JP5889685B2 - 鞍乗り型車両のキャニスター配置構造 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、キャニスターを容易に組み付け可能な、生産性に優れたキャニスター配置構造を提供することを目的とする。
この構成によれば、乗員が足を載せるステップフロアは、左右一対で設けられるとともに、車両のメインフレームの側方で前後に延びる左右一対のステップフレームに下方から支持され、キャニスターは、一方のステップフレームに支持されるため、キャニスターを一方のステップフレームに予め組付けておき、一方のステップフレームと一緒にキャニスターを車体に組み付けることができる。このため、キャニスターを容易に組み付けでき、生産性が向上する。また、キャニスターは、一方のステップフレームよりも車幅方向内側に配置されるため、一方のステップフレームによってキャニスターを保護できる。
また、前記メインフレーム(11)は、ヘッドパイプ(12)と、左右一対で構成され、前記ヘッドパイプ(12)から下方に延びた後、屈曲して前記ステップフレーム(23L,23R)よりも下方を後方へ延びるダウンチューブ(13,13)とを有し、側面視で前記キャニスター(43)の下方に前記ダウンチューブ(13,13)が位置する構成としても良い。
この場合、側面視でキャニスターの下方にメインフレームのダウンチューブが位置するため、ダウンチューブによってキャニスターを保護できる。
この場合、リザーバタンクはラジエータの後方に設けられ、キャニスターは、リザーバタンクの後方に配置されるため、ラジエータの排熱がキャニスターに及ぼす熱影響をリザーバタンクによって低減できる。
また、側面視で前記キャニスター(43)と前記燃料タンク(40)とが重なる構成としても良い。
この場合、側面視でキャニスターと燃料タンクとが重なるため、キャニスターと燃料タンクと接続する配管を短くできる。
この場合、キャニスターは、側面視で燃料タンクとエンジンとの間に配置されるため、キャニスターと燃料タンクとを接続する配管、及び、キャニスターとエンジン側とを接続する配管を短くできる。
この場合、車体カバーは、左右のアッパーチューブを上方から覆うとともに下縁が左右のステップフロアの上面に連結されるセンタートンネル部を有し、一方のステップフロアに連結されるセンタートンネル部の縦壁部が、上面視でキャニスターに重なっており、乗員がステップフロアに足を載せた際の縦壁部付近の撓み量は小さい。このため、キャニスターを、ステップフロアにできるだけ近づけて、上方の位置に配置できる。これにより、キャニスターの下方の部分の最低地上高を高くできるため、鞍乗り型車両のバンク角を大きく確保できる。
この場合、上面視で、キャニスターとシートレールとが重なるため、キャニスターを車幅方向の内側に配置して、鞍乗り型車両のバンク角を大きく確保できる。
さらに、前記ステップフレーム(23L,23R)は、後上がりに配置され、前記キャニスター(43)は、前記ステップフレーム(23L,23R)に沿って軸線(123)が後上がりとなるよう配置され、当該キャニスター(43)を前記燃料タンク(40)に接続する配管(113)は、前記キャニスター(43)の後部に接続される構成としても良い。
この場合、ステップフレームは、後上がりに配置され、キャニスターは、ステップフレームに沿って軸線が後上がりとなるよう配置され、キャニスターを燃料タンクに接続する配管は、キャニスターの後部に接続されるため、後上がりに配置されたキャニスターの後部に、燃料タンクの蒸発燃料を配管によって容易に送ることができる。また、専用のステー等を用いることなく、ステップフレームの傾きを利用して、キャニスターを後上がりに配置できる。
また、一方のステップフレームによってキャニスターを保護できる。
さらに、キャニスターは、リザーバタンクの後方に配置されるため、ラジエータの排熱がキャニスターに及ぼす熱影響をリザーバタンクによって低減できる。
また、側面視でキャニスターと燃料タンクとが重なるため、キャニスターと燃料タンクと接続する配管を短くできる。
また、車体カバーのセンタートンネル部の縦壁部が、上面視でキャニスターに重なっており、乗員がステップフロアに足を載せた際の縦壁部付近の撓み量は小さい。このため、キャニスターを、ステップフロアにできるだけ近づけて、上方の位置に配置できる。これにより、キャニスターの下方の部分の最低地上高を高くできるため、鞍乗り型車両のバンク角を大きく確保できる。
自動二輪車1(鞍乗り型車両)は、シート10に着座した乗員が足を載せる低床のステップフロア68を有するスクータ型車両であり、車体フレームF(図2)の前方に前輪2を有し、駆動輪である後輪3は、車両後部に配置されるユニットスイングエンジンU(ユニットスイングパワーユニット)に軸支されている。車体フレームFは、樹脂製の車体カバーCによって覆われている。
図2〜図4に示すように、車体フレームFは、金属製のチューブやパイプを溶接によって複数連結して形成されており、メインフレーム11は、前部に設けられるヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12から後下方に延出した後、略水平に後方へ延び、後部で後上方に延びる左右一対のダウンチューブ13,13と、ダウンチューブ13,13の下部から後上方へ車両後部まで延出する左右一対のシートレール14,14と、ヘッドパイプ12からダウンチューブ13,13の上方を後下方に延びてシートレール14,14に連結される左右一対のアッパーチューブ15,15とを有している。
ダウンチューブ13,13は、ヘッドパイプ12に前端が連結されて後下方へ延出する下方延出部70と、下方延出部70の下端から後方に略水平に延出する水平延出部71と、水平延出部71の後端から後上方に延出する斜め上方延出部72とを有している。
ダウンチューブ13,13の斜め上方延出部72,72の上部には、車幅方向外側に延出する左右一対のタンデムステップステー22,22が設けられている。
ヘッドパイプ12の前面には、灯火類や車体カバーC等を支持する籠状の前部フレーム24が連結されている。
また、メインフレーム11の外側方には、ダウンチューブ13,13に連結されて前後に延び、ステップフロア68を下方から支持する左右一対のステップフレーム23L,23R(図2、図3)が設けられている。
エンジンEは、水冷式の4サイクル単気筒エンジンであり、シリンダ軸線29が略水平に前方へ延びるように配置されている。エンジンEは、ユニットスイングエンジンUの前部に配置されるクランクケース30の前面に、シリンダ31及びシリンダヘッド32を結合して構成されている。
伝動ケースMの後端及びアーム部33の後端とシートレール14,14との間には、左右一対のリヤサスペンション34,34が掛け渡されている。
シリンダヘッド32の下面の排気ポートに接続された排気管37は、エンジンEの下方を通って後方に延び、アーム部33の外側面に固定されたマフラー38に接続される。
伝動ケースMの後部の下部には、車両を直立状態に支持可能なメインスタンド39が設けられている。
前傾した燃料タンク40の前部の下方の空間には、エンジンEの冷却水を冷却する板状のラジエータ41が設けられている。ラジエータ41とエンジンEとを接続する一対の冷却水パイプ42は、ラジエータ41の左側部から延出され、車両の左側(一側)のステップフレーム23L(図2)の下方を後方へ延び、ダウンチューブ13の内側を通ってエンジンEに接続される。
左側の水平延出部71には、サイドスタンド47が取り付けられている。
収納ボックス44の上面は、その全長に亘って開口しており、この開口は、乗員用のシート10(図1)によって開閉自在に塞がれている。シート10は、運転者が着座する前部シート10Aと、前部シート10Aよりも一段高く形成されて同乗者が着座する後部シート10Bとを有している。
収納ボックス44の後方においてシートレール14,14の後部には、グラブレール48が固定されている。
左右のステップカバー55,55の底部には、前部シート10Aに着座した運転者が足を載せるステップフロア68がそれぞれ形成されている。
フロントフォーク26,26には、前輪2を上方から覆うフロントフェンダー65が設けられている。ボディサイドカバー59,59の下方には、後輪3を上方から覆うリヤフェンダー66が設けられている。
後部シート10Bの同乗者が足を載せる可倒式の一対のタンデムステップ67(図1)は、タンデムステップステー22,22に支持されている。
図5〜図7に示すように、ステップフレーム23L,23Rは、メインフレーム11から車幅方向の外側に離間した位置、且つ、ダウンチューブ13,13の水平延出部71よりも上方の位置で前後に延びるチューブ状のフレームであり、後上がりに配置されている。ステップフレーム23L,23Rの前端は、ラジエータ41の側方に位置し、ステップフレーム23L,23Rの後端は、斜め上方延出部72の側方に位置している。
ステップフレーム23L,23Rは、ダウンチューブ13,13側へ車幅方向の内側に突出する前部ステー103A及び後部ステー103Bを、その前部及び後部に有している。
左側の空間Sには、前後に延びる一対の冷却水パイプ42,42(図7)が配索されている。右側の空間Sには、リザーバタンク46及びキャニスター43が配置されている。
図8は、キャニスター43の近傍の拡大図である。図9は、図8のIX−IX断面図である。なお、図9では、車体カバーCが図示されている。
キャニスター43は、燃料タンク40内の蒸発燃料を、一時的に貯留するとともにエンジンEに供給して燃焼させる蒸発燃料処理装置112の主要部品である。蒸発燃料処理装置112は、燃料タンク40内の蒸発燃料の成分であるHC(炭化水素)を筒状のキャニスター43に一旦吸着させ、この吸着された蒸発燃料をエンジンEの吸気の負圧を利用してエンジンEの吸気系に供給し、混合気とともに燃焼させるシステムであり、このシステムにより、蒸発燃料が外部に拡散することを防止できる。
パージ制御弁115は、蒸発燃料をエンジンE側へ送るタイミングを制御するための一方向弁であり、車両に搭載されたコントローラ(不図示)によって開閉制御される。
キャニスター43の胴部118の前部及び後部には、ゴム製の一対の固定バンド121,121が巻かれ、キャニスター43は、固定バンド121,121を介して右側のステップフレーム23Rに固定される。固定バンド121,121は、キャニスター43の径方向外側に突出する一対の係止部121A,121A(図9)を有している。
キャニスター43は、後上がりに配置されるステップフレーム23Rに固定されることで、その軸線123が後上がりとなるように傾斜して配置される。
また、キャニスター43は、リザーバタンク46の後部に隣接して、リザーバタンク46の後方に配置されている。このため、ラジエータ41からの排熱がキャニスター43に届くことをリザーバタンク46の存在によって抑制でき、ラジエータ41の排熱がキャニスター43に影響することを抑制できる。
大気開放配管116は、開放配管接続部124から後上方に屈曲した後、下方に屈曲し、大気開放配管116の他端は、胴部118の上方で下方に開口している。このように、大気開放配管116の他端を上方に延ばして下方に開口させたため、大気開放配管116の他端から水や異物がキャニスター43に侵入することを防止できる。
ドレン配管117は、ドレン配管接続部125から後下方に延び、胴部118の下方で後方に開口している。ドレン配管接続部125を前部蓋部119の下部に設け、ドレン配管117を下方に延ばしたため、水等をキャニスター43からスムーズに排出できる。
パージ配管114は、後壁部120から斜め上方延出部72に沿ってエンジンE側へ延び、上記吸気管に接続される。
このように、後部が高くなるように配置されたキャニスター43の後壁部120に、チャージ配管113及びパージ配管114を接続するため、チャージ配管113を介して蒸発燃料をキャニスター43にスムーズに送ることができるとともに、キャニスター43の後部の高い位置に溜まった蒸発燃料を、パージ配管114を介してエンジンEにスムーズに供給できる。
また、エンジンEの前端は、側面視でステップフレーム23Rの後端に重なっており、キャニスター43は、エンジンEよりも前方で燃料タンク40の後方に位置している。このため、キャニスター43は、エンジンE及び燃料タンク40の両方に近くなり、パージ配管114及びチャージ配管113を短くすることができる。
センタートンネル部126は、アッパーチューブ15,15及びシートレール14,14の前部を、上部インナーカバー53の下部、下部インナーカバー54,54及びステップカバー55,55によって上方及び側方から覆うことで形成されている。
まず、キャニスター43は、胴部118に巻き付けられた固定バンド121,121が、ステップフレーム23Rのステー122,122に嵌合されることで、ステップフレーム23Rに予め組付けられている。
次に、メインフレーム11が流れる生産ライン上で、キャニスター43が組付けられたステップフレーム23Rが、固定ボルト105,105によって、ダウンチューブ13の固定部104A,104Bに固定されることで、ステップフレーム23Rと一緒にキャニスター43がメインフレーム11に組み付けられる。このように、メインフレーム11が無い状態でキャニスター43を組付けておくことができるため、生産性が向上する。また、メインフレーム11が流れる生産ライン上で、キャニスター43の単体をメインフレーム11に組み付ける工程が省略されるため、メインフレーム11が流れる生産ラインの生産性を向上できる。
また、側面視でキャニスター43の下方にメインフレーム11のダウンチューブ13の水平延出部71が位置するため、水平延出部71によってキャニスター43を保護できる。
また、側面視でキャニスター43と燃料タンク40とが重なるため、キャニスター43と燃料タンク40と接続するチャージ配管113を短くできる。
さらに、ステップフレーム23Rは、後上がりに配置され、キャニスター43は、ステップフレーム23Rに沿って軸線123が後上がりとなるよう配置され、キャニスター43を燃料タンク40に接続するチャージ配管113は、キャニスター43の後部に接続されるため、後上がりに配置されたキャニスター43の後部に、燃料タンク40の蒸発燃料をチャージ配管113によって容易に送ることができる。また、専用のステー等を用いることなく、ステップフレーム23Rの傾きを利用して、キャニスター43を後上がりに配置できる。
11 メインフレーム
12 ヘッドパイプ
13,13 ダウンチューブ
14,14 シートレール
15,15 アッパーチューブ
23L ステップフレーム
23R ステップフレーム(一方のステップフレーム)
40 燃料タンク
41 ラジエータ
43 キャニスター
46 リザーバタンク
68,68 ステップフロア
113 チャージ配管(キャニスターを燃料タンクに接続する配管)
123 軸線
126 センタートンネル部
127 縦壁部
C 車体カバー
E エンジン
F 車体フレーム
Claims (9)
- 燃料タンク(40)の蒸発燃料を吸着するキャニスター(43)が、乗員が足を載せるステップフロア(68,68)の下方に配置される鞍乗り型車両のキャニスター配置構造において、
前記ステップフロア(68,68)は、左右一対で設けられるとともに、前記車両のメインフレーム(11)の側方で前後に延びる左右一対のステップフレーム(23L,23R)に下方から支持され、
前記ステップフレーム(23L,23R)は、車体カバー(C)の内側に配置され、
前記キャニスター(43)は、一方の前記ステップフレーム(23R)に支持されるとともに、前記一方のステップフレーム(23R)の車幅方向内側に配置され、
前記燃料タンク(40)に接続される配管(113)が前記キャニスター(43)に接続されていることを特徴とする鞍乗り型車両のキャニスター配置構造。 - 前記キャニスター(43)は、側面視にて、前記一方のステップフレーム(23R)と重なることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両のキャニスター配置構造。
- 前記メインフレーム(11)は、ヘッドパイプ(12)と、左右一対で構成され、前記ヘッドパイプ(12)から下方に延びた後、屈曲して前記ステップフレーム(23L,23R)よりも下方を後方へ延びるダウンチューブ(13,13)とを有し、
側面視で前記キャニスター(43)の下方に前記ダウンチューブ(13,13)が位置することを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両のキャニスター配置構造。 - 前記車両(1)のエンジン(E)のラジエータ(41)が前記車両の前部に設けられ、前記ラジエータ(41)のリザーバタンク(46)は前記ラジエータ(41)の後方に設けられ、前記キャニスター(43)は、前記リザーバタンク(46)の後方に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両のキャニスター配置構造。
- 側面視で前記キャニスター(43)と前記燃料タンク(40)とが重なることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両のキャニスター配置構造。
- 前記車両(1)は、前記メインフレーム(11)の後部に連結されるユニットスイング式のエンジン(E)を備え、前記燃料タンク(40)は前記メインフレーム(11)の前部に支持され、
前記キャニスター(43)は、側面視で前記燃料タンク(40)と前記エンジン(E)との間に配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両のキャニスター配置構造。 - 前記メインフレーム(11)は、左右一対で構成され、前記ダウンチューブ(13,13)の上方に配置されるとともに、前記ダウンチューブ(13,13)に前端が連結されて後上方へ延出するシートレール(14,14)と、前記ダウンチューブ(13,13)の上方に配置されて当該メインフレーム(11)の前部と前記シートレール(14,14)とを連結する左右一対のアッパーチューブ(15,15)とを有し、前記車両(1)の車体カバー(C)は、左右の前記アッパーチューブ(15,15)を上方から覆うとともに下縁が左右の前記ステップフロア(68,68)の上面に連結されるセンタートンネル部(126)を有し、前記一方のステップフレーム(23R)に連結される前記センタートンネル部(126)の縦壁部(127)が、上面視で前記キャニスター(43)に重なることを特徴とする請求項3記載の鞍乗り型車両のキャニスター配置構造。
- 上面視で、前記キャニスター(43)と前記シートレール(14,14)とが重なることを特徴とする請求項7記載の鞍乗り型車両のキャニスター配置構造。
- 前記ステップフレーム(23L,23R)は、後上がりに配置され、前記キャニスター(43)は、前記ステップフレーム(23L,23R)に沿って軸線(123)が後上がりとなるよう配置され、当該キャニスター(43)を前記燃料タンク(40)に接続する配管(113)は、前記キャニスター(43)の後部に接続されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の鞍乗り型車両のキャニスター配置構造。
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