図9に示すように、視線ベクトルnの向きを見下ろした状態にすると、平面正則画像21の端に写っている人物や椅子が、斜めに傾いていて撮影されている。
カメラ2が動画を撮影する場合、画像処理装置10は、各フレーム画像において、上記手順を繰り返し、動画の平面正則画像を生成し、表示モニタ5に表示させる。
次に、カメラ2の設定の変形例、および、平面正則画像の表示の仕方について図10から図18を用いて説明する。
まず、図10から図15を用いて、切出基準点が複数設定された例について説明する。
図10に示すように、本実施形態では、車体に後方確認用カメラとして、カメラ2が水平向きに取り付けられている。
図11に示すように、車体の後部に魚眼カメラを備えた車が後方駐車する時に、画像処理装置10は、カメラ2で撮影した歪曲円形画像の原画像を取得する(ステップS1)。
そして、見下ろし画像等を表示するため、画像処理装置10は、図12に示すように車体に対して垂直方向に切出中心点を設定する(ステップS2)。図11に示すように、歪曲円形画像に対して切出中心点P1が設定される。
この場合、方位角α=0°および天頂角β=90°となり、視点ベクトルnはX軸の向きになる(ステップS3)。そして、画像処理装置10は、平面正則画像T’のサイズを設定する(ステップS4)。
次に、図10に示すように、車体のバンパーの部分が表示されないように画像の表示位置を調整したい場合は、画像処理装置10は、図12に示すように、視点ベクトルnをレンズの光軸(Z軸)に対して垂直方向に固定した状態で、平面正則画像Tから平面正則画像T’の位置にZ軸方向に移動させるオフセットを設定する(ステップS5)。そして、画像処理装置10は、画像変換Iを適用して、すなわち、対応関係式(式(13)および(14))を適用して、見下ろし画像としての平面正則画像T’を生成する(ステップS6、S7)。
次に、図13に示すように、画像処理装置10は、見下ろし画像26を表示用モニタ5の画像25の下側に表示させる(ステップS8)。
次に、表示用モニタ5の画像25のパノラマ画像27に関して、画像処理装置10は、図14に示すように、切出中心点を車体に対して水平方向に設定する(ステップS2)。図11に示すように、歪曲円形画像に対して切出中心点P2が設定される。
この場合、方位角α=0°および天頂角β=0°となり、視点ベクトルnはZ軸の向きになる(ステップS3)。そして、画像処理装置10は、パノラマ画像用に平面正則画像T’のサイズを設定する(ステップS4)。
次に、パノラマ画像の画像表示位置を、オフセット機能により調整したい場合は、画像処理装置10は、図15に示すように、視点ベクトルnをレンズの光軸に固定した状態で、平面正則画像Tから平面正則画像T’の位置に2次元UV座標系上で、例えば、X軸方向に移動させるオフセットを設定する(ステップS5)。そして、画像処理装置10は、画像変換IIを適用して、すなわち、対応関係式(式(18)および(19))を適用して、パノラマ画像27としての平面正則画像T’を生成する(ステップS6、S7)。
次に、図13に示すように、画像処理装置10は、パノラマ画像27を表示用モニタ5の画像25の上側に表示させる(ステップS8)。
次に、図16から図18を用いて、切出基準点が複数設定された例について説明する。
図16は、車体の前部にカメラ2を備えた車がT字路で停車している俯瞰図を示している。
図16に示すように、車体の前方確認用カメラとして、カメラ2が水平向きに取り付けられている。
車体の前部にカメラ2を備えた車がT字路で停車したときに、図17に示すように、画像処理装置10は、カメラ2で撮影した歪曲円形画像の原画像を取得する。
次に、図18に示すように、画像30のパノラマ画像31を生成するために、画像処理装置10は、歪曲円形画像に対して切出中心点P3を設定し、パノラマ画像31用の平面正則画像のサイズを設定する。そして、画像処理装置10は、図17中の矢印の方向に、オフセットさせ、画像変換IIにより、パノラマ画像31を生成する。なお、パノラマ画像31は、図17中、歪曲円形画像の点線分を画像変換してパノラマ表示した画像である。
次に、画像30の部分拡大画像32を生成するために、画像処理装置10は、歪曲円形画像に対して切出中心点P3を設定し、部分拡大画像32用の平面正則画像のサイズを設定する。そして、画像処理装置10は、図17中の矢印の方向に、オフセットさせ、画像変換Iまたは画像変換IIにより、部分拡大画像32を生成する。
次に、画像30の部分拡大画像33を生成するために、画像処理装置10は、歪曲円形画像に対して切出中心点P4を設定し、部分拡大画像33用の平面正則画像のサイズを設定する。そして、画像処理装置10は、図17中の矢印の方向に、オフセットさせ、画像変換Iまたは画像変換IIにより、部分拡大画像32を生成する。
以上、本実施形態によれば、広角レンズまたは全方位ミラーを用いたカメラ2に撮影された歪曲円形画像(歪曲画像の一例)Sを取得し、歪曲円形画像Sから一部分の切出領域を切り出すための切出中心点P(切出基準点の一例)を設定し、切出中心点Pに応じて、切出領域Eを設定し、歪曲円形画像Sの撮影の視点を基点として、切出中心点Pに対応する視線ベクトルnを設定し、切出中心点Pから所定の距離、切出領域Eを移動させ、視線ベクトルnに応じて歪曲円形画像Sから平面正則画像T、Cに変換する画像変換(対応関係式(1)(2)、対応関係式(1’)(2’)、対応関係式(13)(14)、および、対応関係式(18)(19))により、移動された切出領域E’を変換することによって、1台のカメラにより撮影された歪曲画像から、より自然な画像を生成することができる。
特に、視線ベクトルnを固定した状態で切出領域を移動させるオフセット機能により、画像変換の様々な対応関係式に応じて、より自然な平面正則画像を得ることができる。例えば、図8に示すように、歪曲円形画像の中心から離れたところで、パノラマ風の平面正則画像をより自然に生成できる。従って、車両に対して水平の向きに設置されたカメラにより歪曲円形画像を得た場合でも、より自然な画像を生成するので、ユーザは地面方向の障害物等の物体の状況が確認しやすくなる。特に、画像変換IIを用いた場合、車体等に対して水平方向の物体が認識されやすくなる。
また、画像処理装置10は、1台のカメラ2により撮影された歪曲円形画像から、平面正則画像を生成しているので、画像を合成する必要がない。さらに、1台のカメラ2により撮影された歪曲円形画像から、平面正則画像を生成できるので、コストを下げることができる。
また、図8に示すように、視線ベクトルnを水平方向に固定し、オフセット機能を使用して撮影した場合と、図9に示すように、オフセット機能を使用せず、視線ベクトルnを人物の方に向けて撮影した場合とを比較すると、図9の平面正則画像21では、視点ベクトルnの向きが見下ろした状態になっているため、人物や椅子の垂直方向が斜めに傾いており違和感のある画像になっている。一方、図8の平面正則画像20では、視点ベクトルnの向きが水平方向を向いている状態になっており、人物や椅子の垂直方向が傾いておらず、違和感のない画像となる。従って、人物が垂直に表示されているため、平面正則画像20から人物を容易に検出することができ、画像認識がしやすくなる。また、外側部分(輪郭近傍)の歪が軽減し、人物の細かな特徴を確認しやすくなる。従って人間の目から見て距離感覚を認識することや物体を判断することが容易になる。
また、一般的な後方確認用カメラの場合、見下ろし画像を表示するために、カメラを車体に対して水平方向から垂直方向に向かって程度傾けて設置する必要があったが、後方確認用カメラの取り付け角度に制限が緩和され、視野範囲が広げることができる。
また、歪曲画像の一例の歪曲円形画像Sの中心Oを中心とした仮想球面Hを設定し、仮想球面Hの中心から、歪曲画像を含む平面と直交して切出基準点を通過する直線と、仮想球面Hとが交差する交点Qに向く視線ベクトルnを設定する場合、歪みが軽減された平面正則画像を得ることができる。また、上記の画像変換Iや画像変換IIの対応関係式が算出しやすくなる。
また、視線ベクトルnを特定するパラメータの入力を受け付けて、視線ベクトルを設定し、視線ベクトルnの方向で交差する交点Qにおいて、視線ベクトルnと直交する面内に、切出領域Eに対応する平面正則画像Tの領域を設定し、視線ベクトルと直交する面内において、設定された平面正則画像Tの領域を移動させ、視線ベクトルnに応じて、移動された平面正則画像T’の領域の各点に対応する歪曲画像の画素値を求め、当該求めた歪曲画像の画素値を平面正則画像T’の画素値とする場合、歪みが軽減された平面正則画像を得ることができる。また、オフセット機能を有する画像変換Iや画像変換IIの対応関係式が算出しやすくなる。
また、視線ベクトルnの方向で交差する交点Qにおいて、視線ベクトルと直交する面が、円柱の面Cである場合、歪みが軽減されたパノラマ画像の平面正則画像を得ることができる。
また、各視線ベクトルに応じた切出領域を設定し、各切出領域を平面正則画像に変換し、画像変換手段が求めた各平面正則画像を1つの表示手段に表示する場合、用途に応じて、画像変換Iおよび画像変換IIとオフセット機能を組み合わせた、歪曲画像の様々な方向における高精度の平面正則画像を、組み合わせて表示させることができる。
例えば、図13や図18に示すように、画像変換Iと画像変換IIの平面正則画像を併用して画像を表示することが可能なる。図13に示すように、パノラマ画像27により、右端、左端の物体や人物を正確に確認しやすくなり、見下ろし画像26により、駐車時の縁石や障害物を確認できるやすくなる。
なお、図19に示すように、カメラ2が、車体の後部に、レンズの光軸が車体に対して垂直になるように設定されてもよい。この場合、図13の見下ろし画像26を表示させるためには、視点ベクトルnを、光軸方向にして、オフセット機能を利用しない、画像変換Iか画像変換IIの対応関係式を用いてもよい。また、バンパーが入らないように、オフセット機能を利用してもよいし、視点ベクトルnの方向を変えてもよい。さらに、図13のパノラマ画像27を表示させるためには、視点ベクトルnを、光軸方向にして、オフセット機能により、平面正則画像T’を水平方向に移動させ、画像変換IIの対応関係式を用いてもよい。
また、図20に示すように、バスの運転席の上部にカメラ2を設置して、客席の方向の画像34と、運転席を見下ろす画像35とを、表示させるようにしてもよい。1台のカメラでバス車内全体の様子が把握しやすくなる。これらの画像を画像認識に使用すると、人の認識や、車内の人数の把握、顔の認識がしやすくなる。
また、図21に示すように、ATM(Automatic teller machine)の上部にカメラ2を設置して、ATMの利用者の方向を向く画像36と、ATMの入力部分を見下ろす画像37とを、表示させるようにしてもよい。1台のカメラで、ATMの利用者の様子や、操作の様子が把握しやすくなる。これらの画像を画像認識に使用すると、顔の認識や、操作の認識がしやすくなる。
なお、画像表示システム1や画像処理装置10により行われる処理は、CPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータでもよい。コンピュータにより、画像変換I、画像変換II、オフセット機能等の演算が行われる。
さらに、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1:画像表示システム(画像表示装置)
2:カメラ
3:パラメータ入力部
4:フレームメモリ
5:表示用モニタ(表示手段)
10:画像処理装置
11:補正・演算部
12:画像生成部
S:歪曲円形画像(歪曲画像)
P:切出中心点(切出基準点)
E、E’:切出領域
n:視線ベクトル
T、T’、C:平面正則画像
H:仮想球面

Claims (8)

  1. 広角レンズまたは全方位ミラーを用いた撮影により得られた歪曲画像を取得する歪曲画像取得手段と、
    前記歪曲画像から一部分の切出領域を切り出すための切出基準点を設定する切出基準点設定手段と、
    前記切出基準点に応じて、切出領域を設定する切出領域設定手段と、
    前記歪曲画像の撮影の視点を基点として、前記切出基準点に対応する視線ベクトルを設定する視線ベクトル設定手段と、
    前記切出基準点から所定の距離、前記切出領域を移動させるオフセット手段と、
    前記視線ベクトルに応じて前記歪曲画像から平面正則画像に変換する画像変換により、前記移動された切出領域を変換する画像変換手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記歪曲画像の中心を中心とした仮想球面を設定する仮想球面設定手段を更に備え、
    前記視線ベクトル設定手段が、前記仮想球面の中心から、前記歪曲画像を含む平面と直交して前記切出基準点を通過する直線と、前記仮想球面とが交差する交点に向く視線ベクトルを設定することを特徴とする画像処理装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
    前記視線ベクトル設定手段が、前記視線ベクトルを特定するパラメータの入力を受け付けて、前記視線ベクトルを設定し、
    前記切出領域設定手段が、前記視線ベクトルの方向で交差する交点において前記視線ベクトルと直交する面内に、前記切出領域に対応する前記平面正則画像の領域を設定し、
    前記オフセット手段が、前記視線ベクトルと直交する面内において、前記設定された平面正則画像の領域を移動させ、
    前記画像変換手段が、前記視線ベクトルに応じて、前記移動された平面正則画像の領域の各点に対応する前記歪曲画像の画素値を求め、当該求めた前記歪曲画像の画素値を前記平面正則画像の画素値とすることを特徴とする画像処理装置。
  4. 請求項3に記載の画像処理装置において、
    前記視線ベクトルと直交する面が、円柱の面であることを特徴とする画像処理装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に画像処理装置において、
    前記視線ベクトル設定手段が、複数の視線ベクトルを設定し、
    前記切出領域設定手段が、各視線ベクトルに応じた切出領域を設定し、
    前記画像変換手段が、前記各切出領域を平面正則画像に変換し、
    前記画像変換手段が求めた各平面正則画像を1つの表示手段に表示することを特徴とする画像処理装置。
  6. 画像処理装置が画像を処理する画像処理方法であって、
    広角レンズまたは全方位ミラーを用いた撮影により得られた歪曲画像を取得する歪曲画像取得ステップと、
    前記歪曲画像から一部分の切出領域を切り出すための切出基準点を設定する切出基準点設定ステップと、
    前記切出基準点に応じて、切出領域を設定する切出領域設定ステップと、
    前記歪曲画像の撮影の視点を基点として、前記切出基準点に対応する視線ベクトルを設定する視線ベクトル設定ステップと、
    前記切出基準点から所定の距離、前記切出領域を移動させるオフセットステップと、
    前記視線ベクトルに応じて前記歪曲画像から平面正則画像に変換する画像変換により、前記移動された切出領域を変換する画像変換ステップと、
    を含むことを特徴とする画像処理方法。
  7. コンピュータを、
    広角レンズまたは全方位ミラーを用いた撮影により得られた歪曲画像を取得する歪曲画像取得手段、
    前記歪曲画像から一部分の切出領域を切り出すための切出基準点を設定する切出基準点設定手段と、
    前記切出基準点に応じて、切出領域を設定する切出領域設定手段、
    前記歪曲画像の撮影の視点を基点として、前記切出基準点に対応する視線ベクトルを設定する視線ベクトル設定手段、
    前記切出基準点から所定の距離、前記切出領域を移動させるオフセット手段、および、
    前記視線ベクトルに応じて前記歪曲画像から平面正則画像に変換する画像変換により、前記移動された切出領域を変換する画像変換手段として機能させる画像処理装置用プログラム。
  8. 広角レンズまたは全方位ミラーを用いた撮影により得られた歪曲画像を取得する歪曲画像取得手段と、
    前記歪曲画像から一部分の切出領域を切り出すための切出基準点を設定する切出基準点設定手段と、
    前記切出基準点に応じて、切出領域を設定する切出領域設定手段と、
    前記歪曲画像の撮影の視点を基点として、前記切出基準点に対応する視線ベクトルを設定する視線ベクトル設定手段と、
    前記切出基準点から所定の距離、前記切出領域を移動させるオフセット手段と、
    前記視線ベクトルに応じて前記歪曲画像から平面正則画像に変換する画像変換により、前記移動された切出領域を変換する画像変換手段と、
    前記画像変換手段により得られた平面正則画像を表示する表示手段と、
    を備えることを特徴とする画像表示装置。
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