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JP5964052B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ロードノイズを低減しながら制動性能を向上することができる空気入りタイヤに関する。
車両が荒れた路面を走行したり、路面の継ぎ目を乗り越えたりすると、車内にロードノイズと呼ばれる騒音が発生することがある。ロードノイズは、タイヤが関係する騒音の一つであり、路面の凹凸が入力となってタイヤが加振されると、その振動がホイールやサスペンションを介して車体に伝達され、延いては車内に騒音を引き起こす。
タイヤの持つ各固有振動モードは、車両の前後、左右、上下方向への力の伝達に寄与する。また、サスペンションにも各固有振動モードが存在し、各方向への入力に対して車内への振動の伝わり方に関して周波数特性を有する。これに着目した非特許文献1では、タイヤの各振動モードの固有値をコントロールすることでロードノイズを低減する試みがなされており、例えば、横曲げ3次モードの固有値を高めたり、上下1次モードの固有値を低めたりして、それらの差を大きくすることが望ましい、と意義付けられている。
しかし、一般には、補強などによりタイヤの剛性を部分的に向上させて固有値を操作すると、目的の振動モードだけでなく、他の振動モードにまで影響を及ぼしてしまう。このため、複数の振動モードの固有値をコントロールする場合には、その手法を工夫する必要がある。したがって、前掲した振動モードであれば、横曲げ3次モードの固有値を高めながら、或いは、上下1次モードの固有値を低めながら、他方には影響を及ぼさない要素を見出す必要があった。
ところで、走行中の車両に制動力をかけて停止するときには、ホイールは即座に止まろうとし、その一方でタイヤのトレッド部は慣性で回転を続けようとする。このため、それらに挟まれたタイヤのビード部やサイドウォール部では、タイヤ周方向のねじれを起こすことになる。このねじれ現象が大きくなると、ホイールのリムからタイヤに制動力が伝わりにくくなり、制動性能の低下を招来する。
特許文献1には、ビード部のリムと接触する部分にゴムチェーファーを設け、リムとは接触しないリムプロテクタの外面に、補強素子を含んだ複合補強層を設けた空気入りタイヤが開示されている。また、特許文献2には、リムプロテクタの外面を覆うようにして不織布を設けた空気入りタイヤが開示されている。しかし、これらの構造は、何れも上記ねじれ現象を抑制しうる手段を示唆するものではない。
三山栄仁ら「ロードノイズスペクトル適正化のためのタイヤ固有値コントロール技術開発」社団法人自動車技術会、学術講演会前刷集No.41−09、2009年5月、p.17−22 特開2005−145319号公報 特開2006−213260号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロードノイズを低減しながら、ねじれ現象を抑制して制動性能を向上できる空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねたところ、リムに対するタイヤの嵌合力を高めることにより、タイヤの上下1次モードの固有値に影響を及ぼすことなく、横曲げ3次モードの固有値を高めうることに着目した。また、図5(A)のグラフのように、4〜11番に相当する部分では、制動時の回転方向への変位量が比較的大きく、当該部分のねじれ現象に対する寄与が大きいことを見出した。このグラフの縦軸は、制動時の回転方向への変位量を指し、横軸は、その変位量の測定点を指す。測定点は、図5(B)のようにビード部51とサイドウォール部52の外面に設定され、1番から順次にナンバリングしてある。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、下記の如き構成により上記目的を達成できるものである。即ち、本発明に係る空気入りタイヤは、環状のビードコアが埋設された一対のビード部と、前記ビード部の各々からタイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部と、前記サイドウォール部の各々のタイヤ径方向外側端に連なるトレッド部とを備え、前記ビード部に、タイヤ幅方向外側に向かって隆起し、規定リム装着時にリムフランジの外周側湾曲面に対向する環状のリムプロテクタが設けられている空気入りタイヤにおいて、前記ビード部の前記リムフランジと接触する部分に、互いに交差せず平行に引き揃えられた複数の繊維材を含む補強層が設けられており、前記ビードコアの外側端の高さから、前記リムフランジの外周側湾曲面に沿った前記リムプロテクタの内周側湾曲面の外側端に至る特定環状領域で、前記繊維材の向きがタイヤ径方向外側に向かってタイヤ回転方向に傾斜しているものである。
本発明の空気入りタイヤでは、ビード部のリムフランジと接触する部分に補強層を設けているため、リムに対するタイヤの嵌合力が高められる。その結果、上下1次モードの固有値に影響を及ぼさずに、横曲げ3次モードの固有値を高め、それらの差を拡げてロードノイズを低減することができる。また、上記の特定環状領域は、概ね図5の4〜11番に相当し、ねじれ現象に対する寄与が大きい部分である。このため、特定環状領域における繊維材の向きが、タイヤ径方向外側に向かってタイヤ回転方向に傾斜していることにより、制動時のねじれ現象を抑制して制動性能を向上できる。
本発明では、タイヤ周方向に対する前記繊維材の傾斜角度が、前記特定環状領域において10〜30°であるものが好ましい。これにより、製造工程に支障を来たさない程度において、繊維材の向きをタイヤ周方向に近付けて、ねじれ現象の抑制効果を高めることができる。
本発明では、前記補強層が、ビードヒールから前記リムプロテクタの内周側湾曲面の外側端に至る範囲を含んだ領域に設けられているものが好ましい。かかる構成によれば、リムに対するタイヤの嵌合力を的確に高めて、横曲げ3次モードの固有値を更に向上できる。また、概ね図5の1〜3番に相当するビードヒール近傍の外面にも、ねじれ現象に対する寄与はあるため、補強層がビードヒールまで設けられていることにより、ねじれ現象の抑制効果を高めることができる。
本発明では、前記サイドウォール部の外面を構成するサイドウォールゴムのタイヤ径方向内側に、前記リムプロテクタの主体をなすリムストリップゴムが配され、前記補強層が、前記リムストリップゴムの外面を覆うとともに、前記サイドウォールゴムと前記リムストリップゴムとの間で、前記リムストリップゴムの外側端に到達せずに終端している。
リムフランジと接触する部分に比べると小さいが、概ね図5の12〜18番に相当するリムプロテクタの外面にも、ねじれ現象に対する寄与があるため、その部分に設けた補強層によって、ねじれ現象の抑制効果を高めることができる。また、サイドウォールゴムとリムストリップゴムとの間で、補強層がリムストリップゴムの外側端に到達せずに終端することで、上下1次モードの固有値に影響を及ぼさないうえ、補強層の終端部に歪みが集中することを防止できる。
上記において、タイヤ周方向に対する前記繊維材の傾斜角度が、前記補強層のタイヤ径方向外側の終端部において60〜90°であるものが好ましい。かかる構成によれば、カーカス層の近傍に配されうる補強層の終端部において、繊維材の向きがカーカス層のコードの延在方向に近付けられる。その結果、補強層のタイヤ径方向外側の終端部に余計な歪みが生じることを防止できる。
本発明の空気入りタイヤの一例を概略的に示すタイヤ子午線半断面図 図1のタイヤのビード部を拡大して示す図 特定環状領域における繊維材の向きを示す模式図 繊維材の向きを示す補強層の展開図 (A)制動時の回転方向への変位量を示すグラフと(B)測定点を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1,2に示した空気入りタイヤTは、環状のビードコア1aが埋設された一対のビード部1と、ビード部1の各々からタイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部2と、サイドウォール部2の各々のタイヤ径方向外側端に連なるトレッド部3とを備える。ビードコア1aは、ゴム被覆したビードワイヤを積層巻回した収束体で構成されている。ビードコア1aのタイヤ径方向外側には、硬質ゴムからなるビードフィラー1bが設けられている。
また、このタイヤTは、トレッド部3からサイドウォール部2を経てビード部1に至るトロイド状のカーカス層4を備える。カーカス層4は、少なくとも一枚のカーカスプライにより構成され、その端部がビードコア1aとビードフィラー1bを挟むようにして巻き上げられている。カーカスプライは、タイヤ周方向に対して略直交する方向に配列したコードをトッピングゴムで被覆して形成されている。該コードには、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アラミド等の有機繊維や、スチールが好適に使用される。
ビード部1には、タイヤ幅方向外側に向かって隆起し、規定リム装着時にリムフランジ21の外周側湾曲面に対向する環状のリムプロテクタ10が設けられている。リムプロテクタ10の主体をなすリムストリップゴム5は、ビード部1におけるカーカス層4のタイヤ幅方向外側に配されている。リムストリップゴム5は、サイドウォール部2の外面を構成するサイドウォールゴム6のタイヤ径方向内側に配され、そのタイヤ径方向の外側端5Eはカーカス層4とサイドウォールゴム6との間に介在する。
リムプロテクタ10は、リムフランジ21の外周側湾曲面に沿って湾曲した内周側湾曲面11を有し、リムフランジ21よりもタイヤ幅方向外側に突出するように設けられている。これにより、走行中にリムフランジ21が路肩の縁石などと接触することを妨げて、リムフランジ21の変形や損傷を防止できる。リムプロテクタ10は、本発明による改善効果を高めるうえでは、タイヤ幅方向の両側に設けられることが望ましいが、片側のみであってもよく、例えば車両装着時の外側のみに設けていても構わない。
ここで、規定リム装着時は、タイヤサイズに対応してJATMAで定められた標準となるリムに装着し、同じくタイヤサイズに対応してJATMAで定められる単輪最大負荷能力に対応する最高空気圧をかけた時の状態を指す。図1,2は、規定リム装着時のタイヤTを示しており、上記した標準のリム20と、そのリム20に組み付けたタイヤTとを備えるタイヤ組付体として描いている。
ビード部1のリムフランジ21と接触する部分には、繊維材を含む補強層7が設けられている。本実施形態の補強層7は、平行に引き揃えた複数の繊維材をゴム被覆して形成されている。繊維材の向きは、少なくとも特定環状領域Xにおいて、タイヤ径方向外側に向かってタイヤ回転方向に傾斜している。この特定環状領域Xは、ビードコア1aの外側端の高さHBから、リムプロテクタ10の内周側湾曲面11の外側端11Eに至る領域である。高さHBは、ビードコア1aの外側端の幅方向中央を基準として定められる。
図3の模式図は、特定環状領域Xにおける繊維材の向きを示しており、環状に設けられた補強層7において繊維材7Cが一律に配列されている。繊維材7Cには、リムフランジ21とのメタルタッチを回避するうえで、更には角度設定の簡便さから、前掲したようなアラミド等の有機繊維が好ましく使用される。既述のように、特定環状領域Xにおける繊維材7Cの向きは、タイヤ径方向外側に向かってタイヤ回転方向Rに傾斜しており、これによってロードノイズを低減しつつ制動性能を向上することができる。
即ち、このタイヤTでは、ビード部1のリムフランジ21と接触する部分において、少なくとも特定環状領域Xを含む領域に補強層7を設けているため、内圧により付勢されたビード部1がリムフランジ21に堅固に押し当てられ、リム20に対するタイヤTの嵌合力が適切に高められる。これによって、上下1次モードの固有値に影響を及ぼさずに、横曲げ3次モードの固有値を高め、それらの差を大きくしてロードノイズを低減することができる。
しかも、この特定環状領域Xは、概ね図5の4〜11番に相当し、ねじれ現象に対する寄与が大きい部位である。それ故、補強層7の繊維材7Cを上記の如く傾斜させることにより、制動時の回転方向への変位量を低減でき、延いてはねじれ現象を抑制して制動性能を向上できる。一方、図5の23〜27番に相当する部位においても、ねじれ現象に対する寄与は大きいが、この部位まで補強層7を設けると、上下1次モードの固有値も高められるため、ロードノイズの低減効果が小さくなる。
この空気入りタイヤTは、回転方向指定型のタイヤとして構成されていてよい。その場合には、装着に関してタイヤの回転方向が指定されたものとなり、タイヤ外表面の何処かに付された表記、例えばサイドウォール部2の外面に付された表記によって、タイヤの回転方向の指定が行われる。
図4は、図1の補強層7をタイヤ幅方向外側から見たときの展開図であり、左右方向がタイヤ周方向に相当し、上方向がタイヤ径方向外側に相当する。1本の繊維材7Cのみを図示しているが、実際には多数の繊維材7Cが並設されている。タイヤ周方向に対する繊維材7Cの傾斜角度θ1は、特定環状領域Xにおいて10〜30°であることが好ましい。この角度θ1が10°を下回ると、製造工程に支障を来たす恐れがあり、30°を上回ると、ねじれ現象の抑制効果が小さくなる傾向にある。
タイヤ製造時の工程性を高める観点から、傾斜角度θ1は20°以上がより好ましい。また、ねじれ現象の抑制効果を高める観点から、傾斜角度θ1は30°未満がより好ましい。繊維材7Cの傾斜角度は、厳密には、繊維材7Cとタイヤ周方向の接線とがなす角度として求められる。本実施形態では、特定環状領域Xにおいて繊維材7Cが直線状に延びる例を示すが、緩やかに湾曲するものでも構わない。その場合、傾斜角度は、繊維材7Cの接線とタイヤ周方向の接線とがなす角度として求められる。
図1,2に示すように、補強層7は、ビードヒール1hから内周側湾曲面11の外側端11Eに至る範囲を含んだ領域に設けられている。これにより、リム20に対するタイヤTの嵌合力を的確に高めて、横曲げ3次モードの固有値を更に向上できる。また、補強層7をビードヒール1hまで設けていることにより、ねじれ現象の抑制効果を更に高めて、制動性能を効果的に向上できる。補強層7のタイヤ径方向内側の終端部は、ビードヒール1hに設定されている。
本実施形態では、補強層7が、リムストリップゴム5の外面を覆うとともに、サイドウォールゴム6とリムストリップゴム5との間で、外側端5Eに到達せずに終端している。補強層7は、ビードヒール1hからサイドウォールゴム6とリムストリップゴム5との界面位置BPに至る領域では外面に配され、界面位置BPから外側端5Eに至る領域では内部に埋設されている。このように、補強層7は、上下1次モードの固有値に影響を及ぼす部位(概ね図5の23番以降に相当)を避けて設けられている。
外側端11Eから界面位置BPに至る部分にもねじれ現象に対する寄与はあるため、その部分に設けた補強層7によって、ねじれ現象の抑制効果が高められる。また、界面位置BPよりもタイヤ径方向外側の外面には補強層7を配していないため、上下1次モードの固有値には影響を及ぼさない。それでいて、サイドウォールゴム6とリムストリップゴム5との間で、補強層7が外側端5Eに到達せずに終端するため、その終端部への歪みの集中を防いで、セパレーションの発生を適切に回避できる。
既述のように、ロードノイズを低減するには、上下1次モードの固有値を高めずに、横曲げ3次モードの固有値を高めて、それらの差を大きくすることが有効である。補強層7によって上下1次モードの固有値を高めないようにするうえでは、サイドウォール部2のタイヤ最大幅位置WP(図1参照)に補強層7が達していないことが好ましく、本実施形態のようにサイドウォールゴム6の外面に補強層7を設けないことがより好ましい。
特定環状領域Xにおける傾斜角度θ1は、既述のように10〜30°であることが好ましい。しかし、この角度を補強層7の全体に適用した場合には、カーカス層4の近傍に配された補強層7の終端部に余計な歪みが生じる恐れがあるため、終端部における繊維材7Cの向きを、カーカス層4のコードの延在方向に近付けることが望ましい。かかる見地から、補強層7のタイヤ径方向外側の終端部における傾斜角度は、好ましくは60〜90°であり、より好ましくは75〜90°である。
図4のように、本実施形態では、タイヤ周方向に対する繊維材7Cの傾斜角度を、タイヤ径方向外側に向かって段階的に大きくしている。即ち、特定環状領域Xでは傾斜角度θ1を10〜30°とし、外側端11Eから界面位置BPに至る領域Yでは傾斜角度θ2を30〜60°とし、界面位置BPから外側端5Eに至る領域Zでは傾斜角度θ3を60〜90°としている。これにより、繊維材7Cを緩やかに角度変化させて不要な歪みが生じないようにしつつ、傾斜角度θ3を大きくできる。
繊維材7Cの傾斜角度は、上記の各領域において一定である必要はなく、徐々に変化するものでも構わない。特に界面位置BPから外側端5Eに至る領域Zでは、傾斜角度θ3を徐々に大きくすることで、終端部における傾斜角度を90°に近付けられることから、歪みの発生を効果的に防止できる。
図4に示した距離Lは、外側端11Eから外側端5Eまでのタイヤ外面に沿った距離に相当する。界面位置BPは、外側端11Eを基準として、距離Lの50%前後、例えば50±10%の範囲内に設定される。傾斜角度θ2が設定される領域と、傾斜角度θ3が設定される領域との境界は、必ずしも界面位置BPでなくてよく、外側端11Eを基準として、距離Lの50%前後、例えば50±10%の範囲内に設定できる。
本実施形態では、補強層7が、その一端から他端まで連続して延びるコード状の繊維材7Cを含む例を示したが、これに限られず、例えば、繊維材としての短繊維を含有してなる短繊維補強ゴムにより構成することが可能である。その場合には、補強層に含まれる繊維材としての短繊維を、少なくとも特定環状領域において、タイヤ径方向外側に向かってタイヤ回転方向に傾斜するように配向させてあることが必要となる。
本発明の空気入りタイヤは、ビード部の周辺を上記の如く構成すること以外は、通常の空気入りタイヤと同等であり、従来公知の材料、形状、構造、製法などが何れも本発明に採用することができる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例について説明する。評価に供したタイヤのサイズは225/50R18であり、リムサイズ18x7.5JJのホイールに組み付けて、空気圧230kPa、荷重4.5kNの条件で、具体的には下記のようにして行った。
(1)車内音指数(ロードノイズ測定)
排気量3000ccの後輪駆動のセダン車にタイヤを装着して、時速60kmで試験路面を走行し、運転席の耳位置に取り付けたマイクロフォンにより、音圧を測定した。車内音測定結果は、1/3オクターブバンド解析を行い、160Hz帯のパワースペクトルを評価した。比較例1の結果を100として指数で示し、数値が大きいほど車内音が低いことを示す。
(2)制動性能
走行速度を100km/hから0km/hに落としたときの制動距離を測定し、その逆数を算出して評価を行った。比較例1の結果を100として指数で示し、数値が大きいほど制動性能に優れていることを示す。
ビード部のリムフランジと接触する部分に補強層を設けていない比較例1と、補強層を設けてある比較例2及び実施例1を用意した。比較例2では、補強層に含まれる繊維材の向きを、タイヤ周方向に対して一律に90°とした。実施例1では、補強層に含まれる繊維材の向きを、特定環状領域で30°としつつ、図4のように段階的に変化させた。各例のタイヤ構造は、補強層に関する構造を除いて同じである。
Figure 0005964052
表1のように、比較例2及び実施例1では、ビード部のリムフランジと接触する部分に補強層を設けたことにより、車内音の低減効果が見られた。但し、比較例2では制動性能が比較的劣っているのに対し、実施例1では制動性能が向上しており、補強層に含まれる繊維材の向きを所定の方向に設定したことによる改善効果が確認された。
1 ビード部
1a ビードコア
1h ビードヒール
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス層
5 リムストリップゴム
6 サイドウォールゴム
7 補強層
7C 繊維材
10 リムプロテクタ
11 内周側湾曲面
20 リム
21 リムフランジ

Claims (4)

  1. 環状のビードコアが埋設された一対のビード部と、前記ビード部の各々からタイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部と、前記サイドウォール部の各々のタイヤ径方向外側端に連なるトレッド部とを備え、前記ビード部に、タイヤ幅方向外側に向かって隆起し、規定リム装着時にリムフランジの外周側湾曲面に対向する環状のリムプロテクタが設けられている空気入りタイヤにおいて、
    前記ビード部の前記リムフランジと接触する部分に、互いに交差せず平行に引き揃えられた複数の繊維材を含む補強層が設けられており、前記ビードコアの外側端の高さから、前記リムフランジの外周側湾曲面に沿った前記リムプロテクタの内周側湾曲面の外側端に至る特定環状領域で、前記繊維材の向きがタイヤ径方向外側に向かってタイヤ回転方向に傾斜していて、
    前記サイドウォール部の外面を構成するサイドウォールゴムのタイヤ径方向内側に、前記リムプロテクタの主体をなすリムストリップゴムが配され、
    前記補強層が、前記リムストリップゴムの外面を覆うとともに、前記サイドウォールゴムと前記リムストリップゴムとの間で、前記リムストリップゴムの外側端に到達せずに終端していることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. タイヤ周方向に対する前記繊維材の傾斜角度が、前記特定環状領域において10〜30°である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記補強層が、ビードヒールから前記リムプロテクタの内周側湾曲面の外側端に至る範囲を含んだ領域に設けられている請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ周方向に対する前記繊維材の傾斜角度が、前記補強層のタイヤ径方向外側の終端部において60〜90°である請求項1〜3いずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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