JP5802401B2 - レンズ鏡枠およびレンズ組立体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、このようなレンズ鏡枠として、プラスチック材料で略円筒形状に形成されており、その一方の端部開口にはレンズを挿入しレンズを光軸方向で位置決めする凹状のレンズ挿入枠部と、端部開口の周囲にこのレンズ挿入枠部に挿入されたレンズ周縁の上面よりいずれも突出して所定間隔で突起状とされた4つのカシメ部とを備えるレンズ枠が記載されている。また、このレンズ枠にレンズを挿入した後、カシメ部を熱変形させて、レンズの周縁を固定したレンズ組立体が記載されている。
また、高精度が要求されるレンズ組立体では、振動などによってレンズ挿入枠部とのクリアランスの範囲でレンズが移動しないように、カシメ部をレンズ外縁の全周に設けて強固に固定することが周知である。近年では特にカメラ等の高画素化や小型化の要求がより強まっており、それを達成するためにレンズとレンズ枠との固定精度の更なる高精度化が必要となってきている。更に小型化や鏡枠スペース有効利用のためにレンズをDカット形状等の切欠を有するレンズを用いることも多くなってきている。
レンズ組立体100は、レンズ側面が円筒面状のレンズ側面101eと光軸oに平行な平面からなるDカット面101dとで構成されたレンズ101を、レンズ鏡枠102に熱カシメして固定した組立体である。
レンズ101は、凸球面からなる第1レンズ面101aと凹球面からなる第2レンズ面101bとを備える負のメニスカスレンズであり、第2レンズ面101bの外縁側にレンズ101の光軸方向の位置決めを行うための取付基準面101cが形成されている。取付基準面101cは光軸oに直交する平面からなる。
レンズ鏡枠102は、中心に貫通孔102eを備える略円筒状の筒部102bの一方の端部にレンズ101の取付基準面101cを当接させるレンズ受面102aを備える。
レンズ受面102aは、筒部102bの中心軸線pに直交する平面からなり、筒部102bの一端側において径方向外側に延ばされたフランジ部に形成されている。ただし、このフランジ部の側面は、円筒面とDカット面102fとからなり、レンズ101の取付基準面101cの外形状と略同様なD形形状が形成されている。
レンズ受面102aの外縁部には、レンズ101のレンズ側面101eを挿入して緩やかに嵌合する1対の部分円筒面からなる枠部102cが光軸o方向に延ばされている。
この1対の枠部102cは、光軸oを挟んで対向して配置され、それぞれレンズ側面101eを中心角90°の範囲で覆っている。このため、1対の枠部102cは、筒部102bの中心軸線pおよびc−c線を通りDカット面102fと直交する平面s(図10(b)、(c)参照)と、中心軸線pを通り平面sと直交する平面t(図10(b)、(d)参照)に対して面対称、あるいは中心軸pに関して180°軸対称となるように配置されている。
また、枠部102cの先端部は、枠部102c内にレンズ101が挿入された後、熱カシメ装置によって熱変形され、第1レンズ面101aの外縁部を光軸o方向に付勢してレンズ101を保持するカシメ固定部102dが形成されている。
このように、レンズ組立体100では、レンズ101はレンズ受面102aとカシメ固定部102dとの間で光軸o方向に挟持されており、これにより取付基準面101cがレンズ受面102aに押圧して固定されている。
上記に説明したレンズ鏡枠102にレンズ101を熱カシメしてレンズ組立体100を形成する場合、レンズ101は、カシメ固定部102dの熱変形に伴ってレンズ受面102a側に押圧して固定される。このとき、レンズ101に第1レンズ面101a側から作用する押圧力は、平面s、tに関して、それぞれ面対称な力が作用するため、カシメ部をC字状に形成する場合に比べるとレンズ101の偏心が低減される。例えば、偏心量の平均を約5μm程度にすることができる。
しかし、近年、高画質化の要求が高まっており、このような偏心量では、熱カシメしたレンズ組立体を採用することが難しいという問題がある。このため、高精度な金属製のレンズ鏡筒やレンズ押さえ環を採用しなければならず、レンズユニットが高価になったり、重くなったりするという問題がある。
図1(a)は、本発明の実施形態に係るレンズ組立体の構成を示す模式的な平面図である。図1(b)、(c)は、それぞれ図1(a)におけるA−A断面図、B−B断面図である。図2(a)は、本発明の実施形態に係るレンズ鏡枠の構成を示す模式的な平面図である。図2(b)、(c)は、それぞれ図2(a)におけるA’−A’断面図、B’−B’断面図である。
レンズ組立体10は、単体もしくは他のレンズ組立体と組み合わされて、レンズユニットを構成するものである。例えば、スチルカメラ、ビデオカメラ、プロジェクタ、スキャナなどの光学機器において、撮像光学ユニット、投影光学ユニット、読取光学ユニットなどのレンズユニットとして用いることができる。
レンズ1を光軸Oに沿う方向から見た外形は、優弧形状部と直線形状部とを有するD字状とされている。レンズ1の側面は、優弧形状部に対応するレンズ側面1eおよび直線形状部に対応するDカット面1dを備える。
レンズ側面1eは、レンズ1の基準外形を構成するもので、光軸Oと同軸となるように精度よく形成された半径rの部分円筒面からなる。このため、レンズ側面1eはレンズ1の径方向の位置決めに用いることができる。
Dカット面1dは、レンズ組立体10を用いる光学機器に組み付けたときに、他の部品との干渉を避ける等の目的で設けられた形状であり、光軸Oに平行な平面からなる。
Dカット面1dと光軸Oとの距離d(ただし、d<r)は、必要に応じて適宜寸法に設定することができる。
第1レンズ面1aの裏面側には、第1レンズ面1aと同軸であって半径d1(ただし、d1<d)の円形の範囲に第2レンズ面1bが形成されている。
第2レンズ面1bの外周からレンズ側面1eおよびDカット面1dまでの間には、第1レンズ面1aの面頂からの距離が一定値とされた光軸Oと直交する平面からなる取付基準面1cが形成されている。すなわち、本実施形態では、取付基準面1cは、周方向に連続する閉ループ状の平面になっている。
以下では、図1(c)に示すように、レンズ側面1eにおける光軸Oに沿う方向の長さ、すなわち取付基準面1cから第1レンズ面1aの外周までの距離をhで表し、レンズ1のコバ厚hと称する。
筒部2Bの外半径d2は、本実施形態では、d1<r3<d2<dとなる大きさに設定されている。
フランジ部2Aにおいてレンズ挿入枠部2Cが設けられた側の表面(筒部2Bの先端に重なる領域も含む)は、中心軸線Pに直交する平面からなる。特に、中心軸線Pを中心とする半径r2(ただし、r<r2<r1)の円内には、各レンズ挿入枠部2Cの間に挿入されるレンズ1の取付基準面1cを受けるレンズ受面2aが形成されている。
各レンズ挿入枠部2Cの周方向の長さは、中心軸線Pに対する中心角がそれぞれ90°の円弧の長さに等しい設定とされている。
レンズ挿入枠部2Cの内周側には、レンズ側面1eを隙間嵌めで外嵌する1対の部分円筒面からなる挿入面2gが、中心軸線Pと同軸の位置関係に形成されている。挿入面2gの曲率半径は、半径r2とされている。挿入面2gとレンズ側面1eの外半径rとの差は、50μm程度以下にすることが好ましい。
レンズ挿入枠部2Cの外周側には、中心軸線Pと同軸の部分円筒面である枠部外周面2hがそれぞれ形成されている。本実施形態の例では、枠部外周面2hは、フランジ部2Aの側方にも延長されてフランジ部2Aの円筒状の外周面も兼ねており、レンズ組立体10の最外の外周面を構成している。
枠部外周面2hは、曲率半径の寸法精度、真円度、中心軸線Pとの同軸度等が良好となるように成形されており、レンズ組立体10の光軸Oの位置決めを行う基準面として用いることができるようになっている。
また、本実施形態のカシメ部2dは、レンズ挿入枠部2Cの周方向の全体にわたって設けられ、例えば、カシメを行い易いよう外周面には先端に向かって縮径するテーパ形状が付与されている。
また、レンズ挿入枠部2Cは、中心軸線Pに交差する方向においてレンズ受面2aよりも外側に配置され、レンズ受面2aよりも中心軸線Pと同方向に突出した側枠部を構成している。
1対のレンズ挿入枠部2Cおよび1対のカシメ部2dは、それぞれ中心軸線Pを挟んで対向し、中心軸線Pを含み平側面2fと平行な平面Tに関して面対称となる形状、位置に設けられている。
さらに、対をなすレンズ挿入枠部2C同士、およびカシメ部2d同士は、いずれも中心軸線Pを含み平面Tに直交する平面Sに関して面対称となる形状、位置に設けられている。
また、レンズ受面2aは、中心軸線P回りに閉ループ状の一続きの領域として設けられ、平面T、Sに関してそれぞれ面対称となる領域を構成している。
このように、本実施形態では、レンズ挿入枠部2C、カシメ部2d、レンズ受面2aはいずれも平面S、Tに関して面対称に設けられているため、中心軸線Pに関して180°軸対称(回転対称)になっている。
図3(a)、(b)は、本発明の実施形態に係るレンズ組立体の製造工程を説明する模式的な工程説明図である。
熱カシメ装置3は、レンズ鏡枠2のカシメ部2dを上向きとして筒部2Bを下方側から保持する保持部3aが設けられた保持台3Aと、保持台3Aの上方で昇降可能に設けられ保持部3aに保持されたレンズ鏡枠2のカシメ部2dを中心軸線Pに向かう内方かつ下方に向けて熱変形させて熱カシメを行う加熱ヘッド3Bとを備える。
保持部3aは、例えば、レンズ鏡枠2の枠部外周面2hを位置決めに用いることにより、中心軸線Pを保持台3Aの水平方向の基準位置に整列させるようになっている。
また、加熱ヘッド3Bは、保持台3Aに保持されたレンズ鏡枠2のカシメ部2dおよびその内周側を覆う円弧状の領域で、カシメ部2dを下方側かつレンズ1の第1レンズ面1aの外縁部の傾斜に倣う方向に加圧する加圧面3bと、加圧面3bによってカシメ部2dが加圧される際にカシメ部2dの外周側への変形を規制する外周規制面3cとを備える。
加熱ヘッド3Bの温度は、レンズ鏡枠2の材質となる合成樹脂が軟化する温度、例えば、ポリカーボネート樹脂の場合は250℃程度に設定する。
レンズ1の挿入姿勢は、取付基準面1cがレンズ鏡枠2のレンズ受面2aに対向するとともに、Dカット面1dがレンズ鏡枠2の平側面2fと略平行となる位置関係に保持して、レンズ側面1eが1対の挿入面2gに挟まれる状態で挿入する。
レンズ1を挿入する際、本実施形態では、不図示の移載装置、例えば、ロボットハンドや挿入治具によって、レンズ1の光軸Oが中心軸線Pと略整列するように挿入する。これにより、レンズ1の挿入時に、レンズ1が挿入面2gとの間の隙間の範囲内で偏った状態に挿入されてしまうことを防止できる。
このため、本実施形態では、レンズ1は、レンズ側面1eと挿入面2gとの間に略均等な隙間をあけた状態で挿入され、レンズ受面2a上に取付基準面1cが重ね合わされる。
加熱ヘッド3Bで加熱されて軟化したカシメ部2dは、外周規制面3cによって外周側への倒れ変形が規制された状態で加圧面3bによって下方側に加圧され、レンズ1の内周側に折り曲げられるとともに第1レンズ面1aの外縁部に向かって徐々に変形していく。
加熱ヘッド3Bが、予め決められた下降位置まで下降すると、熱変形したカシメ部2dは第1レンズ面1aの外縁部と加圧面3bとの間に挟まれ、第1レンズ面1aの外縁部に密着する。これによりカシメ固定部2Dが形成される。
カシメ固定部2Dが塑性(永久)変形し、第1レンズ面1aと均一に密着した状態になったら、加熱ヘッド3Bによる加圧を解除し、加熱ヘッド3Bを上方に退避させる。
カシメ固定部2Dがある程度冷却して、カシメ固定部2Dの形状が安定したら、レンズ1が固定されたレンズ鏡枠2を保持台3Aから取り外す。
このようにして、レンズ組立体10が製造される。
レンズ受面2aは、加熱ヘッド3Bから離間しているため熱の影響による軟化がおこりにくい。したがって、カシメ部2dの変形に比べると変形量は少ないものの、ガラスに比べると剛性が低いため、押圧力に応じて略弾性的に変形する。また、レンズ受面2aからレンズ1に対して押圧力に応じた反力分布が生じる。
本実施形態では、レンズ1の取付基準面1cは光軸Oを含みDカット面1dに直交する平面に関して面対称、光軸Oを含みDカット面1dに平行な平面に関しては非対称な形状を有しているが、光軸Oと中心軸線Pとを略整列させた状態でレンズ1をレンズ鏡枠2に挿入するため、取付基準面1cとレンズ受面2aとの接触部位の形状は、平面S、Tに関しては面対称、中心軸線Pに関しては180°軸対称となる。
このため、加圧中のレンズ受面2aの変形と、レンズ受面2aからの反力分布も平面S、Tに関して面対称、中心軸線Pに関しては180°軸対称となる。
例えば、図3(b)に太矢印で示すように、カシメ固定部2Dに対向するレンズ受面2a上では比較的大きな反力が平面Sに関して対称に発生する。一方、カシメ固定部2Dから離れた位置におけるレンズ受面2aでは直上にカシメ固定部2Dが位置しないため反力は小さくなるものの、図1(c)に太矢印で示すように、反力分布は平面Tに関して対称となる。
この結果、レンズ1に作用する外力のつり合いが良好となる。したがって、レンズ1およびレンズ鏡枠2の微細な形状誤差等の個体差や加熱ヘッド3Bの動作バラツキなどの偶発的な誤差要因に基づく微小変位を除けば、加圧を受けている間に、対称面や対称軸に対する対称性がくずれるようなレンズ受面2aに沿う方向に移動が起こりにくくなる。
このため、レンズ鏡枠2によれば、レンズ1をカシメによって精度よく固定することができる。また、レンズ組立体10の偏心が抑制され、レンズ組立体10を用いるレンズユニットの光学性能が良好となる。
非対称性の大きさ規定するため、取付基準面1cとレンズ受面2aとの「実際の当接面」の図心をCとし、図心Cの平面S、Tに対する距離をそれぞれCS、CTと表すと、|CS/r|、|CT/d|が、それぞれ5%以下は、面対称と見なしてよい非対称性の許容範囲である。また、軸対称の許容範囲は、互いに対称であるべき「実際の当接面」を対称移動させたときの図心のずれ量を半径rで割った値が最大でも5%以下であることが、軸対称と見なしてよい非対称性の許容範囲である。
この非対称性の許容範囲は、レンズ1の挿入位置の誤差によって発生する非対称性のみならず、面対称または軸対称であるべきレンズ受面2aの形状誤差の影響によって「実際の当接面」に発生する非対称性にも適用できる。つまり、「実際の当接面」が非対称性の許容範囲を満たす範囲では、レンズ受面2aが非対称性を有していても対称と見なすことができる。
例えば、レンズ1をこのような従来技術のレンズ鏡枠102に熱カシメして、複数のサンプルで偏心量を測定したところ、偏心量の平均は約5μmとなった。これに対して、レンズ1を本実施形態のレンズ鏡枠2に熱カシメした場合には、偏心量の平均は2μm以内とでき、偏心量を略半減することができた。
このため、残留歪みによって収差劣化が発生したとしても、2軸方向に面対称な収差劣化、軸対称な収差劣化となり画質のバランスがくずれないため目立ちにくく、同様な量で非対称に発生する収差劣化に比べて画質への影響を低減できる。
次に、本実施形態の第1変形例について説明する。
図4(a)は、本発明の実施形態の第1変形例に係るレンズ組立体の構成を示す模式的な平面図である。図4(b)、(c)は、それぞれ図4(a)におけるC−C断面図、D−D断面図である。図5(a)は、本発明の実施形態の第1変形例に係るレンズ鏡枠の構成を示す模式的な平面図である。図5(b)、(c)は、それぞれ図5(a)におけるC’−C’断面図、D’−D’断面図である。
本変形例のレンズ鏡枠12は、図5(a)、(b)、(c)に示すように、上記実施形態のレンズ鏡枠2の一方の平側面2fから径方向外側に張り出すD字状突起部12gを設けたものである。
以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
D字状突起部12gの突出方向の先端面である突起部外周面12hは、枠部外周面2hを構成する部分円筒面に対して周方向に整列した部分円筒面とされ、周方向の両端部が枠部外周面2hと滑らかに連続している。このため、突起部外周面12hは、枠部外周面2hとともに、レンズ組立体20の基準外形を構成しており、レンズ組立体20の径方向の位置決めの基準面や固定面として用いることが可能である。
このような構成により、枠部外周面2hおよび突起部外周面12hは、優弧形状に設けられた円弧状の基準面を構成している。
D字状突起部12gとレンズ受面2aとの間の段差部は平側面2fによって形成されている。
段状部12fは、レンズ挿入枠部2Cに挿入されるレンズ1とD字状突起部12gとを接触させないための逃げ部を構成している。
また、D字状突起部12gの段状部12fは、レンズ受面2aよりも筒部2B側に引っ込んでいるため、レンズ1を熱カシメ時に押圧してもレンズ1と接触することがない。このため、熱カシメの際に、レンズ1の取付基準面1cとレンズ受面2aとは、上記実施形態と同様に当接するため、レンズ1を熱カシメによって精度よく固定することができる。
また、D字状突起部12gは、中心軸線Pに沿う方向から見てレンズ1を取付基準面1c側から覆うように張り出されている。これにより、レンズ組立体10に比べて、レンズ1の露出が低減されているためレンズ保護の機能を有する。すなわち、搬送などの際にも人手、搬送装置、搬送治具などがレンズ1に直接接触したりぶつかったりする可能性を低減することができる。
次に、本実施形態の第2変形例について説明する。
図6(a)は、本発明の実施形態の第2変形例に係るレンズ鏡枠の構成を示す模式的な平面図である。図6(b)は、図6(a)におけるE−E断面図である。
以下、上記第1変形例と異なる点を中心に説明する。
段状部22fは、D字状突起部12gが設けられた側であって1対のレンズ受面22aによって周方向に挟まれた領域において、レンズ受面22aよりも筒部2B側に引っ込んだ形状に設けられている。
段状部22iは、中心軸線Pを挟んで段状部22fと対向する領域のフランジ部2A上であって1対のレンズ受面22aによって周方向に挟まれた領域において、レンズ受面22aよりも筒部2B側に引っ込んだ形状に設けられている。
本変形例の段状部22f、22iは、一例としてレンズ受面22aに平行な平面からなるが、上記第1変形例の段状部12fと同様、この構成には限定されない。
また、本変形例によれば、レンズ1が固定されたとき、段状部22f、22iに対向する取付基準面1cは押圧力を受けないため、1対のレンズ受面22aに挟まれた領域のレンズ1内に残留歪みが発生しにくくなる。
次に、本実施形態の第3変形例について説明する。
図7(a)は、本発明の実施形態の第3変形例に係るレンズ組立体の構成を示す模式的な平面図である。図7(b)、(c)は、図7(a)におけるF−F断面図、G−G断面図である。図8(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態の第3変形例に係るレンズ鏡枠の構成を示す模式的な左側面図、平面図、右側面図である。図8(d)は、図8(b)におけるG’−G’断面図である。
すなわち、レンズ31は、上記実施形態のレンズ1のDカット面1dに代えて、光軸Oに平行な平面からなり、光軸Oとの距離eが、e<dとされたものである。距離eは、例えば、取付基準面1cの内半径d1以下であってもよい。e<d1の場合には、取付基準面1cは、Dカット面31dによって周方向に分断されるため、光軸Oに沿う方向から見てC字状の形状となる。
以下、上記第1変形例と異なる点を中心に説明する。
すなわち、フランジ部32Aは、レンズ31のDカット面31dが配置される側において、平面Tからの距離が距離e1(ただし、e<e1<d2)となる位置に、平側面2fに代えて平側面32nが形成されている。
また、フランジ部32Aの平面Tを挟んで反対側には、平面Tからの距離が距離eとなる位置に、平側面2fに代えて平側面32mが形成されている。
C字状突起部32gの内周面は、フランジ支持枠部32Bの内周面を形成する貫通孔2eが延長された半径r3の部分円筒面である。
C字状突起部32gの突出方向の先端面(外周面)は、上記第1変形例のD字状突起部12gと同様の突起部外周面12hが形成されている。すなわち、突起部外周面12hは、後述するレンズ挿入枠部32Cの枠部外周面2hに整列された半径r1の部分円筒面である。
このため、突起部外周面12hは、後述するレンズ挿入枠部32Cの枠部外周面2hとともに、レンズ組立体30の基準外形を構成しており、レンズ組立体30の径方向の位置決めの基準面や固定面として用いることが可能である。
ここで、距離e2は、(e−e2)が後述する1対のレンズ挿入枠部2Cとレンズ31のレンズ側面1eとの隙間(r2−r)と同等の寸法となるように設定する。
このような構成により、1対のフランジ部32Aは、C字状突起部32gおよびDカット挿入枠部32jによって対向方向に連結されている。
このため、レンズ鏡枠32の内側には中心軸線Pから見たとき、半径r3の優弧と中心軸線Pからの距離e2の内周面32iとで囲まれたD字状の穴部が形成されている。
1対のレンズ挿入枠部32Cは、上記第1変形例のレンズ挿入枠部2Cの周方向の幅寸法を、フランジ部32Aの範囲内に収まるように短縮したものである。本変形例では、各レンズ挿入枠部32Cの周方向の寸法を中心軸線Pに対する中心角をθとしたとき、r1cos(θ/2)≦eとなる設定とし、かつ平面Tに関して面対称となる位置に配置している。
各レンズ挿入枠部32Cの先端部には、上記第1変形例のカシメ部2dと周方向の長さのみが異なるカシメ部32dが設けられ、これにより、熱カシメしたときにカシメ固定部32Dが形成されるようになっている。
フランジ部32Aにおいてレンズ挿入枠部32Cが設けられた側の表面(フランジ支持枠部32Bの先端に重なる領域も含む)は、中心軸線Pに直交する平面からなる。特に、中心軸線Pを中心とする半径r2(ただし、r<r2<r1)の円内であって、平側面32mと内周面32iで挟まれる領域には、各レンズ挿入枠部32CおよびDカット挿入枠部32jの間に挿入されるレンズ31の取付基準面1cを受ける1対のレンズ受面32aが形成されている。各レンズ受面32aは、平面S、Tに関してそれぞれ面対称な形状を有しており、中心軸線Pに関しては180°軸対称な形状を有している。
C字状突起部32gとレンズ受面32aとの間の段差部は平側面32mによって形成されている。
また、C字状突起部32gの段状部32fは、レンズ受面32aよりもフランジ支持枠部32B側に引っ込んでいるため、レンズ31を熱カシメ時に押圧してもレンズ31と接触することがない。このため、レンズ31の取付基準面1cとレンズ受面32aとの当接面の形状は、平面S、Tに関しては面対称となり、中心軸線Pに関しては180°軸対称になっているので、レンズ31を熱カシメによって精度よく固定することができる。
また、C字状突起部32gは、中心軸線Pに沿う方向から見てレンズ31の外縁部を取付基準面1c側から覆うように張り出されている。これにより、レンズ組立体10に比べて、レンズ1の露出が低減されているためレンズ保護の機能を有する。すなわち、搬送などの際にも人手、搬送装置、搬送治具などがレンズ31に直接接触したりぶつかったりする可能性を低減することができる。
次に、本実施形態の第4、第5変形例について説明する。第4変形例、第5変形例は、レンズ鏡枠にレンズ受面を複数設ける場合の配置に関する変形例である。第4、第5変形例の各レンズ鏡枠は、上記実施形態のレンズ鏡枠2と同様にレンズ1を好適に固定して、レンズ組立体を形成することができる。
以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
図9(a)、(b)は、本発明の実施形態の第4、第5変形例に係るレンズ鏡枠の構成を示す模式的な平面図である。
各レンズ受面42aの間には、レンズ1を受ける際の逃げ部として、レンズ受面42aより凹んだ段状部42fがそれぞれ形成されている。
また、フランジ部42A上には、中心軸線Pを通り平側面2fに直交する平面Sに関して面対称、すなわち中心軸線Pに関して180°軸対称となるように、円弧状に湾曲された1対のレンズ挿入枠部42Cが設けられている。レンズ挿入枠部42Cの形状は、上記実施形態のレンズ挿入枠部2Cと周方向の長さが異なるのみであり、本変形例では、隣り合う2箇所のレンズ受面42aを径方向外側から覆うことができる周方向長さを有している。レンズ挿入枠部42Cの突出方向の先端(図9(a)の紙面手前側)には、レンズ挿入枠部2Cと同様のカシメ部2dが設けられている。
各レンズ受面52aの間には、レンズ1を受ける際の逃げ部として、レンズ受面52aより凹んだ段状部52fがそれぞれ形成されている。
また、フランジ部52A上には、レンズ受面52aの配置に対応して、中心軸線Pに関して120°軸対称となるように、円弧状に湾曲された3つのレンズ挿入枠部52Cが設けられている。レンズ挿入枠部52Cの形状は、上記実施形態のレンズ挿入枠部2Cと周方向の長さが異なるのみであり、本変形例では、各レンズ受面52aを径方向外側から覆うことができる周方向長さを有している。レンズ挿入枠部52Cの突出方向の先端(図9(b)の紙面手前側)には、レンズ挿入枠部2Cと同様のカシメ部2dが設けられている。
本変形例は、レンズ受面が、互いに直交する2平面に関して面対称とならない軸対称の位置に設けられた場合の例になっている。
また、レンズの光軸に沿う方向から見た外形は、光軸に対して軸対称な形状であってもよいが、本発明は軸対称とならない場合に特に好適である。
例えば、レンズの取付基準面が、凸形状または凹形状のレンズ面である場合、レンズ面の接平面となる傾斜面や、接曲面となる円錐面などの形状を採用することができる。
1a 第1レンズ面
1b 第2レンズ面
1c 取付基準面
1d、31d Dカット面
1e レンズ側面(基準面)
2、12、22、32、42、52 レンズ鏡枠
2C、32C、42C、52C レンズ挿入枠部(側枠部)
2D、32D カシメ固定部
2a、22a、32a、42a、52a レンズ受面
2d、32d カシメ部
2g 挿入面
2h 枠部外周面(基準面)
3 熱カシメ装置
3B 加熱ヘッド
10、20、30 レンズ組立体
12f、22f、22i、32f 段状部
12g D字状突起部
12h 突起部外周面(基準面)
32g C字状突起部
32i 内周面
32j Dカット挿入枠部(側枠部)
O 光軸
P 中心軸線
S、T 平面
h コバ厚
Claims (7)
- 光軸に沿う方向から見て円弧状に延びるレンズ側面と直線状に延びるDカット面とを備えるD形の外形を有し、前記光軸に沿う方向から見た外縁部に少なくとも前記レンズ側面に沿って連続する取付基準面を有するレンズを熱カシメによって固定するレンズ鏡枠であって、
前記レンズの前記取付基準面を当接させて、前記レンズの光軸に沿う方向に前記レンズを位置決めするレンズ受面と、
前記レンズ側面を外嵌して、前記レンズを前記光軸に直交する方向に位置決めするため、前記レンズ受面と交差する方向に延びる軸線を中心軸線とする部分円筒面状の内周面を有し、前記中心軸線に関する径方向において前記レンズ受面よりも外側から、前記中心軸線に沿う方向に突出した側枠部と、
該側枠部の突出方向の先端に形成され、熱変形することで前記レンズ受面との間で前記レンズをカシメ固定する複数のカシメ部と、
を備え、
前記レンズ受面および前記複数のカシメ部は、
それぞれ前記中心軸線に関して円環形状を除く軸対称に設けられるとともに、
前記中心軸線を含む少なくとも1つの共通の平面に関していずれも面対称に設けられ、
前記レンズ受面は、
前記中心軸線に沿う方向から見て、前記複数のカシメ部のそれぞれと前記中心軸線との間に、少なくとも一部が配置された
ことを特徴とするレンズ鏡枠。 - 前記レンズ受面は、
前記中心軸線回りの閉ループ状に設けられ、前記中心軸線に沿う方向から見た形状が、内周が円形で、外周が前記側枠部の前記内周面に沿う円弧と前記円弧の端部を結ぶ直線とからなる
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡枠。 - 前記レンズ受面は、前記中心軸線を挟んで対向する複数領域として設けられたことを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡枠。
- 前記中心軸線に沿う方向から見て、半円よりも大きな円弧状に延びる部分円筒面状の枠部外周面が、前記中心軸線に関する径方向において前記側枠部の内周面よりも外側に設けられた
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンズ鏡枠。 - 前記側枠部は、前記中心軸線を挟んで対向して配置された1対からなり、
前記側枠部の各外周面は、前記中心軸線に沿う方向から見て前記中心軸線と同軸な円弧状の湾曲面からなる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズ鏡枠。 - 熱可塑性樹脂によって形成され、前記カシメ部を熱カシメすることによって前記レンズを固定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のレンズ鏡枠。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンズ鏡枠と、
光軸に沿う方向から見て円弧状に延びるレンズ側面と直線状に延びるDカット面とを備えるD形の外形を有し、前記光軸に沿う方向から見た外縁部に少なくとも前記レンズ側面に沿って連続する取付基準面を有し、前記レンズ鏡枠の前記カシメ部によってカシメ固定されたレンズと、
を備えることを特徴とするレンズ組立体。
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