本発明の吐出用組成物は、原液と液化ガスとからなる吐出用組成物であって、原液と液化ガスとが均一相を形成し、液化ガスを吐出用組成物中に1〜20質量%含有し、かつ吐出用組成物の35℃における蒸気圧が0.18MPa以下であることを特徴とする。
前記原液は、水および/または1価アルコールを溶媒として含有することが好ましい。ここで、原液は、該溶媒のみとすることもできるが、吐出用組成物の用途や目的に応じて、有効成分、界面活性剤、水溶性溶剤、水溶性高分子、油成分、粉体などを配合することにより調製することもできる。
前記水は、環境への負荷を少なくする、火気への安全性を高くする、水溶性の有効成分を溶解する、冷却効果を持続させる、などの目的で用いられる。水としては、例えば、精製水、イオン交換水、海洋深層水などが挙げられる。なお、25℃における水の表面張力は72.0dyn/cmである。
前記水の含有量は、液化ガスとしてジメチルエーテルを用いる場合は、原液中50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましい。水の含有量が50質量%よりも少ない場合は水を含有する効果が得られにくい傾向がある。また、原液中の水の含有量は100質量%であってもよいが、有効成分などによる効果を得るために99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましい。
また、前記水の含有量は、液化ガスとして炭素数が4〜5の炭化水素を用いる場合は、原液中30質量%以下であることが好ましく、27質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が30質量%よりも多い場合は、原液と炭素数が4〜5の炭化水素の溶解性が低下して分離しやすく、吐出用組成物の35℃における蒸気圧が0.18MPaを超えやすくなる、吐出時に液化ガスが気化しやすく、冷却効果が持続しにくくなる傾向がある。また、水を5質量%以上含有させることで冷却効果が持続しやすくなる傾向がある。
前記1価アルコールは水に溶解しにくい有効成分の溶媒や、液化ガスの溶解性、揮発性、さらに冷却効果を調整する、などの目的で用いられる。前記1価アルコールとしては、例えば、エタノール(表面張力:22.1dyn/cm;at25℃)、イソプロパノール(表面張力:20.8dyn/cm;at25℃)などの炭素数が2〜3個の1価アルコールが挙げられる。
前記1価アルコールの含有量は、液化ガスとしてジメチルエーテルを含有する場合は、原液中50質量%以下、つまり0〜50質量%であることが好ましく、5〜45質量%であることがより好ましい。1価アルコールの含有量が50質量%よりも多い場合は原液の表面張力が小さくなり、皮膚に吐出すると拡散して乾燥が早くなり、冷却効果を持続することができない傾向がある。また、1価アルコールの含有量を5質量%以上とすることで水に溶解しにくい有効成分を配合しやすくなる。
また、前記1価アルコールの含有量は、液化ガスとして炭素数が4〜5の炭化水素を含有する場合は、原液中70質量%以上であることが好ましく、73質量%以上であることがより好ましい。1価アルコールの含有量が70質量%よりも少ない場合は、原液と炭素数が4〜5の炭化水素の溶解性が低下して分離しやすく、吐出用組成物が均一相を形成し難い傾向がある。
前記溶媒中の水と1価アルコールとの配合比(質量比)は、液化ガスとしてジメチルエーテルを用いる場合は、水/1価アルコール=100/0〜50/50であることが好ましく、98/2〜55/45であることがより好ましい。水と1価アルコールとの配合比(質量比)が、水/1価アルコール=100/0〜50/50を外れる場合は、ジメチルエーテルの冷却効果が得られ難くなる傾向がある。また、1価アルコールの含有量が多くなるため、火気に対する安全性が低下する傾向がある。
また、前記溶媒中の水と1価アルコールとの配合比(質量比)は、液化ガスとして炭素数が4〜5の炭化水素を用いる場合は、水/1価アルコール=30/70〜0/100であることが好ましく、27/73〜5/95であることがより好ましい。水と1価アルコールとの配合比(質量比)が、水/1価アルコール=30/70〜0/100を外れる場合は炭素数4〜5の炭化水素と溶媒との溶解性が低下するため、吐出用組成物が均一相を形成し難く、吐出用組成物を吐出しても炭素数4〜5の炭化水素が直ぐに気化してしまい、冷却効果が持続し難くなる傾向がある。
前記有効成分は、主に吐出面に付着して効果を発揮するものであり、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミド、ハーブエキスなどの害虫忌避剤;クロタミトン、d−カンフルなどの鎮痒剤;サリチル酸メチル、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤;オキシコナゾール、クロトリマゾール、スルコナゾール、ビフォナゾール、ミコナゾール、イソコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、ブテナフィン、およびこれらの塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩などの抗真菌剤;アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤;ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジンなどの殺菌・消毒剤;l−メントール、カンフルなどの清涼剤;コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、レシチン、尿素などの保湿剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジルなどの消臭剤;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾンなどの紫外線吸収剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤;シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;アルブチン、コウジ酸などの美白剤;天然香料、合成香料などの各種香料などが挙げられ、これらは単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。
前記有効成分を含有する場合の含有量は、原液中0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましい。有効成分の含有量が0.05質量%よりも少ない場合は、有効成分の効果が充分に発揮できない傾向がある。有効成分の含有量が10質量%よりも多い場合は、有効成分濃度が高くなりすぎ、有効成分によっては人体などへ悪影響を及ぼす場合がある。
前記界面活性剤は、原液の表面張力を調整して吐出物の広がりや冷却効果を調整する、使用感を向上させるなどの目的で用いられる。界面活性剤としては、例えば、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;モノステアリン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;POEラノリンアルコールなどのポリオキシエチレンラノリンアルコール;POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;などの非イオン系界面活性剤が挙げられる。また、脂肪酸石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、などのアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコーン系界面活性剤や、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、水添酵素大豆レシチンなどの天然系界面活性剤や、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウムおよびN−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、N−ステアロイル−L−グルタミン酸などのN−アシルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN−アシルグリシン塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミンなどのN−アシルアラニン塩、などのアミノ酸系界面活性剤、およびこれらの混合物などが挙げられる。
前記界面活性剤を含有する場合の含有量は、水性原液中0.001〜10質量%、さらには0.01〜8質量%であることが好ましい。界面活性剤の含有量が0.001質量%よりも少ない場合は、表面張力を調整する効果が得られにくい傾向がある。界面活性剤の含有量が10質量%よりも多い場合は付着面上で残りやすく使用感が悪くなる傾向がある。
前記水溶性溶剤は、水に溶解し難い成分を溶解する、原液の表面張力を調整する、吐出物の冷却力や乾燥性を調整するなどの目的で用いられる。前記水溶性溶剤としては、例えば、エチレングリコール(表面張力46.5dyn/cm;at25℃)、プロピレングリコール(表面張力36.5dyn/cm;at25℃)、1,3−ブチレングリコール(表面張力37.8dyn/cm;at25℃)、ジエチレングリコール(表面張力48.5dyn/cm;at25℃)、ジプロピレングリコール(表面張力32.0dyn/cm;at25℃)、グリセリン(表面張力63.1dyn/cm;at25℃)などの2〜3価のポリオールが挙げられる。
前記水溶性溶剤を含有する場合の含有量は、原液中1〜20質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。水溶性溶剤の含有量が1質量%よりも少ない場合は、水に溶解し難い成分を溶解する効果、表面張力を調整する効果が得られにくい傾向がある。水溶性溶剤の含有量が20質量%よりも多い場合はべたつきやすく使用感が悪くなる傾向がある。
前記水溶性高分子は、原液の粘度を高くして液化ガスの気化を抑制し冷却効果を持続させる、吐出面での液垂れを防止するなどの目的で用いられる。前記水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース類、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、グァーガムなどのガム類、デキストリン、ペクチン、デンプン、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸セテス−20)コポリマーなどのアクリル酸エステルなどが挙げられる。
前記水溶性高分子を含有する場合の含有量は、原液中0.01〜3質量%であることが好ましく、0.03〜2質量%であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が0.01質量%よりも少ない場合は、水溶性高分子を含有する効果が得られにくい傾向がある。水溶性高分子の含有量が3質量%よりも多い場合は、原液の粘度が高くなりすぎ、使用感が悪くなる傾向がある。
前記油成分は皮膚に潤いや光沢を与えるなど、使用感を向上させるなどの目的で用いられる。前記油成分としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、セトステアリルアルコール、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル油、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール、アボガド油、マカダミアナッツ油、シア脂、オリーブ油、ツバキ油などの油脂、ミツロウ、ラノリンロウなどのロウ類などが挙げられる。
前記油分を含有する場合の含有量は、原液中0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜8質量%であることがより好ましい。油分の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は。油分を含有する効果が得られにくくなる傾向がある。油分の含有量が10質量%よりも多い場合は、乾燥性が悪くなる、吐出物が落下した場合に床面が滑りやすくなるなど、使用感が低下する傾向がある。
前記粉体は、粉体自体が有効成分として作用したり、他の有効成分を担持する担体、付着剤などとして用いられる。粉体としては、例えば、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、窒化ホウ素などが挙げられ、これらは単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。
前記粉体を含有する場合の含有量は、原液中0.01〜5質量%であることが好ましく、0.03〜3質量%であることがより好ましい。粉体の含有量が0.01質量%よりも少ない場合は、粉体を含有する効果が得られにくい傾向がある。粉体の含有量が5質量%よりも多い場合は吐出孔などで詰まりやすくなる傾向があり、また静置した状態で長期間保存した場合、粉体が容器底部で固まりやすくなり(ケーキング)、均一な組成物を吐出し難くなる傾向がある。
前記原液の含有量は、液化ガスとしてジメチルエーテルを用いる場合は、吐出用組成物中85〜99質量%であることが好ましく、87〜97質量%であることがより好ましく、90〜95質量%であることがさらに好ましい。原液の含有量が85質量%未満である場合は、液化ガスの含有量が多くなり、吐出用組成物の蒸気圧が高くなりすぎる傾向がある。原液の含有量が99質量%より多い場合は、液化ガスの含有量が少なくなり、液化ガスの含有による冷却効果が得られなくなる傾向がある。
また、前記原液の含有量は、液化ガスとして炭素数が4〜5の炭化水素を用いる場合は、吐出用組成物中80〜99質量%であることが好ましく、82〜97質量%であることがより好ましく、85〜95質量%であることがさらに好ましい。原液の含有量が80質量%未満である場合は、液化ガスの含有量が多くなり、吐出用組成物の蒸気圧が高くなりすぎる傾向がある。原液の含有量が99質量%より多い場合は、液化ガスの含有量が少なくなり、液化ガスの含有による冷却効果が得られなくなる傾向がある。特に、炭化水素として炭素数が4の炭化水素のみを含有する場合は、吐出用組成物中90〜99質量%であることが好ましい。
さらに、液化ガスとしてジメチルエーテルを用いる場合は、前記原液の25℃における表面張力は、50〜85dyn/cmであることが好ましく、55〜80dyn/cmであることがより好ましく、60〜75dyn/cmであることがさらに好ましい。原液の25℃における表面張力が50dyn/cm未満である場合は、吐出物が吐出面において一定箇所に止まらずに広範囲に広がり、吐出物の冷却効果が充分ではなくなる傾向がある。原液の25℃における表面張力が85dyn/cmをこえる場合は、該原液の調製が困難となる傾向がある。
前記液化ガスは、吐出物の一部として吐出され、吐出面において気化し、この気化熱により吐出物中の原液および吐出面を冷却する目的で用いられる。液化ガスとしては、ジメチルエーテルや、ブタン、ペンタンなどの炭素数4〜5の炭化水素およびこれらの混合物などが挙げられる。なかでも、水を多く含有できる、冷却効果が高いという点から、ジメチルエーテルを含有することが好ましい。また、吐出用組成物の35℃における蒸気圧を0.18MPa以下に調整しやすいという点からは、炭素数4〜5の炭化水素を含有することが好ましい。
前記液化ガスの含有量は、液化ガスとしてジメチルエーテルを用いる場合は、吐出用組成物中1〜15質量%であり、3〜13質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。液化ガスの含有量が1質量%未満である場合は、液化ガスによる冷却効果が得られなくなる傾向がある。液化ガスの含有量が15質量%より多い場合は、吐出用組成物の蒸気圧が高くなりすぎ、冷却効果が持続し難い傾向がある。
また、前記液化ガスの含有量は、液化ガスとして炭素数が4〜5の炭化水素を用いる場合は、吐出用組成物中1〜20質量%であり、3〜18質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。液化ガスの含有量が1質量%未満である場合は、液化ガスの含有による冷却効果が得られなくなる傾向がある。液化ガスの含有量が20質量%より多い場合は、吐出用組成物の蒸気圧が高くなりすぎ、吐出面ですぐに吐出物が乾燥してしまい、冷却感が持続し難い傾向がある。特に、炭化水素として炭素数が4の炭化水素のみを含有する場合は、吐出用組成物中1〜10質量%であることが好ましい。
前記吐出用組成物は原液と液化ガスとを後述する吐出容器内に充填し混合することにより調製することができる。また、吐出用組成物は原液と液化ガスとを耐圧性を有するタンク内に充填し混合することにより調製してもよい。
前記原液と液化ガスとは吐出容器内で均一相を形成する。原液と液化ガスとが均一相を形成することにより、使用前に原液と液化ガスとを混合または乳化させるための振とうが不要であり、均一な組成で内容物を安定的に吐出することができる。また、原液と液化ガスとが均一相を形成した状態で吐出することにより、吐出直後、吐出面で液化ガスの少なくとも一部が気化することで吐出物が冷却される。さらに、吐出物が冷却されることにより、吐出物中の液化ガスの気化を抑制し、液化ガスがゆっくりと気化するため、継続して吐出面を冷却することができる。
本発明の吐出用組成物の35℃における蒸気圧は0.18MPa以下であり、0.17MPa以下であることがより好ましい。吐出用組成物の35℃における蒸気圧を0.18MPa以下とすることにより、大気圧との圧力差が小さいので液化ガスの気化が抑制される、吐出に要するエネルギーを最小限に抑えることができる、一方、吐出用組成物の35℃における蒸気圧の下限としては特に限定されないが、吐出用組成物を安定に吐出できるように0.01MPaより大きいことが好ましい。なお、本発明における吐出用組成物の蒸気圧はゲージ圧(組成物の絶対圧力と大気圧との差)により示したものである。
本発明の吐出用組成物は、吐出の勢いが強くなり、液化ガスのエネルギーが消費されやすく、冷却効果などが持続しないため、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素、酸素、圧縮空気などの圧縮ガスで加圧しないことが好ましい。圧縮ガスで加圧した場合は、吐出用組成物の35℃における蒸気圧を0.18MPa以下に調整することが難しくなる。また、吐出する勢いが強くなる、吐出性状が微細な霧状になる、吐出面で飛び散る傾向がある。この場合、液化ガスが吐出面に付着する前に空間中で気化しやすくなる、また吐出面に付着後も直ぐに乾燥しやすくなり、吐出面の冷却効果が低下する傾向がある。
ここで、本発明の吐出用組成物の35℃における蒸気圧は0.18MPa以下であることから、吐出用組成物を気密に充填でき、弁を備えている吐出容器である限り特に限定はなく、公知のものを用いることができる。なお、本発明における吐出容器とは、容器本体と吐出部材とからなるものをいう。
前記容器本体の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂、アルミ、ブリキなどの金属、ガラスなどが挙げられる。なかでも、内容物を視認できる点、取り扱いが容易である点から、合成樹脂を用いることが好ましい。前記合成樹脂を用いる場合、液化ガスの透過を防止するために、容器本体の内面や中間層にナイロンやエバールのようなガスバリヤ性の高い樹脂層を設けて、積層構造とすることが好ましい。また、容器本体の内面または外面に炭素やシリカ、アルミナなどを蒸着させて樹脂膜を設けても良い。さらに、容器本体に可撓性を持たせることで、吐出する際に容器本体を押圧して内容物を吐出できるため、液化ガスのエネルギーを吐出に消費することなく、効率良く冷却エネルギー(気化熱)として使用できる。
前記容器本体の容積としては10〜1000mlであることが好ましく、20〜500mlであることがより好ましく、30〜400mlであることがさらに好ましい。容器本体の容積が10ml未満の場合は、充填できる量が少なく不経済となる傾向がある。容器本体の容積が1000mlをこえる場合は、製品が大きく使い難くなる傾向がある。
本発明の吐出製品は、原液を前記容器本体に充填し、吐出部材を装着した後に、液化ガスを充填することで製造することができる。また、耐圧性を有するタンク内に原液と液化ガスを充填し混合して得た吐出用組成物を冷却し、前記容器本体に充填した後で吐出部材を装着することにより製造してもよい。
前記吐出製品の吐出形態としては、本発明の効果を損なうものでない限り特に限定はなく、吐出用組成物を連続的に吐出する連続型吐出や、液滴状で吐出する液滴型吐出が挙げられ、吐出用組成物の特性や使用目的に応じて適宜選択することができる。ここで、吐出用組成物を連続的に吐出するとは、平均粒子径が50μm以下の微細な霧状および液滴状で吐出する形態以外の吐出形態を意味し、例えば、液滴と液滴とが連続的に繋がった液体の塊として吐出する形態、液滴が薄くつながった液膜として吐出する形態などが挙げられる。
前記連続的に吐出可能な吐出製品としては、例えば図1に示すようなロールオンタイプの吐出製品、図2に示すような塗布タイプの吐出製品、図5に示すような弾性弁付き吐出製品、図7〜図9に示すような液滴が連続的に繋がった連続流で吐出される連続型吐出製品などが挙げられる。また、図3、図4、図5bおよび図6に示すような吐出製品は、吐出操作を変えることにより連続型吐出または液滴型吐出にすることができる。
図1に示すロールオンタイプの吐出製品について説明する。該ロールオンタイプの吐出製品は、図1aに示すように、上端が開口している有底筒状の容器本体11と、容器本体に充填される吐出用組成物A1と、その容器本体11の開口を閉じ、吐出用組成物A1を吐出する吐出部材12とからなる。
容器本体11は円筒状の胴部111と、その胴部の下端を閉じる略平面状の底部112と、胴部の上端から縮径するように延びる肩部113と、その肩部113から上方に伸びる筒状の首部114と、該首部114の上端に設けられる口部115とからなる一体成形体である。また、首部114の外周面には、吐出部材と螺着するためのネジ部116が形成されている。なお、容器本体としては、アルミニウムなどの金属製容器や、ポリエチレンテレフテレートなどの樹脂製容器などが挙げられる。また、容器本体の形状としては図1cに示す容器本体13のような略球状とすることもできる。
吐出部材12は、容器本体11の口部115にシール材123aを介して保持されるハウジング121と、ハウジング121を覆い容器本体11にシール材123bを介して螺着される吐出部材本体124と、ハウジング121と吐出部材本体124との間に設けられるボール弁を備えている。
ハウジング121は上端外周にフランジ部121aを備えた有底筒状であり、底部121bに吐出用組成物A1をハウジング内に導入する導入孔122を備えている。
シール材123a、123bは、容器本体内の気密性を向上させるために設置する。シール材123aおよびシール材123bとしては、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、エラストマーなどが挙げられるが、気密性を向上させることができれば特に限定されるものではない。
吐出部材本体124は、上下方向に開放した環状凸型であり、筒状の下部124aと、下部124aの上端に設けられる段部124bと、段部124bから上方に伸び下部124aより小径で筒状の上部124cと、上部の上端開口内側に設けられる縮径部124dとを備え、縮径部124dの上端開口に吐出孔125を備えている。また、下部124aの内側に容器本体のネジ部116と螺着する本体ネジ部を備えている。
前記ボール弁は吐出容器の弁として作用し、ハウジング底部121bに保持された弾性バネ126と、弾性バネ126の上端に保持され、弾性バネ126により上方に付勢されたボール127とから構成される。ボール127は弾性バネ126の上方への付勢力を受け、縮径部124dに押し付けられて吐出孔125を塞ぐことで容器本体11内を密封し、液化ガスの気化や漏洩を防止する。
この吐出製品を使用する場合は、図1bに示すように、腕、脚、足裏、肩、腰などの吐出面Bにボール127を押圧することでボール127を支持する弾性バネ126がハウジング121方向に収縮され、吐出孔125とボール127との間に生じた隙間から吐出用組成物A1が吐出され、吐出面Bで液膜A11を形成する。吐出用組成物A1は液化ガスを特定の割合で含有しており、その蒸気圧が0.18MPa以下であるため、液化ガスが吐出時に消費するエネルギーが少なく、液膜状の吐出物は液化ガスの気化熱により効率よく冷却され、吐出面に冷却効果を長く付与することができる。なお、前記ボールを回転可能に設けることで、該ボールを転がしながら塗布可能な態様とすることもできる。よって冷感に加えマッサージ効果も得ることができる。
吐出面Bへの押圧をやめると、ボール127は弾性バネ126の上方への付勢力を受けて縮径部124dに押し付けられ、吐出孔125を塞ぐことで容器本体内が再度密封される。
なお、容器本体として、図1cに示す容器本体13のように胴部を略球状にしてもよく、この場合は手のひらで球状の胴部を覆うようにして把持し、ボールを吐出面に押し付けるようにして使用することができる。
図2に示す塗布タイプの吐出製品について説明する。該塗布タイプの吐出製品は、図2aに示すように、上端が開口している有底筒状の容器本体21と、容器本体21に充填される吐出用組成物A2と、その容器本体21の開口を閉じ、吐出用組成物A2を吐出する吐出部材22とからなる。容器本体21は図1に示す容器本体と同様であり、説明は省略する。
吐出部材22は、容器本体21の口部215に保持されるハウジング221と、ハウジング221にシール材222を介して配設される多孔質体223と、シール材222の中央に設けられた中心孔に挿入されたステム225と、ハウジング221内に設けられ、ステム225を上方に付勢する弾性バネ226と、容器本体21と螺着することでハウジング221、シール材222および多孔質体223を固定するネジキャップ224とを備えている。この形態では、ハウジング、シール材、ステムおよび弾性バネが吐出容器の弁として作用する。
ハウジング221は上端外周にフランジ部221aを備えた有底筒状であり、底部221bに吐出用組成物A2をハウジング内に導入するハウジング導入孔221cを備えている。
シール材222は、容器本体内の気密性を向上させるために設置する。シール材222としては、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、エラストマーなどの弾性材料を用い、中心にステムを挿入するための中心孔を有する円板状に成型したものが挙げられるが、気密性を向上させることができれば特に限定されるものではない。
ステム225は、図2aに示すように、断面が略T字形状を呈しており、上端が開口した円筒状のステム本体と、ステム本体の下端に設けられる円板状のステムフランジ部とを備えている。ステム本体の基部にはステム孔225bが設けられており、ステムが弾性バネにより上方に付勢している状態では、ステム孔225bはシール材222の中心孔の内径面によって密封されている。また、ステム本体の上端部側面には吐出溝225aが設けられている。
弾性バネ226は、ハウジング底部221bに保持されており、ステム225のフランジ部を上方に付勢するように配設されている。
多孔質体223は、図2aに示すように、シール材の上面に設けられ、ネジキャップにより固定される環状のフランジ部と、シール材222およびステム225を覆う半球状の押圧部を有し、押圧部は吐出面に押圧されることで吐出面に沿って変形する柔軟性を有する。多孔質体223としては、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂を原料とするものが挙げられるが、吐出面に沿って変形する柔軟性を有し、吐出用組成物が浸透できるものであれば特に限定されるものではない。
この吐出製品を使用する場合は、図2bに示すように、腕、脚、足裏、肩、腰などの吐出面Bに多孔質体223を押圧し、ステム225を容器本体内部側に押し下げるまたは傾斜させることで、ステム225とシール材222の間に隙間が生じ、ステム孔225bを通って吐出用組成物A2が吐出溝225aより吐出され、多孔質体223の内側から浸透し、外側へ浸出することで吐出面Bに液膜A21を形成する。吐出用組成物A2は液化ガスを少量しか含有していなくとも、多孔質体223に吐出用組成物が浸漬することにより、液化ガスの気化を抑制することができるため、吐出面Bでの冷却効果を持続させることができる。そして、吐出面Bへの押圧をやめると、ステム225は弾性バネ226の上方への付勢力によりステムが元の位置に戻り、ステム孔225bがシール材222によって塞がれ、吐出溝225aからの吐出が停止する。
なお、この吐出製品においても、容器本体として、図1cに示す容器本体13のように胴部を略球状にすることができる。
図3に示すスクイズボトルタイプの吐出製品について説明する。該スクイズボトルタイプの吐出製品は、図3aに示すように、上端が開口し胴部が可撓性を有する袋状の容器本体31と、容器本体に充填される吐出用組成物A3と、容器本体31の開口を閉じ、吐出用組成物A3を吐出する吐出部材32とからなる。
容器本体31は、筒状の胴部311と、その胴部の下端を閉じる略平面状の底部312と、その胴部の上端から縮径する肩部313と、その肩部313の上端から上方に伸びる筒状の首部314と、首部314の上端に設けられる口部315とを備える。首部314の外周面には、吐出部材32と螺着するためのネジ部316が形成されている。なお、袋状の容器本体31としては、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン/ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/エバール/ポリエチレンなどの積層パリソンを用いてダイレクトブロー成型した樹脂製容器が挙げられるが、容器本体31の胴部を握ることにより圧縮される程度の可撓性を有するものであれば特に限定されない。
吐出部材32は、容器本体31の口部315にシール材323aを介して保持されるハウジング321と、ハウジング321を覆い容器本体31にシール材323bを介して螺着される吐出部材本体324と、ハウジング321と吐出部材本体324との間に設けられるボール弁とを備えている。
ハウジング321は、上端外周にフランジ部321aを備えた有底筒状であり、底部321bに吐出用組成物をハウジング内に導入する導入孔322を備えている。
前記シール材323a、323bは、容器本体31内の気密性を向上させるために設置する。シール材323aおよびシール材323bとしては、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、エラストマーなどが挙げられるが、気密性を向上させることができれば特に限定されるものではない。
吐出部材本体324は、上下方向に開放した環状凸型の部材であり、筒状の下部324aと、下部324aの上端に設けられる下段部324bと、下段部324bから上方に伸び下部324aより小径で筒状の中部324cと、中部324cの上端に設けられる上段部324dと、さらに、上段部324dからさらに上方に突出し、中部324cの径よりもさらに小径の筒状の上部324eとを備え、上部の上端開口が吐出孔325を構成する。また、下部324aの内側に容器本体のネジ部316と螺着する本体ネジ部を備えている。
前記ボール弁は吐出容器の弁として作用し、ハウジングの底部に保持されたボール327と、ボールの上部と吐出部材本体324の上段部324dの内側との間に介在する弾性バネ326とからなり、ボール327が弾性バネ326の下方への付勢力を受けて、ハウジング底部321bの導入孔322に押し付けられて導入孔322を塞ぐことで容器本体31内を密封する。
この吐出製品を使用する場合は、図3bに示すように、容器本体31をXで示すように圧縮することで吐出用組成物A3がハウジングの導入孔に押し出され、ボール327を吐出孔側に移動させて、導入孔322とボール327との間に生じた隙間から吐出用組成物A3が吐出部材32内に導入され、吐出孔325から吐出される。吐出用組成物A3は液化ガス量が少なく、また吐出部材本体の上部324の筒状の太い内部通路を通って吐出されるため、吐出物は平均粒子径が0.1mm以上の多数の液滴、あるいは液滴状にならずに連続した連続流となる。また、吐出物は飛散することなく、液化ガスの気化熱により効率よく冷却され、吐出面に冷却効果を長く付与することができる。
Xで示す圧縮をやめると、ボール327は弾性バネ326の付勢力を受けてハウジング底部321bに押し付けられ、導入孔322を塞ぐことで容器本体内が再度密封される。
図4に示すパウチタイプの吐出製品について説明する。該吐出製品は、図4aに示すように、パウチ容器本体41と、パウチ容器本体に充填される吐出用組成物と、パウチ容器本体に取り付けられ、吐出用組成物を吐出する吐出部材42とからなる。吐出部材42の拡大断面図を図4bに示す。
パウチ容器本体41は、少なくとも2枚のシートを貼り合わせて構成される本体部411と、2枚のシートの一辺に挟着される連結部材412を備えている。本体部411は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、エバールなどからなる樹脂シート、アルミニウムなどからなる金属箔シート、前記樹脂シートにシリカ、アルミナ、炭素などを蒸着した蒸着樹脂シート、およびこれらシートを積層した積層シートを用い、前記シートを所定の形状にし、少なくとも2枚のシートを重ね合わせてその周縁部同士を熱溶着や超音波溶着などによって貼り合わせて製造される。また、本体部411は、その胴部を握ることにより圧縮される程度の可撓性を有するものであれば特に限定されないが、特に液化ガスの透過を防止するために、ナイロン、エバールなどのガスバリア性を有する樹脂シート、金属箔シート、蒸着樹脂シートに耐薬品性に優れたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂シートを積層した積層シートを用いることが好ましい。
連結部材412は上下に貫通する導入孔412bを備えた筒状体であり、上端の外周に後述するネジキャップを螺着するための外ネジと、外ネジの下方に後述するカバー部材423を着脱するときに指で保持するフランジ部と、フランジ部の下方に、パウチ容器本体の本体部411を構成する2枚のシートに挟着される接着部を備えている。接着部の内部には中心に導入孔412bを有する中間壁412aを備えており、接着部より下部は本体部内に挿入され、内容物が少なくなり本体部が変形したときでも内容物を外部に吐出するための通路として作用する。
吐出部材42は、連結部材412に挿入され、導入孔412bを閉じるボール弁と、ネジ部に螺着されるネジキャップ422と、ネジキャップ422の上部に設けられた吐出孔426を保護するために着脱可能に設けられたカバー部材423とを備えている。
シール材421は、パウチ容器本体41内の気密性を向上させるために設置する。シール材421としては、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、エラストマーなどが挙げられるが、気密性を向上させることができれば特に限定されるものではない。
ネジキャップ422は、環状凸型の部材であり、内壁に連結部材412の外ネジと螺着する内ネジを備えた筒状の下筒部422aと、下筒部422aの上端に設けられる段部422bと、段部422bから上方に伸び下筒部422aより小径の上筒部422cとを備え、上筒部422cの天面に複数の吐出孔426を備えている。該吐出孔426を複数個設けることにより、吐出用組成物をシャワー状で吐出することができる。
前記ボール弁は吐出容器の弁として作用し、連結部材412の中間壁412aに保持されたボール424と、ボール424の上部とネジキャップ422の段部422bの内側との間に介在する弾性バネ425とからなり、ボール424が弾性バネ425から下方への付勢力を受けて、中間壁412aの導入孔412bに押し付けられて導入孔412bを塞ぐことでパウチ容器本体41内を密封する。
この吐出製品を使用する場合は、該吐出製品の吐出部材42を下方に向け、パウチ容器本体41を圧縮することで吐出用組成物が連結部材412の導入孔412bに押し出され、ボール424を吐出孔側に移動させて、導入孔412bとボール424との間に生じた隙間から吐出用組成物が吐出部材内に導入され、複数個設けられた吐出孔426から吐出される。吐出用組成物には液化ガスが含まれており、軽く握るだけでボール弁が開くため、従来のパウチタイプの吐出製品よりも操作しやすい。吐出用組成物は液化ガスが少なく、連結部材内の太い内部通路を通って、複数個の吐出孔から吐出されるため、吐出物は平均粒子径が0.1mm以上の多数の液滴あるいは連続した連続流が、各吐出孔からシャワー状に吐出される。また、吐出物は飛散することなく、液化ガスの気化熱により効率よく冷却され、吐出面に冷却効果を長く付与することができる。
容器本体の圧縮をやめると、ボール424は弾性バネ425の付勢力を受けて連結部材の中間壁412aに押し付けられ、導入孔412bを塞ぐことでパウチ容器本体内が再度密封される。さらに液化ガスの蒸気圧により、圧縮されたパウチ容器本体を吐出前の状態に戻す力、つまりパウチ容器本体を内側から膨らます力がかかるため、吐出後に吐出用組成物が分断されていても底部に集まり易く、次回吐出しやすくなる。
図5aに示す弾性弁タイプの吐出製品について説明する。該弾性弁タイプの吐出製品は、図5aに示すように、上端が開口している有底筒状の容器本体51と、容器本体に充填される吐出用組成物A5と、その容器本体51の開口に装着される吐出部材52と、吐出部材52を覆うキャップ53とからなる。
容器本体51は円筒状の胴部511と、その胴部511の下端を閉じる底部512と、胴部511の上端から縮径するように延びる肩部513と、その肩部513から上方に伸びる筒状の首部514と、首部514の上端に設けられる口部515とからなる一体成形体である。また、首部514の外周面には、キャップ53と螺着するためのネジ部516が形成されている。底部512は安定して自立するための脚部を等角度で5箇所に設けている。なお、容器本体51としては、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂を用いてインジェクションブロー成型した樹脂製容器などが挙げられる。
吐出部材52は、合成ゴムやシリコーンゴムなどの弾性材により成型され、容器本体の口部515に保持されるフランジ部521と、容器本体の口部515内面と嵌合する環状の脚部522と、中央に円錐台状のノズル部523を備えており、ノズル部の先端に切れ目523aが入っている。切れ目523aは、吐出部材の弾性により閉じられているが、ノズル部523を指で摘む、吐出面に押し当てるなど、力を加えることで開き、吐出孔として作用する。この形態では、ノズル部の先端が吐出容器の弁として作用する。
キャップ53は容器本体のネジ部516に螺着するネジ部材532と、ネジ部材532に着脱自在に装着されるカバー部材531とからなり、ネジ部材532で吐出部材52を固定すると共に、カバー部材531で切れ目523a(吐出孔)を保護する。
この吐出製品を使用する場合は、カバー部材531を外し、ノズル部523を指で摘む、吐出面に押し当てるなどにより、切れ目523aが開放されて吐出用組成物A5が吐出される。吐出物は吐出孔から閉じる方向に力を受けながら押し出されるため、液膜状となる。この実施の形態では薄く広範囲に吐出できるため、吐出物が気化しやすく、冷却効果が早く得られる。また、容器本体に可撓性を持たせ、胴部を圧縮して押し出される吐出用組成物により切れ目を開放することもできる。
図5bに示す弾性弁タイプの吐出製品について説明する。該弾性弁タイプの吐出製品は、図5bに示すように、上端が開口している有底筒状の容器本体51と、容器本体に充填される吐出用組成物A5と、その容器本体51の開口に装着される吐出部材54と、吐出部材54を覆うキャップ55とからなる。容器本体51は図5aに示す容器本体と同様であり、説明は省略する。
吐出部材54は、合成ゴムやシリコーンゴムなどの弾性材により成型され、中心に切れ目541aが入った漏斗型の弾性弁541と、弾性弁541の切れ目541aに挿入される弁棒542aを備えたノズル542を備えている。また、弾性弁541の外周端部には、容器本体の口部515に保持されるフランジ部を備えている。切れ目541aは、非使用時には図5bに示すように、弾性弁541の弾性力により閉塞しているが、使用時には図5cに示すように、ノズル542の弁棒542aを挿入することで開放されると共に、弁棒の外周面を圧接して液漏れを防ぐ。
キャップ55は容器本体のネジ部516に螺着するネジ部材552と、ネジ部材552に着脱自在に装着されるカバー部材551を備え、ネジ部材552で弾性弁541を固定すると共に、カバー部材551で吐出部材54を保護する。さらに、カバー部材551の天面部の内側には、ノズル542を着脱自在に保持できる突起551aなどの保持部材を備えており、非使用時には図5bに示すように、ノズル542を保持した状態でネジ部材552に装着することができる。
この吐出製品を使用する場合は、カバー部材551を外し、突起551aに保持されているノズル542を外し、容器本体を下方に向ける。そして、ノズル542の弁棒542aを弾性弁541の切れ目541aに挿入することで、切れ目541aが開放されノズル導入孔542bを通って吐出組成物A5が吐出孔542cから吐出される。この実施の形態では、可撓性の容器本体を用いることで、容器本体の胴部の圧縮により吐出用組成物の吐出量を調整することができ、吐出形態を必要に応じて連続型吐出または液滴型吐出等に調整することができる。なお、切れ目541aに挿入されたノズル542には、弾性弁541の弾性力により押し出される力(図5cにおいては下方向の力)が働くため、吐出中はノズル542が押し出されて抜けることを防ぐために指等で保持する力が必要となる。
ノズル542を保持する力を除くことで、ノズル542が弾性弁541の弾性力等により押し出されて抜ける、または、ノズルを引き抜くことで切れ目が閉じられ吐出が停止する。
図6に示す液滴型の吐出製品について説明する。該液滴型の吐出製品は、図6aに示すように、上端が開口している有底筒状の容器本体61と、容器本体に充填される吐出用組成物A6と、その容器本体61の開口に取り付けられたマウンティングキャップ62と、マウンティングキャップ62の開口を閉じ、吐出用組成物A6を吐出する吐出部材63とからなる。
容器本体61は円筒状の胴部611と、その胴部の下端を閉じる底部(図示せず)と、胴部611の上端から縮径するように延びる肩部612と、肩部の上端に設けられるビード部とからなる一体成形体である。この容器本体61は、金属スラグをインパクト成型や絞りしごき加工などにより有底筒状にし、その上部を絞って肩部を成型し、ビード加工することにより成型される。前記ビード部にマウンティングキャップ62が固定される。なお、容器本体61としては、アルミニウムなどを用いた金属製容器が挙げられる。
マウンティングキャップ62は有底筒状の本体と、本体の上部外周に設けられる逆U字状の被せ部と、本体の底部621の中央に吐出部材を装着する開口部を備えている。マウンティングキャップはガスケットを介して被せ部をビード部に被せ、本体の円筒部を外方に拡張するように変形させることで容器本体61の開口に固定される。
吐出部材63は、外周がマウンティングキャップ62の開口部に固定され、内部に上下に貫通する筒部を有するシール材631と、シール材631の筒部に挿入されるステム632とから構成される。この形態では、シール材とステムが吐出容器の弁として作用する。
ステム632は、図6aに示すように、断面が略T字形状を呈しており、円筒状のステム本体632aと、ステム本体632aの下端に設けられる円板状のステムフランジ部632bとを備えている。ステム本体632aの基部には導入孔633が4箇所に設けられており、ステム本体をシール材の筒部に挿入している状態では、導入孔はシール材631によって密封されている。
この吐出製品を使用する場合は、図6bに示すように、ステム632を、例えばY方向に傾斜させることで、シール材631とステム本体632aおよびステムフランジ部632bとの間に隙間が生じ、この隙間および導入孔633を通って吐出用組成物A6が吐出孔634より吐出される。吐出物A61は液化ガス量が少なく、ステム本体を傾けて環状にできる大きな隙間を通って吐出されるため、吐出物は平均粒子径が0.1mm以上の大きな液滴となって滴下され、または、液滴状にならずに連続した連続流となる。また、吐出物は飛散することなく、液化ガスの気化熱により効率よく冷却され、吐出面に冷却効果を長く付与することができる。
Y方向への傾斜をやめることで、シール材631の弾性力によってステム本体が元の姿勢に戻り、導入孔633がシール材631によって塞がれ、吐出が停止する。
図7に示す吐出製品について説明する。該吐出製品は、図7に示すように、上端が開口している有底筒状の容器本体71と、容器本体71に充填される吐出用組成物A7と、その容器本体71の開口を閉じ、吐出用組成物A7を吐出する吐出部材72とからなる。容器本体71は図3および図5に示す容器本体と同様であり、説明は省略する。
吐出部材72は、容器本体71の口部にガスケット725aを介して保持されるハウジング723と、ハウジング中央の凹部に収容される弁皿726と、ハウジングおよび弁皿の上面を覆うシール材725bと、シール材725bの上面を覆い容器本体に螺着されるネジキャップ722と、キャップ中央の中心孔に挿入されるノズル721とからなる。
ハウジング723は、外周に容器本体の開口に載置されるガスケット725aを保持するガスケット保持部と、中央に弁皿726を収容するための収容凹部723aとを有し、収容凹部723aの下部にはディップチューブを装着する円筒状のチューブ装着部を有し、収容凹部の底部中央には凹部内とディップチューブとを連通するハウジング側連通孔723bが形成されている。収容凹部723aの底部には、弾性材料から構成される弁皿726が収容されている。
弁皿726は、ノズルの弁棒721aを差し込み、弁棒721aの下端が当接する円筒状の受容部726aと、受容部726aの下部に形成され、ノズル721が下方に押圧されたときに弁皿726全体が下方に沈み込むように弾性変形する脚部726bとを備えている。図7の実施態様では、脚部726bはスカート状に形成され、側面に弁皿側連通孔726cが設けられている。また、受容部726aの上端は、非使用時は、脚部の上方への付勢力によりシール材725bの下面側と当接し、容器本体71の内部と外部とが連通しないように封止されている。この形態では、ハウジング、弁皿、ガスケットおよびノズルが弁として作用する。
ガスケット725aおよびシール材725bは、キャップを容器本体に螺着したときに容器本体内の気密性を向上させるために設置する。シール材725aおよびシール材725bとしては、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、エラストマーなどが挙げられるが、気密性を向上させることができれば特に限定されるものではない。
ネジキャップ722は、容器本体71のネジ部と螺合するネジ部722aを有し、天面部722bの中心には、ノズル721の弁棒721aが挿入される弁口722cが形成されている。
ノズル721は、下端に筒状の弁棒721aと、先端に吐出孔721cを有し、内部に吐出用通路721bが形成されたL字型の部材であり、弁棒721aの下端側面にはノズル721が下方に押圧されたときに吐出用組成物A7の通路となる連通孔721dが形成されている。
この吐出製品を使用する場合は、ノズル721の弁棒721aを弁口722cに挿入し、ノズル721の天面を下方に押圧する。弁棒721aにより弁皿726の受容部726aが下方に押圧され、脚部726bが弾性変形して、弁皿726全体が下方に沈み込むように変形する。このとき、受容部726aの上端とシール材725bの下面との間に隙間が形成され、容器本体71の内部が、ディップチューブ724、ハウジング側連通孔723b、弁皿側連通孔726c、受容部726aの上端とシール材725bの下面との間の隙間、弁棒側面に形成された連通孔721dを経由して、外部と連通することで、吐出用組成物A7の有する自己の蒸気圧(35℃において0.18MPa以下)により、ノズル721の吐出孔721cから吐出物が連続的に吐出される。吐出物は受容部726aの上端とシール材725bの下面との間にできる環状の大きな隙間を通って吐出されるため、吐出物は連続した連続流となり、冷却された吐出物を手のひらに受け取って塗布することができる。
ノズル721の下方への押圧をやめると弁皿726の脚部726bの弾性力により、脚部726bが図7に示す状態に戻り、弁皿726全体が上昇して受容部726aの上端がシール材725bの下面と当接し、容器本体71の内部と外部とが連通しないように封止され、吐出が停止する。さらに、ノズル721は弁口722cから離脱することもでき、弁口722cの上面を覆うシールを貼り付けて保管できる。
図8に示す吐出製品について説明する。該吐出製品は、図8に示すように、上端が開口している有底筒状の容器本体81と、容器本体81に充填される吐出用組成物A8と、その容器本体81の開口を閉じ、吐出用組成物を吐出する吐出部材82とからなる。容器本体81は図7に示す容器本体と同様であり、説明は省略する。
吐出部材82は、シール材821を介して容器本体81に固着される保持部材822と、保持部材822の中央部に保持されるハウジング823と、容器本体81に螺着されるネジキャップ828と、ハウジング823内にその下端が収容され、外周面にステム孔824bを有するステム824と、その内径面でステム824の外周側からステム孔824bを塞ぐ環状のステムラバー825と、ステム824の上部に取り付けられ、吐出用組成物A8を吐出するノズル826と、容器本体81内部の吐出用組成物A8をステム824側に導入するための通路となるディップチューブ827とから構成される。
ハウジング823には、ディップチューブ827が接続され、ハウジングの底部823bには、ディップチューブ827内に連通するハウジング側連通孔823aが形成されている。
シール材821は、容器本体内の気密性を向上させるために設置する。シール材821としては、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、エラストマーなどが挙げられるが、気密性を向上させることができれば特に限定されるものではない。
ステム824は、ノズル826に連通する吐出用通路824aを備え、吐出用通路824aは、ステム824の上下方向中央部近傍の径が小さくなった縮径部の側面に形成されたステム孔824bと連通している。ステム824の下端は、ハウジング823の底部823bに当接し、図8に示すように複数の脚部824cを介して当接している。ステムラバー825は、ステム824の外周の縮径部に嵌め込まれ、かつハウジング823の上端側の支持部823cに支持され、ステム824の下方への移動により、ステムラバー825が下方に撓むように構成されている。ステムラバー825は、非使用時は、ステム824の外周側からステム孔824bを塞いでおり、容器本体81内部と外部とを遮断している。なお、脚部824cの本数は、特に限定されるものではなく、吐出容器81の操作時にディップチューブ827とステム824内の吐出用通路824aとが連通できるものであれば、特にその形状等は限定されるものではない。また、脚部824cの代わりにスプリングを用いても良い。この形態では、ハウジング、シール材およびステムが吐出容器の弁として作用する。
ネジキャップ828は、容器本体81のネジ部と螺合するネジ部828aを有し、天面部828bには、ステム824が挿入される開口部が形成されている。
この吐出製品を使用する場合は、ノズル826を下方に押圧すると、ステム824下端の脚部824cが弾性変形するとともに、ステム824が下方に移動し、ステムラバー825が下方に撓み、ステム孔824bがハウジング823内部と連通する。すると、容器本体81内部が、ディップチューブ827、ハウジング側連通孔823a、ステム孔824b、吐出用通路824aを経由して、外部と連通し、吐出用組成物A8の有する自己の蒸気圧により、ノズル826の吐出孔826aから吐出物が連続的に吐出される。吐出物は吐出用組成物A8の有する自己の蒸気圧(35℃において0.18MPa以下)により吐出されるため、流速が遅く、飛び散らない。よって吐出する際に液化ガスの消費するエネルギーが少なく、液化ガスの冷却効果が得られやすい。さらにこの吐出容器は金属製の材料を使用していないため、腐食の問題がない。そして、ノズル826の下方への押圧をやめることで、ステム824の脚部824cの弾性力により、それまで変形していた脚部824cが、図8に示す状態に戻り、下方に移動していたステム824全体が上昇することで、撓んでいたステムラバー825が元に戻り、ステム孔824bがステムラバー825により塞がれ、吐出が停止する。
図9に示す吐出製品について説明する。該吐出製品は、図9aに示すように、パウチ容器本体91と、容器本体に充填される吐出用組成物と、パウチ容器本体に取り付けられ、吐出用組成物を吐出する吐出部材92を備えている。キャップを外した吐出部材92の拡大図を図9bに、吐出部材92の拡大断面図を図9cに示す。
パウチ容器本体91は、本体部911と、本体部911に挟着される連結部材912を備えている。本体部911は、図4に示すパウチ容器本体41の本体部411と同様であり、説明は省略する。
連結部材912は、上下方向に貫通した筒状体であり、筒部下方にパウチ容器本体の本体部911を構成する2枚のシートに挟着される接着部を備えており、該接着部の上方にキャップ929が螺着する外ネジ912aを備え、さらに上方にはカバー部材923が嵌着するための凸部912bを備える。
吐出部材92は、連結部材912の上端の内側に、シール材921を介して収容されるハウジング922と、連結部材912の上部に装着され、連結部材およびハウジングの上部を覆うカバー部材923と、カバー部材の上部にO−リング924を介して挿入されたノズル925と、ハウジング922とカバー部材923との間に設けられたボール弁と、ノズル925とカバー部材923を覆い連結部材912と螺着可能なキャップ929を備えている。
シール材921は、パウチ容器本体91内の気密性を向上させるために設置する。シール材921としては、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、エラストマーなどが挙げられるが、気密性を向上させることができれば特に限定されるものではない。
ハウジング922は有底筒状であり、上端の外周にフランジ部922aを備え、底部の中心に連通孔922eを備えている。底部から下方にディップチューブ928を装着するための筒部を備えている。ハウジングはフランジ部922aがシール材921を介して連結部材912の上端に保持され、後述するカバー部材を嵌着することで固着される。
カバー部材923は、上下方向に開放された環状凸型であり、下筒部923a、下筒部923aの上端に設けられる段部923bと、段部923bから上方に伸び下筒部923aより小径の上筒部923cとを備える。下筒部923aは、ハウジング922および連結部材912を覆い連結部材の凸部912bと嵌着している。また、上筒部923cの内側にはO−リング924を備えたノズルの弁棒925aが挿入されている。
O−リング924は、ノズルを上下に作動したときに上筒部とノズルの弁棒との間から吐出用組成物が漏れないようにシールするために設けられている。O−リング924としては、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、エラストマーなどが挙げられるが、気密性を向上させることができれば特に限定されるものではない。
ノズル925は、下端に筒状の弁棒925aと、先端に吐出孔925cを有し、内部に吐出用通路が形成された逆凸状の部材であり、弁棒925aの下端側面にはノズル925が下方に押圧されたときに吐出用組成物の通路となるノズル連通孔925bが形成されている。
前記ボール弁は吐出容器の弁として作用し、ハウジングの底部922bに保持された弾性バネ926と、弾性バネ926の上端に保持され弾性バネ926により上方に付勢されたボール927とから構成される。ボール927は弾性バネ926の上方への付勢力を受け、カバー部材の段部923bの内側に押し付けられて塞ぐことでハウジング922内およびパウチ容器本体91内を密封し、液化ガスの気化や漏洩を防止する。
この吐出製品を使用する場合は、ノズル925を下方に押圧することでボール927が下方に移動し、ボールと段部の内側との間に隙間ができ、パウチ容器本体91内部が、連通孔922e、ハウジング922内、ノズル連通孔925b、ノズル925内の吐出用通路および吐出孔925cを経由して外部と連通し、吐出用組成物が吐出孔925cから吐出される。吐出物は吐出用組成物の有する自己の蒸気圧(35℃において0.18MPa以下)と容器本体を握ったときの圧縮力により吐出されるため、吐出する際に液化ガスの消費するエネルギーが少なく、また吐出物は細かくなりすぎないため、液化ガスの冷却効果が得られやすい。そして、ノズル925の下方への押圧をやめると、ボール927は弾性バネ926の上方への付勢力を受けてカバー部材の段部923bの内側に押し付けられて塞ぎ、パウチ容器本体内が再度密封される。
前記吐出製品が、吐出物を液滴状で吐出する吐出製品である場合、吐出される液滴の粒子径は0.1mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。液滴の粒子径が0.1mm未満である場合は、吐出物の粒子が細かく、吐出面に付着する前に空間中で液化ガスが気化しやすくなり、また吐出面で直ぐに乾燥してしまうため、充分な冷却効果が得られなくなる傾向がある。
本発明の吐出用組成物は、液化ガスと原液が均一相を形成し、液化ガスを特定量含有し、かつ該組成物の35℃における蒸気圧が0.18MPa以下とすることにより、液化ガスの有するエネルギーを効率的に吐出面の冷却に用いることができるため、冷却効果に優れた吐出用組成物とすることができる。
また、本発明の吐出用組成物を充填した吐出製品は、吐出面の冷却効果に優れているため、やけど治療薬、消炎鎮痛剤、鎮痒剤、皮膚保護剤、抗真菌剤、制汗剤、収斂剤、ほてり止めなど、皮膚に付着させる人体用製品として好適に用いることができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
評価方法を下記に示す。
(1)吐出用組成物の蒸気圧(35℃)
透明なガラス製の耐圧容器に吐出用組成物を充填した吐出製品を35℃の恒温水槽中に1時間保持し、蒸気圧を測定した。
(2)吐出用組成物の外観
透明なガラス製の耐圧容器に吐出用組成物を充填した吐出製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持し、吐出用組成物の外観を評価した。
○:透明な均一系を形成した。
×:白濁または2層以上に分離した。
(3)吐出物の状態
図8に示す吐出容器に各吐出用組成物を充填した吐出製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持した。その後、手の甲に0.06g吐出し、吐出面での吐出物の状態を評価した。
○ :吐出面で液滴状になった。
△ :吐出面で広がり、その後、ゆっくりと乾燥した。
×1:吐出後直ぐに乾燥した。
×2:勢いが強く飛び散った。
(4)冷却感
図8に示す吐出容器に各吐出用組成物を充填した吐出製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持した。その後、手の甲に0.06g吐出して冷却感を評価した。なお、冷却感の評価は、サーモグラフィー(FLIR i60、フリアーシステムズジャパン株式会社製)を用いて吐出物が付着した皮膚表面温度を測定した。また、測定は25℃の恒温室で行なった。
◎:吐出前の温度から5℃以上低下し、その状態から温度上昇が1℃/min以下を60秒以上持続した。
○:吐出前の温度から4.9〜4.0℃低下し、その状態から温度上昇が1℃/min以下を60秒以上持続した。
△:吐出前の温度から3.9〜2.0℃低下し、その状態から温度上昇が1℃/min以下を60秒以上持続した。
×:吐出直後は温度が低下するが、温度上昇が1℃/min以下を60秒以上持続できず直ぐに温度が上昇し冷感が持続しなかった。
また、実施例および比較例の一部について皮膚表面温度の経時変化を表7に示す。さらに、実施例1、8、10、比較例2および3における吐出前との温度差の経時変化を図10に、実施例1〜4および比較例1における吐出前との温度差の経時変化を図11に、実施例13、15および比較例5における吐出前との温度差の経時変化を図12に示す。
<実施例1〜10、比較例1〜4>
表1および表2に示す吐出用組成物を調製した。得られた各吐出用組成物を透明なガラス製の耐圧容器に充填し、得られた吐出製品について、蒸気圧および外観の評価を行った。また、得られた各吐出用組成物を図8に示す吐出容器に充填し、得られた吐出製品について、吐出物の状態および冷却感についての評価を行った。評価結果を表3に示す。また、各吐出用組成物に用いた原液の25℃における表面張力を表3に示す。
<実施例11〜15、比較例5〜6>
表4および表5に示す吐出用組成物を調製した。得られた各吐出用組成物を透明なガラス製の耐圧容器に充填し、得られた吐出製品について、蒸気圧および外観の評価を行った。また、得られた各吐出用組成物を図8に示す吐出容器に充填し、得られた吐出製品について、吐出物の状態および冷却感についての評価を行った。評価結果を表6に示す。また、各吐出用組成物に用いた原液の25℃における表面張力を表6に示す。
製品例1(化粧水)
下記の原液47.5g(95質量%)とジメチルエーテル2.5g(5質量%)を図1に示すロールオンタイプの容器に充填し、吐出製品を調製した。なお、該吐出用組成物の35℃における蒸気圧は0.085MPaであり、使用した原液の25℃における表面張力は71.8dyn/cmであった。得られた吐出製品を皮膚に塗り広げるように塗布すると、冷却された化粧水を広く塗布でき冷却効果も持続した。
水 97.0
1,3−ブチレングリコール 3.0
合計 100.0(質量%)
製品例2(冷却剤)
下記の原液45g(90質量%)とジメチルエーテル5g(10質量%)を図3に示すスクイズボトルタイプの容器に充填し、吐出製品を調製した。なお、該吐出用組成物の35℃における蒸気圧は0.140MPaであり、使用した原液の25℃における表面張力は71.1dyn/cmであった。得られた吐出製品を皮膚に吐出すると、冷却された吐出物を広く塗布でき冷却効果も持続した。
水 95.9
エタノール 4.0
l−メントール 0.1
合計 100.0(質量%)
製品例3(害虫忌避剤)
下記の原液47.5g(95質量%)とジメチルエーテル2.5g(5質量%)を図1に示すロールオンタイプの容器に充填し、吐出製品を調製した。なお、該吐出用組成物の35℃における蒸気圧は0.072MPaであり、使用した原液の25℃における表面張力は69.8dyn/cmであった。得られた吐出製品を皮膚に塗り広げるように塗布すると、冷却された吐出物を広く塗布でき冷却効果も持続した。
水 88.9
エタノール 10.0
N,N−ジエチル−m−トルアミド 1.0
l−メントール 0.1
合計 100.0(質量%)
製品例4(やけど治療薬)
下記の原液93g(93質量%)とジメチルエーテル7g(7質量%)を図3に示すスクイズボトルタイプの容器に充填し、吐出製品を調製した。なお、該吐出用組成物の35℃における蒸気圧は0.090MPaであり、使用した原液の25℃における表面張力は69.8dyn/cmであった。得られた吐出製品を皮膚に滴下すると、吐出物が目的箇所のみに滴下でき冷却効果も持続した。
水 89.7
エタノール 8.0
プロピレングリコール 2.0
塩酸リドカイン 0.3
合計 100.0(質量%)
製品例5(育毛剤)
下記の原液90g(90質量%)とジメチルエーテル10g(10質量%)を図5aに示す弾性弁タイプの容器に充填し、吐出製品を調製した。なお、該吐出用組成物の35℃における蒸気圧は0.085MPaであり、使用した原液の25℃における表面張力は67.5dyn/cmであった。得られた吐出製品を頭皮に吐出すると、冷却された吐出物を広く塗布でき冷却効果も持続した。
水 78.4
エタノール 20.0
グリセリン 1.0
l−メントール 0.5
dl−α−トコフェロール 0.1
合計 100.0(質量%)
製品例6(水虫治療薬)
下記の原液47.5g(95質量%)とジメチルエーテル2.5g(5質量%)を図3に示すスクイズボトルタイプの容器に充填し、吐出製品を調製した。なお、該吐出用組成物の35℃における蒸気圧は0.040MPaであり、使用した原液の25℃における表面張力は58.7dyn/cmであった。得られた吐出製品を足の指に吐出すると、冷却された吐出物を目的箇所のみに滴下でき冷却効果も持続した。
水 50.0
エタノール 45.0
プロピレングリコール 3.5
l−メントール 0.5
塩酸ブテナフィン 1.0
合計 100.0(質量%)