JP5871133B2 - 車両の後部車体構造 - Google Patents
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Description
これにより、リヤドア開口部とバックドア開口部との前後方向幅が狭くなるため、リヤピラーの前後方向幅が必然的に細くなり、バックドア開口部近傍の車体剛性が低下する虞がある。そこで、バックドア開口部近傍の剛性を更に高くする技術が種々提案されている。
しかし、この車両の後部車体構造では、新たにジョイント部材を新設する必要があるため、部品点数増加による車体重量の増加や生産コストの増加を招く虞がある。また、このジョイント部材を第1閉断面部と第2閉断面部と第3閉断面部との連結部に位置決めした状態で第1閉断面部及び第2閉断面部の夫々の構成部材に接合する必要があるため、組付け作業工程増加による生産性の低下を招く虞もある。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記延設部は前記延設本体部の車体前後方向端部から車体前後方向に夫々延びる延設フランジ部を備えたことを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項2〜4の何れか1項の発明において、前記延設部は前記リヤピラーレインフォースメントを覆う上下方向の重合幅が車幅方向外側程小さくなるように構成されたことを特徴としている。
車体後部の開口部近傍に車体側部から車体上部に亙って連続した閉断面部を形成すると共にこの閉断面部の構成部材であるリヤヘッダアッパの延設部がルーフに設けられた前後方向に延びる溝部に接合されているため、リヤピラー閉断面部の断面積の拡大や部品点数の増加を行なうことなく車体後部の剛性を向上することができる。
請求項3の発明によれば、延設フランジ部によりリヤピラー閉断面部の剛性を一層増すことができる。
請求項5の発明によれば、リヤヘッダアッパからリヤピラーレインフォースメントに亙って応力伝達に寄与する部分が漸減しているため、応力集中部位を形成することなくリヤヘッダアッパとリヤピラーレインフォースメントとを連続させることができる。
本発明が適用される車両Vは、運転席を含む前席と、その後側に位置する後席と、その後側に位置する荷室とを備えた5ドアハッチバックタイプの車両である。尚、以下の説明において、レインフォースメントをレインと略称する。
図1,図7に示すように、ルーフパネル1の左右端部には、下方へクランク状に段差形成されたレール部1aが夫々形成されている。このルーフパネル1の車幅方向外側には、前後方向に延びる左右1対のルーフサイドレール2が夫々設置されている。
各レール部2bは、夫々に対応したレール部1aと前後方向に亙って重合され、この重合部分がスポット溶接によって接合され、左右1対の車体前後方向に延びる上方開放の溝部7を形成している。
左右1対のリヤピラー3は、左右1対のルーフサイドレール2の後端から下方に延びるように夫々構成されている。尚、左右1対のリヤピラー3の構造は、略左右対称構造であるため、以下、右側のリヤピラー3について主に説明する。
リヤピラー3は、リヤピラーインナ11と、リヤピラーアウタ12と、リヤピラーインナ11と協働してリヤピラー閉断面部14を構成するリヤピラーレイン13等を備えている。
リヤピラーインナパネル15は、側面視にて略三角形状に形成され、ホイールハウス8からルーフサイドレール2に亙って上下及び前後方向に延びる車室内壁を構成している。リヤピラーインナパネル15の後側上部は、コーナープレート16の下端に接合され、リヤピラーインナパネル15の後側下部は、リヤサイドパネル17の下端に接合されている。
リヤピラーインナパネル15の前後方向中間部分には、上下方向に延び且つ車室内側に突出するビード部15aが設けられている。このビード部15aの下端は、後述する前側ガセット18a及び後側ガセット18bの上側延長線上に配置され、その上端はリヤヘッダ4に対応するように形成されている。
リヤピラーインナパネル15の車室内側下部には、サスハウジングインナレイン18がホイールハウスアウタ8bの上部を介して接合され、このサスハウジングインナレイン18は、車室内側へ膨出するホイールハウスインナ8aの上部とリヤピラーインナパネル15の下端との間を連結し、ホイールハウスインナ8a及びホイールハウスアウタ8bと協働して正面視にて三角形状の閉断面部を構成している。
前側ガセット18aは、サスハウジングインナレイン18の前側下部から前方下がり傾斜状に設けられ、ホイールハウスインナ8aと協働してサスハウジングインナレイン18等が構成する閉断面部に下方から連なる略ストレート状の閉断面部を構成している。
後側ガセット18bは、サスハウジングインナレイン18の後側下部から後方下がり傾斜状に設けられ、ホイールハウスインナ8aと協働してサスハウジングインナレイン18等が構成する閉断面部に下方から連なる略ストレート状の閉断面部を構成している。
リヤピラーレイン13は、その下端がサスハウジングアウタレイン19の上端に接合され、リヤピラーインナパネル15に対向する中段部分において上方へ略ストレート状に延び、コーナープレート16に対向する上側部分において車幅方向内側へ湾曲する略湾曲形状に構成されている。それ故、リヤピラー閉断面部14は、下側部分においてホイールハウスアウタ8bから上方へ略ストレート状に延びると共に上側部分において溝部7よりも車幅方向内側領域まで湾曲状に形成されている。
図2〜図7に示すように、リヤヘッダ4は、開口部5の上方且つルーフパネル1の後端下側位置において車幅方向に延びるリヤヘッダ閉断面部を構成している。
リヤヘッダ4は、リヤヘッダインナ21と、リフトゲートのヒンジを支持するための左右1対のヒンジレイン22と、リヤヘッダアッパ23等を備えている。
リヤヘッダインナ21の車幅方向左右端部は、左右1対のヒンジレイン22を介して左右1対のコーナープレート16の車幅方向内側端部と夫々連結されている。
リヤヘッダアッパ本体部23aの車幅方向外側端部分に対応する空間部Sには、リヤヘッダアッパ本体部23aの上壁部とリヤピラーレイン本体部13aの上壁部とを接着するために、所定の接着材26、例えばウエルドボンドが充填されている。これにより、リヤヘッダアッパ本体部23aの上壁部とリヤピラーレイン本体部13aの上壁部とが上下方向に離隔した配置状態であっても、上下方向の位置精度に拘らずに両者を連結することができ、リヤヘッダ閉断面部(リヤヘッダ4)とリヤピラー閉断面部14とを連結することができる。
これにより、リヤヘッダアッパ23からリヤピラーレイン13、或いはリヤピラーレイン13からリヤヘッダアッパ23に亙って応力が伝達されるとき、両者の応力伝達に寄与する部分を漸減することができ、応力を局部に集中させることなく円滑に伝達することができる。
延設本体部24aの上壁部には、上方に突出した複数、例えば2つのビード24dが車幅方向に延びるように設けられている。これにより、延設本体部24aの前壁部及び後壁部の上下長さを車幅方向外側程小さく形成しても、延設部24の剛性を高めることができる。
図1〜図6に示すように、開口部5は、上縁部に枢支される開閉自在なリフトゲート(図示略)が装着可能に構成されている。この開口部5は、側縁部を形成する左右1対の開口部ピラー30と、上縁部を形成するリヤヘッダ4と、下縁部を形成するリヤエンドメンバ(図示略)とによって形成され、これらの部材が協働して略ループ状の閉断面部を構成している。尚、開口部5の構造は、略左右対称構造であるため、以下、右側の開口部5について主に説明する。
内側開口部ピラーレインフランジ部33bは、下側部分がリヤサイドパネル17にスポット接合され、上側部分が後側リヤピラーレインフランジ部13cを間に挟んだ状態でコーナープレート16とスポット溶接によって三重接合されている。
これにより、開口部閉断面部34とリヤピラー閉断面部14とは、前後に隣接配置され、外側開口部ピラーレインフランジ部33c及び後側リヤピラーレインフランジ部13cを介して連結されている。
この車両の後部車体構造によれば、リヤヘッダアッパ23とリヤピラーレイン13との上下方向の位置精度に拘わらず、リヤヘッダアッパ23とリヤピラーレイン13を重合配置でき、リヤヘッダ閉断面部(リヤヘッダ4)とリヤピラー閉断面部14とを容易に連続させることができるため、部材形状のばらつき等に起因する過剰な公差管理や位置ずれを修正するための補修工程を省略することができ、生産性を向上することができる。
車体後部の開口部5近傍に車体側部から車体上部に亙って連続した閉断面部を形成すると共にこの閉断面部の構成部材であるリヤヘッダアッパ23の延設部24がルーフパネル1に設けられた前後方向に延びる溝部7に接合されているため、リヤピラー閉断面部14の断面積の拡大や部品点数の増加を行なうことなく車体後部の剛性を向上することができる。
延設部は延設本体部24aの車体前後方向端部から車体前後方向に夫々延びる延設フランジ部24b,24cを備えているため、延設フランジ部24b,24cによりリヤピラー閉断面部14の剛性を一層増すことができる。
延設本体部24aは、リヤピラーレイン本体部13aを覆う上下方向の重合幅が車幅方向外側程小さくなるように構成されている。これにより、リヤヘッダアッパ23からリヤピラーレイン13に亙って応力伝達に寄与する部分が漸減しているため、応力集中部位を形成することなくリヤヘッダアッパ23とリヤピラーレイン13とを連続させることができる。
1〕前記実施例においては、延設本体部の上壁部に上方に突出した2つのビードを設けた例を説明したが、1つ或いは3つ以上のビードを設けても良く、また、下方に突出したビードを形成しても良い。また、板厚の変更や補強部材を追加することも可能である。
2 ルーフサイドレール
2a ルーフサイドレールアウタ
3 リヤピラー
4 リヤヘッダ
5 開口部
7 溝部
11 リヤピラーインナ
13 リヤピラーレイン
13a リヤピラーレイン本体部
14 リヤピラー閉断面部
21 リヤヘッダインナ
23 リヤヘッダアッパ
24 延設部
24a 延設本体部
24b 前側延設フランジ部
24c 後側延設フランジ部
31 開口部ピラーインナ
33 開口部ピラーレイン
33c 開口部ピラーレインフランジ部
34 開口部閉断面部
V 車両
Claims (6)
- 車体後部の開口部上方にリヤヘッダインナとリヤヘッダアッパとで構成され且つ車幅方向に延びるリヤヘッダ閉断面部と、リヤピラーインナとリヤピラーレインフォースメントとで構成され且つ下方へ延びるリヤピラー閉断面部と、ルーフの車幅方向外側端部とルーフサイドレールアウタの車幅方向内側端部との接合部分に形成され且つ車体前後方向へ延びる上方開放の溝部とを備えた車両の後部車体構造において、
前記リヤヘッダインナとリヤピラーインナとを連結すると共に前記リヤヘッダアッパをリヤピラーレインフォースメントの少なくとも一部を覆うように離隔配置して前記リヤヘッダ閉断面部とリヤピラー閉断面部とを連なるように構成し、
前記リヤヘッダアッパの車幅方向外側端部から車幅方向外側へ延びる延設部を設け、
この延設部を前記溝部に接合したことを特徴とする車両の後部車体構造。 - 前記リヤピラーレインフォースメントが断面略コ字状のリヤピラーレイン本体部を備え、
前記延設部が前記リヤピラーレイン本体部を部分的に囲繞可能な断面略コ字状の延設本体部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両の後部車体構造。 - 前記延設部は前記延設本体部の車体前後方向端部から車体前後方向に夫々延びる延設フランジ部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の車両の後部車体構造。
- 前記延設部に車幅方向へ延びるビードを設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の後部車体構造。
- 前記延設部は前記リヤピラーレインフォースメントを覆う上下方向の重合幅が車幅方向外側程小さくなるように構成されたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の車両の後部車体構造。
- 前記開口部が、開口部インナと、この開口部インナと協働して開口部周縁を囲む開口部閉断面部を構成する開口部レインフォースメントとを備え、
前記開口部レインフォースメントが開口部レインフランジ部を備えると共にこの開口部レインフランジ部と後側延設フランジ部とが接合されたことを特徴とする請求項3に記載の車両の後部車体構造。
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