次に、図面に基づき本発明の実施の形態を詳述する。図1は、本発明の一実施例を示す自転車駐輪装置10の側面図、図2は、本発明の自転車駐輪装置10を構成するスライダー24(スライドレール12を含む)の側面図、図3は、本発明の自転車駐輪装置10の平面図、図4は、本発明の自転車駐輪装置10を構成するレール側ストッパ14とスライダー側ストッパ26との位置関係を示す図、図5は、本発明の一実施例を示す自転車駐輪装置10の自転車80の出し入れを行う間隔を示す平面図、図6は、本発明の一実施例を示す自転車駐輪装置10の自転車80の出し入れを行う間隔を示す図をそれぞれ示している。
本実施形態における自転車駐輪装置10は、図1に示すように、スライドレール12は長手方向(図3の上下方向)に沿って移動する複数の支持ラック16に自転車80を一台ずつ保持させて駐輪を行う、所謂自転車80をスライドレール12に沿って移動し、間隔(隙間)を開けて出し入れする駐輪装置であり、この自転車駐輪装置10は、前後方向(図3の左右方向)に所定の間隔で並設された2本のスライドレール12を備えている。
これら2本のスライドレール12には、当該スライドレール12の前後方向に長く延在する複数の支持ラック16(図3では10組)が設けられている。この支持ラック16は、スライドレール12の延在方向に沿って摺動可能に支持されている。複数の支持ラック16は、これらの各支持ラック16にそれぞれ収納される自転車80の、隣り合うもの同士の干渉を避けて収納効率を高めるために、スライドレール12の一側から他側方向に交互に、前方(図1の左側)に向かって立ち上がるように斜めに傾斜して設けられている。尚、傾斜させた支持ラック16(図1実線)に隣接する支持ラック16(図1点線)は、後方から前方に向かって前部が僅か立ち上がるように斜めに傾斜(傾斜させた支持ラック16よりも低く傾斜)させている。
各支持ラック16は、横断面が略コ字形状に形成されて上方を開口している。これら各支持ラック16の前部側となる自転車80の前輪82部分は、コ字形状の支持ラック16の底が貫通して図示しない穴が設けられ、その穴から下方に前輪82が突出可能に構成されている。即ち、支持ラック16の底に貫通して設けられた穴(図示せず)に前輪82が入り込み、下方に突出させることにより、斜めに傾斜させた各支持ラック16においても、自転車80が起立して保持され、後退して離脱しないように構成されている。
各支持ラック16の長さ方向2箇所には、高低二つの支持柱22が鉛直方向に延在して設けられている。各支持柱22の下端には前記スライドレール12上を長手方向に摺動するためのスライダー24が取り付けられている。これによって、各支持ラック16は、スライダー24を介してスライドレール12の延在方向に沿って摺動可能に支持されている。
該スライダー24は、図2、図3に示すようにスライドレール12の延在方向に延在する縦長形状のフレーム28と、自転車80を円滑に移動できるように支持すると共に、垂直方向に回動する支持ローラ30と、自転車80の倒れを防止する側面ローラ32とから構成されている。該支持ローラ30と側面ローラ32は回動自在にフレーム28に取り付けられると共に、側面ローラ32は支持ローラ30に直行して水平方向に回動するように取り付けられている。
該支持ローラ30は、フレーム28の折曲間内側に挿入され、上下方向の移動が僅かの隙間で規制されると共に、側面ローラ32は折曲されたフレーム28の外側側面に当接する。即ち、各支持ラック16は、スライダー24に設けられた支持ローラ30と側面ローラ32にてスライドレール12の延在方向に沿って摺動可能に支持されている。尚、スライダー24に載置された自転車80の倒れ防止は、支持ローラ30と側面ローラ32とで構成されている。
スライドレール12には所定の間隔でレール側ストッパ14が設けられ、スライダー24には、レール側ストッパ14に当接可能なスライダー側ストッパ26が設けられている。詳しくは、レール側ストッパ14とスライダー側ストッパ26は直径約10mmの金属ボルトにて構成され、図示しないナットにて固定されると共に、レール側ストッパ14はスライダー側ストッパ26に対して直行して設けられている。これにより、スライダー側ストッパ26がレール側ストッパ14に容易に当接可能に構成されている。尚、レール側ストッパ14とスライダー側ストッパ26はボルトに限られず、ボルトと同等直径の金属棒を溶接固定しても差し支えない。
該レール側ストッパ14は、スライドレール12の延在方向に所定の間隔で設けられると共に、並設された2本のスライドレール12に対向した位置にそれぞれ対応して設けられている。このレール側ストッパ14は、スライドレール12上でスライダー24を移動させたとき、その移動に伴ってスライダー24に設けたスライダー側ストッパ26がレール側ストッパ14に当接して、それ以上移動しないように構成されている。尚、図3でレール側ストッパ14は、白抜き矢印が指すスライドレール12に設けられている。
また、スライダー側ストッパ26は、スライダー24の移動方向一側、若しくは、他側の何れか一方に配置されている。このスライダー側ストッパ26は、スライダー側ストッパ26の端部から約30mm内側の位置に固定されている。そして、スライダー側ストッパ26が一側に配置されたスライダー24と、他側に配置されたスライダー24とが交互にスライドレール12に設けられている。また、スライドレール12に交互に設けられたスライダー24同士を当接させたとき、隣接する二つのスライダー側ストッパ26は相互に近接して、隣接するレール側ストッパ14間内に位置するよう各スライダー24が設けられている。尚、スライダー24の寸法を後に詳しく説明する。
詳しくは、図4に示すようにスライドレール12に設けられた隣接するレール側ストッパ14間に、二つの支持ラック16が設けられている。二つの支持ラック16の各スライダー24に設けられたスライダー側ストッパ26は、この二つの支持ラック16の近接側に位置して設けられている。更に詳しくは、レール側ストッパ14間に設けられた二つのスライダー24を離間方向に移動させる場合、レール側ストッパ14間に設けられた、一方の支持ラック16に設けられたスライダー24(例えば、図4左端の支持ラック16に設けられたスライダー24)には、移動方向他側(この場合、支持ラック16に設けられたスライダー24の右端近傍)にスライダー側ストッパ26が設けられている。また、レール側ストッパ14間に設けられた他方の支持ラック16に設けられたスライダー24(図4左端から2番目の支持ラック16に設けられたスライダー24)には移動方向の他側(この場合、スライダー24の左端近傍)にスライダー側ストッパ26が設けられている。以降、支持ラック16に設けられたスライダー24を単にスライダー24と称す。
即ち、図4に示す如くスライダー側ストッパ26は、それが設けられるスライダー24が隣接するレール側ストッパ14に対して、当該スライダー24の反対側に配置されている。具体的には、例えば図4の左端のスライダー24のスライダー側ストッパ26は、左端のスライダー24が隣接する図4の左端のレール側ストッパ14に対して、当該左端のスライダー24の反対側(図4における右端近傍)に配置され、図4の左端から2番目のスライダー24のスライダー側ストッパ26は、左端から2番目のスライダー24が隣接する図4の左端から2番目のレール側ストッパ14に対して、当該左端から2番目のスライダー24の反対側(図4における左端近傍)に配置されている。
そして、レール側ストッパ14間に設けられた一方のスライダー24(例えば、図4左端のスライダー24)を左方向(図中左向き白抜き矢印方向)に移動して、当該スライダー24に設けられたスライダー側ストッパ26をレール側ストッパ14(この場合、図4左端のレール側ストッパ14)に当接させる。次に、レール側ストッパ14間に隣接するレール側ストッパ14間に設けられた他方のスライダー24(この場合、図4左端から右方向3番目のスライダー24)を右方向(図中右向き白抜き矢印方向)に移動させる。これによって、スライダー24に隣接するスライダー24は順次右方向に移動していく。
即ち、他方のスライダー24(この場合、図4左端から右方向3番目のスライダー24)を右方向に移動させると、その右側に隣接するスライダー24(この場合、図4左端から右方向に4番目のスライダー24)は、隣接するスライダー24(この場合、図4左端から右方向に5番目のスライダー24)を右方向に移動させると共に、当該左端から右方向4番目のスライダー24に設けられたスライダー側ストッパ26はレール側ストッパ14に当接する。
ここで、二つのスライダー24の長手方向(スライドレール12の延在方向)の全長は、レール側ストッパ14間の寸法の約60%〜90%(現物は80%)の寸法に構成されている。また、一つのスライダー24の長手方向は、レール側ストッパ14間の寸法の約30%〜40%(現物は40%)の寸法に構成されている。そして、スライダー24を複数連続して隣接させた場合は、スライダー24を拾個連続して隣接させた寸法と、レール側ストッパ14間を四箇所連続させた寸法に略等しくなるように構成されている。
詳しくは、スライドレール12に設けたスライダー側ストッパ26の間隔は約500mm、スライダー24の長手方向の寸法は約200mm(スライダー側ストッパ26の間隔の80%/2)に構成されている。そして、スライダー24を拾個連続して隣接させたときの寸法は約2000mmになり、レール側ストッパ14間が連続して隣接する四箇所の寸法も約2000mmになる。
即ち、図5に示すように、一側のスライダー24(この場合、左端のスライダー24)を一側(左方向)に移動して、当該スライダー24に設けられたスライダー側ストッパ26をレール側ストッパ14に当接させる。そして、レール側ストッパ14間に隣接するレール側ストッパ14間のスライダー24(この場合、左端から右方向へ3番目のスライダー24)を他側(右方向)に移動させると、当該スライダー24に隣接するスライダー24(左端から右方向へ4番目のスライダー24)に設けられたスライダー側ストッパ26がレール側ストッパ14に当接するまで移動する。尚、図5でレール側ストッパ14は、白抜き矢印が指すスライドレール12に設けられている。
これにより、一側のスライダー24に取り付けられた支持ラック16と3番目のスライダー24に取り付けられた支持ラック16との間に設けられた支持ラック16の両側に自転車80の出し入れに十分な隙間が開く。尚、2番目の支持ラック16(本発明の特定の支持ラック16)に設けられたスライダー24は、3番目の支持ラック16方向への移動がレール側ストッパ14によって阻止されるものの、当該特定の支持ラック16の両側は、1番目の支持ラック16と3番目の支持ラック16との間に自転車80の出し入れに十分な隙間が開く。
一方、自転車駐輪装置10で自転車80の出し入れを行う隙間は、例えば、自転車80を出し入れする支持ラック16の両側に隣接する支持ラック16に設けられたスライダー24の間(図中白抜き矢印部分)となる。そして、自転車80の出し入れに十分な隙間としては、ある程度広い方が良いのは言うまでもないが、隙間が広過ぎると決められた面積の駐輪場に少ない台数の自転車80しか駐輪できない。そこで、約500mm〜約750mm位が適当とされるが、その内約650mm位が好適とされている。尚、自転車80の出し入れに十分な隙間は、約650mmに限られず、それより広くても差し支えない。
ここで、自転車70の出し入れを行う隙間の説明を行う。まず、特定支持ラック16の両側の隙間を広くすれば、特定支持ラック16に保持させた自転車70の出し入れを行うことができる。即ち、特定支持ラック16の両側に隣接する支持ラック16を押して、特定支持ラック16から離間させる方向に移動させる。これにより、特定支持ラック16のどちらか一方に隣接するスライダー24に設けられたスライダー側ストッパ26は、直接レール側ストッパ14に当接し、そこで停止する。また、他方に隣接するスライダー24は、隣接すると共に、レール側ストッパ14を超えて次のスライダー24を特定支持ラック16から離間方向に移動させ、このスライダー24のスライダー側ストッパ26がレール側ストッパ14に当接する。
上記説明より、連続して三つ隣接するレール側ストッパ14間の寸法が約1000mm、その間には四つのスライダー24(4×200mm=800mm)が設けられる。隣接する三つのレール側ストッパ14間の寸法(約1000mm)に対して、その間に設けられた四つのスライダー24の寸法は800mmで、その隙間は200mmとなり、出し入れを行うスライダー24の寸法を加算すると400mmにしかならない。しかし、連続して三つ隣接するレール側ストッパ14の両端のレール側ストッパ14に、その間に位置するスライダー24のスライダー側ストッパ26を当接させた場合、両端のレール側ストッパ14から、両側のスライダー24はそれぞれ約170mmずつはみ出し、片側30mmが連続して三つ隣接するレール側ストッパ14間に位置する。
この場合、連続して三つ隣接するレール側ストッパ14間の寸法約1000mmに対して、800mm−(2×30mm)=740mmの隙間が開き、この隙間が自転車70出し入れの隙間となる。即ち、隣接する三つのレール側ストッパ14間の寸法約1000mm−(スライダー24の寸法約200mm+二つのスライダー側ストッパ26から自転車80を出し入れする支持ラック16側までの寸法約60mm)=約740mmとなって、自転車80(特定の支持ラック16)の出し入れに十分、且つ、好適な隙間を確保することができる。
また、隣接する各レール側ストッパ14間の寸法を約500mm、スライドレール12に設けられたスライダー24の、長手方向の寸法を約200mmに構成すると共に、隣接する各レール側ストッパ14間に支持ラック16を二つ設けているので、隣接する各レール側ストッパ14間に設けられた、二つのスライダー24の長手方向の寸法が400mmになる。即ち、前述した如きレール側ストッパ14間の寸法に対して、その間に設けられた、二つのスライダー24を加えた長手方向寸法が小さく構成されている。詳しくは、レール側ストッパ14間の寸法に対して、その間に設けられた、二つのスライダー24の長手方向寸法は80%の長さに構成されている。
係る自転車駐輪装置10は、図6に示すように、自転車80(特定の支持ラック16)の出し入れに十分な隙間が設けられた箇所から、隣接するレール側ストッパ14の隙間を四箇所超えた箇所に、自転車80(特定の支持ラック16)の出し入れに十分な隙間を設けることができる。即ち、レール側ストッパ14間に設けられた、二つのスライダー24の長手方向寸法が、連続して隣接するレール側ストッパ14間を複数超えた箇所で、再度自転車80(特定の支持ラック16)の出し入れに十分な隙間が設けられるように、隣接するレール側ストッパ14間の寸法に対して、その間に設けられた、二つのスライダー24の長手方向寸法を設定している。尚、図6でレール側ストッパ14は、白抜き矢印が指すスライドレール12に設けられている。
これにより、自転車80を出し入れ可能な特定の支持ラック16をレール側ストッパ14の隙間を四箇所おき(図中白抜き矢印)に設けることができる。尚、隣接するレール側ストッパ14間の寸法に対して、その間に設けられた、二つのスライダー24の長手方向寸法を80%以下の長さに構成すれば、連続して隣接するレール側ストッパ14間が四箇所超える以前の箇所で、再度自転車80の出し入れに十分な隙間を開けることができる。この場合、隣接する自転車80の、図示しない荷台幅やサドルなどが幅方向で接触してしまうので、支持ラック16に駐輪の空き(自転車80が支持ラック16に駐輪されていない状態)があり自転車80の駐輪台数が少ないときなどに便利である。
このように、特定の支持ラック16の両側に位置する支持ラック16を、特定の支持ラック16から離間する方向にそれぞれ移動させ、スライダー側ストッパ26がレール側ストッパ14に当接し、若しくは、スライダー24が他の支持ラック16のスライダー24に当接することで両側の支持ラック16の移動が規制された状態で、当該両側の支持ラック16間には自転車80の出し入れに十分なる間隔が構成されるので、特定の支持ラック16に駐輪された自転車80の出し入れを極めて容易に行うことが可能となる。
これにより、従来のように数拾台駐輪可能な長さに構成されたスライドレール12の他側で自転車80の出し入れを行う場合、力の弱い人であっても他側から一側近傍までの多数の自転車80を一側方向に移動させることなく、自転車80を数台移動させるだけで、自転車80の出し入れを容易に行うことが可能となる。従って、駐輪場が広い場合でもスライドレール12の任意の位置で自転車80の出し入れが容易に行え、自転車駐輪装置10の利便性を極めて向上させることができる。
また、スライダー24同士を当接させたときに相互に隣接することになる二つのスライダー側ストッパ26を、レール側ストッパ14間の所定間隔内に位置するよう、各スライダー24をスライドレール12に取り付けると共に、スライダー側ストッパ26を、それが設けられるスライダー24が隣接するレール側ストッパ14に対して、当該スライダー24の反対側に配置したので、相互に隣接するスライダー側ストッパ26を離間させれば、レール側ストッパ14間より、スライダー24のはみ出し寸法を大きくすることができる。これにより、レール側ストッパ14間に設けられた、二つのスライダー24の隙間を、当該レール側ストッパ14の間隔に匹敵する寸法に広げることが可能となる。従って、両側の支持ラック16間に自転車80の出し入れに十分なる間隔を設けることができるようになる。
特に、レール側ストッパ14間に設けられた、両スライダー24の長手方向の寸法を当該レール側ストッパ14間の寸法より短く構成すれば、当該スライダー24が複数台連続して当接した状態で、数台目のスライダー24に設けられたスライダー側ストッパ26は、特定の支持ラック16側のレール側ストッパ14に当接し、それ以上特定の支持ラック16方向への移動を規制させることができる。これにより、連続した複数の支持ラック16おきに、両側の支持ラック16間に自転車80の出し入れに十分な間隔を設けることができるので、従来のように数拾台駐輪可能な長さの、スライドレール12の他側で自転車80の出し入れを行う場合に、力の弱い人であっても他側から一側近傍までの多数の自転車80を一側方向に移動しなければならないなどと言った不都合を確実に防止することが可能となる。従って、自転車80を数台移動させるだけで、容易に自転車80の出し入れを行うことができる。
また、隣接するレール側ストッパ14の間隔2対して、スライダー24の長手方向寸法を小さくすれば、限られたスペースの駐輪場で自転車70の駐輪台数を増やすことができる。また、スライダー24の長手方寸法に対して、隣接するレール側ストッパ14の間隔を広くすれば、特定支持ラック16の両側の隙間を広くすることができ、自転車70の出し入れを容易に行うことができる。
尚、スライドレール12に設けたスライダー側ストッパ26の間隔を約500mm、スライダー24の長手方向の寸法を例えば約150mm(スライダー側ストッパ26の間隔の60%/2)に構成した場合、スライダー24を拾個連続して隣接させたときの寸法が約1500mm、レール側ストッパ14間を三つ連続させたときの寸法が約1500mmになる。これにより、自転車80を出し入れ可能な特定の支持ラック16を、レール側ストッパ14間を三つおきに設けることができる。即ち、スライドレール12に設けたスライダー側ストッパ26の間隔に対してスライダー24の長手方向の寸法を変えるだけで、レール側ストッパ14間を任意の数おきに自転車80を出し入れ可能な特定の支持ラック16を設けることができるので、自転車駐輪装置10の利便性を更に向上させることができる。
次に、図7には本発明の参考例の自転車駐輪装置10を示している。該自転車駐輪装置10は、前述の実施形態と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施の形態と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。自転車駐輪装置10は、図7に示すように自転車80を床面40より高い位置に保持可能な、所謂上下二段に駐輪可能な自転車駐輪装置10を示している。
該自転車駐輪装置10は、下段駐輪装置76(1段目)と上段駐輪装置78(2段目)とから構成されている。上段駐輪装置78としての自転車駐輪装置10は、床面40に立設された支柱42と、この支柱42上部(上端)に略水平に支持された上固定フレーム44と、該上固定フレーム44に前後方向に移動自在に支持された上可動フレーム56とから構成されている。尚、本発明は上段駐輪装置78であり、下段駐輪装置76は従来より周知のものなので詳しい説明を省略する。
この上可動フレーム56は、図8に示すように、上固定フレーム44の後方に移動した状態で当該上固定フレーム44の後部(図中右端)を支点とし、後部(図中右側)が低く傾斜した状態に回動可能に設けられている。該上固定フレーム44の後部には、上可動フレーム56の回動傾斜時に所定の緩衝作用を付与する緩衝機構68を備えている。尚、緩衝機構68については後に詳しく説明する。
前記上可動フレーム56は、自転車80の前輪82を支持する前輪軸受け枠18と、後輪88を支持する後輪受け枠20とから構成されている。該後輪受け枠20は、金属棒(例えば、直径約6mm〜10mmの鉄棒)にて構成され、上可動フレーム56の後部に固定されている。この後輪受け枠20は、自転車80の後輪88と所定の間隔を存して左右と後部から支持できるように構成されている。また、後輪受け枠20には、取っ手21が設けられており、この取っ手21は、上固定フレーム44の前後方向に移動させると共に、後部を上下方向に回動できるように構成されている。
該上可動フレーム56のフレーム前部66(本発明の上可動フレーム56の前部に相当)には、自転車80の前輪82を左右及び上方から所定の間隔を存して支持する前輪受け枠18が設けられている。この前輪受け枠18は、金属棒(例えば、直径約6mm〜10mmの鉄棒)がU字形状に折曲されたもので、この前輪受け枠18は自転車80が上可動フレーム56に駐輪された状態で、前輪82の接地点(前輪軸受け86下方)両側に位置して、上可動フレーム56に固定されている。即ち、前輪受け枠18は、前輪82と所定の間隔を存して両側から当該前輪82を支持可能に上可動フレーム56両側に固定されている。
該前輪受け枠18は、上可動フレーム56に固定された箇所から上方に延在(前輪82の接地点と前輪軸受け86との略中間まで延在)し、そこから45°斜め上前方(図中左側)に傾斜し、上端は前輪カバー84と前輪82の上部に位置している。該前輪軸受け86の上端は、前輪カバー84より下方で前方となる、前輪72に接触しない位置(例えば、前輪カバー84と前輪82とから約20mm〜80mm離間)に設けられている。即ち、前輪受け枠18は、上固定フレーム44に自転車80が駐輪された状態で、当該自転車80が後輪88の後輪軸受け90(本発明の後輪の軸受けに相当)を回転軸にして前輪82が浮いた(図中矢印方向)とき、当該前輪72が前輪受け枠18の上端に当接して、それ以上浮いてしまうのを阻止できるように構成されている。
また、上段に駐輪された自転車80を取り出す場合、上固定フレーム44から上可動フレーム56の後部(図中右側)に設けられた取っ手21を持って後方に引き出し、当該上可動フレーム56の後部を下方に回動させることにより、上可動フレーム56を傾斜させる。これにより、上可動フレーム56の後部を床面40に近接させて、当該上可動フレーム56に保持された自転車80が取り出せるように構成されている。
特に、急いで自転車80を取り出す場合、上固定フレーム44から引き出した上可動フレーム56の後部を勢いよく下方に回動させてしまう場合がある。そして、この上可動フレーム56の後部を勢いよく下方に回動させると、緩衝器70が設けられているものの、上固定フレーム44に保持した自転車80の重量も加わって、当該上可動フレーム56の後部が床面40近傍まで高速に回動して、そこで急激に停止することになる。この上可動フレーム56の急激停止によって、自転車80の前輪72は、後輪軸受け90を回転軸にして跳ね上がってしまうことになる。また、自転車80の後輪88は、上可動フレーム56に設けた後輪受け枠20によって保持されるので、後輪76が上可動フレーム56から飛び出してしまうのを、当該後輪受け枠20にて防止できる。
詳しくは、上可動フレーム56に支持された自転車80は、後輪88が後輪受け枠20に保持されているため、上可動フレーム56の後部が床面40近傍で急激に停止した反動で、後輪88の後輪軸受け90を中心にして前輪82が跳ね上がってしまう。しかし、前輪軸受け86より上側に位置して前輪受け枠18を設けているので、跳ね上がった前輪82は前輪受け枠18に当接されて、当該前輪72がそれ以上跳ね上がってしまうのを防止できるように構成している。
このように、自転車駐輪装置10の上段に駐輪した自転車80を取り出す際、上可動フレーム56を回動して後部を下方に傾斜させ、自転車80の後輪88が後輪受け枠20に支持された状態で、自転車80が後輪軸受け90を中心に回転したとき、前輪受け枠18は、前輪軸受け86より上側にて当該前輪82に当接するので、自転車80の前輪82が浮いてしまうなどといった不都合を防止することができる。これにより、上可動フレーム56に駐輪した自転車80を急いで取り出す際、当該上固定フレーム44から上可動フレーム56を水平に移動して引き出し、勢いよく後部を下方に低く傾斜させて、当該上可動フレーム56の後部が床面40近傍で急激に停止した場合に、その衝撃による反動で跳ね上がってしまう前輪82を前輪受け枠18にて確実に阻止することができる。
特に、上下二段に駐輪可能な自転車駐輪装置10の、上段の上固定フレーム44から上可動フレーム56を後方に移動して引き出し、その上可動フレーム56の後部を床面40近傍まで降下させて自転車80を取り出す際、急いでいる場合などは、上可動フレーム56の後部を高速で勢いよく床面40近傍まで回動させてしまう場合がある。そして、上可動フレーム56の後部が高速で勢いよく床面40近傍で停止すると、その衝撃による反動で、自転車80は後輪軸受け90を中心として回転し、前輪82が跳ね上がってしまうが、前輪82がそれ以上跳ね上がってしまうのを前輪受け枠18にて防止することが可能となる。これにより、前輪82の跳ね上がりによって、自転車80が一回転してしまう転倒で事故を起こしてしまうなどといった不都合を未然に防止することができる。また、上下二段に駐輪可能な自転車駐輪装置10の、上段に駐輪した自転車80を極めて安全に取り出すことができる。
前記緩衝機構68は、図9に示すように上固定フレーム44の上部に、内向きに突出したガイドレール46と、当該上固定フレーム44の後部に設けられた緩衝器70とから構成されている。該緩衝器70は、上可動フレーム56の後部を斜め下方に傾斜させる際、当該上可動フレーム56が急激に回動してしまうのを防止すると共に、斜めに傾斜させた上可動フレーム56を上方に引き上げる際、軽い力で操作ができるように構成されている。尚、図9では上可動フレーム56を図示していない。
詳しくは、緩衝器70は、通常時略最大に伸張された状態から圧縮されると反発力を有する所謂ガススプリング(流体圧シリンダ)にて構成されており、一側に設けられた係合部材72に、可動フレーム54に設けられた係合軸64が係合され、他側は上固定フレーム44の後部に位置している。尚、ガススプリングが圧縮されると反発力を有する技術は既に従来より周知の技術であるため、詳細な説明は省略する。また、従来例ではガススプリングをガスシリンダと称している。
また、上固定フレーム44に形成されたガイドレール46の後部には、円弧状に傾斜して上方に凸となる上壁60が形成されており、後述する側部ローラ58はこの上壁60に沿って、回動する。そして、上固定フレーム44から上可動フレーム56が引き出され、上可動フレーム56のフレーム前部66両側に設けられた側部ローラ58が、上方に凸となる円弧状に傾斜した上壁60まで引き出されると、側部ローラ58は当該上壁60に沿って移動(回動)すると共に、上可動フレーム56の後部が斜め下方に傾斜していく。このとき、上可動フレーム56の後部が斜め下方に傾斜していくに従って円弧状に傾斜した上壁60は、上固定フレーム44の後部に位置する、緩衝器70の回転軸71に近接していく。
該上壁60は、前方側が緩衝器70の回転軸71より離間し、後方側が回転軸71に近接するように形成されている。そして、通常時略最大に伸張している緩衝器70は、上可動フレーム56の後部が斜め下方に傾斜していくに従って側部ローラ58が後方に移動していく(図中実線矢印)と共に、当該側部ローラ58は上壁60によって緩衝器70の回転軸71に近接していく。これにより、係合部材72も回転軸71に近接していき、緩衝器70は圧縮されていくので、当該緩衝器70に反発力が発生して、可動フレーム56の後部が勢いよく床面40に近接してしまうのを防止している。また、自転車80が載置された上可動フレーム56を持ち上げる際、圧縮された緩衝器70が戻るとき反発力によって容易に持ち上げることができる。
即ち、上可動フレーム56の後部が勢いよく床面40に近接するのを防止すると共に、自転車80が載置された上可動フレーム56を容易に持ち上げることのできる緩衝器70は、周囲四隅が4本のボルト74(手前側だけ2本のボルト74を図示)にて上固定フレーム44の後部に固定されている。これにより、緩衝器70の着脱が容易に行えるように構成している。尚、上固定フレーム44への緩衝器70の固定は4本のボルト74に限られるものでなく、強度的に問題なければ、2本のボルト74にて上固定フレーム44に固定しても差し支えない。
このように、上可動フレーム56の回動傾斜時に所定の緩衝作用を付与する緩衝機構68を構成する緩衝器70を、上固定フレーム44に着脱可能に取り付けているので、自転車駐輪装置10の永年使用で緩衝器70としてのガススプリングにガス漏れが生じた場合などでも、緩衝器70だけを交換することができる。これにより、従来のようにガススプリングのガス漏れが生じた場合などに、ガススプリングと一緒に上可動フレーム56も交換しなければならないなどといった、不都合も解消することが可能となる。
また、緩衝器70は、周囲四隅を4本のボルト74にて上固定フレーム44に固定しているので、溶接技術のない作業者でも緩衝器70を容易に上固定フレーム44に取り付けることができる。これにより、パートタイマや派遣社員など溶接技術のない作業者でも緩衝器70を上固定フレーム44に取り付けることができ、大幅に人件費を削減することが可能となる。
尚、参考例では、自転車80が上可動フレーム56に駐輪された状態で、前輪受け枠18を前輪82の接地点部分に固定したが、前輪受け枠18の固定は前輪82の接地点部分に限られず、前輪82の後輪側端の下方に設けても差し支えない。これによって、前輪受け枠18が自転車80の前方に撓んだ場合でも、当該前輪受け枠18は前輪82より前方に撓むことがないので、前輪82が浮いて、跳ね上がってしまうのを確実に防止することができる。
また、自転車駐輪装置10の形状や寸法或いは角度などを記載したが、自転車駐輪装置10の要旨を逸脱しない範囲内で形状や寸法を変更しても良いのは言うまでもない。勿論本発明は、前記実施例のみに限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の様々な変更を行っても本発明は有効である。