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JP5856956B2 - 血液検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、PIVKA−IIの測定方法、PIVKA−IIの測定試薬及び抗体に関し、特に、検体中のビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIを測定することによる肝がんにおける肝障害度の判定及び特異性を上げることが可能なPIVKA−IIの測定方法、PIVKA−IIの測定試薬及びモノクローナル抗体に関する。
PIVKA−II(Protein Induced by Vitamin K Absence or Antagonist-II)は、AFP(α−フェトプロテイン)と並んで肝がんを診断するマーカーとして広く臨床検査室で測定されている。
PIVKA−IIはビタミンK依存性血漿タンパク質の一つであるプロトロンビンの前駆物質である。プロトロンビン(血液凝固第II因子)は、分子量71,600のタンパクで、フラグメント1、2及びトロンビンの3領域から構成されており、アミノ酸配列も明らかにされている(非特許文献1)。フラグメント1は、N末端から41個のアミノ酸によって構成されるGlaドメインを含む156個のアミノ酸からなる。このGlaドメイン中の10個のγ−カルボキシグルタミン酸(Gla)残基が正常に合成されたものが正常プロトロンビン、正常に合成されず、その全てあるいは一部がグルタミン酸(Glu)残基のままのものがPIVKA−IIである。従って、PIVKA−IIとは正常プロトロンビンのγ−カルボキシグルタミン酸残基についての脱カルボキシル化体であるということもでき、異常プロトロンビンと呼ばれることもある。10個のグルタミン酸残基中いくつがγ−カルボキシル化を受けるかにより数種類のPIVKA−IIが混在した状態で存在している(非特許文献2)。
肝がん細胞が産出するPIVKA−IIは、ほとんどがGlu残基のままであり、セルラインMU−3より得たモノクローナル抗体(特許文献1)を使用した従来のPIVKA−II測定試薬は、正常プロトロンビンの10個のGla残基のうち、10〜9個がGlu残基であるPIVKA−IIと強い反応性を示すことが知られている(非特許文献2)。
一般的には、PIVKA−IIは次のようにして測定されている。まず、PIVKA−IIに特異的なモノクローナル抗体やポリクローナル抗体を吸着させた磁気ビーズやガラスビーズ、プラスチックプレート、ラテックス等を血清や血漿と第一反応させたのち、BF洗浄を行い、続いて酵素、蛍光物質、放射性同位元素やRu錯体等で標識した、ヒトプロトロンビンに特異的なポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を加えて第二反応をさせてBF洗浄した後、抗原抗体反応によって形成された免疫複合体に結合している酵素、蛍光物質、放射性同位元素、Ru錯体の吸光度又は発光量を測定する(特許文献2)。
また、プロトロンビンとは反応せず且つPIVKA−IIとのみ反応するモノクローナル抗体と、プロトロンビンと反応し且つPIVKA−IIとも反応するモノクローナル抗体を組み合わせた測定方法も知られている(特許文献3)。
また、Gla残基はカルシウム結合能を持っているため、カルシウム存在下で立体構造が変化することがわかっており、カルシウム存在下でのみPIVKA−IIに特異的に結合する抗体を用いた測定方法も知られている(非特許文献3)。
肝がんは他臓器の悪性腫瘍と異なり、もともと慢性肝炎や肝硬変であったところに肝がんが合併するため、肝がん症例の治療にあたっては腫瘍側因子だけではなく、肝障害度を考量した上で治療方針を決定する必要がある。腫瘍マーカー検査としては、PIVKA−IIやAFPが用いられているが、治療方針の決定に必要となる肝障害度や予後を必ずしも反映していない。こうした中、肝障害度や予後予測を反映する血液検査が望まれていた。
肝障害度とは、「原発性肝癌取扱い規約」に記載されている肝予備能を評価する指標である。腹水、血清ビリルビン値、血清アルブミン値、ICG R15、プロトロンビン活性値を3度に分類し、各項目別重症度を求め、2項目以上が該当した肝障害度を取る。またはChild−Pugh分類を用いて評価することもできる。Child−Pugh分類は、脳症、腹水、血清ビリルビン値、血清アルブミン値、プロトロンビン活性値について、1〜3点のポイントを付け、その合計点の低い方からA〜Cまで分類する肝障害度を示す指標である。
またPIVKA−IIは、肝がんでない場合でも、ビタミンK不足、ビタミンK拮抗剤投与症例においても上昇することがわかっている。試薬の高感度化に伴いアルコール性肝炎等における偽陽性が散見され、さらにPIVKA−IIが陽性にもかかわらず画像診断では肝がんが見つからない症例も報告されている。こうした中、より肝がんに特異性の高い測定方法の開発が望まれていた。
特公平5−43357 特開平5−249108 特開平9−43237
Biochemistry. 1987 Sep 22;26(19):6165-77 Biochem Biophys Acta. 2002 Apr 24;1586(3):287-98 2002 J Immunoassay. 1995 May;16(2):213-29.
前述のごとくPIVKA−IIには、肝臓において肝がん細胞が産出するPIVKA−IIと、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−II(以下、肝がん細胞が産出するPIVKA−II以外のPIVKA−IIを「ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−II」とする。)があるが、従来の測定試薬ではそれらの区別が難しく、偽陽性が散見されるため、より偽陽性の少ない測定方法の開発が望まれていた。
本発明は、肝がんにおける肝障害度の判定及び予後予測を可能とし、肝がんを感度良く検出することができるPIVKA−IIの測定方法、PIVKA−IIの測定試薬、肝障害度の判定方法及び肝がんの判定方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行い、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIと反応する2種の抗体を用いた二抗体サンドイッチ法によりPIVKA−IIを測定することで、肝がんにおける肝障害度の判定及び予後予測が可能となることを見出した。また、この抗体を用いて得られる測定値と従来の方法で行ったPIVKA−II測定値を比較することにより、アルコール性肝炎や肝硬変と肝がんを区別することが可能であり、肝がんの予後予測と、特異性の高い肝がんの検出が可能となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のPIVKA−IIの測定方法は、(a)二抗体サンドイッチ法を利用する免疫学的測定法によってビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIを測定し、測定値Aを得る工程、を含むPIVKA−IIの測定方法であって、前記(a)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体として、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIに特異的な抗体を使用することを特徴とする。
本発明のPIVKA−IIの測定方法は、(b)二抗体サンドイッチ法を利用する免疫学的測定法によってPIVKA−IIを測定し、測定値Bを得る工程、及び(c)前記測定値A及び前記測定値Bを比較する工程、をさらに含み、前記(b)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる一方の抗体として人肝がん細胞培養細胞株より精製したPIVKA−IIと反応する抗PIVKA−IIモノクローナル抗体を使用し、前記(b)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる他方の抗体としてヒトトロンビンと反応する抗体を含まない抗ヒトプロトロンビン抗体を使用することが好適である。
前記(a)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体が、人肝がん細胞培養細胞株より精製したPIVKA−IIと反応しないことが好ましい。
前記(a)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体が、ヒトトロンビンと反応しないことが好適である。
前記(a)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体がモノクローナル抗体であることが好適である。
前記(a)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体がいずれも、Ca2+イオンの共存下における抗原固相ELISAにおいて、i)プロトロンビンとは反応せず、且つii)プロトロンビンの脱炭酸処理を6時間したものに比べ、脱炭酸処理を30分したものに対する反応性が高い、ものの組み合わせであることが好適である。
本発明のPIVKA−IIの測定試薬は、二抗体サンドイッチ法を利用する免疫学的測定法によってビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIを測定するに当り、抗体として、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIに特異的な抗体を使用することを特徴とする。
本発明のビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIの測定試薬において、前記二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体がいずれも、Ca2+イオンの共存下における抗原固相ELISAにおいて、i)プロトロンビンとは反応せず、且つii)プロトロンビンの脱炭酸処理を6時間したものに比べ、脱炭酸処理を30分したものに対する反応性が高い、ものの組み合わせであることが好適である。
本発明のモノクローナル抗体の第一の態様は、受託番号FERM BP−11258で特定されるハイブリドーマにより産生されることを特徴とする。
本発明のモノクローナル抗体の第二の態様は、受託番号FERM BP−11259で特定されるハイブリドーマにより産生されることを特徴とする。
本発明のハイブリドーマの第一の態様は、受託番号FERM BP−11258で特定されることを特徴とする。
本発明のハイブリドーマの第二の態様は、受託番号FERM BP−11259で特定されることを特徴とする。
本発明のPIVKA−IIの測定方法及び測定試薬において、前記ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIに特異的な抗体が、受託番号FERM BP−11258で特定されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体及び受託番号FERM BP−11259で特定されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体であることが好適である。
本発明の肝障害度の判定方法は、本発明のPIVKA−IIの測定方法によって得られた値により、肝障害度を判定することを特徴とする。
本発明の肝がんの判定方法は、本発明のPIVKA−IIの測定方法によって得られた値により、肝がんを判定することを特徴とする。
本発明により、血液検査では従来は困難であった、肝がんにおける肝障害度の判定及び予後予測を的確に判定することができ、肝がんを感度良く検出することができる。さらに、本発明により、肝がんを発症していないアルコール性肝炎や肝硬変と肝がんを区別することが可能であり、肝がんの予後予測と、特異性の高い肝がんの検出が可能である。
抗体の反応性とプロトロンビンの脱炭酸処理時間の関係を示したグラフである。 実施例2及び比較例1〜3の測定値のChild−Pugh分類別平均値を示したグラフであり、(a)は実施例2の結果、(b)は比較例1の結果、(c)は比較例2の結果、及び(d)は比較例3の結果をそれぞれ示す。 実施例2及び比較例1〜3のROC分析の結果を示したグラフである。 実施例3のPIVKA−IIの測定結果を示すグラフである。 実施例3のレシオ値を示したグラフである。 実施例4(1)のGla残基含有ペプチドに対する抗体の反応性を示すグラフである。 実施例4(1)のペプチドの共通部位を示した図である。 実施例4(2)の変性プロトロンビン及び変性PIVKA−IIに対する反応性を示す図である。 実施例4(3)のフラグメント1及びフラグメント2に対する反応性を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明のPIVKA−IIの測定方法は、(a)二抗体サンドイッチ法を利用する免疫学的測定法によってビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIを測定し、測定値Aを得る工程、を含むPIVKA−IIの測定方法であって、前記(a)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体として、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIに特異的な抗体を使用するものである。本願明細書において、前記(a)工程で測定されたビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIをNX−PVKAと称することがある。
前記(a)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体は、それぞれ、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIを抗原として作製されるビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIと反応する抗体であり、例えば、下記方法により製造される。
非肝がん症例のクマジン血漿(ビタミンK拮抗物質投与患者の血漿)より精製したPIVKA−II、すなわち、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIを免疫原にして、公知の方法によりハイブリドーマを作製し、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIと反応するハイブリドーマ株を選択する。該ハイブリドーマ株選択時に、人肝がん細胞培養細胞株より精製したPIVKA−IIやヒトトロンビンと反応しないハイブリドーマ株を選択することが好ましい。特に、プロトロンビンの10個のグルタミン酸残基についてのγ−カルボキシル化の割合が高いPIVKA−IIに反応性が高いハイブリドーマを選択することが好適であり、具体的には、正常プロトロンビンの脱炭酸処理時間が短いPIVKA−IIに対して高い反応性を示すハイブリドーマを選択することが好適である。例えば、プロトロンビンより脱炭酸処理時間30分及び6時間で調製したPIVKA−IIに対する反応性を比較する場合、30分で調製したPIVKA−IIに対する反応性を6時間で調製したPIVKA−IIに対する反応性で割った場合に1より大きくなるハイブリドーマを選択することが好ましい。前記ハイブリドーマとしては、受託番号FERM BP−11258で特定されるハイブリドーマ及び受託番号FERM BP−11259で特定されるハイブリドーマが好ましい。
前記選択したハイブリドーマを用いてモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作製し、該モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを用いて公知の方法によりビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIと反応するモノクローナル抗体を得ることが好ましい。
前記(a)工程における二抗体サンドイッチ法を利用する免疫学的測定法は、例えば、下記方法により実施される。
前記方法により、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIを抗原として2種のモノクローナル抗体を調製し、一方を固相化して用い、他方を標識して用いる。該2種の抗体は、互いに交差反応しない抗体である。
抗体を固相化する方法は特に制限はないが、例えば、磁気ビーズやマイクロプレート等の固相に固相化することが好適である。
抗体を標識する方法は特に制限はないが、Ru等の標識物質により標識することが好ましい。
前記固相化抗体及び標識抗体を用いて、検体中のビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIを測定する。測定は、二抗体サンドイッチ法を利用する免疫学的測定法における通常の手順に従って行えばよい。なお、後述する実施例では、電気化学発光免疫測定法を用いた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、化学発光法や放射性同位元素法等の公知の測定法を広く使用可能である。
本発明において、前記(a)工程で測定されたNX−PVKAの測定値Aを得ることにより、肝がんにおける肝障害度を判定することができる。また、測定値Aを、従来の方法により測定されるPIVKA−IIの測定値と比較することにより、肝がんを発症していないアルコール性肝炎や肝硬変と肝がんを区別することができる。
従来の肝がんで上昇するPIVKA−IIの測定方法としては特に制限はないが、例えば、(b)二抗体サンドイッチ法を利用する免疫学的測定法によってPIVKA−IIを測定し、測定値Bを得る工程を含み、前記(b)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる一方の抗体として人肝がん細胞培養細胞株より精製したPIVKA−IIと反応する抗PIVKA−IIモノクローナル抗体を使用し、前記(b)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる他方の抗体としてヒトトロンビンと反応する抗体を含まない抗ヒトプロトロンビン抗体を使用する方法が挙げられる。
前記測定値Aと前記測定値Bを比較する手段は特に制限はなく、例えば、比や差を算出する方法が挙げられるが、測定値Bを測定値Aで除算してレシオ値を求めることが好適である。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)モノクローナル抗体の調製
(1)ハイブリドーマの調製
クマジン血漿(UNIGLOBE RESEARCH CORPORATION社製)より精製したPIVKA−II(1mg/mL)とフロイドの完全アジュバント(GIBCO社製)とを1対1で混和乳化し、50μg/100μmL(エマルジョン)で8週齢の雌BALB/Cマウス(日本チャールズリバー(株)製)の皮下に2週間間隔で4回投与後、最終免疫の3日後に脾臓を摘出した。摘出した脾臓から得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞SP2/O−Ag14とを10対1の割合で混合し、50%ポリエチレングリコール1540(和光純薬工業(株)製)存在下にて細胞融合させた。融合細胞は脾臓細胞として2.5x10/mLになるようにHAT培地に懸濁し、96穴培養プレート(CORNING社製)に0.2mLずつ分注した。これを5%COインキュベーター中で37℃にて培養し、おおよそ2週間後に、ハイブリドーマの生育してきたウェルの培養上清を、次に示すELISA法にしたがって評価し、PIVKA−IIに反応する抗体を産生するハイブリドーマを選択した。
具体的には、まず、マイクロプレート(NUNC社製)に前記のPIVKA−IIを0.1μg/mL固相化した。これに、各培養上清を反応させた後、ペルオキシダーゼ標識した抗マウスIgGヤギ抗体を反応させ、次いでオルトフェニレンジアミン(東京化成工業(株)製)を含むペルオキシダーゼ基質溶液を加え発色させ、1.5N硫酸を加えて発色を停止させた後、マイクロプレートリーダー(Abs.492nm)で測定し、PIVKA−IIと反応するハイブリドーマ株を選択した。このハイブリドーマを限界希釈法によりクローン化を行った後、その培養上清から、プロテインAカラム(ファルマシア)を用いIgGを精製した。
獲得したモノクローナル抗体の特異性を調べるため、プロトロンビン(Enzyme Research Laboratories社)からBajahらの方法(S. Paul Bajah, Paul A. Price, and William A. Russell, Decarboxylation of γ-Carboxyglutamic Acid Residues in Human Prothrombin, Journal of Biological Chemistry 257(7):3726,1982に記載の方法)に従い、脱炭酸時間の異なる各種PIVKA−IIを調製した。具体的には、4.6mg/mLのプロトロンビン溶液0.22mLに0.78mLの重炭酸アンモニウム溶液(0.1mol/L、pH8.0)を添加し、これを更に重炭酸アンモニウム溶液で4℃において一夜透析した。透析後の溶液に終濃度が10mmol/Lになるように0.1mol/L EDTA・2Naを添加し、室温で30分間静置した。この溶液を再び重炭酸アンモニウム溶液で4℃において2時間透析した。透析後の溶液をスクリューキャップ付きの耐熱性バイアル6本に等量ずつ分注し、凍結乾燥した。次にバイアル内を窒素ガスで充満させ、110℃で各時間(0分、30分、1時間、2時間、6時間、23時間)加熱した。各バイアルに1mLの生理食塩水を加え、内容物を溶解させ、使用するまで−80℃で凍結保存した。
前記の各種PIVKA−IIのうち、脱炭酸処理時間30分及び6時間のPIVKA−II、及びプロトロンビンを0.1μg/mL固相化したマイクロプレートを用いて、塩化カルシウムを4mmol/Lの濃度で共存させた条件で、選択したハイブリドーマの精製IgGの反応性を測定した。この条件でプロトロンビンに反応せず、且つ脱炭酸処理時間6時間のPIVKA‐IIに比べて脱炭酸処理時間30分のPIVKA‐IIに対して高い反応性を示すハイブリドーマを選択し、2種類のモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ24211と24216(以下、それぞれ「ハイブリドーマ11」及び「ハイブリドーマ16」と表記することがある)を獲得した。前記得られたハイブリドーマ11及び16は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託され(受領日:2010年5月28日)、ハイブリドーマ11の受託番号はFERM BP−11258であり、ハイブリドーマ16の受託番号はFERM BP−11259である。
脱炭酸処理時間を表1及び図1に示した如く変更した以外は上記と同様の方法でプロトロンビンの脱炭酸処理を行い、5種類のPIVKA−IIを調製した。ハイブリドーマ11から調製したP−11モノクローナル抗体、ハイブリドーマ16から調製したP−16モノクローナル抗体、及び従来試薬(ピコルミPIVKA−II(エーディア(株)製))の抗PIVKA−IIモノクローナル抗体の前記5種類のPIVKA−II及びプロトロンビン(脱炭酸処理時間0分)に対する反応性を上記と同様の方法で測定した。結果を表1及び図1に示す。表1及び図1において、(1)はP−11モノクローナル抗体、(2)はP−16モノクローナル抗体、(3)は従来試薬の抗PIVKA−IIモノクローナル抗体(MU−3)である。なお、P−11モノクローナル抗体及びP−16モノクローナル抗体の調製は後述する方法により行った。
(2)モノクローナル抗体の調製
ハイブリドーマ11及びハイブリドーマ16からそれぞれ下記方法によりP−11モノクローナル抗体及びP−16モノクローナル抗体を調製した。
あらかじめ2週間前にプリスタン0.5mLを腹腔内に注射しておいた12週齢の雌BALB/Cマウスに、ハイブリドーマを細胞数0.5x10個の量で腹腔内に投与した。約14日後に腹水を採取し、遠心処理して上清を得た。上清を等量の吸着用緩衝液(3mol/L NaCl−1.5mol/L Glycine−NaOH,pH8.5)と混和後、濾過した。このろ液を吸着用緩衝液で平衡化したプロテインAカラム(ファルマシア社製)に通して抗体をカラムに吸着させた後、0.1mol/Lクエン酸緩衝液(pH3.0)で溶出させてモノクローナル抗体を精製した。
(実施例2)
実施例1で得たP−16モノクローナル抗体及びP−11モノクローナル抗体を用い、下記方法により、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIの測定を行った。
(1)P−16モノクローナル抗体固相磁気ビーズの調製
磁気ビーズ(4.5ミクロン)30mg/mLの1mLを試験管にとり、磁石でトラップし、上清液を捨てたあと、磁気ビーズにP−16モノクローナル抗体0.5mg/mL(150mMリン酸緩衝液、pH7.8)を1mL加え、室温で一昼夜撹拌しながら反応させた。磁気ビーズを洗浄したあと、1%BSA・リン酸緩衝液を2mL加え、室温で1昼夜撹拌しながらブロッキングし、P−16モノクローナル抗体固相磁気ビーズを調製した。使用時、ビーズ希釈液で磁気ビーズ量1mg/mLに希釈して用いた。ビーズ希釈液の組成を下記に示す。
ビーズ希釈液の組成:0.05mol/Lトリス緩衝液(pH7.5)、0.150mol/L NaCl、0.01%Tween20、0.1%NaN、10%ウサギ血清(加熱)、0.1%マウス血清(清澄化)
(2)Ru標識P−11モノクローナル抗体の調製
P−11モノクローナル抗体1mg/mLに調製した1mLに、サクシニミド基修飾ルテニウム・トリ・ジピリジルのRu錯体化合物を68μL加え、室温で30分撹拌しながら反応させたのち、2mol/Lグリシンを50μL加え、反応を停止し、さらに室温で10分間撹拌しながら反応させた。最後に試料をセファデックスG−25(10mmol/Lリン酸緩衝液で平衡化)に流し、Ru結合の蛋白分画を集め、Ru標識P−11モノクローナル抗体を調製した。得られたRu標識P−11モノクローナル抗体は、使用時、Ru希釈溶液で1μg/mLに希釈して用いた。Ru希釈液の組成を下記に示す。
Ru希釈液の組成:0.015mol/Lヘペス緩衝液(pH7.8)、0.150mol/L NaCl、0.013mol/L CaCl、0.1%界面活性剤,0.1%NaN、0.1%ベンザミジン、1μg/mL、5%ウサギ血清(加熱)、0.01%マウスIgG
(3)ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIの測定
前記調製したP−16モノクローナル抗体固相磁気ビーズ及びRu標識P−11モノクローナル抗体を用い、電気化学発光免疫測定法により検体中のビタミンK欠乏に起因するPIVKA−II(NX−PVKA)の測定値Aを求めた。
検体として、手術を行っておらず、5年後の予後が判明している肝細胞癌患者63名の血清試料を用い、下記方法に従いNX−PVKA量を測定した。
各検体50μLにP−16モノクローナル抗体固相磁気ビーズを25μLと1μg/mLのRu標識P−11モノクローナル抗体を含むRu標識抗体液150μLを加え、30℃で9分間反応させた。反応後、磁気ビーズを磁石でトラップしながらピコルミBF洗浄液(エーディア(株)製)で3回洗浄した。0.1mol/Lトリプロピルアミンを含むピコルミ発光電解液(エーディア(株)製)を300μL加えて、電極表面に送り、磁気ビーズに結合したRuの発光量を自動分析装置ピコルミIII(エーディア(株)製)で測定し、検体中のNX−PVKA量を求めた。
実施例2の測定値をChild−Pugh分類別に平均値を算出した結果を表2及び図2(a)に示した。測定値について判別群を死亡例、対照群を生存例としてROC分析を行った。得られたROC曲線を図3に示す。ROC分析における曲線下面積は、0.710であった。
(比較例1)
ピコルミPIVKA−II測定キット(エーディア(株)製)を用いて、PIVKA−IIの測定を行った。結果を表2、図2(b)及び図3に示した。ROC分析における曲線下面積は、0.653であった。
(比較例2)
レーザー誘起蛍光検出法(LAB法)による、ミュータスワコーAFP−L3測定キット(和光純薬工業(株)製)を用いて,AFPの測定を行った。結果を表2、図2(c)及び図3に示した。ROC分析における曲線下面積は、0.651であった。
(比較例3)
比較例2と同様の方法により、AFP−L3(AFPのレクチン反応性による分画比)の測定を行った。結果を表2、図2(d)及び図3に示した。ROC分析における曲線下面積は、0.665であった。
表2及び図2に示した結果から明らかなように、実施例2のNX−PVKAのみがChild−Pugh分類(肝機能を評価するための分類)を反映していた。また、図3の結果から明らかなように、実施例2のNX−PVKAが最も予後予測を反映していた。
(実施例3)
検体として肝細胞癌患者28人、肝硬変患者20人、慢性肝炎患者9人の血清試料を用い、PIVKA−IIとNX−PVKA量を測定した。PIVKA−II測定値をNX−PVKA測定値で割ったレシオ値(NX−PVKA−R)を算出した。NX−PVKA量の測定は実施例2と同様の方法で行った。PIVKA−IIの測定は、ピコルミPIVKA−II測定キット(エーディア(株)製)を用いて行った。測定値を表3に示す。
PIVKA−II測定値をグラフにしたものを図4に示した。PIVKA−II測定値をNX−PVKA測定値で割ったレシオ値の結果をグラフにしたものを図5に示した。表3、図4及び図5において、HCCは肝細胞癌、CHは慢性肝炎、LCは肝硬変、BはB型肝炎、CはC型肝炎、NBNCは非B型非C型肝炎、NASHは非アルコール性肝障害、AIHは自己免疫性肝炎、ALDはアルコール性肝障害である。
表3、図4、図5に示した結果から明らかなように、従来の測定方法で得たPIVKA−II測定値をNX−PVKA測定値で割ったレシオ値(図5のNX−PVKA−R)により、従来の測定方法では偽陽性となっていた検体を区別することができ、肝がんに高い特異性を示した。
(実施例4)
実施例1で得たP−16モノクローナル抗体及びP−11モノクローナル抗体のエピトープを下記方法により調べた。
(1)Gla残基含有ペプチドに対する反応性
PIVKA−IIのN末端16残基に存在すると考えられるGla残基(γと表示)を含む下記配列番号1〜3で表わす3種のペプチド(PV002、PV003、PV00(4)を合成した。
PV002: ANTFLEγVRKGNLγRγ
PV003: ANTFLEEVRKGNLγRγ
PV004: ANTFLEEVRKGNLERγ
PV002のアミノ酸配列
Ala Asn Thr Phe Leu Glu Gla Val Arg Lys Gly Asn Leu Gla Arg Gla(配列番号1)
PV003のアミノ酸配列
Ala Asn Thr Phe Leu Glu Glu Val Arg Lys Gly Asn Leu Gla Arg Gla(配列番号2)
PV004のアミノ酸配列
Ala Asn Thr Phe Leu Glu Glu Val Arg Lys Gly Asn Leu Glu Arg Gla(配列番号3)
この3種のペプチドに対する反応性を調べるため次の方法で競合ELISAを行った。
脱炭酸処理時間1時間のPIVKA−IIをPBSで0.1μg/mLの濃度に希釈した後、ELISA用96穴プレートに50μL/wellずつ分注し、4℃で一夜静置した。各wellを0.05%Tween20含有PBS(以下、「PBST」という)で3回洗浄後(400μL/well)、1%BSA含有PBST(以下、「BSA−PBST」という)を100μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置してブロッキングを行った。PBSTで3回洗浄後、各wellにBSA−PBSTで希釈した各濃度(20、4、0.8、0.16、0.032μmol/L)のペプチド溶液を25μL/wellずつ分注し、続いてBSA−PBSTで200ng/mLの濃度に希釈した各モノクローナル抗体(P−16、P−11)溶液を25μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。PBSTで3回洗浄後、BSA−PBSTで3000倍希釈したHRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(DAKO社製)溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。PBSTで3回洗浄後、オルトフェニレンジアミン(東京化成工業社製)を含む基質溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で10分間静置した。これに1.5N硫酸を50μL/wellずつ分注して反応を停止後、マイクロプレートリーダー492nmにおける吸光度を測定した。その結果を図6に示す。
まず、P−16モノクローナル抗体は3種のペプチド全てに同等の反応性を示した。このことから、P−16モノクローナル抗体のエピトープは3種のペプチドの共通部位であるPIVKA−IIのN末端の1〜6残基(図7に示すaa1−6)、又はPIVKA−IIのアミノ酸配列のN末端から8〜13残基(図7に示すaa8−13)であることが示唆された。一方、P−11モノクローナル抗体は何れのペプチドとも反応しないことが判明した。本願明細書において、PIVKA−IIのN末端からX〜Y残基のものをaaX−Yと称する。
(2)変性PIVKA−II、変性プロトロンビン、及び変性トロンビンに対する反応性
変性状態のPIVKA−II、プロトロンビン、及びトロンビンに対する各モノクローナル抗体の反応性をウエスタンブロット法により調べた。具体的には、脱炭酸処理時間2時間のPIVKA−II、0分のプロトロンビン、及び市販精製トロンビン(ベネシス社製)に対する反応性を次の方法で調べた。0.1mg/mLPIVKA−II、0.1mg/mLプロトロンビン、及び10U/mLトロンビンを、それぞれメルカプトエタノール含有のSDS処理液(コスモバイオ社製)と1対1で混和後、10分間煮沸処理した。各サンプルをコスモバイオ社製のポリアクリルアミドゲル(マルチゲルIIミニ4/20)に5μL/wellずつ添加し、30mAで1時間電気泳動(SDS−PAGE)を行った。泳動後のゲルをセミドライブロッタ−(コスモバイオ社製)を用いPVDF膜に転写を行った(100mA、45分間)。該PVDF膜をレーン毎に切り分けた後、BSA−PBSTに浸し、4℃で一夜ブロッキングを行った。PBSTで1回洗浄後、5μg/mLの濃度の各モノクローナル抗体液をPVDF膜と接触させ、室温で1時間静置した。PBSTで3回洗浄後、BSA−PBSTで2000倍希釈したHRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(DAKO社製)溶液入りの容器に移し、室温で1時間緩やかに振とうさせた。各PVDF膜をPBSTで3回、更にPBSで1回洗浄後、ジアミノベンチジン(同仁化学研究所社製)を含む基質溶液に浸して3分間反応させた後、精製水に移し反応を停止した。得られた染色像の結果を図8に示す。
まず、従来試薬の抗体はPIVKA−IIのみに反応しプロトロンビンには反応しなかったのに対し、P−11及びP−16モノクローナル抗体は何れもPIVKA−IIとプロトロンビンに対し同等に反応した。一方、トロンビンに対しては、何れの抗体も反応しなかった。このことから、P−11及びP−16モノクローナル抗体はPIVKA−IIとプロトロンビンの一次アミノ酸配列の共通部位即ちGla残基を含まない部位を認識していることが示唆された。
(3)フラグメント1及びフラグメント2に対する反応性
プロトロンビンのフラグメント1及び2に対する各モノクローナル抗体の反応性をウエスタンブロット法により調べた。フラグメント1及び2(Enzyme Research Laboratories社製)をPBSでそれぞれ0.05mg/mLの濃度に調製し、メルカプトエタノール含有のSDS処理液(コスモバイオ社製)とそれぞれ1対1で混和後、10分間煮沸処理した。
調製したフラグメント1及び2を用い、上記(2)のウエスタンブロット法と同様の方法で各モノクローナル抗体のフラグメント1及び2に対する反応性を調べた。得られた染色像の結果を図9に示す。
従来試薬の抗体(MU−3)はプロトロンビン由来のフラグメント1及び2のどちらにも反応しなかった。フラグメント1に対し、P−16モノクローナル抗体は強い反応性が、P−11モノクローナル抗体は弱いながらも反応性が認められた。一方、フラグメント2に対しては、P−11及びP−16モノクローナル抗体のどちらも反応性が認められなかった。このことから、P−11及びP−16モノクローナル抗体のエピトープは、フラグメント1即ちプロトロンビンのN末端から156残基(aa1−156)の中に存在することが示唆された。
(4)Gla残基非含有ペプチドに対する反応性
プロトロンビンのN末端から70番目まででGla残基を含まない(10個のGla残基全てがGul残基のままのPIVKA−II)配列番号4〜13で表わされる部分ペプチド10本を合成した。
aa1−16のアミノ酸配列
Ala Asn Thr Phe Leu Glu Glu Val Arg Lys Gly Asn Leu Glu Arg Glu (配列番号4)
aa7−22のアミノ酸配列
Glu Val Arg Lys Gly Asn Leu Glu Arg Glu Cys Val Glu Glu Thr Cys (配列番号5)
aa13−28のアミノ酸配列
Leu Glu Arg Glu Cys Val Glu Glu Thr Cys Ser Tyr Glu Glu Ala Phe (配列番号6)
aa19−34のアミノ酸配列
Glu Glu Thr Cys Ser Tyr Glu Glu Ala Phe Glu Ala Leu Glu Ser Ser (配列番号7)
aa25−40のアミノ酸配列
Glu Glu Ala Phe Glu Ala Leu Glu Ser Ser Thr Ala Thr Asp Val Phe (配列番号8)
aa31−46のアミノ酸配列
Leu Glu Ser Ser Thr Ala Thr Asp Val Phe Trp Ala Lys Tyr Thr Ala (配列番号9)
aa37−52のアミノ酸配列
Thr Asp Val Phe Trp Ala Lys Tyr Thr Ala Cys Glu Thr Ala Arg Thr (配列番号10)
aa43−58のアミノ酸配列
Lys Tyr Thr Ala Cys Glu Thr Ala Arg Thr Pro Arg Asp Lys Leu Ala (配列番号11)
aa49−64のアミノ酸配列
Thr Ala Arg Thr Pro Arg Asp Lys Leu Ala Ala Cys Leu Glu Gly Asn (配列番号12)
aa55−70のアミノ酸配列
Asp Lys Leu Ala Ala Cys Leu Glu Gly Asn Cys Ala Glu Gly Leu Gly (配列番号13)
上記(1)と同様の競合ELISAで各モノクローナル抗体と各ペプチドの反応性を調べた。その結果を表4に示す。まず、P−16モノクローナル抗体はaa1−16のペプチドに反応性を示し、aa7−22及び他のペプチドに対しては反応性を示さなかった。一方、P−11モノクローナル抗体は何れのペプチドとも反応しないことが判明した。
以上の結果をまとめると、次の通りである。
P−16モノクローナル抗体のエピトープは、該抗体の上記(1)と(4)に記載のペプチドに対する反応性、及び上記(2)に記載したPIVKA−IIとプロトロンビンに対する反応性から、プロトロンビンフラグメント1のN末端から5残基(配列番号14で表わすaa1−5)の範囲であることが判明した。
aa1−5のアミノ酸配列
Ala Asn Thr Phe Leu (配列番号14)
また、P−11モノクローナル抗体のエピトープは、上記(3)でフラグメント1(aa1−156)に反応すること、及び上記(4)でaa1−70に含まれる各ペプチドに反応しないことから、プロトロンビンフラグメント1のaa60−156の範囲に存在することが考えられた。
本発明のPIVKA−II測定方法及び測定試薬は、肝障害度の判定及び予後予測、肝がんの予後予測と、特異性の高い肝がんの検出に利用できる。

Claims (5)

  1. (a)二抗体サンドイッチ法を利用する免疫学的測定法によってビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIを測定し、測定値Aを得る工程、
    (b)二抗体サンドイッチ法を利用する免疫学的測定法によってPIVKA−IIを測定し、測定値Bを得る工程、及び
    (c)前記測定値A及び前記測定値Bを比較する工程、
    を含むPIVKA−IIの測定方法によって得られた値により、肝がんにおける肝障害度を判定するための血液検査方法であって、
    前記(a)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体として、人肝がん細胞培養細胞株より精製したPIVKA−IIと反応せず、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIに特異的な抗体を使用し、
    前記(b)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる一方の抗体として人肝がん細胞培養細胞株より精製したPIVKA−IIと反応する抗PIVKA−IIモノクローナル抗体を使用し、
    前記(b)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる他方の抗体としてヒトトロンビンと反応する抗体を含まない抗ヒトプロトロンビン抗体を使用することを特徴とする方法。
  2. 前記(a)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記(a)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体のエピトープが、プロトロンビンのN末端から156残基の中に存在することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIに特異的な抗体が、受託番号FERM BP−11258で特定されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体及び受託番号FERM BP−11259で特定されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. (a)二抗体サンドイッチ法を利用する免疫学的測定法によってビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIを測定し、測定値Aを得る工程、
    (b)二抗体サンドイッチ法を利用する免疫学的測定法によってPIVKA−IIを測定し、測定値Bを得る工程、及び
    (c)前記測定値A及び前記測定値Bを比較する工程、
    を含むPIVKA−IIの測定方法によって得られた値により、肝がんを判定するための血液検査方法であって、
    前記(a)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる抗体として、人肝がん細胞培養細胞株より精製したPIVKA−IIと反応せず、ビタミンK欠乏に起因するPIVKA−IIに特異的な抗体を使用し、
    前記(b)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる一方の抗体として人肝がん細胞培養細胞株より精製したPIVKA−IIと反応する抗PIVKA−IIモノクローナル抗体を使用し、
    前記(b)工程の二抗体サンドイッチ法で用いられる他方の抗体としてヒトトロンビンと反応する抗体を含まない抗ヒトプロトロンビン抗体を使用することを特徴とする方法。
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