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JP5816154B2 - ハイブリッド電気自動車の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、走行用の駆動源としてエンジンと電動機とを備え、クラッチの断接により駆動源の切り替えが可能なハイブリッド電気自動車の制御装置に係り、詳しくは走行モード選択制御に関する。
近年、燃費や排ガス性能の向上等を目的に、駆動源としてエンジンと電動機(以下モータという)とを備えるハイブリッド電気自動車が開発されている。
例えばエンジンとモータとの間にクラッチが設けられ、当該クラッチの断接により駆動源の切り替えを行うことができるハイブリッド電気自動車がある。このようなハイブリッド電気自動車においては、エンジンを停止させクラッチを遮断しておくことで、モータのみでの走行を行うことができる。また、モータ又はエンジンの駆動トルクのみでは要求される駆動トルクを達成できないような場合には、クラッチを接続することで、エンジンとモータとを合わせた駆動トルクを使用することができる。
従って、ハイブリッド電気自動車ではモータのみでの走行、エンジンのみでの走行、モータとエンジンの両方を用いた走行を状況に合わせて切り替えることで効率のよい運転を実現させている。
例えば、車両加速時に車両の運転状態に応じてモータアシスト量を決定し、その決定したアシスト量をそのときの蓄電装置(バッテリ)の充電量(SOC:State Of Chargeともいう)に応じて補正するハイブリッド電気自動車が開発されている(特許文献1参照)。
また、アクセル開度から要求トルクを算出し、当該要求トルクを出力する駆動源としてエンジン効率とモータ効率とを比較して効率のよい方の駆動源を選択するハイブリッド電気自動車も開発されている(特許文献2参照)。
特開2000−69609号公報 特開2002−118903号公報
しかしながら、上記特許文献1のようにバッテリのSOCに基づいてモータのアシスト量を設定した場合、SOCが十分でありモータのアシスト量を大きくしエンジンのトルク配分を小さくすると却ってエンジンの効率の悪い運転を行うことになる場合がある。
上記特許文献2では、エンジンとしてガソリンエンジンを想定しているが、ガソリンエンジンよりも基本的に効率がよいディーゼルエンジンの場合は効率のよい運転領域がガソリンエンジンとは異なっており、当該特許文献2の技術をディーゼルエンジンのハイブリッド電気自動車にそのまま適用するのは困難である。
また、エンジンとモータとの切り替えをクラッチの断接で行うハイブリッド電気自動車においては、クラッチを遮断してモータのみで走行していた状態から、クラッチを接続してエンジンを使用しての走行に切り替える際には、トルクショックを抑制するためエンジン側とモータ側との回転を合わせる必要がある。この際に、停止又はアイドリング運転していたエンジンの回転数を高めるために、比較的多くの燃料が消費される。このため、駆動源の切り替えが頻繁に行われると燃費が悪化するという問題もある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、効率のよい駆動源の選択を行うとともに、駆動源切替時のトルクショックを抑制しつつ燃費悪化を低減することのできるハイブリッド電気自動車の制御装置を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1のハイブリッド電気自動車の制御装置では、駆動源としてエンジン及び電動機を備えたハイブリッド電気自動車の制御装置であって、前記エンジン及び前記電動機との間に設けられ、当該エンジンから当該電動機を介して駆動輪へと伝達される当該エンジンの駆動力の接続及び遮断を行うクラッチと、アクセル開度に基づく要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、前記電動機を駆動源として走行する際に、前記クラッチを接続状態とし、前記エンジンによる駆動力を発生させずにエンジン回転のみを維持するよう当該エンジンを制御するエンジン制御手段と、前記要求トルク及び前記エンジン回転数に応じて、少なくとも、駆動源として前記エンジンのみを用いるエンジン走行モードと駆動源として前記電動機のみを用いるモータ走行モードとが定められたマップに基づき、エンジン及び電動機のいずれか一方又は両方を駆動源として選択する走行モード選択制御手段と、を備え、前記走行モード選択制御手段における前記マップは、前記エンジン走行モードと比べて前記エンジンの効率が低く、且つ前記要求トルク及び前記エンジン回転数における使用頻度の高い領域と一部重なる所定の運転領域をクラッチ接モータ走行モードの領域とし、当該クラッチ接モータ走行モードでは、前記電動機を駆動源としつつ、前記エンジン制御手段により前記クラッチを接続状態とし、前記エンジンによる駆動力は発生させずにエンジン回転のみを維持するよう当該エンジンを制御することを特徴としている。
請求項2のハイブリッド電気自動車の制御装置では、請求項1において、さらに前記電動機に電力を供給するバッテリの充電量を検出する充電量検出手段を備え、前記走行モード選択制御手段は、前記充電量検出手段により検出される前記バッテリの充電量が所定の充電量より大である場合には、前記マップに関わらず、前記電動機を駆動源としつつ、前記エンジン制御手段により前記クラッチを遮断状態とするクラッチ断モータ走行モードを選択することを特徴としている。
上記手段を用いる本発明のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、クラッチ接モータ走行モードでは、電動機を駆動源として走行、クラッチを接続状態とし、エンジンによる駆動力を発生させずにエンジン回転のみを維持することとする。つまり、クラッチを接続状態とすることでエンジンを電動機と同期回転させつつ、エンジンの回転を維持できる程度の少量の燃料のみを供給することで、電動機への負荷が増加しないようにする。
これにより、駆動源として電動機を用いた走行からエンジンを用いた走行に移行する際にクラッチの回転数を合わせる必要がなく円滑に走行モードを移行させることができ、且つ回転数合わせのための余計な燃料を消費することがなくなる。そして、クラッチは接続したままなので、トルクショック等もなく運転者に違和感を与えることもない。従って、駆動源切替時のトルクショックを抑制しつつ燃費悪化を低減することができる。
また、本発明のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、要求トルク及びエンジン回転数に応じて走行モードを定めたマップに基づいて駆動源を選択する。当該マップは、エンジンの効率と要求トルク及びエンジン回転数の使用頻度とから定められた所定の運転領域内については、電動機を駆動源としつつ、クラッチを接続状態とし、エンジンによる駆動力は発生させずにエンジン回転のみを維持する走行モードを選択するよう設定されている。
このように、エンジンの効率と運転状態の使用頻度とから電動機を駆動源とする範囲を定めることで、エンジンの効率と使用頻度に応じて電動機を使用することができる。これにより、効率のよい駆動源の選択を行うことができる。
さらに、本発明のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、走行モードを決めるマップにおいて、電動機を駆動源としつつ、クラッチを接続状態とし、エンジンによる駆動力は発生させずにエンジン回転のみを維持する所定の運転領域をエンジンの効率が低く且つ要求トルク及びエンジン回転数の使用頻度の高い範囲に定めることとする。
つまり、エンジン効率が悪く頻繁に使用する運転領域についてはエンジンを駆動源とせず、電動機による運転を積極的に行うこととする。クラッチを接続させたままエンジン回転を維持しておくことによる効果は、走行モードが頻繁に切り替わる運転条件で特にその効果を奏することから使用頻度の高い領域を所定領域とすることでより効率的となる。これによりエンジン効率の悪い走行を回避でき、燃費を改善した効率のよい駆動源の選択を行うことができる。
本発明の一実施形態におけるハイブリッド電気自動車の制御装置の概略構成図である。 本発明の一実施形態におけるハイブリッド電気自動車の制御装置のECUに記憶された走行モード選択マップの一例である。 図2における駆動源切替ラインを設定する説明図である。 各変速段ごとの駆動源切替ラインを示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るハイブリッド電気自動車の制御装置のECUが実行する減速時クラッチ制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態におけるハイブリッド電気自動車の制御装置の概略構成を示したブロック図であり、同図に基づき説明する。
図1に示す車両1は、駆動源としてエンジン2及びモータ4(電動機)を備えるハイブリッド電気自動車のトラックである。
エンジン2は、ディーゼルエンジンであり、当該ディーゼルエンジンには図示しないDPF(Diesel particulate filter)等の排気処理装置等が設けられている。当該エンジン2とモータ4との間にはクラッチ6が設けられている。当該クラッチ6の入力軸(入力側)にはエンジン2の出力軸が、当該クラッチ6の出力軸(出力側)にはモータ4の回転軸がそれぞれ連結されている。
モータ4は発電も可能な例えば永久磁石式同期電動機であり、モータ4の回転軸は変速機8の入力軸と連結されている。変速機8は複数のギヤを備えており、選択された変速段に応じたギヤを介することで入力された駆動力を変速して、当該変速機8の出力軸に伝達する。そして、変速機8の出力軸からプロペラシャフト10、差動装置12、及び駆動軸14を介して左右の駆動輪16へと駆動力が伝達されるよう構成されている。
また、モータ4は、車両1に搭載されたバッテリ18とインバータ20を介して接続されており、当該バッテリ18からの電力供給を受けてトルクを発生させる。バッテリ18は例えばリチウムイオン、ニッケル水素等の二次電池であり、インバータ20がバッテリ18からの直流電力を交流電力に変換してモータ4に電力を供給する。一方、車両減速時等には、モータ4が発電機(ジェネレータ)として機能し、回生駆動する。つまり、駆動輪16から逆に伝達される駆動力によりモータ4が交流電力を発電するとともに、このときモータ4が発生する回生トルクが駆動輪16に対する制動トルクとして作用し、いわゆる回生ブレーキとして機能する。そして、この交流電力は、インバータ20によって直流電力に変換された後、バッテリ18に充電されることで、駆動輪16の回転による運動エネルギが電気エネルギとして回収される。
当該構成の車両1は、クラッチ6が遮断状態にあるときには、モータ4の回転軸のみが変速機8を介して駆動輪16と機械的に接続されることになる。つまり、モータ4により発生するトルク(以下、モータトルクという)のみが車両1の駆動トルク又は制動トルクとして駆動輪16に伝達される。このように駆動源としてモータ4のみを用いた走行を以下モータ走行という。
一方、クラッチ6が接続状態にあるときには、エンジン2の出力軸がモータ4の回転軸を介して変速機8、駆動輪16等と機械的に接続されることとなる。つまり、このときモータトルクを0として、エンジン2のみを作動した場合にはエンジン2により発生するトルク(以下、エンジントルクという)のみが車両1の駆動トルク又は制動トルクとなる。このように駆動源としてエンジン2のみを用いた走行を以下エンジン走行という。
また、この状態でモータ4も作動させればモータトルクとエンジントルクとの和が車両1の駆動トルク又は制動トルクとなる。このように駆動源としてエンジン2及びモータ4の両方を用いた走行を以下ハイブリッド走行という。
車両1には、このようなモータトルク及びエンジントルクの配分の調整等をすべく、エンジン2、モータ4、クラッチ6、及び変速機8を統合的に制御するECU(電子コントロールユニット)22が搭載されている。
ECU22には、各エンジン2、モータ4、クラッチ6、変速機8それぞれの制御ユニット(図示せず)とCAN(Controller Area Network)等を用いて通信可能に接続されている。
例えば、ECU22は、エンジン2から燃料の噴射量や噴射時期等の情報、クラッチ6からクラッチ6の接続状態等の情報、モータ4からモータ回転数情報及びモータトルク情報、変速機8から現在選択されている変速段情報、バッテリ18からSOC情報等の各種情報を取得する。
さらに、車両1には、エンジン2の回転数を検出するエンジン回転数センサ24(エンジン回転数検出手段)、アクセルペダルの踏み込みに応じたアクセル開度を検出するアクセルセンサ26等のセンサ類が設けられている。ECU22はこれら各センサ24、26とも情報伝達可能に接続されている。
このように構成されたECU22は、バッテリ18のSOCや車両1の運転状態を監視し、燃費や排ガス性能の最適化を図りつつ、運転者の要求に応じた運転を行うべくエンジン2、モータ4、クラッチ6、変速機8等を制御する。
例えば、ECU22は、アクセルセンサ26により検出されるアクセル開度から運転者の要求トルクを算出する(要求トルク算出手段)。当該ECU22には、要求トルク及びエンジン回転数に応じて、モータ走行、エンジン走行、ハイブリッド走行の各走行モードを選択するための走行モード選択マップが変速機8の変速段毎に記憶されている。そしてECU22は当該マップ及びその他各種運転状態に基づいて走行モードを選択する(走行モード選択制御手段)。
ここで図2〜図4を参照すると、図2には走行モード選択マップの一例が、図3には図2における駆動源切替ライン設定の説明図が、図4には各変速段ごとの駆動源切替ラインを示す説明図がそれぞれ示されている。なお、これら各図に示すマップの横軸はエンジン回転数を、縦軸は要求トルクをそれぞれ示している。また図2、図3に示す走行モード選択マップは変速機8が第3速の場合のものとする。
図2に示すように、走行モード選択マップには、低エンジン回転数及び低要求トルクの領域にモータ走行モードとするモータ走行領域が設定されており、当該モータ走行領域よりも高エンジン回転数及び高要求トルクの領域にはエンジン走行モードとするエンジン走行領域が設定されている。
また、当該マップには、エンジン2の出力可能な最大トルク(以下、エンジン最大トルクという)を示すラインが高要求トルクの範囲において上に凸の形状をなして示されている。そして、低エンジン回転数であって、エンジン最大トルクのラインよりも要求トルクが高い領域については、エンジントルクのみで不足するトルクをモータトルクにより補うハイブリット走行モードとするハイブリッド走行領域が設定されている。
モータ走行領域においてECU22は、要求トルクに応じてモータ4の駆動力を発生させつつ、クラッチ6を接続状態としてエンジン2による駆動力を発生させずにエンジン回転のみ維持するようエンジン2を制御する(エンジン制御手段)。つまり、ECU22は、クラッチ6を接続状態とすることでエンジン2をモータ4と同期回転させつつ、エンジン2の回転を維持できる程度の少量の燃料を供給してモータ4への負荷が増加しないようにする。そして、ECU22は走行モード選択マップにおいて要求トルク及びエンジン回転数がエンジン走行領域に移行した際には、クラッチ6を接続したまま、モータトルクを徐々に低下させつつエンジントルクを徐々に上昇させ、最終的には要求トルクの全てをエンジントルクでまかなうようにしてエンジン走行モードに移行する。
図2の走行モード選択マップにおいて、モータ走行領域とエンジン走行領域との境界線で駆動源の切替が行われることとなり、当該ライン(以下、駆動源切替ラインという)は、エンジン2において消費する燃料に対して得られるエネルギの効率(以下、エンジン効率という)と、通常の車両走行において使用されるエンジン回転数と要求トルクの頻度(以下、使用頻度という)と、モータ4の出力可能な最大トルクを示すライン(以下、モータ最大トルクラインという)とに基づいて設定される。
詳しくは、図3に示すように、駆動源切替ラインはモータ最大トルクのライン形状と同じようにエンジン回転数が高くなるほど低エンジン効率側に拡がった形状をなし、高使用頻度領域と一部重なるようになっている。
さらに、図4に示すように、駆動源切替ラインは変速段が3速、4速、5速、6速へと高くなるほど、エンジン効率の低い低要求トルク側であって高エンジン回転数側まで延びた形状となる。また、図示しないが、当該駆動切替ラインはバッテリ18のSOC別にも設定されており、SOCが低い程モータ走行領域が縮小する傾向にある。
ECU22は、このように設定された走行モード選択マップと、その他の各種運転状態に基づいて走行モードを選択する。
ここで図5を参照すると、走行モード選択制御ルーチンを示すフローチャートが示されており、以下同フローチャートに沿って説明する。なお、当該走行モード選択制御ルーチンは、アクセルペダルが踏み込まれている走行状態のときに実行されるものとする。
まず、ECU22は図5のステップS1として、バッテリ18のSOCが第1所定値以上であるか、又は車両発進時であるか否かを判別する。当該第1所定値は、例えばバッテリ18を通常に使用可能なSOCの範囲の上限値(例えば60%)に設定されている。当該判別結果が真(Yes)である場合は、ステップS2に進む。
ステップS2では、ECU22はクラッチ6を遮断状態としたモータ走行を行うようモータ4等を制御し、当該ルーチンをリターンする。これはステップS1の条件を満たすようなバッテリ18のSOCが十分ある場合においてはエンジン2を長期間使用する予定がなく、車両発進時においてはエンジン停止状態にあることから、クラッチ6を接続しエンジン回転を維持するために少量の燃料を消費するよりも、クラッチ6を遮断してエンジン2を停止した方が燃費の向上が図れる。そこで、ECU22は当該ステップS2においては図2で示した走行モード選択マップに関わらず、クラッチ6を遮断してのモータ走行モードを選択することとしている。
一方、ステップS1の判別結果が偽(No)である場合、即ちSOCが第1所定値以下であり、車両発進時でもない場合は、ステップS3に進む。
ステップS3において、ECU22は、要求トルクがエンジン最大トルクより大であるか否かを判別する。当該判別結果が真(Yes)である場合、即ち、要求トルクが図2の走行モード選択マップ上のハイブリッド走行領域である場合はステップS4に進む。
ステップS4においてECU22は、エンジントルクで不足するトルクをモータトルクにより補うハイブリッド走行を行うようエンジン2及びモータ4を制御し、当該ルーチンをリターンする。
一方、ステップS3の判別結果が偽(No)である場合、即ち要求トルクがエンジン最大トルク以下である場合は、ステップS5に進む。
ステップS5において、ECU22は、バッテリ18のSOCが第2所定値より大であるか否かを判別する。当該第2所定値は、例えばバッテリ18を通常に使用可能なSOCの範囲の下限値(例えば35%)に設定されている。当該判別結果が真(Yes)である場合、即ちモータ4の使用が可能なSOCである場合は、次のステップS6に進む。
ステップS6において、ECU22は、変速機8のギヤ段が所定段より大であるか否かを判別する。当該所定段は例えば車両1の発進の際に選択するギヤ段(例えば第3速)に設定されている。当該判別結果が真(Yes)である場合は、次のステップS7に進む。
ステップS7において、ECU22は、要求トルク及びエンジン回転数が図2で示した走行モード選択マップにおいて駆動源切替ラインで囲まれた範囲内(モータ走行領域内)であるか否かを判別する。当該判別結果が真(Yes)である場合は次のステップS8に進む。
ステップS8において、ECU22は、要求トルクがモータ最大トルク制限値より小であるか否かを判別する。当該モータ最大トルク制限値は、モータ最大トルクを制限する値であり、モータ4の温度やSOC等の状態に応じて設定される。当該判別結果が真(Yes)である場合、即ちモータ4のみで要求トルクまで発生させることができる場合には、次のステップS9に進む。
ステップS9において、ECU22は、エンジン2に設けられているDPFが非再生中であるか否かを判別する。当該判別結果が真(Yes)である場合は、即ち上記ステップS5〜S9の条件を全て満たす場合は、ステップS10に進む。
ステップS10において、ECU22は、クラッチ6を接続状態としたモータ走行を選択し、当該ルーチンをリターンする。上述したようにこのときECU22は、エンジン2に対し駆動力を発生させずエンジン回転のみを維持するよう制御する。
一方、上記ステップS5〜S9の判別結果のいずれかが偽(No)である場合は、ステップS11に進む。例えば、バッテリ18のSOCが第2所定値以下でモータ4の使用が困難となった場合、ギヤ段が所定段より小でありトルクの変動が大きい場合、要求トルク及びエンジン回転数が駆動源切替ラインの範囲外でありエンジン効率が低い領域にない場合、要求トルクがモータ最大トルク制限値以上でありモータ4単体では要求トルクを満たせない場合、又はDPF再生中でエンジン2の運転が必要である場合は、ステップS11に進む。
ステップS11において、ECU22は、クラッチ6を接続状態としてエンジン単体での走行を行うようエンジン2を制御し、当該ルーチンをリターンする。
以上のように、ECU22は、ステップS10にて、モータ4を駆動源とした走行を行う際に、クラッチ6を接続状態とし、エンジン2による駆動力を発生させずにエンジン回転のみを維持する。これにより、ステップS4やステップS11におけるエンジン2を駆動源とする走行に移行する際に、クラッチ6を接続するためにエンジンの回転数を合わせる必要がなく円滑に走行モードを移行させることができ、且つ、回転数合わせのための余計な燃料を消費することがなくなる。そしてクラッチ6は接続したままなので、トルクショック等もなく運転者に違和感を与えることもない。
このステップS10におけるモータ走行は、主に走行モード選択マップに基づき選択され、当該マップにおいては当該モータ走行を行う領域をエンジン2の効率及び使用頻度、またモータ最大トルクに応じて設定していることで、効率のよい駆動源の選択を実現させることができる。
具体的には、エンジン効率が悪く頻繁に使用する運転領域についてはエンジン2を駆動源とせず、モータ4による運転を積極的に行うこととする。そして、このときのクラッチ6を接続させたままエンジン回転を維持しておくことによる効果は、走行モードが頻繁に切り替わる運転条件で特に効果を奏することから、使用頻度の高い領域を当該モータ走行領域とすることでより効率的となる。
これらのことから、本実施形態に係るハイブリッド電気自動車の制御装置では、エンジン効率の悪い走行を回避し、燃費を改善した効率のよい駆動源の選択を行うことができ、なおかつ駆動源切替時のトルクショックを抑制しつつ燃費悪化を低減することができる。
以上で本発明に係るハイブリッド電気自動車の制御装置の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、車両1はトラックとしているが、本発明はディーゼルエンジンを搭載したハイブリッド電気自動車の乗用車にも適用することができる。
また、上記実施形態の図2〜図4で示したマップは、駆動源切替ライン等の傾向の一例を示したものであり、各車両の使用に合わせて変化するものである。例えば、駆動源切替ラインは、モータ最大トルクの形状と同じような形状にする必要はなく、少なくともエンジン効率と使用頻度に基づいて設定されていればよい。また、図4で示したように変速段に応じて駆動源切替ラインを変化させず固定してもよい。
1 車両
2 エンジン
4 モータ(電動機)
6 クラッチ
8 変速機
18 バッテリ
22 ECU(エンジン制御手段、要求トルク算出手段、走行モード選択制御手段)
24 エンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段)
26 アクセルセンサ

Claims (2)

  1. 駆動源としてエンジン及び電動機を備えたハイブリッド電気自動車の制御装置であって、
    前記エンジン及び前記電動機との間に設けられ、当該エンジンから当該電動機を介して駆動輪へと伝達される当該エンジンの駆動力の接続及び遮断を行うクラッチと、
    アクセル開度に基づく要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、
    前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
    前記電動機を駆動源として走行する際に、前記クラッチを接続状態とし、前記エンジンによる駆動力を発生させずにエンジン回転のみを維持するよう当該エンジンを制御するエンジン制御手段と、
    前記要求トルク及び前記エンジン回転数に応じて、少なくとも、駆動源として前記エンジンのみを用いるエンジン走行モードと駆動源として前記電動機のみを用いるモータ走行モードとが定められたマップに基づき、エンジン及び電動機のいずれか一方又は両方を駆動源として選択する走行モード選択制御手段と、を備え、
    前記走行モード選択制御手段における前記マップは、前記エンジン走行モードと比べて前記エンジンの効率が低く、且つ前記要求トルク及び前記エンジン回転数における使用頻度の高い領域と一部重なる所定の運転領域をクラッチ接モータ走行モードの領域とし、当該クラッチ接モータ走行モードでは、前記電動機を駆動源としつつ、前記エンジン制御手段により前記クラッチを接続状態とし、前記エンジンによる駆動力は発生させずにエンジン回転のみを維持するよう当該エンジンを制御することを特徴とするハイブリッド電気自動車の制御装置。
  2. さらに前記電動機に電力を供給するバッテリの充電量を検出する充電量検出手段を備え、
    前記走行モード選択制御手段は、前記充電量検出手段により検出される前記バッテリの充電量が所定の充電量より大である場合には、前記マップに関わらず、前記電動機を駆動源としつつ、前記エンジン制御手段により前記クラッチを遮断状態とするクラッチ断モータ走行モードを選択することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
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