JP5878931B2 - 歯を洗浄するためのマウスピースをユーザの口腔幾何に合致させる方法及びその結果の製品 - Google Patents

Description

本発明は、一般的には特にマウスピースのような口腔歯洗浄機器に関し、更に詳細には個々のユーザの特有な口腔幾何に適合するように構成された斯かるマウスピースを提供することに関する。

人間は各々、それぞれの特殊な特性及び大きさを持つ独特で特有な口腔幾何を持つことは、良く知られている。口腔幾何の大きな差異は、手動のものか電動のものかにかかわらず歯ブラシによる歯の洗浄に幾分かの問題をもたらしているが、マウスピース機器に対して著しい問題をもたらしている。一般に、マウスピースは洗浄の効果及び洗浄の速度において歯ブラシよりも利点を持ち得る。

しかしながら、マウスピースの構成に影響を与える口腔幾何における差異によりもたらされる問題は、一般に、種々の口腔幾何に一般的なマウスピースを適合させることを可能とすることを目指した異なる機構的な構成又は連結を提供することによっては、これまで克服されていない。それ故、口腔洗浄のためのマウスピース機器は、ユーザにとっての快適さを維持しつつ、改善された効果及び効率についての最大限の潜在能力を発揮することができていない。

従って、口腔洗浄のためのマウスピース機器の構成を、個々のユーザの口腔幾何に対して最適化するための方法及びその結果の製品であって、前記方法は、個々のユーザの口腔幾何又は前記口腔幾何の一部をスキャンするステップと、前記口腔幾何のスキャンに略合致する前記マウスピースのための堅固な殻部部材を生成するステップと、を有し、その結果の前記殻部は、前記マウスピースがユーザの口に動作可能に入れられたときに、前記殻部の外側面がユーザの顎の少なくとも最後部の３本の歯の頬側の表面から７ｍｍを超えて延在せず、前記殻部の後端がユーザの口における最後部の歯の背後の組織と接触せず、前記マウスピースの上端及び下端がユーザの歯肉線へと２ｍｍを超えて延在しないように構成及び／又はトリミングされ、前記方法は更に、前記殻部に前記マウスピース機器の動作時にユーザの歯の洗浄をもたらすための毛を追加するステップを有する方法及び製品が、ここで開示される。

マウスピース歯口腔洗浄機器の簡略化された等尺図である。 特定のユーザの口腔幾何に対してマウスピースを設定する方法におけるステップを示すフロー図である。 １本の歯及び歯肉線に対するマウスピースの関係を示す立面図である。 最後部の歯の背後の組織に対するマウスピースを示す側面立面図である。 マウスピースの上部及び下部の位置合わせを示す立面図である。 歯の一部に対するマウスピースの関係を示す上面図である。

従来の口腔洗浄のためのマウスピースが、図１において１０により示される。該マウスピースは、一般には堅固なプラスチックである殻部１２を含む。殻部１２は一般に、それぞれがユーザの上顎及び下顎に存在するユーザの歯を受容するように構成された、上部トレイ１４及び下部トレイ１６を含む。斯かるマウスピースは、上顎及び下顎の両方における歯の全てを収容するように適合されても良いし、又は一方の顎の歯のみを収容するように適合されても良いし、若しくは一方の若しくは両方の顎における歯の一部を収容するように適合されても良い。しかしながら、以下の説明のため、該マウスピースは、ユーザの全ての歯を収容する上部トレイ及び下部トレイを持つものとして記載される。

上部トレイ及び下部トレイには、動作時にマウスピースが動作する際に洗浄のために歯に接触する毛部分１８が装着されている。毛部分１８は、典型的な毛構成及び毛材料（フィラメント）を有する。マウスピース１０は、全体として２０で示されている駆動ユニットにより駆動される。駆動ユニット２０は一般に、該マウスピースとの連結を通して動作して選択された動きで毛を動かすモータを含む。動きの例には、数ある中でも、出たり入ったりする動き、歯に近づいたり離れたりする動き、歯の表面に沿った動きがある。駆動ユニット２０は、該マウスピースの殻部の外側に配置されて示されているが、該マウスピース自体のなかに装着されても良い。マウスピース１０は、駆動アセンブリと所望の歯洗浄動作を提供するための各部分との間に接続された連結により区分される。

しかしながら、上述したように、図１に示されたような一般的マウスピースは、大多数のユーザの幾何に対応するように設計されたものである。しかしながら、このことは一般に、比較的少ない個々のユーザが適切に対応され、かなり多くのユーザがマウスピースを効果的に利用できないということに帰着する。このことは、上述したように、個々のユーザの多様な口腔幾何による。以下、マウスピースが個々のユーザの幾何に良く合致するようにマウスピースが構成されるような方法、及びその結果の製品が、詳細に説明される。

図２のフロー図において２６で示された第１のステップにおいて、口腔ディジタルスキャナを利用して、ユーザの口腔幾何の全体が捕捉され取得される。斯かる装置は、例えば歯科矯正において良く知られている。斯かるスキャナの例はCadent社によるものである。特定の口腔スキャナが本発明に必須であるわけではない。ただ、ユーザの口腔幾何の正確なスキャンを得ることが可能な機能を持つことが必要である。当該ステップは典型的には、口腔スキャン装置を利用するプロフェッショナルにより達成される。斯かるスキャン処理は典型的には非常に高速であり、ユーザに不快感をもたらさない。代替としては、歯科印象をとり、次いで当該印象自体又は当該印象の鋳造をスキャンさせて、必要とされるディジタルモデルを生成することによってスキャンが達成されても良い。

スキャンに続いて、図２においてステップ３０に示されるように、ＳＬＡプロトタイピング等の高速製造手法を用いて、堅固なマウスピース殻部が製造される。このことは、典型的にはプラスチック材料の、完成したマウスピースについての堅固な特定用途向け殻部に帰着する。完成したマウスピースの効果的且つ快適な動作を確実にするための、殻部の構成の重要な特性がある。第１に、殻部は、スキャンされた口腔幾何に従った製造、及びその後のトリミングの後で、上顎及び下顎の両方の、特に後方３本の歯について、殻部の外面（図１の２８）が歯の頬側面（外側面）から７ｍｍよりも大きなオフセットがない（即ち７ｍｍ以下である）ような大きさを持つべきである。幾つかの場合においては、該オフセットは、口の前の方に位置する残りの歯については７ｍｍよりも大きくなっても良いが、これらの歯についても、７ｍｍ以下が依然として好適である。この大きさは、ユーザにとって口に挿入すること及び口から取り出すことが簡便であり、快適な全体的なフィットが得られるため、重要であると確認されている。該殻部の製造のステップは全体として３０により示され、オフセット特性は図２において３１により示されている。７ｍｍのオフセットは図３に示されており、殻部は２８、毛は２９、代表的な歯が３１、歯肉が３３により示されている。７ｍｍの距離は３１Ａとして示されている。

更に、該殻部は、該殻部の後端３４が、ユーザの最も後ろの臼歯の後端を越えて延在して最も後ろの歯の後部に対する歯肉に接触しないように構成される。それ故、該マウスピースが動作している間、最も後ろの臼歯の背後にある柔らかい組織に接触するマウスピースからの物質は、毛又は柔らかいエラストマー部材のみである。このことは図２において３６により示され、図４においては、殻部２８、後部の歯肉組織３７、毛４３、歯４５、及び柔らかいエラストマー部材４８と共に示されている。

製造される殻部の他の特徴は、該マウスピースがユーザの口のなかで動作位置に置かれたときに、上部及び下部歯肉に対する該殻部の重畳が、２ｍｍ以下に制限されることである。このことは、図２において３８により示され、図３においては歯肉組織３３に対して４９により示されている。歯表面から２ｍｍ上の組織が典型的に非常に敏感であるため、当該構成はユーザの快適性に資するものである。硬い殻部と歯肉組織の当該領域との間の接触は望ましくない。

要約すると、殻部２８が製造され、次いで各ユーザの幾何に対する上述した構成指針に従ってトリミングされる。上述の工程は、個々のユーザの特有の口腔幾何を反映する構造を持つマウスピースに帰着する。

スキャンにより提供されるマウスピースの更なる適応的な特性は、図２においてステップ５６として示される、ユーザの２つの顎の整合位置を含む。マウスピースが動作可能にユーザの口に入れられたとき、異なる顎の接続幾何のため、２つの顎の角度は個々のユーザによって異なり得る。各ユーザに特有の望ましい角度がある。殻部におけるマウスピースの２つのトレイは、スキャンにより提供される適正な角度で構成（製造）され、そのため、マウスピースが動作可能にユーザの口に入れられたとき、上顎及び下顎からの歯はトレイ内の毛に対して２つのトレイ内で正確且つ適切に配置される。当該ステップは図２において４０により示され、図５において６０により示されている。顎の角度が考慮されない場合には、特に歯肉線上の殻部の重複は２ｍｍの閾値を超え得ることとなり、ユーザにとっての快適さにおける問題をもたらし、及び／又は歯垢が最初に溜まる傾向がある歯肉線における洗浄を提供しないことに帰着する。斯くして顎の角度は、マウスピースに対する洗浄及び快適さの問題の両方を表す。

更に、顎位置合わせ（ステップ５６）に関して、顎が閉じられたときの上顎及び下顎からの歯の相対的な長手方向の位置を知ることが重要である。２つの顎がマウスピースのなかで閉じられたときに長手方向の位置が合っていない場合、この差がマウスピースの構成において吸収されない限り、結果として何らかの不快感をもたらすこととなる。それ故、マウスピースの２つのトレイ位置の相対的な長手方向位置は、ここでもまた光学スキャンにより決定される、ユーザの顎位置を吸収するように適合される。このことは図５において６２により示され、図２においてステップ６３により示されている。顎の長手方向の位置合わせは、洗浄の効率の問題というよりも、ユーザに対する快適性の問題である。最後に、図２におけるステップ６８において毛が殻部に追加され、マウスピース機器を完成させる。

斯くして、上述の方法及びその結果の製品は、特定のユーザの口腔幾何に物理的に適合されたマウスピースに関するものである。実際の機器とユーザの歯の特有な口腔幾何との物理的な合致により、真に効果的で快適な口腔ケア用マウスピースに帰着する方法及びその結果の製品が説明された。

説明の目的のため本発明の好適な実施例が示されたが、請求項により定義される本発明の精神から逸脱することなく、種々の変更、変形及び代替が該実施例に組み込まれ得ることは理解されるべきである。

Claims (4)

1. 口腔洗浄のためのマウスピース機器の構成を、個々のユーザの口腔幾何に対して最適化するための方法であって、前記方法は、
   個々のユーザの口腔幾何又は前記口腔幾何の一部をスキャンするステップと、
   前記口腔幾何のスキャンに略合致する前記マウスピースのための堅固な殻部部材であって、前記殻部は２つのトレイ部を含み、そのうち上側のトレイ部はユーザの上顎における歯を受容し、下側のトレイ部は下顎における歯を受容する殻部部材を生成するステップと、
   を有し、その結果の前記殻部は、前記マウスピースがユーザの口に動作可能に入れられたときに、前記殻部の外側面がユーザの顎の少なくとも最後部の３本の歯の頬側の表面から７ｍｍを超えて延在せず、前記殻部の後端がユーザの口における最後部の歯の背後の組織と接触せず、前記マウスピースの上端及び下端がユーザの歯肉線へと２ｍｍを超えて延在しないように構成及び／又はトリミングされ、前記殻部の２つのトレイは、前記マウスピースがユーザの口に動作可能に入れられたときに、ユーザの顎の角度に合致するように互いに対して角度をつけられ、前記方法は更に、
   前記殻部に前記マウスピース機器の動作時にユーザの歯の洗浄をもたらすための毛を追加するステップ
   を有する方法。
2. 前記口腔幾何のスキャンはディジタルスキャンである、請求項１に記載の方法。
3. 前記殻部の外側面は、ユーザの全ての歯の頬側面即ち外側面から７ｍｍを超えて延在しない、請求項１に記載の方法。
4. 歯を洗浄するためのマウスピース機器製品であって、
   個々のユーザの口腔幾何に略合致するマウスピースのための堅固な殻部部材であって、前記殻部は２つのトレイ部を含み、そのうち上側のトレイ部はユーザの上顎における歯を受容し、下側のトレイ部は下顎における歯を受容する前記殻部部材を有し、
   前記殻部は、前記マウスピース機器の動作時にユーザの歯の洗浄をもたらすための毛を有し、
   前記殻部は、前記マウスピースがユーザの口に動作可能に入れられたときに、前記殻部の外側面がユーザの顎の少なくとも最後部の３本の歯の頬側の表面から７ｍｍを超えて延在せず、前記殻部の後端がユーザの口における最後部の歯の背後の組織と接触せず、前記マウスピースの上端及び下端がユーザの歯肉線へと２ｍｍを超えて延在せず、前記殻部の２つのトレイは、前記マウスピースがユーザの口に動作可能に入れられたときに、ユーザの顎の角度に合致するように互いに対して角度をつけられている、製品。

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