JP5834345B2 - アルミニウム合金物品、アルミニウム合金部材およびその製造方法 - Google Patents
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以下に本発明の詳細を説明する。
脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体被膜3を用いて、アルミニウム合金基体1と樹脂層4とを接合した従来のアルミニウム合金物品200の断面を図2に示す。従来のアルミニウム合金物品200は、金属化合物皮膜2を有していない。
この金属化合物皮膜2を用いることでアルミニウム合金基体1と樹脂4との間が強く接合されている本発明のアルミニウム合金物品100を製造する方法を以下に詳述する。
アルミニウム合金基体1の表面は、製造工程で生じる偏析、酸化被膜により不均一となったり、加工成形時に使用した圧延油、切削油、プレス油などが付着したり、あるいは搬送時に、発錆、指紋の付着等などで汚れる場合がある。このため、アルミニウム合金基体1の表面の状態によっては適切な洗浄方法を用いて洗浄処理を行うのが好ましい。
詳細を後述する金属化合物処理の前処理として、アルミニウム合金基体1の表面を粗面化する(荒らす)ことが好ましい。アルミニウム合金基体1の表面が粗面化されていると、その表面に形成される金属化合物皮膜2および脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体被膜3の表面も粗面化されて微小な凹凸を生じる。そして、接合される樹脂4が脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体被膜3の表面の凹部に入り込むことによりに所謂アンカー効果が生じて接合強度をよりいっそう向上することができる。
必要に応じて上述の洗浄処理および/または粗面化処理を実施した後、アルミニウム合金基体1の表面に、金属化合物処理(「化合物処理」ともいう)を実施して、水酸化物、水和酸化物、アンモニウム塩、カルボン酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩およびフッ化物の少なくとも1つを含む金属化合物皮膜2(「化合物皮膜」ともいう)を形成する。
金属化合物処理は以下に示す化合物、酸等の少なくとも1つを用いて、例えばこれらの水溶液に浸漬することにより実施する。
アルカリ処理および酸性処理について、以下に具体的に用いる溶液を示して説明する。
アルカリ処理に用いる金属化合物処理液(アルカリ化合物の水溶液)にアルミニウム合金基体1を浸漬し金属化合物処理を行うことができる。
リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムのようなI族元素(周期律表でI族の元素)の水酸化物;I族元素の塩;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウムのようなII族元素(周期律表でII族の元素)の水酸化物およびII族元素の塩の水溶液を用いることができる。これらの何れかを用いることにより、アルミニウム合金基体1の表面に、水酸化物を主成分とする金属化合物皮膜2が生成する。このような金属化合物皮膜2の主成分となる水酸化物の例として水酸化アルミニウム、金属水酸化物(金属はアルミニウム合金基体1に含まれる金属)がある。
I族元素の水酸化物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが例示される。例えば、水酸化ナトリウムの水溶液を用いて金属化合物処理を行う場合、水酸化ナトリウムの濃度0.04〜0.4g/L、温度30〜80℃で処理を行うのが好ましい。
また、II族元素の塩とは、II族元素と弱酸とにより生ずる塩であり、その水溶液がアルカリ性を示す金属塩である。主に弱酸とII族元素とが結合して生じる塩であり、このようなII族元素の塩としては、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、および酢酸バリウムが例示される。例えば、酢酸バリウムの水溶液を用いて金属化合物処理を行う場合、酢酸バリウムの濃度0.05〜100g/L、温度30〜80℃で処理を行うのが好ましい。
アンモニア、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体または水溶性アミンの化合物の水溶液もアルカリ性を示す。これらの水溶液にアルミニウム合金基体1を浸漬しても金属化合物皮膜を形成できる。アルミニウム合金基体1の表面に、水酸化アルミニウム、金属水酸化物(金属はアルミニウム合金基体1に含まれる金属)のような水酸化物を主成分とする金属化合物皮膜2が生成する。アンモニア、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、水溶性アミンは、広い意味でのアミン系化合物であり、アンモニア、ヒドラジン以外ではヒドラジン誘導体として加水ヒドラジン、炭酸ヒドラジン等を、水溶性アミンとしてメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、アリルアミン等を用いることができる。例えば、ヒドラジンの水溶液を用いて金属化合物処理を行う場合、ヒドラジンの濃度0.5〜100g/L、温度30〜80℃であることが好ましい。
例えば、炭酸ナトリウムの水溶液を用いて金属化合物処理を行う場合、水溶液は炭酸ナトリウムの濃度:0.05〜10g/L、温度:30〜90℃の範囲内であることが好ましい。
ベーマイト処理液を用いたベーマイト処理により金属化合物処理を行うことができる。
ベーマイト処理とは、(1)水(純水)または0.3%トリエタノールアミン水溶液もしくは0.3%アンモニア水溶液のような弱アルカリ性(pH7より大きく12以下(好ましくは12未満))水溶液(ベーマイト処理液)を50℃以上(好ましくは80℃以上)に加熱し、この加熱した水または弱アリカリ性水溶液にアルミニウム合金基体1を浸漬する、または(2)加圧水蒸気中にアルミニウム合金基体1に暴露する処理である。
金属化合物処理液として純水または水蒸気を用いる場合は、金属化合物処理液は中性であるため厳密にはアルカリ処理ではないが、本明細書においては便宜上「アルカリ処理」の項目に記載した。
なお、ベーマイト処理に用いる金属化合物処理液は、反応が水和反応であり、水酸基を効率よく形成させるために弱アリカリ性であることが好ましい。
純水に添加剤としてアンモニア、アミン、アルコールアミン、アミド系物質の少なくとも1つを添加し、pHを10〜12程度に調整したベーマイト処理液を用いる。好ましいベーマイト処理液の一例は、3g/Lのトリエチルアミン水溶液であり、そのpHは約10である。処理温度は好ましくは50〜100℃の範囲で、より好ましくは80〜100℃、さらに好ましくは90〜100℃である。この範囲内であれば、比較的短い時間で緻密な金属化合物皮膜を得ることが可能である。処理時間は1〜120分が好ましい。形成される皮膜の厚さは、0.02〜10μm程度である。
(1)リン酸、リン酸塩
リン酸、例えばリン酸水素亜鉛、リン酸水素マンガン、リン酸水素カルシウムのようなリン酸水素金属塩、例えばリン酸二水素カルシウムのようなリン酸二水素金属塩、および例えばリン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸カルシウム、リン酸カルシウムナトリウム、リン酸ジルコニウムのようなリン酸金属塩等の−H2PO4、−HPO4または−PO4を含有するリン酸およびリン酸塩の溶液を用い、金属化合物処理を行う。なお、本明細書でいうリン酸とはオルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等を含む広義の酸性のリン酸であり、リン酸塩とは、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等の広義の酸性のリン酸の化合物を含む概念である。
タンニン酸のようなカルボン酸水溶液を用い、アルミニウム合金基体1に金属化合物処理を行う。これにより、アルミニウム合金基体1の表面に、カルボン酸のアルミニウム塩および/または金属塩、および/または水酸化物を主成分とする金属化合物皮膜が生成する。
フッ化水素酸、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、ケイフッ化水素酸、ケイフッ化アンモニウム、ホウフッ化水素酸、ホウフッ化アンモニウムのようなフッ化物水溶液にアルミニウム合金基体1を浸漬しても金属化合物皮膜を形成ができる。これにより、アルミニウム合金基体1の表面に、フッ化アルミニウムおよび/またはアルミニウム以外の金属を含む金属フッ化物および/または水酸化アルミニウムおよびアルミニウム合金基体1に含まれる金属の水酸化物のような水酸化物を主成分とする金属化合物皮膜2が形成される。例えば、フッ化水素アンモニウム水溶液を用いて金属化合物処理を行う場合、水溶液は、濃度:1〜60g/L、温度:30〜70℃であることが好ましい。
I族元素の水酸化物、I族元素の塩、II族元素の水酸化物、II族元素の塩を用いた処理およびベーマイト処理が好ましい理由は、水酸化物、水和酸化物がアルミニウム合金基体表面に密に形成されやすく、そのOH基および酸基がトリアジンチオール誘導体のアルコキシシランが加水分解して生成するシラノールと結合しやすいこと、及びその結合強度が大きいからである。リン酸、リン酸塩による処理が好ましい理由は、金属化合物皮膜として形成されるリン酸塩化合物は大きな極性を有し、トリアジンチオール誘導体のアルコキシシランが加水分解して生成するシラノールと結合しやすいためと考えられる。
また、これらのなかでもベーマイト処理が、より好ましい。
すなわち、複数の上述した金属化合物処理に用いる溶液(金属化合物処理液)を混合した溶液を用いて金属化合物皮膜を形成してもよい。また、上述した金属化合物処理に用いる溶液(金属化合物処理液)のうちの一種類を用いて金属化合物処理を行った後、別の種類の金属化合物処理液を用いて更に金属化合物処理を行ってもよい。
例えば、表面粗さRaが0.10μm以下であるアルミニウム合金基体1の表面に、上述した粗面化処理を行って、Raを0.12〜0.60μmとした後、更に上述の金属化合物処理を施すことで、Raが0.15μm以上の金属化合物皮膜2を形成することができる。また、粗面化処理を行わない場合、すなわち例えばRaが0.10μm以下であるアルミニウム合金基体1の表面に粗面化処理を行わずに金属化合物処理を行った場合、形成された金属化合物皮膜2の表面粗さRaは0.15μm未満である。
金属化合物被膜2の表面粗面化は、金属化合物被膜2の上に形成される脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体被膜3と金属化合物皮膜2との接触面積を増加できることから、接合強度の向上に寄与する。
上述の方法により、アルミニウム合金基体1の表面に金属化合物皮膜2を形成した後、金属化合物皮膜2にアルコキシシラン含有トリアジンチオール誘導体を被覆する。
用いるアルコキシシラン含有トリアジンチオール誘導体は、例えばアルコキシシラン含有トリアジンチオール金属塩のような、既知のものでよい。
即ち、以下の(式1)または(式2)に示した一般式で表される。
ラジカル開始剤は、樹脂を成形する際に行う加熱等の熱による分解でラジカルを生じ、上記マレイン酸による2つの二重結合部の他方の結合を開き、樹脂と反応、結合させる作用を有する。
アルミニウム金属基体1の表面に金属化合物皮膜2および脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体層3を有するアルミニウム合金部材と樹脂4とを接合(複合一体化)してアルミニウム物品100を得る。樹脂4は、加熱した状態で脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体層3と接触するように配置される。これにより、樹脂4と脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体3のトリアジンチオール誘導体部分(トリアジンチオール金属塩部分またはビスマレイミド類を結合したトリアジンチオール誘導体)が、ラジカル開始剤のラジカルを媒介として反応し、化学的結合を生じる。
なお、樹脂は、脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体被膜3の一部にのみ配置してもよい。
接着剤(樹脂4)は、ガラス繊維、セラミック粉体、カーボン繊維等の強化材を含んでもよい。また、熱硬化樹脂に充填剤を配合し、強化繊維に含浸してシート状にした未硬化材料のシート・モールディング・コンパウンド(SMC)またはプレプリグや熱硬化性樹脂に充填剤とガラス繊維などをミキサーで混合してバルク状にしたバルク・モールディング・コンパウンド(BMC)でもよい。室温で接着する場合は、接着剤が室温で反応硬化するものである必要がある。
長さ80mm、幅20mm、厚さ1.5mmのA5052(日本工業規格、JIS A5052P)のアルミニウム合金圧延板(実施例1〜22、比較例1〜30)、および長さ80mm、幅20mm、厚さ2.0mmのADC12(日本工業規格、JIS ADC12)のアルミニウム合金ダイカスト板(実施例23〜44)を以下に詳細を示す方法により処理した。
洗浄処理の前に、株式会社キーエンス製レーザー顕微鏡VK−8710を用い、表面粗さRa(JIS B0601:2001に規定されている算術平均粗さRa)を測定した。A5052の圧延板のRaは0.08μmであり、ADC12ダイカスト板のRaは0.10μmであった。
洗浄処理後に測定した表面粗さRaは、A5052圧延材では、0.08μmであり、ADC12ダイカスト板では0.11μmであり、洗浄処理前のサンプルとほとんど変わらなかった。
これらの条件について表1および表2に示す。
表1に用いた処理液(水溶液)の種類、濃度およびpHと、それぞれの処理液に浸漬した時間とを示す。
実施例1〜6および実施例23〜28のサンプルについては粗面化処理を実施しなかった。
次に表1および表2に示す条件で金属化合物処理を行った。
なお、比較例1〜22のサンプルについては金属化合物処理を行わなかった。
ベーマイト処理液として濃度3g/L、pH8.0のトリエタノールアミン水溶液を用いた。水溶液の温度を95℃にして、サンプルを水溶液中に15分浸漬した。そしてアルミニウムの水和酸化物であるベーマイト(γ−AlO・OHとα−Al2O3)を主成分とする金属化合物皮膜を得た。
次に実施例サンプルの全て(実施例1〜44)および比較例12〜22のサンプルについてアルコキシシラン含有トリアジンチオール溶液中に浸漬した。
用いたアルコキシシラン含有トリアジンチオール誘導体は、トリエトキシシリルプロピルアミノトリアジンチオールモノナトリウムであり、濃度が0.7g/Lとなるようにエタノール95:水5(体積比)の溶媒に溶解し、溶液を得た。このトリエトキシシリルプロピルアミノトリアジンチオールモノナトリウム溶液に室温で30分間浸漬した。
表1および表2に示す樹脂とそれぞれのサンプルを接合して、アルミニウム合金物品のサンプルを得た。
実施例16、18、20、22、38、40、42および44のサンプルでは射出成形により接合を行った。
すなわち、樹脂は金型内で、長さ80mm、幅20mm、厚さ3mmの板となるように成形され、1つの面の端末部の長さ12mm、幅20mmの部分が、上述の処理を行ったアルミニウム合金板サンプルの端末部上に配置され長さ12mm、幅20mmの部分と接触し、この部分を接合させた。
すなわち、表1および表2に示す種類の樹脂板と接触するように耐熱テープでそれぞれのサンプルを固定し、そして各々の樹脂の樹脂融点(または溶融可能な温度)に設定した加熱体の上に耐熱テープで固定したサンプルを配置し、このサンプルを上方から9kgfの荷重で加圧して、熱融着させることにより上述の射出成形で得たアルミニウム合金物品サンプルと同じ形状のアルミニウム合金物品サンプルを得た。
実施例16および38のサンプルでは、ポリプラスチックス株式会社製PPS樹脂(フォートロンPPS 1140A64)を320℃で射出成形し、アルミニウム物品サンプルを得た。
実施例1〜20、23〜42および比較例1〜30のサンプルについては以下に詳細を示す引張試験を行った。
一方、実施例21、22、43および44のサンプルについては、以下に詳細を示す90度剥離試験を行った。
表3および表4の結果は各サンプルについて3回行った試験結果の平均値を示している。
Claims (12)
- アルミニウムまたはアルミニウム合金より成る基体と、該基体の表面の少なくとも一部分に、脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体被覆を介して接合する樹脂とを含むアルミニウム合金物品であって、
前記基体と前記脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体被覆との間に、リン酸塩を主成分とする金属化合物皮膜を含むことを特徴とするアルミニウム合金物品。 - 前記金属化合物皮膜が、リン酸水素金属塩、リン酸二水素金属塩およびリン酸金属塩よりなる群から選択される少なくとも1つのリン酸塩を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金物品。
- 前記金属化合物皮膜が、リン酸亜鉛、リン酸水素亜鉛、リン酸マンガン、リン酸水素マンガン、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カルシウムナトリウム、リン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、リン酸バナジウムおよびリン酸ジルコニウムバナジウムよりなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム合金物品。
- アルミニウムまたはアルミニウム合金より成る基体の少なくとも一部分に、アルコキシシラン含有トリアジンチオール誘導体を用いて樹脂を接合する、アルミニウム合金物品の製造方法であって、
リン酸およびリン酸塩から選択される少なくとも1つの水溶液を用いて前記基体の表面の少なくとも一部に、リン酸塩を主成分とする金属化合物皮膜を形成する工程と、
前記金属化合物皮膜に、アルコキシシラン含有トリアジンチオール誘導体を接触させる工程と、
前記アルコキシシラン含有トリアジンチオール誘導体を接触させた部分に樹脂を接合する工程と、
を含むことを特徴とする製造方法。 - 前記溶水液が、リン酸亜鉛、リン酸水素亜鉛、リン酸マンガン、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸カルシウムナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸バナジウムおよびリン酸ジルコニウムバナジウムよりなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
- 前記金属化合物を形成する工程の前に、前記アルミニウム合金基体の表面粗さを増加させる粗面化処理工程を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
- アルミニウムまたはアルミニウム合金より成る基体と、該基体の表面の少なくとも一部分に、脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体またはシラノール含有トリアジンチオール誘導体を被覆したアルミニウム合金部材であって、
前記基体と前記脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体被覆または前記シラノール含有トリアジンチオール誘導体被覆との間に、リン酸塩を主成分とする金属化合物皮膜を含むことを特徴とするアルミニウム合金部材。 - 前記金属化合物皮膜が、リン酸水素金属塩、リン酸二水素金属塩およびリン酸金属塩よりなる群から選択される少なくとも1つのリン酸塩を含むことを特徴とする請求項7に記載のアルミニウム合金部材。
- 前記金属化合物皮膜が、リン酸亜鉛、リン酸水素亜鉛、リン酸マンガン、リン酸水素マンガン、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カルシウムナトリウム、リン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、リン酸バナジウムおよびリン酸ジルコニウムバナジウムよりなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする特徴とする請求項8に記載のアルミニウム合金部材。
- アルミニウムまたはアルミニウム合金より成る基体の少なくとも一部分に、アルコキシシラン含有トリアジンチオール誘導体を接触させるアルミニウム合金部材の製造方法であって、
リン酸およびリン酸塩から選択される少なくとも1つの水溶液を用いて前記基体の表面の少なくとも一部に、リン酸塩を主成分とする金属化合物皮膜を形成する工程と、
前記金属化合物皮膜に、アルコキシシラン含有トリアジンチオール誘導体を接触させる工程と、
を含むことを特徴とする製造方法。 - 前記溶水液が、リン酸亜鉛、リン酸水素亜鉛、リン酸マンガン、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸カルシウムナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸バナジウムおよびリン酸ジルコニウムバナジウムよりなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
- 前記金属化合物を形成する工程の前に、前記アルミニウム合金基体の表面粗さを増加させる粗面化処理工程を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の製造方法。
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