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JP5872209B2 - 検体分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、血液等の検体を処理する検体分析装置に関する。
血液や尿などの検体を収容した検体容器から、吸引管を介して検体を吸引して分析する検体分析装置が知られている。
検体分析装置を長期使用すると、吸引管、流路、バルブ、反応容器、分析部等の流体系に汚れが蓄積して精度低下や動作不良を引き起こす原因となる。このため、定期的に、たとえば所定の処理検体数ごとに、流体系の洗浄が行なわれている。特許文献1には、液体容器に収容された洗浄液を、吸引管を介して吸引し、内部の流体回路を洗浄する試料分析装置が開示されている。
特開2003−254980号公報
一回の洗浄に必要な洗浄液の量は予め決まっているため、特許文献1に記載の試料分析装置では、たとえば、所定量の洗浄液を収容する洗浄液容器から一回の洗浄に必要な量の洗浄液だけが吸引され、流体回路の洗浄に使用される。余った洗浄液は、作業者によって洗浄液容器ごと廃棄されるか、あるいは洗浄液容器の再利用ために余った洗浄液のみ廃棄される。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液のような強力な洗浄液を容器に収容する際は、容器の上部開口を、血液検体のようにゴム製のキャップではなく耐薬性に優れた薄いフィルムによって覆うことによって封じ、このフィルムを吸引管によって突き破ることで内部の洗浄液を吸引する。つまり、洗浄液を吸引した後は、容器上部のフィルムは破れて開放されている。このため、吸引後の洗浄液容器に洗浄液が余っていると、破れたフィルムから洗浄液がこぼれて作業者の衣服や手に付着したり、揮発により洗浄液の臭いが周囲に広がったりする惧れがあった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、洗浄液容器に残存した洗浄液による問題を解消可能な検体分析装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、検体を収容した検体容器から検体を吸引して分析を行う検体分析装置に関する。この態様に係る検体分析装置は、一定量の液体を吸引するための負圧を吸引管に与える定量シリンジポンプと、空圧源とを備え、容器に収容された液体を前記吸引管により吸引して流体回路内に流通させる流体処理部と、吸引対象の容器の種類を識別する識別手段と、前記流体処理部を制御する制御部と、を備える。ここで、吸引対象の容器が洗浄液を収容した洗浄液容器であると前記識別手段によって識別された場合、前記制御部は、吸引対象の前記洗浄液容器から前記定量シリンジポンプを用いて一定量の洗浄液を吸引したのち、前記空圧源を用いて残りの洗浄液を前記洗浄液容器から吸引して、前記洗浄液容器内の洗浄液を前記吸引管により全て吸引する制御を行い、前記定量シリンジポンプで吸引された洗浄液を用いて前記流体回路を洗浄する。
本態様に係る検体分析装置によれば、吸引対象の容器が洗浄液容器であると識別手段によって識別されると、この洗浄液容器内の洗浄液が吸引管により全て吸引される。これにより、たとえば、洗浄液を収容する洗浄液容器として、容器の上部がフィルムにより密封され、吸引時にこのフィルムに穴が開けられる容器や、予め上部が開口された容器が用いられても、洗浄液容器内の洗浄液が全て吸引されるため、余った洗浄液が上部の開口を介して、こぼれたり、揮発して洗浄液の臭いが周囲に広がったりすることが抑制される。また、洗浄液容器内の洗浄液を定量的に吸引でき、且つ、洗浄液容器内の洗浄液を全て吸引することができる。すなわち、定量シリンジポンプは、定量性に優れるので決まった量だけ吸引するのに好適である一方、一度に吸引できる液量に限度があるという性質がある。これに対して、空圧源は、定量的に吸引するのに向いていないが、シリンジポンプと異なり吸引できる液量に限度がないため、残っている洗浄液を、その量にかかわらず一気に吸引できるという性質がある。定量シリンジポンプと空圧源とを組み合わせることにより、定量シリンジポンプを用いて、一定量の洗浄液を吸引して決められた洗浄を行うと共に、空圧源の負圧を利用することで、洗浄液容器内に残っている全ての洗浄液を一気に吸引することができる。
なお、本発明において「全て吸引する」とは、必ずしも、洗浄液容器に収容された洗浄液を一滴残さず吸引することを意味するものではない。
本態様に係る検体分析装置において、吸引対象の容器が検体容器であると識別手段によって識別された場合、前記制御部は、吸引対象の前記検体容器から測定に必要な所定量の検体を吸引するよう前記流体処理部を制御する構成とされ得る。こうすると、識別手段の識別に応じて、検体の測定と洗浄液による洗浄とが切り替えられるため、ユーザが容器の種類に合わせて測定と洗浄とを切り替える手間が省略される。
また、本態様に係る検体分析装置において、識別手段は、吸引対象の容器に付されたバーコードを読み取るバーコード読取部を含み、バーコードを読み取って得られた識別情報から、容器の種類を識別する構成とされ得る。
この場合、前記制御部は、前記洗浄液容器から洗浄液を吸引する場合に、前記吸引管の先端を前記洗浄液容器の底に当接させて前記洗浄液を吸引するよう前記流体処理部を制御する構成とされ得る。こうすると、洗浄液容器内の洗浄液を吸引管により全て吸引することが容易になる。
本発明の第2の態様は、検体を収容した検体容器から検体を吸引して分析を行う検体分析装置に関する。この態様に係る検体分析装置は、一定量の液体を吸引するための負圧を吸引管に与える定量シリンジポンプと、空圧源とを備え、容器に収容された液体を前記吸引管により吸引して流体回路内に流通させる流体処理部と、吸引対象の容器の種類を識別する識別手段と、前記流体処理部を制御する制御部と、を備える。ここで、吸引対象の容器が洗浄液を収容した洗浄液容器であると前記識別手段によって識別された場合、前記制御部は、前記流体回路の洗浄のための所定量の洗浄液を前記定量シリンジポンプにより前記洗浄液容器から吸引したのち、その洗浄液容器に収容されている残りの洗浄液を前記空圧源により吸引するよう前記流体処理部を制御する。
本態様に係る検体分析装置によれば、上記第1の態様と同様、洗浄液容器に洗浄液が残ることにより生じる問題が抑制され得る。また、洗浄液を用いて、流体回路を洗浄することができる。
本発明の第3の態様は、検体を収容した検体容器から検体を吸引して分析を行う検体分析装置に関する。この態様に係る検体分析装置は、一定量の液体を吸引するための負圧を吸引管に与える定量シリンジポンプと、空圧源とを備え、容器に収容された液体を吸引管により吸引して流体回路内に流通させる流体処理部と、吸引対象の容器の種類を識別する識別手段と、前記流体処理部を制御する制御部と、を備える。ここで、吸引対象の容器が洗浄液を収容した洗浄液容器であると前記識別手段によって識別された場合、前記制御部は、吸引対象の前記洗浄液容器の底に前記吸引管を当接させ、当該吸引管を底に当接させた状態で、前記定量シリンジポンプにより洗浄液を吸引した後、残りの洗浄液を前記空圧源により吸引するよう前記流体処理部を制御し、前記定量シリンジポンプにより吸引された洗浄液を用いて前記流体回路を洗浄する。
本態様に係る検体分析装置によれば、吸引管が洗浄液容器の底に当接された状態で洗浄液が吸引されるため、洗浄液容器の洗浄液を底まで吸引することが可能となる。これにより、上記第1の態様と同様、洗浄液容器に洗浄液が残ることによる問題が抑制され得る。
本態様に係る検体分析装置において、吸引対象の容器が検体を収容した検体容器であると前記識別手段によって識別された場合、前記制御部は、吸引対象の前記検体容器の内部であって底よりも上方の所定位置まで前記吸引管を下降させ、前記所定位置において検体を吸引するよう前記流体処理部を制御する構成とされ得る。こうすると、検体容器から検体を吸引する場合に、吸引管を容器の底に当接させる必要がないため、洗浄液容器から洗浄液を吸引する場合に比べて、より簡素に吸引管の制御を行うことができる。
また、本態様に係る検体分析装置において、前記制御部は、少なくとも、前記吸引管により空気の吸引が始まるまでに要する時間、当該吸引管を底に当接させた状態で洗浄液を吸引するよう前記流体処理部を制御する構成とされ得る。こうすると、洗浄液容器に収容されている洗浄液を、時間による制御によって、底まで吸引することができる。
以上のとおり、本発明によれば、洗浄液容器に残存した洗浄液による問題を解消可能な検体分析装置を提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
実施の形態に係る検体分析装置の外観を示す斜視図である。 実施の形態に係る検体容器、洗浄液容器および検体ラックの構成を示す図である。 実施の形態に係る搬送ユニットおよび測定ユニットを上側から見た場合の構成を示す平面図である。 実施の形態に係るピアサの下端の拡大図およびピアサにより洗浄液と検体が吸引されることを説明する図である。 実施の形態に係る測定ユニットの流体処理部の要部を示す図である。 実施の形態に係る搬送ユニットおよび測定ユニットの構成を示す図である。 実施の形態に係る情報処理ユニットの構成を示す図である。 実施の形態に係る情報処理ユニットにより行われる測定処理および洗浄処理を示すフローチャートである。 実施の形態に係る情報処理ユニットにより行われる洗浄処理を示すフローチャートである。
本実施の形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体分析装置に本発明を適用したものである。
以下、本実施の形態に係る検体分析装置について、図面を参照して説明する。
図1は、検体分析装置1の外観を示す斜視図である。本実施の形態に係る検体分析装置1は、搬送ユニット2と、測定ユニット3と、情報処理ユニット4から構成されている。
搬送ユニット2は、測定ユニット3の前方に配置されており、右テーブル21と、左テーブル22と、右テーブル21と左テーブル22とをつなぐラック搬送部23とを備えている。右テーブル21と左テーブル22は、10個の保持部が形成された検体ラックLを収容することができる。検体ラックLは、10個の保持部を介して、検体を収容する検体容器Tと、洗浄液を収容する洗浄液容器Wとを保持することができる。
図2(a)〜(c)は、それぞれ、検体容器Tと、洗浄液容器Wと、検体ラックLの構成を示す図である。
図2(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。検体容器Tの側面には、バーコードラベルT1が貼付されている。バーコードラベルT1には、個々の検体を識別可能な検体IDを含むバーコードが印刷されている。検体容器Tは、患者から採取された血液検体を収容しており、上端の開口は、後述するピアサ33が貫通可能となるよう構成された蓋部T2により密封されている。
図2(b)を参照して、洗浄液容器Wは、検体容器Tと同サイズの管状容器であり、上端が開口している。洗浄液容器Wの側面には、バーコードラベルW1が貼付されている。バーコードラベルW1には、洗浄液が収容されていることを示す予め決められた固定の洗浄液IDを含むバーコードが印刷されている。洗浄液容器Wは、測定ユニット3内の流体回路を洗浄するための洗浄液(たとえば、次亜塩素酸ナトリウム水溶液)を4mL収容しており、上端の開口は、フィルム状の蓋部W2により密封されている。測定ユニット3の流体回路については、追って図5を参照して説明する。
図2(c)を参照して、検体ラックLには、検体容器Tと洗浄液容器Wを垂直に保持することが可能な保持部L01〜L10が形成されている。検体ラックLの後方の側面には、バーコードラベルL1が貼付されている。バーコードラベルL1には、ラックIDを含むバーコードが印刷されている。
図1に戻り、搬送ユニット2は、ユーザが右テーブル21に載置した検体ラックLを収容する。また、搬送ユニット2は、右テーブル21に収容している検体ラックLを搬送し、検体容器Tまたは洗浄液容器Wが測定ユニット3に供給されるよう、検体ラックLをラック搬送部23の所定位置に位置付ける。さらに、搬送ユニット2は、ラック搬送部23上にある検体ラックLを搬送して、左テーブル22に回収する。
測定ユニット3は、開閉ボタン3aと、開始ボタン3bと、検体容器Tと洗浄液容器Wを把持することができるハンド部31(図3参照)と、ベース321を備えている。ベース321には、検体容器Tと洗浄液容器Wをセットすることができる容器セット部321aが設置されている。
測定ユニット3は、ラック搬送部23の所定の位置に検体容器Tが位置付けられると、ハンド部31(図3参照)により検体ラックLからこの検体容器Tを取り出して測定ユニット3の内部に搬送する。測定ユニット3は、この検体容器Tに収容された検体を測定ユニット3内で測定する。測定が終了すると、測定ユニット3は、この検体容器Tを再び元の検体ラックLの保持部に戻す。
また、測定ユニット3は、ラック搬送部23の所定位置に洗浄液容器Wが位置付けられた場合も、ハンド部31(図3参照)により検体ラックLからこの洗浄液容器Wを取り出して測定ユニット3の内部に搬送する。測定ユニット3は、この洗浄液容器Wに収容された洗浄液を用いて測定ユニット3内の流体回路を洗浄する。洗浄が終了すると、測定ユニット3は、この洗浄液容器Wを再び元の検体ラックLの保持部に戻す。なお、測定ユニット3内の流体回路については、追って図5を参照して説明する。流体回路の洗浄については、追って図8、9を参照して説明する。
開閉ボタン3aがユーザにより押されると、測定ユニット3の前面に形成された開口部3cを介して、ベース321が測定ユニット3の前方に突出する。ユーザは、検体容器セット部321aに検体容器Tをセットして開始ボタン3bを押すことにより、搬送ユニット2により搬送される検体容器Tに割り込んで、緊急に測定を行いたい検体の測定を優先的に行うことができる。なお、ユーザにより情報処理ユニット4を介して優先的に行う測定の指示が入力された場合も、同様に、ベース321が測定ユニット3の前方に突出する。
また、ユーザにより情報処理ユニット4を介して洗浄指示が入力された場合も、ベース321が測定ユニット3の前方に突出する。ユーザは、検体容器セット部321aに洗浄液容器Wをセットして開始ボタン3bを押すことにより、この洗浄液容器W内の洗浄液を用いて測定ユニット3内の流体回路を洗浄することができる。
情報処理ユニット4は、入力部41と表示部42を備えている。また、情報処理ユニット4は、搬送ユニット2と、測定ユニット3と、ホストコンピュータ(図7参照)と、通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。情報処理ユニット4は、搬送ユニット2と測定ユニット3の動作を制御し、測定ユニット3で行われた測定結果に基づいて分析を行い、分析結果をホストコンピュータに送信する。
図3は、搬送ユニット2と測定ユニット3を上側からみた場合の構成を示す平面図である。なお、右テーブル21、左テーブル22およびラック搬送部23の所定の位置には、検体ラックL、検体容器T、洗浄液容器Wを検出するための各種センサが配置されているが、これらセンサは、図示省略されている。
まず、搬送ユニット2により搬送された検体容器T内の検体が測定される場合について
説明する。
右テーブル21に載置された検体ラックLは、ラック送込機構21aによって前方側面が押されることにより、ラック搬送部23の右端位置に搬送される。ラック搬送部23の右端位置に位置付けられた検体ラックLは、ラック搬送部23のベルト(図示せず)によって左方向に搬送される。
ラック搬送部23の中央近傍には、バーコードリーダB1aを備えるバーコードユニットB1が設置されている。バーコードリーダB1aの前方の読取位置P1に、検体ラックLの保持部が位置付けられると、バーコードユニットB1の保持判定機構(図示せず)により、この保持部に検体容器Tが保持されているか否かが判定される。かかる保持判定機構は、前後方向(Y軸方向)から検体容器Tを挟み込むことが可能な機構からなる。検体容器Tを挟み込むことができると、読取位置P1に位置付けられた保持部に検体容器Tが保持されていると判定される。
この保持部に検体容器Tが保持されていると、検体容器Tが回転されながらバーコードリーダB1aにより検体容器TのバーコードラベルT1から検体IDが読み取られる。また、バーコードリーダB1aの前方に、検体ラックLのバーコードラベルL1が位置付けられると、バーコードリーダB1aにより検体ラックLのバーコードラベルL1からラックIDが読み取られる。
バーコードリーダB1aによって検体IDが読み取られた検体容器Tは、さらに左方向に搬送され、取込位置P2に位置付けられる。取込位置P2には、ハンド部31が、上下方向(Z軸方向)に移動可能となるよう、測定ユニット3に設置されている。取込位置P2に位置付けられた検体容器Tは、ハンド部31により把持されて、検体ラックLから上方向(Z軸正方向)に取り出される。なお、検体ラックLの搬送は、この検体容器Tが検体ラックLへ戻されるまでの間、待機される。
検体容器搬送部32は、検体容器セット部321aが設置されたベース321と、ベース321を一点鎖線内で前後に移動させるための機構(図示せず)からなる。
ハンド部31は、検体ラックLから取り出した検体容器Tを攪拌する。しかる後、ハンド部31により把持された検体容器Tが、検体容器搬送部32よりも上に引き上げられると、ベース321が移動されて、検体容器セット部321aが取込位置P2に位置付けられる。この状態で、ハンド部31が下方向(Z軸負方向)に移動されて、ハンド部31により把持されている検体容器Tが、検体容器セット部321aにセットされる。
続いて、ベース321が後方に移動され、検体容器セット部321aが、バーコードユニットB2のバーコードリーダB2aに対向する位置(読取位置P3)に位置付けられる。この状態で、バーコードユニットB2の保持判定機構(図示せず)により、検体容器セット部321aに検体容器Tがセットされているか否かが判定される。かかる保持判定機構は、左右方向(X軸方向)から検体容器Tを挟み込むことが可能な機構からなる。検体容器Tを挟み込むことができると、読取位置P3に位置付けられた検体容器セット部321aに検体容器Tが保持されていると判定される。検体容器セット部321aに検体容器Tがセットされていると、検体容器Tが回転されながらバーコードリーダB2aにより検体容器TのバーコードラベルT1から検体IDが読み取られる。
続いて、ベース321が後方に移動され、検体容器セット部321aがピアサ33の真下位置(吸引位置P4)に位置付けられる。ここで、ピアサ33が下方向に移動され、吸引位置P4に位置付けられている検体容器Tから、測定に必要な所定量の検体が吸引され
る。ピアサ33の構成については、追って図4(a)、(b)を参照して説明する。
ピアサ33による検体の吸引が終わると、ベース321が前方に移動され、検体容器セット部321aが再び取込位置P2に位置付けられる。取込位置P2において、検体容器Tは、ハンド部31により上方向に取り出される。この状態で、ベース321が後方に移動された後、ハンド部31が下方向(Z軸負方向)に移動され、この検体容器Tは、ラック搬送部23に位置付けられている検体ラックLの元の保持部に戻される。
こうして、検体ラックLに保持されている全ての検体容器Tの検体の測定が終了すると、検体ラックLは、ラック搬送部23の左端位置まで送られる。しかる後、検体ラックLは、ラック押出し機構23aにより、左テーブル22の後方位置に押し出される。左テーブル22の後方位置に位置付けられた検体ラックLは、ラック送込機構22aにより、左テーブル22の前方に搬送される。
上述したように、検体ラックLに洗浄液容器Wが保持されている場合も、上記検体容器Tと同様に、洗浄液容器Wは測定ユニット3内に搬送される。なお、検体ラックLに洗浄液容器Wを保持させる場合、1つの検体ラックLに洗浄液容器Wと検体容器Tとが同時に保持されるようにしても良い。
洗浄液容器Wが、検体ラックLに保持されて搬送ユニット2により搬送されると、バーコードリーダB1aにより、この洗浄液容器WのバーコードラベルW1が読み取られる。続いて、この洗浄液容器Wは、取込位置P2においてハンド部31により攪拌されることなく取り出され、バーコードリーダB2aにより、この洗浄液容器WのバーコードラベルW1から洗浄液IDが読み取られる。そして、この洗浄液容器Wが吸引位置P4に位置付けられ、洗浄液容器W内の洗浄液がピアサ33により吸引される。ピアサ33による洗浄液の吸引については、追って図4(c)、(d)を参照して説明する。吸引が終了すると、この洗浄液容器Wは、ラック搬送部23に位置付けられている検体ラックLの元の保持部に戻される。
次に、ベース321を測定ユニット3の前方に突出させて、検体容器セット部321aにセットされた検体容器T内の検体が測定される場合について説明する。
上述したように、ユーザにより開閉ボタン3a(図1参照)が押され、または、ユーザにより情報処理ユニット4を介して優先的に行う測定の指示が入力されると、ベース321が前方に移動され、検体容器セット部321aが、セット位置P5に位置付けられる。この状態で、容器セット部321aに検体容器Tがセットされる。
測定開始ボタン3b(図1参照)が押されると、ベース321が後方に移動して検体容器Tが読取位置P3に位置付けられ、バーコードリーダB2aにより、検体容器Tが回転されながら、この検体容器TのバーコードラベルT1から検体IDが読み取られる。そして、この検体容器Tが吸引位置P4に位置付けられ、検体容器T内の検体がピアサ33により吸引される。吸引が終わると、再び検体容器セット部321aが、セット位置P5に位置付けられる。ユーザは、吸引の終了した検体容器Tを、検体容器セット部321aから取り出す。
上述したように、ユーザにより情報処理ユニット4を介して、洗浄指示が入力された場合も、ベース321が測定ユニット3の前方に突出され、同様にして、洗浄液容器Wが測定ユニット3内に搬送される。バーコードリーダB2aにより、この洗浄液容器WのバーコードラベルW1から洗浄液IDが読み取られた後、ピアサ33により洗浄液が吸引される。
図4(a)、(b)は、それぞれ、ピアサ33の下端を側面から見た場合の拡大図および下側から見た場合の拡大図である。
ピアサ33の内部には上下方向に吸引経路33aが形成されている。ピアサ33の下端近傍において、吸引経路33aは左方向に曲がっており、開口33bを介して外部に開いている。また、ピアサ33の直径は1.5mmであり、開口33bはピアサ33の下端から1mm上に形成されている。また、ピアサ33の下端には、Y−Z平面に対して対称な2つの切り込み33cが形成されている。2つの切り込み33cにより、ピアサ33の下端が尖った形状となっている。
このようにピアサ33が構成されているため、洗浄液容器Wの上側からピアサ33が下降させられると、ピアサ33の下端は蓋部W2を突き破ることができる。また、ピアサ33の下端が洗浄液容器Wの底面に当接すると、開口33bがピアサ33の下端から1mm上に形成されているため、洗浄液容器Wの底面まで吸引経路33aを介して洗浄液を吸引することができる。
図4(c)、(d)は、吸引位置P4に位置付けられた洗浄液容器Wから、ピアサ33により洗浄液が吸引されることを説明する図である。
図4(c)を参照して、洗浄液容器Wから洗浄液を吸引する場合、まず、ピアサ33の下端が原点に位置付けられる。続いて、ピアサ33を上下方向に移動させる機構に繋がっているステッピングモータ306(図6参照)に対して、出力したパルス数の合計がN2になるまで所定の時間間隔でパルスが出力される。パルスN2は、ピアサ33の下端を原点から洗浄液容器Wの底面まで下降させる場合にステッピングモータ306に出力するパルスN1よりも大きい値である。
このように、ステッピングモータ306に対して所定の時間間隔でパルスが出力されると、出力したパルス数の合計がN2に達するまでに、図4(d)に示すように、ピアサ33の下端が洗浄液容器Wの底面に当接する。その後は、引き続き、ステッピングモータ306に対してパルスが出力されるが、ピアサ33の下端が洗浄液容器Wの底面に当接しているため、ステッピングモータ306が脱調することとなる。これにより、ピアサ33の下端が洗浄液容器Wの底面を傷つけることなく、洗浄液容器Wの底面に位置付けられ続ける。しかる後、出力したパルス数の合計がN2に達すると、ステッピングモータ306へのパルス出力が終了する。こうして、ピアサ33の下端が洗浄液容器Wの底面に位置付けられる。
なお、吸引位置P4に位置付けられた検体容器Tから、ピアサ33により検体が吸引される場合、図4(e)に示すように、パルス数N3がステッピングモータ306に出力される。
具体的には、検体容器Tから検体を吸引する場合、ピアサ33の下端が原点に位置付けられた後、ステッピングモータ306に対して、出力したパルス数の合計がN3になるまで所定の時間間隔でパルスが出力される。このとき、洗浄液の吸引とは異なり、ピアサ33の下降が抗されてもステッピングモータ306が脱調しないようにして、ピアサ33が検体容器Tの蓋部T2を貫通するように下降される。パルス数N3は、パルスN1よりも小さい値である。また、パルス数N3は、ピアサ33の下端が検体の液面よりも少なくとも下に位置付けられるよう、予め設定された値である。こうして、ピアサ33の下端が、検体容器Tの内部であって底面よりも上方の所定位置まで下降され、この位置において検体が吸引される。
図5は、測定ユニット3の流体処理部の要部を示す図である。
図5に示すように、流体処理部FLは、ピアサ33と、ピアサ33を上下駆動するステッピングモータ306(図6参照)と、ピアサ33によって吸引された液体を流通させるための流体回路を主な構成として備えている。
流体回路は、主な構成として、試料を調製するための反応チャンバC1〜C5と、反応チャンバにおいて調製された試料に含まれる成分を検出する検出器D1〜D3と、液体が流通する流路を切り替える複数のバルブv1a〜v5a、v1b〜v5b、v11〜v21と、流路に液体を流すための圧力を付与するためのシリンジポンプS1〜S3、ダイアフラムポンプd1、d2、圧力調節器p1〜p3を備えている。
反応チャンバC1は、異常細胞/幼若細胞数(WPC)に関する分析を行うための試料を調製するための反応チャンバである。反応チャンバC2は、白血球分類(WDF)に関する分析を行うための試料を調製するための反応チャンバである。反応チャンバC3は、白血球/有核赤血球(WNR)に関する分析を行うための試料を調製するための反応チャンバである。反応チャンバC4は、網状赤血球(RET)と血小板(蛍光)(PLT−F)に関する分析を行うための試料を調製するための反応チャンバである。反応チャンバC5は、赤血球(RBC)、血小板(PLT)、ヘモグロビン(HGB)に関する分析を行うための試料を調製するための反応チャンバである。なお、反応チャンバC1〜C5には、図示しない流体回路により、所定量の染色液と、溶血剤と、希釈液とが供給可能となっている。
検出器D1は、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により測定を行うためのフローセルと光学検出器を有する。光学検出器により、試料中の白血球、有核赤血球等から光学情報(側方蛍光信号、前方散乱光信号、側方散乱光信号)が、検体のデータとして検出される。検出器D1では、WPC測定と、WDF測定と、WNR測定と、RET測定と、PLT−F測定が行われる。検出器D2では、RBC/PLT測定が行われ、検出器D3では、HGB測定が行われる。
モータM1〜M3は、それぞれ、シリンジポンプS1〜S3を動作させる。シリンジポンプS1〜S3が動作されると、それぞれ、シリンジポンプS1〜S3の先端部分に正圧または負圧が与えられる。
バルブv1a〜v5a、v1b〜v5b、v11〜v21は、流路を開閉することができる。ダイアフラムポンプd1、d2は、それぞれ、圧力調節器p1、p2により生成される圧力により、液体を吸引し、吸引した液体を流体回路内に供給することができる。廃液チャンバWC1、WC2は、廃液を貯めるチャンバである。廃液チャンバWC1の上部は、廃液チャンバWC1内が大気圧と等しくなるよう大気開放されている。
また、シリンジポンプS1〜S3と、検出器D1と、検出器D3の後段には、図示しない流体回路により、所定量の希釈液が供給可能となっている。シリンジポンプS2の後段には、図示しない回路により、所定量のWNR溶血剤が供給可能となっている。
吸引位置P4に検体容器Tが位置付けられると、ピアサ33が検体容器T内に挿入され、ピアサ33により検体が吸引される。吸引された検体は、ピアサ33が測定ユニット3内で移動することにより、反応チャンバC1〜C5に分注される。反応チャンバC1〜C5では、分注された検体から測定に用いる試料が調製される。調製された試料は、図5に示す流体回路を通って検出器D1〜D3に運ばれ、検出器D1〜D3において検出が行わ
れる。検出が終了すると、検出器D1〜D3内の試料は、廃液チャンバWC2に排出され、反応チャンバC1〜C5内の試料は、廃液チャンバWc1に排出される。
こうして、検体の測定が繰り返し行われ、検体分析装置1が長期に亘って使用されると、図5に示す流体回路に汚れが蓄積して、検出精度の低下や動作不良が生じる場合がある。このため、洗浄液を流体回路に流すことにより、定期的に流体回路の洗浄が行われる。
ユーザは、洗浄液を用いて流体回路の洗浄を行う場合、上述したように、測定ユニット3により洗浄液容器Wを搬送させ、または、ラック搬送部23により洗浄液容器Wを搬送させる。これにより、吸引位置P4に位置付けられる洗浄液容器Wから洗浄液が吸引され、測定ユニット3内の流体回路の洗浄が行われる。
図6は、搬送ユニット2と測定ユニット3の構成を示す図である。
搬送ユニット2は、駆動部201と、センサ部202と、バーコードユニットB1と、通信部203を備える。
駆動部201は、搬送ユニット2内で検体ラックLを搬送するための機構を含んでおり、センサ部202は、搬送ユニット2内の各位置において検体ラックLを検出するためのセンサを含んでいる。バーコードユニットB1は、上述したように、保持判定機構(図示せず)と、バーコードリーダB1aを含んでいる。
通信部203は、情報処理ユニット4と通信可能に接続されている。搬送ユニット2内の各部は、通信部203を介して、情報処理ユニット4により制御される。また、搬送ユニット2内の各部から出力される信号は、通信部203を介して情報処理ユニット4に送信される。
測定ユニット3は、吸引部301と、試料調製部302と、検出部303と、駆動部304と、センサ部305と、ステッピングモータ306と、空圧源307と、バーコードユニットB2と、通信部308を備える。
吸引部301は、ピアサ33を介して検体容器T内の検体と洗浄液容器W内の洗浄液を吸引する機構を含んでいる。試料調製部302は、反応チャンバC1〜C5を含んでおり、各反応チャンバ内で、吸引された検体と試薬等とを混合攪拌し、測定用の試料を調製する。検出部303は、検出器D1〜D3を含んでおり、試料調製部302により調製された試料を測定する。
駆動部304は、ハンド部31を駆動させるための機構と、検体容器搬送部32を駆動させるための機構と、ピアサ33を測定ユニット3内で移動するための機構と、モータM1〜M3を駆動させるための機構と、バルブv1a〜v5a、v1b〜v5b、v11〜v21を開閉するための機構の他、測定ユニット3内で検体容器Tと洗浄液容器Wを搬送するための機構を含んでいる。センサ部305は、開閉ボタン3aと測定開始ボタン3bが押されたことを検出するセンサと、測定ユニット3内の各位置で検体容器Tと洗浄液容器Wを検出するためのセンサを含んでいる。バーコードユニットB2は、上述したように、保持判定機構(図示せず)と、バーコードリーダB2aを含んでいる。
ステッピングモータ306は、上述したように、ピアサ33を上下に移動させる機構に繋がっている。ピアサ33により洗浄液容器W内の洗浄液が吸引される場合、ピアサ33の下端が原点に位置付けられた後、ステッピングモータ306には、パルスN2(図4(c)参照)と1秒間に出力するパルス数を含む信号が入力される。かかる信号は、情報処
理ユニット4から通信部308を介して入力される。これにより、図4(d)に示すように、ピアサ33の下端が洗浄液容器Wの底面に当接する。同様に、ピアサ33により検体容器T内の検体が吸引される場合、ピアサ33の下端が原点に位置付けられた後、ステッピングモータ306には、パルス数N3(図4(e)参照)と1秒間に出力するパルス数を含む信号が入力される。空圧源307は、圧力調節器p1〜p3に圧力を供給する。
通信部308は、情報処理ユニット4と通信可能に接続されている。測定ユニット3内の各部は、通信部308を介して、情報処理ユニット4により制御される。また、測定ユニット3内の各部から出力される信号は、通信部308を介して情報処理ユニット4に送信される。
図7は、情報処理ユニット4の構成を示す図である。
情報処理ユニット4は、パーソナルコンピュータからなり、本体40と、入力部41と、表示部42から構成されている。本体40は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース408を有する。
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM403にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402およびハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
ハードディスク404には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータが記憶されている。具体的には、洗浄液が収容されていることを示す予め決められた固定の洗浄液IDの他、測定や解析に用いられるコンピュータプログラムおよびデータと、測定ユニット3と搬送ユニット2の各部を制御するためのコンピュータプログラムおよびデータが記憶されている。
読出装置405は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウスやキーボードからなる入力部41が接続されており、ユーザが入力部41を使用することにより、情報処理ユニット4に指示およびデータが入力される。画像出力インターフェース407は、ディスプレイ等で構成された表示部42に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部42に出力する。表示部42は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。通信インターフェース408により、搬送ユニット2と、測定ユニット3と、ホストコンピュータに対してデータの送受信が可能となる。
図8は、情報処理ユニット4により行われる測定処理および洗浄処理を示すフローチャートである。図8の処理は、読取位置P1に位置付けられた検体ラックLの保持部に、検体容器Tまたは洗浄液容器Wが保持されている場合に開始される。
情報処理ユニット4のCPU401は、バーコードリーダB1aにより、読取位置P1に位置付けられた容器のバーコードラベルを読み取り(S11)、この容器が検体容器Tであるかを判定する(S12)。かかる判定は、バーコードリーダB1aの読取内容が洗浄液IDと一致するか否かに基づいて行われる。すなわち、読取内容が洗浄液IDと一致する場合、この容器は洗浄液容器Wであると判定され、読取内容が洗浄液IDと一致しな
い場合、この容器は検体容器Tであると判定される。
この容器が検体容器Tである場合(S12:YES)、CPU401は、S11の読取内容(検体ID)に基づいて、ホストコンピュータ(図7参照)に測定オーダの問合せを行う(S13)。各検体に関する測定オーダは、予めホストコンピュータに記憶されている。CPU401は、問合せの結果、取得した測定オーダをハードディスク404に記憶する(S14)。そして、この検体容器Tは、搬送ユニット2により取込位置P2に搬送される。CPU401は、ハンド部31により検体容器Tを把持して複数回転倒させることにより、検体容器Tを攪拌し(S15)、この検体容器Tを測定ユニット3内に取り込む(S16)。
他方、この容器が洗浄液容器Wである場合(S12:NO)、S13〜S15の処理がスキップされる。そして、この洗浄液容器Wは、搬送ユニット2により取込位置P2に搬送される。CPU401は、ハンド部31により洗浄液容器Wを把持し、この洗浄液容器Wを測定ユニット3内に取り込む(S16)。取り込まれた検体容器Tと洗浄液容器Wは、検体容器セット部321aにセットされ、読取位置P3に位置付けられる。
次に、CPU401は、バーコードリーダB2aにより、読取位置P3に位置付けられた容器のバーコードラベルを読み取り(S17)、この容器が検体容器Tであるかを確認する(S18)。かかる確認は、S12と同様に行われる。
この容器が検体容器Tである場合(S18:YES)、CPU401は、S17の読取内容(検体ID)に基づいて、S14でハードディスク404に記憶した測定オーダを読み出す(S19)。続いて、CPU401は、この検体容器Tを吸引位置P4まで搬送して、検体の測定を行う。すなわち、CPU401は、図4(e)で説明したようにしてピアサ33により検体容器Tの検体を吸引し(S20)、吸引した検体を用いて反応チャンバC1〜C5で試料を調製し(S21)、検出器D1〜D3で検出を行う(S22)。こうして、測定が終了すると、CPU401は、この検体容器Tを、ラック搬送部23上の検体ラックLの元の保持部に戻す(S24)。
他方、読取位置P3に位置付けられた容器が洗浄液容器Wである場合(S18:NO)、この洗浄液容器Wを吸引位置P4まで搬送して、洗浄処理を行う(S23)。洗浄処理については、追って図9を参照して説明する。洗浄処理が終了すると、CPU401は、この洗浄液容器Wをラック搬送部23上の検体ラックLの元の保持部に戻す(S24)。
なお、ベース321を測定ユニット3の前方に突出させて、容器セット部321aに、直接、検体容器Tまたは洗浄液容器Wをセットする場合、S11〜S15が省略される。すなわち、容器セット部321aに直接検体容器Tまたは洗浄液容器Wをセットすると、検体容器Tまたは洗浄液容器Wが測定ユニット3内に取り込まれて(S16)、読取位置P3に位置付けられる。そして、バーコードリーダB2aにより検体IDまたは洗浄液IDが読み取られ(S17)、S18以降の処理が行われる。この場合、バーコードリーダB2aの読取内容により読取位置P3に位置付けられた容器が検体容器Tであると判定されると(S18:YES)、読取内容(検体ID)に基づいて、S13、S14と同様、測定オーダの問合せと測定オーダの記憶が行われる。
図9は、情報処理ユニット4により行われる洗浄処理を示すフローチャートである。
以下、かかる洗浄処理を、図5に示す流体回路を併せて参照して説明する。なお、流体回路において、特に言及しなければバルブは閉められている状態であるとする。
情報処理ユニット4のCPU401は、まず、バルブv21を開き、圧力調節器p3に
より廃液チャンバWC1内を加圧して、廃液チャンバWC1内に残っている試料を排出する。次に、バルブv21を閉じ、バルブv20を開き、圧力調節器p3により廃液チャンバWC1内を減圧して、廃液チャンバWC2内に残っている試料を廃液チャンバWC1に送る。次に、バルブv20を閉じ、バルブv21を開き、圧力調節器p3により廃液チャンバWC1内を加圧して、廃液チャンバWC1に送られた試料を排出する(S101)。
続いて、CPU401は、フローセルの液抜きを行う(S102)。具体的には、CPU401は、バルブv13、v19を開き、圧力調節器p1によりダイアフラムポンプd1内を減圧して、検出器D1のフローセル内の液体を抜き出す。次に、バルブv13、v19を閉じ、バルブv14を開き、圧力調節器p1によりダイアフラムポンプd1内を加圧して、フローセルから抜き出した液体を廃液チャンバWC2に送る。なお、S102の液抜きは、S109の処理が開始されるまでに完了される。
続いて、CPU401は、図4(c)に示したように、ピアサ33の下端を原点に位置付ける。そして、CPU401は、ステッピングモータ306に所定の時間間隔でパルスを出力することにより、ピアサ33を下降させる(S103)。このとき、CPU401は、出力したパルス数の合計がN2になるまで(S104:YES)、パルスの出力を継続する。これにより、図4(d)に示したように、ピアサ33の下端が底面に当接する。
次に、CPU401は、バルブv11を開き、モータM1を駆動してシリンジポンプS1を動作させることにより、ピアサ33に負圧を与え、ピアサ33を介して洗浄液を吸引する。なお、シリンジポンプS1が1回動作すると、0.25mLの洗浄液が吸引される。ここでは、シリンジポンプS1が1回動作して、洗浄液が0.25mL吸引される(S105)。吸引された洗浄液は、シリンジポンプS1内に貯留される。続いて、CPU401は、シリンジポンプS1内に1.25mLの希釈液を加えることにより(S106)、シリンジポンプS1内に1.5mLの希釈洗浄液を生成する。そして、CPU401は、ピアサ33を測定ユニット3内で移動して、生成した1.5mLの希釈洗浄液を反応チャンバC1に分注する(S107)。
CPU401は、上記のように希釈洗浄液を生成し、全ての反応チャンバに分注するまで、S103〜S107の処理を繰り返す(S108)。これにより、反応チャンバC1〜C5に、1.5mLの希釈洗浄液が分注される。
次に、CPU401は、希釈洗浄液を用いて、反応チャンバC1からバルブv1a、v13、v14を介して廃液チャンバWC2に至る流路と、反応チャンバC2からバルブv2a、v13、v14を介して廃液チャンバWC2に至る流路と、反応チャンバC3からバルブv3a、v13、v14を介して廃液チャンバWC2に至る流路と、反応チャンバC4からバルブv4a、v13、v14を介して廃液チャンバWC2に至る流路(以下、これらを総称して第1洗浄対象流路と呼称する)を洗浄する(S109)。すなわち、CPU401は、バルブv1a〜v4a、v13、v14を操作して、圧力調節器p1とダイアフラムポンプd1により、反応チャンバC1〜C4内の希釈洗浄液を廃液チャンバWC2に移動させる。また、CPU401は、バルブv1b〜v4bを操作して、圧力調節器p3により廃液チャンバWC1内を減圧することにより、反応チャンバC1〜C4内の希釈液を廃液チャンバWC1に移動させる。こうして、第1洗浄対象流路が洗浄される。
次に、CPU401は、希釈洗浄液を用いて、反応チャンバC5からバルブv5a、v15、v16、v17を介して廃液チャンバWC2に至る流路(以下、第2洗浄対象流路と呼称する)を洗浄する(S110)。すなわち、CPU401は、バルブv5a、v15〜17を操作して、圧力調節器p2とダイアフラムポンプd2により、反応チャンバC5内の希釈洗浄液を廃液チャンバWC2に移動させる。また、CPU401は、バルブv
5bを操作して、圧力調節器p3を減圧することにより、反応チャンバC5内の希釈液を廃液チャンバWC1に移動させる。こうして、第2洗浄対象流路が洗浄される。
次に、CPU401は、S103、S104と同様の処理により、ピアサ33の下端を洗浄液容器Wの底面に当接させ(S111、S112)、ピアサ33を介して洗浄液(原液)を1mL吸引する(S113)。ここでは、シリンジポンプS1が4回動作することにより、洗浄液が1mL吸引される。続いて、CPU401は、吸引した1mLの洗浄液(原液)を、反応チャンバC3に分注する(S114)。
次に、CPU401は、洗浄液(原液)を用いて、反応チャンバC3からバルブv3a、v13、v14を介して廃液チャンバWC2に至る流路(以下、第3洗浄対象流路と呼称する)を洗浄する(S115)。すなわち、CPU401は、バルブv3aを操作して、圧力調節器p1とダイアフラムポンプd1により、反応チャンバC3内の洗浄液(原液)を廃液チャンバWC2に移動させる。また、CPU401は、バルブv3bを操作して、圧力調節器p3により廃液チャンバWC1内を減圧することにより、反応チャンバC3内の洗浄液(原液)を廃液チャンバWC1に移動させる。こうして、第3洗浄対象流路が洗浄される。
なお、原液の洗浄液を用いて、第3洗浄対象流路を再度洗浄する理由は、WNR測定に用いる試料によって反応チャンバC3が汚れ易いことと、第1洗浄対象流路の洗浄により、反応チャンバC3からバルブv13、v14を経由して廃液チャンバWC2までの流路が汚れ易いことによる。
次に、CPU401は、S103、S104と同様の処理により、ピアサ33の下端を洗浄液容器Wの底面に当接させ(S116、S117)、S113と同様の処理により、洗浄液(原液)を1mL吸引する(S118)。続いて、CPU401は、吸引した1mLの洗浄液(原液)を、反応チャンバC2に分注する(S119)。
ここで、CPU401は、バルブv11、v12を開け、圧力調節器p3により廃液チャンバWC1内を減圧して、洗浄液容器Wに残っている洗浄液を吸引する(S120)。
具体的には、CPU401は、洗浄液の吸引を開始してからの経過時間を計時しており、残りの洗浄液を吸引するのに十分な所定時間が経過したら廃液チャンバWC1の減圧を停止する。ここでいう所定時間とは、ピアサ33が洗浄液を吸いきって空気の吸引が始まるまでに最低限要する時間であり、圧力調節器p3による単位時間あたりの吸引量をA(mL/秒)とし、洗浄液容器Wに収容される洗浄液の最大量をB(mL)とした場合に、所定時間Xは、B/A(秒)として与えられる。
この吸引には、圧力調節器p3に接続された空圧源307(図6参照)が用いられる。圧力調節器p3は空圧源307によって生成される負圧を用いるため、シリンジポンプS1を用いてピアサ33に負圧を与える場合と異なり、ピアサ33を介して吸引できる流量に限度がない。したがって、洗浄液容器Wに残っている洗浄液が、ピアサ33を介して一気に吸引され、廃液チャンバWC1に移動される。
次に、CPU401は、洗浄液(原液)で検出器D1のフローセル内を漬け置き洗浄する(S121)。具体的には、CPU401は、バルブv2aを操作して、圧力調節器p1とダイアフラムポンプd1により、反応チャンバC2内の洗浄液(原液)を、検出器D1の入口近傍まで移動させる。続いて、CPU401は、バルブv19を操作して、モータM2を駆動してシリンジポンプS1を動作させることにより、検出器D1の入口付近の洗浄機(原液)を、検出器D1のフローセル内に移動させ滞留させる。
次に、CPU401は、排出ラインを漬け置き洗浄する(S122)。この漬け置き洗浄では、ここまでの洗浄処理により廃液チャンバWC1、WC2内に貯留されている希釈液と洗浄液が用いられる。すなわち、CPU401は、バルブv20、v21を操作し、圧力調節器p3により廃液チャンバWC1内の圧力を調節して、廃液チャンバWC2からバルブv21までの間の流路に希釈液と洗浄液を滞留させる。こうして、排出ラインが洗浄される。
S121、S122での漬け置き洗浄が所定時間行われると、次に、CPU401は、洗浄液により洗浄された流路、すなわち、第1〜第3洗浄対象流路と、検出器D1のフローセル内と、排出ラインとを希釈液で洗い流す(S123)。すなわち、CPU401は、図5の流体回路に示すように、希釈液を追加可能な箇所から希釈液を流体回路内に流し、流体回路内の各機構を操作して、希釈液を第1〜第3洗浄対象流路と、検出器D1のフローセル内と、排出ラインとに流す。
次に、CPU401は、廃液チャンバWC1、WC2内の液体を排出する(S124)。こうして、洗浄処理が終了する。
以上、本実施の形態によれば、図9のS120において、洗浄液容器W内の洗浄液が全て吸引される。これにより、洗浄液容器W内に洗浄液が残らなくなるため、吸引後に余った洗浄液が蓋部W2に開けられた穴を介して、こぼれたり、揮発して洗浄液の臭いが周囲に広がったりすることが抑制される。また、上部が開口された状態で洗浄液容器Wに洗浄液が収容される場合でも、同様に、吸引後に余った洗浄液がこぼれたり揮発したりすることが抑制される。このように、本実施の形態によれば、洗浄液容器Wに残存した洗浄液による問題を解消することができる。
また、本実施の形態によれば、バーコードリーダB1a、B2aにより容器のバーコードラベルから検体IDが読み取られた場合には、この容器(検体容器T)から測定に必要な所定量の検体が吸引される。また、バーコードリーダB1a、B2aにより容器のバーコードラベルから洗浄液IDが読み取られた場合には、この容器(洗浄液容器W)から洗浄液が吸引され、測定ユニット3内の流体回路が洗浄される。これにより、バーコードリーダB1a、B2aの読取内容に応じて、検体の測定と洗浄液による洗浄とが切り替えられるため、ユーザが容器の種類に合わせて測定と洗浄とを切り替える手間が省略される。
また、本実施の形態によれば、まずシリンジポンプS1により洗浄液容器W内の洗浄液が吸引され、しかる後に圧力調節器p3により洗浄液容器W内の残りの洗浄液が吸引された。これにより、先に吸引した洗浄液と、後で吸引した残りの洗浄液とを、流体回路内の異なる箇所の洗浄に用いることができるため、効率良く流体回路を洗浄することができる。
なお、本実施の形態では、先に吸引された洗浄液を用いて、第1〜第3洗浄対象流路と、検出器D1のフローセル内と、排出ラインとが洗浄され、後で吸引された洗浄液を用いて、排出ラインの一部(廃液チャンバWC1からバルブv21までの流路)が洗浄された。このように、先に吸引された洗浄液と後で吸引された洗浄液の洗浄範囲が、一部重複しても良く、または、異なっていても良い。
また、本実施の形態では、図4(c)、(d)に示すように、洗浄液容器Wの底面にピアサ33の下端が当接される。これにより、洗浄液容器W内の洗浄液を、ピアサ33を介して全て吸引することが容易になる。
また、本実施の形態では、シリンジポンプS1により、洗浄液容器W内の洗浄液を定量的に吸引することができ、圧力調節器p3によりピアサ33に強い負圧を与えて、洗浄液容器W内に残っている全ての洗浄液を一気に吸引することができる。これにより、洗浄に必要な洗浄液を定量的に吸引することができ、且つ、洗浄液容器W内の洗浄液を全て吸引することが可能となる。
また、本実施の形態では、検体容器Tから検体を吸引する場合、ピアサ33の下端が、検体容器Tの内部であって底面よりも上方の所定位置まで下降され、この位置において検体が吸引される。これにより、洗浄液を吸引する場合と異なり、より簡素にピアサ33の制御を行うことができる。また、検体を吸引する場合は、ステッピングモータ306が脱調しないようにして、ピアサ33が検体容器Tの蓋部T2を貫通するように下降される。このように脱調せずにピアサ33が下降される場合、ピアサ33の下端が検体容器Tの底面に当接すると、検体容器Tの底面が傷つけられる惧れがある。しかしながら、本実施の形態では、ピアサ33の下端が底面よりも上方の所定位置までしか下降しないため、検体容器Tの底面が傷つけられることもない。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
たとえば、上記実施の形態では、測定対象として血液を例示したが、尿についても測定対象とされ得る。すなわち、尿を検査する検体分析装置にも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体分析装置に本発明を適用することもできる。
また、上記実施の形態では、ピアサ33により洗浄液容器W内の洗浄液が吸引される場合、ステッピングモータ306にパルスN2を出力することにより、ピアサ33の下端を洗浄液容器Wの底面に当接させた。しかしながら、これに限らず、ピアサ33の下端と洗浄液容器Wの底面との間隔が小さくなるよう(たとえば1mm以内)、ピアサ33の下降位置が予め決められても良い。こうすると、ピアサ33に対して圧力調節器p3により強い負圧が与えられると、洗浄液容器W内の洗浄液を全て吸引することができる。なお、上記実施の形態のステッピングモータ306は、1パルスあたり0.0375mmだけ移動し、6パルス単位でパルスを入力することができるため、1mm以内でピアサ33の下端の位置を調節することができる。
また、上記実施の形態では、洗浄液容器W内の全ての洗浄液を用いて、流体回路内の洗浄を行ったが、これに限らず、洗浄液容器W内の一部の洗浄液を用いて、流体回路内の洗浄を行っても良い。この場合、洗浄に用いられない洗浄液は、たとえば廃棄されるようにしても良い。
また、上記実施の形態では、S120の処理において、洗浄液容器Wに収容される洗浄液の最大量をB(mL)に基づく所定時間X(B/A(秒))が経過するまで、廃液チャンバWC1内が減圧された。しかしながら、これに限らず、廃液チャンバWC1内の減圧は、S120の処理が行われる段階で洗浄液容器Wに残っている洗浄液の量B’(mL)よりも僅かに多い量(B’+Δ)に基づいて行われても良い。すなわち、洗浄液容器Wには当初4mLの洗浄液が収容されており、S120の処理が行われるまでに、3.25mLの洗浄液が吸引されている。このため、S120の処理が行われる段階では、洗浄液容器Wには0.75mLの洗浄液が残っていることになる。よって、廃液チャンバWC1内の減圧は、ピアサ33が0.75mLの洗浄液を吸いきって空気の吸引が始まるまでに最低限要する時間(0.75+Δ)/A(秒)だけ行われるようにしても良い。
また、上記実施の形態では、S120の処理において、洗浄液容器Wに残っている洗浄
液を全て吸引するために、所定時間だけ廃液チャンバWC1内を減圧するようにしたが、これに限られない。たとえば、ピアサ33と廃液チャンバWC1とを接続する流路に空気が混入したことを検知するセンサを設け、洗浄液の吸引を開始してからセンサが空気の混入を検知するまで廃液チャンバWC1内を減圧するように構成してもよい。
また、上記実施の形態では、バーコードリーダB1a、B2aにより容器のバーコードラベルを読み取り、読取内容に応じて、容器の種類が検体容器Tと洗浄液容器Wの何れかが判定された。しかしながら、これに限らず、バーコードラベルに替えて、容器にRFID(Radio Frequency IDentification)が貼付されても良い。RFIDが貼付される場合、バーコードリーダB1a、B2aの替わりに、RFIDを読み取るためのアンテナが配される。
また、バーコードリーダB1a、B2aにより容器の種類が判定される替わりに、容器の形状をセンサや撮像画像に基づいて検出し、容器の種類が判定されるようにしても良い。また、容器に光を照射して、その光が透過するか否かを検知するセンサが用いられても良い。この場合、たとえば、光が透過しないと血液を収容する検体容器Tと判定し、光が透過すると洗浄液を収容する洗浄液容器Wであると判定する。
また、上記実施の形態では、バーコードリーダB1a、B2aに基づいて容器の種類が判定されたが(図8のS12、S18)、これに限らず、何れかのバーコードリーダにより容器の種類が判定されるようにしても良い。また、図8の処理では、バーコードリーダB2aによる読取内容に基づいて洗浄処理の要否が決定されたが、バーコードリーダB1aによる読取内容に基づいて洗浄処理の要否が決定されてもよく、これら2つのバーコードリーダによる読取内容に基づいて洗浄処理の要否が決定されても良い。
また、上記実施の形態では、1つの検体ラックLに洗浄液容器Wと検体容器Tとを同時に保持させる場合であっても、容器の種類に応じて検体の測定と洗浄液による洗浄が行われた。しかしながら、これに限らず、洗浄液による洗浄を行う場合、1つの検体ラックLに洗浄液容器Wのみが保持されるようにしても良い。この場合、洗浄液容器Wを保持する検体ラックLのラックIDが、予め情報処理ユニット4に対して登録されるようにしても良い。
この場合、バーコードリーダB1aにより、検体ラックLのバーコードラベルL1からラックIDが読み取られると、情報処理ユニット4のCPU401は、このラックIDが洗浄液容器Wを保持するための検体ラックLであるか否かを判定する。このラックIDが洗浄液容器Wを保持するための検体ラックLである場合、この検体ラックLに保持されている容器には、洗浄液のみが収容されているものとして搬送され、ピアサ33により吸引が行われる。この場合、洗浄液容器Wに貼付されるバーコードラベルW1を省略することができる。
また、上記実施の形態では、所定回に分けて吸引した洗浄液を用いて、流体回路の洗浄が行われたが、これに限らず、まず洗浄液容器W内の洗浄液がピアサ33により全て吸引された後、吸引された洗浄液を分けて洗浄に使用するようにしても良い。この場合、吸引された全ての洗浄液のうちの所定量を用いて洗浄する流体回路の範囲と、残りの洗浄液を用いて洗浄する流体回路の範囲とが設定されても良い。
また、図9の処理では、反応チャンバ毎に、S103〜S107の処理が繰り返されたが、一度に全ての反応チャンバ分の洗浄液をピアサ33により吸引し、吸引した洗浄液に適量の希釈液を混入し、その後、ピアサ33から各反応チャンバに、所定量ずつ希釈洗浄液を分注するようにしても良い。
また、上記実施の形態では、ベース321が測定ユニット3の前方に突出され、容器セット部321aに直接容器をセットする場合に、バーコードリーダB2aの読取結果により、検体容器Tまたは洗浄液容器Wの何れであるかが判定された。しかしながら、これに限らず、操作手順やユーザの指示内容に基づいて行われるようにしても良い。
たとえば、開閉ボタン3aと開始ボタン3bのみの操作により、容器セット部321aに直接容器がセットされると、この容器は検体容器Tであると判定されるようにしても良い。また、開閉ボタン3aと開始ボタン3bのみの操作により、容器セット部321aに直接容器がセットされると、この容器は洗浄液容器Wであると判定されるようにしても良い。また、ユーザにより情報処理ユニット4を介して優先的に行う測定の指示が入力され、容器セット部321aに直接容器がセットされると、この容器は検体容器Tであると判定されるようにしても良い。また、ユーザにより情報処理ユニット4を介して洗浄指示が入力され、容器セット部321aに直接容器がセットされると、この容器は洗浄液容器Wであると判定されるようにしても良い。
また、上記実施の形態では、各検体に関する測定オーダは、予めホストコンピュータに記憶されていたが、これに限らず、情報処理ユニット4のハードディスク404に記憶されていても良い。この場合、図8のS13、S14の処理は省略され、読取位置P3に位置付けられた容器が検体容器Tであるとき(S18:YES)、バーコードリーダB2aの読取内容(検体ID)に基づいて、ハードディスク404に記憶されている測定オーダが読み出される(S19)。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 … 検体分析装置
3 … 測定ユニット
33 … ピアサ
307 … 空圧源
401 … CPU
B1a、B2a … バーコードリーダ
C1〜C5 … 反応チャンバ
D1 … 検出器
M1〜M3 … モータ
p3 … 圧力調節器
S1 … シリンジポンプ
v1a〜v5a、v1b〜v5b、v11〜v21 … バルブ
WC1、WC2 … 廃液チャンバ
T … 検体容器
T1 … バーコードラベル
W … 洗浄液容器
W1 … バーコードラベル

Claims (8)

  1. 検体を収容した検体容器から検体を吸引して分析を行う検体分析装置であって、
    一定量の液体を吸引するための負圧を吸引管に与える定量シリンジポンプと、空圧源とを備え、容器に収容された液体を前記吸引管により吸引して流体回路内に流通させる流体処理部と、
    吸引対象の容器の種類を識別する識別手段と、
    前記流体処理部を制御する制御部と、を備え、
    吸引対象の容器が洗浄液を収容した洗浄液容器であると前記識別手段によって識別された場合、前記制御部は、吸引対象の前記洗浄液容器から前記定量シリンジポンプを用いて一定量の洗浄液を吸引したのち、前記空圧源を用いて残りの洗浄液を前記洗浄液容器から吸引して、前記洗浄液容器内の洗浄液を前記吸引管により全て吸引する制御を行い、前記定量シリンジポンプで吸引された洗浄液を用いて前記流体回路を洗浄する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  2. 請求項1に記載の検体分析装置において、
    吸引対象の容器が検体容器であると識別手段によって識別された場合、前記制御部は、吸引対象の前記検体容器から測定に必要な所定量の検体を吸引するよう前記流体処理部を制御する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  3. 請求項1または2に記載の検体分析装置において、
    識別手段は、吸引対象の容器に付されたバーコードを読み取るバーコード読取部を含み、バーコードを読み取って得られた識別情報から、容器の種類を識別する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか一項に記載の検体分析装置において、
    前記制御部は、前記洗浄液容器から洗浄液を吸引する場合、前記吸引管の先端を前記洗浄液容器の底に当接させて前記洗浄液を吸引するよう前記流体処理部を制御する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  5. 検体を収容した検体容器から検体を吸引して分析を行う検体分析装置であって、
    一定量の液体を吸引するための負圧を吸引管に与える定量シリンジポンプと、空圧源とを備え、容器に収容された液体を前記吸引管により吸引して流体回路内に流通させる流体処理部と、
    吸引対象の容器の種類を識別する識別手段と、
    前記流体処理部を制御する制御部と、を備え、
    吸引対象の容器が洗浄液を収容した洗浄液容器であると前記識別手段によって識別された場合、前記制御部は、前記流体回路の洗浄のための所定量の洗浄液を前記定量シリンジポンプにより前記洗浄液容器から吸引したのち、その洗浄液容器に収容されている残りの洗浄液を前記空圧源により吸引するよう前記流体処理部を制御する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  6. 検体を収容した検体容器から検体を吸引して分析を行う検体分析装置であって、
    一定量の液体を吸引するための負圧を吸引管に与える定量シリンジポンプと、空圧源とを備え、容器に収容された液体を吸引管により吸引して流体回路内に流通させる流体処理部と、
    吸引対象の容器の種類を識別する識別手段と、
    前記流体処理部を制御する制御部と、を備え、
    吸引対象の容器が洗浄液を収容した洗浄液容器であると前記識別手段によって識別された場合、前記制御部は、吸引対象の前記洗浄液容器の底に前記吸引管を当接させ、当該吸引管を底に当接させた状態で、前記定量シリンジポンプにより洗浄液を吸引した後、残りの洗浄液を前記空圧源により吸引するよう前記流体処理部を制御し、前記定量シリンジポンプにより吸引された洗浄液を用いて前記流体回路を洗浄する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  7. 請求項に記載の検体分析装置において、
    吸引対象の容器が検体を収容した検体容器であると前記識別手段によって識別された場合、前記制御部は、吸引対象の前記検体容器の内部であって底よりも上方の所定位置まで前記吸引管を下降させ、前記所定位置において検体を吸引するよう前記流体処理部を制御する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  8. 請求項またはに記載の検体分析装置において、
    前記制御部は、少なくとも、前記吸引管により空気の吸引が始まるまでに要する時間、当該吸引管を底に当接させた状態で洗浄液を吸引するよう前記流体処理部を制御する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
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