以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.静電容量式タッチ検出の基本原理
2.第1の実施の形態
3.第2の実施の形態
4.適用例
<1.静電容量型タッチ検出の基本原理>
まず最初に、図1〜図3を参照して、本発明のタッチ検出機能付き表示装置におけるタッチ検出の基本原理について説明する。このタッチ検出方式は、静電容量型のタッチセンサとして具現化されるものであり、例えば図1(A)に示したように、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極(駆動電極E1およびタッチ検出電極E2)を用い、容量素子を構成する。この構造は、図1(B)に示した等価回路として表される。駆動電極E1、タッチ検出電極E2および誘電体Dによって、容量素子C1が構成される。容量素子C1は、その一端が交流信号源(駆動信号源)Sに接続され、他端Pは抵抗器Rを介して接地されると共に、電圧検出器(タッチ検出回路)DETに接続される。交流信号源Sから駆動電極E1(容量素子C1の一端)に所定の周波数(例えば数kHz〜十数kHz程度)の交流矩形波Sg(図3(B))を印加すると、タッチ検出電極E2(容量素子C1の他端P)に、図3(A)に示したような出力波形(タッチ検出信号Vdet)が現れる。なお、この交流矩形波Sgは、後述する駆動信号Vcomに相当するものである。
指が接触(または近接)していない状態では、図1に示したように、容量素子C1に対する充放電に伴って、容量素子C1の容量値に応じた電流I0が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3(A)の波形V0のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。
一方、指が接触(または近接)した状態では、図2に示したように、指によって形成される容量素子C2が容量素子C1に直列に追加された形となる。この状態では、容量素子C1、C2に対する充放電に伴って、それぞれ電流I1、I2が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3(A)の波形V1のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。このとき、点Pの電位は、容量素子C1、C2を流れる電流I1、I2の値によって定まる分圧電位となる。このため、波形V1は、非接触状態での波形V0よりも小さい値となる。電圧検出器DETは、検出した電圧を所定のしきい値電圧Vthと比較し、このしきい値電圧以上であれば非接触状態と判断する一方、しきい値電圧未満であれば接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出が可能となる。
<2.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の一構成例を表すものである。尚、本発明の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の駆動回路および駆動方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。このタッチ検出機能付き表示装置は、表示素子として液晶表示素子を用いており、その液晶表示素子により構成される液晶表示デバイスと静電容量型のタッチ検出デバイスとを一体化した、いわゆるインセルタイプの装置である。
このタッチ検出機能付き表示装置1は、制御部11と、ゲートドライバ12と、ソースドライバ13と、駆動電極ドライバ14と、タッチ検出機能付き表示デバイス10と、タッチ検出回路40とを備えている。
制御部11は、外部より供給された映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動電極ドライバ14、およびタッチ検出回路40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。
ゲートドライバ12は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する機能を有している。具体的には、ゲートドライバ12は、後述するように、走査信号Vscanを、走査信号線GCLを介して、画素PixのTFT素子Trのゲートに印加することにより、タッチ検出機能付き表示デバイス10の液晶表示デバイス20にマトリックス状に形成されている画素Pixのうちの1行(1水平ライン)を表示駆動の対象として順次選択するようになっている。
ソースドライバ13は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の各画素Pix(後述)に画素信号Vpixを供給する回路である。具体的には、ソースドライバ13は、後述するように、画素信号Vpixを、画素信号線SGLを介して、ゲートドライバ12により順次選択される1水平ラインを構成する各画素Pixにそれぞれ供給するものである。そして、これらの画素Pixでは、供給される画素信号Vpixに応じて、1水平ラインの表示が行われるようになっている。
駆動電極ドライバ14は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の駆動電極COML(後述)に駆動信号Vcomを供給する回路である。具体的には、駆動電極ドライバ14は、所定の数の駆動電極COMLからなるブロック(駆動電極ブロックB)ごとに駆動電極COMLを駆動するものであり、表示動作を行う駆動電極ブロックBに対して表示駆動信号Vcomdを供給し、タッチ検出動作を行う駆動電極ブロックBに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを供給する。タッチ検出動作では、タッチ検出駆動信号Vcomtを、複数の駆動電極ブロックBに時分割的に順次印加することにより、タッチ検出動作を行うブロック(検出ブロック)を順次選択する。そして、タッチ検出デバイス30は、複数のタッチ検出電極TDL(後述)から、検出ブロックごとにタッチ検出信号Vdetを出力し、タッチ検出回路40に供給するようになっている。
タッチ検出機能付き表示デバイス10は、タッチ検出機能を内蔵した表示デバイスである。タッチ検出機能付き表示デバイス10は、液晶表示デバイス20と、タッチ検出デバイス30とを有する。液晶表示デバイス20は、後述するように、ゲートドライバ12から供給されるゲート信号に従って、1水平ラインずつ順次走査して表示を行うデバイスである。タッチ検出デバイス30は、上述した静電容量型タッチ検出の基本原理に基づいて動作し、タッチ検出信号Vdetを出力するものである。このタッチ検出デバイス30は、後述するように、駆動電極ドライバ14に従って、1検出ブロックずつ順次走査してタッチ検出を行うようになっている。
タッチ検出回路40は、制御部11から供給される制御信号と、タッチ検出機能付き表示デバイス10のタッチ検出デバイス30から供給されたタッチ検出信号Vdetに基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無を検出し、タッチがある場合においてタッチ検出領域におけるその座標などを求める回路である。このタッチ検出回路40はアナログLPF(Low Pass Filter)部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、検出タイミング制御部46とを有している。アナログLPF部42は、タッチ検出デバイス3から供給されるタッチ検出信号Vdetに含まれる高い周波数成分(ノイズ成分)を除去し、タッチ成分を取り出してそれぞれ出力する低域通過アナログフィルタである。アナログLPF部42の入力端子のそれぞれと接地との間には、直流電位(0V)を与えるための抵抗Rが接続されている。なお、この抵抗Rに代えて、例えばスイッチを設け、所定の時間にこのスイッチをオン状態にすることにより直流電位(0V)を与えるようにしてもよい。A/D変換部43は、アナログLPF部42から出力されるアナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換する回路である。信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無を検出する論理回路である。座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチ検出がなされたときに、そのタッチパネル座標を求める論理回路である。検出タイミング制御部46は、これらの回路が同期して動作するように制御するようになっている。
(タッチ検出機能付き表示デバイス10)
次に、タッチ検出機能付き表示デバイス10の構成例を詳細に説明する。
図5は、タッチ検出機能付き表示デバイス10の要部断面構造の例を表すものである。このタッチ検出機能付き表示デバイス10は、画素基板2と、この画素基板2に対向して配置された対向基板3と、画素基板2と対向基板3との間に挿設された液晶層6とを備えている。
画素基板2は、回路基板としてのTFT基板21と、このTFT基板21上にマトリックス状に配設された複数の画素電極22とを有する。TFT基板21には、図示していないものの、各画素の薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)や、各画素電極22に画像信号Vpixを供給する画素信号線SGL、各TFTを駆動する走査信号線GCL等の配線が形成されている。
対向基板3は、ガラス基板31と、このガラス基板31の一方の面に形成されたカラーフィルタ32と、このカラーフィルタ32の上に形成された複数の駆動電極COMLとを有する。カラーフィルタ32は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ層を周期的に配列して構成したもので、各表示画素にR、G、Bの3色が1組として対応付けられている。駆動電極COMLは、液晶表示デバイス20の共通駆動電極として機能するとともに、タッチ検出デバイス30の駆動電極としても機能するものである。駆動電極COMLは、図示しないコンタクト導電柱によってTFT基板21と連結され、このコンタクト導電柱を介して、TFT基板21から駆動電極COMLに交流矩形波形の駆動信号Vcom(表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomt)が印加されるようになっている。なお、この図では、駆動電極COMLは2つの画素電極22に対応するようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば、1つの画素電極22に対応するようにしてもよく、3以上の画素電極22に対応するようにしてもよい。ガラス基板31の他方の面には、タッチ検出デバイス30の検出電極であるタッチ検出電極TDLが形成され、さらに、このタッチ検出電極TDLの上には、偏光板35が配設されている。
液晶層6は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、TN(ツイステッドネマティック)、VA(垂直配向)、ECB(電界制御複屈折)等の各種モードの液晶が用いられる。
なお、液晶層6と画素基板2との間、および液晶層6と対向基板3との間には、それぞれ配向膜が配設され、また、画素基板2の下面側には入射側偏光板が配置されるが、ここでは図示を省略している。
図6は、液晶表示デバイス20における画素構造の構成例を表すものである。液晶表示デバイス20は、マトリックス状に配列した複数の画素Pixを有している。画素Pixは、TFT素子Trおよび液晶素子LCを有している。TFT素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。TFT素子Trのソースは画素信号線SGLに接続され、ゲートは走査信号線GCLに接続され、ドレインは液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端が駆動電極COMLに接続されている。
画素Pixは、走査信号線GCLにより、液晶表示デバイス20の同じ行に属する他の画素Pixと互いに接続されている。走査信号線GCLは、ゲートドライバ12と接続され、ゲートドライバ12より走査信号Vscanが供給される。画素Pixは、画素信号線SGLにより、液晶表示デバイス20の同じ列に属する他の画素Pixと互いに接続されている。画素信号線SGLは、ソースドライバ13と接続され、ソースドライバ13より画素信号Vpixが供給される。
さらに、画素Pixは、駆動電極COMLにより、液晶表示デバイス20の同じ行に属する他の画素Pixと互いに接続されている。駆動電極COMLは、駆動電極ドライバ14と接続され、駆動電極ドライバ14より駆動信号Vcom(表示駆動信号Vcomdもしくはタッチ検出駆動信号Vcomt)が供給される。つまり、この例では、同じ一行に属する複数の画素Pixが一本の駆動電極COMLを共有するようになっている。なお、図5に示したように、複数の行(図5では2行)に属する複数の画素Pixが、一本の駆動電極COMLを共有するようにしてもよい。
この構成により、液晶表示デバイス20では、ゲートドライバ12が走査信号線GCLを時分割的に線順次走査するように駆動することにより、1水平ラインが順次選択され、その1水平ラインに属する画素Pixに対して、ソースドライバ13が画素信号Vpixを供給することにより、1水平ラインずつ表示が行われるようになっている。この表示動作を行う際、駆動電極ドライバ14は、その1水平ラインに対応する駆動電極COMLを含む駆動電極ブロックBに対して表示駆動信号Vcomdを印加するようになっている。
図7は、タッチ検出デバイス30の一構成例を斜視的に表すものである。タッチ検出デバイス30は、対向基板3に設けられた、駆動電極COMLおよびタッチ検出電極TDLにより構成されている。駆動電極COMLは、図の左右方向に延在する複数のストライプ状の電極パターンに分割されている。タッチ検出動作を行う際は、各電極パターンには、駆動電極ドライバ14によってタッチ検出駆動信号Vcomtが駆動信号ブロックBごとに順次供給され、後述するように時分割的に線順次走査駆動が行われるようになっている。タッチ検出電極TDLは、駆動電極COMLの電極パターンの延在方向と直交する方向に延びるストライプ状の電極パターンから構成されている。タッチ検出電極TDLの各電極パターンは、タッチ検出回路40のアナログLPF部42の入力にそれぞれ接続されている。駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLにより互いに交差した電極パターンは、その交差部分に静電容量を形成している。
この構成により、タッチ検出デバイス30では、タッチ検出動作を行う際、駆動電極ドライバ14が駆動電極ブロックBを時分割的に線順次走査するように駆動することにより、1検出ブロックが順次選択され、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力することにより、1検出ブロックのタッチ検出が行われるようになっている。つまり、駆動電極ブロックBは、図1〜図3に示したタッチ検出の基本原理における駆動電極E1に対応し、タッチ検出電極TDLは、タッチ検出電極E2に対応するものであり、タッチ検出デバイス30はこの基本原理に従ってタッチを検出するようになっている。図7に示したように、互いに交差した電極パターンは、静電容量式タッチセンサをマトリックス状に構成している。よって、タッチ検出デバイス30のタッチ検出面全体にわたって走査することにより、外部近接物体の接触または近接が生じた位置の検出も可能となっている。
ここで、液晶素子LCは、本発明における「表示素子」の一具体例に対応する。駆動電極COMLは、本発明における「共通駆動電極」の一具体例に対応する。タッチ検出電極TDLは、本発明における「検出電極」の一具体例に対応する。駆動電極ドライバ14は、本発明における「走査駆動部」の一具体例に対応する。タッチ検出回路40は、本発明における「検出回路」の一具体例に対応する。
[動作および作用]
続いて、本実施の形態のタッチ検出機能付き表示装置1の動作および作用について説明する。
(全体動作概要)
制御部11は、外部より供給された映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動電極ドライバ14、およびタッチ検出回路40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。ゲートドライバ12は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、液晶表示デバイス20に走査信号Vscanを供給し、表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する。ソースドライバ13は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、ゲートドライバ12により選択された、1水平ラインを構成する各画素Pixに、画素信号Vpixを供給する。駆動電極ドライバ14は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、表示動作では、1水平ラインに係る駆動電極ブロックBに表示駆動信号Vcomdを印加し、タッチ検出動作では、タッチ検出動作に係る駆動電極ブロックBに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを順次印加することにより、1検出ブロックを順次選択する。タッチ検出機能付き表示デバイス10は、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、および駆動電極ドライバ14により供給された信号に基づいて表示動作を行うとともに、駆動電極ドライバ14により供給された信号に基づいてタッチ検出動作を行い、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力する。アナログLPF部42は、タッチ検出信号Vdetの高い周波数成分を除去して出力する。A/D変換部43は、アナログLPF部42から出力されるアナログ信号をデジダル信号に変換する。信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無を検出する。座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチ検出がなされたときに、そのタッチパネル座標を求める。検出タイミング制御部46は、アナログLPF部42、A/D変換部43、信号処理部44、座標抽出部45が同期して動作するように制御する。
以下に、タッチ検出機能付き表示装置1の詳細動作を説明する。
(駆動電極ドライバ14の詳細動作)
図8は、駆動電極ドライバ14の一動作例を模式的に表すものである。図8では、表示・タッチ検出面Sが10個の駆動電極ブロックB1〜B10により構成される場合の、各駆動電極ブロックB1〜B10に対する、駆動電極ドライバ14による駆動信号Vcom(表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomt)の印加動作を示している。駆動電極ブロックBdは、表示駆動信号Vcomdが印加された駆動電極ブロックBを示し、駆動電極ブロックBtは、タッチ検出駆動信号Vcomtが印加された駆動電極ブロックBを示している。なお、この例では、説明の便宜上、駆動電極ブロックBの個数を10個としているが、これに限定されるものではない。
期間P1〜P20において、駆動電極ドライバ14は、表示動作の対象となる駆動電極ブロックBdを順次選択して、表示駆動信号Vcomdを印加し、全ての駆動電極ブロックBを走査する。一方、期間P1〜P10および期間P11〜P20のそれぞれにおいて、駆動電極ドライバ14は、タッチ検出動作の対象となる駆動電極ブロックBtを順次選択して、タッチ検出駆動信号Vcomtを印加し、全ての駆動電極ブロックBを走査する。つまり、駆動電極ドライバ14は、表示駆動信号Vcomdによる走査時間(1F)の半分の時間で、タッチ検出駆動信号Vcomtによる走査を行う。以下に、各期間P1〜P20における動作を詳細に説明する。
まず、駆動電極ドライバ14は、期間P1において、駆動電極ブロックB1を表示駆動の対象(駆動電極ブロックBd)として選択し、表示駆動信号Vcomdを印加する。これにより、タッチ検出機能付き表示デバイス10では、駆動電極ブロックB1の領域において、表示動作とタッチ検出動作の両方が行われる。つまり、このときタッチ検出機能付き表示デバイス10では、後述するように、表示駆動信号Vcomdに基づいてタッチ検出動作が行われる。
次に、駆動電極ドライバ14は、期間P2において、引き続き駆動電極ブロックB1を表示駆動の対象(駆動電極ブロックBd)として選択し、表示駆動信号Vcomdを駆動するとともに、駆動電極ブロックB2をタッチ検出駆動の対象(駆動電極ブロックBt)として選択し、タッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。これにより、タッチ検出機能付き表示デバイス10では、駆動電極ブロックB1の領域において表示動作が行われ、駆動電極ブロックB2の領域においてタッチ検出動作が行われる。
同様にして、駆動電極ドライバ14は、期間P3〜P10において、駆動電極ブロックBdを順次選択して表示駆動信号Vcomdを印加するとともに、駆動電極ブロックBtを順次選択してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。これにより、異なる駆動電極ブロックBの領域において、それぞれ表示動作およびタッチ検出動作が行われる。駆動電極ドライバ14は、期間P1〜P10において、全ての駆動電極ブロックB1〜B10に対してタッチ検出動作の走査を終了する。
次に、駆動電極ドライバ14は、期間P11において、駆動電極ブロックB6を表示駆動の対象(駆動電極ブロックBd)として選択し、表示駆動信号Vcomdを印加するとともに、駆動電極ブロックB1をタッチ検出駆動の対象(駆動電極ブロックBt)として選択し、タッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。これにより、タッチ検出機能付き表示デバイス10では、駆動電極ブロックB6の領域において表示動作が行われ、駆動電極ブロックB1の領域においてタッチ検出動作が行われる。このようにして、駆動電極ドライバ14は、期間P11から、次のタッチ検出動作の走査を開始する。
同様にして、駆動電極ドライバ14は、期間P12〜P19において、駆動電極ブロックBdを順次選択して表示駆動信号Vcomdを印加するとともに、駆動電極ブロックBtを順次選択してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。これにより、異なる駆動電極ブロックBの領域において、それぞれ表示動作およびタッチ検出動作が行われる。
次に、駆動電極ドライバ14は、期間P20において、駆動電極ブロックB10を表示駆動の対象(駆動電極ブロックBd)として選択し、表示駆動信号Vcomdを印加する。これにより、タッチ検出機能付き表示デバイス10では、駆動電極ブロックB10の領域において、表示動作とタッチ検出動作の両方が行われる。つまり、このときタッチ検出機能付き表示デバイス10では、期間P1と同様に、表示駆動信号Vcomdに基づいてタッチ検出動作が行われる。
図9は、図8に示した駆動電極ブロックBd,Btの表示・タッチ検出面Sにおける移動動作を模式的に表すものである。図9に示したように、表示動作が駆動電極ブロックBdを順次選択し1回走査する時間に、タッチ検出動作は、駆動電極ブロックBtを順次選択して2回走査する。すなわち、この例では、タッチ検出動作の走査周波数は、表示動作の走査周波数の2倍になっている。
図10は、表示駆動信号Vcomdとタッチ検出駆動信号Vcomtとの相対的なタイミング関係を表すものである。横軸は期間Pを示し、縦軸は表示駆動信号Vcomdとタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する駆動電極ブロックBを示している。
期間P1では、駆動電極ドライバ14は、駆動電極ブロックB1に対して矩形状の表示駆動信号Vcomdを印加する。期間P2〜P19では、駆動電極ドライバ14は、駆動電極ブロックBを順次選択し、各期間Pにおいて、表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomtを異なる駆動電極ブロックBに対して印加する。タッチ検出駆動信号Vcomtは、表示駆動信号Vcomdと同様の波形であり、タッチ検出駆動信号Vcomtの位相は、表示駆動信号Vcomdよりも進んでいる。表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出信号Vcomtの振幅は、回路、配線、電源などを供給化できるため、同じにすることが望ましいが、これに限定されるものではない。例えば、タッチ検出信号Vcomtの振幅を大きくした場合には、タッチ検出の感度を改善することができる。期間P20では、駆動電極ドライバ14は、図示していないが、期間P1と同様に、駆動電極ブロックB10に対して矩形状の表示駆動信号Vcomdを印加する。
(タッチ検出機能付き表示装置1の詳細動作)
次に、いくつかのタイミング波形図を用いて、タッチ検出機能付き表示装置1の詳細動作を説明する。
図11は、期間P2〜P19における、タッチ検出機能付き表示装置1のタイミング波形例を表すものであり、(A)は表示駆動信号Vcomdの波形を示し、(B)はタッチ検出駆動信号Vcomtの波形を示し、(C)は走査信号Vscanの波形を示し、(D)は画素信号Vpixの波形を示し、(E)はタッチ検出信号Vdetの波形を示す。期間P2〜P19では、表示駆動信号Vcomd(図11(A))、およびタッチ検出駆動信号Vcom(図11(B))は、図8および図10に示したように、それぞれ異なる駆動電極ブロックBに対して印加されている。なお、説明の便宜上、図11(A)〜(E)は、期間P2〜P19のうちの一つの期間Pにおける動作を示すものとする。つまり、図11(A)〜(E)の説明では、駆動電極ブロックBd,Btは移動しないものとする。
タッチ検出機能付き表示装置1は、タッチ検出動作(タッチ検出期間Tt)と表示動作(表示期間Td)を時分割的に行う。期間P2〜P19において、タッチ検出動作では、タッチ検出駆動信号Vcomtが遷移し、表示駆動信号Vcomdが遷移していないときに、タッチ検出電極TDLから出力されるタッチ検出信号に基づいて、タッチ検出を行う。以下に、その動作を詳細に説明する。
まず、駆動電極ドライバ14は、駆動電極ブロックBdを選択し、その駆動電極ブロックBdに対して表示駆動信号Vcomdを印加し、その電圧レベルが低レベルから高レベルに変化する(図11(A))。これにより、1表示水平期間(1H)が開始する。なお、この表示駆動信号Vcomdは、上述したタッチ検出駆動信号Vcomtと同様に、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する(図11(E))。
次に、ゲートドライバ12が、駆動電極ドライバ14が選択した駆動電極ブロックBdに含まれる(n−1)行目の画素の走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加し、走査信号Vscan(n−1)が低レベルから高レベルに変化する(図11(C))。
次に、表示期間Tdにおいて、ソースドライバ13が、画素信号線SGLに対して画素信号Vpixを印加し(図11(D))、1水平ラインに対する表示を行う。なお、図11(E)に示したように、この画素信号Vpixの変化が、寄生容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する可能性があるが、表示期間TdではA/D変換部43はサンプリングを行わないため、この画素信号Vpixがタッチ検出に影響を与えることはない。ソースドライバ13による画素信号Vpixの供給が終了したのち、ゲートドライバ12は、(n−1)行目の走査信号線GCLの走査信号Vscan(n−1)を高レベルから低レベルに変化させる(図11(C))。
次に、タッチ検出期間Ttが開始する。A/D変換部43は、このタッチ検出期間Ttのサンプリングタイミングts1において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図11(E))。
次に、駆動電極ドライバ14は、駆動電極ブロックBtに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加し、その電圧レベルが高レベルから低レベルに変化する(図11(B))。このタッチ検出駆動信号Vcomtは、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する(図11(E))。
次に、A/D変換部43は、サンプリングタイミングts2において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図11(E))。タッチ検出回路40の信号処理部44では、サンプリングタイミングts1におけるA/D変換結果と、サンプリングタイミングts2におけるA/D変換結果の差に基づいて、タッチ検出を行う。これにより、タッチ検出機能付き表示装置1では、駆動電極ブロックBtに対応する1検出ブロックのタッチ検出が行われる。
次に、駆動電極ドライバ14は、駆動電極ブロックBdに対して表示駆動信号Vcomdを印加する(図11(A))。その後、ゲートドライバ12が、駆動電極ブロックBdに含まれるn行目の画素の走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加し、走査信号Vscan(n)が低レベルから高レベルに変化する(図11(A))。
次に、表示期間Tdにおいて、ソースドライバ13が、画素信号線SGLに対して画素信号Vpixを印加し(図11(D))、1水平ラインに対する表示を開始する。なお、この例では、タッチ検出機能付き表示装置1は反転駆動を行うため、ソースドライバ13が印加する画素信号Vpixは、一つ前の1表示水平期間のものと比べて、その極性が反転している。ソースドライバ13による画素信号Vpixの供給が終了したのち、ゲートドライバ12は、n行目の走査信号線GCLの走査信号Vscan(n)を高レベルから低レベルに変化させる。
次に、A/D変換部43が、タッチ検出期間Ttのサンプリングタイミングts1において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図11(E))。そして、駆動電極ドライバ14が、駆動電極ブロックBtに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加し(図11(B))、タッチ検出信号Vdetが変化した後(図11(E))、A/D変換部43は、サンプリングタイミングts2において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図11(E))。タッチ検出回路40の信号処理部44では、サンプリングタイミングts1におけるA/D変換結果と、サンプリングタイミングts2におけるA/D変換結果の差に基づいて、タッチ検出を行う。
これ以降、上述した動作を繰り返すことにより、タッチ検出機能付き表示装置1は、期間P2〜P19の各期間Pにおいて、選択された駆動電極ブロックBd内を走査することにより表示動作を行うとともに、選択された駆動電極ブロックBtに係る1検出ブロックに対するタッチ検出動作を行う。そして、期間P2〜P19の全ての期間において、これらの動作を繰り返す。
図12は、期間P2〜P19におけるタッチ検出信号Vdetの波形を表すものである。図12において、波形L1は、タッチが無い場合におけるタッチ検出信号Vdetの波形を示し、波形L2は、タッチがある場合におけるタッチ検出信号Vdetの波形を示す。タッチ検出機能付き表示装置1では、上述した静電容量型タッチ検出の基本原理に基づき、タッチの有無により、タッチ検出信号Vdetの振幅が異なる。すなわち、タッチがある場合には、タッチが無い場合に比べ、タッチ検出信号Vdetの振幅が小さくなる。タッチ検出回路40は、タッチ検出期間Ttのサンプリングタイミングts1,ts2においてタッチ検出信号Vdetをサンプリングすることにより、この振幅の違いを検出し、タッチを検出する。
図13は、期間P1,P20における、タッチ検出機能付き表示装置1のタイミング波形例を表すものであり、(A)は表示駆動信号Vcomdの波形を示し、(B)は走査信号Vscanの波形を示し、(C)は画素信号Vpixの波形を示し、(D)はタッチ検出信号Vdetの波形を示す。期間P1,P20では、上述したように、駆動電極ドライバ14はタッチ検出駆動信号Vcomtを出力せず、タッチ検出動作は、表示駆動信号Vcomd(図13(A))に基づいて行われる。言い換えれば、期間P1,P20では、表示駆動信号Vcomdは、タッチ検出駆動信号Vcomtとしても用いられている。なお、説明の便宜上、図13(A)〜(D)は、期間P1,P20のうちの一つの期間における動作を示すものとする。つまり、図13(A)〜(D)の説明では、駆動電極ブロックBd,Btは移動しないものとする。
タッチ検出機能付き表示装置1は、タッチ検出動作(タッチ検出期間Tt)と表示動作(表示期間Td)を時分割的に行う。期間P1,P20において、タッチ検出動作では、表示駆動信号Vcomdが遷移したときに、タッチ検出電極TDLから出力されるタッチ検出信号に基づいて、タッチ検出を行う。以下に、その動作を詳細に説明する。
まず、駆動電極ドライバ14は、駆動電極ブロックBdを選択し、その駆動電極ブロックBdに対して、表示駆動信号Vcomdを印加し、その電圧レベルが低レベルから高レベルに変化する(図13(A))。これにより、1表示水平期間(1H)が開始する。
次に、ゲートドライバ12が、駆動電極ドライバ14が選択した駆動電極ブロックBdに含まれる(n−1)行目の画素の走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加し、走査信号Vscan(n−1)が低レベルから高レベルに変化する(図13(B))。
次に、表示期間Tdにおいて、ソースドライバ13が、画素信号線SGLに対して画素信号Vpixを印加し(図13(C))、1水平ラインに対する表示を開始する。ソースドライバ13による画素信号Vpixの供給が終了したのち、ゲートドライバ12は、(n−1)行目の走査信号線GCLの走査信号Vscan(n−1)を高レベルから低レベルに変化させる(図13(B))。
次に、タッチ検出期間Ttが開始する。A/D変換部43は、このタッチ検出期間Ttのサンプリングタイミングts1において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図13(D))。
次に、駆動電極ドライバ14は、駆動電極ブロックBdに対して表示駆動信号Vcomdを印加し、その電圧レベルが高レベルから低レベルに変化する(図13(A))。この表示駆動信号Vcomdは、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する(図13(D))。
次に、A/D変換部43は、サンプリングタイミングts2において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図13(D))。タッチ検出回路40の信号処理部44では、サンプリングタイミングts1におけるA/D変換結果と、サンプリングタイミングts2におけるA/D変換結果の差に基づいて、タッチ検出を行う。これにより、タッチ検出機能付き表示装置1では、駆動電極ブロックBdに対応する1検出ブロックのタッチ検出が行われる。
次に、ゲートドライバ12が、駆動電極ブロックBdに含まれるn行目の画素の走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加し、走査信号Vscan(n)が低レベルから高レベルに変化する(図13(B))。
次に、表示期間Tdにおいて、ソースドライバ13が、画素信号線SGLに対して画素信号Vpixを印加し(図13(C))、1水平ラインに対する表示を開始する。ソースドライバ13による画素信号Vpixの供給が終了したのち、ゲートドライバ12は、n行目の走査信号線GCLの走査信号Vscan(n)を高レベルから低レベルに変化させる(図13(B))。
次に、A/D変換部43が、タッチ検出期間Ttのサンプリングタイミングts1において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図13(D))。そして、駆動電極ドライバ14が、駆動電極ブロックBdに対して表示駆動信号Vcomdを印加し(図13(A))、タッチ検出信号Vdetが変化する(図13(D))。その後、A/D変換部43は、サンプリングタイミングts2において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図13(D))。タッチ検出回路40の信号処理部44では、サンプリングタイミングts1におけるA/D変換結果と、サンプリングタイミングts2におけるA/D変換結果の差に基づいて、タッチ検出を行う。
これ以降、上述した動作を繰り返すことにより、タッチ検出機能付き表示装置1は、期間P1,P20の各期間Pにおいて選択された駆動電極ブロックBd内を走査することにより表示動作を行うとともに、その駆動電極ブロックBdに係る1検出ブロックに対するタッチ検出動作を行う。
なお、図13に示した、期間P1,P20におけるサンプリングタイミングts1,ts2は、図11に示した、期間P2〜P19におけるサンプリングタイミングts1,ts2と異なるものである。すなわち、図13では、サンプリングタイミングts1,ts2は、表示駆動信号Vcomdが遷移する前後にそれぞれ設定されているが、図11では、表示駆動信号Vcomdが遷移する前に設定されている。タッチ検出機能付き表示装置1は、表示動作の対象となっている駆動電極ブロックB(駆動電極ブロックBd)と、タッチ検出動作の対象となっている駆動電極ブロックB(駆動電極ブロックBt)を常に把握しているので、期間P1,P20で動作している時と、期間P2〜P19で動作している時とで、上記のように異なるサンプリングタイミングts1,ts2を設定しタッチ検出回路40を制御することができる。
図14は、期間P1,P20におけるタッチ検出信号Vdetの波形を表すものである。図14において、波形L3は、タッチが無い場合におけるタッチ検出信号Vdetの波形を示し、波形L4は、タッチがある場合におけるタッチ検出信号Vdetの波形を示す。タッチ検出回路40は、タッチ検出期間Ttのサンプリングタイミングts1,ts2においてタッチ検出信号Vdetをサンプリングすることにより、上述した静電容量型タッチ検出の基本原理に基づいて、タッチを検出する。
以上のように、タッチ検出機能付き表示装置1は、期間P1〜P20において、上述したような動作を行うことにより、表示面全面にわたり表示動作を行うとともに、タッチ検出面全面にわたりタッチ検出動作を行う。
(比較例)
次に、比較例に係るタッチ検出機能付き表示装置について説明する。本比較例では、表示駆動信号Vcomdとタッチ検出駆動信号Vcomtとが同位相になっている。すなわち、本比較例では、このような位相関係を持つ表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出信号Vcomtを出力する駆動電極ドライバ14Rを用いて、タッチ検出機能付き表示装置を構成している。その他の構成は、上記第1の実施の形態(図4など)と同様である。
図15は、比較例に係るタッチ検出機能付き表示装置における、表示駆動信号Vcomdとタッチ検出駆動信号Vcomtとの相対的なタイミング関係を表すものである。比較例に係るタッチ検出機能付き表示装置では、本実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置1の場合(図10)と同様に、期間P1では、駆動電極ドライバ14Rは、駆動電極ブロックB1に対して矩形状の表示駆動信号Vcomdを印加する。期間P2〜P19では、駆動電極ドライバ14Rは、駆動電極ブロックBを順次選択し、各期間Pにおいて、表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomtを、異なる駆動電極ブロックBに対してそれぞれ印加する。このとき、比較例に係るタッチ検出機能付き表示装置では、本実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置1とは異なり、タッチ検出駆動信号Vcomtは表示駆動信号Vcomdと同位相になっている。期間P20では、駆動電極ドライバ14Rは、図示していないが、期間P1と同様に、駆動電極ブロックB1に対して矩形状の表示駆動信号Vcomdを印加する。
図16は、期間P2〜P19における、比較例に係るタッチ検出機能付き表示装置のタイミング波形例を表すものであり、(A)は表示駆動信号Vcomdの波形を示し、(B)はタッチ検出駆動信号Vcomtの波形を示し、(C)は走査信号Vscanの波形を示し、(D)は画素信号Vpixの波形を示し、(E)はタッチ検出信号Vdetの波形を示す。
まず、駆動電極ドライバ14Rは、駆動電極ブロックBdを選択し、その駆動電極ブロックBdに対して表示駆動信号Vcomdを印加し、その電圧レベルが低レベルから高レベルに変化する(図16(A))。同時に、駆動電極ドライバ14Rは、駆動電極ブロックBtを選択し、その駆動電極ブロックBtに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加し、その電圧レベルが低レベルから高レベルに変化する(図16(B))。これにより、1表示水平期間(1H)が開始する。
次に、ゲートドライバ12が、駆動電極ブロックBdに含まれるn−1行目の画素の走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加し、走査信号Vscan(n−1)が低レベルから高レベルに変化する(図16(C))。
次に、表示期間Tdにおいて、ソースドライバ13が、画素信号線SGLに対して画素信号Vpixを印加し(図16(D))、1水平ラインに対する表示を行う。ソースドライバ13による画素信号Vpixの供給が終了したのち、ゲートドライバ12は、(n−1)行目の走査信号線GCLの走査信号Vscan(n−1)を高レベルから低レベルに変化させる(図16(C))。
次に、A/D変換部43が、タッチ検出期間Ttのサンプリングタイミングts1において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図16(E))。そして、駆動電極ドライバ14が、駆動電極ブロックBdに対して表示駆動信号Vcomdを印加するとともに(図16(A))、駆動電極ブロックBtに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加し(図16(B))、タッチ検出信号Vdetが変化する(図16(E))。その後、A/D変換部43は、サンプリングタイミングts2において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図16(E))。タッチ検出回路40の信号処理部44では、サンプリングタイミングts1におけるA/D変換結果と、サンプリングタイミングts2におけるA/D変換結果の差に基づいて、タッチ検出を行う。
これ以降、上述した動作を、反転動作を行いながら繰り返すことにより、本比較例に係るタッチ検出機能付き表示装置は、期間P2〜P19の各期間Pにおいて、選択された駆動電極ブロックBd内を走査することにより表示動作を行うとともに、選択された駆動電極ブロックBdおよび駆動電極ブロックBtに係る2つの検出ブロックに対するタッチ検出動作を行う。また、期間P1,P20の各期間Pにおいては、本実施の形態の場合(図13)と同様に動作する。
この比較例では、期間P2〜P19の各期間Pにおいて、タッチ検出駆動信号Vcomtと表示駆動信号Vcomdとが同位相になっているため、2つの検出ブロックに対してタッチ検出動作が同時に行われてしまう。すなわち、この比較例では、図8に示したように、期間P2〜P19の各期間Pにおいて選択された異なる駆動電極ブロックBdおよび駆動電極ブロックBtに対して、同時にタッチ検出動作が行われる。このとき、例えば期間P11において、タッチが駆動電極ブロックB1(駆動電極ブロックBt)と駆動電極ブロックB6(駆動電極ブロックBd)のどちらにあっても、タッチ検出信号Vdetにタッチ成分が現れる。このことは、タッチが、駆動電極ブロックB1(駆動電極ブロックBt)にあるのか、駆動電極ブロックB6(駆動電極ブロックBd)にあるのかを判別することができないことを示している。つまり、この比較例に係るタッチ検出機能付き表示装置では、タッチ位置の検出を正確に行うことができないおそれがある。言い換えれば、タッチ検出駆動(駆動電極ブロックBt)に基づく所望の信号成分に加え、表示駆動(駆動電極ブロックBd)に基づく信号成分が表示ノイズとしてタッチ検出信号Vdetに現れてしまう。
一方、本実施の形態では、期間P2〜P19の各期間Pにおいて、タッチ検出駆動信号Vcomtの位相を表示駆動信号Vcomdに比べ進めるようにしたため、タッチ検出動作は、選択された駆動電極ブロックBtに係る1つの検出ブロックに対して行われる。例えば、図8において、期間P11では、タッチが駆動電極ブロックB1(駆動電極ブロックBt)にあるときのみタッチ検出信号Vdetにタッチ成分が現れる。これにより、本実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置1では、表示ノイズの影響を受けることなく、タッチ位置の検出を正確に行うことができる。
[効果]
以上のように本実施の形態では、タッチ検出駆動信号と表示駆動信号の位相を互いにずらすようにしたので、タッチ検出駆動信号に応じたタッチ検出信号を分離することができ、タッチ検出動作の表示動作による影響を最小限に抑えることができる。
[変形例1−1]
上記第1の実施の形態では、期間P2〜P19において、タッチ検出駆動信号Vcomtの位相が表示駆動信号Vcomdよりも進むようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、タッチ検出駆動信号Vcomtの位相が表示駆動信号Vcomdよりも遅れるようにしてもよい。以下に、この例を詳細に説明する。
図17は、本変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置における、表示駆動信号Vcomdとタッチ検出駆動信号Vcomtとの相対的なタイミング関係を表すものである。上記実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置1の場合(図10)とは異なり、期間P2〜P19において、タッチ検出駆動信号Vcomtの位相は、表示駆動信号Vcomdよりも遅れている。
図18は、期間P2〜P19における、本変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置のタイミング波形例を表すものであり、(A)は表示駆動信号Vcomdの波形を示し、(B)はタッチ検出駆動信号Vcomtの波形を示し、(C)は走査信号Vscanの波形を示し、(D)は画素信号Vpixの波形を示し、(E)はタッチ検出信号Vdetの波形を示す。
まず、駆動電極ドライバ14は、駆動電極ブロックBdを選択し、その駆動電極ブロックBdに対して、表示駆動信号Vcomdを印加し、その電圧レベルが低レベルから高レベルに変化する(図18(A))。これにより、1表示水平期間(1H)が開始するとともに、タッチ検出期間Ttが開始する。この表示駆動信号Vcomdは、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する(図18(E))。
次に、A/D変換部43は、このタッチ検出期間Ttのサンプリングタイミングts1において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図18(E))。
次に、駆動電極ドライバ14は、駆動電極ブロックBtを選択し、その駆動電極ブロックBtに対して、タッチ検出駆動信号Vcomtを印加し、その電圧レベルが低レベルから高レベルに変化する(図18(B))。このタッチ検出駆動信号Vcomtは、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する(図18(E))。
次に、A/D変換部43は、このタッチ検出期間Ttのサンプリングタイミングts2において、タッチ検出信号VdetをA/D変換する(図18(E))。タッチ検出回路40の信号処理部44では、サンプリングタイミングts1におけるA/D変換結果と、サンプリングタイミングts2におけるA/D変換結果の差に基づいて、タッチ検出を行う。
次に、ゲートドライバ12が、駆動電極ドライバ14が選択した駆動電極ブロックBdに含まれる(n−1)行目の画素の走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加し、走査信号Vscan(n−1)が低レベルから高レベルに変化する(図18(C))。
次に、表示期間Tdにおいて、ソースドライバ13が、画素信号線SGLに対して画素信号Vpixを印加し(図18(D))、1水平ラインに対する表示を行う。ソースドライバ13による画素信号Vpixの供給が終了したのち、ゲートドライバ12は、(n−1)行目の走査信号線GCLの走査信号Vscan(n−1)を高レベルから低レベルに変化させる(図18(C))。
これ以降、上述した動作を、反転動作を行いながら繰り返すことにより、本変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置は、期間P2〜P19の各期間Pにおいて、選択された駆動電極ブロックBd内の走査により表示動作を行うとともに、選択された駆動電極ブロックBtに係る1検出ブロックに対するタッチ検出動作を行う。そして、期間P2〜P19の全ての期間において、これらの動作を繰り返す。
[変形例1−2]
上記実施の形態では、表示動作の対象となる駆動電極ブロックBとタッチ検出動作の対象となる駆動電極ブロックBとが同じになるとき(期間P1,P20)は、駆動電極ドライバ14は、その駆動電極ブロックBに対して表示駆動信号Vcomdを印加するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、タッチ検出駆動信号Vcomtを印加するようにしてもよい。図19は、この変形例に係る駆動電極ドライバ14の一動作例を模式的に表すものである。期間P1において、駆動電極ドライバ14は、駆動電極ブロックB1を駆動電極ブロックBtとして選択し、タッチ検出駆動信号Vcomtを印加している。同様に、期間P20において、駆動電極ドライバ14は、駆動電極ブロックB10を駆動電極ブロックBtとして選択し、タッチ検出駆動信号Vcomtを印加している。この場合は、サンプリングタイミングtsを、期間P1,P2で動作している時と期間P2〜P19で動作している時とで同じにすることができる。
[変形例1−3]
上記実施の形態では、表示動作の対象となる駆動電極ブロックBとタッチ検出動作の対象となる駆動電極ブロックBとが同じになるときがあるようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、表示動作の対象となる駆動電極ブロックBとタッチ検出動作の対象となる駆動電極ブロックBとが常に異なるようにしてもよい。これにより、タッチ検出機能付き表示装置は、上記実施の形態で説明した図11のタイミング波形図で常に動作するようになる。つまり、図13のタイミング波形図で動作することがないため、よりシンプルに動作することができる。
その具体例としては、例えば、タッチ検出動作の走査周波数と表示動作の走査周波数とを同じにする方法がある。この場合、表示動作の対象となる駆動電極ブロックBdおよびタッチ検出動作の対象となる駆動電極ブロックBtは、互いに近づきあるいは離れることがなく、その相対的な間隔を維持したまま移動動作するため、駆動電極ブロックBdおよび駆動電極ブロックBtは、常に異なるように動作する。
別の具体例としては、図20に示したように、例えば、上記実施の形態のように、タッチ検出動作の走査周波数が表示動作の走査周波数よりも大きい場合において、表示動作の対象となる駆動電極ブロックBとタッチ検出動作の対象となる駆動電極ブロックBが同じになりそうなときは、タッチ検出動作の走査が表示動作の走査を飛び越すようにする方法がある。この場合には、飛び越した駆動電極ブロックBに関しては、タッチ検出動作は行われないが、指などの比較的広い面積でタッチを行う場合や、タッチ位置の検出精度がさほど必要ない場合に適用することができる。また、タッチ検出回路40において、隣接した駆動電極ブロックBにおけるタッチ検出結果を用いて補間し、この飛び越した駆動電極ブロックBに係るタッチ検出結果を求めるようにすることにより、タッチ位置の精度の劣化を最低限に抑えることができる。
いずれの方法でも、表示動作の対象となる駆動電極ブロックBdとタッチ検出動作の対象となる駆動電極ブロックBtとが常に異なるため、上記実施の形態で説明した図11のタイミング波形図と同様な動作を常に行うようになる。つまり、図13のタイミング波形と同様な動作を行うことがないため、よりシンプルに動作することができる。
<3.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置9について説明する。本実施の形態は、タッチ検出期間にはパルス波形となり表示期間には直流波形となるタッチ検出駆動信号Vcomtを用い、お互いに隣接する画素Pixにおいて画素信号Vpixの極性が互いに反転する、いわゆるドット反転駆動を行うものである。タッチ検出機能付き表示装置2の構成は、図4に示した第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置1と同様であるが、駆動電極ドライバが上記第1の実施の形態と異なっている。すなわち、第3の実施の形態では、上述したようなタッチ検出駆動信号Vcomtを出力する駆動電極ドライバ16を用いて、タッチ検出機能付き表示装置9を構成している。その他の構成は、上記第1の実施の形態(図4)と同様である。なお、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図21は、駆動電極ブロックBに対するタッチ検出駆動信号Vcomtのパルス波形の印加動作を表すものである。期間P1〜P20おいて、駆動電極ドライバ16は、駆動電極ブロックBを順次選択し、その駆動電極ブロックBに対して、タッチ検出駆動信号Vcomtのパルス波形を印加する。図示していないが、この例では、表示期間におけるタッチ検出駆動信号Vcomtの電圧は0Vである。
この例では、タッチ検出駆動信号Vcomtの波形は、正負両方の電圧からなるパルス波形であり、その時間平均は0Vになっている。これにより、例えば、液晶素子LCの両端間に電位差の時間平均値も0Vにすることができ、焼きつきなどの液晶素子LCの劣化を最低限にすることができる。
図22は、期間P1〜P20における、タッチ検出機能付き表示装置9のタイミング波形例を表すものであり、(A)はタッチ検出駆動信号Vcomtの波形を示し、(B)は走査信号Vscanの波形を示し、(C)は画素信号Vpixの波形を示し、(D)はタッチ検出信号Vdetの波形を示す。
まず、ゲートドライバ12が、(n−1)行目の走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加し、走査信号Vscan(n−1)が低レベルから高レベルに変化する(図22(B))。これにより、1表示水平期間(1H)が開始する。
次に、タッチ検出期間Ttにおいて、駆動電極ドライバ16は、駆動電極ブロックBtを選択し、その駆動電極ブロックBtに対してパルス状のタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する(図22(D))。このタッチ検出駆動信号Vcomtは、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する(図22(D))。
次に、A/D変換部43は、このタッチ検出期間Ttのサンプリングタイミングtsにおいて、タッチ検出信号VdetをA/D変換することによりタッチ検出を行う(図22(D))。これにより、タッチ検出機能付き表示装置9では、駆動電極ブロックBtに対応する1検出ブロックのタッチ検出が行われる。
次に、表示期間Tdにおいて、ソースドライバ13が、画素信号線SGLに対して画素信号Vpixを印加し(図22(C))、1水平ラインに対する表示を行う。ソースドライバ13による画素信号Vpixの供給が終了したのち、ゲートドライバ12が、(n−1)行目の走査信号線GCLの走査信号Vscan(n−1)を高レベルから低レベルに変化させ(図22(B))、1表示水平期間が終了する。
次に、ゲートドライバ12は、先ほどとは異なるn行目の走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加し、走査信号Vscan(n)が低レベルから高レベルに変化する(図22(B))。これにより、次の1表示水平期間が開始する。
次に、タッチ検出期間Ttにおいて、駆動電極ドライバ16が、駆動電極ブロックBtに対してパルス状のタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する(図22(A))。これに伴うタッチ検出信号Vdetの変化(図22(D))を、A/D変換部43がA/D変換することにより、この駆動電極ブロックBtに対応する1検出ブロックのタッチ検出が行われる。
次に、表示期間Tdにおいて、ソースドライバ13が、画素信号線SGLに対して画素信号Vpixを印加し(図22(C))、1水平ラインに対する表示を行う。なお、この例では、タッチ検出機能付き表示装置9はドット反転駆動を行うため、ソースドライバ13が印加する画素信号Vpixは、前の1表示水平期間のものと比べて、その極性が反転している。この表示期間Tdが終了した後、この1表示水平期間が終了する。
これ以降、上述した動作を繰り返すことにより、タッチ検出機能付き表示装置9は、表示面全面にわたる走査により表示動作を行うとともに、タッチ検出面全面にわたる走査によりタッチ検出動作を行う。
タッチ検出期間Ttにおけるタッチ検出信号Vdetは、タッチ検出駆動信号Vcomtに応じて生成される。つまり、タッチ検出駆動信号Vcomtの振幅が大きいほど、タッチ検出期間Ttにおけるタッチ検出信号Vdetも大きくすることができ、例えば、タッチパネルの高感度化を実現することが可能となる。このように、タッチ検出駆動信号Vcomtの振幅を大きくした場合には、TFT素子Trの耐圧およびリークに注意する必要がある。
図23は、TFT素子Trのドレインの電圧波形を表すものである。TFT素子Trのドレインは、表示動作において画素信号Vpixが供給されたのち、TFT素子Trがオフ状態になることによりフローティング状態となり、1表示フレーム期間(1F)の間、その画素信号Vpixの電位を保持する。TFT素子Trのドレインでは、図23に示したように、その1表示フレーム期間において、タッチ検出駆動信号Vcomtが駆動電極ブロックBに印加される度に、その電圧変化が液晶素子LCに並列に存在する寄生容量(図示せず)を介して伝わり、タッチ検出駆動信号Vcomtのパルス波形に対応する振幅2×ΔVのパルス波形が画素信号Vpixの電位に重畳される。つまり、例えば、画素信号Vpix1が供給された後、TFT素子Trのドレインの電圧はVpix1±ΔVとなり、最大電圧はVpix1+ΔVとなる。よって、このときのドレインの電位がTFT素子Trの耐圧を超えないように、タッチ検出駆動信号Vcomtのパルス波形の振幅などを設定する必要がある。
また、図23に示したように、負の画素信号Vpix2が供給された1表示フレーム期間では、TFT素子Trのドレインの電圧はVpix2±ΔVとなり、最小電圧はVpix2−ΔVとなる。このときは、上述したTFT素子Trの耐圧に加え、リークについても注意する必要がある。すなわち、オフ状態になっているn型のTFT素子Trのドレインに過渡的に負の電圧が印加され(波形C1)、TFT素子Trがオン状態になると、TFT素子Trを介して電荷が移動(リーク)することにより、保持されていた画素信号Vpixの電位が変化してしまい、画像品質を劣化させてしまうおそれがある。よって、この場合には、TFT素子Trがオン状態にならないようにタッチ検出駆動信号Vcomtのパルス波形の振幅などを設定し、あるいは、リークが生じないようにオフ状態になっているTFT素子Trのゲート電位を低く設定する必要がある。
以上のように本実施の形態では、表示期間とは異なるタッチ検出期間にのみ、タッチ検出駆動信号のパルス波形を駆動電極に印加するようにしたので、表示動作とタッチ検出動作とを完全に独立して行うことができ、タッチ検出動作の表示動作による影響を最小限に抑えることができる。
本実施の形態では、駆動電極ドライバは、タッチ検出期間にのみタッチ検出駆動信号のパルス波形を出力するようにしたので、表示動作に制約されることなくタッチ検出駆動信号の振幅を設定することができ、検出感度を高めることができる。
その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
[変形例2−1]
上記実施の形態では、タッチ検出駆動信号Vcomtは正負両方の電圧からなるパルス波形としたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば正の電圧からなる正極性パルス波形としてもよいし、負の電圧からなる負極性パルス波形としてもよい。以下に、タッチ検出駆動信号Vcomtを正極性パルス波形としたときの例を詳細に説明する。
図24は、本変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置のタイミング波形例を表すものであり、(A)はタッチ検出駆動信号Vcomtの波形を示し、(B)は走査信号Vscanの波形を示し、(C)は画素信号Vpixの波形を示し、(D)はタッチ検出信号Vdetの波形を示す。図24(A)に示したように、タッチ検出駆動信号Vcomtの波形は、上記実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の場合とは異なり、正の電圧のみからなるパルス波形である。この場合でも、上記実施の形態と全く同様に、表示動作およびタッチ検出動作を行うことが可能である。
図25は、本変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置におけるTFT素子Trのドレイン端子の波形を表すものである。上記実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置9の場合(図23)と同様に、タッチ検出駆動信号Vcomtのパルス波形に対応するパルス波形が画素信号Vpixの電位に重畳される。その際、タッチ検出駆動信号Vcomtが正の電圧からなる正極性パルス波形であることに対応して、TFT素子Trのドレイン端子にも、正極性パルス波形が重畳される。つまり、例えば、負の画素信号Vpix2が供給された1表示フレーム期間では、TFT素子Trのドレインの最小電圧はVpix2となる。これにより、TFT素子Trが過渡的にオン状態にならないため、画素信号Vpixの電位は変化せず、よって、良好な画像品質が維持される。
本変形例は、画素PixのTFT素子TrをnチャネルのMOS型のTFTを用いて構成した場合の例であるが、pチャネルのMOS型のTFTを用いて構成した場合には、タッチ検出駆動信号Vcomtのパルス波形を、例えば負の電圧からなる負極性パルス波形とすることにより適用可能である。
[変形例2−2]
上記実施の形態では、表示期間Tdの前にタッチ検出期間Ttを設けるにようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、表示期間Tdの後にタッチ検出期間Ttを設けるようにしてもよいし、表示期間Tdの前後にタッチ検出期間Ttを設けるようにしてもよい。図26は、表示期間Tdの後にタッチ検出期間Ttを設けた場合のタイミング波形例を表すものである。この場合でも、上記実施の形態と全く同様に、表示動作およびタッチ検出動作を行うことが可能である。
<4.適用例>
次に、図27〜図31を参照して、上記実施の形態および変形例で説明したタッチ検出機能付き表示装置の適用例について説明する。上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
(適用例1)
図27は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表すものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
(適用例2)
図28は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表すものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、表示部522、メニュースイッチ523およびシャッターボタン524を有しており、その表示部522は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
(適用例3)
図29は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表すものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体531、文字等の入力操作のためのキーボード532および画像を表示する表示部533を有しており、その表示部533は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
(適用例4)
図30は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表すものである。このビデオカメラは、例えば、本体部541、この本体部541の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ542、撮影時のスタート/ストップスイッチ543および表示部544を有している。そして、その表示部544は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
(適用例5)
図31は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用される携帯電話機の外観を表すものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740、サブディスプレイ750、ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
以上、いくつかの実施の形態および変形例、ならびに電子機器への適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
上記実施の形態では、TNやVA、ECB等の各種モードの液晶を用いた液晶表示デバイス20とタッチ検出デバイス30とを一体化してタッチ検出機能付き表示デバイス10を構成したが、これに代えて、FFS(フリンジフィールドスイッチング)やIPS(インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶を用いた液晶表示デバイスとタッチ検出デバイスとを一体化しても良い。例えば、横電界モードの液晶を用いた場合には、タッチ検出機能付き表示デバイス60を、図32に示したように構成可能である。この図は、タッチ検出機能付き表示デバイス60の要部断面構造の一例を表すものであり、画素基板2Bと対向基板3Bとの間に液晶層6Bを挟持された状態を示している。その他の各部の名称や機能等は図5の場合と同様なので、説明を省略する。この例では、図5の場合とは異なり、表示用とタッチ検出用の双方に兼用される駆動電極COMLは、TFT基板21の直ぐ上に形成され、画素基板2Bの一部を構成する。駆動電極COMLの上方には、絶縁層23を介して画素電極22が配置される。この場合、駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLとの間の、液晶層6Bをも含むすべての誘電体が容量C1の形成に寄与する。
上記実施の形態では、タッチ検出動作の走査周波数は表示動作の走査周波数の2倍にしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば3倍でもよいし、4倍でもよい。図33は、駆動電極ブロックBd,Btの表示・タッチ検出面Sにおける移動動作を模式的に表すものであり、(A)はタッチ検出動作の走査周波数が表示動作の走査周波数の3倍の場合を示し、(B)は、タッチ検出動作の走査周波数は表示動作の走査周波数の4倍の場合を示す。図33(A)では、表示動作が駆動電極ブロックBdを順次選択し1回走査する時間に、タッチ検出動作は、駆動電極ブロックBtを順次選択して3回走査する。すなわち、この例では、タッチ検出動作の走査周波数は、表示動作の走査周波数の3倍になっている。図33(B)では、表示動作が駆動電極ブロックBdを順次選択し1回走査する時間に、タッチ検出動作は、駆動電極ブロックBtを順次選択して4回走査する。すなわち、この例では、タッチ検出動作の走査周波数は、表示動作の走査周波数の4倍になっている。
上記実施の形態では、タッチ検出機能付き表示装置は、液晶表示デバイスと静電容量型のタッチ検出デバイスとを一体化した、いわゆるインセルタイプとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、液晶表示デバイスと静電容量型のタッチ検出デバイスを別体として組み合わせた組み込みタイプであってもよい。この場合、液晶表示デバイスは、例えば、駆動電極(共通電極)に印加される駆動信号(共通駆動信号)が反転することにより表示を行うものである。タッチ検出デバイスは、例えば、図7に示したような電極構成を有するものであり、上記実施の形態と同様に、駆動電極COMLに順次タッチ検出駆動信号Vcomtを印加し、そのタッチ検出駆動信号Vcomtに応じてタッチ検出電極TDLから出力されるタッチ検出信号Vdetに基づいてタッチを検出するものである。液晶表示デバイスの共通電極と、静電容量型のタッチ検出デバイスのタッチ検出電極TDLとの間に静電容量が形成されていた場合には、上記実施の形態と同様に、液晶表示デバイスの共通電極に印加された共通駆動信号が、この静電容量を介してタッチ検出デバイスのタッチ検出電極TDLに伝わってしまう。その際、液晶表示デバイスの共通駆動信号の波形が遷移しないタイミングでタッチ検出デバイスのタッチ検出駆動信号Vcomtの波形が遷移するようにすることにより、上記実施の形態と同様に、タッチ検出駆動信号Vcomtに応じたタッチ検出信号Vdetを分離することができ、タッチ検出動作の表示動作による影響を最小限に抑えることができる。